(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
過去に検査対象の回路基板に実行した検査における検査結果に基づく履歴情報であって、前記回路基板の被検査電極と前記回路基板を検査する検査電極との相対的な位置を示す検査位置情報を含む履歴情報に基づいて、前記被検査電極と前記検査電極との位置合わせに関する設定情報を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記設定情報に基づいて、前記相対的な位置を変更して前記回路基板を検査する検査部と
を備え、
前記履歴情報は、前記回路基板を支持するために与える張力の条件を表す支持条件情報をさらに含み、
前記検査部は、さらに前記回路基板を支持するために引っ張る力を変更する
検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による回路基板の検査方法及び検査装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による検査装置1の一例を示す外観図である。
図1に示すように、検査装置1は、回路基板を電気的に検査する装置であり、カメラ3及び検査プローブ治具2を用いて、例えば、ワークPB上の回路基板を検査する。検査装置1は、各種操作を実行する操作部11と、表示部12とを備えており、内部に制御ユニット4を備えている。なお、操作部11、表示部12、及び制御ユニット4の詳細については、後述する。
【0012】
また、
図2は、本実施形態に検査装置1の検査プローブ治具2の一例を示す図である。
図2に示すように、ワークPBは、基板支持部51により張力を与えられながら支持されており、検査装置1の検査ユニット6には、検査プローブ治具2及びカメラ3が取り付けられている。検査装置1は、カメラ3によって撮像された画像に基づいて、検査プローブ治具2の位置とワークPBとの相対位置を調整して、検査プローブ治具2が備えるプローブ21(検査電極の一例)と、回路基板上の被検査電極31とを接触させて、回路基板の検査を実行する。ここで、検査プローブ治具2は、検査ユニット6に、プローブ21を介して、個片回路基板30の被検査電極31を接続するための治具である。
【0013】
なお、以下の説明において、ワークPBの回路基板面をX軸方向及びY軸方向からなるXY平面とし、当該XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。また、Z軸を中心とする回転方向をθ方向とする。
検査装置1は、ワークPB上の被検査電極31と、検査プローブ治具2のプローブ21との相対的な位置関係を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθ方向に調整して、被検査電極31とプローブ21とを接触させて、回路基板の電気的な検査を実行する。
【0014】
次に、
図3を参照して、検査対象の回路基板のワークPBについて説明する。
図3は、本実施形態における検査対象の回路基板のワークPBの一例を示す図である。
図3に示すように、回路基板のワークPB(検査対象物の一例)は、複数の個片回路基板30を備えた、例えば、シート状のフレキシブル基板である。
【0015】
個片回路基板30(回路基板の一例)は、検査対象の回路基板であり、それぞれが、被検査電極31と、配線パターン32と、個片アライメントマーク33とを備えている。
被検査電極31は、個片回路基板30を検査するための電極であり、検査プローブ治具2のプローブ21が電気的に接続される。
【0016】
配線パターン32は、回路基板を形成する金属等の導電性材料の配線であり、検査装置1による電気的な検査において、当該配線を含む個片回路基板30が期待どおりに製造されているか否かを検査する。
個片アライメントマーク33は、個片回路基板30の基準位置を示すパターンであり、各被検査電極31の位置は、当該個片アライメントマーク33の位置を基準に設計値として予め定められている。なお、
図3に示す例では、個片回路基板30が1つの個片アライメントマーク33を備えているが、複数の個片アライメントマーク33を備えてもよい。
【0017】
次に、
図4を参照して、検査装置1の機能構成について説明する。
図4は、本実施形態による検査装置1の一例を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、検査装置1は、操作部11と、表示部12と、カメラ3と、制御ユニット4と、駆動機構5と、検査ユニット6と、検査プローブ治具2とを備えている。
【0018】
操作部11は、例えば、操作パネルや、表示部12に備えられたタッチパネルなどの入力装置であり、作業者の操作に応じて、各種情報を受け付ける。操作部11は、受け付けた各種情報を制御ユニット4に出力する。
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ装置であり、制御ユニット4からの制御に基づいて、検査装置1の検査処理における各情報を表示する。
【0019】
カメラ3は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの撮像素子を備え、検査対象の回路基板を撮像し、撮像した画像データを制御ユニット4に出力する。カメラ3は、例えば、個片アライメントマーク33を撮像し、個片アライメントマーク33の位置の検出に用いられる。
【0020】
駆動機構5は、ワークPB及び検査プローブ治具2を移動させる機構である。駆動機構5は、ワークPBと、検査プローブ治具2との相対的な位置関係を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びθ方向に変更可能に構成されている。
検査ユニット6は、検査対象の個片回路基板30に対して、電気的な検査を実行する。検査ユニット6は、例えば、配線パターン32の断線や短絡(ショート)を検出する。検査ユニット6は、検査プローブ治具2のプローブ21を介して、個片回路基板30の被検査電極31と接続される。
【0021】
制御ユニット4は、検査装置1を制御する制御装置である。制御ユニット4は、例えば、制御部40と、記憶部41とを備えている。
なお、制御ユニット4は、ネットワークに接続可能な通信機能を備えて、ネットワークを介して、検査プログラムなどを取得してもよいし、ネットワークを介して、検査結果などを外部の記憶装置(例えば、ファイルサーバなど)に記憶させるようにしてもよい。
【0022】
