(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)前記ヒトに生じるアレルギー反応のレベルもしくは重症度の前記低減または(ii)前記ヒトの前記少なくとも1つのアレルギー症状の前記低減が、皮膚プリック試験、鼻誘発試験または結膜誘発試験の陽性度の低下によって表されるものである、請求項3に記載の組成物の使用。
前記CMVポリペプチドのN末端領域が前記Tヘルパー細胞エピトープに置き換わっており、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域が、配列番号1のアミノ酸2〜12に対応する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物の使用。
前記Fel d1タンパク質が、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含むFel d1融合タンパク質であり、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2が、1つのペプチド結合を介して直接融合しているか、一方の鎖のN末端と他方の鎖のC末端とを結合するスペーサーを介して融合している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はいずれも、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0022】
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用される「ウイルス様粒子(VLP)」という用語は、非複製性または非感染性のウイルス粒子、好ましくは非複製性かつ非感染性のウイルス粒子を指すか、あるいはウイルス粒子に類似した非複製性または非感染性の、好ましくは非複製性かつ非感染性の構造、好ましくはウイルスのキャプシドを指す。本明細書で使用される「非複製性」という用語は、VLPに含まれるゲノムを複製することができないことを指す。本明細書で使用される「非感染性」という用語は、宿主細胞に侵入することができないことを指す。本発明によるウイルス様粒子は、ウイルスのゲノムまたはゲノム機能が全部または一部欠けているため、非複製性かつ非感染性である。本発明によるウイルス様粒子は、そのゲノムとは異なる核酸を含有し得る。組換えにより作製したウイルス様粒子には通常、宿主細胞由来のRNAが含まれている。本発明によるウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施形態は、本発明のポリペプチドよりなるウイルスキャプシドである。ウイルス様粒子は通常、タンパク質サブユニットをウイルス様粒子1個当たり通常60個、120個、180個、240個、300個、360個または360個超含むウイルスコートタンパク質よりなる高分子集合体である。通常かつ好ましくは、上記のサブユニットの相互作用によって、固有の反復構造を有するウイルスキャプシド構造またはウイルスキャプシド様構造が形成される。ウイルス様粒子の特徴の1つは、そのサブユニットが高秩序に反復して配置されていることである。
【0023】
CMVのウイルス様粒子:「CMVのウイルス様粒子」またはCMV VLPという用語は、少なくとも1つのCMVポリペプチドを含むか、好ましくは実質的にこれよりなるか、好ましくはこれよりなるウイルス様粒子を指す。好ましくは、CMVのウイルス様粒子は、前記CMVポリペプチドをキャプシド構造の主要なタンパク質成分、さらにより好ましくは唯一のタンパク質として含む。通常かつ好ましくは、CMVのウイルス様粒子は、CMVのキャプシドの構造と類似したものである。CMVのウイルス様粒子は、非複製性かつ/または非感染性であり、少なくともCMVの複製機構をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠き、通常ほかにも、宿主へのウイルスの結合または侵入を担う1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠く。この定義には、上記の1つまたは複数の遺伝子が存在するものの不活性であるウイルス様粒子も含まれる。CMVのウイルス様粒子を非複製性かつ/または非感染性にする好ましい方法には、UV照射、ホルムアルデヒド処理などの物理的不活化または化学的不活化によるものがある。好ましくは、CMVのVLPは、CMVの複製機構をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠き、ほかにも、宿主へのウイルスの結合または侵入を担う1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を欠く。さらにより好ましくは、非複製性かつ/または非感染性のウイルス様粒子は、組み換え遺伝子技術によって得られるものである。組換えによって作製される本発明によるCMVのウイルス様粒子は通常かつ好ましくは、ウイルスゲノムを含まない。2つ以上の種のポリペプチドを含むウイルス様粒子は多くの場合、モザイクVLPと呼ばれ、このようなウイルスも本発明に包含される。したがって、一実施形態では、本発明によるウイルス様粒子は、少なくとも1つの異なる種のポリペプチドを含み、前記種のポリペプチドのうち少なくとも1つはCMVポリペプチドである。好ましくは、CMVのVLPは、通常VLP1個当たり180個のコートタンパク質サブユニットを含む、CMVコートタンパク質よりなる高分子集合体である。通常かつ好ましくは、本明細書で使用されるのCMVのVLPは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなる少なくとも1つのCMVポリペプチドを含むか、実質的にこれよりなるか、あるいはこれよりなるものであり、変異させるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0024】
ポリペプチド:本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合(アミド結合としても知られる)によって直線状に結合したアミノ酸モノマーよりなるポリマーを指す。ポリペプチドという用語は、アミノ酸よりなる連続した鎖を指し、特定の長さの産物を指すわけではない。したがって、ポリペプチドの定義にはペプチドおよびタンパク質が含まれる。
【0025】
キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド:本明細書で使用される「キュウリモザイクウイルス(CMV)ポリペプチド」という用語は、(i)キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質のアミノ酸配列または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるポリペプチドであって、変異させるアミノ酸配列がCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列、すなわち前記CMVのコートタンパク質が、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す、ポリペプチドを指す。通常かつ好ましくは、CMVポリペプチドは、発現時に自己集合によりCMVのウイルス様粒子を形成することが可能なものである。
【0026】
キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP):本明細書で使用される「キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP)」という用語は、天然に存在するキュウリモザイクウイルスのコートタンパク質を指す。キュウリモザイクウイルスは宿主の範囲が極めて広いため、多数の様々な株および分離株が知られており、前記株および分離株のコートタンパク質の配列が既に決定されており、したがって当業者に公知である。前記CMVのコートタンパク質(CP)の配列は、Genbank、
www.dpvweb.netまたは
www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/などの既知のデータベースに記載されており、そこから検索することが可能である。欧州特許出願公開第14189897.3号に例が記載されている。CMVコートタンパク質のさらなる例は配列1〜3で記載されるものである。注目すべきは、上記の株および分離株は、コートタンパク質のN末端を含めた様々なタンパク質ドメインにおいてコートタンパク質配列が極めて類似していることである。具体的には、配列全体が完全に決定されたCMV分離株の98.1%は、そのコートタンパク質配列の最初の28個のアミノ酸の中での配列同一性が互いに85%を上回り、さらには、配列全体が完全に決定されたCMV分離株の79.5%は、そのコートタンパク質配列の最初の28個のアミノ酸の中での配列同一性が互いに90%を上回る。
【0027】
通常かつ好ましくは、本発明に使用するCMVのコートタンパク質は、発現時に自己集合によりCMVのウイルス様粒子を形成することが可能なものである。好ましくは、本発明に使用するCMVのコートタンパク質は、大腸菌(E.coli)において発現時に自己集合によりCMVのウイルス様粒子を形成することが可能なものである。
【0028】
キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用される「キュウリモザイクウイルス(CMV)の改変ウイルス様粒子(VLP)」という用語は、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、好ましくは実質的にこれよりなるか、好ましくはこれよりなるよう改変されたCMVのVLPであって、前記改変CMVポリペプチドが、CMVポリペプチドとTヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはこれよりなるものである、CMVのVLPを指す。通常かつ好ましくは、前記Tヘルパー細胞エピトープは、(i)前記CMVポリペプチドのN末端に融合しているか、(ii)前記CMVポリペプチドのC末端に融合しているか、(iii)前記CMVポリペプチドの連続するアミノ酸の領域と置き換わっており、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられた連続するアミノ酸の領域とTヘルパー細胞エピトープとの間の配列同一性が少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%であるか、(iv)前記CMVポリペプチドのN末端領域と置き換わっており、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域が5〜15個の連続するアミノ酸よりなるものである。好ましくは、前記Tヘルパー細胞エピトープは、前記CMVポリペプチドのN末端領域と置き換わっており、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域が5〜15個の連続するアミノ酸、好ましくは9〜14個の連続するアミノ酸、より好ましくは11〜13個の連続するアミノ酸、最も好ましくは11個、12個または13個の連続するアミノ酸よりなるものである。好ましくは、本発明の前記CMVの改変VLPは、CMVの組換え改変VLPである。
【0029】
改変CMVポリペプチド:本明細書で使用される「改変CMVポリペプチド」という用語は、本明細書で定義される通りに、前記改変CMVポリペプチドが、CMVポリペプチドとTヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはこれよりなるよう改変されたCMVポリペプチドを指す。通常、改変CMVポリペプチドは、発現時に自己集合によりCMVのウイルス様粒子を形成することが可能なものである。好ましくは、改変CMVポリペプチドは、組換え改変CMVポリペプチドであり、大腸菌(E.coli)において発現時に自己集合によりCMVのウイルス様粒子を形成することが可能なものである。
【0030】
CMVポリペプチドのN末端領域:本明細書で使用される「CMVポリペプチドのN末端領域」という用語は、前記CMVポリペプチドのN末端、特にCMVのコートタンパク質のN末端、または前記CMVポリペプチドもしくは前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、前記CMVポリペプチドもしくは前記CMVのコートタンパク質のN末端の2番目のアミノ酸から始まる、前記CMVポリペプチドもしくは前記CMVのコートタンパク質のN末端の領域を指す。好ましくは、前記CMVポリペプチドまたは前記コートタンパク質がN末端メチオニンを含む場合、実用的観点から言えば、メチオニンをコードする開始コドンは通常削除してTh細胞エピトープのN末端に付加する。さらに好ましくは、クローン化目的には任意選択で、開始メチオニンとTh細胞エピトープとの間に追加のアミノ酸を1個、2個または3個、好ましくはアミノ酸を1個挿入し得る。本明細書で使用される「CMVポリペプチドまたはCMVコートタンパク質の変異アミノ酸配列のN末端領域」という用語は、前記CMVポリペプチドもしくは前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端、または前記変異アミノ酸配列がN末端メチオニン残基を含む場合、前記CMVポリペプチドもしくは前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端の2番目のアミノ酸から始まる、前記CMVポリペプチドもしくは前記CMVのコートタンパク質の前記変異アミノ酸配列のN末端の領域を指す。好ましくは、前記CMVポリペプチドまたは前記コートタンパク質がN末端メチオニン残基を含む場合、実用的観点から言えば、メチオニンをコードする開始コドンは通常削除してTh細胞エピトープのN末端に付加する。さらに好ましくは、クローン化目的には任意選択で、開始メチオニンとTh細胞エピトープとの間に追加のアミノ酸を1個、2個または3個、好ましくはアミノ酸を1個挿入し得る。
【0031】
