(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、出願人が開示している積算電力計には、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、出願人が開示している積算電力計では、測定対象の導電路について測定した電流値および電圧値に基づいて瞬時電力量を逐次演算し、その演算結果を所定時間に亘って積算することにより、導電路を介して所定時間内に供給された積算電力量を求めて測定誤差量と共に表示または印刷する構成が採用されている。
【0007】
一方、この種のシステム(装置)の測定対象である導電路には、一定期間内に使用された電力量や負荷の動作状態の把握を目的として、積算電力量を継続的に計量する電力量計が設置されている。しかしながら、電力量計をバイパスする導電路を並設したり、電力量計を改造したりして計量値を過小表示させる盗電行為や、電力量計の故障等に起因して正確な計量値が得られない事故などが発生している現状がある。このため、バイパス路の並設や、電力量計の改造・故障・劣化など(以下、これらを総称して「電力量計の異常」ともいう)の有無を確認する必要が生じることがある。
【0008】
この場合、導電路に設置されている電力量計が誘導形電力量計の場合には、外部から目視可能な計量用円板が配設されており、この計量用円板の回転状態(規定量の電力量が測定される周期を報知する動作:周期報知動作)を見ることで、導電路を介しての電力の供給状態を把握することが可能となっている。また、誘導形電力量計には、「○○○rev/□□kWh」などの計器定数(□□kWhを計量する間に計量用円板が○○○回転するとの情報)が記されており、この計器定数に基づいて計量用円板の1回転(1回の周期報知動作)当りに計量される計量値を算出することが可能となっている。
【0009】
さらに、導電路に設置されている電力量計が電子式電力量計の場合には、積算電力量が規定量に達する都度、点滅(瞬間的に発光)させられる発光部(計量パルス報知部)が設けられており、この計量パルス報知部の点滅状態(周期報知動作)を見ることで、導電路を介しての電力の供給状態を把握することが可能となっている。また、電子式電力量計には、「○○○pulse/□□kWh」などの計器定数(□□kWhを計量する間に計量パルス報知部が○○○回点滅するとの情報)が記されており、この計器定数に基づいて計量パルス報知部の1点滅動作(1回の周期報知動作)当りに計量される計量値を算出することが可能となっている。
【0010】
したがって、1回の周期報知動作当りに電力量計によって計量される計量値を計器定数に基づいて予め算出しておき、上記の積算電力計を用いて、電力量計の1回の周期報知動作当りにおける積算電力量を測定し、測定結果と算出した値とを比較することで電力量計の異常の有無を確認することが可能となる。
【0011】
しかしながら、例えば、電源設備(導電路や電力量計)の所有者と、バイパス路の並設や電力量計の異常の有無を確認する作業者とが異なるときには、電源設備の実態とは異なる確認結果が作業者から所有者に提供される可能性がある。
【0012】
具体的には、例えば、出願人が開示している積算電力計を用いて前述したような作業を実施して確認結果としての積算電力量および測定誤差量の印刷物を電源設備の所有者に対して提供する際に、実際にはバイパス路の並設や電力量計の異常が生じていたとしても、バイパス路の並設や電力量計の異常が生じていない正常状態において測定されるべき積算電力量が測定された時点で測定処理を停止させることにより、正常状態において測定されるべき積算電力量で、測定誤差量が「0」の印刷物が生成されてしまう。このため、提供された印刷物を見た所有者が電源設備の実態を正しく把握することができなくなるため、この点を改善するのが好ましい。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定される積算電力量が意図的に実態とは異なる値に調整されるのを回避し得る測定システムおよび測定システム用プログラムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の測定システムは、電力量計が設置された導電路に印加されている電圧の電圧値および当該導電路を流れている電流の電流値を測定する測定部と、前記電力量計による周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出する検出部と、前記測定部によって測定された前記電圧値および前記電流値に基づいて前記導電路を介して負荷に供給されている電力量を演算する第1の演算部と、前記第1の演算部によって演算された前記電力量に基づいて積算電力量を演算する第2の演算部と、前記第2の演算部に前記積算電力量を演算させる処理部とを備え、
前記検出部は、前記報知される周期に同期させたタイミング特定用操作が可能な操作部を備え、当該操作部に対する前記タイミング特定用操作に基づいて前記報知される周期に対応するタイミングを検出可能に構成され、前記処理部は、前記電力量計がN回(Nは、自然数)の前記周期報知動作を行う間の前記積算電力量を前記検出部によって検出される前記タイミングに応じて前記第2の演算部に演算させると共に、
前記第2の演算部による前記積算電力量の演算時における前記電力量の積算時間が予め規定された時間以上になるとの条件を満たすように前記N回の回数を規定する。
【0015】
なお、「周期報知動作」とは、前述したように、規定量の電力量が測定される周期を報知する動作であり、誘導形電力量計の場合には、計量用円板の回転動作がこれに該当し、1周期内にパルス報知部が1回点滅する(点灯状態および消灯状態に移行する)電子式電力量計の場合には、点滅によって周期を報知する動作がこれに該当し、1周期に亘って点灯状態/消灯状態が維持される(1周期に亘って点灯状態が維持された後に1周期に亘って消灯状態が維持される)電子式電力量計の場合には、点灯によって周期を報知する動作、および消灯によって周期を報知する動作がこれに該当する。
