(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、バイクなどの二輪車に搭乗する搭乗者は、走行時における安全を向上させるために、その頭部にヘルメットを装着している。また、搭乗者の頭部を保護するため、ヘルメットの内部には厚いウレタン等からなる保護層が形成されており、その保護層は使用者の頭部表面に密着している。従って、特に夏季においては、ヘルメット内部は高温と成り、搭乗者の頭部の不快感が増すばかりでなく、それに伴う搭乗者の集中力低下等により、運転が危険な状態となってしまう恐れが有る。
【0003】
そこで、かかる問題に対処するために、バイクに搭乗する搭乗者が装着するヘルメットを冷却する空調装置が開発されている。
【0004】
このような、バイクに備えられる空調装置は、例えば特許文献1に記載されている。
図5を参照して、この種のバイク100の構成を説明する。ここでは、バイク100は、空調装置101と、この空調装置101とヘルメット102とを繋ぐエア供給管103およびエア回収管104と、を備えている。また、エア供給管103およびエア回収管104は、ヘルメット102を装着したライダー105に対して着脱自在に接続している。
【0005】
バイク100に搭載された空調装置101が動作する際には、空調装置101で冷却された空気は、エア供給管103を経由してヘルメット102に供給され、これによりライダー105の頭部は冷却される。また冷却後の空気は、エア回収管104を経由して、ヘルメット102から空調装置101に帰還する。かかる動作により、バイク100に搭乗するライダー105の頭部を冷却し、ライダー105の快適性を向上させるとともに、ライダー105の集中力低下を抑止することで搭乗時の安全性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した空調装置101は、冷媒と空気との間で熱交換を行う蒸発器を備えていたので、装置全体が複雑であり且つ重量が大きい課題があった。
【0008】
更に、上記した空調装置101では、空調装置101とヘルメット102とは、エア供給管103およびエア回収管104で連結されているため、空調のための装置全体の構成が複雑に成る。更に、ライダー105がバイク100に搭乗する際に、エア供給管103およびエア回収管104を接続しなければならないため、その接続作業がライダー105にとって煩雑である課題があった。
【0009】
更には、上記したバイク用の空調装置101では、エア供給管103とエア回収管104を経由して冷気を循環させるため、ヘルメット102に導入される冷気が必ずしも清浄ではない課題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で効率よく使用者の頭部を冷却することができる冷気供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷気供給装置は、使用者が頭部に装着するヘルメットに冷却された空気を供給
し、移動体に取りつけられる冷気供給装置であり、空気冷凍サイクルで冷却した前記空気を前記ヘルメットに送風
し、前記空気冷凍サイクルは、前記空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記空気を冷却する冷却器と、冷却された前記空気を膨張させる膨張手段と、を有し、膨張された前記空気が前記ヘルメットに送風され、前記空気冷凍サイクルは、前記移動体に取りつけられた取入口から取り入れられた外気を冷却し、前記取入口は、前記移動体が備えるエンジンまたはラジエタからの熱気が流入しない位置に配置され、前記空気冷凍サイクルの前記冷却器は、前記エンジンまたは前記ラジエタからの熱気が流入しない位置に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記取入口は、前記エンジンまたは前記ラジエタよりも前方側に配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記冷却器は、前記エンジンまたは前記ラジエタよりも、前方側または側方側に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記膨張手段は、前記ヘルメットの後方端部付近に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷気供給装置は、使用者が頭部に装着するヘルメットに冷却された空気を供給
