(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る箱詰め装置1について詳細に説明する。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0013】
<全体構成>
図1〜
図4を用いて、本実施形態の箱詰め装置1の構成について説明する。
図1は、箱詰め装置1の全体を示す正面概略図であり、
図2は、箱詰め装置1の全体を示す正面概略図である。
図3は、本実施形態の箱詰め装置1で用いる箱YA1を説明する図であり、同図(A)が折り畳まれた状態(組み立て前の状態)の箱YA1を示す平面図、同図(B)は一部が起函された状態を示す外観斜視図、同図(C)は封函後の状態を示す外観斜視図である。また
図4は、箱詰め装置1の一部を抜き出して示す図である。
【0014】
なお、説明の便宜上、箱詰め装置1における各種方向の定義として、箱YA1が上流から下流に向かう方向(
図2の左右方向)となる第一方向を搬送方向Tとし、搬送方向Tに直交する方向となる第二方向を搬送幅方向Wとし、箱YA1の高さ方向(搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直交する方向、同図の上下方向)となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0015】
図1および
図2(A)に示すように、本実施形態の箱詰め装置1は、ロボット3およびガイド手段10を含んで構成される。
【0016】
ロボット3は例えば双腕の多関節ロボットであり、一対のロボットアーム5(5A,5B)を少なくとも有する。ロボット3(ロボットアーム5)は、例えば、床面に対して略垂直な面あるいは対向する面に設けられる。具体的にはロボット3(ロボットアーム5)は、壁面、床面に対して略垂直に立設する側板、あるいは天面に設けられる。
【0017】
一対のロボットアーム5は、それぞれ任意に3次元空間を移動可能であり、その先端に設けられたエンドエフェクタを用途に応じて付け替えることで、様々な作業に利用することができる。この例では、ロボットアーム5は、エンドエフェクタとしてそれぞれに物品XA1を保持可能なハンド7、8を有している。
【0018】
本実施形態の箱詰め装置1は、一方のロボットアーム5(例えば、ロボットアーム5A)のハンド7によって折り畳まれた状態で集積された箱YA1をホッパー21(
図1)から取り出し、組み立てて保持し、他方のロボットアーム5(例えば、ロボットアーム5B)のハンド8によって、搬送手段(例えば、ベルトコンベア)20などによって搬送される物品XA1を保持して、一方のロボットアーム5A(のハンド7)が保持する箱YA1内に当該物品XA1を収容する。
【0019】
以下、単に、「ロボットアーム5(5A,5B)による保持」とは、詳細には「ロボットアーム5(5A,5B)のハンド7、8による保持」の意味である。
【0020】
ガイド手段10は、ロボットアーム5A(のハンド7))によって折り畳まれた状態の箱YA1を組み立てる際に、組立をガイドする例えば棒状の部材(ガイド部材10)である。
【0021】
図3を参照して、本実施形態の箱詰め装置1が組み立てる箱YA1について説明する。
【0022】
箱YA1は、例えば紙類(段ボール紙など)により構成され、略直方体形状または略立方体形状に組み立てられるものである。ここでは、側面81、82と、底面83と、底面83の対向面となる上面84とを有し、略直方体形状に組み立てられる箱YA1を例に説明する。
【0023】
箱YA1は、長手方向の側面81を構成する一対の側面部81A、81Bと、短手方向の側面82を構成する一対の側面部82A、82Bと、底面83を構成する底面内側フラップ部83A、83Bと、底面内側フラップ部83A、83Bの外側から覆うように折り曲げられて底面83を構成する底面外側フラップ部83C、83Dと、上面84を構成する上面内側フラップ部84A、84Bと、上面内側フラップ部84A、84Bの外側から覆うように折り曲げられて上面84を構成する上面外側フラップ部84C、84Dとを有する。
【0024】
