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特許6876620熱交換器用プレートおよびプレート式熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876620
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】熱交換器用プレートおよびプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20210517BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   F28F3/04 A
   F28D9/02
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-559024(P2017-559024)
(86)(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公表番号】特表2018-514744(P2018-514744A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2016059177
(87)【国際公開番号】WO2016180625
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2018年1月9日
【審判番号】不服2019-12023(P2019-12023/J1)
【審判請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】15167096.5
(32)【優先日】2015年5月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】メルダッド・モハンマディアン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ロムルンド
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 松下 聡
【審判官】 川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−514731(JP,A)
【文献】 特表2011−517763(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0030043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D9/02
F28F3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換領域(11)と、
直径(D)を各々有する少なくとも2つのポート孔(12)と、
少なくとも2つのポート孔領域(13)であって、前記ポート孔(12)の各々が前記ポート孔領域(13)のうちの1つによってそれぞれ包囲される、少なくとも2つのポート孔領域(13)と、
を備え、
前記ポート孔領域(13)は互いから離間され、
各々のポート孔領域(13)はビーム(20)の波状部を有し、
前記ビーム(20)の各々は、端(21)を有し、前記ポート孔(12)に向かうそれぞれの延在方向(23)に沿って広がっており、
前記ビーム(20)の各々の前記延在方向(23)は、前記ビーム(20)の前記端(21)を通る径方向線(25)に対して鋭角(α)を形成し、
前記ビーム(20)は、前記ビーム(20)の端(21)を通る各々の径方向線(25)が等角度間隔になるように、前記ポート孔(12)の周囲に分配されており、
各々のビーム(20)の前記延在方向(23)は、前記ポート孔(12)の前記直径(D)より小さい直径(d)を有すると共に前記ポート孔(12)と同心である円(26)に対して正接であり、
前記円(26)の直径(d)は、前記ポート孔(12)の直径(D)の80%よりも短く、前記鋭角(α)は10°より大きいことを特徴とする熱交換器用プレート(2)。
【請求項2】
前記鋭角(α)は前記ビーム(20)の各々について等しい、請求項1に記載の熱交換器用プレート。
【請求項3】
前記鋭角(α)は80°より小さい、請求項1または2に記載の熱交換器用プレート。
【請求項4】
各々のビーム(20)の前記端(21)は、前記ポート孔(12)からある距離に位置付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器用プレート。
【請求項5】
前記ビーム(20)の各々は反対の端(22)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器用プレート。
【請求項6】
各々のビーム(20)の前記反対の端(22)は、それぞれのポート孔領域(13)内に位置付けられる、請求項5に記載の熱交換器用プレート。
【請求項7】
少なくとも一部の前記ビーム(20)の前記反対の端(22)は、前記熱交換領域(11)の波状部のビーム(15)に連結される、請求項5または6に記載の熱交換器用プレート。
