(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位相差を決定するユニット(117)は、前記少なくとも2つの搬送波周波数間での切り替えによって引き起こされる、データ送信機側の位相オフセットを補償するよう構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ受信機(110)。
前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)の少なくとも1つ又は更なるサブデータパケットは、前記データ送信機側の位相オフセットを含む、請求項5に記載のデータ受信機(110)。
前記位相差を決定するユニットは、前記サブデータパケット(142_1:142_n)の既知の同期シンボル(144)を使用することにより、個々の前記サブデータパケット(142_1:142_n)の位相又はフェーザを測定するよう構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ受信機(110)。
前記位相差を決定するユニット(117)は、個々の前記サブデータパケット(142_1:142_n)の位相又はフェーザを測定するために、前記サブデータパケット(142_1:142_n)のデータシンボルを復号化及び記録するよう構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデータ受信機(110)。
前記データ受信機(110)が前記位相差を決定するユニット(117)を有するか、又は前記通信システムが前記位相差を決定するユニットを含む中央処理ユニットを有する、請求項9に記載の通信システム。
前記データ送信機(100)はサブデータパケットを受信するユニット(106)を含み、このユニットは、前記データ送信機(100)自身によって送信された前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)を受信するよう構成され、かつ前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)間の位相オフセットを測定するよう構成され、
前記サブデータパケットを送信するユニット(102)は、前記データ受信機(110)へ測定された位相オフセットを含む追加のデータパケットを送信するよう構成され、
前記データ受信機(110)内の前記位相差を決定するユニット(117)は、前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)間の位相差を決定する際に、受信されたデータ送信機側の位相オフセットを補償するよう構成される、
請求項9〜14のいずれか1項に記載の通信システム。
前記データ送信機のサブデータパケットを送信するユニット(102)は、時間及び/又は周波数において、前記サブデータパケット(142_1:142_n)を不規則的に分散するよう構成される、請求項9〜15のいずれか1項に記載の通信システム。
前記通信システムは、サブデータパケットを受信する追加のユニットを持つ追加のデータ受信機(110)を含み、この追加のデータ受信機は、前記データ送信機(100)から前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)を受信し、前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)を結合して、前記データ送信機(100)によって前記少なくとも2つのサブデータパケットに分割されて送信された前記データパケットを取得するように構成された、サブデータパケットを受信する追加のユニットを有し、前記サブデータパケットを受信する追加のユニットは、少なくとも2つの異なる搬送波周波数で前記少なくとも2つのサブデータパケットを受信するように構成され、
前記位相差を決定するユニット(117)又は位相差を決定する追加のユニットは、前記少なくとも2つの異なる搬送波周波数に起因する、前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)間の追加の位相差を決定するように構成され、
前記通信システムは、前記少なくとも2つのサブデータパケット(142_1:142_n)間の決定された追加の位相差に基づいて、前記追加のデータ受信機(110)と前記データ送信機(100)との間の追加の距離差を決定するユニットを含み、
前記通信システムは、前記データ送信機(100)の位置を決定するユニットを含み、そのユニットは、前記決定された位相差と前記決定された追加の位相差とに基づき、又は決定された距離差と決定された追加の距離差とに基づいて、前記データ送信機(100)の位置を決定するよう構成される、
請求項9〜16のいずれか1項に記載の通信システム。
少なくとも2つの異なる搬送波周波数でデータ送信機によって送信された少なくとも2つのサブデータパケットを、データ受信機(110)を用いて受信するステップ(202)と、
前記少なくとも2つのサブデータパケットを結合して、前記データ送信機によって前記少なくとも2つのサブデータパケットに分割されて送信されたデータを持つデータパケットを取得するステップ(204)であって、前記少なくとも2つのサブデータパケットの各々は前記データパケットよりも短い、ステップ(204)と、
前記少なくとも2つの異なる搬送波周波数と経路遅延とに起因する、前記少なくとも2つのサブデータパケット間の位相差を前記データ受信機(110)で決定するステップ(206)と、
前記少なくとも2つのサブデータパケット間の決定された位相差に基づいて、前記データ受信機(110)と前記データ送信機との間の距離差を決定するステップ(208)と、
を備え、
前記少なくとも2つの異なる搬送波周波数又は前記少なくとも2つの異なる搬送波周波数間の周波数間隔は、前記データ受信機(110)にとって既知であり、
前記少なくとも2つのサブデータパケットは、前記データ受信機(110)によって少なくとも2つの異なる受信時刻で受信され、
前記少なくとも2つの異なる受信時刻又は前記少なくとも2つの異なる受信時刻間の時間的間隔は、前記データ受信機(110)にとって既知であり、
前記少なくとも2つの異なる受信時刻間の間隔は、前記少なくとも2つのサブデータパケットが互いに時間的に間隔をあけて受信されるのに十分な大きさを少なくとも持つ、
方法(200)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2009 060 592 B4
【特許文献2】DE10 2011 082 098
【特許文献3】US 8,363,768
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】G. Kilian, H. Petkov, R. Psiuk, H. Lieske, F. Beer, J. Robert, and A. Heuberger, “Improved coverage for low-power telemetry systems using telegram splitting,” in Proceedings of 2013 European Conference on Smart Objects, Systems and Technologies (SmartSysTech), 2013.
【非特許文献2】Chaabane, M.; Biebl, E.M., "A tag complexity reduction approach for code-based cooperative ranging systems," Positioning Navigation and Communication (WPNC), 2013 10th Workshop on , vol., no., pp.1,7, 20-21 March 2013.
【非特許文献3】L. Schuchman, "Dither signals and their effect on quantization noise," IEEE Trans. Communications 12, pp. 162-165, December 1964
【非特許文献4】Kalverkamp, Gerrit; Schaffer, Bernhard; Biebl, Erwin, "Nonuniform Stepped Frequency Radar Scheme Reducing Spectrum Occupancy and Data Acquisition Time," Microwave Conference (GeMIC), 2014 German , vol., no., pp.1,4, 10-12 March 2014.
