(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャンバーと、前記チャンバー内に収容され、吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口に内部が連通する処理液配管を有し、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記チャンバー内に配置された導電部と、前記導電部をアースするアース構造とを含み、処理液を用いて基板を処理する基板処理システムにおいて前記処理液配管内の処理液を除電する方法であって、
前記処理液ノズルからの処理液を前記基板の主面に向けて吐出する処理液吐出工程と、
前記処理液吐出工程の非実行時に、前記吐出口から前記導電部に向けて処理液を連続流の態様で吐出する導電吐出工程であって、前記吐出口と前記導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、前記処理液配管内の処理液を除電する導電吐出工程とを含み、
前記処理液供給ユニットが、前記処理液ノズルに供給される処理液を溜めておくタンクをさらに有し、
前記処理液配管が、前記タンク内の処理液を循環させる循環配管を含み、
前記導電吐出工程が、前記循環配管内の処理液を除電する工程を含み、
前記導電吐出工程が、前記処理液吐出工程に先立って実行され、
前記処理液吐出工程が、前記導電吐出工程の終了後であって、前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に開始される、処理液除電方法。
チャンバーと、前記チャンバー内に収容され、基板を保持する基板保持ユニットと、前記チャンバー内に収容され、吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口に内部が連通する処理液配管を有し、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記チャンバー内に配置された導電部と、前記導電部をアースするアース構造とを含み、処理液を用いて前記基板を処理する基板処理システムにおいて実行される基板処理方法であって、
前記処理液配管内の処理液を、前記吐出口から前記基板の主面に吐出する処理液吐出工程と、
前記処理液吐出工程の非実行時に、前記吐出口から前記導電部に向けて処理液を連続流の態様で吐出する導電吐出工程であって、前記吐出口と前記導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、前記処理液配管内の処理液を除電する導電吐出工程とを含み、
前記処理液供給ユニットが、前記処理液ノズルに供給される処理液を溜めておくタンクをさらに有し、
前記処理液配管が、前記タンク内の処理液を循環させる循環配管を含み、
前記導電吐出工程が、前記循環配管内の処理液を除電する工程を含み、
前記導電吐出工程が、前記処理液吐出工程に先立って実行される工程を含み、
前記処理液吐出工程が、前記導電吐出工程の終了後であって、前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に開始される、基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、流体ボックス部に炭素電極を配置する方式では、処理液中に炭素が溶解するおそれがある。炭素電極と処理液との接触により、電極材料である炭素が処理液中に混入し、その結果、流体ボックス部内の処理液が汚染され、汚染された処理液が基板に供給されるおそれがある。そのため、処理液配管内の処理液を汚染することなく、処理液配管内の処理液を良好に除電することが求められている。
【0007】
そこで、この発明の目的は、処理液配管内の処理液を良好に除電することができる処理液除電方法、ならびに除電済みの処理液を吐出口から吐出することにより、基板への処理液の吐出に伴う静電気放電の発生を抑制または防止できる基板処理方法および基板処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明
の一実施形態は、チャンバーと、前記チャンバー内に収容され、吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口に内部が連通する処理液配管を有し、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記チャンバー内に配置された導電部と、前記導電部をアースするアース構造とを含み、処理液を用いて基板を処理する基板処理システムにおいて前記処理液配管内の処理液を除電する方法であって、前記処理液ノズルからの処理液を前記基板の主面に向けて吐出する処理液吐出工程と、前記処理液吐出工程の非実行時に、前記吐出口から前記導電部に向けて処理液を連続流の態様で吐出する導電吐出工程であって、前記吐出口と前記導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、前記処理液配管内の処理液を除電する導電吐出工程を含む、処理液除電方法を提供する。
【0009】
この方法によれば、処理液吐出工程の非実行時に、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出され、この状態において、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる。
これにより、処理液配管内の処理液が正や負に帯電している場合には、処理液配管内の処理液と導電部との間に生じる電位差のために、吐出口と導電部との間で繋がる処理液を介して電子が移動する。
【0010】
処理液配管内の処理液が負に帯電していると、処理液配管内の処理液に含まれる電子が、処理液を介して導電部に移動し、アース構造を介してそのまま逃がされる。これにより、負に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。
また、処理液配管内の処理液が正に帯電していると、導電部に含まれる電子が、アース構造および処理液を介して処理液配管内に移動する。処理液配管内の処理液に含まれる電子の数が増加するので、正に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。
【0011】
ゆえに、処理液配管内の処理液を良好に除電することができる。
この発明
の一実施形態では、前記処理液配管が、タンク内の処理液を循環させる循環配管を含
む。そして、前記導電吐出工程により、前記循環配管内の処理液を除電す
る。
処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)においても、循環配管内において処理液が循環している。そのため、処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)において、循環配管の管壁との間の摩擦に起因して循環配管内の処理液が帯電し易い。
【0012】
この方法によれば、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出されて吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、循環配管内の処理液を良好に除電することができる。
前記導電吐出工程が、前記処理液吐出工程に先立って実行されてもよい。前記処理液吐出工程が、前記導電吐出工程の終了後であって、前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に開始されてもよい。
この発明
の一実施形態では、
前記処理液除電方法が、前記基板保持ユニットによって基板を保持する基板保持工程をさらに含
む。そして、前記導電吐出工程が、前記基板保持工程の後にかつ前記処理液吐出工程に先立って実行され
る。
【0013】
この方法によれば、基板保持工程の後にかつ処理液吐出工程に先立って導電吐出工程が実行される。導電吐出工程の終了から長時間が経過すると、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量が増加する。
導電吐出工程が基板保持工程の後に実行されるので、導電吐出工程と処理液吐出工程との間隔が短いものと推察され、この場合には、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、処理液吐出工程において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
