特許第6876496号(P6876496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876496
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】スプライシングシステム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-80213(P2017-80213)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-182085(P2018-182085A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】小見山 延久
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−087758(JP,A)
【文献】 特開2007−335711(JP,A)
【文献】 特開2005−353847(JP,A)
【文献】 特開2015−082578(JP,A)
【文献】 特開2014−123621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバからの要求指示により作業者が所定の作業を行うことにより第1キャリアテープと第2キャリアテープとのスプライシングを自動的に実行するスプライシング装置を備えるスプライシングシステムであって、
前記スプライシングの開始ログを取得する開始ログ取得部と、
前記スプライシングの終了ログを取得する終了ログ取得部と、
前記開始ログ取得部に取得された開始ログ及び前記終了ログ取得部に取得された終了ログを、前記作業者ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記開始ログと前記終了ログとに基づいて前記スプライシングに要した総時間を算出する総時間算出部と、
前記総時間算出部により算出された前記総時間を前記作業者の識別IDに関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備える、スプライシングシステム。
【請求項2】
前記開始ログは、前記サーバから前記作業者への前記作業の実行を要求する指示が行われた時刻である、請求項1に記載のスプライシングシステム。
【請求項3】
前記開始ログは、所定リーダによる前記作業者の前記識別IDの読み込みが行われた時刻である、請求項1に記載のスプライシングシステム。
【請求項4】
前記終了ログは、前記スプライシング装置において前記スプライシングが完了した時刻である、請求項1乃至3の何れか一項に記載のスプライシングシステム。
【請求項5】
前記作業は、所定リーダによる前記作業者の前記識別IDの読み込み作業と、前記所定リーダによる前記第1キャリアテープの識別コードの読み込み作業と、前記所定リーダによる前記第2キャリアテープの識別コードの読み込み作業と、前記スプライシング装置の筐体に設けられた第1挿入口への前記第1キャリアテープの挿入作業と、前記筐体に設けられた第2挿入口への前記第2キャリアテープの挿入作業と、を含み、
前記スプライシングシステムは、前記スプライシングの終了までに前記作業者が行う各前記作業それぞれの作業ログを取得する作業ログ取得部を備え、
前記記憶部は、前記作業ログ取得部に取得されたそれぞれの前記作業ログを、前記作業者ごとに記憶し、
前記スプライシングシステムは、前記記憶部に記憶された前記開始ログと前記作業ログと前記終了ログとを含むログに基づいて、前記スプライシングの終了までにおける互いに隣接する各前記ログ間の時間を算出するログ間時間算出部を備え、
前記制御部は、前記ログ間時間算出部により算出された前記時間を前記作業者の前記識別IDに関連付けて前記記憶部に記憶させる、請求項1乃至4の何れか一項に記載のスプライシングシステム。
【請求項6】
前記作業者が前記作業を行う手順として複数のパターンが用意されており、
前記記憶部への記憶は、前記作業者ごとかつ前記パターンごとに行われる、請求項5に記載のスプライシングシステム。
【請求項7】
サーバからの要求指示により作業者が所定の作業を行うことにより第1キャリアテープと第2キャリアテープとのスプライシングを自動的に実行するスプライシング装置を備えるスプライシングシステムであって、
前記スプライシングの開始ログを取得する開始ログ取得部と、
前記スプライシングの終了ログを取得する終了ログ取得部と、
前記開始ログ取得部に取得された開始ログ及び前記終了ログ取得部に取得された終了ログを、前記作業者ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記開始ログと前記終了ログとに基づいて前記スプライシングに要した総時間を算出する総時間算出部と、
前記総時間算出部により算出された前記総時間を基準時間と比較することで、前記作業者による前記作業の熟練度又は前記作業者における前記作業の上達度を情報出力する情報出力部と、
を備える、スプライシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプライシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品などの部品を基板に装着する装置として、部品を供給するためのテープフィーダを装着した部品装着機が知られている。テープフィーダには、リールが装填されている。リールには、複数の部品を所定ピッチで収容したキャリアテープが巻回されている。テープフィーダは、キャリアテープに収容されている部品が順次、部品取出位置に供給されるようにキャリアテープを搬送する。部品装着機は、部品取出位置に位置決めされた部品を順次取り出して基板に装着する。
【0003】
また、部品装着機の作業者は、テープフィーダ内の部品が無くなって生産ラインが停止する前に、部品を補給する作業を行う。この作業者が行う部品を補給する作業としては、スプライシング装置に、部品切れが生じる前のキャリアテープ(以下、旧キャリアテープと称す。)の終端部と補給用のキャリアテープ(以下、新キャリアテープと称す。)の始端部とをスプライシングさせるために行われる作業がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−182160号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した作業者がスプライシング装置にスプライシングさせるために行う作業には、様々な作業が含まれている。例えば、バーコードリーダで、旧キャリアテープが巻回されているリールに貼り付けられたバーコードや新キャリアテープが巻回されているリールに貼り付けられたバーコード,その作業を行う作業者の識別IDを示すバーコードなどを読み込む作業や、新旧キャリアテープをスプライシングを実行する装置の筐体内へ挿入する作業、スプライシング成否を目視で判定する作業、スプライシング失敗時に実行される応対作業などが含まれる。しかしながら、従来では、これらの作業が行われた時刻を示す各作業ログが記憶されていないので、スプライシングのための作業を行う作業者ごとの作業の熟練度や上達度を客観的に把握することが困難であった。
