【実施例】
【0019】
(実施例1)
図1(a)、(b)は、連結される二枚の壁パネル1、2を示している。この実施例1では、壁パネルは、浴室の壁を構成する壁パネルを例として説明する。本明細書では、壁パネルおよび後記する連結材等について、浴室内側を正面側とも言い、浴室外側を背面側とも言う。また、本明細書での左右については、浴室内側(正面側)から見て、左右側をそれぞれ左右側と言う。
【0020】
図1(a)、(b)において、左右二枚の壁パネル1、2が、互いに連結される側端部が対面するように、隣接して並べた状態を示している。左右の壁パネル1、2は、
図1(b)に示すように、それぞれその側端部において浴室外側に折り曲げられて起立した端面3が形成されており、さらに端面3の先端がレ状に折り返され折り返し部分4が形成されている。
【0021】
なお、左右の壁パネル1、2を連結する際には、端面3からその折り返し部分4に沿って、より止水性を向上させるために、
図5(a)、(b)に示すように、モールに比べて構造が簡単な止水パッキン5を装着しておく。
【0022】
左右の壁パネル1、2は、
図2に示すような連結材で連結される。連結材は、二つの連結材9、10から構成される。二つの連結材9、10のうち、一方の連結材9は、
図2(a)、(b)に示すが、突起部13が設けられており、ここでは突起部付き連結材9と言う。
【0023】
突起部付き連結材9は、
図2(a)、
図5(a)、(b)に示すように、壁パネル2と当接する壁当接部14と、連結材10と連結材同士が接続される連結材接続部15を備え、壁当接部14は、壁パネル2の端面3(壁パネル2の側端部近傍に相当する)に当接する折り返し壁16を備えている。
【0024】
突起部13は、
図2(a)、
図5(a)、(b)に示すように、小径部20と大径部21から成り、小径部20が連結材接続部15に固定されて、大径部21が連結材接続部15の背面側に位置するように設けられている。
【0025】
他方の連結材10は、
図2(c)、(d)に示すが、突起部13が嵌合する溝部25が形成されており、ここでは溝部付き連結材10と言う。
【0026】
溝部付き連結材10は、
図2(c)、
図5(a)、(b)に示すように、壁パネル1と当接する壁当接部26と、突起部付き連結材9と連結材同士が接続される連結材接続部27を備え、壁当接部26は、壁パネル1の端面3(壁パネル1の側端部近傍に相当する)に当接する折り返し壁28を備えている。
【0027】
溝部付き連結材10の連結材接続部27は、連結に際しては、後記するが、突起部付き連結材9の連結材接続部15に背面側(浴室外側)から当接するように重なる(
図5(a)、(b)参照)。
【0028】
この溝部付き連結材10の連結材接続部27の端部には、浴室内側方向に折り返す連結材位置決め部29が設けられている。溝部25は、溝部付き連結材10の連結材接続部27に設けられ、上下方向に伸び浴室の内外方向へ貫通して形成されており、
図3(a)に示すように、太幅の突起部挿入部33と、突起部保持部34と、細溝部35と、を備えている。
【0029】
突起部挿入部33は、突起部13の大径部21より若干大きく形成されており、突起部13の大径部21が挿通可能である。突起部保持部34と細溝部35は、突起部13の大径部21より細幅であって、突起部13の小径部20より太幅に形成されており、突起部13の大径部21は突起部保持部34と細溝部35から抜け出ず、突起部13の小径部20は、突起部保持部34と細溝部35に沿って移動可能なように挿通される。
【0030】
突起部保持部34の下方に細溝部35が形成されている。細溝部35は、下方に向かうほど左右の壁パネル1、2同士が近寄る方向に傾斜して形成されている。換言すると、細溝部35は、突起部付き連結材9が溝部付き連結材10に対して下方に移動すると、突起部付き連結材9が溝部付き連結材10に近寄るように、傾斜して形成されている。
