(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のマイクロ流体デバイスであって、前記ゲルマトリックスは、前記ゲルマトリックスの中または上の繊維芽細胞およびケラチノサイトを含む、マイクロ流体デバイス。
請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイスであって、前記可動カバーが前記ゲルチャンバの上に配置されるとき、前記可動カバーは、前記ゲルチャンバの前記オープントップ表面領域と整列するように構成される一端を有する開口部を画定し、前記開口部に入る流体材料が、前記可動カバーを流れ、前記ゲルチャンバの前記オープントップ表面領域内に入る、デバイス。
請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイスであって、前記可動カバーが前記ゲルチャンバの上に配置されるとき、前記可動カバーは、前記ゲルチャンバの前記オープントップ表面領域と整列するように構成される一端を有する開口部を画定し、前記ゲルチャンバ、前記流体チャンバまたは前記開口部はチャネルである、デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、さまざまな変更や代替形態が可能であるが、特定の実施形態が例として図面に示され、本明細書で説明される。しかし、本発明は、開示される特定の形態に限定しようとするものではないことが理解されるべきである。むしろ、本発明は、添付される請求の範囲で定義される発明の趣旨および範囲に該当する、すべての変更、等価物、代替物を含む。
【0018】
本発明は多くの異なる形態における実施形態が可能であるが、本開示は本発明の原理の実例として考慮され、発明の広い態様を例証される実施形態に限定しようとするものではないという理解とともに、本発明の好ましい態様が図面に示され、本明細書で詳しく説明される。この詳細な説明を目的として、単数形は、複数形を含み、その逆も同様である(明確に否定する場合を除く)。「また」という用語は、接続詞および離接詞の両方であってよく、「すべて(all)」という用語は「すべてのあらゆる(any and all)」を指し、「いずれも(any)」という言葉は、「すべてのあらゆる(any and all)」を指し、「含む」という言葉は、「限定することなく含む」の意味である。
【0019】
以下の記載は説明のみを目的としており、何ら限定を意図するものではないことに当業者は気付くだろう。当業者は、他の実施形態により本開示の利点を示唆されるだろう。添付した図面に示されるような、例である実施形態の実行について詳細に参照される。同一または類似する要素を指すために、同一または同様の参照符号が図面全体および以下の明細書全体を通じて使用される。「実施形態」という語句は、1つ以上の実施形態を包含し、1つの実施形態のみに限定されないことが理解される。
【0020】
本明細書で使用される、「剛性」という用語は、堅く容易に伸長しない、または、力または圧力が加えられた後に元の形状に非常に近い形状を保つ材料を指す。本明細書で使用される「エラストマー(elastomeric)」という用語は、本明細書で定義されるような剛性を有しない材料または複合材料を指す。エラストマー材料は、一般的に、成形可能、押出成形可能、切断可能、機械加工可能、鋳造可能、および/または硬化可能であり、機械力または圧力を受けたときに材料を変形可能な弾性を有し(例えば、伸長、拡張、収縮、縮小、圧縮、ねじり、および/または屈曲)、機械力または圧力がかからなくなったとき、部分的または完全に元の形状または位置に戻り始める。いくつかの実施形態において、「エラストマー」という用語はまた、可撓性および/または伸長可能な材料を指すが、材料は圧力が加えられ、その後圧力がかからなくなった後、元の形状または位置には戻らない。本明細書では、「エラストマー」と「可撓性」という用語は、区別なく用いられる。
【0021】
細胞、組織の種類、臓器、または臓器コンポーネントの機能性は、組織が生体内で曝される刺激や環境の多くを模倣する一方、研究者たちがこれらの細胞、組織の種類、臓器、または臓器のコンポーネントを体外で研究できるように、1つ以上のマイクロ流体デバイスまたは「チップ」で実行される。いくつかの態様において、臓器のグループ、臓器コンポーネント、または組織システムを模擬可能な相互接続されたコンポーネント内でこれらのマイクロ流体デバイスを実行することが望ましい。いくつかの場合では、模擬した生体内条件および臓器システムを変化させるために、これらのデバイスが接続される基本の流体システムに、容易に挿入可能かつ着脱可能になるように、マイクロ流体デバイスを構成することが望ましい。
【0022】
含有されるデバイスまたは細胞の1つ以上の部分に局所的なアクセスを可能にするオープントップ型マイクロ流体デバイスを用意することにより、先述のシステムに関連する問題の多くが解決可能である。例えば、マイクロ流体デバイスは、取り外されときに、マイクロ流体デバイス内の対象細胞にアクセス可能になる着脱可能カバーを含むことができる。いくつかの態様において、マイクロ流体デバイスは、流体、細胞、または生物的コンポーネントを所望の領域(複数可)に拘束するシステムを含む。改善されたシステムは、マイクロ流体デバイス使用時に、試験する処理のより良い用途、さらなる細胞の改善された播種、および/または、選択する組織種類のための改善されたエアロゾル輸送などを含む、より汎用的な実験を提供する。好ましい実施形態では、オープントップマイクロ流体デバイスは、ゲルマトリックスを含む。
【0023】
さらに本開示は、臓器または臓器コンポーネントの1つ以上の機能を模擬するための1つ以上の細胞種類を含む流体デバイスなどのような、オンチップ臓器(「OOC」)に関する。したがって、本開示はさらに、先述の流体システムと関連する問題を解決する、オープントップのオンチップ臓器について説明する。限定するものではないが、具体的な例としては、皮膚、気管支、腸管のモデルが挙げられる。
【0024】
また、いくつかの態様において、細胞培養デバイスの領域にアクセス可能にすることが望ましい。例えば、(i)液体、気体、固体、半固体、エアロゾル化した薬剤を用いて局所的な処理を施し、(ii)試料および生検を得て、または(iii)さらなる細胞か、生物的/化学的コンポーネントを追加して、細胞への局所的なアクセスを可能にすることが望ましい。
【0025】
本開示は、デバイス領域またはコンポーネントに直接アクセスを可能にする(例えば、ゲル領域へのアクセス、1つ以上の細胞コンポーネントへのアクセス)開口部を有するマイクロ流体デバイスなどの、流体デバイスを含む流体システムに関する。本開示は、デバイスの上部に開口部がある実施形態を提供するものの(本明細書では「オープントップ」という用語で呼ばれる)、本発明は、開口部がデバイスの別の位置にある他の実施形態も想定される。例えば、一実施形態において、開口部はデバイスの底部にある。別の実施形態において、開口部は、デバイスの1つ以上の側部にある。別の実施形態において、開口部の組み合わせが存在する(例えば、上部と側部、上部と底部、底部と側部など)。「オープントップ」の実施形態の詳細な説明が本明細書で提供されるものの、「オープントップ」の実施形態の多くの態様は、底部に開口部があるオープンボトムの実施形態に加え、側部に開口部があるオープンサイドの実施形態、もしくは、あらゆる別の領域もしくは方向に開口部を有する実施形態、または、それらの組み合わせにも同様に適用されることを当業者は理解するだろう。同様に、デバイスは、使用の間、「開口」を維持する必要はない。むしろ、本明細書に例証されるいくつかの実施形態において、デバイスは、可逆的または不可逆的に固定され得るカバーまたはシールをさらに含んでもよいことが示される。例えば、カバーをデバイスの裏に配置することによりデバイスを閉鎖するが、着脱可能なカバーを取り外すことより、開口部が作られる。開口部、特に上部の開口部は、例えば、(i)細胞、組織、または臓器の局所的な処理の適用を模擬するための1以上のゲル層を作り出すこと、または(ii)模擬された組織および臓器システムのためのさらなる細胞種類の播種など、化学的もしくは生物的コンポーネントを追加することが可能になるなど、多くの利点を提供する。本開示は、模擬肺組織などの、模擬した組織および臓器システムにエアロゾルの輸送を改良する流体システムの改良にさらに関する。
【0026】
さらに、本開示は、組織または関連するコンポーネント(例えば、ゲル層など)の剥離を引き起こし得る応力の影響を減少させるオープントップ領域を有するマイクロ流体デバイスなどの、流体デバイスを含む流体システムに対する改良が想定される。
【0027】
組織の機能を模擬するためのマイクロ流体デバイスに対する改良は、薄膜により分離される2つ以上のチャンバ(例えば、マイクロチャネル)を有する、1つ以上のオープントップマイクロ流体デバイスを含む本開示により、想定される。いくつかの実施形態において、1つ以上のデバイスは、マイクロ流体デバイスの開口部を通じてアクセス可能なチャンバ(例えば、マイクロチャネルまたはキャビティ)内にゲルをさらに含むが、開口部はオープントップ構造部に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、マイクロ流体デバイス用の着脱可能または固定のカバーをさらに含み、カバーは任意に流体チャンバまたはマイクロチャネルを内部に有する。想定される別の望ましい改良は、マイクロ流体デバイス内にパターン化ゲルを含むことである。本開示はさらに、オープントップデバイスにおける細胞の培養方法を記載する。いくつかの実施形態において、方法は、オープントップ構造部にゲルを配置する方法を含む。いくつかの実施形態において、パターン化プランジャスタンプ、成形スタンプ、または同様のデバイスなどの成形デバイスを使用して、ゲルをパターン化することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、オープントップに、カバーまたは他の成形デバイスを永久的にまたは可逆的に取り付けること含む。
【0028】
本開示はさらに、例えば、皮膚、気管支、腸などの構造や1つ以上の機能を模擬するモデルを構築する、オープントップを有するマイクロ流体デバイスなどの流体デバイスを含む、流体システムの使用に関する。いくつかの実施形態において、これらのモデルは、ゲルが存在することにより利点が得られ、例としては、1つ以上の細胞種類に機械的、生化学的環境を提供することができ、マス輸送の性質を強化し、または、例えば、さらなる細胞種類(例えば、繊維芽細胞)を収容するために使用される、さらなるコンパートメントを提供することなどである。
【0029】
ゲルの使用のために提供するシステムは、皮膚モデル用であることが特に望ましい。例えば、現在の技術水準の皮膚モデルである、生皮膚等価物(LSE)は、ゲルの上部に分化したケラチノサイトを有する繊維芽細胞が包埋された、2mmから3mmの厚さの3Dゲルである。ゲルの実際の厚さは、0.1mmから5mmの範囲である。3Dゲルは、適切に繊維芽細胞を培養するのに好ましく、そのため、ケラチノサイトを完全に分化させられることが知られている。本開示に記載したオープントップアーキテクチャは望ましく、その理由は、繊維芽細胞およびケラチノサイトのLSEのような類似する培養を可能にし、さらに内皮層の導入、ずり応力の利用、および伸長の利用を可能にし、より生理学的に関連するモデルを作り出すことが可能になるためである。これらの任意の特徴は、現在の技術水準であるLSEのような皮膚モデルに対して、望ましい改良を個別に、あるいは、まとまってもたらす。
【0030】
図1および
図2を参照すると、オンチップ臓器(「OOC」)デバイス10と呼ばれるマイクロ流体デバイスの1つの種類が示され、本開示において、以下により詳細に説明されるオープントップの態様を含むように変更され得る(例えば、
図3〜
図5、
図8〜
図12参照)。OOCデバイス10は、上部本体セグメント12aおよび下部本体セグメント12bを通常含む本体12を含む。上部本体セグメント12aおよび下部本体セグメント12bは、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリウレタン、フルオロポリマー、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレン)のようなスチレン誘導体などのポリマー材料、または別のポリマー材料から通常作られる。上部本体セグメント12aは、第1流体入口14および第2流体入口16とともに示されるが、ゲル層(図示せず)を薄膜40に任意に塗布可能にする開口領域を(図示せず)を含むように修正可能であり、示される第1流体入口14および/または第2流体入口16を除外するように任意に修正可能である。第1流体のための第1流体路は、第1流体入口14、第1播種チャネル30、上部マイクロチャネル34、出口チャネル31、そして第1流体出口24を含む。第2流体のための第2流体路は、第2流体入口16、第1播種チャネル32、下部マイクロチャネル36、出口チャネル33、そして第2流体出口26を含む。
【0031】
図2を参照して、薄膜40は、上部本体セグメント12aと下部本体セグメント12bとの間に延びる。薄膜40は、好ましくは、不活性で、高分子の、マイクロ成形された薄膜であり、通常約0.1μmから20μmの範囲のサイズで均一に分布される孔を有するが、他の孔径もまた想定される。いくつかの態様において、孔径は、約0.1μmから20μmの範囲である。薄膜40の全体寸法は、適応する任意のサイズ、または、セグメント12aおよび12bの寸法に基づく任意のサイズ、例えば、約0.05〜100mm(チャネル幅)×約0.5〜300mm(チャネル長さ)であるが、他の全体寸法もまた想定される。いくつかの態様において、薄膜の全体寸法は、約1〜100mm(チャネル幅)、約1〜100mm(チャネル長さ)である。薄膜40の厚さは、通常約5μm〜約500μmの範囲であり、いくつかの態様において、厚さは、約20〜50μmである。いくつかの態様において、厚さは、1μmより小さい、または、500μmより大きい。薄膜40は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレン)などのスチレン誘導体、フルオロポリマー、または他のエラストマーもしくは剛性材料などから作られることが想定される。さらに、薄膜は、ポリ乳酸、コラーゲン、ゼラチン、セルロースおよびその誘導体、乳酸−グリコール酸共重合体などの生物的材料から作られ、または1種類以上のポリマー材料に加えてそのような材料を含むことができる。例えば、例示した実施形態の細胞の二重層を含む、アクティブ領域37内の下部マイクロチャネル36から上部マイクロチャネル34が分離されるように、薄膜40は、下部チャンバから上部チャンバを分離する。いくつかの実施形態において、第1細胞層42は、薄膜40の第1面に付着し、いくつかの実施形態において、第2細胞層44は、薄膜40の第2面に付着する。第1細胞層42は、第2細胞層44と同じ種類の細胞を含んでもよい。または、第1細胞層42は、第2細胞層44とは異なる種類の細胞を含んでもよい。さらに、細胞の単層は、第1細胞層42および第2細胞層44に示され、第1細胞層42と第2細胞層44のいずれか、または、両方が、複数の細胞層または細胞をノンレイヤー構造に含んでもよい。さらに、例示する実施形態は、薄膜40上の細胞の二重層を含むが、薄膜40は、その側面のうち片方に配置される細胞だけを含んでもよい。さらに、例示される実施形態は、薄膜に付着する細胞を含むが、片面または両面の細胞が、引き伸ばされた薄膜に付着していなくてもよい。むしろ、細胞は、反対のチャンバの表面に付着してもよく、または基質に包埋されてもよい。いくつかの実施形態において、前記基質は、ゲルであってもよい。
【0032】
OOCデバイス10は、臓器、組織、細胞内などの生体で起こる、第1細胞層42および第2細胞層44の細胞間の連通を通常含む、生物的機能を模擬するように構成される。用途に応じて、薄膜40は、多孔性を有し、上部マイクロチャネル34および下部マイクロチャネル36の間に、細胞、微粒子、培地、プロテイン、および/または化学薬品を移行可能にするように設計される。マイクロチャネル34、36内の作動流体は、同じ流体または異なる流体であってもよい。1つの例として、肺を模擬するデバイス10は、1つのチャネルに空気を流体として、別のチャネルには血液を模擬する流体を有してもよい。別の例では、薄膜40の上に細胞層42および44を発生させる場合、作業流体は、組織培養流体であってもよい。薄膜の片側の独立した灌流はマス輸送、せん断力、および別の生体環境の別の態様をより上手く模擬するのに役立つため、薄膜の片面に細胞がない場合であっても、デバイスが有用性を提供することが想定される。
【0033】
1つの態様において、上部マイクロチャネル34および下部マイクロチャネル36により確定されるアクティブ領域37は、約0.1〜10cmの長さと、約10〜2000μmの幅を有する。OOCデバイス10は、好ましくは、第1細胞層42および第2細胞層44の間を移動する際、流体、培地、粒子などを観察することができる光学窓を含む。分光法および顕微鏡法などの、さまざまな画像収集技術は、薄膜40を通る細胞行動や、細胞の連通に加え、マイクロチャネル34、36の流体の流れの影響を定量化および測定するために使用される。OOCデバイス10の詳細は、例えば、本出願の譲受人により所有され、その全体が本明細書に援用される、米国特許第8,647,861号により理解される。米国特許第8,647,861号の開示内容と一貫して、1つの好ましい態様において、薄膜40は、1つ以上の面に伸長可能かつ拡張可能であり、細胞により一般的に起こる拡張力と収縮力の生理学的効果を模擬する。