【0006】
本明細書は、スプライシングのための作業を行う作業者ごとの作業熟練度や作業上達度を客観的に把握することが可能なスプライシングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、作業者による作業に従って第1キャリアテープと第2キャリアテープとのスプライシングを実行するスプライシング装置を備えるスプライシングシステムであって、前記スプライシングの開始ログを取得する開始ログ取得部と、前記スプライシングの終了ログを取得する終了ログ取得部と、前記開始ログ取得部に取得された開始ログ及び前記終了ログ取得部に取得された終了ログを、前記作業者ごとに記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記開始ログと前記終了ログとに基づいて前記スプライシングに要した総時間を算出する総時間算出部と、前記総時間算出部により算出された前記総時間を前記作業者の識別IDに関連付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備える、スプライシングシステムを開示する。
【0008】
本開示によれば、記憶部に、作業者ごとに各スプライシングでの開始ログ及び終了ログを記憶させると共に、作業者ごとに各スプライシングに要した総時間を記憶させることができる。このため、各スプライシングのための作業を行う作業者ごとの作業の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態のスプライシングシステムの全体構成図である。
図2】実施形態のスプライシングシステムが備える部品装着機の平面図である。
図3】実施形態のテープフィーダの側面図である。
図4】実施形態のスプライシングシステムが備えるスプライシングユニットの斜視図である。
図5】スプライシングテープを用いて第1キャリアテープと第2キャリアテープとがスプライシングされた状態を表した図である。
図6】実施形態のスプライシングシステムにおける記憶装置に記憶された作業者ごとのスプライシングの開始から終了までのログの一例を表した図である。
図7】実施形態のスプライシングシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
図8】一変形形態のスプライシングシステムにおける記憶装置に記憶された作業者ごとのスプライシングの開始から終了までのログの一例を表した図である。
図9図8に示す変形形態のスプライシングシステムにおいて実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、スプライシングシステムを具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
1.スプライシングシステム1の構成
本実施形態のスプライシングシステム1は、二本のキャリアテープをスプライシングするシステムである。スプライシングシステム1は、図1に示す如く、部品装着機10と、スプライシングユニット20と、ホストコンピュータ30と、を備えている。部品装着機10とホストコンピュータ30とは、互いに通信接続されている。また、スプライシングユニット20とホストコンピュータ30とは、互いに通信接続されている。
【0012】
部品装着機10は、基板への部品の装着を行う装置である。尚、部品装着機10は、複数設けられていてよい。部品装着機10は、図2に示す如く、基板搬送部11と、部品供給部12と、部品移載部13と、を備えている。以下、基板が搬送される水平な搬送方向(図2における左右方向)をX軸方向とし、X軸方向に直交する、部品が供給される水平な搬送方向(図2における上下方向)をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(図2において紙面裏表方向)をZ軸方向とする。
【0013】
基板搬送部11は、ベルトコンベアなどにより構成され、基板40をX軸方向に順次搬送する。部品供給部12は、基板40に装着される電子部品などの部品を部品取出位置Psに供給する。部品供給部12は、X軸方向に並んで配置された複数のスロット12aを有している。各スロット12aにはそれぞれ、後に詳述するテープフィーダ50が着脱可能に装着される。また、各スロット12aには、互いを識別するためのスロット番号が設定されている。部品供給部12は、テープフィーダ50に装着されたリール52のキャリアテープ51をモータを用いてY軸方向に送り移動させて、そのキャリアテープ51に収容されている部品をテープフィーダ50の先端側に位置する部品取出位置Psに供給する。
【0014】
部品移載部13は、装着ヘッド13aを有している。装着ヘッド13aは、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。装着ヘッド13aには、吸着ノズル(図示せず)が着脱可能に装着されている。この吸着ノズルは、負圧などを用いて部品を吸着することができる。装着ヘッド13aは、部品取出位置Psに供給された部品を吸着ノズルにより吸着し、その後、その吸着部品が基板搬送部11で所定の装着位置に位置決めされている基板40に装着されるように位置移動されると共に、吸着ノズルによる部品の吸着を解除する。
【0015】
テープフィーダ50は、部品供給部12のスロット12aに装着される。テープフィーダ50には、図3に示す如く、リール52が着脱可能に装填されている。リール52は、テープフィーダ50の本体に対して回転可能に保持されている。リール52には、キャリアテープ51が巻回されている。キャリアテープ51には、所定ピッチで基板40に装着すべき部品が収容されている。
【0016】
テープフィーダ50は、スプロケット53と、モータ(図示略)と、を有している。スプロケット53は、テープフィーダ50の本体に回転可能に支承されており、キャリアテープ51の送り穴(図示略)に係合する歯を有している。スプロケット53は、モータにより1ピッチ分ずつ回転される。テープフィーダ50は、テープ搬送路54を有している。テープ搬送路54は、装填されたリール52から送り出されるキャリアテープ51を下方から支持する。スプロケット53は、その歯がテープ搬送路54の上面に僅かに飛び出るようにテープ搬送路54の下方に配置されている。このテープフィーダ50の構成において、テープ搬送路54上のキャリアテープ51の送り穴にスプロケット53の歯が係合した状態でモータが駆動されることで、そのキャリアテープ51が部品取出位置Psに引き込まれる。
