(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料の一部を覆うように配置される遮蔽材を備え、前記遮蔽材の直線状の端縁部から露出する試料部分と前記遮蔽材に覆われる試料部分との境目を加工位置とし、前記加工位置にイオンビームによって断面を作製する断面試料作製装置を用いて、前記断面を作製する断面作製工程と、撮像手段によって前記試料の断面像を取得する断面像取得工程を交互に繰り返し、画像処理装置によって、取得された複数の前記断面像を撮像された順に並べることで、前記試料の三次元像を構築する三次元像構築方法において、
前記断面作製工程は、矩形状の開口部が二次元的に配列された格子状マーク部材が、前記試料の表面に貼り付けられ、かつ前記遮蔽材の前記端縁部の伸びる方向に対して前記格子状マーク部材の前記矩形状の開口部を構成する辺が45度をなすように前記遮蔽材の下に配置される試料準備工程と、
前記格子状マーク部材を前記加工位置の指標として、前記遮蔽材と前記格子状マーク部材の相対位置を調節する加工位置決定工程と、
を含むことを特徴とする三次元像構築方法。
試料の一部を覆うように配置される遮蔽材を備え、前記遮蔽材の直線状の端縁部から露出する試料部分と前記遮蔽材に覆われる試料部分との境目を加工位置とし、前記加工位置にイオンビームによって断面を作製する断面試料作製装置を用いて、前記断面を作製する断面作製工程と、撮像手段によって前記試料の断面像を取得する断面像取得工程を交互に繰り返し、画像処理装置によって、取得された複数の前記断面像を撮像された順に並べることで、前記試料の三次元像を構築する三次元像構築方法において、
前記断面作製工程は、矩形状の開口部が二次元的に配列された格子状マーク部材が、前記試料の表面に貼り付けられ、かつ前記遮蔽材の前記端縁部の伸びる方向に対して前記格子状マーク部材の前記矩形状の開口部を構成する辺が90度をなすように前記遮蔽材の下に配置される試料準備工程と、
前記格子状マーク部材を前記加工位置の指標として、前記遮蔽材と前記格子状マーク部材の相対位置を調節する加工位置決定工程と、
を含むことを特徴とする三次元像構築方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図6を用いて説明する。本明細書および各図面において、実質的に同一の構成、機能を示すものについては共通の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(本発明の概要)
まず、本発明の概要について説明する。
図1は、本発明の概要を示す図である。まず、試料1の断面2が断面試料作製装置3によって作製される(断面作製工程)。次に、試料1の断面2がSEM4によって撮像され、断面2のSEM像5が得られる(断面像取得工程)。SEM像5が得られた後、試料1は断面試料作製装置3に戻され、再び前記断面作成工程が行われる。そして、新たな断面2が作製された試料1は再びSEM4に導入されて、新たな断面2のSEM像5が撮像される。
【0014】
以下、全く同様に、前記断面作製工程と前記断面像取得工程が交互に繰り返し行われ、所定の枚数(一般的に、30〜100枚程度)のSEM像5が得られたら、それらのSEM像5は画像処理装置6に取り込まれる。最後に、画像処理装置6は、撮像された順にSEM像5を並べて、試料1の三次元像データを構築し、三次元像データに基づいて図示しない三次元像表示装置に三次元像7が表示される(三次元像構築工程)。
【0015】
(断面試料作製装置の構成)
図2を用いて、ビーム径が大きいイオンビーム8を試料1に照射し、試料1の断面2を作製する断面試料作製装置3の構成について説明する。
図2は、断面試料作製装置3の概略構成図であり、
図2(a)は断面試料作製装置3の内部が大気圧下にされ、試料1の位置が調節され、断面2が作製される位置が決められる状態を示す図、
図2(b)は
図2(a)の工程の後に、断面試料作製装置3の内部が真空排気され、イオンビーム8によって断面2が作製される状態を示す図である。
【0016】
真空チャンバ9は、
図2(b)に示すように、試料1が切削される際に収容される空間を構成しており、側面に真空排気機構10を備える。イオン銃11は、真空チャンバ9の上部に取り付けられており、アルゴンなどの気体を放電させてイオンを発生させる。発生させられたイオンはイオン銃11内の電界によって加速され、イオンビーム8がイオン銃11から出射される。