組換えポリペプチド:本発明において「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA技術の段階を少なくとも1つ含む工程によって得られるポリペプチドを指す。通常かつ好ましくは、組換えポリペプチドは原核発現系で産生されるものである。当業者には、組換えによって大腸菌(E.coli)などの原核発現系に発現し産生されるポリペプチドがN末端メチオニン残基を含み得ることは明らかである。N末端メチオニン残基は通常、発現宿主内で組換えポリペプチドが成熟する過程で組換えポリペプチドから切断される。しかし、N末端メチオニンの切断が不完全なものになることがある。このため、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基の有無以外は同一であるポリペプチドの混合物を含み得る。通常かつ好ましくは、組換えポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する組換えポリペプチドを10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満含む。
【0032】
組換えCMVポリペプチド:「組換えCMVポリペプチド」という用語は、上の定義と同じく組換えDNA技術の段階を少なくとも1つ含む工程によって得られる、CMVポリペプチドを指す。通常かつ好ましくは、組換えCMVポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する組換えCMVポリペプチドを10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満含む。したがって、本発明の組換えウイルス様粒子は、N末端メチオニン残基の有無以外は同一である組換えポリペプチドを含み得る。
【0033】
組換え改変CMVポリペプチド:「組換え改変CMVポリペプチド」という用語は、上の定義と同じく組換えDNA技術の段階を少なくとも1つ含む工程によって得られる、改変CMVポリペプチドを指す。通常かつ好ましくは、組換え改変CMVポリペプチドの調製物は、N末端メチオニン残基を有する組換え改変CMVポリペプチドを10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満含む。したがって、本発明の組換えウイルス様粒子は、N末端メチオニン残基の有無以外は同一である組換えポリペプチドを含み得る。
【0034】
組換えウイルス様粒子:本発明において「組換えウイルス様粒子」という用語は、組換えDNA技術の段階を少なくとも1つ含む工程によって得られるウイルス様粒子(VLP)を指す。通常かつ好ましくは、組換えウイルス様粒子は、少なくとも1つの組換えポリペプチド、好ましくは組換えCMVポリペプチドまたは組換え改変CMVポリペプチドを含む。最も好ましくは、組換えウイルス様粒子は、組換えCMVポリペプチドまたは組換え改変CMVポリペプチドから構成されるか、これよりなるものである。したがって、本発明において、N末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列に関して本発明の組換えVLPを定義する場合、その本発明の組換えVLPの範囲には、前記N末端メチオニン残基のない前記特定のアミノ酸配列によって形成されるVLPのみならず、通常、本明細書に記載したように少量ではあるが、前記N末端メチオニンを有する前記特定のアミノ酸配列によって形成されるVLPも含まれる。さらに、N末端メチオニン残基を含む特定のアミノ酸配列に関して本発明の組換えVLPを定義する場合、依然として前記N末端メチオニン残基を含むアミノ酸配列を含むVLPおよびN末端メチオニン残基を欠くアミノ酸配列を含むVLPの両方が含まれるのは、本発明の範囲内のことである。
【0035】
変異アミノ酸配列:「変異アミノ酸配列」という用語は、変異させるアミノ酸配列内に所定の変異のセットを導入することによって得られるアミノ酸配列を指す。本発明において、変異させる前記アミノ酸配列は、通常かつ好ましくはCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列である。したがって、変異アミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも1つのアミノ酸残基が異なり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は少なくとも90%の配列同一性を示す。通常かつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を示す。好ましくは、前記変異アミノ酸配列と前記変異させる配列は、最大11個、10個、9個、8個、7個、6個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸残基に相違があり、さらに好ましくは、前記相違は挿入、欠失およびアミノ酸置換から選択される。好ましくは、変異アミノ酸配列は、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも1個のアミノ酸に相違があり、好ましくは、前記相違はアミノ酸置換である。
【0036】
残基...に対応する位置:あるアミノ酸配列上での別のアミノ酸配列の所与の残基に対応する位置は、配列アライメントによって、通常かつ好ましくはBLASTPアルゴリズムを最も好ましくは標準設定で用いることによって、特定することができる。通常の好ましい標準設定は以下の通りである:予測閾値:10;ワードサイズ:3;検索範囲内での最大マッチ:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、伸長1;組成調節:条件付き組成スコアマトリックス調節。
【0037】
配列同一性:2つの所与のアミノ酸配列の配列同一性は、両配列のアライメントに基づいて決定される。配列同一性を決定するアルゴリズムは当業者に利用可能なものである。好ましくは、公的に入手可能なコンピュータ相同性検索プログラム、例えば「BLAST」プログラム(
http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)または「CLUSTALW」(
http://www.genome.jp/tools/clustalw/)などを用いて、ここでは好ましくは、NCBIのホームページ
http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで提供される「BLAST」プログラムを提供時の初期設定で用いて、2つのアミノ酸配列の配列同一性を決定する。通常の好ましい標準設定は以下の通りである:予測閾値:10;ワードサイズ:3;検索範囲内での最大マッチ:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在11、伸長1;組成調節:条件付き組成スコアマトリックス調節。
【0038】
アミノ酸置換:「アミノ酸置換」という用語は、アミノ酸配列中の所与のアミノ酸残基を化学構造が異なる任意の別のアミノ酸残基で、好ましくは別のタンパク質構成アミノ酸残基で置換することを指す。したがって、アミノ酸の挿入または欠失とは対照的に、アミノ酸置換によって前記アミノ酸配列のアミノ酸の総数が変化することはない。本発明において極めて好ましいのは、変異させる前記アミノ酸配列のアミノ酸残基をリジン残基またはシステイン残基で置換することである。
【0039】
エピトープ:エピトープという用語は、抗原、好ましくはポリペプチドの連続部分または非連続部分を指し、前記部分には、抗体またはMHC分子との関連でT細胞受容体が特異的に結合し得る。抗体に関して言えば、特異的結合には非特異的結合は含まれないが、交差反応性は必ずしもそうではない。エピトープは通常、その抗原性部位に固有の空間的配置で5〜20個のアミノ酸を含む。
【0040】
Tヘルパー(Th)細胞エピトープ:本明細書で使用される「Tヘルパー(Th)細胞エピトープ」という用語は、ヘルパーTh細胞による認識が可能なエピトープを指す。別の好ましい実施形態では、前記Tヘルパー細胞エピトープは普遍的Tヘルパー細胞エピトープである。
【0041】
普遍的Th細胞エピトープ:本明細書で使用される「普遍的Th細胞エピトープ」という用語は、少なくとも1種類、好ましくは2種類以上のMHCクラスII分子が結合可能なTh細胞エピトープを指す。あるペプチド配列が普遍的Th細胞エピトープであるかどうかを判定する最も単純な方法は、そのペプチドが個々のMHCクラスII分子と結合する能力を測定することである。この能力は、ペプチドが既知のTh細胞エピトープペプチドと競合してMHCクラスII分子と結合する能力によって測定され得る。HLA−DR分子の選択については、例えばAlexander Jら,Immunity(1994)1:751−761に代表的なものが記載されている。Th細胞エピトープのMHCクラスII分子に対する親和性は、少なくとも10
−5Mであるべきである。あるいは、Th細胞エピトープの「普遍性」を測定する方法として上記のものより単調で時間がかかるが適切な方法に、ある集団に免疫感作を実施し、1か月後にIFAの形で製剤化したTh細胞エピトープを含有するタンパク質で追加免疫したとき、測定可能なT細胞応答がみられる割合が高い(30%超)ことを示すというものがある。Panina−Bordignon Pら,Eur J Immunol(1989)19:2237−2242には、様々な個人にみられるMHCクラスII分子の代表的なものがまとめて収載されている。したがって、本明細書で使用される「普遍的Th細胞エピトープ」という用語は、好ましくは、Panina−Bordignon Pら,Eur J Immunol(1989)19:2237−2242に記載されているように、選択した個人の集団に免疫感作を実施し(1か月後にIFAの形で製剤化したTh細胞エピトープを含有するタンパク質で)追加免疫したとき、その集団の30%超に測定可能なT細胞応答が生じる、Th細胞エピトープを指す。また、さらに好ましくは、本明細書で使用される「普遍的Th細胞エピトープ」という用語は、好ましくは、(Alexander Jら,Immunity(1994)1:751−761およびこれに引用されている参考文献に記載されている)DR1、DR2w2b、DR3、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DR52a、DRw53、DR2w2aから選択される、好ましくはDR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つのDR対立遺伝子と少なくとも500nMの親和性で結合することが可能なTh細胞エピトープを指し;前記親和性を評価する好ましい結合アッセイは、Sette Aら,J Immunol(1989)142:35−40に記載されているものである。さらにより好ましくは、本明細書で使用される「普遍的Th細胞エピトープ」という用語は、(Alexander Jら,Immunity(1994)1:751−761およびこれに引用されている参考文献に記載されている)DR1、DR2w2b、DR4w4、DR4w14、DR5、DR7、DRw53、DR2w2aから選択される少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらにより好ましくは少なくとも3つのDR対立遺伝子と少なくとも500nMの親和性で結合することが可能なTh細胞エピトープを指し;前記親和性を評価する好ましい結合アッセイは、Sette Aら,J Immunol(1989)142:35−40に記載されているものである。
【0042】
普遍的Th細胞エピトープについては、Alexander Jら,Immunity(1994)1:751−761、Panina−Bordignon Pら,Eur J Immunol(1989)19:2237−2242、Calvo−Calle JMら,J Immunol(1997)159:1362−1373およびValmori Dら,J Immunol(1992)149:717−721などに記載されており、当業者に公知である。
【0043】
アジュバント:本明細書で使用される「アジュバント」という用語は、免疫応答の非特異的刺激物質または宿主内で沈着物を形成させる物質であって、本発明のワクチンおよび医薬組成物とそれぞれ組み合わせとき免疫応答をさらに一層増強し得る物質を指す。好ましいアジュバントには、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、アルミニウム含有アジュバント、好ましくは水酸化アルミニウムおよび改変ムラミルジペプチドがある。さらに好ましいアジュバントには、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールのほか、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)などのヒトアジュバントがある。このようなアジュバントも当該技術分野で周知である。本発明の組成物とともに投与することができるアジュバントとしてはさらに、特に限定されないが、モノホスホリルリピド免疫調節剤、AdjuVax 100a、QS−21、QS−18、CRL1005、アルミニウム塩(ミョウバン)、MF−59、OM−174、OM−197、OM−294およびビロソームアジュバント技術が挙げられる。アジュバントはほかにも、上記の物質の混合物を含み得る。ウイルス様粒子は一般に、アジュバントとして記載されている。しかし、本願において使用される「アジュバント」という用語は、本発明のウイルス様粒子ではないアジュバントを指す。「アジュバント」はむしろ、本発明の組成物、ワクチンまたは医薬組成物の別の異なる成分に関連するものである。
【0044】
有効量:本明細書で使用される「有効量」という用語は、所望の生物学的効果をもたらすのに必要なまたは十分な量を指す。有効量の組成物あるいは医薬組成物は、この選択する結果が得られる量となり、そのような量は、当業者には慣例的なこととして決定され得る。好ましくは、本明細書で使用される「有効量」という用語は、通常かつ好ましくはヒトに対するネコのアレルゲン性を低減する効果を得るのに必要なまたは十分な量を指す。好ましくは、本明細書で使用される「有効量」という用語は、ネコの唾液、体毛、皮膚または涙の中、好ましくは、本明細書に記載されるようにネコの唾液中にFel d1とFel d1抗体とで形成される免疫複合体を生じさせる効果を得るのに必要なまたは十分な量を指す。有効量は、投与する特定の組成物および対象の大きさに応じて異なるものとなり得る。当業者であれば、過度の実験を必要とせずに本発明の特定の組成物の有効量を実験により決定することができる。