【非特許文献5】Kalverkamp, G.; Schaffer, B.; Biebl, E., "OFDM-Based Ranging Approach for Vehicular Safety Applications," Vehicular Technology Conference (VTC Fall), 2013 IEEE 78th , vol., no., pp.1,5, 2-5 Sept. 2013.
【非特許文献6】Fock, G., Meyr, H., Schulz-Rittich, P., & Schenke, A. "Low complexity high resolution subspace-based delay estimation for DS-CDMA." IEEE International Communications Conference, ICC 2002.
【非特許文献7】N. Hadaschik, B. Sackenreuter, M. Schaefer and M. Fassbinder, "Direct positioning with multiple antenna arrays," 2015 International Conference on Indoor Positioning and Indoor Navigation (IPIN), Banff, Canada, 2015.
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の本発明の実施形態の説明において、同一の要素又は同一の効果を有する要素は、図面において同一の参照番号を付して示されているので、それらの説明は交換可能である。
【0016】
図1は、一実施形態に係るデータ送信機100およびデータ受信機110を備えた通信システム180の概略ブロック回路図を示す。
【0017】
データ送信機100は、1つのデータパケットを少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n(n≧2)に分割するよう構成された、サブデータパケット142_1〜142_nを生成するためのユニットと、前記少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nをデータ受信機110へ少なくとも2つの異なる搬送波周波数で送信するよう構成された、サブデータパケットを送信するユニット(送信ユニット)102とを含み、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nの各々は、前記データパケットよりも短い。
【0018】
データ受信機110は、サブデータパケットを受信するためのユニット(受信ユニット)116と、位相差を決定するためのユニット117と、距離差を決定するためのユニット118とを含む。
【0019】
サブデータパケットを受信するためのユニット116は、データ送信機100から少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを受信するように構成され、それら少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを結合して、データ送信機100によって少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nに分割されて送信されたデータパケットを取得するように構成され、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nの各々は、前記データパケットよりも短く、サブデータパケットを受信するためのユニット116は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数において、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを受信するように構成される。
【0020】
位相差を決定するためのユニット117は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数および経路遅延に起因する、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n間の位相差を決定するように構成される。
【0021】
データ受信機110とデータ送信機100との間の距離差を決定するためのユニット118は、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n間の決定された位相差に基づいて、距離差を決定するように構成される。
【0022】
図1に例示的に示されるように、データ送信機100は、複数のサブデータパケット142_1〜142_nを送信するように構成された送信ユニット102を備えてもよい。例えば、送信ユニット102は、送信モジュール又は送信器であってもよい。サブデータパケットを生成するためのユニット101は、送信モジュールまたは送信器内に実装されてもよい。送信ユニット102は、データ送信機100のアンテナ104に接続されていてもよい。データ送信機100は、データ(例えば、データパケットまたは複数のサブデータパケット)を受信するように構成された受信ユニット(または受信モジュール、または受信器)106を任意選択的に含むことができる。受信ユニット106は、データ送信機100のアンテナ104又は別の(別個の)アンテナに接続されてもよい。データ送信機100は、結合された送信/受信ユニット(トランシーバ)を含むこともできる。
【0023】
データ受信機110は、データ120を受信するように構成された受信ユニット116を備えてもよい。例えば、受信ユニット116は、受信モジュールまたは受信器であってもよい。位相差を決定するためのユニット117および/または距離差を決定するためのユニット118はまた、受信モジュールまたは受信器内に実装されてもよい。受信ユニット116は、データ受信機110のアンテナ114に接続されてもよい。任意選択的に、データ受信機110は、データ(例えば、データパケットまたは複数のサブデータパケット)を送信するように構成された送信ユニット(または送信モジュール、または送信器)112を備えることができる。送信ユニット112は、データ受信機110のアンテナ114または別の(別個の)アンテナに接続されてもよい。データ受信機110は、結合された送信/受信ユニット(トランシーバ)を含んでもよい。
【0024】
実施形態では、データ送信機100はセンサノードであってもよく、データ受信機110は基地局であってもよい。典型的には、通信システム180は、少なくとも1つのデータ受信機110(基地局)と、多数のデータ送信機(例えば、ヒートメータなどのセンサノード)とを含む。自明ではあるが、データ送信機100は基地局であり、一方データ受信機110はセンサノードであることも可能である。また、データ送信機100およびデータ受信機110がセンサノードであることも可能である。さらに、データ送信機100およびデータ受信機110が基地局であることも可能である。
【0025】
