【実施例】
【0064】
実施例1:SF3B1変異により、正常でないスプライシングが系列特異的に誘導される
[090]多数の腫瘍型にわたるSF3B1変異(「SF3B1
MUT」)に関連するスプライシングの変化を調査するために、RNA−Seq数量化及びディファレンシャルスプライシングパイプラインを開発し、それを使用して以下の試料からRNA−Seqプロファイルを解析した:
The Cancer Genome Atlas(TCGA;16種のがんの型の全部で81名の患者に由来する)における全てのSF3B1
MUT試料、並びに、TCGAにおける乳がんコホート(20)及び黒色腫コホート(20)のそれぞれに由来する、40例の野生型SF3B1(SF3B1
WT)試料、
Lymphoma/Myeloma Service in the Division of Hematology/Oncology at the New York Weill Cornell Medical Centerから入手した7例のSF3B1
MUT CLL患者試料及び7例のSF3B1
WT CLL患者試料。
【0065】
RNA−Seq定量化方法
[091]アノテートされていないスプライスバリアントの発見を容易にするために、スプライスジャンクションをアラインメント(BAMファイル)から直接数量化した。内部で生成されたRNA−Seqデータに関して、読み取りをヒト参照ゲノムhg19(GRCh37)に対してMapSpliceによってアラインメントし、TCGA「RNASeqV2」パイプライン(https://cghub.ucsc.edu/docs/tcga/UNC_mRNAseq_summary.pdf参照)をエミュレートするTCGA GAF 2.1アイソフォーム及び遺伝子定義に対するRSEMによって数量化した。MapSpliceによって生成されたスプライスジャンクション計数を下流の処理に使用した。TCGA RNA−Seqデータに関しては、MapSpliceによって生成された包括的なスプライスジャンクション計数は利用不可能であり、その代わりに、TCGA「レベル3」スプライスジャンクションデータにより、参照トランスクリプトームに由来する所定のスプライスジャンクションセットのマッピングされた読み取り計数が報告される。内部で生成されたRNA−Seq試料と同等のゲノムワイドなスプライスジャンクション計数を再構築するために、未加工のRNA−Seqアラインメント(BAMファイル)をCGHub(https://cghub.ucsc.edu/)から入手し、潜在的なスプライスジャンクションにまたがる任意の読み取りを直接計数した。RSEMにより推定された遺伝子発現読み取り計数をTCGA RNA−Seq V2レベル3データマトリックスから直接集約した。
【0066】
[092]MapSpliceではエクソン−エクソンジャンクション計数のみがもたらされるので、イントロン−リテンションスプライスバリアントを同定するためには各イントロン−エクソンジャンクションにまたがる読み取り計数の推定値が必要であった。各BAMファイルにおけるあらゆるスプライスジャンクションについて、3’及び5’イントロン−エクソンジャンクションのそれぞれにわたって少なくとも3bpのオーバーハングを有する読み取りを計数した。
【0067】
[093]BAMファイル内のスプライスされた読み取りの操作の全てについて、samtoolsの「pysam」伸長(Li,Hら、「The Sequence Alignment/Map format and SAMtools.」、Bioinformatics、2009年8月15日;25(16):2078−9)を使用する、カスタムPythonモジュール「splicedbam」(https://github.com/h3biomed/splicedbamで入手可能)を使用した。
【0068】
[094]一部の実施例では、スプライスジャンクションは、時々、シークエンシング及びアラインメントの誤差に起因して非常に低い計数を有した。したがって、SF3B1
WTコホート又はSF3B1
MUTコホートのいずれかに由来する、平均で少なくとも合計10計数を有するスプライスジャンクションのみを下流の解析に含めた。
【0069】
ディファレンシャルスプライシング検出方法
[095]一方のコホートにおいてもう一方のコホートと比較してディファレンシャルスプライスバリアントの使用を検出するために、遺伝子発現の変化及び所定の代替スプライシングモデルとは独立して、スプライスジャンクション計数を多数の可能性のあるジャンクションを有するスプライス部位におけるジャンクション使用の百分率に変換する、コンピュータによるディファレンシャルスプライシングパイプラインを開発した。ジャンクション使用の百分率は、1つのスプライスバリアントの、同じスプライス部位を共有する他の全てのスプライスバリアントと比較した出現の測定値である。例えば、代替3’スプライス部位を有するスプライスバリアントは、5’スプライス部位を別のスプライスバリアントと共有しなければならない。したがって、共有されるスプライス部位のそれぞれについて、各スプライスバリアントの未加工の計数を、共有されるスプライス部位を利用する全てのスプライスバリアントの総計数で割って比を導き出した。次いで、この比に100を掛けて百分率に変換した。各試料について、同じスプライス部位を共有するスプライスバリアントの百分率の全ての合計は100と等しくなる。各スプライスバリアントの未加工の計数を、スプライス部位を共有する全てのスプライスバリアントに対する百分率に変換することは、それ自体が遺伝子発現の変化の影響を低減するための正規化である。標準ジャンクション及び異常ジャンクションについての百分率は表1にそれぞれ「Avg WT%」及び「Avg Ab.%」として列挙されている。これらの百分率の差異を、Bioconductor’s limmaパッケージ(http://www.bioconductor.orgで入手可能)において定義されているモデレートt検定を使用することによって統計的有意性について評価した。統計学的p値を、Benjamini−Hochberg手順を使用して補正してq値にし、表1に「FDR Q値」として列挙した。0.05以下のq値を満たすあらゆるスプライスバリアントを統計的に有意であるとした。