【0034】
マイクロ流体デバイスならびにメソ流体(mesofluidic)デバイスおよび薄膜は、プラスチック、ガラス、シリコン、生物的材料(例えば、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、Matrigel(登録商標)、キトサン、その他)を含む多様な材料で製作される、または、塗布される、もしくは別の場合、生産される。
【0035】
図3から
図12を参照すると、オープントップのオンチップ皮膚デバイスのため、または、別の生物的機能を模擬するためのオープントップOOCデバイスにゲル層を作り出すためなど、ゲル層を作り出すために使用される、さまざまな例示的なオープントップマイクロ流体デバイス(例えば、オープントップOOCデバイス)およびコンポーネントが示される。
【0036】
図3は、例示的なオープントップマイクロ流体デバイス300(例えば、オープントップOOCデバイス)の断面の分解斜視図を示す。チップの上部へアクセスを可能にする、オープントップOOCデバイスなどのオープントップマイクロ流体デバイスは、いくつかの利点を提供する。オンチップ皮膚などの局所的な処理は、オープントップを通じて、対象組織に直接行うことができる。局所的な処理には、例えば、液体、気体、ゲル、半固体、固体、粒子、またはエアロゾルが含まれる。また、さらなる化学的または生物的コンポーネントは、オープントップより追加される。具体的な例としては、デバイスのオープントップ内にさらなる細胞の種類が播種される。同様に肺組織チップなどへのエアロゾル輸送もまた想定され、オープントップを通じて行うことができる。
【0037】
マイクロ流体デバイス300は、スライドガラス、ポリマーもしくは金属支柱または同様の構造部などの基材305を、任意に含むことができ、任意に光学窓を設けることができる。基材305は、マイクロ流体デバイス300の底部構造部325を支持可能である。底部構造部325は、マイクロ流体デバイス300の底部流体チャネルとして示される、底部チャンバ336を画定する。底部構造部325の上には、上面344および下面348を有する薄膜340を含む、界面領域342である。下面348が底部チャンバ336の上に載るように、下面348は底部構造部325の上面に配置される。上部構造部320は、薄膜340の上面344に配置され、オープントップチャンバを含み、オープントップチャンバの少なくとも一部は、オープントップマイクロ流体デバイス(例えば、オープントップチップ)の開口領域334を画定する。上部構造部320が薄膜340に配置されるとき、開口領域334のすべてまたはほぼすべてが、薄膜340の上面344により、底部に境界づけられることが望ましい。いくつかの態様において、上部構造部320のチャンバは、さらに上部流体チャネルを含むことができる(例えば、
図5Bに示される)。そのような上部流体チャネルは、特に任意のカバーで覆われている間、上部チャンバの灌流を可能にする。いくつかの態様において、底部流体チャネルおよび上部流体チャネルのうち1つまたは両方がマイクロチャネルであることが想定される。また、いくつかの態様において、任意のカバー(例えば、図示されていないものの、
図4および
図5の非限定的で例示的なカバー410および510を参照)はオープントップ構造部の上に配置され、さらにチャンバおよび開口領域334で流体が連通することが想定される。カバーは1回限りの使用のために、またはその後、取り外されるように設計されてもよい(例えば、定位置に結合する手段により)ことがさらに想定される。
【0038】
チャンバは、オープントップ構造部320の開口領域334を画定する切り欠きを含むように示される。開口領域334の重要な作用は、実験の前、最中、および/または実験の後に、薄膜340、または、その上に配置される、あらゆる物体に対して直接アクセスを可能にすることである。そのようなアクセスは先述した模擬組織のための閉じたマイクロ流体デバイスでは、不可能である。OOCなどの上述したマイクロ流体デバイスは、アクセス制限されるチャネルを通じて低粘土流体を
図1および
図2に示されるような薄膜へ方向づけてもよいが、上部構造部320の上部チャンバの開口領域334はさらに、OOCデバイスの対象領域に高粘度ゲル、高粘度流体、固体、エアロゾル、および粉末を配置可能にする(例えば、所定の組織培養を含む薄膜の上に)。
【0039】
図4を参照すると、
図3と同様に、例示的なオープントップマイクロ流体デバイス400の断面の分解斜視図が示され、流体カバー410をさらに含むことが示される。マイクロ流体デバイス400は、底部構造部425を支持する任意のベース405を含む。底部構造部425は、底部チャネルを画定する。底部構造部および底部チャネルの上には、薄膜440を含む界面領域442がある。薄膜440は、底部構造部425および底部チャネルの上に配置される。オープントップ構造部420は、
図3に記載されるチャンバおよび開口領域334と同様に、薄膜の上に配置され開口領域434を有する上部チャンバを含む。デバイス400の組み立て時に、オープントップ構造部が薄膜440に配置される場合、すべてのまたはほぼすべての開口領域が薄膜440により底部に沿って境界づけられることが望ましい。
【0040】
流体カバー410は、カバーが存在する間は、開口領域434の灌流を可能にするように設計されてもよい。いくつかの態様において、この構成は、上部構造部420の上部チャネルにより開口領域415の灌流を可能にする場合と比較して利点が得られる。上部構造部420に上部チャネルを含まない構成の利点の1つは、開口領域434に配置される細胞、ゲル、または他の材料が上部チャネルに流出しないように、または広まらないようにすることであり、上部チャネルにこれらが存在することは望ましくない。例えば、上部チャネルの細胞は、アクティブ領域から広がらない。一方、流体カバー410にチャネルを配置すると、カバーが取り外された場合、播種の最中にはチャネルに細胞が同様に充填されず、チャネルが存在しないことの利点が得られるが、チャネルが上部構造部に配置される場合では、チャネルに細胞が充填されてしまう。一時的に流体カバーを用いる態様は、チャネル全体にわたる細胞播種を最小化する、または回避する、着脱可能で、できれば使い捨ての、細胞播種のための流体コンポーネントを提供する。
【0041】
開口領域に配置された対象の物質が望ましくない領域に「流出」することを最小化するために、異なる構成のオープントップマイクロ流体デバイスが想定される。例えば、カバーが上部構造部420の上に配置される場合、流体カバー410は、開口領域434のすべてまたは一部と実質的に整列する流体チャンバ415(チャネルまたはその一部であってよい)を含むことができる。流体チャンバ415は、任意に1つ以上の入口ポートへ水力学的に接続されてもよく、いくつかの態様において、
図1および
図2の上部本体セグメント12aに記載されるポートに類似していてもよい。流体チャンバ415の存在は、流体の流れを妨げるゲルまたは他の物質が開口領域434に満たされる場合、特に重要である。そのような場合、流体チャンバ415は、その中身が開口領域434の物質と流体的に相互作用可能するように、充填されるか、灌流されてもよい。例えば、もし開口領域434が細胞を含むゲルを保持する場合、流体チャンバ415を通じて組織培養の培地を流れること(またはフローなしでもこの媒体を培養)により、老廃物を除去するとともに、栄養や試薬を細胞に輸送させることができる。クランプデバイスの使用を通じて、
図3の任意のカバーまたは流体カバー410を上部構造部420に機械的に固定して(例えば、
図5E参照)、オープントップマイクロ流体デバイス400の開口領域434からのあらゆる対象流体物質の漏れを防止または最小化することができる。例えば、接着剤を使用しなくても、開口領域を均一にシールする生体適合ポリマーを加圧するためにばねを装備するクランプを使用することができる。このようなシーリングは、少なくともカバーまたは上部構造部420のうちの少なくとも1つにエラストマー、柔軟な、または柔らかい材料を含むことにより、さらに改善することができる。ガスケットおよびシーリングの多くの形態が、ここで利用され得ることを当業者は理解するだろう。クランプを用いるいくつかの実施形態の利点は、蓋またはカバーの取り付け、取り外し、また再取り付けが容易になることであり、それにより開口領域415が覆われた後、開口領域415にアクセス可能になることが望ましい。例えば、(i)局所的な処理、エアロゾル、さらなる細胞、または他の生物的試薬の利用、(ii)流体の変更(例えば、組織の培地)、(iii)流体または固形のサンプリング、または、(iv)光学的または他の技術を使用したイメージングにおいて、実験中のマイクロ流体デバイスの開口領域に対するアクセスが可能になることは有益である。カバーの再配置か別のカバーの取り付けかを選択できることは、デバイスの継続的な使用(例えば、生物的実験)をさらに可能にする。もしくは、デバイスの使用の終わりには蓋またはカバーを取り外して、例えば、生検の採取または、他の場合は、試料の除去、染色、固着、もしくはイメージング、などの破壊的であってもよい、サンプリングを可能にしてもよい。
【0042】
いくつかの態様において、
図3のカバーまたは流体カバー410も同様に、または代替的に、結合でき、または別の場合は、上部構造部420の上に配置することができる。例えば、流体またはガスシーリング用に、接着性薄膜、ラミネート、フィルム、またはシートを使用して、開口領域を画定する上部構造部と着脱可能カバーとの間の界面の開口領域を一時的または永久的に、シールしても良い。生体適合性ポリマーの栓またはピストンを使用して、開口領域を密閉することもまた想定される。蒸発を制限し滅菌性能を向上させるカバーまたはプレート(例えば、細胞培養用プレートに類似するもの)でオープントップマイクロ流体デバイスの開口領域を単に覆うこともさらに想定される。
【0043】
いくつかの態様において、ウェルのように、オープントップ構造部420を、開口状態で、またはオープントップ構造部420をシールする平坦層に類似する着脱可能カバーとともに使用できることが想定される。
図4の任意の構成は、灌流または他の流体をシステムに導入するためなどに、流体をマイクロ流体デバイスにも導入可能なチャネルを有する流体チャンバ415を含む。
【0044】
上述のとおり、オープントップマイクロ流体デバイスは、多くの利点をもたらす。例えば、ゲルまたは粉末形状の化合物を含む、化合物の薄膜に対する局所的利用が可能になる。また、オープントップの設計により、マイクロ流体デバイスの上部から模擬組織へ直接エアロゾルを輸送可能にする。さらに、対象とする処理の試験および応用のすべてを同じマイクロ流体デバイスの中で、同一実験サイクルの一部として行う過程で、オープントップの構成により、模擬の傷を組織に付けるため(例えば、皮膚または腸管にやけどまたはひっかき傷を模擬する)のアクセスが可能になる。さらに、本明細書で説明されるオープントップの構成により、エピセリウムへの直接的なアクセスもまた可能になるため、試験中の試料の生検の実施が可能になる。またオープントップの構成により、マイクロ流体デバイスの上部カバーを取り外すことによって、電子顕微鏡法、高倍率イメージング法、およびレーザーイメージング法の利用などの、顕微鏡法の利用がチップ使用中に可能になる一方、任意に実験の一貫性を保つ。
【0045】
いくつかの態様において、例えば、化合物の輸送および肺を通じた吸収、エアロゾル化または吸入された化合物の効果、モデル肺の疾患、または、その他の場合、肺の反応を観察する試験を行うのに模擬は有益であるため、肺の1つ以上の機能を模擬することが望ましい。インビトロモデルは、公知であり、例としては、「マイクロチャネルを有する臓器模倣装置ならびにその使用および製造方法」(“Organ Mimic Device with Microchannels and Methods of Use and Manufacturing Thereof”)と題される、米国特許第8,647,861号の肺チップマイクロデバイスの開示や、「低剪断マイクロ流体デバイスならびにその使用および製造の方法」(“Low Shear Microfluidic Devices and Methods of Use and Manufacturing Thereof”)と題される国際公開WO2015/0138034号の小気道チップのマイクロデバイスの開示が挙げられ、その両方を本明細書の一部としてすべて援用する。同じモデルにおいていくつかの望ましい特徴を組み合わせた肺モデルは、有益である。望ましい特徴には、肺構造および形態のさまざまな要素の反復発生、化合物または材料をエアロゾルとして十分に導入する性能、(例えば、血液または空気の流れを模倣するための)流体アクセス、または機械力が含まれる。例えば、肺モデルは、輸送管やチャネルで起こるエアロゾルの損失およびチャネルの長さに沿ったエアロゾル輸送におけるばらつきを最小化することが望ましい。本開示のいくつかの態様において、1つ以上のこのような望ましい特徴を含む肺モデルを構成することができる。例えば、
図4に示されるように、一実施形態において、肺モジュールは、オープントップデバイスを用いて構築される(流体カバー410、
図3の任意のカバーを使用した場合でも、カバーを使用しない場合でも)。したがって、肺上皮細胞(例えば、肺胞上皮細胞)は、開口領域415内に含まれる、または沈着する。任意に、底部構造部425は、インビボの肺の脈管構造(例えば、毛細血管床)の類似する細胞の存在により動機づけられて、内皮細胞を含んでもよい。本明細書で説明されるオープントップデバイスのさまざまな態様を用いて、肺モデルは静的に生物培養、もしくは、操作してもよく(継続的なフローを用いずに、またはデバイス内の流体の一部を個別に交換して)、または、例えば底部構造部425、上部構造部420、またはカバー410に加え、これらの種類の組み合わせの中に配置される流体チャネルのいずれかでフローの下で操作してもよく、操作の間、任意で変更されてもよい(例えば、初めは個別に流体を交換して、その後、フローを導入する)こともまた想定される。加えて、その中の開口領域415または細胞層は、気液界面下で無加湿(dry)培養または液内培養されてもよく、この培養のモードは使用中に任意に変えることができる。例えば、肺チップおよび小気道チップデバイスの実施例の後には、肺培養を液内条件下で開始し、熟成期の一定期間後(例えば、1時間から7日間、または1日から14日で制限なし)に、気液界面培養へと移行することが望ましい。本開示のさまざまなオープントップの実施形態における具体的な利点は、エアロゾルを、例えば開口領域415などの開口領域の肺細胞に輸送させてもよいことである。一つの例示的な態様において、任意のカバーなしで装置が操作される一方(またはカバーを取り外すことにより)、エアロゾルは上部(またはほぼ上部)から開口領域415内に直接輸送できる。エアロゾルは、種々のあらゆる公知のエアロゾル発生技術を用いて発生させてもよい。また、エアロゾル発生手段は、開口領域415の上部に配置可能なカバーに含まれてもよい。カバーは、使用中に任意に取り外される、または、交換されてもよく、例えば、エアロゾルが望ましい場合、エアロゾル発生カバーを取り付けてもよく、流体灌流が望ましい場合、流体カバー410と交換してもよい。いくつかの実施形態において、非エアロゾル材料または試料は、開口領域415などの開口領域に存在する細胞に利用できる。これは、スラリー、ペースト、固体または粘性の流体など、それらの性質により流体的に利用しにくい材料または試料を含んでもよい。
【0046】
次に
図5A〜5Fを参照すると、例示的なオープントップマイクロ流体デバイスのさらなる断面詳細を含む、複数の斜視図が示される。マイクロ流体デバイス500は、底部構造部525、525’および上部構造部520、520’の間に配置される薄膜540、540’を含む。底部構造部は、底部チャンバ536、536’を確定し、上部構造部は、マイクロ流体デバイス500の開口領域534、534’を画定する上部チャンバを含む。いくつかの実施形態において、開口領域534、534’が、試験用にゲル、多孔性ボリューム、または別の材料(例えば、細胞外マトリックスまたは細胞外マトリックスに包埋された細胞)を含むことが望ましい。例えば、ゲルは、皮膚のオンチップ臓器モデルで使用されるゲルを含むことができ、繊維芽細胞を収容し、層またはケラチノサイトを支持する。
図5Bにおいて、ゲル層550は、開口領域534に導入され(
図5A参照)、ゲル層550は、薄膜540により、底部に境界づけられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ゲルまたは多孔性ボリュームは、上部構造部520、520’に含まれる1つ以上の流体チャネルを通じて、1つ以上の適切なプリカーサーを注入することにより形成される(このような任意のチャネルは、