【0017】
試料ホルダ引出機構12は、真空チャンバ9を
図2(a)のような開放状態、もしくは
図2(b)のような閉鎖状態にするように真空チャンバ9に取り付けられており、図中の左右方向(Y軸方向)に移動可能である。試料ホルダ13は、試料ホルダ引出機構12に取り付けられており、コの字型で形成されている。試料ホルダ13は、試料ホルダ引出機構12の移動に伴って、真空チャンバ9の内部、外部に移動する。試料ホルダ13は、試料ホルダ引出機構12に対して取り付け、取り外し可能である。
【0018】
試料台位置調整機構14は、試料ホルダ13のコの字型の下段部13aの上面に取り付けられており、Y軸方向に移動可能である。試料台15は、試料台位置調整機構14の上にセットされ、試料台位置調整機構14の移動に伴ってY軸方向に移動する。試料台15は直方体に形成されており、試料台15の上面には、エポキシ樹脂等の接着剤によって試料1が取り付けられる。
【0019】
遮蔽板16は、試料1の上側に配置され、かつ試料ホルダ13のコの字型の上段部13bに取り付けられている。遮蔽板16は、試料ホルダ13に対して取り付け、取り外し可能である。また、遮蔽板16は、試料1の一部を覆い、覆った試料1部分がイオンビーム8に照射されるのを防ぐ。したがって、試料1のうち、遮蔽板16の端に位置する部分が切削位置17となり、遮蔽板16から露出した部分が切削され、切削位置17に断面2が作製される。
【0020】
先述したように、遮蔽板16は、試料ホルダ13に取り付けられているため、単独で移動できない。そのため、観察者は、切削位置17を決める際には、試料台位置調整機構14をY軸方向に動かすことで試料1をY軸方向に動かし、試料1のうち断面2を作製したい部分を遮蔽板16の端の位置まで移動させる。
【0021】
光学顕微鏡傾斜機構18は、試料ホルダ引出機構12の上端部に取り付けられており、X軸に平行な軸19を備えている。光学顕微鏡20を保持した光学顕微鏡位置調整機構21は、軸19を介して光学顕微鏡傾斜機構18に接続されており、軸19を中心に回転し、傾斜が可能である。
図2(b)に示すように、真空チャンバ9が閉鎖状態となる場合に、光学顕微鏡20が真空チャンバ9に対して干渉しないよう、光学顕微鏡位置調整機構21は傾斜した状態にされる。
【0022】
光学顕微鏡20には、光学顕微鏡画像表示部22が接続されている。光学顕微鏡画像表示部22には、光学顕微鏡20によって拡大された試料1および遮蔽板16の上面画像が表示される。観察者は、切削位置17を決める際に、光学顕微鏡画像表示部22を見ながら、試料台位置調整機構14を動かす。
【0023】
(格子状部材の構成)
図3を用いて、
図2における格子状部材(格子状マーク部材)23の構成について説明する。後述する本発明の実施形態においては、格子状部材23の一例として透過型電子顕微鏡の試料支持に使用されるグリッドメッシュ23が用いられる。
図3は、本発明の第1実施形態および第2実施形態に関するグリッドメッシュ23を示す図である。なお、各図において、見やすくするためにグリッドメッシュ23の格子の数を間引いて示している。
【0024】
グリッドメッシュ23は、直径3mm程度の円形の金網であり、
図3に示すように、中央部分に格子を構成する直交した複数のバー24を備え、格子を構成する繰り返しの最小単位(以下、単位格子と呼ぶ)の形状は正方形である。25は、バー24の交点である格子点を示している。グリッドメッシュ23には、材質や、単位格子の形状と大きさによって種類が複数ある。本発明の実施においては、グリッドメッシュ23の材質に限定はなく、単位格子の形状は正方形や正六角形等の正多角形が望ましい。
図3に示すように、単位格子の形状が正方形のグリッドメッシュ23が使用される場合には、隣り合うバー24の距離L1(配列ピッチ)が100μm以内のものが望ましい。
【0025】
以上のように構成される断面試料作製装置3とグリッドメッシュ23を用いて、観察者は以下のようにして試料1の断面2を作製する。
【0026】
(第1実施形態)
以下、
図4を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に関する、試料1の三次元像構築方法の流れを示す図である。
図4(a)〜
図4(d)は断面作製工程を細分化して示した図、
図4(e)〜
図4(h)は断面像取得工程および三次元像構築工程を細分化して示した図である。