【請求項8】
各々のビーム(20)は湾曲形状を有し、各々のビームは前記端(21)および反対の端(22)を通り、前記熱交換器用プレートが組み立てられた場合に、一方の熱交換器用プレートに配置された1つの前記ビームは、前記一方の熱交換器用プレートに隣接した他方の熱交換器用プレートに配置された他の2つのビームと個別の2つの交点において交差し、前記延在方向(23)は、前記2つの交点を通過する直線に一致する、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱交換器用プレート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の熱交換器用プレート(2)を複数備えるプレート式熱交換器(1)。
【請求項10】
1つの熱交換器用プレート(2)の前記ポート孔領域(13)の各々のビーム(20)は、隣接する熱交換器用プレート(2)の前記ポート孔領域(13)のうちの1つのビーム(20)と接触区域(30)を形成する、請求項9に記載のプレート式熱交換器。
【請求項11】
前記ポート孔領域(13)の各々のビーム(20)は湾曲形状を有し、それによって前記延在方向(23)と2回交差し、1つの熱交換器用プレート(2)の前記ポート孔領域(13)の各々のビーム(20)は2つの接触区域(30)を形成する、請求項10に記載のプレート式熱交換器。
【請求項12】
1つの熱交換器用プレート(2)の前記ポート孔領域(13)の各々のビーム(20)は、前記隣接する熱交換器用プレート(2)の前記ポート孔領域(13)の2つのビーム(20)と2つの接触区域(30)を形成する、請求項11に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換領域と、直径を各々有する少なくとも2つのポート孔と、少なくとも2つのポート孔領域であって、ポート孔の各々がポート孔領域のうちの1つによってそれぞれ包囲される少なくとも2つのポート孔領域と、を備える熱交換器用プレートであって、ポート孔領域は互いから離間され、各々のポート孔領域はビームの波状部を有し、ビームの各々は端を有し、ポート孔に向かうそれぞれの延在方向に沿って延在する、熱交換器用プレートに言及する。
【0002】
本発明は、このような熱交換器用プレートを有するプレート式熱交換器にも言及する。
【背景技術】
【0003】
プレート式熱交換器のこのような熱交換器用プレートのポート孔領域は、プレート式熱交換器の動作の間、大きく且つ変化する負荷に曝される。圧力が1つおきのプレート間空間において上昇するとき、特にロウ付けまたは溶接されたプレート式熱交換器の場合に、隣接する熱交換器用プレートを引き離そうとする大きな引っ張り力がポート孔領域で生じる。したがって、大きな力は、具体的にはポート孔領域におけるビームの接触区域およびその周りにおいて現れることになる。
【0004】
接触区域をビームの端部分に提供することは、熱交換器用プレートのポート孔領域の材料の厚さが、材料がいくつかの方向で曲げられて変形されているビームの端部分において最も薄いため、不利である。そのため、端部分は大きな負荷を受けるのに適していない。したがって、接触区域がビームの端部分に位置付けられる場合、熱交換器用プレートの材料において亀裂の危険性がある。
【0005】
熱交換領域のビームが同じ方向でポート孔領域へと続いていくプレート式熱交換器は、ポート孔領域において不規則に位置決めされた接触区域を有することになる。別の言い方をすれば、一部の接触区域はポート孔の近くに位置付けられ、一部の接触区域はポート孔からより離れて位置付けられる。さらに、ポート孔領域における隣接する接触区域同士の間の距離は、ポート孔の周りで変化することになる。これは、ポート孔領域の強度に関して不利である。
【0006】
特許文献1は、熱交換器のために永久的に連結されたプレートを伴うプレート積み重ねを、他の熱伝達プレートと共に構成するように意図されている熱伝達プレートを開示しており、熱伝達プレートは、第1の長手側と、反対の第2の長手側と、第1の短手側と、反対の第2の短手側と、山部および谷部のパターンを呈する熱伝達表面と、第1および第2のポート領域と、を有し、第1のポート領域は、第1の長手側と第1の短手側との間の合流部に形成される第1の角部に位置させられ、第2のポート領域は、第2の長手側と第2の短手側との間の合流部に形成される第2の角部に位置させられ、第1のポート領域はいくつかの山部および谷部に連結され、山部および谷部は、原理上は、第1のポート領域から斜めに第2の長手側に向かう広がりを有する。
【0007】