【0014】
この発明
の一実施形態では、前記処理液ノズルが、前記チャンバー内に収容された基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に前記吐出口から吐出された処理液が供給される第1の位置と、前記第1の位置と異なる第2の位置であって前記吐出口から吐出された処理液が前記導電部に供給される第2の位置との間で移動可能であ
る。そして、前記導電吐出工程が、前記処理液ノズルを前記第2の位置に配置した状態で前記吐出口から処理液を吐出する工程を含
む。
【0015】
この方法によれば、導電吐出工程において、処理液ノズルが第2の位置に配置された状態で吐出口から処理液が吐出され、この処理液が導電部に供給される。これにより、導電吐出工程において、吐出口から吐出される処理液を導電部に確実に供給することができる。
この発明
の一実施形態は、チャンバーと、前記チャンバー内に収容され、基板を保持する基板保持ユニットと、前記チャンバー内に収容され、吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口に内部が連通する処理液配管を有し、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記チャンバー内に配置された導電部と、前記導電部をアースするアース構造とを含み、処理液を用いて
前記基板を処理する基板処理システムにおいて実行される基板処理方法であって、前記処理液配管内の処理液を、前記吐出口から前記基板の主面に吐出する処理液吐出工程と、前記処理液吐出工程の非実行時に、前記吐出口から前記導電部に向けて処理液を連続流の態様で吐出する導電吐出工程であって、前記吐出口と前記導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、前記処理液配管内の処理液を除電する導電吐出工程とを含む、基板処理方法を提供する。
【0016】
この方法によれば、処理液吐出工程の非実行時に、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出され、この状態において、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる。処理液配管内の処理液が正や負に帯電している場合には、処理液配管内の処理液と導電部との間に生じる電位差のために、吐出口と導電部との間で繋がる処理液を介して電子が移動する。
【0017】
処理液配管内の処理液が負に帯電していると、処理液配管内の処理液に含まれる電子が、処理液を介して導電部に移動し、そのまま逃がされる。これにより、負に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。
また、処理液配管内の処理液が正に帯電していると、導電部に含まれる電子が、処理液を介して処理液配管内に移動する。処理液配管内の処理液に含まれる電子の数が増加するので、正に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。
【0018】
以上により、処理液吐出工程において、電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。これにより、基板への処理液の吐出に伴う静電気放電の発生を抑制または防止できる。ゆえに、基板の主面における損傷の発生を抑制または防止できる。
この発明
の一実施形態では、前記処理液配管が、タンク内の処理液を循環させる循環配管を含
む。そして、前記導電吐出工程により、前記循環配管内の処理液を除電す
る。
【0019】
処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)においても、循環配管内において処理液が循環している。そのため、処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)において、循環配管の管壁との間の摩擦に起因して循環配管内の処理液が帯電し易い。
この方法によれば、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出されて吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、循環配管内の処理液を良好に除電することができる。
【0020】
この発明
の一実施形態では、前記導電吐出工程が、前記処理液吐出工程に先立って実行され
る。
この方法によれば、処理液吐出工程に先立って導電吐出工程が実行される。導電吐出工程の終了から長時間が経過すると、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量が増加する。導電吐出工程と処理液吐出工程との間隔が短い場合には、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、処理液吐出工程において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
【0021】
この発明
の一実施形態では、
前記基板処理方法が、前記
チャンバー内に収容された前記基板保持ユニットによって基板を保持する基板保持工程をさらに含
む。そして、前記導電吐出工程が、前記基板保持工程の後にかつ前記処理液吐出工程に先立って実行され
る。
この方法によれば、導電吐出工程が基板保持工程の後に実行されるので、導電吐出工程と処理液吐出工程との間隔が短いものと推察され、この場合には、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、処理液吐出工程において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
【0022】
前記処理液吐出工程が、前記導電吐出工程の終了後であって、前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に開始されてもよい。
この発明
の一実施形態では、前記処理液吐出工程が、前記導電吐出工程の終了後20秒未満のうちに開始され
る。
この方法によれば、
前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に吐出口からの処理液の吐出が開始されるので、電荷がほとんど含まれていない状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
【0023】
この発明
の一実施形態では、前記処理液ノズルが、前記チャンバー内に収容された
前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に前記吐出口から吐出された処理液が供給される第1の位置と、前記第1の位置と異なる第2の位置であって前記吐出口から吐出された処理液が前記導電部に供給される第2の位置との間で移動可能であ
る。そして、前記処理液吐出工程が、前記処理液ノズルを前記第1の位置に配置した状態で前記吐出口から処理液を吐出する工程を含
む。そして、前記導電吐出工程が、前記処理液ノズルを前記第2の位置に配置した状態で前記吐出口から処理液を吐出する工程を含
む。
【0024】
この方法によれば、処理液吐出工程において、処理液ノズルが第1の位置に配置された状態で吐出口から処理液が吐出され、この処理液が基板の主面に供給される。また、導電吐出工程において、処理液ノズルが第2の位置に配置された状態で吐出口から処理液が吐出され、この処理液が導電部に供給される。これにより、処理液吐出工程において、吐出口から吐出される処理液を基板の主面に確実に供給することができ、かつ導電吐出工程において、吐出口から吐出される処理液を導電部に確実に供給することができる。
【0025】
この発明
の一実施形態は、処理液を用いて基板を処理する基板処理システムであって、チャンバーと、前記チャンバー内に収容され、基板を保持する基板保持ユニットと、前記チャンバー内に収容され、吐出口を有する処理液ノズルと、前記吐出口に内部が連通する処理液配管を有し、前記処理液ノズルに処理液を供給する処理液供給ユニットと、前記チャンバー内に配置された導電部と、前記導電部をアースするアース構造と、前記処理液供給ユニットを制御する制御装置とを含み、前記制御装置は、前記処理液ノズルからの処理液を前記基板の主面に向けて吐出する処理液吐出工程と、前記処理液吐出工程の非実行時に、前記吐出口から前記導電部に向けて処理液を連続流の態様で吐出する導電吐出工程であって、前記吐出口と前記導電部とが処理液を介して液として繋がる導電吐出工程とを実行する、基板処理システムを提供する。
