特許第6876832号(P6876832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6876832
(24)【登録日】2021年4月28日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】保持部材回収箱
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210517BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
   H05K13/02 E
   H05K13/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-565105(P2019-565105)
(86)(22)【出願日】2018年1月10日
(86)【国際出願番号】JP2018000283
(87)【国際公開番号】WO2019138461
(87)【国際公開日】20190718
【審査請求日】2020年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】市野 慎次
(72)【発明者】
【氏名】岩城 範明
(72)【発明者】
【氏名】濱根 剛
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−69502(JP,A)
【文献】 特開平9−97996(JP,A)
【文献】 特開平11−354985(JP,A)
【文献】 特開平7−226599(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/008344(WO,A1)
【文献】 特開2012−99724(JP,A)
【文献】 米国特許第6402452(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品装着機に装備され、かつ複数の部品を保持した保持部材を使用して前記部品を供給する複数の部品供給装置の一部で、前記部品を供給すると発生する再利用可能な使用済保持部材を回収する第一分別回収部と、
複数の前記部品供給装置の残部で、前記部品を供給すると発生する再利用されない使用済保持部材を回収する第二分別回収部と、を備え
前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の一方は、前記部品装着機に対して着脱可能な着脱式回収部であり、前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の他方は、前記着脱式回収部に載置される載置型回収部である、
保持部材回収箱。
【請求項2】
前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の一方は、複数の前記部品供給装置の前記一部に装置単位で個別に設けられる個別回収部であり、前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の他方は、複数の前記部品供給装置の前記残部に共通に設けられる共通回収部である、請求項1に記載の保持部材回収箱。
【請求項3】
前記再利用可能な使用済保持部材は、複数の前記部品を一列に保持する内部空間をもつ長筒形状のスティックであり、前記再利用されない使用済保持部材は、前記部品を2枚のテープ間に挟み込んで保持するキャリアテープ、および前記部品をキャビティ部に収容するキャリアテープである請求項1または2に記載の保持部材回収箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品供給装置で発生する使用済保持部材を回収する保持部材回収箱に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が装着された基板を生産する対基板作業機として、はんだ印刷機、部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの対基板作業機を列設して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち部品装着機は、部品の供給を担当する部品供給装置を備える。多くの部品装着機では、複数種類の部品供給装置が装備され、形状や大きさの異なる様々な部品が供給される。部品供給装置は、部品を保持する保持部材として、スティックやキャリアテープなどを使用する。部品を供給すると発生する使用済保持部材を回収するために、保持部材回収箱が設けられる。この種の保持部材回収箱に関連する技術例が特許文献1〜4に開示されている。
【0003】
