特許第6876668号(P6876668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電子株式会社の特許一覧

特許6876668質量分析システム及びエミッタ電流制御方法
<>
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000002
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000003
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000004
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000005
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000006
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000007
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000008
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000009
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000010
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000011
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000012
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000013
  • 特許6876668-質量分析システム及びエミッタ電流制御方法 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876668
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】質量分析システム及びエミッタ電流制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20210517BHJP
   H01J 49/10 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G01N27/62 G
   G01N27/62 C
   G01N27/62 E
   H01J49/10
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-218622(P2018-218622)
(22)【出願日】2018年11月21日
(65)【公開番号】特開2020-85602(P2020-85602A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生方 正章
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−068678(JP,A)
【文献】 特開2002−170518(JP,A)
【文献】 特開昭56−041665(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0181796(US,A1)
【文献】 特開2012−202682(JP,A)
【文献】 特表2007−538260(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104345103(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/62
H01J 49/00−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを生成するイオン源を含む質量分析装置と、
前記イオン源のエミッタに対してエミッタ電流を供給する電源部と、
前記質量分析装置の出力信号から作成されるクロマトグラムに基づいてピーク形状についての評価値を演算する評価部と、
前記評価値に基づいて前記エミッタ電流を規定するパラメータを決定する決定部と、
前記電源部を制御する制御部であって、前記パラメータに従って前記エミッタ電流を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする質量分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の質量分析システムにおいて、
前記制御部は、互いに大きさの異なる複数の仮パラメータに従う複数のエミッタ電流が前記イオン源に順次供給されるように前記電源部を制御する試行制御部を含み、
前記試行制御部による制御により、前記複数の仮パラメータに対応する複数のクロマトグラムが作成され、
前記評価部は、前記複数のクロマトグラムに基づいて前記複数の仮パラメータに対応する複数の評価値を演算し、
前記決定部は、前記複数の評価値に基づいて前記パラメータを決定する、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の質量分析システムにおいて、
