特許第6876640号(P6876640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6876640CAE解析用の接触判定装置および接触判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876640
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】CAE解析用の接触判定装置および接触判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/23 20200101AFI20210517BHJP
【FI】
   G06F17/50 612H
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-23378(P2018-23378)
(22)【出願日】2018年2月13日
(65)【公開番号】特開2019-139585(P2019-139585A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】301069030
【氏名又は名称】株式会社トヨタ車体研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】大津 義郎
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−204024(JP,A)
【文献】 特開2008−261846(JP,A)
【文献】 特開平09−145493(JP,A)
【文献】 特開2015−109021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0217942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 −30/28
G06T 11/80
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて物体モデルの接触解析を行うCAE解析用の接触判定装置であって、
相対する複数の物体モデルについて、相対する物体モデルの接触条件を設定する条件設定部と、
相対する一方の物体モデルの節点と、当該節点を基準節点として他方の物体モデルに対し法線方向に投影して新たに得られる節点との間に、両節点を接続し、かつ、両物体モデルの前記節点間の相対変位量が一定値以下となった場合に接触すると判定するギャップ要素を設定するギャップ要素設定部と、
他方の物体モデルについて、新たに得られた節点を従属節点とし、かつ、当該節点の周囲に配置されている既存の複数の節点を独立節点として、新たに得られた従属節点と前記複数の独立節点を連結する複数の拘束要素を設定し、あわせて、他方の物体モデルの各独立節点について、全ての独立節点により囲まれる面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立接点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与する拘束要素設定部と、
他方の物体モデルの各独立節点の変位と、当該各独立節点に割り付けられた前記重み値から従属節点の変位を算出する変位算出部と、
算出された変位からギャップ要素が設定されている両物体モデルの節点間の相対変位量を算出し、算出された相対変位量に基づき両物体モデルの接触判定を行う接触判定処理部を備える
ことを特徴とするCAE解析用の接触判定装置
【請求項2】
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が四辺形要素から構成される場合、
前記拘束要素設定部において、
各独立節点に割り付けられる重み値が、各独立節点について、4つの独立節点により囲まれる四辺形の実要素を正方形に座標変換して得られる親要素の面積のうち、前記座標変換後の従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与されることを特徴とする請求項1記載のCAE解析用の接触判定装置
【請求項3】
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が三角形要素から構成される場合、
前記拘束要素設定部において、
各独立節点に割り付けられる重み値が、各独立節点について、3つの独立節点により囲まれる三角形の実要素の面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で囲まれる三角形の実要素の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のCAE解析用の接触判定装置
【請求項4】
コンピュータを用いて物体モデルの接触判定を行うCAE解析用の接触判定方法であって、
前記コンピュータが、
3次元形状要素からなる複数の物体モデルを読み込むステップと、
