(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物を、凝縮器および再沸器を備えた反応型分割壁蒸留塔に供給してトルエンジイソシアネートを分離および精製する段階を含み、
前記凝縮器の圧力は50torr以下に維持し、凝縮器の温度は130℃以下に維持し、
前記反応型分割壁蒸留塔内の全体の圧力差は40torr以下を維持し、
前記反応型分割壁蒸留塔内の反応混合物の滞留時間は10秒〜150秒以内を維持することを特徴とする、トルエンジイソシアネートの精製方法。
前記トルエンジイソシアネートを含む生成物は、トルエンジイソシアネートの二量体を2000ppm以下に含む、請求項1に記載のトルエンジイソシアネートの精製方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために用いられ、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ用いられる。
【0012】
また、本明細書に使用された用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図はない。単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、‘含む’、‘備える’または‘有する’などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0013】
また、本発明において、各層または要素が各層または要素の‘上に’または‘の上に’形成されると言及される場合には各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味するか、他の層または要素が各層の間、対象体、基材上に追加的に形成されてもよいのを意味する。
【0014】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解しなければならない。
【0015】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の一実施形態によれば、トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物を、凝縮器および再沸器を備えた反応型分割壁蒸留塔に供給してトルエンジイソシアネートを分離および精製する段階を含み、
前記凝縮器の圧力は50torr以下に維持し、凝縮器の温度は130℃以下に維持し、
前記反応型分割壁蒸留塔内の全体の圧力差は40torr以下を維持し、
前記反応型分割壁蒸留塔内の反応混合物の滞留時間は10秒〜150秒以内を維持することを特徴とする、トルエンジイソシアネートの精製方法が提供される。
【0016】
本発明は、トルエンジイソシアネートの製造工程で得られた反応混合物に対して、反応型分割壁蒸留塔を用いて、流下膜式蒸発器(Falling film evaporator)のような滞留時間が短く伝熱速度が大きい再沸器を使用し、最終生成物を急冷する凝縮器を使用することによって、二量化反応の抑制を通した高純度に精製された生成物を得ることができるトルエンジイソシアネートの高効率な精製方法に関する。したがって、本発明は、二量体反応の抑制を通して生成物の純度と収率を向上させることができる。
【0017】
詳しく説明すれば、本発明は、溶媒および未反応物が既精製されたトルエンジイソシアネートに二量化反応の抑制を反映して、高純度トルエンジイソシアネートを精製する方法を提供する特徴がある。
【0018】
特に、本発明は、蒸留塔内で温度および滞留時間によってトルエンジイソシアネートの二量化反応(dimerization)が存在することを確認し、これを抑制するために蒸留塔の運転条件を特定する方法を開発した。
【0019】
このような本発明に係る方法は、少なくとも1種以上の凝縮器および再沸器を備えた反応型分割壁蒸留塔を用いて行うことができ、前記反応型分割壁蒸留塔においてはトルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物を供給して前記蒸留塔の圧力、温度および混合物の滞留時間を調節してトルエンジイソシアネートを分離および精製する。
【0020】