記憶部41は、検査装置1の各種処理に利用されるデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部41は、例えば、個片回路基板30を検査する検査プログラム、検査を実行した結果である検査結果などを記憶する。また、記憶部41は、例えば、ワークPB内の各個片アライメントマーク33の位置情報(設計値)、各個片回路基板30の位置情報(設計値)、検査プローブ治具2及びプローブ21の位置情報(設計値)などを記憶する。また、記憶部41は、履歴情報記憶部411と、設定情報記憶部412とを備えている。
【0023】
履歴情報記憶部411は、過去に検査対象の個片回路基板30に実行した検査において検査結果が正常と判定された(期待する検査結果が得られた)、個片回路基板30の被検査電極31と検査プローブ治具2のプローブ21との相対的な位置を示す検査位置情報を含む履歴情報を記憶する。すなわち、履歴情報記憶部411は、過去に検査対象の個片回路基板30に実行した検査における検査結果に基づく履歴情報を記憶する。履歴情報記憶部411は、例えば、製品情報(ワーク情報)と、ロット情報と、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と、治具情報と、コンタクト位置情報と、検査結果とを対応付けた情報を含んでいる。
【0024】
ここで、製品情報(ワーク情報)は、製品又はワークPBを識別する識別情報を示し、ロット情報は、検査したロットを示す情報である。また、個片アライメントマーク33の位置情報は、カメラ3を用いて計測された各個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)であり、治具情報は、検査プローブ治具2の識別情報を示している。また、コンタクト位置情報は、各個片回路基板30におけるオフセットリトライを実行する前の検査プローブ治具2の位置情報を示し、オフセットリトライ情報は、各個片回路基板30のオフセットリトライの実行情報(例えば、移動方向、変更量、移動回数、移動順序など)を示している。また、検査結果は、各個片回路基板30の判定結果(不良箇所の有無、不良の種別など)である。
なお、履歴情報は、このような被検査電極31とプローブ21との位置合わせに関する各種情報と検査結果とを対応付けた情報を複数含んでいる。すなわち、履歴情報は、検査を繰り返すことによって得られる情報である。なお、履歴情報は、正常に検査された(例えば、良品と判定された)各個片回路基板30の情報のみを含むようにしてもよいし、検査された全ての各個片回路基板30の情報を含むようにしてもよい。また、履歴情報には、基板支持部51によるワークPBの支持条件情報が含まれてもよい。ワークPBの支持条件情報の詳細については、後述する。
【0025】
設定情報記憶部412は、被検査電極31とプローブ21との位置合わせに関する設定情報を記憶する。なお、設定情報には、例えば、コンタクト位置情報、オフセットリトライ情報、動作シーケンス情報、ワークPBの支持条件情報などが含まれる。
コンタクト位置情報(初期位置情報)は、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置の初期設定を示す。コンタクト位置情報は、個片回路基板30ごとに設定される。
【0026】
オフセットリトライ情報は、コンタクト位置情報に基づく被検査電極31とプローブ21との相対的な位置により、正常に検査できなかった場合(期待する検査結果が得られなかった場合)に、行う再検査において変更する相対的な位置に関する再検査変更情報である。オフセットリトライ情報は、例えば、変更方向、変更量(距離)、変更回数、変更順序などである。また、オフセットリトライ情報は、個片回路基板30ごとに設定される。
動作シーケンス情報(手順指定情報)は、例えば、個片アライメントマーク33の検出及び個片アライメントマーク33の位置情報に基づく位置調整を実行するか否かを示す情報である。
【0027】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、検査装置1を統括的に制御する。制御部40は、例えば、情報設定部42と、検査制御部43と、履歴更新部44とを備えている。ここで、情報設定部42と、検査制御部43と、履歴更新部44とは、記憶部41が記憶する検査プログラムとCPUとによって実現される機能部である。なお、本実施形態では、検査プログラムは、予め検査対象の回路基板ごとに作成されたものであって、実行途中で変更されるものではなく、設定情報記憶部412に記憶されている設定情報に基づいて、実行する処理(例えば、被検査電極31とプローブ21との位置合わせの処理)が変更されて実行される。また、制御部40は、検査結果に基づいて設定情報を自動的に履歴更新部44に記憶させる。なお、設定情報のうちの特定の設定情報の初期値は、手動又は制御部40による自動的に履歴更新部44に記憶される。
【0028】
情報設定部42(設定部の一例)は、過去に検査対象の個片回路基板30に実行した検査における検査結果に基づく履歴情報であって、個片回路基板30の被検査電極31と個片回路基板30を検査するプローブ21との相対的な位置を示す検査位置情報を含む履歴情報に基づいて、上述した設定情報を設定する。すなわち、情報設定部42は、履歴情報記憶部411が記憶する履歴情報に基づいて、設定情報を生成し、生成した設定情報を設定情報記憶部412に記憶させる。情報設定部42は、例えば、履歴情報に基づいて、コンタクト位置情報、オフセットリトライ情報、動作シーケンス情報などを設定情報記憶部412に記憶させて設定する。
【0029】
例えば、情報設定部42は、履歴情報から、検査結果が良品になるコンタクト位置(例えば、プローブ21の位置)の傾向を、個片回路基板30ごとに抽出し、個片回路基板30ごとのコンタクト位置情報を生成する。ここで、情報設定部42は、被検査電極31とプローブ21との位置が一致する可能性の高いコンタクト位置情報を生成する。そして、情報設定部42は、生成したコンタクト位置情報を設定情報記憶部412に記憶させる。なお、情報設定部42は、コンタクト位置(例えば、プローブ21の位置)の傾向を、個片回路基板30ごとに抽出する代わりに、ワークPB全体に対する傾向として抽出してもよい。
【0030】
また、例えば、情報設定部42は、履歴情報から、オフセットリトライの傾向を、個片回路基板30ごとに抽出し、個片回路基板30ごとのオフセットリトライ情報を生成する。ここで、情報設定部42は、被検査電極31とプローブ21との位置が一致する可能性の高い変更方向、変更量(距離)、及び変更順序を優先させて、オフセットリトライ情報を生成する。そして、情報設定部42は、生成したオフセットリトライ情報を設定情報記憶部412に記憶させる。