側面部81A、82A、81B、82Bが筒状となるようにこの順で連続し、例えば側面部81Aに隣接して上面外側フラップ部84D、底面外側フラップ部83Dが設けられ、側面部82Bに隣接して上面内側フラップ部84B、底面内側フラップ部83Bが設けられ、側面部81Bに隣接して上面外側フラップ部84C、底面外側フラップ部83Cが設けられ、側面部82Aに隣接して上面内側フラップ部84A、底面内側フラップ部83Aが設けられる。
【0025】
後に詳述するが、箱YA1は、一方のロボットアーム5によって搬送方向Tに搬送されながら組み立てられる(
図2参照)。すなわち、
図3(A)に示す折り畳まれた状態で、例えば破線丸印の位置に吸着部9A、9Bが接触して一方のロボットアーム5によって取り出され、そのまま、
図3(B)に示すようにまず側面部81A、81B、82A、82Bが立体的に起函される。次にロボットアーム5を移動してガイド部材10(
図2参照)に箱YA1を適宜当接させることによって、底面内側フラップ部83A、83Bが折り曲げられ、その後、底面外側フラップ部83C、83Dが折り曲げられ、底面83が形成される。
【0026】
そして、箱YA1に物品XA1が収容された後、搬送方向Tの後方(上流)側であって、上面84を構成する一方の上面内側フラップ部(ここでは、一例として上面内側フラップ部84A)が、一方のロボットアーム5によって折り曲げられ、その状態で、下流の封函手段(ここでは不図示)に移送される。
【0027】
封函手段では、残りの上面内側フラップ部84Bと、上面外側フラップ部84C、84Dを折り畳み、接着手段(例えば、テープ等)で上面外側フラップ部84C、84Dを接着し、封函し、
図3(C)に示す封函状態の箱YA1が得られる。
【0028】
<ハンドの構成>
図4は、ロボットアーム5のハンド7部分を拡大して示す図である。同図(A)は上面図、同図(B)および同図(C)は側面図、同図(D)〜同図(E)は正面図である。
【0029】
なお、ハンド7は3次元空間を移動可能であり、適宜その姿勢が変化する構成であり、同図における上面、側面および正面は便宜上の方向である。
【0030】
同図に示すように、一方のロボットアーム5(ここでは、ロボットアーム5A)のハンド7は、例えば、保持手段9と第1押さえ手段11と、第2押さえ手段13を含む。
【0031】
保持手段9は例えば、ホッパー等から折り畳まれた状態の箱YA1を取り出して起函するものであり、この例では1対の吸着部9A,9Bを含んで構成される。
【0032】
同図(A)〜同図(C)に示すように、一方の吸着部9Aは、ハンド7の基部71に取り付けられ、他方の吸着部9Bは例えば、基部71に設けられた支持部材9Dによって、基部71に対して回動自在となるとともに吸着面の方向を変更可能に構成されている。支持部材9Dは例えば、リンク機構などにより構成される。吸着部9Bは、基部71に設けられた回転軸9C回りに回動可能であり、その吸着面は少なくとも吸着部9Aの吸着面と略水平となる位置(同図(B))と、吸着部9Aの吸着面と略直角になる位置(同図(C))に移動可能となっている。
【0033】
第1押さえ手段11および第2押さえ手段13は、保持手段9よりも後のタイミングで箱YA1の一部と当接するように移動可能に構成される。例えば、第1押さえ手段11は、箱YA1に物品XA1を収容する際に箱YA1の底面83(底面外側フラップ部83Cおよび83D)を外側から支持し、第2押さえ手段13は、下流の封函手段に箱YA1を移送する際、搬送方向T後方(上流側)の上面内側フラップ部の一方(例えば、上面内側フラップ部84A)を押し込み、折り畳んで支持する。
【0034】
第1押さえ手段11および第2押さえ手段13の構成および移動態様(姿勢の変更態様)は同様であるが、移動するタイミングが異なっている。
【0035】
具体的には、同図(D)〜同図(E)に示すように、第1押さえ手段11は、例えば、基部71に設けられた回転軸11B回りに回動可能な支持部材11Cと、これに取り付けられた例えば板状の第1押さえ部11Aを有し、基部71に対して回動可能であるとともに、第1押さえ部11Aの方向(押さえ面の方向)を変更可能に構成されている。
【0036】