特許文献2は、4つの角領域にそれぞれ配置される4つの流体通過開口を有する下部を含む熱交換器用プレートを開示しており、前記下部は、プレートの正中長手方向軸の両側から延びる山形模様の波が設けられる。プレートの波は、同一の隣接するプレートの波と、両方のプレートが180°回転されることでそれらの相互のロウ付けについて点と点とによる接触領域を形成する鉛直方向で隣接する関係で、交差するように意図されている。下部は、角領域における通路開口の近くで、ロウ付けのための補足的な点と点との接触領域を定めることができる補足的な隆起された領域を有し、したがって、熱交換器からの圧力への耐性を向上することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,109,326号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/73083号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前述した問題を是正することである。具体的には、熱交換器用プレートのポート孔の周りのポート孔領域の強度を向上、延いては、プレート式熱交換器の強度の向上が、意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、最初に定義された熱交換器用プレートであって、ビームの各々の延在方向が、ビームの端を通る径方向線に対して鋭角を形成することを特徴とする熱交換器用プレートによって、成就される。
【0011】
径方向線に対して傾斜されているこのようなビームは、プレート式熱交換器の隣接する熱交換器用プレートのポート孔領域の相対するビームが、それぞれのビームの端からある距離に位置付けられる接触区域において互いと交差するという有利な解決策をもたらす。したがって、ビームの材料が最も薄くなるビームの端の近傍における接触区域は、回避できる。結果として、請求されているような熱交換器用プレートは、ポート孔領域の強度の向上、延いては、プレート式熱交換器の強度の向をもたらす。
【0012】
本発明の実施形態によれば、鋭角は、ビームの各々について、実質的に等しいか、または等しい。この特徴は、すべての接触区域がビームの端から同じ距離に位置付けられ、ポート孔から同じ距離に位置付けられることに寄与する。結果として、ポート孔の周りのポート孔領域の一様な強度が達成され得る。
【0013】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビームは、ポート孔の周りに実質的に等距離か、または等距離に設けられる。この特徴もまた、負荷がポート孔の周りで一様に分配されることになるため、ポート孔の周りでのポート孔領域の一様な強度に寄与する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームの延在方向は、ポート孔の直径より小さい直径を有すると共にポート孔と同心である円に対して正接である。この定義は、先に定めた鋭角に従う。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、鋭角αは10°より大きい。鋭角αは20°より大きくてもよい。鋭角αは30°より大きくてもよい。鋭角αは40°より大きくてもよい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、鋭角αは80°より小さい。鋭角αは70°より小さくてもよい。鋭角αは60°より小さくてもよい。鋭角αは50°より小さくてもよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、円の直径はポート孔の直径の80%より短い。円の直径はポート孔の直径の70%より短くてもよい。円の直径はポート孔の直径の60%より短くてもよい。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、円の直径はポート孔の直径の20%より長くてもよい。円の直径はポート孔の直径の30%より長くてもよい。円の直径はポート孔の直径の40%より長くてもよい。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームの端は、ポート孔からある距離に位置付けられる。したがって、ポート孔の周りに環状の平坦な領域があり得る。環状の平坦な領域は、ポート孔とポート孔領域のビームの端との間で延在してもよい。このような平坦な環状の領域は、ポート孔領域を強化することに寄与する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によれば、ポート孔領域のビームの各々は、前記延在方向に沿う細長い形を有する。
【0021】
有利には、細長い形は、直線状、または、実質的に直線状であり得る。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビームの各々は反対の端を有する。反対の端は、熱交換領域の近くに位置付けられ得る。したがって、ポート孔領域のビームの各々は、反対の端からポート孔に向かってビームの端へと延び得る。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームの反対の端は、それぞれのポート孔領域内に位置付けられる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームの反対の端は、熱交換領域の波状部のビームからある距離に位置付けられる。
【0025】
有利には、したがって、ポート孔領域のビームの反対の端と、熱交換領域または熱交換領域のビームと、の間に、可及的に平坦である環状の領域があり得る。