【0045】
治療:本明細書で使用される「治療」、「治療する」、「治療される」または「治療すること」という用語は、予防法および/または治療法を指す。一実施形態では、「治療」、「治療する」、「治療される」または「治療すること」という用語は、治療的処置を指す。別の実施形態では、「治療」、「治療する」、「治療される」または「治療すること」という用語は、予防的処置を指す。
【0046】
Fel d1タンパク質:本明細書で使用される「Fel d1タンパク質」という用語は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含むか、あるいはこれよりなるタンパク質を指す。好ましくは、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2は共有結合している。好ましい一実施形態では、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2は、少なくとも1つのジスルフィド結合を介して結合している。別の好ましい実施形態では、鎖1と鎖2は、直接またはスペーサーを介して融合しており、この場合、前記Fel d1タンパク質はスペーサーをさらに含むか、あるいはこれよりなるものである。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1タンパク質は、合計最大300個、さらにより好ましくは最大200個のアミノ酸よりなる。通常かつ好ましくは、本発明によるFel d1タンパク質は、天然Fel d1、内因性のFel d1または本発明の実施例7〜9に従って作製される組換えFel d1融合タンパク質のいずれかと特異的に結合する抗体の産生をin vivoで誘導することが可能である。
【0047】
Fel d1の鎖1:本明細書で使用される「Fel d1の鎖1」という用語は、配列番号30またはその相同配列のアミノ酸配列を含むか、あるいはこれよりなるポリペプチドを指す。本明細書で使用される「配列番号30の相同配列」という用語は、配列番号30と80%超、より好ましくは90%超、さらにより好ましくは95%超の同一性を有するポリペプチドを指す。本明細書で使用される「Fel d1の鎖1」という用語はほかにも、特に限定されないが、本明細書で定義されるFel d1の鎖1の少なくとも1つのグリコシル化を含めた少なくとも1つの翻訳後修飾を含むポリペプチドを指すべきである。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1の鎖1は、合計最大130個、さらにより好ましくは最大100個のアミノ酸よりなる。
【0048】
Fel d1の鎖2:本明細書で使用される「Fel d1の鎖2」という用語は、配列番号31、配列番号32もしくは配列番号33またはその相同配列のアミノ酸配列を含むか、あるいはこれよりなるポリペプチドを指す。本明細書で使用される「配列番号31、配列番号32または配列番号33の相同配列」という用語は、配列番号31、配列番号32または配列番号33を80%超、より好ましくは90%超、さらにより好ましくは95%超の同一性を有するポリペプチドを指す。本明細書で使用される「Fel d1の鎖2」という用語は、特に限定されないが、本明細書で定義されるFel d1の鎖2の少なくとも1つのグリコシル化を含めた少なくとも1つの翻訳後修飾を含むポリペプチドを指すべきである。好ましくは、本明細書で定義されるFel d1の鎖2は、合計最大150個、さらにより好ましくは最大130個、さらにより好ましくは最大100個のアミノ酸よりなる。
【0049】
免疫複合体:本明細書で使用される「免疫複合体」という用語は、抗体とそのコグネイト/特異的抗原の結合から形成される複合体を指す。好ましくは、本明細書で使用される「免疫複合体」という用語は、抗体とそのコグネイト/特異的抗原の非共有結合から形成される複合体を指す。より好ましくは、本明細書で使用される「免疫複合体」という用語は、Fel d1抗体とFel d1の結合、好ましくは非共有結合から形成される複合体を指す。
【0050】
第一の結合部位:本明細書で使用される「第一の結合部位」という語句は、ウイルス様粒子と天然に存在するか、ウイルス様粒子に人工的に付加された要素であって、第二の結合部位が結合し得る要素を指す。第一の結合部位は、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、リヌクレオチド、天然もしくは合成のポリマー、二次代謝産物もしくは化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)または化学的に反応性の基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフィドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基などあるいはその組合せである。第一の結合部位となる化学的に反応性の基の好ましい実施形態は、アミノ酸残基、好ましくはリジン残基のアミノ基である。第一の結合部位は通常、VLPの表面、好ましくは外表面に位置している。第一の結合部位は、好ましくはVLPの外表面に複数のものが通常、反復的配置で存在する。好ましい実施形態では、第一の結合部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介してVLPに結合している。さらなる好ましい実施形態では、第一の結合部位は、VLPと天然に存在するものである。あるいは好ましい実施形態では、第一の結合部位は、VLPに人工的に付加したものである。極めて好ましい実施形態では、前記第一の結合部位は、前記VLPポリペプチドのアミノ酸配列のリジン残基のアミノ基である。
【0051】
第二の結合部位:本明細書で使用される「第二の結合部位」という語句は、Fel d1タンパク質と天然に存在するか、同タンパク質に人工的に付加した要素であって、第一の結合部位が結合し得る要素を指す。Fel d1タンパク質の第二の結合部位は、好ましくは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成のポリマー、二次代謝産物もしくは化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)または化学的に反応性の基、例えばアミノ基、カルボキシル基、スルフィドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基などあるいはその組合せである。第二の結合部位となる化学的に反応性の基の好ましい実施形態は、スルフィドリル基、好ましくはアミノ酸システインのスルフィドリル基、最も好ましくはシステイン残基のスルフィドリルである。したがって、「少なくとも1つの第二の結合部位を有する抗原」または「少なくとも1つの第二の結合部位を有するFel d1タンパク質」という用語は、Fel d1タンパク質と少なくとも1つの第二の結合部位とを含む構築物を指す。しかし、特にFel d1タンパク質内に天然に存在しない第二の結合部位に関しては、そのような構築物は、通常かつ好ましくは「リンカー」をさらに含む。別の好ましい実施形態では、第二の結合部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介してFel d1タンパク質と結合している。さらなる実施形態では、第二の結合部位は、Fel d1タンパク質内に天然に存在するものである。別のさらなる好ましい実施形態では、第二の結合部位は、Fel d1タンパク質にリンカーを介して人工的に付加したものであり、前記リンカーは、システインを含むか、あるいはこれよりなるものである。好ましくは、リンカーはペプチド結合によってFel d1タンパク質と融合している。
【0052】
結合している:本明細書で使用される「結合している」または「結合」という用語は、少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位が互いに連結するのに考え得るあらゆる方法、好ましくは化学的相互作用を指す。化学的相互作用としては、共有相互作用および非共有相互作用が挙げられる。典型的な非共有相互作用の例にはイオン性相互作用、疎水性相互作用または水素結合があり、一方、共有相互作用は、例を挙げれば、共有結合、例えばエステル結合、エーテル結合、リン酸エステル結合、炭素−リン結合、チオエーテル結合などの炭素−硫黄またはイミド結合などに基づくものである。特定の好ましい実施形態では、第一の結合部位と第二の結合部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つの非ペプチド結合を介して、さらにより好ましくはもっぱら非ペプチド結合(1つまたは複数)を介して結合している。ただし、本明細書で使用される「結合している」という用語は、少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位が直接結合していることのみならず、これに代えて好ましくは、少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位が、中間分子(1つまたは複数)を介して、ここでは、通常かつ好ましくは少なくとも1つ、好ましくは1つのヘテロ二官能性架橋剤を用いることによって、間接的に結合していることを指すものとする。他の好ましい実施形態では、第一の結合部位と第二の結合部位は、少なくとも1つの共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合を介して、さらにより好ましくはもっぱらペプチド結合(1つまたは複数)を介して結合している。
【0053】
リンカー:本明細書で使用される「リンカー」は、第二の結合部位とFel d1タンパク質とを結合させるか、あるいは既に第二の結合部位を含むか、実質的にこれよりなるか、あるいはこれよりなるものである。好ましくは、本明細書で使用される「リンカー」は、第二の結合部位を、通常かつ好ましくは(必ずというわけではないが)1個のアミノ酸残基、好ましくはシステイン残基として既に含むものである。好ましいリンカーは、アミノ酸リンカー、すなわち、少なくとも1個のアミノ酸残基を含むリンカーである。アミノ酸リンカーという用語は、そのようなリンカーがもっぱらアミノ酸残基よりなるものであることを意味するわけではない。しかし、もっぱらアミノ酸残基よりなるリンカーは本発明の好ましい実施形態の1つである。リンカーのアミノ酸残基は、好ましくは、当該技術分野で公知の天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸、あらゆるL−アミノ酸もしくはあらゆるDアミノ酸またはその混合物から構成されるものである。本発明によるリンカーのさらなる好ましい実施形態は、スルフィドリル基またはシステイン残基を含む分子であり、したがって、このような分子も本発明に包含される。リンカーとFel d1タンパク質との結合は、好ましくは少なくとも1つの共有結合によるもの、より好ましくは少なくとも1つのペプチド結合によるものである。
【0054】
したがって、第一の態様では、本発明は、ネコのアレルゲン性を低減する方法への組成物の使用であって、前記ネコに有効量の前記組成物を投与し、前記組成物が、(i)少なくとも1つの第一の結合部位を有するウイルス様粒子;(ii)少なくとも1つの第二の結合部位を有する少なくとも1つのFel d1タンパク質を含み;前記ウイルス様粒子と前記Fel d1タンパク質が、前記少なくとも1つの第一の結合部位と前記少なくとも1つの第二の結合部位を介して結合している、使用を提供する。好ましくは、前記方法は、前記ネコのアレルゲン性を低減する非治療的方法である。さらなる好ましい実施形態では、前記ネコはアレルギーにも自己免疫疾患にも罹患しておらず、好ましくは、前記ネコはFel d1を原因とするアレルギーにも自己免疫疾患にも罹患していない。
【0055】
好ましい実施形態では、通常かつ好ましくはヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙の中、好ましくは前記ネコの唾液中にFel d1とFel d1抗体で形成される免疫複合体を生成させることによってもたらされ、好ましくは、前記組成物の前記投与によって、前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙の中、好ましくは前記ネコの唾液中に前記免疫複合体の前記生成が起こる。
【0056】
前記ネコへの本発明の組成物の投与によって起こる、ヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の低減はさらに、実施例に記載されるように、ネコアレルギー患者の好塩基球の脱顆粒によって判定され得る。したがって、好ましい実施形態では、ヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、前記ネコが出すFel d1のアレルゲン性の低減であり、好ましくは、前記ネコが出すFel d1のアレルゲン性の前記低減は、前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙の中、好ましくは前記ネコの唾液中のFel d1のアレルゲン性の低減である。
【0057】
好ましい実施形態では、ネコへの前記有効量の組成物の前記投与は、ネコへの前記有効量の組成物の反復投与を含み、前記反復投与は、2週間、3週間、4週間、8週間、12週間の間隔で実施され、好ましくは、前記反復投与は、ネコへの前記有効量の組成物の2回、3回、4回または5回の投与を含む。
【0058】
さらなる好ましい実施形態では、前記反復投与は、3週間または4週間の間隔で実施される3回の投与である。通常かつ好ましくは、ネコへの前記有効量の組成物の前記投与はさらに、ネコへの前記有効量の組成物の単回投与を含み、前記単回投与は、前記反復投与の最後の投与から6か月後、9か月後、12か月後、15か月後または18か月後、好ましくは12か月後に実施される。
