【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、第1の物体へ第2の物体を結合する方法は、
第1の物体を提供するステップであって、第1の物体は、熱可塑性の液化可能物質を固体状態で含むステップと、
第2の物体を提供するステップであって、第2の物体は、アンダーカットの付いたカップリング構造体を有する表面部分を有し、かつ/または、第2の物体は、後述するように、このようなアンダーカットの付いたカップリング構造体を含むように変形されることが可能であり、これにより、第2の物体は、第1の物体とポジティブフィット式に連結することができるステップと、
ツールに機械的振動が結合される間に、第2の物体のカップリングイン構造体と物理接触しているツールによって、第2の物体を第1の物体に押し付けるステップと、
押し付けかつ振動をツールに結合するステップを、第1の物体の熱可塑性物質のフロー部分が液化されて第2の物体のカップリング構造体に流れ込むまで続けるステップと、
第1の物体の熱可塑性物質を再凝固させて、第1および第2の物体間に、液化されかつ再凝固されたフロー部分がカップリング構造体に染み込むことによりポジティブフィット連結を産出するステップと、を含む。
【0010】
これにおけるフロー部分の液化は、主として、振動する第2の物体と第1の物体の表面との摩擦によって引き起こされ、この摩擦は、第1の物体を皮相的に加熱する。
【0011】
したがって、本発明の多くの実施形態によるこのアプローチの特性は、第1および第2の物体間の接触ゾーンに発生されているフロー部分が、即座に第2の物体の既存の空洞へと流れ込むことができ、これにより、このプロセスの間に発生される熱に影響されるゾーンは狭いまま、例えば混合ゾーンに略限定されることにある。
【0012】
フロー部分の流れ挙動は、本発明によるアプローチに起因し、物質の流れが、振動および摩擦によって熱が絶えず供給される非液状化物質の表面(即ち、第2の物体、細まり流れ)へ向かって発生される、という事実によって影響される。したがって、概して、熱の流出がほとんどない。したがって、熱可塑性物質によるカップリング構造体内への大きな浸透深さは、短時間のプロセス後であっても達成可能となり、流れは、コールドスポットと接触することになる液化した物質の熱損失によって停止されない。これは、例えば、国際公開出願第98/42988号パンフレットに記載されているような、液化した物質が界面ゾーンから離れて流れ、よって、冷たいままの構造体内へと熱が伝達されることによるひろがり流れが存在する「ウッドウェルド」プロセスとは対照的である。
【0013】
第1および第2の物体は、広義には組立てコンポーネント(組立てエレメント)、即ち、あらゆる機械工作分野、例えば自動車工学、航空機製造、造船、建築、機械製造、玩具製造などにおいて使用されるエレメントである。概して、第1および第2の物体は、双方が人工的な人工物であり、かつ少なくとも第1の物体は、人工物を含み、第1および/または第2の物体における木材を基礎とする材料等の自然に育ったもの(無生物)の追加的使用は、排除されない。
【0014】
第1の物体および第2の物体の材料は、同質であっても、異質であってもよい。例えば、第1の物体は、熱可塑性物質を有し、さらに他の非液状化物質を含んでもよく、かつ/または異なる組成の熱可塑性物質による複数の層を有してもよい。同様に、第2の物体も、後により詳細に説明するように、異なる物質による異なる部分を含んでもよい。追加で、または代わりに、実施形態において、第2の物体は、同じく後にさらに詳しく説明するように、複数の物体を互いに固定させるべく、複数の物体(第1の物体および少なくとも1つのさらなる物体)を介して浸透させられてもよい。
【0015】
カップリングイン構造体は、ツールとして機能する分離したソノトロードのための、誘導構造体(調和したツール突起のための案内穴等)を有する、または有さない、特に最近位端面により構成されるカップリングイン面であってもよい。代替実施形態において、カップリングイン構造体は、第2の物体を振動発生装置へ直接結合するカップリングを備えてもよく、よって、振動発生装置は、ツールとして機能する。このようなカップリングは、例えば、ねじカップリングまたはバヨネットカップリングまたはこれらに類似するものによってもよい。したがって、これらの実施形態において、第2の物体は、同時に、振動発生装置へ結合されるソノトロードである。
【0016】
他の実施形態において、このツールは、振動発生装置へ締め付けられるソノトロードである。この種のソノトロードは、例えば、超音波溶接から知られている。
【0017】
