特許第6876616号(P6876616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876616
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置、及び紙葉類処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/164 20160101AFI20210517BHJP
   G07D 7/04 20160101ALI20210517BHJP
   G07D 7/12 20160101ALI20210517BHJP
【FI】
   G07D7/164
   G07D7/04
   G07D7/12
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-551935(P2017-551935)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2016084174
(87)【国際公開番号】WO2017086408
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-225428(P2015-225428)
(32)【優先日】2015年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳内 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】久永 淳
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−030682(JP,A)
【文献】 実開昭55−032384(JP,U)
【文献】 特開平07−325954(JP,A)
【文献】 特開2012−252672(JP,A)
【文献】 特開昭54−100061(JP,A)
【文献】 特開昭62−093133(JP,A)
【文献】 特開昭57−180546(JP,A)
【文献】 特許第3191386(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00− 3/16,
9/00−13/00
G07F 19/00
B65H 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を備え、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサと、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサと、を有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の上流の箇所において、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し
前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果に基づいて、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果を補正する紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を備え、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサと、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサと、を有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の画像を取得するよう構成された画像取得部であり、
前記画像取得部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の画像を取得する請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の厚みを検出するよう構成された厚み検出部であり、
前記厚み検出部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の厚みを検出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の磁気情報を検出するよう構成された磁気検出部であり、
前記磁気検出部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の磁気情報を検出する請求項1〜5のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の搬送先を切り替えるよう構成された分岐部であり、
前記分岐部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の搬送先を切り替える請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記搬送路において、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の搬送先を切り替えるよう構成された分岐部であり、
前記分岐部は、前記光学式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の搬送先を切り替える請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を用い、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサと、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサと、を有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の上流の箇所において、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し
前記機械式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記光学式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記紙葉類検知装置が、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果に基づいて、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果を補正する工程と、を有している紙葉類処理方法。
【請求項10】
紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を用い、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサ、及び、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサを有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記光学式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記紙葉類検知装置が、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する工程と、を有している紙葉類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、透明部分を有する紙葉類を処理する紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリマー紙幣(polymer banknotes)と呼ばれる合成紙を用いた紙幣を発行する国が増えている。紙幣に用いられる紙は、植物繊維を素材とした紙が主流だが、耐久性や耐水性、セキュリティ性等の向上を目的として、合成高分子材料を素材とした合成紙が使用されるようになった。
【0003】
ポリマー紙幣は、合成紙に印刷を行い、その上にさらにコーティングを行うことが一般的である。また、合成紙と植物繊維の紙とを重ね合わせたポリマー紙幣や、合成紙の部分と植物繊維の紙の部分とをもつポリマー紙幣も開発されている。さらに、ポリマー紙幣の技術は、商品券や小切手や手形などの有価証券(securities)にも使用される。
【0004】
これらのポリマー紙幣や有価証券などの紙葉類(paper sheets)は、印刷を行わない透明部分を有する場合がある。透明部分を有しない紙葉類の処理に比べて、透明部分を有する紙葉類の処理は困難が伴う。以下では、透明部分を有する紙葉類の処理の一例として、透明部分を有するポリマー紙幣の処理を説明する。
【0005】
ポリマー紙幣を含む紙幣を処理する紙幣処理装置において、搬送路に沿って搬送する紙幣を検知するために、透過型の光学式紙葉類検知センサである光学式紙幣検知センサを利用する場合がある。具体的には、光学式紙幣検知センサの検知状態が、透過から遮光に変化すると到着した紙幣の先端を検知し、遮光から透過に変化すると紙幣の後端を検知する。透明部分を有する紙幣は、透明部分で光が透過してしまうため、光学式紙幣検知センサは、透明部分を有する紙幣の端を誤検知してしまう場合がある。
【0006】
特許文献1には、紙幣の透明部分を検知する手段を備えた紙幣処理装置が記載されている。透明部分を検知する手段は、紙幣の搬送方向に対して直交する方向に並んで配置された複数の透過型の光学式紙幣検知センサを有する。複数の光学式紙幣検知センサの検知結果を比較することによって、紙幣が透明部分を有するか否かを判定することができる。特許文献1に記載された装置は、紙幣が透明部分を有すると判定すれば、それ以降、当該紙幣を光学式紙幣検知センサによって検知するときには、その透明部分については検知を停止する。このことにより、紙幣の端の誤検知を回避する。
【0007】
特許文献2には、識別部において取得した紙幣の画像や、紙幣の磁気情報に基づいて、紙幣の透明部分の位置を特定することが記載されている。特許文献2に記載された装置は、紙幣の全体において、透明部分を除く部分を、センサの検知領域に設定する。これにより、透明部分を検知することに起因する誤検知及び誤判定を回避する。
【0008】
特許文献3には、透過型の光学式紙幣検知センサの光軸を、紙幣の表面に対し直交させずに傾ける構成が記載されている。光軸が傾いていると、紙幣の透明部分においては、光の一部が表面で反射し、残りが透過するようになる。透過した光を受光したときの光量は、一部が反射している分、低下する。これにより、光が紙幣の透明部分を透過したことを判断することが可能になるから、誤検知を回避することが可能になる。
【0009】
特許文献4には、透過型の光学式紙幣検知センサにおいて、投光側と受光側とのそれぞれに、偏光方向が直交するように偏光板を配置する構成が記載されている。この構成により、紙幣によって遮光されないときには、投光側の偏光板によって直線偏光となった光がそのまま、90°角度がずれた受光側の偏光板に到達する。これにより、その受光側の偏光板によって光の通過が遮断される。一方で、投光側の偏光板によって直線偏光となった光が、紙幣の透明部分を通過すると非偏光の拡散光になる。このため、受光側の偏光板を通過して受光することができる。こうして特許文献4に記載された光学式紙幣検知センサは、偏光板を利用することによって、紙幣が透明部分を有すること、及び、その透明部分の位置を検知することが可能になる。
【0010】
特許文献5には、紙幣の透明部分を透過した光は、その光量が低下することを利用して、受光した光が100%以下の光量であるときには、紙幣の透明部分を透過した光であると判断し、受光した光が100%の光量であるときには、紙幣と紙幣との間の紙幣を検知していない状態であると判断するよう構成された、透過型の光学式紙幣検知センサが記載されている。特許文献5にはまた、受光量の増減に対してノンリニアな出力値となる光学式紙幣検知センサを用いることを前提に、検知手法を工夫することによって、受光した光が紙幣の透明部分を透過した光か、紙幣と紙幣との間を通過した光か、を精度良く区別する技術が記載されている。
【0011】
特許文献6には、光又は超音波を紙幣に照射しかつ、その光又は超音波が紙幣の表面で反射した反射波を検知することで、紙幣を検知することが記載されている。これにより、紙幣に透明部分が存在する場合でも、誤検知を回避しようとする。
