(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上筒体載置工程時に、前記被覆筒の上端開口縁と、前記新たな上筒体と、により弾性変形可能なシール材を、上下方向に挟み込み圧縮変形させることを特徴とする請求項5に記載の人孔の更生方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の人孔では、下筒体の上端開口縁に上筒体が直接載置されているので、地上から上筒体に加えられた荷重が、下筒体に直に伝わることとなり、下筒体の耐久性に懸念があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、地上から上筒体に加えられた荷重が、下筒体に伝わるのを抑制することができる人孔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る人孔は、地中に埋設され、上下方向に延びる筒状の下筒体と、前記下筒体上に配設され、地面に開口する上端開口部が蓋体によって閉塞される上筒体と、を備えた人孔であって、前記下筒体の内周面を覆い、上端部が前記下筒体から上方に突出する被覆筒と、前記被覆筒の上部における径方向の外側に配設された介在層と、前記介在層の上面に載置され、前記被覆筒の上端部を径方向の外側から囲繞する環状の台座と、を備え、前記上筒体は、前記台座の上面に載置されていることを特徴とする。
【0007】
この場合、下筒体の上端部と上筒体の下端部との間に、介在層が配設されているので、地上から上筒体に荷重が加えられると、この荷重が台座を介して介在層に伝わることとなる。そして、介在層が存在することで、前記荷重を分散もしくは吸収することが可能になり、前記荷重が下筒体に伝わるのを抑制することができる。
【0008】
また、下筒体の内周面が被覆筒により覆われているので、下筒体の内周面が、人孔内の液体や気体等に接するのを防ぐことが可能になり、下筒体の内周面が腐食するのを抑えることができる。
さらに、被覆筒の上端部が下筒体から上方に突出し、この上部における径方向の外側に介在層が配設されているので、介在層が被覆筒によって径方向の内側から支持されることとなり、下筒体の上端開口部から下筒体の内部に介在層が流入するのを防ぐことができる。またこのように、介在層が被覆筒の径方向の外側に配設されているので、介在層に人孔内の液体や気体等が接するのを抑えることができる。
【0009】
前記台座と前記被覆筒との間の径方向の隙間には、水膨張性を備えた止水材が配設されてもよい。
【0010】
この場合、台座と被覆筒との間の径方向の隙間に、水膨張性を備えた止水材が配設されている。このため、止水材が、被覆筒の内側から前記径方向の隙間に進入した水や、台座の上下方向又は径方向の外側から、台座の内側に侵入した水を含むことで膨張し、台座の内周面と、被覆筒の外周面と、の間に径方向に圧縮変形されることで、止水材がシール性を発揮することができる。よって、台座の内径および被覆筒の外径の寸法精度を高くする必要が無い。
また、止水材が、台座と被覆筒との間の径方向の隙間に配設されていることから、仮に地面の沈下等により、台座および被覆筒が、上下方向に相対変位した場合であっても、止水材が過度に圧縮変形して押しつぶされることがなく、止水材によるシール性を維持することができる。
【0011】
また、止水材が水膨張性によりシール性を発揮するため、台座と被覆筒との間の径方向の隙間の大きさが、周方向の位置により仮にばらつく場合であっても、前記隙間を止水材の膨張により確実にシールすることが可能になる。これにより、台座および被覆筒の寸法管理を容易に行うことができる。
また、止水材が台座の内周面、および被覆筒の外周面に対して接着されることなく当接していることから、例えば止水材が、台座の内周面、および被覆筒の外周面に接着されている構成と異なり、仮に地上からの振動、又は地震の揺れが、止水材に加えられたとしても、止水材のうち、台座の内周面、および被覆筒の外周面との当接部分の接着が剥がれて隙間が生じるようなことが無く、台座と被覆筒との間の径方向の隙間を確実にシールすることができる。
【0012】
前記被覆筒の上端部と、前記上筒体の下端部と、の間には、上下方向の隙間が設けられ、前記隙間には、弾性変形可能なシール材が配設されてもよい。