【0026】
本発明のさらなる実施形態によれば、ビームの少なくとも一部の反対の端は、熱交換領域の波状部のビームまたは少なくとも1つのビームに連結される。好ましくは、ポート孔領域のビームの50%超は、熱交換領域の波状部のビームに連結される。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームは湾曲形状を有し、それによって延在方向と2回交差する。ビームのこのような湾曲形状は、各々のビームに2つの接触区域を形成させることができ、これは、ポート孔領域のさらにより大きい強度に寄与する。
【0028】
目的は、最初に定められ、前述したような熱交換器用プレートを複数備えるプレート式熱交換器によっても達成される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、1つの熱交換器用プレートのポート孔領域の各々のビームは、隣接する熱交換器用プレートのポート孔領域のうちの1つのビームと接触区域を形成する。
【0030】
例えば、プレート式熱交換器における1つおきの熱交換器用プレートが、残りの熱交換器用プレートに対して180°回転されてもよい。プレート式熱交換器において2つ以上の種類の熱交換器用プレートを含むことも可能であり、例えば、1つおきの熱交換器用プレートが反転されたパターンを有してもよい。
【0031】
本発明のさらなる実施形態によれば、各々のビームは湾曲形状を有し、それによって延在方向と2回交差し、1つの熱交換器用プレートのポート孔領域の各々のビームは2つの接触区域を形成する。両方がビームの端からある距離に位置付けられる2つの接触区域があれば、ポート孔領域の強度はさらに向上され得る。
【0032】
有利には、両方の接触区域は、ビームの反対の端からある距離においても位置付けられる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、1つの熱交換器用プレートのポート孔領域の各々のビームは、隣接する熱交換器用プレートのポート孔領域の2つのビームと2つの接触区域を形成する。
【0034】
ここで、本発明は、様々な実施形態の記載を通じて、および、添付の図面を参照して、より詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1の実施形態によるプレート式熱交換器の概略的な正面図である。
図2図1におけるプレート式熱交換器の概略的な側面図である。
図3図1における線III-IIIに沿ってのプレート式熱交換器の概略的な長手方向断面図である。
図4図1におけるプレート式熱交換器の熱交換器用プレートの概略的な平面図である。
図5図4における熱交換器用プレートのポート孔領域の一部のより詳細な平面図である。
図6】本発明の第2の実施形態によるプレート式熱交換器の熱交換器用プレートのポート孔領域の一部のより詳細な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1図3は、複数の熱交換器用プレート2のプレートパッケージを備えるプレート式熱交換器1を開示している。熱交換器用プレート2は、最も外側のプレートを形成し得る圧力プレート2aと、他方の最も外側のプレートを形成し得るフレームプレート2bと、を備えている。
【0037】
熱交換器用プレート2は、図3を見ると、第1の媒体のための第1のプレート間空間3と、第2の媒体のための第2のプレート間空間4と、を形成している。第1のプレート間空間3および第2のプレート間空間4は、プレート式熱交換器1において交互の順番で配置されている。
【0038】
プレート式熱交換器1は、第1の媒体のための第1の入口6と、第1の媒体のための第1の出口7と、第2の媒体のための第2の入口8と、第2の媒体のための第2の出口9と、を備えている。
【0039】
熱交換器用プレート2のうちの1つは、図4に開示されている。開示されている実施形態では、すべての熱交換器用プレート2は同一である。また、圧力プレート2aおよびフレームプレート2bは、残りの熱交換器用プレート2と同一であり得る。
【0040】
プレート式熱交換器1では、1つおきの第2のプレート2が180°回転されている。
【0041】
しかしながら、熱交換器用プレートは同一である必要がないことは理解されるべきであり、例えば、1つおきの熱交換器用プレートが反転されてもよく、つまり、熱交換器用プレートのパターンが反転される。したがって、プレート式熱交換器は、2つ以上の異なる熱交換器用プレートを備え得る。
【0042】
第1の実施形態によれば、各々の熱交換器用プレート2は、熱交換領域11と4つのポート孔12とを備えている。長手方向中心軸xが熱交換器用プレート2に沿って延びている。
【0043】
各々の熱交換器用プレート2は他の数のポート孔12を備えてもよいことは留意されるものであり、例えば、第1の媒体の入口用に1つで出口用に1つの2つであり、第2の媒体のための入口および出口は、プレートパッケージにおける開放側によって形成される。例えば、3つ以上の媒体の場合、5つ以上のポート孔を伴うことも可能である。
