(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、図面は模
式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは必ず
しも一致するわけではない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比
率が異なって表される場合がある。また、上下左右の方向についても、後述する半導体基
板における回路形成面側を上とした場合の相対的な方向を示し、必ずしも重力加速度方向
を基準としたものとは一致しない。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述し
たものと同様の機能、構成を備えた要素については同一符号を付して、詳細な説明は適宜
省略する。
【0008】
また、以下の説明において、説明の便宜上、XYZ直交座標系を使用する。この座標系
においては、半導体基板の表面に対して平行な方向であって相互に直交する2方向をX方
向およびY方向とする。X方向およびY方向の双方に対して直交する方向をZ方向とる。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る半導体製造装置100の構成を模式的に示す図の一例であ
る。半導体製造装置100は、チャンバー(反応室)10、トラップ20、バルブ40a
、41a、50a、51a、回収ライン40、41、及び排気ライン50、51を備える
。
【0010】
チャンバー10は、半導体基板11の表面上に例えばCVD法による成膜処理を行うた
めの反応室である。ただし、処理はCVD法に限定されない。チャンバー10内には、例
えばシャワーヘッド12、及びステージ14を有している。ステージ14は、半導体基板
11を載置可能なステージであり、半導体基板11の温度を制御するヒータとしての機能
を有していても良い。チャンバー10には図示しない排気管が設けられており後に説明す
る回収ライン40または排気ライン50に接続されている。
【0011】
シャワーヘッド12は、図示しないガス供給管に接続され、流量を調整された反応ガス
(混合ガス)が、ガス供給管を通じてシャワーヘッド12からチャンバー10内に供給さ
れる。供給された反応ガスにより、半導体基板11表面に膜が成膜される。未反応ガス及
び新たに生成された生成ガス(まとめて処理後のガスとする)は排気管を通過してチャン
バー10外に排出される。
【0012】
トラップ20は、未反応ガスから所望のガス(第1ガス)を分離させるために設けられ
る。トラップ20は加熱機構及び冷却機構を備える。トラップ20はチャンバー10の排
気管と回収ライン40を介して接続されている。つまり、チャンバー10内で成膜が行わ
れた後の未反応ガスを、回収ライン40を通してトラップ20に集めることができる。
【0013】
また、トラップ20は回収ライン41にも接続されており、トラップ20で分離させた
所望のガスを、回収ライン41を通して、例えば図示しないタンク等に集めることができ
る。
【0014】
さらに、トラップ20は排気ライン51とも接続し、トラップ20内での処理によって
不要となった反応ガスを、排気ライン51を通して装置外に排気することができる。
【0015】
本実施形態において、チャンバー10内での処理後のガスは、トラップ20に回収せず
にチャンバー10に接続された排気ライン50を通じて直接排気することができる。
【0016】
回収ライン40、41、及び排気ライン50、51にはそれぞれバルブ40a、41a
、50a、51aが設けられる。バルブが開くことでガスが移動し、一方でバルブが閉じ
るとガスは移動することができない。なお、バルブが開いている状態を「開」状態とし、
バルブが閉じている状態を「閉」状態とする。
【0017】
回収ライン及び排気ラインの末端にはそれぞれポンプ60、61が設けられ、ポンプ6
0、61によって圧力差を生み出し反応ガスの移動を可能にしている。なお、本実施形態
において、ポンプ60、61を設けない場合も考えられる。例えばトラップ20の加熱に
よる圧力差によって反応ガスを移動させることも可能である。
【0018】
次に、本実施形態に係る半導体製造装置100を用いた半導体装置の製造方法について
、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2(a)〜(c)は、半導体装置の製造方法を説
明するための図の一例であり、縦断面図を工程順に示したものである。
【0019】
図2(a)に示すように、半導体装置1は膜2を有している。膜2は半導体基板11上
に形成されている。半導体基板11としては例えばシリコン基板を用いることができる。
