(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先除去対象ガス成分が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、もしくはキシレン、または窒素化合物、または硫黄化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のガス分離方法。
前記戻しガスとなり得るガスを戻さずに送りガスとする送り工程を第1の所定時間継続した後、前記戻し工程を第2の所定時間継続することを特徴とする請求項1又は2に記載のガス分離方法。
前記吸着手段の運転周期に合わせて、前記戻しガスをパージガスとして前記吸着手段に供給して、前記吸着手段からガスを押し出すパージ工程を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のガス分離方法。
前記パージガスが、前記脱着ガス又は前記透過ガスのうち、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより高いガスを組成変換させることによって、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧を前記原料ガスより低くしたガスであることを特徴とする請求項13に記載のガス分離方法。
前記パージガスが、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより高いガスを活性炭と接触させることによって、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧を前記原料ガスより低くしたガスであることを特徴とする請求項15に記載のガス分離方法。
前記吸着手段における前記パージガスの流れ方向を、前記吸着工程におけるガス流と同じ向きにすることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載のガス分離方法。
前記吸着手段における前記パージガスの流れ方向を、前記吸着工程におけるガス流とは逆向きにすることを特徴とする請求項13〜17の何れか1項に記載のガス分離方法。
前記押し出されたガス中の前記優先除去対象成分の濃度又は分圧に応じて、前記押し出されたガスを前記戻しガスとするか否かを選択することを特徴とする請求項13〜20の何れか1項に記載のガス分離方法。
前記押し出されたガス中の前記優先除去対象成分の濃度もしくは分圧、又はそれらと相関のある指標を計測し、計測結果に基づいて、前記押し出されたガスを戻しガスとするか否かを選択するとともに、
前記計測後の前記押し出されたガスを、前記計測の開始から前記選択までの処理時間に応じた遅延時間をかけて通り抜け可能な遅延路に通し、前記遅延路からのガスを前記戻しガスとなり得るガスとすることを特徴とする請求項21に記載のガス分離方法。
前記優先除去対象ガス成分が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、もしくはキシレン、または窒素化合物、または硫黄化合物を含むことを特徴とする請求項23に記載のガス分離装置。
前記吸着手段の運転周期に合わせて、前記戻しガスをパージガスとして前記吸着手段に供給して、前記吸着手段からガスを押し出すパージ手段を備えたことを特徴とする請求項24〜34の何れか1項に記載のガス分離装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧力変動吸着装置には運転周期があり、製品ガス中の各ガス成分濃度が周期的に変動する。例えば、前記方法(1)の場合には、透過ガス中の除去対象ガス成分濃度が比較的高くなる期間がある。除去性能を確保するために、前記複数の吸着槽による吸着、脱着の切り替え時間を短くすることが考えられる。しかし、そうすると、脱着ガスひいては廃棄ガス中に回収対象ガス成分が多く混入して回収率(製品ガス中の回収対象ガス成分量/原料ガス中の回収対象ガス成分量)が低下する。
また、原料ガスの組成が周期的(規則的)又はランダムに変動することもあり得る。そのため、例えば、原料ガス中の除去対象成分の分圧が比較的高いときは、主に除去対象成分が吸着手段に吸着されるが、原料ガス中の除去対象成分の分圧が比較的低いときは、回収対象成分が吸着手段に吸着されてしまうことも起きる。そうすると、回収対象ガス成分の回収率が低下する。
本発明は、前記事情に鑑み、除去対象ガス成分の除去性能及び回収対象ガス成分の回収率を両立可能なガス分離方法及びガス分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明方法は、圧力変動吸着によるガス分離方法であって、
除去対象ガス成分及び回収対象ガス成分を含む原料ガスを吸着手段に供給して透過ガスを出す吸着工程と、
前記吸着手段を前記吸着工程よりも低圧にして脱着ガスを出す脱着工程と、
前記吸着手段の運転周期に合わせて、又は前記原料ガスもしくは透過ガスもしくは脱着ガスの状態に応じて、前記透過ガス又は前記脱着ガスのうち、前記除去対象ガス成分における優先して除去すべき優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより低いガスを、前記吸着手段への戻しガスとする戻し工程と、
を含むことを特徴とする。
【0007】
吸着工程における吸着手段は、原料ガス中の被吸着ガス成分を選択的に吸着する。脱着工程における吸着手段は、前記吸着した被吸着ガス成分を脱着する。例えば、前記被吸着ガス成分が除去対象であるときは、前記透過ガスを製品ガスとすることができる(前記方法(1))。前記被吸着ガス成分が回収対象であるときは、前記脱着ガスを製品ガスとすることができる(前記方法(2))。
【0008】
前述したように、この種の圧力変動吸着方法には運転周期があり、製品ガスとなるべき透過ガス又は脱着ガス中の各ガス成分濃度が変動する。この運転周期に合わせて、例えば、前記透過ガス又は脱着ガス中の優先除去対象ガス成分濃度が比較的高い期間、戻し工程を行なう。戻し工程実行の可否は、運転周期に合わせるのに限られず、前記原料ガスもしくは透過ガスもしくは脱着ガスの状態に応じて判断してもよい。
これによって、製品ガス中の優先除去対象ガス成分濃度が高くなるのを防止して除去性能を確保できる。また、吸着、脱着の切り替え時間を必要以上に短くする必要がなく、切り替えに伴う回収対象ガス成分の排出頻度の増大を回避できるから、回収対象ガス成分の回収率の低下を防止できる。この結果、除去性能と回収率を両立させることができる。更に、優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が低いガスを戻しガスとすることで、製品ガスの生成効率を高めることができる。
【0009】
本発明装置は、圧力変動吸着によるガス分離装置であって、
原料ガスから除去対象ガス成分又は回収対象ガス成分を選択的に吸着して透過ガスを出す吸着手段と、
前記吸着手段を前記供給時よりも低圧にして前記吸着した対象ガス成分を含む脱着ガスを前記吸着手段から出させる脱着手段と、
前記吸着手段の運転周期に合わせて、又は前記原料ガスもしくは透過ガスもしくは脱着ガスの状態に応じて、前記透過ガス又は前記脱着ガスのうち、前記除去対象ガス成分における優先して除去すべき優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより低いガスを、前記吸着手段への戻しガスとする戻し手段と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、優先除去対象ガス成分の除去性能を確保でき、かつ、回収対象ガス成分の回収率の低下を防止でき、更に製品ガスの生成効率を高めることができる。
【0010】
前記優先除去対象ガス成分としては、例えばBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)、またはシアンなどの窒素化合物、またはCOSなどの硫黄化合物が挙げられる。
前記優先除去対象ガス成分以外の非優先除去対象ガス成分としては、例えばCO
2が挙げられる。
前記回収対象ガス成分としては、例えばCO、H
2が挙げられる。
【0011】
前記ガス分離方法において、前記戻しガスとなり得るガスを戻さずに送りガスとする送り工程を第1の所定時間継続した後、前記戻し工程を第2の所定時間継続することが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記戻しガスとなり得るガスを戻さずに送りガスとする送りモードと、前記戻しガスとなり得るガスを前記戻しガスとする戻しモードとの何れかを選択する選択手段を備え、
前記選択手段は、前記送りモードが第1の所定時間経過した時、前記戻しモードに切り替え、前記戻しモードが第2の所定時間経過した時、前記送りモードに切り替えることが好ましい。
これによって、モードの切り替えタイミングを時間管理することができる。圧力変動吸着法における製品ガス中の各ガス成分の濃度変化は概略周期的ないしは概略規則的であるから、かかる時間管理によるモード切り替えが可能である。
【0012】
前記ガス分離方法において、前記透過ガス又は脱着ガス又は原料ガスにおける1の計測対象ガス成分の濃度もしくは分圧、又はそれらと相関のある指標を計測し、計測結果に基づいて、前記戻し工程を実行するか否かを選択することが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記透過ガス又は脱着ガス又は原料ガスにおける1の計測対象ガス成分の濃度もしくは分圧、又はそれらと相関のある指標を計測する計測手段を更に備え、