【0017】
リール52には、リール52を識別するための識別コードを示すバーコード52aが付されている。バーコード52aは、シールに付された状態でリール52に貼付されている。バーコード52aは、例えば、巻回されたキャリアテープ51の部品のコード(以下、部品コードと称す。)をリール52に関連付けて登録する際に付与される。また、テープフィーダ50には、テープフィーダ50を識別するための識別コードを示すフィーダIDコード50aが付されている。フィーダIDコード50aは、シールに付された状態でテープフィーダ50に貼付されている。
【0018】
スプライシングユニット20は、図1及び図4に示す如く、台車部21と、スプライシング装置22と、制御部23と、バーコードリーダ24と、第1挿入センサ25と、第2挿入センサ26と、通信部27と、表示装置28と、を備えている。スプライシングユニット20は、台車部21に設けられた車輪にて、部品装着機10が設置された生産工場において移動可能である。
【0019】
スプライシング装置22は、台車部21上に設置されている。スプライシング装置22は、二本のうちの一方のキャリアテープ51の終端部と他方のキャリアテープ51の始端部とを繋ぎ合わせる接合(すなわち、スプライシング)を自動的に行う装置である。上記一方のキャリアテープ51は、部品装着機10のテープフィーダ50に装填された部品切れ直前のリール52(以下、装填側リール52oと称す。)に巻回されているキャリアテープ51(以下、旧キャリアテープ51oと称す。)である。また、上記他方のキャリアテープ51は、補給用の新たなリール52(以下、補給側リール52nと称す。)に巻回されているキャリアテープ51(以下、新キャリアテープ51nと称す。)である。旧キャリアテープ51oと新キャリアテープ51nとは、図5に示す如く、スプライシングテープ60a,60bによりスプライシングされる。
【0020】
スプライシング装置22は、一方向に長い略直方体形状に形成された筐体本体22aと、開閉可能な上部カバー22bと、を有している。筐体本体22aの長手方向の両側側面には、挿入口22c(図4では手前側のみを図示)が設けられている。これら両側側面の挿入口22cは、送り溝(図示せず)を介して互いに連通されている。この送り溝は、各挿入口22cから挿入されたスプライシング対象の二本のキャリアテープ51o,51nをスプライシング装置22の中央部まで挿入するための溝である。
【0021】
台車部21には、補給側リール52nを保持する補給側リール保持部21aが設けられている。尚、補給側リール保持部21aは複数設けられ、補給側リール52nが台車部21に複数保持されるものであってよい。新キャリアテープ51nは、補給側リール保持部21aに保持された補給側リール52nに巻回された状態で筐体本体22aの他方の挿入口22cから挿入される。また、旧キャリアテープ51oは、テープフィーダ50に装填された装填側リール52oに巻回された状態で筐体本体22aの一方の挿入口22cから挿入される。
【0022】
スプライシング装置22の筐体本体22a内には、第1挿入センサ25及び第2挿入センサ26が配設されている。第1挿入センサ25は、旧キャリアテープ51oが挿入されるべき挿入口22cにキャリアテープ51が挿入されたことを検知するセンサである。第2挿入センサ26は、新キャリアテープ51nが挿入されるべき挿入口22cにキャリアテープ51が挿入されたことを検知するセンサである。第1及び第2挿入センサ25,26はそれぞれ、例えば、発光部と受光部とを有する光電センサなどであってよい。
【0023】
スプライシング装置22は、第1及び第2挿入センサ25,26を用いて挿入口22cへの新旧のキャリアテープ51o,51nの挿入が共に検知された場合に、筐体本体22a内に設けられたスプロケットを回転させることでそれらの旧キャリアテープ51oと新キャリアテープ51nとを筐体本体22a内の中央で突き合わせる。そして、スプライシング装置22は、スプライシングテープ60a,60bをそれらの新旧のキャリアテープ51o,51nの間に介在させて両スプライシングテープ60a,60bを新旧のキャリアテープ51o,51nを挟持するようにそのキャリアテープ51o,51の表面に貼り付ける。
【0024】
このように、スプライシング装置22によりスプライシングが実行される。スプライシング装置22は、上記のスプライシングが完了すると、上部カバー22bが開いて、そのスプライシングが完了したキャリアテープ51を取り出せる状態となる。
【0025】
制御部23は、CPUやメモリを有しており、予め定められたプログラムに従って各種処理を実行する。第1挿入センサ25の出力信号及び第2挿入センサ26の出力信号はそれぞれ、制御部23に供給される。制御部23は、第1挿入センサ25の出力信号に基づいて、挿入口22cに旧キャリアテープ51oが挿入されたか否かを判定することが可能である。また、制御部23は、第2挿入センサ26の出力信号に基づいて、挿入口22cに新キャリアテープ51nが挿入されたか否かを判定することが可能である。
【0026】
バーコードリーダ24は、制御部23と通信することが可能である。バーコードリーダ24は、作業者独自の識別IDコード、テープフィーダ50独自のフィーダIDコード50a、装填側リール52o独自のバーコード52a、補給側リール52n独自のバーコード52aなどをそれぞれ読み込むことが可能である。作業者独自の識別IDコードは、作業者が携帯しているネームプレート、或いは、スプライシングユニット20の台車部21の作業台などに置かれたシートなどに付されている。フィーダIDコード50aは、テープフィーダ50に付されている。バーコード52aは、装填側リール52oや補給側リール52nを含むリール52に付されている。かかる読み込みが行われた場合、バーコードリーダ24は、制御部23に向けて情報送信する。
【0027】
制御部23は、バーコードリーダ24の送信情報を受信することが可能である。制御部23は、スプライシング装置22によるスプライシングにおいて、部品切れ直前の旧キャリアテープ51o(すなわち、装填側リール52o)に対して正しい部品を収容した新キャリアテープ51n(すなわち、補給側リール52n)が準備されたか否かをチェックするいわゆるスプライシングベリファイを実行する。
【0028】
