特許第6876545号(P6876545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876545コネクタおよびコネクタと金属筐体との接続構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876545
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタと金属筐体との接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6591 20110101AFI20210517BHJP
   H01R 13/73 20060101ALI20210517BHJP
   H01R 24/38 20110101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01R13/6591
   H01R13/73 E
   H01R24/38
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-127580(P2017-127580)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-12605(P2019-12605A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 快人
(72)【発明者】
【氏名】山口 廣家
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−208455(JP,A)
【文献】 特表2015−530724(JP,A)
【文献】 特開2016−207449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648 − 13/6599
H01R 24/38 − 24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するシェルと、
前記シェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、
前記インナーボディに保持され且つ前記シェル内に配置された端子と、
絶縁樹脂製のアウターボディと、
アース端子とを備えており、
前記アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、
第2部と、
前記第1部および前記第2部内に設けられており且つ前記シェルを収容保持する収容空間を有しており、
前記第2部の前記第1方向に直交する第2方向における断面の外形寸法が前記第1部の前記第2方向における断面の外形寸法よりも大きく、
前記第2部には、前記第2部の外面から前記収容空間まで延びた収容孔が設けられており、
前記アース端子は、前記シェルに接触または連接しており且つ前記アウターボディの前記収容孔内に収容された第1接続部と、
前記アウターボディの前記第1部上に配置されており且つグランドに電気的に接続可能な第2接続部と、
前記第1接続部から前記第2接続部まで延びた中継部とを有しているコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
前記第2接続部は、前記第2方向において前記グランドに接触可能であるコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコネクタにおいて、
前記第1接続部は、前記シェルに接触する接触部と、
前記接触部よりも前記シェルから遠くに位置し且つ前記中継部に接続された接続端部とを有しているコネクタ。
【請求項4】
導電性を有するシェルと、
前記シェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、
前記インナーボディに保持され且つ前記シェル内に配置された端子と、
絶縁樹脂製のアウターボディと、
アース端子とを備えており、
前記アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、
第2部と、
前記第1部および前記第2部内に設けられており且つ前記シェルを収容保持する収容空間を有しており、
前記第2部の前記第1方向に直交する第2方向における断面の外形寸法が前記第1部の前記第2方向における断面の外形寸法よりも大きいおよび/または前記第2部の前記第2方向の肉厚が前記第1部の前記第2方向の肉厚よりも大きく、
前記第2部には、前記第2部の外面から前記収容空間まで延びた収容孔が設けられており、
前記アース端子は、前記シェルに接触または連接しており且つ前記アウターボディの前記収容孔内に収容された第1接続部と、
前記アウターボディの前記第1部上に配置された第2接続部と、
前記第1接続部から前記第2接続部まで延びた中継部とを有しており、
前記第1接続部は、前記シェルに接触する接触部と、
前記接触部よりも前記シェルから遠くに位置し且つ前記中継部に接続された接続端部とを有しており、
前記第2接続部は、前記シェルに対して、前記第1接続部の前記接触部より遠く且つ前記第1接続部の前記接続端部よりも近くに配置されているコネクタ。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載のコネクタにおいて、
前記第2接続部は、前記アウターボディの前記第1部上に配置されたベースと、
前記第1部から離れるように前記ベースから前記第2方向に立ち上がっており且つ前記第1部に近づくように弾性変形可能なバネ部を有しているコネクタ。
【請求項6】
導電性を有するシェルと、
前記シェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、
前記インナーボディに保持され且つ前記シェル内に配置された端子と、
絶縁樹脂製のアウターボディと、
アース端子とを備えており、
前記アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、
第2部と、
前記第1部および前記第2部内に設けられており且つ前記シェルを収容保持する収容空間を有しており、
前記第2部の前記第1方向に直交する第2方向における断面の外形寸法が前記第1部の前記第2方向における断面の外形寸法よりも大きいおよび/または前記第2部の前記第2方向の肉厚が前記第1部の前記第2方向の肉厚よりも大きく、
前記第2部には、前記第2部の外面から前記収容空間まで延びた収容孔が設けられており、
前記アース端子は、前記シェルに接触または連接しており且つ前記アウターボディの前記収容孔内に収容された第1接続部と、
前記アウターボディの前記第1部上に配置された第2接続部と、
前記第1接続部から前記第2接続部まで延びた中継部とを有しており、
前記収容孔は、一対であり、
前記アース端子は、一対であり、