特許文献1の電子部品供給装置は、空テープ(使用済保持部材)の排出路の下流部に、送り出し方向の異なるガイド部を複数個設けて、空テープを品種別に回収する。さらに、実施形態には、紙テープと樹脂テープを別々の回収部に回収する態様が記載されている。これによれば、テープの品種別の仕分け作業を不要にできる、とされている。
【0004】
また、特許文献2は、廃棄される部品を収容する部品廃棄箱を開示している。この部品廃棄箱は、箱本体と、箱本体を複数の収容室に区切り、かつ取付位置が連続的に可変である複数の仕切部材とを有する。これによれば、部品廃棄箱のスペースを効率よく使用できる、とされている。
【0005】
また、特許文献3の部品装着機は、使用済の保持部材を回収する回収部と、回収された保持部材の量を測定する測定部と、回収された保持部材の量が所定値を超えたときに部品装着機の装着作業を停止する停止部と、を備える。これによれば、保持部材の取り出し忘れを防いで、電子部品の供給トラブルを防ぐことができる、とされている。
【0006】
また、特許文献4には、部品装着機における空スティック回収機構が開示されている。この回収機構は、空スティックの落下方向に傾斜板およびシュータを設け、シュータの排出部に回収トレイを設置している。これによれば、回収トレイに空スティックを確実にかつ必然的に収納でき、飛び出した空スティックをいちいち回収する手間を省ける、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−354985号公報
【特許文献2】国際公開第2015/008344号
【特許文献3】特開2007−95761号公報
【特許文献4】特開昭61−169421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の技術において、紙テープと樹脂テープを別々に回収する点は、近年になって強く要請されるゴミの減量化や資源の有効利用の観点から好ましい。つまり、紙テープを可燃ごみとして廃棄処理し、樹脂テープをプラスチック資源としてリサイクルすることができる。しかしながら、使用済保持部材の再利用を考慮した技術ではない。
【0009】
詳述すると、樹脂テープは、新たに部材を生産する原料としてリサイクルすることが可能である。これに対して、スティックは、手を加えることなく、同じスティックとして再利用することが可能である。してみると、再利用可能な使用済保持部材を分別して回収する技術が必要である。特許文献1〜4において、使用済保持部材の再利用に関する記載は無い。
【0010】
本明細書では、作業者の手間をかけることなく、再利用可能な使用済保持部材を分別して回収する保持部材回収箱を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、部品装着機に装備され、かつ複数の部品を保持した保持部材を使用して前記部品を供給する複数の部品供給装置の一部で、前記部品を供給すると発生する再利用可能な使用済保持部材を回収する第一分別回収部と、複数の前記部品供給装置の残部で、前記部品を供給すると発生する再利用されない使用済保持部材を回収する第二分別回収部と、を備え、前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の一方は、前記部品装着機に対して着脱可能な着脱式回収部であり、前記第一分別回収部および前記第二分別回収部の他方は、前記着脱式回収部に載置される載置型回収部である、保持部材回収箱を開示する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書で開示する保持部材回収箱は、再利用可能な使用済保持部材を第一分別回収部に回収し、再利用されない使用済保持部材を第二分別回収部に回収する。したがって、作業者の手間をかけることなく、再利用可能な使用済保持部材を分別して回収することができる。これにより、保持部材が再利用されるので、資源の有効利用に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の保持部材回収箱、および保持部材回収箱が組み込まれたフィーダ台車の構成を示す斜視図である。
図2】ラジアルフィーダに使用されるキャリアテープの一部分の平面図である。
図3】スティックフィーダに使用されるスティックの斜視図である。
図4】第2実施形態の保持部材回収箱およびフィーダ台車の構成を示す斜視図である。
図5】第2実施形態の保持部材回収箱の部分断面を示す説明図である。
図6】第3実施形態の保持部材回収箱およびフィーダ台車の構成を示す斜視図である。
図7】スティックフィーダに対して個別に設けられる第二分別回収部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.フィーダ台車9の構成