【0012】
特許文献7には、紙幣処理装置において、紙幣の厚みを検出する構成が記載されている。厚みの検出は、対向する一対のローラーにより、紙幣がそのローラー同士の間を通過するときのローラーの変位の大きさを検出することにより行う。これにより、複数枚の紙幣が重なって搬送される、いわゆる重送異常や連鎖異常、また紙幣の一部が折れ重なっている異常等を検出する。
【0013】
特許文献8にも同様に、紙幣の厚み検出装置が記載されている。特許文献8に記載された厚み検出装置は、紙幣の搬送方向に対し直交する方向に延びる基準ローラーと、直交する方向に並んで配置されかつ、基準ローラーに対向する複数の検出ローラーとを有している。基準ローラーと検出ローラーとの間を通過する紙幣の厚みに応じて、検出ローラーが個別に変位することで、紙幣の重送、連鎖、折れ、斜行といった搬送状態を検出する。
【0014】
特許文献9には、紙幣処理装置において、積み重なった紙幣を一枚ずつ分離して送り出す分離機構に、紙幣の厚み検出装置を組み込み、紙幣の搬送状態や通過を検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2009/75015号
【特許文献2】特開2013−142969号公報
【特許文献3】特開2015−95023号公報
【特許文献4】特開2014−29301号公報
【特許文献5】特開2015−138437号公報
【特許文献6】特開2014−182752号公報
【特許文献7】特許第4086489号公報
【特許文献8】特許第4819162号公報
【特許文献9】特許第3191386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1に記載された装置は、紙幣の搬送方向に対し直交する方向に並んだ複数の光学式紙幣検知センサが、全て遮光になって紙幣の端を検知した後の、各センサの検知結果を比較することで、紙幣が透明部分を有するか否かを判断する。従って、紙幣の端以外の箇所に、窓状に透明部分が存在する場合には、その透明部分を検知することが可能である。しかしながら、例えばスコットランドのクライデスデール銀行(Clydesdale Bank)の5ポンド紙幣のように、紙幣の端に透明部分が存在する場合、複数の光学式紙幣検知センサが全て遮光にならないため紙幣の端を正しく検知することができない。特許文献1に記載された装置では、このような紙幣は、紙幣の斜行や、破れと誤検知する結果となる。つまり、特許文献1に記載された装置は、紙幣の端の透明部分を検知することができない。また、例えばカナダ紙幣のように、紙幣の中央部に幅の広い透明部分を有する紙幣については、その透明部分において、複数の光学式紙幣検知センサが略同時に透光を検知することになる。このため、特許文献1に記載された装置は、紙幣の中央部の透明部分を紙幣の後端であると誤検知してしまう。特許文献1に記載された装置は、このような紙幣も、透明部分を検知することができない。
【0017】
また、特許文献1に記載された装置では、さらに、搬送されるポリマー紙幣の金種、方向、表裏等の識別を行った後に、予め金種毎に記憶した窓状の透明部分に関する情報に基づいて、光学式紙幣検知センサの検知を停止する機能を有する。また、特許文献2に記載された装置では、識別部において取得した紙幣の情報に基づいて、センサの検出領域を決定する。このように紙幣の識別情報を利用して検知を行うようにすれば、ポリマー紙幣の透明部分を誤検知することが回避可能になる。
【0018】
しかしながら、紙幣の識別は、大型かつ高価な画像センサを利用して行うため、識別部は、紙幣を搬送する搬送路(例えば入出金部から収納部までをつなぐ搬送路)の中ほどに設置されることが一般的である。識別情報は、識別部を通過した後の紙幣に対しては利用可能であるが、識別部を通過する前は、利用できない。従って、特許文献1や特許文献2に記載された構成は、識別部を通過する前の紙幣については、誤検知を回避することができないという不都合がある。
【0019】
また、ポリマー紙幣が疲労すると、インクのすり減りによって、光が透過する部分が広がる結果、識別結果に基づいて検知を行っても、誤検知を招く虞もある。
【0020】
特許文献3〜6に記載された各構成では、ポリマー紙幣の特性を利用した検知を行うことによって、透明部分を有するポリマー紙幣の誤検知を回避するようにしている。しかしながら、その検知精度はポリマー紙幣の特性に依存することになるため、様々な状態のポリマー紙幣に対応することが難しい場合がある。
【0021】
例えばポリマー紙幣の表面のコーティングの摩耗や傷によって、紙幣表面の光の反射率が変動したり、透明部分のホログラムや白濁によって、透明部分の光の透過率が変動したりすると、検知精度が低下する虞がある。
【0022】
また、ポリマー紙幣の材質が変更される結果、透明部分の光学特性が変化してしまうと、検知精度が変化する虞がある。
【0023】
また、複数国のポリマー紙幣を処理する場合や、ポリマー紙幣のデザイン変更の後で、旧紙幣と新紙幣の両方を処理する場合も、ポリマー紙幣の状態が一定ではなくなるため、検知精度の低下を招く虞がある。
【0024】
さらに近年、透明部分を有するポリマー紙幣を採用する国が増えており、今後、どのような特性を有するポリマー紙幣が発行されるかは、予想することができない。既存のポリマー紙幣の特性に依存した光学式紙幣検知センサのみでは、紙幣の検知をすることができなくなってしまうことも想定される。このことは、光学式紙幣検知センサのみならず、超音波などの他の波動を利用するセンサを用いた場合も、同様である。こうした問題から、同一の紙幣処理装置を、世界各国に販売する場合に、新たなタイプのポリマー紙幣に対応するためには、紙幣処理装置の大幅な改修が必要になる可能性がある。
【0025】
一方、特許文献7〜9に記載された厚み検出装置は、通過する紙幣の厚みや紙幣の前端と後端を検出することで、紙幣の重送、連鎖、折れ等の搬送状態を検出する。さらに特許文献9の厚み検出装置は、紙幣の前端と後端とを検出し、紙幣の通過の検出や、紙幣の計数を行う。特許文献7〜9の厚み検出装置に透明部分を有するポリマー紙幣を処理させると、透明部分があっても正常な処理が可能である。
【0026】
しかしながら、厚み検出装置自体の動作は正常に行うことが出来ても、その上流側や下流側においては光学式紙幣検知センサを使用することが一般的であるため、特許文献1と同様に、ポリマー紙幣の透明部分によって紙幣の端の誤検知が発生する。特許文献7〜9には、この誤検知への対処については、記載されていない。
【0027】
紙幣の処理にあたっては、通過検知や計数だけでなく様々な処理があり、光学式紙幣検知センサで紙幣の端を検知した時に基づいて、処理の開始時期を決定している処理もある。例えば、紙幣画像の取得では、ポリマー紙幣の先端に透明部分があって、紙幣の先端検知が遅れると、紙幣画像の取得開始も遅れてしまい、紙幣の先端部分の画像が正常に取得出来なくなる。
【0028】
以上の問題は、透明部分を有する紙幣の処理に限らず、透明部分を有する商品券や小切手等の有価証券の処理を行う装置においても、同じように起こり得る。
【0029】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透明部分を有するポリマー紙幣や有価証券などの紙葉類の端を、誤検知することなく検知可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
ここに開示する紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置を備える。
【0031】
前記紙葉類検知装置は、前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサを有する。
【0032】
この構成によると、紙葉類が、対向する回転体の間を通過するときに、回転体は、紙葉類の厚み分だけ変位をする。検知部が、回転体の変位を検知することにより、機械式紙葉類検知センサは、紙葉類の端を検知することができる。この構成の機械式紙葉類検知センサは、紙葉類が透明部分を有しているか否かに関わらず、紙葉類の端を精度良く検知することが可能になる。
【0033】
ここで、「紙葉類の端」は、搬送される紙葉類の先端及び後端のいずれか一方、又は、両方である。
【0034】
前記紙葉類検知装置は、前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサをさらに有し、前記機械式紙葉類検知センサ、及び、前記光学式紙葉類検知センサはそれぞれ、前記搬送路に配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知する。
【0035】
機械式紙葉類検知センサ及び光学式紙葉類検知センサを組み合わせることによって、透明部分を有する紙葉類であっても、紙葉類の端を適切に検知することが可能になる。また、紙葉類検知装置は、搬送路に多数配設する必要があるが、安価な光学式紙葉類検知センサを適宜用いることによって、コストの低減が図られる。
【0036】
前記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、前記機械式紙葉類検知センサは、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の上流の箇所において、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果に基づいて、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果を補正する。
【0037】
光学式紙葉類検知センサは、透明部分を有する紙葉類の端を誤検知する虞があるところ、機械式紙葉類検知センサの検知結果に基づいて、光学式紙葉類検知センサの検知結果を補正することにより、光学式紙葉類検知センサの誤検知を回避することが可能になる。
【0038】
前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する、としてもよい。
【0039】
機械式紙葉類検知センサの検知結果と、光学式紙葉類検知センサの検知結果とを比較することによって、紙葉類に、透明部分が存在するか否かを少なくとも判定することが可能になる。また、紙葉類における透明部分の位置を判定することも可能になる。
【0040】
ここに開示する別の紙葉類検知装置は、紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置を備える。
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサと、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサと、を有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記紙葉類検知装置は、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する。
【0041】
述した各構成の紙葉類処理装置は、前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部をさらに備えている。
処理部は、紙葉類検知装置が正確に紙葉類の端を検知した時に基づいて、紙葉類に関する処理を行うため、誤検知した時に基づいて誤った時に処理を行ってしまうことが回避される。
処理部は、紙葉類検知装置が紙葉類の先端を検知した時に基づいて、紙葉類に関する処理を行ってもよいし、紙葉類検知装置が紙葉類の後端を検知した時に基づいて、紙葉類に関する処理を行ってもよい。また、紙葉類検知装置が紙葉類の前端及び後端を検知した時に基づいて、処理部は、紙葉類に関する処理を行ってもよい。
【0042】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の画像を取得するよう構成された画像取得部であり、前記画像取得部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の画像を取得する、としてもよい。
【0043】
つまり、機械式紙葉類検知センサが紙葉類の端を検知した時に基づいて、画像取得部が、紙葉類の画像を取得することによって、適切な紙葉類の画像を取得することが可能になる。
【0044】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の厚みを検出するよう構成された厚み検出部であり、前記厚み検出部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の厚みを検出する、としてもよい。