前記一対のアース端子の前記第1接続部は、前記収容孔に沿って各々延びた板であって、前記シェルの前記第2方向における断面の外形の略半分に応じた形状の凹部と、
前記シェルに接触する前記凹部の縁部と、
前記凹部の両側に位置する一対の当接部とを各々有しており、
前記一対のアース端子のうちの一方のアース端子の前記当接部と、他方のアース端子の前記当接部とが前記第2方向において当接しているコネクタ。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタにおいて、
前記一対のアース端子は係合部を各々さらに有しており、
前記係合部は、前記第1接続部に各々設けられており、前記係合部の一方に係合突部が設けられており、他方に係合孔が設けられており、
前記係合突部が前記係合孔に係合されているコネクタ。
【請求項8】
請求項1記載のコネクタと、
金属筐体とを備えており、
前記金属筐体は、前記アース端子に接触しているコネクタと金属筐体との接続構造。
【請求項9】
請求項〜7の何れかに記載のコネクタと、
金属筐体とを備えており、
前記金属筐体は、前記第2方向において前記アース端子の前記第2接続部に接触しているコネクタと金属筐体との接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびコネクタと金属筐体との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタは下記特許文献1に記載されている。このコネクタは、端子と、絶縁樹脂製のインナーボディと、導電性を有するシェルと、絶縁樹脂製の筒状のアウターボディと、アース端子とを備えている。端子はインナーボディに保持されており、このインナーボディがシェル内に収容保持されている。このシェルがアウターボディ内に収容保持されている。アウターボディには、シェルを部分的に露出させる開口が設けられている。アース端子は、アウターボディに取り付けられ、開口を通じてシェルに接触している。このアース端子が、金属筐体に接続され、これによりアウターボディ内のシェルのグランド強化がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−198117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アース端子が挿入される開口は、アウターボディの筒状部分に設けられているので、アウターボディの筒状部分の強度が低下する。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、アウターボディの筒状部分の強度低下を抑制することができ且つアウターボディ内のシェルのグランド強化を行うことができるコネクタおよびコネクタと金属筐体の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様のコネクタは、導電性を有するシェルと、このシェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、このインナーボディに保持され且つシェル内に配置された端子と、絶縁樹脂製のアウターボディと、アース端子とを備えている。アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、第2部と、第1部および第2部内に設けられており且つシェルを収容保持する収容空間とを有している。第2部の第2方向における断面の外形寸法が第1部の第2方向における断面の外形寸法よりも大きい第2方向は第1方向に直交している。第2部には、第2部の外面から収容空間まで延びた収容孔が設けられている。アース端子は、シェルに接触または連接しており、且つアウターボディの収容孔内に配置されている。アース端子の一部がアウターボディ外に露出または配置されている。アース端子は、第1接続部と、第2接続部と、中継部とを有する。第1接続部は、シェルに接触または連接しており、且つアウターボディの収容孔内に収容されている。第2接続部は、アウターボディの第1部上に配置されており且つグランドに電気的に接続可能である。中継部は、第1接続部から第2接続部まで延びている。
【0007】
このような態様のコネクタによる場合、アース端子を収容するための収容孔はアウターボディの略筒状の第1部ではなく、第2部に設けられている。このため、アウターボディの第1部の強度低下を抑制しつつ、アウターボディの収容孔内のアース端子の前記一部に電子機器の金属筐体等のグランドを電気的に接続させることによって、アウターボディ内のシェルのグランド強化を行うことができる。
【0008】
アウターボディの第1部上で第2接続部に対して、電子機器の金属筐体等のグランドを容易に接触させ、電気的に接続させることができる。
【0009】
第1接続部は、接触部と、接続端部とを有している。接触部は、シェルに接触している。接続端部は、接触部よりもシェルから遠くに位置し且つ中継部に接続されている。
【0010】
本発明の第2態様のコネクタは、導電性を有するシェルと、シェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、インナーボディに保持され且つシェル内に配置された端子と、絶縁樹脂製のアウターボディと、アース端子とを備えている。アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、第2部と、第1部および第2部内に設けられており且つシェルを収容保持する収容空間を有している。第2部の第1方向に直交する第2方向における断面の外形寸法が第1部の第2方向における断面の外形寸法よりも大きいおよび/または第2部の第2方向の肉厚が第1部の第2方向の肉厚よりも大きい。第2部には、第2部の外面から収容空間まで延びた収容孔が設けられている。アース端子は、シェルに接触または連接しており、且つアウターボディの収容孔内に収容された第1接続部と、アウターボディの第1部上に配置された第2接続部と、第1接続部から第2接続部まで延びた中継部とを有している。第1接続部は、シェルに接触する接触部と、接触部よりもシェルから遠くに位置し且つ中継部に接続された接続端部とを有している。第2接続部は、シェルに対して、第1接続部の接触部より遠く且つ第1接続部の接続端部よりも近くに配置されている。
【0011】
第2接続部は、ベースと、バネ部とを有する構成とすることが可能である。ベースは、アウターボディの第1部上に配置された構成とすることが可能である。バネ部は、第1部から離れるようにベースから第2方向に立ち上がっており且つ第1部に近づくように弾性変形可能な構成とすることが可能である。このような態様のコネクタによる場合、第2方向において金属筐体等のグランドを第2接続部のバネ部に弾性的に接触させることができる。
【0012】