膜2としては、絶縁膜を用いてもよいし、導電膜を用いてもよい。また、複数の膜の積層
膜であってもよい。膜2としては、例えば、シリコン酸化膜を使用することができる。な
お、X方向にさらに別の膜が形成されていても良い。
【0020】
膜2には縦方向(Z方向)に延びる溝3aと、溝3aを中心として左右、横方向(X方
向)に延びる溝3bが複数設けられている。溝3a、3bは全体として、Z方向に延伸す
る溝3aと、これを中心として左右(X方向)に延伸する溝3bによって、例えば
図2に
示すようにフィッシュボーン形状を構成している。溝3aと溝3bは、Y方向(図におい
て手前−奥行き方向)に長く延在している。溝3a及び溝3bにより、半導体装置1の表
面積、すなわち、半導体基板11表面(膜2を含む。以下同じ。)の表面積は大きくなっ
ている。半導体基板11表面の表面積は、溝3a及び溝3b上面の表面積の和となってい
る。
【0021】
なお、上述の溝3a及び溝3bによって構成されるフィッシュボーン形状は、表面積が
大きい形状の一例として示したものであり、本実施形態はこの形状に限定されるものでは
ない。例えば、縦方向に複数の溝が形成された形状を有していてもよい。
【0022】
次に、溝3a及び溝3bが形成された膜2上に、例えばCVD法によって第1膜4を形
成する。第1膜4は、絶縁膜であってもよいし、導電膜であってもよい。ここでは、第1
膜4として導電膜を用いた一例を示し、導電膜としてSiまたはBを添加物として含むタ
ングステン(W)を成膜した一例を示す。ここでのCVD法による成膜では、被覆性の良
好な条件を用いる。
図2(a)の半導体基板11上に第1膜4を形成していくと、
図2(
b)に示すように第1膜4は、溝3a、溝3b表面、及び膜2の表面上にコンフォーマル
に成膜されていく。
【0023】
次に、例えばCVD法を用いて第2膜5をさらに成膜する。ここでは、第2膜5として
導電膜を用いた一例を示し、導電膜としてタングステン(W)を成膜した一例を示す。図
2(c)に示すように、溝3a及び溝3bが第2膜5により埋設され、さらに膜2の表面
上に第2膜5が形成されていく。なお、本実施形態においては、第1膜4及び第2膜5は
同じチャンバー10内で成膜される。
【0024】
膜構造をより明確にするため、
図2(c)の破線部を拡大した模式図を
図2(d)に示
す。なお、
図2(d)は、それぞれの膜の一部のみを示すものとする。
図2(d)に示す
ように、本実施形態の半導体装置は、膜2が複数層から形成される。膜2は、例えば、第
1膜4と接するバリアメタル膜(TiN)2a、バリアメタル膜2aと接するブロック膜
(Al2O3)2bを含む。
【0025】
図3は本実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程手順を示すフローチャートの一例
である。適宜、
図1及び
図2を参照する。
【0026】
まず、半導体基板11上の膜2に溝3a及び溝3bが形成された半導体装置1を、チャ
ンバー10内のステージ14に載置する。この時、バルブ40aは「閉」、50aは「開
」状態になっている。シャワーヘッド12からチャンバー内に、溝3a及び溝3bに第1
膜4を成膜するための反応ガスを供給する。ここで、第1膜4とは、CVD法によって成
膜され、SiまたはBを含むタングステン膜(例えばタングステンシリサイド膜)を一例
として説明する。第1膜4を成膜する場合、材料ガスとしてWF6、還元ガスとしてSi
H4、キャリアガスとしてN2やArが用いられる。このときチャンバー10内では以下
の化学式(1)で示される反応が生じている。
2WF6(g) + 2SiH4(g)→ W(s)+ 3SiF4(g)+6H2 ・・
・(1)
【0027】
上述の処理により、半導体基板11上(溝3a及び溝3b表面を含む膜2表面上)に第
1膜4が成膜される(S1)。
【0028】
この時バルブ40aは「閉」、バルブ50aは「開」状態のままである。これにより、
チャンバー10内で上記(1)の反応において、反応されずに残った未反応ガス及び生成
ガスが排気ライン50を通して排出される(S2)。
【0029】
次に、バルブ50aを「閉」状態、バルブ40a及び51aを「開」状態にし、第2膜
5の成膜を行う。第2膜5は例えばCVD法で成膜するタングステン膜である。タングス
テン膜を成膜する場合、材料ガスとしてWF6、還元ガスとしてH2、キャリアガスとし
てN2やArが用いられる。このときチャンバー10内では以下の化学式(2)で示され
る反応が生じている。
WF6(g) + 3H2(g) → W(s) + 6HF(g) ・・・(2)
【0030】
上述の処理により、第1膜4上に第2膜5が成膜される(S3)。バルブ40aが「開