データ送信機100及びデータ受信機110は、テレグラム分割方式を用いてデータ120をそれぞれ送信及び受信するように構成されていてもよい。ここで、テレグラム又はデータパケットは、複数のサブデータパケット(又は部分データパケット、又は部分パケット)142_1〜142_nに分割され、サブデータパケット142_1〜142_nは、データ送信機100によって、ホッピングパターン140に従って時間及び/又は周波数的に分散された状態でデータ受信機110に送信され、データ受信機110は、それらサブデータパケットを結合(又は合成)してデータパケットを取得する。各サブデータパケット142_1〜142_nは、データパケットの一部のみを含んでいる。データパケットはさらに、データパケットの誤りのない復号化のために全てのサブデータパケット142_1〜142_nが必要とされるわけではなく、サブデータパケット142_1〜142_nの一部のみが必要とされるように、チャネル符号化されてもよい。
【0026】
前述したように、多数のサブデータパケット142の時間的分散は、時間および/または周波数のホッピングパターンに従って実行されてもよい。
【0027】
時間ホッピングパターンは、サブデータパケット142_1〜142_nが送信される送信時間又は送信時間間隔のシーケンスを示してもよい。例えば、第1のサブデータパケット142_1は、第1の送信時間(または第1の送信時間スロット)で送信されてもよく、第2のサブデータパケット142_2は、第2の送信時間(または第2の送信時間スロット)で送信されてもよく、第1の送信時間と第2の送信時間とは異なる。時間ホッピングパターンは、第1の送信時間および第2の送信時間を定義(または特定、または指示)してもよい。代替的に、時間ホッピングパターンは、第1の送信時間および第1の送信時間と第2の送信時間との間の時間間隔を示してもよい。自明であるが、時間ホッピングパターンは、第1の時間と第2の送信時間との間の時間間隔のみを示してもよい。サブデータパケット142_1〜142_n間には、何も送信されない送信休止が存在してもよい。サブデータパケット142_1〜142_nは、時間的に重複(交差)してもよい。
【0028】
周波数ホッピングパターンは、サブデータパケット142_1〜142_nが送信される送信周波数または送信周波数ホップのシーケンスを示してもよい。例えば、第1のサブデータパケット142_1は、第1の送信周波数(又は第1の周波数チャネル)で送信されてもよく、第2のサブデータパケット142_2は、第2の送信周波数(又は第2の周波数チャネル)で送信されてもよく、第1の送信周波数と第2の送信周波数とは異なる。周波数ホッピングパターンは、第1の送信周波数および第2の送信周波数を定義(または特定、または指示)してもよい。代替的に、周波数ホッピングパターンは、第1の送信周波数及び第1の送信周波数と第2の送信周波数との間の周波数間隔(送信周波数ホップ)を示してもよい。自明であるが、周波数ホッピングパターンは、第1の送信周波数と第2の送信周波数との間の周波数間隔(送信周波数ホップ)のみを示してもよい。
【0029】
もちろん、複数のサブデータパケット142_1〜142_nは、時間的及び周波数的に分散された状態で、データ送信機100によってデータ受信機110に送信されてもよい。複数のサブデータパケット142_1〜142_nへの時間及び周波数における分散は、時間/周波数ホッピングパターンに従って実行されてもよい。時間/周波数ホッピングパターンは、時間ホッピングパターンと周波数ホッピングパターンとの組み合わせ、すなわちサブデータパケット142_1〜142_nが送信される送信時間または送信時間間隔のシーケンスであってもよく、ここでは送信周波数(または送信周波数ホップ)が送信時間(または送信時間間隔)に関連付けられている。
【0030】
図2は、テレグラム分割方法を用いたデータパケットの送信中の送信チャネルの占有状態を示す図である。縦軸は周波数を示し、横軸は時間を示す。
【0031】
図2に示されるように、データパケットは、時間/周波数ホッピングパターンに従って、時間的に複数のサブデータパケット142_1〜142_nに分散され、かつ時間的に(例えば、異なる時間スロットへと)及び周波数的に(例えば、異なる周波数チャネルへと)分散された状態で、データ送信機100によってデータ受信機110へと送信されてもよい。
【0032】
さらに
図2に示されるように、同期シーケンス(またはパイロットシーケンス)が複数のサブデータパケット142_1〜142_nに分配されてもよく、それにより複数のサブデータパケット142_1〜142_nは、それぞれ部分同期シーケンス(または部分パイロットシーケンス)144_1〜144_nを含むことができる。
【0033】
図3は、一実施形態による1つのデータ送信機100と2つのデータ受信機110_1および110_2とを有する通信システム180の概略図を示す。
【0034】
データ送信機100は、データパケットを少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n(n≧2)に分割するよう構成された、サブデータパケット142_1〜142_nを生成するユニットと、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nをデータ受信機110へ少なくとも2つの異なる搬送波周波数で送信するよう構成された、サブデータパケットを送信するユニット(送信ユニット)102とを含み、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nの各々はデータパケットより短い。
【0035】
第1データ受信機110_1は、データ送信機100によって送信された少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを受信するよう構成され、かつ、それら少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを結合して、データ送信機100によって少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nへと分割されて送信されたデータパケットを取得するよう構成された、ユニット(受信ユニット)116_1を含み、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nの各々はデータパケットより短く、サブデータパケットを受信するユニット116_1は、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを少なくとも2つの異なる搬送波周波数で受信するよう構成されている。
【0036】
さらに、通信システム180は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数と経路遅延とに起因する少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n間の位相差を決定するように構成された、位相差を決定するユニット117_1を含む。
【0037】
さらに、通信システム180は、データ受信機110とデータ送信機100との間の距離差を決定するユニット118_1を含み、このユニットは、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n間の決定された位相差に基づいて距離差を決定するように構成されている。
【0038】