前記各クロマトグラムには、共通の仮パラメータの下で生じた複数のピークからなるピーク列が含まれ、
前記評価部は、前記各クロマトグラムに含まれるピーク列に基づいて複数の評価値からなる評価値列を演算し、
前記複数の仮パラメータに対応する複数の評価値列により評価値テーブルが構成され、
前記決定部は、前記評価値テーブルに基づいて前記パラメータの時間的変化を示すパラメータ関数を生成し、
前記制御部は、前記パラメータ関数に従って前記エミッタ電流を制御する、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項4】
請求項3記載の質量分析システムにおいて、
前記決定部は、前記評価値テーブル上において注目時間ごとにパラメータ選択条件を満たすパラメータを特定することにより、前記パラメータ関数を生成する、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の質量分析システムにおいて、
前記評価値は、前記ピーク形状の歪みの程度を示す評価値である、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項6】
請求項5記載の質量分析システムにおいて、
前記評価値は、アシンメトリー係数、シンメトリー係数又はテーリング係数である、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項7】
請求項1記載の質量分析システムにおいて、
前記質量分析装置の前段に設けられたガスクロマトグラフ装置を含み、
前記ガスクロマトグラフ装置で分離された複数の試料が前記イオン源に順次導入される、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項8】
請求項1記載の質量分析システムにおいて、
前記クロマトグラムはトータルイオンカレントクロマトグラム又はマスクロマトグラムである、
ことを特徴とする質量分析システム。
【請求項9】
電界イオン化法に従うイオン源に供給するエミッタ電流についてのパラメータを段階的に変更しながら質量分析を行うことにより、複数のクロマトグラムを作成する工程と、
前記複数のクロマトグラムに含まれる複数のピーク列に対してピーク形状評価を適用することにより、複数の評価値列からなる評価値テーブルを生成する工程と、
前記評価値テーブルに基づいて、前記パラメータの時間的な変化を示すパラメータ関数を生成する工程と、
前記パラメータ関数に従って前記エミッタ電流を制御する工程と、
を含むことを特徴とするエミッタ電流制御方法。
【請求項10】
情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置に、
電界イオン化法に従うイオン源に供給するエミッタ電流についてのパラメータを段階的に変更しながら質量分析を行うことにより、複数のクロマトグラムを作成する機能と、
前記複数のクロマトグラムに含まれる複数のピーク列に対してピーク形状評価を適用することにより、複数の評価値列からなる評価値テーブルを生成する機能と、
前記評価値テーブルに基づいて、前記パラメータの時間的な変化を示すパラメータ関数を生成する機能と、
前記パラメータ関数に従って前記エミッタ電流を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析システム及びエミッタ電流制御方法に関し、特に、イオン源に供給するエミッタ電流の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析システムは、例えば、ガスクロマトグラフ装置及び質量分析装置により構成される。ガスクロマトグラフ装置において、混合物としての測定対象試料が複数の成分つまり複数の化合物に時間的に分離される。それらの化合物が質量分析装置に順次送られ、化合物ごとに質量が分析される。これにより、化合物ごとのマススペクトルが得られ、また、クロマトグラが作成される。
【0003】
質量分析装置は、一般に、イオン源、質量分析部、及び、検出部を有する。その中で、イオン源は、そこに導入された試料をイオン化するものである。そのようなイオン源として、電界イオン化(FI:Field Ionization)法に従うイオン源が知られている。そのイオン源では、アノードとして機能するエミッタと、カソードとして機能する電極と、の間に高電圧が印加される。その高電圧により、エミッタ付近に強い電界が生成される。その電界によって試料がイオン化される。FI法は、フラグメンテーションが起こりにくいソフトなイオン化である。
【0004】
FI法に従うイオン源においては、エミッタ表面への試料(例えば有機化合物)の付着が生じる。そのような試料付着はクロマトグラにおける各ピークにテーリングを生じさせる。このため、エミッタに電流を流してエミッタを加熱し、これによってエミッタに付着した試料を揮発させ、エミッタから試料が脱離するようにしている。一方、エミッタの加熱により測定感度の低下が生じることが知られている。できるだけ加熱を行わないで、あるいは、できるだけ加熱温度を低くして、試料付着に対処することが求められる。
【0005】
