(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1. 観察方法
まず、本実施形態に係る観察方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る観察方法は、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において同一試料を観察するための観察方法である。
図1は、本実施形態に係る観察方法の一例を示すフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る観察方法は、試料を試料支持体の試料支持膜に載置する工程S2と、試料支持体をリテーナーに取り付ける工程S4と、リテーナーを光学顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける工程S6と、光学顕微鏡用リテーナー保持台を光学顕微鏡の試料ステージに取り付けて、試料を光学顕微鏡で観察する工程S8と、リテーナーを透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける工程S10と、透過電子顕微鏡用リテーナー保持台を電子顕微鏡に導入して、試料を透過電子顕微鏡で観察する工程S12と、を含む。
【0018】
以下、本実施形態に係る観察方法の詳細について説明する。
【0019】
1.1. 試料を試料支持体に載置する
まず、試料を試料支持体の試料支持膜に載置する。以下、本実施形態に係る観察方法で用いられる試料支持体について説明する。
【0020】
1.1.1. 試料支持体
図2は、試料支持体100を模式的に示す平面図である。
図3は、試料支持体100を模式的に示す断面図である。
【0021】
試料支持体100は、
図2および
図3に示すように、基板102と、試料支持膜104と、基準マーカー(fiducial marker)106と、識別マーカー108と、を含む。なお、
図2および
図3では、便宜上、基準マーカー106を簡略化して図示している。
【0022】
基板102は、例えば、シリコン基板である。なお、基板102として、セラミックス基板、ガラス基板、サファイア基板、合成樹脂基板などの各種の基板を用いてもよい。基板102の厚さは、例えば、100μm以上200μm以下である。基板102には、貫通穴102aが設けられている。基板102の平面形状(基板102の厚さ方向から見た形状)は、例えば、長方形である。基板102の試料支持膜104が設けられた面とは反対側の面には、貫通穴102aを設ける際のマスクとなるマスク層103が設けられている。
【0023】
試料支持膜104は、基板102によって支持されている。試料支持膜104は、例えば、窒化ケイ素(SiN)膜である。なお、試料支持膜104として、カーボン膜を用いてもよい。試料支持膜104の膜厚は、例えば、数十nm程度である。
【0024】
試料支持膜104は、透過電子顕微鏡で観察可能な薄膜領域104aを有している。薄膜領域104aは、基板102の厚さ方向から見て(すなわち電子線の入射方向から見て)、基板102と重なっていない領域、すなわち、貫通穴102aと重なる領域である。
薄膜領域104aの平面形状は、図示の例では、長方形である。薄膜領域104aの1辺の長さは、例えば、数百μm〜数mm程度である。なお、薄膜領域104aの平面形状は、特に限定されない。試料支持体100において、試料は、薄膜領域104aに配置される。
【0025】
基準マーカー106は、薄膜領域104aに設けられている。基準マーカー106は、薄膜領域104aに複数設けられている。図示の例では、基準マーカー106は、3つ設けられている。3つの基準マーカー106は、長方形の薄膜領域104aの4つの角のうちの、3つの角の近傍に配置されている。3つの基準マーカー106の中心を直線で結んで形成される図形は、例えば、直角三角形である。なお、基準マーカー106の配置は、図示の例に限定されない。基準マーカー106は、後述するように、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づけるために用いられる。
【0026】
識別マーカー108は、薄膜領域104aに設けられている。識別マーカー108は、試料支持体100を識別するために用いられる。図示はしないが、識別マーカー108は、試料支持膜104の基板102と重なる領域に設けられていてもよい。識別マーカー108は、例えば、英数字、図形、およびその組み合わせであってもよい。
【0027】
基準マーカー106および識別マーカー108の材質は、例えば、金属であり、好ましくは、貴金属である。貴金属は、可視光に対する反射率が高い。そのため、基準マーカー106および識別マーカー108を貴金属とすることによって、基準マーカー106および識別マーカー108を光学顕微鏡で確認しやすくできる。基準マーカー106および識別マーカー108は、例えば、試料支持膜104側から、クロム、金の順で積層したものであってもよい。
【0028】
図4は、基準マーカー106を模式的に示す平面図である。
【0029】
基準マーカー106は、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡の両方で観察可能である。基準マーカー106は、薄膜領域104aに設けられているため、透過電子顕微鏡で観察可能である。
【0030】
基準マーカー106は、複数の相似図形が同心状に配置された形状を含む。基準マーカー106は、
図4に示す例では、4つの円が同心状に配置された形状を有している。なお、基準マーカー106における円の数は、特に限定されない。
【0031】
ここで、光学顕微鏡の観察倍率と透過電子顕微鏡の観察倍率には大きさ差がある。基準マーカー106が複数の相似図形が同心状に配置された形状を有する場合、低い観察倍率でも、高い観察倍率でも、基準マーカーの中心の位置を特定しやすい。したがって、基準マーカー106が複数の相似図形が同心状に配置された形状を含むことにより、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡の両方において、基準マーカー106の中心の位置を容易に特定できる。
【0032】
図5および
図6は、基準マーカー106の変形例を模式的に示す平面図である。
【0033】
図5に示すように、基準マーカー106は、4つの長方形が同心状に配置された形状を有していてもよい。また、
図6に示すように、複数の基準マーカー106は、互いに同じ形状を有しているが、互いに異なる向きで配置されていてもよい。これにより、複数の基準マーカー106間の識別を容易に行うことができる。なお、図示はしないが、複数の基準マーカー106を互いに異なる形状にして、複数の基準マーカー間の識別を容易にしてもよい。
【0034】
試料支持体100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0035】
試料支持体100は、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において同一試料を観察する際に試料を支持する試料支持体であって、貫通穴102aが設けられた基板102と、基板102で支持され、窒化ケイ素膜またはカーボン膜で構成された試料支持膜104と、試料支持膜104の貫通穴102aに重なる領域(薄膜領域104a)に設けられ、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡で観察可能な基準マーカー106と、を含む。このように、試料支持体100は、基準マーカー106を含むため、後述するように、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を容易に関連づけることができる。
【0036】
試料支持体100では、基準マーカー106は、複数の相似図形を同心状に配置した形状を含む。そのため、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡の両方において、基準マーカー106の中心の位置を容易に特定できる。したがって、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を容易に関連づけることができる。