【0031】
より具体的には、細溝部35は、下方に向かうほど、溝部付き連結材10における連結材位置決め部29とは反対方向に向けて傾斜して形成されている。即ち、細溝部35は、
図2(d)、
図3(a)、
図4(a)等に示すように浴室の背面側から見ると、下方に向かうほど右方向に傾斜して(右下方向に向けて)形成されている。
【0032】
このような構成とすることにより、後記するが、
図4(c)に示すように、突起部付き連結材9が下方に向けて叩かれ、突起部13が細溝部35内を下方に移動すると、
図5(a)の状態から
図5(b)の状態に示すように、突起部付き連結材9および右側の壁パネル2を、溝部付き連結材10および左側の壁パネル1に寄せるように移動させることが可能となる。
【0033】
なお、溝部の変形例を
図3(b)と
図3(c)、(d)にそれぞれ示す。突起部保持部34は、突起部13を突起部挿入部33から嵌合して下降させてから、突起部付き連結材9を、一旦、保持することができるので、壁パネル1、2の位置を調整する等の作業をするために都合がよいが、必ずしも必要ではなく、
図3(b)に示す変形例の溝部40は、突起部保持部34がなく、突起部挿入部33から斜め下方に向けて細溝部35が形成されている構成である。
【0034】
また、
図3(c)に示す他の変形例の溝部41は、太幅の突起部挿入部33はなく、細溝部42のみからから成り、上下方向に伸びる上部とその下端から下方斜めに伸びる傾斜部とから成る。
【0035】
この他の変形例の溝部41では、突起部付き連結材9の連結材接続部15に対して、突溝部付き連結材10の連結材接続部27を外側から当接した状態で、突起部13の小径部20を、溝部41の上部を通して突起部付け連結材9の連結材接続部15の固定孔43に、例えばリベット打ち込み機で打ち込んで、背面側から固定する。
【0036】
(作用)
以上の構成から成る連結材9、10によって、左右の壁パネル1、2を連結する工程および接続構造について、以下説明する。
【0037】
左側の壁パネル1を浴室パン(図示せず)等の床部材上に配置する。そして、溝部付き連結材10を
図5(a)に示すように、その折り返し壁28を左側の壁パネル1の端面3に内側から当接した状態で嵌合して配置する。
【0038】
さらに、突起部付き連結材9を、溝部付き連結材10の連結材位置決め部29に内側から沿うようにし、突起部13を突起部挿入部33から浴室の外側方面に向けて挿入し、
図4(a)、
図5(a)に示すような状態に嵌合して配置する。その後に、
図5(a)に示すように右側の壁パネル2を配置する。
【0039】
この
図4(a)に示す状態に突起部付き連結材9を配置すると、突起部付き連結材9の自重で
図4(b)に示すように突起部13は突起部保持部34の位置まで移動する。
【0040】
突起部保持部34が形成されていないと、突起部付き連結材9は、その自重によって
図4(c)の位置まで降下してしまうことがあり、そのようなことが生じると、右側の壁パネル2を配置することができない。
【0041】
しかし、突起部保持部34を設けることにより、突起部保持部34において、突起部付き連結材9が自重で下方に落下しないように一旦保持できるので、右側の壁パネル2を左側の壁パネル1と並べて配置した状態で壁パネル1、2の若干移動が可能であり、壁パネル1、2の位置の調整等の作業がし易い。
【0042】
図4(b)の状態から突起部付き連結材9をわずかに右横方向にずらし、上方から木槌等で下方に向けて叩くと、突起部13を、
図4(c)に示すように、突起部保持部34からその下方の傾斜した細溝部35内を移動させるとともに、突起部付き連結材9を、
図5(a)の位置から左方向(
図4(c)では背面側から見て右下方向)に移動させる。
【0043】
このように移動すると、突起部付き連結材9の折り返し壁16が右側の壁パネル2の端面3に当接し、左側に押して、
