特許第6876809号(P6876809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876809
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-538889(P2019-538889)
(86)(22)【出願日】2017年9月1日
(86)【国際出願番号】JP2017031633
(87)【国際公開番号】WO2019043920
(87)【国際公開日】20190307
【審査請求日】2019年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 秀和
(72)【発明者】
【氏名】原 朗
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊晶
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−093297(JP,A)
【文献】 国際公開第03/071847(WO,A1)
【文献】 特開2011−082500(JP,A)
【文献】 特開2011−228377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に所定の間隔で形成された電子部品を収納する複数のキャビティと、搬送方向に所定の間隔で形成された複数の係合穴とを有するキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
前記電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、
前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記係合穴に係合する複数の係合突起を周方向に等間隔で配置されたスプロケットと、
供給されたパルス電力に応じて前記スプロケットを回転させるステッピングモータと、
前記ステッピングモータにパルス電力を供給して、複数の前記キャビティを前記供給部に順次位置決めするように前記キャリアテープの搬送を制御する制御装置と、を備え、
複数の前記キャビティは、複数の前記係合穴の間隔とは異なる間隔で形成され、
前記制御装置は、
前記ステッピングモータの脱調を検出する脱調検出部と、
複数の前記キャビティの一つを前記供給部に位置決めするための前記スプロケットの目標角度、および前記スプロケットの複数の前記係合突起のそれぞれが前記係合穴に係合した場合に複数の前記キャビティの一つが前記供給部に位置決めされるか否かを示す情報を記憶する記憶部と、
前記脱調検出部により前記ステッピングモータの脱調が検出された場合に、前記スプロケットが所定角度となるように前記ステッピングモータにパルス電力を供給する原点合わせを実行し、原点合わせ完了後の前記スプロケットの現在角度および前記目標角度に応じて前記ステッピングモータにパルス電力を供給し、複数の前記キャビティの一つを前記供給部に移動させる復旧処理部と、
を備えるテープフィーダ。
【請求項2】
搬送方向に所定の間隔で形成された電子部品を収納する複数のキャビティと、搬送方向に所定の間隔で形成された複数の係合穴とを有するキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
前記電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、
前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記係合穴に係合する複数の係合突起を周方向に等間隔で配置されたスプロケットと、
供給されたパルス電力に応じて前記スプロケットを回転させるステッピングモータと、
前記ステッピングモータにパルス電力を供給して、複数の前記キャビティを前記供給部に順次位置決めするように前記キャリアテープの搬送を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ステッピングモータの脱調を検出する脱調検出部と、
複数の前記キャビティの一つを前記供給部に位置決めするための前記スプロケットの目標角度を記憶する記憶部と、
前記脱調検出部により前記ステッピングモータの脱調が検出された場合に、前記スプロケットが所定角度となるように前記ステッピングモータにパルス電力を供給する原点合わせを実行し、原点合わせ完了後の前記スプロケットの現在角度および前記目標角度に応じて前記ステッピングモータにパルス電力を供給し、複数の前記キャビティの一つを前記供給部に移動させる復旧処理部と、を備え
複数の前記キャビティのうち、前記ステッピングモータの脱調が検出される直前に前記供給部への位置決めを試行された前記キャビティを第一キャビティと定義し、
前記復旧処理部は、
前記第一キャビティに前記電子部品が残存している場合には前記第一キャビティを前記供給部に移動させ、前記第一キャビティに前記電子部品が残存していない場合には前記第一キャビティよりも後の前記キャビティを前記供給部に移動させるテープフィーダ。
【請求項3】
前記復旧処理部は、前記スプロケットの前記現在角度に基づいて前記第一キャビティに前記電子部品が残存しているか否かを判定する、請求項に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記復旧処理部は、前記第一キャビティから前記電子部品の採取を試行した前記電子部品装着機より前記電子部品を採取したか否かを示す採取結果を取得し、前記採取結果に基づいて前記第一キャビティに前記電子部品が残存しているか否かを判定する、請求項2または3に記載のテープフィーダ。
【請求項5】