【0013】
この場合、地上からの振動、又は地震の揺れが、上筒体および下筒体に加えられたり、地盤の沈下が生じたりすることで、上筒体および下筒体の上下方向の相対的な位置が変位した場合であっても、この変位に追従してシール材が弾性変形することで、被覆筒と上筒体との間のシール性を維持することができる。
【0014】
前記台座と前記被覆筒と間の径方向の隙間には、間詰材が充填されてもよい。
【0015】
この場合、台座と被覆筒との間の径方向の隙間に間詰材が充填されるので、台座の内径および被覆筒の外径の寸法精度を高くする必要が無く、台座および被覆筒の加工を容易に行うことができる。
【0016】
また、前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る人孔の更生方法は、地面に開口する上端開口部が蓋体によって閉塞される上筒体を、地中に埋設され、上下方向に延びる筒状の下筒体上から撤去する撤去工程と、前記下筒体の内周面を、上端部が前記下筒体から上方に突出した被覆筒により覆う被覆工程と、前記被覆筒の上部における径方向の外側に、介在層を配設する配設工程と、前記介在層の上面に、前記被覆筒の上端部を径方向の外側から囲繞する環状の台座を載置する台座載置工程と、前記台座の上面に、前記上筒体よりも上下方向の長さが短い新たな上筒体を載置する上筒体載置工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この場合、配設工程の前の被覆工程時に、被覆筒の上端部を下筒体から突出させているので、配設工程時に、被覆筒の上端部により、介在層を径方向の内側から支持することが可能になる。このため、下筒体の上端開口部から、下筒体の内部に介在層が流入するのを防ぐことができ、配設工程を容易に行うことができる。
【0018】
前記上筒体載置工程時に、前記台座と前記被覆筒との間の径方向の隙間に、水膨張性を備えた止水材を配設してもよい。
この場合、台座と被覆筒との間の径方向の隙間に配設した止水材が水分を含むことで、この止水材にシール性を発揮させることができるので、例えば止水材を、台座の内周面、および被覆筒の外周面に接着することでシール性を発揮させる構成と比較して、止水材の配設作業を容易に行うことができる。
【0019】
前記上筒体載置工程時に、前記被覆筒の上端開口縁と、前記新たな上筒体と、により弾性変形可能なシール材を、上下方向に挟み込み圧縮変形させてもよい。
【0020】
この場合、例えば被覆筒の上端開口縁にシール材を載置した後に、上筒体載置工程時に、台座の上面に上筒体を載置することで、被覆筒の上端開口縁と上筒体とにより、シール材が上下方向に圧縮変形し、被覆筒の上端開口縁と上筒体との間がシールされる。これにより、例えば人孔内に作業者が入り込んで、被覆筒の上端開口縁と上筒体との間にシール材を配設する必要が無く、シール作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、地上から上筒体に加えられた荷重が、下筒体に伝わるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、
図1および
図2を参照し、本発明の第1実施形態に係る人孔1について説明する。
人孔1は、地中に埋設され、上下方向に延びる筒状の下筒体10と、下筒体10上に配設され、地面Gに開口する上端開口部が蓋体(不図示)によって閉塞される上筒体20と、を備えている。
以下の説明において、上下方向から見た平面視で、上筒体20の上端部における中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、中心軸線O周りに周回する方向を周方向という。
【0024】
図1に示すように、上筒体20は、縦断面視において、内周面の中心が、外周面の中心よりも径方向のうちの一方側に偏心している環状の頂版21と、頂版21の上面に載置され、上端部が下端部よりも縮径された筒状の斜壁部22と、斜壁部22の上端部上に載置された調整部材23と、調整部材23上に載置された蓋受け枠24と、を備えている。
頂版21の上面における開口周縁部には、下方に向けて窪み、かつ全周にわたって延びる凹部25が形成されている。凹部25は径方向の内側に向けて開口している。凹部25内に、中間スラブ26が設置されている。