図5A〜5Cに描かれる)。そして、1つ以上のプリカーサーは、ゲルまたは多孔性ボリュームを形成するように、所望のとおりに処理される(例えば、紫外線、化学処理、温度処理、および/または定温放置/待機)。もしくは、1つ以上のプリカーサーが、最終または最終形に近い形になると、ゲルまたは多孔性ボリュームを生成するための、これ以上のアクティブプロセスは適用されない。上部構造部520に含まれる1つ以上の流体チャネルを通じて1つ以上のプリカーサーを注入する手法を適用して、ゲルまたは他の多孔性ボリュームを一貫して充填することを可能にするものの、ゲルまたは多孔性ボリュームの充填は流体チャネルの少なくとも一部にとどまるのが一般的である。これは、いくつかの状況において、望ましくない。例えば、細胞を含むゲルを取り扱う際、薄膜を通じて十分な栄養、または生化学的キューを受け取らないように細胞をアクティブ領域に限定することが望ましい。もしくは、1つ以上のプリカーサーは、開口領域534、534’を通じてオープントップマイクロ流体デバイス内の上部に配置することができる。そのような手法により、プリカーサーが行き渡る空間を排除する、または、限定する代替的実施形態が可能になる(例えば、開口領域534、534’と流体連通する上部構造部520、520’に含まれる流体チャネルを避けてもよい)。別の実施形態において、1つ以上のプリカーサーは、1つ以上の流体チャネルを含むカバー510を使用して、開口領域534、534’に注入されてもよい(
図5Dに示される例)。そのような実施形態は、結果として流体チャネル内にゲルが形成される可能性があるが、カバー510は、着脱可能であり、任意に交換可能で、望ましくない材料の少なくとも一部を取り除くことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、ゲルボリュームまたは多孔性ボリュームを限定または形作ることが望ましい。例えば、皮膚のオンチップ臓器モデルでは、繊維芽細胞を収容しケラチノサイトを支持するゲル層の厚さを選択された厚さに限定することが望ましい。限定するものではないが、上記厚さは、10um〜200um、100um〜1mm、0.5mm〜5mm、または1mm〜10mmの1つ以上の範囲から選択されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ゲルまたは多孔性ボリュームの範囲は、ゲルまたは多孔性ボリュームの導入中または形成中に存在する成形デバイス(例えば、成形カバー、パターン化ベースを有するプランジャ)により限定されてもよい。この成形デバイスは、ゲルまたは多孔性ボリュームが形成された後、取り外かれてもよく、任意にカバーと交換されてもよい。この成形デバイスは、少なくとも一部にゲルまたは多孔性ボリュームが適合するチャンバを任意に含んでもよい。もしくは、成形デバイスは、開口領域534に突出する1つ以上の特徴部を含んでもよい。
図5Cは、プランジャスタンプ560の形を受け入れる開口領域534内に突出する特徴部を備える成形デバイスを示す。いくつかの態様において、成形デバイスは、ゲルまたは多孔性ボリュームのための1つ以上のプリカーサーを導入する前に利用される。例えば、上部構造部520、流体カバー510、または成形デバイス自体の中にさえも存在する流体チャネルを通じて導入されうる。別の態様において、上部構造部520もしくは流体カバー510の流体チャネルを通るにせよ、または開口領域に直接導入される(例えば、シリンジ、ピペット、または印刷プロセスを使って)にせよ、成形デバイスを利用する前に1つ以上のプリカーサーが導入される。そのような場合、成形デバイスは、余剰のプリカーサーを取り込むように設計される特徴部(例えば、穴、流体チャネル、キャビティ)を任意に含んでもよい。いくつかの実施形態において、成形デバイスは、複数層を含む。例えば、成形デバイスは、ゲル高さおよび平板カバーを画定して、ゲルがスペーサの高さを超えることを防ぐために使用されるスペーサ層を含んでもよい。これらの層のすべてのまたは一部は、一度、ゲルまたは多孔性ボリュームが画定されれば、デバイスの使用中または実験中に残存している可能性のある残存層(例えば、スペーサー層)とともに除去されてもよい。いくつかの実施形態において、上部構造部520は、ゲルまたは多孔性ボリュームが形成された後、取り外してもよく、開口領域を含んでも含まなくてもよい、異なる構造部またはカバーと任意で交換することができる。
【0049】
プランジャスタンプ560などの成形デバイスは、パターン界面555でゲルまたは多孔性ボリュームにパターンを作り出すパターン化表面565を含むことができる。プリカーサー材料の性質により(例えば、プリカーサーの粘度および硬化を通じた変化)、成形デバイスは、ゲルまたは多孔性ボリュームが完全に形成される前に、取り外されてもよい。
【0050】
次に、
図5Dは、プランジャスタンプが取り外された後の、
図5Cの例示的なオープントップマイクロ流体デバイスの斜視図を示し、ゲル層550のパターン化上部表面557を含む。パターニングは、ゲル層550の上部表面557のくぼみ558を含む。そして、着脱可能カバー510は、チャンバ515がチャンバ534と整列するように、マイクロ流体デバイス500の上に配置される。例示的なカバー510は、任意に流体チャネルを含む。例証される実施例において、流体チャネルのうちの1つは、入口孔514からチャンバ515へ延びる。別の流体チャンバは、出口穴516で終了し、カバー510を通り、薄膜540の開口部を通じて下方に延び、チャンバ536と流体的に接続される。カバー510は、着脱可能であるが、一度取り外されても、任意に再度取り付けられる、または、別のカバーと交換されてもよい。
【0051】
図5Eは、例示的なクランプデバイス570内に配置される例示的なオープントップマイクロ流体デバイスを示す。クランプデバイスは、マイクロ流体デバイスのさまざまな層を合わせて保持するために必要とされる接着剤や結合を用いないため望ましい。クランプデバイスは、実験中に着脱可能カバーの効率的な取り外しを任意に可能にする、オープントップマイクロ流体デバイスに取り付けられる。マイクロ流体デバイス500のための、クランプデバイス570は、マイクロ流体デバイス500の第1面(例えば、底面)と係合する任意の基部585を含む。いくつかの実施形態において、複数の細長い支柱590は、基部585から上へ延びることができる。平坦またはいくつかの態様では平坦でない圧縮プレート580は、圧縮プレート580が支柱590に沿って、垂直に摺動するように、複数の細長い支柱590に移動可能に接続される。いくつかの実施形態において、圧縮プレート580は、マイクロ流体デバイス500の第2面(例えば、上面)と係合し、別の実施形態において、圧縮プレート580は、カバーをマイクロ流体デバイス500に保持する。圧縮デバイス580は、細長い支柱590に沿った方向に通常、圧縮力を提供する(例えば、矢印598を参照)。圧縮デバイス(例えば、ばね595、エラストマー、フレクシャなど)は、圧縮力(例えば、矢印598参照)がマイクロ流体デバイス500の第2面(例えば、上面)にほぼ均一な圧力を作り出すように、圧縮プレート580に動作可能に接続される。クランプデバイスコンポーネントは、PMMA(例えば、アクリル)、熱可塑性樹脂、熱硬化性ポリマー、他のポリマー材料、金属、木材、ガラス、またはセラミックを含む、異なる種類の材料から作ることができる。代替の実施形態において、圧縮プレート580は、1つ以上のねじ、クリップ、粘着性材料、技術分野において公知の他の保持メカニズム、または、あらゆるこれらのメカニズムの組み合わせや上記の圧縮デバイスを含む、保持メカニズムを用いて定位置に支持されてもよい。いくつかの実施形態において、保持メカニズムは、基部585に対して、または、接して圧縮プレート580を保持する。代替の実施形態において、保持メカニズムは、マイクロ流体デバイス500に対して、または接して圧縮プレート580を保持する。例えば、ねじを使用して、マイクロ流体デバイス500に含まれる、対応するねじ孔を有するマイクロ流体デバイス500に対して、圧縮プレート580を締結することができる。別の例では、圧縮プレート580は、マイクロ流体デバイスの適切な受け入れ特徴部に入れ込んで留めるクリップ特徴部(保持メカニズム)を含むことができる。いくつかの実施形態において、圧縮プレート580は、マイクロ流体デバイス500に含まれる開口領域のカバーを含む。別の実施形態において、圧縮プレート580は、マイクロ流体デバイス500に含まれる開口領域のためのカバーを含む、さらなる基質を保持する。
【0052】
いくつかの態様において、圧縮プレート580は、マイクロ流体デバイス500または任意のカバーの、対応する流体ポート(例えば、入口孔514または出口孔516)とほぼ整列する、少なくとも1つのアクセスホール(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、アクセスホールは、流体コネクタを確実に支持する、または、含む。このような流体コネクタは、マイクロ流体デバイス500または任意のカバーとの流体的界面において有益であり得、コネクタがマイクロ流体デバイス500または任意のカバーに含まれる必要がない。
【0053】
圧縮プレート500の底面領域は、マイクロ流体デバイス500の上面領域よりも大きいまたは小さくてもよい。いくつかの態様において、基部585は、圧縮プレートの幅が基部の幅よりも大きい幅を有することができる。圧縮プレート580は、圧縮プレートの中心部から突出し基部へ延びる小突起またはタブ(図示せず)をさらに含むことができ、小突起を有する圧縮プレートの幅が基部の幅よりも大きくなるようにする。
【0054】
細長い支柱590を含む実施形態では、複数の細長い支柱590は、実質的に並行で、圧縮プレート580は、細長い支柱が各穴を通過可能になるよう作動する複数の穴を含むことが想定される。複数の細長い支柱590は、圧縮デバイス(例えば、ばね595)を支持する。圧縮デバイスは、複数の細長い支柱590のうちの少なくとも1つの外側境界の周りに延びる少なくとも1つのばね595を含むことができる。いくつかの態様において、圧縮デバイスは、圧縮プレートにほぼ均一または均等な圧力を加える2つのばねを含み、圧縮プレートは、容易に上下移動するクランプデバイスの可動部分であり、クランプシステムの操作を容易にするものである。例えば、ばね定数により幅広い平推距離および平推力が得られ、ならびにクランプデバイスが長期間にわたって上下反対に配置される状況にも対応できるため、クランプデバイスにおけるばねの使用は望ましい。圧縮プレートは、領域、形状、厚さ、または材料を変更することができる。
【0055】
圧縮プレート580または任意のカバーとマイクロ流体デバイス500との間の流体シール(もし、そのようなシールが望まれる場合)を作り出すために必要とされる力に基づいて、クランプデバイスによりマイクロ流体デバイスに加えられる最大圧縮力が決定され、マイクロ流体チャネルまたはチャンバの圧潰は、マイクロ流体デバイス500または任意のカバー内で起こりやすいことが想定される。いくつかの態様において、加えられる圧縮力は約50Pa(約0.007psi)から約400kPa(約58psi)である。いくつかの態様において、加えられる圧縮力は、約5kPa(0.7psi)から約200kPa(29psi)である。いくつかの実施形態において、圧縮プレート580によりマイクロ流体デバイス500にかかる力または圧力の量は、マイクロ流体デバイスのシール状態、または、圧縮プレート580と基部585との適切なサンドイッチ状態を保つものの、マイクロ流体チャネルを圧潰したり、所望の気体交換を妨げたりするほどには極端ではないことが望ましい。
【0056】
クランプシステムの観察部分を通じて、マクロ的、視覚的、または顕微鏡イメージングへの良好な光学的アクセスを可能にすることが望ましいが、可撓性デバイス(PDMSシリコンから作られる)への圧力分散を高める、マイクロ流体デバイスを支持する剛性を得るために、スライドガラスまたは他の透明窓(例えば、PMMA、ポリカーボネート、サファイアから作られる)をクランプデバイスに統合させることができる。
【0057】
説明されるクランプデバイスは、上下位置において、デバイスの使用や位置決めが容易になることが想定される。これは、OOCの共培養時によく行われ、チップ薄膜の下面の細胞播種の際に、特に望ましい特徴である。
【0058】
クランプデバイス500のための圧縮デバイスは、ばねもしくは他の上述した圧縮デバイス、または、保持メカニズムの代替物を含むことができる。例えば、水力式または空気式圧縮システムが想定される。剛性のあるマイクロ流体デバイスに適応するガスケットが使用されることもまた想定される。例えば、クランプデバイス500は、ばね自体の弾力性よりも、クランプデバイス500に対する弾力性のレベルを有する、適応するガスケット備えることができる。適応するガスケット材料は、圧縮プレート580とマイクロ流体デバイス500との間、または、任意カバーとマイクロ流体デバイス500との間の界面を作り出す。いくつかの態様において、圧縮デバイスは、デバイスデザインの一部として、片持ち梁などの、幾何学形状を利用してケース材料のたわみや圧縮から生じる圧縮力を得ることがまた想定される。いくつかの態様において、圧縮力はまた、磁気または電磁気システムによっても加えることができる。
【0059】
図5Fは、デバイス500に類似するオープントップマイクロ流体デバイスの代替的かつ例示的な断面の斜視図であり、上面図または底面図から見るとほぼ円形である、底部チャンバ536’および上部チャンバの開口領域534’を有する。別の態様では、開口領域および/またはチャンバのための楕円またはフットボール形状を含むことができる。別の例示的な特徴部は、底部構造部525’と上部構造部520との間に配置される薄膜540’を含み、前記底部構造部は、底部チャンバ536’を画定し、上部構造部は、上部チャンバの開口領域534’を画定する。示される薄膜540’は、チャネル間の通路(例えば、開口領域と底部チャンバ)を限定して、位置541’を選択するが、いくつかの態様において、位置541’は、開口領域534’と底部チャンバ536’内の薄膜の全表面領域より少ない。選択位置541’は、ゲル、多孔性ボリューム、または試験用の開口領域に配置された別の材料(例えば、細胞外マトリックスまたは細胞外マトリックスに包埋される細胞)のための通路用にレーザー切断された穴を含んでもよい。いくつかの態様において、選択位置541’は、鋳造、アブレーション、エッチング、または他のプロセスを通じて製造された穴を含んでもよい。選択位置541’の穴は、オープントップマイクロ流体デバイスの開口領域と底部チャンバとを分離する薄膜内に画定される異なる直径と間隔の穴を含んでもよいパターンに製造される。パターン化の手法は、(i)マイクロ流体デバイスの設計を特定の組織の用途に最適化する、(ii)組織、臓器、または、マイクロバイオーム発生のための複数の微小環境を生み出す、および/または(iii)検出可能な領域を限定することにより、センサまたは電極機能を高めること(例えば、カバーに配置されるセンサまたはアクチュエータ)、において利点がある。
【0060】
いくつかの態様において、オープントップマイクロ流体デバイスは、オープントップマイクロ流体デバイスの開口領域または開口部内に、例えば、ゲルもしくは多孔性ボリュームまたはポリカプロラクトンなどの生分解性ポリエステルなどのマトリックスの沈着を直接可能にする。例えば、ゲル形成溶液またはプリカーサーは、マイクロ流体デバイスから分離される型に配置される。その型は、所望の実験用にゲルボリュームが中に配置されるチャンバまたは開口領域の形に近づけることができる。マイクロ流体デバイスの中にゲル層を直接設置するのと同様に(
図5C〜5D参照)、プランジャスタンプの底面が型のゲル溶液と接触するように、プランジャスタンプは型の中のゲル溶液内に配置される。プランジャスタンプの底面は、ゲル溶液に刻み込まれる特徴部のパターンを含む。ゲル溶液が少なくとも部分的に凝固した後、プランジャスタンプは、次にゲル溶液から取り外され、それにより、組織マイクロ構造を模擬するパターン化ゲルを作り出す。一度、ゲルが壊れたり分離したりしない程度までゲルが凝固されると、パターン化ゲルは、型から除去することができ、実験に用いられる実際のマイクロ流体デバイスの、同様に形作られた開口領域に挿入することができる。もしくは、または、組み合わせて、適切に形作ったボリュームまたはゲルもしくは多孔性ボリュームは、一定のサイズにするために切断、3Dプリント、またはより小さいボリュームから集めることができ、そして、開口領域に配置することができる。さらに、ゲルまたは多孔性ボリュームは、開口領域内に直接3Dプリントすることができる。別の関連する態様では、
図5C〜5Dに記載されるように形成されるマトリックスのように、マトリックス(例えば、ゲルまたは多孔性ボリューム)もまたオープントップマイクロ流体デバイスの上部構造部から容易に抽出され(全体または一部)、これによりチップ全体を染色する必要なく、または、細胞の単層を再構築する必要なく、ひずみおよび高分解能イメージングの問題を克服することにより利点が得られる。オープントップマイクロ流体デバイスの開口領域からのまたは開口領域への、ゲル、多孔性材料および/または生物的試料(例えば、生検、血液)の除去または挿入もまた望ましく、その理由は、マイクロ流体デバイス内の対象組織試料を試験するために、および/または、その後OOCデバイスから試料を除去するためのアクセスが可能になり、その後、他の用途に使用することができるためである(例えば、患者への移植;別のデバイスでのさらなる分析など)。代替の実施形態において、ゲルまたは細胞もしくは組織を含むゲルは、ゲル材料の細胞の培養の後にパターン化される。
