(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0013】
本発明の成形型においては、例えば、前記成形対象物落下防止ブロックが、弾性部材により前記下型キャビティ側面部材に取付けられていてもよい。
【0014】
本発明の成形型において、例えば、前記上型が、下方に凸である凸状部を有し、前記凸状部は、前記上型における前記成形対象物を吸着可能な部分の外周を囲むように配置されていてもよい。
【0015】
本発明の成形型において、例えば、前記下型側面部材が、前記成形対象物落下防止ブロックより外側に、離型フィルムを保持可能な離型フィルム保持部を有していてもよい。
【0016】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記成形対象物が、前記成形対象物落下防止ブロックと前記上型とで支持された状態で、前記減圧工程を行なってもよい。
【0017】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記成形型における前記下型側面部材が、前記成形対象物落下防止ブロックより外側に、離型フィルムを保持可能な離型フィルム保持部を有し、
さらに、前記離型フィルム保持部に離型フィルムを保持させる離型フィルム保持工程を含み、
前記離型フィルム保持部に前記離型フィルムが保持された状態で、前記減圧工程を行なってもよい。
【0018】
本発明において、樹脂成形品は、特に限定されず、例えば、単に樹脂を成形した樹脂成形品でもよいし、チップ等の部品を樹脂封止した樹脂成形品でもよい。本発明において、樹脂成形品は、例えば、電子部品等であってもよい。また、本発明において、樹脂成形品は、例えば、完成品の製品であってもよいが、未完成の半製品であってもよい。
【0019】
本発明において、「樹脂成形」又は「樹脂封止」とは、例えば、樹脂が硬化(固化)した状態であることを意味する。ただし、本発明において、「樹脂成形」又は「樹脂封止」とは、前記の意味に限定されず、例えば、前記樹脂が完全に硬化(固化)していない半硬化(半固化)状態であってもよい。前記半硬化(半固化)状態は、例えば、前記樹脂が成形型から離型可能な程度に、又は成形型とともに搬送可能な程度に硬化(固化)した状態でもよい。
【0020】
本発明において、成形前の樹脂材料及び成形後の樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。また、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を一部に含んだ複合材料であってもよい。本発明において、成形前の樹脂材料の形態としては、例えば、顆粒樹脂、流動性樹脂、シート状の樹脂、タブレット状の樹脂、粉状の樹脂等が挙げられる。本発明において、前記流動性樹脂とは、流動性を有する樹脂であれば、特に制限されず、例えば、液状樹脂、溶融樹脂等が挙げられる。本発明において、前記液状樹脂とは、例えば、室温で液体である、又は流動性を有する樹脂をいう。本発明において、前記溶融樹脂とは、例えば、溶融により、液状又は流動性を有する状態となった樹脂をいう。前記樹脂の形態は、成形型のキャビティやポット等に供給可能であれば、その他の形態でも構わない。
【0021】
また、一般に、「電子部品」は、樹脂封止する前のチップをいう場合と、チップを樹脂封止した状態をいう場合とがあるが、本発明において、単に「電子部品」という場合は、特に断らない限り、前記チップが樹脂封止された電子部品(完成品としての電子部品)をいう。本発明において、「チップ」は、樹脂封止する前のチップをいい、具体的には、例えば、IC、半導体チップ、電力制御用の半導体素子等のチップが挙げられる。本発明において、樹脂封止する前のチップは、樹脂封止後の電子部品と区別するために、便宜上「チップ」という。しかし、本発明における「チップ」は、樹脂封止する前のチップであれば、特に限定されず、チップ状でなくてもよい。
【0022】
本発明において、「フリップチップ」とは、ICチップ表面部の電極(ボンディングパット)にバンプと呼ばれる瘤状の突起電極を有するICチップ、あるいはそのようなチップ形態のことをいう。このチップを、下向きに(フェースダウン)してプリント基板などの配線部に実装させる。前記フリップチップは、例えば、ワイヤレスボンディング用のチップあるいは実装方式の一つとして用いられる。
【0023】
本発明において、前記成形対象物は、特に限定されないが、例えば、樹脂成形品の基板、支持部材等である。前記成形対象物としては、例えば、半導体チップ、チップ状電子部品、又は膜(導電性膜、絶縁性膜、半導体膜を含む)等を支持することが可能な支持部材があげられる。前記支持部材としては、より具体的には、例えば、リードフレーム、サブストレート、インターポーザ、半導体基板(シリコンウェハ等)、金属基板、ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板、および配線基板等があげられる。また、前記支持部材としては、例えば、サブストレート、樹脂基板、配線基板、L/F等のインターポーザーもあげられる。前記基板(ワーク、又はインターポーザともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、リードフレーム、配線基板、ウェハー、セラミック基板等があげられる。ただし、本発明における前記成形対象物は、これらに限定されず、任意である。また、前記成形対象物の形状は、特に限定されない。例えば、前記成形対象物の表面形状は、円形であってもよく、四角形であってもよい。また、前記成形対象物は、配線を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。また、前記成形対象物は、例えば、FO−WLP(Fan Out Wafer Level Package)またはFO−PLP(Fan Out Panel Level Package)に用いられる板状部材のキャリアを含んでいてもよい。さらに、本発明において、前記成形対象物は、その一方の面又は両面にチップ等の部材が実装されていてもよいが、実装されていなくてもよい。前記チップの実装方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディング等が挙げられる。
