【文献】
仲井由宣 花野学編,新製剤学,株式会社南山堂,1984年 4月25日,第1版第2刷,第102−104頁,第217−236頁
【文献】
平山令明編著,有機化合物結晶作製ハンドブック−原理とノウハウ−,丸善株式会社,2008年 7月25日,第37−84頁
【文献】
社団法人日本化学会編,第4版 実験化学講座1 基本操作I,丸善株式会社,1996年 4月 5日,第2刷,第184−186頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無酸症患者における、免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝機能障害、内分泌機能障害及び神経障害からなる群より選択される少なくとも1つの病態を処置するための、請求項6記載の医薬組成物。
前記病態が、全身の炎症、局所の炎症、関節炎、免疫抑制に関連する炎症、臓器移植拒絶、アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚炎、喘息、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強皮症、全身性強皮症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び乾癬からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項7記載の医薬組成物。
前記病態が、乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞癌腫、肺腺癌腫、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌腫、甲状腺癌、濾胞癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫、胆汁道癌、腎臓癌腫、膵臓癌、骨髄障害、リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、鼻咽頭癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌、中枢神経系癌、ホジキンリンパ腫、白血病、気管支癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝内胆管癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮内膜癌、腎臓癌、腎盂癌、膀胱癌、子宮体部癌、子宮頸部癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄性白血病、口腔・咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、及び絨毛状結腸腺腫からなる群より選択される少なくとも1つの癌である、請求項7記載の医薬組成物。
無酸症患者における、免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝機能障害、内分泌機能障害及び神経障害からなる群より選択される少なくとも1つの病態を処置するための医薬を製造するための、請求項1〜5のいずれか一項記載の塩の結晶の使用。
前記病態が、全身の炎症、局所の炎症、関節炎、免疫抑制に関連する炎症、臓器移植拒絶、アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚炎、喘息、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強皮症、全身性強皮症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び乾癬からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項11記載の使用。
前記病態が、乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞癌腫、肺腺癌腫、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌腫、甲状腺癌、濾胞癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫、胆汁道癌、腎臓癌腫、膵臓癌、骨髄障害、リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、鼻咽頭癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌、中枢神経系癌、ホジキンリンパ腫、白血病、気管支癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝内胆管癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮内膜癌、腎臓癌、腎盂癌、膀胱癌、子宮体部癌、子宮頸部癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄性白血病、口腔・咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、及び絨毛状結腸腺腫からなる群より選択される少なくとも1つの癌である、請求項11記載の使用。
無酸症患者における、免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝機能障害、内分泌機能障害及び神経障害からなる群より選択される少なくとも1つの病態を処置するためのキットであって、(1)請求項6記載の医薬組成物及び(2)使用説明書を含む、キット。
前記病態が、全身の炎症、局所の炎症、関節炎、免疫抑制に関連する炎症、臓器移植拒絶、アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚炎、喘息、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強皮症、全身性強皮症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び乾癬からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項15記載のキット。
前記病態が、乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞癌腫、肺腺癌腫、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌腫、甲状腺癌、濾胞癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫、胆汁道癌、腎臓癌腫、膵臓癌、骨髄障害、リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、鼻咽頭癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌、中枢神経系癌、ホジキンリンパ腫、白血病、気管支癌、甲状腺癌、肝臓癌、肝内胆管癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮内膜癌、腎臓癌、腎盂癌、膀胱癌、子宮体部癌、子宮頸部癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄性白血病、口腔・咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、及び絨毛状結腸腺腫からなる群より選択される少なくとも1つの癌である、請求項15記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
次に本開示の特定の態様を詳細に参照し、その例を添付の構造及び式で示す。本開示は列挙される態様と併せて説明されるが、本発明をこれら態様に限定することを意図するものではないことが理解されよう。それどころか、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、変更物、及び等価物を網羅することを意図する。当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書に記載するものと類似する又は等価な多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、決して記載される方法及び材料に限定されるものではない。定義される用語、用語の使用法、記載される技術等を含むがこれらに限定されない、組み入れられる1つ以上の文献、特許、及び類似の資料が本願と異なる又は矛盾する場合、本願が優先する。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は等価な方法及び材料を本発明の実施又は試験で用いることができるが、好適な方法及び材料について以下に記載する。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本願において用いられる命名は、特に指定しない限り、IUPAC体系的命名法に基づく。
【0018】
本開示は、遊離塩基又は塩の形態の、化合物(I)として以下に示す化合物(A)のS−鏡像異性体:(S)−2−(3’−(ヒドロキシメチル)−1−メチル−5−((5−(2−メチル−4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’−ビピリジン]−2’−イル)−7,7−ジメチル−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[4,5]ピロロ[1,2−a]ピラジン−1−オンを含む医薬組成物を目的とする。
【化3】
【0019】
本開示の幾つかの態様は、フマル酸と組み合わせて化合物(I)遊離塩基を含む錠剤組成物に関する。本開示の幾つかの他の態様は、化合物(I)遊離塩基から形成されるカチオンを含む塩組成物に関する。本開示の幾つかの更なる態様は、化合物(I)遊離塩基及びポリマー成分を含む非晶質固体分散物に関する。本開示の様々な組成物はそれぞれ、化合物(I)遊離塩基のみと比較したとき、pH約4〜約6における化合物(I)の溶解を改善する。
【0020】
定義
本明細書で使用するとき、「無酸症」及び「無酸症の(achlorohydric)」とは、胃及び他の消化器官の胃液分泌における塩酸の生成が少ないか又は生成されない状態を指す。無酸症に関連する典型的な胃pHは、約4〜約6である。本開示の幾つかの態様では、無酸症は、胃酸の生成(H2受容体アンタゴニスト等)又は輸送(プロトンポンプ阻害剤(「PPI」)等)を減少させる、制酸剤又は薬物の使用に起因し得る。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「非晶質」又は「非晶質形態」は、対象となる物質、成分、又は生成物が、例えばXRPDによって測定したときに本質的に結晶質ではないか、又は対象となる物質、成分、又は生成物が、例えば、顕微鏡で観察したときに複屈折性ではないことを意味することを意図する。特定の態様では、物質の非晶質形態を含むサンプルは、他の非晶質形態及び/又は結晶質形態を本質的に含まない場合がある。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「非晶質固体分散物」(「ASD」)とは、ポリマー又はポリマー混合物中に本質的に分散している非晶質活性成分を有する組成物を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、「本質的に」とは、特定の基準で少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「結晶質」及び「結晶」とは、単一成分若しくは複数成分の結晶形、例えば、化合物の多形を含むがこれらに限定されない化学化合物の結晶質固体形態;若しくは化合物の溶媒和物、水和物、包接体、共結晶、塩、又はこれらの多形を指す。用語「結晶形」及び本明細書における関連する用語は、多形、溶媒和物、水和物、共結晶及び他の分子複合体を含むがこれらに限定されない所与の物質、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、並びにこれらの多形の様々な結晶質変更物を指す。物質の結晶形は、当技術分野において公知の通り、多数の方法によって得ることができる。このような方法は、溶融再結晶化、溶融冷却、溶媒再結晶化、例えばナノポア又はキャピラリ等の閉鎖空間における再結晶化、例えばポリマー等の表面又はテンプレートにおける再結晶化、例えば共結晶対分子等の添加剤の存在下における再結晶化、脱溶媒和、脱水、急速蒸発、急速冷却、徐冷、蒸気拡散、昇華、微粉砕及び溶媒滴微粉砕を含むがこれらに限定されない。
【0025】
結晶形及び非晶質形態を特徴付ける技術は、当該技術分野において公知であり、そして、熱重量分析(「TGA」)、示差走査熱量測定(「DSC」)、X線粉末回折(「XRPD」)、単結晶X線回折法、例えばIR及びラマン分光法等の振動分光法、固体核磁気共鳴(「NMR」)、光学顕微鏡、高温顕微鏡、走査型電子顕微鏡(「SEM」)、電子線結晶及び定量分析、粒度分析(「PSA」)、表面積分析、溶解度試験及び溶解試験を含むがこれらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「多形」及び「多形体」とは、同じ分子(単数又は複数)又はイオンを含む2つ以上の結晶形のうちの1つを指す。異なる多形は、結晶格子における分子又はイオンの配置又は立体構造の結果として、異なる物性、例えば、溶融温度、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は振動スペクトルを有し得る。多形が示す物性の差は、薬学的パラメータ、例えば、保存安定性、圧縮性、密度(製剤及び製品の製造において重要)、及び溶解速度(バイオアベイラビリティにおいて重要な要因)に影響を与え得る。安定性の差は、化学反応性の変化(例えば、酸化が異なる結果、ある多形を含むときは別の多形を含むときよりも速やかに剤形が変色する)、機械的変化(例えば、動力学的に好ましい多形が熱力学的により安定な多形に変換されたとき錠剤が保存中に砕ける)、又は両方(例えば、ある多形の錠剤は高湿度でより分解しやすい)に起因し得る。溶解度/溶解の差の結果として、極端な場合、一部の多形転移の結果、効力又はそれとは正反対に毒性が存在しなくなり得る。更に、結晶質形態の物性は、加工において重要であり得る:例えば、ある多形はより溶媒和物を形成しやすかったり、又は不純物を含まないように濾過及び洗浄しにくかったりし得る(例えば、粒子の形状及び粒度分布が多形間で異なることがある)。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「立体異性的に純粋」とは、化合物のある立体異性体を含み、そして、その化合物の他の立体異性体を本質的に含まない組成物を意味する。特定の態様では、例えば、(R)−2−(3’−(ヒドロキシメチル)−1−メチル−5−((5−(2−メチル−4−(オキセタン−3−イル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[3,4’−ビピリジン]−2’−イル)−7,7−ジメチル−2,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[4,5]ピロロ[1,2−a]ピラジン−1−オンを含む他の立体異性体を本質的に含まない立体異性的に純粋な化合物(I)又はその塩若しくは溶媒和物が本明細書に提供される。特定の態様では、立体異性的に純粋な化合物は、約80重量パーセント超の該化合物のある立体異性体及び約20重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約90重量パーセント超の該化合物のある立体異性体及び約10重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約95重量パーセント超の該化合物のある立体異性体及び約5重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約97重量パーセント超の該化合物のある立体異性体及び約3重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、又は約99重量パーセント超の該化合物のある立体異性体及び約1重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体を含む。特定の態様では、用語「立体異性的に純粋な」化合物(I)とは、該化合物が約100重量%のこの特定の立体異性体で構成されていることを意味する。上記百分率は、該化合物の全ての立体異性体の合計量に基づいている。
【0028】
本明細書における記載では、図示されている構造とその構造に与えられた名称との間に相違がある場合、図示されている構造が優先する。更に、ある構造又はある構造の一部の立体化学が、例えば太くさび形又は破線で示されていない場合、該構造又は構造の一部は、その立体異性体を全て包含すると解釈すべきである。しかし、場合によっては、1つを超えるキラル中心が存在する場合、相対的立体化学の説明を支援するために構造及び名称を単一の鏡像異性体として表すことがある。
【0029】