読み込まれた複数の物体モデルのうち、相対する一方の物体モデルの節点を基準節点として、当該節点から他方の物体モデルに対し法線方向に投影して新たに節点を設けるステップと、
一方の物体モデルの節点と他方の物体モデルの新たに得られた節点間に、両節点を接続し、かつ、両物体モデルの節点間の相対変位量が一定値以下となった場合に接触すると判定するギャップ要素を設定するステップと、
他方の物体モデルについて、新たに得られた節点を従属節点とし、かつ、当該節点の周囲に配置されている既存の複数の節点を独立節点として、新たに得られた従属節点と前記複数の独立節点を連結する複数の拘束要素を設定するステップと、
他方の物体モデルの各独立節点について、全ての独立節点により囲まれる面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立接点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重みとして付与するステップと、
他方の物体モデルの独立節点の変位と、当該各独立節点に割り付けられた重み値から従属節点の変位を算出するステップと、
算出された変位からギャップ要素が設定されている両物体モデルの節点間の相対変位量を算出するステップと、
算出された相対変位量に基づき両物体モデルの接触判定を行うステップを、
それぞれ実行することを特徴とするCAE解析用の接触判定方法。
【請求項5】
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が四辺形要素から構成される場合、
重み値を付与するステップが、各独立節点について、4つの独立節点により囲まれる四辺形の実要素を正方形に座標変換して得られる親要素の面積のうち、前記座標変換後の従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重みとして付与することを特徴とする請求項記載のCAE解析用の接触判定方法。
【請求項6】
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が三角形要素から構成される場合、
重み値を付与するステップが、各独立節点について、3つの独立節点により囲まれる三角形の実要素の面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で囲まれる三角形の実要素の面積が占める割合を、前記各独立節点の重みとして付与することを特徴とする請求項記載のCAE解析用の接触判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いて物体モデルの接触解析を行う際に用いる、CAE解析用の接触判定装置と接触判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品の設計段階でコンピュータを用いて、設計上の問題を事前に解析し評価するCAE(Computer Aided Engineering)解析が広く行われている(特許文献1参照)。例えば、自動車の設計においては、軽量化と低コスト化の両立を図るため、アウターパネルとインナーパネルを複合材料(例えばアルミニウムと鋼板、鋼板とFRP樹脂など)から構成する例が多い。このような複合材料の接合には樹脂接着剤が主に用いられるが、焼き付け塗装時に、材料の熱膨張の違いによって両パネル間に接触挙動(変形)が生じる場合があることから、事前に解析し評価する必要がある。また、外力の入力条件によっては両パネル間に接触変形が生じることもある。
【0003】
このような接触挙動をコンピュータ上でCAE解析するために用いるモデルとして、図7に示す接触判定モデルが知られている。
【0004】
図7に示す接触判定モデルMは、接触判定要素としてギャップ要素を用いるもので、相対する部品モデル10,20の節点間にギャップ要素(接触判定要素)Gを接続するように設定し、接触条件や付加条件付与による両部品モデル10,20の変位に伴って、ギャップ要素Gが設定された節点間の相対変位量が一定値以下となった場合には接触したものと判定し、両節点の変位を拘束するようになっており、かかる拘束状態下での接触挙動(変形、応力分布など)を再現することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−109021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図7に示す従来の接触判定モデルMは、ギャップの閉じる方向(接触判定方向)がギャップ要素Gの両端に位置する節点の位置関係により決定されることから、接触判定の精度を十分に確保するには、ギャップ要素Gの向きを両部品モデル10,20に対してできるだけ面直方向(法線方向)に設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記のような設定をモデル上で実現するためには、一方の部品モデル10の節点Aを基準とすると、図7に示すように、他方の部品モデル20の最も近い節点P1を、節点Aに対し面直方向(法線方向)位置まで移動させるための修正作業が必要であり、また、節点P1の位置の修正に伴って、節点P1の周囲にある要素(S1〜S4)の形状品質が悪化するという問題が生じる。