【0059】
前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙の中、好ましくは前記ネコの唾液中の前記アレルギー活性のあるFel d1の前記低減は通常、前記反復投与の最後の投与から少なくとも1か月後〜3か月後の間にみられる。
【0060】
さらなる極めて好ましい実施形態では、前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、前記ネコに曝露したヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の低減である。さらなる極めて好ましい実施形態では、ネコに曝露した前記ヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、(i)前記ヒトに生じるアレルギー反応のレベルもしくは重症度の低減または(ii)前記ヒトの少なくとも1つのアレルギー症状の低減であり;好ましくは、前記ネコへの前記ヒトの前記曝露は、前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙、好ましくは前記ネコの唾液への前記ヒトの曝露である。
【0061】
さらなる極めて好ましい実施形態では、前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、前記ネコに曝露したヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の低減であり、ネコに曝露した前記ヒトに対する前記ネコのアレルゲン性の前記低減は、(i)前記ヒトに生じるアレルギー反応のレベルもしくは重症度の低減または(ii)前記ヒトの少なくとも1つのアレルギー症状の低減であり;好ましくは、前記ネコへの前記ヒトの前記曝露は、前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙、好ましくは前記ネコの唾液への前記ヒトの曝露である。好ましくは、(i)前記ヒトに生じるアレルギー反応のレベルもしくは重症度の前記低減または(ii)前記ヒトの前記少なくとも1つのアレルギー症状の前記低減は、症状スコア試験、皮膚プリック試験、鼻誘発試験または結膜誘発試験の陽性度の低下、好ましくは症状スコア試験または皮膚プリック試験の陽性度の低下によって表されるものであり、前記皮膚プリック試験、鼻誘発試験または結膜誘発試験、好ましくは前記症状スコア試験または前記皮膚プリック試験には、好ましくは、前記投与の前および後の前記ネコの唾液、体毛、皮膚または涙を、さらに好ましくは、前記投与の前および後の前記ネコの唾液を用いる。アレルギーおよびアレルギー症状は症状スコア試験、皮膚プリック試験、鼻誘発試験、結膜誘発試験または気管支誘発試験を用いて評価し得ることが当業者には公知である。これらの手順、質問票および検査は当業者に周知である。本明細書で症状スコア試験、皮膚プリック試験、鼻誘発試験、結膜誘発試験と関連して、特に症状スコア試験または皮膚プリック試験と関連して使用される「陽性度の低下」という用語は、(i)前記ネコの唾液、体毛、皮膚もしくは涙、好ましくは前記ネコの唾液に曝露したときに前記ヒトに生じるアレルギー反応のレベルもしくは重症度の軽減もしくは低減または(ii)前記ネコに曝露したとき、好ましくは前記ネコの唾液、体毛、皮膚もしくは涙、好ましくは前記ネコの唾液に曝露したとき、より好ましくは前記ネコの唾液に曝露したときの前記ヒトの少なくとも1つのアレルギー症状の軽減もしくは低減を指す。
【0062】
一実施形態では、前記ウイルス様粒子は、前記ネコに対して非病原性のウイルスに由来するものである。好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子(VLP)は、植物ウイルスまたはバクテリオファージに由来するものであり、好ましくは、前記バクテリオファージはRNAバクテリオファージに由来するものであり、さらに好ましくは、前記VLPはRNAバクテリオファージまたは植物ウイルスに由来するものであり、またさらに好ましくは、前記VLPは植物ウイルスに由来するものである。別の好ましい実施形態では、前記VLPは組換えVLPであり、好ましくは、前記組換えVLPは植物ウイルスに由来するものである。別の好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)のVLPである。別の好ましい実施形態では、前記VLPはRNAバクテリオファージのVLPであり、好ましくは、前記VLPはRNAバクテリオファージの組換えVLPである。別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子は、RNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子である。別の好ましい実施形態では、前記VLPはRNAバクテリオファージのVLPではなく、好ましくは、前記VLPはRNAバクテリオファージの組換えVLPではない。別の好ましい実施形態では、前記ウイルス様粒子はRNA−バクテリオファージQβのウイルス様粒子ではない。
【0063】
好ましい実施形態では、前記VLPは、少なくとも1つの改変VLPポリペプチドを含むか、実質的にこれよりなるか、あるいはこれよりなる改変VLPであり、前記改変VLPポリペプチドは、(a)VLPポリペプチドと(b)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはこれよりなるものであり、前記VLPポリペプチドは、(i)ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列、好ましくは植物ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させるアミノ酸配列は、前記ウイルスのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と前記ウイルスのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0064】
好ましい実施形態では、前記VLPはキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPは、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、実質的にこれよりなるか、あるいはこれよりなるものであり、前記改変CMVポリペプチドは、(a)CMVポリペプチドと(b)Tヘルパー細胞エピトープを含むか、好ましくはこれよりなるものであり;前記CMVポリペプチドは、(i)CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0065】
好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものである。別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させるアミノ酸配列はCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と前記CMVのコートタンパク質は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。通常かつ好ましくは、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は、少なくとも1個、最大11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個のアミノ酸残基に相違があり、好ましくは、これらの相違は、(i)挿入、(ii)欠失、(iii)アミノ酸置換および(iv)(i)〜(iii)の任意の組合せから選択される。
【0066】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)配列番号1を含むか、好ましくはこれよりなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列もしくは(b)配列番号1と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させる前記アミノ酸配列は、この請求項の(i)で定められる前記アミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0067】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号1を含むか、好ましくはこれよりなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列または(b)配列番号1と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものである。
【0068】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(i)(a)配列番号34を含む、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列もしくは(b)配列番号34と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列;または(ii)変異アミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させる前記アミノ酸配列は、この請求項の(i)で定められる前記アミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0069】
さらなる好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号34を含む、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列または(b)配列番号34と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものである。
【0070】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、
(i)(a)配列番号1を含むか、好ましくはこれよりなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列または(b)配列番号1と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列
を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、この請求項の(a)または(b)で定められる前記アミノ配列が配列番号34を含むか;この請求項の(a)または(b)で定められる前記アミノ配列が、配列番号34と少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む;あるいは
(ii)変異アミノ酸配列
を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、変異させる前記アミノ酸配列が、この請求項の(i)で定められる前記アミノ酸配列であり、前記変異アミノ酸配列と変異させる前記アミノ酸配列が少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を示す。
【0071】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドは、(a)配列番号1を含むか、好ましくはこれよりなる、CMVのコートタンパク質のアミノ酸配列または(b)配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、;この請求項の(a)または(b)で定められる前記アミノ配列は配列番号34を含むか;この請求項の(a)または(b)で定められる前記アミノ配列は、配列番号34と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列領域を含む。
【0072】
別の好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドのN末端領域が前記Tヘルパー細胞エピトープに置き換わっている。別の好ましい実施形態では、前記置き換えられたN末端領域のアミノ酸の数が、前記Tヘルパー細胞エピトープを構成するアミノ酸の数以下である。
【0073】
さらなる極めて好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドのN末端領域が前記Tヘルパー細胞エピトープに置き換わっており、前記置き換えられたN末端領域のアミノ酸の数が、前記Tヘルパー細胞エピトープを構成するアミノ酸の数以下である。通常かつ好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は、5〜15個の連続するアミノ酸、好ましくは9〜14個の連続するアミノ酸、より好ましくは11〜13個の連続するアミノ酸よりなる。
【0074】
さらなる極めて好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域は、配列番号1のアミノ酸2〜12に対応する。
【0075】
別の極めて好ましい実施形態では、前記Tヘルパー細胞エピトープは普遍的Tヘルパー細胞エピトープである。別の好ましい実施形態では、前記Tヘルパー細胞エピトープは最大20個のアミノ酸よりなる。
【0076】
極めて好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列である。さらなる極めて関連のある実施形態では、前記Th細胞エピトープは、配列番号5のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープは、配列番号5のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。
【0077】