さらに他の実施形態において、このツールは、中間ピース(第1の物体とは異なるもの)であってもよく、ソノトロードは、この中間ピースに当たり、かつ中間ピースの材質は、プロセス間の適用条件下で液化しない。概して、本発明の態様によるこのアプローチは、振動が第1の物体を介してのみ第2の物体に結合されることを除外するものであって、第2の物体と振動ツールとの物理的接触は、必要とされる。
【0018】
熱可塑性物質のフロー部分は、プロセスの間かつ機械的振動の効果に起因して液化されかつ流される熱可塑性物質の部分である。
【0019】
第2の物体のカップリング構造体は、液化可能でない物質製である。後により詳細に説明するように、この規定には、この物質が、第1の物体の物質より略高い温度、少なくとも50゜は高い温度等で液化し得る、という可能性が含まれる。追加で、または代わりに、この条件は、第1の物体の熱可塑性物質が流動性である温度では、第2の物体の物質の粘性が、第1の物体の熱可塑性物質の粘性より甚だしく、例えば、少なくとも10
3倍から10
5倍高い、としていてもよい。異なる液化温度および/または異なるガラス転移温度を有する異なる液化可能マトリクス材を包含することに追加して、またはこれに代えて、これは、より高い充填度の例えば繊維フィラーによっても達成されることが可能である。
【0020】
カップリング構造体は、半径方向の突起および陥凹部(リブ/溝等)の連なり、開放多孔質フォーム状構造体、遠位側へ開く、近位側へ向かって少なくとも横一方向に広がることによりアンダーカットを画定する開口、を含んでもよい。軸方向に対してアンダーカットを画定する構造体は、何れも適切である。
【0021】
(例えば、第2の物体の一部分の外面の周り、または第2の物体の内面に沿って)半径方向の突起および陥凹部の連なりを含むカップリング構造体において、混合ゾーンの深さdは、フロー部分が最も外側の突起を起点として浸透する半径方向深さとして定義されてもよい。開放多孔質構造を含むカップリング構造体において、混合ゾーンの深さは、熱可塑性物質が開放多孔質構造の表面を起点として浸透する、前記表面に対して垂直に測定される開放多孔質構造の深さとして定義されてもよい。同様に、遠位側へ開く開口を含むカップリング構造体において、混合ゾーンの深さは、熱可塑性物質が、遠位に面する表面を起点として浸透する深さとして定義されてもよい。
【0022】
特に、実施形態において、第2の物体の機械的振動伝達部は、金属材料および/または他の硬質材料(ガラス、セラミックなど)、および/または、全プロセスの間にそのガラス転移温度より低いままである熱硬化性プラスチックおよび/または熱プラスチックより成る。
【0023】
ある特別な実施形態グループにおいて、第2の物体は、第1の物体の熱可塑性物質の液化温度より略高い液化温度を有する第2の熱可塑性物質を含む。よって、第1の物体の熱可塑性物質のフロー部分を液化させるステップの後、第2の物体は、第2の物体への(当初と同じ、またはより高い、またはより低い可能性もある強度による)カップリング振動が継続される間、第2の熱可塑性物質の第2のフロー部分が液状化されて第2の物体が変形するに至るまで、第1の物体のサポートまたは非液状化部分へ押し付けられてもよい。特に、このさらなる方法ステップは、第1および第2の物体を追加的なリベット効果により互いに結合させるための第2の物体のフット部分および/またはヘッド部分が生成されるまで、本参照により開示に含まれる国際公開出願第2015/117253号パンフレットに記載されているように実行されてもよい。
【0024】
この特別な実施形態グループの実施形態は、結合プロセスの後に第2の物体が第1の物体を介して遠位側に到達することを含んでいるが、ある代替的な実施形態グループでは、遠位側がそのまま残され、即ち、第1および第2の物体の部分を含む混合ゾーンは、遠位側に到達しない。
【0025】
実施形態において、第2の物体は、第2の物体に、固定軸に沿って場合により第2の物体の周面に配置される構造エレメントを伴って延びる固定部分、かつ/または第2の物体の軸方向へ延びる部分の内面に沿って延びる固定部分を供給することにより、深さ効果が高い方法で固定される。
【0026】
実施形態において、特に、第2の物体が第1の物体内に浸透する浸透深さ、即ち、第1の物体内に浸透する第2の物体のパーツの軸方向の伸びは、混合ゾーン、即ち結合プロセスの後に第1および第2の物体の部分が共に存在するゾーンの深さより大きい(例えば、略大きい)。言い替えれば、深さ効果の高い固定を含む実施形態において、第1の物体内へ少なくとも1つの横寸法にかつしばしば両横寸法に浸透する第2の物体の1つのパーツの幅は、第2の物体が第1の物体内へ浸透する浸透深さより小さい。よって、混合ゾーンの深さは、周面上の構造エレメントの特性深さ、即ち、固定軸に対して垂直に測定される深さとして定義される。