図5(b)に示すように、左側のパネル1の端面3に当接し押圧するように寄せて、左右の壁パネル1、2を連結する。
【0044】
この接続構造では、突起部付き連結材9は、その自重により常時、溝部内の突起部13を介して、右側の壁パネル2を左側の壁パネル1に押圧するように寄せているので、左側の壁パネル1と右側の壁パネル2の連結が解除されにくい。
【0045】
そして、左側の壁パネル1の端面3と右側の壁パネル2の端面3が互いに密着する。そのために、従来技術のようにモールを設けなくても止水効果が生じ、また隙間が小さくなり目立たないので、意匠性が向上する。
【0046】
また、
図5(a)、(b)に示すように、止水パッキン5を壁パネル1の端面3からその折り返し部分4にかけて設けているので、右側の壁パネル2の端面3と左側の壁パネル1の端面3は、
図5(b)に示すように、止水パッキン5を介して密着する。そのため、より一層の止水効果が生じる。
【0047】
溝部付き連結材10を壁パネルに嵌合した後、突起部付き連結材9を溝部付き連結材10に嵌合する方法を示したが、溝部付き連結材10と突起部付き連結材9を嵌合させてから、壁パネルに嵌合してもよい。また、左側の壁パネル1に連結材を嵌合させてから右側のパネル2を配置させて壁パネル同士を接続させたが、左右の順番が逆になってもよい。
【0048】
以上の説明では、左右二枚の壁パネル1、2を直線的に配置して連結する平継ぎする接続構造について説明したが、本発明に係る壁パネルの組立方法は、平継ぎのみではなく、互いに直交して配置した二枚の壁パネルのコーナ部の接続構造に適用できることは言うまでもない。
【0049】
(実施例2)
本発明に係る壁パネルの接続構造の実施例2について、主に
図6(a)を参照して説明する。
【0050】
この実施例2の壁パネルの接続構造は、実施例1の壁パネルの接続構造と比較し、略同じ構成であるが、突起部付き連結材、溝部付き連結材および壁パネル1、2について、それぞれ一部の構成が異なる。ここでは、異なる構成を中心に説明する。
【0051】
実施例2における右側の壁パネル2の端面3の先端に形成された折り返し部分70は、
図6(a)に示すように、正面右側に向けて斜め方向に折り返され、さらに正面左側に向けて斜め方向に折り返されている。要するに、折り返し部分70は、右方向に略>状に折り返されて形成されている。
【0052】
同様に、実施例2における左側の壁パネル1の端面3の先端に形成された折り返し部分71は、
図6(a)に示すように、正面左側に向けて斜め方向に折り返され、さらに右正面側に向けて斜め方向折り返されている。要するに、折り返し部分71は、左方向に略<状に折り返されて形成されている。
【0053】
突起部付き連結材75は、壁当接部14と、壁当接部14の左端から背面右側に向けて斜め方向に折り返された折り返し部17と、折り返し部17の上端から左方向に折り返された連結材接続部15と、を備え、連結材接続部15には、実施例1と同様の突起部13が設けられている。
【0054】
要するに実施例2では、実施例1の折り返し壁16と同様に壁当接部14において折り返されて形成された折り返し部17を介して、壁当接部14と連結材接続部15が連続するように形成されている。
【0055】
溝部付き連結材78は、壁当接部26と、壁当接部26の右端から背面左側に向けて斜め方向に折り返された折り返し部18と、折り返し部18の上端から右方向に折り返された連結材接続部27と、連結材接続部27の右端から正面側(浴室内側)に折り返された連結材位置決め部29を備え、連結材接続部27には、実施例1と同様の溝部25が形成されている。
【0056】
要するに実施例2では、実施例1における折り返し壁28と同様に壁当接部26において折り返されて形成された折り返し部18を介して、壁当接部26と連結材接続部27が連続するように形成されている。
【0057】