【0070】
[096]未加工のジャンクション計数を百分率ジャンクション使用に変換することにより、一部の実施例、すなわち、スプライスバリアントが生じる遺伝子が一方のコホートでは発現するが、もう一方のコホートでは発現が非常に低い又は全く発現しない場合では、ノイズが導入される可能性がある。これに取り組むために、追加的なフィルタリングステップを導入した。上記のq値の閾値を満たす、SF3B1
MUT試料において上方制御されたスプライスバリアントのそれぞれについて、その対応する標準スプライスバリアントは、SF3B1
MUT試料では下方制御されるはずであり、また、異常スプライスバリアントであるとされる上方制御されたスプライスバリアントについてのq値の閾値を満たすはずである。
【0071】
ネオモルフィックSF3B1
MUT患者試料における異常スプライスバリアントの同定
[097]最初に、この枠組みを、The Cancer Genome Atlas(TCGA;ルミナルA型原発性乳がん:7例のSF3B1
K700E及び20例のSF3B1
WT;転移性黒色腫:4例のSF3B1
MUT;及び20例のSF3B1
WT)並びに内部で生成された7例のSF3B1
MUT及び7例のSF3B1
WTCLL患者試料からの既知のSF3B1
MUTがん又は野生型対応物のサブセットに適用した。この解析により、626種の異常スプライスジャンクションがSF3B1
MUTにおいてSF3B1
WTと比較して有意に上方制御されることが明らかになった。異常スプライシング事象の大部分で代替3’ssが使用される(表1参照、「事象」の列)。
【0072】
[098]異常スプライシング事象のコンピュータによるスクリーニングにより、ネオモルフィックSF3B1
MUT試料において乳がん、黒色腫及びCLLにおける腫瘍特異的スプライシング事象のパターンが明らかになった(表1)。さらに、腫瘍非特異的事象(すなわち、少なくとも2つの腫瘍型において見いだされるスプライシング事象)のセットが観察された。腫瘍特異的スプライシング事象を伴う遺伝子の一部のスプライスバリアントが、mRNA発現がより高い遺伝子において生じ、これにより、観察された腫瘍特異的スプライシングの一部が遺伝子発現の差異に起因することが示される(
図2)。
【0073】
[099]がんの型にわたる全てのSF3B1バリアントにおける異常スプライシングの影響を特徴付けるために、TCGAにおける14種のがんの型からの残りの70名のSF3B1
MUT患者についてのRNA−Seqデータを数量化し、全部で136例の試料を使用して教師なしクラスタリング解析を行った。このクラスタリングにより、ネオモルフィックSF3B1変異体に関連するスプライシング事象と野生型SF3B1又は非ネオモルフィックSF3B1変異体に関連するスプライシング事象が分離された。例えば、乳がん(SF3B1
K666E、SF3B1
N626D)、肺腺癌(SF3B1
K741N、SF3B1
G740V)、及び膀胱がん(SF3B1
R625C)患者試料におけるスプライシング事象はSF3B1
K700Eネオモルフィック試料におけるスプライシング事象と一緒にクラスタリングされ、一方、他のSF3B1変異体試料についてのスプライシングプロファイルは同じ腫瘍型のSF3B1
WT試料のスプライシングプロファイルと同様であったので、乳がん(SF3B1
K666E、SF3B1
N626D)、肺腺癌(SF3B1
K741N、SF3B1
G740V)、及び膀胱がん(SF3B1
R625C)患者試料では、ネオモルフィックSF3B1変異体に関連するスプライシングパターンが観察された。スプライシングプロファイルがネオモルフィックSF3B1変異体のスプライシングプロファイルと一緒にクラスタリングされたSF3B1変異体の一覧表が表3、1列目に提示されている。ネオモルフィックであることが予測される追加的なSF3B1変異が表3、2列目に列挙されている。表3に提示されている全ての変異の位置を示す概略図が
図3に示されている。
【0074】
【表3】
実施例2:細胞株における異常スプライスバリアントの検証
[0100]細胞株モデルにおける異常スプライシングを、American Type Culture Collection[ATCC]又はRIKEN BioResource Centerから入手し、指示通り培養した内在性SF3B1ネオモルフィック変異(膵臓腺癌Panc 05.04:SF3B1
Q699H/K700E二重変異体;転移性黒色腫Colo829:SF3B1
P718L;及び肺がんNCI−H358:SF3B1
A745Vを有する細胞株のパネルについての、並びに、同じ腫瘍型(膵臓腺癌Panc 10.05、HPAF−II、MIAPaCa−2、Panc04.03、PK−59、肺がんNCI−H358、NCI−H1792、NCI H1650、NCI H1975、NCI H1838)又は同じ患者の正常対照細胞(エプスタイン・バーウイルス[EBV]により形質転換したBリンパ芽球colo829BL)のいずれかに由来するいくつかのSF3B1
WT細胞株からのRNA−Seqプロファイルを収集することによって解析した。SF3B1
K700E(Nalm−6 SF3B1
K700E)又は同義の変異(Nalm−6 SF3B1
K700K)を発現するようにAAV媒介性相同性によって操作した同質遺伝子型プレB細胞株(Nalm−6)からもRNA−Seqプロファイルを収集した。Horizon Discoveryにおいて生成された同質遺伝子細胞株Nalm−6 SF3B1