【0037】
試料支持体100では、
図2に示すように、基準マーカー106は、3つ設けられ、3つの基準マーカー106の中心を直線で結んで形成される図形は、直角三角形である。そのため、試料支持体100では、3つの基準マーカー106間の識別が容易である。したがって、座標系を構成する2つの軸を容易に特定することができ、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を容易に関連づけることができる。
【0038】
試料支持体100では、
図6に示すように、基準マーカー106は複数設けられ、複数の基準マーカー106は同じ形状を有し、互いに異なる向きで配置されている。そのため、試料支持体100では、3つの基準マーカー106間の識別が容易である。
【0039】
試料支持体100は、後述する製造方法で形成されるため、試料支持膜104の内部応力を引張りにすることができる。この結果、薄膜領域104aの面積を大きくすることができる。したがって、試料支持体100では、透過電子顕微鏡において、大きな試料を観察することができる。例えば、薄膜領域104aの一辺をミリメートルオーダーとすることにより、光学顕微鏡でも観察対象となるような、大きな試料を支持することができる。また、例えば、より多くの連続切片を薄膜領域104aに配置することができるため、より大きい領域の三次元画像を容易に生成することができる。
【0040】
1.1.2. 試料支持体の製造方法
図7は、試料支持体100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図8〜
図10は、試料支持体100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0041】
まず、
図8に示すように、基板102を準備する(S100)。
【0042】
次に、基板102の上面および下面に窒化ケイ素膜を成膜することによって、基板102の上面に試料支持膜104を形成し、基板102の下面にマスク層103を形成する(S102)。
【0043】
窒化ケイ素膜の成膜は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの物理蒸着、または、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)などで行われる。なお、窒化ケイ素膜の蒸着を、減圧化学気相蒸着(low pressure chemical vapor deposition、LP−CVD)で行うことにより、窒化ケイ素膜の内部応力を引張りにすることができる。この結果、大面積の薄膜領域104aを形成することができる。
【0044】
なお、試料支持膜104として、カーボン膜を用いる場合、カーボン膜の成膜は、例えば、真空蒸着、スパッタリングなどで行われる。
【0045】
次に、
図9に示すように、試料支持膜104上に金属膜106aを成膜する(S104)。金属膜106aの成膜は、例えば、真空蒸着やスパッタリングなどの物理蒸着で行われる。
【0046】
次に、
図10に示すように、金属膜106aをパターニングして、基準マーカー106および識別マーカー108(
図2参照)を形成する(S106)。
【0047】
例えば、図示はしないが、金属膜106a上にレジストを塗布し、当該レジストをリソグラフィーでパターニングして、マスクを形成する。リソグラフィーを、レーザー描画装置、電子線描画装置などを用いて行うことによって、基準マーカー106および識別マーカー108を精度よく形成することができる。次に、マスクを用いて、金属膜106aをエッチングする。これにより、基準マーカー106および識別マーカー108を形成することができる。
【0048】
次に、
図3に示すように、基板102を基板102の下面側からエッチングして、基板102を貫通する貫通穴102aを形成する(S108)。
【0049】
貫通穴102aは、例えば、マスク層103をパターニングし、パターニングされたマスク層103をマスクとして、基板102をエッチングすることで形成できる。基板102のエッチングは、例えば、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどを用いた、湿式の異方性エッチングで行われる。
【0050】
以上の工程により、試料支持体100を製造することができる。
【0051】
試料支持体100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0052】
試料支持体100の製造方法では、試料支持膜104を、LP−CVDで成膜して形成する。そのため、試料支持膜104の内部応力を引張りにすることができ、薄膜領域104aを大きくできる。
【0053】
図11は、試料支持膜の成膜にLP−CVDを用いた場合の試料支持体の光学顕微鏡写真である。
図12は、試料支持膜の成膜にスパッタリングを用いた場合の試料支持体の光学顕微鏡写真である。
【0054】
図12に示すように、試料支持膜の成膜にスパッタリングを用いた場合、試料支持膜の内部応力は圧縮となり、試料支持膜にしわが見られた。これに対して、LP−CVDを用いた場合、
図11に示すように、試料支持膜の内部応力は引張りとなり、試料支持膜にしわがみられなかった。このように、試料支持膜の成膜にLP−CVDを用いることにより、しわのない良好な試料支持膜を形成することができる。
【0055】
図13は、上述した試料支持膜の製造方法を用いて製造した試料支持体の光学顕微鏡写真である。
図13に示すように、上述した試料支持膜の製造方法によって、薄膜領域の面積が大きい試料支持体を製造することができた。具体的には、薄膜領域は、短辺が2mm、長辺が5mmの長方形に形成できた。また、試料支持膜の厚さは、30nmであった。このように試料支持膜を薄くすることで、透過電子顕微鏡像における試料支持膜の影響による像の劣化を低減できる。
【0056】
1.2. 試料支持体をリテーナーに取り付ける
次に、試料支持膜104上に試料が載置された試料支持体をリテーナーに取り付ける。以下、本実施形態に係る観察方法で用いられるリテーナーについて説明する。
【0057】
1.2.1. リテーナー
図14は、リテーナー200を模式的に示す斜視図である。
図15は、リテーナー200を模式的に示す上面図である。
図16は、リテーナー200を模式的に示す下面図である。
図17は、リテーナー200を模式的に示す断面図である。なお、
図17は、
図15のXVII−XVII線断面図である。なお、
図14〜
図17は、リテーナー200に試料支持体100が取り付けられた状態を図示している。
【0058】
リテーナー200は、
図15〜
図17に示すように、ホルダー210と、板ばね220と、ブロック230と、ピン240と、ねじ250と、を含んで構成されている。
【0059】
ホルダー210には、試料支持体100を保持するための溝212が設けられている。溝212は、試料支持体100の形状に応じた形状を有している。図示の例では、試料支持体100の平面形状は長方形であり、溝212の平面形状は試料支持体100の平面形状と同じ長方形である。これにより、試料支持体100とホルダー210との間の隙間を小さくでき、試料支持体100をがたつくこと無く固定することができる。溝212の底には、
図17に示すように、試料支持体100が設置される設置面214と、貫通穴216と、が設けられている。
【0060】
貫通穴216は、透過電子顕微鏡において電子線を通過させるための穴である。貫通穴216は、試料支持体100の薄膜領域104aの全体が露出するような大きさに形成されている。これにより、薄膜領域104aの全体を、透過電子顕微鏡で観察可能にできる。図示の例では、貫通穴216は、角穴であるが、その形状は特に限定されない。
【0061】