し、移動体に取りつけられる冷気供給装置であり、空気冷凍サイクルで冷却した前記空気を前記ヘルメットに送風
し、前記空気冷凍サイクルは、前記空気を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記空気を冷却する冷却器と、冷却された前記空気を膨張させる膨張手段と、を有し、膨張された前記空気が前記ヘルメットに送風され、前記空気冷凍サイクルは、前記移動体に取りつけられた取入口から取り入れられた外気を冷却し、前記取入口は、前記移動体が備えるエンジンまたはラジエタからの熱気が流入しない位置に配置され、前記空気冷凍サイクルの前記冷却器は、前記エンジンまたは前記ラジエタからの熱気が流入しない位置に配置されることを特徴とする。従って、冷却効率に優れる空気冷凍サイクルで冷却した冷気をヘルメットに供給することで、効率良くヘルメットの内部を冷却することが可能と成り、エネルギ供給が限られた状況下であっても、ヘルメットの内部の温度上昇を抑制して使用者の快適性および安全性を向上することができる。
【0018】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記取入口は、前記エンジンまたは前記ラジエタよりも前方側に配置されることを特徴とする。従って、効率良くヘルメットの内部を冷却することが可能と成る。
【0019】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記冷却器は、前記エンジンまたは前記ラジエタよりも、前方側または側方側に配置されることを特徴とする。従って、効率良くヘルメットの内部を冷却することが可能と成る。
【0020】
また、本発明の冷気供給装置では、
前記膨張手段は、前記ヘルメットの後方端部付近に配置されることを特徴とする。従って、効率良くヘルメットの内部を冷却することが可能と成る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して本形態の冷気供給装置10の構成を説明する。以下の説明では、冷気供給装置10に取り入れる前の外部の空気を「外気」と称し、冷気供給装置10で膨張される前の空気を単に「空気」と称し、冷気供給装置10で膨張された後の空気を「冷気」と称する場合もある。
【0025】
図1に、本形態の冷気供給装置10が組み込まれたバイク30の構成を示す。
図1(A)はバイク30の側面図であり、
図1(B)はバイク30の上面図である。
【0026】
図1(A)を参照して、バイク30は、エンジンの駆動力で後輪を回転させ、搭乗する使用者11がハンドルを操舵することで、使用者11を目的の場所まで移動させる移動装置である。ここで、使用者11は、ライダーや搭乗者と称されることもある。
【0027】
バイク30に搭乗する使用者11は、道路交通法の定めにより、更に安全性を向上させるために、その頭部にヘルメット13を装着している。ここでは、ヘルメット13として、使用者11の頭部を全体的に保護するフルフェイス型ヘルメットを例示しているが、他の形態のものが採用されてもよい。例えば、使用者11の頭部の上方部分のみを覆うキャップ型のヘルメットに対して、本形態の冷気供給装置10を適用させることもできる。
【0028】
本形態では、使用時におけるヘルメット13の温度上昇を抑制するために、ヘルメット13の内部に冷気を送風する冷気供給装置10をバイク30に配設している。
【0029】
本形態でバイク30に組み込まれる空気冷凍サイクルは、所謂開放型のものであり、通常の冷凍サイクルで用いられている冷媒を使用しない。本形態の空気冷凍サイクルでは、冷凍サイクルで冷却された空気をそのままヘルメット13に供給している。従って、熱エネルギを輸送するための冷媒を用いる通常の冷凍サイクルと比較すると、本形態の空気冷凍サイクルは蒸発器が不要とされているので、その構成が簡素である。更に、一般的な冷凍サイクルでは蒸発器にて冷媒と空気との間で熱交換を行うが、本形態で用いる空気冷凍サイクルでは、後述するように、冷却器16で冷却された空気を膨張手段17で低圧とした後にそのままヘルメット13に送風している。従って、本形態では、ヘルメット13に供給される冷気を効率的に冷却することができる。
【0030】