K700E及びNalm−6 SF3B1
K700Kを、選択のためにジェネテシン(0.7mg/ml、Life Technologies)の存在下で培養した。RNA−Seq解析は全て、実施例1において患者試料について記載されているものと同じパイプラインを使用して実施した。患者において同定された異常スプライスジャンクションを使用した細胞株の教師なしクラスタリングにより、Panc 05.04及びNalm−6 SF3B1
K700Eと野生型及び他のSF3B1変異体細胞の明白な分離がもたらされた。
【0075】
[0101]異常スプライスバリアント及び標準スプライスバリアントを数量化するために、ナノストリング(登録商標)アッセイを展開し、同じ細胞パネルを使用して検証した。ナノストリング(登録商標)アッセイのために、ナノストリング(登録商標)プローブのカスタムパネルを使用したエヌカウンター(nCounter)(登録商標)(ナノストリングテクノロジーズ(NanoString Technologies)(登録商標))発現アッセイのための鋳型として、精製された全RNA750ngを使用した。65℃で終夜のハイブリダイゼーションのために試料の調製を推奨の通りセットアップした(ナノストリング(登録商標)Technologiesプロトコール番号C−0003−02)。翌日、試料を、高感度プロトコール(ナノストリング(登録商標)Technologiesプロトコール番号MAN−C0029−05)を使用して自動エヌカウンター(登録商標)アナリシスシステムプレップステーション(nCounter(登録商標)Analysis System Prep Station)によって処理し、その後、検出のために1150FOVを使用してエヌカウンター(商標)(登録商標)アナリシスシステムデジタルアナライザー(nCounter(登録商標)Analysis System Digital Analyzer)(プロトコール番号MAN−C0021−01)によって処理した。データをダウンロードし、品質管理測定基準及び正規化のために、エヌソルバー(nSolver)(商標)アナリシス ソフトウェア(nSolver(登録商標)Analysis Software)(ナノストリングテクノロジーズ(登録商標))を使用して解析した。データを、まず、製造者によって提供された陽性アッセイ対照(ナノストリング(登録商標)陽性対照A〜F[in vitroで転写されたRNA転写物を128fM、32fM、8fM、2fM、0.5fM、及び0.125fMの濃度で含有し、それぞれナノストリング(登録商標)レポーターコードセットプローブ(NanoString(登録商標)Reporter CodeSet probes)と予備混合されたもの]))を使用して、レーン毎の変動について正規化した。正規化因子が<0.3及び>3の試料はいずれもさらなる解析には考慮しなかった。この後、GAPDH、EEF1A1及びRPLP0の幾何平均を使用した含有量正規化を行った。全ての試料が推奨される0.1〜10の正規化因子の範囲内であった。次いで、正規化された値のそれぞれを確認して、そのレーンについて記録されたバックグラウンドシグナルの平均よりも少なくとも2標準偏差高いことを確実にした。これを下回る値はいずれも検出限界を下回るものとした。これらの正規化された値はさらなるバイオインフォマティクス及び統計解析のために取得した。
【0076】
[0102]RNA−Seq解析において観察された通り、Panc 05.04及び同質遺伝子型Nalm−6 SF3B1
K700E細胞株のみで異常スプライシングの明白な存在が示された(
図4)。
【0077】
SF3B1変異体SF3B1
Q699Hの分析
[0103]Panc 05.04細胞株は、ネオモルフィック変異SF3B1
K700E及び699位における追加的な変異(SF3B1
Q699H)を有する。この第2の変異の機能的関連性を評価するために、ナノストリング(登録商標)によるRNAの分析のためにSF3B1
Q699H変異体SF3B1タンパク質及びSF3B1
K700E変異体SF3B1タンパク質を単独で又は組み合わせて293FT細胞において発現させた(
図5)。変異体を293FT細胞において発現させるために、ゲートウェイ技術(Gateway technology)(Life Technologies)を使用して哺乳動物発現プラスミドを生成した。まず、HAタグmxSF3B1野生型(Yokoi,Aら、「Biological validation that SF3b is a target of the antitumor macrolide pladienolide.」、FEBS J.278:4870−4880 [2011])をPCRによってpDONR221にクローニングし、次いで、部位特異的変異誘発キット(QuikChange II XL、Agilent)を使用して変異を導入した。LR反応を実施して、HAタグmxSF3B1野生型及び変異体の全てをpcDNA−DEST40(Life Technologies)にクローニングした。製造者の指示に従って培養した293FT細胞(Life Technologies)を6ウェル/プレートに播種し、Fugene(Roche)を使用して、生成したプラスミドでトランスフェクトした。pcDNA−DEST40 HA−mxSF3B1構築物当たり1μgのDNAを3連反復実験で生成した各一過性トランスフェクションに使用した。トランスフェクションの48時間後、細胞を収集して、それぞれウエスタンブロット及びナノストリング(登録商標)分析のためにタンパク質及びRNAを単離した。RIPA(Boston BioProducts)を用いて細胞を溶解させることによってタンパク質抽出物を調製した。タンパク質23μgをSDS−PAGEゲルにローディングし、SF3B1抗体(a−SAP 155、MBL)及び抗GAPDH(Sigma)を使用して同定した。Li−Corロバ抗マウス800CW及びLi−Cor ロバ抗ウサギ800CWを二次抗体として使用し、オデッセイイメージャー(Odyssey imager)(Li−Cor)によって検出した。RNAを細胞から単離し、MagMax for Microarray及びSuperscript VILO II(Life Technologies)をそれぞれ製造者のマニュアルに従って使用して逆転写し、次いで、ナノストリング(登録商標)アッセイを用いて分析した。