特許文献1には、FI法に従うイオン源において、エミッタに対して間欠的に短時間だけ電流を流す技術、すなわち間欠的に焼き出し(flashing)を行う技術が開示されている。特許文献1には、クロマトグラに含まれる各ピークの形状を評価することまでは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−68678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FI法に従うイオン源においては、エミッタへの試料の付着、残留を防止するために、すなわち試料の脱離を促すために、エミッタに対して定常的に又は間欠的にエミッタ電流を流す必要がある。その場合、電流量が多すぎると、感度の低下のおそれが生じ、一方、電流量が少なすぎると、試料残留が生じ易くなる。試料によらずにあるいは測定状況の変化によらずに、エミッタ電流の電流量を常に一定とした場合、試料残留の防止及び感度低下の防止の両立を図ることが難しくなる。なお、FI法に従うイオン源以外の他のタイプのイオン源において上記同様の問題が生じる可能性を指摘できる。
【0008】
本発明の目的は、状況に適合したエミッタ電流条件が設定されるようにすることにある。あるいは、本発明は、時間的に分離された複数の化合物に対して質量分析を行っている過程において、エミッタ電流を動的に制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る質量分析システムは、イオンを生成するイオン源を含む質量分析装置と、前記イオン源のエミッタに対してエミッタ電流を供給する電源部と、前記質量分析装置の出力信号から作成されるクロマトグラに基づいてピーク形状についての評価値を演算する評価部と、前記評価値に基づいて前記エミッタ電流を規定するパラメータを決定する決定部と、前記電源部を制御する制御部であって、前記パラメータに従って前記エミッタ電流を制御する制御部と、を含む。
【0010】
イオン源のエミッタにおける試料の付着の有無や付着量等に応じて、クロマトグラ中のピークの形状が変化する。例えば、エミッタにおける試料の付着量が増大すると、ピークにおいてテーリングの度合いが大きくなる。上記構成は、そのような因果関係を前提として、ピーク形状についての評価値に基づいて、エミッタ電流についてのパラメータを定めるものである。パラメータはエミッタ電流を規定するエミッタ電流条件であり、その具体例として、電流値、時間幅等があげられる。
【0011】
実施形態において、質量分析装置の前段にはガスクロマトグラフ装置が設けられる。ガスクロマトグラフ装置で分離された複数の試料がイオン源に順次導入される。上記同様の因果関係が認められる限りにおいて、質量分析装置の前段に、他の試料分離装置が設けられてもよい。実施形態において、イオン源は、電界イオン化法に従うイオン源である。エミッタへの不必要な試料付着が生じ得る他のタイプのイオン源が用いられてもよい。エミッタ電流は、実施形態において、間欠的な電流パルスとしてエミッタに供給されるが、エミッタに対してエミッタ電流が常時供給される場合でも上記構成を採用し得る。
【0012】
実施形態において、前記制御部は、互いに大きさの異なる複数の仮パラメータに従う複数のエミッタ電流が前記イオン源に順次供給されるように前記電源部を制御する試行制御部を含み、前記試行制御部による制御により、前記複数の仮パラメータに対応する複数のクロマトグラが作成され、前記評価部は、前記複数のクロマトグラに基づいて前記複数の仮パラメータに対応する複数の評価値を演算し、前記決定部は、前記複数の評価値に基づいて前記パラメータを決定する。
【0013】
上記構成によれば、複数の仮パラメータを試行的に設定してみることにより、その結果から、良好なパラメータを探し出せる。試行的制御に要する時間、必要なパラメータ精度、その他の条件に応じて、仮パラメータの個数(刻み数)を定めるのが望ましい。
【0014】
実施形態において、前記各クロマトグラには、共通の仮パラメータの下で生じた複数のピークからなるピーク列が含まれ、前記評価部は、前記各クロマトグラに含まれるピーク列に基づいて複数の評価値からなる評価値列を演算し、前記複数の仮パラメータに対応する複数の評価値列により評価値テーブルが構成され、前記決定部は、前記評価値テーブルに基づいて前記パラメータの時間的変化を示すパラメータ関数を生成し、前記制御部は、前記パラメータ関数に従って前記エミッタ電流を制御する。
【0015】
上記構成によれば、時間軸上の各時刻においてエミッタ電流を最適化できる。例えば、評価値テーブルから自動的にパラメータ関数が生成されてもよいし、評価値テーブル上でのユーザー選択によりパラメータ関数が生成されてもよい。パラメータ関数は、パラメータグラフ、パラメータカーブ、パラメータパターン等に相当するものである。
【0016】
実施形態において、前記決定部は、前記評価値テーブル上において注目時間ごとにパラメータ選択条件を満たすパラメータを特定することにより、前記パラメータ関数を生成する。質量分析装置の前段にクロマトグラフ装置が接続されている場合、注目時間は保持時間に相当する。実施形態においては、ピークに対応する保持時間ごとに、所定条件を満たす評価値を生じさせたパラメータの中で、最も加熱温度を下げられるパラメータが選択される。つまり、保持時刻ごとに、試料付着の防止と感度向上を両立できるパラメータが選択される。