また、本形態では、使用者11が着用するヘルメット13と、バイク30とは、ホース12を経由して連通している。ホース12は、例えば樹脂材料から成る可撓性を有する管状部材であり、その後端部分はバイク30に接続され、その前端部分はヘルメット13の後方部分に接続されている。ホース12の長さは、バイク30の後端付近とヘルメット13の後方部分とを接続できると共に、走行時における使用者11の運転動作を阻害しない程度に設定される。また、ホース12とヘルメット13との接続部14は、ホース12をヘルメット13に挿入したらその挿入状態が保持されるロック機構を備えている。更に、このようなロック機構はホース12とバイク30との接続部28に設けられてもよい。
【0031】
ホース12とヘルメット13とを接続する接続部14は、例えば転倒事故等が発生すると、両者の接続が解かれるように脆弱的に構成されている。このようにすることで、バイク30が走行している際に転倒事故が発生しても、転倒時に接続部14に作用する衝撃や引張力により、ホース12とヘルメット13との接続は解除されるので、転倒事故が発生した際にホース12を介して使用者11がバイク30に引っ張られることが抑止される。係る事項についてはヘルメット13の構成として後述する。
【0032】
上記した冷気供給装置10は、次のように動作する。先ず、バイク30に搭乗するに際して、使用者11は、バイク30に備えられた冷気供給装置10とヘルメット13とをホース12を介して連通させる。次に、バイク30に備えられたスイッチ等を操作するなどして、バイク30に搭載された冷気供給装置10の運転を開始させ、冷気供給装置10からヘルメット13に冷気を供給する。冷気供給装置10の具体的な動作は、
図2を参照して後述する。
【0033】
図2を参照して、本形態のバイク30に搭載された冷気供給装置10の構成を詳述する。
【0034】
冷気供給装置10は、バイク30の外部から取り入れられた空気を冷却する空気冷凍サイクルとして、圧縮機15、冷却器16および膨張手段17を有している。圧縮機15は、取入口23で取得された空気を圧縮することで高温高圧状態とする。冷却器16は、圧縮機15から送られた空気を外部と熱交換することで低温高圧状態とする。膨張手段17は、冷却器16から送られた空気を膨張させることで空気を低温低圧状態の冷気とする。膨張手段17で低温低圧の状態とされた冷気は、上記したように、ホース12を経由してヘルメット13に送風される。
【0035】
冷気供給装置10を構成する各部材は、冷気を通過させる風路27で相互に接続されている。具体的には、取入口23、圧縮機15、冷却器16、膨張手段17および接続部28は、この順番にて風路27で接続されている。風路27は、例えば、合成樹脂製のパイプ状部材から成る。
【0036】
取入口23は、ヘルメット13に送風される空気が外部から取入れられる開口である。取入口23は、バイク30に備えられる図示しないエンジンやラジエタ24からの熱気が流入しない位置に配置される。例えば、取入口23を、ここでは図示しないエンジンおよびラジエタ24よりも前方部分に取り付けることができる。これにより、図示しないエンジンおよびラジエタ24で加熱される前の外気温に近い空気を、取入口23から取り入れることができるので、ヘルメット13に送風される冷気の温度を効率的に低下させることができる。また、取入口23は、バイク30を進行方向から見た場合において、図示しないエンジンおよびラジエタ24の側方側に配置してもよい。このようにすることによっても、図示しないエンジンおよびラジエタ24で加熱されていない外気を取入口23から取り入れることができる。更に、冷却器16で熱交換された空気も比較的高温状態であることを考慮すると、取入口23は、冷却器16の前方や側方に取り付けられるのが好ましい。
【0037】
圧縮機15は、所謂コンプレッサであり、取入口23から取入れられた空気を圧縮して高温高圧の状態とする。圧縮機15を駆動させる駆動源としては、例えば、バイク30を駆動させるエンジンまたはモータを採用することができる。本形態の冷気供給装置10は、空気が液化するまで冷却するものではなく、ヘルメット13に供給される空気を例えば0℃乃至10℃に冷却するものである。従って、圧縮機15には大きな圧縮比は必要とされないことから、圧縮機15としては比較的小型のものを採用することができる。圧縮機15の位置としては、空気冷凍サイクルの効率を向上させるために冷却器16の近傍が好ましく、具体的には、ヘルメット13に形成される接続部14よりも前方が好ましい。
【0038】