【0024】
本発明において、例えば、前記成形対象物の一方の面のみを樹脂成形して樹脂成形品を製造してもよいし、両面を樹脂成形して樹脂成形品を製造してもよい。また、例えば、前記成形対象物の一方の面又は両面に実装された部品(例えばチップ、フリップチップ等)を樹脂封止(樹脂成形)して樹脂成形品(例えば、電子部品等)を製造してもよい。また、本発明により製造される樹脂成形品の用途は、特に限定されないが、例えば、携帯通信端末用の高周波モジュール基板、電力制御用モジュール基板、機器制御用基板等が挙げられる。
【0025】
また、本発明において、「装着」は、「載置」又は「固定」を含む。さらに、本発明において、「載置」は「固定」を含む。
【0026】
また、本発明において、「成形型」は、特に限定されないが、例えば、金型、又はセラミック型等である。
【0027】
また、本発明において、樹脂成形品の製造方法には、例えば、圧縮成形を用いることができる。また、樹脂成形装置は、例えば、圧縮成形装置を用いることができる。
【0028】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
【実施例1】
【0029】
本実施例では、成形型及び樹脂成形装置の一例と、それを用いた樹脂成形品の製造方法の一例とについて説明する。
【0030】
図1の斜視図に、本実施例で用いる成形型の下型の構成を模式的に示す。図示のとおり、この下型200は、下型底面部材202、下型側面部材201及び成形対象物落下防止ブロック(基板落下防止ブロック)211を含む。下型側面部材201は、下型底面部材202を囲むように配置されている。そして、下型底面部材202と下型側面部材201とで囲まれる空間により、下型キャビティが形成されている。また、下型側面部材201は、下型側面部材(A)201A及び下型側面部材(B)201Bから形成されている。下型側面部材(A)201Aは、下型側面部材(B)201Bの上面に載置されている。
【0031】
成形対象物落下防止ブロック211は、下型側面部材(A)201Aにおいて、前記下型キャビティに面する端部の一部に設けられ、上下動可能である。また、下型側面部材(A)201Aの、成形対象物落下防止ブロック211が取り付けられる位置には、ボルト固定用貫通孔212及びスプリング収容孔213が設けられている。これらは、後述するように、成形対象物落下防止ブロック211をボルト及びスプリング(弾性部材)によって下型側面部材201に固定するために設けられる。なお、
図1では、下型底面部材202は円形である。しかし、本発明では、下型底面部材の形状は円形に限定されず任意であり、例えば、矩形(正方形又は長方形)等であってもよい。また、
図1の下型200では、成形対象物落下防止ブロック211は、4個あり、下型側面部材(A)201Aの円周上に等間隔に設けられている。同図では、ボルト固定用貫通孔212及びスプリング収容孔213を図示するための便宜上、4個の成形対象物落下防止ブロック211のうち2個の図示を省略している。また、本発明の成形型において、成形対象物落下防止ブロックの個数は、4個に限定されず任意である。例えば、前記成形対象物落下防止ブロックの個数は、1個でもよいし、2個以上の任意の数でもよい。前記成形対象物落下防止ブロックの個数は、成形対象物落下防止効果の観点と、樹脂成形される領域の面積を大きく確保する観点とから、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。
【0032】
また、下型側面部材(A)201Aは、その上面の、成形対象物落下防止ブロック211より外側に、離型フィルム吸着溝205を有する。離型フィルム吸着溝205は、離型フィルムを吸着して保持可能であり、下型側面部材201の離型フィルム保持部を構成する。
【0033】
図2の斜視図に、
図1の下型200において、成形対象物落下防止ブロック211及びその周囲の構成を示す。
図2(a)は型開き状態を表し、
図2(b)は型締め状態を表す。前述のとおり、成形対象物落下防止ブロック211は、上下動可能である。
図2(a)に示すとおり、型開き状態では、は、上昇しており、下型側面部材(A)201A上面から突出している。このため、後述するように、成形対象物落下防止ブロック211で成形対象物を支持することが可能で、成形対象物の落下を防止できる。一方、
図2(b)に示すとおり、型締め状態では、成形対象物落下防止ブロック211は、下降しており、下型側面部材(A)201A上面から突出せず、下型側面部材(A)201A上面と成形対象物落下防止ブロック211上面とが同一平面を形成している。ただし、成形対象物落下防止ブロック211上端の、下型キャビティ203に面する部分は、下型側面部材(A)201A上面からわずかに突出している。この部分は、後述するように、樹脂成形(樹脂封止)されない部分となる。
【0034】
図3の部分断面図に、
図1の下型200における成形対象物落下防止ブロック211の取り付け部分の構造を示す。図示のとおり、下型側面部材(B)201Bのスプリング収容孔(弾性部材収容孔)213内には、スプリング(弾性部材)217が配置されている。成形対象物落下防止ブロック211の下部には孔が設けられ、スプリング217の上部が収容されている。これにより、スプリング217は、成形対象物落下防止ブロック211と下型側面部材(B)201Bとに挟まれるように配置されている。また、成形対象物落下防止ブロック211は、ボルト固定用貫通孔212において、ボルト214、ワッシャ215及びカラー216により下型側面部材(B)201Bに取り付けられている。成形対象物落下防止ブロック211は、カラー216がボルト固定用貫通孔212内を上下動することによって上下動可能である。また、型開き時には、
図3に示すとおり、成形対象物落下防止ブロック211は、スプリング217の伸長力により上昇した状態である。この状態では、ワッシャ215がボルト固定用貫通孔212の上部に引っかかることで、成形対象物落下防止ブロック211が下型側面部材(B)201Bから外れないようになっている。
【0035】
また、
