特許第6876708号(P6876708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876708
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】エフィナコナゾールの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20210517BHJP
   A61K 31/454 20060101ALN20210517BHJP
   A61P 31/10 20060101ALN20210517BHJP
【FI】
   C07D401/06
   !A61K31/454
   !A61P31/10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-533860(P2018-533860)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2019-501913(P2019-501913A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2016082345
(87)【国際公開番号】WO2017114743
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】102015000089243
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510207368
【氏名又は名称】プロコス ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】PROCOS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ヴェロネーゼ、 マルティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ベットーニ、 ピエルジョルジョ
(72)【発明者】
【氏名】ロレット、 ヤコポ
(72)【発明者】
【氏名】パイッソニ、 パオロ
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−036262(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029836(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/06
A61K 31/454
A61P 31/10
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非プロトン性有機溶媒中、無水条件下、中和剤および反応を促進するアルキルマグネシウムハライドおよび無水塩化マグネシウムから選択される金属種の存在下で、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾールを、遊離塩基または塩酸塩としての4−メチレンピペリジンと反応させることを含む、エフィナコナゾールの合成方法。
【請求項2】
前記非プロトン性有機溶媒がアセトニトリルまたはテトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフランである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中和剤が、有機アミンおよびアルキルマグネシウムハライドから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中和剤が、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)およびイソプロピルマグネシウムブロミドまたはクロリドから選択される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、エフィナコナゾールの有利な合成方法である。
【背景技術】
【0002】
多くのトリアゾール誘導体は、真菌症の治療に広く使用されている抗真菌剤である。
【0003】
いくつかの特許は、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾールと、4−メチレンピペリジンの遊離塩基または塩酸塩とから出発するエフィナコナゾールの合成を報告している。
【0004】
WO94/26734は、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール中間体から出発するエフィナコナゾールの合成を報告しており、そのエポキシトリアゾール環は、大過剰(10当量)の、適切に中和された塩酸塩の形態のメチレンピペリジンを使用することにより開環される。該開環反応は、反応促進金属種の非存在下で行われ、54%の収率で生成物が得られる。
【0005】
該方法の欠点は、大過剰のメチレンピペリジン(比較的高価である)を使用すること、そして収率が低いことである。さらなる欠点は、塩酸塩は入手可能であるが、メチレンピペリジン遊離塩基は市販されていないことである。
【0006】
WO2012/029836は、リチウム、ナトリウム、カルシウムまたはストロンチウム水酸化物等の金属水酸化物の存在下で、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾールと、メチレンピペリジン臭化水素酸塩とから出発して、エフィナコナゾールを得る方法を開示しており、メチレンピペリジンは、WO94/26734において使用されている大過剰量よりもはるかに少ない量(1.5当量)で使用される。最終生成物は87%の収率で得られる。エフィナコナゾールは、より高い収率で得られるが、メチレンピペリジン塩基の遊離における、金属(リチウム、ナトリウム、カルシウムおよびストロンチウム)水酸化物の使用は、品質(単離された生成物の純度は約95%)および最終生成物が単離されたときの収率を低下させる水の生成を引き起こす。その理由は、エポキシドの開環の際に、反応中に存在する水がメチレンピペリジンと競合し、後者の加水分解を引き起こし、その結果、最終生成物の収率および品質が低下するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第94/26734号