詳細には、第1押さえ部11Aは、基部71に対して回動可能であるとともに、少なくとも、保持手段9による箱YA1の取り出しと起函、および各フラップ部の折り曲げの際にこれらに干渉しないように退避する退避位置(
図4(D))と、例えば、箱YA1の底面83(底面外側フラップ部83Cおよび83D)を外側から支持する押さえ位置(同図(E)、同図(F))とに、移動可能に構成されている。なお、第1押さえ部11Aは、同図(D)および同図(E)に示す第2押さえ部13Aと同様の姿勢にも変化可能である。
【0037】
なお、退避位置は、箱YA1の取り出しと起函、および各フラップ部の折り曲げの際にこれらおよびガイド手段10等に干渉しない位置であればよく、同図(D)に示す第1押さえ手段11の位置でもよいし、第2押さえ手段13の位置でもよいし、同図(D)以外の位置であってもよい。
【0038】
第1押さえ手段11(第1押さえ部11A)は、底面外側フラップ部83Cおよび83Dを同時に押さえることが可能な板状部材(または棒状部材)であることが望ましい。
【0039】
第2押さえ手段13は、例えば、基部71に設けられた回転軸13B回りに回動可能な支持部材13Cと、これに取り付けられた例えば板状の第2押さえ部13Aを有し、基部71に対して回動可能であるとともに、第2押さえ部13Aの方向(押さえ面の方向)を変更可能に構成されている。
【0040】
詳細には、第2押さえ部13Aは、基部71に対して回動可能であるとともに、少なくとも、
図4(D)に示す第1押さえ部11Aと同様に、保持手段9による箱YA1の取り出しと起函の際にこれらに干渉しないように退避する退避位置と、箱YA1の例えば、上面内側フラップ部84Aを押し込み、折り畳んで支持する押さえ位置(同図(E))とに、移動可能に構成されている。
【0041】
第2押さえ部13Aは、例えば同図に示すように、板状部材(または棒状部材)であると望ましい。
【0042】
他方のロボットアーム5(ここでは、ロボットアーム5B)のハンド8は、
図2に示すように保持手段15を含む。保持手段15は例えば、別途の搬送手段20で搬送される、あるいは、ストッカー(不図示)などに集積される物品XA1を保持するものであり、この例では1つまたは複数の吸着部15Aを含んで構成される。
【0043】
ハンド8は保持した物品XA1を、ロボットアーム5Aのハンド7が組み立てて保持する箱YA1内に収容する(
図2(B))。この例では、ハンド8に複数の吸着部15Aが設けられる例を示すが、吸着部15Aは1個でもよい。
【0044】
なお、保持手段9および保持手段15の少なくとも一方は、吸着部を有する吸着手段に限らず、把持部を有する把持手段であってもよい。
【0045】
ガイド手段(ガイド部材)10は、例えば、箱YA1の搬送方向Tに延びる複数本の棒状あるいは板状部材であり、例えば少なくとも2本が搬送幅方向Wに所定距離で離間して配置されとともに、少なくとも2本が搬送方向Tに所定距離で離間して配置される。
【0046】
詳細は後述するが、一方のロボットアーム5(ここではロボットアーム5A)は、側面81,82が起函された箱YA1を保持し、箱YA1を適宜移動させながらガイド部材10に底面内側フラップ部83A、83B、底面外側フラップ部83C、83Dを当接させ、折り畳んで底面83を形成する。ガイド部材10も例えば壁面に取り付けられていると望ましい。
【0047】
これら箱詰め装置1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0048】
<箱詰め装置の動作および箱詰め方法>
次に、
図5〜
図10を参照して、本実施形態の箱詰め装置1の動作および箱詰め方法について時系列に説明する。
図5は、箱詰め装置1を示す正面図であり、同図(A),同図(B)はロボット3の全体の正面図、同図(C)は、ハンド7の一部とガイド部材10部分を抜き出して示す正面図である。また、
図6および
図7はガイド部材10を用いたフラップ部の折込動作を説明する斜視図であり、
図8〜
図10は箱詰め装置1を示す正面図であり、いずれも説明に必要な構成以外の部分を省略している場合がある。また、
図5〜
図10において、ハンド8は、ハンド7が組み立てた箱YA1内に物品XA1を直接的に供給(収容)する構成であればよく、その動作のタイミングは、以下の説明および図示するものに限らない。