ホルダー210には、後述する透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に挿入される突出部217が設けられている。突出部217には、2つの凹部260が設けられている。2つの凹部260は、後述するように、リテーナー200を透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に固定するために用いられる。
【0062】
板ばね220は、ねじ250でブロック230に固定されている。板ばね220によって、試料支持体100をホルダー210の設置面214に押しつけて固定することができる。ホルダー210の先端には、斜めの切欠きからなる斜め形状部218が設けられている。板ばね220の先端には、斜め形状部218に引っ掛かるフック部222が設けられている。フック部222を斜め形状部218に引っかけることにより、板ばね220によって試料支持体100が固定された状態を維持できる。
【0063】
ピン240は、ブロック230の貫通穴に挿入されている。ピン240は、ホルダー210に圧入または接着により固定されている。なお、ピン240とブロック230とは固定されていない。板ばね220は、ピン240を軸としてブロック230とともに回転可能である。
【0064】
1.2.2. 試料支持体の取り付け方法
図18は、試料支持体100をリテーナー200に取り付けている様子を模式的に示す斜視図である。
【0065】
図18に示すように、ピンセットなどで板ばね220をつまみ引き上げる。次に、試料支持体100を溝212に挿入し、設置面214に試料支持体100を設置する。次に、
図14に示すように、板ばね220のフック部222をホルダー210の斜め形状部218に引っかける。これにより、板ばね220によって試料支持体100が設置面214に押しつけられて固定される。このようにして、試料支持体100をリテーナー200に取り付けることができる。
【0066】
1.3. リテーナーを光学顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける
次に、試料が載置された試料支持体100が取り付けられたリテーナー200を、光学顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける。以下、本実施形態に係る観察方法で用いられる光学顕微鏡用リテーナー保持台について説明する。
【0067】
1.3.1. 光学顕微鏡用リテーナー保持台
図19は、光学顕微鏡用リテーナー保持台300(以下、単に「保持台300」ともいう)を模式的に示す上面図である。
図20は、保持台300を模式的に示す下面図である。
図21は、保持台300を模式的に示す断面図である。なお、
図21は、
図19のXXI−XXI線断面図である。
【0068】
保持台300は、
図19〜
図21に示すように、板状の部材である。保持台300は、光学顕微鏡の試料ステージに取り付け可能に構成されている。なお、保持台300は、光学顕微鏡の試料ステージに直接取り付け可能であってもよいし、不図示のホルダーを介して試料ステージに取り付け可能であってもよい。
【0069】
保持台300は、光学顕微鏡用のスライドガラスと同様の外形形状を有している。これにより、保持台300を、光学顕微鏡の試料ステージに、スライドガラスと同様に容易に取り付けることができる。なお、保持台300の形状はこれに限定されず、光学顕微鏡の試料ステージに取り付け可能であればよい。
【0070】
保持台300は、上面302と、下面304と、を有している。
【0071】
保持台300の上面302には、
図19に示すように、リテーナー200を設置するための溝310が設けられている。溝310によって、リテーナー200をがたつくこと無く固定することができる。溝310の底には、リテーナー200が設置される設置面320と、貫通穴330と、が設けられている。
【0072】
貫通穴330は、光学顕微鏡の対物レンズとの干渉を防ぐための第1部分332と、リテーナー200のフック部222との干渉を防ぐための第2部分334と、リテーナー200のブロック230との干渉を防ぐための第3部分336と、を有している。このように、貫通穴330に、第1部分332、第2部分334、および第3部分336を設けることにより、リテーナー200を、板ばね220側(表面側)が設置面320側に位置するように設置したり、ホルダー210側(裏面側)が設置面320側に位置するように設置したりすることができる。
【0073】
保持台300の下面304には、
図20に示すように、光学顕微鏡の対物レンズとの干渉を防ぐための凹部340が設けられている。凹部340と溝310とは、貫通穴330で連通している。
【0074】
保持台300は、リテーナー200の表面側および裏面側の両方を設置可能な設置面320を有している。ここで、光学顕微鏡として、試料の上方から観察する正立顕微鏡と、試料の下方から観察する倒立顕微鏡と、が知られている。光学顕微鏡で試料を観察する際には、対物レンズを試料に近づけなくてはならない。保持台300では、設置面320をリテーナー200の表面側および裏面側の両方を設置可能であるため、正立顕微鏡および
倒立顕微鏡の両方において、試料を対物レンズに近づけることができる。
【0075】
1.3.2. リテーナーを光学顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける方法
図22は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す上面図である。
図23は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す下面図である。
図24は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す断面図である。なお、
図24は、
図22のXXIV−XXIV線断面図である。
【0076】
図22〜
図24は、正立顕微鏡2で試料を観察する場合を図示している。なお、
図24には、正立顕微鏡2の対物レンズの移動範囲を破線で示している。
【0077】
図22〜
図24に示すように、正立顕微鏡2で試料を観察する場合、リテーナー200の板ばね220側が設置面320側に位置するように、リテーナー200が保持台300に設置される。このとき、
図24に示すように、リテーナー200のフック部222は、正立顕微鏡2の対物レンズと干渉しない位置に配置される。リテーナー200の板ばね220側が設置面320側に位置するようにリテーナー200が保持台300に設置されることによって、リテーナー200に保持された試料支持体100が正立顕微鏡2の対物レンズ側に配置される。したがって、正立顕微鏡2の対物レンズと試料支持体100との間の距離を小さくできる。
【0078】
図25は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す上面図である。
図26は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す下面図である。
図27は、保持台300にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す断面図である。なお、
図27は、
図25のXXVII−XXVII線断面図である。
【0079】
図25〜
図27は、倒立顕微鏡4で試料を観察する場合を図示している。なお、
図27には、倒立顕微鏡4の対物レンズの移動範囲を破線で示している。
【0080】
図25〜
図27に示すように、倒立顕微鏡4で試料を観察する場合、リテーナー200のホルダー210側が設置面320側に位置するように、リテーナー200が保持台300に設置される。このとき、リテーナー200のフック部222は、倒立顕微鏡4の対物レンズと干渉しないように、貫通穴330の第2部分334に配置される。リテーナー200のホルダー210側が設置面320側に位置するようにリテーナー200が保持台300に設置されることによって、リテーナー200に保持された試料支持体100が倒立顕微鏡4の対物レンズ側に配置される。したがって、倒立顕微鏡4の対物レンズと試料支持体100との間の距離を小さくできる。
【0081】