【0044】
各々のポート孔12は直径Dを有する。
【0045】
各々のポート孔12は、ポート孔領域13のそれぞれ1つによって包囲される。ポート孔領域13は、図4において見られるように、互いから離間されている。
【0046】
開示した実施形態では、ポート孔領域13の各々は環状であり、つまり、各々のポート孔領域13はそれぞれのポート孔12の周りにわたって延びている。
【0047】
開示した実施形態では、各々のポート孔12およびポート孔領域13は円形であるか、または、実質的に円形である。ポート孔12およびポート孔領域は、例えば楕円形、長円形、または多角形のような形といった、円形から逸脱する形を有してもよい。
【0048】
開示した実施形態では、4つのポート孔12は同一であり、4つのポート孔領域13は同一である。しかしながら、ポート孔12およびポート孔領域13が、例えばポート孔12およびポート孔領域13の大きさに関して、互いと異なってもよいことは留意されるものである。
【0049】
熱交換器用プレート2は、熱交換器用プレート2の外側部を形成する縁部14も備えている。縁部14は熱交換領域11を包囲している。
【0050】
開示した実施形態では、縁部14は、図2および図3において見られるように、熱交換領域11から離して曲げられているフランジとして構成されている。
【0051】
開示した実施形態では、熱交換器用プレート2は、例えばロウ付け、溶接、または接着によって、互いに永久的に結合されている。永久的な結合は、2つの隣接する熱交換器用プレート2の縁領域14のフランジに沿って延び得る。したがって、2つの隣接する熱交換器用プレート2の間に閉じ込められたプレート間空間3、4が封止され得る。
【0052】
第1の実施形態では、ポート孔12をそれぞれ伴うポート孔領域13は、縁部14からある距離において、熱交換領域11に位置付けられている。しかしながら、ポート孔領域13は、例えば図6を見ると、縁部14に隣接して位置付けられ得る。
【0053】
熱交換領域11は、それ自体知られている手法で、山部および谷部を形成するビーム15の波状部を有している。開示した実施形態では、熱交換領域11の波状部のビーム15は、同じ方向において斜めにすべて延びている。ビーム15は、長手方向の中心軸xに対して角度を形成している。
【0054】
熱交換領域11のビーム15の波状部のパターンは、例えば、ビーム15が矢印のようなパターンを形成している、いわゆる魚の骨のようなパターンといった、開示されているものとは異なってもよい。波状部は、熱交換領域11の異なる区域において異なってもよい。さらに、いわゆる分配領域を形成するために、ポート孔領域13に隣接する熱交換領域11の異なる波状部があってもよい。
【0055】
各々のポート孔領域13は、ポート孔領域13において山部および谷部を形成するビーム20の波状部も備えている。ポート孔領域13のビーム20の各々は、ポート孔12へと向けられた端21と、熱交換領域11に向けられたまたは縁部14に向けられた反対の端22と、を有する。図6も参照。
【0056】
ポート孔領域13のビーム20の各々は、ポート孔12に向かうそれぞれの延在方向23に沿って延在している。ポート孔領域13の各々のビーム20は、延在方向23に沿う細長い形を有する。第1の実施形態では、細長い形は直線状、または実質的に直線状である。
【0057】
第1の実施形態では、ポート孔領域13の各々のビーム20の端21は、図5で見られるように、ポート孔12からある距離に位置付けられている。したがって、ポート孔12とポート孔領域13のビーム20の端21との間に、環状の平坦な領域24がある。
【0058】
ポート孔領域13の各々のビーム20の反対の端22は、それぞれのポート孔領域13内に位置付けられている。第1の実施形態では、ビーム20の少なくとも一部の反対の端22は、熱交換領域11の波状部のビーム15に連結されている。
【0059】
ポート孔領域13の一部だけを示している図5は、熱交換領域11のいずれのビーム15にも連結されていない1つのビーム20を開示している。当然ながら、熱交換領域11のいずれのビーム15にも連結されていないポート孔領域13のビーム20が2つ以上あってもよい。例えば、熱交換領域11のいずれのビーム15にも連結されていないポート孔領域13のビーム20が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはより多くあってもよい。
【0060】
図5は、熱交換領域11の2つのビーム15に連結されているポート孔領域13の少なくとも3つのビーム20も開示している。ビーム20のこの数もまた、より大きくてもよく、またはより少なくてもよい。
【0061】
さらに、図5は、熱交換領域11の1つの同じビーム15に連結されているポート孔領域13の2つのビーム20の例も示している。
【0062】
ポート孔領域13のビーム20の各々の延在方向23は、ポート孔領域13のビーム20の端21を通り、ポート孔の中心Cを通って延びる径方向線25に対して鋭角αを形成している。
【0063】
鋭角αは、ポート孔領域13のビーム20の各々について、実質的に等しいか、または等しい。