本発明の第3態様のコネクタは、導電性を有するシェルと、シェル内に配置された絶縁樹脂製のインナーボディと、インナーボディに保持され且つシェル内に配置された端子と、絶縁樹脂製のアウターボディと、アース端子とを備えている。アウターボディは、第1方向に延びた略筒状の第1部と、第2部と、第1部および第2部内に設けられており且つシェルを収容保持する収容空間を有している。第2部の第1方向に直交する第2方向における断面の外形寸法が第1部の第2方向における断面の外形寸法よりも大きいおよび/または第2部の第2方向の肉厚が第1部の第2方向の肉厚よりも大きい。第2部には、第2部の外面から収容空間まで延びた収容孔が設けられている。アース端子は、シェルに接触または連接しており、且つアウターボディの収容孔内に収容された第1接続部と、アウターボディの第1部上に配置された第2接続部と、第1接続部から第2接続部まで延びた中継部とを有している。収容孔は一対であり、アース端子は一対である。この場合、一対のアース端子の第1接続部は、収容孔に沿って各々延びた板であって、凹部と、凹部の縁部と、一対の当接部を各々有する。凹部は、シェルの第2方向における略半分の断面の外形寸法に応じた形状である。凹部の縁部はシェルに接触する。一対のアース端子のうちの一方のアース端子の当接部と他方のアース端子の当接部とが第2方向において当接している。このような態様のコネクタによる場合、アース端子を収容するための収容孔はアウターボディの略筒状の第1部ではなく、第2部に設けられている。このため、アウターボディの第1部の強度低下を抑制しつつ、アウターボディの収容孔内のアース端子の一部に電子機器の金属筐体等のグランドを電気的に接続させることによって、アウターボディ内のシェルのグランド強化を行うことができる。また、シェルの第2方向の略半分が一対のアース端子の凹部に各々嵌合し、一対のアース端子の凹部の縁部がシェルの第2方向の略半分に各々接触し、且つ一対のアース端子の当接部同士が当接しているので、一対のアース端子がシェルに接続された状態が安定し、一対のアース端子とシェルとの電気接続の信頼性が向上する。
【0013】
一対のアース端子は係合部を各々さらに有する構成とすることが可能である。係合部は、第1接続部に各々設けられていると良い。一対のアース端子の係合部の一方に係合突部が設けられており、他方に係合孔が設けられた構成とすることが可能である。係合突部が係合孔に係合されていると良い。このような態様のコネクタによる場合、係合突部が係合孔に係合されることによって、一対のアース端子がシェルを挟んで互いに固定されるので、一対のアース端子がシェルに接続された状態がさらに安定し、一対のアース端子とシェルとの電気接続の信頼性がさらに向上する。
【0014】
本発明の接続構造は、上記した何れかの態様のコネクタと、金属筐体とを備えている。金属筐体は、上記した何れかの態様のアース端子に接触している。
【0015】
アース端子が第2接続部を有している場合、金属筐体は、第2方向においてアース端子の第2接続部に接触する構成とすることが可能である。このような態様の接続構造による場合、第2方向から金属筐体をアウターボディの第1部上の第2接続部に容易に接触させ、電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の実施例1に係るコネクタの正面、平面および右側面から表した斜視図である。
図1B】前記コネクタの背面、底面および右側面から表した斜視図である。
図2A】前記コネクタの図1A中の2A−2A断面図である。
図2B】前記コネクタの図1A中の2B−2B断面図である。
図2C】前記コネクタの図1A中の2C−2C断面図である。
図2D】前記コネクタの図1A中の2D−2D断面図である。
図2E】前記コネクタの図1A中の2E−2E断面図である。
図2F】前記コネクタの図1A中の2F−2F断面図である。
図3A】前記コネクタの正面、平面および右側面から表した分解斜視図である。
図3B】前記コネクタの背面、底面および右側面から表した分解斜視図である。
図4】前記コネクタおよび金属筐体の図2Cに対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1を含む複数の実施例に係るコネクタCついて図1A図3Bを参照しつつ説明する。図1A図3Bには、実施例1のコネクタCが示されている。図1A図2Bおよび図3A図3Bに示されるY−Y’方向は、特許請求の範囲の第1方向に相当している。図1A図2Aおよび図2C図3Bに示されるZ−Z’方向は、特許請求の範囲の第2方向に相当しており且つY−Y’方向に直交している。図1A図1Bおよび図2B図3Bに示されるX−X’方向は、Y−Y’方向およびX−X’方向に直交している。
【0019】
コネクタCは、図示しない電子機器の基板上に実装可能なレセプタクルコネクタである。コネクタCは、導電性を有するシェル100を備えている。シェル100は、例えば、金属板(図1A図3B参照)、または、内面または外面に金属が蒸着された樹脂で構成されている。前者の場合、シェル100は、プレス成形品とすることが可能であるが、これに限定されるものではない。シェル100は、第1部101と、第2部102とを有している。第1部101はY−Y’方向に延びた略筒体(例えば、略円筒(楕円筒を含む)または略多角筒)であって、Y方向の第1端部と、Y’方向の第2端部とを有している。第1部101の第1端部は、Y方向に開口している。第2部102は、Z−Z’方向、第1斜め方向または第2斜め方向に延びた略筒体(例えば、略円筒(楕円筒を含む)または略多角筒)であって、第1部101に連通している。なお、第1斜め方向は、Z’方向およびY’方向の成分を含む方向であり、第2斜め方向はZ’方向およびY方向の成分を含む方向である。具体的には、シェル100は、更に以下の1)〜3)の何れかの構成とすることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0020】
1)シェル100が、第1シェル110と、第2シェル120を含む(図1A図3B参照)。第1シェル110は、第1部101と、取付部111と、一対の側壁112とを有している。取付部111は、第1部101の第2端部からY’方向に延びたZ−Z’方向における断面視で略U字状の板である。一対の側壁112は、取付部111のX方向の端、X’方向の端から各々Z’方向に延びている。第2シェル120は、Z−Z’方向に延びており且つ一対の側壁112の間に配置された筒部を有している。第2シェル120は、筒部のY方向側の部分からZ方向に延びるY方向の第1壁と、筒部のY’方向側の部分からZ方向に延びるY’方向の第2壁とをさらに有している。第1壁は一対の側壁112のY方向側で当該側壁112間を塞ぐように配置され、第2壁は一対の側壁112のY’方向側で当該側壁112間を塞ぐように配置されている。第2壁は、取付部111に突き刺さっている。この場合、一対の側壁112および第2シェル120がシェル100の第2部102を構成している。
2)シェル100は、第1シェル110と、第2シェルを含む。2)のシェル100は、第1シェル110の一対の側壁112が省略されており、第2シェルの筒部のZ−Z’方向の寸法が1)のシェル100の第2シェル120の筒部のZ−Z’方向の寸法よりも