」状態のため、第2膜5の成膜で反応されずに残った未反応ガス及び新たに生成された生
成ガスが回収ライン40を通じてトラップ20へ移動する(S4)。
【0031】
この時、トラップ20は冷却機構を備えるため、トラップ20内は例えば2℃以下に設
定される(S5)。ここで、例えばWF6ガスは融点が2℃、沸点が18℃である。チャ
ンバー10内での成膜工程は例えば400℃で行われるため、チャンバー10内及び回収
ライン40内では気体状態のWF6ガスは、トラップ20内で凝縮、凝固し固体状態とな
り、トラップ20内に蓄積する。ただしその他のガスについてはWF6ガスの融点よりも
低い融点を有するため、WF6ガスが固体状態となっても気体状態のままである。
【0032】
つまり、トラップ20へ移動した気体のうちWF6ガスのみが固体となってトラップ2
0内に蓄積し、その他のガスはトラップ20を通過し、排気ライン51を通して排気され
る(S6)。
【0033】
次にバルブ40a、51aを「閉」状態にし、バルブ41aを「開」状態にする。トラ
ップ20は、温熱機構によりトラップ20内がWF6ガスの沸点である18度以上となる
ように加熱され、固体のWF6ガスは再び気体状態となる(S7)。気体状態となったW
F6ガスは回収ライン41を通して例えばタンク等に回収される(S8)。
【0034】
なお、上述した排気及び回収は、各ラインの末端に設けられたポンプ60、61による
圧力差またはトラップ20が加熱する際の蒸気圧により圧力差によって行われる。また、
図示しないが、これらの反応ガスの供給等の制御は装置内または外に設けられたCPUに
よって行われる。
【0035】
以上のようにして本実施形態の半導体製造装置100を用いた半導体装置の製造が完了
する。
【0036】
本実施形態に係る半導体製造装置100によれば、装置内に温熱機構及び冷却機構を備
えたトラップ20を有することで、所望のガスの融点及び沸点を考慮し、所望のガスのみ
を回収することができる。
【0037】
さらに、トラップ20への回収前に排気ライン50への分離経路を供えるため、例えば
連続して成膜を行う場合に、第1膜の成膜で使用したガスの一部と第2膜の成膜で使用し
、回収したい所望のガスとが反応してしまうことにより、トラップ20内での所望のガス
の回収率を低下させる恐れを回避できる。例えば本実施形態において、トラップ20の前
に排気ライン50がない場合、第1膜4の成膜で使用したSiH4がトラップ20内に残
りWF6と反応し不要な固体(例えば、WSix:xは任意の数字)となり、再利用可能
なWF6ガスの量が減少するおそれがある。
【0038】
以上、本実施形態に係る半導体製造装置によれば、トラップに回収する前に排気ライン
への分岐機構を備えることで所望のガスの回収率を上げることが可能になる。
【0039】
なお、本実施形態で示したトラップは一例であり、所望のガスを回収できる機構であれ
ばよい。また、本実施形態で説明した反応ガスは一例であり、第1膜及び第2膜の種類は
特に限定されない。
【0040】
以下、本実施形態に係る半導体製造装置の変形例について
図4乃至
図6を用いて説明す
る。
【0041】
図4に示すようにトラップを2つ設け、第1トラップ21、第2トラップ22としても
良い。トラップを2つ設けることで第1トラップ21及び第2トラップ22ぞれぞれで所
望のガスを回収できる。したがって、第1トラップ21で所望のガスを回収するための加
熱処理をしている間に、チャンバー内で成膜処理を行うことが可能になり、回収効率が上
昇する。
【0042】
図4において、チャンバー10から第1トラップ21に反応ガスを集めるときは、バル
ブ50a及び42aを「閉」状態にする。一方で、第1トラップ21が使用中のため使え
ないときはバルブ40a、42aを「開」状態にし、バルブ50a、40bを「閉」状態
にすることで、チャンバー10内の反応ガスを第2トラップ22に集めることができる。
【0043】
または、
図5に示すように、トラップ20から回収した所望のガスをタンク70に一旦
回収した後、チャンバー10に戻しても良い。例えば、タンク70はチャンバー10内に
ガスを供給するガス供給管と接続している。この時、トラップ20から回収した所望のガ
スが回収ライン41を通してタンク70に移動し、さらにチャンバー10に再び供給する
ために、タンク70内の圧力が低くなるように設定する。例えば回収ライン41に設けら
れた圧力計80の圧力よりもタンク70の圧力が低くなるようにすれば良い。
【0044】
または、
図6に示すように、トラップ20に例えば液体が生じた場合に、排気ラインと
は別の排水ライン53を設け、トラップ20内で生じた不要な液体を排水するようにして