冷却器16は、圧縮機15で高温高圧とされた空気が導入され、この空気と外部との間で熱交換を行うことで、空気を低温高圧の状態にする。冷却器16は、このように外部との熱交換を行うことから、冷却器16の位置としては、エンジンやラジエタ24で加熱された熱風の影響を受けない位置が好ましい。具体的な冷却器16の位置としては、図示しないエンジンおよびラジエタ24の前方または側方が好ましい。このようにすることで、エンジンやラジエタ24から発生する温風の影響を受けること無く、冷却器16にて、高温高圧である空気から効率的に熱エネルギを外気に放出させることができる。
【0039】
膨張手段17は、例えば膨張弁やキャピラリーチューブから成り、冷却器16から送られる低温高圧の空気を、低温低圧の状態とする。膨張手段17で膨張される前の空気の温度は外気温よりも高いが、膨張手段17で膨張された後の空気の温度は外気温よりも低い。膨張手段17が配置される場所は、バイク30の本体、ホース12内部またはヘルメット13内部である。ここで、膨張手段17からヘルメット13までの経路の長さが長くなると、その経路で送風される空気が加熱されてしまい、十分に冷却されている空気をヘルメット13に供給できない恐れが有る。よって、熱効率を向上させるためには、膨張手段17はヘルメット13に接近して配置されたほうが良い。このためには、膨張手段17は、バイク30の後方端部付近に配置されることが好ましい。更に、膨張手段17は、ホース12の内部またはヘルメット13の内部に配置することも可能である。また、膨張手段17の近傍には、冷凍サイクルを運転させることで発生する冷却水を外部に逃がすための分離用デミスタが設けられる。
【0040】
制御装置18は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、上記した冷気供給装置10の運転を制御している。具体的には、制御装置18は、使用者11の指示等に基づいて、冷気供給装置10を運転する。使用者11の指示としては、例えば、バイク30に設けられた図示しない制御釦を使用者11が押下することが考えられる。また、制御装置18は、外気温などの条件に応じて冷気供給装置10の運転状況を変更してもよい。具体的には、図示しない温度センサで計測した外気温が高ければ、制御装置18が、ヘルメット13の内部をより積極的に冷却するために、ヘルメット13に送風される冷気の風量を増大するようにしてもよい。
【0041】
上記したように、本形態の開放型の冷気供給装置10は、冷媒を循環させることで冷却運転を行う通常の冷凍サイクルと比較して、蒸発器を備えておらず構成が簡素で且つ軽量であるので、コンパクトなバイク30に搭載する冷凍サイクルとして好適である。
【0042】
また、本形態の開放型の空気冷凍サイルを用いた冷気供給装置10は、一般的な冷凍サイクルと比較すると成績係数(Coefficient Of Performance、COP)が優れている。その理由は、一般的な冷凍サイクルでは蒸発器にて冷媒と空気との間で熱交換を行う際に熱エネルギのロスが生じるが、本形態の空気冷凍サイクルでは膨張された空気をそのままヘルメット13に供給するため、このようなロスが生じないからである。このことから、空気を圧縮する圧縮機15として出力が比較的小さいものを採用することが可能であり、冷気供給装置10全体の軽量化や低コスト化を図ることができる。
【0043】
更にまた、本形態では、取入口23から取り入れた空気を冷気供給装置10で冷却してヘルメット13に送風し、使用者11の頭部を冷却した後の空気をヘルメット13から外部に放出している。従って、ヘルメット13に、取入口23を経由して外部から取り入れた新鮮な空気を送風しているので、ヘルメット13の内部環境を清浄に保つことができる。
【0044】
図3を参照して、上記した空気冷凍サイクルで冷却した冷気が供給されるヘルメット13の構成を詳述する。
図3(A)は装着されているヘルメット13を示す断面であり、
図3(B)は接続部14およびその周辺部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0045】
図3(A)を参照して、ヘルメット13は、硬質な合成樹脂から成るヘルメットシェル20と、ヘルメットシェル20の内側に取り付けられた発泡樹脂から成るライナ21と、ライナ21の内側に取り付けられたウレタンフォームから成るクッション22とを有している。ヘルメット13の下端には、使用者頭部19を出し入れするための開口部34が形成されている。また、本形態では、冷気を供給するホース12とヘルメット13とを接続するための接続部14が、ヘルメット13の後方下部に形成されている。
【0046】