図4の部分断面斜視図に、本実施例の成形型において、下型200とともに用いられる上型100の一部の構成を示す。なお、
図4は、図示の便宜上、上型100の使用時とは上下を反転させている。図示のとおり、上型100は、上型側面部材(上型外周部材)101と上型上面部材(上型キャビティ部材)102とを含む。上型上面部材102には吸着孔106が設けられ、図示のとおり、基板(成形対象物)1を吸着孔106から吸引して吸着することができる。上型側面部材101は、上型上面部材102の周囲を囲むように配置されている。上型上面部材102と上型側面部材101との間には、隙間(クリアランス)があるとともに、段差105が形成されている。この段差により、上型上面部材102と上型側面部材101とに囲まれたキャビティ(上型キャビティ)が形成され、このキャビティ内に、前述のとおり、基板1を吸着可能である。また、上型側面部材101の下面(
図4の上面)には、下方に凸である凸状部(クランプ代)103が形成され、その下面(同図の上面)が、クランプ面となる。凸状部103は、上型100における基板(成形対象物)1を吸着可能な部分(上型上面部材102)の外周を囲むように配置されている。また、上型側面部材101の凸状部103以外の部分は、面圧逃げ部である凹み104を形成している。なお、上型側面部材101に凸状部103を設けずに、上型側面部材101の下面を、上型上面部材102の下面と同一平面となるように構成してもよく、この場合にも面圧逃げ部である凹み104を形成してもよい。
【0036】
なお、本実施例では、基板(成形対象物)1は円形であり、これに合わせて下型底面部材202及び上型上面部材102も円形としている。しかし、本発明において、成形対象物(基板等)の形状は円形に限定されず任意であり、例えば、矩形(正方形又は長方形)等であってもよい。下型底面部材202及び上型上面部材102の形状も特に限定されず、基板(成形対象物)1の形状に合わせた形状でよい。また、基板(成形対象物)1は、特に限定されず、前述のとおり、リードフレーム、サブストレート、インターポーザ、半導体基板(シリコンウェハ等)、金属基板、ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板、および配線基板等があげられる。基板1は、例えば、円形のシリコンウェハ、又は円形の金属基板、ガラス基板等であってもよい。
【0037】
図5の部分断面図に、本実施例の成形型を用いた樹脂成形品の製造方法の、減圧工程における成形型の一部の構成を示す。図示のとおり、前記減圧工程においては、成形対象物落下防止ブロック211と上型上面部材101とにより基板1端部が挟まれて固定(クランプ)された状態となる。この状態では、図示のとおり、下型側面部材(A)201Aと上型側面部材101との間に隙間が形成される。この隙間から下型キャビティ内のガスを吸引することにより、下型キャビティ内を減圧することができる。同図の構成によれば、下型キャビティ内の真空度が成形対象物吸着部(上型上面部材102の吸着孔106内部)の真空度に近づいても、成形対象物落下防止ブロック211により、基板(成形対象物)1の落下を防止することができる。
【0038】
また、
図6(a)及び(b)の部分断面図に、本実施例の成形型の、型締め状態における構成を示す。
図6(a)は、成形対象物落下防止ブロック211が設けられている部分の縦断面図である。
図6(b)は、成形対象物落下防止ブロック211が設けられていない部分の縦断面図である。
図6(a)に示すように、型締め状態では、成形対象物落下防止ブロック211は、下降しており、下型側面部材(A)201A上面から突出せず、下型側面部材(A)201A上面と成形対象物落下防止ブロック211上面とが同一平面を形成している。このとき、基板1は、
図6(a)に示すように、成形対象物落下防止ブロック211と上型上面部材(上型キャビティ部材)102とで挟まれて固定(クランプ)されている。このクランプにより、基板1と上型キャビティ部材102との間に樹脂が入り込んで発生する裏面フラッシュを抑えることができる。しかし、
図6(b)に示すように、基板1は、成形対象物落下防止ブロック211が設けられていない部分では、下型側面部材(A)201Aによってクランプされていない。したがって、この部分では、基板1の周縁部まで樹脂成形(モールド、又は樹脂封止ともいう)することができる。さらに、基板1と上型側面部材(上型外周部材)101との間に隙間(クリアランス)があるため、樹脂がこの隙間に入り込み、基板1の側面まで樹脂成形することができる。なお、本実施例では、成形対象物落下防止ブロック211が基板1に接している部分は樹脂成形されない。
【0039】
つぎに、
図7〜12の工程断面図に、本実施例の成形型及びそれを用いた樹脂成形装置の一部の構成、並びにそれらを用いた本実施例の樹脂成形品の製造方法の概要を、模式的に示す。
【0040】
まず、
図7の断面図に、本実施例の成形型1000の構成の概要を示す。成形型1000は、前述のとおり、上型100及び下型200を含む。なお、
図7〜12では、図示の便宜上、後述するように、上型100及び下型200の構造は、簡略化して示している。
【0041】
上型100は、
図7に示すとおり、また
図4でも説明したとおり、上型側面部材(上型外周部材)101と上型上面部材(上型キャビティ部材)102とを含む。上型上面部材102には吸着孔106が設けられ、後述するとおり、基板(成形対象物)1を吸着孔106から吸引して吸着することができる。上型側面部材(上型外周部材)101は、
図7に示すとおり、上型上面部材(上型キャビティ部材)102を囲むように設けられている。上型上面部材102と上型側面部材101との間には、
図7に示すとおり、また
図4でも説明したとおり、段差が形成されている。この段差により、上型上面部材102と上型側面部材101とに囲まれたキャビティ(上型キャビティ)が形成され、このキャビティ内に、後述するとおり、基板(成形対象物)1を吸着可能である。なお、
図7〜12では、図示の便宜上、上型100の構成は簡略化して示しており、
図4に示した上型側面部材101の凸状部103及び凹み104の図示は省略している。
【0042】
下型200は、