【特許文献2】国際公開第2012/029836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
入手可能な情報によれば、エフィナコナゾールの工業生産のためのより効率的な方法の必要性は明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機溶媒中、無水条件下、中和剤および反応促進金属種の存在下で、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール中間体(II)と、遊離塩基(III)または塩酸塩(IV)としての4−メチレンピペリジンとから出発する、エフィナコナゾール(I)の合成方法に関する。
【0010】
【化1】
【0011】
この方法は、エポキシトリアゾール中間体(II)と、対応する遊離塩基(III)をその場で直接生成させるメチレンピペリジン塩酸塩(IV)とを用いて行うことができる。メチレンピペリジン遊離塩基(III)は、アルキルマグネシウムハライド、好ましくはイソプロピルマグネシウムブロミドおよびクロリドの使用により、対応する塩酸塩(IV)からその場で生成することができる。該反応は、必要に応じて、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)等の有機アミン、および無水塩化マグネシウム(MgCl)を用いて行うことができる。
【0012】
エフィナコナゾールは、所望により、中間体(II)を、対応する塩酸塩(IV)をアルキルマグネシウムハライド、好ましくはイソプロピルマグネシウムブロミドおよびクロリド、または有機アミン、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)で中和することによって予め得た遊離塩基(III)の形態のメチレンピペリジンと反応させることにより得られる。
【0013】
反応は、無水非プロトン性有機溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはテトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフラン中で行われる。
【0014】
驚くべきことに、この実施形態に記載されている反応を、無水条件下、適切な中和剤の存在下で実施することにより、エフィナコナゾールが、より短時間で、より高い収率および品質(>99%)で得られることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩のX線回折図である。
図2】X線回折図である。
図3】ヘプタンから得られた結晶のX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記中和剤は、有機アミン、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)またはイソプロピルマグネシウムブロミドまたはクロリド等のアルキルマグネシウムハライドから選択することができる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、テトラヒドロフラン中、メチレンピペリジン遊離塩基(III)をその場で遊離する役割を担う中和剤であるイソプロピルマグネシウムブロミドまたはクロリドの存在下で、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(II)を、メチレンピペリジン塩酸塩(IV)と反応させることにより、エフィナコナゾールが得られる。
【0018】
本発明の一実施形態においては、アセトニトリル中、有機アミンであるN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および無水塩化マグネシウム(MgCl)によってその場で中和されたメチレンピペリジン塩酸塩を用いて、エポキシドの開環反応を行うことにより、エフィナコナゾールが得られる。
【0019】
本方法の別の実施形態によれば、アセトニトリル中の1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール中間体(II)を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)等の適切な中和剤および金属種源としての無水塩化マグネシウム(MgCl)を用いて、対応する塩酸塩(IV)を中和することによって予め得たメチレンピペリジン遊離塩基(III)の懸濁液と反応させることにより、エフィナコナゾールが得られる。該反応は、必要に応じて、テトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフラン中、イソプロピルマグネシウムクロリドの存在下で行うことができる。
【0020】
この方法は、好ましくは以下のように実施される。
【0021】
1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール中間体(II)を、出発中間体の量に対して2〜6容量、好ましくは3〜5容量の無水アセトニトリルに溶解する。出発中間体エポキシトリアゾールのモル数に対して1.1〜1.5モル、好ましくは1.2〜1.4モルのメチレンピペリジン塩酸塩(IV)を、その溶液に添加する。出発中間体エポキシトリアゾールのモル数に対して1.2〜1.6モル、好ましくは1.3〜1.5モルのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を、得られた懸濁液に添加する。反応を、10℃を超えない温度、好ましくは2℃〜6℃の温度に冷却し、次いで、無水塩化マグネシウムを一度に0.25〜0.80モル、好ましくは0.40〜0.67モルの分量で、合計8〜2.5部、好ましくは5〜3部、徐々に添加する(発熱反応)。
【0022】
反応混合物を60℃〜85℃、好ましくは70℃〜75℃の温度に加熱して、反応が完了するまでその温度を維持し、次いで、これを水/アセトニトリル/0.1%ギ酸混合物を溶離液相とする、ACQUITY BEH C18カラムを用いたUPLC分析によりモニターする。
【0023】