前記計測結果に基づいて前記戻しを実行するか否かが選択されることが好ましい。
これによって、前記1のガス成分の実際の濃度変化又は分圧変化に合わせてモード切り替えを行なうことができる。前記1のガス成分は、好ましくは除去対象ガス成分であるが、回収対象ガス成分であってもよい。
濃度もしくは分圧、又はそれらと相関のある指標としては、たとえば赤外線の吸収量などが挙げられる。
【0013】
前記計測対象ガス成分は、前記除去対象ガス成分における前記優先除去対象ガス成分より前記吸着手段による吸着性が低い低吸着性除去対象ガス成分であることが好ましい。
これによって、吸着工程中の吸着手段から出るガス中の低吸着性除去対象ガス成分濃度が立ち上がる一方、優先除去対象ガス成分濃度が未だ立ち上がっていないタイミングで戻し工程を行なうことができる。したがって、製品ガス中の優先除去対象ガス成分濃度を確実に低くできる。ここで、低吸着性除去対象ガス成分は、例えばCO2であり、優先除去対象ガス成分は、例えばベンゼンなどのBTEXである。
前記計測対象ガス成分が、前記優先除去対象ガス成分であってもよい。
【0014】
前記ガス分離方法において、前記戻しガスとなり得るガスを、前記計測の開始から前記選択までの処理時間に応じた遅延時間をかけて通り抜け可能な遅延路に通し、
前記戻し工程では、前記遅延路からのガスを前記戻しガスとすることが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記戻しガスとなり得るガスが、前記計測の開始から前記選択までの処理時間に応じた遅延時間をかけて通り抜け可能な遅延路を含む遅延手段を、更に備え、
前記戻し手段が、前記遅延手段からのガスを前記戻しガスとすることが好ましい。
これによって、計測から戻し実行までのタイムラグを補償でき、製品ガスへの除去対象成分のコンタミネーションなどを防止又は抑制できる。
【0015】
前記ガス分離方法において、前記遅延路に相対的に先に入ったガス部分が、相対的に後に入ったガス部分よりも先に流出されることが好ましい。
前記ガス分離装置において、記遅延手段が、前記遅延路に相対的に先に入ったガス部分を、相対的に後に入ったガス部分よりも先に流出させることが好ましい。
これによって、前記除去対象成分のコンタミネーションなどを確実に防止又は抑制できる。
【0016】
前記ガス分離方法において、前記戻しガスを、戻しガス蓄積手段に蓄積する蓄積工程を含むことが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記戻し手段が、前記戻しガスを蓄積する戻しガス蓄積手段を含むことが好ましい。
これによって、戻しガスの各ガス成分の濃度変動及びガス流量を平均化できる。また、戻しモード時だけでなく、送りモード時においても戻しガスを原料ガスに戻すことができる。
【0017】
前記ガス分離方法において、前記戻しガスとなり得るガスを前記戻し工程前に組成変換する組成変換工程を含むことが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記戻しガスとなり得るガスを、前記戻しの実行前に組成変換する組成変換手段を備えていることが好ましい。
これによって、戻しガス中の特定ガス成分の濃度を高めたり低下させたりできる。
なお、本明細書における組成変換は、対象ガス成分濃度が例えば%オーダーで変化するものに限られず、ppmオーダーで変化するものであってもよい。
前記組成変換後のガスは、変換前よりもCO
2の濃度又は分圧が高いことが好ましい。
【0018】
前記ガス分離方法において、前記組成変換工程が、微生物発酵によって前記透過ガスを組成変換する微生物発酵工程を含むことが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記組成変換手段が、前記透過ガスによって発酵可能な微生物の培養槽を含むことが好ましい。
これによって、前記組成変換時に例えばエタノール等の有価物を生産することができる。また、培養槽からのオフガスを戻りガスとして利用できる。通常、この種のオフガスは、CO
2リッチである。培養槽からのオフガスは、そのまま利用することが可能であり、不純物を除去した後に利用することも可能である。
ある種の微生物は、H
2Sなどの硫化物を産生する。また、培養は、通常、液中で行われるために、培養槽からのガスには水分が含まれる。これら硫化物や水分は、触媒や吸着剤などを劣化させるなどの悪影響を与えるため、脱硫剤や吸着剤などの種々の除去手段で除去することが好ましい。
前記組成変換後のガスは、変換前よりもCO
2の濃度又は分圧が高いことが好ましい。
前記ガス分離方法において、前記組成変換工程が、前記透過ガスを触媒反応させて組成変換する触媒反応工程を含んでいてもよい。
前記ガス分離装置において、前記組成変換手段が、前記透過ガスを触媒反応させて組成変換する触媒反応器を含んでいてもよい。
前記組成変換手段が、活性炭を含んでいてもよい。
前記組成変換手段が、脱硫剤を含んでいてもよい。
前記組成変換手段が、脱酸素剤を含んでいてもよい。
前記戻しガスとなり得るガスは、通常は、前述した「きれいなガス」である。
一方、「汚いガス」であっても、前記の組成変換を経ることによって、優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が原料ガスより低いガスとすることができ、前記戻しガスとなり得る。
【0019】
前記ガス分離方法において、前記吸着手段の運転周期に合わせて、前記戻しガスをパージガスとして前記吸着手段に供給して(戻して)、前記吸着手段からガスを押し出すパージ工程を含むことが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記吸着手段の運転周期に合わせて、前記戻しガスをパージガスとして前記吸着手段に供給して(戻して)、前記吸着手段からガスを押し出すパージ手段を備えたことが好ましい。
これによって、回収対象ガス成分の回収率を一層高めることができる。
【0020】
前記ガス分離方法において、前記パージガスが、前記透過ガス又は脱着ガスを組成変換させたガスであることが好ましい。
前記ガス分離装置において、前記パージ手段が、前記透過ガス又は脱着ガスを組成変換して前記パージガスを生成する組成変換手段を含むことが好ましい。
これによって、透過ガス又は脱着ガスを組成変換させたうえでパージガスとして利用できる。脱着ガスが前記優先除去対象成分を含んでいたとしても、活性炭等で優先除去対象成分を除去する組成変換処理を行なうことによって、パージガス中の前記優先除去対象成分の濃度又は分圧を低くすることができる。
前記パージガスが、前記脱着ガス又は前記透過ガスのうち、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより高いガス(汚いガス)を組成変換させることによって、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧を前記原料ガスより低くしたガスであってもよい。
前記パージガスが、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が前記原料ガスより高いガス(汚いガス)を活性炭と接触させることによって、前記優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧を前記原料ガスより低くしたガスであってもよい。
これによって、脱着ガス又は透過ガスのうち「汚いガス」であっても、きれいな状態にして、パージガスとして用いることができる。該パージガスは、きれいな状態になっているから、回収対象ガス成分の回収率や製品ガスの生成効率を損なうのを防止できる。
【0021】
前記パージ手段の組成変換手段は、例えば前記透過ガスによって発酵可能な微生物の培養槽を含むことが好ましい。これによって、培養槽からのオフガスをパージガスとして利用できる。
前記パージ手段の組成変換手段が、前記透過ガスを触媒反応させて組成変換する触媒反応器を含んでいてもよい。
前記パージガスが、脱硫及び脱水の少なくとも一方の処理工程を経た後の前記透過ガス又は脱着ガスであることが好ましい。
前記吸着手段における前記パージガスの流れ方向を、前記吸着工程におけるガス流と同じ向きにすることが好ましい。
前記吸着手段における前記パージガスの流れ方向を、前記吸着工程におけるガス流とは逆向きにしてもよい。
前記パージガスを、前記吸着手段の中間部から前記吸着手段に導入することにしてもよい。パージ工程の前期は、吸着手段の全体をパージガスでパージし、パージ工程の後期は、前記パージガスを、前記吸着手段の中間部から前記吸着手段に導入して、吸着手段の前記中間部から吸着工程時の出口ポートまでの部分をパージしてもよい。
このほか、パージガスとして、空気からの酸素製造装置からのオフガス(窒素が主成分)やその窒素純度をさらに上げたもの、種々のオフガスを燃焼除害した炭酸ガス、窒素を主成分とするガス等を用いてもよい。
脱硫、脱水に吸着剤を使用した場合は、窒素ガスや前記送りガスなどで、前記吸着剤を適宜再生することが好ましい。
【0022】
前記押し出されたガス中の前記優先除去対象成分の濃度又は分圧に応じて、前記押し出されたガスを前記戻しガスとするか否かを選択することが好ましい。
前記押し出されたガス中の前記優先除去対象成分の濃度又は分圧が比較的低いときは、前記押し出されたガスを戻さずに送りガスとしてもよい。これによって、製品ガスの生成効率を高めることができる。
【0023】
前記押し出されたガス中の前記優先除去対象成分の濃度もしくは分圧、又はそれらと相関のある指標を計測し、計測結果に基づいて、前記押し出されたガスを戻しガスとするか否かを選択するとともに、