【0045】
つまり、機械式紙葉類検知センサが紙葉類の端を検知した時に基づいて、厚み検出部が、紙葉類の厚みを検出することにより、適切に搬送中の紙葉類の厚みを検出することが可能になる。機械式紙葉類検知センサは、紙葉類の厚みを検知することと実質的に同じであるから、この構成では、機械式紙葉類検知センサが紙葉類の厚みを検知することで、搬送中の紙葉類の端を検知すると共に、厚み検出部が紙葉類の厚みを検出することで、紙葉類の重送、連鎖、折れ等を、精度よく検出することが可能になる。
【0046】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の磁気情報を検出するよう構成された磁気検出部であり、前記磁気検出部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の磁気情報を検出する、としてもよい。
つまり、機械式紙葉類検知センサが紙葉類の端を検知した時に基づいて、磁気検出部が、紙葉類の磁気情報を検出することにより、適切に搬送中の紙葉類の磁気情報を検出することが可能になる。
【0047】
前記処理部は、前記搬送路において、前記機械式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の搬送先を切り替えるよう構成された分岐部であり、前記分岐部は、前記機械式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の搬送先を切り替える、としてもよい。
つまり、機械式紙葉類検知センサが紙葉類の端を検知した時に基づいて、分岐部が、紙葉類の搬送先を切り替えることにより、紙葉類をスムースに搬送することが可能になる。
【0048】
前記処理部は、前記搬送路において、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類の搬送先を切り替えるよう構成された分岐部であり、前記分岐部は、前記光学式紙葉類検知センサが前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類の搬送先を切り替える、としてもよい。
【0049】
ここに開示する紙葉類処理方法は、紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を用い、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサと、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサと、を有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し
前記機械式紙葉類検知センサは、前記光学式紙葉類検知センサよりも搬送方向の上流の箇所において、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し
前記機械式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記光学式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記紙葉類検知装置が、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果に基づいて、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果を補正する工程と、を有している。
【0050】
紙葉類の厚みを回転体の変位によって検知し、それによって、紙葉類の端を検知することで、紙葉類の透明部分の有無に関わらず、紙葉類の端を精度よく検知することが可能になる。正確な紙葉類の端の検知に基づいて紙葉類に関する処理を行えば、誤検知に基づいて処理を行うことが回避される。
【0051】
ここに開示する別の紙葉類処理方法は、紙葉類を搬送する搬送路に配設されかつ、前記紙葉類を検知するよう構成された紙葉類検知装置と、
前記紙葉類検知装置が前記紙葉類の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類に関する処理を行うよう構成された処理部と、を用い、
前記紙葉類検知装置は、
前記紙葉類がその間を通過するよう構成された、少なくとも一対の対向する回転体と、前記紙葉類が対向する前記回転体の間を通過するときの前記回転体の変位を検出することにより、前記紙葉類の端を検知する検知部と、を含む機械式紙葉類検知センサ、及び、
前記紙葉類に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサを有し、
記光学式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配設されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサは、前記紙葉類の搬送方向に対し直交する方向に、複数、配置されかつ、それぞれ、前記紙葉類を検知し、
前記機械式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記光学式紙葉類検知センサが、前記紙葉類を検知する工程と、
前記紙葉類検知装置が、前記機械式紙葉類検知センサの検知結果と、前記光学式紙葉類検知センサの検知結果とに基づいて、前記紙葉類の透明部分の、少なくとも有無を判定する工程と、を有している。
【発明の効果】
【0052】
以上説明したように、ここに開示する技術は、透明部分を有する紙葉類の端を精度良く検知することができる。また、ここに開示する技術は、紙葉類の端の正確な検知に基づいて、紙葉類に関する処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、紙幣処理装置の構成を概念的に示す全体図である。
図2図2は、紙幣処理装置の制御に係る構成を示すブロック図である。
図3A図3Aは、機械式紙幣検知センサの構成を示す正面図である。
図3B図3Bは、機械式紙幣検知センサの構成を示す側面図である。
図4A図4Aの上図は識別部の構成を概念的に示す平面相当図、下図は識別部の構成を概念的に示す側面相当図である。
図4B図4Bは、機械式紙幣検知センサの検知に基づき、識別部における紙幣の画像取得、厚み検出及び磁気検出を行う構成の説明図である。
図5A図5Aは、機械式紙幣検知センサと光学式紙幣検知センサとを併用する構成において、透明部分を有する紙幣の検知を説明する図である。
図5B図5Bは、機械式紙幣検知センサと光学式紙幣検知センサとを併用する構成において、図5Aとは異なる透明部分を有する紙幣の検知を説明する図である。
図5C図5Cは、機械式紙幣検知センサと光学式紙幣検知センサとを併用する構成において、図5A及び図5Bとは異なる透明部分を有する紙幣の検知を説明する図である。
図5D図5Dは、機械式紙幣検知センサと光学式紙幣検知センサとを併用する構成において、図5A図5Cとは異なる透明部分を有する紙幣の検知を説明する図である。
図6図6は、機械式紙幣検知センサと光学式紙幣検知センサとを併用する構成における検知結果の処理に係るフローチャートである。
図7図7は、透明部分を有する紙幣を例示する図である。
図8図8は、紙葉類検知装置の構成を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下においては、紙葉類処理装置の1つとしての、紙幣処理装置を例として、ここに開示する技術を説明する。尚、以下の説明は、紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法の一例である。
【0055】
ここで、紙幣処理装置1の処理対象の紙幣について説明をする。処理対象となる紙幣は、透明部分を有するポリマー紙幣である。但し、紙幣処理装置1は、透明部分を有しない紙幣、例えば紙製の紙幣の処理も可能である。
【0056】
図7は、処理対象の紙幣を例示している。先ず、左端に示す紙幣BN1は、一部分に窓状の透明部分W1を有している。ここで、紙幣処理装置が、搬送方向(図7の紙面左から右に向かう方向)に直交する方向に間隔を空けて配置した2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2により、紙幣の通過を検知するよう構成されていると仮定する。図7に示す紙幣BN1が、2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2を通過するとき、一方の光学式紙幣検知センサSE1は、透明部分W1において透光を検知するのに対し、他方の光学式紙幣検知センサSE2は、紙幣BN1が通過する間、透光を検知することがない。このため、2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2の検知信号が相違してしまう。光学式紙幣検知センサSE1、SE2は、これを、搬送異常と誤検知してしまう虞がある。
【0057】
左から2番目に示す紙幣BN2は、長手方向の一端部分に透明部分W2を有している。例えばスコットランドのクライデスデール銀行の5ポンド紙幣は、この紙幣BN2に類似する。光学式紙幣検知センサSE1、SE2により、紙幣BN2の通過を検知しようとすると、透明部分W2が透光となってしまうため、2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2のいずれも、紙幣BN2の端部を検知することができない。2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2は、その透明部分W2を超えた箇所においてようやく、紙幣BN2を検知することができる。光学式紙幣検知センサSE1、SE2は、紙幣BN2の端部を検知することができない。図例とは逆に、長手方向の他端部分に透明部分を有している紙幣も、光学式紙幣検知センサSE1、SE2は、その端部を検知することができない。
【0058】
左から3番目に示す紙幣BN3は、長手方向の中央付近に、短手方向に広がる透明部分W3を有している。例えばカナダ紙幣は、この紙幣BN3に類似する。2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2は共に、遮光によって紙幣BN3を検知した後、透明部分W3において透光を検知するため、紙幣の透明部分W3を、紙幣の端部と検知してしまう。2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2はまた、紙幣の透明部分W3を超えた箇所で再び遮光となるため、次の紙幣を検知したと誤検知することになる。
【0059】
左から4番目に示す紙幣BN4は、長手方向の端から端まで帯状に延びる透明部分W4を有している。2つの光学式紙幣検知センサSE1、SE2のうちSE2は、この透明部分W4の位置に対応する。従って、当該光学式紙幣検知センサSE2は、紙幣BN4を検知することができない。他方の光学式紙幣検知センサSE1は、紙幣BN4を検知することになる。光学式紙幣検知センサSE1、SE2は、この紙幣BN4も、搬送異常と誤検知してしまう。
【0060】
尚、図7では、紙幣を長手搬送する例を示しているが、短手搬送をする場合においても、紙幣が透明部分を有する場合、光学式紙幣検知センサは、誤検知をしてしまう虞がある。
【0061】
以下に示す紙幣処理装置1は、透明部分を有する様々な紙幣に対しても、その通過を確実かつ正確に検知することが可能に構成されている。
【0062】
(紙幣処理装置の全体構成)
図1は、紙幣処理装置1の構成を示す概念図である。紙幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関の店舗において使用される装置である。紙幣処理装置1は、図1の例では、紙幣の入金処理、及び、出金処理を行う紙幣入出金機である。尚、紙幣処理装置1は、紙幣入出金機に限らない。紙幣処理装置1は、紙幣入金機、紙幣出金機、又は紙幣整理機等の、紙幣を搬送する搬送路を備える装置であればよい。
【0063】
紙幣処理装置1は、入金部11と、出金部12と、識別部2と、一時保留部13と、搬送路31を有する搬送部3と、紙幣を収納する収納部4と、を備えている。
【0064】
入金部11は、詳細な図示は省略するが、紙幣を入れる入金口を有している。入金口は、紙幣処理装置1の上面に開口している。例えば入金処理の際には、入金口に、紙幣を入れる。入金口は、複数枚の紙幣を一度に保持する。