反応終了後、エフィナコナゾール(I)を含む反応混合物を濃縮し、得られた残渣を水と有機溶媒、好ましくは酢酸エチルの混合物に溶解する(発熱反応)。そして、有機相をろ過して塩および不溶性粒子を除去し、濃縮して油状物を得る。得られた油状の残渣をアルコール溶媒、好ましくはエチルアルコールに溶解して、予想される生成物に対して1.0〜3.0容量、好ましくは1.5〜2.5容量のエタノールの最終濃度を得る。この溶液を15〜30℃、好ましくは20〜25℃の温度に加熱し、予想される生成物に対して1.0〜2.2容量、好ましくは1.4〜1.8容量の割合で水を滴下する。混合物を再び10℃未満、好ましくは0〜5℃の温度に冷却し、次いで、それをろ過し、水/エタノール混合物で洗浄する。得られた固体を、真空下、45℃〜55℃の温度で乾燥して、粗製エフィナコナゾールを得る。それは、p−トルエンスルホン酸等の有機酸で塩析し、続いて遊離および最終単離することによって精製することができる。粗製エフィナコナゾールは、必要に応じて、ヘプタン等のアルキル炭化水素で精製することができる。
【0024】
典型的には、粗製エフィナコナゾールは、3.0〜6.0容量、好ましくは4.0〜5.0容量のエタノールまたはイソプロパノール等の非プロトン性極性溶媒に溶解される。この溶液を40〜60℃、好ましくは45〜55℃に加熱し、その温度で、0.9〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05モルのp−トルエンスルホン酸を滴下する。反応混合物をまず還流し、次いで、10℃未満、好ましくは0〜5℃の温度に冷却する。そして、懸濁液をろ過し、洗浄する。得られた固体を、真空下、45℃〜55℃の温度で乾燥して、エフィナコナゾールをp−トルエンスルホン酸塩として得る。
【0025】
エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩のX線回折図を図1に示す。
【0026】
次いで、エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩を、水とプロトン性極性溶媒、好ましくは水/エタノールの混合物2.0〜4.0容量、好ましくは2.5〜3.5容量に溶解し、次いで、これをろ過して不溶物を除去する。次いで、30%水酸化ナトリウム溶液をpHが10〜12、好ましくは10.5〜11.5になるまで滴下する。
【0027】
必要なpH値に達したら、1.0〜6.0容量、好ましくは3.0〜4.0容量の水を添加する。
【0028】
得られた固体を、真空下、45℃〜55℃の温度で乾燥させて、86〜87℃の融点を有する純粋なエフィナコナゾールを得る。
【0029】
X線回折図を図2に示す。
【0030】
塩析、中和および最終生成物の単離を含むサイクルは、必要に応じて上記のように繰り返すことができる。
【0031】
あるいは、エフィナコナゾールは、炭化水素、好ましくはヘプタンからのエフィナコナゾール塩基の結晶化によって得ることができる。
【0032】
必要に応じて、粗製エフィナコナゾールを1.0〜3.0容量、好ましくは1.5〜2.5容量のヘプタンに溶解する。その懸濁液を0〜5℃に冷却した後、得られた結晶をろ過し、冷ヘプタンで洗浄する。乾燥後に得られる固体は、86〜87℃の融点を有する。
【0033】
ヘプタンから得られた結晶のX線回折図を図3に示す。
【0034】
ヘプタンおよび水/エタノール混合物から得られた両方の結晶のX線回折図は同一である。
【0035】
記載された両方の結晶化から得られたエフィナコナゾールは、医薬品有効成分として十分な純度を示す。
【0036】
本発明を、以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0037】
実施例1:メチレンピペリジン塩酸塩およびN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下でのエフィナコナゾールの合成
1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(172.5g、0.6866mol)のアセトニトリル(690ml)溶液に、メチレンピペリジン塩酸塩(119.27g、0.8926mol)を加える。
【0038】
ジイソプロピルエチルアミン(124.2g、0.961モル)を得られた溶液に加える。
【0039】
次いで、得られた溶液を0〜5℃に冷却し、無水塩化マグネシウム(合計130.74g、1.373mol)を約4回に分けて加え、発熱をモニターする。
【0040】
次いで、反応混合物を70〜75℃に加熱し、その温度で16時間維持する。
【0041】
次いで、反応をUPLCによってモニターする。反応終了後、混合物を少量まで濃縮し、酢酸エチルで抽出する。次いで、得られた残渣に酢酸エチル(720ml)を加え、水(720ml)をゆっくりと滴下して、発熱をモニターする。
【0042】
相分離後、有機相をろ過して濃縮し、エタノールを用いて、予想される生成物に対して約2容量となるまで抽出する。得られたエタノール溶液に、室温で水(335ml)を滴下する。生成物の沈殿が開始した後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、ろ過し、水/エタノールの45:55混合物(409ml)でパネル(panel)を洗浄する。
【0043】
次いで、得られた固体を、真空下、50℃の温度で乾燥させる。
【0044】
出発中間体エポキシトリアゾール(II)から得られる収率は約84%である。
【0045】
実施例2:メチレンピペリジン塩酸塩およびイソプロピルマグネシウムクロリドの存在下でのエフィナコナゾールの合成
0〜5℃に冷却した、メチレンピペリジン塩酸塩(3.45g、25.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(20ml)懸濁液に、テトラヒドロフラン中の2.0Mイソプロピルマグネシウムクロリド(12.3g、25.2mmol)を約1時間かけて加える。
【0046】
1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(5.00g、19.9mmol)を、得られた懸濁液に分割して加える。
【0047】
次いで、反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまでその温度を維持する(UPLCでモニターする)。
【0048】
反応終了後、混合物を濃縮して残渣とし、酢酸エチルで抽出する。