【0049】
まず、
図5(A)に示すように、箱詰め装置1は、ロボットアーム5Aのハンド7によって、折り畳まれた状態(組み立て前の)箱YA1を保持する。具体的には、ハンド7の保持手段9の吸着部9A、9Bを互いの吸着面が互いに略水平になるように移動させ、例えば、起立状態、傾斜して積み重ねた状態、又は平積み状態でホッパー21(
図1参照)等にスタックされている折り畳まれた状態の箱YA1を吸着保持する。このとき例えば、吸着部9Aを折り畳まれた状態の箱YA1の側面部82Aに吸着させ、吸着部9Bをそれに隣り合う側面部81Aに吸着させて(
図3(A)参照)、ホッパー等から取り出す。
【0050】
そして、ハンド7は、
図5(B)に示すように、箱YA1を保持したまま吸着部9Aの吸着面に対して、吸着部9Bの吸着面が略垂直(直角)になる方向に支持部材75を回動させて、側面部81A、81B,82A,82Bを起函し、上面84と底面83が開放された筒状に組み立てる。
【0051】
なお、このとき、ハンド8以外の吸着手段、又はハンド8の吸着手段15によって側面部81B、又は82Bのうち、いずれか一方を吸着して対向する側面部、例えば側面部82Aと、側面部82Bとを離間させてから吸着部9Bの吸着面を略垂直(直角)にしてもよい。
【0052】
なお、このとき、一方の吸着部(例えば、吸着部9B)のみ、箱YA1と当接させたまま吸引を解除し(支持は継続する)、箱YA1の側面部81Aに対して僅かに摺動可能としてもよい。一方の吸着部9Bが摺動することにより、箱YA1の側面部81A、81B,82A,82Bの起函が正確に行える場合がある。この場合、起函後に、一方の吸着部(例えば、吸着部9B)は側面部81Aを再度吸着する。
【0053】
ロボットアーム5Aは、側面部81A、82Aを保持した状態で、
図5(C)に示すように、箱YA1を移動(必要に応じて回転)させてガイド部材10(10A,10B)に底面内側フラップ部83A、83B、底面外側フラップ部83C、83Dを順次当接させて折り曲げ、底面83を形成する。このときハンド7は、第1押さえ手段11および第2押さえ手段13が各フラップおよびガイド部材10と干渉しないよう、退避位置にこれらを移動させている。
【0054】
なお、この例では、吸着部9Bが箱YA1よりもロボット3に遠い位置にあるように、すなわち、側面部81Aがロボット3と対向するように移動して、底面83を形成する。
【0055】
ガイド手段(ガイド部材)10は、例えば、箱YA1の搬送方向Tに延びる複数本の棒状あるいは板状部材であり、例えば少なくとも2本が搬送幅方向Wに所定距離で離間して配置されとともに、少なくとも2本のガイド部材10A、10Bが搬送方向Tに所定距離で離間して配置される。
【0056】
例えばこの間に、ハンド8は物品XA1の方向に移動し、物品XA1を吸着保持する。物品XA1は、例えば別の搬送手段20(
図1参照)によってハンド8の保持位置まで搬送される。あるいは物品XA1は、例えばスタッカー(不図示)などに集積されていてもよい。
【0057】
図6および
図7を参照して、
図5(C)に示す状態に続いて、底面83を形成する動作を説明する。
図6および
図7は、
図1に示すホッパー21側から見た斜視図である。
図6および
図7においてはハンド7による箱YA1の移動の状態(ガイド部材10との当接の状態)を示し、ハンド7の記載は省略する。すなわち、ハンド7によって例えば
図6および
図7に示すように箱YA1を移動させることによって、底面83を形成する。
【0058】
図6に示すように、ガイド部材10は例えば、第1方向D1に沿って延在する複数の棒状(または板状)の固定のガイドであり、ロボット3から遠い遠位側の一対の遠位側ガイド部材10A(10A1、10A2)と、ロボット3に近い近位側の一対の近位側ガイド部材10B(10B1,10B2)とから構成される。一対の遠位側ガイド部材10A(10A1、10A2)は、第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って離間して配置され、一対の近位側ガイド部材10B(10B1,10B2)も第2方向D2に沿って離間して配置される。また、遠位側ガイド部材10A(10A1、10A2)と、近位側ガイド部材10B(10B1,10B2)も第1方向Dに沿って所定距離で離間されている。