【0018】
請求項
2記載の測定システムは、請求項
1記載の測定システムにおいて、前記測定部を少なくとも有する第1の装置と、前記検出部および前記処理部を少なくとも有すると共に前記第1の装置とは別体に構成されて当該第1の装置と通信可能に構成された第2の装置とを備えて構成されている。
【0019】
請求項
3記載の測定システム用プログラムは、電力量計が設置された導電路に印加されている電圧の電圧値および当該導電路を流れている電流の電流値を測定する測定部と、前記電力量計による周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出する検出部と、前記測定部によって測定された前記電圧値および前記電流値に基づいて前記導電路を介して負荷に供給されている電力量を演算する第1の演算部と、前記第1の演算部によって演算された前記電力量に基づいて積算電力量を演算する第2の演算部と、前記第2の演算部に前記積算電力量を演算させる処理部とを備
え、前記検出部が、前記報知される周期に同期させたタイミング特定用操作が可能な操作部を備え、当該操作部に対する前記タイミング特定用操作に基づいて前記報知される周期に対応するタイミングを検出可能に構成された測定システムの当該処理部に対して、前記電力量計がN回(Nは、自然数)の前記周期報知動作を行う間の前記積算電力量を前記検出部によって検出される前記タイミングに応じて前記第2の演算部に演算させると共に、
前記第2の演算部による前記積算電力量の演算時における前記電力量の積算時間が予め規定された時間以上になるとの条件を満たすように前記N回の回数を規定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の測定システムでは、処理部が、電力量計がN回の周期報知動作を行う間の積算電力量を第2の演算部に演算させると共に、
第2の演算部による積算電力量の演算時における電力量の積算時間が予め規定された時間以上になるとの条件を満たすようにN回の回数を規定する。また、請求項
3記載の測定システム用プログラムでは、上記の処理を測定システムの処理部に実行させる。したがって、請求項1記載の測定システム、および請求項
3記載の測定システム用プログラムによれば、電力量計が何回の周期報知動作を行う間に亘って電力量が積算されるかを作業者に認識させることなく、積算電力量が測定(演算)されるため、測定される積算電力量が意図的に実態とは異なる値に調整されるのを確実に回避して、実態に即した高精度な積算電力量を提供することができる。
【0021】
この場合、測定システム
の検出部
は、周期報知動作によって報知される周期に同期させたタイミング特定用操作が可能な操作部を備え、操作部に対するタイミング特定用操作に基づき、周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出可能に構成されている。したがって、請求項
1記載の測定システム、および
請求項3記載の測定システム用プログラムによれば、比較的簡易な構成、または簡易な処理によって電力量計による周期報知動作の周期に対応する周期を検出して積算電力量を測定(演算)することができるため、製造コストの高騰を招くことなく、高精度な積算電力量を取得し得る測定システムを提供することができる。
【0023】
請求項
2記載の測定システムでは、測定部を少なくとも有する第1の装置と、検出部および処理部を少なくとも有すると共に第1の装置とは別体に構成されて第1の装置と通信可能に構成された第2の装置とを備えて構成されている。したがって、請求項
2記載の測定システム、およびそのような測定システムの処理部に対して第2の演算部を制御する処理を実行させる測定システム用プログラムによれば、電力量の測定に適した位置に第1の装置(測定部)を配設した状態で、電力量計を確実に視認、または撮像し得る位置において第2の装置から第1の装置を遠隔操作で動作させることで積算電力量を測定(演算)させることができるため、高精度な積算電力量を確実かつ容易に取得させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る測定システムおよび測定システム用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、電力計1、携帯情報端末2およびデータサーバ3を備え、導電路を介して負荷に供給されている電力量についての測定処理、および測定結果(導電路に設置されている電力量計の計量値が正確であるか否かを特定可能な情報)の提供を行うことができるように構成されている。なお、以下の説明においては、一例として、導線La,Lbの単相二線式の電源ラインL(単相二線式の導電路)に電力量計Mが設置され、この電源ラインLを介して負荷に電力が供給されているものとする。
【0027】
また、この種の電源ラインL(導電路)に設置される電力量計Mとしては、計量用円板の回転動作(「周期報知動作」の一例)によって「規定量の電力量が測定される周期」を報知する構成の誘導形電力量計と、計量パルス報知部の点滅動作(「周期報知動作」の他の一例)によって「規定量の電力量が測定される周期」を報知する構成の電子式誘導形電力量計とが存在する。さらに、電子式電力量計のなかには、1周期内にパルス報知部が1回点滅する(点灯状態および消灯状態に移行する)タイプのものと、1周期に亘って点灯状態/消灯状態が維持される(1周期に亘って点灯状態が維持された後に1周期に亘って消灯状態が維持される)タイプのものが存在する。
【0028】
一方、電力計1は、「第1の装置」に相当する測定装置の一例であって、携帯情報端末2と相俟って「測定システム」を構成する。この電力計1は、電圧測定部11V、電流測定部11A、通信部12、操作部13、表示部14、処理部15および記憶部16を備え、電力量(瞬時電力量)や、その積算値(積算電力量)などの測定、および測定結果の表示を実行することができるように構成されている。