【0017】
実施形態において、前記評価値は、前記ピーク形状の歪みの程度を示す評価値である。例えば、前記評価値は、アシンメトリー係数、シンメトリー係数又はテーリング係数である。それらはテーリング度合いを示す係数である。実施形態において、前記クロマトグラはトータルイオンカレントクロマトグラ又はマスクロマトグラである。時間的に分離された各化合物の質量が既知の場合、望ましくは、マスクロマトグラが利用される。マスクロマトグラを利用すれば、バックグラウンドノイズの影響を受け難くなる。
【0018】
実施形態に係るエミッタ電流制御方法は、電界イオン化法に従うイオン源に供給するエミッタ電流についてのパラメータを段階的に変更しながら質量分析を行うことにより、複数のクロマトグラを作成する工程と、前記複数のクロマトグラに含まれる複数のピーク列に対してピーク形状評価を適用することにより、複数の評価値列からなる評価値テーブルを生成する工程と、前記評価値テーブルに基づいて、前記パラメータの時間的な変化を示すパラメータ関数を生成する工程と、前記パラメータ関数に従って前記エミッタ電流を制御する工程と、を含む。
【0019】
上記方法は、ハードウエアの機能として、又は、ソフトウエアの機能として実現され得る。後者の場合、当該方法を実行するプログラムが、可搬型記憶媒体又はネットワークを介して、情報処理装置にインストールされる。情報処理装置の概念には、質量分析装置、質量分析システム、パーソナルコンピュータ等が含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、状況に適合したエミッタ電流条件が設定される。あるいは、本発明によれば、時間的に分離された複数の化合物に対して質量分析を行っている過程において、エミッタ電流を動的に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る質量分析システムを示すブロック図である。
図2】電界イオン化法に従うイオン源を示す図である。
図3】焼き出し用の電流パルス列を示す図である。
図4】エミッタ電流制御部の構成例を示す図である。
図5】ピーク形状評価方法を説明するための図である。
図6】複数の電流値に対応する複数のクロマトグラを示す図である。
図7】評価値テーブルの第1例を示す図である。
図8】パラメータ関数の第1例を示す図である。
図9】パラメータ関数の適用により得られたクロマトグラを示す図である。
図10】動作例を示すフローチャートである。
図11】評価値テーブルの第2例を示す図である。
図12】パラメータ関数の第2例を示す図である。
図13】電流値及び時間幅の制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1には、実施形態に係る質量分析システムが示されている。質量分析システムは、ガスクロマトグラフ装置10及び質量分析装置12により構成される。ガスクロマトグラフ装置10は、複数の化合物を含有する混合試料が流されるカラムを有し、複数の化合物をそれらの移動度の違いを利用して時間的に分離する装置である。混合試料は、例えば、石油製品としての有機化合物である。ガスクロマトグラフ装置10で分離された複数の化合物11が質量分析装置12へ順次導入される。個々の化合物11が質量分析対象となる。
【0024】
質量分析装置12は、大別して、測定部200と情報処理部202とで構成される。測定部200は、イオン源14、質量分析部16及び検出部18を有する。また、測定部200は電源部20を有する。情報処理部202は、制御部22、入力部30、記憶部32及び表示部34を有する。図1においては、検出部18の出力信号を処理する信号処理回路が図示省略されている。
【0025】
イオン源14は、電界イオン化(FI)法に従うイオン源である。イオン源14は、後に図2に示すように、エミッタを有する。イオン源14の中に、分離後の各試料11が順次導入される。これにより、試料11を構成する複数の分子から複数のイオン(例えばプラスイオン)15が生じる。それらのイオン15が、高電圧の作用によって、質量分析部16へ送られる。質量分析部16は、飛行時間型質量分析部である。それに代えて、四重極型質量分析部、磁場型質量分析部等を用いることが可能である。質量分析部16は、複数のイオン15をその質量(正確にはm/z)に応じて分離するものである。検出部18は、質量分析部16を通過してきたイオン15を検出する。検出部18は、例えば電子増倍管を含む。検出部18の出力信号が制御部22へ送られている。
【0026】
電源部20は、イオン源14、質量分析部16、検出部18等に対して、それらの動作で必要となる電力(電圧、電流)又は信号を供給するものであり、その動作は制御部22によって制御される。実施形態において、電源部20は、イオン源14のエミッタに流すエミッタ電流36を生成しており、また、イオン源14において電界を生じさせるための高電圧37を生成している。
【0027】
制御部22は、測定部200及び電源部20の動作を制御し、また必要な演算を実行する。制御部22によってガスクロマトグラフ装置10の動作が制御されてもよい(符号23を参照)。制御部22は、具体的には、情報処理装置としてのコンピュータによって構成され、その実体は、CPU及びプログラムである。もっとも、制御部22が、専用プロセッサ、信号処理デバイス、等によって構成されてもよい。