また、保持台300の下面304には、凹部340が設けられている。そのため、倒立顕微鏡4の対物レンズを試料支持体100に、より近づけることができる。このように、保持台300に凹部340を設けることにより、倒立顕微鏡4の対物レンズと試料支持体100との間の距離を、正立顕微鏡2の対物レンズと試料支持体100との間の距離と同程度まで、小さくできる。
【0082】
1.4. 試料を光学顕微鏡で観察する
次に、保持台300を光学顕微鏡の試料ステージに取り付けて、試料を光学顕微鏡で観察する。観察に用いる光学顕微鏡が正立顕微鏡2の場合、
図24に示すように、板ばね220側が設置面320側に位置するように、リテーナー200が保持台300に設置された状態で、試料の観察を行う。また、観察に用いる光学顕微鏡が倒立顕微鏡4の場合、
図27に示すように、ホルダー210側が設置面320側に位置するように、リテーナー200が保持台300に設置された状態で、試料の観察を行う。
【0083】
光学顕微鏡で試料の観察を行う際には、基準マーカー106の位置座標の情報もあわせて取得する。
【0084】
1.5. リテーナーを透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける
次に、試料が載置された試料支持体100が取り付けられたリテーナー200を、透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける。以下、本実施形態に係る観察方法で用いられる透過電子顕微鏡用リテーナー保持台について説明する。
【0085】
1.5.1. 透過電子顕微鏡用リテーナー保持台
図28は、透過電子顕微鏡用リテーナー保持台400(以下、単に「保持台400」ともいう)を模式的に示す平面図である。
図29は、保持台400を模式的に示す断面図である。なお、
図28では、便宜上、透過電子顕微鏡用の試料ホルダー510の先端部のみを図示している。また、
図29は、
図28のXXIX−XXIX線断面図である。
【0086】
保持台400は、
図28に示すように、透過電子顕微鏡用の試料ホルダー510の先端部に設けられている。保持台400は、
図28および
図29に示すように、ホルダー410と、板ばね420と、ねじ430と、2つの球440と、を含んで構成されている。
【0087】
ホルダー410は、試料ホルダー510の先端に固定されている。ホルダー410には、
図29に示すように、リテーナー200の突出部217(
図14等参照)が挿入される溝412が設けられている。また、ホルダー410には、球440を保持するための穴414が設けられている。穴414は、2つ設けられており、2つの穴414は、溝412を挟んで設けられている。板ばね420は、リテーナー200の突出部217が溝412に挿入された場合に、球440をリテーナー200に押し当てるための力を付与する。球440がリテーナー200の凹部260に嵌め込まれ、板ばね420によって凹部260を規定する面に押し当てられることにより、リテーナー200は保持台400に固定される。
【0088】
ねじ430は、板ばね420をホルダー410に固定するために用いられる。ねじ430を締め込むことにより、板ばね420がホルダー410に固定される。
【0089】
1.5.2. リテーナーを透過電子顕微鏡用リテーナー保持台に取り付ける方法
図30は、保持台400にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す平面図である。
図31は、保持台400にリテーナー200を取り付けた状態を模式的に示す断面図である。なお、
図31は、
図30のXXXI−XXXI線断面図である。
【0090】
まず、リテーナー200の突出部217を、保持台400の溝412に挿入する。このとき、球440は突出部217上に持ち上がり、突出部217の挿入とともに転がる。そして、リテーナー200の突出部217が、保持台400の突き当て面416に突き当たるまで挿入されると、
図31に示すように、球440は、リテーナー200の凹部260に嵌め込まれ、板ばね420によって凹部260を規定する面に押し当てられる。これにより、リテーナー200は、保持台400に固定される。以上の工程により、保持台400にリテーナー200を取り付けることができる。
【0091】
1.6. 試料を透過電子顕微鏡で観察する
次に、リテーナー200が取り付けられた保持台400を、透過電子顕微鏡に導入して、試料を透過電子顕微鏡で観察する。透過電子顕微鏡で試料の観察を行う際には、基準マーカー106の位置座標の情報もあわせて取得する。本実施形態に係る観察方法で用いられる透過電子顕微鏡の詳細については後述する。
【0092】
以上の工程により、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において、同一試料を観察することができる。
【0093】
なお、上記の実施形態では、光学顕微鏡で試料の観察を行った後に、透過電子顕微鏡で試料の観察を行う場合について説明したが、透過電子顕微鏡で試料の観察を行った後に、光学顕微鏡で試料の観察を行ってもよい。また、光学顕微鏡での観察と透過電子顕微鏡での観察を繰り返し行ってもよい。
【0094】
1.7. 特徴
本実施形態に係る観察方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0095】
本実施形態に係る観察方法は、試料を試料支持体100の試料支持膜104に載置することと、試料支持体100をリテーナー200に取り付けることと、リテーナー200を、光学顕微鏡用リテーナー保持台300に取り付けることと、光学顕微鏡用リテーナー保持台300を光学顕微鏡の試料ステージに取り付けて、試料を光学顕微鏡で観察することと、リテーナー200を、透過電子顕微鏡用リテーナー保持台400に取り付けることと、透過電子顕微鏡用リテーナー保持台400を透過電子顕微鏡500に導入して、試料を透過電子顕微鏡で観察することと、を含む。
【0096】
このように、本実施形態に係る観察方法では、リテーナー200、保持台300、および保持台400を含む試料保持具セットを用いるため、リテーナー200に試料支持体100を取り付けてしまえば、試料や試料支持体100に直接触れることなく、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡での観察が可能である。したがって、容易に、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において、同一試料を観察することができる。
【0097】
本実施形態に係る観察方法で用いられる試料保持具セットは、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において同一試料を観察する際に用いられる試料保持具セットであって、試料を支持する試料支持体100を保持するリテーナー200と、リテーナー200を保持し、光学顕微鏡の試料ステージに取り付け可能な光学顕微鏡用リテーナー保持台300と、リテーナー200を保持し、透過電子顕微鏡に導入可能な透過電子顕微鏡用リテーナー保持台400と、を含む。
【0098】
そのため、このような試料支持具セットでは、リテーナー200に試料支持体100を取り付けてしまえば、試料や試料支持体100に直接触れることなく、光学顕微鏡および透過電子顕微鏡での観察が可能である。
【0099】
試料保持具セットでは、光学顕微鏡用リテーナー保持台300には、光学顕微鏡の対物レンズとの干渉を防ぐ凹部340が設けられている。そのため、光学顕微鏡の対物レンズを試料により近づけることができる。
【0100】
試料保持具セットでは、光学顕微鏡用リテーナー保持台300は、リテーナー200が設置される設置面320を有し、設置面320は、リテーナー200の表面側および裏面側の両方を設置可能に構成されている。そのため、正立顕微鏡および倒立顕微鏡の両方において、試料を対物レンズに近づけることができる。したがって、正立顕微鏡および倒立顕微鏡の両方において、試料の観察ができる。
【0101】
2. 透過電子顕微鏡
2.1. 透過電子顕微鏡の構成