通信部27は、例えば無線LANなどによりホストコンピュータ30と通信可能な部位である。制御部23は、作業者の識別IDコードがバーコードリーダ24によって読み込まれたことを検知すると、その後、その識別IDコードの情報を通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する。制御部23は、部品切れ直前の装填側リール52oのバーコード52aがバーコードリーダ24によって読み込まれたことを検知すると、スプライシングベリファイを開始し、その装填側リール52oのバーコード52aの情報を、通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する。また、制御部23は、補給側リール52nのバーコード52aがバーコードリーダ24によって読み込まれたことを検知すると、その補給側リール52nのバーコード52aの情報を通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する。
【0029】
表示装置28は、表示機能と入力機能とを有するタッチディスプレイなどである。表示装置28は、制御部23に接続されており、制御部23からの指令に従って各種の表示を行うことが可能であると共に、入力情報を制御部23へ出力することが可能である。
【0030】
ホストコンピュータ30は、CPUやメモリ,制御回路を有しており、予め定められたプログラムに従って各種処理を実行するサーバである。ホストコンピュータ30は、制御部31と、記憶装置32と、通信部33と、を備えている。記憶装置32には、例えば、部品装着機10などを制御するための制御プログラムや、基板40を計画通りに生産するためのジョブデータ,管理データなどが格納されている。ホストコンピュータ30の制御部31は、記憶装置32から制御プログラムを読み込んで実行し、管理対象の部品装着機10及びスプライシングユニット20の制御や管理を行うことが可能である。
【0031】
上記のジョブデータは、例えば、部品装着機10により基板40に装着する部品の位置や順番及び基板の生産枚数などの生産計画などを定めたデータである。ホストコンピュータ30は、ジョブデータを部品装着機10に送信する。部品装着機10は、ホストコンピュータ30からのジョブデータに従って基板40に部品を装着する。また、部品装着機10は、装着されているテープフィーダ50から供給可能な部品の部品コードや供給可能な部品の最大数、供給した(使用した)部品の数などの部品情報を取得して、テープフィーダ50やリール52の識別コード(すなわち、フィーダIDコード50aやバーコード52a)と共にホストコンピュータ30へ送信する。ホストコンピュータ30は、部品装着機10からの部品情報を受信すると、フィーダIDコード50a等に関連付けてテープフィーダ50ごと或いはリール52ごとに記憶装置32に記憶(管理)させる。ホストコンピュータ30は、テープフィーダ50において部品切れが生じる部品切れ時刻などを演算可能である。例えば、テープフィーダ50の部品残数、生産する基板40の一枚当たりに使用する部品の数、基板40の生産速度、部品の減少率などに基づいて、上記の部品切れ時刻を演算する。
【0032】
また、管理データは、例えば、部品装着機10のスロット12aにテープフィーダ50又はリール52が配置されているか否かを示すデータなどである。ホストコンピュータ30は、部品装着機10に装着されたテープフィーダ50のフィーダID50aと、そのテープフィーダ50に装填されたリール52のバーコード52aと、及びリール52に巻回されたキャリアテープ51の部品の部品コード(例えば製造メーカ等が設定する部品の型番など)と、を関連付けて管理データとして記憶装置32に記憶することが可能である。
【0033】
記憶装置32に格納される管理データには、キャリアテープ51側のバーコード52aの情報や部品コードに関するデータが含まれる。ホストコンピュータ30の制御部31は、スプライシングユニット20の制御部23から通信部27を介して送信される情報(具体的には、装填側リール52oや補給側リール52nのバーコード52aなど)を通信部33で受信すると、その受信したバーコード52aに基づいて、その収容部品がスプライシング対象のキャリアテープ51のものと一致するか否かの照合を行う。
【0034】
そして、ホストコンピュータ30の制御部31は、装填側リール52oと補給側リール52nとで収容部品の照合が正常であると判定すると、その旨をスプライシングユニット20に通知する。スプライシングユニット20の制御部23は、その旨を受信すると、スプライシング装置22によるスプライシングの実行開始を許可する。一方、ホストコンピュータ30の制御部31は、上記収容部品の照合が正常でないと判定すると、照合エラーをスプライシングユニット20に通知する。スプライシングユニット20の制御部23は、ホストコンピュータ30から照合エラーの旨を受信すると、その旨を表示装置28に表示し、スプライシングの実行を中止する。このように、スプライシングユニット20の制御部23は、ホストコンピュータ30と連係した処理により、部品の種類が異なる等の誤ったキャリアテープ51がスプライシングされることを防止することが可能である。
【0035】
次に、スプライシングシステム1におけるスプライシングの開始から終了までの動作について説明する。
【0036】
ホストコンピュータ30の制御部31及びスプライシングユニット20の制御部23は、旧キャリアテープ51oと新キャリアテープ51nとのスプライシングの開始から終了までに生じた各動作処理に伴うログを取得することが可能である。このログ対象の動作処理には、スプライシングシステム1が実行する処理や作業者が行う作業が含まれる。また、このログとは、スプライシングの開始から終了までのスプライシング期間内に生じたスプライシングシステム1が実行した処理や作業者が行った作業の内容とその処理や作業が行われた時点(すなわち、時刻)とを紐付けしたものである。
【0037】
スプライシングシステム1が実行する処理は、例えば、ホストコンピュータ30から作業者への部品切れ直前の旧キャリアテープ51oに対するスプライシングの作業実行を要求する指示と、スプライシング装置22が旧キャリアテープ51oと新キャリアテープ51nとを接合するスプライシング自体と、を含む。また、作業者が行う作業は、例えば、バーコードリーダ24で作業者の識別IDコードを読み込む作業と、バーコードリーダ24で装填側リール52o及び補給側リール52nのバーコード52a(すなわち、新旧のキャリアテープ51o,51nの識別コード)を読み込む作業と、スプライシング装置22の筐体本体22aに設けられた挿入口22cに新旧のキャリアテープ51o,51nを挿入する挿入作業と、を含む。
【0038】