【0028】
図1においては、制御部22が有する複数の機能の内の幾つかが複数のブロックによって表現されている。具体的には、制御部22は、マススペクトル作成部26、クロマトグラ作成部28、及び、エミッタ電流制御部24を有している。マススペクトル作成部26は、検出部18からの出力信号に基づいてマススペクトルを作成するモジュールである。マススペクトルは、実際には、所定の積算期間内での積算処理によって生成された積算マススペクトルである。時間軸(保持時間軸)上の各時刻においてマススペクトルが生成される。
【0029】
クロマトグラ作成部28は、検出部18の出力信号に基づいて、具体的には、時間軸上の各時刻において生成されたマススペクトルに基づいて、クロマトグラを作成するモジュールである。クロマトグラとして、トータルイオンカレントクロマトグラ、及び、マスクロマトグラが選択的に作成される。トータルイオンカレントクロマトグラは、質量によらないトータルイオン電流の時間的変化を示すものであり、マスクロマトグラは特定の質量に対応したイオン電流の時間的変化を示すものである。特定の質量が時間的に変更されてもよい。その場合、時間軸上の各時刻において、観測対象となる質量が指定される。クロマトグラ作成部28は、生成されたクロマトグラに対してバックグランド除去のための処理を適用する機能も備えている。その処理として、例えば、閾値以下の波形を除去する処理、波形を平滑化する処理、等があげられる。後述するピーク形状評価から見て、その処理は、評価精度を高めるための前処理に相当する。
【0030】
エミッタ電流制御部24は、電源部20の制御を通じて、イオン源14に流すエミッタ電流を間接的に制御するモジュールである。その際に制御対象となるパラメータは、例えば、電流パルスを規定する電流値、時間幅、又は、それらの両方である。エミッタ電流制御については後に詳しく説明する。
【0031】
入力部30は、キーボード、ポインティングデバイス等によって構成される。例えば、測定対象試料(混合試料)に応じて、エミッタ電流条件を規定する複数のパラメータ関数の中から特定のパラメータ関数がユーザーにより選択される。その場合には入力部30が利用される。測定対象試料の入力に基づいてパラメータ関数が自動的に選択されてもよい。記憶部32は、半導体メモリ、ハードディスク等によって構成される。そこには1又は複数のパラメータ関数が登録される。後述する評価値テーブルが記憶部32に格納されてもよい。表示部34は例えばLCDによって構成される。表示部34には、マススペクトル、クロマトグラ、パラメータ関数等が表示される。表示部34に、後述する評価値テーブルが表示されてもよい。
【0032】
図2には、イオン源14の構成が概略的に示されている。電極40と電極42の間には高電圧Eが印加される。例えば、電極40を基準電位(グラウンド)として、電極42に対して−8〜10kVの直流電圧が印加される。イオン源14はエミッタ38を有する。エミッタ38は例えばタングステンで構成され、その表面には多数の微小細針(whiskers)が形成されている。エミッタ38の両端子の内で、一方の端子が電極42に接続されている。つまり、エミッタ38と電極40との間に高電圧Eが印加されている。通常、電極40はカソードとして機能し、エミッタ38はアノードとして機能する。エミッタ38には、上記の焼き出しのために、電流パルスとしてのエミッタ電流Ieが間欠的に流される。イオン源14の中に気体の試料11が導入されると、電界の作用によって、特にエミッタ38周辺の高い電界によって、試料11を構成する分子がイオン化され、イオン(正イオン)15が生じる。そのイオン15が電界作用によって質量分析部側へ引き出される。
【0033】
図3には、エミッタに供給される電流パルス列が示されている。T1はパルス繰り返し周期を示している。個々の電流パルス44の高さ204がエミッタ電流の電流値を示している。個々の電流パルス44の幅ΔTがエミッタ電流を流す時間幅を示している。T2は1周期内でのマススペクトル取得期間、具体的には積算期間を示している。すなわち、積算期間T2内においてマススペクトルが繰り返し取得され、それらのマススペクトルが積算され、積算マススペクトルが生成される。T3は1周期内での測定停止期間を示している。測定停止期間T3においては、望ましくは、質量分析部の中にイオンが入らないように質量分析部の入口電極の電位が制御される。
【0034】
本実施形態では、上記のように、電流パルス列がエミッタに供給されている。その際、時間経過に従って、電流値又は時間幅を徐々に大きくする動的な制御が適用される。なお、定常的な電流がエミッタに供給されてもよい。その場合、その電流値206を徐々に大きくする動的な制御が適用されてもよい。
【0035】
図4には、図1に示したエミッタ電流制御部24の構成例が示されている。エミッタ電流制御部24は、図示の構成例において、試行制御部46、評価部48、テーブル生成部50、決定部(パラメータ関数生成部)54、選択部58等を有する。
【0036】
試行制御部46は、後に詳述するように、実測定モードに先立って実行されるパラメータ関数作成モードにおいて、イオン電流を規定するパラメータ(具体的には、仮パラメータとしての電流値又は時間幅)を段階的に可変しながら、段階ごとに試行的に質量分析を行う制御を実行するものである。その際、ガスクロマトグラフ装置に導入される試料は、実際の測定対象試料であってもよいし、それに相当する標準試料であってもよい。