図1〜3でも説明したように、下型底面部材202、下型側面部材201及び成形対象物落下防止ブロック(基板落下防止ブロック)211を含む。下型側面部材201は、下型底面部材202を囲むように配置されている。そして、下型底面部材202と下型側面部材201とで囲まれる空間により、
図7に示すとおり、下型キャビティ203が形成されている。成形対象物落下防止ブロック211は、下型側面部材201において、下型キャビティ203に面する端部の一部に設けられている。成形対象物落下防止ブロック211と下型側面部材201との間には、スプリング(弾性部材)217が配置されている。スプリング217が伸縮可能であることにより、成形対象物落下防止ブロック211が上下動可能である。また、下型側面部材201は、その上面の、成形対象物落下防止ブロック211より外側に、離型フィルム吸着溝205を有する。離型フィルム吸着溝205は、離型フィルムを吸着して保持可能であり、下型側面部材201の離型フィルム保持部を構成する。なお、
図7〜12では、図示の便宜上、下型200の構成は簡略化して示している。すなわち、まず、下型側面部材201は、下型側面部材(A)201Aと下型側面部材(B)201Bとを分けずに一体に図示している。また、
図3に示したボルト固定用貫通孔212、スプリング収容孔213、ボルト214、ワッシャ215及びカラー216は、
図7〜12では図示を省略している。また、
図7〜12の断面図では、図示及び説明の便宜上、図の右側には成形対象物落下防止ブロック211が設けられている部分の断面を示し、図の左側には成形対象物落下防止ブロック211が設けられていない部分の断面を示している。
【0043】
なお、下型底面部材202及び下型側面部材201は、それぞれ、下型ベースプレート(基台、図示せず)の上に配置されている。
下型底面部材202は、前記下型ベースプレートの上面に直接固定されている。下型側面部材201は、前記下型ベースプレートの上面に、弾性部材(図示せず、例えばスプリング等)を介して接続されている。これにより、下型側面部材201は、前記下型ベースプレートに対して上下動可能である。
【0044】
図7の成形型及び樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法は、例えば、
図8〜12に示すようにして行なうことができる。
【0045】
まず、
図8に示すとおり、基板(成形対象物)1を、上型上面部材(上型キャビティ部材)102の吸着孔106から、吸引機構(図示せず、例えばポンプ等)により矢印V1の方向に吸引し、上型上面部材(上型キャビティ部材)102の下面に吸着する。基板1の下面(上型上面部材102に吸着させる面と反対側の面)には、チップ2が装着(固定)されている。
【0046】
一方、
図8に示すとおり、離型フィルム40上に顆粒樹脂(樹脂材料)20aが載置された状態で、下型キャビティ203内に顆粒樹脂(樹脂材料)20aを供給(載置)する(樹脂材料供給工程)。そして、離型フィルム40を、別の吸引機構(図示せず、例えばポンプ等)により、離型フィルム吸引溝205から、矢印V2の方向に(下型200の外側に向かって)吸引する。このようにして、離型フィルム吸引溝(離型フィルム保持部)205により、離型フィルム40が保持される。これにより、図示のとおり、下型キャビティ203のキャビティ面が離型フィルム40で被覆され、離型フィルム40上に顆粒樹脂(樹脂材料)20aが載置された状態となる。なお、離型フィルム40は、例えば、顆粒樹脂(樹脂材料)20aが載置された状態で、搬送機構(図示せず)等により、下型キャビティ203の位置まで搬送してもよい。また、このとき、離型フィルム40及び顆粒樹脂20aの供給に先立ち、あらかじめ、加熱機構(ヒータ、図示せず)により、下型200全体を加熱しても良い。離型フィルム40上への顆粒樹脂20aの供給方法は、特に限定されず、例えば、計量機構(図示せず)等を用いて、適切な量の顆粒樹脂20aを計量しながら離型フィルム40上に供給しても良い。
【0047】
なお、樹脂材料20aは、図では顆粒樹脂であるが、前述のとおり、これに限定されず任意である。樹脂材料20aは、例えば、粉状、粒状、シート状等の固形状の樹脂材料でもよいし、前述のとおり、液状樹脂等でもよい。また、樹脂材料20aは、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等でもよいし、熱可塑性樹脂でもよいし、さらに添加剤等を含んでいてもよい。
【0048】
また、
図8〜12では、下型キャビティ203内に離型フィルム40を供給してから、離型フィルム40で被覆された下型キャビティ203内に樹脂材料20aを供給している。しかし、これに限定されず、例えば、離型フィルム40上に樹脂材料20aを載置(供給)してから離型フィルム40と樹脂材料20aとを搬送し、下型キャビティ203を離型フィルム40で被覆してもよい。これにより、離型フィルム40で被覆された下型キャビティ203内に樹脂材料20aを供給することができる。なお、下型キャビティ203の外で離型フィルム40上に樹脂材料20aを載置する場合、例えば、樹脂材料20aがこぼれないようにするために、樹脂材料20aは、液状樹脂、シート状の樹脂等が好ましい。また、本発明は、離型フィルムを用いる例には限定されず、例えば、離型フィルムを用いなくてもよい。
【0049】
つぎに、
図9に示すとおり、加熱機構(ヒータ、図示せず)により加熱された下型200の熱で、樹脂材料20aを加熱して溶融樹脂(流動性樹脂)20bとする。
【0050】
その後、
図10に示すとおり、下型200に設けられた駆動機構(図示せず)によって下型200を矢印X1の方向に上昇させる。これにより、成形対象物落下防止ブロック211を上型に接触させる。この状態では、
図5にも示したように、成形対象物落下防止ブロック211と上型上面部材101とにより基板1端部が挟まれて固定(クランプ)された状態となる。その状態で、成形対象物落下防止ブロック211が設けられていない下型側面部材201上面と上型100との間の隙間から、下型キャビティ203内を、減圧機構(図示せず、例えば吸引ポンプ等)により減圧する(減圧工程)。
【0051】