前記テープフィーダは、前記フィーダ本体に対する前記スプロケットの前記現在角度を検出する角度センサをさらに備える、請求項1−4の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項6】
前記テープフィーダは、複数の前記キャビティの一つが前記供給部に位置決めされたときに前記フィーダ本体の所定位置にある複数の前記係合突起の一つを検出する検出センサをさらに備え、
前記脱調検出部は、前記制御装置が前記ステッピングモータに所定のパルス電力を供給した後に、前記検出センサによる前記係合突起の検出結果に基づいて、前記ステッピングモータが脱調しているか否かを判定する、請求項1−の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項7】
前記復旧処理部は、複数の前記キャビティの一つを前記供給部に移動させるように試行した場合に、前記検出センサによる前記係合突起の検出結果に基づいて、前記ステッピングモータの脱調が復旧したか否かを判定する、請求項に記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、例えば特許文献1に開示されているように、電子部品装着機による装着処理に用いられる。テープフィーダは、電子部品を収納したキャリアテープに係合するスプロケットを回転させることによりキャリアテープを搬送して、電子部品装着機に電子部品を供給する。テープフィーダは、スプロケットを回転させる駆動源として、供給されたパルス電力に応じて回転するステッピングモータが採用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−011316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープフィーダには、例えばキャリアテープに過負荷が加えられることなどを原因として、ステッピングモータの脱調が発生することがある。このような場合に、テープフィーダには、キャビティの間隔が互いに異なる種々のキャリアテープに対応した移動量だけキャリアテープを搬送して、電子部品装着機がテープフィーダより電子部品を採取可能となるように復旧することが望まれる。
【0005】
本明細書は、ステッピングモータの脱調が発生した場合に、種々のキャリアテープに対応した復旧を可能とするテープフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、搬送方向に所定の間隔で形成された電子部品を収納する複数のキャビティと、搬送方向に所定の間隔で形成された複数の係合穴とを有するキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、前記電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記係合穴に係合する複数の係合突起を周方向に等間隔で配置されたスプロケットと、供給されたパルス電力に応じて前記スプロケットを回転させるステッピングモータと、前記ステッピングモータにパルス電力を供給して、複数の前記キャビティを前記供給部に順次位置決めするように前記キャリアテープの搬送を制御する制御装置と、を備え、複数の前記キャビティは、複数の前記係合穴の間隔とは異なる間隔で形成され、前記制御装置は、前記ステッピングモータの脱調を検出する脱調検出部と、複数の前記キャビティの一つを前記供給部に位置決めするための前記スプロケットの目標角度、および前記スプロケットの複数の前記係合突起のそれぞれが前記係合穴に係合した場合に複数の前記キャビティの一つが前記供給部に位置決めされるか否かを示す情報を記憶する記憶部と、前記脱調検出部により前記ステッピングモータの脱調が検出された場合に、前記スプロケットが所定角度となるように前記ステッピングモータにパルス電力を供給する原点合わせを実行し、原点合わせ完了後の前記スプロケットの現在角度および前記目標角度に応じて前記ステッピングモータにパルス電力を供給し、複数の前記キャビティの一つを前記供給部に移動させる復旧処理部と、を備えるテープフィーダを開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、脱調の復旧処理において、テープフィーダは、原点合わせ完了後の現在角度および目標角度を用いることにより、キャビティの間隔が互いに異なる種々のキャリアテープのそれぞれに対応した復旧処理を実行できる。そして、テープフィーダは、現在角度および目標角度に基づいてスプロケットを適宜回転させてキャリアテープを搬送し、部品装着機が供給部より電子部品を採取可能となるように復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品装着機の構成の概略を示す斜視図である。
図2】テープフィーダの外観および機能ブロックを示す斜視図である。
図3】複数種類のキャリアテープの一部を示す上面図である。
図4】テープフィーダの駆動装置および制御装置の構成を模式的に示す側面図である。
図5】テープフィーダの各種センサおよび検出センサの構成を模式的に示す図4とは反対の側面図である。
図6】キャビティとスプロケットの角度の関係を示す角度情報を含む説明図である。
図7】復旧処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1−1.電子部品装着機10の概要
電子部品装着機10は、テープフィーダ20を用いて回路基板90に電子部品を装着する。以下では、電子部品装着機を「部品装着機」、テープフィーダを「フィーダ」、回路基板を「基板」、電子部品を「部品」と称する。部品装着機10は、図1に示すように、基板搬送装置11と、上部スロット12と、下部スロット13と、装着ヘッド14と、ヘッド移動装置15とを有する。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入するとともに所定位置に位置決めする。また、基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が実行された後に、部品装着機10の機外に基板90を搬出する。