本明細書で使用するとき、「本質的に純粋な」結晶質又は非晶質の形態は、約10重量パーセント未満の1つ以上の他の結晶質又は非晶質の形態、約5重量パーセント未満の1つ以上の他の結晶質又は非晶質の形態、約3重量パーセント未満の1つ以上の他の結晶質又は非晶質の形態、約1重量パーセント未満の1つ以上の他の結晶質又は非晶質の形態、又は約0.5重量パーセント未満の1つ以上の他の結晶質又は非晶質の形態を含有する。特定の状況では、本明細書で使用するとき、「本質的に純粋な」化合物(I)又はその塩若しくは溶媒和物は、他の化学化合物、例えば、調製プロセスに存在し得る未反応の前駆体及び副生成物を含まないことを意味し得る。他の状況では、本明細書で使用するとき、化合物(I)又はその塩若しくは溶媒和物の「本質的に純粋な」固体形態(例えば、結晶質形態又は非晶質形態)は、化合物(I)又はその塩若しくは溶媒和物の他の固体形態を含まないことを意味し得る。したがって、「本質的に純粋な」化合物(I)は、特定の態様では、約10重量%、5重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.75重量%、0.5重量%、0.25重量%、又は0.1重量%未満の、該化合物及び/又は他の化学化合物の1つ以上の他の結晶形及び非晶質形態を含み得る。特定の態様では、本質的に純粋な固体形態は、1つ以上の他の特定の結晶形、非晶質形態、及び/又は他の化学化合物を本質的に含まない。
【0030】
用語「処置する」及び「処置」とは、治療的処置を指し、その目的は、不所望の生理学的変化又は障害、例えば、関節炎又は癌の発現又は転移を減速させる(小さくする)ことである。この開示の目的のために、有益な又は望ましい臨床結果は、検出可能であろうと検出不可能であろうと、症状の軽減、疾患の程度の減少、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善又は緩和、及び(部分又は完全)寛解を含むが、これらに限定されない。また、「処置」は、処置を受けなかった場合の予想生存時間と比較して生存時間を延長することも意味し得る。処置を必要としているものは、病態又は障害を有しているものを含む。
【0031】
語句「治療上有効な量」は、(i)特定の疾患、病態、若しくは障害を処置する、(ii)特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、改善、若しくは排除する、又は(iii)本明細書に記載する特定の疾患、病態、若しくは障害の1つ以上の症状の発生を予防若しくは遅延させる、本開示の化合物の量を意味する。癌の場合、薬物の治療上有効な量は、癌細胞の数を低減する;腫瘍サイズを低減する;癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(すなわち、ある程度速度を落とす、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の転移を阻害する(すなわち、ある程度速度を落とす、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の成長をある程度阻害する;及び/又は癌に関連する症状の1つ以上をある程度軽減することができる。薬物が既存の癌細胞の成長を妨げる及び/又は殺すことができる程度に、該薬物は、細胞増殖抑制性及び/又は細胞毒性であり得る。癌療法については、例えば、無増悪期間(TTP)を評価する及び/又は奏効率(RR)を決定することによって有効性を測定することができる。
【0032】
「炎症性障害」とは、本明細書で使用するとき、過剰な又は無秩序な炎症反応が過剰な炎症症状、宿主組織の損傷、又は組織機能の喪失につながる任意の疾患、障害、又は症候群を指し得る。また、「炎症性障害」とは、白血球の流入及び/又は好中球の走化性によって媒介される病理学的状態も指す。
【0033】
「炎症」とは、本明細書で使用するとき、組織の傷害又は破壊によって誘発される局所的保護反応を指し、これは傷害性剤及び傷害組織の両方を破壊、希釈、又は遮断(隔絶)する機能を有する。炎症は、白血球の流入及び/又は好中球の走化性と明白に関連している。炎症は、病原体及びウイルスの感染から、並びに心筋梗塞又は脳卒中後の外傷又は再灌流、外来抗原に対する免疫応答、及び自己免疫応答等の非感染的手段から生じ得る。したがって、式Iの化合物による処置に適している炎症性障害は、特異的な防御系の反応に関連する障害及び非特異的な防御系の反応に関連する障害を包含する。
【0034】
用語「癌」は、典型的に無秩序な細胞成長を特徴とする、哺乳類における生理学的病態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍を含むが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例は、扁平上皮癌(例えば、扁平上皮細胞癌);小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌腫及び肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌;腹膜の癌;肝細胞癌;胃腸癌を含む胃(gastric or stomach)癌;膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮の癌腫、唾液腺癌腫、腎臓(kidney or renal)癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌腫、肛門癌腫、陰茎癌腫、並びに頭頸部癌を含む。
【0035】
「化学療法剤」は、作用機序にかかわらず、癌の処置において有用な化学化合物である。化学療法剤のクラスは、アルキル化剤、代謝拮抗物質、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞毒性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光線感作物質、及びキナーゼ阻害剤を含むがこれらに限定されない。化学療法剤は、「標的療法」及び従来の化学療法において使用される化合物を含む。化学療法剤の例は、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Sanofi-Aventis)、5-FU(フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、CAS No. 51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、Lilly)、PD-0325901(CAS No. 391210-10-9、Pfizer)、シスプラチン(シス−ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS No. 15663-27-1)、カルボプラチン(CAS No. 41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド、CAS No. 85622-93-1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)−2−[4−(1,2−ジフェニルブタ−1−エニル)フェノキシ]−N,N−ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(ADRIAMYClNO)、Akti-1/2、HPPD、及びラパマイシンを含む。
【0036】
化学療法剤の更なる例は、以下を含む:オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、XL-518(Mek阻害剤、Exelixis、国際公開公報第2007/044515号)、ARRY-886(Mek阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF-1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ-235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL-147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK 222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SARASAR(商標)、SCH 66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43-9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT-11、Pfizer)、ティピファニブ(ZARNESTRA(商標)、Johnson & Johnson)、ABRAXANE(商標)(Cremophor不含)、パクリタキセルのアルブミン加工ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ZACTIMA(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU 5271;Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標));アルキルスルホナート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼルシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(具体的には、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(chlorophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン(ranimnustine);抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンガンマ1I、カリケアマイシンオメガI1(Angew Chem. Intl. Ed.Engl. (1994) 33:183-186);ジネミシン、ジネミシンA;ビスホスホナート、例えば、クロドロナート;エスペラミシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補給剤、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche);イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤 RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;並びに上記のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸及び誘導体。
【0037】
また、「化学療法剤」の定義には以下も含まれる:(i)抗エストロゲン剤及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)等の腫瘍に対するホルモンの作用を調節又は阻害する作用を有する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン(toremifine citrate))を含む;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、ホルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)等;(iii)抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、MEK阻害剤(国際公開公報第2007/044515号);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、具体的には、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Raf及びH-Ras、例えば、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標)、Genta Inc.);(vii)リボザイム、例えば、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;トポイソメラーゼ1阻害剤、例えば、LURTOTECAN(登録商標);ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech);並びに上記のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸及び誘導体。
【0038】
また、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARGT(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar, Corixia)等の治療抗体、及び抗体薬物複合体、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も「化学療法剤」の定義に含まれる。
【0039】
用語「添付文書」は、治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌及び/又は警告についての情報を含む、このような治療用製品の商業用パッケージに慣例上含まれる説明書を指すために用いられる。
【0040】
用語「薬学的に許容し得る」とは、生物学的にも他の点でも望ましくないことがなく、そして、製剤を含む他の成分及び/又はそれで処置される哺乳類と化学的及び/又は毒物学的に適合する成分又は賦形剤を指す。
【0041】
錠剤
本開示の幾つかの態様は、化合物(I)遊離塩基及び酸を含む医薬錠剤組成物に関する。幾つかの態様では、該酸は、有機酸又は無機酸である。幾つかの態様では、該酸は、フマル酸、クエン酸、コハク酸、及び酒石酸から選択される有機酸である。幾つかの特定の態様では、該酸は、フマル酸である。
【0042】
錠剤組成物中の化合物(I)遊離塩基の含量は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg又は約300mg、及びこれらの範囲、例えば、約25mg〜約300mg、約25mg〜約200mg、約25mg〜約100mg、約50mg〜約150mg、約100mg〜約200mg、約100mg〜約300mg、又は約150mg〜約250mgである。錠剤の重量に基づいて、錠剤組成物中の遊離塩基の含量は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%又は40重量%、及びこれらの範囲、例えば、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、又は約20重量%〜約25重量%である。
【0043】
錠剤組成物中の有機酸(例えば、フマル酸)の含量は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%又は約50重量%、及びこれらの範囲、例えば、約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約30重量%、約5重量%〜約20重量%、約10重量%〜約30重量%、約15重量%〜約25重量%、約20重量%〜約25重量%、約5重量%〜約15重量%、又は約10重量%〜約15重量%である。幾つかの他の態様では、フマル酸は、錠剤中に顆粒外成分として存在する。幾つかの他の態様では、フマル酸は、錠剤中に顆粒内成分として存在する。幾つかの他の態様では、フマル酸は、顆粒内成分及び顆粒外成分の両方として存在し得る。
【0044】
化合物(I)遊離塩基の有機酸(フマル酸)に対する重量比は、約1:5、約1:4.5、約1:4、約1:3.5、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1又は約3:1、及びこれらの範囲、例えば、約1:5〜約3:1、約1:1〜約1:5、約1:2〜約1:5、約1:3〜約1:5、約1:3〜約3:1、約1:2〜約2:1、約1:1.5〜約1.5:1、又は約1.2:1〜約1:1.2である。
【0045】
錠剤の重量は、好適には、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg又は約1500mgである。
【0046】
本開示の幾つかの態様では、化合物(I)遊離塩基のフマル酸に対する重量比は、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約1:1〜約1:5、約1:2〜約1:5又は約1:3〜約1:5である。このような態様では、化合物(I)遊離塩基の含量は、約25mg、約50mg、約75mg若しくは約100mg、約25mg〜約100mg又は約25mg〜約50mgである。このような態様では、本明細書における他の箇所により詳細に記載する通り、錠剤中のフマル酸の含量は、約50重量%以下であり得る。本開示の幾つかの他の態様では、化合物(I)遊離塩基のフマル酸に対する重量比は、約2:1、約1.5:1、約1.2:1、約1:1、約1:1.2、約1:1.5又は約1:2、及びこれらの範囲、例えば、約2:1〜約1:2、約1.5:1〜約1:1.5、又は約1.2:1〜約1:1.2である。このような態様では、化合物(I)遊離塩基の含量は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、及びこれらの範囲、例えば、約100mg〜約300mg又は約150mg〜約250mgである。
【0047】
