(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876532
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】波形表示装置
(51)【国際特許分類】
G01R 13/20 20060101AFI20210517BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20210517BHJP
G06F 3/0484 20130101ALI20210517BHJP
【FI】
G01R13/20 T
G01R13/20 U
G01R13/20 S
G06F3/0488
G06F3/0484 150
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-111782(P2017-111782)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-205172(P2018-205172A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 訓啓
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−273113(JP,A)
【文献】
特開2012−042482(JP,A)
【文献】
特開2014−173872(JP,A)
【文献】
特開平04−093771(JP,A)
【文献】
特開2014−097127(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0063712(US,A1)
【文献】
米国特許第05039937(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/00−13/42
G06F 3/0484
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形を含んだ表示アイテムを移動可能に表示する表示制御部と、
タッチ操作により、特定の表示アイテムについて表示位置の移動操作を受け付ける操作受付部と、を備え、
前記表示制御部は、前記移動操作終了後に、前記移動操作に係る表示アイテムについての、その移動方向に関する微調整移動指示を受け付けるための微移動アイコン表示を行ない、
前記操作受付部を介して、前記微移動アイコンに対する操作を受け付けると、前記移動操作に係る表示アイテムの微移動表示を行なうことを特徴とする波形表示装置。
【請求項2】
前記表示アイテムは、拡大表示された波形を含むことを特徴とする請求項1に記載の波形表示装置。
【請求項3】
前記表示アイテムは、時間軸上を移動するカーソルあるいは測定値軸上を移動するカーソルを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の波形表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記微移動アイコン表示の後、前記微移動アイコンに対する操作以外の操作を受け付けた場合、あるいは、所定時間操作を受け付けなかった場合には、前記微移動アイコンの表示を終了することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の波形表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形表示装置に関し、特に、波形等の表示アイテムの表示位置を微調整するための操作インタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
波形表示装置では、外部から入力されたアナログ信号を所定のサンプル時間毎にデジタル変換し、波形メモリに波形データとして保存する。波形メモリに保存された波形データは、液晶パネル等の表示装置で波形表示される。波形を表示する波形表示エリアは、一般に、横軸が時間を表し、縦軸がデータ値を表している。
【0003】
特許文献1には、波形データの観察、解析を容易にするために、
図7に示すように、波形表示エリア500のメイン波形表示エリア510に波形の全体像を表示するとともに、ズームボックス512を配置し、ズームボックス512内の波形部分をズーム波形表示エリア520に拡大表示することが記載されている。ズームボックス512は時間軸上を任意に移動させることができ、ズームボックス512の移動に連動して、ズーム波形表示エリア520に表示される波形領域も移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−174801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、タッチパネル式の表示装置が広く普及し、タッチパネル式の表示装置を備えた波形表示装置も実用化されている。ここで、上述のズームボックス512とズーム波形表示エリア520を表示する波形表示装置にタッチパネル式の表示装置を適用した場合を想定する。
【0006】