大きく、且つ第2シェルの筒部が取付部111に固定されている点で、1)のシェル100と相違している以外、ほぼ同じ構成である。この場合、第2シェルがシェル100の第2部102を構成している。
3)シェル100は、第1シェル110を含む。すなわち、第2シェル120が省略されている。その代わりに、3)のシェル100は、第1シェル110が第1部101の第2端部のZ’方向側の部分からZ’方向に延びた第1壁と、取付部111のY’方向の端からZ’方向に延びた第2壁をさらに有している。第1壁は一対の側壁112のY方向側で当該側壁112間を塞ぐように配置され、第2壁は一対の側壁112のY’方向側で当該側壁112間を塞ぐように配置されている。この場合、一対の側壁112および第1、第2壁がシェル100の第2部102を構成している。
【0021】
上記した何れかの態様のシェル100は、複数の脚部130をさらに有する構成とすることが可能である。脚部130は、第2部102からZ’方向(図1A図3B参照)またはY’方向に延びた構成とすることが可能である。または、複数の脚部130のうちの一または複数の脚部130が、第2部102からX方向に延びており、残りの脚部130が第2部102からX’方向に延びた構成とすることが可能である。脚部130が上記電子機器の基板に接続可能である。なお、脚部130は省略可能である。
【0022】
コネクタCは、インナーボディ200をさらに備えている。インナーボディ200は、絶縁樹脂で構成されており且つシェル100内に配置されている。インナーボディ200は、第1部201と、第2部202とを有している。第1部201は、Y−Y’方向に延びている。第1部201は、Y方向の第1端部と、Y’方向の第2端部とを有している。第1部201は、上記した何れかの態様のシェル100の第1部101および第2部102のZ方向側の部分内に収容保持されている。第1部201の第1端部は、上記した何れかの態様のシェル100の第1部101内に配置されていても良いし、第1部101からY方向に突出していても良い。第1部201の第1端部は、筒状(図2Aおよび図2B参照)、平板状またはブロック状とすることが可能である。第2部202は、第1部201の第2端部からZ’方向、上記第1斜め方向または上記第2斜め方向に延びており且つ上記した何れかの態様のシェル100の第2部102のZ’方向側の部分内に収容保持されている。
【0023】
コネクタCは、少なくとも一つの端子300をさらに備えている。少なくとも一つの端子300は、インナーボディ200に保持され且つシェル100内に配置されている。少なくとも一つの端子300は、第1部301と、第2部302とを有している。第1部301は、Y−Y’方向に延びている。少なくとも一つの端子300の第1部301は、Y方向の第1端部と、Y’方向の第2端部とを有している。少なくとも一つの端子300の第1部301は、上記した何れかの態様のインナーボディ200の第1部201内に保持されている。少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部は、インナーボディ200の第1部201の筒状の第1端部内に配置されていても良い(図1A図3B参照)し、第1部201の平板状またはブロック状の第1端部からY方向に突出していても良いし、第1部201の平板状またはブロック状の第1端部のZ方向側の面またはZ’方向側の面から露出していても良い。第2部302は、第1部301の第2端部からZ’方向、上記第1斜め方向または上記第2斜め方向に延びており且つ上記した何れかの態様のインナーボディ200の第1部201の第2端部および第2部202内に保持されている。第2部302のZ’方向側の端部は、インナーボディ200の第2部202からZ’方向またはY’方向に突出している。この第2部302のZ’方向側の端部が、上記電子機器の基板に接続可能である。
【0024】
端子300は複数とすることが可能である。複数の端子300は、間隔をあけてインナーボディ200に保持されていれば良い。例えば、複数の端子300は、第1部301が正面視(Y方向からみて)において一列でX−X’方向に間隔をあけて配置されるようにインナーボディ200に保持された構成、またはZ−Z’方向の複数列の各々において第1部301が正面視(Y方向からみて)においてX−X’方向に間隔をあけて配置されるようにインナーボディ200に保持された構成とすることが可能である。
【0025】
コネクタCは、アウターボディ400をさらに備えている。アウターボディ400は、絶縁樹脂で構成されている。アウターボディ400は、第1部401と、第2部402と、第1部401および第2部402内に設けられたシェル100を収容保持する収容空間Sとを有している。第1部401は、Y−Y’方向に延びた略筒体(例えば、略円筒(楕円筒を含む)または略多角筒)である。より具体的には、第1部401は、第2部402からY方向に延びていても良い(図1A図3B参照)が、これに限定されるものではない。例えば、第1部401と第2部402との間に、中間部が設けられている場合、第1部401は、中間部からY方向に延びていても良い。第2部402は、矩形状または柱状などのブロックであって、上記電子機器の基板上に載置可能である。第2部402は、下記aおよび/またはb)の構成を有している。
a)第2部402のZ−Z’方向の断面の外形寸法(図2D図2F参照)が第1部401のZ−Z’方向の断面の外形寸法(図2C参照)よりも大きい。
第1、第2部401、402の外形寸法の相違は、下記a−1)またはa−2)によって実現可能であるが、これに限定されるものではない。
a−1)第2部402が矩形状のブロックである一方、第1部401が略円筒状(略楕円筒状を含む。)である。この場合、第2部402のZ−Z’方向の寸法が第1部401のZ−Z’方向の寸法とほぼ同じであり、且つ第2部402のX−X’方向の寸法が第1部401のX−X’方向の寸法とほぼ同じであっても良いが、下記a−2)を兼ねていても良い。
a−2)第2部402のZ−Z’方向の寸法が第1部401のZ−Z’方向の寸法よりも大きくおよび/または第2部402のX−X’方向の寸法が第1部401のX−X’方向の寸法よりも大きい。
b)第2部402のZ−Z’方向の肉厚は第1部401のZ−Z’方向の肉厚よりも大きい。より具体的には、第2部402の肉厚は、第2部402の収容空間Sの内壁面から第2部402の外面までのZ−Z’方向の厚みであり、第1部401の肉厚は、第1部401の収容空間Sの内壁面から第1部401の外面までのZ−Z’方向の厚みである(図2A参照)。なお、収容空間Sの内壁面は、シェル100の第1部101に当接している。
【0026】
収容空間Sは、第1収容空間S1と、第2収容空間S2とを有している。第1収容空間S1は第1部401内に設けられており、Y−Y’方向に延びている。第1収容空間S1の形は、シェル100の第1部101の外形寸法に対応しており、第1収容空間S1がシェル100の第1部101を部分的に収容保持している。第2収容空間S2は第2部402内に設けられており、第1収容空間S1に通じている。第2収容空間S2は、シェル100の第1部101の第1収容空間S1内に収容された部分よりもY’方向側の部分およびシェル100の第2部102を収容している。
