特許第6876533号(P6876533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧 ▶ 横河メータ&インスツルメンツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6876533-波形表示装置 図000002
  • 特許6876533-波形表示装置 図000003
  • 特許6876533-波形表示装置 図000004
  • 特許6876533-波形表示装置 図000005
  • 特許6876533-波形表示装置 図000006
  • 特許6876533-波形表示装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876533
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】波形表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/28 20060101AFI20210517BHJP
   G01R 13/20 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G01R13/28 A
   G01R13/20 X
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-111783(P2017-111783)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-205173(P2018-205173A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲士
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−122996(JP,A)
【文献】 特開2011−013189(JP,A)
【文献】 特開2013−205012(JP,A)
【文献】 特開平10−038591(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0203645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/00−13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備え、測定信号と、測位情報と受信情報とを含んだGPS信号を入力する波形表示装置であって、
前記受信情報の時間的変化に基づく受信情報時系列データを記録する受信情報処理部と、
前記測定信号に基づく波形と、前記測位情報に基づく波形と、前記受信情報時系列データに基づく波形とを前記表示部に表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする波形表示装置。
【請求項2】
表示部を備え、測定信号と、測位情報と受信情報とを含んだGPS信号を入力する波形表示装置であって、
前記受信情報の時間的変化に基づく受信情報時系列データを記録する受信情報処理部と、
前記測定信号に基づく波形と、前記測位情報に基づく波形とを前記表示部に表示するとともに、前記受信情報時系列データに基づいて前記測位情報に基づく波形の表示態様を変更する制御部と、
を備えたことを特徴とする波形表示装置。
【請求項3】
前記受信情報は、測位状態に関する情報および測位精度に関する情報の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の波形表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形表示装置に関し、特に、GPS信号を入力する波形表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、電圧、電流等の測定信号の入力に加え、GPS(Global Positioning System)ユニット520から出力されるGPS信号を入力する波形表示装置500が実用化されている。一般に、GPSユニット520が出力するGPS信号には、緯度、経度、高度、速度等の測位情報と、2D測位、3D測位といった測位状態や精度情報等の受信情報とが含まれている。
【0003】
波形表示装置500は波形メモリを内蔵しており、入力した測定信号を波形データとして波形メモリに保存する。波形メモリに保存された波形データは波形として表示画面上に表示することができる。
【0004】
また、GPS信号を入力する波形表示装置500では、GPSユニット520から取得した測位情報についても波形メモリ等に保存することができる。このため、図6に示すように、測定値の波形と、緯度等の測位情報の波形とを並べて表示し、時間的変化を観察することができる。一方で、GPSユニット520から取得した測位状態等の受信情報については、記録開始時等に取得した情報を保存ファイルのヘッダ等に記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−206152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
波形表示装置500では、測位状態等を示す受信情報に基づいて、あらかじめ定められた判定基準により測位情報が有効であるか無効であるかを判断することができる。従来の波形表示装置500は、有効な測位情報が得られない場合には、直前の有効な測位情報の値を継続して保存するようにしていた。
【0007】
このため、例えば、図6において、測位情報の値が変化していない時刻t1〜t2の間、時刻t3〜t4の間が、測位情報が有効でなかったのか、緯度について移動していなかったかの判別ができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、GPS信号を入力する波形表示装置において、測位情報の有効性を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である波形表示装置は、表示部を備え、測定信号と、測位情報と受信情報とを含んだGPS信号を入力する波形表示装置であって、前記受信情報の時間的変化に基づく受信情報時系列データを記録する受信情報処理部と、前記測定信号に基づく波形と、前記測位情報に基づく波形と、前記受信情報時系列データに基づく波形とを前記表示部に表示する制御部と、を備えたことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である波形表示装置は、表示部を備え、測定信号と、測位情報と受信情報とを含んだGPS信号を入力する波形表示装置であって前記受信情報の時間的変化に基づく受信情報時系列データを記録する受信情報処理部と、前記測定信号に基づく波形と、前記測位情報に基づく波形とを前記表示部に表示するとともに、前記受信情報時系列データに基づいて前記測位情報に基づく波形の表示態様を変更する制御部と、を備えたことを特徴とする。