【0010】
上部スロット12は、部品装着機10の前部側の上部に配置される。上部スロット12は、フィーダ20を動作可能に保持する。上部スロット12にセットされたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられた供給部211(図2を参照)において部品を供給する。
【0011】
下部スロット13は、上部スロット12の下方に配置される。下部スロット13は、部品装着機10による装着処理に用いられる予定のフィーダ20、または装着処理に用いられた使用済みのフィーダ20をストックする。なお、上部スロット12と下部スロット13との間でのフィーダ20の交換は、交換ロボット(図示しない)による自動交換、または作業者による手動交換によりなされる。
【0012】
装着ヘッド14は、フィーダ20により供給された部品を採取する吸着ノズル(図示しない)が取り付けられる。吸着ノズルは、負圧エアを供給されて部品を吸着する。また、装着ヘッド14には、吸着ノズルに替えて、部品を把持するチャックなどが保持する部品に対応して取り付けられる。装着ヘッド14は、吸着ノズルを上下方向に移動可能に、且つ鉛直軸周りに回転可能に保持する。ヘッド移動装置15は、例えば直動機構により装着ヘッド14を水平方向に移動させる。
【0013】
上記のような構成からなる部品装着機10は、装着処理の実行中において、装着ヘッド14やヘッド移動装置15、フィーダ20の動作を適宜制御する。これにより、部品装着機10は、フィーダ20により供給された部品を採取するとともに、基板90の所定位置に当該部品を装着し、種々の基板製品を生産する。
【0014】
1−2.フィーダ20の構成
フィーダ20の構成を、図2図6を参照して説明する。フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置30と、角度センサ40と、検出センサ50と、制御装置60とを備える。フィーダ本体21は、図2に示すように、扁平な箱形状に形成される。フィーダ本体21は、部品装着機10に部品を供給する供給部211を有する。供給部211は、フィーダ本体21の前部側(図2の右下側)の上部に形成されている。
【0015】
また、フィーダ本体21は、キャリアテープ80が巻回されたテープリール70を着脱可能(交換可能)に保持する。テープリール70は、フィーダ本体21に対して回転可能に支持される。キャリアテープ80は、図3に示すように、部品を収容する複数のキャビティ81と、搬送方向(キャリアテープの長手方向)に所定の間隔で形成された複数の係合穴82とを有する。
【0016】
キャリアテープ80は、上面にカバーテープ83が接着され、キャビティ81の開口部が閉塞されている。キャリアテープ80のうち供給部211まで搬送された部位は、装着ヘッド14が部品を採取できるようにカバーテープ83を剥離される。換言すると、フィーダ20は、キャリアテープ80における複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めすることにより、当該キャビティ81に収納された部品を採取可能に供給する。以下、キャリアテープを「テープ」と称する。
【0017】
ここで、複数のキャビティ81は、複数の係合穴82と同様に、搬送方向に所定の間隔で形成される。キャビティ81の間隔T1は、収容する部品の寸法に応じて適宜設定される。例えば、キャビティ81の間隔T1は、図3に示すように、係合穴82の間隔T2の半分(T1=T2/2)、または係合穴82の間隔T2の整数倍(T1=N・T2、Nは1以上の整数)などに設定される。なお、図6は、図3の上から3段目のテープ80Cと同様に、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の2倍に設定されたテープ80を示す。
【0018】
駆動装置30は、図4に示すように、フィーダ本体21に回転可能に支持されるスプロケット31を有する。スプロケット31は、テープ80の係合穴82に係合可能な係合突起311を周方向に等間隔で配置されている。本実施形態において、フィーダ本体21の供給部211は、スプロケット31の回転中心からテープ80の係合穴82の間隔T2の半分の距離だけテープ80の搬送方向にずれた位置に設定されている。駆動装置30は、スプロケット31を回転させる駆動源としてのステッピングモータ32を有する。ステッピングモータ32は、供給されたパルス電力に応じてスプロケット31を回転させる。
【0019】
具体的には、ステッピングモータ32の回転軸321が回転すると、回転軸321に設けられたドライブギヤ322に噛合する減速ギヤ33が回転する。ステッピングモータ32により出力される駆動力は、減速ギヤ33に噛合する中間ギヤ34を介してスプロケット31に伝達される。中間ギヤ34は、スプロケット31に設けられたスプロケットギヤ312に噛合する。これにより、スプロケット31は、中間ギヤ34の回転に伴って回転する。
【0020】
角度センサ40は、フィーダ本体21に対するスプロケット31の角度を検出する。本実施形態において、角度センサ40は、図5に示すように、磁石体41と、一対の磁気センサ42とにより構成される。磁石体41は、円筒状に形成され、径方向に二極となるように磁化されている。磁石体41は、スプロケット31と同軸上にスプロケット31と一体的に回転するように設けられる。
【0021】