【0027】
アウターボディ400の第1部401のY方向側の端部には、第1収容空間S1に連通しており且つY方向に開放された開口410が設けられている。開口410内に、上記した何れかの態様のシェル100の第1部101の第1端部、インナーボディ200の第1部201の第1端部および少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部が収容されていると良いが、これに限定されるものではない。例えば、インナーボディ200の第1部201の第1端部がシェル100の第1部101の第1端部からY方向に突出している場合、開口410内に上記した何れかの態様のインナーボディ200の第1部201の第1端部および少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部が収容された構成とすることが可能である。また、少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部がインナーボディ200の第1部201の第1端部からY方向に突出している場合、開口410内に上記した何れかの態様の少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部が収容された構成とすることが可能である。何れの場合も、開口410内の少なくとも一つの端子300の第1部301の第1端部が図示しない相手方コネクタの端子に接触可能な部分となる。
【0028】
アウターボディ400の第2部402の上記a)の外形寸法を有する部分および/または上記b)の厚肉部には、少なくとも一つの収容孔Hが設けられている。少なくとも一つの収容孔Hは、アウターボディ400の第2部402の外面から収容空間Sの第2収容空間S2まで延びており且つ前記外面から開口している。少なくとも一つの収容孔Hは、Z−Z’方向に延びていても良いし、Z−Z’方向およびY−Y’方向を含む斜め方向に延びていても良いが、これらに限定されるものではない。この少なくとも一つの収容孔Hからシェル100の第1部101がアウターボディ400の第2部402外に部分的に露出している。以下、この露出する部分をシェル100の露出部と称する。
【0029】
コネクタCは、少なくとも一つのアース端子500をさらに備えている。アース端子500は、金属板(例えば、プレス成形品)で構成されており、シェル100の露出部に接触するようにアウターボディ400の収容孔H内に配置されており且つ当該アース端子500の一部がアウターボディ400外に露出または配置されていれば良い。例えば、少なくとも一つのアース端子500は、第1接続部510、第2接続部520および中継部530を有する構成とすることが可能である。
【0030】
第1接続部510は、収容孔Hに沿って延びた板であって、シェル100の露出部に接触するようにアウターボディ400の収容孔H内に収容保持されている。第1接続部510は、接触部511と、接続端部512とを有している。接触部511は、第1接続部510の内側端部に設けられており且つ収容孔H内でシェル100の露出部に接触するものである限りどのような構成であっても良い。例えば、第1接続部510が、シェル100の露出部の一部の形状に応じて凹んだ凹部と、その縁部511aを有する場合、接触部511は、凹部の縁部511aを有する構成とすることが可能である。凹部内にシェル100の露出部の一部が嵌合(fit in)しており、縁部511aがシェル100の露出部の一部に接触している。接触部511は、凹部の縁部511aからY−Y’方向に延びており且つシェル100の露出部に接触するフランジ511b(図2A図2Bおよび図3A図3B参照)をさらに有する構成とすることが可能である。フランジ511bもシェル100の露出部の一部に接触している。縁部511aに加えて、フランジ511bがシェル100の露出部の一部に接触することにより、接触部511とシェル100の露出部との接触面積が増大する。接続端部512は、第1接続部510の外側端部であって、収容孔Hから露出または突出しており且つ中継部530の一端に連接されている。接続端部512は、Z−Z’方向において接触部511よりもシェル100の第1部101から遠くに位置している。なお、フランジ511bは省略可能である。
【0031】
第2接続部520は、アウターボディ400の第1部401上に配置された板状のベース521を有している。ベース521は、アウターボディ400の第1部401のY−Y’方向の一部の外形に対応した形状(例えば、アウターボディ400の第1部401の一部の外形に対応したZ−Z’方向における断面視円弧状、断面視半円弧状、断面視略U字状または断面視略凹字状)であると良いが、これに限定されるものではない。例えば、ベース521は、平板とすることが可能である。ベース521は、接続端部521aを有している。ベース521の接続端部521aは、ベース521のY’方向側の端部であって、中継部530の他端に連接されている。
【0032】
第2接続部520は、少なくとも一つのバネ部522をさらに有する構成とすることが可能である。少なくとも一つのバネ部522は、1)ベース521を切欠いて、アウターボディ400の第1部401から離れるように上記した何れかの態様のベース521からZ−Z’方向に立ち上がった構成、または2)アウターボディ400の第1部401から離れるように上記した何れかの態様のベース521の端からZ−Z’方向に立ち上がった構成とすることが可能である。バネ部522は、一対とすることが可能である。この一対のバネ部522は、X−X’方向において対称形状とすることが可能であるが、形状が相違していても良い。例えば、耐振動性を向上させるために、一対のバネ部522の一方の長さと、他方の長さを相違させても良い。なお、バネ部522は3以上とすることも当然可能であるし、省略することも可能である。
【0033】
中継部530は、第1接続部510の接続端部512から第2接続部520の接続端部521aまで延びた直線状または湾曲した板である。
【0034】
ここで、コネクタCのY−Y’方向の任意の断面(図2Aでは、コネクタCの前記断面は、シェル100の第1部101の中心軸を通る断面であるが、これに限定されない。)において、第1接続部510の接触部511とシェル100の第1部101との間のZ−Z’方向の距離をD1とし、第1接続部510の接続端部512とシェル100の第1部101とのZ−Z’方向の距離をD2とし、第2接続部520のベース521とシェル100の第1部101とのZ−Z’方向の距離をD3とする。D1<D2であり、尚且つD3<D2とすることが可能である。すなわち、D3<D2とするか否かは任意に選択できる。
【0035】