本開示の錠剤は、有機酸の非存在下で製剤化された化合物(I)遊離塩基と比べて、無酸症を呈するヒトにおいて改善された化合物(I)遊離塩基の薬物動態を提供する。化合物(I)遊離塩基 200mgを含む錠剤投与についてのインビボヒト無酸症薬物動態は、以下の通りである。幾つかの態様では、終末相半減期(t1/2)は、約5時間、約10時間、約15時間、約20時間、又は約25時間、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約5〜約25時間、約5〜約20時間、又は約5〜約15時間である。幾つかの態様では、最高血漿濃度に達するまでの時間(tmax)は、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、又は約4時間、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約0.5〜約4時間、約0.5〜約3時間、又は約1〜約3時間である。幾つかの態様では、最高血漿濃度(Cmax)は、約80ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、約300ng/mL、約350ng/mL、約400ng/mL、約450ng/mL、約500ng/mL、約800ng/mL、約1000ng/mL又は約1200ng/mL、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約80〜約1200ng/mL、約200〜約1000ng/mL、又は約400〜約800ng/mLである。幾つかの態様では、12時間後の血漿濃度(C12)は、約20ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL又は約80ng/mL、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約20〜約80ng/mL、約20〜約60ng/mL、又は約30〜約50ng/mLである。幾つかの態様では、投与から12時間までの期間にわたる濃度曲線下面積(AUC0-12)は、約500h*ng/mL、約1000h*ng/mL、約1500h*ng/mL、約2000h*ng/mL、又は約2500h*ng/mL、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約500〜約2500h*ng/mL、又は1000〜約2000h*ng/mLである。幾つかの態様では、投与から24時間までの期間にわたる濃度曲線下面積(AUC0-24)は、約800h*ng/mL、約1000h*ng/mL、約1500h*ng/mL、約2000h*ng/mL、約2500h*ng/mL、約3000h*ng/mL、約3500h*ng/mL、又は約4000h*ng/mL、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約800〜約4000h*ng/mL、約1500〜約3000h*ng/mL、又は約2000〜約3000h*ng/mLである。幾つかの態様では、投与から∞(72時間)までの期間にわたる濃度曲線下面積(AUC0-∞)は、約900h*ng/mL、約1500h*ng/mL、約2000h*ng/mL、約2500h*ng/mL、約3000h*ng/mL、約3500h*ng/mL、約4000h*ng/mL、又は約4500h*ng/mL、及び上記値の組合せから構成される範囲、例えば、約900〜約4500h*ng/mL、約1500〜約4000h*ng/mL、又は約2000〜約3000h*ng/mLである。
【0048】
本開示の錠剤組成物は、更に好適には、充填剤(希釈剤)、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、及び滑沢剤から選択されるがこれらに限定されない1つ以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含み得る。充填剤(又は希釈剤)は、錠剤を構成する粉末化薬物のバルク体積を増加させるために使用してよい。崩壊剤は、錠剤が服用されたときに該錠剤の小さな断片、理想的には個々の薬物粒子への分解を促進して、薬物の急速な溶解及び吸収を促進するために使用してよい。結合剤は、必要な機械強度を有する顆粒及び錠剤を形成できることを保証し、そして、圧縮された後に錠剤をともに保持して、包装、輸送及び日常的な取り扱い中に錠剤がその成分粉末に分解するのを防ぐために使用してよい。流動促進剤は、生産中の錠剤を構成する粉末の流動性を改善するために使用してよい。滑沢剤は、製造中に錠剤を加圧成形するのに使用される設備に打錠粉末が付着しないことを保証し、混合及び加圧成形中の粉末の流動を改善し、そして、完成した錠剤が該設備から排出されるときの摩擦及び破損を最小化するために使用してよい。
【0049】
充填剤及び結合剤は、リン酸水素カルシウム、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標))、ラクトース、又は任意の他の好適な増量剤を含み得る。好適な充填剤の例は、微結晶性セルロース、例えば、Avicel PH 101、Avicel PH102、Avicel PH 200、Avicel PH 105、Avicel DG、Ceolus KG 802、Ceolus KG 1000、SMCCSO及びVivapur 200;ラクトース一水和物、例えば、Lactose FastFlo;他の賦形剤と同時加工された微結晶性セルロース、例えば、ラクトース一水和物と同時加工された微結晶性セルロース(MicroceLac 100)及びコロイド状二酸化ケイ素と同時加工された微結晶性セルロース(SMCCSO、Prosolv 50及びProsolv HD 90);イソマルツロース誘導体の混合物、例えば、galenIQ;並びに他の好適な充填剤、並びにこれらの組合せを含む。充填剤は、顆粒内成分及び/又は顆粒外成分として存在し得る。幾つかの特定の態様では、本開示の錠剤組成物は、ラクトース及び微結晶性セルロースを含む。
【0050】
崩壊剤は、成形体内で顆粒が互いに分離するのを促進し、そして、遊離した顆粒の分離を互いに維持するために、開示される製剤内に含まれ得る。崩壊剤は、顆粒内成分及び/又は顆粒外成分として存在し得る。崩壊剤は、任意の好適な崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム又はクロスカルメロースナトリウム等の架橋ポリマー等を含み得る。幾つかの特定の態様では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。崩壊剤の含量は、好適には、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は約5重量%、及びこれらの範囲、例えば、約1重量%〜約5重量%、又は約2重量%〜約4重量%である。
【0051】
流動促進剤は、例えば、高度に分散しているシリカ(Aerosil(登録商標))を含むコロイド状二酸化ケイ素、又は動物若しくは植物の脂肪若しくはワックス等の任意の他の好適な流動促進剤を含み得る。幾つかの特定の態様では、流動促進剤は、ヒュームドシリカである。流動促進剤の含量は、好適には、約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%又は約3重量%、及びこれらの範囲、例えば、約0.1重量%〜約3重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%である。
【0052】
滑沢剤は、医薬組成物中の顆粒の圧縮において使用してよい。滑沢剤は、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、約1000〜約6000の分子量を有する)、ステアリン酸マグネシウム及びカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、又は任意の他の好適な滑沢剤を含み得る。幾つかの特定の態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム及び/又はフマル酸ステアリルナトリウムである。滑沢剤は、顆粒内成分及び/又は顆粒外成分として存在し得る。滑沢剤の含量は、好適には、約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は約5重量%、及びこれらの範囲、例えば、約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約4重量%、約1重量%〜約3重量%、又は約1重量%〜約2重量%である。
【0053】
フィルムコーティング等のコーティングを本開示の錠剤に適用してよい。フィルムコートを使用して、例えば、錠剤を容易に嚥下できることに寄与することができる。また、フィルムコートは、味及び外観を改善するために使用することもできる。必要に応じて、フィルムコートは、腸溶性コートであってよい。フィルムコートは、ポリマーフィルム形成材料、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリレート又はメタクリレートのコポリマー、並びにポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、例えば、Opadry及びKollicoat IRを含み得る。フィルム形成ポリマーに加えて、フィルムコートは、更に、例えばポリエチレングリコール等の可塑剤、例えばTween(登録商標)タイプ等の界面活性剤、及び任意で、例えば二酸化チタン又は酸化鉄等の顔料を含み得る。また、フィルムコーティングは、接着防止剤としてタルクを含み得る。フィルムコートは、典型的には、剤形の約5重量%未満を占める。
【0054】
本開示の幾つかの態様では、錠剤は、プレブレンディング、直接錠剤圧縮、及びコーティングを含むプロセスによって調製され得る。幾つかの他の態様では、錠剤は、(i)プレブレンディング、(ii)ローラー圧縮及び粉砕又は乾式造粒等による造粒及びサイジング、(iii)ブレンディング/潤滑、(iv)錠剤圧縮、並びに(v)コーティングを含むプロセスによって調製され得る。
【0055】
プレブレンディングは、ローラー圧縮前に顆粒内成分を実質的に均質にするように設計される。本質的に均質なブレンドを提供するプレブレンディング設備及び関連するプロセスパラメータは、当業者に公知である。好適なブレンダーは、当技術分野において公知であり、そして、V型ブレンダー、ダブルコーンブレンダー、ビン(コンテナ)ブレンダー、及び回転式ドラムブレンダーを含む、2つ以上の成分を均一に混合するための医薬品業界において典型的に使用される任意の装置である。ブレンダー体積、ブレンダー充填量、回転速度及び回転時間の組合せは、成分を本質的に均質に混合するために、好適に当業者によって決定され得る。ブレンダー体積は、好適には、約2L、約50L、約100L、約200L、約250L、約500L、約650L又は約1000Lである。ブレンダー充填量の選択によって、対流及び三次元材料移動が可能になり、そして、好適には、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%又は約70%、及びこれらの範囲、例えば、約30%〜約60%、約45%〜約65%、32%〜53%又は32%〜40%である。ブレンド時間は、好適には、5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、又はそれ以上である。回転速度は、好適には、例えば、2rpm、3rpm、4rpm、5rpm、6rpm、7rpm、8rpm、9rpm又は10rpmである。
【0056】
造粒及びサイジングは、当業者に公知の任意の好適な方法を使用して達成され得る。本開示の幾つかの特定の態様では、造粒及びサイジングは、乾式造粒、粉砕及び篩過(篩分け)を含む。本開示の幾つかの他の態様では、乾式造粒は、ローラー圧縮である。造粒及びサイジングは、活性薬物及び賦形剤の混合物の流動及び圧縮の特性を改善する。ローラー圧縮は、プレブレンドされた粉末粒子を互いに接着させて、より大きな顆粒状の多粒子実体にするプロセスである。ローラー圧縮は、一般的に、供給システム、圧縮ユニット及び粉砕/篩分けユニットを含む3つのユニット操作を含む。圧縮ユニットでは、ローラー圧縮力(kN/cmで表される)を印加することによって逆回転しているロール間でプレブレンドを圧縮して、リボン又はシート等の圧縮材料の形成塊を形成する。ロール間の距離は、ギャップ幅として定義される。圧縮材料の形成されたリボンを粉砕によって微粉砕ユニットで加工して顆粒を形成し、これを篩過して所望の粒径分布を有する複数の顆粒を生成する。
【0057】
ローラー圧縮及び粉砕設備は、Gerteis、Fitzpatrick(登録商標)及びFreund-Vectorを含む多数の製造業者から市販されている。このような設備は、一般的に、ローラー圧縮力、ギャップ幅、ローラー速度及び供給速度の制御を提供する。ローラー表面は、滑らかであってもきざみ付であってもよく、又は一方のローラー表面が滑らかであり、そして、他方のローラー表面がきざみ付であってもよい。様々な態様のいずれかでは、プレブレンドをローラー圧縮機供給ホッパーに仕込む。ローラー圧縮は、指定の力及びギャップサイズで実施され、そして、プロセスは、好ましくは、ギャップ制御下で行われる。本開示の様々な態様のいずれかでは、ギャップサイズは、約2mm、約3mm、約4mm若しくは約5mm、又はそれ以上、及びこれらの範囲、例えば、約2mm〜約5mm、約2mm〜約4mm、約3mm〜約5mm又は約4mm〜約5mmである。ローラー圧縮力は、約1kN/cm、約2kN/cm、約3kN/cm、約4kN/cm、約5kN/cm、約6kN/cm、約7kN/cm若しくは約8kN/cm、又はそれ以上、及びこれらの範囲、例えば、約1kN/cm〜約8kN/cm、約2kN/cm〜約5kN/cm又は約2kN/cm〜約4kN/cmである。形成されたリボン又はシートを篩に通して粉砕して顆粒を生成することができる。本開示の幾つかの態様では、篩は粉砕機と一体式である。本開示の様々な態様のいずれかでは、粉砕篩サイズは、0.5mm、0.75mm、1.0mm、1.25mm、1.5mm、1.75mm、2.0mm、2.25mm又は2.5mm、及びこれらの範囲、例えば、約0.5mm〜約2.5mm、約0.5mm〜約2.0mm、約0.5mm〜約1.5mm、約0.5mm〜約1.25mm、約0.75mm〜約2.5mm、約0.75mm〜約2.0mm、約0.75mm〜約1.5mm、又は約0.75mm〜約1.25mmである。
【0058】
最後のブレンディング工程では、ローラー圧縮及び粉砕によって形成された顆粒をブレンダーに仕込み、そして、任意の顆粒外成分、例えば、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウム)、及び任意で有機酸(例えば、フマル酸)をブレンダーに添加して混合物を形成する。最後のブレンディング工程は、任意の外部崩壊剤及び滑沢剤を本質的に均質に分布させ、そして、錠剤圧縮中に許容し得る加工性を与える。好適なブレンダー及び関連するプロセス変量は、上記の通りである。
【0059】
充填剤、滑沢剤及び崩壊剤は、典型的には、ブレンディング前に篩過によって塊が分離(delumped)される。篩過方法は、当業者に公知である。本開示の1つの特定のプレブレンド態様の例では、充填剤(例えば、ラクトース一水和物及びMCC)及び崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)は、篩過によって塊が分離され、そして、ブレンダー内で化合物(I)と合わせられ、そして、ブレンダー内容物は、一定の回転速度(例えば、6rpm)で、あるブレンド時間(例えば、30分間)ブレンドされる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、篩過によって塊が分離され、そして、混合された充填剤、崩壊剤及び化合物(I)が収容されているブレンダーに添加される。ブレンダー内容物は、一定の回転速度(例えば、5rpm〜10rpm)で、あるブレンド時間(例えば、2分間〜30分間)ブレンドされて、プレブレンドを形成する。
【0060】
打錠工程では、打錠ダイ型に最終ブレンド材料を充填し、そして、混合物を圧縮して錠剤コアを形成し、これを排出する。好適な錠剤プレス機は当技術分野において公知であり、そして、例えば、Riva-Piccola、Carver、Fette、Bosch Packaging Technology、GEA及びNatoli Engineering Companyから市販されている。一般的に、各錠剤は、硬化鋼で構成されているダイの内側で顆粒を加圧成形することによって作製される。ダイは、典型的には、その中心を通って切り取られた穴を有するディスク形状である。ダイの上下に適合する2つの硬化鋼穿孔器によってダイの中心で粉末を圧縮して、錠剤を形成する。錠剤圧縮は、錠剤を形成するための主圧縮力を印加する前に、粉末を突き固め、そして、ブレンドをわずかに圧縮することを含む第1の先行圧縮段階を有する、2段階で行うことができる。錠剤は、圧縮後にダイから排出される。
【0061】
主圧縮力は、硬度及び外観等の錠剤の特性に影響を与える。主圧縮力は、更に、圧縮中の最終ブレンドの錠剤用工具への粘着に対して影響を有し、力が増加すると粘着が減少するので、外観に欠陥のある錠剤が少なくなる。更に、最終ブレンドの圧縮性は、得られる錠剤コアの品質(例えば、欠陥の有無)に影響を与え得る。圧縮加工パラメータ、例えば、圧縮力及びランタイムも影響を有し得る。本開示の幾つかの態様では、圧縮力は、約5kN、約6kN、約7kN、約8kN、約9kN、約10kN、約11kN、約12kN、約13kN、約14kN、約15kN、約16kN、約17kN、約18kN、約19kN、約20kN、又はそれ以上、及びこれらの範囲、例えば、約5kN〜約20kN、約14kN〜約19kN、約14kN〜約18kN、又は約8kN〜約13kNである。
【0062】
錠剤が本質的に無味無臭であり、そして、容易に嚥下されることを保証するために、錠剤コアをフィルムコートしてもよい。また、フィルムコーティングは、包装中の塵埃形成を防ぎ、そして、輸送中のロバスト性を確保する。フィルムコーティングは、好適には、当技術分野において公知の方法、例えばパンコーティングによって行うことができる。好適なコーティング設備は、Glatt GC1000Sを含むがこれに限定されない。
【0063】