一対の磁気センサ42のそれぞれは、磁石体41が形成する磁界を検出して、正弦波状の検出信号を出力する。一対の磁気センサ42は、磁石体41の周方向に沿って90度の間隔をあけて、フィーダ本体21に設けられる。これにより、一対の磁気センサ42が出力する検出信号は、位相が90度ずれたものとなる。角度センサ40は、一対の磁気センサ42によるそれぞれの検出信号に基づいて、磁石体41が設けられたスプロケット31の角度を算出する。
【0022】
検出センサ50は、スプロケット31の複数の係合突起311の一つを検出する。本実施形態において、検出センサ50は、発光部51と、受光部52とにより構成される。発光部51および受光部52は、図4および図5に示すように、係合突起311が形成されたスプロケット31の径方向位置に、係合突起311を挟むように対向して配置される。検出センサ50は、発光部51から照射された光を受光部52により受光する。検出センサ50は、受光部52の受光状態が遮光状態に遷移した場合に、発光部51と受光部52との間に複数の係合突起311の一つが位置すると認識する。
【0023】
ここで、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の整数倍に設定されている場合には(図3のテープ80B−80D)、複数のキャビティ81の一つが供給部211に位置決めされると、供給部211から係合穴82の間隔T2の半分の距離だけ離れた位置に係合穴82が位置する。そして、この係合穴82にスプロケット31の回転中心から真上方向に位置する係合突起311が係合するように、スプロケット31がフィーダ本体21に設けられている。
【0024】
つまり、検出センサ50は、テープ80の複数のキャビティ81の一つがフィーダ20の供給部211に位置決めされたときにフィーダ本体21の所定位置(本実施形態では、真上方向から周方向に120度ずれた検出位置)にある複数の係合突起311の一つを検出するように構成される。これにより、検出センサ50は、複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めするようにスプロケット31が正常に角度決めされた場合に、フィーダ本体21の所定位置にある係合突起311を検出するように構成される。
【0025】
なお、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の半分(T1=T2/2)に設定されている場合には(図3のテープ80A)、複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めすると、スプロケット31は、係合突起311が真上方向を向く角度と、当該角度から隣り合う係合突起311がなす角度の半分だけ回転した角度とに角度決めされる。よって、検出センサ50は、2回に1回の割合でフィーダ本体21の所定位置にある係合突起311を検出する。
【0026】
また、検出センサ50は、発光部51と受光部52を対向して配置する他に、種々の態様を採用し得る。検出センサ50は、例えば発光部51と受光部52をフィーダ20の側壁に並んで配置され、係合突起311により反射される反射光を検出して、または反射板から反射される反射光を係合突起311が遮ったことを検出して、所定位置にある係合突起311を検出してもよい。
【0027】
制御装置60は、フィーダ20が部品装着機10の上部スロット12にセットされると、コネクタ212を介して部品装着機10から電力を供給される。そして、制御装置60は、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。制御装置60は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、駆動装置30の動作を制御する。具体的には、制御装置60は、駆動装置30のステッピングモータ32にパルス電力を供給して、テープ80の複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めするように制御する。
【0028】
ここで、制御装置60は、フィーダ20の電源が投入されたON状態となると、スプロケット31の原点合わせを実行する。この原点合わせ処理は、フィーダ20に電源が投入されていないOFF状態ではスプロケット31がある程度自由に回転可能であるため、フィーダ20がON状態となった期間において制御上の原点を定める処理である。本実施形態において、制御装置60は、ステッピングモータ32にパルス電力を供給して、検出センサ50が係合突起311の一つを検出する所定角度までスプロケット31を回転させる。これにより、スプロケット31は、検出センサ50に検出された係合突起311から周方向に120度ずれた別の係合突起311がスプロケット31の回転中心から真上方向に位置するように角度決めされた状態となる。
【0029】
制御装置60は、図2に示すように、脱調検出部61と、記憶部62と、復旧処理部63とを備える。脱調検出部61は、ステッピングモータ32の脱調を検出する。ここで、ステッピングモータ32の脱調とは、ステッピングモータ32に供給したパルス電力に応じたスプロケット31の回転量に対して、実際の回転量が一定の許容範囲を超えて一致しない状態をいう。ステッピングモータ32の脱調は、例えばテープ80への過負荷やテープリール70の回転不良などを原因として発生し得る。
【0030】
ここで、制御装置60は、部品装着機10による装着処理において部品を供給するためにテープ80の搬送を制御する場合に、テープ80のキャビティ81を供給部211に位置決めするように、ステッピングモータ32にパルス電力を供給する。そして、本実施形態のフィーダ20の運用時においては、スプロケット31は、原則的に複数の係合突起311の何れかがスプロケット31の回転中心の真上方向に位置した状態で停止するように構成される。これにより、スプロケット31が停止した場合には、検出センサ50が係合突起311を検出した状態となる。