修正作業は、設計従事者にとって非常に煩雑な作業であり、また、要素の形状品質の悪化は、計算精度(応力、剛性)の低下を招くという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、設計従事者による煩雑な作業を省略することが可能で、また、要素品質の低下を防いで計算精度の向上を図ることのできる、CAE解析用の接触判定装置と、接触判定モデルを用いた接触判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータを用いて物体モデルの接触解析を行う際に用いる、CAE解析用の接触判定装置であって、
相対する複数の物体モデルについて、相対する物体モデルの接触条件を設定する条件設定部と、
相対する一方の物体モデルの節点と、当該節点を基準節点として他方の物体モデルに対し法線方向に投影して新たに得られる節点との間に、両節点を接続し、かつ、両物体モデルの前記節点間の相対変位量が一定値以下となった場合に接触すると判定するギャップ要素を設定するギャップ要素設定部と、
他方の物体モデルについて、新たに得られた節点を従属節点とし、かつ、当該節点の周囲に配置されている既存の複数の節点を独立節点として、新たに得られた従属節点と前記複数の独立節点を連結する複数の拘束要素を設定し、あわせて、他方の物体モデルの各独立節点について、全ての独立節点により囲まれる面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立接点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与する拘束要素設定部と、
他方の物体モデルの各独立節点について、全ての独立節点により囲まれる面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立接点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与し、他方の物体モデルの各独立節点の変位と、当該各独立節点に割り付けられた前記重み値から従属節点の変位を算出する変位算出部と、
算出された変位からギャップ要素が設定されている両物体モデルの節点間の相対変位量を算出し、算出された相対変位量に基づき両物体モデルの接触判定を行う接触判定処理部を備えることを主要な特徴とする。
【0011】
本発明に係る接触判定装置は、
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が四辺形要素から構成される場合、
前記拘束要素設定部において
各独立節点に割り付けられる重み値が、各独立節点について、4つの独立節点により囲まれる四辺形の実要素を正方形に座標変換して得られる親要素の面積のうち、前記座標変換後の従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与されることを第の特徴とする。
【0012】
本発明に係る接触判定装置は、
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が三角形要素から構成される場合、
前記拘束要素設定部において、
各独立節点に割り付けられる重み値が、各独立節点について、3つの独立節点により囲まれる三角形の実要素の面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で囲まれる三角形の実要素の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与されることを第の特徴とする。
【0013】
本発明に係る接触判定方法は、コンピュータを用いて物体モデルの接触判定を行うCAE解析用の接触判定方法であって、
前記コンピュータが、
3次元形状要素からなる複数の物体モデルを読み込むステップと、
読み込まれた複数の物体モデルのうち、相対する一方の物体モデルの節点を基準節点として、当該節点から他方の物体モデルに対し法線方向に投影して新たに節点を設けるステップと、
一方の物体モデルの節点と他方の物体モデルの新たに得られた節点間に、両節点を接続し、かつ、両物体モデルの節点間の相対変位量が一定値以下となった場合に接触すると判定するギャップ要素を設定するステップと、
他方の物体モデルについて、新たに得られた節点を従属節点とし、かつ、当該節点の周囲に配置されている既存の複数の節点を独立節点として、新たに得られた従属節点と前記複数の独立節点を連結する複数の拘束要素を設定するステップと、