第1実施形態の保持部材回収箱1について、図1図3を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の保持部材回収箱1、および保持部材回収箱1が組み込まれたフィーダ台車9の構成を示す斜視図である。まず、フィーダ台車9の構成について説明する。フィーダ台車9は、後側の部分が部品装着機99に挿入されて装備される。フィーダ台車9は、保持部材回収箱1の他に、台車基部91、車輪92、左右一対のハンドル93、デバイスパレット94、および部品供給装置に相当する複数のフィーダなどで構成される。
【0015】
台車基部91は、部品装着機99の幅寸法よりもやや小さめで、部品装着機99の高さ寸法よりも低めに形成される。4個の車輪92は、台車基部91の底部に設けられる。左右一対のハンドル93は、台車基部91の両方の側面に設けられる。ハンドル93は、台車基部91の側面の下部寄りから前方に延び、さらに屈曲して上方に延びている。作業者は、ハンドル93の上部を把持して操作することにより、フィーダ台車9を移動させることができる。
【0016】
台車基部91の後側の中間高さ辺りに、デバイスパレット94が配設される。デバイスパレット94は、水平方向に延在する略矩形の板状の部材である。デバイスパレット94は、前後方向に刻設されて幅方向に並ぶ複数のスロットをもつ。デバイスパレット94の後縁に、接続部95が立設される。接続部95は、電源供給用や通信用の端子をもつコネクタをスロットごとに有する。
【0017】
複数のフィーダは、デバイスパレット94のスロットに前側から差し込まれて搭載される。フィーダは、スロットの後側まで差し込まれて接続部95に自動接続される。これにより、フィーダは、部品装着機99の本体側から電源供給され、かつ本体側に通信接続される。図1には、複数のフィーダとして2台のラジアルフィーダ8、および1台のスティックフィーダ7が例示されている。デバイスパレット94のスロットには未だ余裕が有り、さらに多数のスティックフィーダ7が搭載される。
【0018】
ラジアルフィーダ8は、2種類のラジアル部品85(図2に示す)を供給するツインタイプに構成されている。ラジアルフィーダ8は、ラジアル部品85を保持した保持部材として2本のキャリアテープ86(図2に示す)を使用する。ラジアルフィーダ8は、2個のフィーダ本体部81、および2個のテープ収納部82などで構成される。
【0019】
2個のフィーダ本体部81は、縦型で薄く形成され、幅方向に並んで配置される。フィーダ本体部81は、ラジアル部品85を供給する部品供給位置をもつ。2個のテープ収納部82は、フィーダ本体部81の前側の位置に、前後方向に並んで配置される。テープ収納部82は、上方に開いた箱形状に形成されている。テープ収納部82には、キャリアテープ86が折り畳まれた状態で収納される。キャリアテープ86は、図略のテープ駆動部により、フィーダ本体部81へ送られる。
【0020】
なお、ラジアルフィーダ8は、シングルタイプに構成されていてもよい。本願出願人は、シングルタイプのラジアルフィーダの構成例を、国際公開第2015/019456号に開示している。
【0021】
図2は、ラジアルフィーダ8に使用されるキャリアテープ86の一部分の平面図である。キャリアテープ86は、ラジアル部品85を2枚のテープ間に挟み込んで一列に保持する。ラジアル部品85は、部品本体部851、および部品本体部851から概ね同じ方向に延びる長短の2本のリード852で形成される。ラジアル部品85として、キャパシタ部品を例示でき、これに限定されない。
【0022】
キャリアテープ86は、台紙テープ861および粘着テープ862で形成される。台紙テープ861および粘着テープ862は、樹脂製や紙製とされる。粘着テープ862は、台紙テープ861に貼り付けられる。かつ、台紙テープ861と粘着テープ862の間に、2本のリード852が挟み込まれる。これにより、ラジアル部品85は、部品本体部851がキャリアテープ86から離隔した状態で保持される。キャリアテープ86のテープ長さ方向に一定ピッチで、係合穴863が穿設されている。テープ駆動部は、係合穴863に係合して、キャリアテープ86を送る。
【0023】
図2の破線Cに示されるように、ラジアル部品85は、フィーダ本体部81の中でリード852が切断されて供給される。さらに、破線Dに示されるように、キャリアテープ86は、部品単位で寸断される。したがって、寸断されかつリード852の残部が残るキャリアテープ86は、ラジアル部品85を供給すると発生する使用済テープ87になる。使用済テープ87は、フィーダ本体部81から落下して、下方に排出される。
【0024】
使用済テープ87は、再利用不能な使用済保持部材である。また、使用済テープ87は、金属製のリード852の残部を含むため、リサイクルもできない。なお、破線Dに示される寸断を行わないタイプのラジアルフィーダにおいても、長尺の使用済テープは、再利用もリサイクルもできない。