本発明に適用されるカラムの正確な名称は、具体的には反応型分割壁蒸留塔(reactive diving wall column)であって、分割壁蒸留塔中に反応が含まれている場合であり、既存の文献には反応に対する部分が言及されていない。また、本発明の方法は、溶媒および未反応ホスゲンなどを既分離した以降の工程を取り扱うものであるため、既存の一般的な分離工程と差がある。
【0021】
したがって、本発明に係る反応型分割壁蒸留塔は、未反応物と溶媒が予め除去された混合物中の低沸点成分および高沸点成分を一度に分離して生成物の純度を高めるための装置であり得る。
【0022】
また、前記反応型分割壁蒸留塔の場合、主塔の分離壁によって区切られた空間が予備分離器の役目をすることによって高沸点成分と低沸点成分が分離され、所望の生成物の純度が向上することができる。また、本発明では、このような装置で凝縮器の温度と圧力はもちろん、主塔内での滞留時間を適切に調節することによって、生成物の二量化反応を抑制することを特徴とする。
【0023】
そして、本明細書において、精製対象物である前記‘トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物’とは、一般的なトルエンジイソシアネートの製造工程で発生する反応生成物中の未反応物と溶媒が分離されてトルエンジイソシアネートが主に含まれている混合物であり得る。例えば、前記トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物は、ホスゲンおよびトルエンジアミンを溶媒下で反応させた混合物で未反応物と溶媒が分離されて回収されたトルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートの二量体(dimer)、低沸点成分および高沸点成分を含む混合物を示す。また、本明細書において‘主成分’とは、前記主成分を含む混合物または組成物の総重量に対して、約70重量%以上、または約80重量%以上、または約85重量%以上を占める成分を意味する。
【0024】
また、低沸点成分は、トルエンジイソシアネートの製造で発生する低沸点不純物を意味し、よく知られているホスゲンで直、間接的に誘発された塩素含有不純物を含むことができる。前記高沸点成分は、重合性イソシアネート、加水分解性クロライド化合物などの高沸点不純物を含むことができる。
【0025】
また、後述する反応型分割壁蒸留塔に対する説明において、分離壁の上部に分離および排出する成分を低沸点成分とし、分離壁の下部に分離および排出する成分を高沸点成分とし、主塔の流出区域で分離および排出する成分を生成物に区分することもできる。
【0026】
一方、トルエンジイソシアネートは温度によって単量体2つが結合して二量体(dimer)が形成され、再び二量体が単量体(monomer)であるトルエンジイソシアネートに分解される可逆反応を起こす。
【0027】
トルエンジイソシアネート単量体のみの場合、約40℃以上で徐々に二量体の生成量が増加し、50℃に温度が増加することによって生成速度が増加する。このような傾向に応じて約100℃以上になると逆反応が進み、温度が増加することによって二量体から単量体への分解速度も増加する。時間経過に伴って正反応と逆反応は平衡状態をなすようになり、温度が高いほど平衡に至る時間は短くなる。
【0028】
このような傾向を利用して、本発明は、トルエンジイソシアネート二量体の生成量を減らす方法を提供する。
【0029】
以下、図面を参照して本発明の構成をもう少し詳しく説明する。
図2は、低温および高温で温度(50℃、120℃、190℃)、滞留時間に応じた可逆反応によるトルエンジイソシアネート二量体の生成含有量を比較して示す図である。
【0030】
これによって、本発明におけるトルエンジイソシアネートを精製するにあたり、低沸点および高沸点成分を分画しかつ二量体が格段に少なく含まれている生産物を得る方法を取り扱おうとする。
【0031】
好ましくは、本発明は
図2に示したように、50℃、120℃、190℃での滞留時間に応じた可逆反応による二量化反応式を求め、これを蒸留塔に反映して二量化反応を抑制する精製条件を開発した。
【0032】