【0029】
電圧測定部11Vは、電流測定部11Aと相俟って「測定部」を構成し、一例として、測定ケーブルを介して電源ラインL(導線La,Lb)に接続されて導線La,Lb間に印加されている電圧値を測定し、測定結果を示す電圧値データDvを出力する。なお、電圧測定部11Vのような「接触式電圧測定部」に代えて、電源ラインL(導線La,Lb)に対して非接触(金属非接触)で電圧を測定する「非接触式電圧測定部」を備えて構成することもできる。電流測定部11Aは、導線Laをクランプした状態のクランプセンサを用いて導線Laを流れている電流の電流値を測定し、測定結果を示す電流値データDaを出力する。
【0030】
通信部12は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部12は、処理部15の制御に従い、携帯情報端末2などの各種無線通信機器との間で各種のデータを送受信する。
【0031】
操作部13は、電力計1の動作条件の入力操作が可能な操作スイッチや、測定(積算電力量の演算)の開始/停止を指示する操作スイッチ、および測定値(積算電力量等)をホールドする操作スイッチなどを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部14は、処理部15の制御に従って動作条件設定画面や測定結果表示画面等の各種の表示画面(図示せず)を表示する。
【0032】
処理部15は、後述するように記憶部16に記憶されている測定システム用プログラムDs1に基づき、電力計1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、後述するように携帯情報端末2から送信される制御コマンドDcに従って電圧測定部11Vおよび電流測定部11Aを制御して測定処理を実行させると共に、電圧測定部11Vから出力される電圧値データDv、および電流測定部11Aから出力される電流値データDaを記憶部16に記憶させる。
【0033】
また、処理部15は、「第1の演算部」として機能し、上記の電圧値データDvおよび電流値データDaに基づき、電源ラインLを介して負荷に供給されている電力量(瞬時値)を演算して電力量データDwを生成し、生成した電力量データDwを記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、電力量データDwの値を表示部14に表示させると共に、通信部12から携帯情報端末2に電力量データDwを送信させる。
【0034】
また、処理部15は、「第2の演算部」として機能して、電力量データDwに基づき、指定時間内の積算電力量を演算して積算電力量データDtを生成し、生成した積算電力量データDtを記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、積算電力量データDtの値を表示部14に表示させると共に、通信部12から携帯情報端末2に積算電力量データDtを送信させる。
【0035】
記憶部16は、処理部15が実行する上記の各処理の手順が記録された測定システム用プログラムDs1や、上記の電圧値データDv、電流値データDa、電力量データDwおよび積算電力量データDtなどを記憶する。
【0036】
一方、携帯情報端末2は、「第1の装置とは別体に構成されて第1の装置と通信可能に構成された第2の装置」に相当し、前述したように、電力計1と相俟って「測定システム」を構成する。この携帯情報端末2は、一例として、測定システム用プログラムDs2をインストールした既存のタブレット端末、スマートフォンおよびパーソナルコンピュータなどで構成されている。
【0037】
なお、広義には、「タブレット端末」は「タッチパネル等のポインティングデバイスと表示装置とを備えたPDA(携帯情報端末)」を意味し、「スマートフォン」は「PDA(携帯情報端末)の機能が備わった携帯電話」を意味するが、本明細書では、この広義の「タブレット端末」および広義の「スマートフォン」のうちの「各種プログラムのインストールによって任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境等をカスタマイズしたりすることができるもの」を「タブレット端末」や「スマートフォン」という。
【0038】
この場合、本例では、
図1に示すように、カメラ21、通信部22a,22b、操作部23、表示部24、処理部25および記憶部26を備えたスマートフォンで携帯情報端末2が構成されているものとする。なお、実際の携帯情報端末2は、上記の各構成要素21〜27の他に、「スマートフォン」としての機能を実現するための各種の構成要素を備えているが、本願発明についての理解を容易とするために、それらの構成要素についての図示および説明を省略する。
【0039】
カメラ21は
、処理部25の制御に従って電力量計Mなどを対象とする撮像処理を実行して撮像データDpを出力する。通信部22aは、前述した電力計1の通信部12と同様にしてブルートゥース等の近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な通信アダプタで構成されている。この通信部22aは、後述するように、処理部25の制御に従い、電力計1などの各種無線通信機器との間で各種のデータを送受信する。通信部22bは、一例として、携帯電話通信網やインターネット通信網で構成されるネットワークNに接続可能な通信アダプタで構成されて、ネットワークNを介してデータサーバ3などに接続して各種のデータを送受信する。
【0040】
操作部23は、「検出部」における「操作部」の一例であって、表示部24の前面側に配設されたタッチパネルや、携帯情報端末2を「スマートフォン」としての機能させるための各種の操作スイッチを備え、操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、一例として液晶表示パネルを備え、処理部25の制御に従って各種の表示画面を表示する。