本開示の幾つかの態様では、錠剤コアをコーティングパンに仕込み、そして、標的温度に加温する。標的固形分含量になるようにコーティング懸濁液を調製する。錠剤が標的温度範囲内になったら、約3重量%、約4重量%又は約5重量%の所定の重量増加を達成するように設計された標的速度で、ドラム回転及び噴霧を実行する。出口空気温度は、コーティング全体を通して標的製品温度が得られることを保証する範囲で維持される。噴霧が完了したら、フィルムコーティングされた錠剤を放出する前に、コーティングされた錠剤を乾燥させ、そして、冷却する。コーティング懸濁液の固形分含量は、好適には、約10重量%〜約20重量%又は約15重量%〜約20重量%である。錠剤コア1kg当たりのコーティング噴霧速度は、好適には、約0.5g/分〜約2.5g/分又は約1g/分〜約2g/分である。コーティング温度は、好適には、約30℃〜約60℃又は約40℃〜約50℃である。パン回転速度は、好適には、約2〜約20rpm、約4〜約15rpm、又は約8〜約12rpmである。入口空気体積は、バッチサイズによって変動し、そして、好適には、約300〜約1500m3/h、約450〜約1200m3/h、又は約1000〜約1250m3/hである。
【0064】
非晶質固体分散物
一般的に、本開示の非晶質固体分散物は、ポリマー成分と、約20重量%〜約60重量%の化合物(I)遊離塩基とを含む。幾つかの態様では、化合物(I)遊離塩基の含量は、約30重量%〜約50重量%、約40重量%〜約50重量%、又は約50重量%である。幾つかの態様では、非晶質固体分散物のガラス転移温度は、少なくとも115℃、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃、例えば、100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、又は約170℃である。
【0065】
非晶質固体分散物は、正常な胃pHを代表する約pH1、無酸症の胃pHを代表するpH約4〜約6、及び/又は腸pHを代表するpH約6.5〜約7における水溶解性によって特徴付けることができる。より具体的には、非晶質固体分散物に含有されている化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH1バッファへの20分後の溶解性は、約1mg/mL〜約2mg/mL又は1mg/mL〜約1.5mg/mLである。非晶質固体分散物に含有されている遊離塩基化合物の、37℃の水性pH4.5バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mL、少なくとも0.3mg/mL、又は約0.1mg/mL〜約0.35mg/mLである。非晶質固体分散物に含有されている遊離塩基化合物の、37℃のpH6.8絶食状態模擬腸液媒体への60分後及び180分後の溶解性は、少なくとも0.05mg/mL、少なくとも0.075mg/mL、又は約0.075mg/mL〜約0.1mg/mLである。
【0066】
本開示の幾つかの任意の態様では、本開示の非晶質固体分散物は、更に、酸を含み得る。このような態様では、酸の遊離塩基に対するモル当量比は、約1:1〜約10:1、約2:1〜約10:1、約2:1〜約5:1、約2:1〜約4:1、又は約3:1である。該酸は、好適には、有機酸又は無機酸であり得る。好適な有機酸は、フマル酸、コハク酸、クエン酸、及び酒石酸を含むがこれらに限定されない。好適な無機酸は、塩酸及び硫酸を含むがこれらに限定されない。
【0067】
酸を含む非晶質固体分散物は、本明細書の他の箇所に記載した通り、約pH1、pH約4.5、及び/又はpH約6.8における水溶解性によって特徴付けることができる。より具体的には、非晶質固体分散物に含有されている遊離塩基化合物の、37℃の水性pH1バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも1.5mg/mL、少なくとも2mg/mL又は約2mg/mL〜約2.5mg/mLである。非晶質固体分散物に含有されている遊離塩基化合物の、37℃の水性pH4.5バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも1mg/mL、少なくとも1.25mg/mL、又は約1mg/mL〜約1.5mg/mLである。非晶質固体分散物に含有されている遊離塩基化合物の、37℃のpH6.8絶食状態模擬腸液媒体への60分後及び180分後の溶解性は、少なくとも0.05mg/mL、又は約0.05mg/mL〜約0.08mg/mLである。
【0068】
単独で又は組み合わせて使用するのに好適なポリマーの非限定的な例は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、酢酸コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸コポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドンのホモポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ポビドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)、酢酸ビニルのコポリマー、プロピオン酸ビニルのコポリマー、酢酸ビニル及びクロトン酸のコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、可溶性デンプン、アラビアゴム、デキストリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、トラガカント、キサンタンゴム、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニル−アセタール−ジエチルアミノアセテート、メタクリレートコポリマー、アミノメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、マクロゴール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)のコポリマー、カラギーナン、ガラクトマンナン、並びにSoluplus(登録商標)を含む。Soluplus(登録商標)は、BASFから入手可能なポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルカプロラクタム系グラフトコポリマーである。幾つかの特定の態様では、ポリマー成分は、好適には、ポリビニルピロリドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、アミノメタクリレートコポリマー、Soluplus(登録商標)、及びこれらの組合せから選択される。
【0069】
本開示の非晶質固体分散物は、本質的に非晶質状態であり、そして、ポリマー全体に本質的に均質に分散している化合物(I)が得られる任意のプロセスによって調製することができる。非晶質固体分散物を調製する方法の例は、溶融押出プロセス、及び噴霧乾燥等の溶媒処理法、及び逆溶媒を用いて溶液から沈殿させることを含む。
【0070】
溶媒処理法では、化合物(I)及び1つ以上のポリマーを含む成分を、該成分が可溶性である溶媒又は溶媒系に溶解させる。溶解後、蒸発によって溶媒を急速に除去するか、又は逆溶媒と混合することによって非晶質固体分散物を沈殿させる。例示的なプロセスは、噴霧乾燥、噴霧コーティング(パンコーティング、流動床コーティング等)、及び溶液をCO
2又は逆溶媒と急速混合することによる沈殿を含む。好ましくは、該プロセスは、溶媒を除去して、ポリマーに分散している化合物(I)の固体溶液を提供することを含む。
【0071】
好適な溶媒は、化合物(I)及びポリマーが相互に可溶性である任意の有機化合物であり得る。好ましくは、溶媒は揮発性であり、そして、150℃以下の沸点を有する。溶媒の非排他的なリストは、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール及びi−ブタノール;ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルi−ブチルケトン;エステル、例えば、酢酸エチル及び酢酸プロピル;並びに他の溶媒、例えば、アセトニトリル、塩化メチレン、トルエン、及び1,1,1−トリクロロエタンを含む。また、より揮発性の低い溶媒、例えば、ジメチルアセトアミド又はジメチルスルホキシドを使用してもよい。また、溶媒の混合物、例えば、50% メタノール及び50% アセトンを使用してもよい。幾つかの態様では、溶媒系は、有機溶媒の水に対する体積比約80:20、約85:15、約90:10又は約95:5で、有機溶媒と組み合わせた水を含む。このような溶媒系の非限定的な例は、アセトンと水及びメタノールと水を含む。
【0072】
噴霧乾燥法では、噴霧乾燥装置において、化合物(I)及び少なくとも1つのポリマーを含む溶液を小滴に霧化し、そして、蒸発によって溶媒を急速に除去して、粗非晶質固体分散物を生成する。急速溶媒蒸発速度は、典型的には、(1)噴霧乾燥装置内の圧力を部分真空(例えば、約0.01〜約0.50atm)に維持する、(2)液滴を温かい乾燥ガスと混合する、又は(3)これらの組合せを通して、噴霧乾燥装置内の溶媒の分圧が乾燥滴の温度における溶媒の蒸気圧を大きく下回るように維持することによって達成される。噴霧乾燥法は、当技術分野において公知であり(例えば、Perry's Chemical Engineers' Handbook, Eighth Edition, McGraw-Hill, 2007を参照)、そして、噴霧乾燥設備は、例えば、Glatt、Freund-Vector及びFitzpatrickから市販されている。一般的に、乾燥ガスの温度及び流速並びに霧化した滴のサイズは、微粉が感知できるほどには壁に付着しないように、噴霧乾燥装置チャンバの壁に達する時間までに十分に乾燥する非晶質固体分散物粒子が形成されるように選択される。この乾燥レベルに達するまでの時間の実際の長さは、部分的に、滴のサイズに依存する。滴の直径は、一般的に、約1μm〜約500μm、約1μm〜約100μm、約1μm〜約50μm、又は約1μm〜約25μmの範囲である。典型的には、溶媒を蒸発させるために大きな滴の表面対体積比及び大きな駆動力を用いると、乾燥時間が数秒間以下ですむ。急速乾燥速度は、薬物リッチな相及びポリマーリッチな相への相分離が幾らか生じ得るより緩徐な乾燥速度と比較して、ポリマーマトリクス内で薬物を均質に分散させると考えられる。一般的に、非晶質固体分散物粒子の形成時間は、約100秒未満、約10秒未満、又は更には約1秒未満でなければならない。
【0073】
本開示の幾つかの態様では、非晶質固体分散物は、化合物(I)及び1つ以上のポリマーを含む均質な溶融物を調製する工程と、冷却によって該溶融物を固化させる工程とを含む溶融押出によって調製される。幾つかの態様では、溶融物は、更に、1つ以上の可溶化剤を含み得る。一般的に、「溶融」とは、化合物(I)−ポリマー混合物が、化合物(I)がポリマーのマトリクス内に均質に分布している液体又はゴム状の状態に移行することを指す。溶融押出では、ポリマーが溶融し、そして、化合物(I)が溶融物に溶解して溶液を形成すると考えられる。溶融成分の混合は、溶融物の形成前、形成中又は形成後に行ってよい。例えば、成分をまず混合し、次いで溶融させてもよく、又は同時に混合及び溶融させてもよい。典型的には、化合物(I)の分散効率を改善するために、溶融物を均質化する。幾つかの任意の態様では、ポリマーを溶融させてよく、そして、続いて化合物(I)を添加し、混合し、そして、均質化する。溶融温度は、ポリマーの同一性及び化合物(I)の負荷の関数である。一般的に、溶融温度は、約70℃〜約250℃、約80℃〜約180℃、又は約100℃〜約140℃である。
【0074】
化合物(I)は、例えば本明細書の他の箇所に記載の通り、固体、好適な溶媒の溶液又は分散液の形態であってよい。溶媒が存在するとき、溶融物の調製時に溶媒の少なくとも一部を蒸発又は蒸発分離(flashed off)させる。様々な添加剤、例えば、流量調整剤(例えば、コロイド状シリカ)、滑沢剤、増量剤(充填剤)、崩壊剤、可塑剤、安定剤(例えば、酸化防止剤)、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、保存剤(例えば、殺生物剤)、及びこれらの組合せが溶融物に含まれ得る。
【0075】
溶融押出加工の方法及び設備は、当技術分野において公知である。特に好適なものは、押出成形機又は混練機である。好適な押出成形機は、単軸押出成形機、噛合軸押出成形機、及び多軸押出成形機を含む。幾つかの態様では、押出成形機は、溶融物を混合又は分散するための混練ディスク又は他の軸要素を任意で備え得る、共回転又は逆回転の二軸押出成形機である。押出成形機は、典型的には、成分を溶融、混合及び溶解させるために必要なエネルギーの少なくとも一部を提供するために、加熱要素及び/又は蒸気若しくは加熱された油が通過するジャケット付き部分によって加熱される。また、押出成形機内における材料の摩擦及び剪断によって発生する熱は、混合物にかなりの量のエネルギーを提供し、そして、成分の均質な溶融物の形成を支援することができる。
【0076】
押出成形機の押出品の形態は、好適には、ペースト状から粘性に及び得る。幾つかの態様では、固化前に、例えばその表面上に相互に一致する凹部を有する2つの逆回転ローラーを含むカレンダーによって、押出品を直接錠剤に成形し得る。様々な形態の凹部を有するローラーを使用することによって、広範な錠剤形態を得ることができる。幾つかの態様では、その表面上に凹部を有しないローラーを使用してフィルムを形成することができる。幾つかの他の態様では、射出成形によって押出品を所望の形状に成形し得る。更に他の態様では、押出品をダイに通して異形押出に供し、そして、固化前(ホットカット)又は固化後(コールドカット)に小片に切断してよい。
【0077】
幾つかの態様では、本明細書の他の箇所に記載の通り、溶融押出非晶質固体分散物材料を粉砕(milled)又は粉砕(ground)して顆粒にしてよい。次いで、顆粒をカプセルに充填してもよく、錠剤化してもよい。好適な充填カプセル及び錠剤の賦形剤並びに調製方法については、本明細書の他の箇所に記載する。
【0078】
本開示のASD組成物は、化合物(I)遊離塩基のみと比べて、化合物(I)遊離塩基の溶解が改善される。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH1バッファへの20分後の溶解性は、約1mg/mL〜約2mg/mL又は1mg/mL〜約1.5mg/mLである。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH4.5バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mL、少なくとも0.3mg/mL、又は約0.1mg/mL〜約0.35mg/mLである。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH4.5バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも0.2mg/mL、少なくとも0.3mg/mL、又は約0.1mg/mL〜約0.35mg/mLである。
【0079】
酸を更に含む本開示のASD組成物は、化合物(I)遊離塩基のみと比べて、pH4〜5における化合物(I)遊離塩基の溶解が改善される。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH1バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも1.5mg/mL、少なくとも2mg/mL又は約2mg/mL〜約2.5mg/mLである。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃の水性pH4.5バッファへの20分後の溶解性は、少なくとも1mg/mL、少なくとも1.25mg/mL、又は約1mg/mL〜約1.5mg/mLである。ASD組成物に製剤化された化合物(I)遊離塩基の、37℃のpH6.8絶食状態模擬腸液媒体への60分後及び180分後の溶解性は、少なくとも0.05mg/mL、又は約0.05mg/mL〜約0.08mg/mLである。
【0080】
本開示のASD組成物は、更に、化合物(I)遊離塩基のみと比べて、pH4〜5における薬物動態が改善される。ASD組成物は、少なくとも200μM、少なくとも300μM、少なくとも400μM、少なくとも500μM、少なくとも600μM、少なくとも700μM、少なくとも800μM又は少なくとも900μM CmaxのpH4〜5におけるインビトロCmaxを提供する。ASD組成物は、少なくとも5,000hr*μM、少なくとも10,000hr*μM、少なくとも15,000hr*μM、少なくとも20,000hr*μM、少なくとも25,000hr*μM、又は少なくとも25,000hr*μMのpH4〜5におけるインビトロAUCを提供する。ASD組成物は、少なくとも100μM、少なくとも150μM、少なくとも200μM、又は少なくとも250μMの腸pHにおけるインビトロCmaxを提供する。ASD組成物は、少なくとも10,000hr*μM、少なくとも15,000hr*μM、少なくとも20,000hr*μM、少なくとも25,000hr*μM又は少なくとも30,000hr*μMの腸pHにおけるインビトロAUCを提供する。
【0081】
化合物(I)塩
幾つかの態様では、化合物(I)の結晶質のメシル酸塩、塩化物塩及び硫酸塩が提供される。
【0082】