【0027】
あるグループの実施形態は、深さ効果の高い固定を包含するに加えて、またはこれの代わりに、互いから横方向に離隔されかつ/またはおそらくは延長された、例えば周方向の溝を形成する複数の構造エレメントを有する結合表面を備え、結合表面は、第1の物体の表面部分を辿る。例えば、第1の物体が平坦であれば、構造エレメントは、平面に沿って広がる。
【0028】
実施形態、例えば深さ効果の高い固定を包含する実施形態例は、押し付けるステップに先行して第1の物体内にボアを設けることを含んでもよく、よって押し付けるステップにおいて、第2の物体の1つのパーツは、このボアに押し込まれる。この場合、ボア径は、好ましくは、ボアに押し込まれるパーツの外径より小さくなるように選定される。このようなボアは、盲穴であっても、貫通ボアであってもよい。また、溝などの他の陥凹部における固定も可能である。
【0029】
貫通ボアは、第2の物体が熱可塑性シートのように比較的薄い実施形態においても効果的であり得る。よって、第2の物体を第1の物体へ結合させる方法は、例えば、そこにさらなる物体を締め付けて、貫通接続として機能させる、(セプタムの場合、または取り外し可能なカバーまたはこれに類似するものを含む第2の物体の場合のように)予め規定された条件下でのみ結合できるバリアとして機能させる、または他の目的を有するために、貫通ボアを第2の物体で裏打ちすることを含んでもよい。この特別なカテゴリの実施形態において、第1の物体の厚さは、相互浸透深さ(混合ゾーンの深さ)の240倍または220倍、特には3倍から10倍までの間に相当してもよい。
【0030】
さらに他の実施形態グループによれば、結合は、「平面結合」または「やや平坦な結合」式に、比較的小さい浸透深さで実行される。この実施形態グループは、特に、第2の物体を、比較的薄い、または損傷に弱い、または、第2の物体が結合される表面以外の表面をそのままにしておくための高い要件を有する第1の物体へ結合させることにも適する。
【0031】
このグループの実施形態において、第2の物体は、液化した物質が流れ込む複数の構造エレメントを備え、これらの構造エレメントは、互いに横方向へ離隔され、即ち、固定の間に第1の物体の表面平面に対して平行である平面に沿って広がり、または、事例によっては、第1の物体の他の非平坦な表面に沿って広がる。特には、第1および第2の物体間の結合は、平面結合であってもよく、第1および第2の物体間の界面エリアは、第1の物体の表面平面に対して略平行であり、かつ少なくとも1つの寸法、好ましくは双方の面内寸法が浸透深さより略大きく、例えば、少なくとも2倍または3倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍大きい。この場合、浸透深さは、混合ゾーンの深さに等しくても、これより小さくてもよい。
【0032】
浸透深さが混合ゾーンの深さより小さい結合を包含する実施形態は、第2の物体を第1の物体の平坦でない表面部分へ結合させることも包含してもよい。例えば、第1の物体は、近位に面する所定の表面輪郭を有してもよく、かつ第2の物体は、この輪郭を辿る全体形状を有しても、そうなるように変形可能であってもよい。
【0033】
あるいは、第1の物体は、皿穴、または開口、またはその周縁に沿って他の構造体を備えた開口を有してもよく、第2の物体は、相応に適合化された(例えば、開口が皿穴にされれば円錐)形状を有する。第1の物体が比較的薄く、かつ遠位面に対する要件が存在する実施形態において、このような実施形態における第2の物体の構造エレメントは、深さに適応されてもよい。特に、構造エレメントの相対サイズは、遠位に向かって低減してもよく、よって、流動性物質を受け入れるその能力は、遠位側に向かって低下し、かつ熱による影響も適宜低減する。
【0034】
実施形態における設計基準は、液化した物質が流れ込むことができる構造エレメント(陥凹部または細孔等)の容積が、変位される容積より大きい、というものである。これは、それに準拠すれば、カップリング構造体を含む表面パーツに沿って、所定の深さの有孔性が少なくとも50%になる、という本発明の実施形態の基準に繋がる。この場合の有孔性は、凸状外殻から所定の深さ(軸方向に測定される混合ゾーンの深さに相当する)まで測定される、合計容積に占める空きスペースの分率として定義され、必ずしも「細孔」とは見なされないマクロ組織にも適用され得る。この任意選択の設計基準が満たされれば、容積が表面または側方またはこれらに類似する方向へ変位される必要はない。
【0035】
より一般的には、実施形態において、本方法は、フロー部分を陥凹部および/または細孔に流れ込ませることと、フロー部分が第2の物体の側方領域へ流れないように防止することを含んでもよい。
【0036】