【0041】
処理部25は、携帯情報端末2を総括的に制御する。具体的には、処理部25は、携帯情報端末2をスマートフォンとして機能させるための基本プログラムに従って各構成要素21〜24などを制御する。また、処理部25は、「処理部」として機能して、記憶部26に記憶させられている測定システム用プログラムDs2に基づき、
図2に示す報告書データ生成処理30(電力計1の動作を制御する処理)を実行して、電力計1に積算電力量の測定(演算)処理などを実行させる。
【0042】
さらに、処理部25は、操作部23と相俟って「検出部」を構成し、上記の電力量計Mが「誘導形電力量計」のときには、操作部23からの操作信号に基づき、「電力量計による周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミング」として「計量用円板の1回転に対応するタイミング」を検出すると共に、上記の電力量計Mが「電子式電力量計」のときには、操作部23からの操作信号に基づき、「電力量計による周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミング」として「計量パルス報知部による1回の周期報知動作に対応するタイミング」を検出する。
【0043】
また、処理部25は
、上記の電力量計Mが「誘導形電力量計」のときには、カメラ21から出力される撮像データDpを解析し
、「計量用円板の1回転に対応するタイミング」を検出すると共に、上記の電力量計Mが「電子式電力量計」のときには、カメラ21から出力される撮像データDpを解析し
、「計量パルス報知部による1回の周期報知動作に対応するタイミング」を検出する。
【0044】
さらに、処理部25は、電力計1から送信される積算電力量データDt等に基づいて報告書データDrを生成し、生成した報告書データDrを記憶部26に記憶させると共に、使用者からの指示に従って通信部22bおよびネットワークNを介してデータサーバ3に送信する。
【0045】
記憶部26は、上記した基本プログラムや測定システム用プログラムDs2を記憶すると共に、電力計1から送信される電力量データDwおよび積算電力量データDtや、撮像データDpおよび報告書データDrなどを記憶する。この場合、本例の測定システム100では、処理部25が実行する上記の各処理の手順が記録された測定システム用プログラムDs2が「測定システム用プログラム」に相当する。なお、測定システム用プログラムDs2やその他の各種データについては、そのすべて、または一部を、携帯情報端末2の内部メモリで構成された記憶部26に代えて、携帯情報端末2に装着された各種のリムーバブルメモリに記憶させることもできる。
【0046】
データサーバ3は、一例として、電力計1や携帯情報端末2の使用者(所有者)が報告書データDr等の蓄積を目的として運用しているサーバであって、ネットワークNを介して携帯情報端末2などの各種端末が接続することができるように構築されている。
【0047】
次に、測定システム100の使用方法について、添付図面を参照して説明する。
【0048】
この測定システム100では、電力計1および携帯情報端末2を組み合わせて(両者を使用して)各種の測定処理を実行させる使用形態だけでなく、電力計1を単独で使用して各種の測定処理を実行させる使用形態を選択することが可能に構成されているが、「測定システム」の構成に関する理解を容易とするために、電力計1を単独で使用する使用形態についての説明を省略し、電力計1および携帯情報端末2を組み合わせて使用する形態について説明する。
【0049】
なお、携帯情報端末2への測定システム用プログラムDs2のインストール、および電力計1の通信部12と携帯情報端末2の通信部22aとの間におけるブルートゥースのペアリングなどについては既に完了しているものとする。
【0050】
この測定システム100では、後述するように、「積算電力量」の測定に際して、電源ラインLに設置されている電力量計Mが「N回(Nは、
「積算時間が予め規定された時間以上になる」との条件を満たすように規定(変更)される任意の自然数)の周期報知動作」を行う間の積算電力量を測定する構成が採用されている。また、本例の測定システム100では、電力量計Mによる周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングについて、携帯情報端末2の操作部23に対するタッチ操作(「タイミング特定用操作」の一例)によって検出させる使用方法と、カメラ21によって電力量計Mを撮像した撮像データDpの画像解析によって検出させる使用方法とのいずれかを選択することができるように構成されている。
【0051】
このような構成において、例えば、誘導形電力量計による周期報知動作に対応するタイミングを操作部23に対するタッチ操作によって検出させるときには、電力量計M(回転している計量用円板)を見ながら、計量用円板のマーク付与部(例えば、赤色の着色が施された部位)が電力量計Mの真正面に位置したときに、操作部23(タッチパネル)に対するタッチ操作を行うこととなる。この際には、マーク付与部が電力量計Mの真正面に位置した瞬間と操作部23へのタッチ操作が行なわれる瞬間との間に僅かなずれが生じることがあり、そのずれ量が、操作の都度僅かに変化する。
【0052】
これに対して、電力量計Mを撮像した撮像データDpを対象とする画像解析によって周期報知動作に対応するタイミングを検出させる場合には、タッチ操作によって検出させる使用方法において生じ得る上記のずれ量の変化は殆ど生じない。しかしながら、タッチ操作による検出、および画像解析による検出のいずれにおいても、携帯情報端末2において計量用円板のマーク付与部が正面に位置したと検出されてから、電力計1による積算電力量の測定が開始/終了されるまでには、携帯情報端末2および電力計1の間における制御コマンドDcの送受信に起因するタイムラグが生じ、このタイムラグは、携帯情報端末2(通信部22a)および電力計1(通信部12)の間の通信環境に応じて都度変化するおそれがある。