上記した何れの態様であっても、第1接続部510の接触部511は、シェル100の露出部に接触しているため、D1はゼロであり、第1接続部510の接続端部512は、Z−Z’方向において接触部511よりもシェル100から遠くに位置しているため、D1<D2となる。
【0036】
第2接続部520のベース521は、Z−Z’方向において下記1)〜3)の何れかの高さ位置に位置している。
1)第2接続部520のベース521は、Z−Z’方向においてシェル100に対して第1接続部510の接触部511よりも遠く且つ第1接続部510の接続端部512よりも近い高さ位置に位置している(図2A参照)。この場合、D3<D2となる。D3<D2とするために、アウターボディ400の第1部401には、第2接続部520のベース521を収容するための収容凹部420が設けられていても良いが、これに限定されるものではない。すなわち、収容凹部420が省略されても、D3<D2とすることが可能である。
なお、図1A図3Bでは、アウターボディ400の第2部402には、収容凹部420と収容孔Hとを繋ぎ且つ中継部530を収容する通路430が設けられている。この通路430も省略可能である。
2)第2接続部520のベース521は、Z−Z’方向において第1接続部510の接続端部512と同じ高さ位置に位置している。この場合、D3=D2となる。D3=D2とするために、アウターボディ400の第1部401のZ−Z’方向の寸法をアウターボディ400の第2部402のZ−Z’方向の寸法とほぼ同じにしても良いし、第1接続部510のZ−Z’方向の寸法を、接続端部512がベース521とZ−Z’方向において同じ高さ位置に位置するような寸法としても良い。
3)第2接続部520のベース521は、Z−Z’方向において第1接続部510の接続端部512よりも遠い高さ位置に位置している。この場合、D3>D2となる。D3>D2とするために、第1接続部510のZ−Z’方向の寸法を、接続端部512がベース521よりもシェル100の第1部101から遠い高さ位置に位置するような寸法とすると良い。
【0037】
上記した何れかの態様のアース端子500およびアウターボディ400の収容孔Hは、各々一対とすることが可能である。この場合、一対のアース端子500および一対の収容孔Hは以下の構成とすることが可能である。
一対の収容孔Hは、シェル100の露出部の両側で互いに連結し、一つの環状孔とすることが可能であるが、これに限定されるものではない。この環状孔は、アウターボディ400のZ方向およびZ’方向の外面から開口している。
一対のアース端子500は、第1アース端子500および第2アース端子500を含んでいる。第1アース端子500および第2アース端子500の第1接続部510は、上記した凹部、この凹部の縁部511aおよびフランジ511bを各々有している。
【0038】
第1アース端子500の凹部は、シェル100の露出部のZ−Z’方向における断面の外形寸法のうちZ方向側の略半分に応じた形となっており、且つ第1アース端子500の凹部の縁部511aおよびフランジ511b(接触部511)も、シェル100の露出部の前記断面の外形寸法のうちZ方向側の略半分に応じた形状となっている。第1アース端子500の凹部内にシェル100の露出部のZ方向側の略半分が嵌合し、第1アース端子500の凹部の縁部511aおよびフランジ511bがシェル100の露出部のZ方向側の略半分に接触している。
【0039】
第2アース端子500の凹部は、シェル100の露出部の前記断面の外形寸法のうちZ’方向側の略半分に応じた形となっており、且つ第2アース端子500の凹部の縁部511aおよびフランジ511b(接触部511)も、シェル100の露出部の前記断面の外形寸法のうちZ’方向側の略半分に応じた形状となっている。この第2アース端子500の凹部内にシェル100の露出部のZ’方向側の略半分が嵌合し、第2アース端子500の凹部の縁部511aおよびフランジ511bが、シェル100の露出部のZ’方向側の略半分に接触している。なお、第1アース端子500および第2アース端子500のフランジ511bは省略可能である。
【0040】
第1アース端子500の第1接続部510は、第1アース端子500の接触部511の凹部の縁部511aの両側に設けられた当接部513a、513bをさらに有し、第2アース端子500の第1接続部510は、第2アース端子500の接触部511の凹部の縁部511aの両側に設けられた当接部513a、513bをさらに有している。上記一つの環状孔内で、第1アース端子500の当接部513aと第2アース端子500の当接部513bとが互いにZ−Z’方向において当接すると共に、第2アース端子500の当接部513aと第1アース端子500の当接部513bとが互いにZ−Z’方向において当接している(図2Eおよび図2F参照)。これにより、第1アース端子500および第2アース端子500が電気的に接続されている。
【0041】
第1アース端子500および第2アース端子500は、係合部540および係合部550を各々さらに有する構成とすることが可能である。第1アース端子500の係合部540は、第1アース端子500の第1接続部510の当接部513bの近傍部分から第2アース端子500の第1接続部510へ延びており且つ第2アース端子500の第1接続部510に当接している。第2アース端子500の係合部540は、第2アース端子500の第1接続部510の当接部513bの近傍部分から第1アース端子500の第1接続部510へ延びており且つ第1アース端子500の第1接続部510に当接している。以下、第2アース端子500の第1接続部510における第1アース端子500の係合部540が当接する部分を第2アース端子500の第1接続部510の被当接部と称し、第1アース端子500の第1接続部510における第2アース端子500の係合部540が当接する部分を第1アース端子500の第1接続部510の被当接部と称する。第1アース端子500の係合部550は、第1アース端子500の第1接続部510の被当接部に設けられている。第2アース端子500の係合部550は、第2アース端子500の第1接続部510の被当接部に設けられている。係合部540および係合部550の一方に係合突部が設けられており、他方に係合孔が設けられている。係合突部が係合孔に係合されている。具体的には、係合突部が係合孔の縁部に当接している。これにより、第1、第2アース端子500が機械的に接続されている。なお、係合部540および係合部550は省略可能である。
【0042】
第1アース端子500の第2接続部520のベース521は、アウターボディ400の第1部401の上記一部のZ方向側の略半分の外形に対応した形状(例えば、断面視半円弧状、断面視略U字状または断面視略凹字状)とすることが可能であり、第2アース端子500の第2接続部520のベース521は、アウターボディ400の第1部401の上記一部のZ’方向側の略半分の外形に対応した形状(例えば、断面視半円弧状、断面視略U字状または断面視略凹字状)とすることが可能である。