つぎに、下型200をさらに上昇させ、上型100と下型200とを型締めする(型締め工程)。具体的には、まず、下型200全体をさらに上昇させ、下型側面部材201の、成形対象物落下防止ブロック211が設けられていない下型側面部材201上面(上端面)を上型100に接触させる。その後、さらに下型200を上昇させると、前記下型ベースプレートと下型側面部材201とを接続している弾性部材(弾性体)が収縮する。これにより、下型底面部材202が、下型側面部材201に対し相対的に押し上げられる。この工程において、基板1の下面(装着面)に装着されたチップ2と装着面とが流動性樹脂20bに浸漬される。
【0052】
そして、型締め状態で、流動性樹脂20bが固化するのに必要な時間、型締め状態を保つ。これにより、
図11に示すように、下型キャビティ203内の流動性樹脂20bが固化して硬化樹脂(封止樹脂)20となる。このようにして、下型キャビティ203を用いて基板(成形対象物)1を樹脂成形する(樹脂成形工程)。なお、流動性樹脂20bを固化させる方法は特に限定されない。例えば、流動性樹脂20bが熱硬化性樹脂の場合は、流動性樹脂20bをそのまま加熱し続けて硬化(固化)させてもよい。また、例えば、流動性樹脂20bが熱可塑性樹脂の場合は、流動性樹脂20bの加熱を停止してしばらく静置することにより固化させてもよい。
【0053】
その後、
図12に示すように、下型200全体を矢印X2の方向に下降させることで、下型200と上型100とを型開きする。これにより、基板1の一方の面が硬化樹脂(封止樹脂)20により樹脂成形された樹脂成形体(樹脂成形品)1bを下型200から取り出す。その後、上型100における矢印V1方向の吸引を解除することにより、樹脂成形品1bを上型100から取り外す。以上のようにして、樹脂成形品1bを製造することができる。樹脂成形品1bは、基板1上のチップ2が樹脂封止された電子部品である。
【0054】
なお、
図8〜12では、基板1にチップ2が装着され、チップを樹脂封止(樹脂成形)することで、電子部品である樹脂成形品1bを製造する例を示した。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、基板1の面上に装着される部材は、チップ2に限定されず、任意である。すなわち、基板1の面上には、チップ2に加え、又はこれに代えて、他の部材が装着(固定)されていてもよい。チップ2以外の他の部材としては、特に限定されず、任意であるが、例えば、ワイヤ等があげられる。また、例えば、基板(成形対象物)1の面上に他の部材が装着されておらず、単に基板1を樹脂成形して樹脂成形品としてもよい。本発明の樹脂成形品も、電子部品に限定されず、どのような樹脂成形品でもよい。
【0055】
また、
図8〜12では、あらかじめ切断した離型フィルム上に樹脂を供給してから成形型の位置まで搬送する「プリカット」方式を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明の成形型、樹脂成形装置又は樹脂成形品の製造方法においては、成形型の型キャビティ上に離型フィルムを配置(供給)した後、離型フィルムを介して前記型キャビティ上に樹脂を供給する「ロールtoロール(リールtoリール)方式」を適用してもよい。プリカット方式の場合、例えば、
図8〜12に示したように、下型側面部材に離型フィルム吸着部(離型フィルム保持部)を設けてもよい。ロールtoロール(リールtoリール)方式の場合、前記離型フィルム吸着部(離型フィルム保持部)に加え、又はそれに代えて、別の離型フィルム保持機構を用いてもよい。前記ロールtoロール(リールtoリール)方式における離型フィルム保持機構は、特に限定されず、例えば、一般的な離型フィルム保持機構と同様又はそれに準じてもよい。前記離型フィルム保持機構としては、例えば、上型と下型側面部材とで離型フィルムを挟んで保持するタイプ(例えば、特開2017−183443号公報に記載)、中間型(中間プレート)と下型側面部材とで離型フィルムを挟んで保持するタイプ(例えば、特開2017−7272号公報に記載)等があげられる。
【0056】
また、本実施例では、前記樹脂成形工程により製造された樹脂成形体1bを、そのまま樹脂成形品としている。しかし、本発明は、これに限定されず、前記樹脂成形工程により製造された樹脂成形体をさらに加工して樹脂成形品とする工程を含んでいてもよい。例えば、トランスファ成形等による成形で、樹脂成形体が不要樹脂、バリ等を含んでいる場合は、前記樹脂成形体から不要樹脂、バリ等を取り除いて樹脂成形品としてもよい。
【0057】
なお、本実施例では、圧縮成形の例を示した。しかし、前述のとおり、本発明において、樹脂成形方法は特に限定されず、例えば、圧縮成形、トランスファ成形射出成形、等の任意の成形方法でよい。
【0058】
本発明によれば、成形対象物落下防止ブロックを用いて、例えば本実施例で示したように、成形対象物を、その端部の一部のみで支持することができる。このため、例えば、前記成形対象物の樹脂成形面(樹脂封止面)において、成形対象物落下防止ブロックで支持された部分以外の全ての部分を樹脂成形(樹脂封止)することができる。これにより、前記成形対象物の樹脂成形面(樹脂封止面)のほぼ全面を樹脂成形(樹脂封止)できるため、前記成形対象物において樹脂成形される領域の面積を大きく確保することが可能である。より具体的には、例えば、本実施例で示したように、成形対象物(基板等)の側方まで樹脂成形(樹脂封止)することも可能である。
【0059】
本発明によれば、例えば、前述のとおり、下型キャビティ内を減圧する減圧工程において、上型に成形対象物が吸着された状態で、前記下型キャビティ内の真空度が成形対象物吸着部の真空度に近づいても、前記成形対象物の落下を防止できる。
【0060】
また、本発明によれば、例えば、本実施例で示したように、下型に離型フィルムを配置して樹脂成形を行うことができる。例えば、特開2014−39065号公報では、支えピンにより基板を支持した状態でキャビティ内を減圧することが記載されているが、この構成では離型フィルムを用いることができない。しかし、本発明によれば、離型フィルムを用いて樹脂成形を行なうことも可能である。ただし、本発明は、これに限定されず、前述のとおり、離型フィルムを用いずに樹脂成形してもよい。
【実施例2】
【0061】
つぎに、本発明の別の実施例について説明する。
【0062】