ズーム波形表示エリア520に表示されている拡大波形の時間軸方向の移動操作をタッチ操作で行なう場合には、ズーム波形表示エリア520自体、あるいは、ズームボックス512をタッチし、タッチした状態で左右に所望の位置までドラッグする操作が考えられる。
【0007】
ところが、このようなドラッグ操作では、ある程度の移動量が最小単位となるため、拡大波形を少しだけ移動させたい場合の微調整が困難となる。特に、波形を構成するデータ点数が多い場合に、測定点単位で波形を微移動させようとすると、ドラッグ操作では移動量が大きくなりすぎてしまう。
【0008】
別途、拡大波形の微移動のための操作メニューを用意することも考えられるが、微調整のたびに、操作メニューを呼び出すことはユーザにとって煩わしい作業となる。このような移動位置の微調整が困難であるという問題は、拡大波形のみならず、メイン波形、カーソル等の波形表示装置における移動可能な表示アイテム全般に当てはまる。
【0009】
そこで、本発明は、タッチ操作により表示アイテムの移動操作を受け付ける波形表示装置において、表示アイテムの移動位置の微調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である表示装置は、波形を含んだ表示アイテムを移動可能に表示する表示制御部と、タッチ操作により、特定の表示アイテムについて表示位置の移動操作を受け付ける操作受付部と、を備え、前記表示制御部は、前記移動操作終了後に、前記移動操作に係る表示アイテムについての、その移動方向に関する微調整移動指示を受け付けるための微移動アイコン表示を行ない、前記操作受付部を介して、前記微移動アイコンに対する操作を受け付けると、前記移動操作に係る表示アイテムの微移動表示を行なうことを特徴とする。
ここで、前記表示アイテムは、拡大表示された波形を含むことができる。
また、前記表示アイテムは、時間軸上を移動するカーソルあるいは測定値軸上を移動するカーソルを含むことができる。
また、前記表示制御部は、前記微移動アイコン表示の後、前記微移動アイコンに対する操作以外の操作を受け付けた場合、あるいは、所定時間操作を受け付けなかった場合には、前記微移動アイコンの表示を終了することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タッチ操作により表示アイテムの移動操作を受け付ける波形表示装置において、表示アイテムの移動位置の微調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る波形表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の波形表示装置の表示アイテム移動動作を説明するフローチャートである。
【
図3】ズームボックスあるいはズーム波形表示エリアが時間軸方向にドラッグされた場合の動作を説明する図である。
【
図4】波形の縦軸方向の微移動を説明する図である。
【
図5】カーソルの時間軸方向の微移動を説明する図である。
【
図6】カーソルの縦軸方向の微移動を説明する図である。
【
図7】従来の波形表示装置の波形表示エリアを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る波形表示装置100の構成を示すブロック図である。本図に示すように、波形表示装置100は、データ入力部110、波形メモリ120、制御部130、タッチパネル140を備えている。
【0014】
タッチパネル140は、液晶パネル等の表示部141と、ユーザからのタッチ操作等を受け付ける操作受付部142を備えている。タッチ操作は、ユーザの操作内容等に応じて、タップ操作、ドラッグ操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作等に識別される。
【0015】
データ入力部110は、外部から入力されたアナログ入力信号を所定のサンプル時間毎にデジタル変換し、波形メモリ120に波形データとして保存する。波形メモリ120に保存された波形データは、制御部130の表示制御部131で読み出され、タッチパネル140の表示部141に表示される。制御部130は、CPU、RAM、ROM等で構成することができる。
【0016】
表示制御部131は、波形の表示の際に、カーソルを表示したり、拡大波形等を表示することができる。表示部141に表示された波形(拡大波形を含む)やカーソルは、ユーザのタッチ操作に基づいて移動可能である。これらの移動可能な表示対象物を表示アイテムと称する。
【0017】
図2は、本実施形態の波形表示装置100の表示アイテム移動動作を説明するフローチャートである。まずは、波形の拡大表示を行なっている場合に、ズームボックスあるいはズーム波形表示エリアに対する移動操作を受け付ける場合を例に説明する。
【0018】
なお、ユーザのタッチ操作の直接的な対象である表示アイテムが移動対象となるものとする。例えば、波形が表示されている領域をドラッグした場合は、波形が移動対象になり、ズームボックスをドラッグした場合はズームボックスが移動対象になる。この場合は、拡大波形も連動して移動対象となる。また、波形が表示されている領域であっても、カーソル部分をピンポイントでドラッグした場合には、カーソルが移動対象になる。
【0019】
操作受付部142が、ユーザからドラッグ操作を受け付けると(S101:Yes)、表示制御部131が、操作対象となった表示アイテムについて、操作移動量に応じた移動表示を行なう(S102)。ここでは、例えば、