【0059】
すなわち、第1方向D1に沿って延びる所定長さの4本のガイド部材10A1、10A2、10B1,10B2を互いに離間して、この例では第1方向D1、第2方向D2に対向配置している。なおガイド部材10は図示の例に限らず、折り畳むフラップ部の状態に応じて本数や長さが適宜選択され、対向位置からずれるように搬送高さ方向Hにずらして配置してもよい。また、この例ではガイド部材10は、第1方向D1と第2方向D2は、搬送方向Tおよび搬送幅方向Wと異なる方向である場合を示しているが、第1方向D1は搬送方向Tと同方向であり、第2方向D2は搬送幅方向Wと同方向となるように、ガイド部材10が配置されてもよい。
【0060】
まず、
図6(A)に示すように、ハンド7は、遠位側ガイド部材10Aと近位側ガイド部材10Bの離間部分および、遠位側ガイド部材10A1、10A2の離間部分に対し、遠位側ガイド部材10A1に跨るように箱YA1を上方から斜めに差込み、遠位側ガイド部材10A1の近位側端部に底面内側フラップ部83Bを当接させてそのまま第1方向D1の遠位側にスライド移動させる。
【0061】
これにより、底面内側フラップ部83Bが折り畳まれ、第1ガイド部材10Aの上を摺動させられることで折癖が付けられる。
【0062】
次に、底面内側フラップ部83Aの一部を遠位側ガイド部材10A,近位側ガイド部材10Bの間に挿入する。そして、同図(B)に示すように、箱YA1を第1方向D1の近位側にスライド移動させ、近位側ガイド部材10B1の遠位側端部に底面内側フラップ83Aを当接させて、そのまま第1方向D1の近位側にスライド移動させつつ、箱YA1の底面内側フラップ83A側を下降する。
【0063】
これにより、底面内側フラップ部83Aが折り畳まれ、第2ガイド部材10Bの上を摺動させられることで折癖が付けられる。
【0064】
次に
図7(A)に示すように、底面内側フラップ83A、及び底面内側フラップ83Bの折り畳み状態を維持したまま箱YA1の第2方向D2の一端側(この例では、遠位側ガイド部材10A2、近位側ガイド部材10B2側)を搬送高さ方向Hに一旦移動し、遠位側ガイド部材10A2および近位側ガイド部材10B2に底面外側フラップ83Dの外面を傾斜した状態で当接させて、そのまま第2方向D2に沿って、箱YA1を遠位側ガイド部材10A2および近位側ガイド部材10B2方向にスライド移動しながら下降させて、底面外側フラップ83Dを折り畳む。
【0065】
次に、同図(B)に示すように、底面内側フラップ83A、及び底面内側フラップ83Bの折り畳み状態を維持したまま箱YA1の第2方向D2の他端部(この例では、遠位側ガイド部材10A1および近位側ガイド部材10B1側)を搬送高さ方向Hに一旦移動し、且つ箱YA1を第2方向D2のホッパー21に近づく方向に移動する。このとき、箱YA1の下方に延在する底面外側フラップ83Cは、遠位側ガイド部材10A1および近位側ガイド部材10B1を跨ぐ。次に、箱YA1を第2方向D2のホッパー21から遠ざかる方向に移動するとともに、箱YA1の他端部を下降させて、遠位側ガイド部材10A2および近位側ガイド部材10B2に底面外側フラップ83Cの外面を傾斜した状態で当接させて、そのまま第2方向D2に沿って箱YA1をスライド移動しつつ、下降させて底面外側フラップ83Cを折り畳む。なお、底面外側フラップ83Cおよび底面外側フラップ83Dの折り畳みは、近位側ガイド部材、遠位側ガイド部材のいずれか一方のガイドを用いて折り畳んでもよい。また、底面外側フラップ83C、及び底面外側フラップ83Dは、折り畳み開始時に底面外側フラップ83C、83Dを垂直状態にして、ガイド部材10に当接して折り畳んでもよい。また、箱YA1の移動距離を短くすることができ、サイクルタイムを短縮できるため、底面外側フラップ83C、83Dを傾斜した状態にして、ガイド部材10に当接して折り畳むとよい。このようにして、底面83が形成される。
【0066】
なお、本実施形態では、ハンド7による箱YA1の移動と、ガイド部材10によってハンド7が保持する箱YA1の底面83を構成する各フラップを折り畳んで底面83が形成できればよく、折り畳みの順番や移動方法はこの例に限らない。