【0026】
この構成によれば、処理液吐出工程の非実行時に、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出され、この状態において、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる。処理液配管内の処理液が正や負に帯電している場合には、処理液配管内の処理液と導電部との間に生じる電位差のために、吐出口と導電部との間で繋がる処理液を介して電子が移動する。
【0027】
処理液配管内の処理液が負に帯電していると、処理液配管内の処理液に含まれる電子が、処理液を介して導電部に移動し、そのまま逃がされる。これにより、負に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。
また、処理液配管内の処理液が正に帯電していると、導電部に含まれる電子が、アース構造および処理液を介して処理液配管内に移動する。処理液配管内の処理液に含まれる電子の数が増加するので、正に帯電していた、処理液配管内の処理液が除電される。ゆえに、処理液配管内の処理液を良好に除電することができる。
【0028】
以上により、処理液吐出工程において、電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。これにより、基板への処理液の吐出に伴う静電気放電の発生を抑制または防止できる。ゆえに、基板の主面における損傷の発生を抑制または防止できる。
この発明
の一実施形態では、前記処理液配管が、タンク内の処理液を循環させる循環配管を含
む。そして、前記制御装置が、前記導電吐出工程において、前記循環配管内の処理液を除電す
る。
【0029】
処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)においても、循環配管内において処理液が循環している。そのため、処理液ノズルからの処理液の非吐出時(処理液吐出工程の非実行時)において、循環配管の管壁との間の摩擦に起因して循環配管内の処理液が帯電し易い。
この構成によれば、吐出口から導電部に向けて処理液が連続流の態様で吐出されて吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がることにより、循環配管内の処理液を良好に除電することができる。
【0030】
この発明
の一実施形態では、前記制御装置が、前記処理液吐出工程に先立って前記導電吐出工程を実行す
る。
この構成によれば、処理液吐出工程に先立って導電吐出工程が実行される。導電吐出工程の終了から長時間が経過すると、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量が増加する。導電吐出工程と処理液吐出工程との間隔が短い場合には、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、処理液吐出工程において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
前記制御装置が、前記処理液吐出工程を、前記導電吐出工程の終了後であって、前記循環配管内の処理液の帯電量が飽和する期間の経過前に開始してもよい。
【0031】
この発明
の一実施形態では、前記制御装置が、前記基板保持ユニットによって基板を保持する基板保持工程をさらに実行し、前記制御装置が、前記導電吐出工程を、前記基板保持工程の後にかつ前記処理液吐出工程に先立って実行す
る。
この構成によれば、導電吐出工程が基板保持工程の後に実行されるので、導電吐出工程と処理液吐出工程との間隔が短いものと推察され、この場合には、処理液配管内の処理液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、処理液吐出工程において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口から吐出することができる。
この発明
の一実施形態では、前記処理液ノズルが、前記チャンバー内に収容された
前記基板保持ユニットによって保持されている基板の主面に前記吐出口から吐出された処理液が供給される第1の位置と、前記第1の位置と異なる第2の位置であって前記吐出口から吐出された処理液が前記導電部に供給される第2の位置との間で移動可能であ
る。そして、前記制御装置が、前記処理液ノズルを前記第1の位置に配置した状態で前記処理液吐出工程を実行し、前記処理液ノズルを前記第2の位置に配置した状態で前記導電吐出工程を実行す
る。
【0032】
この構成によれば、処理液吐出工程において、処理液ノズルが第1の位置に配置された状態で吐出口から処理液が吐出され、この処理液が基板の主面に供給される。また、導電吐出工程において、処理液ノズルが第2の位置に配置された状態で吐出口から処理液が吐出され、この処理液が導電部に供給される。これにより、処理液吐出工程において、吐出口から吐出される処理液を基板の主面に確実に供給することができ、かつ導電吐出工程において、吐出口から吐出される処理液を導電部に確実に供給することができる。
【0033】
この発明
の一実施形態では、
前記基板処理システムが、前記基板保持ユニットの側方に配置されて、前記吐出口から吐出される処理液を受け止めるポットをさらに含
む。そして、前記導電部が前記ポットに設けられてい
る。
この構成によれば、導電吐出工程において、処理液ノズルから吐出された処理液はポットに受け止められる。導電部がポットに設けられている。そのため、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる構成を良好に実現でき、これにより、導電吐出工程において、処理液配管内の処理液を良好に除電することができる。
【0034】
この発明
の一実施形態では、前記ポットが、容器状のポット本体を含み、前記導電部が、前記ポット本体の全体に形成されている
。
この構成によれば、導電部がポット本体の全体に形成されているので、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる構成を比較的簡単に実現することができる。
【0035】
この発明
の一実施形態では、前記ポットが、容器状のポット本体を含
む。そして、前記導電部が、前記ポット本体において、前記吐出口から吐出される処理液の着液位置を含む領域において部分的に設けられて
いる。そして、前記ポット本体における前記導電部を除く部分が、絶縁材料を用いて形成されてい
る。
この構成によれば、ポット本体において、ポット本体における吐出口から吐出される処理液の着液位置を含む領域には導電部が形成されており、その領域を除く部分が、絶縁材料を用いて形成されている。ポット本体の全体を導電部としなくても、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる構成を実現することができる。
【0036】
この発明
の一実施形態では、前記ポットが、容器状のポット本体を含み、前記導電部が、前記ポット本体の内部空間内を延びる導電バーを含
む。
この構成によれば、吐出口から吐出された処理液が導電バーに供給されることにより、吐出口と導電部とが処理液を介して液として繋がる構成を比較的簡単に実現することができる。
【0037】
この発明
の一実施形態では、前記ポットが、容器状のポット本体と、前記ポット本体の内部空間に向けて前記吐出口から吐出された処理液を溜めることができる貯留部とを含
む。そして、前記導電部が、前記ポット本体の内部空間内を延びる導電バーを含
む。そして、前記貯留部が、前記貯留部に溜められている処理液が前記導電バーに接液するように設けられてい
る。
【0038】
この構成によれば、吐出口から吐出された処理液を貯留部に溜めることができ、その溜められている処理液に、導電バーが接液する。これにより、吐出口から吐出される処理液の連続流を介して吐出口と導電部とが液として確実に繋がる構成を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理システム1の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理システム1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