【0065】
出金部12は、紙幣処理装置1の上面に開口する出金口を有している。例えば出金処理の際には、出金口に、紙幣が出てくる。出金口は、複数枚の紙幣を一度に保持する。
【0066】
識別部2は、紙幣の搬送路31の途中に設けられている。識別部2は、搬送路31に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、金種及び真偽を少なくとも識別するように構成される。さらに、識別部2は、紙幣の正損を識別するように構成してもよい。識別部2の構成は、後述する。
【0067】
一時保留部13は、例えば出金処理時に発生したリジェクト紙幣を一時的に収納する収納部である。また、一時保留部13は、例えば入金処理時に取り込んだ紙幣を一時的に収納する収納部である。一時保留部13は、図例では、テープの間に紙幣を巻き取る方式の収納部である。
【0068】
収納部4は、図1に示す構成例では、第1〜第5の5つの収納カセット41−1〜41−5を有している。尚、以下の説明において、第1〜第5の収納カセットを総称する場合には、符号「41」を付し、第1、第2、第3、第4及び第5の収納カセットを区別するときには、符号「41−1、41−2、41−3、41−4、41−5」をそれぞれ付す。第1〜第5の収納カセット41−1〜41−5はそれぞれ、紙幣処理装置1に対し、着脱可能に取り付けられる。
【0069】
収納カセット41は、その内部に、紙面を上下方向にして積み重ねた状態で収納する。収納カセット41は、その上面に紙幣が通過する通過口を有している。収納カセット41は、通過口を通じて内部に送り込んだ紙幣を収納すると共に、収納している紙幣を、通過口を通じて外部に送り出すことが可能に構成されている。
【0070】
尚、第4の収納カセット41−4の内部は、図1に示すように、上下に二分割されている。第4の収納カセット41−4の上側の空間(第4の収納カセット上部41−4U)は、筐体の上面に形成された通過口を介して外部につながる。また、第4の収納カセット41−4の下側の空間(第4の収納カセット下部41−4L)は、筐体の側面に形成された通過口を介して外部につながる。
【0071】
搬送部3は、ループ状の搬送路31を備えている。入金部11、出金部12、一時保留部13、各収納カセット41はそれぞれ、接続路32を介して搬送路31に接続されている。搬送路31と各接続路32との接続箇所には、紙幣の搬送先を切り替える分岐部33、34が配設されている。
【0072】
搬送路31及び接続路32上には、紙幣の通過を検知する通過センサ5が配設されている。通過センサ5は、図1の例では、以下の箇所に配設されている。すなわち、入金部11の近傍、出金部12の近傍、一時保留部13の近傍、各収納カセット41の近傍、各分岐部33、34の近傍(つまり、紙幣の搬送方向の上流側に相当する)である。通過センサ5は、図1に示す箇所以外の箇所にも配設してもよい。搬送路上にある紙幣を追跡するためには、紙幣の長さより短い間隔で通過センサ5を配置することが望ましい。また、図1に示す箇所に、必ずしも通過センサ5を配設しなくてもよい。通過センサ5の構成については、後述する。
【0073】
図2は、紙幣処理装置1の動作制御に係る構成を示している。紙幣処理装置1は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部6を備えている。制御部6には、前述した入金部11、出金部12、一時保留部13、識別部2、各分岐部33、34を含む搬送部3、及び第1〜第5の収納カセット41を含む収納部4が、信号の送受信可能に接続されている。また、制御部6には、各通過センサ5が接続されている。各通過センサ5は、紙幣の通過を検知したときに検知信号を制御部6に出力する。制御部6は、各部11〜13、2、3、4、及び、各通過センサ5からの信号に基づいて、各分岐部33、34を含む搬送部3の制御を行うことによって、紙幣を所定の搬送先へと送る。
【0074】
前記構成の紙幣処理装置1は、入金処理時には、次のように動作する。すなわち、入金対象の紙幣は、入金口に投入される。入金部11は、入金口の紙幣を一枚ずつ送り出す。搬送部3は、紙幣を識別部2に搬送する。識別部2は、紙幣の金種や真偽等を識別する。搬送部3は、紙幣を、一時保留部13に送る。一時保留部13は、入金された紙幣を一時的に収納する。搬送部3はまた、識別結果に基づいて、一時保留部13から所定の収納カセット41に紙幣を搬送する。搬送部3は、紙幣を出金部12に搬送する場合もある。入金口の紙幣が全て送り出されると、入金処理が終了する。
【0075】
前記構成の紙幣処理装置1は、出金処理時には、次のように動作する。すなわち、出金口に払い出す紙幣が、所定の収納カセット41から送り出される。搬送部3は、紙幣を識別部2に搬送する。識別部2は、紙幣の識別を行う。搬送部3は、正常券を、出金口に払い出す。搬送部3は、リジェクト券を、一時保留部13に送る。一時保留部13は、リジェクト券を収納する。指定された金額の紙幣が出金口に払い出されると、出金処理が終了する。搬送部3はまた、一時保留部13に収納されたリジェクト券を、所定の収納カセット41に搬送する。
【0076】
(通過センサの構成)
図3A及び図3Bは、通過センサ5の1つとしての、機械式紙幣検知センサ51の構成を示している。機械式紙幣検知センサ51は、従来の光学式紙幣検知センサに代わり、前述した、搬送路31及び接続路32の各位置に配置されている。
【0077】
機械式紙幣検知センサ51は、対向する一対のローラー511、512によって構成されている。紙幣BNは一対のローラー511、512の間を通過する。一対のローラー511、512は、駆動ローラー511と、従動ローラー512とからなる。機械式紙幣検知センサ51は、搬送路31及び接続路32に沿って紙幣BNを搬送させるピンチローラーとしての機能を有している。図3Bに示すように、ピンチローラーとしても機能する機械式紙幣検知センサ51は、搬送路31及び接続路32上の各配設箇所において、紙幣BNの搬送方向に対し直交する方向に、複数個、配設されている。尚、図3Bの例とは異なり、紙幣BNの搬送方向に対し直交する方向に並んで配設されている複数個のピンチローラーの内、少なくとも1つのピンチローラーが、後述の検知部519を有することで、機械式紙幣検知センサ51として構成されていてもよい。
【0078】
従動ローラー512は、ローラー支持体513に回転可能に支持されている。ローラー支持体513は、センサ本体514に対し回動軸515回りに回動可能に支持されている。回動軸515は、図3A及び図3Bに示す例では、従動ローラー512の回転軸に対し平行であって、紙幣BNの搬送方向に直交する。
【0079】
ローラー支持体513とセンサ本体514との間には、圧縮ばね516が配設されている。圧縮ばね516は、従動ローラー512を、駆動ローラー511に押し付ける方向にローラー支持体513を付勢する一方で、従動ローラー512が、駆動ローラー511から離れる方向にローラー支持体513が回動することを許容する。
【0080】
ローラー支持体513の上端部には、磁石517が取り付けられている。後述するように、紙幣BNが一対のローラー511、512の間を通過するときに、紙幣BNの厚みによってローラー支持体513の回動を伴いながら従動ローラー512が駆動ローラー511から離れる方向に変位する。これにより、ローラー支持体513の上端部に取り付けられた磁石517は、ほぼ水平方向に位置を変える(図3Aにおける二点鎖線参照)。
【0081】
センサ本体514には、ローラー支持体513の上端部に取り付けられた磁石517に向かい合うように、2つのホール素子518が取り付けられている。ホール素子518は、磁石517によって形成された磁界を検出するよう構成されている。前述したように、磁石517が水平方向に動いたときには、その動きによって変化する磁界に応じた電圧を出力する。出力された電圧は、センサ本体514に実装されたコンパレータにより、紙幣BNの検知/非検知を判断する閾値に相当する基準電圧と比較され、紙幣BNの検知/非検知を表す検知信号として出力される。このようにして、この機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNの通過を、従動ローラー512の変位によって検知し、検知信号を制御部6に出力する。ローラー支持体513に取り付けられた磁石517と、センサ本体514に取り付けられたホール素子518とは、紙幣BNを検知する検知部519を構成する。
【0082】
機械式紙幣検知センサ51は、前述の通り、紙幣BNの通過を従動ローラー512の変位によって検知する。つまり機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNの厚みを検知することと等価である。そのため、図7に示すように、透明部分W1〜W4を有する紙幣BN1〜BN4についても、前述したような光学式紙幣検知センサSE1、SE2では起こり得る誤検知を回避して、紙幣BNの通過を確実にかつ、正確に検知することが可能になる。制御部6は、機械式紙幣検知センサ51からの検知信号に基づいて、各分岐部33、34を制御することにより、紙幣BNを所望の搬送先に、正確に搬送することが可能になる。機械式紙幣検知センサ51からの検知信号に基づく分岐部33、34の制御については、後述する。
【0083】
光学的センサは、例えば埃等に起因する誤検知が起こり得る。これに対し、機械式紙幣検知センサ51は、光学的な手段を用いないため、そうした誤検知が回避される。また、光学式紙幣検知センサは、温度変動によって検知精度が影響を受けるが、機械式紙幣検知センサ51はそうした温度変動の影響が小さいという利点もある。
【0084】
機械式紙幣検知センサ51は、前述の通り、紙幣BNの厚みを検知する。この点で、機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNの厚みを検出することによって、重送、連鎖、及び折れ等の搬送異常や、紙幣BNにテープ等が貼られていることを検出する、従来の厚み検出部に似ている。但し、機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNの通過を検知するだけであるため、厚みの検知精度は、相対的に低い。紙幣1枚分の厚みが100μm程度であるため、機械式紙幣検知センサ51の検知精度も、それに対応する精度である。これに対し、後述する厚み検出部は、紙幣BNに貼られたテープ等の厚みの検知も行うため、10μm程度の検出精度が必要となる。また、機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNの1枚以下の厚みを検知するのに対し、厚み検出部は、紙幣BNの1枚以上の厚みを検出するという相違もある。
【0085】
この機械式紙幣検知センサ51は、厚み検出部に比べて検出精度が低いため、構造が簡易であると共に、コンパクトである。そのため、従来の光学式紙幣検知センサには及ばないものの、安価に構成をすることができる。前述したように、紙幣処理装置1の搬送路31及び接続路32には、多数の通過センサ5が配置されるが、これら全ての通過センサ5を、前記の機械式紙幣検知センサ51によって構成することが可能である。
【0086】
尚、機械式紙幣検知センサの構成は、図3A及び図3Bに示す例に限定されるものではない。例えば、公知の様々な構成のピンチローラーに対して、検知部を組み込むことによって、機械式紙幣検知センサを構成することが可能である。
【0087】
また、従動ローラー512の変位の検知は、変位が測定できる方法であれば、磁石517とホール素子518を用いた方法に限らない。例えば、磁気抵抗素子、光源と受光素子との組合せや近接センサを用いてもよい。これらのセンサから出力される抵抗値や電圧、電流などの電気信号である出力値と閾値とを比較して、紙幣BNを検知することが可能である。
【0088】
また、センサの出力値を検知信号に変換する処理は、センサ本体で行う場合に限らず、他の処理部で行うことも出来る。例えば後述の識別部において、コンパレータにより閾値に相当する基準値と出力値とを比較して、あるいは、A/D変換した出力値と閾値とを比較して、出力値を検知信号に変換しても良い。
【0089】
(識別部の構成)
図4Aは、識別部2の構成を示している。識別部2は、紙幣BNの搬送路を挟んだ上側のユニットと下側のユニットとから構成されている。図4Aの上図は、識別部2の下側のユニットを上から見た平面図に相当する。識別部2は、紙幣BNの画像を取得する画像取得部21、紙幣BNの厚みを検出する厚み検出部22、及び、紙幣BNの磁気情報を取得する磁気検出部23を含んでいる。