実施形態では、第1データ受信機110_1は、位相差を決定するユニット117_1および/または距離差を決定するユニット118_1を含んでもよい。代替的に、通信システム180は、位相差を決定するユニット117_1および/または距離差を決定するユニット118_1を含む、中央処理ユニット182を備えてもよい。
【0039】
第2データ受信機110_2は、データ送信機100から少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_nを受信するよう構成され、かつ、それら少なくとも2つのサブデータ142_1〜142_nを結合して、データ送信機100によって少なくとも2つのサブデータパケットへと分割されて送信されたデータパケットを得るよう構成された、サブデータパケットを受信するユニット116_2を含んでもよく、そのサブデータパケットを受信するユニット116_2は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数で少なくとも2つのサブデータパケットを受信するよう構成されている。
【0040】
位相差を決定する(例えば、第1データ受信機110_1又は中央処理ユニット182の)ユニット117_1、又は位相差を決定する(例えば、第2データ受信機110_2の)更なるユニット117_2は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数に起因する、少なくとも2つのサブデータパケット間の更なる位相差を決定するよう構成されてもよい。
【0041】
距離差を決定する(例えば、データ受信機110_1または中央処理ユニット182の)ユニット118_1、又は距離差を決定する(例えば、第2データ受信機110_2の)更なるユニット118_2は、少なくとも2つのサブデータパケット142_1〜142_n間の決定された更なる位相差に基づいて、第2データ受信機110_2とデータ送信機100との間の更なる距離差を決定するように構成されてもよい。
【0042】
実施形態では、この通信システム180は、決定された位相差および決定された更なる位相差に基づいてデータ送信機100の位置を決定するように構成された、データ送信機100の位置を決定するユニット119を備えてもよい。
【0043】
データ送信機100の位置を決定するユニット119は、2つのデータ受信機110_1および110_2のうちの1つに統合されてもよいし、または通信システム180の中央処理ユニット182に統合されてもよい。
【0044】
以下では、データ送信機100及びデータ受信機110(又は2つのデータ受信機110_1及び110_2)の詳細な実施形態について、より詳細に説明する。
【0045】
一例として、
図1に示したデータ送信機100およびデータ受信機110を備えた通信システム180が、(好ましくは、15nsの範囲内の精度を有するGPSを介して)同期された基地局110を有するLPWA(低電力広域)ネットワークである場合が想定される。複数の基地局110が、単方向または双方向の方式で実施され得るセンサノード(データ送信機、例えば、センサ付きタグ)100の送信信号120を受信する。センサノード100は、複数の周波数に分散された状態でそのデータ120を送信してもよい。
【0046】
しかしながら、後続の説明は、LPWAネットワーク以外の通信システムにも適用することができる。さらに、後続の説明はデータ送信機100およびデータ受信機110の他の実施形態にも適用することができる。したがって、データ受信機110は(同期された)基地局としての実施に限定されず、データ送信機100はセンサノードとしての実施に限定されない。
【0048】
例えば
図4aに示すように、線形に周波数が増加する信号を送信する代わりに、実施形態では、一例として、センサノード100が、
図4bに示すように、ステップ状の周波数増加または急峻な周波数増加(周波数ホップ142_1〜142_7)を有する信号を送信するように構成されてもよい。詳細には、
図4aは線形の周波数増加(周波数チャープまたはFMチャープ)を有する信号を示す図であり、
図4bはステップ状の周波数増加を有する信号を示す図である。
図4a及び4bにおいて、縦軸は周波数を示し、横軸は時間を示す。
【0049】
図4aに示された線形周波数増加を有する信号とは対照的に、
図4bに示されたステップ状の周波数増加を有する信号は、多くの商業的に入手可能なテレメトリチップによって生成可能であるという利点を有する。さらに、この信号は、ステップ内でコヒーレントに動作または送信することが可能であるという利点を有する。加えて、この信号は、多くの周波数を使用することによってマルチ経路伝搬を検出および/または除去できるという利点を有する。
【0051】
実施形態では、センサノード100は、
図4bに示されるステップ状の周波数増加を有する信号のステップを、
図5に示すように時間および周波数において分散させるように、さらに構成されてもよい。詳細には、
図5は周波数が急激に変化する信号を示す図である。
図5において、縦軸は周波数を示し、横軸は時間を示す。
【0052】
センサノード100はまた、複数の周波数ホップ142_1〜142_6を含む信号を送信するように構成されてもよく、ここで、データ送信機100が送信しない送信休止が周波数ホップ142_1〜142_6の間に存在する。周波数ホップ142_1〜142_6のそれぞれは異なる周波数を含んでもよく、または異なる周波数チャネルの中で送信されてもよい。複数の周波数ホップ142_1〜142_6を得るために、データ送信機は例えばその搬送波周波数を変更してもよい。
【0053】
さらに、センサノード100は、複数の周波数ホップ142_1〜142_6 の各々の中で、複数のサブデータパケットの1つを送信するように構成されてもよい。
【0054】
実施形態では、センサノード100はまた、複数のサブデータパケットをデータ受信機110に異なる搬送波周波数で送信するように構成されてもよい。
【0055】
図4bに示すステップ状の周波数増加を有する信号とは対照的に、
図5に示す時間及び周波数において分散されている周波数ホップを有する信号は、時間的多様性に起因してロバストであるという利点を有する。さらに、この信号は、送信休止があるため、簡易な干渉検出を実行できるという利点を有する。これにより、複数のテレメトリノードを1つに協調送信(coordinated transmission)することが不可能となり、測位システムはロバストになり、干渉の高いデューティ比を有する非協調帯域でも動作可能となる。
【0057】
いくつかの実施形態では、センサノード100は、複数のサブデータパケット142_1〜142_6を異なる搬送波周波数で送信するようにさらに構成されてもよく、ここで、それら異なる搬送波周波数の少なくとも一部は、
図7に示されるように、伝送に使用される周波数帯域の周波数エッジに隣接している。
【0058】
図6は、複数のサブデータパケット142_1〜142_6を異なる搬送波周波数上に分散させた状態を示す図であり、それら異なる搬送波周波数の一部は伝送に使用される周波数帯域の周波数エッジに隣接している。縦軸は周波数を示し、横軸は時間を示す。
【0059】
周波数帯域の周波数エッジに隣接する搬送波周波数とは、それら搬送波周波数と個々の周波数エッジとの間の周波数距離が、それら搬送波周波数と帯域中心との間の距離よりも小さい、という事実を基準としてもよい。
【0060】