も良い。
【0045】
なお、上述した装置フローは例えば装置内外に設けられたCPUが行う。
【0046】
また、上述した実施形態では、第1膜4及び第2膜5としてタングステンシリサイド膜
及びタングステン膜を例示して説明したが、これは一例であって、この例に限定されない
。また、成膜する物質、反応ガス等が異なれば、そこで生じる反応も異なるため、第1の
実施形態及び
図4乃至
図6に示した変形例を適宜組み合わせても良い。また、CVD装置
に限らず例えば半導体基板にガスを供給するその他の装置にも応用できる。
【0047】
(第2の実施形態)
上述のように、第1の実施形態においては、冷却機構及び加熱機構を有するトラップを
設けることで所望のガスを分離して回収し、反応ガスの使用量の削減を可能とした。これ
に対して、第2の実施形態では、チャンバー10内での未反応ガスを別のチャンバーに送
ることでガスの再利用を可能とし、反応ガスの使用量の削減を図る。
【0048】
図7は第2の実施形態に係る半導体製造装置200の構成を説明する模式図である。半
導体製造装置200は、第1チャンバー15、第2チャンバー16、第1チャンバー15
及び第2チャンバー16を接続する回収ライン44、及び排気ライン53を備える。回収
ライン44にはAPC(自動圧力制御機器:Auto pressure contro
ller)90が設けられる。排気ライン53は第2チャンバー16に接続され、APC
91が設けられる。排気ライン53の末端にはポンプ62が設けられる。
【0049】
第1及び第2チャンバー15、16は、半導体基板11の表面上に例えばCVD法によ
る成膜処理を行うための反応室であり第1の実施形態に係るチャンバー10と同様な構成
及び機能を有する。第1及び第2チャンバー15、16それぞれには排気管が設けられて
おり、回収ライン44または排気ライン53に接続されている。
【0050】
APC90、91は第1及び第2チャンバー15、16内の圧力を調整する機能を有す
る。APCは回収ライン44及び排気ライン53を通過させる反応ガスの流量を変化させ
ることによって第1及び第2チャンバー15、16内の圧力を調整する自動圧力制御機器
である。つまり、チャンバー内の圧力を所定の圧力に保つよう制御することができる。A
PCは内部にバルブ等を有しており、APCのバルブの開度を変更することにより、チャ
ンバーから排出されるガスの流量を調節している。
【0051】
以下、本実施形態に係る半導体製造装置200を用いた成膜方法について説明する。
【0052】
まず、第1チャンバー15でたとえばCVD法による第1の成膜を行う。第1チャンバ
ー15内での第1の成膜は、例えば第1の実施形態で示した第2膜5の成膜である(
図2
参照)。第2膜5は例えばタングステン膜である。タングステン膜を成膜する場合、材料
ガスとしてWF6、還元ガスとしてH2、キャリアガスとしてN2やArが用いられる。
このとき第1チャンバー15内では以下の化学式(2)で示される反応が生じている。
WF6(g) + 3H2(g) → W(s) + 6HF(g) ・・・(2)
【0053】
例えば、第1チャンバー15内に、半導体基板11に対して200sccmの材料ガス
(WF6)、4000sccmの還元ガス(H2)、6000sccmのキャリアガス(
Ar)、の合計6200sccmの反応ガスを供給することを想定する。この時、上記(
2)の反応を行うと材料ガス及び還元ガスが消費され、反応後のガス成分は、160sc
cmの材料ガス(WF6)、3880sccmの還元ガス(H2)、6000sccmの
キャリアガス(Ar)、及び反応による副生成物(HF)240sccmを含む。つまり
、第1チャンバー15内でのタングステン膜の成膜において、材料ガスとなるWF6ガス
は1/5しか消費されていない。したがって、この未反応なガスは引き続きタングステン
膜の成膜が可能なガスの成分を有している。なお、APC90、91のバルブは「開」状
態であり、以降の説明でも「開」状態のままである。
【0054】
次に、例えばポンプ62によって圧力を調節することで、回収ライン44を通して未反
応ガスを第2チャンバー16に移動させる。第2チャンバー16では、第1チャンバー1
5での未反応ガスを用いて、第2の成膜を行う。第2の成膜は、第1の成膜を行った半導
体基板と同じ半導体基板に対して行っても良いし、別の半導体基板に対して行っても良い
。
【0055】
第2の成膜は、第1の成膜と比較してWF6ガスの割合が少ないため、例えば
図2で示
す第2膜の成膜のようなガス条件が精密な処理よりも、例えばベタ膜(平坦な膜)のよう
に比較的ガス条件が精密でない処理を行うことが望ましい。
【0056】