【0078】
[0104]SF3B1
K700E及びSF3B1
Q699H/K700Eの発現により、異常スプライシングが誘導されたが、SF3B1
Q699H単独で又はSF3B1
A745V又はSF3B1
R1074H(スプライソソーム阻害剤プラジエノライドBに対する抵抗性を付与する置換)では異常スプライシングは誘導されず(
図6)、これにより、SF3B1
Q999Hが非機能的置換であることが示される。
【0079】
[0105]これらのデータにより、Panc 05.04及びNalm−6 SF3B1
K700E同質遺伝子細胞が、SF3B1ネオモルフィック変異の機能活性及びスプライシング阻害剤の活性をin vitro及びin vivoにおいて試験するための代表的なモデルであることが確認される。
【0080】
実施例3:ネオモルフィックSF3B1変異により、正常でないmRNAスプライシングが誘導される
[0106]SF3B1
MUTがんにおいて見いだされるネオモルフィック変異の機能活性を、SF3B1
WT、ネオモルフィックSF3B1変異体、又はSF3B1
K700R(SF3B1
WT患者と一緒にクラスタリングされる腎明細胞癌患者において観察される変異)を293FT細胞において発現させ、ナノストリング(登録商標)によってスプライシング異常を決定することにより分析した。全ての構築物の発現をウエスタンブロットによって確認した(
図7)。試験した全てのSF3B1ネオモルフィック変異で患者試料において観察される代替スプライス部位の同じ使用が示されたが(
図8の「MUTアイソフォーム」)、SF3B1
K700R及びSF3B1
WTでは異常スプライシングは示されなかった(
図8)。さらに、SF3B1構築物のいずれの発現によっても、全体的な遺伝子発現(
図8の「全遺伝子」)も標準スプライシングアイソフォーム(
図8の「WTアイソフォーム」)も変化しなかった。これにより、患者試料のRNA−Seq解析によって示されたのと同じく、ネオモルフィックSF3B1変異の存在と代替スプライシングの相関、並びに異なるネオモルフィック変異の類似した機能活性が示される。
【0081】
[0107]SF3B1
K700Eネオモルフィック変異と異常スプライシングの相関を、Panc 05.04細胞株及びPanc 10.05細胞株(それぞれネオモルフィックSF3B1
MUT細胞株及びSF3B1
WT細胞株;American Type Culture Collection[ATCC]又はRIKEN BioResource Centerから入手し、指示通り培養したもの)においてネオモルフィックSF3B1変異体又はSF3B1
WT対立遺伝子を選択的にノックダウンさせるテトラサイクリン誘導性shRNAを使用して分析した。
【0082】
[0108]ノックダウン実験のために、shRNAをコードするウイルスを、製造者の指示に従って培養したLentiX−293T細胞(Clontech)において調製した。誘導性shRNAをpLKO−iKD−H1 puroベクターのAgeI及びEcoRIにクローニングした。ヘアピンの配列は、
shRNA #13 SF3B1
PANGCGAGACACACTGGTATTAAG(配列番号1180)、
shRNA #8 SF3B1
WTTGTGGATGAGCAGCAGAAAGT(配列番号1181)、及び
shRNA #96 SF3B1
MUTGATGAGCAGCATGAAGTTCGG(配列番号1182)
であった。
【0083】
[0109]細胞に、標的pLKO−shRNAプラスミド2.4μgと、それに加えてp Δ8.91(パッケージング)2.4μg、及びVSVG(エンベロープ)0.6μgを、TransIT試薬(Mirus)を使用してトランスフェクトした。ウイルスを使用して、Panc 05.04及びPanc 10.05に、ポリブレン(Millipore)を使用したスピンインフェクションによって感染させた。感染の翌日、細胞を選択培地(1.25μg/mlのピューロマイシン[Life Technologies])で7日間培養して、shRNA発現細胞を選択した。選択された細胞をドキシサイクリン塩酸塩(100ng/mL;Sigma)の存在下又は不在下で培養して、shRNAを誘導した。誘導後4日目に、タンパク質及びRNAのために細胞を回収した。さらに、細胞を、コロニー形成アッセイ及びCellTiter−Glo(登録商標)アッセイ(Promega)のために播種した。9日目に、細胞を、ホルムアルデヒドを用いて固定し、クリスタルバイオレットを用いて染色した。
【0084】
[0110]ウエスタンブロットを使用してSF3B1ノックダウンを確認するために、RIPA(Boston BioProducts)を用いて細胞を溶解させることによってタンパク質抽出物を調製した。各試料に由来するタンパク質20〜25μgをSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロースメンブレン(iblot、Life Technologies)に転写した。メンブレンをまずオデッセイブロッキングバッファー(Odyssey Blocking Buffer)(Li−Cor)を用いてブロッキングし、次いで、SF3B1抗体(a−SAP 155、MBL)及び抗GAPDH(Sigma)と一緒にインキュベートした。Li−Corロバ抗マウス800CW及びLi−Corロバ抗ウサギ800CWを二次抗体として使用し、オデッセイイメージャー(Li−Cor)によって検出した。