【0025】
斜壁部22は、頂版21上に載置される下壁部22Aと、下壁部22A上に載置される中間壁部22Bと、中間壁部22B上に載置される上壁部22Cと、を備えている。図示の例では、下壁部22A、中間壁部22B、および上壁部22Cはそれぞれ、別体に形成され、外周面に配設された固定部材(図示せず)により、互いに固定されている。なお、前記固定方法については特に限定されない。下壁部22A、中間壁部22B、および下壁部22Aは一体に形成されてもよい。これらはモルタルやコンクリートでできているが、樹脂やFRPなどの複合材からできていてもよい。
【0026】
下壁部22Aの内周面の中心は、頂版21の内周面の中心と同軸上に配置されている。また、下壁部22Aの内径と頂版21の内径とが互いに一致している。このため、下壁部22Aおよび頂版21それぞれの内周面は、上下方向に面一に連なっている。下壁部22Aは、上下方向の全長にわたって、外径および内径がそれぞれ同一寸法で形成された円筒形状をなしている。
中間壁部22Bは、上方に向かうに従い漸次、外径および内径が縮径している。図示の例では、中間壁部22Bのうち、径方向のうちの他方側に位置する部分の外径および内径が、上方に向かうに従い漸次、縮径している。なお、中間壁部22Bは、径方向の両側が、上方に向かうに従い漸次、縮径していてもよいし、縮径せず、上下方向の全域にわたって同一径の円筒形状であってもよい。
【0027】
中間壁部22Bの上端開口縁には、下方に向けて窪み、かつ全周にわたって延びる凹部25が形成されている。凹部25は径方向の内側に向けて開口している。凹部25内には、中間スラブを設置可能となっている。
上壁部22Cは、上下方向の全長にわたって、外径および内径がそれぞれ同一寸法で形成されている。上壁部22Cの上端開口縁には、下方に向けて窪み、かつ全周にわたって延びる凹部25が形成されている。凹部25は径方向の内側に向けて開口している。凹部25内には、中間スラブを設置可能となっている。上壁部22Cの上下方向の大きさにより、蓋受け枠24の地面Gに対するおおまかな高さを調整する。
【0028】
調整部材23は、蓋受け枠24の地面Gに対する高さを微調整するための部材であり、周方向に間隔をあけて複数配設されている。複数の調整部材23それぞれにおける径方向の外側を向く外面、および径方向の内側を向く内面は、上壁部22Cの外周面および内周面と、それぞれ面一となっている。
蓋受け枠24は上面視で円形状をなし、中心軸線O1と同軸上に配置されている。蓋受け枠24の内周面と調整部材23の内面とが、面一となっている。蓋受け枠24の上端開口は地面Gに開口している。蓋受け枠24の上端開口縁には、蓋体が収容される蓋収容部24Aが形成されている。
【0029】
本実施形態では、人孔1は、下筒体10の内周面を覆い、上端部が下筒体10から上方に突出する被覆筒30と、被覆筒30の上部における径方向の外側に配設された介在層40と、介在層40の上面に載置され、被覆筒30の上端部を径方向の外側から囲繞する環状の台座50と、を備えている。被覆筒30、介在層40、および台座50は、互いに同軸上に配置されている。
【0030】
被覆筒30は、例えばFRPなどの繊維強化樹脂等からなる円筒体である。被覆筒30は、下筒体10と同軸上に配設されている。被覆筒30は、下筒体10の内周面と径方向に隙間をあけて配設されている。被覆筒30の外周面と下筒体10の内周面との間の径方向の隙間には、例えばモルタル材等の充填材31が充填されている。被覆筒30は、上下方向の全長にわたって、外径および内径がそれぞれ同一寸法となっている。被覆筒30は、耐食性に優れた材料により形成されている。
【0031】
介在層40は、土砂および砕石により流動可能に形成されている。図示の例では、介在層40は上下方向に2層をなしており、下側に位置する土砂層41が周囲の土砂と一体に形成され、土砂層41の上側に位置する砕石層42は、土砂層41よりも粒度の大きい砕石により形成されている。土砂層41および砕石層42はそれぞれ、被覆筒30の外周面に当接している。
【0032】