化合物(I)メシル酸塩A形は、一般的に、以下を含むプロセスによって調製される:(i)化合物(I)遊離塩基A形の好適な溶媒溶液を形成すること、(ii)該溶液を化学量論的に過剰のメタンスルホン酸と合わせて、溶液中に化合物(I)メシル酸塩を形成すること、(iii)結晶化によって化合物(I)メシル酸塩A形を形成すること、(iv)結晶化した化合物(I)メシル酸塩A形を単離すること、(v)任意で、単離された化合物(I)メシル酸塩A形を洗浄すること、及び(vi)乾燥させること。好適な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及び酢酸等の極性プロトン性溶媒;ジクロロメタン(「DCM」)、テトラヒドロフラン(「THF」)、酢酸エチル、アセトニトリル(「ACN」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、ジメチルスルホキシド及びアセトン等の極性非プロトン性溶媒;並びにこれらの組合せを含む。幾つかの態様では、溶媒は、1つ以上の極性プロトン性及び/又は極性非プロトン性の溶媒並びに水を含む溶媒系である。幾つかの態様では、溶媒は、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールである。幾つかの他の態様では、溶媒はエタノールである。溶媒中の化合物(I)遊離塩基の濃度は、好適には、約0.05mmol/mL、約0.1mmol/mL、約0.15mmol/mL、約0.2mmol/mL、約0.25mmol/mL、約0.3mmol/mL、約0.4mmol/mL、約0.5mmol/mL、約0.6mmol/mL、又は約0.7mmol/mLである。溶解温度は、好適には、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。メタンスルホン酸は、化学量論的に過剰に添加され、そして、化合物(I)遊離塩基のメタンスルホン酸に対するモル比は、好適には、約1:1.01、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、又は約1:2である。幾つかの態様では、メタンスルホン酸の添加後、溶液を約50℃未満、例えば、約45℃、約40℃、約35℃、又は約30℃に冷却し、そして、その温度で例えば約5分間、約10分間、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、又はそれ以上保持する。冷却された溶液に化合物(I)メシル酸塩A形結晶を播種してスラリーを形成し、そして、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、又はそれ以上撹拌しながら保持する。種結晶の量は、好適には、化合物(I)遊離塩基の量に基づいて約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%又は約5重量%である。播種された混合物を制御された速度で約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、又は約25℃に冷却し、ここで、冷却速度は、好適には、約0.05℃/分、約0.1℃/分、約0.15℃/分、約0.2℃/分、約0.5℃/分又は約1℃/分である。冷却された混合物をその温度で約1時間、約5時間、約10時間、約15時間、又は約1日間、撹拌しながら保持する。化合物(I)メシル酸塩A形結晶は、好適には、濾過及び遠心分離等の当技術分野において公知の固液分離技術によって単離及び回収され得る。回収された結晶は、例えば、約50℃未満の温度で真空乾燥させる等の当技術分野において公知の技術によって乾燥してよい。幾つかの態様では、最終冷却工程前に、溶液中に化合物(I)メシル酸塩を含むスラリー及び化合物(I)メシル酸塩A形の種結晶に逆溶媒を添加することによって、結晶化が誘導又は促進される。好適な逆溶媒の選択は、溶媒系の同一性に関連する。幾つかの態様では、好適な逆溶媒は、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン及びジエチルエーテルを含む。逆溶媒の溶媒に対する量は、好適には、約0.25:1v/v、約0.5:1v/v、約0.75:1v/v、約1:1v/v、約1:1.5v/v、約1:2v/v、又は 約1:4である。化合物(I)メシル酸塩遊離塩基の収率は、好適には、90%超である。
【0083】
特定の態様では、本明細書に提供される化合物(I)メシル酸結晶質塩形態は、本質的に純粋である。例えば、様々な態様では、結晶質メシル酸塩の純度は、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%又は少なくとも約99.8重量%の単一結晶質形態であり、総重量の残りは、他の結晶質形態若しくは非晶質形態及び/又は他の化合物であり得る。幾つかの態様では、化合物(I)のメシル酸アニオンに対する当量比は、約1:1である。
【0084】
一態様では、結晶質メシル酸塩は、本質的に単一成分結晶質形態又は単一多形である。態様では、結晶質形態は、化合物(I)の非晶質形態を本質的に含まない。特定の態様では、表4に係る2θ角度を有するピークから選択される1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、若しくは10個超;又は少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、若しくは少なくとも7個)の特徴的なピークを含むXRPDパターンを有する化合物(I)の結晶質メシル酸塩が提供される。特定の態様では、結晶質メシル酸塩は、本質的に
図3Bに与える通りのXRPDパターンを有する。他の態様では、結晶質メシル酸塩は、約3.78、約6.48、約7.91、約9.92、約11.89、約14.26、約15.12、約15.89、約17.24、約18.10、約19.86、約20.55及び約21.41の2θ角度±0.2 2θ角度を有するピークから選択される1個以上のピーク(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の態様では、結晶質メシル酸塩は、約23.35、約13.63、約11.18、約8.92、約7.44、約6.21、約5.86、約5.58、約5.14、約4.90、約4.47、約4.32及び約4.15のd−値(Å)で表されるピークから選択される1個以上のピーク(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0085】
幾つかの態様では、結晶質メシル酸塩は、DSCにおいて室温から約300℃の間に2個の吸熱ピークを示し、第1の吸熱ピークは、約110℃〜約125℃、約115℃〜約120℃、又は約117℃〜約118℃に存在し、そして、第2の吸熱ピークは、約210℃〜約225℃、約214℃〜約219℃、又は約216℃〜約218℃に存在する。特定の態様では、結晶質メシル酸塩は、本質的に
図7に与える通りのDSCパターンを有する。
【0086】
特定の態様では、化合物(I)の結晶質メシル酸塩は、
図4の動的蒸気収着(「DVS」)等温線プロットに本質的に一致するDVS等温線プロットを有する。特定の態様では、本明細書に提供される化合物(I)の結晶質メシル酸塩は、約0%〜約95%の相対湿度で著しい重量変化を示さない(例えば、約0.05重量%未満、約0.1重量%未満、約0.15重量%未満、又は約0.2重量%未満)。
【0087】
幾つかの態様では、化合物(I)塩化物塩が提供される。幾つかの態様では、化合物(I)塩化物塩A形は、一般的に、以下を含むプロセスによって調製される:(i)化合物(I)遊離塩基A形の好適な溶媒溶液を形成すること、(ii)該溶液を化学量論的に過剰の塩酸と合わせて、溶液中に化合物(I)塩化物塩を形成すること、(iii)結晶化によって化合物(I)塩化物塩A形を形成すること、(iv)結晶化した化合物(I)塩化物塩A形を単離すること、(v)任意で、単離された化合物(I)塩化物塩A形を洗浄すること、及び(vi)乾燥させること。好適な溶媒は、本明細書の他の箇所に記載した通りの極性プロトン性溶媒及び極性非プロトン性溶媒を含む。幾つかの態様では、溶媒は、1つ以上の極性プロトン性及び/又は極性非プロトン性の溶媒並びに水を含む溶媒系である。幾つかの態様では、溶媒は、THF又はACNである。幾つかの特定の態様では、溶媒は、テトラヒドロフラン及び水を含む溶媒系であり、THFの水に対するv/v比は、約5:1、約10:1、約15:1、約19:1又は約20:1、及びこれらの範囲である。幾つかの他の特定の態様では、溶媒系は、THF、水及びACNを含む。溶媒中の化合物(I)遊離塩基の濃度は、好適には、約0.05mmol/mL、約0.1mmol/mL、約0.15mmol/mL、約0.2mmol/mL、約0.25mmol/mL、約0.3mmol/mL、約0.4mmol/mL、約0.5mmol/mL、約0.6mmol/mL、又は約0.7mmol/mLである。溶解温度は、好適には、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。HClは、化学量論的に過剰に添加され、そして、化合物(I)遊離塩基のHClに対するモル比は、好適には、約1:1.01、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、又は約1:2である。HClは、好適には、約0.1M、約0.20M、約0.3M又は約0.4Mである。幾つかの態様では、HClは、化合物(I)遊離塩基を溶解させるために使用される溶媒(例えば、THF)で濃HClを希釈することによって調製される。幾つかの他の態様では、HClは、濃HClをエタノールで希釈することによって調製される。幾つかの態様では、HClの添加後、溶液を約50℃未満、例えば、約45℃、約40℃、約35℃、又は約30℃に冷却し、そして、その温度で例えば約5分間、約10分間、約15分間、約30分間、約45分間、約1時間、又はそれ以上保持する。溶液に化合物(I)塩化物塩A形結晶を播種して、スラリーを形成する。種結晶の量は、好適には、化合物(I)遊離塩基の量に基づいて約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%又は約5重量%である。幾つかの態様では、溶液に播種し、そして、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃又は約25℃の温度で結晶化させる。冷却した混合物を、その温度で約10時間、約18時間、約1日間、約2日間、又はそれ以上撹拌しながら保持する。化合物(I)塩化物塩A形結晶は、好適には、濾過及び遠心分離等の当技術分野において公知の固液分離技術によって単離及び回収され得る。回収された結晶は、例えば、約50℃未満の温度で真空乾燥させる等の当技術分野において公知の技術によって乾燥してよい。幾つかの態様では、最終冷却工程前に、溶液中に化合物(I)塩化物塩を含むスラリー及び化合物(I)塩化物塩A形の種結晶に逆溶媒を添加することによって、結晶化が誘導又は促進され得る。好適な逆溶媒の選択は、溶媒系の同一性に関連する。幾つかの態様では、好適な逆溶媒は、非極性溶媒、例えば、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン及びジエチルエーテルを含む。逆溶媒の溶媒に対する量は、好適には、約0.25:1v/v、約0.5:1v/v、約0.75:1v/v、約1:1v/v、約1:1.5v/v、約1:2v/v、又は 約1:4である。化合物(I)塩化物塩遊離塩基の収率は、好適には、90%超である。
【0088】
化合物(I)塩化物A型塩は、化合物(I)遊離塩基と比べて、pH4〜5における溶解が改善される。メシル酸塩の少なくとも50重量パーセントが10分間で37℃のpH4.5水性媒体に溶解し、そして、メシル酸塩の少なくとも80重量パーセントが30分間で37℃のpH4.5水性媒体に溶解する。
【0089】
特定の態様では、本明細書に提供される化合物(I)塩化物塩形態は、本質的に純粋である。例えば、様々な態様では、結晶質塩化物塩の純度は、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%又は少なくとも約99.8重量%の単一結晶質形態であり、総重量の残りは、他の結晶質形態若しくは非晶質形態及び/又は他の化合物であり得る。幾つかの態様では、化合物(I)の塩化物アニオンに対する当量比は、約1:1である。一態様では、結晶質塩化物塩は、本質的に単一成分結晶質形態又は単一多形である。態様では、結晶質形態は、化合物(I)の非晶質形態を本質的に含まない。特定の態様では、結晶質化合物(I)塩化物塩は、本質的に
図28及び/又は
図29に与える通りのXRPDパターンを有する。幾つかの態様では、結晶質塩化物塩は、約3.97、約6.83、約7.92、約10.46、約11.87、約14.21、約15.79及び約19.76の2θ角度±0.2 2θ角度を有するピークから選択される1個以上のピーク(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0090】
幾つかの態様では、化合物(I)硫酸塩が提供される。幾つかの態様では、化合物(I)硫酸塩A形は、一般的に、以下を含むプロセスによって調製される:(i)化合物(I)遊離塩基A形の好適な溶媒溶液を形成すること、(ii)該溶液を化学量論的に過剰の硫酸と合わせて、溶液中に化合物(I)硫酸塩を形成すること、(iii)結晶化によって化合物(I)硫酸塩A形を形成すること、(iv)結晶化した化合物(I)硫酸塩A形を単離すること、(v)任意で、単離された化合物(I)硫酸塩A形を洗浄すること、及び(vi)乾燥させること。好適な溶媒は、本明細書の他の箇所に記載した通りの極性プロトン性溶媒及び極性非プロトン性溶媒を含む。幾つかの態様では、化合物(I)遊離塩基を溶解させるための溶媒はDCMであり、そして、DCM及びACNを含む溶媒系で結晶化が行われる。溶媒中の化合物(I)遊離塩基の濃度は、好適には、約0.05mmol/mL、約0.1mmol/mL、約0.15mmol/mL、約0.2mmol/mL、約0.25mmol/mL、約0.3mmol/mL、約0.4mmol/mL、約0.5mmol/mL、約0.6mmol/mL、又は約0.7mmol/mLである。溶解温度は、好適には、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、又は約70℃である。幾つかの態様では、溶解は、約15℃〜約30℃(室温)で行われる。H
2SO
4は、一硫酸塩を調製するための化学量論的量で添加され、そして、化合物(I)遊離塩基のH
2SO
4に対するモル比は、好適には、約1:1.01、約1:1.05、約1:1.1、約1:1.15、又は約1:1.2である。H
2SO
4は、好適には、約0.1M、約0.20M、約0.3M又は約0.4Mである。幾つかの態様では、H
2SO
4は、化合物(I)遊離塩基を溶解させるために使用される溶媒(例えば、DCM)で濃H2SO4を希釈することによって調製される。幾つかの態様では、H
2SO
4の添加後、化合物(I)硫酸塩を含む溶液を30℃超、例えば、約35℃又は約40℃に加熱し、その際、溶液に化合物(I)硫酸塩A形結晶を播種してスラリーを形成する。種結晶の量は、好適には、化合物(I)遊離塩基の量に基づいて約1重量%、約3重量%、約5重量%、約10重量%である。幾つかの態様では、種結晶の添加前に、逆溶媒の第1の部分を化合物(I)硫酸塩溶液に添加してよい。幾つかのこのような態様では、逆溶媒はACNであり、そして、化合物(I)硫酸塩溶液の逆溶媒に対する量は、約1:1v/v、約1.5:1v/v、約2:1v/v、約2.5:1v/v又は約3:1v/vである。種添加後、約1時間、約6時間、約12時間又は約18時間の期間にわたって逆溶媒をスラリーに添加する。化合物(I)硫酸塩溶液の逆溶媒に対する量は、約1:2v/v、約1:3v/v、約1:4v/v、約1:5v/v、約1:6v/v、約1:7v/v、約1:8v/v、約1:9v/v、又は約1:10v/vである。逆溶媒の添加後、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間若しくは約6時間、又はそれ以上の期間にわたって、スラリーを30℃未満、例えば、約25℃、約20℃、約15℃、約10℃、又は約5℃に冷却し、そして、その温度で約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、又はそれ以上保持する。化合物(I)硫酸塩A形結晶は、好適には、濾過及び遠心分離等の当技術分野において公知の固液分離技術によって単離及び回収され得る。回収された結晶は、例えば、約60℃未満の温度で真空乾燥させる等の当技術分野において公知の技術によって乾燥してよい。化合物(I)硫酸塩遊離塩基の収率は、好適には、90%超である。
【0091】
特定の態様では、本明細書に提供される化合物(I)硫酸塩形態は、本質的に純粋である。例えば、様々な態様では、結晶質硫酸塩の純度は、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%又は少なくとも約99.8重量%の単一結晶質形態であり、総重量の残りは、他の結晶質形態若しくは非晶質形態及び/又は他の化合物であり得る。幾つかの態様では、化合物(I)の硫酸アニオンに対する当量比は、約1:1である。一態様では、結晶質化合物(I)硫酸塩は、本質的に単一成分結晶質形態又は単一多形である。態様では、結晶質形態は、化合物(I)の非晶質形態を本質的に含まない。特定の態様では、結晶質化合物(I)硫酸塩は、本質的に
図30に与える通りのXRPDパターンを有する。幾つかの態様では、結晶質硫酸塩は、3.72、5.17、10.34、11.53、13.76、14.71、15.06、16.29、18.28及び19.74の2θ角度±0.2 2θ角度を有するピークから選択される1個以上のピーク(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、又は少なくとも7個のピーク)を含むXRPDパターンを有する。幾つかの態様では、結晶質化合物(I)硫酸塩は、DSCにおいて室温から約300℃の間に3個の吸熱ピークを示し、第1の吸熱ピークは、約130℃〜約145℃、約136℃〜約140℃、又は約137℃〜約139℃に存在し、そして、第2の吸熱ピークは、約210℃〜約225℃、約214℃〜約219℃、又は約216℃〜約218℃に存在し、そして、第3の吸熱ピークは、約265℃〜約280℃、約270℃〜約275℃、又は約271℃〜約273℃に存在する。
【0092】
処置の方法