したがって、本発明では、トルエンジイソシアネートの製造工程で得られた反応混合物で溶媒および未反応物を既回収した後、最終的に高純度のトルエンジイソシアネートを精製するとき、低沸点および高沸点成分を除去するために反応型分割壁蒸留塔を使用する。
【0033】
そして、前記凝縮器の圧力は50torr以下、好ましくは15torr以下、より好ましくは9〜12torrに維持して運転することが望ましい。前記凝縮器の圧力が50torrを超えれば凝縮器内の平衡温度が高すぎて二量体形成が加速化される問題があり、その圧力が低すぎると蒸留塔内の水力学を合わせるために装置サイズが大きくなり、凝縮器の運転費用が増加する問題がある。
【0034】
また、前記凝縮器の温度は、過冷却を含んで130℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは10〜50℃を維持する。前記凝縮器の温度が130℃を超えれば二量体の初期生成量が増加する問題があり、その温度が低すぎると凝縮器の運転費用が増加する問題がある。
【0035】
そして、前記蒸留装置は、反応型分割壁蒸留塔であって、このような反応型分割壁蒸留塔内の全体の差圧(圧力差)は40torr以下であり、15torr以下、より好ましくは9〜12torrである。前記蒸留塔内の全体の差圧が40torrを超えれば蒸留塔内の温度偏差が大きくなる問題があり、蒸留塔内の圧力差が低すぎるとこれを合わせるために装置サイズが大きくなるか、または蒸留塔内の充填物質の費用が増加する問題がある。
【0036】
前記反応型分割壁蒸留塔内の反応混合物の滞留時間はカラム内の温度プロファイルにより変わることがあり、好適な滞留時間のために可能であれば圧力を下げて、これに合わせて平衡温度を下げることが好ましい。しかし、その圧力が低すぎると運転費用が増加し、再沸器での蒸気の沸騰量が増加するので気液平衡を合わせ、氾濫を防止するためには全体的な蒸留塔の直径を大きくしなければならない。したがって、前記蒸留塔内の反応混合物の滞留時間を維持することも大変重要である。
【0037】
そこで、本発明は、このような圧力と温度条件を調節することによって、反応混合物の適切な滞留時間を導出することができる。具体的には、本発明によれば前記反応型分割壁蒸留塔内の反応混合物の滞留時間は10秒〜150秒以内に維持することを特徴とする。さらに好ましくは、前記反応型分割壁蒸留塔内の反応混合物の滞留時間は10秒〜60秒を維持する。前記滞留時間が150秒を超えれば蒸留塔内の温度を下げすぎなければならない問題があり、10秒未満であれば設備投資額が増加する問題がある。
【0038】
また、本発明においては、前記蒸留塔内に反応混合物の滞留時間を低くするとともに温度偏差を低くするため、差圧発生が少ない構造化された充填材を使用することが好ましい。このような充填材はプラスチックまたは金属からなり、GRID、MELLAPAK、GEMPAKなどのように構造化された充填材からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0039】
また、本発明は、反応混合物の滞留時間が短く伝熱速度が大きい熱交換器を再沸器として使用することによって、二量化反応を抑制し、高沸点不純物の生成を抑制させる。
【0040】
前記再沸器内の反応混合物の滞留時間は再沸器の温度に応じて3分以内、あるいは3分〜1分以内に維持できる。前記再沸器での反応混合物の滞留時間が長くなると高温部との接触時間が長くなることによって、タールなどのような高沸点物質が多く生成されて生成物の収率が減少する問題がある。
【0041】
このとき、本発明において前記再沸器の圧力は30torr以下、好ましくは18〜21torrに維持し、再沸器の温度は160℃以下、好適には130〜150℃に維持することが好ましい。前記再沸器の圧力が30torrを超えれば再沸器内の平衡温度が高すぎて蒸留塔内の温度が全体的に上昇し、その結果、二量体形成が加速化される問題があり、再沸器の圧力が低すぎると蒸留塔内の水力学を合わせるために蒸留塔直径が大きくなる問題がある。そして、前記再沸器の温度が160℃を超えれば圧力上昇と同様の結果で二量体形成が加速化される問題があり、再沸器の温度が低すぎると凝縮器の温度および圧力を低くしなければならない問題がある。
【0042】