【0067】
図7(B)に続いて
図8(A)に示すように、底面83が形成されると、ハンド7は、ガイド部材10から箱YA1を取り出すように移動させる。そして、
図8(B)に示すように、ガイド部材10に底面83の一部を当接させた状態で、第1押さえ手段11を押さえ位置まで回動させ、底面83(底面外側フラップ部83Cおよび83D)を外側から支持する。つまり、第1押さえ手段11は、一部の期間においてガイド部材10と共に底面外側フラップ部83Cおよび83Dを外側から支持し、その後、第1押さえ手段11のみで底面外側フラップ部83Cおよび83Dを外側から支持する。
【0068】
このように、ガイド部材10と第1押さえ手段11とで底面外側フラップ部83Cおよび83Dを支持する期間を重複させることで、接着前の底面83の開放を防いで、ガイド部材10から箱YA1を離脱させることができる。
【0069】
その後、同図(C)に示すように、一方のロボットアーム5Aが箱YA1を保持した状態で、より詳細には、保持手段9(吸着部9A,9B)が側面81、82を保持(支持)し、第1押さえ手段11が底面83の一部を支持した状態で、他方のロボットアーム5Bが箱YA1内に物品XA1を収容(供給)する。
【0070】
図8(C)に続いて
図9(A)に示すように、箱YA1内への物品XA1の収容が完了すると、ロボットアーム5Aは、箱YA1を下流の封函手段17に移送する。なお、
図9(A)では他方のロボットアーム5Bの図示を省略しているが、他方のロボットアーム5Bは箱YA1内への物品XA1の収容が完了すると、物品XA1を開放し、所定位置に復帰する。
【0071】
図9(A)に示すように、ロボットアーム5Aは、封函手段17に移送する前に、第2押さえ手段11によって、搬送方向Tの後方となる上面内側フラップ部(ここでは、上面内側フラップ部84A)を折り曲げる。
【0072】
同図(B),同図(C)のハンド7部分を抜き出して示す正面図を参照により詳細に説明すると、ハンド7は、第2押さえ手段13の第2押さえ部13Aを、同図(B)に示す待機位置から回動させる。これにより第2押さえ部13Aは、同図(C)に示すように搬送方向Tの後方となる上面内側フラップ部84Aを押し込み、更に同図(D)に示す押さえ位置まで回動して上面内側フラップ部84Aを折り曲げて、その状態を維持する。
【0073】
ロボットアーム5Aは、引き続き第1押さえ手段11によって底面83を支持し、また第2押さえ手段13(第2押さえ部13A)によって上面内側フラップ部84Aを折り曲げて支持した状態で、(載置台や他の搬送手段等に箱YA1を載置することなく)箱YA1を下流の封函手段17に移送する。
【0074】
図10は、封函手段17による封函工程を示す正面図である。
図10においてもロボットアーム5Bの図示を省略する。
【0075】
封函手段(封函装置)17は、例えばテープ貼り装置であり、少なくともフラップの折り曲げ手段171、173と、テープ貼り手段175を有する(
図1参照)。折り曲げ手段171は、例えば、棒状などの固定ガイド部材であり、上流端部の折り曲げ手段171は、上流側から受け入れた箱YA1の折り曲げられていない下流側の上面内側フラップ部(この例では、上面内側フラップ部84B)を折り畳む。他の折り曲げ手段173は、上面内側フラップ部84Bが折り畳まれた後に、箱YA1を搬送方向に搬送することで上面外側フラップ部84C、84Dを折り畳む、例えば、棒状などの固定のガイド部材である。
【0076】
テープ貼り手段175は、接着手段(例えば、テープ等)で上面外側フラップ部84C、84D、および底面外側フラップ部83C、83Dを接着し、封函する。
【0077】
このように上面内側フラップ部84Bと、上面外側フラップ部84C、84Dの折り畳みは、封函装置17内で箱YA1を一対のサイドベルトコンベアで挟み込んで上流から下流に移動させることによって、封函装置17内に設けた折り曲げ手段171,173よって折り畳むことができ、また同時にテープを貼り付けて封止できる(同図(B))。
【0078】