【0061】
マイクロ流体デバイスのいくつかの態様において、センサまたはアクチュエータを含むカバーを含むことが望ましい。例えば、カバーは、電気励起の測定に使用される1つ以上の電極を含むことができる。いくつかの態様において、薄膜(例えば、薄膜540)を含むデバイスなどの場合、1つ以上の電極を使用して、薄膜の経上皮電気抵抗(TEER)の測定を行ってもよい。薄膜540の反対側に1つ以上の電極を含むこともまた望ましい。いくつかの態様において、電極は、底部構造部に含まれる(例えば、底部構造部525)。いくつかの態様において、底部構造部は、底部構造部と接触させることが可能な底部カバーを含む、底部電極を有する開口底部である。底部カバーは、上部カバーに関連して本明細書で説明される、例えば、着脱性、流体チャネル、複数層、クランプ特徴部などの、特徴または変形のいずれかを支持してよい。
【0062】
いくつかの態様において、例えば、皮膚を通じた化合物の移送および吸収の試験、皮膚老化または治癒に対する局所的な治療の効果、皮膚病のモデリング、または、損傷や鋭敏化などの皮膚反応の観察などの1つ以上の皮膚機能を模擬することが望ましい。インビトロの生皮膚等価物(LSE)などの皮膚モデルは公知であるが、同じモデルのいくつかの特徴を組み合わせた皮膚モデルが望ましい。例えば、望ましい特徴には、皮膚構造および形態のさまざまな要素の反復発生、局所的なアクセス、(例えば、血流を模倣するための)流体アクセス、または、機械力を含むことができる。本開示のいくつかの態様によると、1つ以上のこのような望ましい特徴を含む皮膚モデルが構成される。1つの例示的な態様において、皮膚モデルは、
図5Dに示されるオープントップデバイスを使用して構成される。したがって、皮膚の皮層に対応すると見なされてもよいゲル層550は、開口領域534、534’に存在する、または、開口領域534、534’内に導入される(例えば、上述の方法のいずれかを用いて)。任意に、ゲル層550(または他のマトリックス)は、インビボ皮膚の皮層内の類似する細胞の存在により刺激される、包埋された繊維芽細胞または関連する細胞を含んでもよい。さらに、ゲル層550の上には、皮膚の初代細胞型である、ケラチノサイトがある。ケラチノサイトは、例えば、ゲル層550の上部に沈着し(これは、例えば、オープントップを通じて直接行われる、または上部構造部520、520’もしくはカバー510に存在するチャネルを通じて流体的に導入される)、または、ゲルもしくは他のデバイスコンポーネントに存在して、生物学的に成熟するか、もしくはゲル層550の上部の細胞層に発生させてもよい。任意に、底部構造部525、525’は、インビボ皮膚の脈管構造(例えば、毛細血管床)内の類似する細胞の存在により刺激される、内皮細胞を含む。本明細書に記載されるオープントップデバイスのさまざまな態様を使用して、得られる皮膚モデルは、静的に生物培養、もしくは、操作してもよく(継続的なフローを用いずに、または、デバイス内の流体の一部を個別に交換して)、または底部構造部525、525’、上部構造部520、520’、もしくはカバー510に配置される流体チャネルのいずれかで、フローの下で操作してもよく、さらにはこれらの種類を組み合わせてもよく、操作中に任意で変更してもよい(例えば、初めは個別に流体を交換して、その後、フローを導入する)。さらに、オープントップマイクロ流体デバイス内の開口領域534または細胞層は、気液界面下で無加湿(dry)培養されてもよく、または液内培養されてもよく、使用中に培養のモードは任意に変更される。例えば、LSE(生皮膚等価物)などの従来の皮膚モデルの実施例に続き、数日の熟成期間後(例えば、限定されないが1時間から3日の間、または1日から14日の間)、液内条件下でケラチノサイトの培養および気液界面培養への移行を開始することが望ましい。ゲル層550は、例えば、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ラミニン、ゼラチン、ポリアクリルアミド、アルギン酸、または、Matrigel(登録商標)を含む、生物的もしくは合成ゲル、または他の多孔性ボリュームを含んでもよい。I型コラーゲンは従来の皮膚モデルで特に使用されてきたが、エラスチンがインビボの皮膚に存在することは公知であり、開示されるインビボモデルでそれを使用することを動機づけている。
【0063】
いくつかの態様において、例えば、腸管またはその一部を通じた化合物の輸送および吸収、腸管の健康状態もしくは治癒に対する治療の効果の試験において、腸管疾患のモデリングにおいて、または損傷もしくは鋭敏化などの腸管の反応の観察において、腸管の1つ以上の機能を模擬することが同様に望ましい。従来技術で公知のインビトロの腸管モデルにおいて、例えば、“Cell Culture System”と題され米国特許出願公開第2014/0038279号で開示される、トランスウェルに基づくシステムまたは腸チップマイクロデバイスの開示は、本明細書の一部としてそのすべてを援用する。いくつかの態様において、腸管構造および形態のさまざまな要素の反復発生、(例えば、管腔輸送または血流を模倣するための)流体アクセス、または機械力などを含む、いくつかの所望の特徴を同じモデルで組み合わせる、腸管モデルを構築することが望ましい。本開示のいくつかの態様によると、1つ以上のこのような所望の特徴を含む腸管モデルが構築される。1つの例示的な態様において、腸管モデルは、
図5Dに示されるオープントップデバイスを使用して構築される。したがって、ゲル層550は、開口領域534、534’に存在する、または、導入される(例えば、先述したいずれかの方法を用いて)。さらに、ゲル層550の上には、腸管上皮細胞がある。腸管上皮細胞は、例えば、ゲル層550の上部に配置されてもよく(例えば、オープントップを通じて直接、または上部構造部520、520’またはカバー510に存在するチャネルを通じて流体的に導入されて行われる)、または、ゲルもしくは他のデバイスコンポーネントに存在させて、ゲル層550の上部の細胞層内で生物的に成熟させる、または、発現させてもよい。任意に、底部構造部525、525’は、インビボの腸管の脈管構造の類似する細胞(例えば、毛細血管床)の存在により動機づけられて、内皮細胞を含む。任意に、ゲル層550は、例えば、平滑筋細胞、神経細胞、リンパ細胞または他の細胞種類の細胞を含み、ゲル層内で培養する。本明細書に記載されるオープントップデバイスのさまざまな態様を用いて、得られたモデルを静的に生物培養、もしくは、操作してもよく(継続的なフローを用いずに、または、デバイス内の流体の一部を個別に交換して)、または底部構造部525、525’、上部構造部520、520’、もしくはカバー510に配置される流体チャネルのいずれかで、フローの下で操作してもよく、さらにはこれらの種類を組み合わせてもよく、操作中に任意で変更してもよい(例えば、初めは個別に流体を交換して、その後、フローを導入する)。腸管の細胞は、通常、液内培養されるが、オープントップデバイスにより開口領域534またはその中の細胞層で無加湿(dry)培養または気液界面下で培養して、腸内ガスもしくはさまざまな症状(例えば、呑気症または過敏性腸症候群もしくは乳糖不耐症)を模擬し、または培養のモードは使用中に任意に変更して、高粘度もしくは固体粒子材料(例えば、食品、排泄物など)で培養することが可能になる。ゲル層550は、例えば、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ラミニン、ゼラチン、ポリアクリルアミド、アルギン酸、またはMatrigel(登録商標)を含む、生物的もしくは合成ゲル、または多孔性ボリュームを含んでもよい。
【0064】
いくつかの態様において、例えば、気道またはその一部を通じた化合物の輸送および吸収、気道の健康状態もしくは治癒に対する治療の効果の試験において、気道疾患のモデリングにおいて、または損傷もしくは鋭敏化などの気道の反応の観察において、小気道の1つ以上の機能を模擬することが同様に望ましい。従来技術で公知のインビトロの小気道モデルにおいて、例えば、「低剪断マイクロ流体デバイスならびにその使用および製造の方法」(“Low Shear Microfluidic Devices and Methods of Use and Manufacturing Thereof”)と題され国際公開第2015/0138034号で開示される、小気道チップのマイクロデバイスの開示は、本明細書の一部としてそのすべてを援用する。本開示のいくつかの態様によると、例えば、気道および血管系への流体アクセス、インビボの気道に見られる分化細胞種類のいくつか(例えば、繊毛細胞、粘液産生細胞)、および免疫応答などを含む1つ以上の所望の特徴を含むように小気道モデルを構築することが望ましい。1つの例示的な態様において、小気道モデルは、
図5Dに示されるオープントップデバイスを使用して構築される。したがって、ゲル層550は、開口領域534、534’に存在する、または導入される(例えば、上述した方法のいずれかを使って)。さらに、ゲル層550の上には、小気道上皮細胞がある。小気道上皮細胞は、例えば、ゲル層550の上に沈着する(例えば、オープントップを通じて直接、または上部構造部520、520’もしくはカバー510に存在するチャネルを通じて流体的に導入されて、行われる)。任意に、底部構造部525、525’は、インビボの気道の脈管構造の類似する細胞(例えば、毛細血管床)の存在により動機づけられて、内皮細胞を含む。本明細書に記載されるオープントップデバイスのさまざまな態様を用いて、得られたモデルは静的に生物培養、もしくは、操作してもよく(継続的なフローを用いずに、または、デバイス内の流体の一部を個別に交換して)、または底部構造部525、525’、上部構造部520、520’、もしくはカバー510に配置される流体チャネルのいずれかで、フローの下で操作してもよく、さらにはこれらの種類を組み合わせてもよく、操作中に任意で変更してもよい(例えば、初めは個別に流体を交換して、その後、フローを導入する)。さらに、開口領域534または細胞層は、気液界面下で無加湿(dry)培養されてもよく、または液内培養されてもよく、使用中にこの培養モードは任意に変更される。ゲル層550は、例えば、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、ラミニン、ゼラチン、ポリアクリルアミド、アルギン酸、またはMatrigel(登録商標)を含む、生物的もしくは合成ゲル、または多孔性ボリュームを含んでもよい。
【0065】
いくつかの態様において、流体デバイスの少なくとも一部に機械的ひずみまたは機械力を与えることが望ましい。特に、流体デバイス内に存在する少なくともいくつかの細胞に、機械力を加えることが望ましい。いくつかの態様によれば、駆動メカニズムを組み込むことにより、オープントップデバイスの少なくとも一部に機械力を加えることが望ましい。いくつかの実施形態において、この駆動メカニズムは、その全体を本明細書の一部として援用する米国特許第8,647,861号に記載されるものと類似する、1つ以上の操作チャネルを含むことができる。このような操作チャネルは、真空にするか加圧して、デバイスの一部、例えば、上部流体チャネルと下部流体チャネルとに分離する薄膜に加圧する。この実施例において、薄膜の上または下に存在するあらゆる細胞は、結果として生物的効果を生み出すことにつながる機械力を受ける。いくつかの態様において、オープントップデバイスは、駆動メカニズムをさらに含むシステムに含まれる。いくつかの態様において、この駆動メカニズムは、オープントップデバイスを機械的に係合するためのシステム、および伸長力または圧縮力を加えるためのシステムを含む。流体デバイスまたは流体デバイスを含むシステムに含まれる、駆動システムの多くの実施例は、“Organomimetic Devices and Methods of Use and Manufacturing Thereof”と題され、本明細書の一部としてそのすべてを援用する、国際公開WO2015/138032号に記載される。1つの例示的態様によると、システムはオープントップデバイスと、1つ以上のクランプまたはピンを含む機械的係合デバイスと、および1つ以上の電動機または空気圧シリンダを含む機械的駆動デバイスと、を含む。このようなシステムを採用する1つの方法によると、オープントップデバイスは、機械的係合メカニズムと係合し(例えば、オープントップデバイスに含まれる、対応する穴に1つ以上のピンを滑り込ませる)、1つ以上の電動機または空気圧シリンダを駆動させて、オープントップデバイスの少なくとも一部に周期的な機械力を加える。
【0066】
図6を参照すると、オープントップマイクロ流体デバイス(例えば、オープントップOOCデバイス)で生物的条件を模擬する、テクスチャ底面665を有する、別の例示的な成形デバイス(この場合では、プランジャスタンプ660)が示される。プランジャスタンプ660は、
図5Cおよび
図5Dに示されるのと同様に使用される。プランジャスタンプはまた、オープントップマイクロ流体デバイスの開口領域で、所定の厚さのゲル層を作り出すためにも使用される。この構成は、分離部分または層が、例えば、繊維芽細胞を足したコラーゲンなどの真皮等価層に導入される必要がある場合において、特に有益である。プランジャスタンプもまた、インビボの皮膚部分などの厚いゲル層(例えば、厚さ約50マイクロメートルから約10ミリメートル、厚さ約100マイクロメートルから約1ミリメートル)を作り出すことが可能になることにより、例えば、オープントップOOCデバイスでの皮膚の発生に有益である。プランジャスタンプはまた、マトリックス内に導入した細胞を有する細胞外マトリックス(ECM)など、細胞がシステムに包埋される用途にも使用される。プランジャスタンプを、オープントップマイクロ流体デバイスの開口領域のゲルに押し付けることによっても、繊維芽細胞をゲル層に包埋することができる。
【0067】
成形デバイス(例えば、プランジャスタンプ)で作り出されたパターン化表面により、皮膚組織、小気道組織および腸管などの組織または臓器の特性をより正確に模擬することができる。例えば、皮膚モデルのゲル層は、インビボの乳頭構造または表皮突起構造の特徴を模倣する波状に形成される。このような構造は、インビボの皮膚の顕著な特徴であり、皮膚の健康状態および年齢により変化する。したがって、インビボ構造を模倣するオープントップチップの構造を形成および制限する機能は、開示されるオープントップマイクロ流体システムの有益な態様である。さらなる実施例として、成形デバイス(例えば、プランジャスタンプ)を使用するパターニングは、腸絨毛を模倣する腸管モデルにおいて、構造を再建するために用いられる。絨毛は、細胞分化の絨毛・陰窩軸に対応するため、とりわけ、インビボ腸管の重要な態様として理解される。腸管モデルの絨毛を模倣する構造を制御可能に形成する機能は、開示されるオープントップマイクロ流体システムの別の有益な態様である。
【0068】
また、ゲルまたは多孔性ボリュームに形成されるパターンの種類により、所望の細胞種類がゲルまたは多孔性ボリュームの中または上に形成するかを決定してもよい。例えば、もしゲルの幾何学的形状が細胞の元々の環境を十分に模擬していない場合、成人のケラチノサイトは、分化せずに、細胞死する可能性がある。ゲルまたは多孔性ボリューム表面に特異的および複雑なパターン(例えば、培養される細胞のための元々の環境を模擬するパターンおよび/または幾何学的形状)の跡をつけることが可能なパターン化成形デバイス(例えば、パターン化プランジャスタンプ)を用いて、細胞の生存および細胞の分化を可能にする、望ましいマイクロ環境が作られる。
【0069】
図7を参照すると、プランジャスタンプ760のための例示的なパターンが示される。プランジャスタンプ760は、真皮の乳頭構造を模倣する、複数の模擬乳頭構造765を有する、パターン化底面を含み、これは、ゲル層の表面に跡をつけるときに、成人の皮膚等価物の分化に有用である。
【0070】
いくつかの態様において、ゲル層は、まず、マイクロ流体デバイスの上部構造部の開口領域に配置され、または、型に配置され(例えば、開口領域の模擬)、その後、プランジャスタンプでゲル表面のスタンピングが行われる。別の態様において、プランジャスタンプはまず、開口領域から挿入され、所望のゲル層の厚さに基づき、所定の所望地点まで挿入され、その最終硬化形状よりも低粘土の予備重合されたゲルは、プランジャスタンプ、薄膜、および開口領域の両側により限定される開口領域内に配置される、または、流入可能になる。予備重合されたゲルにプランジャスタンプのパターン化表面の跡をつける場合、プランジャスタンプは、プランジャスタンプの側面と、開口領域の側面(例えば、チャネル)との間に十分な許容差があり(例えば、ギャップ)、ゲルが開口領域の側面から滲んだり漏れたりしないような寸法にされる。
【0071】
図8〜10を参照すると、円形開口領域810a,810b,810cを含むオープントップデバイス800の例示的な態様が示される。円形開口領域810a,810b,810cは、デバイスを使用する際に利点をもたらす。例えば、デバイスは、インビボの作業に一般的な円形の生検パンチで生検を行うことに適しており、局所的な処理または実験手順に広範囲が利用可能な場合、例えば細長い部分よりも、より等方性の高い生物的環境が得られる。より等方性の高い環境は、皮膚モデルの真皮のような層に存在する線維芽細胞の場合でよくあるように、存在する細胞が伸縮力または膨張力に影響を及ぼす場合、特に有益である。