これと連関して、二量化反応を抑制するために、高純度に精製されたトルエンジイソシアネートは直ちに急冷した後、貯蔵タンクに移送する。
【0043】
したがって、前記トルエンジイソシアネートを分離および精製する段階以降に、精製されたトルエンジイソシアネートは40℃以下の温度で急冷器(好ましくは生産物急冷器)を使用して急冷する段階をさらに含むことができる。このとき、前記急冷温度は40℃以下が好ましく、より好ましくは常温〜40℃であり得、最も好ましくは常温に急冷することである。前記急冷温度が40℃以上であれば二量化反応が進行して生成物の純度および収率が減少する問題が発生することがある。また、前記急冷器は、反応型分割壁蒸留塔の側部に連結設置されることが望ましい。
【0044】
本発明で精製を完了した前記トルエンジイソシアネートを含む生成物は、トルエンジイソシアネートの二量体を2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下に微量に含む。したがって、本発明は、既存対比生成物の二量体と反応が抑制されたことを確認できる。また、本発明の反応型分割壁蒸留塔を通して流出区域で流出する精製されたトルエンジイソシアネートの含有量は、供給区域に流入する混合物中の好ましくは約85重量%以上、より好ましくは約95重量%以上含むことができる。
【0045】
一方、
図1は、本発明の一実施形態による反応型分割壁蒸留塔を示す図である。
【0046】
本発明は、トルエンジイソシアネートの製造工程で未反応物および溶媒を既分離した以降の生産物を精製する方法を提供する。このような本発明の方法は、一実施形態により、
図1に示したような反応型分割壁蒸留塔を使用して最終生産物を精製する方法であり、前記反応型分割壁蒸留塔の温度、圧力、塔内の反応混合物の滞留時間を特定に調節することによって、二量体物質の生成を抑制して最終生成物の純度を向上させる方法を提供する。
【0047】
このため、本発明では、ホスゲンとトルエンジアミンをトルエンまたはモノクロロベンゼンなどのような溶媒を通して一般的な方法でトルエンジイソシアネートを製造し、未反応物質と溶媒を既分離した後、最終的に反応型分割壁蒸留塔を使用して高純度のトルエンジイソシアネートを精製する。
【0048】
また、本発明に係る前記反応型分割壁蒸留塔は、少なくとも1種の凝縮器、分離壁が備えられた主塔および少なくとも1種の再沸器を含み、前記主塔は、トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物を予備分別および主分別するための区域が垂直に分割された分離壁を備えた分別区域と、低沸点成分を除去するための塔頂区域と、トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物を供給するための供給区域と、分離および精製されたトルエンジイソシアネートを流出するための流出区域と、高沸点成分を除去するための塔底区域と、を含むことができる。
【0049】
一例として、本発明に係る前記反応型分割壁蒸留塔は、少なくとも1種の凝縮器、分離壁が備えられた主塔および少なくとも1種の再沸器を含むサイドドロー蒸留塔(sidedraw distillation column)であり得る。
【0050】
具体的には、
図1に示したように、本発明の反応型分割壁蒸留塔は、分離壁10を備えた主塔100、凝縮器200および再沸器300を含み、主塔100は、塔頂区域20、塔底区域30、供給区域A、および流出区域Bに大きく区分される。
【0051】
また、前記主塔100は、供給物を分別蒸留するための分別区域40を含み、前記分別区域40は、予備分別区域40aおよび主分別区域40bが分離壁10を基準として垂直に分割されている。また、図示していないが、予備分別区域40aおよび主分別区域40bの上下部には、分別蒸留結果物が塔頂区域と塔底区域に伝達される区域を含むことができる。
【0052】
また、前記分別区域40にトルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物が流入すれば、予備分別区域40aおよび主分別区域40bを経て分別区域40の上下部に、それぞれ低沸点不純物と溶媒などは整流区域22に移動し、高沸点成分と液体生成物などはストリッピング区域32に移動する。
【0053】