【0025】
図1に戻り、スティックフィーダ7は、複数の部品75(図3に示す)を保持した保持部材としてスティック76を使用し、部品75を供給する。スティックフィーダ7は、縦型で薄く形成されている。スティックフィーダ7は、後側から前側へとフィーダ本体部71、スティック支持部72、および押し出し機構部73が配置されて構成される。
【0026】
フィーダ本体部71は、部品75を供給する部品供給位置をもつ。スティック支持部72は、前後にそれぞれ立設された支持部材721の間にスティック76を保持する。複数のスティック76は、上下に重ねられて水平姿勢で支持される。スティック76は、下側から順番に使用される。長さの異なるスティック76に対応するために、前後の支持部材721の離間距離が調整される。なお、本願出願人は、スティックフィーダ7の構成例を、国際公開第2017/046897号に開示している。
【0027】
図3は、スティックフィーダ7に使用されるスティック76の斜視図である。スティック76は、概ね矩形の断面をもつ長筒形状に形成されている。スティック76は、樹脂製とされる。スティック76は、内部空間に複数の部品75を一列に保持する。部品75として、IC部品を例示でき、これに限定されない。押し出し機構部73は、ワイヤ形状の押し出し部材731を、最も下側のスティック76の内部空間に前側から進入させ、後側へと進める。これにより、スティック76内の部品75は、フィーダ本体部71へと順番に押し出されて消費される。
【0028】
全部の部品75が消費されたスティック76は、部品75を供給すると発生する使用済スティック77になる。使用済スティック77は、スティック支持部72から落下して、下方に排出される。使用済スティック77は、再利用可能な使用済保持部材である。例えば、基板生産工場で発生した使用済スティック77は、部品メーカに返却されて部品75が再装填され、スティック76に再利用される。
【0029】
2.第1実施形態の保持部材回収箱1
第1実施形態の保持部材回収箱1の説明に移る。保持部材回収箱1は、第一分別回収部2および第二分別回収部3で構成される。第一分別回収部2は、搭載されている全部のスティックフィーダ7の使用済スティック77を一括して回収する。第二分別回収部3は、搭載されているラジアルフィーダ8に対して装置単位で個別に設けられ、使用済テープ87を個別に回収する。
【0030】
第一分別回収部2は、回収箱21、前輪25、後輪26(図5参照)、および図略のロック機構などで構成される。回収箱21は、上方に開口する大形の箱形状に形成される。回収箱21は、台車基部91の前側の床面に配置され、左右一対のハンドル93の間の大部分の空間を占める。回収箱21は、全部のフィーダの下側に位置して、スティック支持部72から落下する使用済スティック77を自動的に回収する。回収箱21の前面の上部に、左右一対の把手22が設けられる。
【0031】
2個の前輪25は、回収箱21の底面の前寄りの左右に設けられる。1個の後輪26は、回収箱21の底面の後寄りの幅方向の中央に設けられる。後輪26は、フィーダ台車9の前側の左右の車輪92の間に位置して、これらの車輪92と干渉しないように配置される。図1には、後輪26の取付座27が示されている。
【0032】
ロック機構がロックされているとき、第一分別回収部2は、台車基部91に結合されて、フィーダ台車9と一体的に移動する。また、ロック機構が解除されると、第一分別回収部2は、台車基部91から分離される。したがって、作業者は、把手22を把持して第一分別回収部2を台車基部91から引き出し、使用済スティック77を取り出すことができる。
【0033】
第一分別回収部2は、複数のスティックフィーダ7に共通に設けられる共通回収部となっている。また、第一分別回収部2は、部品装着機99に対して着脱可能な着脱式回収部となっている。
【0034】
第二分別回収部3は、ラジアルフィーダ8のテープ収納部82と同一の箱形状に形成されている。これによれば、空になったテープ収納部82を第二分別回収部3に転用でき、便利である。なお、第二分別回収部3とテープ収納部82は、相違する形状であってもよい。第二分別回収部3は、第一分別回収部2の内部の最も後側の位置であって、ラジアルフィーダ8の真下の位置に、着脱可能に載置される。図1には、2台のラジアルフィーダ8に対応する2個の第二分別回収部3が示されている。
【0035】
ラジアルフィーダ8のスロット位置が変更されると、第二分別回収部3の載置位置も併せて変更される。第二分別回収部3は、ラジアルフィーダ8の2個のフィーダ本体部81の下側に位置して、落下する使用済テープ87を自動的に回収する。作業者は、第一分別回収部2を台車基部91から引き出すことにより、第二分別回収部3から使用済テープ87を取り出すことができる。第一分別回収部2を引き出すだけで、使用済スティック77および使用済テープ87の両方が取り出し可能となるため、作業者の手間が軽減される。