前記計測後の前記押し出されたガスを、前記計測の開始から前記選択までの処理時間に応じた遅延時間をかけて通り抜け可能な遅延路に通し、前記遅延路からのガスを前記戻しガスとなり得るガスとすることが、より好ましい。
これによって、計測から戻し実行までのタイムラグを補償でき、製品ガス中の除去対象成分の濃度又は分圧を一層低くできる。
前記押し出されたガスを無条件で戻しガスとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧力変動吸着法における除去性能の低下を防止でき、かつ回収率の低下を防止することができ、更に製品ガスの生成効率を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
[第1実施形態]
図1〜
図6は、本発明の第1実施形態を示したものである。
図1に示すように、混合ガス製造・利用システムSは、ガス分離装置1と、原料ガス供給手段2と、ガス利用部3を含む。原料ガス供給手段2は、廃棄物処理施設にて構成されている。廃棄物としては、都市ゴミ、タイヤ、バイオマス、木質チップ、プラスチックごみ等が挙げられる。廃棄物処理施設には溶融炉(廃棄物焼却炉)が設けられている。溶融炉において、廃棄物が高濃度の酸素ガスによって燃焼されて低分子レベルまで分解される。最終的に、CO及びH
2等を含むシンガス(合成ガス)が生成される。
【0027】
このシンガスが、ガス分離装置1への原料ガスg0となる。原料ガスg0は、CO及びH
2の他、N
2、CO
2、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)等を含む。原料ガスg0中のCO
2濃度は例えば%オーダーであり、C
6H
6(ベンゼン)の濃度は例えば数千〜数ppmオーダーである。
原料ガスg0成分のうち、CO及びH
2が、回収すべき回収対象ガス成分である。
原料ガスg0成分のうち、CO
2や、C
6H
6等のBTEXが、除去すべき除去対象ガス成分である。
除去対象ガス成分の中でも、優先して除去すべき優先除去対象ガス成分は、BTEXである。C
6H
6等のBTEXは、後記の微生物培養に悪影響を及ぼす。
CO
2は、BTEXよりも除去の優先度が低い非優先除去対象ガス成分である。
【0028】
原料ガス供給手段2とガス利用部3との間にガス分離装置1が介在されている。ガス分離装置1において、原料ガスg0が回収対象ガス成分リッチの製品ガスg3(送りガス)と、除去対象ガス成分リッチの脱着ガスg2とに分離される。製品ガスg3は、CO及びH
2を主成分として含有する混合ガスである。製品ガスg3が、ガス利用部3へ供給され、種々の利用に供される。
例えば、ガス利用部3は、培養槽である。培養槽内において、微生物発酵によってエタノール等の有価物が生成される。
脱着ガスg2は、図示しない廃ガス処理部へ送られる。
【0029】
図2〜
図5は、ガス分離装置1を運転モードごとに示したものである。
なお、ガス分離装置1の後述する要素2p,11,12,22,23,31どうしは、複数の配管によって接続されている。各配管にバルブが設けられている。コントローラ(図示せず)によるバルブ制御によって各配管が開閉されることで、ガス分離装置1が複数の運転モード(
図2〜
図5)を選択的に実行する。図においては、簡便化のために、運転モードごとに、主に開通している配管をガス路2a,3a,3b,21,41として模式的に図示する。また、閉止している路は、基本的に図示を省略するが、一部の閉止している路については、適宜、白抜き線で示す。
【0030】
以下、特に断らない限り、ガス分離装置1は、
図2の運転モードにあるものとして説明する。
図2に示すように、ガス分離装置1は、吸着手段10を備えている。吸着手段10は、第1吸着槽11と、第2吸着槽12を含む。各吸着槽11,12には吸着剤13が収容されている。吸着剤13の材質としては、ゼオライト等が挙げられる。吸着剤13は、相対的に高圧下において原料ガスg0成分のうち除去対象ガス成分(C
6H
6、CO
2等)を選択的に吸着可能である。相対的に低圧下においては、前記吸着した成分(CO
2、C
6H
6等)を脱着する。
つまり、ゼオライト等の吸着剤13は、回収対象ガス成分(CO、H
2等)よりも除去対象ガス成分(C
6H
6、CO
2等)を吸着しやすい。除去対象ガス成分の中でも特にC
6H
6等のBTEXを吸着しやすい。CO
2は、BTEXと比べると吸着剤13による吸着性が低い低吸着性除去対象ガス成分である。吸着剤13は、BTEX、CO
2、COの順に吸着しやすい。
吸着剤13に対する圧力条件は、吸着時は大気圧よりも高圧で脱着時は大気圧よりも低圧に限られず、吸着時は大気圧よりも高圧で脱着時は大気圧であってもよく、吸着時は大気圧で脱着時は大気圧よりも低圧であってもよい。
【0031】
図1に示すように、原料ガス供給手段2から原料ガス路2aがガス分離装置1へ延びている。
図2に示すように、原料ガス路2aには、送気手段2pが設けられている。送気手段2pは、ブロアや圧縮機にて構成されている。
図示は省略するが、原料ガス路2aには、H
2S吸着剤、H
2O吸着剤、CO
2やBTEXの吸収剤が順次設けられていてもよい。
原料ガス路2aの下流端は、第1吸着槽11の第1ポート11aに接続されている。第1吸着槽11の第2ポート11bには、透過ガス路3b,3d、切り替え器31、送り路3eを順次介して、製品ガスバッファタンク3cが接続されている。バッファタンク3cには、前記製品ガスg3が溜められている。
図1及び
図2に示すように、バッファタンク3cから製品ガス路3aがガス利用部3へ延びている。
【0032】
なお、
図4に示すように、ガス分離装置1の運転モードによっては、原料ガス路2aの下流端が第2吸着槽12の第1ポート12aに接続され、透過ガス路3bの上流端が第2吸着槽12の第2ポート12bに接続される。詳細な図示は省略するが、原料ガス路2aにおける共通路部分2a’を構成する共通配管から分岐配管が分岐して各吸着槽11,12の第1ポート11a,12aへ延びている。送気手段2pは、共通路部分2a’に設けられている。また、第1吸着槽11からの透過ガス路3b(
図2、
図3)用の配管と、第2吸着槽12からの透過ガス路3b(
図4、
図5)用の配管とは、互いに合流されて、共通透過ガス路3d用の配管に連なっている。
【0033】
図2に示すように、共通透過ガス路3dと送り路3eとの間に切り替え器31(選択手段)が介在されている。切り替え器31は、例えば三方弁によって構成されている。切り替え器31は、前記コントローラ(図示せず)によって制御される。切り替え器31によって、後述する送りモード(送り工程)及び戻りモード(戻し工程)の何れか一方が選択される。
【0034】
図2に示すように、吸着槽12の第2ポート12bには、キャリアガス供給手段22が接続されている。キャリアガス供給手段22は、キャリアガス源22a及びキャリアガス供給路22bを含む。キャリアガスgcは、例えば窒素(N
2)である。吸着槽12の第1ポート12aから脱着ガス路21が延びている。脱着ガス路21には吸気手段23が設けられている。吸気手段23は、ブロアまたは真空ポンプなどで構成されている。キャリアガス供給手段22及び吸気手段23は、「脱着手段」を構成している。キャリアガス供給手段22及び吸気手段23のうち何れか一方を省略してもよい。吸気手段23より下流の脱着ガス路21は、前記廃ガス処理部(図示せず)へ延びている。
なお、
図4に示すように、ガス分離装置1の運転モードによっては、キャリアガス供給手段22が第1吸着槽11の第2ポート11bに接続され、脱着ガス路21の上流端が第1吸着槽11の第1ポート11aに接続される。
【0035】
図2に示すように、更にガス分離装置1は、戻し手段40を備えている。戻し手段40は、戻し路41と、戻しガスバッファタンク42(戻しガス蓄積手段)を含む。戻し路41の上流端が、切り替え器31に接続されている。
図2〜
図5に示すように、切り替え器31によって、戻し路41及び送り路3eのうち何れか一方と、共通透過ガス路3dとが選択的に接続される。
【0036】
図2に示すように、戻し路41の下流端は、原料ガス路2aに合流されている。好ましくは、戻し路41は、原料ガス路2aにおける共通路部分2a’に接続され、より好ましくは送気手段2pよりも上流側の路部分2a”に接続されている。
戻し路41の中途部にバッファタンク42が設けられている。バッファタンク42には、戻しガスg4が溜められている。バッファタンク42内の戻しガスg4は、製品ガスg3と同じガス成分を有し、かつ製品ガスg3よりも除去対象ガス成分の濃度が高い。
バッファタンク42より下流の戻し路41には、逆止弁44が設けられている。
【0037】
混合ガス製造・利用システムSの動作を、ガス分離装置1の動作を中心に説明する。
原料ガス供給手段2からの原料ガスg0がガス分離装置1へ供給される。
図2〜
図5に示すように、ガス分離装置1においては、各吸着槽11,12において吸着工程と脱着工程が交互に反復して実行される。かつ、第1吸着槽11が吸着工程のときは第2吸着槽12が脱着工程を行ない(
図2〜
図3)、第2吸着槽12が吸着工程のときは第1吸着槽11が脱着工程を行なう(
図4〜
図5)。
以下、
図6に示すように、第1吸着槽11が吸着側かつ第2吸着槽12が脱着側(
図2〜
図3)であるときを「第1吸着・脱着工程」と称し、第2吸着槽12が吸着側かつ第1吸着槽11が脱着側(
図4〜
図5)であるときを「第2吸着・脱着工程」と称す。
【0038】
<第1吸着・脱着工程(
図2〜
図3)>