【0090】
画像取得部21は、CCD方式やCMOS方式のラインセンサを上下に配置して、紙幣BNの両面の画像を取得する。厚み検出部22は、図4Aの下図に示すように、紙幣BNが通過するローラー対を有し、ローラーの変位に基づいて、紙幣BNの厚みを検出する。厚み検出部22は、機械式紙幣検知センサ51と略同様の構成を有しているが、その駆動ローラーは金属製の棒で剛性が高く、検出精度も高い。厚み検出部22は、紙幣BNの重送、連鎖、及び折れ等の搬送異常や、紙幣BNにテープ等が貼られていることを検出する。磁気検出部23は、磁気センサを一列に並べた磁気ラインセンサと磁気ラインセンサに対して紙幣を押し付けるローラーとを対向して配置したもので、紙幣の磁気イメージを取得する。
【0091】
画像取得部21、厚み検出部22及び磁気検出部23は、紙幣BNの搬送方向(図4Aに示す紙面左右方向)に、所定の間隔を空けて並んで配置されている。尚、紙幣BNは、図4Aの紙面左から右に搬送される場合、及び紙面右から左に搬送される場合の両方がある。
【0092】
識別部2は、通過センサ5を有している。通過センサ5は、画像取得部21を挟んだ紙幣BNの搬送方向の両側位置、及び、磁気検出部23を挟んだ厚み検出部22とは逆側の位置に配設されている。通過センサ5は、各位置において、搬送方向に直交する方向に所定の間隔を空けて、複数個(図例では4個)並んで配設されている。図4Aの紙面左から右に紙幣BNが搬送される場合において、最上流の通過センサ5の検知位置から、画像取得部21の取得位置までの距離はLiに設定され、最上流の通過センサ5の検知位置から、厚み検出部22の検出位置までの距離はLtに設定され、最上流の通過センサ5の検知位置から、磁気検出部23の検出位置までの距離はLmに設定されている。
【0093】
画像取得部21は、搬送方向の上流に位置する通過センサ5が紙幣BNの端を検知した時(つまり、紙幣BNの先端の検知)に基づいて、当該紙幣BNの画像の取得を行う。つまり、画像取得部21は、通過センサ5が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、当該紙幣BNの画像の取得を開始する。
【0094】
同様に、厚み検出部22は、搬送方向の上流に位置する通過センサ5が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、当該紙幣BNの厚みの検出を行う。磁気検出部23は、搬送方向の上流に位置する通過センサ5が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、当該紙幣BNの磁気情報の検出を行う。
【0095】
図4Bは、前記構成の識別部2における、画像取得部21、厚み検出部22及び磁気検出部23の動作について説明する図である。図4Bは、図4Aにおいて紙面左から右に紙幣BNが搬送されるときの、各部21、22、23の動作タイミングを示している。
【0096】
図4Bの最上位には基準パルスを例示している。基準パルスは、搬送部3の駆動ローラーに取り付けられたロータリエンコーダの出力パルスを利用している。基準パルス数と紙幣BNの搬送距離とは比例する。尚、紙幣BNの搬送速度が一定であれば、基準パルスを利用する代わりに、実時間を基準として以下の動作を行うことも可能であるが、紙幣BNの位置を正確に検出するためには、上述の基準パルスを時刻の基準とする方が有利である。
【0097】
図4Bの横軸は基準パルスのカウント値CNT1を示している。尚、ここに示す基準パルスは、理解が容易になるように、実際の基準パルスよりも粗く描いている(つまり、実際の基準パルスは、パルス数が多い)。
【0098】
図4Bの上から2番目には、搬送方向の最上位に位置する機械式紙幣検知センサ51の検知信号を示している。当該機械式紙幣検知センサ51の従動ローラー512が、予め設定した閾値を超えて変位したときに、機械式紙幣検知センサ51は紙幣BNを検知する。図4Bに示すように、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNを検知したときに、基準パルスのカウント値CNT1をリセットして、パルスのカウントを開始する(図4Bにおける横軸の「0」を参照)。機械式紙幣検知センサ51が非検知となったときのカウント値P0が、紙幣BNの長さL0に相当する。
【0099】
図4Bの上から3番目には、画像取得部21の画像取得タイミングを示している。前述したように、機械式紙幣検知センサ51の検知位置と、画像取得部21の取得位置との距離がLiであるため、リセットされた基準パルスのカウント値CNT1が、距離Liに相当するカウント値Piに達したときに、画像取得部21は、画像の取得を開始する。また、カウント値CNT1が、距離(Li+L0)に相当するカウント値(Pi+P0)に達したときに、画像取得部21は、画像の取得を停止する。尚、画像の取得の開始に関し、マージンMi1を設け、カウント値CNT1が、カウント値(Pi−Mi1)に達したときに、画像取得部21が画像の取得を開始するようにしてもよい。同様に、画像の取得の停止に関し、マージンMi2を設け、カウント値CNT1が、カウント値(Pi+P0+Mi2)に達したときに、画像取得部21が画像の取得を停止するようにしてもよい。
【0100】
図4Bの上から4番目には、厚み検出部22の厚み検出タイミングを示している。機械式紙幣検知センサ51の検知位置と、厚み検出部22の検出位置との距離がLtであるため、前記と同様に、カウント値CNT1が、距離Ltに相当するカウント値Ptに達したときに、厚み検出部22は、厚みの検出を開始する。また、カウント値CNT1が、距離(Lt+L0)に相当するカウント値(Pt+P0)に達したときに、厚み検出部22は、厚みの検出を停止する。厚み検出部22の厚みの検出の開始、及び/又は、停止に関しマージンを設けてもよい点は、前記と同じである。
【0101】
図4Bの上から5番目には、磁気検出部23の磁気検出タイミングを示している。前述したように、機械式紙幣検知センサ51の検知位置と、磁気検出部23の検出位置との距離がLmであるため、前記と同様に、カウント値CNT1が、距離Lmに相当するカウント値Pmに達したときに、磁気検出部23は、磁気の検出を開始する。また、カウント値CNT1が、距離(Lm+L0)に相当するカウント値(Pm+P0)に達したときに、磁気検出部23は、磁気の検出を停止する。磁気検出部23の磁気の検出の開始、及び/又は、停止に関しマージンを設けてもよい点は、前記と同じである。
【0102】
識別部2に設けられた通過センサ5は、図3に示す機械式紙幣検知センサ51によって構成されている。これにより、前述したように、紙幣BNが, 透明部分を有する紙幣であっても、誤検知することなく、紙幣BNを確実に検知することが可能になる。従って、識別部2における、画像の取得、厚みの検出、及び磁気の検出を確実にかつ、正確に行うことが可能になる。
【0103】
尚、識別部2における紙幣BNの搬送方向の各位置において、搬送方向に直交する方向に並んで配設された複数個の通過センサ5の、少なくとも1つを、機械式紙幣検知センサ51によって構成してもよい。
【0104】
また、画像取得部21、厚み検出部22、磁気検出部23の、画像や厚みや磁気情報の検出を開始/停止する代わりに、常に画像や厚みや磁気情報を検出して記憶しておき、搬送方向の上流に位置する通過センサ5が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、検出した画像や厚みや磁気情報から必要な部分を切り出すようにしてもよい。
【0105】
(分岐部の制御)
前述したように、分岐部33、34の分岐制御は、機械式紙幣検知センサ51の検知信号に基づいて行われる。具体的には、前記識別部2における制御と同様に行われる。つまり、分岐部33、34の分岐位置と、機械式紙幣検知センサ51の検知位置との距離に相当する基準パルスのカウント値は、予め既知であるため、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNを検知したタイミングから所定のカウント値に達したときに、分岐部33、34において、必要な分岐動作を行う。分岐動作に係る所定のカウント値に、マージンを設けてもよい。
【0106】
(変形例1)
前述した構成は、紙幣処理装置1に配設されている通過センサ5の全てを、機械式紙幣検知センサ51によって構成している。これとは異なり、通過センサ5を、機械式紙幣検知センサ51と、光学式紙幣検知センサとを組み合わせる構成としてもよい。
【0107】
図5A図5Dはそれぞれ、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52とを組み合わせる場合の構成例を示している。図5A図5Dの各図における(a)は、紙幣BNの搬送路に沿って配設される、複数の通過センサ5の配設例を示している。(b)は、(a)の構成に対応する、各通過センサ5の検知信号を例示している。ここで、(b)における横軸は、基準パルスのカウント値CNT2である。基準パルスは、搬送部3の駆動ローラーに取り付けられたロータリエンコーダの出力パルスを利用している。基準パルス数と紙幣BNの搬送距離とは比例する。尚、紙幣BNの搬送速度が一定であれば、基準パルスを利用する代わりに、実時間を基準として以下の動作を行ってもよい。尚、図5A図5Dは、通過センサ5の配設構成は同じであるが、搬送される紙幣BNの種類が相違する。
【0108】
機械式紙幣検知センサ51は、前述の通り、一対のローラー511、512を備えている。光学式紙幣検知センサ52は、搬送中の紙幣BNを挟んだ一側(図5の紙面下側)に配設された発光部521と、他側(図5の紙面上側)に配設された受光部522とを備えている。紙幣BNが光学式紙幣検知センサ52の光軸を横切るときに、紙幣BNによって遮光されることで、光学式紙幣検知センサ52は、紙幣BNの通過を検知する。すなわち、受光部522が透光から遮光に切り替わると、紙幣BNの先端を検知したとし、受光部522が遮光から透光に切り替わると、紙幣BNの後端を検知したとする。
【0109】
図5A図5Dの配設例では、紙幣BNを紙面左から右に搬送する搬送路において、搬送方向の最上流位置には、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52とを並設している。機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52との間隔は、l1である。それ以降の下流の位置には、光学式紙幣検知センサ52のみを配設している。図例において、搬送方向の異なる位置に配設される光学式紙幣検知センサ52は、それぞれ符号52−1、52−2を付して区別する。機械式紙幣検知センサ51と、光学式紙幣検知センサ52−2との間隔は、l2である。
【0110】
また、紙幣BNの搬送方向の各位置においては、紙幣BNの搬送方向に直交する短手方向に、2つの機械式紙幣検知センサ51L、51R、及び、2つの光学式紙幣検知センサ52L、52Rを配置している。2つの機械式紙幣検知センサ51L、51R、及び、2つの光学式紙幣検知センサ52L、52Rはそれぞれ、搬送方向に対する搬送路の幅方向(紙幣BNの短手方向)において同じ位置、すなわち同列上に位置している(図5A図5Dの上図の一点鎖線参照)。
【0111】
図5Aに示す例は、透明部分W1を有する紙幣BN1が搬送されてきた例である。前述したように、紙幣BN1は、一部分に窓状の透明部分W1を有する紙幣である(図7参照)。当該紙幣BN1は先ず、カウント値sの時、機械式紙幣検知センサ51によって、その先端が検知される。その後、カウント値tの時、紙幣BN1の後端が検知される。前述したように、機械式紙幣検知センサ51は、透明部分W1の有無に関わらず、紙幣BN1の、搬送方向の先端(つまり、長手の一端)及び後端(つまり、長手の他端)を正確にかつ、確実に検知する。これにより、図5Aの(b)に例示するような、機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号がそれぞれ得られ、これを記憶する。紙面左側が紙幣の搬送方向の先端、紙面右側が紙幣の搬送方向の後端に相当する。前記と同様に、機械式紙幣検知センサ51の検知開始から非検知となったときのカウント値の差(t−s=P0)から、紙幣BN1の長さL0に相当するカウント値が得られる。
【0112】