【0037】
例えば、測定対象試料としての混合試料から分離された一連の化合物に対する質量分析を1回の測定と定義した場合、n段階のパラメータ切り換え(つまりn個のパラメータ)に対応して、n回の測定が順次実行されることになる。その結果、n個のクロマトグラが作成される。nは2以上の整数であり、例えばnは10である。パラメータ関数を迅速に作成したい場合、nを小さな数値とすればよく、より精密なパラメータ関数を作成したい場合、nを大きな数値とすればよい。例えば、パラメータ関数の基本形が既知である場合、nを1にしてもよい。
【0038】
評価部48は、個々のクロマトグラに含まれる各ピーク(化合物ピーク)についてその形状を評価して評価値を演算する。評価値はテーリングの度合いを示すものである。具体的な評価方法については後に図5を用いて説明する。クロマトグラ列の具体例を後に図6に示す。評価部48において評価対象となるピークを限定してもよい。例えば、ポリマーについて作成されたクロマトグラにおいて、シリーズを構成する全ピークを評価対象としてもよいし、所定個おきのピークを評価対象としてもよい。ユーザー選択された1又は複数のピークを評価対象としてもよい。実施形態では、個々のクロマトグラに含まれる複数のピークについての評価結果として、複数の評価値が演算される。それらは評価値列を構成する。
【0039】
テーブル生成部50は、複数のクロマトグラから演算された複数の評価値列に基づいて評価値テーブルを生成する。その具体例を後に図7に示す。生成された評価値テーブルが記憶部32上に格納されてもよい(符号52を参照)。評価値テーブルが表示部に表示されてもよい。
【0040】
決定部54は、評価値テーブルに基づいて、ピークに対応する保持時間ごとに、選択条件を満たすパラメータを決定し、これによってパラメータ関数を生成する。後述するように、評価値テーブルは、m個の保持時間(つまりm個のピーク)に対応したm個の行を有する。個々の行は、パラメータ軸方向に並ぶn個の評価値により構成される。決定部54は、行ごとに、n個の評価値に基づいて、選択条件を満たすパラメータを決定する。選択条件は、例えば、閾値以下の評価値を生じさせたパラメータであって、エミッタ温度を最も下げられるパラメータを選び出す条件である。m個の保持時間に対応してm個のパラメータが選択される。それらによってパラメータ関数が生成される。パラメータ関数に対して、整形、平滑化等の後処理が適用されてもよい。生成されたパラメータ関数は記憶部32内に格納される(符号56を参照)。後に図8にパラメータ関数の例を示す。
【0041】
なお、入力部30を利用して、評価値テーブル上において、パラメータ関数を定義する複数のパラメータがマニュアル指定されてもよい。その場合、指定された複数のパラメータに基づいて決定部54がパラメータ関数を自動的に作成する。
【0042】
以上説明したパラメータ関数作成モードに続いて、実測定モードが実行される。実測定モードでは、測定対象となる試料(混合物)がガスクロマトグラフ装置へ導入される。その試料に対応したパラメータ関数に従って、その試料の測定中に、エミッタ電流が動的に制御される。エミッタ電流の制御はエミッタ電流制御部24によって行われる。パラメータ関数作成モードを経ることなく、直ちに実測定モードが実行されてもよい。その場合、例えば、ユーザーによって、既に作成されている複数のパラメータ関数の中から、試料に適合したパラメータ関数が選択されてもよい。ユーザーによる試料の指定に基づいて、パラメータ関数が自動的に選択されてもよい。
【0043】
試料に適合したパラメータ関数に基づいてエミッタ電流を制御することにより、各保持時間におけるエミッタ電流を最適化でき、つまり、各ピークの波形を良好なものにすることができる。しかも、測定期間の全体にわたって感度を良好なものにすることが可能となる。後に図9に、エミッタ電流制御により生成されたクロマトグラを例示する。
【0044】
図5には、ピーク形状の評価方法が例示されている。図5において、山状の形態を有するピーク60には、若干のテーリング部分61が含まれる。エミッタへの試料付着が生じた場合、その程度によって、ピーク60の形状が変化し、特に、テーリング部分61の大きさが変化する。テーリング部分61が生じた場合、ピーク60の波形が左右非対称となる。実施形態においては、ピーク60の非対称性(又は対称性)を評価するために、評価値として、係数が演算されている。具体的には、アシンメトリー係数が演算されている。アシンメトリー係数は以下のように計算される。
【0045】
ピーク60における頂点Pの高さhを基準として、例えば、その1/10の高さh1が特定される。続いて、ピーク60の両裾野上において高さh1を有する2点Pa,Pbが特定される。頂点Pを通る垂線から点Paまでの距離をaとし、垂線から点Pbまでの距離をbとした場合、アシンメトリー係数Asは、As=b/aで定義される。テーリングの度合いが大きいほど、bが相対的に大きくなり、アシンメトリー係数が増大する。h1の大きさをhの1/20等としてもよい。
【0046】