【0053】
一方で、誘導形の電力量計Mでは、電源ラインLを介して負荷に供給されている単位時間当りの電力量が多いときに計量用円板が高速回転する。このため、電力供給量が多いときには、1回の周期報知動作に要する時間(計量用円板の1回転に要する時間)が非常に短くなる。したがって、電力供給量が多いときには、「1回の周期報知動作に要する時間」に占める「制御コマンドDcの送受信時におけるタイムラグの変化分」が大きくなる結果、1回の周期報知動作に当りにおける積算電力量を正確に測定するのが困難となるおそれがある。なお、詳細な説明を省略するが、電力量計Mが電子式電力量計の場合においても、同様の理由から、1回の周期報知動作に当りにおける積算電力量を正確に測定するのが困難となるおそれがある。
【0054】
そこで、本例の測定システム100では、上記のような通信環境等に応じて変化する可能性がある処理時間の変化の影響を十分に軽減可能な十分な時間に亘って電力量の積算処理を実行して高精度な積算電力量データDtを生成するために、電源ラインLを介して負荷に供給されている供給電力量に応じて、上記の「N回」の回数を変更する構成が採用されている。
【0055】
具体的には、まず、電力計1を電源ラインLに設置する。この際には、
図1に示すように、測定ケーブルを介して電源ラインL(導線La,Lb)と電圧測定部11Vとを接続すると共に、電流測定部11Aに接続されているクランプセンサによって導線Laをクランプする。なお、電源ラインLにおける電力量計Mの近傍において上記のように測定ケーブルの接続やクランプセンサによるクランプを行うことができないときには、通信部12,22aの通信可能範囲内において電力量計Mからやや離れた位置に電力計1を設置してもよい。また、電力量計Mをバイパスする導電路が並設されている可能性があるときには、そのような導電路の上流側の電源ラインL、または、そのような導電路が本来の電源ラインLに合流させられた部位に電力計1を設置すればよい。
【0056】
次いで、電力量計Mを視認できる位置において携帯情報端末2の操作部23を操作して測定システム用プログラムDs2を起動させる。これに応じて、処理部25は、
図2に示す報告書データ生成処理30を開始する。この報告書データ生成処理30では、処理部25は、まず、図示しない測定情報の入力画面を表示部24に表示させ、「測定日時」、「測定場所」および「作業担当者名(または、担当者コード)」や、電源ラインLに設置されている電力量計Mに関する諸元情報(計器定数等)を作業者に入力させて取得する(ステップ31)。この際には、電力量計Mのメインパネルを参照しつつ操作部23を操作することにより、電力量計Mが設置されている電源ラインLの種類を特定させる情報(「単相二線」、「100V」および「50Hz」などの情報)と、電力量計Mの「計器定数」とを入力する。
【0057】
この場合、設置されている電力量計Mが誘導形電力量計(機械式電力量計)のときには、例えば「○○○rev/□□kWh」との「計器定数(□□kWhの積算電力量が計量される間に計量用円板が○○○回転することを示した定数)」がメインパネルに記されている。また、設置されている電力量計Mが電子式電力量計のときには、例えば「○○○pulse/□□kWh」との「計器定数(□□kWhの積算電力量が計量される間に計量パルス報知部(LED等)が○○○回点滅動作することを示した定数)」がメインパネルに記されている。したがって、電力量計Mのメインパネルを参照しつつ操作部23を操作して測定対象の電力量計Mの「計器定数」を入力する。
【0058】
次いで、処理部25は、通信部22aから電力計1に制御コマンドDcを送信することにより、電力量データDwの生成および送信を電力計1に実行させる(瞬時電力量データの取得:ステップ32)。この際に、電力計1では、携帯情報端末2からの制御コマンドDcが通信部12によって受信されたときに、処理部15が、測定システム用プログラムDs1に従い、電圧測定部11Vおよび電流測定部11Aを制御して測定処理を実行させる。これに応じて、電圧測定部11Vが電源ラインLに印加されている電圧の電圧値を測定して電圧値データDvを出力し、電流測定部11Aが電源ラインLを流れている電流の電流値を測定して電流値データDaを出力する。
【0059】
また、処理部15は、「第1の演算部」として機能して、電圧測定部11Vから出力された電圧値データDv、および電流測定部11Aから出力された電流値データDaに基づき、電源ラインLを介して負荷に供給されている電力量(瞬時電力量)を演算し、演算結果を表示部14に表示させると共に、電力量データDwを生成して記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、生成した電力量データDwを通信部12から携帯情報端末2に送信させる。なお、本例では、後述の報告書データ生成処理30が終了するまで、電力計1による電力量データDwの生成が繰り返し実行されるものとする。
【0060】
一方、携帯情報端末2では、処理部25が、電力計1から送信されて通信部22aによって受信された電力量データDwを記憶部26に記憶させると共に、積算電力量の測定処理に際して正確な積算電力量データDtを得るのに必要な測定サイクル数(上記の「N回」の回数)を特定する(ステップ33)。
【0061】
具体的には、処理部25は、まず、ステップ31において取得した電力量計Mの「計器定数」と、ステップ32において取得した電力量データDw(瞬時電力量)とに基づき、電力量計Mによる1回の周期報知動作に要する時間を演算する。この際には、電源ラインLを介しての電力供給量が多いときほど短い時間が演算され、電源ラインLを介しての電力供給量が少ないときほど長い時間が演算される。
【0062】
次いで、処理部25は、一例として、「積算時間≧10秒」との条件(「