機械式紙幣検知センサ51L、51Rの2つの検知信号は、紙幣BN1が斜行無しに正常に搬送されている場合、基本的には、その検知タイミングも含めて同じになる。機械式紙幣検知センサ51L、51Rの2つの検知タイミング(つまり、カウント値s及びカウント値t)が異なる場合は、紙幣BNの搬送方向の先端が傾いていると判断することができるため、紙幣BNが斜行していると判定することが可能になる。
【0113】
ここでは説明を簡単にするため、紙幣BN1の斜行が無い場合について説明する。また、カウント値s及びカウント値t及びカウント値Pは検知センサの各列毎に持つ値であるが、紙幣BNの斜行が無い場合は、搬送方向において同じ位置に位置する検知センサのカウント値は同じになるため、各列の検知センサのカウント値を代表して1つのカウント値を用いて説明する。
【0114】
カウント値CNT2がsとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を開始する。尚、s=s+P1であり、P1は、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52−1との間隔l1に相当するカウント値である。カウント値CNT2がtとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を終了する。尚、t=s+P0であり、P0は、前述の通り、紙幣BN1の長さL0に相当するカウント値である。
【0115】
図5Aに示すように、透明部分W1は透光するため、光学式紙幣検知センサ52L−1の検知信号は、機械式紙幣検知センサ51の検知信号と相違する。また、光学式紙幣検知センサ52R−1は、透明部分W1を通過しないため、光学式紙幣検知センサ52R−1の検知信号は、機械式紙幣検知センサ51の検知信号と同じになりかつ、光学式紙幣検知センサ52L−1とは相違する。
【0116】
制御部6は、2つの機械式紙幣検知センサ51の検知信号と、2つの光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号との比較を行う。それによって制御部6は、紙幣BNの透明部分Wの特定を行う。具体的には、2つの機械式紙幣検知センサ51の検知信号をカウント値CNT2がs0からtにおいて比較して、紙幣の斜行や破れや折れの有無を検出するとともに、紙幣の長さを算出する。次に、同列上の機械式紙幣検知センサ51のカウント値CNT2がs0からtにおける検知信号(s→t)と光学式紙幣検知センサ52のカウント値CNT2がsからtにおける検知信号(s→t)との比較により、それらの検知信号が異なるときには、紙幣BNは透明部分Wを有していると判定するとともに、透明部分Wの開始位置と長さを求める。図5Aの例では、機械式紙幣検知センサ51Lの検知信号(s→t)と、光学式紙幣検知センサ52L−1の検知信号(s→t)との比較から、紙幣BN1における透明部分W1の開始位置Pと、透明部分W1の長さPとを求めることができる。
【0117】
紙幣BNの搬送方向の最上流位置において、当該紙幣BNが透明部分Wを有しているか否か、また、透明部分Wの位置を特定すれば、その情報を、それ以降の下流の位置に配置した光学式紙幣検知センサ52の検出に利用する。図5Aに示すように、紙幣BN1が透明部分W1を有している場合、下流の光学式紙幣検知センサ52L−2は誤検知をする虞があるため、機械式紙幣検知センサ51Lから間隔l2に相当する距離を移動した時に検知を行う光学式紙幣検知センサ52L−2の検知結果の補正を行う。
【0118】
具体的には、カウント値CNT2がsとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−2、52R−2が紙幣BN1の先端を検知し、検知信号が検知状態となる。尚、s=s+P2であり、P2は、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52−2との間隔l2に相当するカウント値である。光学式紙幣検知センサ52L−2、52R−2の検知信号が検知状態となった後、透明部分W1の開始位置に相当するカウント値(s+P)に達すると、透明部分W1の長さに相当するカウント値Pの間、透明部分W1が通過する列の光学式紙幣検知センサ52L−2による紙幣BN1の検知を停止する。そして、カウント値Pが経過した以降において、紙幣BN1の検知を再開する。カウント値t(t=s+P)になった時、光学式紙幣検知センサ52L−2、52R−2はそれぞれ、検知信号が検知状態から非検知状態になり紙幣BN1の後端を検知することになる。こうすることで、透明部分W1は無視された形になって検知されなくなり、光学式紙幣検知センサ52L−2の誤検知が防止される。また、光学式紙幣検知センサ52L−2による紙幣BN1の検知を停止する代わりに、カウント値(s+P)からカウント値Pの間、検知信号を検知状態に置き換えてもよい。
【0119】
また、これとは異なり、機械式紙幣検知センサ51の検知信号と光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号とから、紙幣BN1が透明部分W1を有していることのみを検知し、紙幣BN1における透明部分W1の開始位置P、及び、透明部分W1の長さPを求めないことも可能である。この場合、下流の位置に配置した光学式紙幣検知センサ52L−2の検出を、以下のように補正することが可能である。
【0120】
つまり、カウント値CNT2がsとなった後、紙幣BN1の長さに相当するカウント値P0が経過するまでは、透明部分W1が通過する列の光学式紙幣検知センサ52L−2の検知信号を、実際に検知しているか否かに関わらず、強制的に紙幣を検知している状態にする。そうして、カウント値P0が経過したときに、光学式紙幣検知センサ52L−2の検知を通常の状態に戻すと、検知状態は非検知になり、紙幣BN1の後端を検知する。
【0121】
このようにして、少なくとも1つの機械式紙幣検知センサ51を配置することにより、それよりも下流に配置した各光学式紙幣検知センサ52−2の誤検知を回避することが可能になる。
【0122】
次に、図5Bに示す例は、紙幣BN2の長手方向の一端部分に透明部分W2を有する紙幣BN2が搬送されてきた例である(図7参照)。紙幣BN2は先ず、機械式紙幣検知センサ51によって検知される。これにより、図5Bに例示するような、機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号(s→t)がそれぞれ得られ、これを記憶する。
【0123】
紙幣BN2が間隔l1だけ搬送された時点で、光学式紙幣検知センサ52−1に紙幣BN2を検知するように、前記と同様に、カウント値CNT2がsとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を開始する。しかしながら、透明部分W2が透光するため、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1は、実際は、紙幣BN2の先端を検知することができない。図5Bに示すように、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1はそれぞれ、透明部分W2が通過した後に、紙幣BN2を検知するようになる。カウント値CNT2がtとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を終了する。
【0124】
制御部6は、機械式紙幣検知センサ51の検知信号(s→t)と、光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号(s→t)との比較を各列毎に行う。それによって制御部6は、紙幣BN2の透明部分W2の特定を行う。図5Bの例では、紙幣BN2における透明部分W2の開始位置Pが0として、透明部分W2の長さPが求まる。
【0125】
紙幣BNの搬送方向の最上流位置において、当該紙幣BNが透明部分Wを有しているか否か、また、透明部分Wの位置を特定すれば、前述したように、下流の位置に配置した光学式紙幣検知センサ52−2の検出に、その情報を利用する。紙幣BN2が透明部分W2を有している場合、例えば図5Bに実線で示すように、機械式紙幣検知センサ51から間隔l2に相当する距離を移動した時に検知を行う光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果の補正を行う(同図の実線及び二点鎖線参照)。この場合の補正は、図5Aの例に準じて行われる。
【0126】
次に、図5Cに示す例は、紙幣BN3の長手方向の中央部分に透明部分W3を有する紙幣BN3が搬送されてきた例である(図7参照)。紙幣BN3は先ず、機械式紙幣検知センサ51によって検知される。図5Cに例示するような、機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号(s→t)がそれぞれ得られ、これを記憶する。
【0127】
前記と同様に、光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号の記憶は、カウント値CNT2がsとなれば開始される。しかしながら、透明部分W3が透光するため、図5Cに実線で示すように、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1は、紙幣BN3の中間部分で紙幣BN3を検知することができなくなり、その後再び、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1はそれぞれ、紙幣BN3を検知するようになる。光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶は、当該センサが検知をしているか否かに関わらず継続し、カウント値CNT2がtとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を終了する。
【0128】
制御部6は、機械式紙幣検知センサ51の検知信号(s→t)と、光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号(s→t)との比較を各列毎に行う。それによって制御部6は、紙幣BN3の透明部分W3の特定を行う。つまり、紙幣BN3における透明部分W3の開始位置P及び、透明部分W3の長さPを求める。
【0129】
こうして紙幣BNの搬送方向の最上流位置において、当該紙幣BNが透明部分Wを有しているか否か、また、透明部分Wの位置を特定すれば、前述したように、下流の位置に配置した光学式紙幣検知センサ52−2の検出に、その情報を利用する。図5Cに示すように、紙幣BN3が透明部分W3を有している場合、機械式紙幣検知センサ51から間隔l2に相当する距離を移動した時に検知を行う光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果の補正を行う(同図の実線及び二点鎖線参照)。この場合の補正も、図5Aの例に準じて行われる。
【0130】
次に、図5Dに示す例は、長手方向の端から端まで帯状に延びる透明部分W4を有する紙幣BN4が搬送されてきた例である(図7参照)。紙幣BN4は先ず、機械式紙幣検知センサ51によって検知される。図5Dに例示するような、機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号(s→t)がそれぞれ得られ、これを記憶する。
【0131】
前記と同様に、光学式紙幣検知センサ52−1の検知信号の記憶は、カウント値CNT2がsとなれば開始される。しかしながら、透明部分W4が透光するため、図5Dに示すように、光学式紙幣検知センサ52L−1は、紙幣BN4を検知する一方、光学式紙幣検知センサ52R−1は、紙幣BN4を検知しない。光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1が検知をしているか否かに関わらず、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶は継続する。そして、カウント値CNT2がtとなれば、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号の記憶を終了する。
【0132】
制御部6は、2つの機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号(s→t)と、2つの光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号(s→t)との比較を各列毎に行う。それによって制御部6は、紙幣BN4の透明部分W4の特定を行う。この例では、紙幣BN4における透明部分W2の開始位置Pは0で、透明部分W4の長さPは、紙幣BN4の長さに相当するP0と等しくなる。