基板処理システム1は、基板Wを収容する複数の基板収容器Cを保持する複数のロードポートLPと、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを薬液等の処理液で処理する複数の処理ユニット2と、複数のロードポートLPから複数の処理ユニット2に基板Wを搬送する搬送ロボットと、基板処理システム1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットは、ロードポートLPと処理ユニット2との間の経路上で基板Wを搬送するインデクサロボットIRと、インデクサロボットIRと処理ユニット2との間の経路上で基板Wを搬送する基板搬送ロボットCRとを含む。
【0041】
基板処理システム1は、硫酸バルブ33(
図2参照)、過酸化水素水バルブ39(
図2参照)等を収容する複数の流体ボックス4を含む。処理ユニット2および流体ボックス4は、基板処理システム1のフレーム5の中に配置されており、基板処理システム1のフレーム5で覆われている。処理液を貯留する硫酸タンク(タンク)27等を収容する貯留ボックス6は、
図1の例では、基板処理システム1のフレーム5の外に配置されているが、フレーム5の中に収容されていてもよい。貯留ボックス6は、複数の流体ボックス4に対応する1つのボックスであってもよいし、流体ボックス4に一対一対応で設けられた複数のボックスであってもよい。
【0042】
12台の処理ユニット2は、平面視において基板搬送ロボットCRを取り囲むように配置された4つの塔を形成している。各塔は、上下に積層された3台の処理ユニット2を含む。4台の貯留ボックス6は、それぞれ4つの塔に対応している。同様に、4台の流体ボックス4は、それぞれ4つの塔に対応している。各貯留ボックス6内の硫酸タンク27に貯留されている薬液は、その貯留ボックス6に対応する流体ボックス4を介して、この貯留ボックス6に対応する3台の処理ユニット2に供給される。
【0043】
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な図である。
処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバー7と、チャンバー7内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット)8と、スピンチャック8に保持されている基板Wの上面(主面)に薬液を吐出するための薬液ノズル(処理液ノズル)9と、薬液ノズル9に薬液を供給するための薬液供給ユニット(処理液供給ユニット)10と、スピンチャック8に保持されている基板Wの上面にリンス液を供給するためのリンス液供給ユニット11と、スピンチャック8を取り囲む筒状の処理カップ12と、平面視でスピンチャック8の周囲(処理カップ12の周囲)に配置された待機ポット(ポット)13と、待機ポット13をアースするアース構造73とを含む。
図2に示すように、チャンバー7は、箱状の隔壁14を含む。
【0044】
スピンチャック8として、基板Wを水平方向に挟んで基板Wを水平に保持する挟持式のチャックが採用されている。具体的には、スピンチャック8は、スピンモータ15と、このスピンモータ15の駆動軸と一体化されたスピン軸16と、スピン軸16の上端に略水平に取り付けられた円板状のスピンベース17とを含む。
スピンベース17は、基板Wの外径よりも大きな外径を有する水平な円形の上面17aを含む。スピンベース17は、たとえば、絶縁材料を用いて形成されている。上面17aには、その周縁部に複数個(3個以上。たとえば6個)の挟持部材18が配置されている。複数個の挟持部材18は、スピンベース17の上面周縁部において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けてたとえば等間隔に配置されている。挟持部材18は、たとえば導電材料を用いて形成されている。挟持部材18は、アース構造(後述するアース構造73と同等の構成)を介して、アース接続されている。
【0045】
薬液ノズル9は、連続流の状態で薬液を吐出するストレートノズルである。薬液ノズル9は、たとえば基板Wの上面に垂直な方向に処理液を吐出する垂直姿勢でノズルアーム22に取り付けられている。薬液ノズル9の下端には、薬液を吐出するための吐出口9aが設定されている。吐出口9aは、薬液を下向きに吐出する。すなわち、薬液ノズル9は、下向きノズルである。この実施形態では、薬液ノズル9から吐出される薬液として、SPM(硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture)。H
2SO
4(硫酸)およびH
2O
2(過酸化水素水)を含む混合液)が採用されている。
【0046】
ノズルアーム22は水平方向に延びており、スピンチャック8の周囲で鉛直方向に延びる回動軸線(図示しない)まわりに揺動可能に設けられている。ノズル移動ユニット23は、回動軸線まわりにノズルアーム22を回転させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿って薬液ノズル9を水平に移動させる。ノズル移動ユニット23は、薬液ノズル9から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する処理位置(第1の位置)P1と、薬液ノズル9が平面視でスピンチャック8の周囲に設定された待機位置(第2の位置)P2との間で、薬液ノズル9を水平に移動させる。この実施形態では、前記の処理位置P1は、たとえば、薬液ノズル9から吐出された薬液が基板Wの上面中央部に着液する中央位置である。
【0047】
待機位置P2が、上待機位置P21(
図3参照)と、上待機位置P21の下方に設定された下待機位置P22(
図3参照)とを含む。ノズル移動ユニット23は、ノズルアーム22を昇降させることにより、薬液ノズル9を、上待機位置P21と下待機位置P22との間で昇降させる。
薬液供給ユニット10は、薬液ノズル9にSPM配管(処理液配管)20を介して接続された混合部24と、混合部24にH
2SO
4を供給する硫酸供給ユニット25と、混合部24にH
2O
2を供給する過酸化水素水供給ユニット26とを含む。
【0048】
硫酸供給ユニット25は、混合部24に供給されるH
2SO
4を貯留する硫酸タンク27と、硫酸タンク27内のH
2SO
4を循環させる循環配管(処理液配管)28と、硫酸タンク27内のH
2SO
4を循環配管28に送る送液装置29と、硫酸タンク27から混合部24に供給されるH
2SO
4の温度を調節する温度調節器30と、硫酸タンク27から混合部24に供給されるH
2SO
4中の異物を除去するフィルタ31と、循環配管28に一端32aが接続され、混合部24に他端32bが接続された硫酸配管(処理液配管)32とを含む。硫酸配管32には、硫酸配管32を開閉する硫酸バルブ33が介装されている。
【0049】
循環配管28の上流端28aおよび下流端28bは、硫酸タンク27に接続されている。循環配管28は、硫酸タンク27内のH
2SO
4を汲み上げて循環配管28内に導く供給部34と、硫酸配管32の一端32aが接続された接続部35と、接続部35を通過した硫酸を硫酸タンク27に導く帰還部36とを含む。
送液装置29は、供給部34に介装されている。送液装置29は、たとえばポンプである。ポンプは、硫酸タンク27内のH
2SO
4を吸い込み、その吸い込んだH
2SO
4を吐出する。送液装置29は、硫酸タンク27内の気圧を上昇させることにより硫酸タンク27内のH
2SO
4を循環配管28に送る加圧装置であってもよい。
【0050】
温度調節器30は、供給部34に介装されている。温度調節器30は、硫酸タンク27内に配置されていてもよい。温度調節器30は、室温(たとえば約23℃)よりも高い温度から室温よりも低い温度まで範囲内の温度でH
2SO
4を温度調節(加熱または冷却)する。供給部34を流れるH
2SO
4が帰還部36に供給されて硫酸タンク27に戻される。硫酸バルブ33が開かれることにより、供給部34を流れるH
2SO
4が混合部24に供給される。
【0051】
過酸化水素水供給ユニット26は、混合部24に接続され、過酸化水素水供給源(図示しない)からのH
2O
2が供給される過酸化水素水配管(処理液配管)38と、過酸化水素水配管38を開閉するための過酸化水素水バルブ39とを含む。混合部24には、温度調節されていない室温(約25℃)程度のH
2O
2が、過酸化水素水配管38を通して供給される。
【0052】