他方の物体モデルの各独立節点について、全ての独立節点により囲まれる面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立接点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重みとして付与するステップと、
他方の物体モデルの独立節点の変位と、当該各独立節点に割り付けられた重み値から従属節点の変位を算出するステップと、
算出された変位からギャップ要素が設定されている両物体モデルの節点間の相対変位量を算出するステップと、
算出された相対変位量に基づき両物体モデルの接触判定を行うステップを、
それぞれ実行することを主要な特徴とする。
【0014】
本発明に係る接触判定方法は、
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が四辺形要素から構成される場合、
重み値を付与するステップが、各独立節点について、4つの独立節点により囲まれる四辺形の実要素を正方形に座標変換して得られる親要素の面積のうち、前記座標変換後の従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で規定される領域の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与することを第2の特徴とする。
【0015】
本発明に係る接触判定方法は、
両物体モデルがシェル要素またはソリッド要素からなり、各要素が三角形要素から構成される場合、
重み値を付与するステップが、各独立節点について、3つの独立節点により囲まれる三角形の実要素の面積のうち、従属節点の変位前の座標位置と前記各独立節点以外の独立節点で囲まれる三角形の実要素の面積が占める割合を、前記各独立節点の重み値として付与することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、CAE解析用の接触判定モデルにギャップ要素を設定するにあたり、ギャップ要素を設定する節点の位置の移動や、節点の移動に伴う三次元形状要素の形状の修正作業を全く不要とし、これによって、工数削減と設計従事者の負担軽減を図ることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によれば、接触解析にあたり、要素品質の悪化を防いで計算精度の向上を図り、もって設計作業の効率性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るCAE解析用の接触判定モデルを示す説明図、
図2図1の接触判定モデルが適用される2つの部品モデルを示す斜視図、
図3】部品モデルが四辺形要素のシェル要素からなる場合の、重み値を算出するための説明に用いる図、
図4】部品モデルが三角形要素のシェル要素からなる場合の、重み値を算出するための説明に用いる図、
図5】本発明に係る接触判定装置の構成を示す図、
図6】本発明に係る接触判定方法の実行手順を示すフロー図、
図7】従来の接触判定モデルを示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るCAE解析用の接触判定モデルの一例を示している。
【0020】
まず、本発明の接触判定モデルが適用される物品モデルについて説明すると、図2は車両のボディ構成用の部品モデル10,20を示している。同図に示すように、部品モデル10,20はいずれも、頂点と稜線からなる薄いパネル形状の6面体であって、それぞれの面が、円Bに示すように、メッシュ状に分割された多数のシェル要素Eから構成されている。シェル要素は四辺形要素または三角形要素(図2の例は四辺形要素)からなり、各要素の頂部および中間点には節点が設けられ、各節点の座標(X,Y,Z)には変位ベクトル(dx,dy,dz)が付与されるようになっている。なお、部品モデル10,20は四辺形要素または三角形要素からなる多数のソリッド要素から構成されてもよい。
【0021】
図1に示す接触判定モデルMは、上側の部品モデル10における下面の任意に選択された節点Aと、節点Aを基準節点として下側の部品モデル20における上面に新たに設けられた節点P0の間に、接触判定用のギャップ要素Gが設定されている。節点P0は、部品モデル10における下面の前記節点Aを基準節点として、同節点Aから部品モデル20に対し法線方向に投影して上面の面直上に新たに設定されるようになっている。
【0022】
ギャップ要素Gは、上記部品モデル10,20の接近動作に伴い、部品モデル10側の節点Aと部品モデル20側の節点P0間の相対変位量が一定値以下となった場合、接触すると判定するもので、接触すると判定されると、両節点A、P0の変位をそれぞれ拘束するようになっている。
【0023】
ギャップ要素Gが設定された下側の部品モデル20の節点P0と、同じ面上で節点P0の周囲の4つの節点P1〜P4は、節点P0を従属節点とし、かつ、各節点P1〜P4を独立節点とする重み値付きの拘束要素K1〜K4を介してそれぞれ連結されている。なお、拘束されるのは節点(従属節点)節点P0と節点(独立節点)P1〜P4間の相対変位であり、節点P1〜P4相互間の相対変位は互いに拘束されない。