第2の演算部による積算電力量の演算時における電力量の積算時間が予め規定された時間以上になるとの条件」の一例であり、前述したタイムラグの変化の影響が十分に小さくなる時間の一例)を満たす測定サイクル数を演算する。
【0063】
この際に、一例として、1回の周期報知動作に要する時間が「1秒」のときには、「積算時間≧10秒」との条件を満たす測定サイクル数のうちの最小値である「N=10回」との回数(サイクル数)が演算される。また、1回の周期報知動作に要する時間が「5秒」のときには、「積算時間≧10秒」との条件を満たす測定サイクル数のうちの最小値である「N=2回」との回数(サイクル数)が演算される。さらに、1回の周期報知動作に要する時間が「10秒」のときには、「積算時間≧10秒」との条件を満たす測定サイクル数のうちの最小値である「N=1回」との回数(サイクル数)が演算される。また、1回の周期報知動作に要する時間が「20秒」のときにも、「積算時間≧10秒」との条件を満たす測定サイクル数のうちの最小値である「N=1回」との回数(サイクル数)が演算される。
【0064】
続いて、処理部25は、積算サイクル数をカウントするために記憶部26内に規定したカウンタの値をリセット(「カウント値=0」に設定)すると共に(ステップ34)、一例として、「カメラによって電力量計を撮影して下さい。」とのメッセージを表示部24に表示させる。また、処理部25は、カメラ21を制御して撮像を開始させると共に、カメラ21から出力される撮像データDpの画像を表示部24に表示させる。さらに、処理部25は、撮像データDpを対象とする画像解析を行い、電力量計Mによる周期報知動作(計量用円板の回転、または、計量パルス報知部の点滅)の検出が可能か否かを判別する(ステップ35)。
【0065】
この際に、電力量計Mを十分な大きさで、かつ十分な明度で撮像することができ、この結果として、撮像データDpの画像解析によって周期報知動作を検出することができると判別したときに、処理部25は、
図3に示す制御処理40を実行する。この制御処理40では、処理部25は、カメラ21から出力される撮像データDpを画像解析することにより、対象の電力量計Mが誘導形電力量計のときには、マーク付与部(例えば、赤色の着色が施された部位)が電力量計Mの真正面に移動したタイミングを検出し、対象の電力量計Mが電子式電力量計のときには、計量パルス報知部(例えば、LED)が点灯したタイミング(または、消灯したタイミング)を検出する(ステップ41)。
【0066】
また、処理部25は、1回分の周期報知動作を検出したときに、カウンタのカウント値が「0」か否かを判別する(ステップ42)。この際に、制御処理40を開始した直後の本例では、カウント値が「0」のため、処理部25は、積算電力量の測定処理を開始させる制御コマンドDcを通信部22aから電力計1に送信させる(ステップ43)。
【0067】
これに応じて、電力計1では、携帯情報端末2から送信された制御コマンドDcが通信部12によって受信されたときに、処理部15が、「第2の演算部」として機能して、電力量データDwの値の積算処理を開始する。以後、後述するように、積算電力量の測定処理を終了させる制御コマンドDcが携帯情報端末2から送信されるまで、電力計1において電力量データDwの値の積算処理(積算電力量の演算処理)が継続して実行される。
【0068】
一方、携帯情報端末2では、処理部25が、ステップ43における制御コマンドDcの送信後に、カウンタのカウント値をカウントアップする(カウント値に「1」を加算する:ステップ44)。また、処理部25は、カウント値から「1」を差し引いた値が、報告書データ生成処理30のステップ33において特定した「必要測定サイクル数」に達しているか否かを判別する(ステップ45)。この際に、カウント値から「1」を差し引いた値が「0」となる本例では、処理部25は、「必要測定サイクル数」に達していないと判別し、撮像データDpの画像解析を行って、1回分の周期報知動作の有無を監視する(ステップ41)。
【0069】
また、処理部25は、電力量計Mにおいて1回分の周期報知動作が行なわれ、これを検出したときに(ステップ41)、処理部25は、カウンタのカウント値が「0」ではない(本例では、「1」である)と判別する(ステップ42)。この際に、処理部25は、カウンタのカウント値をカウントアップし(ステップ44)、カウントアップ後のカウント値から「1」を差し引いた値が「必要測定サイクル数」に達したか否かを判別する(ステップ45)。
【0070】
この場合、一例として、特定されている「必要測定サイクル数」が「5」であったときに、処理部25は、「必要測定サイクル数」に達していないと判別し、撮像データDpの画像解析を行って1回分の周期報知動作の有無を監視する(ステップ41)。また、上記のステップ41〜45の処理を繰り返すことにより、ステップ44におけるカウントアップによってカウント値が「6」となったときに、処理部25は、「必要測定サイクル数」に達したと判別し(ステップ45)、積算電力量の測定処理を終了させる制御コマンドDcを通信部22aから電力計1に送信させ(ステップ46)、この制御処理40を終了して報告書データ生成処理30に戻る。
【0071】
これに応じて、電力計1では、携帯情報端末2から送信された制御コマンドDcが通信部12によって受信されたときに、処理部15が、「第2の演算部」として機能して、電力量データDwの値の積算処理を終了し、その時点における演算結果(積算値)に基づいて積算電力量データDtを生成し、生成した積算電力量データDtを記憶部16に記憶させる。また、処理部15は、生成した積算電力量データDtの値を表示部14に表示させると共に、通信部12から携帯情報端末2に送信させる。
【0072】
一方、前述したステップ35において、電力量計Mから遠く離れた位置から撮像が行なわれたり、暗所において撮像が行なわれたりしたことに起因して撮像データDpの画像解析では電力量計Mによる周期報知動作を検出することができないと判別したときに、処理部25は、上記の制御処理40に代えて、