土砂層41および砕石層42は、被覆筒30の周囲の所定範囲において、上下方向から見た平面視で下筒体10を覆う大きさに形成されている。図示の例では、砕石層42は環状をなしている。土砂層41の上下方向の厚さは、砕石層42よりも大きくなっている。なお、土砂層41の組成を、周囲の土砂の組成と異ならせてもよい。このような場合には、土砂層41を砕石層42と同等の大きさの環状に形成してもよい。
前述のように、介在層40を粒度の大きな材料を上側にして配設することにより、粒度の小さな材料を上側に配設するような構成と比較して、台座50に上筒体20の荷重がかかった際に、台座50の沈下量を抑えることができる。
【0033】
台座50は、被覆筒30と同軸上に配設されている。台座50は介在層40のうち、砕石層42の上面に載置されている。台座50の径方向の大きさは、砕石層42よりも小さくなっている。換言すると、台座50の外周面は、砕石層42の外周面よりも径方向の内側に位置している。台座50の内径は、被覆筒30の外径よりも大きく、下筒体10の内径と同一の寸法になっている。
台座50の内周面は、被覆筒30の外周面と、径方向に隙間を空けて対向している。台座50の上端部は、被覆筒30の上端部よりも上方に突出している。台座50の上面に、上筒体20が載置されている。図示の例では、上筒体20の頂版21が、台座50の上面に載置されている。なお、台座50の内径は、下筒体10の内径と同一の寸法にする必要はない。台座50の位置決めを容易にしたり、被覆筒30へ干渉するおそれをなくしたりするためには、台座50の内径が下筒体10の内径と同一かそれ以上であることが好ましい。
【0034】
被覆筒30の上端部と、上筒体20の下端部と、の間には、上下方向の隙間が設けられている。この隙間には、弾性変形可能なシール材60が上下方向に圧縮変形された状態で配設されている。シール材60は、独立気泡スポンジ61と、独立気泡スポンジ61の上面に塗布された接着性を備えたシール部材62(
図2参照)と、により形成されている。独立気泡スポンジ61の下面は、接着剤により、被覆筒30の上端開口縁に接着されている。シール部材62は、上筒体20における頂版21の下面に接着されている。
なお、シール材60としては、例えば合成樹脂材料やその他の材料であってもよいし、上下方向に圧縮変形されることなく、前記隙間に配設されてもよい。
【0035】
図1に示すように、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間には、間詰材70が充填されている。間詰材70は、例えば速硬性のモルタル材により形成されている。間詰材70は、被覆筒30と同軸上に配置された環状をなしている。間詰材70は、頂版21の下面と、上下方向に隙間を空けて対向している。なお、間詰材70は、頂版21の下面と当接していてもよい。
【0036】
次に、以上のように構成された人孔の更生方法について説明する。本実施形態に係る人孔の更生方法としては、地中に埋設され、上下方向に延びる筒状の下筒体10と、下筒体10上に配設され、地面Gに開口する上端開口部が蓋体によって閉塞された図示しない上筒体と、を備えた既設の人孔に対して行われる方法について説明する。
本実施形態に係る人孔の更生方法は、既設の前記上筒体を、下筒体10上から撤去する撤去工程と、下筒体10の内周面を、上端部が下筒体10から上方に突出した被覆筒30により覆う被覆工程と、被覆筒30の上部における径方向の外側に、介在層40を配設する配設工程と、介在層40の上面に、被覆筒30の上端部を径方向の外側から囲繞する環状の台座50を載置する台座載置工程と、台座50の上面に、既設の前記上筒体よりも上下方向の長さが短い新たな上筒体20を載置する上筒体載置工程と、を備えている。
【0037】
撤去工程では、まず、既設の人孔の周囲の地面Gを掘削する。この際、
図2に示すように、上下方向から見た平面視で、下筒体10よりも所定寸法広い範囲を、下筒体10の上端開口縁と同じ高さまで掘削する。次に、上筒体20を撤去する際には、上筒体20から蓋体を撤去した後に、上筒体20のうち、蓋受け枠24、調整部材23、斜壁部22、および頂版21を、この順に撤去する。なお、上筒体20の一部又は全部を一体のまま一度に撤去してもよい。その後、下筒体10の内周面を高圧洗浄する。また、下筒体10の内周面に取付けられた足かけ金物等を撤去する。
【0038】