本実施例では、成形型及び樹脂成形装置と、それを用いた樹脂成形品の製造方法との、実施例1とは別の一例について説明する。
【0063】
本実施例では、モールド領域(樹脂成形される領域)の面積を実施例1よりもさらに大きくするため、成形対象物落下防止ブロックが成形対象物に接触する面積を実施例1よりも小さくしている。
【0064】
図13は、本実施例(実施例2)の成形型における下型200の構造を示す模式図である。
図13(a)は平面図(上面図)であり、
図13(b)は側面図である。また、
図14は、
図13と同じ下型200の斜視図である。図示のとおり、この下型200は、成形対象物落下防止ブロック(基板落下防止ブロック)211に代えて成形対象物落下防止ブロック(基板落下防止ブロック)211bを有すること以外は、実施例1の成形型200と同様である。図示のとおり、成形対象物落下防止ブロック211bは、成形対象物落下防止ブロック211よりも小さい。また、成形対象物落下防止ブロック211bの取り付け部分の構造は、成形対象物落下防止ブロック211とは異なる。具体的には、
図15を用いて説明する。
【0065】
図15(a)〜(c)は、それぞれ、
図13及び14に示した下型200の、成形対象物落下防止ブロック211bの取り付け部分の構造及び下型200の動作を示す模式図である。
図15(a)及び(b)は、それぞれ部分断面図であり、
図15(c)は、部分平面図である。
【0066】
図15(a)は、型開き状態(成形対象物落下防止ブロック211bが上昇した状態)を表す。
図15(b)は、型締め状態(成形対象物落下防止ブロック211bが下降した状態)を表す。実施例1と同様に、下型側面部材(B)201Bのスプリング収容孔(弾性部材収容孔)213内には、スプリング(弾性部材)217が配置されている。成形対象物落下防止ブロック211の下部には孔が設けられ、スプリング217の上部が収容されている。これにより、スプリング217は、成形対象物落下防止ブロック211と下型側面部材(B)201Bとに挟まれるように配置されている。また、本実施例では、ボルト固定用貫通孔212、ボルト214、ワッシャ215及びカラー216が存在しない。成形対象物落下防止ブロック211bは、
図15(a)及び(b)に示すとおり、スプリング収容孔213及びスプリング217のみによって下型側面部材201に固定されている。このように、本実施例では、成形対象物落下防止ブロックの取り付け部分の構造を、実施例1よりもさらに簡単にするために、成形対象物落下防止ブロック211bの形状を、側面視でL字形状としている。すなわち、
図15(a)及び(b)に示すとおり、成形対象物落下防止ブロック211bの形状は、下部が横方向に突出したL字形状である。そして、
図15(a)に示すように、成形対象物落下防止ブロック211bが上昇した状態では、成形対象物落下防止ブロック211b下部の前記突出部分が、下型側面部材(A)201Aに引っかかることにより、成形対象物落下防止ブロック211bが下型側面部材201から外れないようになっている。
【0067】
また、
図15(c)は、本実施例の成形型の下型200において、樹脂成形後の状態を示す部分平面図(上面図)である。同図において、図示の便宜のために、上型100及び基板1は、図示を省略している。図示のとおり、硬化樹脂(封止樹脂)20により樹脂成形(封止)されている領域の周縁部において、成形対象物落下防止ブロック211bが基板1に接している部分は樹脂成形されない。しかしながら、本実施例では、成形対象物落下防止ブロック211bの大きさが、実施例1の成形対象物落下防止ブロック211よりも小さいことで、前記樹脂成形されない領域の面積も縮小されている。また、後述するように、本実施例の変形例として、前記樹脂成形されない領域をなくすために、成形対象物落下防止ブロックに切欠き部(掘り込み部)を設けることができる。
【0068】
図16は、本実施例の成形型の下型200において、成形対象物落下防止ブロック及びその周囲の構成を示す。
図16(a)は型開き状態を表し、
図16(b)は型締め状態を表す。
図16では、変形例として、成形対象物落下防止ブロックに切欠き部(掘り込み部)を設けた例を示す。図示のとおり、この下型200は、成形対象物落下防止ブロック211bに代えて成形対象物落下防止ブロック211cを有する。成形対象物落下防止ブロック211cは、その上端の、下型キャビティ203に面する部分に、切欠き部(掘り込み部)αが設けられていること以外は、成形対象物落下防止ブロック211bと同様である。
図16(a)に示すとおり、型開き状態では、成形対象物落下防止ブロック211cは、上昇しており、下型側面部材(A)201A上面から突出している。このため、実施例1と同様に、成形対象物落下防止ブロック211cで成形対象物を支持することが可能で、成形対象物の落下を防止できる。一方、
図16(b)に示すとおり、型締め状態では、成形対象物落下防止ブロック211cは、下降しており、下型側面部材(A)201A上面から突出せず、下型側面部材(A)201A上面と成形対象物落下防止ブロック211上面とが同一平面を形成している。
図16の例では、前述のとおり、成形対象物落下防止ブロック211cに、切欠き部(掘り込み部)αが設けられている。これにより、
図16(b)に示すとおり、型締め状態で、成形対象物落下防止ブロック211cが下型側面部材(A)201A上面から突出しない。これにより、後述するとおり、樹脂成形される領域の周縁部において、樹脂成形(樹脂封止)されない部分をなくすことができる。なお、成形型200が成形対象物落下防止ブロック211cでなく成形対象物落下防止ブロック211bを有する場合は、切欠き部(掘り込み部)αが無い以外は、
図16と同様である。
【0069】
図17及び18の断面図に、本実施例の成形型1000における型締め状態を模式的に示す。より具体的には、
図17及び18は、それぞれ、成形型1000を型締めして基板1の下面を硬化樹脂(封止樹脂)20で樹脂成形した状態を示す。
図17は、成形対象物落下防止ブロックが切欠き部(掘り込み部)を有しない例であり、
図18は、成形対象物落下防止ブロックが切欠き部(掘り込み部)を有する例である。なお、
図17及び18においては、図示の簡略化のため、離型フィルム40及びチップ2は、省略している。また、