本開示の剤形組成物は、Btkキナーゼに関連する異常な細胞の増殖、機能又は挙動に起因する疾患又は障害、例えば、免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染症、炎症、代謝/内分泌機能障害に罹患しているヒト又は動物の患者を処置するのに有用である。したがって、このような疾患又は障害に罹患している患者は、治療量の本開示の剤形組成物を該患者に投与することを含む方法によって処置することができる。患者の病態は、それによって、改善(improved)又は改善(ameliorated)され得る。
【0093】
本開示の剤形組成物は、優れた医療行為と整合した量、濃度、スケジュール、経過、ビヒクル及び投与経路で投薬及び投与され得る。この状況において考慮すべき要因は、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳類、個々の患者の臨床状態、障害の原因、剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医師に公知の他の要因を含む。投与される化合物の「治療上有効な量」は、このような考慮事項によって決定され、そして、指定の障害を改善させるか又は処置するのに必要な最低量である。一般的に、一般的な提案として、化合物(I)の初期薬学的有効量は、患者の体重に基づいて、約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日、約0.5mg/kg/日〜約20mg/kg/日、又は約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲である。
【0094】
本開示の剤形組成物は、以下のような疾患又は病態を処置するのに有用である:関節炎疾患、例えば、関節リウマチ、単関節関節炎、変形性関節炎、痛風性関節炎、脊椎炎;ベーチェット病;敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血症、グラム陽性菌敗血症、及び毒素性ショック症候群;敗血症に続発する多臓器損傷症候群、外傷、又は出血;眼科障害、例えば、アレルギー性結膜炎、春季カタル、ブドウ膜炎、及び甲状腺関連眼症;好酸球性肉芽腫;肺又は呼吸器の障害、例えば、喘息、慢性気管支炎、アレルギー性鼻炎、ARDS、慢性肺炎症疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、珪肺症、肺サルコイドーシス、胸膜炎、肺胞炎、血管炎、肺気腫、肺炎、気管支拡張症、及び肺酸素中毒;心筋、脳、又は四肢の再灌流障害;線維症、例えば、嚢胞性線維症;ケロイド形成又は瘢痕組織形成;アテローム性動脈硬化症;自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性甲状腺炎、多発性硬化症、幾つかの形態の糖尿病、及びレイノー症候群;並びに移植拒絶障害、例えば、GVHD及び同種移植片拒絶;慢性糸球体腎炎;炎症性腸疾患、例えば、慢性炎症性腸疾患(CIBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び壊死性腸炎;炎症性皮膚疾患、例えば、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、又はじんま疹;感染症に起因する発熱及び筋肉痛;中枢又は末梢神経系炎症性障害、例えば、髄膜炎、脳炎、及び軽度の外傷に起因する脳又は脊椎の損傷;シェーグレン症候群;白血球漏出を伴う疾患;アルコール性肝炎;細菌性肺炎;抗原−抗体複合体媒介性疾患;血液量減少性ショック;I型糖尿病;急性及び遅延型過敏反応;白血球の疾患及び転移に起因する病状;熱傷;顆粒球輸血関連症候群;並びにサイトカイン誘発性毒性。
【0095】
幾つかの態様では、処置可能な疾患又は病態は、全身及び局所の炎症、関節炎、免疫抑制に関連する炎症、移植臓器拒絶、アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚炎、喘息、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強皮症/全身性強皮症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)並びに乾癬である。幾つかの特定の態様では、疾患又は病態は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及びループス腎炎から選択される。
【0096】
また、本開示の剤形組成物は、以下から選択される癌の処置にも有用である:乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞癌腫、肺腺癌腫、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌腫、甲状腺癌、濾胞癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫及び胆汁道癌、腎臓癌腫、膵臓癌、骨髄障害、リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、鼻咽頭癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌及び中枢神経系癌、ホジキンリンパ腫、白血病、気管支癌、甲状腺癌、肝臓癌及び肝内胆管癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫/神経膠芽腫、子宮内膜癌、黒色腫、腎臓癌及び腎盂癌、膀胱癌、子宮体部癌、子宮頸部癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄性白血病、口腔癌及び咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、並びに絨毛状結腸腺腫。
【0097】
本開示の幾つかの態様では、上記疾患及び障害の処置に有用な本開示の剤形組成物を収容している容器を含む製品又は「キット」が提供される。該キットは、更に、該容器上の又は該容器に付随するラベル又は添付文書を含む。用語「添付文書」は、治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌及び/又は警告についての情報を含む、このような治療用製品の商業用パッケージに慣例上含まれる説明書を指すために用いられる。好適な容器は、例えば、瓶、ブリスターパック等を含む。該容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。ラベル又は添付文書は、剤形組成物が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、又はループス腎炎等の選択病態を処置するために用いられることを示す。また、ラベル又は添付文書は、剤形組成物が他の障害を処置するためにも用いられ得ることを示す場合がある。
【0098】
該キットは、更に、本開示の剤形組成物の投与についての指示書、及び存在する場合、本明細書の他の箇所に記載した通りの第2の医薬製剤を含み得る。例えば、該キットは、それを必要としている患者に対する該第1及び第2の医薬組成物の同時、逐次又は別々の投与についての指示書を更に含み得る。
【0099】
別の態様では、キットは、多数の単位投薬量を提供し得る。このようなキットは、その意図する使用の順序に正しく配置された投薬量を有するカードを含み得る。このようなキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装業界において周知であり、そして、医薬単位剤形を包装するために広く使用されている。必要に応じて、例えば数字、文字若しくは他の印の形態で、又は処置スケジュールにおける投薬量を投与し得る日を指定するカレンダー挿入紙と共に記憶補助が提供され得る。
【0100】
一態様では、本発明は、無酸症患者における免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染症、炎症、代謝/内分泌機能障害及び神経障害から選択される病態を処置するために使用するための、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0101】
一態様では、本発明は、全身及び局所の炎症、関節炎、免疫抑制に関連する炎症、移植臓器拒絶、アレルギー、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚炎、喘息、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強皮症/全身性強皮症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)並びに乾癬から選択される病態を処置するために使用するための、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0102】
一態様では、本発明は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、及びループス腎炎から選択される病態を処置するために使用するための、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0103】
一態様では、本発明は、乳癌、卵巣癌、頸部癌、前立腺癌、精巣癌、泌尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、類表皮癌腫、大細胞癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、小細胞癌腫、肺腺癌腫、骨癌、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌腫、甲状腺癌、濾胞癌腫、未分化癌腫、乳頭癌腫、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌腫、肝臓癌腫及び胆汁道癌、腎臓癌腫、膵臓癌、骨髄障害、リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、口腔癌、鼻咽頭癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳癌及び中枢神経系癌、ホジキンリンパ腫、白血病、気管支癌、甲状腺癌、肝臓癌及び肝内胆管癌、肝細胞癌、胃癌、神経膠腫/神経膠芽腫、子宮内膜癌、黒色腫、腎臓癌及び腎盂癌、膀胱癌、子宮体部癌、子宮頸部癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄性白血病、口腔癌及び咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、並びに絨毛状結腸腺腫から選択される癌である病態を処置するために使用するための、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0104】
一態様では、本発明は、無酸症患者における免疫障害、癌、心血管疾患、ウイルス感染症、炎症、代謝/内分泌機能障害及び神経障害から選択される病態を処置するための医薬を製造するための、本明細書に記載される医薬組成物の使用に関する。
【0105】
併用療法及びキット
本開示の剤形組成物は、単独で、又は炎症若しくは過剰増殖性障害(例えば、癌)等の本明細書に記載される疾患若しくは障害を処置するための更なる治療剤と組み合わせて使用してよい。該更なる治療剤は、抗炎症剤、免疫調節剤、化学療法剤、アポトーシス増強剤、神経栄養因子、心血管疾患を処置するための剤、肝疾患を処置するための剤、抗ウイルス剤、血液障害を処置するための剤、糖尿病を処置するための剤、及び免疫不全障害を処置するための剤であり得る。第2の治療剤は、NSAID抗炎症剤であり得る。第2の治療剤は、化学療法剤であり得る。医薬複合製剤又は投与レジメンの第2の化合物は、好ましくは、互いに有害な影響を与えないように化合物(I)に対して補完的な活性を有する。このような化合物は、好適には、意図する目的のために有効な量で併存する。
【0106】
併用療法は、同時レジメン又は逐次レジメンで投与され得る。逐次投与するとき、組合せは2回以上の投与で投薬され得る。併用投与は、別々の製剤又は単一の医薬製剤を使用する同時投与、及びいずれかの順序の逐次投与を含み、好ましくは、両方の(又は全ての)活性剤がその生物活性を同時に発揮する期間が存在する。上記同時に投与される剤のいずれかの好適な投薬量は、現在使用されているものであり、そして、更なる治療剤の複合作用(相乗作用)によって低減され得る。
【0107】
併用療法は、活性成分を共に使用したときに得られる効果が、化合物を別々に使用することによって得られる効果の合計よりも大きくなるように相乗的であり得る。相乗効果は、活性成分を(1)同時に投与若しくは送達する;(2)交互に若しくは並行して投与する;又は(3)幾つかの他のレジメンにより投与するときに得られ得る。交互療法で送達するとき、相乗効果は、化合物を逐次投与又は送達するときに得られ得る。一般的に、交互療法中、各活性成分の有効投薬量は、逐次、すなわち、連続的に投与され、一方、併用療法では、2つ以上の活性成分の有効投薬量は、共に投与される。
【0108】
併用療法では、キットは、(a)本開示の剤形組成物の入った第1の容器と、任意で(b)本開示の剤形組成物と同時に投与するための第2の医薬製剤が収容されている第2の容器とを含み得る。このような態様では、該キットは、分割瓶又は分割ホイルパケット等の別個の組成物を収容するための容器を含み得るが、該別個の組成物はまた、単一の分割されていない容器内に収容されてもよい。典型的には、該キットは、別個の成分を投与するための指示書を含む。該キットの形態は、別個の成分が好ましくは異なる剤形(例えば、経口及び非経口)で投与されるとき、異なる投薬間隔で投与されるとき、又は処方する医師によって組合せの個々の成分が用量設定されることが望ましいときに、特に有利である。
【実施例】
【0109】
特に断りのない限り、胃及び小腸での溶解のインビトロ分析を2段階装置で行った。第1の段階では、第1の撹拌容器を使用して胃での溶解をシミュレートした。胃での溶解は、好適には、所望のpH、例えば1又は4.5を有する媒体 500mLを選択することによって正常pH(約pH1)、無酸症胃pH(約4〜約6の範囲内)、又は中間pHにおいて37℃で測定し、そして、典型的なサンプリング時間は、5、15及び25分間である。30分間の溶解時間後、pH6.5を有する37℃の絶食状態模擬腸液(FaSSIF)バッファ 1000mLを収容している、小腸をシミュレートするために使用される第2の段階の撹拌容器に内容物を移した。典型的なサンプリング時間は、35、45、60、90、120、180及び240分間である。
【0110】
特に断りのない限り、PANalytical Empyrean回折計(Almelo, The Netherlands)でXRPDパターンを取得した。ゼロバックグラウンドシリコンインサートサンプルホルダ上にサンプルを静かに広げて平らにした。Cu Kα(λ1.54056Å)線源並びに発生機電力 45kV及び40mAを使用して、3°〜40°の連続2θ走査範囲を使用した。ステップ時間17.780秒/ステップで、0.0167度/ステップの2θステップサイズを使用した。室温及び周囲湿度で実験を実施した。
【0111】
特に断りのない限り、TA Instruments Q2000/Q200示差走査熱量計(New Castle, DE, USA)を使用してDSCサーモグラムを取得した。サンプルはアルミニウムDSCパンに直接量り取った。閉鎖式パン構造を使用した。特に断りのない限り、温度は、10℃/分の速度で25℃から300℃までの勾配をつけた。
【0112】
特に断りのない限り、TA Instruments Q5000/Q500熱重量分析計(New Castle, DE, USA)を使用してTGAサーモグラムを取得した。サンプルはパンに量り取った。特に断りのない限り、温度は、10℃/分の速度で室温から300℃までの勾配をつけた。
【0113】
特に断りのない限り、Surface Measurement Systems Ltd.(Alperton, Middlesex, UK)製のDVS Intrinsic1型において標準的な手順を使用してDVSを取得した。標準的な等温線ランは、相対湿度(「RH」)0%で出発してRH間隔10%でRH95%にし、続いて、RH間隔10%でRH0%まで乾燥させるサイクル(RH90%〜95%は5%間隔)である。
【0114】
実施例1:化合物(I)メシル酸塩結晶質多形A型
米国特許第8,716,274 B2号に記載の通り、化合物(I)遊離塩基出発物質を調製した。化合物(I)遊離塩基A型標準に対するXRPDによって、化合物(I)出発物質を特性評価した。XRPD結果は、
図1に提示され、そして、出発遊離塩基物質がA型であり、そして、化合物(I)遊離塩基A型標準に一致することを示す。TGA及びDSCのデータを
図2に提示する。TGAデータは、250℃以下における0.9%以下の重量減少と、276.4℃で始まる278.6℃における急激な融解吸熱とを示す。
【0115】
化合物(I)メシル酸塩多形Aを調製するための第1の実験では、5mLバイアル内で化合物(I)遊離塩基A型 100mg(約0.15mmol)をメタンスルホン酸 15.7mg(約0.16mmol)と合わせた。エタノール 1mLを該バイアルに添加し、そして、50℃で撹拌(750rpm、磁気的に)して透明な溶液を得た。該溶液を40℃に冷却し、そして、40℃で10分間保持した。化合物(I)メシル酸塩A型 約3mgを添加し、そして、混合物を40℃で60分間保持した。該混合物を0.1℃/分の速度で20℃に冷却し、そして、20℃で10時間保持した。次いで、10,000rpmで遠心分離することによって固体を単離し、次いで、真空下、室温で乾燥させた。乾燥した固体を回収して、化合物(I)メシル酸塩多形A型 106.9mgを生成し、収率は93.4%であった。化合物(I)メシル酸塩A型標準と比較した、調製した化合物(I)メシル酸塩A型のXRPDパターンを