以降、ストリッピング区域から生成物が主成分として含まれている混合物は、主分別区域に移動した後、一連の過程を経て主分別区域の側辺の流出区域Bで生成物が回収され得る。
【0054】
そして、前記主塔に含まれている塔頂区域20には、分別区域40の上部を通して低沸点成分を含む不純物が分離し、このような不純物には極少量の溶媒およびホスゲンで直、間接的に誘発された塩素含有不純物が含まれ得る。また、前記塔頂区域には整流区域22が含まれ得る。
【0055】
前記塔底区域30は、分別区域40の下部を通して高沸点成分を含む不純物を除去するための区域であって、ストリッピング区域32が含まれ得る。
【0056】
また、供給区域Aは、トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物が流入する区域であって、主塔の予備分別区域40aに前記混合物が供給されるようにする。
【0057】
また、前記流出区域Bは、精製が完了した生成物を流出する1区域であって、1種以上の凝縮器を通して生成物が回収され得る。
【0058】
前記主塔100において前記流出区域は、塔頂区域20と塔底区域30との中間段に位置することができる。
【0059】
前記分別区域40は、主塔100の全体カラム段数と対比して好適に20%〜80%の理論段数を示すことができ、適切に調節して使用可能である。この時、分別区域での前記理論段数は、予備分別区域と主分別区域の理論段数が同じであるかまたは必要に応じて適切に調節することができる。
【0060】
前記凝縮器200は、ガス状態の混合物の気化熱を奪って凝縮させる装置である。
再沸器300は、液体状態の混合物に気化熱を提供して気化させる装置である。本発明の再沸器は、後述する生成物急冷器と共に滞留時間が短く伝熱速度が大きい再沸器を使用することによって、上述した二量化反応の抑制を可能にすると共に高沸点不純物の生成を抑制する。好ましくは、前記再沸器300は、流下膜式蒸発器(Falling film evaporator)、強制循環蒸発器、プール沸騰(ケトル)蒸発器、自然循環蒸発器、薄膜蒸発器などを含むことができる。さらに好ましくは、前記再沸器は流下膜式蒸発器を使用する。また、本発明の再沸器を使用すると、前述したように高温接触部での滞留時間が3分以内、好ましくは1分〜2分であり得る。そして、前記流下膜式蒸発器の使用時、排出する気液を分離するために、必要に応じて貯蔵容器(receiver)を追加することができる。急冷器400は、流出区域から出た主成分を90℃以下に精製した後、可逆反応を防ぐために急冷する装置であり、生成物急冷器を意味することもある。前記生成物急冷器は、蒸留塔の側部に位置する側部生産物急冷器であり得る。前記生成物急冷器が蒸留塔の側部ではなく、他の部分に連結されると低沸点不純物または高沸点不純物の含有量が増加して生成物の純度が低下する問題がある。また、前記生成物急冷器は熱交換器であり得る。この時、急冷器温度が低いほど熱交換のための装置サイズが大きくなるので、このような場合には、直列または並列に1種以上の急冷器を構成することもできる。
【0061】
凝縮器200または急冷器400は、並流および向流(ノックバック凝縮器)を含むことができる。
【0062】
そして、前記凝縮器および再沸器には温度と圧力調節手段が備えられている。
前記主塔の内部に設けられる分離壁の長さは、前記上部供給区域および下部供給区域の全体段数により変わることがある。
【0063】
例えば、前記分離壁の長さは、主塔の全体カラム段数の20〜80%、好ましくは30〜80%、より好ましくは40〜80%の範囲であり得る。20%未満の場合、予備分離領域で低沸点成分の一部が下部に垂れて、主分離器の製品に含まれる恐れがあり、80%超過の場合、カラム内部で低沸点/中間沸点成分の液相/気相および中間沸点/高沸点成分の液相/気相の円滑な平衡流れを維持しにくいため、カラム製作上、問題があり得る。
【0064】
前記主塔の塔頂区域の温度は、12〜15torrの圧力下で約40〜60℃の範囲であり得る。前記主塔の塔底区域の温度は、25〜35torrの圧力下で140〜160℃の範囲であり得る。
【0065】
また、前記主塔の分別区域で予備分別区域の温度は、15〜30torrの圧力下で約125〜150℃の範囲であり得る。前記主塔の分別区域で主分別区域の温度は、15〜30torrの圧力下で約125〜150℃の範囲であり得る。