【0031】
そこで、脱調検出部61は、制御装置60がステッピングモータ32に所定のパルス電力を供給した後に、検出センサ50による係合突起311の検出結果に基づいて、ステッピングモータ32が脱調しているか否かを判定する。これにより、脱調検出部61は、ステッピングモータ32に所定のパルス電力を供給したにも関わらず、検出センサ50により係合突起311が検出されなかった場合には、パルス電力に応じた回転量に対して実際の回転量に過不足があるとして、ステッピングモータ32が脱調したと判定する。
【0032】
なお、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の半分(T1=T2/2)に設定されている場合には(図3のテープ80A)、検出センサ50は、2回に1回の割合で係合突起311を検出する。よって、上記のようなテープ80Aがフィーダ20に装填されている場合には、脱調検出部61は、検出センサ50の検出結果がスプロケット31の停止の度に交互になるか否かを判定することにより、ステッピングモータ32の脱調の有無を判定することができる。
【0033】
記憶部62は、フラッシュメモリなどにより構成される。記憶部62には、駆動装置30の動作の制御に用いられる各種のプログラムや校正値、スプロケット31の角度に係る角度情報M1が記憶される。上記の角度情報M1には、複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めするためのスプロケット31の目標角度が含まれる。
【0034】
ここで、フィーダ20には、複数の係合穴82の間隔T2に対して複数のキャビティ81の間隔T1が等しいテープ80(図3のテープ80B)、または上記の間隔T1,T2が異なるテープ80(図3のテープ80A,80C,80D)が装填され得る。例えば、フィーダ20は、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の2倍のテープ80Cを装填された場合には、複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めするために、隣り合う係合突起311がなす角度の2倍だけスプロケット31を回転させるように制御する。
【0035】
上記の例では、複数の係合突起311の半分がスプロケット31の回転中心の真上方向に位置したときには、キャビティ81が供給部211に位置決めされる。一方で、複数の係合突起311の残りの半分がスプロケット31の回転中心の真上方向に位置したとしても、複数のキャビティ81の何れも供給部211に位置決めされない。また、スプロケット31が基準角度(角度センサ40により0度と検出される角度)において、キャビティ81を供給部211に位置決めしているか否か(図6のパターン1,2)は、フィーダ20にテープ80が装填されたときに無作為に定まる。
【0036】
そこで、制御装置60は、複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めするためのスプロケット31の目標角度を取得して、角度情報M1に記録する。上記の「スプロケット31の目標角度」は、本実施形態において、図6に示すように、正常時において複数のキャビティ81の一つが供給部211に位置決めされたときに角度センサ40により検出されたスプロケット31の角度としている。そして、角度情報M1には、スプロケット31の複数の係合突起311のそれぞれが係合穴82に係合した場合に複数のキャビティ81の一つが供給部211に位置決めされるか否かを示す情報(図6の「○」と「×」にて示すパターン1,2)が含まれる。
【0037】
つまり、図6に示す種類のテープ80がフィーダ20にパターン1で装填されている場合には、スプロケット31の目標角度は、スプロケット31の基準角度から0度,6度,12度,18度・・・である。一方で、同種のテープ80がフィーダ20にパターン2で装填されている場合には、スプロケット31の目標角度は、スプロケット31の基準角度から3度,9度,15度,21度・・・である。このように、記憶部62は、装填されているテープ80の種類との関係において、キャビティ81を供給部211に位置決めするための周期的な複数の目標角度を記憶する。
【0038】
復旧処理部63は、脱調検出部61によりステッピングモータ32の脱調が検出された場合に、上記の原点合わせを実行し、原点合わせ完了後のスプロケット31の現在角度Acおよび記憶部62に記憶されている目標角度に応じてステッピングモータ32にパルス電力を供給し、複数のキャビティ81の一つを供給部211に移動させる。復旧処理部63は、上記のような復旧処理を実行することにより、部品装着機10がフィーダ20より部品を採取可能となるようにフィーダ20の復旧を試行する。
【0039】
ここで、脱調が検出される前の正常時に取得された角度情報M1は、スプロケット31を現在角度Acからどのような目標角度となるように回転させれば、キャビティ81が供給部211に位置決めされるかを示す。よって、目標角度を復旧処理に用いることにより、キャビティ81の間隔T1が互いに異なる種々のテープ80に対応することができる。本実施形態において、復旧処理部63は、角度センサ40により原点合わせ完了後のスプロケット31の現在角度Acを取得する。復旧処理の詳細については後述する。
【0040】
このような構成からなるフィーダ20は、駆動装置30を動作してテープ80がピッチ送りされると、供給部211の手前でカバーテープ83が剥離されて部品を採取可能に供給する。さらに、フィーダ20は、脱調検出部61により駆動装置30のステッピングモータ32の脱調が検出された場合には、復旧処理を適宜実行し、自動的な復旧を試行する。なお、上記の復旧処理は、フィーダ20の電源の投入直後にステッピングモータ32の脱調が検出された場合にも実行され得る。