【0133】
紙幣BNの搬送方向の最上流位置において、当該紙幣BNが透明部分Wを有しているか否か、また、透明部分Wの位置を特定すれば、前述したように、下流の位置に配置した光学式紙幣検知センサ52−2の検出に、その情報を利用する。図5Dに示すように、紙幣BN4が透明部分W4を有している場合、機械式紙幣検知センサ51から間隔l2に相当する距離を移動した時に検知を行う光学式紙幣検知センサ52R−2の検知結果の補正を行う(同図の実線及び二点鎖線参照)。この場合の補正も、図5Aの例に準じて行われる。
【0134】
図6は、図5A図5Dに示す各構成例において、検知結果の処理に係るフローチャートを示している。図6のフローチャートは、センサの配置や、センサの検知信号は、図5A図5Dと同じであるが、それらに基づいて行う処理は、前記で説明した処理とは異なる。
【0135】
先ず、スタート後のステップS1では、機械式紙幣検知センサ51によって紙幣を検知したか否かを判定する。検知していないときにはステップS1を繰り返し、検知したときにはステップS2に移行する。
【0136】
ステップS2では、2つの機械式紙幣検知センサ51R、51Lによって得られた検知信号に基づいて、紙幣BNの斜行量を算出する。2つの機械式紙幣検知センサ51L、51Rが検知したタイミング(つまり、前述したカウント値s及び/又はカウント値t)のずれに基づいて、紙幣BNの搬送方向の先端の傾きの大きさ、つまり、斜行量を算出することが可能である。斜行量が、予め設定した量を超えるときには、当該紙幣は、リジェクト紙幣と判断される。
【0137】
ステップS3では、機械式紙幣検知センサ51L、51Rによって得られた検知信号に基づいて、紙幣BNの長さ(つまり、搬送方向の長さであり、ここでは長手方向の長さ)を算出する。前述したように、機械式紙幣検知センサ51の検知開始から非検知となったときのカウント値の差(t−s=P0)から、紙幣BNの長さに相当するカウント値を算出することが可能である。尚、2つの機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号それぞれから算出される紙幣BNの長さを比較し、その差が、予め設定した量を超えるときには、当該紙幣は破れていると判断される。
【0138】
ステップS4では、紙幣BNをl1だけ搬送した時点、言い換えると、カウント値CNT2がs(=s+P1)となったときに、2つの光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1が共に、遮光したか否かを判定する。共に遮光していないとき、つまり、いずれか一方の光学式紙幣検知センサ52−1が遮光していない、又は、2つの光学式紙幣検知センサ52−1が共に遮光していないときにはステップS9に移行する。ステップS9に移行した場合、紙幣BNは、図5Bに示す紙幣BN2、又は、図5Dに示す紙幣BN4と判断される。一方、2つの光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1が共に、遮光したときには、ステップS4からステップS5に移行する。ステップS5に移行した場合、紙幣BNは、図5Aに示す紙幣BN1、又は、図5Cに示す紙幣BN3、又は、透明部分を有しない紙幣と判断される。
【0139】
ステップS5では、機械式紙幣検知センサ51の検知結果(s→t)と、光学式紙幣検知センサ52の検知結果(s→t)とを各列毎に比較する。それによって、紙幣BNに透明部分Wが存在するか否かを特定する。また、透明部分Wが存在する場合は、その透明部分Wの位置(つまり、P、P)を特定してもよい。
【0140】
続くステップS6では、紙幣BNに透明部分Wが存在するか否かを判定し、存在するときはステップS7に移行し、存在しないときはステップS8に移行する。
【0141】
ステップS7では、搬送方向の下流に配設された光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果を、前述の通り、補正する。一方、ステップS8では、搬送方向の下流に配設された光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果を補正しない。
【0142】
ステップS9では、紙幣BNがl1搬送された後、所定距離(つまり、所定のカウント値)の間、2つの光学式紙幣検知センサ52−1が共に、透光しているか否かを判定する。判定がYESのときにはステップS10に移行する。判定がNOのときにはステップS11に移行する。
【0143】
ステップS10に移行した場合、紙幣BNは、図5Bに示す紙幣BN2と判断する。ステップS10では、機械式紙幣検知センサ51L、51Rの検知信号と、光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1の検知信号との立ち下がりをそろえて比較することによって、透明部分W2を特定する。フローはその後、ステップS7に移行し、搬送方向の下流に配設された光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果を補正する。
【0144】
ステップS11に移行した場合、紙幣BNは、図5Dに示す紙幣BN4と判断する。ステップS11では、2つの光学式紙幣検知センサ52L−1、52R−1のうち、透光でない方の光学式紙幣検知センサ52の検知信号の立ち上がり位置に基づいて、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52−1との検知信号を比較する。この際に、ステップS2で算出した斜行量を考慮する。そして、紙幣BN4の透明部分W4を特定する。フローはその後、ステップS7に移行し、搬送方向の下流に配設された光学式紙幣検知センサ52−2の検知結果を補正する。
【0145】
尚、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52との組み合わせは、前述した組み合わせに限らない。例えば機械式紙幣検知センサ51は、最上流位置に1つ配設することに限らず、光学式紙幣検知センサ52が配設された搬送路31及び接続路32において、適宜の位置に、機械式紙幣検知センサ51を配設するようにしてもよい。
【0146】
また、機械式紙幣検知センサ51に組み合わせる光学式紙幣検知センサ52は、透過型の光学式紙幣検知センサに限らず反射型の光学式紙幣検知センサとしてもよい。反射型の光学式紙幣検知センサは、発光部521と受光部522とを同じ側に配置し、発光部521からの光を搬送される紙幣BNが反射した光を受光部522で受光するもので、受光状態が上記の遮光、非受光状態が上記の透光に相当する。
【0147】
以上説明したように、ここに開示する機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNを搬送する搬送路31又は接続路32に配設されかつ、紙幣BNがその間を通過するよう構成された、対向する一対のローラー511、512と、紙幣BNが、一対のローラー511、512の間を通過するときのローラー512の変位を検出することにより、紙幣BNを検知する検知部519と、を備える。
【0148】
この機械式紙幣検知センサ51は、紙幣BNが透明部分Wを有しているか否かに関わらず、紙幣BNを精度良く検知することが可能になる。
【0149】
ここに開示する紙幣処理装置1は、紙幣BNを搬送する搬送路31又は接続路32に配設されかつ、紙幣BNを検知するよう構成された通過センサ5と、通過センサ5の検知に基づいて、紙幣BNに関する処理を行うよう構成された処理部と、を備える。
【0150】
そして、通過センサ5は、紙幣BNがその間を通過するよう構成された、対向する一対のローラー511、512と、紙幣BNが、一対のローラー511、512の間を通過するときのローラー512の変位を検出することにより、紙幣BNを検知する検知部519と、を含む機械式紙幣検知センサ51を有する。
【0151】
機械式紙幣検知センサ51は、前述したように、紙幣BNの透明部分Wの有無に関わらず、紙幣BNを精度よく検知することが可能になる。処理部は、その紙幣BNの検知に基づいて、紙幣BNに関する処理を行うため、誤検知に基づいて、処理を行うことが回避される。尚、前記においては、紙幣BNの先端の検知に基づく処理を説明したが、紙幣BNの後端の検知に基づく処理としてもよい。また、紙幣BNの先端及び後端の両方を検知し、それらから割り出した紙幣BNの中央に基づき処理を行ってもよい。
【0152】
処理部は、搬送路31において、機械式紙幣検知センサ51よりも搬送方向の下流に配設されかつ、紙幣BNの画像を取得するよう構成された画像取得部21であり、画像取得部21は、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNの画像を取得する。
【0153】
これにより、搬送中の紙幣BNの画像を、適切に取得することが可能になる。
【0154】
処理部は、搬送路31において、機械式紙幣検知センサ51よりも搬送方向の下流に配設されかつ、紙幣BNの厚みを検出するよう構成された厚み検出部22であり、厚み検出部22は、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNの厚みを検出する。
【0155】
これにより、搬送中の紙幣BNの厚みを、適切に検出することが可能になる。この構成では、機械式紙幣検知センサ51によって紙幣の厚みを検知することで、搬送中の紙幣を検知すると共に、厚み検出部22によって紙幣BNの厚みを検出することで、紙幣BNの重送、連鎖、折れ等を、精度よく検出することが可能になる。
【0156】
処理部は、搬送路31において、機械式紙幣検知センサ51よりも搬送方向の下流に配設されかつ、紙幣BNの磁気情報を検出するよう構成された磁気検出部23であり、磁気検出部23は、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNの磁気情報を検出する。これにより、適切に搬送中の紙幣BNの磁気情報を検出することが可能になる。
【0157】
処理部は、搬送路31において、機械式紙幣検知センサ51よりも搬送方向の下流に配設されかつ、紙幣BNの搬送先を切り替えるよう構成された分岐部33、34であり、分岐部33、34は、機械式紙幣検知センサ51が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNの搬送先を切り替える。これにより、紙幣BNをスムースに搬送することが可能になる。
【0158】
通過センサ5は、紙幣BNに向かって照射した光に基づいて、紙幣BNを検知する光学式紙幣検知センサ52をさらに有し、機械式紙幣検知センサ51、及び、光学式紙幣検知センサ52はそれぞれ、搬送路31又は接続路32に配設されかつ、それぞれ紙幣BNを検知する。
【0159】
機械式紙幣検知センサ51及び光学式紙幣検知センサ52を組み合わせることによって、透明部分Wを有する紙幣BNであっても、紙幣BNを適切に検知することが可能になると共に、安価な光学式紙幣検知センサ52によって、コストの低減が図られる。
【0160】
機械式紙幣検知センサ51は、光学式紙幣検知センサ52よりも搬送方向の上流に配置され、通過センサ5は、機械式紙幣検知センサ51の検知結果に基づいて、光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正する。
【0161】
機械式紙幣検知センサ51の検知結果に基づいて、光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正することにより、光学式紙幣検知センサ52の誤検知を回避することが可能になる。
【0162】
尚、検知結果の補正には、前述したように、紙幣における透明部分の検知結果を無視する補正と、透明部分の検知結果を非透明部分と同様に置き換える補正とが含まれる。
【0163】
また、搬送方向の下流に配置された光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正しないようにしてもよい。例えば図5A等に示す例においては、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52−2との間隔(前述したl2)に基づいて、光学式紙幣検知センサ52−2が紙幣BNを検知するであろう期間に、2つの光学式紙幣検知センサ52L−2、R−2のOR信号が、少なくとも一定時間遮光を検知すれば、紙幣BNが正常に通過した、と判定するようにしてもよい。通過センサ5は、機械式紙幣検知センサ51の検知結果と、光学式紙幣検知センサ52の検知結果とに基づいて、紙幣BNの透明部分Wの、少なくとも有無を判定する。