アシンメトリー係数に代えて、テーリング係数又はシンメトリー係数が演算されてもよい。それらの係数は、例えば、(a+b)/(2a)によって計算される。いずれにしてもピークについての形状の崩れ又はテーリング度合いを評価できる係数を演算するのが望ましい。その係数の演算に際して、頂点の高さ、ピークの面積、等が考慮されてもよい。あるいは、テンプレートへのフィッティング度合いとして、係数が演算されてもよい。
【0047】
図6には、仮パラメータとしての電流値(エミッタ電流値)を段階的に可変しながら質量分析を行うことにより取得された複数のクロマトグラ62〜70が示されている。初期値は5mAであり、増分は10mAである。電流値以外のパラメータ(時間幅を含む)は共通である。一般に、時間軸(保持時間軸)上において、右側に行くに従って、つまり保持時間が増大するに従って、テーリングが生じ易くなる。エミッタへの試料付着が増大し易くなるものと推察される。電流値を上げていった場合、クロマトグラ全体としてみて、テーリング度合いが小さくなる。但し、その場合、特に時間軸上の左側(測定初期)において、加熱が過剰になってしまうおそれが生じる。ここで、電流値45mAの下で取得されたクロマトグラ70に着目すると、時間軸上の左側端部にある幾つかのピークには無視し得ないテーリングが認められる。それらのピークについては電流値をより上げるべき必要性を読み取れる。
【0048】
図7には、評価値テーブル74が例示されている。横軸78は電流値の増大方向を示しており、縦軸76は保持時間の増大方向を示している。対象試料はn−アルカンである。上記のように、電流値の初期値は5mAであり、増分は5mAである。上限値は50mAである。その場合、段階数nは10となる。
【0049】
評価値テーブル74は、n回の測定で得られた(n個の電流値に対応する)n個の評価値列からなる。個々の評価値列は保持時間軸に沿って並ぶm個の評価値(アシンメトリー係数)からなる。図示の例ではmは15であるが、それは例示に過ぎない。個々の評価値列においては、保持時間の増大に伴って、評価値が増大(悪化)する傾向が認められる。見方を変えると、評価値テーブル74は、m個の保持時間に対応したm個の行からなり、個々の行はn個の評価値により構成される。個々の行においては、電流値の増大に伴って、評価値が減少(優良化)する傾向が認められる。
【0050】
実施形態においては、ピークが生じた保持時間ごとに、それに対応する行(n個の評価値)が参照され、選択条件を満たす電流値が選択される。実施形態においては、選択条件は、閾値以下の評価値を生じさせた電流値の中から最も小さな電流値を選択する条件である。実施形態においては、閾値として1.1が設定されており、個々の保持時間つまり行ごとに、選択条件を満たす電流値が選択される。例えば、保持時間10.43minに着目した場合、電流値の増大に伴って、アシンメトリー係数が1.3から1.1へ変化している。アシンメトリー係数が閾値1.1以下であって、最も小さい電流値に対応するセルはセル82である。それに対応する電流値35mAが最良電流値として特定される。なお、符号80は閾値条件を満たさないセル群を示している。
【0051】
上記説明では、閾値を固定値としたが、閾値を可変値としてもよい。例えば、保持時間の増大に伴って一定の割合で閾値を増加させてもよい。保持時間軸上において複数の区間を設定し区間ごとに閾値を定めてもよい。
【0052】
図8には、以上のような処理により生成されるパラメータ関数の一例が示されている。パラメータ関数88は図7に示した評価値テーブルから作成されたものである。横軸は時間軸であり、縦軸は電流値を示している。実際に試料を測定する過程においては、パラメータ関数88に従って、電流値が動的に変更される。その場合、他のパラメータ(例えば時間幅)は維持される。直線的なパラメータ関数、曲線によって構成されたパラメータ関数等を定めてもよい。
【0053】
図9には、図8に示したパラメータ関数の適用によって作成されたクロマトグラ90が示されている。横軸は時間軸であり、縦軸はトータルイオン電流(TIC)を示している。すなわち、クロマトグラ90はトータルイオンカレントクロマトグラである。時間軸の全体にわたって、各ピークのアシンメトリー係数が1.1以下とされている。しかも必要以上のエミッタ加熱が回避されている。すなわち、理想的なエミッタ電流制御が実現されている。
【0054】
図10には、図1に示した質量分析システムの動作、特にエミッタ電流制御に関わる動作がフローチャートとして示されている。S10では、パラメータ関数作成モード(試行的制御)を実行するか否かが判断される。ユーザーがパラメータ関数作成モードを選択した場合、S12以降の各工程が実行される。一方、実測定モードを選択した場合、S28以降の各工程が実行される。
【0055】
S12においては、パラメータ(仮パラメータ)として初期値が設定される。例えば、エミッタ電流の電流値として5mAが設定される。初期値、増分及び上限値をユーザー設定できるように構成するのが望ましい。S14では、ガスクロマトグラフ装置に対して試料(仮試料)が導入され、ガスクロマトグラフ装置で分離された複数の化合物に対する質量分析が実行される。仮試料として、実際の試料と同じものを用いるのが望ましいが、実際の試料に相当する標準試料を用いてもよい。S16においては、S14でのマススペクトル測定結果に基づいてクロマトグラが作成される。クロマトグラとしてトータルイオンカレントクロマトグラ又はマスクロマトグラが作成される。通常、トータルイオンカレントクロマトグラが作成されるが、各時刻で生成される化合物イオンのm/zが既知である場合、各時刻でそのm/zを選択することになり、マスクロマトグラを作成し得る。