【0041】
1−3.フィーダ20による復旧処理
上記のフィーダ20による脱調の復旧処理について、図6および図7を参照して説明する。ここで、フィーダ20には、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の2倍のテープ80(図5のテープ80C)が装填されているものとする。つまり、上記テープ80Cの複数のキャビティ81は、複数の係合穴82の間隔T2とは異なる間隔T1で形成されている。
【0042】
フィーダ20は、部品装着機10による装着処理において、複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めする。このとき、制御装置60は、ステッピングモータ32に対して隣り合う係合突起311のなす角度の2倍だけスプロケット31を回転させるようにパルス電力を供給する。さらに、制御装置60は、ステッピングモータ32の脱調が検出される前の正常時において、複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めするためのスプロケット31の目標角度を角度情報M1に記録する。
【0043】
具体的には、制御装置60は、図6に示すように、角度センサ40がスプロケット31の角度(0,3,6,9,・・・)を検出した際に、スプロケット31の回転中心の真上方向において係合突起311(R1,R2,R3,R4,・・・)が係合穴82に係合するとキャビティ81が供給部211に位置決めされるか否かを示す情報(図6の「○」と「×」にて示すパターン1,2)を記録する。ここでは、正常時において、フィーダ20へのテープ80の装填状態がパターン1にあると認識されたものとして説明する。
【0044】
部品装着機10による装着処理の実行中において、フィーダ20の脱調検出部61は、例えばステッピングモータ32が動作するごとに脱調が発生していないか判定する。ここで、何らかの原因によりステッピングモータ32の脱調が発生したものとする。脱調検出部61は、フィーダ本体21の所定位置(検出位置)において係合突起311が検出されないとの検出センサ50の検出結果に基づいて、ステッピングモータ32に脱調が発生したものと判定する。
【0045】
制御装置60の復旧処理部63は、上記のようにステッピングモータ32の脱調が検出されると、図7に示すように、復旧処理を実行する。復旧処理部63は、先ず脱調が発生した際のスプロケット31の停止角度Asを角度センサ40より取得する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。これにより、復旧処理部63は、角度センサ40の分解能に応じたスプロケット31の停止角度Asを認識する。
【0046】
次に、復旧処理部63は、スプロケット31の原点合わせ処理を実行する(S12)。具体的には、復旧処理部63は、検出センサ50が係合突起311の一つを検出するまで、ステッピングモータ32にパルス電力を供給して、スプロケット31を回転させる。復旧処理部63は、検出センサ50による係合突起311の検出結果に基づいて、原点合わせ処理が完了したことを認識する。原点合わせ処理が正常に完了すると、制御装置60は、スプロケット31の現在角度Acを制御上の原点として、以降の部品供給処理を制御する。
【0047】
なお、原点合わせ処理が正常に完了しない場合には、ステッピングモータ32にパルス電力を供給してもスプロケット31が回転しない異常が発生していることが想定される。そこで、復旧処理部63は、部品装着機10に対してエラーを通知して復旧処理を中止する。続いて、復旧処理部63は、原点合わせ完了後のスプロケット31の現在角度Acを角度センサ40より取得する(S13)。
【0048】
ここで、脱調の復旧処理は、複数のキャビティ81の一つを供給部211に移動させる処理である。しかしながら、供給部211を通過していないキャビティ81を供給部211に位置決めした場合に、当該キャビティ81に部品が収納されていないと復旧後に装着ヘッド14が部品の採取に失敗する。これは、脱調が発生したタイミングによっては、ステッピングモータ32の脱調が検出される直前に供給部211への位置決めを試行されたキャビティ81(「第一キャビティ81A」と定義する)から装着ヘッド14による部品の採取が成功している場合があることに起因する。
【0049】
つまり、ステッピングモータ32の脱調が発生したものの第一キャビティ81Aが供給部211に概ね到達している場合には、装着ヘッド14により部品が採取され、第一キャビティ81Aに部品が残存しない。一方で、例えば第一キャビティ81Aを供給部211へと位置決めしようとした直後にステッピングモータ32の脱調が発生した場合には、装着ヘッド14による部品の採取が失敗し、第一キャビティ81Aに部品が残存する。
【0050】
そこで、復旧処理部63は、上記のように第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かを判定し(S14)、その結果に応じて供給部211に位置決めすべきキャビティ81(「目標キャビティ81T」と定義する)を適宜設定する。上記の判定(S14)において、復旧処理部63は、スプロケット31の停止角度Asに基づいて第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かを判定してもよい。
【0051】