【0049】
次いで、酢酸エチル(20ml)を残渣に加え、そこへ水(20ml)をゆっくりと滴下して、発熱をモニターする。
【0050】
相分離後、有機相をろ過して濃縮し、エタノールを用いて、予想される生成物に対して約2容量となるまで抽出する。得られたエタノール溶液に、室温で水(10ml)を滴下する。生成物の沈殿が開始した後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、ろ過し、水/エタノールの45:55混合物(12ml)でパネルを洗浄する。
【0051】
次いで、得られた固体を、真空下、50℃の温度で乾燥させる。
【0052】
出発中間体エポキシトリアゾール(II)から得られる収率は約83%である。
【0053】
実施例3:ジイソプロピルアミンで中和したメチレンピペリジン遊離塩基からのエフィナコナゾールの合成
メチレンピペリジン塩酸塩(119.27g、0.8926モル)、アセトニトリル(690ml)およびジイソプロピルエチルアミン(124.2g、0.961モル)の懸濁液を調製する。
【0054】
次いで、予め調製した懸濁液を、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(172.5g、0.6866モル)のアセトニトリル(200ml)溶液に加えた。
【0055】
次いで、得られた溶液を0〜5℃に冷却し、無水塩化マグネシウム(合計130.74g、1.373モル)を約4回に分けて加え、発熱をモニターする。
【0056】
次いで、反応混合物を70〜75℃に加熱し、その温度で16時間維持する。
【0057】
次いで、反応をUPLCによってモニターする。反応終了後、混合物を少量まで濃縮し、酢酸エチルで抽出する。
【0058】
次いで、得られた残渣に酢酸エチル(720ml)を加え、そこへ水(720ml)をゆっくりと滴下して、発熱をモニターする。
【0059】
相分離後、有機相をろ過して濃縮し、エタノールを用いて、量の決まった(titrated)予想される生成物に対して約2容量となるまで抽出する。得られたエタノール溶液に、室温で水(335ml)を滴下する。生成物の沈殿が開始した後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、ろ過し、水/エタノールの45:55混合物(409ml)でパネルを洗浄する。
【0060】
次いで、得られた固体を、真空下、50℃の温度で乾燥させる。
【0061】
出発中間体エポキシトリアゾール(II)から得られる収率は約83%である。
【0062】
実施例4:イソプロピルマグネシウムクロリドで中和したメチレンピペリジン遊離塩基からのエフィナコナゾールの合成
予め0〜5℃に冷却したメチレンピペリジン塩酸塩(3.45g、25.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(20ml)懸濁液に、テトラヒドロフラン中の2.0Mイソプロピルマグネシウムクロリド(12.3g、25.2mmol)を約1時間かけて加える。次いで、得られた懸濁液を、1−[[(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−メチルオキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール中間体(5.00g、19.9mmol)のアセトニトリル(10ml)懸濁液に加える。
【0063】
次いで、反応混合物を加熱還流し、反応が完了するまでその温度を維持する(UPLCでモニターする)。
【0064】
反応終了後、混合物を濃縮して残渣とし、酢酸エチルで抽出する。
【0065】
次いで、酢酸エチル(20ml)を残渣に加え、そこへ水(20ml)をゆっくりと滴下して、発熱をモニターする。
【0066】
相分離後、有機相をろ過して濃縮し、エタノールを用いて、予想される生成物に対して約2容量となるまで抽出する。得られたエタノール溶液に、室温で水(10ml)を滴下する。生成物の沈殿が開始した後、懸濁液を0〜5℃に冷却し、ろ過し、水/エタノールの45:55混合物(12ml)でパネルを洗浄する。
【0067】
次いで、得られた固体を、真空下、50℃の温度で乾燥させる。
【0068】
出発中間体エポキシトリアゾール(II)から得られる収率は約82%である。
【0069】
実施例5:エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩の合成
粗製エフィナコナゾール(354.0g)をエタノール(1580ml)に溶解する。
【0070】
次いで、得られた溶液を50℃に加熱し、その温度でp−トルエンスルホン酸一水和物(193.4g、1.0当量)を添加する。次いで、懸濁液を還流温度まで加熱し、徐々に0〜5℃に冷却する。次いで、懸濁液をろ過し、冷エタノール(354ml)で洗浄する。
【0071】
次いで、得られた生成物を、真空下、50℃の温度で乾燥する。
【0072】
収率は約85%である。
【0073】
実施例6:エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩からの純粋なエフィナコナゾールの合成
エフィナコナゾールp−トルエンスルホン酸塩(454.0g、0.873mol)をエタノール(870ml)と水(500ml)の混合物に溶解する。
【0074】
次いで、得られた溶液をろ過して不溶物を除去し、得られた透明溶液に、pHが約11に達するまで、30%水酸化ナトリウムをゆっくりと添加する。次いで、得られた溶液に水(1660ml)を加え、得られた懸濁液を0〜5℃に冷却する。
【0075】
次いで、固体をろ過し、水(1500ml)で洗浄する。
【0076】
次いで、得られた生成物を、真空下、50℃の温度で乾燥する。
【0077】
収率は約98%である。
【0078】
UPLC−MS [M+H]=349
【0079】
H−NMR(CDCl中)(TMSシグナルに対してppmで表される化学シフト):0.94(3H,dd);2.22(4H,m);2.35(2H,m);2.68−2.73(2H,m);2.90−2.95(1H,q,J=7);4.64(2H,s);4.79−4.92(2H,q,J=14);5.40(1H,s);6.70−6.80(2H,m);7.48−7.54(1H,m);7.77(1H,s);8.01(1H,s).
図1
図2
図3