待機ポット13は、待機位置P2に配置された薬液ノズル9から吐出される薬液を受け止めるための箱状のポットである。待機ポット13の底部には、排出配管74が接続されている。排出配管74の管壁は、絶縁材料を用いて形成されている。待機ポット13に受け止められた薬液は、排出配管74を介して機外の廃液処理設備(図示しない)に送出される。そのため、待機ポット13に吐出されるSPMは、基板Wに供給されることはない。
【0053】
リンス液供給ユニット11は、リンス液ノズル43を含む。リンス液ノズル43は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレートノズルであり、スピンチャック8の上方で、その吐出口を基板Wの上面中央部に向けて固定的に配置されている。リンス液ノズル43には、リンス液供給源からのリンス液が供給されるリンス液配管44が接続されている。リンス液配管44の途中部には、リンス液ノズル43からのリンス液の供給/供給停止を切り換えるためのリンス液バルブ45が介装されている。リンス液バルブ45が開かれると、リンス液配管44からリンス液ノズル43に供給されたリンス液が、リンス液ノズル43の下端に設定された吐出口から吐出される。また、リンス液バルブ45が閉じられると、リンス液配管44からリンス液ノズル43へのリンス液の供給が停止される。リンス液は、たとえば脱イオン水(DIW)であるが、DIWに限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、アンモニア水および希釈濃度(たとえば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0054】
また、リンス液供給ユニット11は、リンス液ノズル43を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を基板Wの面内で走査させるリンス液ノズル移動装置を備えていてもよい。
処理カップ12は、スピンチャック8に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。処理カップ12は、たとえば、絶縁材料を用いて形成されている。処理カップ12は、スピンベース17の側方を取り囲んでいる。スピンチャック8が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いた処理カップ12の上端部12aは、スピンベース17よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液や水などの処理液は、処理カップ12によって受け止められる。そして、処理カップ12に受け止められた処理液は、図示しない回収装置または廃液装置に送られる。
【0055】
図3は、待機ポット13の断面図である。
待機ポット13は、たとえば有底箱状のポット本体51を含む。ポット本体51によって、横方向(所定の第1の水平方向D1)に長い鉤状の内部空間52が区画されている。ポット本体51は、内部空間52に連通する上開口53および排出口54を有している。内部空間52は、上開口53から連続して鉛直方向に延びる鉛直部分56と、鉛直部分56の下端から斜め下方に延びる斜め部分57と、鉛直部分56の先端から第1の水平方向D1に延び、排出口54に連続する水平部分58とを含む。
【0056】
ポット本体51は、内部空間52の側方を包囲する側壁61と、内部空間52の上面を構成する上壁62と、内部空間52の底面を閉塞する底壁63とを含む。上開口53が上壁62に形成され、排出口54が底壁63に形成されている。
側壁61は、鉛直方向に延びる第1の側壁64と、第1の側壁64に対し横方向に対向する第2の側壁65とを含む。第2の側壁65は、上壁62から鉛直下方に延びる上側壁66と、上側壁66の下端から斜め下方に延びる第1の傾斜壁67と、第1の傾斜壁67の下端から所定の第1の水平方向D1に延びる第1の水平壁68と、第1の水平壁68の先端から鉛直方向下方に延びて底壁63に接続する下側壁69とを含む。
図3の例では、上側壁66、第1の傾斜壁67、第1の水平壁68および下側壁69は、導電性PEEK等の導電材料を用いて一体に設けられている。
【0057】
底壁63は、第1の側壁64の下端から第1の水平方向D1に沿って延びる第2の水平壁70と、上側壁66の先端から斜め下方に延びる第2の傾斜壁71と、上側壁66の下端から第1の水平方向D1に沿って延びる第3の水平壁72とを含む。排出口54が第3の水平壁72に形成されている。
図3の例では、第2の水平壁70、第2の傾斜壁71および第3の水平壁72は、導電性PEEK等の導電材料を用いて一体に設けられている。
【0058】
上壁62、第1の側壁64、上側壁66および第2の水平壁70によって鉛直部分56が区画されている。第1の傾斜壁67および第2の傾斜壁71によって斜め部分57が区画されている。第1の水平壁68、下側壁69および底壁63によって水平部分58が区画されている。
図3の例では、ポット本体51(すなわち、側壁61、上壁62および底壁63)は、一体に設けられている。すなわち、ポット本体51は導電性を有している。この実施形態では、ポット本体51が導電部を構成している。アース構造73が、ポット本体51をアース接続している。
【0059】
待機ポット13の排出口54には、排出配管74の一端74aが接続されている。排出配管74は、フッ素樹脂(たとえばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシエチレン))等の絶縁材料を用いて形成されている。排出配管74の他端は、機外の廃液処理設備に他端が接続されている。
薬液ノズル9が下待機位置P22に配置されている状態では、薬液ノズル9の下端に形成されている吐出口9aが、待機ポット13の上開口53よりも下方に位置している。後述する導電吐出工程S3(
図5参照)において、下待機位置P22に薬液ノズル9が配置されている状態で、プリディスペンスのために吐出口9aから薬液が吐出される。吐出口9aから吐出された薬液は、底壁63の第2の水平壁70に着液し、第2の傾斜壁71を伝って排出口54に向けて流れる。そして、排出口54に達した薬液は、排出口54から排出配管74の内部に流入し、この排出配管74を廃液処理設備に導かれ、この廃液処理設備において廃液処理される。
【0060】
具体的には、導電吐出工程S3において、薬液は、薬液ノズル9の吐出口9aから待機ポット13の内部空間52に向けて連続流の態様で吐出される。吐出口9aから吐出された薬液は、底壁63の第2の水平壁70に着液し、第2の傾斜壁71を伝って排出口54に向けて流れる。薬液の吐出状態において、
図3に示すように、吐出口9aから吐出される薬液の連続流を介して吐出口9aと、導電性を有するポット本体51とが繋がっている。
【0061】
具体的には、硫酸バルブ33(
図2参照)および過酸化水素水バルブ39(
図2参照)が同時に開かれることにより、吐出口9aからSPMが連続流の態様で吐出される。このとき、吐出口9aから吐出されるSPMの連続流を介して吐出口9aと、導電性を有するポット本体51とが繋がっている。
また、各薬液配管内(SPM配管20内、硫酸配管32内、循環配管28および過酸化水素水配管38内)において各薬液(SPM、H
2SO
4およびH
2O
2)は液密状態にある。加えて、硫酸バルブ33(
図2参照)および過酸化水素水バルブ39(
図2参照)の開状態であるために、SPM配管20内と硫酸配管32内および過酸化水素水配管38内、ならびに硫酸配管32と循環配管28内とは互いに連通している。そのため、各薬液配管内において、薬液は液として繋がっている。
【0062】
図4は、基板処理システム1の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータを用いて構成されている。制御装置3はCPU等の演算ユニット、固定メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット、および入出力ユニットを有している。記憶ユニットは、演算ユニットが実行するコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。記録媒体には、制御装置3に後述する洗浄処理を実行させるようにステップ群が組み込まれている。
【0063】
制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、スピンモータ15、ノズル移動ユニット23、送液装置29、温度調節器30等の動作を制御する。また、制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、硫酸バルブ33、過酸化水素水バルブ39、リンス液バルブ45等の開閉動作を制御する。