本実施形態ではロボットアーム5(5A)の第2押さえ手段13によって、上面内側フラップ部84Aを折り畳み、押さえた状態で封函装置17に移送するため、封函装置17において上面内側フラップ部84Aの折り畳み手段が不要となる。
【0079】
例えば、封函装置17に上面内側フラップ部84Aの折り畳み手段を設ける場合、上流側に起立するフラップ部を上流から下流に向かって押し込むようにするために、封函装置17の上流端部において、例えば、先端が搬送方向に移動するように回動する折り畳み手段が必要であり、封函装置17が大型化(長尺化)する問題がある。また、箱YA1の形状が変更になった場合には、適切に上面内側フラップ部84Aに当接するように折り畳み手段も交換等の調整が必要となり、作業が煩雑となる問題がある。
【0080】
本実施形態では、封函装置17とは別のロボットアーム5(5A)が上面内側フラップ部84Aを押さえた状態で封函装置17内に移送できるため、封函装置17に折り畳み手段が不要であり、簡素かつ安価な封函装置17を利用できる。
【0081】
このように、本実施形態の箱詰め装置1のロボット3は、一方のロボットアーム5(ロボットアーム5A)によって折り畳まれた状態の箱YA1の少なくとも底面を形成して該底面を保持しつつ、他方のロボットアーム5(ロボットアーム5B)が、箱YA1内に物品XA1を供給する。
【0082】
このようにすることで、箱YA1を組み立てる工程と物品XA1を収容する工程が箱詰め装置1の処理として連続して一体的に行え、この間の箱YA1の受け渡しを省略できるため、これらの工程が分離されている場合と比較して、箱詰めの作業全体としての効率(サイクルタイム)を向上させることができる。
【0083】
また、ロボット3は例えば壁面に取り付けられ、ロボットアーム5によって折り畳まれた状態の箱YA1を取り出して組み立て、物品XA1を収容するまでの間に、空中にて箱YA1の組み立てと箱詰めが終了する。つまり、箱YA1を載置台や搬送手段上に載置する必要がなく、箱詰め装置1下方の床面には、何も設置することなく、箱詰めが行える。
【0084】
従って、床面の清掃時に、清掃手段が接触する構造物はなく、十分な清掃が可能となり、清掃性(清掃の効率や清掃(後)の状態)を向上させる(良好にする)ことができる。
【0085】
さらに、載置台や箱YA1の搬送手段を設置する面積が不要となるため、箱詰め装置1全体としての占有面積を縮小できる。
【0086】
また、例えばベルトコンベアなどの搬送手段で搬送しながらガイド手段に当接させるようにしてフラップ部の折り曲げを行う装置の場合、箱YA1の外形状(サイズ)が変更になった場合にはその都度、フラップ部に適切に当接するようにガイド手段の位置を調整する必要がある。これに対し本実施形態では、ロボット3(ロボットアーム5)で箱YA1を保持して下流工程に移送するため、箱YA1の外形状が変更になった場合であっても、フラップ部がガイド手段に適切に当接するようにロボットアーム5の移動経路(動作経路)を調整するのみでよく、煩雑なガイド手段の位置調整作業が不要となる。
【0087】
また、ロボットアーム5(5A)の第2押さえ手段13によって、上面内側フラップ部84Aを折り畳み、押さえた状態で封函装置17に移送するため、封函装置17において上面内側フラップ部84Aの折り畳み手段が不要となり、簡素かつ安価な封函装置17を利用できる。
【0088】
なお、上記実施形態における一対のロボットアーム5のうち一方、又はその両方を天面に配置するようにしてもよい。
【0089】
また、一対のロボットアーム5は、1台の双腕ロボット3のアームである場合を例に説明したが、2台の単腕ロボットのアームを協働させる構成であってもよい。
【0090】
また、ガイド部材10は、遠位側ガイド部材10A、又は近位側ガイド部材10B、又はその両方を搬送方向Tに沿って複数(2つ以上)に分割し、それらを互いに離間させて配置してもよい。このようにすることで、箱YA1のサイズが変更された場合であっても、製函時に箱YA1をガイド部材に沿って移動させる距離を小さく(短く)することができるため、サイクルタイムを短縮できる。
【0091】
以上、本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。