【0024】
上記拘束要素K1〜K4は、各節点P1〜P4に重み値(W1〜W4)を付けて、各節点P1〜P4の変位と、各節点P1〜P4の重み値(W1〜W4)から、従属節点となる節点P0の変位を算出するためのもので、従属節点P0の変位は、以下の計算式(1)により求められる。
【0025】
【0026】
また、上記拘束要素K1〜K4において、各節点P1〜P4の重み値W1〜W4は、各節点P1〜P4により囲まれるシェル要素(S1〜S4)の合計面積に対する、従属節点となる節点P0を基準とする割合(面積比)として付与される。
【0027】
シェル要素が四辺形要素から構成される場合、図3に示す四辺形の実要素において、まず、節点P0から四辺のうち相対する二つの辺に向けて各辺を分割する割合が二つの辺で互いに同じになるように(図3の実要素で上下の辺がそれぞれa:bの割合、左右の辺がそれぞれc:dの割合で分割されるように)、節点P0で交差する分割線L1,L2と各辺に分割点C1〜C4が設定される。
【0028】
次に、これを矢印のように座標変換して得られる正方形の親要素において、相対する二つの辺の分割割合が実要素の対応する二つの辺の前記分割割合と同じになるように(図3の親要素で上下の辺がそれぞれa:bの割合、左右の辺がそれぞれc:dの割合で分割されるように)、座標変換後の節点P0’で交差する分割線L1’,L2’と各辺に分割点C1’〜C4’が設定される。そして、各節点P1〜P4の重み値W1〜W4は、以下の計算式(2)により求められる。
【0029】
【0030】
シェル要素が三角形要素から構成される場合、図4に示す三角形の実要素において、各節点P1〜P3の重み値は、節点P0から各節点P1〜P3に分割線L1〜L3が設定され、分割線L1〜L3で得られる実要素の面積に対する割合(面積比)として付与される。すなわち、各節点P1〜P3の重み値W1〜W3は、以下の計算式(3)により求められる。
【0031】
【0032】
図5は、上記接触判定モデルMを実現するための接触判定装置Sを示している。接触判定装置Sは、装置本体(コンピュータ)100と、入力装置200と、出力装置300を備え、装置本体100がデータベース400と通信回線101により接続されている。装置本体100は、条件設定部110と、モデル読み込み部120と、ギャップ要素設定部130と、拘束要素設定部140と、変位算出部150と、接触判定処理部160と、記憶部170と、出力部180と、制御部190を備えている。
【0033】
条件設定部110は、部品モデルの接触条件(ギャップ要素を設定する基準節点の選択、接触とみなす節点間の相対変位量の設定等)と付加条件(初期温度、最高温度、加熱時間、熱膨張係数等の加熱条件、荷重、応力分布等の加圧条件等)等を設定する。設定値は入力装置200からの操作により入力できる。モデル読み込み部120は、部品モデルをデータベース400から記憶部170に読み込む。
【0034】
ギャップ要素設定部130は、記憶部170に読み込まれた2つの部品モデル10,20間に1または複数のギャップ要素Gを設定する。具体的には、部品モデル10側の節点Aを基準節点とし、節点Aから部品モデル20に対し法線方向に投影して部品モデル20の上面の面直上に新たに節点P0を設定し、両節点A,P0間にギャップ要素Gを設定する。
【0035】
拘束要素設定部140は、部品モデル20において、節点P0を従属節点とし、同じ面上で節点P0の周囲の4つの節点P1〜P4を独立節点とする拘束要素K1〜K4を、節点P0と各節点P1〜P4間に連結設定し、また、上記算出式(2)により求められる重み値W1〜W4を各節点P1〜P4に付与する。
【0036】
変位算出部150は、部品モデル20において、拘束要素K1〜K4が設定された節点P1〜P4の各変位(P1(dx1,dy1,dz1)〜P4(dx4,dy4,dz4))と、上記算出式(2)により求められた重み値W1〜W4から、上記算出式(1)に従い、節点P0の変位(dx0,dy0,dz0)を算出する。また、部品モデル10の節点Aの変位と部品モデル20の節点P0の変位から両節点A,P0間の相対変位量を算出する。
【0037】
接触判定処理部160は、算出された部品モデル10,20の節点A,P0間の相対変位量の結果により、部品モデル10,20が互いに接触するか否かを判定する。また、節点A,P0間の相対変位量が設定値(一定値)以下のときは接触すると判定し、節点A,P0の各変位を拘束処理する。
【0038】
出力部180は、変位算出部150の算出結果と接触判定処理部160の判定処理に基づく解析結果を出力する。出力された結果は、例えば、部品モデル10、20の接触触直後の変位量分布を再現するものとして、また、部品モデル10、20の熱膨張による接触挙動を再現するものとして、出力装置300に出力表示させることができる。制御部190は、条件設定部110〜出力部180の実行処理を制御する。
【0039】