帯域エッジに配置されたホップ(サブデータパケット)が多くなると、測位精度が高くなるという利点を有する。クラメール・ラオの限界(Cramer Rao bound)によれば、帯域エッジでの信号エネルギーが大きくなると、測位精度が向上する。エネルギーが均等に分散されるほど、マルチ経路分解能が高くなる。
【0061】
サブデータパケットの選択的なエネルギー分散型配置
【0062】
実施形態においては、センサノードは、複数のサブデータパケットに分散された2つ以上のデータパケットを送信するように構成されてもよく、それら2つ以上のデータパケットのサブデータパケットは、センサノード100の測位精度を高める目的でデータパケットの1つに係るサブデータパケットが帯域エッジにより近く配置され、かつ、マルチ経路検出の分解能を高める目的でデータパケットの他の1つに係るサブデータパケットが帯域中央により近く配置されるように、時間及び/又は周波数において異なるように分散されてもよい。
【0063】
換言すると、要件に応じてまたは原則として、送信機は、2つ以上の異なるように分散されたテレグラムを送信してもよい。帯域エッジ内のエネルギーを有するパケットは、測位精度の向上に役立ち、スペクトル内に分散された他のテレグラムは、マルチ経路分解能を向上させる。このような分散を(現状の測定値に基づいても良く、また過去の測定値に基づいても良い)適応的な方法で実行することが考えられる。すなわち、極少数のマルチ経路しか持たず、幾つかの分散されたサブバンドのみの考慮に基づくようなシナリオを検出した場合、その後の伝送においては全てまたは大半を帯域エッジが占有することを意味する。
【0064】
時間及び周波数におけるホップの不規則な分散
【0065】
サンプル値の不規則な分散が、より良好なエネルギー効率及び帯域幅効率を部分的に可能にすることが理論的に知られている。とりわけ、線形アンテナを用いた場合、全体開口は同一のままで、アンテナ素子を不規則に分散させた場合の方が、均一な分散と比較して、推定精度の向上(より小さな平均二乗誤差)を達成することができる。アンテナの分散と類似的に、時間および/または周波数(時間分解能を向上させるため)における分散も、ここで考慮され得る。
【0066】
線形グループアンテナを使用する方向推定に関するそのような類似性は、タイムスロット及び周波数サブバンドにおける不規則な分散によって、同じ信号エネルギーでの精度とマルチ経路分解能とのトレードオフが可能となることを示す。サンプリングの人工的ジッタの導入についての研究は、例えば[非特許文献2]及び[非特許文献3]に記載されている。ここで、パケット開始のジッタは、例えば量子化を円滑にするためにも使用することができる。
【0067】
しかしながら、このような導入は、パラメータ再構成に関連して、人工ジッタを使用する、圧縮する/圧縮されたセンシング、または圧縮する/圧縮されたサンプリングに関係する作業を伴う。他の関連する態様は、例えばUWBシステムのパルス位置変調である。
【0068】
[非特許文献4]、[非特許文献5]のような研究は、スペクトルにおける不規則な信号分散の伝搬時間推定に関する利点を示している。
【0069】
実施形態では、基地局(データ受信機)110は、以下に説明するように、既知の周波数ホップΔfを介して差分位相を決定してもよい。
【0070】
送信機100は、周波数f
kと未知の任意の位相φ
TX,kとを有する周波数ホップk毎に、搬送波または狭帯域変調信号を送信してもよい。
【0071】
時間tに関して、搬送波について以下の式が適用される。
【0072】
ここで、t
kはk番目の周波数ホップ間隔の開始時刻であってもよく、T
Gは、送信機100において(かつ受信機110においては部分的なアナログ構成を用いて)周波数合成を可能にする、整定のための保護区間(ループ整定時間)であってもよい。テレグラム分割方法では、保護区間T
Gは、典型的にはホップ(サブデータパケット)の送信の持続時間よりも長くてもよい。
【0073】
その場合、全体信号が次式を介して決定され得る。
【0074】
次に、受信機110は、相互の中心周波数f
C,m=f
C(すべての受信機の中心周波数でもある)に基づくベース帯域に、全周波数ホップにわたる全体信号を受信位相φ
RX,mを用いてミックスしてもよい。
【0075】
このとき、受信機110mにおいて、雑音信号
が存在し得る。ここで、w
m(t)は混和的な雑音であってもよく、β
m>0は経路損失であってもよい。
【0076】
ホップパターンを知る(または検出する)ことから、個々のバースト(サブデータパケット)が抽出されてもよい。
【0077】
デジタルベース帯域では、残っている周波数的ずれが補償され、その結果、時間的に一定の位相項だけが残り得る。あるいは、位相は、既知の周波数的ずれに基づいて直接推定されてもよい。ここでは、位相φの代わりに、フェーザp=exp(jφ)が推定される(この2つは基本的に等価である)。
【0078】
距離情報又は遅延情報は、差分又は次の共役複素乗算を形成することに基づいて決定されてもよい。
【0079】
これにより、受信機の相互位相影響φ
RX,mを除去し得る。
【0080】
1つの伝搬経路を用いて1つの位相傾斜(phase ramp)がもたらされ、これは任意に分散された位相φ
TX,kによって変造されたものである。これらのΔp
k1k2,mは、受信機110において収集される。
【0081】
ν
m,kは、Δp
12,mの推定のノイズ項をモデル化している。
【0082】
これらは中央処理ユニットに伝送される(搬送波周波数の他の組み合わせも可能であるが、これらは上述の、例えば
に帰することができなければならない)。
【0083】
しかし、フェーザ(または位相)を用いて次の受信機のさらなる差分を形成することによって、この位相は除去され得る。
【0084】
これは、残りの雑音項u
m,kをもたらす。
【0085】
複数の位相から、例えば、曖昧な伝搬時間差、または距離差を導出することができる。このための方法は、(支配的な遅延を推定するための)周波数推定器と、MUSICまたはESPRITのようなサブスペース方法とであろう。
【0086】
少なくとも1つのさらなる(第3の)受信機を追加し、可能性のある曖昧さを考慮することにより、例えば双曲線測位に基づいて、1つまたは複数の可能な2D(2次元)位置を決定することができる。例えば3D(3次元)位置については、少なくとも4つの受信機が必要である。
【0087】
振幅または付加的な方向情報(例えば、受信機110_1および110_2におけるアンテナアレイの測定値に基づく方向推定を用いて)を考慮することによっても、曖昧性の解決をサポートすることができる。
【0088】
フェーザを介する計算により、曖昧性又は誤差の解法をラッピング効果を介する信号処理チェーン内の後方にシフトさせて、それが一度だけ実行されるだけで良いようになるという利点を有する。しかしながら、直接位相を考慮した場合と比較して、必要とされる乗算処理はノイズの増加をもたらす。
【0089】
距離差の曖昧さは、最小周波数差から定義される。
【0090】
次の表は、最小周波数差Δf
minに依存する距離曖昧性d
ambを例示的に列挙している。
【0092】
中央処理ユニットは、受信機の1つまたは外部サーバ内に配置されてもよく、あるいは、適用可能であれば、モバイル送信機内に配置されてもよく、その場合、そのモバイル装置はある受信ユニットによって拡張されており、かつ分散された受信装置は送信ユニットによって拡張されている。