本形態では、ヘルメット13の内部にて冷気を全体的に行き渡らせるために、ヘルメット13のクッション22に通風路25を形成している。ここでは、通風路25を太い点線で示している。通風路25は、クッション22の内部に管路状に形成されても良いし、クッション22の内壁を連続的に窪ませた溝であってもよい。また、通風路25は、接続部14からヘルメット13の周囲に向かって広がるように放射状に形成されても良いし、互いに交差するように格子状に形成されて良いし、両者を組み合わせた形状でも良い。このようにヘルメット13の内部に通風路25を形成することで、接続部14からヘルメット13に送風された冷気を、通風路25を経由してヘルメット13の内部に全体的に行き渡らせ、使用者頭部19を効率的に冷却している。
【0047】
また、ヘルメット13の下部に形成される開口部34の近傍には、上記した通風路25と同様の構成を有する通風路26が形成されている。通風路26を形成することで、使用者11の頭部を冷却した空気を、通風路26を経由して良好に外部に放出することができる。通風路26は、ヘルメット13の内部から開口部34まで連続して形成されている。また、通風路26の形状としては、バイク30が走行する際の風圧で空気の排出が阻害されないように、その下部が後方に向かって傾斜する傾斜形状を採用することができる。
【0048】
図3(B)を参照して、ホース12がヘルメット13に接続される接続部14を説明する。接続部14は、ヘルメット13の後方端部に形成されたソケット部32と、ホース12の先端に取り付けられたプラグ部31とから形成されている。ソケット部32にプラグ部31を挿入することで、ホース12とヘルメット13とが連通するように成る。
【0049】
接続部14には、プラグ部31をソケット部32に挿入したら両者が係合する図示しない係合部が設けられても良い。例えば、この係合部は、プラグ部31の先端部付近に形成された図示しない係合爪部と、ソケット部32に設けられた図示しない係合凹部から成る。そして、プラグ部31をソケット部32に挿入したら、係合爪部が係合凹部に係合するように構成されている。このようにすることで、使用状況下にてホース12がヘルメット13から離脱することを抑止することができる。
【0050】
また、上記した係合部は、使用者11が転倒するなどの事故が生じた際には、ホース12がヘルメット13から離脱するように脆弱的に形成されてもよい。例えば、上記した係合爪部を、一定以上の荷重が加わったら破断するように構成してもよい。このようにすることで、使用者11が搭乗するバイク30が転倒するなどして事故が生じた場合、上記した係合爪部が破断することでホース12がヘルメット13から離脱する。従って、ホース12を介して、転倒したバイク30に使用者11が引っ張られてしまうことが抑止される。ここで、上記した脆弱部は接続部14以外にも形成されても良く、例えば、ホース12の途中部分を他の部分よりも破断しやすい形状にすることで脆弱部が形成されても良い。
【0051】
図4を参照して、本形態の冷気供給装置10を使用者11が携行する場合を説明する。ここでは、使用者11が背負う収納体35に冷気供給装置10が収納されている。即ち、
図2に示した圧縮機15、冷却器16および膨張手段17などの冷気供給装置10を構成する各部材を、使用者11が携行している。更に、収納体35には、冷気供給装置10を駆動するためのバッテリやモータ等も収納されている。収納体35に備えられた冷気供給装置10は、ヘルメット13の後部に形成された接続部14と、ホース12を経由して接続されている。収納体35に収納された冷気供給装置10が運転されると、冷気供給装置10で冷却された冷気は、ホース12を経由して、ヘルメット13に送風され、使用者11の頭部を冷却することができる。
【0052】
かかる構成の冷気供給装置10の適用分野としては、例えば、作業者が野外にてヘルメット13を装着した状態で作業を行う農業分野や建設分野が考えられる。特に、夏季において係る分野に従事する作業者は、例えば30℃以上の雰囲気下でヘルメット13を装着した状態で作業を行うため、ヘルメット13の内部が高温に成り、作業時の安全を確保することが難しい場合が有る。本形態の冷気供給装置10は、その構成がコンパクトであるため携行が可能であり、十分に冷却された冷気をヘルメット13に供給できるので、作業者である使用者11の作業性を妨げること無く、その頭部を十分に冷却することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。