図5は、処理ユニット2による基板処理例を説明するための流れ図である。
図1〜
図5を参照しながら基板処理例について説明する。
【0064】
この基板処理例は、基板Wの上面(主面)からレジストを除去するレジスト除去処理である。処理ユニット2によって基板Wに基板処理例が施されるときには、チャンバー7の内部に、高ドーズでのイオン注入処理後の基板Wが搬入される(
図5のステップS1)。基板の搬入は、薬液ノズル9が待機位置P2(
図3参照)に退避されている状態で行われる。搬入される基板Wは、また、前工程(ドライエッチャーによる処理)によって帯電していることが多く、また、基板Wの帯電量も多いことがある。
【0065】
制御装置3は、ノズル等が全てスピンチャック8の上方から退避している状態で、基板Wを保持している基板搬送ロボットCR(
図1参照)のハンドをチャンバー7の内部に進入させることにより、基板Wがその表面(デバイス形成面)を上方に向けた状態でスピンチャック8に受け渡される。
制御装置3は、スピンモータ15によって基板Wの回転を開始させる(
図5のステップS2。基板回転工程)。基板Wは予め定める液処理速度(300〜1500rpmの範囲内で、たとえば500rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。
【0066】
次に述べるSPM吐出工程S4の実行に先立って、導電吐出工程S3が行われる。
スピンチャック8によって保持されている基板Wが帯電していると、SPM吐出工程S4において基板Wの上面に向けて薬液ノズル9の吐出口9aからSPMを吐出した際に、基板Wの上面とSPMとの接触に伴い、SPMが着液した箇所またはその近傍で静電気放電が発生するおそれがある。その結果、パターン破壊が生じたり、処理液が放電して基板に損傷を与えたりすることがある。このような基板Wの損傷を防止または抑制すべく、この基板処理例では、SPM吐出工程S4の実行に先立って、薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)を除電する導電吐出工程S3を行い、除電済みのSPMを供給している。
【0067】
導電吐出工程S3では、具体的には、制御装置3は、硫酸バルブ33および過酸化水素水バルブ39を同時に開く。これにより、
図3に示すように、硫酸配管32の内部を流通するH
2SO
4が混合部24に供給されると共に、過酸化水素水配管38を流通するH
2O
2が混合部24に供給される。混合部24内および硫酸配管32においてH
2SO
4とH
2O
2とが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される。そのSPMが、薬液ノズル9の吐出口9aから待機ポット13の内部空間52に向けて連続流の態様で吐出される。吐出口9aから吐出されたSPMは、底壁63の第2の水平壁70に着液し、第2の傾斜壁71を伝って排出口54に向けて流れる。SPMの吐出状態において、吐出口9aから吐出されるSPMの連続流を介して吐出口9aと、導電性を有するポット本体51とが繋がっている。また、各薬液配管内(SPM配管20内、硫酸配管32内、循環配管28および過酸化水素水配管38内)において各薬液(SPM、H
2SO
4およびH
2O
2)は液密状態にあり、かつSPM配管20内と硫酸配管32内および過酸化水素水配管38内、ならびに硫酸配管32と循環配管28内とは互いに連通している。そのため、各薬液配管内において、薬液は液として繋がっている。したがって、薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が正や負に帯電している場合には、薬液配管内の薬液とポット本体51との間に生じる電位差のために、吐出口9aとポット本体51との間で繋がるSPMを介して電子が移動する。
【0068】
薬液配管内の薬液(SPM配管内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が負に帯電していると、薬液配管内の薬液に含まれる電子が、薬液を介してポット本体51に移動し、そのまま逃がされる。これにより、負に帯電していた、薬液配管内の薬液が除電される。
また、薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が正に帯電していると、アース構造73からの電子が、ポット本体51、および吐出口9aとポット本体51との間で繋がるSPMを介して薬液配管内に移動する。薬液配管内の薬液に含まれる電子の数が増加するので、正に帯電していた、薬液配管内の薬液が除電される。
【0069】
導電吐出工程S3は、薬液ノズル9および薬液配管からの薬液のプリディスペンスを兼ねている。薬液ノズル9からの前回のSPMの吐出から長期間が経過している場合には、薬液ノズル9内のSPMや、薬液配管内の薬液(SPM配管内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が温度低下しているおそれがある。また、この場合には、薬液ノズル9のノズル配管の管壁や薬液配管の管壁(SPM配管20の管壁、硫酸配管32の管壁および過酸化水素水配管38の管壁)等が温度低下しているおそれもある。薬液のプリディスペンスを行うことにより、温度低下している薬液を薬液ノズル9内や薬液配管内から除去することができ、かつ薬液ノズル9のノズル配管の管壁や薬液配管の管壁等の温度を昇温させることができる。その結果、SPM吐出工程S4の開始から、所望の高温に温度調整されたSPMを吐出口9aから吐出させることが可能である。
【0070】
吐出口9aからのSPMの吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、硫酸バルブ33および過酸化水素水バルブ39を閉じて、吐出口9aからのSPMの吐出を停止する。
次いで、制御装置3は、SPM吐出工程(処理液吐出工程。
図5のステップS4)を実行する。SPM吐出工程S4の実行に先立って、制御装置3は、ノズル移動ユニット23を制御して、下待機位置P22(
図3参照)に配置されている薬液ノズル9を上待機位置P21(
図3参照)まで上昇させる。また、制御装置3は、薬液ノズル9を待機位置P2(上待機位置P21)から処理位置P1(
図2参照)に移動させ、処理位置P1に配置させ続ける。
【0071】
薬液ノズル9が処理位置P1に配置され、かつ基板Wの回転速度が液処理速度に達すると、制御装置3は、SPM吐出工程S4を実行する。具体的には、制御装置3は、硫酸バルブ33および過酸化水素水バルブ39を同時に開く。これにより、硫酸配管32の内部を流通するH
2SO
4が混合部24に供給されると共に、過酸化水素水配管38を流通するH
2O
2が混合部24に供給される。混合部24内および硫酸配管32においてH
2SO
4とH
2O
2とが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される。そのSPMが、薬液ノズル9の吐出口9aから吐出され、基板Wの上面中央部に着液する。吐出口9aからのSPMの吐出タイミングは、導電吐出工程S3の終了後20秒未満(循環配管28内のH
2SO
4の帯電量が飽和しないような期間)の所定のタイミングである。この吐出タイミングにおいて吐出口9aからSPMが吐出されるように、硫酸バルブ33および過酸化水素水バルブ39の開成タイミングが設定されている。
【0072】
前述のように、導電吐出工程S3における吐出口9aからのSPMの吐出により、薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が除電される。また、導電吐出工程S3の終了後20秒未満のうちに、吐出口9aからのSPMの吐出が開始される。そのため、電荷がほとんど含まれていない状態のSPMが吐出口9aから吐出される。したがって、基板WへのSPMの吐出の際に、静電気放電の発生を抑制または防止できる。
【0073】
基板Wの上面中央部に着液したSPMは、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に流れ、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に形成される。この液膜に含まれるSPMによって、基板W上のレジストが基板Wから除去される。