被覆工程では、まず、被覆筒30を下筒体10の内部に挿入するように吊り下ろし、被覆筒30を所定位置で支持固定する。この際、被覆筒30の外周面と下筒体10の内周面との間に径方向の隙間を空けた状態で、被覆筒30の上端部を、下筒体10から上方に突出させる。次に、被覆筒30と下筒体10との間の径方向の隙間に、充填材31を充填する。充填材31は、上面が下筒体10の上端開口縁と同じ高さになるように充填される。
【0039】
配設工程では、まず、介在層40のうちの土砂層41の埋戻し作業として、撤去工程で掘削した領域に、周囲と同じ土砂を土砂層41の高さに合わせて埋め戻す。次に、土砂層41の上方に、砕石層42の配設作業として砕石を配設する。この際、介在層40の上下方向の厚さとしては、台座50を介在層40の上面に載置した際に、台座50が被覆筒30の上端開口縁から15〜20mm高くなるように設定するのが好ましい。
台座載置工程では、まず、介在層40のうちの砕石層42の上面に台座50を載置する。次に、台座50の内周面と、被覆筒30の外周面との間の径方向の隙間に、間詰材70を充填する。
【0040】
上筒体載置工程では、まず、シール材60における独立気泡スポンジ61の下面に接着剤を塗布したうえで、独立気泡スポンジ61を、被覆筒30の上端開口縁の全周にわたって配設する。次に、台座50の上面に新たな上筒体20における頂版21を載置する。新たな上筒体20の上下方向の大きさは、既設の上筒体よりも、介在層40および台座50の上下方向の大きさの和と同等分小さくなっている。
なお、独立気泡スポンジ61を、シール部材62により上筒体20における頂版21の下面に接着したのちに、頂版21を台座50の上面に載置してもよい。
【0041】
本実施形態では、被覆筒30の上端開口縁と、新たな上筒体20と、によりシール材60を上下方向に挟み込み圧縮変形させる。これにより、シール材60における独立気泡スポンジ61の下面に塗布された接着剤と、接着性を備えたシール部材62と、により独立気泡スポンジ61が、被覆筒30の上端開口縁と、上筒体20における頂版21の下面とに圧着される。
その後、頂版21上に、斜壁部22、調整部材23、蓋受け枠24、および蓋体をこの順に載置し、地面Gまで埋戻しを行う。最後に、地面Gの路面の修復を行うことで、人孔の更生作業が終了する。なお、調整部材23はリング体などの成形品であってもよいし、施工現場でモルタルやコンクリートなどを上壁部22Cの上に盛って固めるような構成であってもよい。後者の方が現場での高さ調整がしやすく好ましい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る人孔1によれば、下筒体10の上端部と上筒体20の下端部との間に、介在層40が配設されているので、地上から上筒体20に荷重が加えられると、この荷重が台座50を介して介在層40に伝わることとなる。そして、介在層40が存在することで、前記荷重を分散もしくは吸収することが可能になり、前記荷重が下筒体10に伝わるのを抑制することができる。
【0043】
下筒体10の内周面が被覆筒30により覆われているので、下筒体10の内周面が、人孔1内の液体や気体等に接するのを防ぐことが可能になり、下筒体10の内周面が腐食するのを抑えることができる。
さらに、被覆筒30の上端部が下筒体10から上方に突出し、この上部における径方向の外側に介在層40が配設されているので、介在層40が被覆筒30によって径方向の内側から支持されることとなり、下筒体10の上端開口部から下筒体10の内部に介在層40が流入するのを防ぐことができる。またこのように、介在層40が被覆筒30の径方向の外側に配設されているので、介在層40に人孔1内の液体や気体等が接するのを抑えることができる。
【0044】
被覆筒30の上端部と、上筒体20の下端部と、の間には、上下方向の隙間が設けられ、前記隙間には、弾性変形可能なシール材60が配設されているので、地上からの振動、又は地震の揺れが、上筒体20および下筒体10に加えられたり、地盤の沈下が生じたりすることで、上筒体20および下筒体10の上下方向の相対的な位置が変位した場合であっても、この変位に追従してシール材60が弾性変形することで、被覆筒30と上筒体20との間のシール性を維持することができる。
【0045】