【0064】
鋭角αは、10°より大きく、20°より大きく、30°より大きく、または40°より大きくてもよい。
【0065】
さらに、鋭角αは、80°より小さく、70°より小さく、60°より小さく、または50°より小さくてもよい。
【0066】
例えば、鋭角αは、45°またはおおよそ45°であってもよい。
【0067】
したがって、ポート孔領域13の各々のビーム20の延在方向23は円26に対して正接である。円26は、ポート孔12の直径Dより小さい直径dを有している。円26はポート孔12と同心であり、つまり、円26の中心Cはポート孔12の中心を形成している。
【0068】
円26の直径dは、ポート孔12の直径Dの80%より短くてもよく、ポート孔12の直径Dの70%より短くてもよく、または、ポート孔12の直径Dの60%より短くてもよい。
【0069】
さらに、円26の直径dは、ポート孔12の直径Dの20%より長くてもよく、ポート孔12の直径Dの30%より長くてもよく、または、ポート孔12の直径Dの40%より長くてもよい。
【0070】
ポート孔領域13のビーム20は、ポート孔12の周りに等距離で設けられている。
【0071】
図5は、プレート式熱交換器1のプレートパッケージの2つの熱交換器用プレート2を示している。第1の熱交換器用プレート2のビーム15および20は実線で示されており、一方、第2の隣接する下で重なる熱交換器用プレート2のビーム15および20は点線で示されている。前述したように、第2の熱交換器用プレート2は、第1の熱交換器用プレート2に対して180°回転されている。
【0072】
第1の熱交換器用プレート2のポート孔領域13の各々のビーム20は、第2の熱交換器用プレート2のポート孔領域13のビーム20と接触区域30を形成している。図5に見られるように、接触区域30は端21から、および反対の端22から離れて、またはある距離において、ビーム20の中央部に位置付けられている。
【0073】
接触区域30は、ポート孔12の周りに等距離で設けられている。
【0074】
接触区域30は、比較的小さい大きさを有する。接触区域30は、図5および図6に見られるように、楕円の形または輪郭を有してもよい。
【0075】
接触区域30は、ポート孔12から同じ距離に位置付けられ、ポート孔12の中心から同じ距離に位置付けてもいる。
【0076】
図6は、ポート孔領域の各々のビーム20が、細長い広がりを有するが、湾曲形状または若干の湾曲形状を有することで、ビーム20の延在方向23と2回交差する点において、第1の実施形態と異なる第2の実施形態を示している。
【0077】
図6は、プレート式熱交換器1のプレートパッケージにおける互いに隣接する2つの熱交換器用プレート2を示しているが、両方の熱交換器用プレート2が実線で示されている。
【0078】
第2の実施形態は、ポート孔領域13のビーム20の反対の端22が、熱交換領域11のビーム15の端からある距離に位置付けられている点においても、第1の実施形態と異なっている。したがって、ポート孔領域13の周りで延びる環状領域27がある。図6では、環状領域27は、ポート孔領域13と熱交換領域11との間、およびポート孔領域13と縁領域との間に延在している。
【0079】
環状領域27にはビームがない。環状領域27は平坦であってよく、または実質的に平坦であってよい。
【0080】
湾曲形状のため、熱交換器用プレート2のポート孔領域13のビーム20の各々は、隣接する熱交換器用プレート2と2つの接触区域30を形成している。より具体的には、第2の実施形態では、1つの熱交換器用プレート2のポート孔領域13の各々のビーム20は、図6に見られるような隣接する熱交換器用プレート2のポート孔領域13の2つのビーム20と2つの接触区域30を形成している。
【0081】
両方の接触区域30は、それぞれのビーム20の端21からある距離に、およびそれぞれのビームの反対の端22からある距離に、位置付けられている。
【0082】
開示した実施形態が永久的に結合したプレート式熱交換器に言及しているとしても、本発明は、熱交換器用プレートが、例えば締め付けボルトを用いるといった、他の方法で結合されているプレート式熱交換器にも適用可能とできる。締め付けボルトを用いる場合、縁部14は、隣接する熱交換器用プレートの間にガスケットの配置を許容するように構成され得る。
【0083】
本発明は開示および詳述した実施形態に限定されず、請求項の範囲内において変形および改良されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 プレート式熱交換器
2 熱交換器用プレート
2a 圧力プレート
2b フレームプレート
3 第1のプレート間空間
4 第2のプレート間空間
6 第1の入口
7 第1の出口
8 第2の入口
9 第2の出口
11 熱交換領域
12 ポート孔
13 ポート孔領域
14 縁部
15 ビーム
20 ビーム
21 端
22 反対の端
23 広がり方向
24 平坦な領域
25 径方向線
26 円
27 環状領域
30 接触区域
C 中心
d 直径
D 直径
x 長手方向中心軸
α 鋭角
図1
図2
図3
図4
図5
図6