次に、上記接触判定装置Sを用いて、部品モデル10,20について接触判定処理を行う手順について、図6のフロー図などを参照しながら説明する。なお、以下に具体的に記述する条件や設定値は、本発明の実施の形態を説明するための一例であって、本発明はこれに限定されない。
【0040】
まず、コンピュータ操作者が、入力装置200からの操作により、プログラムを開き、解析対象の部品モデルを選択し、条件設定部110により条件(接触条件や加熱条件等)を設定する(ステップS1)。次に、入力装置200からの操作により、プログラムを実行する。プログラムが実行されると、モデル読み込み部120が、データベース400から、部品モデル10,20を記憶部170に読み込む(ステップS2)。
【0041】
次に、ギャップ要素設定部130が、部品モデル10側の節点Aを基準節点として、節点Aから部品モデル20に対し法線方向に投影して部品モデル20の上面の面直上に新たに節点P0を設定し、節点A,P0間にギャップ要素Gを設定する(ステップS3)。次に、拘束要素設定部140が、部品モデル20において、節点P0を従属節点とし、同じ面上で節点P0の周囲の4つの節点P1〜P4を独立節点とする拘束要素K1〜K4を、節点P0と各節点P1〜P4間に連結設定する(ステップS4)と共に、算出式(2)により重み値W1〜W4を算出し(ステップS5)、得られた重み値W1〜W4を節点P1〜P4に付与する(ステップS6)。
【0042】
次に、変位算出部150が、部品モデル20において、節点P1〜P4の各変位(P1(dx1,dy1,dz1)〜P4(dx4,dy4,dz4))と、算出式(2)により求められた重み値W1〜W4から、算出式(1)に従い、節点P0の変位(dx0,dy0,dz0)を算出する(ステップS7)と共に、部品モデル10の節点Aの変位と部品モデル20の節点P0の変位から、両節点A,P0間の相対変位量を算出する(ステップS8)。
【0043】
次ぎに、接触判定処理部160が、算出された部品モデル10,20の節点A,P0間の相対変位量の結果により、部品モデル10,20が互いに接触したか否かを判定する(ステップS9)。節点A,P0間の相対変位量が設定値以下でないときは接触しないと判定し、ステップS7に戻る。節点A,P0間の相対変位量が設定値以下のときは接触すると判定し(ステップS10)、節点A,P0の各変位を拘束処理する(ステップS11)。
【0044】
次ぎに、出力部180が、変位算出部150の算出結果と接触判定処理部160の判定処理に基づく結果を出力装置300に向けて出力し(ステップS12)、これにより、コンピュータ操作者は、出力装置300に表示された接触解析の結果を参照し、部品モデル10,20の接触後の変位量分布、あるいは熱膨張による接触挙動等を把握することができる。
【0045】
本実施形態の接触判定モデルMを用いることにより、コンピュータ操作者は、部品モデル10,20の節点間にギャップ要素Gを設定するにあたり、従来のように、一方の部品モデル10の節点位置に合わせて他方の部品モデル20の既存の節点を面直位置まで移動させる修正作業が全くなくなり、接触判定モデルの作成工数を大きく削減することができる。
【0046】
また、本実施形態の接触判定モデルMは、ギャップ要素Gを設定するために他方の部品モデル20側に新たに節点を設けるようにしており、他方の部品モデル20にある既存の節点を移動させる必要がなく、よって既存の節点は元の位置に独立節点として保持され、これにより、従来のような要素品質の悪化を招かず、計算精度の向上を図ることができる。
【0047】
上記実施形態において、図3に示す四辺形の実要素を座標変換して正方形の親要素を得るようにしたが、得られる親要素は正方形に限らない。長方形の場合もある。
【0048】
以上説明してきたように、本発明によると、ギャップ要素を設定するにあたり、三次元形状要素の形状を修正する作業が全くなくなって工数削減に寄与し、また、要素品質の悪化を防いで計算精度の向上を図り、もって設計作業の効率性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、コンピュータを使用して物体モデルの接触解析に用いる接触判定装置として、また、接触判定モデルを用いた接触判定方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10,20 部品モデル
100 装置本体(コンピュータ)
101 通信回線
110 条件設定部
120 モデル読み込み部
130 ギャップ要素設定部
140 拘束要素設定部
150 変位算出部
160 接触判定処理部
170 記憶部
180 出力部
190 制御部
200 入力装置
300 出力装置
A ギャップ要素が設定される一方の節点(基準節点)
P0 ギャップ要素が設定される他方の節点(従属節点)
P1〜P4 従属節点と拘束される節点(独立節点)
G ギャップ要素
K1〜K4 拘束要素
S 接触判定装置
W1〜W4 重み値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7