【0031】
また、例えば、情報設定部42は、履歴情報において、個片回路基板30ごとに個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と設計値とのずれが、所定の期間又は回数、規定値以内に収まっているか否かを判定する。情報設定部42は、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と設計値とのずれが、所定の期間又は回数、規定値以内に収まっている場合に、個片アライメントマーク33の検出及び個片アライメントマーク33の位置情報に基づく位置調整を実行しない動作シーケンス情報を設定情報記憶部412に記憶させる。また、情報設定部42は、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と設計値とのずれが、所定の期間又は回数、規定値以内に収まっていない場合に、個片アライメントマーク33の検出及び個片アライメントマーク33の位置情報に基づく位置調整を実行する動作シーケンス情報を設定情報記憶部412に記憶させる。
なお、情報設定部42は、ワークPBが備える複数の個片回路基板30のそれぞれに対して、履歴情報に基づいて、各設定情報を設定する。
【0032】
検査制御部43(検査部の一例)は、情報設定部42によって設定された設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して個片回路基板30を検査する。すなわち、検査制御部43は、設定情報記憶部412が記憶する設定情報に基づいて、駆動機構5を駆動させて、例えば、プローブ21を検査位置に移動させて、個片回路基板30を検査する。また、検査制御部43は、例えば、コンタクト位置情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21と相対的な位置を初期位置(コンタクト位置)に移動して個片回路基板30を検査する。また、検査制御部43は、例えば、期待する検査結果が得られなかった場合に、オフセットリトライ情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21と相対的な位置を変更して再検査を実行する。また、検査制御部43は、例えば、動作シーケンス情報に対応する処理手順に基づいて、被検査電極31とプローブ21と相対的な位置を変更して個片回路基板30を検査する。
また、検査制御部43は、コンタクト位置制御部431と、リトライ位置制御部432と、検査処理部433とを備えている。
【0033】
コンタクト位置制御部431(初期移動部の一例)は、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を初期位置(コンタクト位置)に移動する。すなわち、コンタクト位置制御部431は、設定情報記憶部412が記憶するコンタクト位置情報に基づいて、駆動機構5を駆動させて、例えば、プローブ21をコンタクト位置(初期位置)に移動させる。なお、コンタクト位置情報は、例えば、個片アライメントマーク33の位置を基準に規定されるものとする。
【0034】
リトライ位置制御部432(再検査変更部の一例)は、後述する検査処理部433において、期待する検査結果が得られなかった場合に、再検査を実行する前に、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更する。すなわち、リトライ位置制御部432は、設定情報記憶部412が記憶するオフセットリトライ情報に基づいて、駆動機構5を駆動させて、例えば、プローブ21を、オフセットリトライを実行する位置に移動させる。
【0035】
検査処理部433は、コンタクト位置制御部431及びリトライ位置制御部432によって変更された被検査電極31とプローブ21との相対的な位置において、個片回路基板30を検査する。すなわち、検査処理部433は、検査ユニット6に個片回路基板30を検査させて、当該検査結果を取得する。そして、検査処理部433は、当該検査結果を記憶部41に記憶させる。
【0036】
履歴更新部44は、検査制御部43によって得られた検査結果と、当該検査位置情報とに基づいて、履歴情報を更新する。すなわち、履歴更新部44は、例えば、製品情報(ワーク情報)と、ロット情報と、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と、治具情報と、コンタクト位置情報と、リトライ情報と、当該検査結果とを対応付けた情報を履歴情報記憶部411に追加記憶させて、履歴情報に当該検査結果分を追加する。
【0037】
次に、図面を参照して、本実施形態による検査装置1の動作について説明する。
図5は、本実施形態の検査装置1による回路基板の検査処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、検査装置1は、回路基板の検査を実行する際に、まず、ラーニングモードを実行するか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、検査装置1の制御部40は、例えば、操作部11から受け付けた情報に基づいて、ラーニングモードを実行するか否かを判定する。検査処理を行う作業者は、例えば、検査対象の回路基板が、新規立ち上げの製品であり、履歴情報の蓄積がない、又は不充分である場合に、操作部11を介して、ラーニングモードを実行する指示を行う。また、検査処理を行う作業者は、例えば、検査対象の回路基板が、既に検査実績があり、履歴情報の蓄積が充分である場合に、操作部11を介して、ラーニングモードを実行しない指示を行う。
【0038】
制御部40は、ラーニングモードを実行すると判定した場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、制御部40は、ラーニングモードを実行しないと判定した場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0039】
ステップS102において、制御部40は、ラーニングモードの検査処理を実行する。制御部40は、ラーニングモードの検査処理において、検査対象である各個片回路基板30を検査するとともに、履歴情報の蓄積を実行する。制御部40は、ラーニングモードの検査処理において、個片アライメントマーク33の検出及び個片アライメントマーク33の位置情報に基づく位置調整を実行するとともに、設定情報の変更を行わずに、初期情報(デフォルト値)により実行する。なお、ラーニングモードの検査処理の詳細については、