【0093】
この位相差は、送信周波数f_1〜f_2の周波数ホップがセンサノード100においてコヒーレントに発生する場合、伝搬時間に比例するか、またはセンサノード100と基地局110との間の距離に比例する。複数の送信が同時に発生することはないので、センサノード100内のPLLを切り替えるときの過渡プロセスと、異なる周波数の2つの送信信号を送信する時の時間オフセットとに起因して、位相オフセットΦ
0が生じる。この位相オフセットが基地局110において既知でない場合、信号伝搬時間は差分位相から計算することができない。
【0094】
もし適用可能であれば、位相のオフセットは、各周波数に対するチップについて一度計算され、さらに、もし適用可能であれば、温度を通して計算されてもよい。例えば、較正(キャリブレーション)は、センサノード100上の追加のSDRチップを介して実行される。
【0095】
この位相オフセットの原点はセンサノード100内に存在するので、位相オフセットはすべての基地局110において等しく発生する。そのため、このオフセットは異なる基地局110の位相差の減算によって計算されることができ、かつ伝搬時間の計算中に補償されることができる。
【0096】
周波数におけるテレグラム部分の分散は、複数の主要な領域をもたらし、それらの間でトレードオフが生じ得る。スペクトル上に均等に(等間隔に)分散された信号は、マルチ経路の良好な分解能をもたらし、曖昧性の発生を最小限にする(スペクトル上に等間隔ではなく平均的に均等であるが、擬似ランダム的に分散された信号は、さらに良好な分解能を可能にするが、計算に関してはより扱いにくい)。帯域ギャップに信号が集中すると、強い支配的な経路の遅延をより正確に推定できるようになる(例えば、純粋なAWGNでは、パワーを完全に帯域エッジ上に分散させることが最適である)。しかしながら、原理的には、送信周波数のいかなる分散も使用することができる。
【0097】
図7は、センサノード
100(TX)の位置、2つの基地局110(RX)の位置、および3つの双曲線グループを示す曲線を示す。これらは、距離差に対する位相差測定の曖昧さによって引き起こされる。異なる様にノルム定義された3つの波長(5,10,15またはそれに対応する搬送波周波数)を有する信号がこのために使用される。同図(または抽象解釈)における相互作用によって曖昧性を解決することが可能となり、送信機(TX)が配置される双曲線(ほぼ複数回にわたって発生する)を選択することが可能となる。x軸およびy軸は、通信システムによってカバーされる空間に伸びており、そこには送信機TXもまた配置されている。換言すると、
図7は多周波数信号に基づく曖昧性の解法を示す。
【0098】
上述したプロセスの1つの要件は、基地局110のチャネルサンプリングの開始時間に関してできるだけ正確な時間同期であり、要求される時間同期
の(標準)偏差は、所望の空間分解能d
resに基づいている。
【0099】
次の表は、時間的同期σ
ΔTに依存する空間分解能d
resを列挙している。
【0101】
さらに、送信機100における周波数生成は、周波数ホップの搬送波を平均化することによって位相が計算され得る程度に安定であるべきである:
しかしながら、時間的に不安定な発振器のモデルを介して位相を推定することも可能である。
【0102】
実施形態では、送信ノード(データ送信機100)内の発振器は、短い時間すなわち周波数ホップの送信中は準静的であると仮定する。
【0103】
次に、受信機110における周波数生成は、
が全ての考慮された周波数ホップにわたって成立する程度に安定であるべきである。さもなければ、位相傾斜(周波数を横切る)の計算が誤修正され得るからである。代替的に、もし適用可能であれば、位相変更のモデリングおよび補償もまた実行されてもよい(特許文献3)。
【0104】
実施形態では、受信機ノード(データ受信機)110内の発振器は、中/長期では準静的であるものと仮定する。
【0105】
測位と関連したテレメトリのシステム概要
【0106】
図8は、一実施形態に従う、複数のセンサノード(データ送信機)100と2つの基地局(データ受信機)110_1および110_2とを有する通信システム180の概略図を示す。
【0107】
図8に示すように、2つの基地局110は、センサノード100の1つによって送信された信号120を受信することができる。2つの基地局110_1および110_2は、受信信号120の上述の位相測定に基づいて、2つの基地局110_1および110_2に対するセンサノード100の位置を決定するように構成されてもよい。
【0108】
実施形態では、2つの基地局110_1および110_2は、任意選択ではあるが、時間的に同期されてもよい。この場合、センサノード100の位置は、伝搬時間測定に基づいてさらに決定されるか、または追加的に決定されてもよい。
【0109】
換言すると、
図8は、測位に関連するテレメトリシステムの概要を示す。ここで説明されるテレメトリ波形(=時間および/または周波数におけるサブデータパケット142_1〜142_nの分散)は、センサノード(例えばタグ)100のマルチ経路−耐性のある正確な角度測定および伝搬時間測定をサポートする。センサノード100は、センサ情報を基地局110_1および110_2に伝送し、および/またはローカライズされ得る。第1の基地局(BS1)110_1が第2の基地局(BS2)110_2と時間的に同期していない場合には、測位は角度測定及び三角測量によって実行されてもよい。第1の基地局(BS1)110_1が第2の基地局(BS2)110_2と時間的に同期している場合には、測位は、(角度測定に加えて)伝搬時間測定を介して実行されてもよい。
【0111】
実施形態では、例えばデータ送信機100はセンサノード(SK)であってもよい。例えば、センサノードは、エネルギー収集のためのユニット、バッテリまたは他の任意の電源を備えていてもよい。センサノード100はデータをデータ受信機に伝送する。
【0112】
実施形態では、データ受信機110は基地局(BS)であってもよい。その基地局は、他の基地局と接続され、もし適用可能であれば、有線(ケーブルまたはファイバーグラス)または無線方式で、モニタリングおよびサービスノード(すなわち、全体コアネットワーク)に接続される。
【0113】
実施形態では、テレメトリシステムは単方向的、すなわちデータはセンサノードから基地局へ伝送されるだけであってもよいし、双方向的、すなわちデータがセンサノードから基地局へ伝送され、かつ基地局からセンサノードへ伝送されてもよい。
【0114】
以下では、送信は、センサノード100から基地局へ伝送されるだけである。
【0116】
実施形態において、テレメトリ送信機(センサノード)100の測位は送信された信号に適合され得る。空間的に分散された受信機110は、アンテナを介して(例えば、プリアンブルまたは別のトレーニング信号パターンを介して)受信された信号120を認識することができ、これをデジタル的にサンプリングする。1つのホップ(サブデータパケット)の帯域幅が典型的に低いため、伝搬時間測定を十分な精度およびロバスト性をもって行うことは不可能である。したがって、この信号は、全体として複数のホップ(サブデータパケット)亘って考慮される。これにより、使用され得る全体的な信号帯域幅が増加される。
【0117】