次に、本実施形態に係る透過電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。
図3
2は、透過電子顕微鏡500の構成を示す図である。
図32は、試料が、透過電子顕微鏡の鏡筒502内の試料室に導入された状態を図示している。なお、
図32には、互いに直交する2つの軸として、X軸(第1軸)およびY軸(第2軸)を図示している。
【0102】
透過電子顕微鏡500では、試料に電子線を照射して、試料を透過した電子で結像して像(TEM像)を取得することができる。透過電子顕微鏡500は、図示はしないが、電子線を放出する電子銃、電子線を集束して試料に照射する照射レンズ系、試料を透過した電子で結像する結像レンズ系、および結像レンズ系で結像された像を撮影する撮像装置を含んで構成されている。照射レンズ系および結像レンズ系は、鏡筒502内に配置されている。また、透過電子顕微鏡500は、試料上で電子線を走査するための走査コイルと、試料を透過した電子を検出する検出器と、を備えていてもよい。すなわち、透過電子顕微鏡500は、走査透過電子顕微鏡として機能し、走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を取得可能であってもよい。また、透過電子顕微鏡500は、エネルギー分散型X線分光器や波長分散型X線分光器などの分析装置を備えていてもよい。
【0103】
透過電子顕微鏡500は、
図32に示すように、第1移動機構を備えた試料ホルダー510と、第2移動機構520と、制御部530と、操作部540と、表示部550と、記憶部560と、を含んで構成されている。
【0104】
試料ホルダー510の先端には、保持台400(図示せず)を介してリテーナー200が保持されている。試料ホルダー510は、保持台400を移動させることによって、試料を移動させる第1移動機構を備えている。試料ホルダー510の詳細については後述する。
【0105】
第2移動機構520は、X移動機構522と、Y移動機構524と、を有している。X移動機構522およびY移動機構524は、試料ホルダー510を移動させることによって、試料を移動させる。透過電子顕微鏡500では、X移動機構522およびY移動機構524によって、試料を二次元的に移動させることができる。
【0106】
X移動機構522は、試料をX軸に沿って移動させる。すなわち、X移動機構522は、試料をX方向に移動させる。X移動機構522は、レバー522aと、ベアリングを含む軸部材522bと、駆動部522cと、を含んで構成されている。X移動機構522では、試料ホルダー510に接触しているレバー522aを、軸部材522bを回転中心として回転させることで、試料ホルダー510をX方向に移動させる。駆動部522cは、モーターと、送りねじと、を有し、モーターの回転によって送りねじが直線運動することによって、レバー522aを回転させる。
【0107】
Y移動機構524は、試料をY軸に沿って移動させる。すなわち、Y移動機構524は、試料をY方向に移動させる。Y移動機構524は、球面軸受け524aと、駆動部524bと、を含んで構成されている。Y移動機構524では、試料ホルダー510が挿入された球面軸受け524aを支点として、試料ホルダー510を回転させることで、試料をY方向に移動させる。駆動部524bは、モーターと、送りねじと、を有し、モーターの回転によって送りねじが直線運動することによって、試料ホルダー510を回転させる。X移動機構522のモーターおよびY移動機構524のモーターは、制御部530に接続され、制御部530によって制御される。
【0108】
操作部540は、ユーザーからの指示を信号に変換して制御部530に送る処理を行う。操作部540は、例えば、トラックボール、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどの入力機器により実現できる。ユーザーは、操作部540を介して、試料の位置座標を変更する指示を入力することができる。
【0109】
表示部550は、制御部530で生成された画像を出力する。表示部550は、例えば、LCD(liquid crystal display)などのディスプレイにより実現できる。
【0110】
記憶部560は、制御部530が各種計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータを記憶している。また、記憶部560は、制御部530のワーク領域としても用いられる。記憶部560は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。
【0111】
制御部530は、X移動機構522およびY移動機構524を制御する処理を行う。また、制御部530は、後述する試料ホルダー510の第1移動機構512(後述する
図33参照)を制御する処理を行う。また、制御部530は、試料の座標情報を表示部550に表示させる制御を行う。制御部530の機能は、各種プロセッサー(CPU(Central Processing Unit)など)でプログラムを実行することにより実現できる。なお、制御部530の機能の少なくとも一部を、ASIC(ゲートアレイ等)などの専用回路により実現してもよい。
【0112】
図33は、試料ホルダー510を模式的に示す図である。試料ホルダー510は、第1移動機構512を含んで構成されている。
【0113】
第1移動機構512は、保持台400をX方向に移動させることによって、試料をX方向に移動させる。試料ホルダー510が第1移動機構512を備えていることにより、試料の観察可能な領域を増大させることができる。
【0114】
第1移動機構512は、
図33に示すように、モーター513と、スプライン514と、を含んで構成されている。第1移動機構512は、試料ホルダー510に内蔵されたモーター513の回転を、スプライン514により直線運動に変換する。スプライン514の直線運動により、スプライン514の先端に取り付けられた保持台400が移動する。保持台400の移動によって、リテーナー200が移動する。モーター513は、制御部530に接続され、制御部530によって制御される。
【0115】
透過電子顕微鏡500は、第1移動機構512および第2移動機構520を備えているため、試料の観察可能な領域を増大させることができる。
【0116】
図34および
図35は、リテーナー200の変形例を模式的に示す平面図である。
【0117】
上述したように、透過電子顕微鏡500では、試料ホルダー510が第1移動機構512を備えるため、X方向に観察可能な領域を増大できる。そのため、
図34および
図35に示すように、X方向に長いリテーナー200を用いることができる。
図34に示す例では、X方向に数cmに及ぶ薄膜領域104aを有する試料支持体100を、リテーナー200に取り付けている。また、
図35に示す例では、X方向に複数の試料支持体100を並べて、リテーナー200に取り付けている。これにより、複数の試料を同時に透過電子顕微鏡500に導入可能である。
【0118】
2.2. 透過電子顕微鏡における試料の位置座標の特定
透過電子顕微鏡500では、制御部530は、第1移動機構512による試料の移動量、および第2移動機構520による試料の移動量に基づいて、透過電子顕微鏡における試料の位置座標を特定する。制御部530は、例えば、以下で説明する第1の手法および第2の手法の少なくとも一方を用いて、試料の位置座標を特定する。以下、制御部530における試料の位置座標を特定する手法について説明する。
【0119】
2.2.1. 第1の手法
図36は、第1移動機構512および第2移動機構520の動作を説明するための図である。なお、以下では、便宜上、
図34に示すリテーナー200を用いた場合について説明する。
【0120】
図36に示すように、透過電子顕微鏡500では、第1移動機構512の動作によって、X方向に観察可能な領域を広げることができる。なお、第1移動機構512の動作によって、Y方向の観察可能な領域は変わらない。
図36に示す例では、第2移動機構520の動作によって領域A520だけ観察可能であるが、第1移動機構512の動作によって試料はX方向に距離Lだけ移動可能となったため、観察可能な領域もX方向に距離Lだけ広がる。