【0043】
アース端子500および収容孔Hが一対であり、且つアウターボディ400が収容凹部420および通路430を有する場合、収容凹部420および通路430も各々一対とすることが可能である。一対の収容凹部420も、アウターボディ400の第1部401の両側で互いに連通し、一つの環状の収容凹部とすることが可能である。この場合、当該一つの収容凹部内で、第1アース端子500のベース521のX方向の端と第2アース端子500のベース521のX方向の端とが互いに当接し、且つ第1アース端子500のベース521のX’方向の端と第2アース端子500のベース521のX’方向の端とが互いに当接している。収容凹部420が省略される場合、アウターボディ400の第1部401の上記一部上で、第1アース端子500のベース521のX方向の端と第2アース端子500のベース521のX方向の端とが互いに当接し、且つ第1アース端子500のベース521のX’方向の端と第2アース端子500のベース521のX’方向の端とが互いに当接していると良い。何れの場合も、第1アース端子500および第2アース端子500の第2接続部520同士が電気的に接続されている。なお、第1アース端子500のベース521のX方向の端と第2アース端子500のベース521のX方向の端とが互いに当接せず、且つ第1アース端子500のベース521のX’方向の端と第2アース端子500のベース521のX’方向の端とが互いに当接しない構成とすることも当然可能である。
【0044】
なお、少なくとも一つのアース端子500は、第1接続部510のみを有する構成とすることが可能である。この場合、第1接続部510の接続端部512は、収容孔Hから露出または突出していれば良い。
【0045】
上記した何れかの態様のコネクタCの少なくとも一つのアース端子500は、上記電子機器の金属筐体10(フレームグランド)に接続可能である。以下、このコネクタCと金属筐体10との接続構造について、図4を参照しつつ詳しく説明する。図4には、実施例1のコネクタCとこれに接続される金属筐体10とが示されている。
【0046】
金属筐体10は、上記電子機器の基板およびこの基板に実装されたコネクタCを収容している。金属筐体10は少なくとも一つの金属板11を有している。金属板11は、上記した何れかの態様のアース端子500に接続されている。具体的には、金属板11は、アース端子500に以下の1)〜3)の何れかのとおりに電気的に接続されている。
【0047】
1)アース端子500が第1接続部510、第2接続部520および中継部530を有し、第2接続部520が少なくとも一つのバネ部522を有する場合、金属板11は、第2接続部520の少なくとも一つのバネ部522にZ−Z’方向において接触している。この場合、少なくとも一つのバネ部522は、金属板11に弾性接触し、ベース521側に弾性変形している。これにより、アース端子500の第2接続部520と金属板11とが少なくとも一つのバネ部522のバネ圧(所定の接点圧)で電気的に接続されている。
2)アース端子500が第1接続部510、第2接続部520および中継部530を有し、第2接続部520がバネ部522を有していない場合、金属板11は、第2接続部520のベース521にZ−Z’方向において接触している。これにより、アース端子500の第2接続部520と金属板11とが電気的に接続されている。
3)アース端子500が第1接続部510のみを有する場合、金属板11は、第1接続部510の接続端部512にZ−Z’方向において接触している。これにより、アース端子500の第1接続部510と金属板11とが電気的に接続されている。
【0048】
金属板11は凹部12およびその縁部12aを有する構成とすることが可能である。金属板11の縁部12aは、アース端子500に以下の1-1)〜1-3)の何れかのとおりに電気的に接続されている。
1-1)凹部12内にコネクタCのアウターボディ400の第1部401の上記一部およびアース端子500の第2接続部520がZ−Z’方向において挿入されている。凹部12の縁部12aが上記1)のとおり、第2接続部520のバネ部522に接触している。
1-2)凹部12内にコネクタCのアウターボディ400の第1部401の上記一部およびアース端子500の第2接続部520がZ−Z’方向において挿入されている。凹部12の縁部12aが上記2)のとおり、第2接続部520のベース521に接触している。
1-3)凹部12内にコネクタCのアウターボディ400およびアース端子500の第1接続部510がZ−Z’方向において挿入されている。凹部12の縁部12aが上記3)のとおり、第1接続部510の接続端部512に接触している。
【0049】
金属筐体10は二つの金属板11を有する構成とすることが可能である。二つの金属板11が、凹部12および縁部12aを各々有していても良い。この場合、二つの金属板11のうちの一方の金属板11の凹部12内にアウターボディ400の第1部401の上記一部のZ方向側の部分および第1アース端子500の第2接続部520がZ’方向側から挿入され、他方の金属板11の凹部12内にアウターボディ400の第1部401の上記一部のZ’方向側の部分および第2アース端子500の第2接続部520がZ方向側から挿入されている。二つの金属板11の凹部12の縁部12aと第1、第2アース端子500の第2接続部520との電気接続は上記1-1)または1-2)のとおりである。
【0050】
二つの金属板11の何れか一方が、凹部12および縁部12aを有し、他方が凹部12を塞ぐ閉塞端(図示せず)を有していても良い。この場合、一方の金属板11の凹部12の縁部12aと第1アース端子500の第2接続部520との電気接続は上記1-1)または1-2)のとおりである。他方の金属板11の閉塞端は、一方の金属板の凹部12を閉塞するようにZ−Z’方向において、一方の金属板11に当接している。他方の金属板11の閉塞端は、上記1)と同様に、第2アース端子500の第2接続部520の少なくとも一つのバネ部522に接触していても良いし、または、上記2)と同様に第2アース端子500の第2接続部520のベース521に接触していても良い。
【0051】
なお、少なくとも一つの金属板11は、少なくとも一つのアース端子500に対して、Z−Z’方向において接触する構成に限定されず、Z−Z’方向以外の方向(例えば、Y−Y’方向に直交する方向の成分を含む方向)において接触していても良い。
【0052】
以上のようなコネクタCは、以下の技術的特徴および効果を奏する。