複数の周波数ホップを考慮するとき、(周波数的に)平坦なチャネルが各受信機110において推定されてもよい。例えば、そのチャネルは、周波数領域において時間的に連続した方式でサンプリングされてもよい。搬送波周波数と比較した全体信号の狭帯域の性質のために、狭帯域近似が適用され、自由空間経路損失A(f,d)=A
0(d)もまた、その周波数にわたって一定である(しかし、距離dにわたって一定ではない)と仮定することもできる。
【0118】
マルチ経路チャネルの各受信経路Iについて、チャネルの位相傾斜は、信号の遅延(経路遅延)に従って周波数領域(離散周波数f
k)をもたらし、
ここで、φ
nは送信機とn番目の受信機との間の初期位相差を示す。例えば、上述の位相傾斜の傾きから、遅延(経路遅延)τを導出することができる。マルチ経路伝搬では、オーバーラップ
が結果として生じるため、異なる遅延(経路遅延)の信号はオーバーラップし、例えば、MUSICアルゴリズム[非特許文献6]に基づいて推定されることもできる。このとき、直接経路(視線、LOS)の関連する遅延は、最小の遅延、すなわち最初の入来/検出可能な経路の遅延である。非視線(NLOS)の場合、位置推定において中断され得るようなシステム系統的に変造された推定が、結果として生じる。これは、NLOS検出とそのNLOS信号の拒否とによって、ならびにオクルージョンの前および最中に(第1および可能であれば第2の)迂回経路を時間的に追跡することによって、解決することができる。
【0119】
時間的な領域で、相関がすべての受信機110において想定される信号全体に亘って(すなわち、すべてのホップ(サブデータパケット)に亘って)実行されて第1の経路を検出するような従来の手法とは対照的に、いくつかの実施形態では、空間的に分散された異なる受信機110の遅延が比較されて(データ送信機100の)位置を導出する。受信機110の配置および同期は、後述の測位の手法を決定する。
【0120】
第1の測位の手法によれば、アンテナが空間的に分散され、受信機が時間的に同期していることを条件として、TDOA法(到来時間差、時間スタンプの伝搬時間差が測定される伝搬時間差の測定)を使用することができる。
【0121】
第2の測位の手法によれば、アンテナが互いに近接して配置され、受信機110が時間/位相同期化されていることを条件として、DOA法(到来方向)を使用することができる。
【0122】
第3の測位の手法によれば、アンテナが分散され、受信機110が時間/位相同期化されることを条件として、サンプリングデータが付加的に中心に集められた状態では位相TDOA(曖昧性)が使用され、または位相測定及び変調測定(曖昧性)に基づく直接的位置決め方法[非特許文献7]が使用され得る。
【0123】
自明ではあるが、上述の測位の手法の組み合わせを使用することができ、例えば、位相測定で発生する曖昧さをDOAおよびTDOA測定によって解決することができる。
【0124】
ノイズの多い(位相)変調信号の場合、第1のステップでは、そのようなサブデータパケットが検出され、それらの既知の同期シンボル(syncシンボル)に基づいて復調され得る。第2のステップでは、そのデータシンボルが復号され得る。これにより、元のノイズを含まない位相(位相/周波数変調において)が既知となる。第3のステップでは、これらの位相オフセットが、
図9に示されるように、測位のために再使用され得る。
【0125】
図9は、データパケット141と、時間及び周波数で分散された複数のサブデータパケット142_1〜142_nへのそのデータパケットの分割とを示す概略図である。データパケット141は、データシンボル143と同期シンボル144との両方を含んでもよい。
【0126】
図9に見られるように、データパケット141は、複数のサブデータパケット142_1〜142_nがそれぞれデータシンボルの一部および/または同期シンボルの一部を含むように、複数のサブデータパケット142_1〜142_nに分割されてもよい。
【0127】
例えば、第1サブデータパケット142_1は、2つのデータシンボルと1つの同期シンボルとを含み、第2サブデータパケット142_2は、4つのデータシンボルを含み、第3サブデータパケット142_3は、2つの同期シンボルを含み、第4サブデータパケット142_4は、2つのデータシンボルと1つの同期シンボルとを含んでもよい。
【0128】
さらに、サブデータパケット142_1〜142_nは、周波数で分散されていてもよい。
【0129】
例えば、第1サブデータパケット142_1は第1周波数f1で送信され、第2サブデータパケット142_2及び第3サブデータパケット142_3は第2周波数f2で送信され、第4サブデータパケット142_4は第4周波数f3で送信されてもよい。
【0130】
サブデータパケット142_1〜142_nは、さらに、サブデータパケット142_1〜142_n間に送信休止期間があり、その期間では何も送信されないように、時間的に分散されてもよい。例えば、第1の送信休止t1は、第1および第2のサブデータパケット142_1および142_2の間に存在してもよく、第2の送信休止は、第2および第3のサブデータパケット142_2および142_3の間に存在してもよく、第3の送信休止t3は、第3および第4のサブデータパケット142_3および142_4の間に存在してもよい。送信休止は、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。
【0131】
実施形態では、直接選択されかつ既知の信号形態を考慮に入れることができる。
【0133】
実施形態は、測位に適した対応する波形を有する通信システムを提供する。その通信システムは、伝送されるデータパケットが、搬送波周波数f1上に変調された1サブパケット当たり少なくとも1つのシンボルを有するサブパケットに分散され、かつ少なくとも1つのシンボルを有する別のサブパケットが、別の搬送波周波数f2,…fn上で送信されることを特徴とする。さらに、その通信システムは、干渉に対する感度およびマルチ経路抵抗を低減するために、時間的に間隔をあけてサブパケットを伝送できる、ことを特徴とする。さらに、その通信システムは、周波数間隔f
n〜f
n-1は可変であるが、受信機には既知であることを特徴とする。また、その通信システムは、時間間隔t
n〜t
n-1は可変であるが、受信機には既知であることを特徴とする。
【0134】
実施形態では、サブパケット(サブデータパケット)の分散は、以下の規則に従って実行されてもよい。測位精度を高めるために、搬送波は、帯域エッジにおいて重畳された状態で送信されてもよい。マルチ経路分解能を増大させるために、搬送波は、帯域内でより規則的に分散されてもよい。あるいは、分散は、チャネル特性に従って適応的な方法で実行されてもよい。
【0135】
実施形態では、基地局とセンサノードとの間の距離の決定は、同期された基地局における異なるサブパケット(サブデータパケット)の位相差の測定を介して実行されてもよい。
【0136】
実施形態では、周波数ホップはコヒーレントであってもよい。PLLの位相オフセットのキャリブレーションは、搬送波周波数の切り換え時に実行されてもよく、送信機または受信機における補償が実行されてもよい。さらに、センサノードは、SDR受信機を用いて以前のホップ(以前に送信されたサブデータパケット)との対比においてそのTXホップの位相オフセットを測定してもよく、そのSDR受信機は、同時に受信し、かつある周波数上でコヒーレントに維持する(例えば、10kHzの帯域幅内では、次にSDR受信機はその周波数を変更しなければならない)。FFT計算が実行されてもよく、その測定された位相オフセットは次に基地局に送信されてもよい。コヒーレント性が与えられない場合、位相誤差は、異なる基地局の位相差を形成することによって補償されてもよい。