別の好ましい実施形態では、前記Tヘルパー細胞エピトープはヒトワクチンに由来するものである。極めて好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは破傷風毒素に由来するものである。さらなる極めて関連のある実施形態では、前記Th細胞エピトープは、配列番号4のアミノ酸配列を有するもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープは破傷風毒素に由来するものであり、前記Th細胞エピトープは、配列番号4のアミノ酸配列を有するもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。
【0078】
極めて好ましい実施形態では、前記Th細胞エピトープはPADRE配列であり、前記Th細胞エピトープは、配列番号5のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである;あるいは、前記Th細胞エピトープは破傷風毒素に由来するものであり、前記Th細胞エピトープは、配列番号4のアミノ酸配列を有するもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。
【0079】
極めて好ましい実施形態では、前記CMVポリペプチドはCMVのコートタンパク質のアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり、前記アミノ酸配列は、配列番号1または配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、好ましくはこれよりなるものであり;前記アミノ配列は配列番号34を含み、前記CMVポリペプチドのN末端領域は前記Tヘルパー細胞エピトープに置き換わっており、前記CMVポリペプチドの前記置き換えられたN末端領域は、11〜13個の連続するアミノ酸、好ましくは11個の連続するアミノ酸よりなり、さらに好ましくは、前記CMVポリペプチドの前記N末端領域は、配列番号1のアミノ酸2〜12に対応する。
【0080】
別の極めて好ましい実施形態では、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記改変CMVポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。前記改変CMVポリペプチドが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0081】
極めて好ましい実施形態では、前記第一の結合部位と前記第二の結合部位は、少なくとも1つの共有非ペプチド結合を介して結合している。別の極めて好ましい実施形態では、前記第一の結合部位は、アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基を含むか、好ましくは、アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基である。さらなる極めて好ましい実施形態では、前記第二の結合部位は、スルフィドリル基、好ましくはシステインのスルフィドリル基を含むか、好ましくは、スルフィドリル基、好ましくはシステインのスルフィドリル基である。
【0082】
極めて好ましい実施形態では、少なくとも1つの第一の結合部位は、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基であり、少なくとも1つの第二の結合部位は、スルフィドリル基、好ましくはシステイン残基のスルフィドリル基またはFel d1タンパク質と化学的に結合されたスフヒドリル(sufhydryl)基である。さらなる好ましい実施形態では、前記第二の結合部位のうち唯1つの結合部位が、少なくとも1つの非ペプチド共有結合を介して前記第一の結合部位と結合することにより、前記Fel d1タンパク質と前記改変ウイルス様粒子との単一で一様な結合を生じさせており、前記第一の結合部位と結合する前記唯1つの第二の結合部位はスルフィドリル基であり、前記Fel d1タンパク質と前記改変ウイルス様粒子は前記結合を介して相互作用して、規則正しく反復する抗原の配置、すなわち、規則正しく反復するFel d1タンパク質の配置を形成する。
【0083】
本発明の好ましい一実施形態では、化学架橋によって、通常かつ好ましくはヘテロ二官能性架橋剤の使用によって、Fel d1タンパク質と改変VLPとを結合させる。好ましい実施形態では、ヘテロ二官能性架橋剤は、改変VLPの好ましい第一の結合部位、好ましくはアミノ基、より好ましくはリジン残基(1つまたは複数)のアミノ基と反応することができる官能基と、好ましい第二の結合部位、すなわち、好ましくはFel d1タンパク質に本来備わっているか、これに人工的に付加し、任意選択で還元により反応に利用できるようにしたシステイン(1つまたは複数)残基のスルフィドリル基と反応することができる、さらなる官能基とを含む。複数のヘテロ二官能性架橋剤が当該技術分野で公知である。このようなものとしては、好ましい架橋剤であるSMPH(Pierce社)、Sulfo−MBS、Sulfo−EMCS、Sulfo−GMBS、Sulfo−SIAB、Sulfo−SMPB、Sulfo−SMCC、Sulfo−KMUS SVSB、SIAのほか、例えばPierce Chemical社から入手可能であり、アミノ基に対して反応性の官能基1つとスルフィドリル基に対して反応性の官能基1つとを有するその他の架橋剤が挙げられる。上に挙げた架橋剤はいずれも、アミノ基との反応後にアミド結合を形成させ、スルフィドリル基とのチオエーテル結合を形成させるものである。本発明の実施に適した別の種類の架橋剤は、カップリング時にFel d1タンパク質と改変VLPとの間にジスルフィド結合を導入することを特徴とするものである。この種類に属する好ましい架橋剤としては、例えばSPDPおよびSulfo−LC−SPDP(Pierce社)が挙げられる。
【0084】
上記の好ましい方法に従いヘテロ二官能性架橋剤を使用してFel d1タンパク質と改変VLPとを結合させることによって、配向性をもたせてFel d1タンパク質と改変VLPとをカップリングすることができる。Fel d1タンパク質と改変VLPとを結合させる方法としてほかにも、カルボジイミドEDCおよびNHSを用いてFel d1タンパク質と改変VLPとを架橋する方法が挙げられる。最初に、Fel d1タンパク質を例えばSATA、SATPまたはイミノチオランと反応させてチオラート化してもよい。次いで、必要に応じて脱保護した後、Fel d1タンパク質を以下のように改変VLPとカップリングする。余剰のチオレーション試薬を分離した後、システイン反応性部分を含むためシステイン残基に対して反応性の少なくとも1つまたは複数の官能基を示す上記のようなヘテロ二官能性架橋剤で予め活性化し、チオラート化Fel d1タンパク質が反応することが可能になった改変VLPと、Fel d1タンパク質とを反応させる。任意選択で、反応混合物中に少量の還元剤を含ませる。さらなる方法では、ホモ二官能性架橋剤、例えば改変VLPのアミン基またはカルボキシル基に対して反応性の官能基を有するグルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3(Pierce社)をはじめとする既知のホモ二官能性架橋剤を用いて、Fel d1タンパク質と改変VLPとを結合させる。
【0085】
本発明の極めて好ましい実施形態では、Fel d1タンパク質は、Fel d1タンパク質のN末端もしくはC末端に付加したシステイン残基またはFel d1タンパク質内にある天然のシステイン残基を介して改変ウイルス様粒子のリジン残基と結合している。好ましい実施形態では、本発明の組成物はさらにリンカーを含み、前記リンカーは、前記Fel d1タンパク質と前記第二の結合部位とを結合させており、好ましくは、前記リンカーは、前記第二の結合部位を含むか、あるいはこれよりなるものである。
【0086】
別の極めて好ましい実施形態では、前記組成物はさらにリンカーを含み、前記リンカーは、前記Fel d1タンパク質のC末端に融合している。極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質はFel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含み、前記Fel d1の鎖1は、少なくとも1つの共有結合によってFel d1の鎖2と結合している。
【0087】
極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含むFel d1融合タンパク質であり、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2は、1つのペプチド結合を介して直接融合しているか、一方の鎖のN末端と他方の鎖のC末端とを結合するスペーサーを介して融合している。Fel d1の組換え融合タンパク質が既にいくつか記載されている(Vailes LDら,J Allergy Clin Immunol(2002)110:757−762;Gronlund Hら,J Biol Chem(2003)278:40144−40151;Schmitz Nら,J Exp Med(2009)206:1941−1955;WO2006/097530)。さらなる好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含むFel d1融合タンパク質であり、前記Fel d1の鎖2は、そのC末端と前記Fel d1の鎖1のN末端で、1つのペプチド結合を介して直接融合しているか、スペーサーを介して融合しており、前記スペーサーは、1〜20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列よりなり、好ましくは、前記スペーサーは、10〜20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列よりなる。別の極めて好ましい実施形態では、前記スペーサーはアミノ酸残基が15個のアミノ酸配列よりなり、好ましくは、前記スペーサーは配列番号17のアミノ酸配列を有する。
【0088】
さらなる極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、Fel d1の鎖1とFel d1の鎖2とを含むFel d1融合タンパク質であり、前記Fel d1の鎖1は、そのC末端と前記Fel d1の鎖2のN末端とで、1つのペプチド結合を介して直接融合しているか、スペーサーを介して融合しており、前記スペーサーは、1〜20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列よりなり、好ましくは、前記スペーサーは、10〜20個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列よりなる。別の極めて好ましい実施形態では、前記スペーサーはアミノ酸残基が15個のアミノ酸配列よりなり、好ましくは、前記スペーサーは配列番号17のアミノ酸配列を有する。
【0089】
別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1の鎖1は配列番号30の配列またはその相同配列を含み、前記相同配列は、配列番号30と80%超、好ましくは90%超またはさらにより好ましくは95%超の同一性を有する。好ましくは、前記Fel d1の鎖1は配列番号30の配列またはその相同配列を含み、前記相同配列は、配列番号30と90%超またはさらにより好ましくは95%超の同一性を有する。
【0090】
別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1の鎖2は、配列番号31、配列番号32もしくは配列番号33の配列またはその相同配列を含み、前記相同配列は、配列番号31、配列番号32または配列番号33と80%超、好ましくは90%超、さらにより好ましくは95%超の同一性を有する。さらに好ましくは、前記Fel d1の鎖2は、配列番号31、配列番号32もしくは配列番号33の配列またはその相同配列を含み、前記相同配列は、配列番号31、配列番号32または配列番号33と90%超、さらにより好ましくは95%超の同一性を有する。
【0091】
極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、(a)配列番号20;(b)配列番号25;(c)配列番号26;(d)配列番号27;または(e)配列番号29から選択されるアミノ酸配列を含む。別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、配列番号29のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、配列番号20のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、配列番号25のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、配列番号26のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。別の極めて好ましい実施形態では、前記Fel d1タンパク質は、配列番号27のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである。
【0092】
別の態様では、本発明は、ネコのアレルゲン性を低減する方法であって、前記ネコに有効量の前記組成物を投与することを含み、前記組成物が、(i)少なくとも1つの第一の結合部位を有するウイルス様粒子;(ii)少なくとも1つの第二の結合部位を有する少なくとも1つのFel d1タンパク質を含み;前記ウイルス様粒子と前記Fel d1タンパク質が、前記少なくとも1つの第一の結合部位と前記少なくとも1つの第二の結合部位を介して結合している、方法を提供する。好ましくは、前記方法は、前記ネコのアレルゲン性を低減する非治療的方法であり;好ましくは、前記方法または前記組成物はさらに、本明細書に記載される通りに定義されるものである。
【0093】