第2チャンバーでの第2の成膜を終えると、ポンプ62によって圧力を調節し第2チャ
ンバー22内のガスを排気する。
【0057】
以上、本実施形態に係る半導体製造装置200によれば、第1チャンバーでの第1の成
膜後に残った未反応ガスを第2チャンバーに回収し、第2チャンバー内での第2の成膜二
利用することで、反応ガス(例えば材料ガス)の消費を抑制し、コストを削減することが
可能になる。
【0058】
以下、第2の実施形態に係る半導体製造装置200の変形例について説明する。
【0059】
図8(a)に示すように、APC90と第2チャンバーとの間に第1チャンバーから回
収されたガスの成分を分析する、質量分析器110を設置しても良い。質量分析器110
によってガスの成分が所望の成分に満たない場合、回収ライン44から分岐した排気ライ
ン54を通してガスを排気することができる。なお、
図8(a)において、回収ライン4
4にはバルブ44a、排気ラインにはバルブ54aが設けられ、バルブの開閉によって第
2チャンバーへの回収、または排気できるようにしている。または、排気ライン54を設
けることで例えば第2チャンバーに半導体基板がない場合に第2チャンバーに未反応ガス
を回収せずに排気することができる。
【0060】
また、
図8(b)に示すように、回収ライン44に冷却機構120を備え、回収ライン
44の温度を例えば100℃以下に設定しても良い。第1チャンバーでの成膜温度は例え
ば400℃である。そのため気体の温度が高くなり、回収ライン44を通過する間に気体
同士が反応して不要な生成物となり、所望のガスを消費してしまう可能性を低減する。
【0061】
さらには、
図9(a)に示すように、第2チャンバー16に還元ガスまたはキャリアガ
スを供給する供給ライン130を設けても良い。これにより例えば第1の成膜後の還元ガ
スまたはキャリアガスの割合が所望の割合未満だった場合でも、ガスを排気することなく
第2の成膜に利用できる。
図9(b)に示すように、回収ライン44にフィルター140
を設けてバーティクルを除去しても良い。これにより、第2チャンバー16での成膜中に
バーティクルが入るのを防ぐ。
【0062】
図10に示すように、第1チャンバー15a、15b及び第2チャンバー16a、16
b、16cをそれぞれ複数個設けて、ポンプ64を共有しても良い。なお、第1及び第2
チャンバーを接続する回収ラインを共有しても良い。つまり、第1チャンバー15aでの
未反応ガスは、第2チャンバー16a、16b、16cのいずれかに回収することができ
る。第1及び第2チャンバーを複数個設けることで製造効率が上昇する。
【0063】
最後に、
図11に示すように、第1及び第2チャンバー15、16をそれぞれ別の装置
内に設けても良い。例えば、第1製造装置210に第1チャンバー15を配置し、第2製
造装置220に第2チャンバー16を配置し、それぞれを回収ライン44で接続する。
【0064】
なお、上述した第2の実施形態及び変形例はそれぞれを組み合わせても良い。
【0065】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の成膜での未反応ガスを回収して
第2の成膜を行うことで、所望のガス(例えば材料ガス)の消費を抑え製造コストを低減
することができる。さらには、第1の成膜及び第2の成膜で異なるチャンバーを用いるこ
とで未反応ガスの回収を容易にし、より効率的に成膜を行うことが可能になる。
【0066】
(他の実施形態)
上記に説明した実施形態は、様々な半導体装置に適用することができる。例えば、NA
ND型又はNOR型のフラッシュメモリ、EPROM、あるいはDRAM、SRAM、そ
の他の半導体記憶装置、あるいは種々のロジックデバイス、その他の半導体装置に適用し
ても良い。
【0067】
なお、第1及び第2の実施形態において、「回収」「分離」「排気」「排出」との記載
は、任意のガスが完全に100%「回収」「分離」「排気」「排出」されずに僅かに残る
場合も含まれ、それにより実施形態の効果が損なわれることはない。
【0068】
上述のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例と
して提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実
施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範
囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、
発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範
囲に含まれる。