図8の態様に描かれる態様は、円形であるが、いくつかの上述の利点はまた、例えば、楕円形、円形部分が刻まれた形、または別の広幅形状を含む、別の形状にも当てはまる。
【0072】
図8〜10は、オープントップマイクロ流体デバイス800の伸長可能な実施形態を詳細に示す。
図8〜10に示されるもののように、伸長可能なオープントップマイクロ流体デバイスは、さまざまな方法で形成され直線部分を含む開口領域を含むことができるが、円形、楕円形(例えば、円形から1:2の割合)または卵形の上部領域は、対象の組織培養(例えば皮膚組織)の剥離につながる、組織が引き起こす応力の影響を軽減するようである。
図3〜5に記載されるオープントップマイクロ流体デバイスと同様に、伸長可能デバイスは、透過薄膜(図示せず)により上部流体層から分離される底部流体層でフローを可能にしてもよい。オープントップマイクロ流体デバイス800は、伸長可能なデバイスとして記載されるものの、薄膜の伸長性が求められない用途には、伸長可能な薄膜(例えば、PDMS薄膜)以外の薄膜とともに使用することができる。
【0073】
図8Aを参照すると、例示的な組み立て後の伸長可能なオープントップマイクロ流体デバイス800の上面図が示される。デバイス800は、上部構造部804を含み、その上部構造部804は、ゲルまたは多孔性ボリュームを含んでもよい複数のオープントップ開口部810a,810b,810cを画定し、上部構造部804を通る3つの穴を有する。オープントップ開口部または穴は、上部構造部804の厚さ全体を通じて延びる。上述のとおり、機械的駆動は、さまざまな方法で影響を受け、例証する実施例において、開口領域の外周上にある、1つ以上の操作チャネル(例えば、真空チャネル)を用いて、機械的伸長が達成される。上部構造部804は、1つ以上の操作チャネルと連通する、複数の真空ポート830a,832a;830b,832b;830c,832cをさらに含む。真空ポートは、例えば薄膜(図示せず)を放射状に伸長させる圧力差を生むために用いられる真空デバイスに接続される。各オープントップ開口部(例えば、810a)は、2つの対向する真空ポート(例えば、830a,832a)を有して示される。示される構成では、操作チャネルにより生成される機械的伸長が可能になり、2軸の力をデバイスのアクティブ領域にかけることができる。開口領域が円形形状であることと合わせると、デバイスは、皮膚を含むいくつかの臓器の生物的、機械的環境の反復発生において望ましい、等方性伸長の実現に近づけることができる。代替の実施形態において、開口領域および操作チャネルの形状は、伸長の方向性および異方性を高めるために修正することができる。さらに、1つ以上の開口領域に対応する複数の操作チャネルを含むデバイスにより、使用中の伸長方向性の選択を可能にしつつ、異なる圧力を加える(真空レベルを含む)ことが可能になる。上部構造部804は、オープントップマイクロ流体デバイス800からの流体の導入および抽出を可能にする(例えば、灌流)、複数の底部流体層入口ポート820a,820b,820cおよび出口ポート822a,822b,822cをさらに含む。
図8Bは、
図8Aの例示的な伸長可能なオープントップマイクロ流体デバイスの上部構造部の斜視図であり、具体的には、オープントップ開口部、真空ポート、底部流体層がどのように上部構造部804の全体に延びるかを示す。より多くのまたはより少ない(例えば、1、2、4、5、またはそれ以上)オープントップ開口部および関連する支持特徴部が想定される。
【0074】
図8Cを参照すると、例示的な伸長可能なオープントップマイクロ流体デバイス800の底部構造部806の斜視図が示される。オープントップマイクロ流体デバイスの上述した実施形態と同様に、透過薄膜(図示せず)は上部構造部804と底部構造部806との界面に沿って配置される。底部構造部は、オープントップ開口部(例えば、810a,810b,810c)とそれぞれ整列する複数の底部ウェル(例えば、836a,836b,836c)を含む。薄膜は、オープントップ開口部(例えば、810a)を底部ウェル(例えば、836a)から分離する。本明細書の別の箇所に記載されたものと同様に(例えば、
図5C〜5D参照)、デバイス800内のゲル層は、オープントップ開口部の薄膜の上部に形成されることが想定される。
【0075】
図9および
図10は、
図8Aの伸長可能なオープントップマイクロ流体デバイスの断面9−9および10−10の例示的な斜視図を示す。上部および底部構造部が組み立てられると、底部流体層入口ポート(例えば、820b)および出口ポート(例えば、822b)はそれぞれ薄膜(図示せず)を通じて延び、ポートがそれぞれ底部構造部806の供給チャネル838a,838b,838c(例えば、長く幅の狭いチャネルとして図示)に水力学的に接続され、オープントップマイクロ流体デバイス内に流体を循環または導入可能にする。同様に、上部構造部804の真空ポート(例えば、830a,832a;830b,832b;830c,832c)は、上部および底部構造部804、806の境界面により形成される真空チャンバ834a,835a;834b,835b,834c,835cにそれぞれ延びる。真空チャンバは、伸長可能または変形可能な表面840a,842a;840b,842b;840c,842cにより少なくとも部分的に確定され、これらの表面は、圧力変化を導入して底部ウェル(836a,836b,836c)とともに各オープントップ開口部(例えば、810a,810b,810c)の界面で薄膜(図示せず)を駆動する。
【0076】
図11および12は、マイクロ流体デバイスの底部構造部(図示せず)のための別の底部チャネル構成の例示的な図を示す。いくつかの態様において、開口領域または開口チャネルは、半透膜が底部チャネルを開口領域から分離する状態で、
図11および
図12に示す底部チャネルの上に配置される。開口領域またはチャネルは、例えば、
図5F、8A〜8C、9、10、および13〜17に示されるように円形または楕円形であってもよく、または別の形状(例えば長方形)であってもよい。
図11に示す実施形態において、底部チャネル1100は、底部構造部内で複数の構成要素のチャネル1150に分割される。より小さい構成要素のチャネルは、
図2または5に示す、より典型的な幅広い1つのチャネルと比較して、気泡/細片をなくす点および均一なフローの点から利点を提供してもよい。もしくは、
図12に示すように、底部構造部内の底部チャネル1200は、螺旋状、曲線状、また蛇行形としてもよい。
図12の構成は、気泡および細片が存在する局面で、堅牢性を高めた構成を提供することができ、
図11に示す底部チャネル構成よりもいっそう均一な流量を得ることができる。しかしながら、いくつかの用途においては、より短い長さが有利になるが、
図12の構成において、得られるチャネルの長さは、通常、
図11と同様の構成のものより長い。
図12に示される螺旋状のチャネルの構成はまず、アクティブ領域の中心に向かって内向きに巻かれ、その後、外側に巻かれる。代替の態様では、螺旋チャネルの下を走ってもよい流体ポート、または、さらなる流体チャネルのいずれかに向かって下向きに流れることにより、外巻きを回避する。
【0077】
図11および12に記載の構成などの、底部チャネルのための、螺旋状または分割チャネル構成は、薄膜の反対面に開口チャネルが存在するマイクロ流体デバイスのための底部チャネルに、より均一な流れを提供する。1つまたはそれ以下のチャネル分割、より密な、または、ゆるい螺旋、ジグザグ、および/または別のパターンを含む、底部チャネルのための別の構成が想定される。
【0078】
図13〜17を参照すると、例示的なオープントップマイクロ流体デバイスの上面図、断面図、および分解断面図が示され、マイクロ流体デバイスは、ゲル固定ピラーと、薄膜支柱とを含む。
図13〜17に示される例示的なシステムなどのゲル固定メカニズムは、オープントップマイクロ流体デバイスのオープントップを通じて充填されるもしくは配置される、ゲルの剥離または変形を減少させることにより、有益になり得る。ゲル固定メカニズムは、例えば、ゲルを定位置に保持する構造およびコラーゲンゲル(例えば、約0.01〜約1〜3ミリメートルの厚さのゲル)の皮膚培養などの3D組織培養に伸長駆動を提供する構造を追加することができる。ゲル固定メカニズムを備えないマイクロ流体システムにおいて、伸長駆動メカニズムを通じた薄膜の伸長は、通常薄膜だけに発生する。このような限定された伸長は、ゲル(または組織)のz軸(つまり、薄膜の表面に対してほぼ垂直方向)の伸長の傾斜の急速な減少、または、薄膜からのゲル(または組織)の剥離のいずれかにつながることがある。ゲル固定システムを備える場合、固定されたゲルまたは組織のアンカー(例えば、
図13〜17に示されるゲル固定ピラー)を伸長することにより、薄膜からの剥離を最小限に抑えつつ、組織に対してより均一なひずみを提供する。
【0079】
いくつかの態様において、ゲル固定メカニズムは、マイクロ流体デバイスの底部構造部1320から上方向に延びる1つ以上の薄膜支柱1338と、マイクロ流体デバイスの上部構造部1325から下方向に延びる複数のゲル固定ピラー1332と、を含む。支柱1338は、底部構造部1325の基部から上向きに突出し、底部構造部1325により画定される底部チャンバ1336の中心領域に向かって通常、配置される。支柱1338は、上部および底部構造部1320、1325の間に配置されそれらを分離する薄膜40、540などの薄膜(図示せず)の中心を支持する。上部構造部1320の開口領域1334にゲルが導入された後、薄膜に重みがかかるため、支柱を使用することは有益である。ゲル固定ピラー1332は、上部構造部1320の開口領域1334の外周の周りのセットバック1331から下向きに突出する。ゲル固定支柱1332は、上部構造部1320のチャネルを画定してもよい開口領域の周壁に沿って配置される。いくつかの態様において、支柱1338およびピラー1332は、支柱および/またはピラーが突出する、それぞれの上部および底部構造部と一体であるように成形される。ゲル固定ピラーは、上部構造部で下向きに延び、ゲル(例えば、コラーゲンゲル)を横方向に支持するため、ゲルの横方向変位は最小化される(例えば、細胞が引き起こす収縮による剥離は起こらない)。
図13〜17に示されるような、より深い真空チャネル1348、1349とともに、開口領域1334を画定する、例示的な細長い楕円形チャネル(例えば、ピラーおよび薄膜支持部を備えないマイクロ流体デバイスよりも深い)は、開口領域1334内に配置されるゲルの伸長力を高める。
【0080】
ゲルのセットが最終的なゲル形状に入る前に、ゲル固定ピラー1332によって、開口領域1334およびピラーの周りにコラーゲンゲル化剤を流し込むことが可能になる。ピラーが
図8〜10に記載される真空型の伸長システムと同様に駆動するように、ゲル固定ピラー1332は、真空チャネル1348、1349に隣接して配置される。
図13〜17に示される構成の真空チャネル1348、1349は、ゲルを開口領域に配置し、その後ゲル化させ、薄膜の上部からゲルの上部へ垂直に測定したとき、開口領域内でゲルの高さの中心または中心近くの位置でたわみを最大化することが想定される。真空チャネルのたわみをゲル厚さの垂直中間点で方向づけることによって、実験のために、均一性およびひずみの大きさが高めることができる。
図13〜17に示される円形ピラーを有する例示的な楕円形構成を含んで、ゲル固定メカニズムのさまざまな種類が使用されることが想定される。
【0081】
いくつかの態様において、開口領域は、正方形、長方形、円形、楕円形、または不規則な形であることが想定される。ゲル内で望ましいひずみマップを得るために、ゲル固定ピラーは、開口領域の端部に沿って、または、間隔を開けて配置することが望ましい。例えば、いくつかの態様において、ひずみマップは、デバイスのために模擬することができ、模擬の結果に基づき、ゲル固定ピラーの構成は決定される。薄膜支柱は、円形、正方形、三角形、その他の多角形、または不規則な形である。
【0082】
いくつかの態様において、ゲル固定ピラーおよび/または薄膜支柱を用いる実施例を含む、マイクロ流体デバイスの駆動は、全デバイスの外的機械的伸長を用いて行われ、その場合、ピラーにより、例証される真空駆動システムと同様の利点が提供されるだろう。しかし、ピラーを開口領域に配置することは、操作チャネル(例えば、真空チャネル)の近くに限定されない。
【0083】
図13〜17の例示的なオープントップマイクロ流体デバイスにおいて、入口ポート1352、出口ポート1354、および1つ以上の真空ポート1358、1359が上部構造部1320に配置される。入口ポート1352は、上部構造部1320の中および底部構造部1325のチャネル(図示せず)の中へ延びる。その後、チャネルは、底部構造部1325の底部チャンバ1336へ延び、出口ポート1354に流体的に接続される出口チャネル1353へ延びる。1つ以上の真空ポート1358、1359は、1つ以上の真空チャネル1348、1349に流体的に接続され、真空チャネル1348、1349は、真空チャネル内で真空を周期的に生成し、その後、圧力を開放することにより、薄膜および/またはゲルコラーゲンを伸長駆動するのに使用される。真空チャネル1348、1349は、上部構造部1320および底部構造部1325により画定される。いくつかの態様において、真空チャネルは、上部と、全高が約1〜約2ミリメートルの底部との両方により画定される。上部構造部のみにより画定される全高の部分は、約0.5〜約1.5ミリメートルで、底部構造部により画定される全高の部分は、約0.5ミリメートルであり、上部構造部および底部構造部により画定される高さの比は、それぞれ約1:1〜約3:1である。ゲルを固定するピラーを備えない実施形態と比較すると、アンカーとコラーゲンゲルを一体として引き寄せる真空状態にする際に、被膜のみに対して引っ張る力を作り出すのではなく、真空チャネルの全高を高くすることで、真空チャンバと開口領域との間の側壁が変形可能になる。ゲル固定ピラーおよびコラーゲンゲルを引っ張る利点は、3D培養の駆動の均一性が高められることである。
図13〜17の例示的な態様において、ゲルの水平面に沿ってよりいっそう均一に伸長させることのできる二重の真空チャネルが示される(例えば、薄膜に平行な面)。
【0084】
例示的なゲル固定ピラー1332は、上部チャネルの開口領域1334の端部に沿って示される。ピラーは、ゲルを固定し、ゲルの全体的な厚さを機械的に伸長させるものであり、ピラーを備えずに薄膜のみを伸長させる駆動メカニズムにおいて、ゲルの底部に加えられる単なるせん断応力とは異なる。複数の支柱1338はまた、底部チャンバ1336に配置され、チャンバの基部から垂直上方へ延び、薄膜を覆う中央領域の崩壊を最小化する。いくつかの態様において、マイクロ流体デバイスのゲル固定ピラーおよび支柱の実施形態において、底部チャンバの高さをピラーおよび支柱を備えない実施形態に対して約50%(例えば、約0.2mm〜約0.3mm)増やすことが望ましい。特にゲル層が薄膜の上に配置された後に起こり得る、薄膜がたるんで底部チャンバの基部に薄膜がくっつく可能性を、底部チャンバの高さを増やすことで最小化できる。
【0085】
いくつかの非限定的な例示的態様において、マイクロ流体デバイスは、約7.5mmの長径および約5mmの短径を有する、楕円形状の開口領域を含む。底部構造部の真空チャネルは、約0.5mmの高さであり、対応する上部構造部の真空チャネルは、約1.5mmの高さである。底部構造部の底部チャンバは、約0.3mmの高さを有し、底部チャンバの中央領域の基部から上向きに延びるおよそ5〜8本の支柱を含む。支柱は、底部チャンバの基部から、薄膜の底部の真下まで延びる高さを有する。コラーゲンゲルは、マイクロ流体デバイスの上部構造部と底部構造部との間の薄膜の真上の開口領域内に配置可能である。上部構造部の開口領域の下向きに延びる、ピラーの周りに配置されるコラーゲンゲルを用いて、真皮線維芽細胞を含む、細胞を埋め込んだコラーゲンゲルのために、伸長可能なトランスウェル内で真空により引き起こされる伸長の駆動が完了する。ある1つの態様において、ゲルに曝された薄膜の中間あたりに2〜4ミリメートルで均等に間隔を空けた7本の支柱を使うと、約0.8〜1.2パーセントの伸長可能なトランスウェル内のひずみがアンカーピラーの付近で観察され、約0〜0.2パーセントのひずみが開口領域を通じて曝されたゲルの中央部に観察された。別の態様において、1本の薄膜支柱では、コラーゲンゲル内の領域のひずみは、薄膜との界面におけるコラーゲンゲルの底部とコラーゲンゲルの上部表面との間で比較的均一であり、約5〜7パーセントであった。真空チャネルを通じた伸長の駆動は、大気圧ならびに約70kPaおよび約100kPaの間の圧力サイクルを使った1ヘルツの周波数を適用した。
図13〜17のシステムのいくつかの態様において、負圧70kPaの真空駆動圧力で約3〜4パーセントのひずみが得られた。
【0086】
オープントップマイクロ流体デバイスで複製される組織システムの種類に基づいた、別の駆動周波数および真空圧力が想定される。真空チャネルに加えられる真空は、真空チャネルを通じて均一であると通常予想される。しかし、約1ヘルツより大きい駆動サイクルなどの急速な駆動の場合、薄膜の細孔の抗力により真空圧力は均一にはならない。マイクロ流体デバイスの真空駆動の間にかかる圧力は、マイクロ流体デバイスの構成に基づく直線的な比例変位またはひずみを提供されることが予想される。例えば、2つの別のマイクロ流体デバイスの構成の場合、同じ圧力が両方のデバイスにかかっていても、片方のデバイスではゲル層でより多くのひずみを生み出してもよい。一定の真空圧力でのひずみの大きさは、壁の厚さ、高さ、間隔、および/または材料などのパラメータを含む、主に真空壁の構成により異なる。