【0137】
実施形態では、位相測定は、既知の同期シンボルに基づいて実行されてもよい。位相測定のためのデータシンボルは、データパケットを復号化および記録することによって使用される。
【0138】
図10は、一実施形態にかかる、データ受信機とデータ送信機との間の距離差を決定するための方法200のフロー図を示す。方法200は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数でデータ送信機によって送信される、少なくとも2つのサブデータパケットをデータ受信機で受信するステップ202を含む。さらに、方法200は、少なくとも2つのサブデータパケットを結合して、データ送信機によって少なくとも2つのサブデータパケットへと分割されて送信されたデータパケットを取得するステップ204を含み、少なくとも2つのサブデータパケットの各々はデータパケットよりも短い。さらに、方法200は、少なくとも2つの異なる搬送波周波数と経路遅延とに起因する、少なくとも2つのサブデータパケット間の位相差を、データ受信機で決定するステップ206を含む。さらに、方法200は、少なくとも2つのサブデータパケット間の決定された位相差に基づいて、データ受信機とデータ送信機との間の距離差を決定するステップ208を含む。
【0139】
いくつかの態様が装置の文脈で記述されてきたが、前記態様は、対応する方法の記述も表し、装置のブロックまたは構造要素が対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴として理解されるべきであることは、十分に理解されるべきである。これと同様に、本明細書の文脈内で記述された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは詳細または特徴の説明をも表す。方法ステップの一部またはすべては、マイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ、または電子回路などのハードウェア装置を使用しながら実行されてもよい。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップのいくつかまたはいくつかは、そのようなデバイスによって実行されてもよい。
【0140】
特定の実装要件に依存して、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。この実装は、それぞれの方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働可能な(または協働する)電子的に読み取り可能な制御信号を記憶する、デジタル記憶媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスク又は任意の他の磁気または光学メモリを使用して実行することができる。したがって、デジタル記憶媒体は、コンピュータ可読であってもよい。
【0141】
したがって、本発明によるいくつかの実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれかが実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる電子的に読み取り可能な制御信号を含むデータキャリアを含む。
【0142】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品として実施されてもよく、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときに、いずれかの方法を実行するのに有効である。
【0143】
プログラムコードは、例えば、機械読み取り可能なキャリアに格納されてもよい。
【0144】
他の実施形態は、本明細書で述べた方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムは、機械読み取り可能なキャリア上に格納される。
【0145】
換言すれば、本発明の方法の一実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、本明細書に記載された方法のいずれかを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0146】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムが記録されるデータキャリア(または、デジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体、または記録された媒体は、典型的には、有形であるか、または不揮発性である。
【0147】
したがって、本発明の方法のさらなる実施形態は、本明細書中に記載された方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号系列である。データストリームまたは信号系列は、例えばインターネットなどのデータ通信リンクを介して、例えば、伝送されるように構成されてもよい。
【0148】
さらなる実施形態は、本明細書で説明される方法のいずれかを実行するように構成または適合された、例えば、コンピュータまたはプログラマブル論理デバイスなどの処理ユニットを含む。
【0149】
さらなる実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれかを実行するためのコンピュータプログラムがインストールされるコンピュータを含む。
【0150】
本発明による他の実施形態は、本明細書で説明する方法の少なくとも1つを受信器に実行するためのコンピュータプログラムを送信するように構成された装置またはシステムを含む。送信は、例えば、電子的または光学的であり得る。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイルデバイス、メモリデバイスまたは同様のデバイスであってもよい。装置又はシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に送信するためのファイルサーバを含むことができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)は、本明細書で説明する方法の機能性のいくつかまたはすべてを実行するために使用することができる。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、マイクロプロセッサと協働して、本明細書で説明される方法のいずれかを実行することができる。一般的に、本方法は、いくつかの実施形態では、任意のハードウェア装置によって実行される。前記ハードウェア装置は、コンピュータプロセッサ(CPU)のような汎用的に適用可能な任意のハードウェアであってもよいし、またはASICのような方法に特有のハードウェアであってもよい。