そのため、場合により、上述の条件を満たす陥凹部/細孔容積を提供することに加えて、本方法は、(非振動性の)保持デバイスを第2の物体の近傍における、例えば、第1および第2の物体間の界面辺りの、第1の物体の近位面に押し付けることも含んでもよい。このような保持デバイスは、第2の物体が第1の物体内に固定されるロケーション付近の膨出またはこれに類似するものを防止し得る。
【0037】
「平面結合」または他の「やや平坦な結合」による固定を行うこのグループの実施形態において、第2の物体は、空洞(陥凹部/細孔)に加えて、例えばエネルギーダイレクタとして機能し得る遠位の突出構造体を備える。特に、このような遠位の突出構造体は、遠位側へ向かって先細になる部分、例えば、先端または縁または丸みのある遠位端で終わる部分を伴う形状を有してもよい。この場合、遠位の突出構造体とフロー部分を収容する空洞との横方向距離は、最小限であってもよい。特に、このような遠位の突出構造体と空洞との間のスペーシングは回避されてもよく、よって、遠位表面における第2の物体の全体形状は、遠位突起と空洞との間でうねる。
【0038】
これまでに述べた全てのグループの実施形態において、軸方向(中心部から周辺部へ)に対するアンダーカットを備え、よってポジティブフィット連結を可能にするカップリング構造体は、第2の物体の事前製造特性である。
【0039】
追加で、または代わりに、第2の物体は、変形可能な部分を備えてもよく、かつ本方法は、機械的振動が第2の物体へと結合される間に第2の物体を第1の物体に押し当てるプロセスの間に、ポジティブフィット連結のための構造体を作ることを含んでもよい。
【0040】
例えば、第2の物体は、変形可能な構造体として、略軸方向へ延びる複数の変形可能な脚または変形可能なカラーを備えてもよい。プロセスの間、変形可能な構造体は、再凝固後にアンダーカットが形成されるように、軸方向から離れて曲げられる。
【0041】
この変形原理を用いる実施形態は、有効固定エリアが、変形に起因して第2の物体により浸透される第1の物体の表面エリア部分より大きくなり得る、即ち、変形なしの実施形態に比べてフットプリントが拡大され得る、という優位点を特徴とし得る。
【0042】
さらなる優位点としての可能性は、例えば、変形可能部分に軽量の変形可能材料が使用され得ることにある。特に、プロセスが行われる温度で変形可能であるが、室温(または、より一般的には、アッセンブリが使用される温度)でかなりの剛性を示す材料が使用されてもよい。例えば、変形可能部分は、フロー部分を形成する第1の物体の熱可塑性物質のガラス転移温度より略高いガラス転移温度を有する熱可塑性物質製であってもよい。
【0043】
この原理の特有の一実施形態では、第1の物体の熱可塑性物質として、温度約180℃で流動性になる物質であるPBT(ポリブチレンテレフタレート)が使用され、かつ変形可能部分を備える第2の物体の部分の材料として、PEEKが使用された。PEEKは、180℃において液体/流動性ではないが、そのガラス転移温度(約140℃)より上では液体/流動性である。
【0044】
より一般的には、変形可能部分が熱可塑性物質を含む実施形態では、変形可能部分のガラス転移温度が、第1の物体の熱可塑性物質のガラス転移温度と熱可塑性物質が十分に流動性になる温度との間であれば効果的であり得る。
【0045】
本文において、液化温度または熱可塑性物質が流動性になる温度は、結晶性ポリマーでは融解温度であり、かつ非晶質熱プラスチックでは、「流れ温度」(ときに、押出しが可能な最低温度として定義される)と称される場合のある、ガラス転移温度より高い、それが十分に流動性になる温度、例えば、粘性が10
4Pa・sより下がる(特に、ポリマーが事実上繊維強化されていない実施形態では、10
3Pa・sより下がる)温度であることを想定している。
【0046】
押し付ける力に対して対向力を加えるために、第1の物体は、サポート、例えば非振動性のサポートに当てて置かれてもよい。第1のオプションによれば、このようなサポートは、第1の物体が押し当てられるスポットに相対して、即ちこのスポットから遠位に、支持面を備えてもよい。この第1のオプションは、第1の物体自体が押し付ける力に対して重大な変形または欠損すらもなく耐えるに足る安定性をもたなくても結合を行うことができるという理由で、効果的であり得る。
【0047】
第2の物体を第1の物体に押し当てるプロセスの間に第2の物体を変形させることを含む実施形態において、サポートは、変形プロセスを支援する成形特徴を含んでもよい。例えば、サポートは、変形可能な構造体が各々外向きに曲がる、または内向きに曲がるように成形突起または成形陥凹部を有して成形されてもよい。
【0048】