【0121】
図37、
図38、および
図39は、透過電子顕微鏡500の座標系について説明するための図である。以下、第1移動機構512の座標系をX1で表し、第2移動機構520の座標系を(X2,Y2)で表し、透過電子顕微鏡500の座標系を(X,Y)で表す。
【0122】
透過電子顕微鏡500では、2つの移動機構がそれぞれ座標系を持つ。具体的には、第1移動機構512は座標系X1を持ち、第2移動機構520は座標系(X2,Y2)を持つ。透過電子顕微鏡500の座標系と光学顕微鏡の座標系を関連づけるためには、透過電子顕微鏡500の試料の位置座標は、1つの座標系で表されることが好ましい。透過電子顕微鏡500では、第1移動機構512の座標系X1における試料の位置座標と、第2移動機構520の座標系(X2,Y2)における試料の位置座標と、を加算した形で表される座標系(X,Y)=(X1+X2,Y2)を用いて、試料の位置座標を表す。以下、
図37および
図38に示す例を用いて説明する。
【0123】
図37に示す試料の位置Paは、座標X1=0、座標(X2,Y2)=(0,0)であるものとする。すなわち、位置Paを透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)の原点とする。また、
図38に示す試料の位置Pbは、座標X1=+6000μm、座標(X2,Y2)=(0,0)であるものとする。
【0124】
ここで、第2移動機構520により試料が移動可能な範囲を±1000μmとする。このとき、
図39に示すように、位置Paでは、第2移動機構520の動作によって、座標Xは−1000μm〜+1000μmの値をとる。また、位置Pbでは、第2移動機構520の動作によって、座標Xは+5000μm〜+7000μmの値をとる。
【0125】
このように、透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)における位置座標は、第2移動機構520の座標系(X2,Y2)における位置座標と、第1移動機構512の座標系X1における位置座標と、を加算した形で表すことができる。
【0126】
なお、上記では、位置Paの座標を透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)の原点としたが、透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)の原点は任意の位置に設定できる。
【0127】
図40は、
図38に示す位置Pbを、透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)の原点にした場合を説明するための図である。
【0128】
図40に示す例では、
図38に示す位置Pbを透過電子顕微鏡500の座標系(X,Y)の原点に設定した例では、第2移動機構520の動作によって、座標Xは−1000μm〜+1000μmの値をとる。また、
図37に示す位置Paでは、第2移動機構520の動作によって、座標Xは−7000μm〜−5000μmの値をとる。
【0129】
透過電子顕微鏡500では、第1移動機構512による試料の移動量を、
図39および
図40に示すように、第2移動機構520による試料の移動可能範囲よりも大きく設定することができる。この場合、第1移動機構512を動作させて試料を移動させでも、移動前の第2移動機構520による試料の移動可能範囲と、移動後の第2移動機構520による試料の移動可能範囲とは重ならない。したがって、第2移動機構520の座標系(X2,Y2)と第1移動機構512の座標系X1とを加算することで、一義的に試料の位置座標を特定できる。
【0130】
しかしながら、上記のように、第1移動機構512による試料の移動量を、第2移動機構520による試料の移動可能範囲よりも大きく設定した場合、第2移動機構520による試料の移動可能範囲よりも大きい範囲に渡る連続した画像を撮影することができない。
【0131】
そのため、透過電子顕微鏡500では、第1移動機構512による試料の移動量を、第2移動機構520による試料の移動可能範囲よりも小さく設定することもできる。このとき、第1移動機構512を動作させて試料を移動させると、移動前の第2移動機構520による試料の移動可能範囲と、移動後の第2移動機構520による試料の移動可能範囲とが重なる場合がある。以下、この場合の座標系について説明する。
【0132】
2.2.2. 第2の手法
図41は、透過電子顕微鏡の座標系を説明するための図である。なお、
図41に示す例では、第1移動機構512による試料の移動量を1600μmとする。また、第2移動機構520による試料の移動可能範囲は、±1000μmとする。
【0133】
図41に示す位置P1を、座標X1=0、座標X2=0とする。すなわち、位置P1は、座標X=0(原点)となる。このとき、第2移動機構520の動作によって、座標Xは、−1000μm〜+1000μmの値をとる。すなわち、位置P1では、座標Xの最小値X
1_min=−1000μm、座標Xの最大値X
1_max=+1000μmとなる。
【0134】
位置P1から第1移動機構512により試料を1600μm移動させた位置P2では、座標X1=+1600μm、座標X2=0となる。すなわち、位置P2では、座標X=+1600μmとなる。このとき、第2移動機構520の動作によって、座標Xは、+600μm〜+2600μmの値をとる。すなわち、位置P2では、座標Xの最小値X
2_min=+600μm、座標Xの最大値X
2_max=+2600μmとなる。
【0135】
位置P2から第1移動機構512により試料を1600μm移動させた位置P3では、座標X1=+3200μm、座標X2=0となる。すなわち、位置P3では、座標X=+3200μmとなる。このとき、第2移動機構520の動作によって、座標Xは、+2200μm〜+4200μmの値をとる。すなわち、位置P3では、座標Xの最小値X
3_min=+2200μm、座標Xの最大値X
3_max=+4200μmとなる。
【0136】
ここで、第2移動機構520を用いて位置P1から+800μm移動させた場合と、位置P2から−800μm移動させた場合では、理想的には、同じ位置P
1−2(X=+800μm)に位置する。同様に、位置P2から+800μm移動させた場合と、位置P3から−800μm移動させた場合では、理想的には、同じ位置P
2−3(X=+2400μm)に位置する。
【0137】
第1移動機構512および第2移動機構520が理想的に動作したときの座標を、下記表に示す。なお、X
0は、位置P1,P2,P3において、座標X2=0のときの座標X
を示している。また、X
−800は、X
0から第2移動機構520を用いて−800μm移動させたときの座標X2を示し、X
+800はX
0から第2移動機構520を用いて+800μm移動させたときの座標Xを示している。
【0139】
しかしながら、実際には、第1移動機構512のモーターのバックラッシュ等により、例えば、位置P1のX
+800=+800と、位置P2のX
−800=+800と、に誤差が生じる場合がある。同様に、位置P2のX
+800=+2400と、位置P3のX
−800=+2400と、に誤差が生じる場合がある。このような誤差が生じると、同じ座標Xにも関わらず視野が異なる、また、同一視野にもかかわらず座標Xが異なるといった問題が生じる。以下、この誤差の補正方法について説明する。
【0140】
2.2.3. 誤差補正方法
図42および
図43は、第1移動機構512の動作により生じる座標の誤差を説明するための図である。
図42は、位置P1から第2移動機構520の動作によって+800μm移動させて得られた画像I1であり、
図43は、位置P2から第1移動機構512の動作によって−800μm移動させて得られた画像I2である。画像I1と画像I2との比較から、位置P1を基準とすると、位置P2におけるX
0の座標が−100μmずれていることがわかる。この誤差を誤差δ
1−2=−100μmと表す。
【0141】
図44および
図45は、第1移動機構512の動作により生じる座標の誤差を説明するための図である。