【0085】
[0111]対立遺伝子特異的qPCRによってSF3B1ノックダウンを確認するために、RNAを細胞から単離し、MagMax for Microarray及びSuperscript VILO II(Life Technologies)をそれぞれ製造者のマニュアルに従って使用して逆転写した。ViiA7(Life Technologies)を使用してqPCRを実施した。反応にはcDNA20〜50ng、Power SYBR green master mix(Life Technologies)及びプライマー300nMを含めた。以下のプライマーを使用した:
SF3B1
WT:FW 5’−GACTTCCTTCTTTATTGCCCTTC(配列番号1183)及びRW 5’−AGCACTGATGGTCCGAACTTTC(配列番号1184)、
SF3B1
MUT:FW 5’−GTGTGCAAAAGCAAGAAGTCC(配列番号1185)及びRW 5’−GCACTGATGGTCCGAACTTCA(配列番号1186)、
SF3B1
PAN:FW 5’−GCTTGGCGGTGGGAAAGAGAAATTG(配列番号1187)及びRW 5’−AACCAGTCATACCACCCAAAGGTGTTG(配列番号1188)、
β−アクチン(内部標準):FW 5’−GGCACCCAGCACAATGAAGATCAAG(配列番号1189)及びRW 5’−ACTCGTCATACTCCTGCTTGCTGATC(配列番号1190)。
【0086】
生物学的3連反復実験及び技術的3連反復実験を実施した。
【0087】
[0112]ウエスタンブロッティング及び対立遺伝子特異的PCRのどちらによってもSF3B1対立遺伝子のノックダウンが確認された(
図9及び10)。
【0088】
[0113]SF3B1変異の発現と異常スプライシングの関連を決定するために、ドキシサイクリン誘導性ノックダウン後に細胞から単離したRNAをナノストリング(登録商標)によって分析した。Panc 05.04では、ネオモルフィックSF3B1
MUT対立遺伝子のノックダウン後に、異常スプライスバリアントが下方制御され、標準スプライスバリアントが上方制御されたが、SF3B1
WT対立遺伝子の選択的枯渇では逆のことが観察され(
図11A)、これにより、ネオモルフィックSF3B1
MUTタンパク質が野生型スプライシング活性を有さないことが示される。Panc 10.05細胞では、全shRNAの発現により、全てのスプライスバリアントの制御、並びにSF3B1
WTの枯渇が誘導された(
図11B)。Panc05.04細胞では、SF3B1
PANノックダウンによりどちらの細胞株の成長及びコロニー形成も損なわれたが、ネオモルフィックSF3B1
MUTの選択的枯渇では、最小の影響が観察された(
図12及び13)。Panc 05.04細胞においてSF3B1
WT対立遺伝子をノックダウンした場合には生存能力への部分的な影響が観察されたが、SF3B1
PANノックダウンではコロニー形成及び細胞増殖が妨げられ(
図12及び14)、これにより、SF3B1の全阻害により、in vitro及びin vivoにおける抗腫瘍活性が導かれることが示される。
【0089】
実施例4:ネオモルフィックSF3B1
MUTスプライシングの調節
スプライシングに対するE7107の全体的な影響
[0114]E7107は、U2 snRNP関連複合体SF3Bを標的とすることによってスプライシングを阻害する小分子化合物である(Kotake,Yら、「Splicing factor SF3b as a target of the antitumor natural product pladienolide.」、Nat Chem Biol 3、570−575、doi:10.1038/nchembio.2007.16[2007])。以下の通り、基質Ad2(Pellizzoni,L、Kataoka,N、Charroux,B&Dreyfuss,G、「A novel function for SMN、the spinal muscular atrophy disease gene product、in pre−mRNA splicing.」、Cell 95、615−624[1998])及びFlagタグSF3B1
WT又はSF3B1
K700Eを発現するNalm−6同質遺伝子細胞株又は293F細胞(Life Technologies;製造者の指示に従って培養したもの)からの核抽出物を使用したin vitroスプライシングアッセイ(IVS)において、スプライシングを阻害するE7107の能力が観察された。
【0090】
[0115]pFLAG−CMV−2−SF3B1プラスミドをトランスフェクトした293F細胞から、又は同質遺伝子型Nalm−6細胞(SBH Sciences)から、核抽出物を調製した。mxSF3B1遺伝子をpFLAG−CMV2(Sigma)にHindIII部位及びKpnI部位にクローニングすることによってプラスミドを生成し、変異mxSF3B1
K700E、mxSF3B1
R1074H及びmxSF3B1
K700E−R1074Hを、同じ部位特異的変異誘発キットを使用して導入した。細胞ペレットを低張性緩衝液(10mMのHEPES、pH7.9、1.5mMのMgCl