具体的には、復旧処理部63は、例えば停止角度Asに基づいて供給部211への第一キャビティ81Aの到達度を算出する。復旧処理部63は、第一キャビティ81Aの到達度が予め設定された閾値を下回る場合には、第一キャビティ81Aから部品を採取可能に供給できておらず、第一キャビティ81Aに部品が残存しているものと判定する(S14:Yes)。一方で、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aの到達度が閾値以上の場合には、第一キャビティ81Aから部品を採取可能に供給しており、第一キャビティ81Aに部品が残存していないものと判定する(S14:No)。
【0052】
その他に、上記の判定(S14)において、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aから部品の採取を試行した部品装着機10より部品を採取したか否かを示す採取結果を取得し、採取結果に基づいて第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かを判定してもよい。ここで、部品装着機10は、装着ヘッド14により部品を採取した後に、例えば部品カメラ(図示しない)を用いて、採取した部品の有無および姿勢を認識する。そのため、部品装着機10は、仮にステッピングモータ32の脱調が発生して第一キャビティ81Aから部品が適正に供給されず、部品の採取に失敗した場合には、採取に失敗したことを認識することが可能である。
【0053】
そこで、復旧処理部63は、例えば部品装着機10より部品を採取したか否かを示す採取結果を取得し、採取結果が失敗の場合には、第一キャビティ81Aに部品が残存しているものと判定する(S14:Yes)。一方で、復旧処理部63は、採取結果が成功の場合には、第一キャビティ81Aに部品が残存していないものと判定する(S14:No)。なお、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かの判定(S14)において、上記のように停止角度Asを用いる態様、および採取結果を用いる態様を複合的に採用するようにしてもよい。
【0054】
次に、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存している場合には(S14:Yes)、目標キャビティ81Tを第一キャビティ81Aに設定する(S15)。一方で、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存していない場合には(S14:No)、目標キャビティ81Tを第一キャビティ81Aの次のキャビティ81に設定する(S16)。
【0055】
続いて、復旧処理部63は、S15またはS16にて設定された目標キャビティ81Tを供給部211に位置決めするとした場合のスプロケット31の目標角度を設定する(S17)。つまり、復旧処理部63は、角度情報M1に基づいて、目標キャビティ81Tに対応するスプロケット31の目標角度を設定する。復旧処理部63は、S13にて取得した原点合わせ完了後のスプロケット31の現在角度Acと、S17にて設定されたスプロケット31の目標角度との差分に応じたパルス電力をステッピングモータ32に供給する(S18)。
【0056】
これにより、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存している場合には(S14:Yes)、第一キャビティ81Aを供給部211に移動させる(S18)。一方で、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存していない場合には(S14:No)、第一キャビティ81Aよりも後のキャビティ81(本実施形態においては、第一キャビティ81Aの次のキャビティ81)を供給部211に移動させる(S18)。
【0057】
復旧処理部63は、複数のキャビティ81の一つである目標キャビティ81Tを供給部211に移動させるように試行した場合に(S18)、フィーダ20の動作が正常に復旧したか否かを判定する(S19)。具体的には、復旧処理部63は、検出センサ50による係合突起311の検出結果に基づいて、フィーダ20が復旧したか否かを判定する。
【0058】
上記の判定に加えて、または上記の判定に替えて、復旧処理部63は、ステッピングモータ32にパルス電力を供給した後に(S18)、スプロケット31の現在角度Acを再度取得し、S17にて設定したスプロケット31の目標角度に一致するか否かに基づいて、フィーダ20の動作が正常に復旧したか否かを判定してもよい。復旧処理部63は、フィーダ20が正常に復旧した場合には(S19:Yes)、復旧処理を終了する。
【0059】
一方で、復旧処理部63は、フィーダ20の動作が正常に復旧していない場合には(S19:No)、例えば当該フィーダ20により部品を供給できない旨を部品装着機10に通知するなどのエラー処理を実行する(S21)。部品装着機10は、上記のようなエラーの通知(S12におけるエラーの通知を含む)を入力した場合に、例えばオペレータに対して正常に復旧されなかったフィーダ20の交換等を促すように報知したり、代替可能なフィーダに対して部品を供給するように制御したりすることが想定される。
【0060】
2.実施形態の構成による効果
上記のフィーダ20によると、脱調の復旧処理において原点合わせ完了後の現在角度Acおよび目標角度が用いることにより、キャビティ81の間隔が互いに異なる種々のテープ80のそれぞれに対応できる。そして、フィーダ20は、現在角度Acおよび記憶部62に予め記憶されている目標角度に基づいてスプロケット31を適宜回転させてテープ80を搬送し、部品装着機10が供給部211より部品を採取可能となるように復旧することができる。
【0061】
3.実施形態の変形態様
3−1.現在角度の取得について