さらなる態様では、本発明は、(i)少なくとも1つの第一の結合部位を有するウイルス様粒子(VLP);(ii)少なくとも1つの第二の結合部位を有する少なくとも1つのFel d1タンパク質を含み;前記ウイルス様粒子と前記Fel d1タンパク質が、前記少なくとも1つの第一の結合部位と前記少なくとも1つの第二の結合部位を介して結合しており、前記Fel d1タンパク質が、配列番号25または配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含み;前記VLPがキュウリモザイクウイルス(CMV)の改変VLPであり、前記CMVの改変VLPが、少なくとも1つの改変CMVポリペプチドを含むか、実質的にこれよりなるか、あるいはこれよりなるものであり、前記改変CMVポリペプチドが、(a)CMVポリペプチドと(b)Tヘルパー細胞エピトープとを含むか、好ましくはこれよりなるものであり;前記改変CMVポリペプチドが、配列番号6または配列番号7のアミノ酸配列を含むもの、好ましくは同アミノ酸配列よりなるものである、組成物を提供する。
【0094】
(実施例)
実施例1
キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質(CP)の単離およびクローン化
TRI試薬(Sigma社、セントルイス、米国)を製造業者の指示通りに用いて、CMVを感染させたユリの葉から全RNAを単離した。cDNA合成にはOneStep RT−PCRキット(Qiagen社、フェンロー、オランダ)を用いた。CMV CP遺伝子の増幅には、GenBankのCMV配列を解析して以下のプライマー配列を選択した:CMcpF(CA
CCATGGACAAATCTGAATCAACCAGTGCTGGT)(配列番号8)およびCMcpR(CA
AAGCTTATCAAACTGGGAGCACCCCAGATGTGGGA)(配列番号9);NcoI部位およびHindIII部位に下線を施した。対応するPCR産物をpTZ57R/Tベクター(Fermentas社、ヴィリニュス、リトアニア)にクローン化した。大腸菌(E.coli)XL1−Blue細胞をクローン化およびプラスミド増幅の宿主として用いた。PCRエラーを含んだクローンが選択されるのを回避するため、BigDyeサイクルシーケンシングキットおよびABI Prism 3100 Genetic分析器(Applied Biosystems社、カールスバッド、米国)を用いて、CP遺伝子含有pTZ57プラスミドクローンをいくつかシーケンシングした。シーケンシング後、配列番号1のCMVコートタンパク質をコードする配列エラーのないCMV CP遺伝子のcDNA(配列番号10)をpET28a(+)発現ベクター(Novagen社、サンディエゴ、米国)のNcoI/HindIII部位にサブクローン化し、発現プラスミドpET−CMVwt(
図1)を得た。
【0095】
実施例2
CMVのVLPが得られる大腸菌(E.coli)での配列番号1のCPの発現
CMV VLPを得るため、大腸菌(E.coli)C2566細胞(New England Biolabs社、イプスウィッチ、米国)をCMV CP遺伝子含有プラスミドpET−CMVwtで形質転換した。標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、大腸菌(E.coli)培養物を回転式振盪機(200rev/min;Infors社、ボットミンゲン、スイス)上でカナマイシン(25mg/l)を含有する2×TY培地中、OD600が0.8〜1.0になるまで30℃で増殖させた。次いで、0.2mM IPTGで細胞を誘導し、培地に5mM MgCl2を添加した。回転式振盪機上、インキュベーションを20℃で18時間継続した。得られたバイオマスを低速遠心分離により収集し、−20℃で凍結させた。氷上で解凍した後、50mMクエン酸ナトリウム、5mMホウ酸ナトリウム、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノールを含有する緩衝液(pH9.0、緩衝液A)に細胞を懸濁させ、超音波処理により破壊した。遠心分離(13,000rpm、5℃で30分間)により不溶性タンパク質および細胞残屑を除去した。清澄化した溶解物中の可溶性CMV CPタンパク質を+4℃で一晩、飽和硫酸アンモニウム(1:1、vol/vol)を用いてペレット化した。沈殿したタンパク質を同じ緩衝液A(メルカプトエタノールは含まない)中、+4℃で4時間可溶化させた。低速遠心分離(13,000rpm、4℃で15分間)により不溶性タンパク質を除去した。スクロース勾配(メルカプトエタノールを含まず、0.5%Triton X−100を添加した緩衝液A中20〜60%のスクロース)を用いた超遠心分離(SW28ローター、Beckman社、パロアルト、米国;25,000rpm、6時間、5℃)により、可溶性CMV CP含有タンパク質溶液を細胞タンパク質から分離した。勾配を勾配の底から始めて6つの画分に分け、その画分をSDS−PAGEにより解析した(データ不掲載)。組換えCMV CPが含まれる2番と3番の画分を合わせて200体積の緩衝液(5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA、pH9.0)に対して透析し、スクロースおよびTriton X−100を除去した。透析後、CMV CP溶液を0.2μフォルターでろ過することにより滅菌した。次いで、無菌条件下、Type70ローター(Beckman、パロアルト、米国)を用いて20%スクロースの「クッション」で超遠心分離(50000rpm、4時間、+5℃)することによりCMV CPを濃縮した。QuBit蛍光光度計を製造業者の推奨(Invitrogen社、ユージーン、米国)通りに用いて精製CMVwtの濃度を推定した。濃縮VLP溶液(約3mg/ml)を5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA、緩衝液(pH9.0)中、+4℃で保管した。12.5%ゲルを用いたSDS−PAGEにより、VLPの発現および精製に関与する全段階をモニターした。
【0096】
CMVコートタンパク質は大腸菌(E.coli)細胞で良好に発現させることが可能であり、得られた相当部分が可溶性画分に含まれ得る。さらに、このタンパク質は、スクロース勾配解析(
図2A)、動的光散乱法および電子顕微鏡解析(
図2B)からわかるように、同じ大きさのVLPの形で大腸菌(E.coli)細胞抽出物中に直接みられる。
【0097】
実施例3
破傷風トキソイドエピトープを含む改変CMVコートタンパク質(CMV−Ntt830)のクローン化
配列番号1のCMV CPのN末端部分の本来のアミノ酸を破傷風トキソイドエピトープのコード配列に置き換えるため、PCR増幅および変異誘発にpET−CMVwtプラスミドを用いた。CMVwt遺伝子内に位置するSalI部位(
図1)を対応するPCR産物のクローン化に用いた。
【0098】
CMVwt遺伝子に破傷風トキソイドエピトープのコード配列を導入するため、2段階のPCR変異誘発を用いた。第一段階の増幅には以下のプライマーを用いた:pET−220(AGCACCGCCGCCGCAAGGAA(配列番号11)−ポリリンカーから上流、増幅される領域にBglII部位が含まれる)およびCMV−tt83−1R(ATTTGGAGTTGGCCTTAATATACTGGCCCATGGTATATCTCCTTCTTAAAGT)(配列番号12)。第二ラウンドには、第一の増幅で得たPCR産物を1:50に希釈し、プライマーpET−220(配列番号11)およびCMV−tt83Sal−R2(GACGTCGACGCTCGGTAATCCCGATAAATTTGGAGTTGGCCTTAATATACTG)(配列番号13)を用いて再増幅した。得られたPCR産物(配列番号6のCMV−Ntt830をコードする配列番号14のcDNA)をpET−CMVwtのBglII/SaLI部位にサブクローン化した。シーケンシングにより正確なクローンを確認し、pET−CMV−Ntt830と命名した。
【0099】
実施例4
CMVの改変VLPが得られる大腸菌(E.coli)でのCMV−Ntt830の発現
CMV−Ntt830 VLPを得るため、大腸菌(E.coli)C2566細胞(New England Biolabs社、イプスウィッチ、米国)をCMV−Ntt830遺伝子含有プラスミドpET−CMV−Ntt830で形質転換した。標的タンパク質の発現レベルが最も高いクローンを選択した後、大腸菌(E.coli)培養物を回転式振盪機(200rev/min;Infors社、ボットミンゲン、スイス)上でカナマイシン(25mg/l)を含有する2×TY培地中、OD600が0.8〜1.0になるまで30℃で増殖させた。次いで、0.2mM IPTGで細胞を誘導し、培地に5mM MgCl
2を添加した。回転式振盪機上、インキュベーションを20℃で18時間継続した。得られたバイオマスを低速遠心分離により収集し、−20℃で凍結させた。氷上で解凍した後、50mMクエン酸ナトリウム、5mMホウ酸ナトリウム、5mM EDTA、5mMメルカプトエタノールを含有する緩衝液(pH9.0、緩衝液A)に細胞を懸濁させ、超音波処理により破壊した。遠心分離(13,000rpm、5℃で30分間)により不溶性タンパク質および細胞残屑を除去した。清澄化した溶解物中の可溶性CMV−Ntt830タンパク質を+4℃で一晩、飽和硫酸アンモニウム(1:1、vol/vol)を用いてペレット化した。沈殿したタンパク質を緩衝液A(メルカプトエタノールは含まない)中、+4℃で4時間可溶化させた。低速遠心分離(13,000rpm、4℃で15分間)により不溶性タンパク質を除去した。スクロース勾配(メルカプトエタノールを含まず、0.5%Triton X−100を添加した緩衝液A中20〜60%のスクロース)を用いた超遠心分離(SW28ローター、Beckman社、パロアルト、米国;25,000rpm、6時間、5℃)により、可溶性CMV−Ntt830含有タンパク質溶液を細胞タンパク質から分離した。勾配を勾配の底から始めて6つの画分に分けた。組換えCMV−Ntt830が含まれる画分を合わせて200体積の5mMホウ酸ナトリウム、2mM EDTA(pH9.0)に対して透析し、スクロースおよびTriton X−100を除去した。透析後、CMV−Ntt830溶液を0.2μフィルターでろ過することにより滅菌した。次いで、無菌条件下、Type70ローター(Beckman社、パロアルト、米国)を用いて20%スクロースの「クッション」で超遠心分離(50000rpm、4時間、+5℃)することによりCMV−Ntt830を濃縮した。QuBit蛍光光度計を製造業者の推奨(Invitrogen社、ユージーン、米国)通りに用いて精製CMV−Ntt830の濃度を推定した。濃縮VLP溶液(約3mg/ml)を5mMホウ酸ナトリウム、2mMEDTA、緩衝液(pH9.0)中、+4℃で保管した。12.5%ゲルを用いたSDS−PAGEにより、VLPの発現および精製に関与する全段階をモニターした。CMV VLP中に破傷風トキソイドエピトープが存在することを明らかにするため、精製CMV−Ntt830 VLPの質量分光分析を用いた。
図3Cに示されるように、大腸菌(E.coli)細胞でタンパク質が合成される際にみられるように1番目のメチオニンが除去されると、得られた主要ピークはタンパク質の理論的分子質量に対応したものとなる。動的光散乱法および電子顕微鏡法では、CMVwt VLPに類似した同じ大きさの粒子形態が確認された(
図4Aおよび4B)。
【0100】
実施例5
PADREエピトープを含む改変CMVコートタンパク質(CMV−Npadr)のクローン化
CMVwt遺伝子にPADREエピトープのコード配列を導入するため、pET−CMVwtプラスミドを増幅およびサブクローニングの鋳型に用いてPCR変異誘発を実施した(実施例2および3も参照されたい)。増幅には以下のプライマーを用いた:pET−220(配列番号11)およびCMV−padrSal−R(GACGTCGACGCGCGGCCGCCTTGAGGGTCCACGCGGCCACAAATTTCGCCATGGT)(配列番号15)。得られたPCR産物(配列番号7のCMV−Npadrをコードする配列番号16のcDNA)を再びpET−CMVwtのBglII/SalI部位にサブクローン化した。シーケンシングにより正確なクローンを確認し、pET−CMV−Npadrと命名した。
【0101】
実施例6
CMVの改変VLPが得られる大腸菌(E.coli)でのCMV−Npadrの発現
CMV−Npadrの発現および精製の手順はCMV−Ntt830の場合と実質的に同じであり、実施例4に記載されている。CMV VLP中にPADREエピトープが存在することを明らかにするため、精製CMV−Npadr VLPの質量分光分析を用いた。
図3Bに示されるように、大腸菌(E.coli)細胞でタンパク質が合成される際にみられるように1番目のメチオニンが除去されると、得られた主要ピークはタンパク質の理論的分子質量に対応したものとなる。動的光散乱法および電子顕微鏡解析では、同じ大きさの粒子形態が確認された(
図5Aおよび
図5B)。
【0102】
実施例7
Fel d1融合タンパク質のクローン化
アミノ酸15個の配列(GGGGS)
3(配列番号17)を介してFel d1の鎖2のN末端に融合したFel d1の鎖1からなり、Fel d1の鎖2のC末端にHHHHHHGGC配列(配列番号18)が組み込まれて融合したFel d1融合タンパク質(名称F12H6GGC)を、オリゴヌクレオチドを対象とする指向性遺伝子合成により作製した。対応するオリゴヌクレオチド配列は配列番号19の配列を有し、F12H6GGCのタンパク質配列は配列番号20の配列を有する:
MEICPAVKRDVDLFLTGTPDEYVEQVAQYKALPVVLENARILKNCVDAKMTEEDKENALSVLDKIYTSPLCGGGGSGGGGSGGGGSVKMAETCPIFYDVFFAVANGNELLLDLSLTKVNATEPERTAMKKIQDCYVENGLISRVLDGLVMTTISSSKDCMGEAVQNTVEDLKLNTLGRHHHHHHGGC
【0103】
遺伝子を合成した後、同遺伝子をそのヘルパープラスミドから切り取り、プラスミドpET42a(+)(Novagen社、米国)のNdeI/XhoI部位にインフレームでサブクローン化して発現ベクターpET42−F12H6GGCを得た。
【0104】