【0027】
(1)試料1の準備工程:まず、観察者は、表面が平滑になるように加工された板状の試料1を準備する。試料1の形状が不規則で小さい場合は、観察者は、試料1を樹脂包埋した上で表面が平滑になるように加工する。本発明の実施においては、後に、表面にグリッドメッシュ23が取り付けられた試料1に対してイオンビーム8が照射される。そのため、予め試料1の表面を平滑にすることで、試料1とグリッドメッシュ23の間に隙間が生じず、イオンビーム8が試料1に照射される際に、前記隙間によりイオンビーム8の進行方向が変わり、目的の切削位置17からずれた試料1の位置にイオンビーム8が照射されるのを防ぐことができる。
【0028】
(2)試料1の取り付け工程[
図4(a)]:次に、観察者は、
図4(a)に示すように、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、試料1を試料台15に取り付ける。その際、観察者は、試料1のうち断面2を作製する予定の部分が試料台15からはみ出るように取り付ける。
【0029】
(3)グリッドメッシュ23の取り付け工程[
図4(b)]:次に、観察者は、
図4(b)に示すように、エポキシ樹脂等の接着剤を用いて、試料1の平滑面にグリッドメッシュ23を取り付ける。その際、観察者は、後にグリッドメッシュ23の上に乗せられる遮蔽板16の辺のうち、試料1に切削位置17を形成させる辺Aと、バー24とのなす角が45度となるように(
図4(c)参照)、グリッドメッシュ23を試料1に取り付ける。この場合、
図4(b)に示すように、対角位置にある格子点25を結んだ直線Bが、試料台15の辺Cと平行になるように、観察者はグリッドメッシュ23を試料1に取り付ける。
【0030】
(4)遮蔽板16の取り付け工程:次に、観察者は、試料台15を試料台位置調整機構14にセットした後、グリッドメッシュ23の上に遮蔽板16が乗るように遮蔽板16を試料ホルダ13に取り付ける。
【0031】
(5)切削位置17の決定工程[
図4(c)]:次に、観察者は、試料ホルダ13を試料ホルダ引出機構12に取り付けた後、試料台位置調整機構14によって、グリッドメッシュ23が取り付けられた試料1を遮蔽板16に対して動かすことで切削位置17を決定する。その際、観察者は、光学顕微鏡画像表示部22に表示される、試料1、グリッドメッシュ23、および遮蔽板16の上面拡大画像を見ながら(
図2(a)の状態)、試料台位置調整機構14を動かして、
図4(c)に示すように、格子点25の位置を遮蔽板16の端の位置まで移動させる。
【0032】
なお、この工程において、断面試料作製装置3が遮蔽板16の位置を動かすことのできる遮蔽板位置調整機構を備える場合は、観察者は、遮蔽板位置調整機構を調節することで、遮蔽板16の端の位置を格子点25の位置まで移動させてもよい。
【0033】
(6)イオンビーム8の照射工程[
図4(d−1)、(d−2)]:次に、観察者は、試料ホルダ引出機構12を真空チャンバ9内に押し込み(
図2(b)の状態)、真空排気機構10によって真空チャンバ9内を真空排気した後、試料1にイオンビーム8を照射して、断面2を作製する。
図4(d−1)は、本第1実施形態に関する、イオンビーム8が照射されている時の試料1付近の拡大上面図であり、
図4(d−2)は、本第1実施形態に関する、イオンビーム8が照射された後の試料1付近の拡大上面図である。
図4(d−1)に示すように、試料1にイオンビーム8が照射されると、試料1とグリッドメッシュ23のうち、遮蔽板16から露出した部分が徐々に切削され、最終的に
図4(d−2)に示すように、遮蔽板16の陰になった部分が残る。
【0034】
(7)SEM像5の取得工程[
図4(e)]:次に、観察者は、試料ホルダ引出機構12を真空チャンバ9から引き出し、試料ホルダ13を試料ホルダ引出機構12から取り外す。その後、観察者は、試料ホルダ13から遮蔽板16を取り外し、試料1が取り付けられた試料台15を試料台位置調整機構14から取り外す。そして、観察者は、グリッドメッシュ23が取り付けられた試料1をSEM4にセットする。その後、試料1の断面2はSEM4で観察され、断面2のSEM像5が得られる。
【0035】
図4(e)は、断面2のSEM像5の例である。