2、10mMのKCl、0.2mMのPMSF、及び0.5mMのDTT;Nalm−6細胞については、40mMのKClを使用した)に再懸濁させた。懸濁液を合計5圧縮細胞量(PCV)まで育てた。遠心分離後、上清を廃棄し、細胞を、低張性緩衝液を用いて3PCVまで育て、氷上で10分インキュベートした。細胞を、ダウンス型ホモジナイザーを使用して溶解させ、次いで、遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを1/2圧縮核量(PNV)の低塩濃度緩衝液(20mMのHEPES、pH7.9、1.5mMのMgCl
2、20mMのKCl、0.2mMのEDTA、25%グリセロール、0.2mMのPMSF、0.5mMのDTT)に再懸濁させ、その後、1/2PNVの高塩濃度緩衝液(1.4MのKClを使用した以外は低塩緩衝液と同じ)に再懸濁させた。核を30分にわたって穏やかに混合した後、遠心分離した。次いで、上清(核抽出物)を貯蔵緩衝液(20mMのHEPES、pH7.9、100mMのKCl、0.2mMのEDTA、20%グリセロール、0.2mMのPMSF、0.5mMのDTT)中に透析した。タンパク質濃度を、ナノドロップ(NanoDrop)8000 UV−Vis分光光度計(Thermo Scientific)を使用して決定した。
【0091】
[0116]in vitroスプライシング(IVS)反応のために、Ad2由来の配列(Pellizzoni,L、Kataoka,N、Charroux,B&Dreyfuss,G、「A novel function for SMN,the spinal muscular atrophy disease gene product,in pre−mRNA splicing.」、Cell 95、615−624[1998])をpGEM−3Zベクター(Promega)にEcoRI制限部位及びXbaI制限部位を使用してクローニングした。得られたpGEM−3Z−Ad2プラスミドを、XbaIを使用して直線化し、精製し、TE緩衝液に再懸濁し、in vitro転写反応においてDNA鋳型として使用した。Ad2 mRNA前駆体を、それぞれメガスクリプト(MEGAScript)T7及びメガクリア(MegaClear)キット(Invitrogen)を使用して生成し、精製した。核抽出物80μg、20UのRNAsinリボヌクレアーゼ阻害剤(Promega)、Ad2 mRNA前駆体10ng、及び種々の濃度のE7107を使用してスプライシング反応液20μLを調製した。15分間のプレインキュベーション後、活性化緩衝液(0.5mMのATP、20mMのクレアチンリン酸、1.6mMのMgCl
2)を添加してスプライシングを開始させ、反応液を90分間インキュベートした。RNAを、RNeasy 96 Kit(Qiagen)からの改変プロトコールを使用して抽出した。スプライシング反応をBuffer RLT Plus(Qiagen)350μL中でクエンチし、1.5体積のエタノールを添加した。混合物をRNeasy 96プレートに移し、試料をキットプロトコールに記載されている通り処理した。RNAをdH
2Oで1/10に希釈した。RT−qPCR反応液10μLを、TaqMan RNA−to−CT 1−step kit(Life Technologies)、RNA8.5μL、及びAd2 mRNAプライマー/プローブセット(FW 5’ACTCTCTTCCGCATCGCTGT(配列番号1191)、RW 5’CCGACGGGTTTCCGATCCAA(配列番号1192)及びプローブ 5’CTGTTGGGCTCGCGGTTG(配列番号1193))1μLを使用して調製した。
【0092】
[0117]pSF3B1を評価するために、in vitroスプライシング反応液を上記の通り調製した。反応をクエンチするために、6×レムリバッファー(Laemmli Buffer)(Boston Bioproducts)を添加し、試料をSDS−PAGEゲル(Life Technologies)に供した。分離されたタンパク質をニトロセルロースメンブレンに転写し、次いで、ブロッキング緩衝液(50%オデッセイブロッキングバッファー(Odyssey Blocking Buffer)(Li−Cor Biosciences)及び50%TBST)を用いてブロッキングした。ブロットを抗SF3B1抗体と一緒に終夜インキュベートし、TBSTで何回か洗浄した後、IRDye 680LTロバ−α−マウス−IgG抗体と一緒にインキュベートし、オデッセイCLxイメージングシステム(Odyssey CLx imaging system)(Li−Cor Biosciences)を使用して可視化した。
【0093】
[0118]E7107は、FlagタグSF3B1
WT又はSF3B1
K700Eを発現するNalm−6細胞又は293F細胞のどちらに由来する核抽出物においてもスプライシングを阻害することができた(
図15A及び15B)。
【0094】
E7107は、SF3B1
WTタンパク質及びSF3B1
K700Eタンパク質の両方に結合する
[0119]SF3B1
WTタンパク質及びSF3B1
K700Eタンパク質の両方に結合するE7107の能力を、一過性にトランスフェクトした293F細胞に由来する、抗Flag抗体で免疫沈降するFlagタグSF3B1タンパク質を使用した競合結合アッセイにおいて評価した。抗体のビーズへのバッチ固定化を、抗SF3B1抗体(MBL International)80μgと抗マウスPVT SPAシンチレーションビーズ(PerkinElmer)24mgを30分インキュベートすることによって調製した。遠心分離後、抗体−ビーズ混合物を、PhosSTOPホスファターゼ阻害剤カクテル(Roche)及び完全なULTRAプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を補充したPBSに再懸濁させた。核抽出物を、40mgを総体積16mLのPBS中にホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤と一緒に希釈し、混合物を遠心分離することによって調製した。上清をきれいなチューブに移し、抗体−ビーズ混合物を添加し、2時間インキュベートした。ビーズを遠心分離し、PBS+0.1%トリトンX−100(Triton X−100)で2回洗浄し、PBS4.8mLを用いて再懸濁させた。スラリー及び種々の濃度のE7107を使用して結合反応液100μLを調製した。室温で15分間のプレインキュベーション後、