図6を参照して後述する。ステップS102の処理後に、制御部40は、処理をステップS103に進める。
【0040】
ステップS103において、制御部40は、プレディクションモード(予測モード)の検査処理を実行する。制御部40は、プレディクションモードの検査処理において、履歴情報記憶部411が記憶する履歴情報に基づいて、各設定情報を設定し、設定した各設定情報に基づいて、例えば、プローブ21の位置を移動させて、各個片回路基板30を検査する。なお、プレディクションモードの検査処理の詳細については、
図7を参照して後述する。ステップS103の処理後に、制御部40は、検査処理を終了する。
【0041】
次に、
図6を参照して、上述したラーニングモードの検査処理(ステップS102の処理)について説明する。
図6は、本実施形態におけるラーニングモードの検査処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、ラーニングモードの検査処理において、制御部40は、まず、ワーク基準補正、及び傾き補正を実行する(ステップS201)。制御部40は、カメラ3が撮像した画像データに基づいて、ワークPBの基準値の位置を検出し、当該ワークPBの基準値の位置に基づいて駆動機構5を駆動させて、ワークPBの位置及び傾き(θ方向の傾き)を補正する。
【0042】
次に、制御部40の検査制御部43は、個片アライメントマーク33を検出する(ステップS202)。検査制御部43は、カメラ3が撮像した画像データに基づいて、個片アライメントマーク33の位置を検出する。
【0043】
次に、検査制御部43は、コンタクト位置にプローブ21を移動させる(ステップS203)。検査制御部43のコンタクト位置制御部431は、ステップS202によって検出された個片アライメントマーク33の位置と、コンタクト位置情報の初期情報(例えば、設計値)とに基づいて、駆動機構5を駆動させて、コンタクト位置にプローブ21を移動させる。
【0044】
次に、検査制御部43は、電気検査を実行する(ステップS204)。検査制御部43の検査処理部433は、検査ユニット6に個片回路基板30を検査させて、当該検査結果を取得する。そして、検査処理部433は、当該検査結果を記憶部41に記憶させる。
【0045】
次に、検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件であるか否かを判定する(ステップS205)。検査制御部43は、検査ユニット6によって検査された検査結果に基づいて、オフセットリトライを行う条件であるか否かを判定する。検査制御部43は、検査結果が、例えば、不良品(NG)であり、不良品の項目がオフセットリトライにより救済可能である場合に、オフセットリトライを行う条件であると判定する。検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件である場合(ステップS205:YES)に、処理をステップS206に進める。また、検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件でない場合(ステップS205:NO)に、処理をステップS207に進める。
【0046】
ステップS206において、検査制御部43のリトライ位置制御部432は、オフセットリトライ位置にプローブ21を移動させる。リトライ位置制御部432は、オフセットリトライ情報の初期情報(デフォルト値)により、駆動機構5を駆動させて、オフセットリトライ位置にプローブ21を移動させる。ステップS206の処理後に、リトライ位置制御部432は、処理をステップS204に戻して、再び電気検査を実行する。
【0047】
また、ステップS207において、制御部40の履歴更新部44は、各種検査情報と検査結果とを、履歴情報記憶部411に記憶させる。すなわち、履歴更新部44は、例えば、製品情報(ワーク情報)と、ロット情報と、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と、治具情報と、コンタクト位置情報と、リトライ情報と、当該検査結果とを対応付けた情報を履歴情報記憶部411に追加記憶させて、履歴情報に当該検査結果分を追加する。
【0048】
次に、制御部40は、ワークPBに未検査の個片(個片回路基板30)があるか否かを判定する(ステップS208)。制御部40は、ワークPBに未検査の個片がある場合(ステップS208:YES)に、処理をステップS202に戻す。また、制御部40は、ワークPBに未検査の個片がない場合(ステップS208:NO)に、処理をステップS209に進める。
【0049】
ステップS209において、制御部40は、再検査を実行するか否かを判定する。制御部40は、例えば、別のリトライ条件により救済の可能性がある場合、良品の割合(以下、歩留ということがある)が、所定の値以下である場合などに、再検査を実行すると判定する。制御部40は、再検査を実行すると判定した場合(ステップS209:YES)に、処理をステップS213に進める。また、制御部40は、再検査を実行しないと判定した場合(ステップS209:NO)に、処理をステップS210に進める。
【0050】
ステップS210において、制御部40は、ラーニングモードを終了するか否かを判定する。制御部40は、例えば、所定の個数の検査が完了し、履歴情報の蓄積が充分である場合や、歩留が所定の値以上であった場合などに、ラーニングモードを終了すると判定する。制御部40は、ラーニングモードを終了すると判定した場合(ステップS210:YES)に、処理をステップS212に進める。また、制御部40は、ラーニングモードを終了しないと判定した場合(ステップS210:NO)に、処理をステップS211に進める。
【0051】
ステップS211において、制御部40は、次のワークPBをセットする。すなわち、制御部40は、駆動機構5を駆動させて、次のワークPBを検査対象としてセット(設定)させる。ステップS211の処理後に、制御部40は、処理をステップS201に戻す。なお、ワークPBは、作業者の人手によってセットされてもよい。
また、ステップS212において、制御部40の情報設定部42は、各種設定情報を設定する。すなわち、情報設定部42は、履歴情報記憶部411が記憶する履歴情報に基づいて、各種設定情報(例えば、コンタクト位置情報、オフセットリトライ情報、動作シーケンス情報、ワークPBの支持条件情報など)を、個片回路基板30ごとに生成し、生成した各種設定情報を設定情報記憶部412に記憶させる。ステップS212の処理後に、制御部40は、ラーニングモードの検査処理を終了し、プレディクションモードの検査処理に移行する。