【0087】
例えば、“Organomimetic Devices and Methods of Use and Manufacturing Thereof”と題され、本明細書の一部としてそのすべてを援用する、国際公開WO2015/138032号に記載されるような外的機械的伸長の態様、つまり、マイクロ流体デバイスのクランプに基づく変位を利用することもまた想定される。他の可能な駆動メカニズムは、その結果として膨張/縮小する、コンポーネントの電気、熱、pH、光または化学的駆動を含むことができる。
【0088】
ゲル固定ピラーは、薄膜駆動の間、固定ピラー(複数可)の端部(複数可)が引き込まれ、ゲルがこれらのピラーの端部に巻かれるため、有益である。固定ピラー(複数可)の端部(複数可)は、薄膜上のゲルの摩擦で引き込まれること(例えば、摩擦または物理的もしくは化学的接着)に加えて、固定ピラーの端部が引き込まれると、ゲルの下部(例えば、薄膜に最も近いゲルの部分)に引き込まれる。ゲルの伸長の均一性を高めることが好ましい。均一性を実現するために、ピラーの上部もまた真空チャンバとして歪められ、または真空チャネルもまたピラーの上部(複数可)を引き寄せる(例えば、薄膜から最も離れたピラーの部分)。ピラーと真空駆動システムとの組み合わせは、試験されるシステムにおいて、特により厚いゲルを用いた構成で、実質的に2点接着なるもの、および駆動の均一性を高める駆動システムを作り出す。
【0089】
ゲル固定ピラーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、Viton(商標)、ゴム、または同様の材料などのエラストマーから製造されることが想定される。駆動から得られる最小限度のクリープ特性を有する他の弾性材料はまた、ゲル固定ピラーを製造するために使用することができる。ゲル固定ピラーの間隔は異なっていてもよい。ゲル固定ピラーの間隔をより密にすると(例えば、薄膜に対して平行な面に沿って測るときスペースの単位幅に関連して、ピラーの単位幅を増やす)、ゲル層の伸長がより均一になることが想定される。より幅広いピラーの構成は、マイクロ流体デバイスのより効率的な製造を可能にすることができる。いくつかの態様において、ショアAスケールデュロメータで40〜60のピラーが想定される。より幅広いデュロメータ範囲もまた想定される。より均一なひずみが好ましいゲル層において、ショアAスケール40〜60よりも硬い材料が望ましいが、外的機械力を使用した駆動(例えば、チップに留める周期的に駆動するクランプ、国際公開WO2015/0138032号参照)は、真空駆動システムに対して好ましい。ゲルの有効弾性係数に対して、ゲル固定ピラーの有効弾性率の比率は、1以上である。いくつかの好ましい態様において、ゲル固定ピラーの有効弾性率は、ゲルの有効弾性率の約10倍(より大きい)である。1つの例示的な態様において、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から製造されるピラーの体積弾性率は、1.7MPaであり、コラーゲンの体積弾性率は約0.5〜12kPaである(例えば、ピラー体積弾性率は、ゲルの約1000倍である)。ピラーが、体積弾性率より低い、有効弾性率を有する一方、ピラーの有効弾性率は、およそ1桁またはゲルもしくはコラーゲンよりも大きいことが望ましいことが想定される。
【0090】
図13〜17に示されるような、ゲル固定メカニズムの利点は、ひずみがない条件とひずみがある条件の両方において、ゲルの収縮を最小化することが実験的に実証されている。例えば、ゲル収縮は、楕円形チャンバを有するマイクロ流体チップのひずみがない条件とひずみがある条件の両方において、最小化され、培養の11日目までにひずみは観察されなかった。0.1Hzおよび約80kPaで7日間、周期的なひずみを加えると、14日目の培養までに微小のゲル収縮が観察された。
【0091】
ピラーなどのゲル固定メカニズムはまた、ゲルの厚さを通じてひずみの分布を均一にする。例えば、z軸への約6パーセント程度の均一なひずみ(例えば、
図13〜17において、試験中に要素1320と1325との間に配置される薄膜に対する垂直なひずみ)が、ゲルの上部および底部で観察され、ゲルの底部はポリジメチルシロキサン(PDMS)薄膜の上に配置され、ゲルの上部は開口領域またはチャンバ内で曝される。
【0092】
周期的なひずみを可能にする、ゲル固定メカニズムを有するマイクロ流体チップはまた、オンチップ皮膚での改善された皮膚発生やバリア機能などにおいて有益である。例えば、周期的なひずみに曝されたオンチップ皮膚は、より厚い表皮と適切に発生した基底層とを有することが実証された。さらに、ひずみを受けたオンチップ皮膚モデルも、ひずみがないチップおよび静的トランスウェルモデルと比較して、およそ1桁低い見掛け透過係数を有することを示した。
【0093】
円形および四角形のチャンバを有するマイクロ流体チップを含む、ゲル固定ピラーを備えないシステムの実験では、ゲルの収縮が示された。例えば、ラットの尾から得た2.5mg/mLのI型コラーゲンから構成されるゲルに、静的条件で培養した1日後に、150,000細胞/mLおよび300,000細胞/mLで播種した真皮線維芽細胞で、約1mm以上の規模のゲル収縮が観察された。同様に、円形チャンバを有するマイクロ流体チップに周期的なひずみを加え、0.1Hzおよび約80kPaで24時間の周期的なひずみを加えて培養した5日目に、1mm以上の規模のゲル収縮もまた観察された。
【0094】
図1〜17の上で説明するデバイスなどの、オープントップマイクロ流体デバイスのさらなる例示的な態様は、以下に詳細に説明される。いくつかの態様において、チップの上部構造部の開口領域の上部領域の寸法は、狭い寸法で約0.1〜約17ミリメートル(または1〜約7ミリメートル)の範囲である。いくつかの態様において、寸法の範囲は、約0.5〜約200ミリメートル以上である(または約0.5〜約20ミリメートル以上)。開口領域の狭い寸法の範囲の下端もまた、例えば、細胞培養またはゲル材料を配置するのに使用されるピペットまたはシリンジのための領域にアクセスが可能なサイズにすることが望ましい。開口領域は、毛管作用を制限するサイズにできるが、いくつかの用途において望ましくない(しかし、毛管作用は、他の用途でも望ましい)。いくつかの応用において、開口領域寸法の上側範囲を、細胞培養領域にわたる底部チャネルのための流れの分布の正確性を保つサイズにすることがいっそう望ましい。
【0095】
いくつかの態様において、開口領域の深さ(例えば、開口領域を、薄膜を有する上部構造部の界面から、垂直上方に測定する)は、約0.1〜約20ミリメートル(または約1〜約5ミリメートル)に変更できる。いくつかの態様において、開口領域の深さが完全に満たされてしまう場合などには、さらなるくぼみまたはスペーサを追加して、開口領域のウェルの容積を増やしてもよい。いくつかの用途では、上部領域から開口領域の深さの寸法のアスペクト比は約1〜100より上の範囲、または、いくつかの応用例では、約0.01〜2以下であることが想定される。
【0096】
いくつかの態様において、実験を受ける組織の種類に基づいて開口領域が異なる形状を有することが望ましい。例えば、皮膚などの組織の特定の種類は、培養中、非常に収縮性がある。高いアスペクト比のチャネル(例えば、16ミリメートル×1ミリメートル)に配置されるとき、組織の剥離は、狭い寸法に沿って発生する。しかし、円形の開口領域(例えば、開口領域810a)は、組織を均一に収縮させて、面外に移動させない、放射相称を得られる。エッジ効果を最小化させる幅広いチャネル形状は、血液脳関門、気道、または消化管などの複数層を必要としてもよい、他の臓器システムにとってもまた有益であり、その理由は、薄いゲルまたは細胞組織層が連続的に沈着することにより容易に複数層が形成されるためであるが、それを閉鎖されたチャネルまたはチャンバで行うことは難しい。いくつかの態様において、開口領域の形状は、
図5および8の例示的な態様に示される矩形または円形とは異なるものである。例えば、三角形または星型形状は、形状により影響されたシグナル分子の細胞密集または拡散の効果を観察するのに使用される。別の実施例では、「
図8」の形状は、2つの3次元培養の相互作用の分析に有益である。
【0097】
皮膚、気管支、または腸組織の模擬に使用され得るオープントップデバイスの上部構造部に配置される流体チャネルでは、チャンバの開口領域の形状および寸法は、例えば、チャネル高さが約0.02ミリメートル〜約10ミリメートル、チャネル幅が約0.05ミリメートル〜20ミリメートル、および、チャネル長さが約0.5ミリメートル〜約300ミリメートルのチャネル種類の形状を含むことができる。いくつかの態様において、上部チャンバの開口領域の形状および寸法は、例えば、約0.02ミリメートル〜約10ミリメートルの高さ、および上部チャネルの幅が約0.05ミリメートル〜20ミリメートルのチャネル種類の形状を含むことができる。基部または底部チャンバはまた、例えば、約0.02ミリメートル〜約10ミリメートルの範囲の高さのチャネル種類の形状を有することができる。脳関門および肺組織の模擬のために使用される任意の上部構造部420では、上部構造部のための形状および寸法は、例えば、高さ約0.05ミリメートル〜約5ミリメートルである。繊維芽細胞または他の細胞が、例えば皮層を形成するためにゲル層に包埋される場合など、3次元性が望ましい場合には、オープントップマイクロ流体デバイスにおいて、縦長の上部構造部スペーサがしばしば模擬のために使用される。例えば、小気道細胞が近傍の細胞のパラクリンの刺激を感じて完全な分化を促す小気道の模擬など、2次元性または3次元性が望ましい模擬の場合には、オープントップマイクロ流体デバイスにおいて、より短い上部構造部スペーサが使用される。
【0098】
オープントップマイクロ流体デバイス(例えば、オープントップOOCデバイス)での試験用に、皮膚、小気道、および肺胞組織などのさまざまな組織の種類が想定される。しかしながら、オープントップマイクロ流体デバイスはさらに、別の上皮組織を含む、他の種類の組織をも同様に収容することができる。
【0099】
オープントップマイクロ流体デバイスに使用できるゲルまたは多孔性ボリュームの性質は、異なってもよく、その性質は、試験対象の異なる組織種類によることが多い。例えば、異なる組織種類または特定のモデルは、異なる細胞外マトリックスプロテイン(ECM)およびECM混合物(例えば、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、Matrigel(登録商標)、ラミニン、フィブロネクチン、ゼラチン、エラスチン等、およびそれらの組み合わせ)を用いてもよい。さらに、いくつかの態様において、合成ポリマーゲル(例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等)または公知のさまざまな他のゲル(例えば、アガロース、アルギン酸等)を単独で、混合させて、または細胞外マトリックス(ECM)と組み合わせて用いてもよい。同様に、オープントップマイクロ流体デバイスに使用される多孔性ボリュームは、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡セルロース、発泡ポリ乳酸などのさまざまな連続気泡フォームを含んでもよい。実施例に縛られることなく、皮膚または気管支組織の模擬のために、ゲルは、より高いコラーゲンの濃度を有することができ、おおよそゲル1ミリリットル当たり約1〜約11ミリグラムである。腸組織の模擬において、ある1つの例示的な態様は、高濃度コラーゲンとCorning Life Sciences社で入手可能なCorning Matrigel(登録商標)マトリックスなどの細胞外マトリックス(ECM)との割合が1:1のゲルが望ましいと考えられる。肺胞組織の模擬では、ある1つの例示的な態様において、低濃度コラーゲン(例えば、ゲル1ミリリットル当たり約3ミリグラム)とCorning Matrigel(登録商標)マトリックスまたはフィブロネクチンなどの細胞外マトリックス(ECM)との割合が1:1のゲルが望ましいと想定される。ある1つの態様において、ゲル1ミリリットル当たり5ミリグラムより高い、またはゲル1ミリリットル当たり約3〜約15ミリグラム、もしくは約0.2〜4ミリグラムの濃度のゲルを形成する細胞外基質または他のゲルプリカーサーが、本明細書で説明されるオープントップマイクロ流体デバイスで使用されることが想定される。さらに、トランスグルタミナーゼ、グルタルアルデヒド、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラートなどの架橋剤、および公知の他の多くの架橋剤を使用して、ゲル硬さを高め、ゲル濃度を任意に低くしてもよい。架橋剤を使用すると、濃度範囲がゲル1ミリリットル当たり約0.05〜5ミリグラム、またはゲル1ミリリットル当たり約1〜10ミリグラムのゲルを形成する、細胞外基質または他のゲルプリカーサーが本明細書に記載されるオープントップマイクロ流体デバイスで使用することが想定される。
【0100】
記載される、オープントップOOCデバイスを含むオープントップマイクロ流体デバイスは、比較的低粘度(例えば、約1〜約10センチポアズまたはそれ以下)の標準的なマイクロ流体の流体と適合可能であるが、オープントップデバイスが適しているのは、10センチポアズと同じかそれより高い粘度を有することに加え、後にマイクロ流体デバイスから除去したりゲルの別の操作をしたりするために元の位置でゲルを重合するのに適した高粘度溶液およびゲルである。例えば、タンパク質を多く含むコラーゲンゲル(例えば、ミリリットル当たり3ミリグラム)は、直接オープントップ部にピペットで移され、細胞がせん断されることなく、または高圧駆動を必要とせずに、定位置でゲル化される。薬品試験の用途において、クリームおよび同様の高粘度材料がオープントップを使って直接組織に広げられ、溶解した薬品のみではなく最終調合物の化合物を試験する。厚いゲル層はまた、機械的伸長を提供する可能性がある、3次元培養の用途に容易に生成することができる。オープントップ部を有するオープントップマイクロ流体デバイスの別の望ましい態様は、エアロゾルおよび他の粒子(例えば流体または固体)の輸送と速やかに適合し、損失を最小化しながら、注入の精度を高めることが可能になる。粒子は組織に直接輸送されるため、管やマイクロチャネルなどの他の表面などに吸収される損失は最小限になる。
【0101】
いくつかの態様において、上記実施形態で説明されるゲル層は、パターン化される必要はない。組織を増殖させるのに適したゲルまたは他の材料は、外面にパターン化されてもよく、上部構造部のチャネルまたはチャンバの開口領域に嵌まるように形作られてもよく、その後、細胞培養のためにオープントップマイクロ流体デバイスに挿入されるように想定される。ゲルまたは他の材料はまた、ばねを搭載し、ゲルまたは他の材料の片側に2つのチャンバまたはチャネルを有する、クランプを用いて圧縮される大きなシートであってもよく、ゲルまたは他の材料がオープントップマイクロ流体デバイスの薄膜として作用する。外部で準備された材料は、患者からの生検または移植前の人工組織の小片などの生物組織を含むことができ、したがって、組織に対するアッセイの性能により薬剤反応、組織クオリティ、および他の要素を決定可能にする。さらにオープントップマイクロ流体デバイスからのゲルまたは同様の材料が、オープントップを通じて抽出され、インビボの用途に用いられることが想定される。例えば、マイクロ流体デバイスは、移植前に組織をパターン化し、成熟させるために使用され得る。
【0102】
以下の表1で、選択された商業的に入手可能な皮膚代替物を示すように、上皮代替物、真皮代替物、および二重層代替物などの多数の皮膚代替物が商業的に入手可能である。
【表1】
【0103】
図1〜12に記載される組織の機能を模擬するためのシステムなどの、マイクロ流体デバイスのための生理学的に関連する組織の増殖の生存性を評価することが望ましい。マイクロ流体デバイス内で、組織は、薄膜に配置される組織である。組織は、皮膚の表皮突起または消化管の絨毛などの模擬生物組織マイクロ構造または模擬人工組織マイクロ構造を含むことができる。いくつかの態様において、予備実験は、繊維芽細胞の生存性をマイクロ流体培養で長期間研究することを含む(例えば、少なくとも21日間)。トランスウェルシステムと比較して、同一からほぼ同一培養条件にて約21日後、予備的な示唆では、マイクロ流体条件下の繊維芽細胞が、トランスウェルの線維芽細胞よりも多くのビタミンおよびI型プロコラーゲンを示すことが示された。
【0104】