3H−プローブ分子(Kotake,Yら、Splicing factor SF3b as a target of the antitumor natural product pladienolide.Nat Chem Biol 3、570−575、doi:10.1038/nchembio.2007.16[2007]に記載されている)1nMを添加した。混合物を室温で15分インキュベートし、マイクロベータ2プレートカウンター(MicroBeta2 Plate Counter)(PerkinElmer)を使用して発光シグナルを読み取った。
【0095】
[0120]
図16Aに示されている通り、E7107は、SF3B1
WT(IC
50:13nM)又はSF3B1
K700E(IC
50:11nM)のいずれに対する
3Hプローブ分子の結合も同様に競合的に阻害することができた。
【0096】
正常スプライシング及び異常スプライシングに対するE7107及び他の化合物の効果
[0121]E7107を、in vitroでNalm−6同質遺伝子細胞株においても、SF3B1
WTタンパク質及びSF3B1
K700Eタンパク質によって誘導される正常スプライシング及び異常スプライシングを調節する能力について試験した。Nalm−6同質遺伝子細胞を漸増濃度のE7107で6時間処理し、RNAをqPCRによって分析した。
図16Bに示されている通り、標準スプライシングが観察され、EIF4A1のmRNA前駆体の蓄積及び成熟mRNA SLC25A19の下方制御がどちらの細胞株においても観察された。さらに、COASY及びZDHHC16の2つの正常にスプライシングされなかったアイソフォームの成熟mRNAの下方制御がNalm−6 SF3B1
K700Eにおいて観察された(
図16B)。
【0097】
[0122]正常スプライシング及び異常スプライシングに対するE7107のより広範な活性を調査するために、15nMで2時間及び6時間処理したNalm−6同質遺伝子細胞由来のRNAをナノストリング(登録商標)によって分析した。どちらの同質遺伝子細胞株においても2時間の時点ではスプライシングの部分的な阻害のみが観察され、遺伝子のレベルでは、WT関連アイソフォーム、及びMUT関連アイソフォーム発現が観察された。6時間の処理後、数量化した全てのアイソフォームについて明白な阻害が検出された(
図17)。15nMのE7107で6時間処理した同質遺伝子細胞株のRNA−Seq解析により、同様の結果が得られた(
図18)。式1又は2を有する追加的な化合物の1つで処理した後の同質遺伝子細胞株における正常スプライシング及び異常スプライシングもRNA−Seqによって分析した。E7107と同様に、これらの追加的な化合物のそれぞれにより、WT関連RNAアイソフォーム及びMUT関連RNAアイソフォームの発現が阻害された(
図19;化合物は、垂直方向のグラフの対のそれぞれの上の式番号によって示される)。RNA−Seq解析のために、細胞を、E7107又は他の試験化合物で処理した後にPBSで洗浄し、RNAを、PureLink(Life Technology)を使用して、製造者のマニュアルに報告されている通り単離した。cDNAライブラリー調製、シークエンシング及び未加工の読み取りのフィルタリングをRen,Sら、「RNA−Seq analysis of prostate cancer in the Chinese population identifies recurrent gene fusions、cancer−associated long noncoding RNAs and aberrant alternative splicings.」、Cell Res 22、806−821、doi:10.1038/cr.2012.30(2012)に記載されている通り実施した。
【0098】
[0123]さらに、スプライシングを調節するE7107の能力を、ヒト腫瘍異種移植片を有するマウスにおいて試験した。Nalm−6同質遺伝子型異種移植マウスを、10×10
6個のNalm−6同質遺伝子細胞をCB17−SCIDマウスの側腹部の皮下に埋め込むことによって生成し、これらのマウスから、E7107(5mg/kg)を単回静脈内(IV)投薬した後の異なる時点で腫瘍を採取し、分析して化合物濃度及びスプライシング制御を決定した。RNAを、リボピュア(RiboPure)(商標)RNA精製キット(アンビオン(Ambion)(登録商標))を使用して腫瘍から単離し、ナノストリング(登録商標)アッセイ又はqPCRのために使用した。RNAをスーパースクリプト(SuperScript)(登録商標)VILO(商標)cDNA合成キット(インビトロジェン(Invitrogen)(商標))の指示に従って逆転写し、cDNA0.04μlをqPCRに使用した。mRNA前駆体EIF4A1及び成熟mRNA SLC24A19についてのqPCR並びに薬物動態評価をEskens,F A.ら、「Phase I pharmacokinetic及びpharmacodynamic study of the first−in−class spliceosome inhibitor E7107 in patients with advanced solid tumors.」、Clin Cancer Res 19、6296−6304、doi:10.1158/1078−0432.CCR−13−0485(2013)に記載されている通り実施した。ZDHHC16に対して使用したプライマー及びプローブは以下のものである:FW 5’−TCTTGTCTACCTCTGGTTCCT(配列番号1194)、RW 5’CCTTCTTGTTGATGTGCCTTTC(配列番号1195)及びプローブ 5’FAM CAGTCTTCGCCCCTCTTTTCTTAG(配列番号1196)。COASYに対して使用したプライマー及びプローブは以下のものである:FW 5’−CGGTGGTGCAAGTGGAA(配列番号1197)、RW 5’−GCCTTGGTGTCCTCATTTCT(配列番号1198)及びプローブ 5’−FAM−CTTGAGGTTTCATTTCCCCCTCCC(配列番号1199)。E7107は、in vitroで観察された通り、Nalm−6 SF3B1