1)アウターボディ400の第1部401の強度低下を抑制しつつ、アウターボディ400内のシェル100のグランド強化を行うことができる。一般的に、レセプタクルコネクタにおいて、アウターボディの第1部は第2部または第1、第2部の間の中間部からY−Y’方向に延びた筒状であり、尚且つアウターボディの第1部の外形寸法がアウターボディの第2部よりも小さいおよび/またはアウターボディの第1部のZ−Z’方向の肉厚がアウターボディの第2部のZ−Z’方向の肉厚よりも小さい。このため、アウターボディの第1部は、収容孔を設けられる程度の強度を持たせることが困難である。第1部の前述の外形寸法および/または肉厚を大きくすれば、前記強度を持たせることが可能であるが、コネクタが大型化してしまう。その一方で、コネクタCは、アウターボディ400の第2部402の上記a)および/または上記b)の部分に少なくとも一つのアース端子500を収容するための収容孔Hが設けられている。そのため、第1部401の強度低下を抑制しつつ、少なくとも一つのアース端子500がアウターボディ400の収容孔Hから露出または突出する部分に金属筐体10を接触させることによって、アウターボディ400内のシェル100のグランド強化を行うことができる。よって、コネクタCは、所望のEMC(electromagnetic compatibility)特性を得ることが可能になる。なお、第1部401に収容孔を設けるための強度を持たせるために、第1部401を大型化する必要がないので、コネクタCの大型化も抑制することができる。
【0053】
2)少なくとも一つのアース端子500が第2接続部520を有している場合、金属筐体10をZ−Z’方向において第2接続部520に容易に接触させ、両者を電気的に接続させることができる。しかも、第2接続部520は、アウターボディ400の第1部401の一部上に配置されているだけであるので、金属筐体10の金属板11のY−Y’方向の厚みが大きいものであっても、当該金属板11を第2接続部520に接触させることができる。
【0054】
3)少なくとも一つのアース端子500の第2接続部520が少なくとも一つのバネ部522を有している場合、バネ部522が金属筐体10に弾性的に接触するので、第2接続部520と金属筐体10との電気接続の信頼性が向上する。
【0055】
4)少なくとも一つのアース端子500の第1接続部510が、シェル100の第1部101の露出部が嵌合(fit in)する凹部およびその凹部の縁部511a(接触部511)を有している場合、凹部の縁部511aがシェル100の露出部に接触した状態が安定し、縁部511aとシェル100の露出部との電気接続の信頼性が向上する。
【0056】
5)コネクタCが一対のアース端子500を備えており且つ一対のアース端子500が凹部、その凹部の縁部511aおよび一対の当接部513a、513bを有している場合、接触部511とシェル100の露出部との電気接続の信頼性がさらに向上する。シェル100の第1部101の露出部が一対のアース端子500の凹部に各々嵌合(fit in)し、凹部の縁部511aがシェル100の露出部に各々接触し且つ一対のアース端子500の当接部513a、513b同士が各々当接しているので、一対のアース端子500がシェル100に接続された状態が安定するからである。
【0057】
6)コネクタCが一対のアース端子500を備えており且つ一対のアース端子500が凹部、係合部540および係合部550を有している場合、接触部511とシェル100の露出部との電気接続の信頼性がさらに向上する。係合部540および係合部550が互いに係合することによって、一対のアース端子500の第1接続部510がシェル100の露出部をZ−Z’方向に挟んで互いに固定されるので、一対のアース端子がシェルに接続された状態がさらに安定するからである。
【0058】
なお、上記したコネクタおよび接続構造は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0059】
本発明のシェルは、導電性を有しており且つ少なくとも一つの端子を保持したボディを収容し得るものであれば良い。例えば、本発明のシェルは、Y−Y’方向に延びる筒状の第1部のみを有する構成とすることが可能である。すなわち、本発明のシェルの第2部は省略可能である。この場合、本発明のボディは、シェルの第1部に収容され且つ少なくとも一つの端子を保持するものであれば良い。この少なくとも一つの端子は、上記のとおり電子機器の基板に接続されるようになっていても良いし、ケーブルに接続されるようになっていても良い。後者の場合、本発明のコネクタはプラグコネクタとなる。
【0060】
本発明の少なくとも一つのアース端子は、シェルと一体化されているものであっても良い。この少なくとも一つのアース端子は、シェルに連接されている(例えば、シェルの一部を切り欠いたものおよびシェルの端に連接されたものの何れでも良い。)以外、上記何れかの態様のアース端子500とほぼ同じ構成とすることが可能である。本発明の少なくとも一つのアース端子は、金属筐体以外の導電部材に接続され、グランドに接続されるものであっても良い。本発明の少なくとも一つのアース端子の第1接続部は、アウターボディの第2部の収容孔内に収容されていればよく、保持されている必要はない。すなわち、本発明のアース端子は、収容孔外でアウターボディに固定されることによって収容孔に収容された状態が維持された構成としていても良い。なお、本発明のアース端子は、3以上とすることが可能である。この場合、アウターボディの収容孔も3以上とすると良い。アウターボディが収容凹部および通路を有する場合、収容凹部および通路も3以上としても良い。なお、3以上の収容孔の隣り合う収容孔同士を連通させても良い。3以上の収容凹部の隣り合う収容凹部同士を連通させても良い。
【0061】
なお、上記実施例の各態様および設計変形例におけるコネクタおよび接続構造の各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数および配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様および設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。なお、本発明の第1方向は、本発明のアウターボディの第1部が延びる方向である限り任意に設定可能である。本発明の第2方向は、第1方向に直交する限り任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0062】
C:コネクタ
100:シェル
101:第1部
102:第2部
110 :第1シェル
111:取付部
112:側壁
120:第2シェル
130:脚部
H:収容孔
S:収容空間
S1:第1収容空間
S2:第2収容空間
200:インナーボディ
201:第1部
202:第2部
300:端子
301:第1部
302:第2部
400:アウターボディ
401:第1部
402:第2部
410:開口
420:収容凹部
430:通路
500:アース端子
510:第1接続部
511:接触部
511a:縁部
511b:フランジ
512:接続端部
513a:当接部
513b:当接部
520:第2接続部
521:ベース
521a:接続端部
522:バネ部
530:中継部
540:係合部
550:係合部
10:金属筐体
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4