図3に提示する。化合物(I)遊離塩基A型のXRPDピークデータを表1に列挙する。
【0116】
【表1】
【0117】
化合物(I)メシル酸塩多形Aを調製するための第2の実験では、メタンスルホン酸 3.037g(約31.6mmol)をエタノール 100mLに添加し、そして、ボルテックスすることによって、エタノール中メタンスルホン酸の酸原液を調製した。該酸原液を使用まで室温で保存した。2−フライトオーバーヘッドアンカー型攪拌機を備える500mL3つ口ジャケット付き晶析装置において、化合物(I)遊離塩基A型(20.0g、約30.1mmol)をエタノール 100mLと合わせ、そして、50℃、350rpmで攪拌した。該酸原液を晶析装置の内容物と20分間以内混合して、茶色の溶液を生成した。該溶液を40℃に冷却し、そして、40℃で20分間保持した。化合物(I)メシル酸塩A型種結晶(0.2g)を該溶液に添加した。10分後、該種結晶は溶解した。該溶液を更に35℃に冷却し、そして、35℃で30分間保持した。該溶液が曇ったら直ちに、化合物(I)メシル酸塩A型種結晶(0.8g)を該溶液に添加した。混合物を35℃で1時間保持した。12時間以内にn−ヘプタン 100mLを晶析装置に仕込み、その後、35℃で2時間保持した。次いで、混合物を20℃に冷却し、そして、20℃で3時間保持した。晶析装置の内容物を濾過によって回収し、そして、40℃で15時間乾燥させた。このプロセスによって、化合物(I)メシル酸塩A型固体 24.0gが生成され、収率は92.8%であった。
【0118】
乾燥後の生成物は、5.9%残留エタノールを含有していたが、これは恐らく真空乾燥の有効性を低下させるチャネル構造の性質に起因していた。提案されたチャネル構造の観察された特性を考慮して、水によるエタノールの置換の可能性を評価するために、様々な湿度雰囲気における保存実験を設定した。以下の表2に要約する通り、周囲条件(RT/26%RH)及びRT/57%RH(NaBr飽和水溶液によって制御)に24時間曝露した後、エタノール及びn−ヘプタンの両方の著しい減少が観察され、これは、RT/(約25%RH〜約55%RH)における湿式乾燥がエタノールの除去に有効であり得ることを示す。表2中、「TGA」は熱重量分析を指し、「KF」はKarl Fisherを指し、「EtOH」はエタノールを指し(結果はppmで報告される)、そして、「n-Hep」はn−ヘプタンを指し(結果はppmで報告される)、「Moist」は水分を指す。
【0119】
【表2】
【0120】
化合物(I)メシル酸塩A型生成物をDVSによって分析し、結果を
図4に報告する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、
図4に示す通り、25℃/80%RHで観察された突起は、水による残留有機溶媒の置換によって引き起こされた可能性がある。DVS前後の生成物のXRPD結果を
図5に提示するが、ここでは著しい固体形態変化は観察されなかった。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、
図5のXRPD結果は、恐らく、化合物(I)メシル酸塩A型生成物のチャネル構造を示すと考えられる。
【0121】
化合物(I)メシル酸塩A型生成物を分析し、そして、結果を表3に報告するが、表中、「PLM」は、偏光顕微鏡法を指し;「XRPD」は、X線粉末回折を指し;「NMR」は、核磁気共鳴を指し;「HPLC」は、高圧液体クロマトグラフィーを指し;そして、「GC」は、ガスクロマトグラフィーを指す。更に詳細には、
図6におけるXRPDパターン比較に従って、メシル酸塩A型に一致する針状生成物が得られた。TGAデータは、140℃までに9.3%の重量減少を示し、そして、117.4℃及び216.9℃(ピーク温度)における2つの吸熱がDSCで観察された(
図7)。
図8における
1H NMR結果は、再調製した化合物(I)メシル酸塩A型について1.00の化学量論を示す。化合物(I)メシル酸塩A型のXRPDピークデータを表4に列挙する。
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】
バッファ 2mL中化合物(I)遊離塩基 100mgの溶解と比較して、37℃のpH4.5水性媒体 2mL中で化合物(I)メシル酸塩 100mgの溶解を経時的に評価した。結果を以下の表5に提示するが、ここでは、溶解した化合物(I)メシル酸塩を含む媒体のpHは4.3であり、そして、溶解した化合物(I)遊離塩基を含む媒体のpHは4.8であった。
【0125】
【表5】
【0126】
実施例2:pHに対する化合物(I)遊離塩基の溶解
喫食状態模擬腸液(「FeSSIF」)(pH5)及び絶食状態模擬腸液(「FaSSIF」)(pH6.8)を含む様々なpHのバッファ中で、化合物(I)遊離塩基の溶解度を評価した。結果を以下の表6に報告する。
【0127】
【表6】
【0128】
実施例3:化合物(I)遊離塩基の溶解に対する酸の効果
第1の実験では、酸の非存在下における遊離塩基と比較して、(無酸症胃を代表する)pH4.5を有する0.0000316N HClバッファに化合物(I)遊離塩基を溶解させる能力について、フマル酸、コハク酸、クエン酸及びフマル酸を評価した。この試験では、酸 150mg(30重量%)と合わせられた化合物(I)遊離塩基 100mg(20重量%)をそれぞれ含有する3個の錠剤を使用し、そして、本明細書の他の箇所に記載した2段階装置でインビトロにおける胃及び小腸への溶解を評価した。結果を
図9に提示するが、図中、示されている胃pHは、25分間のサンプリング時間におけるpHを示し、そして、小腸pHは、240分間のサンプリング時間における模擬腸pHを示す。
【0129】
直上に記載した系におけるフマル酸の非存在下の遊離塩基と比較して、化合物(I)遊離塩基を溶解させる能力について10%、20%及び30% フマル酸含量の効果を評価した。この試験では、酸 50mg(10重量%)、酸 100mg(20重量%)、及び酸 150mg(30重量%)と合わせられた化合物(I)遊離塩基 100mg(20重量%)をそれぞれ含有する3個の錠剤を使用し、そして、本明細書の他の箇所に記載した2段階装置でインビトロにおける胃及び小腸への溶解を評価した。結果を
図10に提示するが、図中、示されている胃pHは、25分間のサンプリング時間におけるpHを示し、そして、小腸pHは、240分間のサンプリング時間における模擬腸pHを示す。
【0130】
実施例4:化合物(I)遊離塩基及びフマル酸を含む錠剤の溶解
以下の表7に開示される組成の錠剤を調製したが、表中、「API」は活性医薬成分化合物(I)遊離塩基を指し、「FA」はフマル酸を指し、「MCC」は微結晶性セルロースを指し、「Cros-Na」はクロスカルメロースナトリウムを指し、「SiO
2」はコロイド状二酸化ケイ素を指し、「Mg stearate」はステアリン酸マグネシウムを指し、そして、全ての量は重量%で報告される。本明細書の他の箇所に記載した2段階装置で胃及び小腸への溶解のインビトロ分析を実施し、ここでは、pH4.5の胃pHをシミュレートした。溶液中の化合物(I)の濃度について、指定の時点でサンプルを評価した。結果を
図11に提示する。
【0131】
【表7】
【0132】
実施例5:化合物(I)遊離塩基及び少なくとも1つのポリマーを含む非晶質固体分散物
90:10 アセトン対水(w/w)中10重量% 固形分を含む噴霧溶液 10g(固形分ベース)を噴霧乾燥させることによって、化合物(I)遊離塩基及び少なくとも1つのポリマーを含む様々な非晶質固体分散物を調製した。ASD製剤7〜14では、化合物(I)遊離塩基含量(「API」)は20重量%であり;霧化圧力は24psiであり;そして、乾燥ガス流速は43kg/時であった。ASD製剤32〜35、41及び42では、霧化圧力は24〜32psiまで変動し;乾燥ガス流速は43kg/時であり;API含量は20重量%(ASD番号32、33、35及び41)、30重量%(ASD番号42)、又は50重量%(ASD番号34)であった。ASD製剤56〜63では、API含量は50重量%であり;霧化圧力は30psiであり;そして、乾燥ガス流速は43kg/時であった。ASD製剤及び噴霧乾燥パラメータを以下の表8に開示する。「ASD」は、非晶質固体分散物組成物の参照番号を指し、「API:poly」は、結晶質化合物(I)遊離塩基のポリマー(1)に対する比又は結晶質化合物(I)遊離塩基のポリマー(1)及びポリマー(2)に対する比を指す。「Flow」は、溶液の流速(mL/分)を指す。「T
in」は、入口温度(℃)を指す。「T
out」は、出口温度(℃)を指す。「Tg」は、ガラス転移温度(℃)を指す。使用したコポビドンは、Kollidon VA64であり、そして、使用したPVPは、Kollidon 17PFであった。
【0133】
【表8】
【0134】
以下のパラメータを使用する変調示差走査熱量測定によってT
g分析を実施した:(1)機器:TA Q-2000、RCS90チラー;(2)温度範囲:0〜200℃;(3)加熱速度:5℃/分;及び(4)調節:±2℃/20秒。ASD製剤7〜14、41、42及び56〜63はそれぞれ、緊密に混合された非晶質固体分散物の形成と一致して、T
gを下回る結晶質ピークを有しない単一Tgを示した。ASD製剤32〜34は、20% 薬物負荷のEudragit E100と一致して63〜73℃の範囲の類似のT
gを有していたが; PVP系ポリマーとのこれら混合物に加えてより高薬物負荷の製剤は、第2のT
g値を示し、これは恐らく、いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ASDのポリマーが相分離したか又は分散物が非均質ドメイン(すなわち、三元分散物の場合、API又は2つのポリマーのいずれかがリッチ又はプアな領域)を形成したことを示す。ある理論では、いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、これは、APIが低T
gを有するEudragitリッチなドメインに分離していることを示し得る。
【0135】
以下のパラメータを使用して、x線回折によって化合物(I)遊離塩基及びASD製剤を分析した:(1)機器:Bruker D2 Phaser;(2)走査モード:カップル2θ−θ;(3)走査時間:1秒間;(4)2θ範囲:1°〜40°;(5)増分:0.01°;(6)電圧:30kV;(7)電流:10mA;(8)回転:15r/分;(9)ホルダタイプ:カップ;(10)発散スリット幅:1.0mm;及び(11)刃先幅:1.0mm。XRD分析は、化合物(I)遊離塩基が結晶質であると考えられ、そして、各ASD製剤が結晶質ピークの証拠のない非晶質であると考えられることを示した。
【0136】
210分間にわたってインビトロにおける動的溶解度を測定した2段階溶解アッセイを介して、未製剤化化合物(I)遊離塩基及びASD製剤の溶解性能を評価した。変型USP II装置(パドル)でアッセイを実施した。この実験では、溶液中に「遊離」及びコロイド状の又はポリマーに結合している薬物の組合せを含む過剰の固体APIの存在下で溶解している(非沈下条件)全薬物を測定した。幾つかの評価では、プロトンポンプ阻害剤を服用している患者における比較的高pHの胃環境をシミュレートするために、様々な模擬胃媒体を使用して2段階実験を開始した:公称化合物(I)濃度2.0mg/mLにおいて、pH1(HClバッファ)又はpH4若しくは5(酢酸バッファ)。幾つかの他の実験では、予測インビボ環境をより模倣するために、酢酸バッファを同様のpHの希HCl溶液で置換した。30分後、100mM リン酸バッファ中生理学的に関連する胆汁酸塩(SIF Powder, Biorelevant Inc.)からなる絶食状態模擬腸液(FaSSIF)媒体に試験材料を移し、そして、化合物(I)の濃度を1.0mg/mLに希釈した。必要に応じてリン酸バッファのpHを調整して、溶解実験の第2の段階において6.8±0.1の模擬腸pHを得た。試験全体を通して試験材料を定期的にサンプリングし、そして、サンプルを13,000r/分で遠心分離した。上清をサンプル希釈剤で1:1希釈し、そして、化合物(I)の濃度をHPLCによって測定した。溶解試験パラメータは、以下の通りである:(1)溶解装置:Distek 2100C、ミニチュア容器(100mL);(2)撹拌速度:100r/分;(3)温度:37℃;(4)胃媒体:pH1のHCl、pH4の酢酸バッファ、又はpH5の酢酸バッファ;(5)腸媒体:FaSSIF、pH6.8;(6)胃移動時間:30分;(7)合計時間:210分;及び(8)サンプル希釈剤50:40:10 H
2O:ACN:MeOH。
【0137】
3つの胃条件における未製剤化化合物(I)遊離塩基の溶解結果は、pH1の胃媒体において動的溶解が最も多いことを示し、この場合、約2000μg/mLの投薬濃度で完全に溶解した。腸媒体に移した際、より酸性の条件で開始した試験は、最高過飽和を維持し、これは、胃により多く溶解したことによって、全実験にわたって腸pHが同一であるにもかかわらず、腸溶解が改善されたことを示す。ASD製剤7〜14の非沈下溶解結果を以下の表9に与えるが、表中、C
maxはμM単位であり、そして、AUCはhr*μM単位である。pH1(すなわち、正常患者集団)において腸及び胃への溶解が最も多く増加した製剤は、保護錠剤コーティングとして使用され、そして、5以下の胃pHにおいて溶解するように設計された、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートに基づくカチオン性コポリマーであるEudragit E100を含んでいるものであった。また、Eudragit E100製剤は、全てのpH条件における実験の模擬腸部分においてAUC(溶液中の全薬物を考慮したとき)を最も多く増加させた。全ての場合において、固体分散物製剤は、より大きな腸AUCを与えた。
図12〜14は、経時的にプロットされた各pH条件についてのASD非沈下溶解結果を示す。
【0138】
【表9】
【0139】
ASD製剤32〜35の非沈下溶解結果を以下の表10に与える。全てのpH条件で全てのASD製剤について胃AUCは類似していた。試験したASDのうち、20:80 化合物(I):Eudragit E100(ASD番号32)は、全てのpH条件において最も多い腸AUCを示した。
【0140】
【表10】
【0141】
ASD製剤35、41及び42並びに未製剤化APIの非沈下溶解結果を以下の表11に与え、表中、「Ace」は酢酸バッファを指す。
【0142】
【表11】
【0143】
Eudragit E100を含むHCl塩製剤は、特に試験した最高胃pHにおいて、未製剤化API及び20:80 化合物(I):Eudragit E100と比べて、最高のインビトロ模擬腸AUCを示し、これは、このアプローチが溶解を増強するのに有用であることを証明し得ることを示す。30:70 化合物(I):Eudragit E100からは、既に試験された20:80 化合物(I):Eudragit E100よりも全てのpH条件において低い腸AUCが得られた。
【0144】
ASD製剤56〜63の非沈下溶解結果を
図15A、15B、16A及び16Bに提示する。既に別に試験したpH4及び5の胃条件の代わりに中間胃pH4.5(HCl)を使用したことを除いて、既に記載した通り非沈下溶解を実施した。
図15A(胃pH pH1)及び16A(胃pH pH4.5)には、試験した全濃度範囲が示され、そして、
図15B及び16Bでは、実験の模擬腸相についての濃度範囲(例えば、350μg/mL)が拡大されている。
【0145】
全てのASD製剤が、結晶質APIに対して胃移動後に溶解を3〜4倍増強して維持し、そして、全ての4つのポリマーが、胃移動後に実験的変動内で等しく機能した。この結果は、50% 薬物負荷において、ポリマーとの任意の特定の相互作用ではなく、非晶質薬物自体の溶解が溶解性能を決定すると考えられることを示す。胃pHにおける初期溶解性能は、使用したポリマーに依存してかなり異なるようであったが、全ての曲線が腸pH条件下で約100μg/mLの同様の平衡溶解に収束した。ASDへのHCl塩の添加は、高い胃pHである4.5において溶解を著しく増強したが、この増強は模擬腸pHである6では示されなかった。
【0146】
ASD製剤60(50:50 API:コポビドン)、59(50:50 API:HPMC)及び56(50:50 HPMCAS-L)を短時間安定性について評価した。2つの包装構造、開放及び閉鎖を使用した。開放包装では、ASD製剤 1gを蓋のない75cc白色HDPE瓶に入れ、そして、綿ボールを瓶の首に入れた。閉鎖包装では、ASD製剤 1gを4”×6”LDPEバッグ(4mil)に入れ、グースネック形にし、そして、プラスチックのケーブルタイで閉じた。該バッグを4”×6”ホイルポーチに入れ、LDPEバッグとホイルとの間を0.5gシリカ乾燥剤パケット1個でヒートシールした。開放及び閉鎖された容器を40℃及び75%RHで保存した。サンプリング時点は、2週間及び4週間であった。
【0147】
試験したASD製剤は、オフホワイトから薄い灰色の粉末であり、その外観は、加速条件で4週間保存しても変化しなかった。粉末の集塊の若干の増加が観察されたが、これら集塊は容易に崩壊して流動粉末が得られた。以下の通りHPLCによって効力及び関連する物質を決定した:(1)カラム:Agilent Poroshell EC-C18 150×3.0mm、2.7μm;(2)移動相A:10mM ギ酸アンモニウム(水溶液)pH 3.7;(3)移動相B:80:20 アセトニトリル:メタノール;(4)勾配:0分(10% 移動相B)、2分(45% 移動相B)、10分(50% 移動相B)、15分(75% 移動相B)、18分(95% 移動相B)、20分(95% 移動相B)、20.1分(10% 移動相B)及び30分(10% 移動相B);(5)カラム温度:40℃;(6)流速:0.5mL/分;(7)サンプル温度:RT;(8)注入体積:10μL;(9)検出方法:UV;(10)検出波長:245nm;(11)検出帯域幅:4nm;(12)ランタイム:30分;(13)標的濃度:0.20mg/mL;及び(14)希釈剤:70:30 アセトニトリル:水。安定性の結果を表12に提示するが、表中、「Total Rel. Sub.」は合計関連物質を指す。