図4(e)に示すように、SEM像5には、試料1の断面像および飛び飛びのグリッドメッシュ23の断面像が現れる。本第1実施形態においては、単位格子の形状は正方形で、切削位置17を形成させる遮蔽板16の辺Aと、バー24とのなす角が45度となるようにグリッドメッシュ23は試料1に取り付けられる。さらに、格子点25位置が切削位置17である。そのため、SEM像5に現れるグリッドメッシュ23の断面像は格子点25の断面像であり、飛び飛びのグリッドメッシュ23の断面像の間隔L2は等間隔である。
【0036】
以上の工程により、1枚目のSEM像5が取得された後、観察者は、(4)遮蔽板16の取り付け工程に戻り、すでに切削された切削位置17の格子点25の対角位置にある格子点25を次の切削位置17として再度断面2を作製し、作製した断面2をSEM4で観察することで2枚目のSEM像5を取得する。そして、観察者は、SEM像5が所定の枚数(30〜100枚程度)得られるまで、断面作製工程と断面像取得工程を交互に繰り返す。
【0037】
なお、SEM像5が所定の枚数得られても、(7)SEM像5の取得工程において、三次元像7を構築したい試料部分の断面像が得られていないと判断された場合には、観察者は、取得するSEM像5の枚数を追加し、追加した枚数のSEM像5が得られるまで、断面作製工程と断面像取得工程を交互に繰り返す。
【0038】
(8)SEM像5の取り出し、取り込み工程:SEM像5が所定の枚数得られると、得られた全てのSEM像5はSEM4から画像処理装置6に取り込まれる。
【0039】
(9)SEM像5の位置合わせ工程[
図4(f)]:次に、観察者は、画像処理装置6において、得られたそれぞれのSEM像5に対して位置合わせを行う。
図4(f)は、任意の切削位置DおよびEそれぞれのSEM像5を示す図であり、切削位置DのSEM像5を基準にして、切削位置EのSEM像5が位置合わせされる様子を示す図も併せて示している。
図4(f)に示すように、SEM像5上の試料1の断面像の位置は、各切削位置17のSEM像5によって異なる。そのため、観察者は、SEM像5を並べる前に、各SEM像5上の試料1の断面像の位置を合わせておく必要がある。
【0040】
本第1実施形態においては、単位格子の対角位置にある格子点25毎に試料1は切削されるため、どのSEM像5においても、試料1の断面像に対するグリッドメッシュ23の断面像の相対位置は変わらない。したがって、
図4(f)に示すように、観察者は、1枚のSEM像5を基準とし、基準のSEM像5上の2箇所のグリッドメッシュ23の断面像の位置と、その他のSEM像5上の対応する2箇所のグリッドメッシュ23の断面像の位置をそれぞれ合わせることで、全てのSEM像5上の試料1の断面像の位置を、SEM像5上の左右方向、上下方向、および回転方向全てにおいて一致させることができる。
【0041】
なお、SEM像5の位置合わせは、観察者が手動で行ってもよいし、画像処理装置6が、各SEM像5上の共通の物体の断面像を自動で認識し、共通の物体の位置を自動で合わせる機能、もしくは指定された位置と位置を自動で合わせる機能を有する場合は、観察者は画像処理装置6のそれらの機能を用いてもよい。
【0042】
(10)三次元像データの構築工程[
図4(g)]:次に、画像処理装置6によって、全てのSEM像5は撮像順に並べられて三次元像データが構築される。この三次元像データに基づいて、図示しない三次元像表示装置に試料1の三次元像7が表示される。
【0043】
(11)三次元像7の寸法の設定工程[
図4(h)]:最後に、観察者は、切削間隔およびSEM4の観察条件を画像処理装置6に入力することで、三次元像7の寸法を正しく設定する。
図4(h)は、三次元像7とグリッドメッシュ23の位置関係を示す図である。
【0044】
図4(h)に示すように、X軸とZ軸からなる面に断面2が作製された場合、三次元像7の奥行き(X軸方向の長さ)および高さ(Z軸方向の長さ)は、SEM像5の1ピクセルあたりの長さにより求められる。例えば、実寸が120×100μmの断面が10倍に拡大され、1200×1000ピクセルのSEM像5が得られた場合、SEM像5の1ピクセルあたりの長さは0.1μmである。画像処理装置6は取り込まれたSEM像5のピクセル数を認識できるため、観察者が画像処理装置6にSEM像5の1ピクセルあたりの長さを入力することで、画像処理装置6は各断面の実寸を算出することができる。したがって、観察者は、1ピクセルあたりの長さを画像処理装置6に入力することで、正しい奥行きおよび高さが設定された三次元像7を得る。
【0045】