【0164】
機械式紙幣検知センサ51は、光学式紙幣検知センサ52よりも搬送方向の上流に配置され、処理部は、光学式紙幣検知センサ52が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNに関する処理を行う、としてもよい。
【0165】
例えば、前記処理部は、搬送路31において、光学式紙幣検知センサ52よりも搬送方向の下流に配設されかつ、紙幣BNの搬送先を切り替えるよう構成された分岐部33、34であり、分岐部33、34は、光学式紙幣検知センサ52が紙幣BNの端を検知した時に基づいて、紙幣BNの搬送先を切り替える、としてもよい。
【0166】
機械式紙幣検知センサ51によって紙幣BNの検知を正確に行っているため、下流側においては、光学式紙幣検知センサ52の検知に基づいて、紙幣BNの処理、例えば紙幣BNの搬送先の切り替えを行うことができる。特に、機械式紙幣検知センサ51の検知結果に基づいて、光学式紙幣検知センサ52の検知を補正する構成では、光学式紙幣検知センサ52の検知結果が正確になる。尚、光学式紙幣検知センサ52の検知に基づく紙幣BNの処理は、分岐部33、34における分岐に限らず、その他の処理(例えば前述した、画像の取得、厚みの検知、磁気情報の検知)としてもよい。
【0167】
通過センサ5は、紙幣BNに透明部分Wが存在するときには光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正し、紙幣BNに透明部分Wが存在しないときには光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正しない。
【0168】
こうすることで、紙幣BNに透明部分が存在するときには、光学式紙幣検知センサ52の検知結果を補正することにより、誤検知が未然に回避される。一方、紙幣BNに透明部分が存在しないときには、光学式紙幣検知センサ52の検知結果が正確であるため、光学式紙幣検知センサ52の検知結果の補正を行わない。
【0169】
ここに開示する紙幣処理方法は、紙幣BNを搬送する搬送路31又は接続路32に配設された、対向する一対のローラー511、512の間を紙幣BNが通過するときに、ローラー512の変位を検知し、ローラー512の変位の検知に基づいて、紙幣BNに関する処理を行う。
【0170】
これにより、紙幣BNの透明部分Wの有無に関わらず、紙幣BNを精度よく検知することが可能になり、誤検知に基づいて、紙幣BNの処理を行うことが回避される。
【0171】
以上の実施例では、機械式紙幣検知センサ51と光学式紙幣検知センサ52が2列の場合を示したが、3列以上の場合も同様に処理が可能である。
【0172】
(変形例2)
前述した変形例1では、機械式紙葉類検知センサ51及び光学式紙葉類検知センサ52を組み合わせることによって、透明部分を有する紙葉類であっても、紙葉類の端を適切に検知することが可能でかつ、搬送路に多数配設する必要があるセンサに、安価な光学式紙葉類検知センサ52を適宜用いることによって、コストの低減を図れる例を示した。
【0173】
ここではさらに、前述の機械式紙葉類検知センサ51及び光学式紙葉類検知センサ52の組み合わせに限らず、他タイプのセンサの組合せでも可能であることを示す。例えば、機械式検知センサ51の代わりに、特許文献3〜6のセンサや透明部分を透過しない波長の紫外光を用いた光学式紙葉類検知センサ等を、紙葉類の透明部分の特性によっては用いることができる。
【0174】
(紙葉類検知装置の構成例)
紙葉類処理装置における紙葉類検知装置は、前述したように、多数の紙葉類検知センサを、紙葉類の搬送路に沿って配設している。光学式紙幣検知センサ52のような、紙葉類の透明部分と不透明部分とで検知状態が変化する(つまり、紙葉類の透明部分を、紙葉類であると検知せず、紙葉類の不透明部分は、紙葉類であると検知する)センサは、安価である。一方、機械式紙幣検知センサ51のような、紙葉類の透明部分と不透明部分とで検知状態が変化しない(つまり、紙葉類の透明部分を、紙葉類であると検知しかつ、紙葉類の不透明部分も、紙葉類であると検知する)センサは、光学式紙幣検知センサ52よりも高価である。紙葉類検知センサの全てを、機械式紙幣検知センサ51のような高価なセンサによって構成すると、紙葉類検知装置、及び、紙葉類処理装置の製造コストが高くなってしまう。そこで、紙葉類検知装置は、以下の構成としてもよい。
【0175】
つまり、紙葉類検知装置100は、図8に例示するように構成されている。図8の紙葉類検知装置100は、図5A図5Dに示す紙幣検知装置を一般化した構成に相当する。
【0176】
紙葉類検知装置100は、
紙葉類101を搬送する搬送路102に配設されかつ、前記紙葉類101を検知すると共に、前記紙葉類101の透明部分Wによって検知状態が変化するよう構成された第1の紙葉類検知センサ61と、
前記搬送路102に配設されかつ、前記紙葉類101を検知すると共に、前記紙葉類101の透明部分Wによって検知状態が変化しないよう構成された第2の紙葉類検知センサ62と、を備えている。
【0177】
ここで、「第1の紙葉類検知センサ」は、透明部分を有している紙葉類を検知するときに、その透明部分が紙葉類であると検知しない、又は、検知することができないセンサである。よって、第1の紙葉類検知センサは、透明部分によって検知状態が変化する。これに対し、「第2の紙葉類検知センサ」は、透明部分によって検知状態が変化しないため、紙葉類が透明部分を有していても、その透明部分が紙葉類であると検知する、又は、検知することができるセンサである。尚、第2の紙葉類検知センサは、透明部分を検知する必要はない。前述した機械式の紙幣検知センサ52は、紙幣の透明部分を検知することはできないが、紙幣が透明部分を有していても、その透明部分が紙幣であると検知する。従って、機械式の紙幣検知センサ52は、第2の紙葉類検知センサに含まれる。
【0178】
この構成によると、紙葉類検知装置100は、第1の紙葉類検知センサ61と第2の紙葉類検知センサ62とを組み合わせることによって、紙葉類101の誤検知を回避することができる。
【0179】
また、紙葉類検知センサの一部が第1の紙葉類検知センサ61であるため、全ての紙葉類検知センサが第2の紙葉類検知センサ62である構成よりも、紙葉類検知装置100の製造コストは下がる。
【0180】
前記第1の紙葉類検知センサ61は、前記紙葉類101に向かって照射した光に基づいて、前記紙葉類を検知する光学式紙葉類検知センサであるとしてもよい。
【0181】
光学式紙葉類検知センサは安価であるため、光学式紙葉類検知センサと第2の紙葉類検知センサ62とを組み合わせた紙葉類検知装置100は、製造コストが下がる。尚、光学式紙葉類検知センサは、前述したように、透過型であっても、反射型であってもよい。
【0182】
前記第2の紙葉類検知センサ62は、前記第1の紙葉類検知センサ61よりも搬送方向の上流に配置してもよい。
【0183】
第2の紙葉類検知センサ62は、透明部分Wが紙葉類101の端にあっても、その紙葉類101の端を検知することができる。第2の紙葉類検知センサ62を、第1の紙葉類検知センサ61よりも搬送方向の上流に配置すると、紙葉類検知装置100は、紙葉類101の誤検知を防止することができる。
【0184】
前記紙葉類検知装置100は、前記第2の紙葉類検知センサ62の検知結果に基づいて、前記第1の紙葉類検知センサ61の検知結果を補正してもよい。
【0185】
こうすることで、第1の紙葉類検知センサ61の誤検知を防止することができる。
【0186】
前記紙葉類検知装置100は、前記第1の紙葉類検知センサ61の検知結果と、前記第2の紙葉類検知センサ62の検知結果とに基づいて、前記紙葉類101の透明部分Wの、少なくとも有無を判定してもよい。
【0187】
ここに開示する紙葉類処理装置105は、前記紙葉類検知装置100と、前記紙葉類検知装置100が前記紙葉類101の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類101に関する処理を行うよう構成された処理部104と、を備えている、としてもよい。
【0188】
第1の紙葉類検知センサ61と、第2の紙葉類検知センサ62とを組み合わせることによって、紙葉類101の端を精度良く検知することが可能になる。処理部104は、紙葉類101の端を正確に検知した時に基づいて、紙葉類101に関する処理を行うことができるため、誤検知した時に基づいて誤った時に処理を行ってしまうことが回避される。
【0189】
尚、「紙葉類の端」は、前述したように、搬送される紙葉類101の先端及び後端のいずれか一方、又は、両方である。
【0190】
前記第2の紙葉類検知センサ62は、前記第1の紙葉類検知センサ61よりも搬送方向の上流に配置され、前記処理部104は、前記第1の紙葉類検知センサ61が前記紙葉類101の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類101に関する処理を行うとしてもよい。
【0191】
これにより、紙葉類101の処理を適切に行うことが可能になる。
【0192】
前記処理部104は、前記搬送路102において、前記第1の紙葉類検知センサ61よりも搬送方向の下流に配設されかつ、前記紙葉類101の搬送先を切り替えるよう構成された分岐部であり、前記分岐部は、前記第1の紙葉類検知センサ61が前記紙葉類101の端を検知した時に基づいて、前記紙葉類101の搬送先を切り替えてもよい。
【0193】
これにより、紙葉類101をスムースに搬送することが可能になる。
【0194】
尚、ここでいう「紙葉類の透明部分によって検知状態が変化しない第2の紙葉類検知センサ」は、前述した機械式紙幣検知センサ51の他にも、特許文献3(特開2015−95023号公報)に記載されている光学式検知センサ、特許文献4(特開2014−29301号公報)に記載されている光学式検知センサ、特許文献5(特開2015−138437号公報)に記載されている光学式検知センサ、特許文献6(特開2014−182752号公報)に記載されている光学式検知センサ、又は、超音波式検知センサ、等を含む。あるいは、透明部分を透過しない波長の紫外光を用いた光学式紙葉類検知センサでもよい。
【0195】
特許文献3〜6に記載されているセンサは、前述のとおり透明部分を有する紙葉類の検知精度がポリマー材料の特性に依存するが、検知方法とポリマー材料との組合せによっては、第2の紙葉類検知センサ62として利用することができる。
【0196】
また、ポリマー材料が例えばポリエステルならば、可視光の透過率に比べて波長が400nm付近やそれ以下の紫外光の透過率が低下するため、それらの波長の紫外光を光源とする光学式紙葉類検知センサを第2の紙葉類検知センサ62として利用することができる。
【0197】
また、「第2の紙葉類検知センサ」は、前記以外の構成のセンサであってもよい。さらに、「第1の紙葉類検知センサ」も、透明部分Wによって検知状態が変化するセンサであれば、前述した透過型や反射型の光学式センサ以外であってもよい。
【0198】
尚、前述した各構成においては、光学式紙幣検知センサ52が通過する透明部分Wが1か所の場合を示したが、2か所以上の場合にも、紙幣BNにおける透明部分W1の開始位置Pと、透明部分W1の長さPとを複数記憶することで対応することが出来る。
【0199】
尚、前記の説明では、主に、紙幣処理装置1を例に、ここに開示する技術を説明したが、ここに開示する技術は、特に透明部分を有する商品券や小切手等の有価書類(value document)の検知及び処理に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0200】
1 紙幣処理装置(紙葉類処理装置)
21 画像取得部(処理部)
22 厚み検出部(処理部)
23 磁気検出部(処理部)
31 搬送路
32 接続路(搬送路)
33、34 分岐部(処理部)
5 通過センサ(紙葉類検知装置)
51 機械式紙幣検知センサ
52 光学式紙幣検知センサ
511 駆動ローラー(回転体)
512 従動ローラー(回転体)
519 検知部
BN 紙幣(紙葉類)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8