【0036】
第二分別回収部3は、ラジアルフィーダ8に装置単位で個別に設けられる個別回収部となっている。また、第二分別回収部3は、着脱式回収部に載置される載置型回収部となっている。
【0037】
第1実施形態の保持部材回収箱1は、再利用可能な使用済スティック77を第一分別回収部2に回収し、再利用されない使用済テープ87を第二分別回収部3に回収する。したがって、作業者の手間をかけることなく、再利用可能な使用済スティック77を分別して回収することができる。これにより、使用済スティック77は、スティック76として再利用され、資源の有効利用に貢献できる。
【0038】
3.第2実施形態の保持部材回収箱1A
次に、第2実施形態の保持部材回収箱1Aについて、第1実施形態と異なる点を主にして説明する。図4は、第2実施形態の保持部材回収箱1Aおよびフィーダ台車9の構成を示す斜視図である。図4には、1台のラジアルフィーダ8、および1台のスティックフィーダ7が例示されており、さらに多数のラジアルフィーダ8およびスティックフィーダ7が搭載される。また、図5は、第2実施形態の保持部材回収箱1Aの部分断面を示す説明図である。
【0039】
第2実施形態の保持部材回収箱1Aは、第一分別回収部2Aおよび第二分別回収部3Aで構成される。第一分別回収部2Aは、搭載されている全部のスティックフィーダ7の使用済スティック77を一括して回収する。第二分別回収部3Aは、搭載されている全部のラジアルフィーダ8の使用済テープ87を一括して回収する。
【0040】
第一分別回収部2Aは、回収箱21、前輪25、後輪26、およびロック機構に加え、載置部23を備える。回収箱21は、上方に開口する大形の箱形状に形成される。回収箱21は、台車基部91の前側の床面に配置され、左右一対のハンドル93の間の大部分の空間を占める。回収箱21は、全部のスティックフィーダ7の下側に位置して、スティック支持部72から落下する使用済スティック77を自動的に回収する。回収箱21の前面の上部に、左右一対の把手22が設けられる。回収箱21の後側の下部寄りに、載置部23が設けられる。
【0041】
前輪25、後輪26、およびロック機構の構成および作用は、第1実施形態と同様である。第一分別回収部2Aは、複数のスティックフィーダ7に共通に設けられる共通回収部となっている。また、第一分別回収部2Aは、部品装着機99に対して着脱可能な着脱式回収部となっている。
【0042】
第二分別回収部3Aは、図5に示されるように、前後方向に狭く、幅方向に広く、上方に開口する箱形状に形成されている。第二分別回収部3Aは、第一分別回収部2Aの載置部23に、着脱可能に載置される。つまり、第二分別回収部3Aは、第一分別回収部2Aの回収空間の後側に配置される。第二分別回収部3Aは、全部のラジアルフィーダ8のフィーダ本体部81の下側に位置して、落下する使用済テープ87を自動的に回収する。
【0043】
第二分別回収部3Aは、複数のラジアルフィーダ8に共通に設けられる共通回収部となっている。また、第二分別回収部3Aは、着脱式回収部に載置される載置型回収部となっている。第2実施形態では、第一分別回収部2Aを引き出すだけで、使用済スティック77および使用済テープ87の両方が取り出し可能となるため、作業者の手間が軽減される。
【0044】
第2実施形態の保持部材回収箱1Aにおいて、再利用可能な使用済スティック77を分別して回収することができる。これにより、使用済スティック77は、スティック76として再利用されるので、資源の有効利用に貢献できる。また、第2実施形態では、第二分別回収部3Aの載置位置を変更する必要がない。
【0045】
4.第3実施形態の保持部材回収箱1B
次に、第3実施形態の保持部材回収箱1Bについて、第1および第2実施形態と異なる点を主にして説明する。図6は、第3実施形態の保持部材回収箱1Bおよびフィーダ台車9の構成を示す斜視図である。図示されるように、フィーダ台車9のデバイスパレット94には、複数のスティックフィーダ7のみが搭載される。また、図7は、スティックフィーダ7に対して個別に設けられる第二分別回収部3Bを示す斜視図である。
【0046】
第3実施形態において、複数のスティックフィーダ7の一部で発生する使用済スティック78は、再利用される。また、複数のスティックフィーダ7の残部で発生する使用済スティック79は、再利用されずに、プラスチック資源としてリサイクルされる。使用済スティック(77、78、79)が再利用されるか否かは、部品75の大きさに対応するスティックサイズの大小や汎用性の有無、部品メーカの別などに依存する。
【0047】