また、SPM吐出工程S4において、制御装置3が、ノズル移動ユニット23を制御して、薬液ノズル9を、基板Wの上面の周縁部に対向する周縁位置と、基板Wの上面の中央部に対向する中央位置との間で移動するようにしてもよい。この場合、基板Wの上面におけるSPMの着液位置を、基板Wの上面の全域を走査させることができる。
【0074】
SPMの吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、硫酸バルブ33および過酸化水素水バルブ39を閉じて、薬液ノズル9からのSPMの吐出を停止させる。
また、制御装置3は、ノズル移動ユニット23を制御して、処理位置P1に配置されている薬液ノズル9を上待機位置P21(待機位置P2)まで戻し、かつ降下されて下待機位置P22に配置される。
【0075】
次いで、リンス液を基板Wに供給するリンス工程S5が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ45を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル43からリンス液を吐出させる。リンス液ノズル43から吐出されたリンス液は、SPMによって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板W上のSPMが、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これにより、基板Wの上面の全域においてSPMおよびレジスト残渣が洗い流される。リンス工程S5の開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ45を閉じて、リンス液ノズル43からのリンス液の吐出を停止させる。
【0076】
次いで、基板Wを乾燥させるスピンドライ工程(
図5のステップS6)が行われる。
スピンドライ工程S6では、具体的には、制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、SPM吐出工程S4からリンス工程S5までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液に加わり、基板Wに付着している液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液が除去され、基板Wが乾燥する。
【0077】
そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、スピンチャック8による基板Wの回転を停止させる(
図5のステップS7)。
次いで、チャンバー7内から基板Wが搬出される(
図5のステップS8)。具体的には、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー7の内部に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドにスピンチャック8上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドをチャンバー7内から退避させる。これにより、表面(デバイス形成面)からレジストが除去された基板Wがチャンバー7から搬出される。
【0078】
なお、
図5の基板処理例を、レジスト除去処理ではなく、金属膜が形成された基板の表面から金属膜を除去する金属膜除去処理も含まれる。
図6は、薬液ノズル9からのSPMの吐出と、循環配管28内のH
2SO
4の帯電量との関係を示す図である。循環配管28内のH
2SO
4の帯電量(電位)と、基板Wとの表面の電位(すなわち、表面電位)とは略同一視できるため、
図6では、計測した表面電位を、循環配管28内のH
2SO
4の帯電量として表している。この場合、循環配管28において、炭素電極等の除電構造は採用されていない。SPM(導電性の薬液)の吐出状態(Chemical dispense)においては、吐出口9a(
図2参照)と基板Wの上面とが連続流状のSPMで繋がり、この連続流状のSPM、基板Wの上面上に形成されるSPMの液膜、および導電性を有する挟持部材18を介してアース接続される。そのため、循環配管28内のH
2SO
4が除電される。これに対し、SPM(導電性の薬液)の非吐出状態においては、循環配管28内のH
2SO
4が除電されない。
【0079】
一方、SPMの吐出状態から非吐出状態への状態変化後においても、循環配管28内においては処理液が循環している。そのため、SPMの非吐出状態において、循環配管28の管壁との間の摩擦に起因して循環配管28内の処理液が帯電し易い。循環配管28内のH
2SO
4の帯電量は徐々に増加し、非吐出状態への状態変化後約20秒後において、循環配管28内のH
2SO
4の帯電量帯電量は飽和し、それ以降、その帯電量のまま推移する。すなわち、
図6の例では、非吐出状態への状態変化後、循環配管28内のH
2SO
4の帯電量が飽和するのに要する期間は、約20秒である。循環配管28内のH
2SO
4の帯電量が飽和するのに要する期間は、約20秒間に限られず、処理対象となる基板Wの種類や、基板処理システム1の配置構成等の種々の条件によって、この期間の長さは異なるようになる。
【0080】
以上によりこの実施形態によれば、SPM吐出工程S4の非実行時に、吐出口9aから導電部であるポット本体51に向けてSPMが連続流の態様で吐出される。この状態において、吐出口9aから吐出されるSPMの連続流を介して吐出口9aとポット本体51とが繋がる。薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が正や負に帯電している場合には、薬液配管内の薬液とポット本体51との間に生じる電位差のために、吐出口9aとポット本体51との間で繋がるSPMを介して電子が移動する。
【0081】
薬液配管内の薬液(SPM配管内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が負に帯電していると、薬液配管内の薬液に含まれる電子が、薬液を介してポット本体51に移動し、そのまま逃がされる。これにより、負に帯電していた、薬液配管内の薬液が除電される。
また、薬液配管内の薬液(SPM配管20内のSPM、硫酸配管32内のH
2SO
4、循環配管28内のH
2SO
4および過酸化水素水配管38内のH
2O
2)が正に帯電していると、アース構造73からの電子が、ポット本体51、および吐出口9aとポット本体51との間で繋がるSPMを介して、薬液配管内に移動する。薬液配管内の薬液に含まれる電子の数が増加するので、正に帯電していた、薬液配管内の薬液が除電される。
【0082】
以上により、SPM吐出工程S4において、電荷が除去されている状態のSPMを吐出口9aから吐出することができる。これにより、基板WへのSPMの吐出に伴う静電気放電の発生を抑制または防止できる。ゆえに、基板Wの表面における損傷の発生を抑制または防止できる。
また、SPM吐出工程S4に先立って導電吐出工程S3が実行される。導電吐出工程S3の終了から薬液配管内の薬液に含まれる電荷量の増加が開始する。そのため、導電吐出工程S3の終了から長時間が経過している場合には、薬液配管内の薬液に含まれる電荷の量は多いが、導電吐出工程S3とSPM吐出工程S4との間隔が短い場合には、薬液配管内の薬液に含まれる電荷の量は少ない。この場合、SPM吐出工程S4において、充分に電荷が除去されている状態の処理液を吐出口9aから吐出することができる。そして、この実施形態のように、導電吐出工程S3の終了後約20秒未満のうち(循環配管28内のH
2SO
4の帯電量が飽和しないような期間)に、吐出口9aからの薬液の吐出が開始される場合には、電荷がほとんど含まれていない状態の薬液を吐出口9aから吐出することができる。
【0083】
以上この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、
図7に示す第1の変形例のように、ポット本体51の一部分が導電性を有し、他の部分が絶縁性を有していてもよい。
図7の例では、底壁63(第2の水平壁70)のうち、待機位置P2に配置されている薬液ノズル9の吐出口9aから吐出される薬液が着液する着液位置PLを含む部分に、導電性を有する導電部101が設けられている。導電部101は、導電性PEEK等の導電材料を用いて形成されている。導電部101が、アース構造73を介してアース接続されている。ポット本体51のうち導電部101を除く部分は、絶縁部102である。絶縁部102は、フッ素樹脂(たとえばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシエチレン))等の絶縁材料を用いて形成されている。