さらに、本方法は、第1の物体の熱可塑性物質上のサポートによる冷却効果を用いることも可能であって、これにより、第1の物体の熱可塑性物質は、より低温に保たれ、よって、サポートとの界面においてより硬いままとなる。これにより、変形可能な構造体は、サポートとの界面に近づきすぎないように変形される。
【0049】
第2のオプションによれば、第1の物体の遠位側は、例えば、第1の物体が横側またはこれに類似する側に沿って保持されることによって露出されてもよい。この第2のオプションは、遠位表面が荷重されず、かつ第2の物体が遠位側に到達しなくても影響されないままである、という優位点を特徴とする。
【0050】
実施形態において、第1の物体は、サポートに当てて、サポートと第1の物体との間に弾性または可縮性エレメントなしに配置され、よって、サポートは、第1の物体を堅固に支持する。
【0051】
ある実施形態グループにおいて、第2の物体は、内側部分と外側部分とを、間に間隙を有して備える。よって、第2の物体のカップリング構造体は、内側部分の外部構造体、および/または外側部分の内部構造体、および/または外側部分の外部構造体を含んでもよく、かつフロー部分を流すステップは、流れを間隙へと至らせることを含む。
【0052】
あるオプションによれば、内側部分および外側部分は、互いに一体であってもよい。
ある実施形態グループにおいて、第2の物体は、第1の材料の第1の部分と、第2の材料の第2の部分とを備える。この実施形態グループは、例えば、第1の部分が、第1および第2の物体のアッセンブリへさらなるエレメントを連結するためのねじ山または他の構造体等の重要なセクションを備え、高品質の建材、例えばステンレス鋼、チタン、アルミニウム、銅などで製造されるのに対して、第2の部分が、より低コストの材料を含み、かつ主として第2の物体を第1の物体に対して安定させる働きをする場合に、コスト節約を可能にし得る。
【0053】
特に、第2の物体が内側部分と外側部分とを備える場合、内側部分は、第1の材料製であってもよく、かつ外側部分は、第2の材料製であってもよい。よって、フロー部分が間隙へ流れ込むことにより、第2の物体は、第1の物体へ結合されるだけでなく、それ自体でも安定化される。
【0054】
第1の材料の第1の部分と第2の材料の第2の部分とを備える実施形態は、例えば、変形可能な部分を備える先に論じたグループの実施形態を含んでもよい。これらにおいて、変形可能な部分は、例えば、第2の材料の第2の部分に属してもよく、かつ第1の物体へさらなる物体を取り付けるための、または他の機能のための取付け構造体は、硬質金属製等の他の変形可能材料製であってもよい。
【0055】
(先に論じた優位点を有する、場合により変形可能な部分を備えることに加えて)第1および第2の材料を用いる実施形態のさらなる優位点は、第1の部分により構成される十分に安定した/硬い機能ピース、例えばねじ山または他の機能構造体を有する可能性を保持しながら、(例えば、上述の意味で十分に大きいフットプリントを産出するための)多大な空間を使い切る第2の物体のパーツに軽量かつ/または低コストの材料を用いる可能性を提供することにある。
【0056】
第2の材料がそれ自体、第1の物体の材料の液化温度より高い温度において変形されることが可能であり、かつおそらくは、流れることが可能であれば、このアプローチは、第1および第2の部分が、これらが最初に互いに連結されておらず、または緩く連結されているだけであれば、場合により現場で組み合わされ得る、というさらに他の優位点を特徴とし得る。例えば、第2の材料は、第1の材料と相対的に、第1の部分の一部を、例えばポジティブフィットのような方式で埋め込むように流れてもよい。
【0057】
ある実施形態グループにおいて、第2の物体は、第1の物体へさらなる物体を取り付けるための取付けピース(取付け支柱、取付けプラグ、他)を構成してもよい。特に、上述の類の内側部分は、ねじ山またはバヨネット嵌合構造体またはガイドブッシュまたはスナップオン構造体などの取付け構造体を備えてもよい。外側部分は、取付け構造体を締め付けるための締付けフランジとして機能してもよい。先行技術による締付けフランジと比較すると、このアプローチには、次のような実質的優位点がある。
【0058】
締付けフランジを設けるためと、締付けエレメントを締付けフランジへ取り付けるための2つの別々のステップの代わりに、構造体全体が単一のステップで付着され得る。
【0059】
取付けピースの位置合わせは、場合により、別段で完了されている第1の物体へ直に、例えば、第1の物体がさらなるパーツに関連して配置された後に、かつ/またはさらなるオブジェクトが存在しているときに行われてもよい。したがって、第1の物体自体を製造する間は、精密なアラインメントステップが不要である。よって、最終製品に対する位置合わせの精度は、大幅に向上され得る。