実施例2の壁パネルの接続構造において、以上の構成から成る連結材78、75によって、左右の壁パネル1、2を連結する工程は、実施例1の壁パネルの接続構造における工程と同じであるので省略する。
【0058】
実施例2の壁パネルの接続構造では、実施例1と同様に、突起部付き連結材75が下降するに伴い、突起部付き連結材75と溝部付き連結材78が互いに近づく方向に移動する。
【0059】
そして、
図6(a)に示すように、突起部付き連結材75の壁当接部14は右側の壁パネル2に当接した状態で、突起部付き連結材75の折り返し部17は、壁パネル2の折り返し部分70(壁パネル2の側端部近傍に相当する)に当接する。
【0060】
同様に、溝部付き連結材78の壁当接部26は左側の壁パネル1に当接した状態で、溝部付き連結材78の折り返し部18は、左側の壁パネル1の折り返し部分71(壁パネル1の側端部近傍に相当する)に当接する。
【0061】
その結果、左右の壁パネル1、2は、互いに端面3が当接して連結されるとともに、前後方向への動きも拘束される。従って、左右の壁パネル1、2は、前後方向に動かなくなる。
【0062】
(実施例3)
本発明に係る壁パネルの接続構造の実施例3について、主に
図6(b)を参照して説明する。実施例3の壁パネルの接続構造は、実施例2の壁パネルの接続構造と同様に、左右の壁パネル1、2が前後方向(正面側と背面側)に動かないようにする構成である。
【0063】
この実施例3の壁パネルの接続構造は、実施例1の壁パネルの接続構造と比較し、略同じ構成であるが、突起部付き連結材、溝部付き連結材および壁パネル1、2について、それぞれ一部の構成が異なる。ここでは、異なる構成を中心に説明する。
【0064】
実施例3における壁パネル1、2は、実施例2における壁パネル1、2と同じ構成であり、それぞれ端面3の先端には、実施例2と同様の構成の折り返し部分71、70が形成されている。
【0065】
実施例3の突起部付き連結材80は、実施例1の突起部付き連結材9に比べて、折り返し壁の折り返し方向が異なるのみで、それ以外の構成については同じである。即ち、実施例1の折り返し壁16は、壁当接部14において背面側に向けて直角に折り返された構成であるが、実施例3の折り返し壁22は、壁当接部14において背面右側に向けて斜め方向に折り返されて形成されている。
【0066】
実施例3の溝部付き連結材81は、実施例1の溝部付き連結材10に比べて、折り返し壁の折り返し方向が異なるのみで、それ以外の構成については同じである。即ち、実施例1の折り返し壁28は、壁当接部26において背面側に向けて直角に折り返された構成であるが、実施例3の折り返し壁30は、壁当接部26において背面左側に向けて斜め方向に折り返されて形成されている。
【0067】
実施例3の壁パネルの接続構造において、以上の構成から成る連結材81、80によって、左右の壁パネル1、2を連結する工程は、実施例1の壁パネルの接続構造における工程と同じであるので省略する。
【0068】
実施例3の壁パネルの接続構造では、実施例1と同様に、突起部付き連結材80が下降するに伴い、突起部付き連結材80と溝部付き連結材81が互いに近づく方向に移動する。その結果、
図6(b)に示すように、突起部付き連結材80の壁当接部14は右側の壁パネル2に当接した状態で、突起部付き連結材80の折り返し壁22は、右側の壁パネル2の折り返し部分70(壁パネル2の側端部近傍に相当する)に当接する。
【0069】
同様に、溝部付き連結材81の壁当接部26は左側の壁パネル1に当接した状態で、溝部付き連結材81の折り返し壁30は、左側の壁パネル1の折り返し部分71(壁パネル1の側端部近傍に相当する)に当接する。そのために、左右の壁パネル1、2は、前後方向への動きが拘束される。従って、左右の壁パネル1、2は、前後方向に動かなくなる。
【0070】
以上、本発明に係る壁パネルの接続構造を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。