第3実施形態の保持部材回収箱1Bは、第一分別回収部2Bおよび第二分別回収部3Bで構成される。第一分別回収部2Bは、複数のスティックフィーダ7の一部の使用済スティック78を一括して回収する。第二分別回収部3Bは、複数のスティックフィーダ7の残部に対して装置単位で個別に設けられ、使用済スティック79を個別に回収する。
【0048】
第一分別回収部2Bは、構成自体が第1実施形態と同じであり、第二分別回収部3Bが内部に載置されない点で第1実施形態と異なる。第一分別回収部2Bは、複数のスティックフィーダ7の一部の下側に位置して、スティック支持部72から落下する再利用される使用済スティック78を自動的に回収する。第一分別回収部2Bは、複数のスティックフィーダ7に共通に設けられる共通回収部となっている。また、第一分別回収部2Aは、部品装着機99に対して着脱可能な着脱式回収部となっている。
【0049】
図7は、第二分別回収部3Bが個別に設けられる特定のスティックフィーダ7を例示している。特定のスティックフィーダ7の台数および並び位置は、変更可能である。図示されるように、第二分別回収部3Bは、特定のスティックフィーダ7のスティック支持部72の下側に配設される。第二分別回収部3Bは、2個の側面部材31、および底面部材32などで構成される。
【0050】
2個の側面部材31は、スティック支持部72の両方の側面から下向きに、平行して設けられる。底面部材32は、2個の側面部材31の下端同士を連結して、水平に設けられる。これにより、2個の平行する側面部材31の間に、第二分別回収部3Bの回収空間が形成される。第二分別回収部3Bは、スティック支持部72から落下する再利用されない使用済スティック79を回収空間に自動的に回収する。図7の例で、第二分別回収部3Bは、4本の使用済スティック79を上下に重ねて水平姿勢で回収している。作業者は、4本の使用済スティック79を前側に抜いて取り出すことができる。
【0051】
第二分別回収部3Bは、スティックフィーダ7に対して着脱可能とされている。第二分別回収部3Bは、スティックフィーダ7に装置単位で個別に設けられ、かつ着脱可能な個別回収部となっている。スティックフィーダ7から第二分別回収部3Bが取り外された場合、スティック支持部72から落下する使用済スティック78は、第一分別回収部2Bに回収される。
【0052】
第3実施形態の保持部材回収箱1Bでは、再利用される使用済スティック78と、再利用されない使用済スティック79とを分別して回収することができる。また、使用するスティック76の変更に対して、第二分別回収部3Bの着脱を容易に行え、わずかな手間で対応できる。
【0053】
5.実施形態の応用および変形
なお、複数の部品供給装置の種類は、実施形態で説明したラジアルフィーダ8およびスティックフィーダ7に限定されない。すなわち、部品供給装置として、上記以外にもアキシャルフィーダやテープフィーダ、トレイフィーダなどを自由に組み合わせて部品装着機99に装備することが可能である。アキシャルフィーダで使用するキャリアテープは、アキシャル部品を2枚のテープ間に挟み込んで一列に保持する。アキシャルフィーダで発生する使用済テープは、ラジアルフィーダ8と同様に金属製のリードを含むため、再利用もリサイクルもできない。テープフィーダで使用するキャリアテープは、部品をキャビティ部に収容している。テープフィーダで発生する使用済テープは、プラスチック資源としてリサイクルすることが可能である。トレイフィーダで使用するトレイは、部品が格子状に配列される。トレイフィーダで発生する使用済トレイは、再利用が可能である。
【0054】
また、3種類以上の部品供給装置が装備される場合に、3種類の分別回収部を備える保持部材回収箱を用いることができる。すなわち、第1の分別回収部で再利用可能な使用済保持部材を回収し、第2の分別回収部でリサイクル可能な使用済保持部材を回収し、第3の分別回収部で再利用もリサイクルもされない使用済保持部材を回収することができる。さらに、第3実施形態の説明と逆に、第一分別回収部2Bが再利用されない使用済スティックを回収し、第二分別回収部3Bが再利用される使用済スティックを回収するようにしてもよい。また、フィーダ台車9は必須でなく、複数の部品供給装置が直接的に部品装着機99に装備され、その下側に保持部材回収箱(1、1A、1B)が配置されてもよい。第1〜第3実施形態は、他にも様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B:保持部材回収箱 2、2A、2B:第一分別回収部 21:回収箱 23:載置部 3、3A、3B:第二分別回収部 31:側面部材 32:底面部材 7:スティックフィーダ 75:部品 76:スティック 77、78、79:使用済スティック 8:ラジアルフィーダ 85:ラジアル部品 86:キャリアテープ 87:使用済テープ 9:フィーダ台車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7