第1吸着・脱着工程においては、前述したように、原料ガス路2aが第1吸着槽11の第1ポート11aに接続され、透過ガス路3bが第1吸着槽11の第2ポート11bに接続される。かつ、キャリアガス供給手段22が、第2吸着槽12の第2ポート12bに接続され、脱着ガス路21が、第2吸着槽12の第1ポート12aに接続される。
【0039】
<吸着工程>
原料ガスg0は、原料ガス路2aから吸着側の第1吸着槽11に供給される。原料ガスg0が第1吸着槽11を通る過程で、原料ガスg0中の除去対象ガス成分が第1吸着槽11の吸着剤13に吸着される。これによって、原料ガスg0が、回収対象ガス成分比率がリッチの透過ガスg1となる。
透過ガスg1が、第1吸着槽11から透過ガス路3bへ出される。
図6に示すように、透過ガスg1中の各ガス成分の濃度は、吸着槽11,12の吸着・脱着の交互実行に合わせて、周期的かつ規則的に変動する。
【0040】
<脱着工程>
吸着工程と併行して、キャリアガス供給手段22からキャリアガスgcが脱着側の第2吸着槽12に導入される。かつ、吸気手段23によって第2吸着槽12内が吸着工程時よりも低圧にされる。これによって、第2吸着槽12の吸着剤13から除去対象ガス成分が脱着され、第2吸着槽12の吸着能力が再生される。脱着された除去対象ガス成分がキャリアガスgcに担持されることで、脱着ガスg2が生成される。脱着ガスg2は、第2吸着槽12から脱着ガス路21へ出され、廃ガス処理部(図示せず)へ送られる。
【0041】
<第2吸着・脱着工程(
図4〜
図5)>
図6に示すように、第1吸着・脱着工程を一定の時間t
1実行後、第2吸着・脱着工程に切り替える。
図4〜
図5に示すように、第2吸着・脱着工程では、原料ガス路2aが第2吸着槽12の第1ポート12aに接続される。透過ガス路3bが第2吸着槽12の第2ポート12bに接続される。キャリアガス供給手段22が、第1吸着槽11の第2ポート11bに接続される。脱着ガス路21が、第1吸着槽11の第1ポート11aに接続される。
更に、戻し路41が、原料ガス路2aに合流され、ひいては原料ガス路2aを介して第2吸着槽12の第1ポート12aに接続される。戻し路41を、原料ガス路2aにおける共通路部分2a’に接続しておくことで、吸着・脱着工程の切り替えの度に、原料ガス路2aにおけるどの吸着槽11,12への分岐配管に戻し路41を接続すべきかを選択する必要がない。
【0042】
これによって、第2吸着槽12で吸着工程が行われることで、原料ガスg0が第2吸着槽12に加圧供給され、第2吸着槽12から透過ガスg1が透過ガス路3bへ出される。また、第1吸着槽11で脱着工程が行われることで、脱着ガスg2が第1吸着槽11から脱着ガス路21へ出され、第1吸着槽11の吸着能力が再生される。
【0043】
図6に示すように、第2吸着・脱着工程を一定の時間t
2実行後、第1吸着・脱着工程に切り替える。第1、第2吸着・脱着工程の継続実行時間t
1,t
2は、互いに等しい(t
1=t
2)。各継続実行時間t
1,t
2は、例えば1分程度である。1つの第1吸着・脱着工程の時間t
1と、1つの第2吸着・脱着工程の時間t
2の合計(t
1+t
2)が、吸着手段10の運転周期の1サイクルである。
なお、
図6のグラフは、共通透過ガス路3dにガス濃度センサ(
図7参照)を設けて実測したものである。透過ガスg1が第1吸着槽11(又は第2吸着槽12)から前記ガス濃度計へ達するまでの所要時間分だけ、第1、第2吸着・脱着工程の切り替えタイミングと、
図6に示すガス濃度変化の挙動との間にはタイムラグがある。
【0044】
更に、
図6に示すように、ガス分離装置1においては、送りモード(
図2、
図5)と、戻しモード(
図3、
図4)が交互に選択されて実行される。モードの切り替えは、切り替え器31によって行われる。
送りモードとしては、第1吸着・脱着工程内での送りモードFM
1と、第2吸着・脱着工程内での送りモードFM
2とがある。
戻しモードとしては、第1吸着・脱着工程の後期から第2吸着・脱着工程の初期へ跨る戻しモードRM
1と、第2吸着・脱着工程の後期から第1吸着・脱着工程の初期へ跨る戻しモードRM
2とがある。
送りモードFM
1,FM
2の継続時間t
FM(第1の所定時間)は、例えばt
FM=数十秒〜数十分程度である。
戻しモードRM
1,RM
2の継続時間t
RM(第2の所定時間)は、送りモードFM
1,FM
2の継続時間t
FMの例えば数分の1である。
1つの送りモードと1つの戻しモードの合計継続時間(t
FM+t
RM)は、第1、第2吸着・脱着工程の各継続時間t
1,t
2と等しい(t
FM+t
RM=t
1=t
2)。
【0045】
<送りモードFM
1>
図6に示すように、第1吸着・脱着工程における送りモードFM
1は、第1吸着・脱着工程の初期及び後期を除く期間中、実行される。
図2に示すように、送りモードFM
1においては、切り替え器31によって、共通透過ガス路3dと送り路3eとが連通され、かつ共通透過ガス路3dと戻し路41とが遮断される。
【0046】
<製品ガス蓄積工程>
図6に示すように、このとき、第1吸着槽11からの透過ガスg1中のCO
2、C
6H
6等の除去対象ガス成分濃度は十分に低くなっている。この透過ガスg1が、透過ガス路3b,3dから切り替え器31を経て、送り路3eへ送られる。この透過ガスg1が、製品ガスg3として、一旦バッファタンク3cに溜められる。バッファタンク3cによって、製品ガスg3の各成分の濃度変動及びガス流量を平均化できる。
<製品ガス供給工程>
バッファタンク3c内の製品ガスg3が、随時、製品ガス路3aを経て、ガス利用部3(
図1)へ供される。
【0047】
<第1吸着・脱着工程における戻しモードRM
1への切り替え(選択工程)>
図6に示すように、第1吸着・脱着工程内において、送りモードFM
1の継続時間が第1の所定時間t
FMに達したとき、戻しモードRM
1に切り替える。切り替えのタイミングは、好ましくは第1吸着・脱着工程の中期以降〜後期とし、より好ましくはCO
2等の除去対象ガス成分の濃度変化が立ち上がる付近になるよう設定する。
【0048】
<戻しモードRM
1>
図3に示すように、戻しモードRM
1においては、切り替え器31によって共通透過ガス路3dと戻し路41とが連通され、かつ共通透過ガス路3dと送り路3eとが遮断される。また、
図6に示すように、戻しモードRM
1では、第1吸着槽11からの透過ガスg1中のCO
2、C
6H
6等の除去対象ガス成分濃度が、前記送りモードFM
1での濃度よりも高くなっている。この透過ガスg1が、透過ガス路3b,3dから切り替え器31を経て、戻しガスg4として戻し路41へ送られる。
【0049】
<戻しガス蓄積工程>
戻しガスg4は、一旦バッファタンク42に蓄えられる。バッファタンク42において、戻しガスg4中の各ガス成分の濃度変動及びガス流量が平均化される。前述したように、戻しガスg4における除去対象ガス成分の濃度は、製品ガスg3における除去対象ガス成分の濃度よりも高い。
【0050】
<戻し工程>
この戻しガスg4を、バッファタンク42より下流の戻しガス路41を経て、原料ガス路2aに合流させる。これによって、戻しガスg4が、新たな原料ガスg0と一緒に第1吸着槽11へ戻され、再度吸着工程に付される。
戻し路41を原料ガス路2aにおける送気手段2pよりも上流側の路部分2a”に接続しておくことで、送気手段2pによって、戻しガスg4を戻しガス路41から原料ガス路2aへ引き込むことができる。要するに、送気手段2pが、戻しガスg4の送り手段を兼ねる。したがって、戻しガス路41に戻しガスg4専用の送気手段を設ける必要がない。
【0051】
なお、戻し工程は、好ましくはガス分離装置1の運転期間中、連続して行う。つまり、戻しモード(
図3、
図4)だけでなく、送りモード(
図2、
図5)においても、戻しガスg4を原料ガス路2aに合流させる。戻しガス蓄積工程においてバッファタンク42に戻しガスg4を蓄積しておくことによって、送りモードにおける戻しガスg4の流量を確保できる。
【0052】
<戻しモードにおける製品ガス供給工程>
更に、戻しモードでも、ガス利用部3への製品ガス供給工程を実行する。前述したように、送りモード時に製品ガスg3をバッファタンク3c内に蓄積しておくことによって、戻しモードにおいても、バッファタンク3cの製品ガスg3をガス利用部3(
図1)へ供給できる。ひいては、ガス分離装置1の運転中、常時、ガス利用部3へ製品ガスg3を安定供給できる。
【0053】
<戻しモードRM
1内における吸着・脱着工程への切り替え>
図6に示すように、戻しモードRM
1の実行中に、第1吸着・脱着工程(
図3)から第2吸着・脱着工程(
図4)へ切り替える。この切り替えのタイミングは、好ましくは、戻しモードRM
1の中期付近とし、より好ましくは、前記濃度センサによる除去対象ガス成分の測定濃度がピークになる付近になるよう設定する。
言い換えると、第1吸着・脱着工程から第2吸着・脱着工程へ切り替えた後も、切り替え器31を
図3の状態のまま維持し、戻しモードをしばらく継続して実行する。
図4に示すように、切り替え器31によって、共通透過ガス路3dと戻し路41とが連通され、かつ共通透過ガス路3dと送り路3eとが遮断される。これによって、第2吸着槽12からの透過ガスg1が、戻しガスg4として戻し路41へ送られ、バッファタンク42に蓄えられるとともに(戻しガス蓄積工程)、原料ガス路2aに合流されて第2吸着槽12へ戻される(戻し工程)。この結果、第2吸着槽12及びそれに連なる配管内に残留する除去対象ガス成分が製品ガスg3に混合されるのを防止できる
【0054】
<第2吸着・脱着工程における送りモードFM
2への切り替え(選択工程)>
図6に示すように、戻しモードRM