【0148】
【表12】
【0149】
実施例6:イヌモデルにおける、フマル酸と組み合わせた化合物(I)遊離塩基の薬物動態評価
実施例4の錠剤DCT-1(15重量% 化合物(I)遊離塩基を含み、そして、フマル酸は含まない)、ACT-8(15重量% 化合物(I)遊離塩基及び10重量% フマル酸を含む)、ACT-9(15重量% 化合物(I)遊離塩基及び15重量% フマル酸を含む)及びACT-11(15重量% 化合物(I)遊離塩基及び5重量% フマル酸を含む)の薬物動態(「PK」)を、イヌpH依存性吸収モデルにおいて評価した(その全体が参照により本明細書に援用されるZhou, R., et al., “pH-dependent dissolution in vitro and absorption in vivo of weakly basic drugs: development of a canine model”, Pharm. Res. 2005 Feb; 22(2): 188-92を参照)。この試験では、5匹の雄のビーグル犬からなる6つの処理群それぞれに、以下の表13に概説されるプロトコールに従って経口投与するが、表中、「API」は化合物(I)遊離塩基を指し、そして、「FA」はフマル酸を指す。ペンタガストリンは胃酸の分泌を刺激し、そして、錠剤投与30分(±2分)前に筋肉内注射によって6μg/kgで投与された。ファモチジンは胃酸の分泌を阻害し、そして、錠剤投与180分(±10分)前に経口投与によって40mg/イヌで投与された。
【0150】
【表13】
【0151】
結果を以下の表14並びに
図17及び18に提示するが、ここで、C
maxはμM単位であり、AUCはhr*μM単位であり、そして、「FA」はフマル酸を指す。
図17中、「G1」は群1を指し、「G2」は群2を指し、「G3」は群3を指し、「G4」は群4を指し、「G5」は群5を指し、そして、「G6」は群6を指す。
【0152】
【表14】
【0153】
結果は、フマル酸錠剤濃度を増大させると、ファモチジンで処置したイヌについて、吸収及び曝露が明らかに濃度依存的に増加した。
【0154】
実施例7:イヌモデルにおける、化合物(I)メシル酸塩と比較したときのフマル酸と組み合わせた化合物(I)遊離塩基のPK評価
【0155】
ACT-19(化合物(I)遊離塩基及びフマル酸を含む)及びMSY-1(化合物(I)メシル酸塩を含む)と命名された錠剤のPKを、本明細書の他の箇所に記載の通りイヌモデルで評価した。錠剤処方を以下の表15に開示するが、ここで、錠剤MSY-1は、遊離塩基ベースで15重量% 化合物(I)を含有しており、「FA」はフマル酸を指し、「MCC」は微結晶性セルロースを指し、「Cros-Na」はクロスカルメロースナトリウムを指し、「SiO
2」はコロイド状二酸化ケイ素を指し、「Mg stearate」はステアリン酸マグネシウムを指し、「D1001」〜「D1005」は、個々のイヌを指し、そして、全ての量を重量%で報告する。各イヌに化合物(I) 200mg(遊離塩基ベース)を投与し、相1はACT-19錠剤の投与を指し、そして、相2はMSY-1錠剤の投与を指す。
【0156】
【表15】
【0157】
相1(化合物(I)遊離塩基+フマル酸)及び相2(化合物(I)メシル酸塩)について、時間−濃度血漿濃度結果(μM)を、以下の表16〜19に提示する。
【0158】
【表16】
【0159】
【表17】
【0160】
【表18】
【0161】
【表19】
【0162】
実施例8:ヒトにおける、フマル酸と組み合わせた化合物(I)遊離塩基のPK評価
実施例8は、フマル酸及び賦形剤の非存在下で化合物(I)遊離塩基を含有するカプセル内粉剤(「PIC」)のPKプロファイルに対する、化合物(I)遊離塩基及びフマル酸を含む錠剤のPKプロファイルを調べるためのヒト臨床試験を含んでいた。
【0163】
第1の試験では、PK試験の設計は、単一施設無作為化非盲検二部試験であった。相1及び相2はいずれも双方向クロスオーバー方法を使用し、健常な男性及び女性(妊娠の可能性のない)の被験体(N=32)における、フマル酸無しでカプセルに製剤化された及びフマル酸と組み合わせて錠剤に製剤化された比較化合物(I)遊離塩基のPKに対する、処方、食品、及びラベプラゾールの効果を調べるために、1つの固定順序及び3つの期間が設計された。ラベプラゾールは、胃酸の放出を阻害する、経口投与されるプロトンポンプ阻害剤である。相1及び相2の方法を以下の表20に要約する。
【0164】
【表20】
【0165】
処置レジメンを以下の通り要約する。処置A:絶食条件下、API 200mgを含む比較カプセル内粉剤製剤。処置B:絶食条件下、API 200mgを含む錠剤製剤。処置C:1日2回ラベプラゾール 20mgと組み合わせた、絶食条件下、API 200mgを含む錠剤製剤。処置D:絶食条件下、API 200mgを含む錠剤製剤。処置E:喫食条件下、API 200mgを含む錠剤製剤。処置F:1日2回ラベプラゾール 20mgと組み合わせた、喫食条件下、API 200mgを含む錠剤製剤。供給した食事は、中等度のタンパク質、炭水化物及び脂質を含む典型的な食事であった。1日目、0時間(投与前)、並びに投与の0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、36、48及び72時間後に、PK分析のためのサンプルを回収した。
【0166】
他のPK効果の中でも、この試験は、単一用量投与後の処置間のPK曝露における2倍の差を検出するために設計された。この試験は、更に、単回経口投与後の薬物動態パラメータの喫食対絶食の比較によって、絶食化合物(I)遊離塩基錠剤(D処置)のPKパラメータ(例えば、AUC
0-∞、C
max、T
max、見かけのt
1/2)に対する典型的な食事(E処置)の効果を測定するために設計された。この試験は、なお更に、絶食化合物(I)遊離塩基錠剤のPKパラメータ(C処置)(例えば、AUC
0-∞、C
max、T
max、見かけのt
1/2)対絶食錠剤(B処置)におけるPPI(ラベプラゾール)の効果を測定するために設計された。この試験は、更に、喫食化合物(I)遊離塩基錠剤のPKパラメータ(F処置)(例えば、AUC
0-∞、C
max、T
max、見かけのt
1/2)対絶食錠剤(D処置)におけるPPI(ラベプラゾール)の効果を測定するために設計された。
【0167】
比較カプセルは、フマル酸を含まず化合物(I)遊離塩基 50mgを含有し、そして、サイズ0の薄青色の不透明ゼラチンカプセルシェルを使用するカプセル内粉剤製剤であった。
【0168】
錠剤は、表21に詳述する成分を含んでいた。錠剤は、以下の通り調製した:顆粒内成分をブレンドした。カーバープレスを使用して顆粒内ブレンドを打ち、次いで、乳棒及び乳鉢によって粉砕して、化合物(I)遊離塩基顆粒内を形成した。次いで、該顆粒内を顆粒外成分とブレンドして、錠剤ブレンドを形成した。カーバープレスを使用して錠剤ブレンドを圧縮して、錠剤を形成した。
【0169】
【表21】
【0170】
試験1のPK結果を表22に提示し、そして、試験2のPK結果を表23に提示するが、表中、T
1/2及びT
maxは時間で報告され、C
max及びC
12はng/mLで報告され、AUCはhr*ng/mLで報告され、「SD」は標準偏差を指し、「CV」は変動係数を指し、「Geo. 平均」は幾何平均を指し、「CI 95%下限」は下限幾何平均に基づく信頼区間を指し、そして、「CI 95%上限」は上限幾何平均に基づく信頼区間を指す。
【0171】
【表22】
【0172】
【表23】
【0173】
錠剤(絶食)、錠剤(喫食)及び錠剤(喫食+PPI)についての血漿濃度C
max(ng/mL)線形目盛結果を
図19Aに提示する。錠剤(絶食)、錠剤(喫食)及び錠剤(喫食+PPI)についての血漿AUC
inf(hr*mg/mL)線形目盛結果を
図19Bに提示する。カプセル(絶食)、錠剤(絶食)及び錠剤(絶食+PPI)についての血漿濃度C
max(ng/mL)線形目盛結果を
図20Aに提示する。カプセル(絶食)、錠剤(絶食)及び錠剤(絶食+PPI)についての血漿AUC
inf(hr*mg/mL)線形目盛結果を
図20Bに提示する。
【0174】
第2の(比較)試験では、化合物(I)遊離塩基 100mgしか含有しない(すなわち、フマル酸及び賦形剤の非存在下)PIC剤形組成物について、単一用量の食品及びPPIのPK評価を行った。プロトコールを以下の表24に詳述し、ここで、各パネルは10人のヒト被験体を含有していた。
【0175】
【表24】
【0176】
血漿C
max(μM)、血漿AUC
Inf(hr*μM)、血漿AUC
0-24(hr*μM)、血漿HL-Lambda-z(時)、血漿T
max(時)及び血漿AUC
last(hr*μM)の結果を以下の表25に提示する。
【0177】
【表25】
【0178】
パネルJ〜MによるPKパラメータの比を以下の表26に提示するが、表中、「J」はパネルJ(絶食)を指し、「K」はパネルK(喫食)を指し、「L」はパネルL(絶食+ラベプラゾールPPI)を指し、そして、「M」はパネルM(喫食+ラベプラゾールPPI)を指す。
【0179】
【表26】
【0180】
時間(時)に対するパネルJ〜Mの平均濃度(μM)の比較結果を
図21A(線形目盛)及び21B(対数目盛)に提示する。時間(時)に対するパネルJの個体の血漿濃度(μM)比較結果を
図22A(線形目盛)及び22B(対数目盛)に提示する。時間(時)に対するパネルKの個体の血漿濃度(μM)比較結果を
図23A(線形目盛)及び23B(対数目盛)に提示する。時間(時)に対するパネルLの個体の血漿濃度(μM)比較結果を
図24A(線形目盛)及び24B(対数目盛)に提示する。時間(時)に対するパネルMの個体の血漿濃度(μM)比較結果を
図25A(線形目盛)及び25B(対数目盛)に提示する。パネルJ(絶食)、パネルK(喫食)、パネルL(絶食+ラベプラゾールPPI)及びパネルM(喫食+ラベプラゾールPPI)の血漿濃度比較C
max(μM)線形目盛結果を
図26Aに提示する。パネルJ、パネルK、パネルL及びパネルMの血漿比較AUC
inf(hr*μM)線形目盛結果を
図26Bに提示する。
【0181】
フマル酸の非存在下で投与されたPIC化合物(I)遊離塩基の第2の(比較)実施例8の試験結果は、絶食被験体における大きな変動性及びPPIが服用されたときの化合物(I)の曝露の大きな減少を示す。対照的に、第1の実施例8の試験からの化合物(I)遊離塩基及びフマル酸の組合せは、絶食被験体における変動性の減少及びPPIが服用されたときの治療用化合物(I)の曝露の維持を示した。
【0182】
実施例9:化合物(I)遊離塩基及びフマル酸を含む錠剤の調製
錠剤は、表27に詳述する成分を含んでいた。錠剤は、以下の通り調製した:顆粒内成分をブレンドした。カーバープレスを使用して顆粒内ブレンドを打ち、次いで、乳棒及び乳鉢によって粉砕して、化合物(I)遊離塩基顆粒内を形成した。次いで、該顆粒内を顆粒外成分とブレンドして、錠剤ブレンドを形成した。カーバープレスを使用して錠剤ブレンドを圧縮して、錠剤を形成した。
【0183】
【表27】
【0184】
実施例10:化合物(I)の非晶質及び結晶質の塩化物塩の調製
化合物(I)の非晶質塩化物塩を以下の通り調製した。濃HCl(37%)をジクロロメタン(「DCM」)で0.2Mに希釈した。化合物(I)遊離塩基A型 約200mgを20mLガラスバイアルに添加し、それにDCM 1.5mLを添加して透明な溶液を生成した。十分なHCl/DCM溶液(1.52mL)を滴下して、化合物(I)遊離塩基のHClに対するモル比を1:1.1にした。化合物(I)塩化物塩A型多形種結晶 約2mgをシードとして該バイアルに添加したら直ちに酢酸エチル 1mLを添加し、それによって、曇った外観を有する混合物が生じた。混合物を室温で1日間撹拌し、次いで、遠心分離によって固体を単離し、そして、室温で乾燥させた。固体を回収し、そして、純度についてHPLCによって及びXRPDによって分析した。HPLCによる純度は99.8%であり、そして、化学量論1を有すると決定された。化合物(I)結晶質塩化物A型塩参照と比較した、非晶質塩化物塩及び結晶質塩化物A型塩のXRPD結果を
図27に示す。
【0185】
化合物(I)塩化物塩A型多形を調製するための第1の評価では、濃HCl(37%)をテトラヒドロフラン(「THF」)で0.2Mに希釈した。化合物(I)遊離塩基A型 100mgを20mLガラスバイアルに添加し、それにTHF/H
2O(19:1、v/v) 1.5mLを添加して透明な溶液を生成した。化合物(I)のHClに対する化学量論的比が1:1に達するまで、増分170μLで希HClを遊離塩基溶液に添加した。それによって、化合物(I)塩化物塩A型多形種結晶 約8mgから混合物が得られた。該混合物を室温で1日間撹拌し、次いで、遠心分離によって固体を単離し、そして、室温で乾燥させた。固体を回収し、そして、純度についてHPLCによって及びXRPDによって分析した。HPLCによる純度は99.41%であり、そして、化学量論1を有すると決定された。化合物(I)塩化物塩A型多形を調製するための第2の評価では、濃HCl(37%)をTHF/H
2O(19:1、v/v)で0.2Mに希釈した。化合物(I)遊離塩基 約500mgを20mLガラスバイアルに添加し、それにTHF/H
2O(19:1、v/v) 7.5mLを添加して透明な溶液を生成した。化合物(I)のHClに対する化学量論的比が1:1に達するまで0.2M HCl 合計4.1mLを遊離塩基溶液に滴下した。それによって、化合物(I)塩化物塩A型多形種結晶 約8mgから混合物が得られた。該混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、遠心分離によって固体を単離し、そして、室温で乾燥させた。固体を回収し、そして、純度についてHPLCによって及びXRPDによって分析した。HPLCによる純度は99.74%であり、そして、化学量論1を有すると決定された。化合物(I)結晶質塩化物A型塩参照と比較した、100mg及び500mgのスケールの化合物(I)結晶質塩化物A型塩調製品のXRPD結果を
図28に示す。
【0186】
化合物(I)塩化物塩A型多形を調製するための第3の評価では、ガラスバイアル内で、化合物(I)遊離塩基A型 20mgをACN 0.5mLと合わせた。遊離塩基の酸に対するモル電荷比 1:1.1で、エタノール中0.2M HCl 約0.17mLを添加した。化合物(I)塩化物塩A型 約2mgを該バイアルにシード添加して、混合物を形成した。該混合物を5℃で約2日間撹拌した。次いで、遠心分離によって固体を単離し、そして、室温で乾燥させた。固体を回収し、そして、純度についてHPLCによって及びXRPDによって分析した。HPLCによる純度は99.04%であり、そして、化学量論1を有すると決定された。XPRD結果を
図29に提示する。化合物(I)塩化物塩A型多形のXRPDピークデータを表28に列挙する。
【0187】
【表28】
【0188】
実施例11:化合物(I)結晶質硫酸塩の調製
化合物(I)硫酸塩A型多形を以下の方法に従って調製した。10mL晶析装置において、化合物(I)遊離塩基A型 約0.9gをDCM 4.6mLと合わせ、続いて、約20℃で撹拌して透明な溶液を得た。撹拌しながら0.5時間にわたって、0.2M H2SO4 7.44mLを少しずつ添加した。内容物を第2の100mL晶析装置に移して、ゲル状の物質を除去した。溶液を35℃に加熱し、続いて、ACN 5.5mLを添加した。化合物(I)硫酸塩A型シード 100mgを添加して、曇った混合物を形成した。該混合物を35℃で0.5時間撹拌し、そして、ACN 60mLを12時間にわたって添加した。その後、混合物を2時間かけて20℃に冷却し、次いで、20℃で3時間撹拌した。濾過によって結晶を単離し、そして、ACN 2mLで洗浄した。湿潤結晶を真空下、45℃で4時間乾燥させた。固体を回収して、1.1gを与え、収率は約87.9%であった。XRPD(
図30)、TGA/DSC、
1H NMR及びHPLCによって結晶を特性評価した。TGA結果は、100℃までに9.1%の重量減少を示した。DSC結果は、138.0℃、216.8℃及び272.0℃(ピーク温度)で3つの吸熱を示した。
1H NMR結果は、化合物(I)硫酸塩A型中5.8% ACN残留を示した。HPLC結果は、純度99.48%を示した。
【0189】
硫酸塩形成の化学量論を評価したが、ここで、化合物(I)硫酸塩A型の2つのバッチが本明細書の他の箇所に記載の通り調製され、そして、化合物(I)遊離塩基の硫酸アニオンに対するモル比は、0.49:1及び0.81:1であった。0.49:1のモル比で調製されたバッチから未反応遊離塩基A型が観察され、化合物(I)硫酸塩A型が一硫酸塩である可能性がより高いことが示唆された。XRPD結果を
図31に提示する。化合物(I)硫酸塩A型多形のXRPDピークデータを表29に列挙する。
【0190】
【表29】
【0191】
本開示又はその好ましい実施態様の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図する。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」は、包括的であることを意図し、そして、列挙される要素以外の更なる要素が存在し得ることを意味する。
【0192】
この記載された説明は、最良の形態を含む本発明を開示するために実施例を使用し、そしてまた、任意の装置又はシステムの作製及び使用並びに任意の組み込まれている方法の実施を含む本発明の実施を任意の当業者ができるようにする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、そして、当業者が思いつく他の例も含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言とわずかな差を有する等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることを意図する。