図7〜12(実施例1)と同様、
図17及び18においても、上型100及び下型200の構成を、適宜簡略化して示している。
【0070】
図17の成形型1000は、成形対象物落下防止ブロック211に代えて成形対象物落下防止ブロック211bを有すること以外は、実施例1(
図7〜12)の成形型1000と同様である。また、
図18の成形型1000は、成形対象物落下防止ブロック211に代えて成形対象物落下防止ブロック211cを有すること以外は、実施例1(
図7〜12)の成形型1000と同様である。前述のとおり、成形対象物落下防止ブロック211bは、切欠き部(掘り込み部)αを有さず、成形対象物落下防止ブロック211cは、切欠き部(掘り込み部)αを有している。
【0071】
図17に示すとおり、切欠き部(掘り込み部)αを有さない成形対象物落下防止ブロック211bの場合は、基板1の外周において、成形対象物落下防止ブロック211bと接した部分及びその付近に、樹脂成形(樹脂封止)されていない部分βができる。一方、
図18に示すとおり、切欠き部(掘り込み部)αを有する成形対象物落下防止ブロック211cの場合は、切欠き部(掘り込み部)αと基板1との間の隙間に樹脂が入り込むことができるため、基板1の外周において、樹脂成形(樹脂封止)されていない部分ができない。
【0072】
切欠き部(掘り込み部)αと基板1との間の隙間が大きいと、その隙間から基板1が落下するおそれがある。しかし、切欠き部(掘り込み部)αと基板1との間の隙間が小さく、基板1が落下するおそれが問題にならない場合は、
図18のように成形対象物落下防止ブロック211cが切欠き部(掘り込み部)αを有する形態を採用できる。
【0073】
一方、
図17のように成形対象物落下防止ブロック211bが切欠き部(掘り込み部)αを有さず、基板1と成形対象物落下防止ブロック211bとの間に隙間が無ければ、基板1が落下するおそれがない。また、本発明によれば、基板1の外周において、樹脂成形(樹脂封止)されていない部分βを、きわめて小さくすることも可能である。
図19の平面図に、その一例を示す。同図は、
図17の成形型1000により樹脂成形した樹脂成形品1bの構造を模式的に示す平面図である。図示のとおり、基板1の外周において、成形対象物落下防止ブロック211bと接した部分及びその付近に、樹脂成形(樹脂封止)されていない部分βが4箇所ある。しかし、図示のとおり、樹脂成形(樹脂封止)されていない部分βの面積は、きわめて小さい。
【実施例3】
【0074】
つぎに、本発明のさらに別の実施例について説明する。
【0075】
本実施例では、成形型及び樹脂成形装置と、それを用いた樹脂成形品の製造方法との、実施例1及び2とは別の一例について説明する。
【0076】
実施例1及び2では、主に、成形型の構成を示したが、本実施例では、樹脂成形装置全体の構成の一例を示す。ただし、本発明の樹脂成形装置の構成は、これに限定されず、任意である。また、成形型は、特に限定されないが、例えば、実施例1及び2と同様でもよい。
【0077】
図20の平面図に、本実施例の樹脂成形装置の構成を、模式的に示す。同図の樹脂成形装置は、樹脂成形品(例えば電子部品)を製造するための装置である。図示のとおり、この装置は、離型フィルム切断モジュール(離型フィルム切断機構)510、樹脂供給機構(樹脂供給モジュール)520、圧縮成形機構(圧縮成形モジュール)530、搬送機構(搬送モジュール)540及び制御部550が、同図右側から、前記順序で並んで配置されている。前記各モジュールは、それぞれ別に分かれているが、隣接するモジュールに対し、互いに着脱可能である。樹脂供給モジュール520は、後述するように、離型フィルム上に樹脂成形用の樹脂材料を供給する。
【0078】
離型フィルム切断モジュール(離型フィルム切断機構)510は、長尺の離型フィルムから円形の離型フィルムを切断して分離することができる。図示のとおり、離型フィルム切断モジュール510は、フィルム固定台載置機構511、ロール状離型フィルム512及びフィルムグリッパ513を含む。フィルム固定台載置機構511の上面には、テーブル(図示せず)が載置されている。前記テーブルは、離型フィルム40を固定するための固定台であり、「フィルム固定台」ということができる。図示のように、ロール状離型フィルム512から、離型フィルムの先端を引き出してフィルム固定台載置機構511上に載置された前記テーブルの上面を覆い、前記テーブル上で前記離型フィルムを固定することができる。フィルムグリッパ513は、ロール状離型フィルム512から引き出した前記離型フィルムの先端を、フィルム固定台載置機構511から見てロール状離型フィルム512と反対側で固定するとともに、前記離型フィルムを、ロール状離型フィルム512から引き出すことができる。フィルム固定台載置機構511上では、カッター(図示せず)により前記離型フィルムを切断し、円形の離型フィルム40とすることができる。さらに、離型フィルム切断モジュール510は、円形の離型フィルム40を切断して分離した残りの離型フィルム(廃材)を処理する廃材処理機構(図示せず)を含む。
【0079】
樹脂供給モジュール520は、樹脂吐出機構と、樹脂ローダ(樹脂搬送機構)521と、後処理機構522を含む。樹脂吐出機構は、ノズルが取り付けられたディスペンサ13を含む。なお、
図20は、平面図(上から見た図)のため、前記テーブルは、離型フィルム40に隠れて見えないので、図示していない。また、前記ノズルは、
図20では、ディスペンサ13に隠れて見えないので、図示していない。さらに、樹脂供給モジュール520は、後述するように、カメラ(センサ)、ヒータ等を含んでいてもよい。また、樹脂ローダ521と後処理機構522とは、一体化されて形成されている。樹脂ローダ521を用いて、下型の上面に吸着固定した離型フィルム40上に(樹脂収容部に)樹脂材料20a(
図20では、図示せず)を供給した状態で、離型フィルム40を係着することができる。そして、その状態で、圧縮成形モジュール530内の、後述する圧縮成形用の下型キャビティ内に、離型フィルム40上に載置した状態で樹脂材料20aを供給セットすることができる。
【0080】