1の継続時間が所定時間t
RMに達したとき、送りモードFM
2(
図5)に切り替える。切り替えのタイミングは、好ましくはCO
2等の除去対象ガス成分の濃度変化が立ち下がった付近になるよう設定する。
【0055】
<送りモードFM
2>
これによって、第2吸着・脱着工程の初期過ぎ〜後期までは、送りモードFM
2が実行される。すなわち、
図5に示すように、切り替え器31によって、共通透過ガス路3dと送り路3eとが連通され、かつ共通透過ガス路3dと戻し路41とが遮断される。
図6に示すように、このとき、第2吸着槽12からの透過ガスg1中の除去対象ガス成分濃度は十分に低くなっている。この透過ガスg1が、切り替え器31及び送り路3eを経て、製品ガスg3として、バッファタンク3cに溜められる(製品ガス蓄積工程)。更に、バッファタンク3c内の製品ガスg3が、製品ガス路3aからガス利用部3(
図1)へ供される(製品ガス供給工程)。
【0056】
<第2吸着・脱着工程における戻しモードRM
2への切り替え(選択工程)>
図6に示すように、第2吸着・脱着工程内において、送りモードFM
2の継続時間が所定時間t
FMに達したとき、切り替え器31によって戻しモードRM
2に切り替える。つまり、ガス分離装置1を
図4に示す回路状態にする。このとき、第2吸着槽12からの透過ガスg1中の除去対象ガス成分濃度は相対的に高くなっている。この透過ガスg1が、戻しガスg4として戻し路41へ送られ、バッファタンク42に蓄えられるとともに(戻しガス蓄積工程)、原料ガス路2aに合流される(戻し工程)。
【0057】
<戻しモードRM
2内における吸着・脱着工程の切り替え>
更に、戻しモードRM
2の実行中に、第2吸着・脱着工程(
図4)から第1吸着・脱着工程(
図3)へ切り替える。言い換えると、
図3に示すように、第2吸着・脱着工程から第1吸着・脱着工程へ切り替えた後も、切り替え器31を
図4の状態のまま維持し、戻しモードRM
2をしばらく継続して実行する。これによって、第1吸着槽11及びそれに連なる配管内に残留する除去対象ガス成分が製品ガスg3に混合されるのを防止できる。
【0058】
<第1吸着・脱着工程における送りモードFM
1への切り替え(選択工程)>
図6に示すように、戻しモードRM
2の継続時間が所定時間t
RMに達したとき、送りモードFM
1(
図2)に切り替える。
以上の操作を繰り返す。
透過ガスg1中の各ガス成分の濃度変化は周期的かつ規則的であるから(
図6)、モード切り替えを時間管理によって行うことができる。
【0059】
ガス分離装置1によれば、透過ガスg1のガス成分濃度の周期的変動(運転周期)に合わせて、除去対象ガス成分が低濃度の期間は、送りモードを選択することで、透過ガスg1を製品ガスg3として利用に供することができ、除去対象ガス成分の濃度が比較的高い期間は、戻しモードを選択することで、透過ガスg1を製品ガスg3とはせずに戻しガスg4とすることができる。したがって、製品ガスg3の除去対象ガス成分濃度を低くでき、除去対象ガス成分に対する除去性能を確保できる。また、吸着、脱着の切り替え時間を必要以上に短くする必要がなく、切り替えに伴う回収対象ガス成分の排出頻度を抑えることができるから、回収対象ガス成分の回収率の低下を防止できる。この結果、除去性能と回収率を両立させることができる。更に、戻しガスg4を原料ガスg0に戻すことで、原料ガスg0の所要流量を減らすことができる。
【0060】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係るガス分離装置1Bを示したものである。ガス分離装置1Bにおいては、共通透過ガス路3dに濃度センサ35(濃度計測手段)が設けられている。濃度センサ35は、透過ガスg1中の除去対象ガス成分のうち1の計測対象ガス成分の濃度を計測する。計測対象ガス成分は、CO
2であることが好ましい。つまり、計測対象ガス成分は、除去対象ガス成分中、優先除去対象ガス成分(C
6H
6等のBTEX)より吸着手段10による吸着性が低い低吸着性除去対象ガス成分であることが好ましい。
【0061】
第2実施形態によれば、濃度センサ35の計測濃度に基づいて、送りモード及び戻りモードの選択を行なう。計測濃度が閾値未満であれば、送りモードを選択する。計測濃度が閾値以上であれば、戻しモードを選択する。これによって、透過ガスg1の実際の濃度変化に合わせてモード切り替えを行なうことができる。したがって、透過ガスg1の除去対象ガス成分が低濃度のときは、その透過ガスg1を確実に製品ガスg3とすることができ、除去対象ガス成分の濃度が比較的高いときは、その透過ガスg1を確実に戻しガスg4とすることができる。
【0062】
図6に示すように、吸着工程中の吸着槽11,12から出る透過ガスg1中のCO
2濃度は、C
6H
6濃度よりも早く立ち上がるから、CO
2を計測対象ガス成分とすることによって、C
6H
6濃度が未だ立ち上がっていないタイミングで戻しモードを行なうことができる。したがって、製品ガスg3中のC
6H
6濃度を確実に低くできる。
例えば、前記モード切り替えの閾値は、CO
2のピーク高さの例えば5%〜10%程度(好適には7%程度)の大きさに設定することが好ましい。
なお、C
6H
6等の他の除去対象ガス成分を計測対象ガスとしてもよい。センサ35は、濃度に代えて分圧を計測するものであってもよい。
【0063】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態を示したものである。第3実施形態のガス分離装置1Cでは、戻し手段40が、水蒸気改質器46(組成変換手段)を含んでいる。水蒸気改質器46は、戻し路41に介在されている。
図7においては、水蒸気改質器46は、バッファタンク42より下流側の戻し路41に設けられているが、バッファタンク42よりも切り替え器31側の戻し路41に設けられていてもよい。
【0064】
水蒸気改質器46は、戻しガスg4を触媒化学反応によって回収対象ガス成分リッチに組成変換させる。
詳しくは、水蒸気改質器46において下記の反応が行われる。
CO+H
2O→CO
2+H
2 (1)
これによって、戻しガスg4のH
2濃度を高めることができる。このH
2リッチの戻しガスg4を原料ガスg0に合流させる。
本実施形態は、CO及びH
2のうち特にH
2を精製したいときに有効であり、原料ガスg0の所要流量を一層低減することができる。
また、式(1)の逆反応CO+H
2O←CO
2+H
2を行わせることにより、COの多いガスを得ることができる。
【0065】
[第4実施形態]
図9〜
図12は、本発明の第4実施形態を示したものである。第4実施形態は、第2実施形態(
図7)の変形例である。
図9に示すように、第4実施形態のガス分離装置1Dには、透過ガス路3dに濃度計測手段35Dと遅延手段50が設けられている。
【0066】
濃度計測手段35Dは、採取部35aと、組成分析部35bを含む。採取部35aが透過ガス路3dに介在されている。採取部35aに組成分析部35bが接続されている。組成分析部35bは、質量分析器やガスクロマトグラフィー等によって構成されている。
組成分析部35bの検知信号線がコントローラ37に接続されている。詳細な図示は省略するが、コントローラ37は、CPU及び切り替え器駆動回路などを含む。コントローラ37の制御信号線が切り替え器31に接続されている。
コントローラ37と切り替え器31によって「選択手段」が構成されている。
【0067】
採取部35aにおいて、透過ガスg1の一部がサンプリングされる。サンプリングは、吸着槽11,12の運転周期に合わせて例えば1分間隔で行われる。
組成分析部35bにおいて、サンプリングしたガスg1の組成が分析される。具体的には、ガスg1中の除去対象成分、例えばC
6H
6の濃度が計測される。CO
2濃度を計測してもよい。
計測結果がコントローラ37に入力される。コントローラ37は、計測結果に基いて、三方弁等からなる切り替え器31を切替操作する。これによって、送りモード(
図9、及び
図5参照)と戻しモード(
図3,
図4参照)の何れかが選択する。
採取部35aにおけるサンプリング(計測開始)から切り替え器31の操作(選択の実行)までの処理時間t
Sは、例えばt
S=1分程度である。
【0068】
採取部35aと切り替え器31との間の透過ガス路3dに遅延手段50が設けられている。遅延手段50は、遅延路51を含む。遅延路51ひいては遅延手段50は、ガスが、ある遅延時間t
Dをかけて通り抜け可能なように構成されている。遅延時間t
Dは、前記計測の開始から選択実行までの処理時間t
Sに応じて設定されている。
例えば、遅延時間t
Dは、処理時間t
Sの2分の1以上、2倍以下である(t
D=0.5t
S〜2t
S)。好ましくは、遅延時間t
Dは、処理時間t
Sに十分に近いか(例えばt
D=0.8t
S〜1.2t
S)、処理時間t
S程度の大きさである(t
D≒t
S)。
ここでは、遅延時間t
Dは、t
D=1分程度に設定されている。
【0069】
更に、遅延手段50は、好ましくは、遅延路51内でガスがほとんど混合されず、遅延路51内に相対的に先に入ったガス部分が、相対的に後に入ったガス部分よりも先に流出されるように構成されている。
【0070】
具体例として、
図10に示すように、遅延手段50は、円筒形状になっている。遅延手段50の内部が、仕切り54によって例えば4段(複数段)の遅延室52に区画されている。
図11に示すように、各段の遅延室52内には、遅延路部分53が形成されている。遅延路部分53は、同心多重円形状になっており、かつ多重をなす円形路部分53aどうしが折り返し路部分53bを介して一筆書き状に連なっている。