K700Kモデル及びNalm−6 SF3B1
K700Eモデルのどちらにおいても、同様の薬物濃度に達し、標準スプライシングを調節し(EIF4A1のmRNA前駆体の蓄積及び成熟mRNA SLC25A19の下方制御)、Nalm−6 SF3B1
K700E細胞ではCOASY及びZDHHC16の正常でないスプライシングを下方制御した(
図20)。標準スプライシング及び異常スプライシングmRNAアイソフォームは、E7107により、早ければ化合物投与の1時間後に下方制御され、発現は処理の直後に正常化し(
図21)、これは、E7107薬物動態プロファイルと一致した。Panc 05.04ネオモルフィックSF3B1異種移植モデルにおいても同様の結果が観察された(
図22)。これらの全てのデータから、E7107が、in vitro及びin vivoにおいてSF3B1
WTタンパク質及びSF3B1
K700Eタンパク質に結合し、阻害することが可能な全スプライシング調節因子であることが示される。
【0099】
実施例5:E7107はSF3B1調節による抗腫瘍活性を有する
[0124]SF3B1調節因子E7107を、in vivoにおける抗腫瘍活性について、Nalm−6 SF3B1
K700Eの皮下モデルにおけるE7107の影響を決定することによって試験した。10×10
6個のNalm−6 SF3B1
K700EをCB17−SCIDマウスの側腹部の皮下に埋め込み、マウスに、E7107を3つの忍容性が良好である用量レベル(1.25、2.5及び5mg/kg)で1日1回、5日連続して(QDx5)で静脈内投与した。この投薬後、動物を、以下のエンドポイントのいずれかに達するまでモニタリングした:1)過剰な腫瘍体積が1週間に3回測定される(楕円式:(長さ×幅
2)/2を使用することによって算出される腫瘍体積)、又は2)麻痺又は過剰な体重減少などの任意の健康問題が発生する。部分退縮(PR)及び完全退縮(CR)は、3回連続した腫瘍測定値が出発体積のそれぞれ<50%及び<30%であると定義される。
【0100】
[0125]1.25mg/kg群では、Nalm−6 SF3B1
K700E異種移植群の全ての動物(n=10)が完全退縮(CR)に達した。2.5mg/kg群では、Nalm−6 SF3B1
K700E群において9日目までに10/10のCRが観察された。5mg/kg群では、全てのNalm−6 SF3B1
K700E異種移植動物が早ければ処置の9日後にCRに達し、平均生存時間は250日を超えた(
図23及び24)。これらのデータから、in vivoにおけるSF3B1
K700E異種移植片でのSF3B1調節因子の抗腫瘍活性が実証される。
【0101】
[0126]in vitroにおいてCLL患者試料におけるスプライシングを阻害するE7107の能力を、E7107を10nMで用いて6時間にわたって処理した、E7107で処理した患者細胞の試料からRNAを単離し、RNA−Seq解析を実施することによって決定した。そうするために、細胞を、E7107で処理後にPBSで洗浄し、RNAを、PureLink(Life Technology)を製造者のマニュアルに報告されている通り使用して単離した。cDNAライブラリー調製、シークエンシング及び未加工の読み取りのフィルタリングをRen,Sら、「RNA−Seq analysis of prostate cancer in the Chinese population identifies recurrent gene fusions、cancer−associated long noncoding RNAs及びaberrant alternative splicings.」、Cell Res 22、806−821、doi:10.1038/cr.2012.30(2012)に記載されている通り実施した。
図25に示されている通り、E7107により、SF3B1
WT患者試料及びネオモルフィックSF3B1
MUT患者試料における標準スプライシングアイソフォームの発現が阻害された。E7107により、ネオモルフィックSF3B1変異を有する全てのCLL患者試料における異常スプライシングを阻害することができた。
【0102】
[0127]本明細書を考察し、本明細書に開示されている本発明を実行することにより、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。本明細書及び実施例は単に例示的なものと考え、本発明の真の範囲及び主旨は以下の特許請求の範囲によって示されるものとする。
【0103】
[001]本出願は、その内容全体がこれによって参照により本明細書に組み込まれる、2015年9月1日出願の米国仮特許出願第62/212,876号に関する優先権の利益を主張するものである。
【0104】
[002]本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2014年5月16日に作成されたASCIIコピーは、名称12636.6−304_SL.txt、サイズ183キロバイトである。