また、三次元像7の幅(Y軸方向の長さ)は、試料1を切削する間隔により求められる。本第1実施形態においては、単位格子の対角位置にある格子点25毎に試料1は切削されるため、切削間隔は単位格子の対角線の長さに等しい。そのため、観察者は、単位格子の対角線の長さを画像処理装置6に入力することで、正しい幅が設定された三次元像7を得る。
【0046】
なお、切削位置17が格子点25位置からわずかにずれてしまい、切削間隔が一定でない場合もある。
図5は、本第1実施形態に関する、切削位置17が格子点25位置からずれた場合のグリッドメッシュ23の拡大上面図およびSEM像5を示す図であり、
図5(a)は格子点25位置からずれた切削位置Fとその隣の切削位置Gが示されたグリッドメッシュ23の拡大上面図、
図5(b)は切削位置Fに作製された断面2のSEM像5を示す図である。切削位置Fは格子点25位置からずれているため、
図5(b)に示す、切削位置FにおけるSEM像5のグリッドメッシュ23の断面像はバー24の断面像であり、グリッドメッシュ23の断面像の間隔は等間隔ではなく、広い間隔L3と狭い間隔L4が交互に現れる。
【0047】
本第1実施形態においては、単位格子の形状は正方形で、切削位置17を形成させる遮蔽板16の辺Aと、バー24とのなす角が45度となるようにグリッドメッシュ23は試料1に取り付けられる。そのため、
図5(a)に示すように、切削位置Fと本来切削位置17となるはずであった格子点25aにより、角度が90度、45度、45度からなる直角二等辺三角形が形成される。この直角二等辺三角形の斜辺の長さは、SEM像5のグリッドメッシュ23の断面像の間隔のうち、狭い方の間隔L4と等しい。したがって、観察者は、SEM像5のグリッドメッシュ23の断面像の間隔を測ることで、切削位置Fの、本来の切削位置17からのずれ分(
図5の場合、0.5×L4)を算出できる。その結果、観察者は、切削位置17が格子点25位置からずれた場合でも、正確な切削間隔を画像処理装置6に入力でき、三次元像7の幅を正しく設定できる。
【0048】
以上の本第1実施形態によれば、一定の狭い間隔で試料1は切削され、かつSEM像5に現れるグリッドメッシュ23の断面像が、各SEM像5上の試料1の断面像の位置が合わせられる際の目印とされることで、正確な三次元像7が得られる。また、切削位置17が格子点25位置からずれても、正確な切削間隔が求められ、正確な三次元像7が得られる。
【0049】
(第2実施形態)
以下、
図6を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に関する、試料1の三次元像構築方法の流れを示す図である。
図6(a)〜
図6(d)は断面作製工程を細分化して示した図、
図6(e)〜
図6(h)は断面像取得工程および三次元像構築工程を細分化して示した図である。
【0050】
なお、本第2実施形態が第1実施形態と異なるところは、(3)グリッドメッシュ23の取り付け工程[
図6(b)]、(5)切削位置17の決定工程[
図6(c)]、および(11)三次元像7の寸法の設定工程[
図6(h)]である。第1実施形態と異なる工程を明確にするために、
図6では、第1実施形態と異なる上記の工程を示す図を太枠で囲って示し、以下では第1実施形態と共通の工程に関する説明を省略する。
【0051】
(3)グリッドメッシュ23の取り付け工程[
図6(b)]:(2)試料1の取り付け工程の後、観察者は、
図6(b)に示すように、エポキシ樹脂等の接着剤12を用いて、試料1の上にグリッドメッシュ23を取り付ける。その際、観察者は、後にグリッドメッシュ23の上に乗せられる遮蔽板16の辺のうち、試料1に切削位置17を形成させる辺Aと、バー24とのなす角が90度(0度)となるように(
図6(c)参照)、グリッドメッシュ23を試料1に取り付ける。この場合、
図6(b)に示すように、バー24が試料台15の辺Cと平行になるように、観察者はグリッドメッシュ23を試料1に取り付ける。
【0052】
(5)切削位置17の決定工程[
図6(c)]:(4)遮蔽板16の取り付け工程の後、観察者は、試料ホルダ13を試料ホルダ引出機構12に取り付け、試料台位置調整機構14によって、グリッドメッシュ23が取り付けられた試料1を遮蔽板16に対して動かすことで切削位置17を決定する。その際、観察者は、光学顕微鏡画像表示部22に表示される、試料1、グリッドメッシュ23、および遮蔽板16の上面拡大画像を見ながら(