【0052】
また、ステップS213において、制御部40は、ワークPBの支持条件を変更するか否かを判定する。制御部40は、ワークPBの支持条件を変更する場合(ステップS213:YES)に、処理をステップS214に進める。また、制御部40は、ワークPBの支持条件を変更しない場合(ステップS213:NO)に、処理をステップS201に戻し、再検査を実行する。
【0053】
また、ステップS214において、制御部40は、ワークPBの支持条件を変更する。すなわち、制御部40は、ワークPBを支持するために与える張力の条件(例えば、基板支持部51がワークPBを支持するために引っ張る力、基板支持部51の間隔距離など)を変更する。制御部40は、例えば、基板支持部51がワークPBを引っ張る時間に対する張力の大きさの関係に基づいて、当該引っ張る時間をワークPBの支持条件として変更する。これにより、制御部40は、基板支持部51がワークPBを支持するために引っ張る力(張力)を変更する。
【0054】
具体的には、引っ張る時間と張力の大きさとの関係は、例えば、0.1S(秒)ごとに1.0kgf(重力キログラム)増加するように設定されている。この場合、ワークPBの支持条件として、例えば、引っ張る時間が0.1Sである場合には、掛かる張力は、1.0kgfであり、例えば、引っ張る時間が0.2Sである場合には、掛かる張力は、2.0kgfである。また、例えば、引っ張る時間が0.3Sである場合には、掛かる張力は、最大値の3.0kgfである。制御部40は、このように、ワークPBの支持条件として、基板支持部51がワークPBを支持するために引っ張る時間と引っ張る力(張力)とを変更する。なお、引っ張る力(張力)を変更することによっても、ワークPBのたるみや変形の状態により被検査電極31とプローブ21との相対的な位置が変更される。
また、制御部40は、ステップS214の処理後に、処理をステップS201に戻し、再検査を実行する。
【0055】
次に、
図7を参照して、上述したプレディクションモードの検査処理(ステップS103の処理)について説明する。
図7は、本実施形態におけるプレディクションモードの検査処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、プレディクションモードの検査処理において、制御部40は、まず、ワーク基準補正、及び傾き補正を実行する(ステップS301)。制御部40は、カメラ3が撮像した画像データに基づいて、ワークPBの基準値の位置を検出し、当該ワークPBの基準値の位置に基づいて駆動機構5を駆動させて、ワークPBの位置及び傾き(θ方向の傾き)を補正する。
【0056】
次に、制御部40の検査制御部43は、動作シーケンスを判定する(ステップS302)。すなわち、検査制御部43は、設定情報記憶部412が記憶する動作シーケンス情報に基づいて、第1動作シーケンスと、第2動作シーケンスとのいずれの検査処理を実行するのかを判定する。検査制御部43は、第1動作シーケンスの検査処理を実行すると判定した場合に、処理をステップS303に進める。また、検査制御部43は、第2動作シーケンスの検査処理を実行すると判定した場合に、処理をステップS304に進める。なお、動作シーケンス情報の変更条件の詳細については後述する。
【0057】
ステップS303において、検査制御部43は、第1動作シーケンスの検査処理を実行する。第1動作シーケンスの検査処理において、検査制御部43は、個片アライメントマーク33を検出した位置調整を行った上で、コンタクト位置情報に基づくコンタクト位置の移動、及び、オフセットリトライ情報に基づくオフセットリトライ位置の移動を実行する。なお、第1動作シーケンスの検査処理の詳細については、
図8を参照して後述する。ステップS303の処理後に、検査制御部43は、処理をステップS305に進める。
【0058】
ステップS304において、検査制御部43は、第2動作シーケンスの検査処理を実行する。第2動作シーケンスの検査処理において、検査制御部43は、個片アライメントマーク33を検出した位置調整を省略して、コンタクト位置情報に基づくコンタクト位置の移動、及び、オフセットリトライ情報に基づくオフセットリトライ位置の移動を実行する。なお、第2動作シーケンスの検査処理の詳細については、
図9を参照して後述する。ステップS304の処理後に、検査制御部43は、処理をステップS305に進める。
【0059】
また、ステップS305において、履歴更新部44は、各種検査情報と検査結果とを、履歴情報記憶部411に記憶させる。すなわち、履歴更新部44は、例えば、製品情報(ワーク情報)と、ロット情報と、個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と、治具情報と、コンタクト位置情報と、リトライ情報と、当該検査結果とを対応付けた情報を履歴情報記憶部411に追加記憶させて、履歴情報に当該検査結果分を追加する。
【0060】
次に、情報設定部42は、各種設定情報を更新する(ステップS306)。すなわち、情報設定部42は、履歴情報記憶部411が記憶する履歴情報に基づいて、各種設定情報(例えば、コンタクト位置情報、オフセットリトライ情報、動作シーケンス情報、ワークPBの支持条件情報など)を、個片回路基板30ごとに生成し、生成した各種設定情報を設定情報記憶部412に記憶させる。
【0061】
例えば、情報設定部42は、個片回路基板30ごとに個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と設計値とのずれが、所定の期間又は回数、規定値以内に収まっている場合に、第2動作シーケンスの検査処理を指定する動作シーケンス情報を設定する。また、情報設定部42は、個片回路基板30ごとに個片アライメントマーク33の位置情報(実測値)と設計値とのずれが規定値を超える場合、又は歩留が所定の値以下になった場合などに、第1動作シーケンスの検査処理を指定する動作シーケンス情報を設定する。
【0062】
次に、制御部40は、ワークPBに未検査の個片(個片回路基板30)があるか否かを判定する(ステップS307)。制御部40は、ワークPBに未検査の個片がある場合(ステップS307:YES)に、処理をステップS302に戻す。また、制御部40は、ワークPBに未検査の個片がない場合(ステップS307:NO)に、処理をステップS308に進める。
【0063】
ステップS308において、制御部40は、再検査を実行するか否かを判定する。制御部40は、再検査を実行すると判定した場合(ステップS308:YES)に、処理をステップS301に戻し、再検査を実行する。また、制御部40は、再検査を実行しないと判定した場合(ステップS308:NO)に、処理をステップS309に進める。