図44は、位置P2から第2移動機構520の動作によって+800μm移動させて得られた画像I3であり、
図45は、位置P3から第2移動機構520の動作によって−800μm移動させて得られた画像I4である。画像I3と画像I4との比較から、位置P2を基準とすると、位置P3におけるX
0の座標が+50μmずれていることがわかる。この誤差をδ
2−3=+50μmと表す。
【0142】
表1に対して、上記の誤差δ
1−2およびδ
2−3を補正して得られた表を以下に示す。
【0144】
上記表2を用いて、試料の位置座標を特定することで、座標Xを一義的に設定することができ、同じ座標Xにも関わらず視野が異なる、また、同一視野にもかかわらず座標Xが異なるといった問題が生じない。
【0145】
誤差δは、例えば、以下の方法により測定できる。
【0146】
図42および
図43に示す画像I1と画像I2のずれ量をD
I1−I2、位置P1にお
けるX
0の座標をX
P1、画像I1を撮影する際の位置P1からの第2移動機構520による移動量をdx
1、第1移動機構512による試料の移動量(補正前)をΔ、画像I2を撮影する際の第2移動機構520による試料の移動量をdx
2とした場合、第1移動機構512による試料の移動量の誤差δ
1−2は、以下のように表される。
【0147】
X
P1+dx
1=X
P1+Δ+δ
1−2+dx
2+D
I1−I2
δ
1−2=dx
1−dx
2+Δ−D
I1−I2
上記で求められた誤差δ
1−2を補正量として、第1移動機構512による試料の移動量を補正することができる。
【0148】
透過電子顕微鏡500では、試料の位置座標を補正するための誤差補正情報(表2参照)が記憶部560に記憶されている。制御部530は、第1移動機構512および第2移動機構520の移動量の情報を取得し、前記移動量の情報から特定される試料の位置座標を、誤差補正情報で補正して、試料の位置座標を特定する。そして、制御部530は、特定された試料の位置座標を、表示部550に表示させる制御を行う。
【0149】
例えば、位置P1から第2移動機構520の動作によって+800μm移動させた場合には、座標Xを座標X=+800μmとする。また、位置P2から第2移動機構520の動作によって−800μm移動させた場合には、座標Xを座標X=+700とする。
【0150】
2.3. 移動機構の制御方法
第1移動機構512は、
図33に示すように、モーター513の回転をスプライン514により直線運動に変換しているため、バックラッシュが起こる場合がある。バックラッシュが起こると、モーター513が回転し、座標が変化しているにもかかわらず、試料が移動しない。透過電子顕微鏡500では、これを回避するために、制御部530が、試料を常に同じ方向に移動させることで目的の位置に位置するように第1移動機構512を制御してもよい。これにより、バックラッシュを低減することができ、位置再現性を高めることができる。
【0151】
制御部530は、例えば、目的の位置に試料を移動させる際には、最終的に+X方向に移動させて目的の位置に試料を移動させる。例えば、
図41に示す試料を位置P3から位置P2に移動させる場合には、試料を位置P3から位置P1に移動させた後に、位置P2に移動させる。また、例えば、試料を位置P2から位置P1に移動させる場合には、一旦、位置P1よりも−X方向に移動させた後に、位置P1に移動させる。
【0152】
2.4. 試料交換時の試料ホルダーの位置制御機能
透過電子顕微鏡500では、試料ホルダー510が透過電子顕微鏡500内に導入されていない状態でも、第1移動機構512を動作させる機構を有する。
【0153】
例えば、リテーナー200を保持台400に取り付ける際には、
図38に示すように、保持台400が露出する位置にあることが好ましい。そのため、試料ホルダー510が透過電子顕微鏡500に導入されていない状態において、上記機能を用いて、保持台400が露出する位置になるように第1移動機構512を動作させる。
【0154】
また、試料ホルダー510を透過電子顕微鏡500に導入する際には、保持台400が露出する位置のままでは、透過電子顕微鏡500の他の部材と干渉してしまう可能性がある。そのため、試料ホルダー510を透過電子顕微鏡500に導入する前に、上記機能を用いて、保持台400が露出しないように、第1移動機構512を動作させる。
【0155】
透過電子顕微鏡500において、試料ホルダー510を透過電子顕微鏡500内から排
出する際には、保持台400が露出して試料ホルダー510の全長が大きくなっていると、他の部材に干渉してしまう可能性がある。そのため、透過電子顕微鏡500では、制御部530は、ユーザーの試料ホルダー排出指示に応じて、試料ホルダー510の全長が最も短くなるように第1移動機構512を動作させる。
【0156】
2.5. 特徴
透過電子顕微鏡500は、例えば、以下の特徴を有する。
【0157】
透過電子顕微鏡500は、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において同一試料を観察する際に用いられる透過電子顕微鏡であって、試料を移動させる第1移動機構512を有する試料ホルダー510と、試料ホルダー510を移動させることで、試料を移動させる第2移動機構520と、第1移動機構512および第2移動機構520を制御する制御部530と、を含む。また、第1移動機構512は、X軸に沿って試料を移動させ、第2移動機構520は、X軸およびY軸に沿って試料を移動させる。また、制御部530は、第1移動機構512による試料の移動量、および第2移動機構520による試料の移動量に基づいて、試料の位置座標Xを特定する。
【0158】
このように、透過電子顕微鏡500では、2つの移動機構(第1移動機構512および第2移動機構520)を備えるため、試料の観察可能な領域を増大させることができる。透過電子顕微鏡500では、光学顕微鏡でも観察対象となるような比較的大きな試料を観察できるため、光学顕微鏡と透過電子顕微鏡において同一試料を観察する際に有効である。
【0159】
透過電子顕微鏡500では、第1移動機構512で試料を移動させたときの試料の位置座標の誤差を補正するための誤差補正情報(表2参照)が記憶された記憶部560を含む。また、制御部530は、第1移動機構512で試料を移動させた場合に、誤差補正情報に基づいて試料の位置座標を補正する。そのため、透過電子顕微鏡500では、試料の位置座標を正確に特定することができる。
【0160】
3. 光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づける方法
次に、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づける方法について説明する。
【0161】
図46は、本実施形態に係る観察方法の他の例を示すフローチャートである。本実施形態に係る観察方法は、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づける工程S11を含む。これにより、例えば、試料の光学顕微鏡で観察した箇所と同一箇所を、透過電子顕微鏡で観察することができる。なお、
図46に示す例では、座標系を関連づける工程S11は、試料を透過電子顕微鏡で観察する工程S12の前に行っているが、例えば、試料を透過電子顕微鏡で観察する工程S12の後に行ってもよい。
【0162】
図47は、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づける工程S11の一例を示すフローチャートである。
図48は、光学顕微鏡の座標系、共通座標系、および透過電子顕微鏡の座標系を模式的に示す図である。
図48に示す各座標系には、試料支持体100の3つの基準マーカー106(
図2参照)の位置座標が記載されている。
【0163】