いずれの態様であっても、前記受信情報は、測位状態に関する情報および測位精度に関する情報の少なくとも一方を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GPS信号を入力する波形表示装置において、測位情報の有効性を確認できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る波形表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】波形表示装置の動作を説明するフローチャートである。
図3】表示部における波形表示例を示す図である。
図4】表示部における波形表示の別例を示す図である。
図5】GPS信号を入力する従来の波形表示装置を示す図である。
図6】並べて表示された測定値と測位情報とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る波形表示装置100の構成を示すブロック図である。波形表示装置100は、外部から測定信号を入力するのに加え、GPSユニット520と接続し、測位情報と受信情報とを入力する。
【0013】
本図に示すように、波形表示装置100は、入力部110、波形メモリ120、制御部130、操作受付部140、表示部150、受信情報処理部160を備えている。制御部130は、CPU、RAM、ROM等で構成することができる。操作受付部140と表示部150とは、例えば、タッチパネルで構成することができる。
【0014】
入力部110は、外部から入力されたアナログ測定信号を所定のサンプル時間毎にデジタル変換し、波形メモリ120に波形データとして保存する。また、波形メモリ120には、GPSユニット520が出力する測位情報(緯度、経度、高度、速度等)も波形データとして保存される。波形メモリ120に保存された波形データは、制御部130で読み出され、表示部150に表示される。
【0015】
受信情報処理部160は、GPSユニット520が出力する受信情報に基づいて、受信情報時系列データを生成し、波形メモリ120に波形データとして保存する。ここで、受信情報時系列データは、測位情報の有効性についてユーザが判別することができる時系列情報であり、例えば、測位状態のH/L(ハイ/ロー)レベルの時間的変化、測位精度のH/Lレベルの時間的変化を示すものとする。
【0016】
制御部130は、測定信号に基づく波形、測位情報に基づく波形とともに、ユーザが測位情報の有効性を容易に確認することができるように、受信情報時系列データに基づく波形を表示部150に表示する。
【0017】
次に、上記構成の波形表示装置100の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。測定を開始すると、波形表示装置100は、測定信号(S101)とGPSユニット520からのGPS信号(S103)とを別々に入力する。測定信号に対する処理とGPS信号に対する処理とは同期していなくてもよい。
【0018】
測定信号は、入力部110が、所定のサンプル時間毎にデジタル変換し、波形メモリ120に測定波形データとして保存する(S102)。
【0019】
GPS信号は、緯度、経度、高度、速度等の測位情報については、波形メモリ120に波形データとして保存する(S104)。受信情報については、あらかじめ定められた項目(パラメータ)を抽出し、ハイレベル、ローレベルの判定を行ない(S105)、その判定結果を波形メモリ120に波形データとして保存する(S106)。
【0020】
本実施形態では、GPS信号の受信情報に含まれる、測位状態を示す測位状態パラメータと測位精度を示すタイムパルスパラメータとについて、ハイレベル、ローレベルの判定を行なうものとする。
【0021】
ただし、判定対象とするパラメータは測位状態パラメータ、タイムパルスパラメータに限られない。例えば、NMEA文に含まれるステータスや測位精度の劣化の程度を表すDOP、捕捉衛星数等であってもよい。また、判定の出力は、ハイレベル、ローレベルの二値に限られない。三値以上としてもよいし、パラメータ値そのものを判定結果として出力してもよい。
【0022】
一般に、測位状態パラメータは、「受信なし」「2D測位」「3D測位」のいずれかを表している。本実施形態では、「受信なし」「2D測位」の場合をローレベルと判定し、「3D測位」の場合をハイレベルと判定する。
【0023】
また、タイムパルスパラメータは精度が高い「H」、精度が低い「L」のいずれかを表している。本実施形態では、「H」の場合をハイレベルと判定し、「L」の場合をローレベルと判定する。
【0024】
波形表示装置100は、以上の波形メモリ120への各波形データの一連の保存処理を、測定が終了するまで繰り返す(S107)。
【0025】
本動作により、制御部130は、波形メモリ120に保存された各波形データに基づいて、図3に示すような波形を表示部150に表示することができる。本図の例では、電圧等の測定値の波形データ、経度等の測位情報の波形データに加え、受信情報時系列データとして、測位状態と測位精度のレベル(二値)の時間的変化を波形データとして表示している。これにより、ユーザは、ユーザが測位情報の有効性を視覚的に容易に確認することができる。
【0026】
例えば、時刻t1〜時刻t2においては、測位状態がローレベルであり、測位情報が無効であることを明確に判別することができる。また、時刻t2以降では、測位情報の値は変化しているが、測位精度がハイレベルとなる測位情報値は、時刻t3以降でないと取得できていないことも判別できる。一方で、時刻t4〜時刻t5は、測位情報値が変化していないが、測位状態、測位精度ともハイレベルであり、測位情報が有効であると判別することができる。
【0027】
なお、受信情報時系列データの値は、独立した波形として表示せずに、図4に示すように、測位情報の波形の表示態様(線種、線色、線太等)で表すようにしてもよい。本図の例では、区間Aが測位状態、測位精度ともローレベルであり、区間Bが測位精度のみローレベルであることを線種で示している。
【符号の説明】
【0028】
100…波形表示装置
110…入力部
120…波形メモリ
130…制御部
140…操作受付部
150…表示部
160…受信情報処理部
520…GPSユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6