【0064】
ステップS309において、制御部40は、検査を終了するか否かを判定する。制御部40は、検査を終了すると判定した場合(ステップS309:YES)に、処理を終了する。また、制御部40は、検査を終了しないと判定した場合(ステップS309:NO)に、処理をステップS310に進める。
【0065】
ステップS310において、制御部40は、次のワークPBをセットする。すなわち、制御部40は、駆動機構5を駆動させて、次のワークPBを検査対象としてセット(設定)させる。ステップS310の処理後に、制御部40は、処理をステップS301に戻す。なお、ワークPBは、作業者の人手によってセットされてもよい。
【0066】
次に、
図8を参照して、上述した第1動作シーケンスの検査処理(ステップS303の処理)について説明する。
図8は、本実施形態における第1動作シーケンスの検査処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、検査制御部43は、まず、個片アライメントマーク33を検出する(ステップS401)。検査制御部43は、カメラ3が撮像した画像データに基づいて、個片アライメントマーク33の位置を検出する。
【0067】
次に、検査制御部43は、個片アライメントマーク33の位置を更新する(ステップS402)。すなわち、検査制御部43は、検出した個片アライメントマーク33の位置情報を記憶部41に記憶させる。これにより、個片アライメントマーク33の位置(実測値)に基づく、コンタクト位置の調整が可能になる。
【0068】
次に、検査制御部43は、設定情報に基づくコンタクト位置にプローブ21を移動させる(ステップS403)。すなわち、検査制御部43のコンタクト位置制御部431は、設定情報記憶部412が記憶するコンタクト位置情報に基づいて、プローブ21を移動させる。ここで、検査制御部43は、プローブ21を移動させるコンタクト位置を、記憶部41が記憶する個片アライメントマーク33の位置(実測値)と、コンタクト位置情報とに基づいて算出する。
【0069】
次に、検査制御部43は、電気検査を実行する(ステップS404)。検査制御部43の検査処理部433は、検査ユニット6に個片回路基板30を検査させて、当該検査結果を取得する。そして、検査処理部433は、当該検査結果を記憶部41に記憶させる。
【0070】
次に、検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件であるか否かを判定する(ステップS405)。検査制御部43は、検査ユニット6によって検査された検査結果に基づいて、オフセットリトライを行う条件であるか否かを判定する。検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件である場合(ステップS405:YES)に、処理をステップS406に進める。また、検査制御部43は、オフセットリトライを行う条件でない場合(ステップS405:NO)に、第1動作シーケンスの処理を終了する。
【0071】
ステップS406において、検査制御部43のリトライ位置制御部432は、設定情報に基づくオフセットリトライ位置にプローブ21を移動させる。リトライ位置制御部432は、設定情報記憶部412が記憶するオフセットリトライ情報に基づいて、駆動機構5を駆動させて、オフセットリトライ位置にプローブ21を移動させる。例えば、オフセットリトライ情報により、移動方向、変更量、移動回数、移動順序などが定められており、リトライ位置制御部432は、オフセットリトライ情報に基づいて、次のオフセットリトライ位置にプローブ21を移動させる。ステップS406の処理後に、リトライ位置制御部432は、処理をステップS404に戻して、再び電気検査を実行する。
【0072】
次に、
図9を参照して、上述した第2動作シーケンスの検査処理(ステップS304の処理)について説明する。
図9は、本実施形態における第2動作シーケンスの検査処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すステップS501からステップS504の処理は、上述した
図8に示すステップS403からステップS406の処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。なお、第2動作シーケンスの検査処理では、検査制御部43は、個片アライメントマーク33を検出しないため、ステップS501において、個片アライメントマーク33の位置(実測値)は、過去に検出したデータを利用する。
【0073】
なお、上述した
図5〜
図9において説明した処理において、ステップS212及びステップS306の処理が、設定ステップに対応し、ステップS302からステップS304の処理が、検査ステップに対応する。また、ステップS207及びステップS305の処理が、履歴更新ステップに対応する。
【0074】
次に、
図10〜
図17を参照して、個片回路基板30に位置ずれが発生する要因について説明する。
図10は、XY方向のオフセットによる回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、個片回路基板30Aが、設計値の個片回路基板30−0から、製造バラツキやワークPBの供給位置のバラツキなどにより、XY方向にずれている場合の一例を示している。
また、
図11は、回転による回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、個片回路基板30Bが、設計値の個片回路基板30−0から、製造バラツキやワークPBの供給位置のバラツキなどにより、θ方向に回転してずれている場合の一例を示している。
【0075】
また、
図12は、X方向の伸縮による回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、個片回路基板30Cが、設計値の個片回路基板30−0から、製造バラツキなどにより、X方向に伸びて形成されている場合の一例を示している。
また、
図13は、Y方向の伸縮による回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、個片回路基板30Dが、設計値の個片回路基板30−0から、製造バラツキなどにより、Y方向に伸びて形成されている場合の一例を示している。
【0076】
また、