図3(a)に示すように、メイン波形表示エリア210のズームボックス212が、A1またはA2方向にドラッグされた、あるいは、ズーム波形表示エリア220がB1またはB2方向にドラッグされたものとする。この場合、ズーム波形表示エリア220の拡大波形とズームボックス212が連動してドラッグ方向に移動することになる。
【0020】
ドラッグ操作が終了してユーザが画面から指を離し、タッチ状態が解除されると(S103:Yes)、表示制御部131は、
図3(b)に示すような微移動ボタン221を表示する(S104)。微移動ボタン221は、ドラッグ操作の対象となった表示アイテムについて、ドラッグ操作による移動方向に関する微調整指示を受け付けるためのアイコンである。
【0021】
ここでは、時間軸方向のドラッグ操作であったため、拡大波形を時間軸方向に微移動させるための、左方向微移動ボタン221a、右方向微移動ボタン221bが表示されている。微移動ボタン221は、波形に重畳して表示させることができる。微移動ボタン221は、ユーザのタッチ状態の解除に合わせて自動的に表示されるため、ユーザは、表示させるための特別な操作が不要となる。
【0022】
また、表示制御部131は、微移動ボタン221の表示とともに、タイマカウントを開始する(S105)。タイマで計時する時間はあらかじめ定めてあり、例えば、2秒とすることができる。計時する時間をユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0023】
微移動ボタン221の表示中に、ユーザにより画面内がタッチ(タップ操作)され(S106:Yes)、そのタッチ対象が、微移動ボタン221であった場合には(S107:Yes)、直前のドラッグ操作の対象となった表示アイテムを、タッチされた微移動ボタン221が示す方向に微移動表示する(S108)。
【0024】
例えば、
図3(b)において、右方向微移動ボタン221bがタッチされた場合には、拡大波形が右方向に微移動表示される。ただし、拡大波形の右方向を表示させるものとして、拡大波形を相対的に左方向に微移動表示するようにしてもよい。
【0025】
微移動量は、例えば、1表示分解能分、1測定データ分等とすることができる。1回の微移動ボタン221の操作による微移動量は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよいし、表示解像度等に応じて可変としてもよい。
【0026】
そして、タイマカウントをリセットし、再カウントを開始する(S105)。これにより、微移動ボタン221の操作を任意の回数受け付けることができる。
【0027】
表示制御部131は、画面内のタッチを受け付けない状態が(S106:No)、タイムアウトするまで継続した場合は(S110:Yes)、微移動ボタン221を消去する(S111)。これにより、微移動ボタン221が波形の観測、解析の妨げになることを防止できるため、視認性、操作性が向上する。
【0028】
また、微移動ボタン221以外のタッチを受け付けた場合(S106:Yes、S107:No)は、タイマを停止し(S109)、即座に微移動ボタン221を消去する(S111)。すなわち、ユーザは、微移動が不要な場合は、タイムアウトを待ってもよいし、微移動ボタン221以外をタッチしてもよい。
【0029】
なお、微移動の方向は時間軸方向に限られず、測定値等を示す縦軸方向であってもよい。例えば、
図4(a)に示すように、波形表示エリア230に表示された波形をC1方向あるいはC2方向の上下方向に移動させた場合には、
図4(b)に示すように、下方向微移動ボタン231a、上方向微移動ボタン231bを表示して、上下方向の微移動操作を受け付けるようにする。これは、例えば、複数チャネルの波形を同時に縦に並べて表示している場合等に有効である。
【0030】
また、微移動の対象となる表示アイテムは、波形やズームボックス212に限られない。例えば、
図5(a)に示すように、波形表示エリア230の時間軸上を移動するカーソル232をD1方向あるいはD2方向の左右方向に移動させた場合に、
図5(b)に示すように、左方向微移動ボタン233a、右方向微移動ボタン233bを表示して、左右方向の微移動操作を受け付けるようにすることができる。
【0031】
カーソルは、波形表示エリア230に複数表示させることができるが、微移動の対象とするカーソルは、直前にドラッグ操作で移動させたカーソルとすることができる。
【0032】
同様に、
図6(a)に示すように、波形表示エリア230の縦軸上を移動するカーソル234をE1方向あるいはE2方向の上下方向に移動させた場合には、
図6(b)に示すように、下方向微移動ボタン235a、上方向微移動ボタン235bを表示して、直前に移動させたカーソル234の上下方向の微移動操作を受け付けるようにすることができる。
【符号の説明】
【0033】
100…波形表示装置
110…データ入力部
120…波形メモリ
130…制御部
131…表示制御部
140…タッチパネル
141…表示部
142…操作受付部
210…メイン波形表示エリア
212…ズームボックス
220…ズーム波形表示エリア
221…微移動ボタン
230…波形表示エリア