光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づける工程S11は、光学顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を取得する工程S110と、光学顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を、共通座標系における複数の基準マーカー106の位置座標に一致させることによって、光学顕微鏡における座標系を共通座標系に変換する工程S112と、透過電子顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標
を取得する工程S114と、透過電子顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を、共通座標系における複数の基準マーカー106の位置座標に一致させることによって、透過電子顕微鏡における座標系を共通座標系に変換する工程S116と、を含む。
【0164】
3.1. 光学顕微鏡における複数の基準マーカーの位置座標を取得する
まず、光学顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を取得する。以下、
図48を参照しながら説明する。
【0165】
光学顕微鏡は、座標情報を取得可能な試料ステージを備えている。このような光学顕微鏡で3つの基準マーカー106をそれぞれ観察することで、光学顕微鏡の座標系における3つの基準マーカー106の位置座標を取得することができる。
【0166】
光学顕微鏡では、光学顕微鏡における3つの基準マーカー106の位置座標のデータが、装置名、対物レンズの種類、観察倍率、スケール(μm/pixel)などの情報とともに、テキストファイルとして出力される。このとき、このテキストファイルとともに、光学顕微鏡で撮影された基準マーカー106の画像が出力されてもよい。
【0167】
3.2. 光学顕微鏡の座標系を共通座標系に変換する
次に、光学顕微鏡における座標系を共通座標系に変換する。共通座標系への変換は、光学顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を、共通座標系における複数の基準マーカー106の位置座標に一致させることによって行われる。ここで、共通座標系とは、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づけるために用いられる座標系である。共通座標系では、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系とが共存できる。
【0168】
複数の基準マーカー106は、既知の間隔および既知の配置であるため、光学顕微鏡の座標系と共通座標系とは、線形変換を用いて相関させることができる。共通座標系における基準マーカーの位置座標は、実際の基準マーカー106の間隔および配置から決定される。
【0169】
例えば、
図48に示す2つの基準マーカーA
LM,B
LMを用いる場合について説明する。光学顕微鏡の座標系において、基準マーカーA
LMの位置座標がA
LM(X
alm,Y
alm)であり、基準マーカーB
LMの位置座標がB
LM(X
blm,Y
blm)であるとする。また、共通座標系において、基準マーカーAの位置座標がA(Xa,Ya)であり、基準マーカーBの位置座標がB(Xb,Yb)であるとする。
【0170】
この場合、例えば、A(Xa,Ya)とA
LM(X
alm,Y
alm)を一致させた後、回転補正を用いてB(Xb,Yb)とB
LM(X
blm,Y
blm)を一致させる。B(Xb,Yb)とB
LM(X
blm,Y
blm)とを一致させる補正式は、例えば、以下の通りである。
【0172】
3.3. 透過電子顕微鏡における複数の基準マーカーの位置座標を取得する
次に、透過電子顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を取得する。透過電子顕微鏡500で3つの基準マーカー106をそれぞれ観察することで、透過電子顕微鏡の座標系における試料の位置座標を取得することができる。透過電子顕微鏡500では
、制御部530が試料の位置座標を特定する処理を行う。
【0173】
3.4. 透過電子顕微鏡の座標系を共通座標系に変換する
次に、透過電子顕微鏡における座標系を共通座標系に変換する。共通座標系への変換は、光学顕微鏡の座標系の場合と同様に、透過電子顕微鏡における複数の基準マーカー106の位置座標を、共通座標系における複数の基準マーカー106の位置座標に一致させることによって行われる。
【0174】
例えば、
図48に示す2つの基準マーカーA
TEM,B
TEMを用いる場合について説明する。透過電子顕微鏡の座標系において、基準マーカーA
TEMの位置座標がA
TEM(X
atem,Y
atem)であり、基準マーカーB
TEMの位置座標がB
TEM(X
btem,Y
btem)であるとする。また、共通座標系において、基準マーカーAの位置座標がA(Xa,Ya)であり、基準マーカーBの位置座標がB(Xb,Yb)であるとする。
【0175】
この場合、例えば、A(Xa,Ya)とA
TEM(X
atem,Y
atem)を一致させた後、回転補正を用いてB(Xb,Yb)とB
TEM(X
btem,Y
btem)を一致させる。B(Xb,Yb)とB
TEM(X
btem,Y
bten)とを一致させる補正式は、例えば、以下の通りである。
【0177】
以上の工程により、光学顕微鏡の位置座標と透過電子顕微鏡の位置座標を関連づけることができる。
【0178】
なお、ここでは、2つの基準マーカー106の座標を一致させることで、光学顕微鏡の位置座標と透過電子顕微鏡の位置座標を関連づける場合について説明したが、3つ以上の基準マーカー106の座標を一致させてもよい。例えば、3つ以上の基準マーカー106を用いることで、試料の表裏を特定することができる。
【0179】
なお、例えば、光学顕微鏡から、座標情報が取得できない場合には、光学顕微鏡で撮影された画像を用いて、光学顕微鏡の座標系を基準座標系に変換することができる。具体的には、少なくとも2点の基準マーカー106が含まれる画像と、この画像のキャリブレーションデータ(例えば1ピクセルあたりの長さの情報(μm/pixel))と、を用いる。これにより、上述した光学顕微鏡の座標系を基準座標系に変換する工程と同様の手法で、光学顕微鏡の座標系を基準座標系に変換することができる。
【0180】
透過電子顕微鏡の場合も同様であり、透過電子顕微鏡で撮影された画像と、キャリブレーションデータと、を用いて、透過電子顕微鏡の座標系を基準座標系に変換することができる。なお、少なくとも2点の基準マーカー106が含まれる画像を取得するために、モンタージュなども利用してもよい。
【0181】
また、上記では、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を、基準座標系を介して関連づける場合について説明したが、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を直接関連づけてもよい。
【0182】
また、上記では、2つの基準マーカー106を用いる場合について説明したが、3つの
基準マーカー106を用いて、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づけてもよい。3つの基準マーカー106を用いることによって、3点の座標情報が得られるため、アフィン変換を用いることができる。アフィン変換を用いることで、光学顕微鏡で撮影された画像、透過電子顕微鏡で撮影された画像に歪みがあった場合に、この歪みを補正することができる。
【0183】
3.5. 特徴
本実施形態に係る観察方法では、上述したように、共通座標系を用いて、光学顕微鏡の座標系と透過電子顕微鏡の座標系を関連づけている。そのため、例えば、1つの光学顕微鏡の座標系と、複数の透過電子顕微鏡の座標系を関連づける場合、複数の光学顕微鏡の座標系と、複数の透過電子顕微鏡の座標系を関連づける場合に、特に有効である。
【0184】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0185】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。