台座50と被覆筒30と間の径方向の隙間には、間詰材70が充填されているので、台座50の内径および被覆筒30の外径の寸法精度を高くする必要が無く、台座50および被覆筒30の加工を容易に行うことができる。
本実施形態に係る人孔の更生方法によれば、配設工程の前の被覆工程時に、被覆筒30の上端部を下筒体10から突出させているので、配設工程時に、被覆筒30の上端部により、介在層40を径方向の内側から支持することが可能になる。このため、下筒体10の上端開口部から、下筒体10の内部に介在層40が流入するのを防ぐことができ、配設工程を容易に行うことができる。
【0046】
また、上筒体載置工程時に、被覆筒30の上端開口縁と、新たな上筒体20と、により弾性変形可能なシール材60を、上下方向に挟み込み圧縮変形させるので、例えば被覆筒30の上端開口縁にシール材60を載置した後に、上筒体載置工程時に、台座50の上面に上筒体20を載置することで、被覆筒30の上端開口縁と上筒体20とにより、シール材60が上下方向に圧縮変形し、被覆筒30の上端開口縁と上筒体20との間がシールされる。
これにより、例えば人孔1内に作業者が入り込んで、被覆筒30の上端開口縁と上筒体20との間にシール材60を配設する必要が無く、シール作業を容易に行うことができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、
図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る人孔2について説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0048】
図4に示すように、本実施形態に係る人孔2では、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間には、水膨張性を備えた止水材80が配設されている。止水材80として、水分を含むことで膨張する水膨張性のスポンジを採用することができる。図示の例では、止水材80は、水膨張性ウレタンフォームとなっている。
止水材80は、上筒体載置工程時に台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に配設される。
【0049】
止水材80は、台座50の内周面、および被覆筒30の外周面に、接着されることなく配設されている。このように、止水材80が、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に配設されているので、本実施形態に係る人孔2では、被覆筒30の上端部と、上筒体20の下端部と、の間の上下方向の隙間に、シール材60が配設されていない。
また本実施形態に係る人孔2では、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に間詰材70が充填されていない。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る人孔2によれば、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に、水膨張性を備えた止水材80が配設されている。このため、止水材80が被覆筒30の内側から径方向の隙間に進入した水や、台座50の上下方向又は径方向の外側から、台座50の内側に侵入した水を含むことで膨張し、台座50の内周面と、被覆筒30の外周面と、の間に径方向に圧縮変形されることで、止水材80がシール性を発揮することができる。よって、台座50の内径および被覆筒30の外径の寸法精度を高くする必要が無い。
また、止水材80が、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に配設されていることから、仮に地面の沈下等により、台座50および被覆筒30が、上下方向に相対変位した場合であっても、止水材80が過度に圧縮変形して押しつぶされることがなく、止水材80によるシール性を確実に維持することができる。
【0051】
また、止水材80が水膨張性によりシール性を発揮するため、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間の大きさが、周方向の位置により仮にばらつく場合であっても、前記隙間を止水材80の膨張により確実にシールすることが可能になる。これにより、台座50および被覆筒30の寸法管理を容易に行うことができる。