図4に示す制御処理50を実行する。この制御処理50では、一例として、「電力計の動作に合わせて画面にタッチして下さい」とのメッセージを表示部24に表示させると共に、操作部23(タッチパネル)に対するタッチ操作が行なわれたか否かを監視する(ステップ51)。この際に、上記のメッセージを見た利用者が、計量用円板におけるマーク付与部が真正面に位置したタイミング、または、計量パルス報知部の点灯(または消灯)に合わせて操作部23に対するタッチ操作を行う。
【0073】
また、処理部25は、操作部23に対するタッチ操作を検出したとき(すなわち、周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出したとき:マーク付与部が電力量計Mの真正面に移動したタイミング、または計量パルス報知部による周期報知動作に対応するタイミングを検出したとき)に、カウンタのカウント値が「0」か否かを判別する(ステップ52)。この際に、制御処理40を開始した直後の本例では、カウント値が「0」のため、処理部25は、積算電力量の測定処理を開始させる制御コマンドDcを通信部22aから電力計1に送信させる(ステップ53)。
【0074】
これに応じて、電力計1では、処理部15が、「第2の演算部」として機能して、電力量データDwの値の積算処理を開始し、後述するように、積算電力量の測定処理を終了させる制御コマンドDcが携帯情報端末2から送信されるまで、電力量データDwの値の積算処理(積算電力量の演算処理)を継続して実行する。
【0075】
一方、携帯情報端末2では、処理部25が、ステップ53における制御コマンドDcの送信後に、カウンタのカウント値をカウントアップする(ステップ54)。また、処理部25は、カウント値から「1」を差し引いた値が、「必要測定サイクル数」に達しているか否かを判別する(ステップ55)。この際に、カウント値から「1」を差し引いた値が「0」となる本例では、処理部25は、「必要測定サイクル数」に達していないと判別し、操作部23に対するタッチ操作の有無を監視する(ステップ51)。
【0076】
また、処理部25は、電力量計Mによる1回分の周期報知動作に伴う操作部23に対するタッチ操作を検出したときに(ステップ51)、処理部25は、カウンタのカウント値が「0」ではない(本例では、「1」である)と判別する(ステップ52)。この際に、処理部25は、カウンタのカウント値をカウントアップし(ステップ54)、カウントアップ後のカウント値から「1」を差し引いた値が「必要測定サイクル数」に達したか否かを判別する(ステップ55)。
【0077】
また、上記のステップ51〜55の処理を繰り返すことにより、ステップ54におけるカウントアップによってカウント値から「1」を差し引いた値が「必要測定サイクル数」に達したときに(ステップ55)、積算電力量の測定処理を終了させる制御コマンドDcを通信部22aから電力計1に送信させ(ステップ56)、この制御処理50を終了して報告書データ生成処理30に戻る。
【0078】
これに応じて、電力計1では、処理部15が、「第2の演算部」として機能して、電力量データDwの値の積算処理を終了し、その時点における演算結果(積算値)に基づいて積算電力量データDtを生成し、生成した積算電力量データDtを記憶部16に記憶させる。また、処理部15は、生成した積算電力量データDtの値を表示部14に表示させると共に、通信部12から携帯情報端末2に送信させる。
【0079】
また、携帯情報端末2では、記憶部26が、上記の制御処理40,50のいずれかの実行によって電力計1から送信された積算電力量データDtを記憶部26に記憶させると共に、この積算電力量データDtに基づいて報告書データDrを生成して(ステップ36)、この報告書データ生成処理30を終了する。この場合、本例の測定システム100では、上記の制御処理40,50のいずれが実行された場合においても、記憶部26によって特定される上記の「N回」の回数が作業者に報知されることなく測定処理が実行される。
【0080】
したがって、作業者は、電力量計Mを撮像した撮像データDpを対象とする画像解析によって「周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミング」を検出させる場合には、電力量計Mをどれだけの時間に亘って撮像し続ければ測定処理が完了するのかを知らずに測定作業を実行し、操作部23に対するタッチ操作によって「周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミング」を検出させる場合には、操作部23に対するタッチ操作を何回行えば測定処理が完了するのかを知らずに測定作業を実行することとなる。
【0081】
これにより、本例の測定システム100では、電力量計Mによる周期報知動作によって報知される周期とは非同期の任意のタイミングで積算電力量データDtの生成開始タイミングおよび終了タイミング(積算時間の始点および終点に対応するタイミング)を検出させることが困難となっている。このため、積算電力量データDtの値が実態とは異なる報告書データDrが生成される自体が好適に回避されている。
【0082】
次いで、処理部25は、生成した報告書データDrを通信部22bおよびネットワークNを介してデータサーバ3に送信する。これにより、使用者は、データサーバ3に接続可能な図示しないパーソナルコンピュータを使用してデータサーバ3から報告書データDrをダウンロードした後に、測定結果表示を表示させたり、印刷装置で印刷したりすることにより、その測定結果表示における測定対象像等に基づき、電力量計Mが積算電力量を正確に計量していたか否かを正確かつ容易に把握することができる。
【0083】
このように、この測定システム100では、処理部25が、電力量計MがN回の周期報知動作を行う間の積算電力量を「第2の演算部(電力計1の処理部15)」に演算させると共に、「