【0084】
導電吐出工程S3(
図5参照)において、薬液ノズル9が待機位置P2(下待機位置P22)に配置されている状態で吐出口9aから薬液が吐出される。吐出口9aから吐出された薬液は、導電部101に着液し、底壁63の第2の水平壁70から第2の傾斜壁71を伝って排出口54に向けて流れる。薬液の吐出状態において、
図7に示すように、吐出口9aから吐出される薬液の連続流を介して吐出口9aと導電部101とが繋がっている。
【0085】
第1の変形例では、ポット本体51において、着液位置PLを含む領域に導電部101が形成されており、導電部101を除く領域は絶縁部102とされている。ポット本体51の全体を導電部としなくても、吐出口9aと導電部101とが薬液を介して液として繋がる構成を実現することができる。ポット本体51の全体を導電部としないので、コストダウンを図ることができる。
【0086】
また、
図8に示す第2の変形例のように、内部空間52内を延びる導電バー201が設けられていてもよい。導電バー201は、
図8の例では、棒状をなし、水平方向(たとえば、第1の水平方向D1)に延びている。導電バー201は、炭素材料を用いて形成されている。導電バー201が、アース構造73を介してアース接続されている。
導電吐出工程S3(
図5参照)において、薬液ノズル9が待機位置P2(下待機位置P22)に配置されている状態で吐出口9aから薬液が吐出される。吐出口9aから吐出された薬液は、導電バー201に供給される。薬液の吐出状態において、
図8に示すように、吐出口9aから吐出される薬液の連続流を介して吐出口9aと導電バー201とが繋がっている。これにより、吐出口9aと導電部とが薬液を介して液として繋がる構成を実現することができる。この場合、
図8に示すように、ポット本体51を、絶縁材料を用いて形成することも可能である。これにより、コストダウンを図ることが可能である。また、ポット本体51が導電材料を用いて形成されていてもよい。
【0087】
また、
図9に示す第3の変形例のように、内部空間52において、吐出口9aから吐出された薬液を溜めることができる貯留部302が設けられていてもよい。また、内部空間52内を延びる導電バー301が設けられていてもよい。この場合、貯留部302に溜められている薬液が導電バー301に接液するようになっていてもよい。
導電バー301は、
図9の例では、棒状をなし、水平方向(たとえば、第1の水平方向D1)に延びている。導電バー301は、炭素材料を用いて形成されている。導電バー301が、アース構造73を介してアース接続されている。
【0088】
導電吐出工程S3(
図5参照)において、薬液ノズル9が待機位置P2(下待機位置P22)に配置されている状態で吐出口9aから薬液が吐出される。吐出口9aから吐出された薬液は、貯留部302によって貯留される。薬液の吐出状態において、
図9に示すように、吐出口9aから吐出される薬液の連続流、および貯留部302によって貯留されている薬液を介して、吐出口9aと導電バー301とが繋がっている(液としてつながっている)。これにより、吐出口9aと導電部とが液として繋がる構成を比較的簡単に実現することができる。しかも、吐出口9aと導電部とを、より確実に液として繋げることもできる。
【0089】
また、第3の変形例において、
図9に示すように、ポット本体51を、絶縁材料を用いて形成することも可能である。これにより、コストダウンを図ることが可能である。また、ポット本体51が導電材料を用いて形成されていてもよい。
また、
図10に示す第4の変形例が、前述の実施形態(たとえば
図3参照)と相違する点は、薬液ノズル9が、下向きノズルでなく、吐出口9bから斜め下方に向けて薬液を吐出する斜め下向きノズルによって構成されている点である。薬液ノズル9が待機位置P2(下待機位置P22)に配置されている状態で吐出口9bから薬液が吐出される。
【0090】
導電吐出工程S3(
図5参照)において、薬液は、薬液ノズル9の吐出口9bから待機ポット13の内部空間52に向けて連続流の態様で吐出される。吐出口9bから吐出された薬液は、第2の側壁65の上側壁66に着液する。その後、底壁63の第2の水平壁70に落液した薬液は、第2の傾斜壁71を伝って排出口54に向けて流れる。薬液の吐出状態において、
図10に示すように、吐出口9bから吐出される薬液の連続流を介して吐出口9bと導電性を有するポット本体51とが繋がっている。これにより、薬液ノズル9が斜め下向きノズルを含む場合であっても、吐出口9bと導電部とが薬液を介して液として繋がる構成を実現することができる。
【0091】
また、
図11に示す第5の変形例は、第4の変形例を第1の変形例に組み合わせた構成である。
図12に示す第6の変形例は、第4の変形例を第2の変形例に組み合わせた構成である。
図13に示す第7の変形例は、第4の変形例を第3の変形例に組み合わせた構成である。
図11〜
図13において、
図7〜
図10の場合と同等の参照符号を付し、説明を省略する。
【0092】
また、前述の基板処理例において、導電吐出工程S3は、基板Wの回転開始後に実行されているとして説明したが、導電吐出工程S3の途中において基板Wが回転開始されてもよいし、基板Wの回転開始前に導電吐出工程S3が実行されてもよいし、スピンチャックによる基板Wの保持前(すなわち、チャンバー7内への基板Wの搬入前)に導電吐出工程S3が実行されてもよい。但し、これらの場合において、吐出口9aからのSPMの吐出タイミングは、導電吐出工程S3の終了後20秒未満のうちの所定のタイミングであることが望ましい。
【0093】
また、前述の実施形態において、H
2SO
4およびH
2O
2の混合を薬液ノズル9の上流側にSPM配管20を介して接続された混合部24において行う配管混合タイプのものを例に挙げて説明したが、薬液ノズル9の内部においてH
2SO
4およびH
2O
2の混合を行うノズル混合タイプのものを採用してもよい。
また、待機ポット13に導電部を設ける場合を例に挙げて説明したが、導電部を、他の部材に設けてもよい。たとえば、処理カップ12の一部(吐出口9a,9bからの薬液の着液位置PLを含む部分)または全部を、導電材料を用いて形成して導電部を設け、この導電部にアース構造(アース構造73)をアース接続させるようにしてもよい。処理カップ12の本体の一部(吐出口9a,9bからの薬液の着液位置PLを含む部分)または全部を、導電材料を用いて形成して導電部を設け、この導電部にアース構造(アース構造73)をアース接続させる。そして、導電吐出工程(
図5のS3)において、吐出口9a,9bからこの導電部に向けてSPMを連続流の態様で吐出することにより、吐出口9a,9bとこの導電部とを連続流状のSPMを介して液として繋がらせてもよい。
【0094】
また、スピンベース17の本体の一部(吐出口9a,9bからの薬液の着液位置PLを含む部分)または全部を、導電材料を用いて形成して導電部を設け、この導電部にアース構造(アース構造73)をアース接続させるようにしてもよい。スピンベース17の一部(吐出口9a,9bからの薬液の着液位置PLを含む部分)または全部を、導電材料を用いて形成して導電部を設け、この導電部にアース構造(アース構造73)をアース接続させる。そして、導電吐出工程(
図5のS3)において、吐出口9a,9bからこの導電部に向けてSPMを連続流の態様で吐出することにより、吐出口9a,9bとこの導電部とを連続流状のSPMを介して液として繋がらせてもよい。
【0095】
さらには、導電吐出工程(
図5のS3)において、吐出口9a,9bから導電性を有する挟持部材18に向けてSPMを連続流の態様で吐出することにより、吐出口9a,9bと挟持部材18とを連続流状のSPMを介して液として繋がらせてもよい。
また、薬液としてSPMを用いる場合を例に挙げたが、薬液は、導電性を有する導電性薬液であってもよい。導電性薬液は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水の少なくとも1つを含む液であってもよい。
【0096】
また、処理液ノズル(薬液ノズル9)から吐出される導電性の処理液は、導電性薬液だけでなく、機能水であってもよい。機能水は、たとえば炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10ppm〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。