圧縮成形モジュール530は、図示のとおり、成形型531を含む。成形型531は、特に限定されないが、例えば、金型であってもよい。成形型531は、上型及び下型(図示せず)を主要構成要素とし、下型キャビティ532は、図示するように、円形である。成形型531は、さらに、上型基板セット部(図示せず)と、樹脂加圧用の下型キャビティ底面部材(図示せず)とが設けられている。圧縮成形モジュール530では、樹脂封止前基板(成形前基板)に装着されたチップ(例えば半導体チップ)を、下型キャビティ内で封止樹脂(樹脂パッケージ)内に樹脂封止して樹脂封止済基板(成形済基板)を形成することができる。圧縮成形モジュール530は、例えば、圧縮成形機構を含んでも良く、成形型531は、例えば、前述のとおり、実施例1又は2の成形型1000と同様でもよい。圧縮成形モジュール530を用いた樹脂成形方法(樹脂成形品の製造方法)も特に限定されないが、例えば、実施例1又は2と同様でもよい。
【0081】
搬送機構(搬送モジュール)540は、樹脂封止前の前記チップ(樹脂封止対象物)を、基板ごと搬送すること、及び、樹脂封止後の電子部品(樹脂成形品)を搬送することができる。図示のとおり、搬送機構(搬送モジュール)540は、基板ローダ541、レール542、ロボットアーム543を含む。レール542は、搬送機構(搬送モジュール)540から突出して、圧縮成形モジュール530及び樹脂供給モジュール520の領域まで達している。基板ローダ541は、その上に基板544を載置することができる。基板544は、樹脂封止前基板(成形前基板)544aでもよいし、樹脂封止済基板(成形済基板)544bでもよい。基板ローダ541及び樹脂ローダ521(後処理機構522)は、レール542上で、樹脂供給モジュール520、圧縮成形モジュール530、及び搬送モジュール540間を移動することが可能である。また、図示のとおり、搬送モジュール540は、基板収容部を含み、樹脂封止前基板(成形前基板)544a及び樹脂封止済基板(成形済基板)544bをそれぞれ収容することが可能である。成形前基板544aには、チップ(
図20では図示せず、例えば半導体チップ)が装着されている。成形済基板544bは、前記チップが、流動性樹脂が固化した樹脂(封止樹脂)により封止され、電子部品(樹脂成形品)が形成されている。ロボットアーム543は、例えば、以下のように使用できる。すなわち、第1に、成形前基板544aの収容部から取り出した成形前基板544aを、表裏を反転させることにより、チップ装着面側を下方に向けて基板ローダ541に載置させることができる。第2に、成形済基板544bを基板ローダ541から取り出し表裏を反転させることにより、封止樹脂側を上方に向けて、成形済基板544bを成形済基板の収容部に収容することができる。
【0082】
制御部550は、離型フィルムの切断、流動性樹脂の吐出、流動性樹脂の拡大、封止前基板及び封止済基板の搬送、樹脂材料の搬送、離型フィルムの搬送、成形型の加熱、成形型の型締め及び型開きなどを制御する。言い換えれば、制御部550は、離型フィルム切断モジュール510、樹脂供給モジュール520、成形モジュール530、及び搬送モジュール540における各動作の制御を行なう。このように、本発明の樹脂成形装置は、制御部により前記各構成要素を制御し、全自動機として機能させてもよい。又は、本発明の樹脂成形装置は、制御部によらず、手動機として機能させてもよいが、制御部により前記各構成要素を制御すれば効率的である。
【0083】
制御部550が配置される位置は、
図20に示す位置に限定されず任意であり、例えば、各モジュール510、520、530、540のうちの少なくとも一つに配置することもできるし、各モジュールの外部に配置することもできる。また、制御部550は、制御対象となる動作に応じて、少なくとも一部を分離させた複数の制御部として構成することもできる。
【0084】
図20の樹脂成形装置においては、前述のとおり、基板を供給する搬送モジュール540と、離型フィルム上に樹脂材料を供給する樹脂供給モジュール520とが、圧縮成形モジュール530を挟んで相対向して配置されている。さらに、樹脂供給モジュール520の外側に、円形状の離型フィルムを形成する離型フィルム切断モジュール510が配置されている。この樹脂成形装置は、前記各モジュールが分かれて配置された、分離型の樹脂成形装置である。なお、本発明の樹脂成形装置の各モジュールの配置は、特に限定されず、
図20の配置以外でもよい。例えば、圧縮成形モジュールを、所要数、着脱可能に配置させた構成を採用することができる。また、離型フィルム切断モジュール(円形状の離型フィルム形成モジュール)、樹脂供給モジュール及び搬送モジュール(基板モジュール)を圧縮成形モジュールの一方側に寄せて配置させることができる。この場合には、離型フィルムモジュールと樹脂供給モジュールと基板モジュールとが親モジュールになり、圧縮成形モジュールが子モジュールになる(親子型)。この場合において、所要数の圧縮成形モジュールを順次並べて配置させることができる。また、離型フィルム切断モジュール、樹脂供給モジュール、及び搬送モジュール(基板モジュール)を一体化してもよい。また、離型フィルム切断モジュールと樹脂供給モジュールと搬送モジュール(基板モジュール)とを1個の成形モジュールとを一体化してもよく、それらの構成要素が一体化された全体は、樹脂成形装置(例えば、圧縮成形装置)として単独で機能する。
【0085】
また、搬送モジュール(基板モジュール)と樹脂供給モジュールとの間に複数の圧縮成形モジュールを配置する場合、及び、親モジュールに対して複数の圧縮成形モジュールを順次配置する場合には、次のように配置することが好ましい。すなわち、基板ローダと樹脂ローダと後処理機構とを含む構成要素が移動する際に使用されるレールが伸びる方向に沿って、前記各成形モジュールを並べて配置する。また、本発明の樹脂成形装置の各モジュールは、例えば、ボルト及びナット等の連結機構を使用して、又は、適宜な位置決め機構を用いて、互いに着脱可能とすることができる。また、圧縮成形モジュールに対して、他の圧縮成形モジュールを着脱可能に構成することができる。このことによって、圧縮成形モジュールを事後的に増減することができる。
【0086】
さらに、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。