第2の演算部による積算電力量の演算時における電力量の積算時間が予め規定された時間以上になるとの条件:一例として、「積算時間≧10秒」との条
件」を満たすように「N回」の回数を規定(変更)する。また、この測定システム用プログラムDs2では、上記の処理を測定システム100の処理部25に実行させる。
【0084】
したがって、この測定システム100および測定システム用プログラムDs2によれば、電力量計Mが何回の周期報知動作を行う間に亘って電力量が積算されるかを作業者に認識させることなく、積算電力量が測定(演算)されて積算電力量データDtが生成されるため、測定される積算電力量が意図的に実態とは異なる値に調整されるのを確実に回避して、実態に即した高精度な積算電力量が記録された積算電力量データDtを提供することができる。
【0085】
また、この測定システム100では、「検出部」が、周期報知動作によって報知される周期に同期させた「タイミング特定用操作(本例では、タッチパネルに対するタッチ操作)」が可能な操作部23を備え、操作部23に対する「タイミング特定用操作」に基づき、周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出可能に構成されている。したがって、この測定システム100および測定システム用プログラムDs2によれば、比較的簡易な構成、または簡易な処理によって電力量計Mによる周期報知動作の周期に対応する周期を検出して積算電力量を測定(演算)して積算電力量データDtを生成することができるため、製造コストの高騰を招くことなく、高精度な積算電力量が記録された積算電力量データDtを取得し得る測定システム100を提供することができる。
【0086】
さらに、この測定システム100では
、電力量計Mを撮像可能なカメラ21と、カメラ21から出力される撮像データDpを解析して周期報知動作によって報知される周期を特定す
る処理部2
5とを備え、
処理部25の解析結果に基づき、周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出可能に構成されている。したがって、この測定システム100および測定システム用プログラムDs2によれば、電力量計Mを撮像させるだけで周期報知動作によって報知される周期に対応するタイミングを検出して積算電力量を測定(演算)して積算電力量データDtを生成することができるため、この種の装置の操作に不慣れな作業者に対して高精度な積算電力量が記録された積算電力量データDtを容易に取得させることができる。
【0087】
また、この測定システム100では、「測定部(本例では、電圧測定部11Vおよび電流測定部11A)」を有する「第1の装置(電力計1)」と、「検出部」および記憶部26を有すると共に「第1の装置」とは別体に構成されて「第1の装置」と通信可能に構成された「第2の装置(携帯情報端末2)」とを備えて構成されている。したがって、この測定システム100および測定システム用プログラムDs2によれば、電力量の測定に適した位置に電力計1を配設した状態で、電力量計Mを確実に視認、または撮像し得る位置において携帯情報端末2から電力計1を遠隔操作で動作させることで積算電力量データDtを生成することができるため、高精度な積算電力量データDtを確実かつ容易に取得させることができる。
【0088】
な
お、「予め規定された時間に亘って電力量データDwの値を積算可能な回数(一例として「積算時間≧10秒」との条件)」を満たす「N回」を規定して積算電力量データDtを生成する構成・方法を例に挙げて説明したが、「予め規定された時間に亘って電力量データDwの値を積算可能な回数よりも、規定回数だけ多い回数」との条件を
満たすように「N回」を規定したり、このような条件に代えて、「ランダムに変更される回数」との条件を
満たすように「N回」を規定したりすることができる。
【0089】
また、積算電力量データDtの演算を開始する以前に「N回」の回数を規定する構成・方法を例に挙げて説明したが、積算電力量データDtの演算を開始した後に「N回」の回数を規定する構成・方法を採用することもできる。具体的には、積算電力量データDtの演算を開始した後に、「計器定数」の取得や、瞬時電力量の特定(電力量データDwの取得)を実行し、取得した情報に基づいて「N回」を規定することができる。
【0090】
また、「第1の装置」としての電力計1と「第2の装置」としての携帯情報端末2とが相俟って「測定システム」として機能する測定システム100を例に挙げて説明したが、測定システム100における電力計1の機能と携帯情報端末2の機能とを一体化した機器(測定装置)で「測定システム」を構成することもできる(図示せず)。さらに、上記の測定システム100のように「測定システム」を複数の装置で構成する場合においても、「測定部」と、「第1の演算部」と、「第2の演算部」と、「検出部」および「処理部」とについては、それぞれ別個の装置の構成要素としたり、これらのうちの任意の複数を組み合わせて1つの装置の構成要素としたりすることができる。
【0091】
また、「計器定数」の取得については、例えば電力量計Mの正面パネルを携帯情報端末2のカメラ21によって撮像し、その撮像データを解析することで「計器定数」を特定する構成や、携帯情報端末2の操作部23を操作して電力量計Mの形式番号等を入力することで、入力した番号に対応付けられている「計器定数」を、そのような情報が蓄積されたサーバからダウンロードして取得する構成を採用することができる。さらに、測定対象の「電力量計」の種類が限られている場合には、それらの「電力量計」の「計器定数」の選択候補を携帯情報端末2に予め登録しておき、測定作業に際しては、登録されている選択候補のなかから任意の「計器定数」を選択するとの構成を採用することもできる。
【0092】
加えて、「単相二線」の電源ラインL(導線La,Lb)を対象として一連の処理を実行する例について説明したが、測定対象の「導電路」はこれに限定されず、「単相三線」や「三相四線」などの各種の「導電路」を測定対象とすることができる。