【0056】
S18では、必要に応じて、S16で作成されたクロマトグラに対して前処理が適用される。例えば、閾値以下のピークを除去する処理、波形を平滑化する処理、等が実行される。S20では、クロマトグラに含まれる各ピークに対する形状評価によりピークごとに評価値が演算される。評価値として、波形の歪み度合いを示すアシンメトリー係数が演算される。演算対象となるピークが自動的に又はユーザーにより選択されてもよい。代表となる少数のピークが自動的に選択されてもよい。S20の実行の結果として、複数のピークに対応する複数の評価値からなる評価値列が生成される。
【0057】
S22では、パラメータが上限値まで到達しているか否かが判断され、到達していない場合には、S24においてパラメータが所定の増分だけ増大される。例えば、増分が5mAの場合、それまでの5mAに対して5mAが加算されて、新しいパラメータとして10mAが設定される。そして、S12以降の各工程が繰り返し実行される。
【0058】
一方、S22において上限値への到達が判断された場合、S26において、評価値テーブルに基づいてパラメータ関数が作成される。例えば、時間軸上において並ぶピークごとに、最適な電流値が自動的に選択される。その場合には、例えば、アシンメトリー係数が閾値以下であって、もっとも小さな電流値が選択される。これは、エミッタへの付着をできるだけ防止しつつエミッタの加熱温度を引き下げるためである。
【0059】
続いて、S28では、それまでに作成されたパラメータ関数が実際に設定又は選択され、それが有効化される。S30における本試料の測定(本測定)に際して、パラメータ関数に従ってエミッタ電流が動的に制御される。S32では、本測定により得られたマススペクトル等が解析される。これにより個々の化合物の定性解析、定量解析等が実行される。
【0060】
図11及び図12には、他のパラメータ制御が示されている。ここでは、電流値に代えて時間幅が制御される。時間幅の制御によっても、焼き出し条件を調整することが可能である。
【0061】
図11には評価値テーブル92が示されている。この評価値92は、電流値を一定にしつつ、時間幅を5msecから50msecまで、5msec刻みで変化させることにより生成されたものである。縦軸は保持時間を示しており、横軸は時間幅を示している。個々の保持時間ごとに、選択条件を満たす時間幅が選択される。例えば、閾値1.1以下のアシンメトリー係数を生じさせる時間幅であって最も短い時間幅が選択される。符号100はその条件を満たすセルを示している。それに対応する時間幅は35msecである。セル98はアシンメトリー係数が閾値を超過しているセルを示している。選択条件を構成する閾値を動的に変更してもよい。保持時間ごとに選択条件を満たす時間幅を選択することにより、時間幅の時間的変化を示すパラメータ関数が定義される。
【0062】
図12には、上記評価値テーブルに基づいて生成されたパラメータ関数102が示されている。横軸は時間軸(保持時間軸)であり、縦軸は時間幅を示している。質量分析開始からの経過時間に応じて、パラメータ関数102に従って時間幅が増大され、これにより焼き出し時の加熱温度が高められている。その結果、試料の付着による問題を防止又は軽減でき、同時に、測定感度を高めることが可能である。
【0063】
パラメータとしての電流値及び時間幅の組合せを変更しながら、組合せごとにクロマトグラのピークの形状を評価し、これによって三次元の評価値テーブルを構成してもよい。その上で、ピークに対応する保持時間ごとに、選択条件を満たす組合せを選択し、これにより図13に示すようなパラメータ関数セットを生成してもよい。
【0064】
図13の上段には電流値の時間的変化を示すパラメータ関数104が示されており、図13の下段には時間幅の時間的変化を示すパラメータ関数106が示されている。現時点t1において、それらの関数104,106から、電流値及び時間幅の組合せが特定され、それらが設定される。符号108で示すように、時間経過に伴って、パラメータ関数セットに従って、組合せ内容が動的に変更される。
【0065】
以上のように、実施形態によれば、状況に適合した最適なパラメータを見出せる。特に、動的に変化する状況に適合した最適なパラメータ関数を見出せる。上記実施形態では、エミッタに対して電流パルス列が供給されていたが、エミッタに対して定常的に電流が供給される場合においても上記構成を適用し得る。また、電界イオン化法以外のイオン化法に従うイオン源であって、上記同様の課題が生じるものに対しても、上記構成を適用し得る。
【符号の説明】
【0066】
10 ガスクロマトグラフ装置、12 質量分析装置、14 イオン源、22 制御部、24 エミッタ電流制御部、26 マススペクトル作成部、28 クロマトグラ作成部、30 試行制御部、28 評価部、50 テーブル生成部、54 決定部(パラメータ関数生成部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13