実施形態において、角度センサ40は、磁石体41と一対の磁気センサ42とにより構成されるものとした。これに対して、角度センサ40は、スプロケット31の角度を検出可能であれば、種々の態様を採用し得る。具体的には、角度センサ40には、回転量をパルス信号として入力して角度を割り出すエンコーダとしてもよい。
【0062】
また、実施形態において、角度センサ40は、スプロケット31の角度を直接的に検出する構成とした。これに対して、角度センサ40は、スプロケット31の角度を間接的に検出する構成としてもよい。例えば、角度センサ40は、スプロケット31の回転に連動して回転する他のギヤである例えば中間ギヤ34の角度を検出することにより、スプロケット31の角度を算出してもよい。
【0063】
実施形態において、角度情報M1に記録される「スプロケット31の目標角度」は、正常時において複数のキャビティ81の一つが供給部211に位置決めされたときに角度センサ40により検出されたスプロケット31の角度とした。これに対して、上記の「スプロケット31の目標角度」は、キャビティ81の間隔T1と係合穴82の間隔T2との関係に応じて変動する係合パターンの識別に足りる角度情報としてもよい。
【0064】
ここで、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2のN倍(T1=N・T2)である場合には、上記の係合パターンの数は、Nで示される。パターン数が実施形態にて例示したように2である場合には(N=2)、スプロケット31が基準角度にあるときに回転中心の真上方向に位置する係合突起311から奇数番目なのか偶数番目なのかを識別できれば、係合パターンを識別するのに要する情報としては足りる。
【0065】
そこで、フィーダ20は、角度センサ40に替えて、隣り合うパターン数分の係合突起311を識別可能な識別センサを備えるようにしてもよい。この識別センサは、例えば基準角度から奇数番目の係合突起311に対応してスプロケット31に設けられたスリットを検出して、隣り合う2つの係合突起311が奇数番目なのか偶数番目なのかを識別するようにしてもよい。記憶部62は、正常時においてキャビティ81が供給部211に位置決めされたときに識別センサにより識別された係合突起311の識別情報を目標角度として記憶する。
【0066】
そして、復旧処理部63は、ステッピングモータ32の脱調が検出された場合に、識別センサにより識別された係合突起311に基づいて原点合わせ完了後のスプロケット31の現在角度Acを取得し、スプロケット31の現在角度Acおよび目標角度に応じたパルス電力をステッピングモータに供給する。これにより、復旧処理部63は、フィーダ20の復旧を試行する。このような構成によると、実施形態と同様の効果を奏する。また、角度センサ40と比較してフィーダ20の構成を簡易にでき、製造コストを低減できる。
【0067】
3−2.ステッピングモータ32の脱調の検出について
実施形態において、脱調検出部61は、検出センサ50による係合突起311の検出結果に基づいて、ステッピングモータ32が脱調しているか否かを判定するものとした。これに対して、フィーダ20は、検出センサ50によらずに、他のセンサ等の検出結果に基づいてステッピングモータ32の脱調を検出するようにしてもよいし、検出センサ50による検出結果と適宜組み合わせて複合的に脱調を検出してもよい。
【0068】
具体的には、例えばフィーダ20は、角度センサ40により検出されたスプロケット31の角度に基づいて、ステッピングモータ32の脱調を検出してもよい。つまり、脱調検出部61は、制御装置60がステッピングモータ32に所定のパルス電力を供給した後に、角度センサ40により検出されたスプロケット31の現在角度Acが、上記のパルス電力に応じた目標角度に対して過不足があるか否かに基づいて脱調の有無を検出する。このような構成によると、実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
3−3.第一キャビティ81Aの部品の残存判定について
実施形態において、復旧処理部63は、第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かを判定した(S14)。この残存判定は、脱調が検出された場合のスプロケット31の停止角度As、または部品装着機10より部品を採取したか否かを示す採取情報に基づいてなされる構成とした。これに対して、復旧処理部63は、例えば装着ヘッド14と同様にヘッド移動装置15に設けられたカメラにより第一キャビティ81Aを撮像して取得された画像データに基づいて、第一キャビティ81Aに部品が残存しているか否かを判定してもよい。
【0070】
また、復旧処理部63は、上記の残存判定を省略して、脱調を検出した場合には、スプロケット31を現在角度Acから一定角度以上回転させるように復旧を試行してもよい。このような構成によると、第一キャビティ81Aやそれ以降のキャビティで供給部211に位置決めを通過したキャビティに部品が残存していると無駄となるが、部品が残存していないキャビティが供給部211に位置決めされることを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0071】
10:電子部品装着機、 20:テープフィーダ、 21:フィーダ本体、 211:供給部、 30:駆動装置、 31:スプロケット、 311:係合突起、 32:ステッピングモータ、 40:角度センサ、 50:検出センサ、 60:制御装置、 61:脱調検出部、 62:記憶部、 63:復旧処理部、 80:キャリアテープ、 81:キャビティ、 82:係合穴、 90:回路基板、 T1,T2:間隔、 M1:角度情報、 As:停止角度、 Ac:現在角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7