【0060】
本発明によるこのアプローチに起因して、取付け構造体の固定は、第1の物体が比較的薄い状況、および/または第1の物体の他の遠位表面を影響されないままにする必要がある状況においても効果的である。これは、熱可塑性物体内に金属本体(ねじ込みブッシュまたはこれに類似するもの)を突き刺すことを含む先に論じた先行技術によるアプローチとは対照的である。
【0061】
特に、実施形態において、第2の物体は、近位本体と、その遠位に、押し込むステップにおいて第1の物体へ押し込まれる複数の遠位拡張部とを備える。特に、遠位拡張部は、少なくとも1つの外側拡張部と、少なくとも1つの内側拡張部とを備えてもよい。
【0062】
例えば、近位本体は、上述の意味における第2の材料製の一部分と、その内部に埋め込まれる、第1の材料製の一部分とを備えてもよく、第1の材料製の前記部分は、熱可塑性物質を再凝固させるステップの後にも近位側からアクセス可能であり、かつ取付け構造体を有してもよい。第1の材料製のこの部分は、遠位へ延びて遠位拡張部(中央突起等)のうちの少なくとも1つを形成しても、近位側へ限定されてもよい。
【0063】
ある実施形態グループにおいて、第1の物体は、例えばポリマーカバーであるポリマープレート等のやや平坦な物体である。
【0064】
第2の物体と第1の物体との結合は、2物体間を結合する任意の目的を有してもよい。例えば、自動車または航空産業において、この結合は、プラスチック製の構造エレメント(第1の物体)と、金属または化合物材料製の構造エレメントとの結合であってもよい。
【0065】
ある実施形態グループにおいて、第2の物体は、第1の物体における、第1の物体へさらなるエレメントを締め付けるためのアンカーであってもよい。
【0066】
別の実施形態グループにおいて、第2の物体は、さらなる第3の物体を第1の物体へ本明細書に記述する方法によって結合するコネクタであってもよい。したがって、これらの実施形態は、
第3の物体を第1の物体へ、第2の物体を第1の物体へ結合することによって連結し、かつこれにより、第3の物体を第1の物体へ固定する方法に関し、本方法は、
第1の物体を提供するステップであって、第1の物体は、熱可塑性の液化可能物質を固体状態で含むステップと、
第3の物体を提供するステップと、
第2の物体を提供するステップであって、第2の物体は、アンダーカットの付いたカップリング構造体を有し、かつ/またはこのようなアンダーカットの付いたカップリング構造体を含むように変形されることが可能な表面部分を備え、これにより、第2の物体は、第1の物体とポジティブフィット式に連結することができるステップと、
第3の物体を第1の物体に関連して配置するステップと、
ツールに機械的振動が結合される間に、第2の物体のカップリングイン構造体と物理接触しているツールによって、第2の物体を第1の物体に押し付けるステップと、
押し付けかつ振動をツールに結合するステップを、第1の物体の熱可塑性物質のフロー部分が液化されて第2の物体のカップリング構造体に流れ込むまで続けるステップと、
第1の物体の熱可塑性物質を再凝固させて、第1および第2の物体間に、液化されかつ再凝固されたフロー部分がカップリング構造体に染み込むことによりポジティブフィット連結を引き起こすステップとを含み、
第2の物体を第1の物体へ押し当てるステップは、第2の物体が第3の物体と物理接触して第3の物体を第1の物体へ固定するまで実行される。
【0067】
特に、第3の物体を第1の物体に関連して配置するステップにおいて、第3の物体は、第1の物体の近位に置かれてもよく、かつこの配置するステップの後、第2の物体は、その遠位部分が第1の物体に到達して第2の物体が第1の物体へ押し当てられるまで、第3の物体へ浸透されてもよい。
【0068】
例えば、この目的に沿って、第3の物体は、液化可能な熱可塑性物質であっても、その他、第2の物体が、第1の物体にその遠位部分が到達するまで第3の物体を介して浸透するような浸透性物質であってもよい。
【0069】
よって、さらに、第2の物体のカップリング構造体を、ポジティブフィット連結が、第1の物体との連結に加えて第3の物体によっても引き起こされるようにして配置することが可能である。
【0070】
追加で、または代わりに、第3の物体は、第3の物体の遠位部分が第1の物体に到達するように通って案内されるボアを備えてもよい。
【0071】
第3の物体を第1の物体に固定するために、第2の物体は、第2の物体の遠位部分が第1の物体に固定される間に第3の物体の近位に面する表面部分にもたれるヘッドまたはブリッジ部分を備えてもよい。
【0072】