プラスミドpET42−F12H6GGCを鋳型に用いたPCR変異誘発により、C末端に追加のグリシン残基を有するFel d1融合タンパク質(名称F12H6GGCG)、ヘキサ−ヒスチジン配列のないFel d1融合タンパク質(名称F12GGC)またはヘキサ−ヒスチジンはないがC末端に追加のグリシン残基を有するFel d1融合タンパク質(名称F12GGCG)を作製した。上記の融合タンパク質を作製するのにPCRに用いたオリゴヌクレオチドプライマーは以下の通りである:
F12H6GGCGは、順方向プライマーをFel BglF(配列番号21)とし、逆方向プライマーをFel6H−cgR(配列番号22)とした。
F12GGCは、順方向プライマーをFel_BglF(配列番号21)とし、逆方向プライマーをFeld−dHR(配列番号23)とした。
F12GGCGは、順方向プライマーをFel_BglF(配列番号21)とし、逆方向プライマーをFeld−dH−cgR(配列番号24)とした。
【0105】
全PCR産物を制限酵素BglII/XhoIで切断し、ベクターpET42−F126HGGCの同じ切出し部位に再びサブクローン化した。プラスミドDNAを単離した後、BigDyeサイクルシーケンシングキットおよびABI Prism 3100 Genetic分析器(Applied Biosystems社、カールスバッド、米国)を用いて、導入された変化を確認した。得られた発現ベクターをpET42−F12H6GGCG、pET42−F12GGCおよびpET42−F12GGCGと命名した。これらは、対応するFel d1融合タンパク質F12H6GGCG(配列番号25)、F12GGC(配列番号26)およびF12GGCG(配列番号27)をコードする。
【0106】
MEICPAVKRDVDLFLTGTPDEYVEQVAQYKALPVVLENARILKNCVDAKMTEEDKENALSVLDKIYTSPLCGGGGSGGGGSGGGGSVKMAETCPIFYDVFFAVANGNELLLDLSLTKVNATEPERTAMKKIQDCYVENGLISRVLDGLVMTTISSSKDCMGEAVQNTVEDLKLNTLGRHHHHHHGGCG(配列番号25)
【0107】
MEICPAVKRDVDLFLTGTPDEYVEQVAQYKALPVVLENARILKNCVDAKMTEEDKENALSVLDKIYTSPLCGGGGSGGGGSGGGGSVKMAETCPIFYDVFFAVANGNELLLDLSLTKVNATEPERTAMKKIQDCYVENGLISRVLDGLVMTTISSSKDCMGEAVQNTVEDLKLNTLGRGGC(配列番号26)
【0108】
MEICPAVKRDVDLFLTGTPDEYVEQVAQYKALPVVLENARILKNCVDAKMTEEDKENALSVLDKIYTSPLCGGGGSGGGGSGGGGSVKMAETCPIFYDVFFAVANGNELLLDLSLTKVNATEPERTAMKKIQDCYVENGLISRVLDGLVMTTISSSKDCMGEAVQNTVEDLKLNTLGRGGCG(配列番号27)
【0109】
ヘキサ−ヒスチジン配列は金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによる精製を可能にするものであり、GGCまたはGGCG(配列番号28)を含むC末端配列はFel d1融合タンパク質とCMV−Ntt830およびCMV−Npadrとのカップリングを可能にするものである。
【0110】
実施例8
Fel d1融合タンパク質の発現および精製。
大腸菌(E.coli)でのFel d1融合タンパク質の発現。Fel d1発現ベクターpET42−F12H6GGC、pET42−F12H6GGCG、pET42−F12GGCおよびpET42−F12GGCGを大腸菌(E.coli)C2566細胞(New England Biolabs社、イプスウィッチ、米国)に形質転換した。標的タンパク質のレベルが最も高いクローンを選択し、のちの実験に使用した。各種の組換えFel d1融合タンパク質の発現を以下のように実施した。発現プラスミドを保有する大腸菌(E.coli)の培養物を回転式振盪機(200rev/min;Infors社、ボットミンゲン、スイス)上でカナマイシン(25mg/l)を含有する2×TY培地中、OD600が0.8〜1.0になるまで30℃で増殖させた。次いで、0.2mM IPTGを添加することによりFel d1融合タンパク質遺伝子の発現を誘導した。培地に5mM MgCl
2を添加した。回転式振盪機上、インキュベーションを20℃で18時間継続した。得られたバイオマスを低速遠心分離により収集し、精製まで−20℃で凍結させた。
【0111】
ヘキサ−ヒスチジンタグ化Fel d1融合タンパク質の精製。融合タンパク質F12H6GGCおよびF12H6GGCGの精製には、USB PrepEase Kit(Affymetrix社、ハイウィカム、イギリス)を製造業者の指示通りに用いた。氷上で解凍した後、5mM DTTを含有する1×LEW緩衝液に培養物100mlの大腸菌(E.coli)細胞(約0.75g)を懸濁させ、次いで、超音波処理により破壊した。遠心分離(13,000rpm、5℃で30分間)により不溶性タンパク質および細胞残屑を除去した。清澄化した溶解物をNi−IDAカラムにかけ、同じ緩衝液(DTTは含まない)で2回洗浄し、1×E緩衝液を含有する2×1.5mlのイミダゾールで溶離させた。Fel d1が含まれる画分をSDS/PAGEにより特定し(
図6A)、200体積の緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、2mM EDTA、pH7.0)に対して2回透析した。透析後、QuBit蛍光光度計を製造業者の指示(Invitrogen社、ユージーン、米国)通りに用いて、または280nmでのUV分光光度測定により、タンパク質濃度を推定した。質量分光分析(
図6B)および抗His−タグ抗体を用いたウエスタンブロット(Novagen社、カタログ番号No.71840−3;データ不掲載)により精製タンパク質のアイデンティティを確認した。
【0112】
ヘキサ−ヒスチジンタグのないFel d1融合タンパク質の精製。融合タンパク質F12GGCおよびFG12GGCGの精製には、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いた。IPTGで誘導した大腸菌(E.coli)3グラムを溶解緩衝液LB(20mMトリス/HCl、pH8.0、50mM NaCl、5mM DTT)20ml中で超音波処理により破壊した。超音波処理後、溶液を15000gで15分間遠心分離し、上清を収集した。硫酸アンモニウムを30%の飽和に達するまで常時攪拌しながら加えた後、RTで5分間インキュベートした。遠心分離後、回収した上清に固体の硫酸アンモニウムを50%の飽和まで加えた。遠心分離後、タンパク質ペレットを収集し、LB 2mlに溶かし、LBで平衡化した5mlのHiTrap(商標)脱塩カラム(GE Healthcare Life Sciences社)で余剰の塩を除去した。脱塩したタンパク質の溶出液をLBで平衡化した1mlのHiTrapTMCapto(商標)DEAEカラムにかけた。NaCl勾配を漸増させて、結合したF12GGCまたはFG12GGCGを溶離させた。Fel d1融合タンパク質が含まれる画分を収集しプールした。得られた溶液を4体積の20mMトリス/HCl、pH8.0、5mM DTTで希釈し、LB中、MonoQ5/50GLカラムにかけ、NaCl勾配を漸増させながら溶離させた。Fel d1融合タンパク質が含まれる画分を収集しプールした。5M NaClを2.5Mの濃度に達するまで加え、その溶液にDTTを加えて5mMの濃度を維持した。次いで、Fel d1含有溶液を2.5M NaCl、5mM DTT中、1mlのHiTrap(商標)Butyl HPカラムにかけ、NaCl濃度を連続的に低下させて溶離させた。Fel d1融合タンパク質が含まれる画分を収集しプールした。クーマシー染色SDS/PAGEゲルにより全精製段階をモニターした(
図6C)。組換えFel d1に対するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロットにより精製タンパク質のアイデンティティを確認した(データ不掲載)。
【0113】
実施例9
組換えFel d1融合タンパク質(1つまたは複数)の信頼性
各Fel d1融合タンパク質はFel d1特異的モノクローナル抗体によって同じように認識される。Indoor biotechnologies社(カーディフ、イギリス)製のサンドイッチELISA Fel d1 ELISAキット(6F9/3E4)を用いて、Fel d1特異的モノクローナル抗体(mAb)との結合をFel d1融合タンパク質F12H6GGCと天然Fel d1(nFel d1)とで比較した。この目的に向けて、Nunc ELISAプレートを4℃で一晩、抗Fel d1 mAb 6F9(1μg/ml)でコートした。0.05%Tween 20(PBST)を含有するPBSでプレートを洗浄し、Superblock(Invitrogen社)で2時間、室温(RT)でブロックした。天然Fel d1およびF12H6GGC(1μg/ml)を1:3に連続希釈し、RTで2時間インキュベートした。プレートをPBSTで洗浄し、ビオチン化抗Fel d1 mAb 3E4(1μg/ml)を加え、RTで1時間インキュベートした。検出には西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)とコンジュゲートしたストレプトアビジンを用いた。この目的に向けて、プレートをPBSTで洗浄し、次いで、プレートにストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Sigma社、1:1000希釈)をRTで30分間添加した。OPD基質溶液および停止液の5%H
2SO
4を用いて検出を実施した。ELISAリーダー(BioRad社)を用いて450nmでの吸光度を測定した。
【0114】
ELISAでは、天然Fel d1とF12H6GGCは同等の力価を示したことから、両者がFel d1特異的mAbによって同じように認識されたことがわかり、これにより組換えFel d1 F12H6GGCの信頼性が裏付けられた(
図7)。
【0115】
組換えFel d1融合タンパク質はネコアレルギー患者の全血中の好塩基球を活性化する。ネコアレルギー患者の血液には、表面にFel d1特異的IgE抗体を有する好塩基球が含まれており、アレルゲンに曝露すると、このIgE抗体がFcεRIを架橋し脱顆粒を引き起こす。組換えFel d1が脱顆粒を引き起こすことが可能であるかどうかを調べるため、Fel d1アレルギー患者から全血を採取し、Buhlmann Laboratories社のBasophil Activation Testキット(Flow Cast(登録商標)、FK CCR)で組換えFel d1融合タンパク質F12H6GGCとともに用いた。このアッセイは、CCR3+好塩基球上にある唯一の脱顆粒マーカーCD63のアップレギュレーションを測定するものである。簡潔に述べれば、刺激緩衝液100μlとEDTA処理した全血50μlとを混合した。さらに、天然Fel d1または組換えFel d1融合タンパク質F12H6GGCの各種希釈物50μlを加えた。このアッセイではほかにも、FcεRIに対するmAbと非特異的活性化因子(fMLP)とを含む陽性対照溶液を試験した。PEで標識した抗CCR3 AbとFITCで標識した抗CD63 Abとを含有する染色色素(1試料当たり20μl)を加え、37℃で25分間インキュベートした。次いで、溶解緩衝液を加えて赤血球を溶解させた。10分間インキュベートした後、試料を500×gで5分間遠心分離し、洗浄緩衝液(2%FCSを含有するPBS)で洗浄した。2回目の遠心分離段階の後、細胞ペレットを洗浄緩衝液200μlに懸濁させ、フローサイトメータ(FACS Calibur)を用いて捕捉した。Cell Quest Proソフトウェアで試料を解析した。CCR3+好塩基球上のCD63発現の割合を解析した。
【0116】
組換えFel d1融合タンパク質はネコアレルギー患者の好塩基球の脱顆粒を容易に誘発することがわかった。さらに、天然Fel d1と比較しても同等レベルの脱顆粒がみられたことから、組換えにより作製したFel d1融合タンパク質の信頼性が示された(
図8A/
図8B)。
【0117】
実施例10
Fel d1融合タンパク質のCMV−Ntt830およびCMV−VLPとのカップリング
以下のように、ヘテロ二官能性化学架橋剤のスクシンイミジル−6−[(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート](SMPH)を用いてFel d1融合タンパク質F12H6GGCをCMV−Ntt830 VLPおよびCMV−Npadr VLPと共有結合させた。
【0118】
PD10カラム(GE Healthcare社)を用いて、5mMホウ酸Na、2mM EDTA緩衝液(pH9.0)中で保管したウイルス様粒子CMV−Ntt830およびCMV−Npadrの緩衝液を、30%スクロースを含有する20mM リン酸Naおよび2mM EDTAと交換した。CMV−Npadr VLPまたはCMV−Ntt830 VLPの溶液を7.5倍モル過剰のヘテロ二官能性架橋剤SMPHとRTで60分間反応させた。30%スクロースを含有する20mMリン酸Naおよび2mM EDTA中、未反応のSMPHをPD10カラムで除去した。
【0119】
Fel d1融合タンパク質F12H6GGCを10倍モル過剰のTCEP(Thermo Fisher社)で処理した。誘導体化されたCMV−Ntt830−VLPおよびCMV−Npadr−VLPを1倍または2倍モル過剰の組換えFel d1融合タンパク質F12H6GGCと23℃で3時間反応させた。クーマシーブルーで染色した還元SDS−PAGE(NuPAGE(登録商標)4〜12%ビス‐トリスゲル)によりカップリング反応を解析した。化学結合反応後、質量が約44.5kDaおよび69kDaのタンパク質のバンドが見られた(データ不掲載)。これらのバンドはそれぞれ、Fel d1融合タンパク質F12H6GGC(20kDa)と共有結合したCMVコートタンパク質(24.5kDa)および(49kDaの)1つのFel d1融合タンパク質F12H6GGCと共有結合した2つのCMVコートタンパク質分子に対応し、Fel d1−CMV VLPが形成されたことを示している。同じように、配列番号25のFel d1融合タンパク質など別のFel d1融合タンパク質もCMV−Ntt830 VLPと共有結合した。