ホストコンピュータ30の制御部31は、開始ログ取得部31aと、ログ間時間算出部31bと、総時間算出部31cと、を有している。制御部31は、例えばテープフィーダ50において部品切れが生じる部品切れ時刻を演算した結果としてその部品切れ時刻の到達に所定時間まで近づくと、スプライシング装置22にスプライシングを実行させるべく、作業者にスプライシングのための作業の実行を要求する指示を行う(図7に示すステップS100)。開始ログ取得部31aは、制御部31により行われた上記の指示のログをスプライシングの開始ログとして取得する。尚、この取得した開始ログは、一時メモリに格納されてもよい。また、作業者への作業実行の指示は、作業者が携帯する携帯端末による音声や表示などを介して行われるものであってもよいし、スプライシングユニット20の表示装置28による表示を介して行われるものであってもよい。
【0039】
作業者は、ホストコンピュータ30側からスプライシングのための作業実行を要求する指示を受けると、スプライシングユニット20を対象となる部品装着機10へ必要に応じて位置移動させ、その位置で、その部品装着機10における装填側リール52oの部品切れ直前の旧キャリアテープ51oと補給側リール52nの新キャリアテープ51nとをスプライシングさせる作業を行う。
【0040】
まず、作業者は、スプライシングユニット20を部品装着機10に隣接配置した状態で、バーコードリーダ24を用いて自作業者の識別IDコードを読み込む作業を行う。尚、この作業者の識別IDコードの読み込みは、上記の如くスプライシングユニット20が該当の部品装着機10へ位置移動された後に行われるものであってよいが、その位置移動前に行われるものであってもよい。この作業者の識別IDコードの読み込み作業が行われると、バーコードリーダ24から制御部23へその識別IDコードの情報が送られる(ステップS101)。
【0041】
スプライシングユニット20の制御部23は、作業ログ取得部23aと、終了ログ取得部23bと、を有している。作業ログ取得部23aは、スプライシングユニット20で作業者が行った各種作業の作業ログを取得することが可能である。終了ログ取得部23bは、スプライシングユニット20が備えるスプライシング装置22によるスプライシングの終了ログを取得することが可能である。
【0042】
制御部23は、上記の如くバーコードリーダ24から送信される作業者の識別IDコードの情報を受信すると、作業ログ取得部23aにてバーコードリーダ24で作業者の識別IDコードの読み込み作業が行われたことを示す作業ログを取得する。そして、制御部23は、以後のスプライシング作業がその作業者によって行われることを認識する。
【0043】
作業者は、自作業者の識別IDコードを読み込む作業を完了すると、次に、バーコードリーダ24を用いて、スプライシング対象となる部品装着機10のテープフィーダ50に装着された装填側リール52oのバーコード52aを読み込む作業を行う。このバーコード52aの読み込み作業が行われると、バーコードリーダ24から制御部23へそのバーコード52aの情報が送られる(ステップS102)。制御部23は、バーコードリーダ24から送信される装填側リール52oすなわち旧キャリアテープ51oのバーコード52aの情報を受信すると、スプライシングベリファイを開始し、そのバーコード52aの情報を通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する。
【0044】
ホストコンピュータ30の制御部31は、通信部33にてスプライシングユニット20側からのバーコード52aの情報を受信すると、そのバーコード52aに対応する収容部品がスプライシング対象である部品切れ直前のキャリアテープ51のものと一致するか否かの照合を行い、その照合結果をスプライシングユニット20に送信する。スプライシングユニット20の制御部23は、ホストコンピュータ30からの照合結果に応じた処理(例えば、表示装置28での案内表示など)を行う。
【0045】
制御部23は、また、上記の如くバーコードリーダ24からの旧キャリアテープ51oのバーコード52aの情報を受信すると、作業ログ取得部23aにてバーコードリーダ24でスプライシング対象の旧キャリアテープ51oの識別コードの読み込み作業が行われたことを示す作業ログを取得する。
【0046】
作業者は、上記の如く旧キャリアテープ51oの識別コードを読み込む作業を完了すると、次に、バーコードリーダ24を用いて、旧キャリアテープ51oとスプライシングすべき新キャリアテープ51nが巻回されている補給側リール52nのバーコード52aを読み込む作業を行う。このバーコード52aの読み込み作業が行われると、バーコードリーダ24から制御部23へそのバーコード52aの情報が送られる(ステップS103)。制御部23は、バーコードリーダ24から送信される補給側リール52nすなわち新キャリアテープ51nのバーコード52aの情報を受信すると、そのバーコード52aの情報を通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する。
【0047】
ホストコンピュータ30の制御部31は、通信部33にてスプライシングユニット20側からのバーコード52aの情報を受信すると、そのバーコード52aに対応する収容部品がスプライシング対象として補給すべきキャリアテープ51のものと一致するか否かの照合を行い、その照合結果をスプライシングユニット20に送信する。スプライシングユニット20の制御部23は、ホストコンピュータ30からの照合結果に応じた処理(例えば、表示装置28での案内表示など)を行う。
【0048】
制御部23は、また、上記の如くバーコードリーダ24からの新キャリアテープ51nのバーコード52aの情報を受信すると、作業ログ取得部23aにてバーコードリーダ24でスプライシング対象の新キャリアテープ51nの識別コードの読み込み作業が行われたことを示す作業ログを取得する。
【0049】
作業者は、上記の如くバーコードリーダ24でスプライシング対象の旧キャリアテープ51oの識別コードの読み込み作業を完了した後、その旧キャリアテープ51oの終端部を装填側リール52oから引き出す。そして、作業者は、必要に応じてその旧キャリアテープ51oの切断などの作業を行ったうえで、その旧キャリアテープ51oの終端部をスプライシング装置22の筐体本体22aの一方の挿入口22cに挿入する作業を行う。
【0050】
制御部23は、第1挿入センサ25の出力信号に基づいて一方の挿入口22cに旧キャリアテープ51oが挿入されたことを検知すると(ステップS104)、スプライシング装置22の筐体本体22a内の一方のスプロケットを回転させることにより、一方の挿入口22cに挿入された旧キャリアテープ51oを筐体本体22a内の中央付近まで搬送させる。制御部23は、また、一方の挿入口22cへの旧キャリアテープ51oの挿入を検知すると、作業ログ取得部23aにて一方の挿入口22cへの旧キャリアテープ51oの挿入作業が行われたことを示す作業ログを取得する。