追加で、または代わりに、第3の物体が熱可塑性物質を含んでいれば、第2および第3の物体間のポジティブフィット連結は、カップリング構造体に染み込む第1の物体の材料に加えて、第2の物体の構造体に浸透する第3の物体の材料によって引き起こされてもよい。
【0073】
加えて、またはさらに別の代替例として、第3の物体の熱可塑性物質は、第2の物体が第3および第1の物体のアッセンブリへ押し込まれる効果によって、第1の物体の熱可塑性物質へ溶接されることになってもよく、または、再凝固後に機械的および/または接着性連結が生じるように、第1の物体の流動性物質に非混合式に染み込まされてもよい。
【0074】
第1の物体へ結合される第3の物体の材料がエラストマ材料または他の材料を含むことは、このような材料が液化可能でないとしても、かつ予め製造された開口が存在していないとしても、まさしく1つの選択肢である。特に、第2の物体の切削部分は、その遠位に置かれる第1の物体と接触するに至るまで、第3の物体の一部分を貫通してもよい。
【0075】
この方法(非溶融性または溶融性の軟質材料を熱可塑性である第1の物体へ結合すること)では、例えば、硬質/軟質射出成形において互いに加工され得ない硬質材料と軟質材料との連結が可能になる。一実施例は、減衰クッション(第3の物体)を熱可塑性シート等の熱可塑性である第1の物体へ結合することであろう。
【0076】
ある実施形態グループにおいて、第2の物体は、押し当てて振動させる間に第1の物体と直に接触する表面に、エネルギーダイレクタとして機能する縁または先端等の構造体を備える。例えば、国際公開出願第98/42988号パンフレットまたは国際公開出願第2008/080238号パンフレットに記述されているような超音波溶接および「ウッドウェルド」プロセスの場合でも、エネルギーダイレクタは知られているが、これらは概して、液化されるべき物質製の物体上に存在する。しかしながら、本発明の実施形態は、これとは逆に、液化されないが、液化した物質が染み込む物質上に、エネルギーダイレクタを提供する。
【0077】
また、本発明は、熱可塑性物質を含む第1の物体へ本明細書に記述しているような方法で固定されるための連結エレメントにも関する。より具体的には、前記方法に関連して記述されかつ/またはクレームされている第2の物体の特性は何れも、この連結エレメントの特性であってもよく、逆もまた同様である。
【0078】
本明細書において、「例えば機械的振動によって流動性にされることが可能な熱可塑性物質」、または簡単に「液化可能な熱可塑性物質」または「液化可能物質」または「熱プラスチック」という言い回しは、少なくとも1つの熱可塑性成分を含む物質を記述するために使用され、この物質は、加熱されると、具体的には、摩擦によって加熱されると、即ち、互いに接触している1対の表面(接触面)のうちの一方に配置されて振動により互いに対して動かされると液体(流動性)になり、この場合、振動頻度は、本書において先に論じた特性を有する。状況によっては、例えば、第1の物体自体がかなりの荷重を負わなければならない場合、物質は、0.5GPaを上回る弾性係数を有することが効果的であり得る。他の実施形態では、機械的振動がこのツールにより第2の物体へ直接移されることから、第1の物体の熱可塑性物質の振動伝達性がプロセスにおいて役割を果たさないという理由で、弾性係数は、この値より低くてもよい。
【0079】
熱可塑性物質は、自動車および航空産業において周知である。本発明による方法の目的のためには、特にこれらの産業における用途に関して知られる熱可塑性物質が使用されてもよい。
【0080】
本発明による方法に適する熱可塑性物質は、室温で(または、本方法が実行される温度において)固体である。これは、好ましくは、固体から液体に変わる、または臨界温度範囲より高温で、例えば溶融によって流動性であり、かつ再び臨界温度範囲より低温に、例えば結晶化によって冷却されると再び固体物質に変わり、よって、固相の粘性が液相より数桁も(少なくとも1000倍)高い、(特に、C、P、SまたはSi鎖ベースの)高分子相を含む。熱可塑性物質は、概して、共有結合的に架橋されない、または融解温度範囲に、またはこれを超えて加熱されると架橋結合が可逆的に開くようにして架橋されるポリマー成分を含む。ポリマー物質は、さらに、例えば、熱可塑特性をもたない、または、基本ポリマーの融解温度範囲より遙かに高い融解温度範囲を含む熱可塑特性を有する物質の繊維または粒子であるフィラーを含んでもよい。
【0081】