【0120】
実施例11
Fel d1−CMV VLPに対するマウスの免疫応答
雌Balb/cマウス3個体からなるグループを実施例10に記載した通りに調製したFel d1−CMV−Ntt830−VLPまたは単にFel d1融合タンパク質F12H6GGCと混合したCMV−Ntt830−VLPで免疫感作した。両組成物には同じ量のFel d1融合タンパク質が含まれている。150mM PBS(pH7.4)で10μgの各組成物を調製し、第0日および第14日に150μlの体積で静脈内に注射した。第0日(免疫前)、第14日および第21日、マウスから採血し、ELISAにより血清を天然のFel d1特異的IgG抗体に対して分析した。
【0121】
NUNC ELISAプレートを4℃で一晩、PBSに溶かした濃度1μg/mlの天然Fel d1(Indoor Biotechnologies社)でコートした。Superblock(Invitrogen社)を用いてプレートをブロックした。OD50を検出するため血清の段階希釈を実施した。OD50は、最大OD値の半分に達する希釈度の逆数を表す。ホースラディッシュディッシュペルオキシダーゼ(horseradish dish peroxidase)(HRPO)で直接標識した抗マウスIgG抗体(Jackson社)を用いてFel d1に特異的なIgG抗体を検出した。7分間インキュベートした後、5%硫酸(H
2SO
4)を加えることにより停止させた呈色反応として、o−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD)の変換をHRPOにより450nmで測定した。
【0122】
単回感作後のみマウスにFel d1特異的IgG抗体が検出された(第14日)。2回目の注射により応答をブーストした。Fel d1−CMV VLPは、混合組成物と比較してFel d1特異的IgG抗体の誘導を有意に増大させ、Fel d1融合タンパク質とVLPとの化学的結合の免疫増強効果が示された(
図9)。
【0123】
実施例12
Fel d1−CMV VLPに対するネコの免疫応答
標的生物種でのFel d1−CMV−Ntt830 VLPの免疫原性および効果を検討するため、アジュバントを加えて(サポニン基質15μg;n=3)、またはアジュバントを加えずに(n=3)PBSで製剤化したFel d1−CMV−Ntt830 VLP 100μgで雌ネコ(ヨーロピアンショートヘア種)を筋肉内経路(後肢)で3回(21日の間隔で)免疫感作した。
【0124】
免疫感作前ならびに第22日、第43日、第58日、第71日および第85日に血液を採取した。凝固および遠心分離の後、アッセイまで血清試料を凍結保存した。口腔内に滅菌スワブを挿入することにより、ネコから唾液試料を採取した。これは免疫感作前ならびに第64日および第85日に実施した。
【0125】
A.免疫感作ネコの(i)Fel d1キャリアおよび(ii)CMVキャリアに対するIgG抗体の測定。ELISAアッセイを用いて免疫感作ネコの血清中の(i)Fel d1特異的IgG抗体および(ii)CMV特異的IgG抗体を検出した。簡潔に述べれば:
【0126】
i)NUNC ELISAプレートにPBS中1μg/mlの天然Fel d1(Indoor Biotechnologies社)を一晩加え、次いで洗浄し、PBS Tween 20(0.05%)に溶かした2%BSAでブロックした。洗浄後、連続希釈したネコ血清をプレートに加えた。さらに洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)で標識したヤギ抗ネコIgG抗体をプレートに加えた。最後の洗浄段階の後、O−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD)を加え、7分後、5%硫酸で反応を停止させた。HRPOによるOPDの変換を450nmで測定した。最大OD値の半分に達する希釈度の逆数であるOD50で力価を報告する。
【0127】
免疫感作前、有意な抗Fel d1 IgGは認められなかった。単回感作後第22日、Fel d1特異的IgGが検出された。第22日の2回目の免疫感作後、応答がさらに増大し、第43日に実施した3回目の注射後も高レベルに維持された。その後、抗体価が徐々に低下した。Fel d1−CMV−Ntt830 VLPをアジュバントと組み合わせて投与したネコでもほぼ同じ結果が得られた(
図10A)。
【0128】
ii)NUNC ELISAプレートに0.1M炭酸水素ナトリウム(pH9.6)中1μg/mlのキュウリモザイクウイルス様粒子(CMVwt)を一晩加えた。洗浄後、PBS Tween 20(0.05%)に溶かした2%BSAでプレートをブロックした。洗浄後、連続希釈したネコ血清をプレートに加えた。さらに洗浄した後、HRPOで標識したヤギ抗ネコIgG抗体をプレートに加えた。最後の洗浄段階の後、OPDを加え、7分後、5%硫酸で反応を停止させた。HRPOによるOPDの変換を450nmで測定した。最大OD値の半分に達する希釈度の逆数であるOD50で力価を報告する。
【0129】
免疫感作前、有意な抗CMV IgGは認められなかった。単回感作後第22日、CMV特異的IgGが検出された。第22日の2回目の免疫感作後、応答がさらに増大し、第43日に実施した3回目の注射後も高レベルに維持された。その後、抗体価が徐々に低下した。Fel d1−CMV−Ntt830 VLPをアジュバントと組み合わせて投与したネコでもほぼ同じ結果が得られた(
図10B)。
【0130】
B.免疫感作ネコから採取した唾液中のFel d1特異的抗体およびCMV−VLP特異的抗体の測定。綿棒(唾液採取に使用したもの)にPBST 1mlをピペットで垂らし、回転ミキサーで50rpmにて30分間、RTでインキュベートした。50mlのFalconチューブに篩(セルストレーナー、BD#352350)を用い、4000rpmで10分間遠心分離することにより、綿棒から液体を分離した。フロースルーを採取し、ELISAに用いた。
【0131】
抗Fel d1 IgG抗体およびIgA抗体の検出には、間接ELISA法を用いた。簡潔に述べれば、NUNC ELISAプレートにPBS中1μg/mlの天然Fel d1を4℃で一晩加え、次いで洗浄し、PBS Tween 20(0.05%)に溶かした2%BSAでブロックした。洗浄後、(1:3に)連続希釈した唾液抽出物をプレートに加え、次いで洗浄した。IgG抗体の検出にHRPOで標識したヤギ抗ネコIgG抗体を加えた。あるいは、IgA抗体の検出にHRPOで標識したヤギ抗ネコIgA抗体をプレートに加えた。最後の洗浄段階の後、OPDを加え、7分後、5%硫酸で反応を停止させた。HRPOによるOPDの変換を450nmで測定した。
【0132】
唾液中のCMV特異的抗体も、組換えにより発現させたCMVwt VLPでコートしたELISAプレートを用いて同様に測定した。
【0133】
免疫感作後、Fel d1特異的IgG抗体(
図11A)は、第64日に5個体、第85日に全6個体で各個体の免疫感作前のベースラインを上回るレベルで測定された。Fel d1特異的IgA抗体(
図11B)は、第64日に5個体、第85日に5個体で各個体の免疫感作前のベースラインを上回るレベルで測定された。CMV特異的IgG抗体(
図11C)は、第64日に5個体、第85日に5個体で免疫感作前のベースラインを上回るレベルで測定された。CMV特異的IgA抗体(
図11D)は、第64日に全6個体、第85日に全6個体で測定された。
【0134】
C.免疫感作ネコから採取した唾液中の内因性Fel d1と抗Fel d1 IgA抗体とからなる免疫複合体の測定。3種類の重複しないFel d1エピトープに特異的な3種類の異なるmAb(PBS中5μg/ml)の混合物をNUNC ELISAプレートに4℃で一晩コートした。プレートを洗浄し、RTで2時間ブロックした(2%BSA/PBST)。未希釈の唾液抽出物および連続希釈(1:3)した唾液抽出物をプレートに加えた。内因性Fel d1とIgA抗体とを含む免疫複合体をAbD Serotec社製のヤギ抗ネコIgA Ab−HRPOで検出した。最後の洗浄段階の後、OPDを加え、7分後、5%硫酸で反応を停止させた。HRPOによるOPDの変換を450nmで測定した。
【0135】
第64日または第85日、全個体に内因性Fel d1とIgA抗体とからなる免疫複合体が免疫感作前のベースラインを上回るレベルで検出された(
図12)。
【0136】
実施例13
Fel d1−CMV−Ntt830 VLP免疫感作ネコの唾液試料はネコアレルギー患者の好塩基球脱顆粒の減少を示す
実施例9に記載した好塩基球活性化試験を用いて、Fel d1−CMV−Ntt830 VLPで免疫感作することによって唾液Fel d1を介する好塩基球脱顆粒を阻害することが可能であるかどうかを明らかにした。この目的に向けて、免疫感作前および免疫感作後のネコから唾液試料を採取し、実施例12に記載した通りに抽出した。陽性対照の抗FcεRI mAb50μlまたは免疫感作前および免疫感作後のネコの唾液試料50μlを用いて、好塩基球活性化試験を実施した。
【0137】
簡潔に述べれば、刺激緩衝液100μlとEDTA処理した全血50μlとを混合した。さらに、免疫感作前および免疫感作後(第85日)のネコの唾液試料50μlまたは陽性対照のFcεRIに対するmAbを加えた。PEで標識した抗CCR3 AbとFITCで標識した抗CD63 Abとを含有する染色色素(1試料当たり20μl)を加え、37℃で25分間インキュベートした。次いで、溶解緩衝液を加えて赤血球を溶解させた。10分間インキュベートした後、試料を500×gで5分間遠心分離し、洗浄緩衝液(2%FCSを含有するPBS)で洗浄した。2回目の遠心分離段階の後、細胞ペレットを洗浄緩衝液200μlに懸濁させ、フローサイトメータ(FACS Calibur)を用いて捕捉した。Cell Quest Proソフトウェアで試料を解析した。CCR3+好塩基球上のCD63発現の割合を解析した。
【0138】
第85日の免疫感作後に6個体から採取した唾液抽出物のうち5個体のものは、免疫感作前の唾液抽出物と比較して脱顆粒レベルが最大20%低下していた(
図13)。前記好塩基球活性化試験および前記ネコアレルギー患者に天然Fel d1を用いて作成した力価測定曲線に外挿すると、20%の脱顆粒減少は、Fel d1濃度が13分の1になったことに相当する。このことから、唾液中のアレルゲン性Fel d1が大幅に減少したことがわかる。
【0139】
実施例14
ネコアレルギー被験者を対象とした臨床試験によって評価したネコ免疫感作の効果
ネコアレルギーヒト被験者を対象とする漸増皮膚プリック試験を用いて、ネコをFel d1−CMV−Ntt830 VLPで免疫感作する前と後に得たネコ体毛抽出物のアレルゲン性を比較した。
【0140】
ネコ体毛抽出物の調製
雌ネコ(ヨーロピアンショートヘア種)3個体にFel d1−CMV−Ntt830 VLP(実施例10に記載した通りに調製した配列番号25を含むもの)100ugを第1日、第22日、第43日および第256日の4回皮下投与して免疫感作した。第1日の免疫感作前および第312日の4回目の免疫感作後、ブラッシングによりネコの体毛試料を採取した。採取した体毛試料を調製まで凍結保存した。
【0141】
体毛抽出物を調製するため、体毛0.03gを抽出バイアル(1.5mlのチューブ)に移し、0.05%Tween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水1mlを同バイアルに加えた。抽出チューブを設定温度23℃のサーモシェーカー内に置き、550rpmで1.5時間インキュベートした。インキュベーション後、抽出チューブを卓上エッペンドルフ遠心機に移し、RT、16.000×gで10分間回転させた。上清を清潔な1.5mlのチューブに移し、解析まで凍結保存した。
【0142】
皮膚プリック試験
凍結したネコ体毛抽出物(0:5mlのエッペンドルフのチューブに入れた溶液75μl)を使用直前に解凍し、PBS−Tween 20で3倍段階希釈した。
【0143】
掌側前腕の左側でネコ体毛抽出物による従来の皮膚プリック試験を用いて、ネコアレルギー被験者のアレルギー状態が陽性であることを確認した。
【0144】
患者スクリーニングおよびネコ体毛抽出物の評価に用いた皮膚プリック試験を簡潔に説明する。試験に適した前腕掌側の皮膚領域を選択した。州の薬局が提供する消毒用アルコールを用いて、皮膚を清潔で乾燥し、脂肪もクリーム類も化粧品類も付着していない状態にした。湿疹または炎症のみられる皮膚領域は避けた。皮膚用マーカーを用いてプリック部位に印および番号を付した。肘領域および手関節は避けた。相互汚染を避けるため、2つのアレルゲン抽出物間の垂直方向および水平方向の距離を少なくとも2cmとした。20μlのGilsonピペットを用いて、皮膚のしかるべき位置にネコ体毛溶液の液滴(10μl)を置いた。次いで、液滴の中に皮膚穿刺針を通してアレルゲンを真皮内に刺入した。約1秒間圧力を加え、いずれの加圧もある力が同じになるようにした。15分後、皮膚用マーカーを用いて各膨疹の輪郭を線で囲んだ。これらの線は、膨疹のどの部分も横断したり覆ったりしないよう、その周囲の赤くなった皮膚に引いた。膨疹周囲の赤くなった皮膚の部分が輪郭部分の内側に一切入らないようにした。膨疹に透明な粘着テープを貼り、次いで、それを紙に貼って消えない記録として残すことにより、囲んだ印のコピーを取った。膨疹サイズの面積(mm2)を算出した。
【0145】
患者が来院するごとに、1個体のネコの体毛抽出物を希釈したものを試験した。免疫感作前に採取したネコ体毛抽出物を右腕で試験し、免疫感作後に採取した体毛のネコ体毛溶液を左腕で試験した。
【0146】
結果
単施設非盲検臨床試験にネコアレルギー患者7例(年齢18〜65歳、男女)を組み入れた。免疫感作前と免疫感作後の体毛抽出物を比較した(可能な21件のうち)16件の皮膚プリック試験で膨疹サイズの比較に成功を収めた。
【0147】
上記の16例の皮膚プリック試験で得た平均膨疹サイズの解析から、免疫感作ネコから得た体毛抽出物の方が、免疫感作前に採取したものよりも膨疹サイズが小さくなっているのがわかる(
図14)。このデータから、Fel d1−CMV−Ntt830 VLPで免疫感作した後にネコ体毛抽出物のアレルゲン性が低下したことが示唆される。