【0051】
また、作業者は、上記の如くバーコードリーダ24でスプライシング対象の新キャリアテープ51nの識別コードの読み込み作業を完了した後、その新キャリアテープ51nの始端部を補給側リール52nから引き出す。そして、作業者は、必要に応じてその新キャリアテープ51nの切断などの作業を行ったうえで、その新キャリアテープ51nの始端部をスプライシング装置22の筐体本体22aの他方の挿入口22cに挿入する作業を行う。
【0052】
制御部23は、第2挿入センサ26の出力信号に基づいて他方の挿入口22cに新キャリアテープ51nが挿入されたことを検知すると(ステップS105)、スプライシング装置22の筐体本体22a内の他方のスプロケットを回転させることにより、他方の挿入口22cに挿入された新キャリアテープ51nを筐体本体22a内の中央付近まで搬送させる。制御部23は、また、他方の挿入口22cへの新キャリアテープ51nの挿入を検知すると、作業ログ取得部23aにて他方の挿入口22cへの新キャリアテープ51nの挿入作業が行われたことを示す作業ログを取得する。
【0053】
スプライシング装置22は、筐体本体22a内の中央付近で上記の如く挿入口22cに挿入された新旧のキャリアテープ51o,51nの双方が位置決めされて互いに突き合わされると、それら新旧のキャリアテープ51o,51nの間にスプライシングテープ60a,60bを介在させてそれらのキャリアテープ51o,51nの表面にスプライシングテープ60a,60bを貼り付けるスプライシングを実行する。スプライシング装置22は、このスプライシングが完了すると(ステップS106)、上部カバー22bを自動的に開けて、そのスプライシングが完了したキャリアテープ51が作業者に視認可能かつ取り出し可能な状態にする。
【0054】
この状態において、作業者は、筐体本体22a内のスプライシングが完了したキャリアテープ51を目視して、そのスプライシングが成功したと判定すると、そのキャリアテープ51を補給側リール52nに巻き取る。一方、作業者は、そのスプライシングが失敗したと判定すると、スプライシングユニット20に設けられた又は表示装置28に表示されたキャンセルスイッチを押して、制御部23にスプライシングの失敗を知らせる。作業者は、上記の如くキャンセルスイッチを押した後、筐体本体22a内のスプライシングが完了したキャリアテープ51におけるスプライシングテープ60a,60bが貼り付けられた不要部分を切断して、再度、スプライシングのための作業を行う。
【0055】
制御部23は、また、スプライシング装置22によるスプライシングが完了すると、終了ログ取得部23bにてそのスプライシングが完了したことを示す作業ログを終了ログとして取得する。尚、制御部23は、スプライシング装置22によるスプライシングの完了後、キャンセルスイッチが押されたことを示す作業ログを取得するのが望ましい。また、制御部23は、再スプライシングでの各種作業ログ及び終了ログを取得する。
【0056】
制御部23は、上記の如く終了ログ取得部23bにてスプライシングの完了を示す終了ログを取得すると、その終了ログとその終了ログの取得までに作業ログ取得部23aにて取得した作業ログとを含む各ログ情報を、そのスプライシング作業を行った作業者の識別IDコードと関連付けて、通信部27を介してホストコンピュータ30に送信する(ステップS107)。
【0057】
ホストコンピュータ30の制御部31は、制御部23からのログ情報を受信すると、そのログを開始ログ取得部31aにて既に取得していた開始ログに組み入れて、それらの各ログを作業者の識別IDコードごとに記憶装置32に記憶させる(ステップS108)。かかる処理が行われると、記憶装置32には、識別IDコード別の作業者ごとに、スプライシングユニット20のスプライシングの開始から終了までのスプライシング期間に行われたログが記憶される。この記憶装置32へのログの記憶は、スプライシングの実行ごとに行われる。尚、この記憶装置32へのログの記憶は、スプライシング対象のキャリアテープ51の種類ごとに分けて行われることが望ましい。また、記憶装置32へのログの記憶は、キャンセルスイッチが押されたことを示す作業ログについても行われることが望ましい。
【0058】
制御部31は、一スプライシングごとに、ログ間時間算出部31bにて上記のスプライシング期間における互いに隣接するログ間の時間(間隔)を算出する(ステップS109)。このログ間時間の算出は、開始ログ、各作業ログ、及び終了ログに基づいて、すべてのログ間時間について行われる。これらのログ間時間には、図6に示す如く、例えば、ホストコンピュータ30から作業者へのスプライシングの作業実行を要求する指示が行われた開始ログから、バーコードリーダ24で作業者の識別IDコードが読み込まれた読み込み作業の作業ログまでの時間(例えば、2分30秒)が含まれる。また、バーコードリーダ24で新キャリアテープ51nのバーコード52aが読み込まれた読み込み作業の作業ログから、旧キャリアテープが挿入口22cに挿入された挿入作業の作業ログまでの時間(例えば、9秒)が含まれる。尚、スプライシングが完了した終了ログからキャンセルスイッチが押された作業ログまでの時間が含まれてもよく、また、そのキャンセルスイッチが押された作業ログから再スプライシングに伴うバーコードリーダ24を用いた作業者の識別IDコードが読み込まれた読み込み作業の作業ログまでの時間が含まれてもよい。
【0059】
制御部31は、また、一スプライシングごとに、総時間算出部31cにて上記のスプライシング期間における総時間、すなわち、開始ログから終了ログまでに要した総時間を算出する(ステップS110)。尚、この総時間の算出は、上記の如くログ間時間算出部31bにて算出したすべてのログ間時間を加算すればよい。また、スプライシングの失敗があった場合は、上記の総時間とは別の或いはその総時間に加える失敗応対時間として、終了ログからキャンセルスイッチが押圧された作業ログまでに要した時間や、そのキャンセルスイッチの押圧作業ログから次の識別IDコードの読み込み作業までに要した時間を算出するものとしてよい。
【0060】
制御部31は、ログ間時間算出部31bにて算出したすべてのログ間時間、及び、総時間算出部31cにて算出した開始ログから終了ログまでの総時間を、そのスプライシングのための作業を行った作業者の識別IDコードに関連付けて記憶装置32に記憶させる(ステップS111)。尚、制御部31は、上記の失敗応対時間を作業者の識別IDコードに関連付けて記憶装置32に記憶させることとしてもよい。かかる処理が行われると、記憶装置32には、スプライシング期間における各ログ間時間と総時間とが識別IDコード別の作業者に関連付けられて記憶される。この記憶装置32へのログ間時間及び総時間などの記憶は、スプライシングの実行ごとに行われる。尚、この記憶装置32へのログ間時間及び総時間などの記憶は、スプライシング対象のキャリアテープ51の種類ごとに分けて行われることが望ましい。