【0071】
図10に示すように、各段の仕切り54の所定箇所(外周部又は中央部)には連通路54cが形成されている。上下に隣接する遅延路部分53,53どうしが、連通路54cを介して連なっている。ひいては複数段(4段)の遅延路部分53が一列に連なり、遅延路51が構成されている。
【0072】
図10に示すように、最も上流側の段(
図10において最下段)の遅延路部分53の入口51cに、採取部35aからの透過ガス路3d1が連なっている。最も下流側の段(
図10において最上段)の遅延路部分53の出口51eから下流側の透過ガス路3d2が切り替え器31へ延びている。
【0073】
今、第1吸着槽11からの透過ガスg1の除去対象成分(例えばC
6H
6)の濃度が上昇して閾値を超えたものとする。この透過ガスg1が、1分程度の時間(t
D)をかけて遅延路51を流れる。その間、濃度計測手段35Dが透過ガスg1を濃度計測してコントローラ37が判定することで、前記閾値越えから約1分後(t
S)に、コントローラ37が切り替え器31を切替操作(選択実行)する。
これによって、閾値越え前の透過ガスg1はバッファタンク3cへ送ることができ、かつ、閾値越えした透過ガスg1は、戻し路41から原料ガス路2aへ戻すことができる。逆に言うと、閾値越えした透過ガスg1を、前記処理時間t
S中、バッファタンク3cへ送るのを防止できる。
この結果、製品ガスg3への除去対象成分(C
6H
6等)のコンタミネーションを防止又は抑制でき、濃度計測手段35D及びコントローラ37の動作タイムラグを補償することができる。
【0074】
図12は、原料ガス供給手段2からの原料ガスg0のC
6H
6濃度(数直線目盛)が周期的に変動するとした場合における、バッファタンク3cの出口での製品ガス路3aの製品ガスg3のC
6H
6濃度変化(対数目盛)をシミュレーションしたものである。
同図の<対策無し>は、戻し工程を具備せず、透過ガスg1を常に製品ガスg3とする場合である。
同図の<モード選択のみ>は、第1実施形態(
図2〜
図5)の、遅延手段50が無いガス分離装置1で運転した場合である。
図12の<遅延有り>は、本実施形態(
図9)の、遅延手段50付きのガス分離装置1Dで運転した場合である。
製品ガスg3におけるC
6H
6濃度は、対策無しよりもモード選択する場合(
図2〜
図5)のほうが低下し、遅延手段50によって透過ガスg1を遅延させることで更に低下することが確認された。
【0075】
図13は、
図12の<モード選択のみ>又は<遅延有り>において、バッファタンク3cへの流入ガス量の変化をシミュレーションしたものである。戻しモードによって透過ガスg1を原料ガス路2aへ戻したとしても、戻さない場合の概略75%程度のガス量を確保できることが確認された。
【0076】
なお、第4実施形態において、遅延手段50は、複数段のチャンバーを連ねたものであってもよい。各チャンバー内では多少混合されたとしても、遅延手段50全体としては、相対的に先に入ったガス部分が、相対的に後に入ったガス部分よりも先に流出される。
遅延手段50は、長いパイプで構成されていてもよい。パイプは、コイル状にしたり蛇行させたりすることによってコンパクト化することが好ましい。
第4実施形態において、戻し工程では、遅延手段50内のガスを逆流させて、入口51cからガスを流出させて吸着手段10へ戻してもよい。すなわち、遅延手段50に相対的に後に入ったガス部分を先に戻してもよい。
【0077】
本発明におけるモード切り替えタイミングは、吸着手段10の運転周期に限られず、原料ガス供給手段2の運転周期等に合わせてもよい。
また、透過ガスg1を戻しガスg4として戻すのに限られず、脱着ガスg2等を戻しガスとして戻してもよい。
[第5実施形態]
図14及び
図15は、本発明の第5実施形態を示したものである。
廃棄物処理施設からなる原料ガス供給手段2においては、燃焼させる廃棄物の供給間隔等のために、原料ガスg0の各ガス成分濃度が変動する。変動の時間スケールは、吸着手段10の運転周期より十分に長く、例えば1時間程度である。つまり、原料ガスg0中のCO
2等の濃度が、例えば1時間程度のスケールで変動する。
一方、吸着槽11,12の吸着剤13は、CO
2(除去対象ガス成分)に対して高い吸着性を有しているが、CO(回収対象ガス成分)に対しても多少の吸着性を有している。原料ガスg0中のCO
2濃度が低下しすぎると、吸着剤13がCOを吸着することで、COの回収率が低下してしまう。
【0078】
そこで、第5実施形態のガス分離装置1Eにおいては、原料ガスg0中のCO
2濃度(又はCO
2分圧)に応じて、送りモードと戻しモードを切り替えている。
図14に示すように、原料ガス路2aには、濃度センサ35E(計測手段)が設けられている。濃度センサ35Eは、原料ガス路2aにおけるCO
2濃度を計測する。
また、第5実施形態における、送りモードにするか戻しモードにするかの対象は、透過ガスg1ではなく、脱着ガスg2である。脱着ガスg2を、送りモードでは、送りガスg2aとし(
図14)、戻しモードでは、戻しガスg2bとしている(
図15)。
【0079】
図14に示すように、脱着ガス路21における吸引ポンプ23より下流側には、モード切り替えのための切り替え器24(選択手段)が設けられている。切り替え器24は、三方弁等を含み、脱着ガス路21を、脱着ガス排出路21bと戻し路26の何れか一方に選択的に接続する。脱着ガス排出路21bには排ガス処理部25が設けられている。戻し路26は、原料ガス路2aに接続されている。
【0080】
図14に示すように、平常時、すなわち原料ガスg0中のCO
2濃度が通常範囲であるときは、ガス分離装置1Eは、送りモードになっている。送りモードにおける切り替え器24は、脱着ガス路21と脱着ガス排出路21bとを連通させ、戻し路26を遮断する。これによって、脱着ガス路21からの脱着ガスg2が、送りガスg2aとして、排ガス処理部25へ送られる。排ガス処理部25では、脱着ガスg2を燃焼させて除害する。除害後のガスは系外へ排出される。
【0081】
また、第5実施形態では、第1実施形態と同様の第1吸着・脱着工程(
図14、
図15)と、第2吸着・脱着工程(図示省略)が交互に実行される。
図14に示すように、第1吸着・脱着工程では、原料ガスg0を第1吸着槽11に供給し、第1吸着槽11においてBTEX、CO
2等の除去対象ガス成分の吸着を行なう。かつ、N
2等のキャリアガスgcを第2吸着槽12に供給し、第2吸着槽12において脱着を行なう。
図示は省略するが、第2吸着・脱着工程では、原料ガスg0を第2吸着槽12に供給し、第2吸着槽12においてBTEX、CO
2等の除去対象ガス成分の吸着を行なう。かつ、キャリアガスgcを第1吸着槽11に供給し、第1吸着槽11において脱着を行なう。
以下の説明では、特に断らない限り、吸着手段10は、第1及び第2吸着・脱着工程のうち、第1吸着・脱着工程を実行しているものとする(後述する第6実施形態等においても同様)。
図14に示すように、送りモードでは、脱着工程中の第2吸着槽12の第2ポート12bには、キャリアガス供給路22bが接続され、第1ポート12aには脱着ガス路21が接続される。
【0082】
ガス分離装置1Eは、濃度センサ35Eによって原料ガスg0中のCO
2濃度を監視する。濃度センサ35Eの計測濃度が閾値を下回ったときは、戻しモード(
図15)に切り替える。戻しモードにおいては、第1吸着・脱着工程と第2吸着・脱着工程の交互実行を継続しながら、脱着ガスg2を、戻しガスg2bとして吸着工程へ戻す。
【0083】
詳しくは、
図15に示すように、戻しモードにおける切り替え器24は、脱着ガス路21と戻し路26とを連通させ、脱着ガス排出路21bを遮断する。これによって、脱着工程中の第2吸着槽12からのCO
2リッチの脱着ガスg2が、戻しガスg2bとして、戻し路26を経て、原料ガス路2aの原料ガスg0と混合されながら、吸着工程中の第1吸着槽11に戻される。これによって、第1吸着槽11内のCO
2濃度を上昇させることができる。そして、第1吸着槽11の吸着剤13にCO
2を吸着させることで、原料ガスg0中のCOが吸着剤13に吸着されるのを防止できる。或いは、第1吸着槽11の吸着剤13にCOが吸着されていたときは、そのCOをCO
2に置換することができる。
この結果、CO(回収対象ガス成分)の回収率を高めることができる。
【0084】
脱着工程中の第2吸着槽12内のBTEX濃度は、通常、第2ポート12b側のほうが第1ポート12a側よりも低い。そこで、
図15に示すように、好ましくは、戻しモードにおける脱着工程中の第2吸着槽12の第1ポート12aには、キャリアガス供給路22bが接続され、第2ポート12bには脱着ガス路21が接続される。これによって、第2ポート12bから戻しガスg2bを取り出すことができ、BTEXが第1吸着槽11へ移されるのを防止又は抑制できる。つまり、脱着ガスg2であっても、BTEX等の優先除去対象ガス成分の濃度又は分圧が原料ガスg0より低い状態であれば、戻しガスg2bとすることができる。
【0085】
ガス分離装置1Eにおいては、第1実施形態の戻し手段40(
図2参照)が省略されている。
なお、ガス分離装置1Eにおいても、戻し手段40を付加して、吸着手段10の運転周期に合わせた戻しガスg4(
図2)の戻し工程を併行して行なうことにしてもよい。
また、キャリアガス供給路22bを第2吸着槽12に接続せずに、脱着ガス路21の負圧吸引によって脱着することとしてもよい。
【0086】
[第6実施形態]
図16は、本発明の第6実施形態を示したものである。第6実施形態は、第5実施形態(
図14及び
図15)と同様に、吸着手段10の運転周期から離れた長い時間スケールでの、原料ガス状態の変化に対応するものである。ガス分離装置1Fは、原料ガスg0中の例えばCO