【0066】
一方、トルエンジイソシアネートの製造工程後、精製対象物を得るための未反応物と溶媒を除去する方法は、分別蒸溜、多段蒸留、乾燥機などの方法によって進められる。このような方法で未反応物と溶媒を反応混合物から分離した後、得られた混合物はトルエンジイソシアネートを主成分として含んでおり、前記過程で回収されない低沸点成分と高沸点成分を含む。例えば、前記トルエンジイソシアネートを主成分として含む混合物は、全体混合物の総重量を基準にトルエンジイソシアネート92〜96重量%、トルエンジイソシアネートの二量体0.01〜1重量%、低沸点成分0.1〜2重量%および高沸点成分2〜10重量%を含むことができる。
【0067】
以下、本発明に係る実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明の実施例は、発明の例示のために示したものにすぎず、これによって発明の権利範囲を限定するものではない。
【0068】
[実施例1]
発明の実施の二量化反応の抑制を含む高純度トルエンジイソシアネートの精製のため、
図1に示した反応型分割壁蒸留塔に適用した。この時、Feed組成は、低沸点成分1800ppm、高沸点成分7wt%、トルエンジイソシアネートの二量体200ppmおよびトルエンジイソシアネート92.8wt%を含む。そして、反応型分割壁蒸留塔の理論段数は総30段となるようにした。
【0069】
実施例1では、以下の表1の条件で凝縮器の圧力および温度を下げ、反応型分割壁蒸留塔内の圧力降下を減らし、滞留時間も減らした場合に対して実験した。
【0071】
上記表1の結果から見れば、本発明は、蒸留塔の凝縮器、再沸器、滞留時間、圧力降下条件を適切に特定することによって、生成物の精製時、二量化反応を抑制して既存よりも生成物内の二量体量を減らすことができた。
【0072】
[実施例2]
前記トルエンジイソシアネートを分離および精製する段階以降に、側部生産物急冷器を使用して精製されたトルエンジイソシアネートの急冷時、25℃で急冷することを除いて、実施例1と同様の方法で行った。
【0074】
上記表2の結果を通して、精製されたトルエンジイソシアネートの急冷時、温度を40度以下に調節することによって、生成物内の二量体量を従来よりも減らすことができた。
【0075】
[参考例1]
再沸器での滞留時間を表3のとおり変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で進行した。
【0077】
上記表3の結果から見れば、参考例1では、実施例1〜2でのように生成物内の二量体量を減らすことができたが、高沸点成分量が増加した。
【0078】
[比較例1]
比較例1では、以下の表4の条件で実施例1と比較して滞留時間は同じであるが、凝縮器の圧力および温度を高め、蒸留塔内の圧力降下を高めて実験した。
【0080】
上記表4の結果から見れば、比較例1では、凝縮器の圧力および温度が高く蒸留塔内の圧力降下が高すぎて、生成物内の二量体が3788ppmで過剰に生成されたことが分かる。
【0081】
[比較例2]
比較例2では、以下の表5の条件で実施例1と比較して凝縮器の圧力および温度、そして蒸留塔内の圧力降下は同じであるが、蒸留塔内の滞留時間を増やして実験した。
【0083】
上記表5の結果から見れば、比較例2では、蒸留塔内の滞留時間が多くなることによって、生成物内の二量体が3947ppmで過剰に生成されたことが分かる。
【0084】
[参考例2]
前記トルエンジイソシアネートを分離および精製する段階以降に、側部ドロー急冷器を使用して精製されたトルエンジイソシアネートを75℃で急冷することを除いて、実施例1と同様の方法で行った。
【0086】
上記表6の結果から見れば、急冷器温度を40度以上にする場合、比較例1〜2よりは生成物内の二量体が少ないが、本発明の実施例1〜3よりは二量体量が増加した。
【0087】
したがって、トルエンジイソシアネートを精製する場合、本発明のように凝縮器の条件を調節することが重要であり、また、反応型分割壁蒸留塔に対する条件と急冷条件、再沸器条件などを本発明の範囲内に適切に調節することによって、最終生産物内に二量体が少なく含まれるようにすることができる。