図14は、ワークPBのずれによる回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、ワークPB1が、固定部13により張力が発生して変形している場合の一例を示している。なお、ワークPB0は、変形のない場合を示している。ワークPB1のように変形している場合、固定部13の周辺にある個片回路基板30の位置にずれが発生する。
また、
図15は、ワークPBの垂れによる回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、ワークPB2が垂れ下がっており、ワークPB2上にある個片回路基板30の位置にずれが発生する。
また、
図16は、ワークPBの反りによる回路基板の位置ずれの一例を説明する図である。この図に示す例では、ワークPB3は、反りが発生しており、ワークPB3上にある個片回路基板30の位置にずれが発生する。
【0077】
また、
図17は、ワークPB内における回路基板の異なる種類の位置ずれが発生している場合の一例を説明する図である。
図17に示すワークPB4は、9個の個片回路基板30を備えており、例えば、個片回路基板30−1は、位置ずれがなく設計値どおりの位置である場合の一例を示している。また、個片回路基板30−2は、例えば、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でXY方向にずれている場合の一例を示している。また、個片回路基板30−3は、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でY軸方向にずれている場合の一例を示している。また、個片回路基板30−4は、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でX軸方向にずれている場合の一例を示している。また、個片回路基板30−5は、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でθ方向に回転してずれている場合の一例を示している。また、個片回路基板30−6は、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でY方向に伸縮して位置がずれている場合の一例を示している。また、個片回路基板30−7は、製造バラツキなどにより、ワークPB4内でX方向に伸縮して位置がずれている場合の一例を示している。なお、この図において、破線の四角は、設計値の位置を示している。
【0078】
このように、
図10〜
図17に示すような個片回路基板30の位置ずれが発生する場合があり、従来の回路基板の検査方法、及び従来の検査装置では、位置ずれを作業者の人手による調整や、オフセットリトライ処理の回数を増加させることで対応を試みていたため、検査処理の時間が掛かっていた。また、
図14から
図17に示す位置ずれのように、ワークPB内で位置ずれの傾向が異なる場合には、従来の回路基板の検査方法、及び従来の検査装置では、対応することが困難であった。
【0079】
これに対して、本実施形態による回路基板の検査方法、及び検査装置1では、設定情報(例えば、コンタクト位置情報、オフセットリトライ情報、動作シーケンス情報、ワークPBの支持条件情報など)に基づいて、個片回路基板30ごとに位置ずれを調整するため、上述した
図10〜
図17に示すいずれの位置ずれにも対応可能である。なお、本実施形態による回路基板の検査方法、及び検査装置1では、
図12及び
図13に示す位置ずれに対しては、個片回路基板30の収縮又は伸長の程度が、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置調整により調整可能な場合に対応可能である。また、本実施形態による回路基板の検査方法、及び検査装置1では、履歴情報による位置ずれの傾向に基づいて、設定情報を設定するため、作業者の人手による調整(セッティング)に要する時間を短縮されるとともに、オフセットリトライ処理の回数を低減することができる。そのため、本実施形態による回路基板の検査方法、及び検査装置1では、検査時間、及び検査工程全体に要する時間を短縮することができる。
【0080】
なお、上述した本実施形態による検査装置1では、情報設定部42は、ワークPBに含まれる複数の個片回路基板30のそれぞれに対して、履歴情報に基づいて、設定情報を設定する例を説明したが、複数の個片回路基板30を含むワークPB全体に対して、履歴情報に基づいて、設定情報を設定するようにしてもよい。また、情報設定部42は、設定情報の種類によって、複数の個片回路基板30のそれぞれに対して設定する場合と、ワークPB全体に対して設定する場合とを切り替えて設定してもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査装置1が実行する回路基板の検査方法であって、設定ステップと、検査ステップとを含んでいる。設定ステップにおいて、検査装置1は、過去に検査対象の個片回路基板30(回路基板)に実行した検査における検査結果に基づく履歴情報であって、個片回路基板30の被検査電極31と個片回路基板30を検査するプローブ21(検査電極)との相対的な位置を示す検査位置情報を含む履歴情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との位置合わせに関する設定情報を設定する。検査ステップにおいて、検査装置1は、設定ステップによって設定された設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して個片回路基板30を検査する。
【0082】
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、履歴情報の検査位置情報により個片回路基板30の位置ずれの傾向に応じて、設定情報を設定し、設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して個片回路基板30を検査する。そのため、本実施形態による回路基板の検査方法は、設定情報に基づいて被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を適切に変更することができるため、検査時間を短縮することができる。また、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査の位置合わせの要因による不良の判定を低減することができるため、回路基板の歩留(良品率)を向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、設定情報には、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置の初期位置を示すコンタクト位置情報(初期位置情報の一例)が含まれる。設定ステップにおいて、検査装置1は、履歴情報に基づいて、コンタクト位置情報を設定し、検査ステップにおいて、検査装置1は、コンタクト位置情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を初期位置に移動して個片回路基板30を検査する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、作業者の人手による調整(セッティング)に要する時間を短縮させることができる。よって、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査時間、及び検査工程全体に要する時間を短縮することができる。