いくつかの態様において、予備実験でマイクロ流体条件下にて、繊維芽細胞およびケラチノサイトの共培養の生存性をさらに調べた。実験の0日目では、30マイクログラム/ミリリットルのヒトI型コラーゲンを用いて細胞外マトリックスコーティングを用意し、その後、繊維芽細胞の播種を異なる2つの密度で行った。一方は、0.23×10^6細胞/チップで、他方は0.08×10^6細胞/チップである。繊維芽細胞の播種が完了した3日後に、500細胞/チップおよび0.005×10^6細胞/チップの播種密度で、ケラチノサイトの播種が実行された。繊維芽細胞−ケラチノサイトの共培養の6日後、30マイクロリットル/時間および60マイクロリットル/時間の灌流パラメータを使用して気液界面(「ALI」)の非再循環を開始した。繊維芽細胞およびケラチノサイトの共培養が21日間続いた状態で、繊維芽細胞とケラチノサイトとの間で機能的なパラクリンループを形成する結果を示した。これらの予備実験では、繊維芽細胞の剥離は、マイクロ流体チップデバイス(例えば、
図1〜10に記載の1つ以上のデバイス)の故障の大きな原因(例えば、最大で80%)になり得ることを示した。マイクロ流体チップデバイスに広がるケラチノサイトの質がチップ全体を変化させることもまた特定され、ケラチノサイトは、マイクロ流体チップデバイスのリザーバ(例えば、入口)から離れるにつれ(例えば、出口に向かって)不健康になるように見える。パラクリンシグナル伝達の損失、培地栄養の損失、またはそれらのいくつかの組み合わせにより、組織の質の一貫性が失われ得たことが想定される。
【0105】
いくつかの最適化パラメータを予備実験の一部として特定し、例示的なマイクロ流体デバイスための、生理学的に関連する組織の増殖の生存性を評価するために追加実験を行った。最適化パラメータには、細胞外マトリックスコーティング(「ECM」)、繊維芽細胞播種密度、ケラチノサイト播種密度、培地の再循環、およびケラチノサイト播種のタイミングが含まれる。そして、さらなる実験がこれらの特定された最適化パラメータに基づき実施された。0日目では、300マイクログラム/ミリリットルのヒトI型コラーゲン±50マイクログラム/ミリリットルのコンドロイチンを使用して細胞外マトリックス(ECM)コーティングを準備した。次に、密度0.005×10^6細胞/チップで300マイクログラム/ミリリットルのI型コラーゲン+/−50マイクログラム/ミリリットルのコンドロイチンに加えて、繊維芽細胞播種を完了した。繊維芽細胞播種が完了した7日後、0.025×10^6細胞/チップ(5:1の比)および0.075×10^6細胞/チップ(15:1の比)の播種密度でケラチノサイトの播種が行われた。高カルシウムイオンスイッチを用いた繊維芽細胞−ケラチノサイト共培養の約7日間の後(実験7〜14日)、14日目に60マイクロリットル/時間の灌流パラメータを用いて気液界面(「ALI」)の再循環を開始した。21日目の実験において、ケラチノサイトが分化を示す多くの細胞とともに複数層に存在するように、15:1の比のケラチノサイト播種試料では、分化の全体的な範囲および領域を特定した。
【0106】
実験は、組織増殖のいくつかの例示的な態様の予備的および代表的なものであるが、記載される実験は、組織の機能を模擬するためのマイクロ流体デバイスを含む、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスのための生理学的に関連する組織の増殖の生存性を実証する。さらに、I型コラーゲンに繊維芽細胞を植え付けたものとともに、ポリサッカライドを加えたI型コラーゲンを含む細胞外マトリックス(ECM)コーティングが、約0.005×10^6細胞/チップの密度で播種する線維芽細胞に望ましいことがさらに判明した。これらの最適化パラメータを用いると、早期の繊維芽細胞の剥離は、最小限に抑えられ、先の実験での80%の故障率とは異なり、試験の14日間で約10%の剥離があった。同様に、培地を再循環させ、繊維芽細胞をケラチノサイトの播種の前に約7日間培養するとともに、ケラチノサイトの密度を約0.075×10^6細胞/チップ(例えば、15:1の割合で)にまで高めた場合、マイクロ流体チップデバイスのチャネル全体に沿ったケラチノサイトの健康状態および分化は、一貫していることが判明した。
【0107】
本開示の特定の態様によると、代替の実施形態Aは組織の機能を模擬するためのデバイスであって、第1チャンバを画定する第1構造部を含む。第1チャンバは、開口領域を含む。第2構造部は、第2チャンバを画定する。薄膜は、第1チャンバと第2チャンバとの間の界面領域に配置される。薄膜は、第1チャンバに向く第1面と第2チャンバに向く第2面とを含む。薄膜により第1チャンバは第2チャンバから分離される。
【0108】
代替の実施形態Bは、代替の実施形態Aの態様を含み、第1チャンバ内に配置されるゲルをさらに含む。いくつかの態様において、ゲルは、パターン化表面を含む。
【0109】
代替の実施形態Cは、代替の実施形態Bの態様を含み、第1チャンバおよび/または第2チャンバに、約100ミクロンから約5ミリメートルの厚さに成形されるゲルを含む。いくつかの態様において、ゲルは、チャンバの一端で約0ミリメートル、チャンバの他端に向かって約5ミリメートル未満の厚さで直線的に厚さが全体的に増すように、第1チャンバおよび/または第2チャンバに成形される。
【0110】
代替の実施形態Dは、代替の実施形態A〜Cのいずれか1つの態様を含み、薄膜に配置された組織を含む。組織は、模擬生物組織マイクロ構造または模擬人工組織マイクロ構造を含むことができる。いくつかの態様において、模擬組織マイクロ構造は、2次元培養および/または3次元培養を含む。
【0111】
代替の実施形態にEは、代替の実施形態A〜Dのいずれか1つの態様を含み、第1構造部および開口領域の上に配置される着脱可能カバーをさらに含む。開口部へ入る流体材料が着脱可能カバーを通って、第1チャンバの開口領域に流れ込むように、着脱可能カバーが第1構造部の上に配置されるとき、着脱可能カバーは、第1構造部の開口領域と整列するように構成される一端を有する開口部を任意に画定することができる。
【0112】
代替の実施形態Fは、代替の実施形態A〜Eのいずれか1つの態様を含み、第1チャンバ、第2チャンバ、および/またはチャネルである開口部を含む。
【0113】
代替の実施形態Gは、代替の実施形態A〜Fのいずれか1つの態様を含み、変形可能に構成された伸長可能な表面によりそれぞれが少なくとも部分的に画定される、第1チャンバおよび/または第2チャンバを含む。いくつかの態様において、伸長可能な表面は、機械的に変形され、薄膜を駆動する、または薄膜の機械的駆動を可能にする真空により変形される。薄膜の駆動により、薄膜に配置される模擬組織マイクロ構造を模擬することができる。
【0114】
代替の実施形態Hは、代替の実施形態A〜Gのいずれか1つの態様を含み、第2開口領域を含む第2チャンバをさらに含む。開口領域は、チャネル間に配置されるゲルを有するチャネルであり、ゲルは薄膜を画定する。
【0115】
本開示の特定の態様によると、代替の実施形態Iは、着脱可能なチャンバを画定する第1構造部を含む、組織の機能を模擬するためのデバイスである。第2構造部は、流体チャンバを画定する。第3構造部は、ゲルチャンバを画定する。第1の界面領域は、ゲルチャンバと流体チャンバとの間に形成される。第2の界面領域は、ゲルチャンバと着脱可能なチャンバとの間に形成される。薄膜は、第1界面領域に配置される。薄膜は、ゲルチャンバを向く第1面と、流体チャンバを向く第2面とを含む。薄膜は、ゲルチャンバを流体チャンバから分離する。
【0116】
代替の実施形態Jは、代替の実施形態Iの態様を含み、ゲルチャンバは、パターン化表面を有するゲルを含む。
【0117】
代替の実施形態Kは、代替の実施形態IおよびJのうちいずれか1つの態様を含み、着脱可能なチャンバ、ゲルチャンバ、および/または流体チャンバのうちの少なくとも1つは、チャネルであることを含む。
【0118】
代替の実施形態Lは、代替の実施形態I〜Kのいずれか1つの態様を含み、さらに、第3構造部に配置される移動可能なカバーを含む。ゲルがゲルチャンバ内に配置されるように、移動可能なカバーはゲルチャンバへのアクセスを可能にするように構成される。
【0119】
代替の実施形態Mは、代替の実施形態IからLのいずれか1つの態様を含み、組織は、薄膜に配置されることを含む。組織は、模擬生物組織マイクロ構造、または模擬人工組織マイクロ構造を含む。
【0120】
本開示の特定の態様によると、代替の実施形態Nは、組織マイクロ構造を模擬するためのデバイスで、パターン化ゲルを作り出すための方法である。前記デバイスは、第1チャンバと、第2チャンバと、第1チャンバを第2チャンバから分離する薄膜と、を含み、第1チャンバは、開口領域を含む。その方法は、プランジャスタンプのテクスチャ底面が第1チャンバ内のゲル溶液表面と接触するように、前記プランジャスタンプを、開口領域を通じて第1チャンバ内に配置することを含む。テクスチャ底面は、ゲル溶液の表面に跡をつける特徴部のパターンを含む。ゲル溶液は、第1チャンバで凝固される。プランジャスタンプは、第1チャンバから取り外されることにより、パターン化ゲルを作り出し、デバイス内の組織マイクロ構造を模擬する。
【0121】
本開示の特定の態様によると、代替の実施形態Oは、組織マイクロ構造を模擬するためのデバイスでパターン化ゲルを作り出すための方法である。前記デバイスは、第1チャンバと、第2チャンバと、第1チャンバを第2チャンバから分離する薄膜と、を含み、前記第1チャンバは開口領域を含む。その方法は、i)第1チャンバの形に近づけた型にゲル溶液を配置することと、ii)プランジャスタンプの底面が型内のゲル溶液の表面に接触するようにプランジャスタンプをゲル溶液に配置し、底面がゲル溶液に跡をつける特徴部のパターンを含むことと、iii)ゲル溶液を少なくとも部分的に型で硬化させることと、iv)プランジャスタンプをゲル溶液から取り外して、パターン化ゲルを作り出し、組織マイクロ構造を模擬することと、v)パターン化ゲルを型内から取り外すことと、vi)パターン化ゲルを第1チャンバに挿入することと、を含む。
【0122】
代替の実施形態Pは、代替の実施形態Oの態様を含み、パターン化ゲルは生物組織および/または人工組織を含有することを含む。
【0123】
本明細書に記載される技術のいくつかの態様は、以下に番号付けされる段落のいずれかに定義される。
1. デバイスであって、i)チャンバと、ii)着脱可能な上部と、(iii)多孔性薄膜と、(iv)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは管腔臓器を含み、前記管腔臓器は、着脱可能な上部の下に配置され、かつ、多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は、1つ以上の前記流体チャネルの上に配置される、デバイス。
2. 段落1に記載のデバイスであって、ゲルマトリックスをさらに含む、デバイス。
3. 段落2に記載のデバイスであって、前記ゲルマトリックスの上もしくは中、または、その両方に実質細胞をさらに含む、デバイス。
4. 段落3に記載のデバイスであって、前記実質細胞は、肺の上皮細胞および皮膚の上皮細胞から成る群から選択される、デバイス。
5. 段落4に記載のデバイスであって、前記肺の上皮細胞は、肺胞上皮細胞および気道上皮細胞から成る群から選択される、デバイス。
6. 段落4に記載のデバイスであって、前記皮膚の上皮細胞は、ケラチノサイトを含む、デバイス。
7. 段落1に記載のデバイスであって、前記流体チャンネルと接触するように、前記薄膜の底部に配置されるものをさらに含む、デバイス。
8. 段落7に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
9. 段落8に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
10. 段落8に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
11. 段落8に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
12. 段落6に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
13. 段落6に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、ヒト包皮ケラチノサイトである、デバイス。
14. 段落1に記載のデバイスであって、前記デバイスは、マイクロ流体デバイスであり、前記流体チャネルは、マイクロ流体チャネルである、デバイス。
15. デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、前記ゲルマトリックスを含む管腔臓器を含み、前記ゲルマトリックスは、実質細胞を含み、前記流体チャネルと接触する内皮細胞を含む前記多孔性薄膜の上に配置される、デバイス。
16. 段落15に記載のデバイスであって、前記実質細胞は、肺の上皮細胞および皮膚の上皮細胞から成る群から選択される、デバイス。
17. 段落16に記載のデバイスであって、前記肺の上皮細胞は、肺胞上皮細胞および気道上皮細胞から成る群から選択される、デバイス。
18. 段落16に記載のデバイスであって、前記皮膚の上皮細胞は、ケラチノサイトを含む、デバイス。
19. 段落18に記載のデバイスであって、前記ゲルマトリックスの中に繊維芽細胞をさらに含み、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に存在する、デバイス。
20. 段落19に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に1つ以上の層を含む、デバイス。
21. 段落15に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
22. 段落21に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
23. 段落21に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
24. 段落21に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
25. 段落18に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
26. 段落18に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、ヒト包皮ケラチノサイトある、デバイス。
27. 段落15に記載のデバイスであって、前記ゲル、前記薄膜、前記実質細胞、または前記内皮細胞のうち少なくとも1つと接触する開口領域をさらに含む、デバイス。
28. 薬品の試験方法であって、1)a)候補となる薬品と、b)デバイスとを用意することを含み、前記デバイスは、i)チャンバと、ii)多孔性薄膜と、iii)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、管腔臓器を含み、前記管腔臓器は、前記多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は、実質細胞を含み、1つ以上の前記流体チャネルの上に配置され、さらに、2)前記実質細胞を前記候補となる薬品と接触させること、を含む、方法。
29. 段落28に記載の方法であって、前記実質細胞は、肺の上皮細胞および皮膚の上皮細胞から成る群から選択される、方法。
30. 段落29に記載の方法であって、前記肺の上皮細胞は、肺胞上皮細胞および気道上皮細胞から成る群から選択される、方法。
31. 段落29に記載の方法であって、前記皮膚の前記上皮細胞は、ケラチノサイトを含む、方法。
32. 段落31に記載の方法であって、ゲルマトリックス内に繊維芽細胞をさらに含み、前記ケラチノサイトは、ゲルマトリックスの上に存在する、方法。
33. 段落28に記載の方法であって、前記チャンバにはカバーがなく、前記候補となる薬品は、前記実質細胞が接触するような状況下で、前記管腔臓器に導入される、方法。
34. 段落28に記載の方法であって、前記候補となる薬品は、エアロゾル状である、方法。
35. 段落28に記載の方法であって、前記候補となる薬品は、ペースト状である、方法。
36. 段落28に記載の方法であって、前記デバイスは、着脱可能な上部をさらに含み、前記方法は、ステップ2)の前に、前記着脱可能な上部を取り外すことをさらに含む、方法。
37. 薬剤の試験方法であって、1)a)薬剤と、b)マイクロ流体デバイスと、を用意することを含み、前記マイクロ流体デバイスは、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)着脱可能カバーと、v)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、管腔臓器を含み、前記管腔臓器は、前記ゲルマトリックスの中、上、または、下に細胞を含み、前記ゲルマトリックスは、前記多孔性薄膜の上および前記着脱可能カバーの下に配置され、前記薄膜は、1つ以上の流体チャネルの上に配置され、さらに、2)前記着脱可能カバーを取り外すことと、3)前記細胞を前記ゲルマトリックスの中、上、または下で、前記薬剤と接触させることと、を含む、薬剤の試験方法。
38. 段落37に記載の方法であって、前記薬剤は、エアロゾル状である、方法。
39. 段落37に記載の方法であって、前記薬剤は、ペースト状である、方法。
40. 段落37に記載の方法であって、前記薬剤は、液体、気体、ゲル、半固体、固体、または微粒子形状である、方法。
41. デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、管腔臓器と前記管腔臓器内に突出部とを含み、前記管腔臓器は、前記突出部により固定される前記ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスは、前記多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は、1つ以上の流体チャネルの上に配置される、デバイス。
42. 段落41に記載のデバイスであって、繊維芽細胞は、前記ゲルマトリックス内に存在し、ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に存在する、デバイス。
43. 段落42に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に1つ以上の層を含む、デバイス。
44. 段落41に記載のデバイスであって、内皮細胞の層は、前記流体チャネルと接触するように前記薄膜の底部に配置される、デバイス。
45. 段落44に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
46. 段落45に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
47. 段落45に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
48. 段落45に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
49. 段落42に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
50. 段落42に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、ヒト包皮ケラチノサイトである、デバイス。
51. 段落41に記載のデバイスであって、着脱可能カバーをさらに含む、デバイス。
52. 段落41に記載のデバイスであって、前記デバイスは、マイクロ流体デバイスであり、前記流体チャンネルは、マイクロ流体チャネルである、デバイス。
53. マイクロ流体デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)マイクロ流体チャネルとを含み、前記チャンバは、管腔臓器と前記管腔臓器内に突出部とを含み、前記管腔臓器は前記突出部により固定される前記ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスは、繊維芽細胞およびケラチノサイトを含み、前記ゲルマトリックスは、前記多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は前記マイクロ流体チャネルと接触する内皮細胞を含む、マイクロ流体デバイス。
54. 段落53に記載のデバイスであって、前記薄膜は、前記流体チャネルの上に存在し、前記内皮細胞の層は、前記流体チャネルと接触するように前記薄膜の底部に配置される、デバイス。
55. 段落53に記載のデバイスであって、前記繊維芽細胞は、前記ゲルマトリックス内に存在し、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に存在する、デバイス。
56. 段落55に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に1つ以上の層を含む、デバイス。
57. 段落53に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
58. 段落57に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
59. 段落57に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
60. 段落57に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
61. 段落53に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
62. 段落53に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、ヒト包皮ケラチノサイトである、デバイス。
63. 段落53に記載のデバイスであって、前記マトリックスは、コラーゲンを含む、デバイス。
64. 段落53に記載のデバイスであって、前記コラーゲンマトリックスは、0.2から6mmの厚さである、デバイス。
65. ケラチノサイトに対する薬品の試験方法であって、
1)a)候補となる薬品と、b)マイクロ流体デバイスとを用意することを含み、
前記マイクロ流体デバイスは、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、管腔臓器と前記管腔臓器内に突出部とを含み、前記管腔臓器は、前記突出部により固定される前記ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスは、前記繊維芽細胞および前記ケラチノサイトを含み、前記ゲルマトリックスは、前記多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は前記流体チャネルと接触する内皮細胞を含み、さらに、2)前記ケラチノサイトを、前記候補となる薬品と接触させることと、を含む、方法。
66. 段落65に記載の方法であって、前記繊維芽細胞は、前記ゲルマトリックス内に存在し、前記ケラチノサイトは、ゲルマトリックスの上部に存在する、方法。
67. 段落65に記載の方法であって、前記チャンバにはカバーがなく、前記候補となる薬品は、前記ケラチノサイトが接触するような状況下で前記管腔臓器に導入される、方法。
68. 段落65に記載の方法であって、前記候補となる薬品は、エアロゾル状である、方法。
69. 段落65に記載の方法であって、前記候補となる薬品は、ペースト状である、方法。
70. 段落65に記載の方法であって、前記マイクロ流体デバイスは、着脱可能な上部をさらに含み、前記方法は、ステップ(2)の前に、前記着脱可能な上部を取り外すことをさらに含む、方法。
71. 段落65に記載の方法であって、前記マイクロ流体デバイスは、前記ゲルマトリックス、前記薄膜、前記ケラチノサイト、または、前記内皮細胞のうち少なくとも1つと接触する、開口領域をさらに含む、方法。
72. 薬剤の試験方法であって、1)a)薬剤と、b)マイクロ流体デバイスと、を用意することを含み、前記マイクロ流体デバイスは、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)着脱可能カバーと、v)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、管腔臓器と前記管腔臓器内に突出部とを含み、前記管腔臓器は、前記突出部により固定されるゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスの中、上、または、下に細胞を含み、前記ゲルマトリックスは、前記多孔性薄膜の上および前記着脱可能カバーの下に配置され、前記薄膜は、1つ以上の前記流体チャネルの上に配置され、さらに、2)前記着脱可能カバーを取り外すことと、3)前記細胞を前記ゲルマトリックスの中、上、または下で、前記薬剤と接触させることと、を含む、薬剤の試験方法。
73. 段落72に記載の方法であって、前記薬剤は、エアロゾル状である、方法。
74. 段落72に記載の方法であって、前記薬剤は、ペースト状である、方法。
75. 段落72に記載の方法であって、前記薬剤は、液体、気体、ゲル、半固体、固体、または微粒子形状である、方法。
76. デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)流体チャネルと、を含み、前記チャンバは非線形の管腔臓器を含み、前記管腔臓器は、前記ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスは前記多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は、1つ以上の前記流体チャネルの上に配置される、デバイス。
77. 段落76に記載のデバイスであって、繊維芽細胞は、前記ゲルマトリックス内に存在し、ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に存在する、デバイス。
78. 段落77に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に1つ以上の層を含む、デバイス。
79. 段落76に記載のデバイスであって、内皮細胞の層は、前記流体チャネルと接触するように前記薄膜の底部に配置される、デバイス。
80. 段落79に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
81. 段落80に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
82. 段落80に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
83. 段落80に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
84. 段落77に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
85. 段落76に記載のデバイスであって、前記非線形の管腔臓器は、円形である、デバイス。
86. 段落76に記載のデバイスであって、着脱可能カバーをさらに含む、デバイス。
87. 段落76に記載のデバイスであって、前記デバイスは、マイクロ流体デバイスであり、前記流体チャネルは、マイクロ流体チャネルである、デバイス。
88.マイクロ流体デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)マイクロ流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、円形の管腔臓器を含み、前記管腔臓器は、繊維芽細胞およびケラチノサイトを含む前記ゲルマトリックスを含み、前記ゲルマトリックスは、多孔性薄膜の上に配置され、前記薄膜は、前記マイクロ流体チャネルと接触する内皮細胞を含む、マイクロ流体デバイス。
89. 段落88に記載のデバイスであって、前記薄膜は、前記流体チャネルの上に存在し、前記内皮細胞の層は、前記流体チャネルと接触するように前記薄膜の底部に配置される、デバイス。
90. 段落88に記載のデバイスであって、前記繊維芽細胞は、前記ゲルマトリックス内に存在し、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に存在する、デバイス。
91. 段落90に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、前記ゲルマトリックスの上部に1つ以上の層を含む、デバイス。
92. 段落88に記載のデバイスであって、前記内皮細胞は、初代細胞である、デバイス。
93. 段落92に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、小血管ヒト皮膚微小血管内皮細胞である、デバイス。
94. 段落92に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、ヒト臍静脈内皮細胞である、デバイス。
95. 段落92に記載のデバイスであって、前記初代細胞は、骨髄由来の内皮前駆細胞である、デバイス。
96. 段落88に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、表皮ケラチノサイトである、デバイス。
97. 段落88に記載のデバイスであって、前記ケラチノサイトは、ヒト包皮ケラチノサイトである、デバイス。
98. 段落88に記載のデバイスであって、前記マトリックスは、コラーゲンを含む、デバイス。
99. 段落88に記載のデバイスであって、前記コラーゲンマトリックスは、0.2mmから6mmの厚さである、デバイス。
100. 内皮細胞の処理方法であって、1)a)溶液内に血管新生増殖因子または動脈新生(arteriogenic)増殖因子と、b)層構造と、を用意することを含み、前記層構造は、i)流体チャネルと、ii)多孔性薄膜と、iii)内皮細胞の層と、iv)ゲルマトリックスと、を含み、前記流体チャネルは、前記多孔性薄膜に覆われ、前記薄膜は、前記流体チャネルと接触する内皮細胞の層を含み、前記薄膜は、繊維芽細胞およびケラチノサイトを含む前記ゲルマトリックスの下に配置され、さらに、2)前記内皮細胞を処理するために、前記溶液を、前記血管新生増殖因子または動脈新生(arteriogenic)増殖因子を含む前記流体チャネルに導入することと、を含む、方法。
101. 段落100に記載の方法であって、前記ゲルマトリックスは、コラーゲンを含む、方法。
102. 段落101に記載の方法であって、前記コラーゲンマトリックスは、0.2mmから6mmの厚さである、方法。
103. 流体チャネルを含む流体カバーであって、前記流体カバーは、マイクロ流体デバイスと係合するように構成される、流体カバー。
104. 段落103に記載の流体カバーであって、前記マイクロ流体デバイスは、開口チャンバを含み、前記流体カバーは前記開口チャンバを覆い、閉じるように構成される、流体カバー。
105. 段落103に記載の流体カバーであって、1つ以上の電極をさらに含む、流体カバー。
106. アセンブリであって、流体チャネルを含む流体カバーを含み、前記流体カバーは、マイクロ流体デバイスと着脱可能に係合される、アセンブリ。
107. 段落106に記載のアセンブリであって、前記マイクロ流体デバイスは、開口チャンバを含み、前記流体カバーは前記開口チャンバを覆い、閉じるように構成される、アセンブリ。
108. 段落107に記載のアセンブリであって、前記開口チャンバは、非線形の管腔臓器を含む、アセンブリ。
109. 段落108に記載のアセンブリであって、前記非線形の管腔臓器は、円形である、方法。
110. 段落106に記載のアセンブリであって、前記流体カバーは、1つ以上の電極をさらに含む、アセンブリ。
111. アセンブリの作成方法であって、a)流体チャネルを含む流体カバーを設けることを含み、前記流体カバーは、b)マイクロ流体デバイスと係合するように構成され、前記マイクロ流体デバイスは、開口チャンバを含み、前記流体カバーは前記開口チャンバを覆い、閉じるように構成され、さらに、b)アセンブリを作成するために、前記マイクロ流体デバイスを前記流体カバーと着脱可能に係合することと、を含む、作成方法。
112. 段落111に記載のアセンブリの作成方法であって、前記開口チャンバは、非線形の管腔臓器を含む、方法。
113. 段落112に記載のアセンブリの作成方法であって、前記非線形の管腔臓器は、円形である、方法。
114. 段落111に記載のアセンブリの作成方法であって、前記流体カバーは、1つ以上の電極をさらに含む、アセンブリの作成方法。
115.マイクロ流体デバイスであって、i)チャンバと、ii)ゲルマトリックスと、iii)多孔性薄膜と、iv)マイクロ流体チャネルと、を含み、前記チャンバは、前記ゲルマトリックスを含む管腔臓器を含み、前記ゲルマトリックスは、ニューロンおよびアストロサイトのうちの少なくとも1つを含み、前記マイクロ流体チャネルと接触する脳微小血管内皮細胞を含む前記多孔性薄膜の上に配置される、マイクロ流体デバイス。
116. 段落115に記載のマイクロ流体デバイスであって、ニューロンは、前記ゲルマトリックスの上、中、下に存在する、デバイス。
117. 段落115に記載のマイクロ流体デバイスであって、アストロサイトは、前記ゲルマトリックスの上、中、下に存在する、デバイス。
【0124】
特に明記されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および学術的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0125】
この発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、試薬など、それ自体に限定されないと理解されるべきであり、変更してもよい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、本発明の範囲を限定しようとするものではなく、本発明の範囲は請求の範囲のみによって定義される。
【0126】
実施例の操作以外では、または記載がない限り、本明細書で使用される要素または反応条件の数量を表すすべての数字は、「約」という用語により変更されるものとして理解されるべきである。パーセント値に関して、本発明を説明するために用いられる「約」という用語は、±5%を意味する。
【0127】
上記に記載される態様およびその明白な変更のそれぞれは、以下の請求項に記載される、請求される発明の要旨および範囲内に該当すると考えられる。さらに、本発明の概念は、先述した要素および態様のすべてのあらゆるコンビネーションおよびサブコンビネーションを明示的に含む。