2濃度に応じて、戻し工程を実行するか否かを選択する。かつ、ガス分離装置1Fにおいては、製品ガスg3すなわち透過ガスg1を組成変換することによって、組成変換後の透過ガスを、戻しガスg5bとしている。戻しガスg5bは、BTEXのような優先除去対象ガス成分をほとんど含まず、水分やH
2Sをも適宜除去されたクリーンなCO
2リッチガスである。
【0087】
詳しくは、ガス分離装置1Fの製品ガス路3a(送りガス路)には、追加前処理部61を介して培養槽62が接続されている。
追加前処理部61は、製品ガスg3(透過ガス)中の不純物を温度スイング吸着(TSA)、触媒、活性炭等によって除去する。前記不純物としては、吸着手段10で除去しきれなかったC
6H
6をはじめとするBTEX、酸素(O
2)、アセチレン(C
2H
2)が挙げられる。酸素及びアセチレンは、製品ガスg3中のH
2と触媒反応させて、水蒸気やエチレン等の後記培養に無害な成分に変換させる。その後、製品ガスg3(透過ガス)が培養槽62に供給される。
【0088】
培養槽62においては、例えば液状培地中で嫌気性の微生物が培養されている。該微生物は、製品ガスg3(透過ガス)中のCO及びH
2を摂取して、有価物のエタノール(C
2H
6O)を発酵生成する。その他、酢酸、ブタンジオール、イソプレン等も発酵生成する。このような微生物としては、例えば特開2014−050406号公報、国際公開第2011/087380号、米国特許US2013/0065282等に開示された嫌気性細菌を用いることができる。
前記発酵生成物を含む液状培地が精製部63へ送られ、精製部63においてエタノールが精製される。
【0089】
下式(1)〜(2)に示すように、培養槽62でのエタノールの発酵生成時には、マスバランスやエネルギーバランスを保つために、CO
2が生成される。
6CO+3H
2O→C
2H
6O+4CO
2 (1)
6H
2+2CO
2→C
2H
6O+3H
2O (2)
つまり、COとH
2が6モルずつ消費されると、2モルのエタノールが生成されるとともに、CO
2が4−2=2モル発生する。
したがって、培養槽62からのオフガスg5は、CO
2リッチである。つまり、透過ガスg1が、培養槽62において組成変換され、CO
2リッチになる。培養槽62は、組成変換手段を構成する。
【0090】
培養槽62からオフガス路64が延びている。オフガス路64は、三方弁等の方向制御弁64Vを介してベント路65と戻し路66に分岐されている。戻し路66には、オフガス処理部67と、バッファタンク68(戻しガス蓄積手段)と、圧力・流量調整開閉バルブ69が、方向制御弁64V側から順次設けられている。
【0091】
オフガス処理部67は、オフガスg5の脱硫や脱水等の処理を行なう。脱硫と脱水の両方の処理を行ってもよく、脱硫と脱水の何れか一方の処理だけを行なってもよい。オフガスg5の組成状態に応じて必要な処理を選択して実行してもよい。
脱硫や脱水処理後のオフガスg5は、バッファタンク68に溜められることで均質化される。
圧力・流量調整開閉バルブ69は、圧力調整又は流量調整機能と開閉機能を具備している。通常、圧力・流量調整開閉バルブ69の上流側の戻し路66ひいてはオフガス路64の圧力は、大気圧の1.05倍〜数倍であり、原料ガスg0の圧力(大気圧+α)より高い。
戻し路66の下流端は、原料ガス路2aに接続されている。
戻し路66とバッファタンク68と圧力・流量調整開閉バルブ69によって、戻し手段が構成されている。
なお、戻し路66に戻し用圧送ポンプ(図示省略)を設けてもよい。戻し手段が、前記戻し用圧送ポンプを更に含んでいてもよい。
【0092】
ガス分離装置1Fの通常時における吸着手段10の動作は、第1実施形態と同様であり、第1吸着・脱着工程と、第2吸着・脱着工程が交互に実行される。通常時における圧力・流量調整開閉バルブ69は、閉止されている。
【0093】
ガス分離装置
1Fは、前記第1及び第2吸着・脱着工程の交互実行と併行して、濃度センサ35Eによって原料ガスg0中のCO
2濃度を監視する。濃度センサ35Eの計測濃度が閾値を下回ったときは、圧力・流量調整開閉バルブ69を開き、オフガスg5の戻し工程を実行する。これによって、バッファタンク68のオフガスg5、すなわち組成変換後のCO
2リッチの透過ガスが、戻しガスg5bとして、原料ガス路2aとの合流部へ流れる。かつ、圧力・流量調整開閉バルブ69によって、戻しガスg5bの流量を調節し、必要以上に戻されないようにする。
戻しガスg5bは、原料ガス路2aの原料ガスg0と合流し、吸着工程中の第1吸着槽11に戻される。したがって、第1吸着槽11内のCO
2濃度を高めることができ、第1吸着槽11の吸着剤13に戻しガスg5bのCO
2を吸着させることで、原料ガスg0中のCOが吸着剤13に吸着されるのを防止できる。或いは、第1吸着槽11の吸着剤13にCOが吸着されていたときは、そのCOをCO
2に置換することができる。
この結果、CO(回収対象ガス成分)の回収率を高めることができる。戻しガスg5bは、BTEXのような優先除去対象ガス成分をほとんど含んでいないから、戻し手段40による戻し流量を少なくでき、製品ガスg3の生成効率を高めることができる。更に、H
2SやH
2Oが適宜除去されたオフガスg5を戻しガスg5bとして用いることで、吸着手段10の吸着能力が損なわれるのを防止できる。
【0094】
下記の表1〜3は、原料ガスg0の組成等について3つのパターンを想定し、ガス分離装置1Fの各所でのガス組成等をシミュレーションしたものである。
表1の<平常モード>は、原料ガスg0が通常の組成である場合である。
表2の<比較モード>は、原料ガスg0のCO
2濃度が低下したときに戻し工程を行なわなかった場合である。
表3の<実施モード>は、原料ガスg0のCO
2濃度が低下したときに戻し工程を行なった場合である。
比較モード(表2)の脱着ガスg2中のCO量(9モル)に対して、実施モード(表3)の脱着ガスg2中のCO量(4モル)が小さくなった。このことから、第6実施形態の戻し工程を行なうことで、系外へ排出されるCOを少なくでき、それだけCOの回収率を高めることができ、エタノールの生成量を増やすことができることが確認された。
【0098】
なお、第6実施形態(
図16)において、切り替え器31及び戻し手段40は省略してもよい。吸着手段10の運転周期に合わせた戻しガスg4の戻しモードを省略してもよい。濃度センサ35Eによって、CO
2に代えて、C
6H
6(又は他のBTEX)等の濃度をモニタリングすることにしてもよい。
【0099】
[第7実施形態]
図17〜
図18は、本発明の第7実施形態を示したものである。
図17に示すように、第7実施形態のガス分離装置1Gは、切り替え器31及び戻し手段40を備えている。
透過ガス路3dには、濃度センサ38G(濃度計測手段)が設けられている。第7実施形態においては、第2実施形態(
図7)と同様に、濃度センサ38Gの計測結果に応じて、送りモードか戻りモードかが選択される。平常時は、送りモードであり、切り替え器31によって透過ガス路3dと送り路3eとが開通され、かつ戻し路41が遮断されている。
【0100】
製品ガス路3aには、追加前処理部61を介して培養槽62が接続されている。培養槽62において有価物のエタノール(C
2H
6O)等が生成され、精製部63においてエタノールが精製される。培養槽62からのオフガスg5(組成変換後の透過ガスg1)は、CO
2リッチになる。培養槽62からオフガス路64が延びている。オフガス路64は、方向制御弁64Vを介してベント路65と戻し路66に分岐されている。戻し路66には、オフガス処理部67、バッファタンク68、及び圧力・流量調整開閉バルブ69が設けられている。戻し路66は、吸着手段10へ延びている。
追加前処理部61及び培養槽62(組成変換手段)から戻し路66の下流端までのラインによって、パージ手段60が構成されている。
【0101】
図18に示すように、ガス分離装置1Gの基本動作は、既述の実施形態と概略同じであり、第1吸着槽11での第1吸着工程及び第2吸着槽12での第2脱着工程を行なう期間と、第2吸着槽12での第2吸着工程及び第1吸着槽11での第1脱着工程を行なう期間とが交互に繰り返される。
第7実施形態のガス分離装置1Gの動作が、既述実施形態と大きく異なる点は、各吸着槽11,12における吸着工程から脱着工程への切り替え時に、パージ工程が実行される点である。すなわち、第1吸着槽11では、第1吸着工程から第1脱着工程へ移行する際、第1パージ工程が実行される。第2吸着槽12では、第2吸着工程から第2脱着工程へ移行する際、第2パージ工程が実行される。
【0102】
詳しくは、
図17に示すように、第1パージ工程では、バルブ69が開通され、バッファタンク68からのCO
2リッチのオフガスg5が、パージガスg5p(戻しガス)として、戻し路66から第1吸着槽11に導入される。好ましくは、パージガスg5pは、第1ポート11aから第1吸着槽11に導入される。
原料ガスg0の供給は停止される。したがって、第1ポート11aへはCO
2リッチのパージガスg5pのみが導入される。CO
2は、除去対象ガス成分の1つではあるが、ppmオーダーまで除去すべきC
6H
6等のBTEX(優先除去対象ガス成分)と比べると、除去の優先度が低く、パージガスg5pの主成分として適用可能である。
図18に示すように、第1吸着工程から第1パージ工程への切り替えタイミングは、第1吸着槽11からの透過ガスg1中のCO
2濃度が立ち上がり、かつC
6H
6濃度がまだ立ち上がっていない段階に設定することが好ましい。
【0103】