本明細書において、「非液状化」物質は、概して、プロセス中に到達される温度で、特に、第1の物体の熱可塑性物質が液状化される温度で、液状化されない物質である。これは、非液状化物質が、プロセス中に到達されない温度、概して、プロセス中に液状化される1つまたは複数の熱可塑性物質の液化温度を遙かに(例えば、少なくとも80℃)上回る温度で液状化し得ないという可能性を排除するものではない。液化温度は、結晶性ポリマーの融解温度である。非晶質熱プラスチックの場合、液化温度(本明細書では、「融解温度」とも呼ぶ)は、「流れ温度」(時に、押出しが可能な最低温度として定義される)と称されることもある十分に流動性となるガラス転移温度より高い温度であり、例えば、粘性が熱可塑性物質の10
4Pa・sより下(実施形態において、特に、実質上繊維強化されていないポリマーの場合、10
3Pa・sより下)まで降下する温度である。
【0082】
例えば、非液状化物質は、アルミニウムまたは鋼等の金属であっても、木材であっても、例えば強化型または非強化型の熱硬化性ポリマーである硬質プラスチックであっても、融解温度(および/またはガラス転移温度)が液化可能パーツの融解温度/ガラス転移温度より遙かに高い、例えば、融解温度および/またはガラス転移温度が少なくとも50℃または80℃は高い強化型または非強化型の熱プラスチックであってもよい。
【0083】
熱可塑性物質の特有の実施形態は、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリエーテルイミド、例えばポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6またはポリアミド66であるポリアミド、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリオキシメチレンまたはポリカーボネートウレタン、ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート、またさらに、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、アクリルエステルスチロールアクリルニトリル(ASA)、スチレンアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレン、またはこれらのコポリマーまたは混合体である。
【0084】
第1および第2の物体の双方が熱可塑性物質を含む実施形態において、物質の組合せは、第2の物体物質の融解温度が第1の物体物質の融解温度より遙かに高くなるように、例えば、少なくとも50゜は高くなるように選ばれる。適切な物質の組合せは、例えば、第1の物体としてのポリカーボネートまたはPBT、および第2の物体としてのPEEKである。
【0085】
熱可塑性ポリマーに加えて、熱可塑性物質は、適切なフィラー、例えばガラスおよび/または炭素繊維等の強化用繊維も備えてもよい。繊維は、短繊維であってもよい。特に、第1および/または第2の物体のプロセス中に液化されない部分に関しては、中繊維または長繊維が使用されてもよい。
【0086】
繊維物質(もし使用されれば)は、繊維強化で知られる如何なる物質であってもよく、特に、炭素、ガラス、Kevlar、例えばムライト、炭化珪素または窒化珪素であるセラミック、高強力ポリエチレン(Dyneema)、他であってもよい。
【0087】
また、繊維の形状をもたない、例えば粉末粒子である他のフィラーも可能である。
本発明による方法に適する機械的振動または発振は、好ましくは、2kHzから200kHzまでの間(さらにより好ましくは、10kHzから100kHzまでの間、または20kHzから40kHzまでの間)の周波数、および有効表面1平方ミリメートル当たり0.2Wから20Wまでの振動エネルギーを有する。振動ツール(例えば、ソノトロード)は、例えば、その接触面が主としてツール軸の方向へ(長手方向振動)、かつ1μmから100μmまでの間の、好ましくは約30μmから60μmまでの振幅で揺動するように設計される。このような好ましい振動は、例えば超音波溶接から知られるような超音波デバイスによって生成される。
【0088】
本明細書において、「近位」および「遠位」という用語は、方向および位置を指して使用され、即ち、「近位」は、オペレータまたはマシンが機械的振動を加える起点の結合側面であるのに対して、遠位は、反対の側面である。本明細書では、近位側におけるコネクタの広がりを「ヘッド部分」と呼ぶのに対して、遠位側における広がりは、「フット部分」である。「軸」は、中心部から周辺部への固定軸であって、押し当てるステップにおける圧力は、これに沿って加えられる。多くの実施形態において、機械的振動は、この軸に対する長手方向振動である。
【0089】
図面の簡単な説明
以下、図面を参照して、本発明および実施形態を実行するための方法について説明する。図面は、略図である。諸図面を通じて、同一の参照数字は、同一または類似するエレメントを指す。図面は、別段の指摘のない限り、固定軸に平行な平面に沿った断面(「垂直」断面)の図を示す。