【0061】
このように、スプライシングシステム1においては、作業者ごとに各スプライシングでの各ログとログ間時間と総時間とをホストコンピュータ30の記憶装置32に記憶させることができるので、各スプライシングのための作業を行う作業者ごとの作業熟練度や作業上達度を客観的に把握させることができ、スプライシングの作業状況を管理することができる。
【0062】
ホストコンピュータ30の制御部31は、記憶装置32にログ間時間及び総時間を記憶させた後、例えば、作業者ごとのスプライシングのための作業を行ったときの総時間をその記憶装置32から読み出して、情報出力部34を用いて情報出力することが可能である。この情報出力部34による情報出力は、例えばシステム管理者などが認知可能に表示画面などに情報案内するものであってよい。
【0063】
上記の情報案内は、作業者間での総時間の差又は作業者ごとの総時間と全作業者の平均的な総時間との差が明示されるように行われることが可能である。また、上記の情報案内は、作業者ごとに、最新のスプライシングでの総時間と過去に行われたスプライシングでの総時間とが比較されるように行われることが可能である。システム管理者は、この情報案内により、各作業者のスプライシングのための作業に要する総時間を把握することができ、その作業の個人差や熟練度,過去からの上達度などを客観的に把握することが可能である。これにより、システム管理者は、生産効率の低下を抑制するために工場全体の人員配置を設定するうえで作業者別の総時間を考慮することが可能であり、基板生産の計画に対してスプライシング作業の作業適任者を把握することが可能である。
【0064】
また、ホストコンピュータ30の制御部31は、記憶装置32にログ間時間及び総時間を記憶させた後、例えば、作業者ごとのスプライシング期間における各ログ間時間を記憶装置32から読み出して、情報出力部34を用いて情報出力し、例えばシステム管理者などが認知可能に表示画面などに情報案内することが可能である。
【0065】
この情報案内は、各ログ間ごとに作業者間でのログ間時間の差又は作業者ごとのログ間時間と全作業者の平均的なログ間時間との差が明示されるように行われることが可能である。また、上記の情報案内は、作業者ごとに、最新のスプライシングでのログ間時間と過去に行われたスプライシングでのログ間時間とが比較されるように行われることが可能である。システム管理者は、この情報案内により、各作業者のスプライシングのための各作業に要するログ間時間を把握することができ、その作業の個人差や熟練度,過去からの上達度などを客観的に把握することが可能である。また、システム管理者は、作業者ごとのスプライシングでの作業改善点を把握することが容易になる。
【0066】
更に、スプライシングシステム1において、上記の失敗応対時間が記憶装置32に記憶された場合は、ホストコンピュータ30の制御部31は、作業者ごとのその失敗応対時間を記憶装置32から読み出して、情報出力部34を用いて情報出力し、例えばシステム管理者などが認知可能に表示画面などに情報案内することが可能である。
【0067】
この情報案内は、作業者間での失敗応対時間の差又は作業者ごとの失敗応対時間と全作業者の平均的な失敗応対時間との差が明示されるように行われるものとしてよい。また、この情報案内は、作業者ごとに、最新のスプライシングでの失敗応対時間と過去に行われたスプライシングでの失敗応対時間とが比較されるように行われるものとしてもよい。更に、この情報案内は、その失敗応対時間を上記の総時間に加えることで失敗応対時を含む新たな総時間が示されるものとしてもよい。この場合、システム管理者は、この情報案内により、各作業者のスプライシング失敗時の失敗応対時間を把握することができ、その失敗応対作業の個人差や熟練度,過去からの上達度などを客観的に把握することが可能である。これにより、システム管理者は、生産効率の低下を抑制するために工場全体の人員配置を設定するうえで作業者別の総時間を考慮することが可能であり、基板生産の計画に対してスプライシング作業の作業適任者を把握することが可能である。
【0068】
2.実施形態の構成による効果
このように、本実施形態のスプライシングシステム1は、作業者による作業に従って旧キャリアテープ51oと新キャリアテープ51nとのスプライシングを実行するスプライシング装置22を備える。スプライシングシステム1は、スプライシングの開始ログを取得する開始ログ取得部31aと、スプライシングの終了ログを取得する終了ログ取得部23bと、開始ログ取得部31aに取得された開始ログ及び終了ログ取得部23bに取得された終了ログを、作業者ごとに記憶する記憶装置32と、記憶装置32に記憶された開始ログと終了ログとに基づいてスプライシングに要した総時間を算出する総時間算出部31cと、総時間算出部31cにより算出された総時間を作業者の識別IDコードに関連付けて記憶装置32に記憶させる制御部31と、を備える。
【0069】
この構成によれば、記憶装置32に、作業者ごとに各スプライシングでの開始ログ及び終了ログを記憶させると共に、作業者ごとに各スプライシングに要した総時間を記憶させることができる。このため、各スプライシングのための作業を行う作業者ごとの作業の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができる。
【0070】
また、スプライシングシステム1において、開始ログは、ホストコンピュータ30から作業者への作業の実行を要求する指示が行われた時刻である。この構成によれば、ホストコンピュータ30から作業者へのスプライシング作業の実行要求の指示でログの記憶が開始されるので、その作業実行要求指示から作業者が実際に作業するまでの時間を上記の総時間に含めて記憶装置32に記憶させることができる。このため、作業者ごとの作業実行要求指示から実作業までの時間を含む総時間で作業の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができる。
【0071】
また、スプライシングシステム1において、終了ログは、スプライシング装置22においてスプライシングが完了した時刻である。この構成によれば、スプライシング装置22におけるスプライシングの完了でログの記憶が終了されるので、スプライシング完了までの総時間で作業の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができる。