パージガスg5pの導入に伴って、第1吸着槽11内のガスが、第2ポート11bへ押し出されて、透過ガスg1となる。当該透過ガスg1は、C
6H
6等のBTEX(優先除去対象ガス成分)を殆ど含んでおらず、製品ガスg3として利用可能である。
パージガスg5pは、CO
2リッチであるために、第1吸着槽11の吸着剤13にCOが吸着されるのを防止できる。第1吸着槽11の吸着剤13にCOが吸着されていたときは、それをCO
2に置換できる。置換によって遊離されたCOは、第2ポート11bから押し出されて透過ガスg1の成分となり、ひいては製品ガスg3の成分となる。これによって、回収率を高めることができる。
好ましくは、1回のパージ工程におけるパージガスg5pの総供給量は、吸着槽11内の空隙体積より少しだけ多めになるよう設定する。これによって、吸着槽11の全域を確実にパージして回収率を高めるとともに、CO
2リッチのパージガスg5pがそのまま製品ガスg3となって培養槽62へ送られるのを防止できる。
【0104】
ガス分離装置1Gにおいては、濃度センサ38Gによって、透過ガスg1のC
6H
6濃度を計測する。C
6H
6濃度が閾値を超えたときは、戻しモード(図示省略)に切り替えられる。すなわち、切り替え器31によって、透過ガス路3dと送り路3eとが遮断され、かつ透過ガス路3dと戻し路41とが連通される。これによって、閾値超えした量のC
6H
6のBTEX(優先除去対象ガス成分)が培養槽62へ送られるのを防止できる。特に、パージ工程において、BTEXが培養槽62へ送られるのを防止できる。
【0105】
図18に示すように、第1吸着槽11では、第1パージ工程の後、バルブ69が閉止され、第1脱着工程に移行される。図示は省略するが、第1吸着槽11の第1脱着工程では、キャリアガスgcが第1吸着槽11へ供給されて脱着が実行される。前記第1パージ工程によって第1吸着槽11内にはCOが殆ど存在しなくなっているから、第1吸着槽11から系外へ放出されるCOを殆ど無くすことができる。
【0106】
第1脱着工程の開始と同期して、第2吸着槽12における第2吸着工程が実行される。そして、第2吸着工程の終了時には、第2パージ工程が実行される。第2パージ工程では、バッファタンク68からのCO
2リッチのオフガスg5が、パージガスg5pとして、第2吸着槽12に導入される。好ましくは、第1ポート12aから第2吸着槽12に導入される。
このパージガスg5pによって、第2吸着槽12内のガスをパージできる。第2吸着槽12の吸着剤13にCOが吸着されていたときは、それをCO
2に置換して、COを遊離できる。
【0107】
その後、第2吸着槽12における第2パージ工程が終了され、第2脱着工程に切り替えられる。
前記第2パージ工程によって第2吸着槽12内にはCOが殆ど存在しなくなっているから、次の第2脱着工程において、第2吸着槽12から系外へ放出されるCOを殆ど無くすことができる。
この結果、ガス分離装置1Gの運転の全期間を通じて、系外へ放出されるCOは殆どゼロである。したがって、CO(回収対象成分)の回収率を十分に高めることができる。理論的には、CO回収率を100%にすることも可能である。
なお、
図18では、第1吸着槽11における第1パージ工程から第1脱着工程への切り替えと、第2吸着槽12における第2脱着工程から第2吸着工程への切り替えとが同時に行われているが、必ずしも同時に限られず、これら切り替えタイミングが相前後していてもよい。第2吸着槽12における第2パージ工程から第2脱着工程への切り替え時と、第1吸着槽11における第1脱着工程から第1吸着工程への切り替え時の関係についても同様であり、必ずしも同時に限られず、これら切り替えタイミングが相前後していてもよい。
【0108】
[第8実施形態]
図19は、本発明の第8実施形態を示したものである。第8実施形態は、第7実施形態(
図17及び
図18)の変形例に係る。
第8実施形態のガス分離装置1Hにおいては、吸着手段10の各吸着槽11,12の中間部にポート11c,12cが設けられている。パージ手段60の戻し路66がこれらポート11c,12cに接続可能になっている。戻し路66は、方向制御弁66
Vを介して、下端戻し路66aと、中間戻し路66cとに分岐されている。
【0109】
第1吸着槽11に対する第1パージ工程の前期(この状態の図示省略)には、下端戻し路66aが、第1吸着槽11の下端のポート11aに接続される。中間戻し路66cは閉止されている。これによって、CO
2リッチのパージガスg5pが、下端ポート11aから第1吸着槽11内に導入される。このパージガスg5pによって、第1吸着槽11内の主に下側部のガスをパージできる。第1吸着槽
11の下側部の吸着剤13にCOが吸着されていたときは、それをCO
2に置換して、COを遊離できる。遊離したCOは、パージによって第1吸着槽11内の上側部へ移される。
【0110】
図19に示すように、第1パージ工程の後期には、中間戻し路66cが、第1吸着槽11の中間ポート11cに接続される。下端戻し路66aは閉止される。これによって、CO
2リッチのパージガスg5pが、中間ポート11cから第1吸着槽11内に導入され、第1吸着槽11内を上端のポート11bへ向かって流れる。このパージガスg5pによって、第1吸着槽11内の上側部のガスをパージできる。したがって、第1吸着槽11内の下側部に吸着されたBTEXがパージされて透過ガスg1に混じるのを防止できる。また、第1吸着槽
11内の上側部の吸着剤13は、下側部に比べてBTEXの吸着量が少ない。したがって、透過ガスg1にBTEXが混じるのを一層防止できる。この結果、第1パージ工程の期間中、送りモードを確実に実行できる。
【0111】
同様に、第2吸着槽11に対する第2パージ工程でも、前期は、下端戻し路66aを下端ポート12aに接続し、後期は、中間戻し路66cを中間ポート12cに接続する。
【0112】
[第9実施形態]
図20は、本発明の第9実施形態を示したものである。第9実施形態は、第7実施形態(
図17及び
図18)に、第4実施形態(
図9〜
図12)の遅延手段50を組み合わせた変形例である。ガス分離装置1Kにおいては、透過路3dに、濃度計測手段35Dと、遅延手段50と、切り替え器31が設けられている。濃度計測手段35Dによって、透過ガスg1中のC
6H
6(優先除去対象成分)の濃度が計測される。計測結果に基いて、コントローラ37が切り替え器31を切替操作する。
計測から切替操作までの処理時間tsに相当する遅延時間t
Dをかけて、透過ガスg1が遅延手段50の遅延路51内を流れる。
これによって、パージ工程等の際に、BTEX濃度が閾値以下の透過ガスg1に対しては、確実に送りモードを実行でき、閾値越えした透過ガスg1に対しては確実に戻しモードを実行できる。この結果、製品ガスg3にC
6H
6等の優先除去対象ガス成分が混じるのを十分に防止できる。
【0113】
第7〜第9実施形態のパージ工程における吸着槽11,12でのパージガスg5pの流れ方向は、吸着工程におけるガス流と同じ向であったが、
図21に示すように、吸着工程におけるガス流とは逆向きにしてもよい。
【0114】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、吸着手段10が、吸着槽11,12を3つ以上有していてもよい。吸着手段10が、吸着槽を1つだけ有していてもよい。
吸着手段10が原料ガスg0中の回収対象ガス成分を選択的に吸着し、除去対象ガス成分を透過させるようになっていてもよい(前記方法(2))。脱着ガスg2を、製品ガスg3又は戻しガスg4としてもよい。切り替え器31が、脱着ガスg2を、製品ガスg3とする送りモードと戻しガスg4とする戻しモードとの何れかを選択してもよい。戻しガスg4とされた脱着ガスg2をバッファタンク42に蓄積してもよい。
脱着ガスg2中のCO
2、C
6H
6等を製品ガスとして利用するシステムに、本発明を適用してもよい。脱着ガスg2中に前記目的ガス成分(CO
2、C
6H
6)の他に除去対象成分として例えばO
2が含まれている場合、脱着ガスg2中のO
2濃度が低いときは、その脱着ガスg2を製品ガス(送りガス)とする送りモードを選択し、脱着ガスg2中のO
2濃度が比較的高いときは、その脱着ガスg2を戻しガスとする戻しモードを選択してもよい。
戻し路41を、原料ガス路2aを介さずに、吸着手段10に直接に接続してもよい。戻しガスg4を吸着手段10に直接導入し、吸着手段10内において原料ガスg0と戻しガスg4が合流されるようになっていてもよい。
バッファタンク42を省略してもよい。戻しガスg4を、バッファタンク42を介さずに、直接原料ガスg0と合流させてもよい。
濃度センサ35で計測する計測対象ガス成分は、除去対象ガス成分に限られず、回収対象ガス成分でもよい。
原料ガスg0をモニタリングすることで、原料ガスg0中のCO
2等の特定成分の濃度に応じて、モード又は戻し工程可否を選択してもよい。
透過ガスg1をモニタリングすることで、透過ガスg1中のBTEXやCO
2等の特定成分の濃度に応じて、モード又は戻し工程可否を選択してもよい。
脱着ガスg2をモニタリングすることで、脱着ガスg2中のBTEXやCO
2等の特定成分の濃度に応じて、モード又は戻し工程可否を選択してもよい。
組成変換前の透過ガス又は脱着ガスの状態に応じて、モード又は戻し工程可否を選択してもよく、組成変換後の透過ガス又は脱着ガスの状態に応じて、モード又は戻し工程可否を選択してもよい。
組成変換手段としては、培養槽62に限られず、触媒反応器、活性炭などを用いてもよい。前記触媒反応器においては、前記透過ガスを触媒反応させて有機物を合成する。触媒反応器における触媒としては、例えば、ロジウム、マンガン、リチウム、マグネシウム等の金属触媒が挙げられる。