図2(a)の状態)、試料台位置調整機構14を動かして、
図6(c)に示すように、隣り合うバー24の中央の位置を遮蔽板16の端の位置まで移動させる。
【0053】
なお、この工程において、断面試料作製装置3が遮蔽板16の位置を動かすことのできる遮蔽板位置調整機構を備える場合は、観察者は、遮蔽板位置調整機構を調節することで、遮蔽板16の端の位置を隣り合うバー24の中央の位置まで移動させてもよい。
【0054】
本第2実施形態の(7)SEM像5の取得工程において得られるSEM像5には、第1実施形態と同様に、試料1の断面像および飛び飛びのグリッドメッシュ23の断面像が現れる。本第2実施形態においては、単位格子の形状は正方形で、切削位置17を形成させる遮蔽板16の辺Aと、バー24とのなす角が90度(0度)となるようにグリッドメッシュ23は試料1に取り付けられる。さらに、隣り合うバー24の中央の位置が切削位置17である。
【0055】
そのため、本第2実施形態でのSEM像5に現れるグリッドメッシュ23の断面像はバー24の断面像であり、飛び飛びのグリッドメッシュ23の断面像の間隔L2は等間隔である。なおかつ、試料1の断面像に対するグリッドメッシュ23の断面像の相対位置は、どの切削位置17のSEM像5においても変わらない。以上のことから、観察者は、本第2実施形態においても、(9)SEM像5の位置合わせ工程を第1実施形態と全く同様にして行うことができる。
【0056】
(11)三次元像7の寸法の設定工程[
図6(h)]:(10)三次元像7の構築工程の後、観察者は、切削間隔およびSEM4の観察条件を画像処理装置6に入力することで、三次元像7の寸法を正しく設定する。
図6(h)は、三次元像7とグリッドメッシュ23の位置関係を示す図である。
図4(h)および
図6(h)に示すように、本第2実施形態と第1実施形態とでは、切削間隔が異なる。本第2実施形態においては、隣り合うバー24の中央の位置が切削位置17であるため、切削間隔は隣り合うバー24の距離L1とおおよそ等しい。そのため、観察者は、隣り合うバー24の距離L1を画像処理装置6に入力することで、正しい幅が設定された三次元像7を得る。
【0057】
なお、本第2実施形態において、切削位置17を隣り合うバー24の中央の位置としたが、切削位置17は格子点25位置(バー24の線上)以外であればどこでもよい。切削位置17が格子点25位置以外であれば、SEM像5に飛び飛びのグリッドメッシュ23の断面像が現れ、観察者は(9)SEM像5の位置合わせ工程を行うことができる。例えば、切削位置17を格子点25位置からわずかにずらした位置とした場合でも、観察者は(9)SEM像5の位置合わせ工程を行うことができる。この場合においても、切削間隔は隣り合うバー24の距離L1におおよそ等しくなるため、観察者は、(11)三次元像7の寸法の設定工程において三次元像7の幅を正しく設定できる。
【0058】
以上の本第2実施形態によれば、ほぼ一定の狭い間隔で試料1は切削され、かつSEM像5に現れるグリッドメッシュ23の断面像が、各SEM像5上の試料1の断面像の位置が合わせられる際の目印とされることで、正確な三次元像7が構築される。
【0059】
なお、第1実施形態および第2実施形態において、断面試料作製装置3が、
図2(a)中のZ軸方向の周りを回転移動することのできる遮蔽板位置調製機構を備える場合は、観察者は、(3)グリッドメッシュ23の取り付け工程において、取り付け向きを気にせずにグリッドメッシュ23を試料1の平滑面に取り付けた後、(5)切削位置17の決定工程において、遮蔽板位置調製機構を回転させ、遮蔽板16の辺のうち試料1に切削位置17を形成させる辺と、試料1上のグリッドメッシュ23のバー24とのなす角が45度または90度となるように遮蔽板16の位置を調節した上で、切削位置17を決めてもよい。
【0060】
また、断面試料作製装置3が、
図2(a)中のZ軸方向の周りを回転移動することのできる試料台位置調整機構14を備える場合は、観察者は、(3)グリッドメッシュ23の取り付け工程において、取り付け向きを気にせずにグリッドメッシュ23を試料1の平滑面に取り付けた後、(5)切削位置17の決定工程において、試料台位置調整機構14を回転させ、遮蔽板16の辺のうち試料1に切削位置17を形成させる辺と、試料1上のグリッドメッシュ23のバー24とのなす角が45度または90度となるように試料1の位置を調節した上で、切削位置17を決めてもよい。