【0072】
また、スプライシングシステム1において、スプライシングの開始から終了までのスプライシング期間内に作業者が行う作業は、バーコードリーダ24による作業者の識別IDコードの読み込み作業と、バーコードリーダ24による旧キャリアテープ51oのバーコード52aの読み込み作業と、バーコードリーダ24による新キャリアテープ51nのバーコード52aの読み込み作業と、スプライシング装置22の筐体本体22aに設けられた挿入口22cへの旧キャリアテープ51oの挿入作業と、筐体本体22aに設けられた挿入口22cへの新キャリアテープ51nの挿入作業と、を含む。スプライシングシステム1は、上記スプライシング期間に作業者が行う各作業それぞれの作業ログを取得する作業ログ取得部23aを備える。記憶装置32は、作業ログ取得部23aに取得されたそれぞれの作業ログを、作業者ごとに記憶する。スプライシングシステム1は、記憶装置32に記憶された開始ログと作業ログと終了ログとを含むログに基づいて、スプライシング期間における互いに隣接する各ログ間の時間を算出するログ間時間算出部31bを備える。制御部31は、ログ間時間算出部31bにより算出されたログ間時間を作業者の識別IDコードに関連付けて記憶装置32に記憶させる。
【0073】
この構成によれば、開始ログと作業ログと終了ログとを含む各ログ間のログ間時間を作業者の識別IDコードに関連付けて記憶装置32に記憶させることができるので、各スプライシングのための作業を行う作業者ごとの各作業の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができる。
【0074】
3.実施形態の変形態様
ところで、上記の実施形態においては、スプライシングの開始ログを、ホストコンピュータ30から作業者への作業実行を要求する指示が行われた時刻としている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スプライシングの開始ログを、バーコードリーダ24を用いて作業者の識別IDコードの読み込みが行われた時刻としてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態においては、スプライシングの開始から終了までの作業の順序パターンが、(1)ホストコンピュータ30から作業者への作業実行要求指示、(2)作業者の識別IDコードの読み込み作業、(3)旧キャリアテープ51oのバーコード52aの読み込み作業、(4)新キャリアテープ51nのバーコード52aの読み込み作業、(5)(6)挿入口22cへの新旧のキャリアテープ51o,51nの挿入、及び(7)スプライシングの完了の順に設定されるものとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図8に示す如く、その順序パターンが、キャリアテープ51のバーコード52aの読み込み作業が行われた直後に挿入口22cへのそのキャリアテープ51の挿入が行われるものであってもよい。すなわち、その順序パターンが、(1)作業者への作業実行要求指示、(2)作業者識別IDコードの読み込み作業、(3)旧キャリアテープ51oのバーコード読み込み作業、(4)挿入口22cへのその旧キャリアテープ51oの挿入、(5)新キャリアテープ51nのバーコード読み込み作業、(6)挿入口22cへのその新キャリアテープ51nの挿入、及び(7)スプライシング完了の順に設定されるものとしてもよい。この変形形態においては、スプライシングシステム1が図9に示すルーチンに従って制御フローの各ステップS200−211を実行する。
【0076】
また、スプライシングの開始から終了までの手順として、上記の如く順序の異なる複数の順序パターンを用意してスプライシングユニット20に記憶させておき、スプライシングのための作業の開始前に、その作業を行おうとしている順序パターンを作業者に選択させることとしてもよい。この選択は、例えば表示装置28のタッチディスプレイなどに選択可能に表示された複数の順序パターンのうちから選ばせるものであってよい。この変形形態においては、記憶装置32への各ログ、ログ間時間、及び総時間の記憶は、作業者ごとかつ順序パターンごとに行われることが望ましい。この構成によれば、順序パターン別で各作業者の熟練度や過去からの上達度を客観的に把握させることができると共に、順序パターン別で全作業者の作業し易さなどの傾向や評価を把握させることができる。
【0077】
また、上記の実施形態においては、スプライシングの開始から終了までのログや上記のログ間時間,上記の総時間を、スプライシングユニット20とは別のホストコンピュータ30の記憶装置32に記憶させることとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。それらのログやログ間時間,総時間を、スプライシングユニット20内の記憶装置に記憶させることとしてもよい。この変形形態において、開始ログは、スプライシングユニット20の制御部23がホストコンピュータ30の制御部31からの作業者の作業実行要求指示を受信した時刻に設定されてよい。
【0078】
また、上記の実施形態においては、実際に基板生産を行う部品装着機10を備えるスプライシングシステム1が、実際の作業を伴うスプライシングでのログを管理するものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。スプライシングシステムが、作業者の作業向上を目的にして設置されたトレーニングマシンであるものとしてもよい。この変形形態において、スプライシングシステムは、スプライシングユニット20を模したトレーニングマシンのみにより構成されるものであってもよく、また、このトレーニングマシンは移動可能なものであってもよい。更に、スプライシングシステムは、スプライシングユニット20を模したトレーニングマシンとホストコンピュータとが通信接続されて構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1:スプライシングシステム、20:スプライシングユニット、22:スプライシング装置、23:制御部、23a:作業ログ取得部、23b:終了ログ取得部、24:バーコードリーダ、30:ホストコンピュータ、31:制御部、31a:開始ログ取得部、31b:ログ間時間算出部、31c:総時間算出部、32:記憶装置、34:情報出力部、51:キャリアテープ、51o:旧キャリアテープ、51n:新キャリアテープ、52:リール、52a:バーコード、52o:装填側リール、52n:補給側リール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9