また、止水材80が台座50の内周面、および被覆筒30の外周面に対して接着されることなく当接していることから、例えば止水材80が台座50の内周面、および被覆筒30の外周面に接着されている構成と異なり、仮に地上からの振動、又は地震の揺れが、止水材80に加えられたとしても、止水材80のうち、台座50の内周面、および被覆筒30の外周面との当接部分の接着が剥がれて隙間が生じるようなことが無く、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間を確実にシールすることができる。
また、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に配設した止水材80が水分を含むことで、この止水材80にシール性を発揮させることができるので、例えば止水材80を、台座50の内周面、および被覆筒30の外周面に接着することでシール性を発揮させる構成と比較して、止水材80の配設作業を容易に行うことができる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、
図3に示すように、上記第1実施形態に係る人孔1の変形例では、人孔1Bの上筒体20が、頂版21を備えていない。また、上筒体20における斜壁部22が、下壁部22Aを備えていない。このような構成を採用することで、人孔1を上下方向および径方向にコンパクトな構成とすることができる。
【0054】
また、
図5および
図6に示すように、上記第2実施形態に係る人孔2の変形例では、人孔2B、2Cにおける台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に、間詰材70が充填されている。間詰材70は、例えば速硬性のモルタル材により形成されている。間詰材70は、被覆筒30と同軸上に配置された環状をなしている。間詰材70は、
図5に示すように止水材80の下方に充填してもよいし、
図6に示すように、止水材80の上方に充填してもよい。
【0055】
また、上記各実施形態においては、頂版21の上面における開口周縁部に凹部25が形成され、凹部25内に中間スラブ26を設置した構成を示したが、このような態様に限られない。頂版21に凹部25を形成せず、中間スラブ26を設置しなくてもよい。
また、上記各実施形態においては、被覆筒30の上端部と、上筒体20の下端部と、の間に、上下方向の隙間が設けられ、この隙間に、弾性変形可能なシール材60が配設されている構成を示したが、このような態様に限られない。シール材60は上下方向に圧縮変形されることなく、被覆筒30の上端部と、上筒体20の下端部と、の間の上下方向の隙間に配設されてもよい。また、シール材60が前記隙間に配設されなくてもよい。
【0056】
また、上記第1実施形態においては、台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に、間詰材70が充填されている構成を示したが、このような態様に限られない。台座50と被覆筒30との間の径方向の隙間に、間詰材70が充填されなくてもよい。
【0057】
また、上記各実施形態においては、人孔の更生方法として、下筒体10と上筒体20とを備えた既設の人孔に対して行われる方法について説明したが、このような態様に限られない。人孔の更生方法としては、上端部が下筒体10から上方に突出する被覆筒30と、被覆筒30の上部における径方向の外側に配設された介在層40と、介在層40の上面に載置された台座50と、を備えた人孔1を新設する作業として行ってもよい。
また、上記各実施形態においては、人孔の更生方法として、既設の下筒体10を撤去せず、再利用する方法を説明したが、既設の下筒体10を撤去して新しい下筒体10を設置してもよい。この場合であっても上筒体20の荷重が下筒体10に伝わるのを抑制することができる。これにより、下筒体10の耐久性を容易に確保することができる。さらに下筒体10の耐久性が確保されることで、下筒体10の強度劣化を考慮する負担を抑えることができ、設計がより簡単になる。
【0058】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。