【0084】
また、本実施形態では、設定情報には、期待する検査結果が得られなかった場合に変更する被検査電極31とプローブ21との相対的な位置に関するオフセットリトライ情報(再検査変更情報)が含まれる。設定ステップにおいて、検査装置1は、履歴情報に基づいて、オフセットリトライ情報を設定し、検査ステップにおいて、検査装置1は、期待する検査結果が得られなかった場合に、オフセットリトライ情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して再検査を実行する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、オフセットリトライ処理の回数を低減することができる。よって、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査時間、及び検査工程全体に要する時間を短縮することができる。また、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査対象の回路基板(被検査電極31)に残るプローブ21の接触痕を軽減することができる。
【0085】
また、本実施形態では、設定情報には、被検査電極31とプローブ21との位置合わせに関して実行される動作シーケンス(処理手順)を指定する動作シーケンス情報(手順指定情報)が含まれる。設定ステップにおいて、検査装置1は、履歴情報に基づいて、動作シーケンス情報を設定し、検査ステップにおいて、検査装置1は、動作シーケンス情報に対応する動作シーケンスに基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して回路基板を検査する。例えば、検査ステップにおいて、検査装置1は、動作シーケンス情報に基づいて、個片アライメントマーク33の検出及び個片アライメントマーク33の位置情報に基づく位置調整する動作シーケンスを省略する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、履歴情報に基づいて、実行する処理手順を適切に変更することができる。よって、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査時間、及び検査工程全体に要する時間を短縮することができる。
【0086】
また、本実施形態では、設定情報には、ワークPBの支持条件情報が含まれる。設定ステップにおいて、検査装置1は、履歴情報に基づいて、ワークPBの支持条件情報を設定し、検査ステップにおいて、検査装置1は、期待する検査結果が得られなかった場合に、ワークPBの支持条件情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して再検査を実行する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、例えば、ワークPBの支持条件情報として、基板支持部51がワークPBを支持するために引っ張る時間と引っ張る力(張力)とを変更し、ワークPBのたるみや変形の状態により被検査電極31とプローブ21との相対的な位置が変更される。そのため、本実施形態による回路基板の検査方法は、例えば、コンタクト位置を微調整しても適切にコンタクト位置が設定できない場合などであっても、ワークPBの支持条件情報を変更することにより、ワークPBのたるみや変形の状態を変化させて、適切に検査することができる。また、本実施形態による回路基板の検査方法は、作業者の人手によるワークPBの支持条件の調整(セッティング)に要する時間を短縮させることができるので、検査時間、及び検査工程全体に要する時間を短縮することができる。
【0087】
また、本実施形態では、設定ステップにおいて、検査装置1は、検査対象物(例えば、ワークPB)に含まれる複数の個片回路基板30のそれぞれに対して、履歴情報に基づいて、設定情報を設定する。検査ステップにおいて、検査装置1は、複数の個片回路基板30のそれぞれに対して、設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して検査する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、例えば、
図14から
図17に示す位置ずれのように、ワークPB内で位置ずれの傾向が異なる場合であっても、適切に検査することができる。
【0088】
また、本実施形態では、設定ステップにおいて、検査装置1は、複数の個片回路基板30を含む検査対象物(例えば、ワークPB)に対して、履歴情報に基づいて、設定情報を設定する。検査ステップにおいて、検査装置1は、検査対象物(例えば、ワークPB)に含まれる複数の個片回路基板30のそれぞれに対して、設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して検査する。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、例えば、ワークPBが全体に位置ずれしているような場合であっても、適切に検査することができる。
【0089】
また、本実施形態による回路基板の検査方法は、検査装置1が、検査ステップによって得られた検査結果と、当該検査位置情報とに基づいて、履歴情報を更新する履歴更新ステップを含む。
これにより、本実施形態による回路基板の検査方法は、履歴情報を更新することで、個片回路基板30又はワークPBの位置ずれの傾向の変化に、適切に対応することができる。
なお、上述した本実施形態では、個片回路基板30を検査するごとに履歴情報を更新する例を説明したが、ワークPBごと、個片回路基板30の所定の個数ごと、又はワークPBの所定の個数ごとに、履歴情報を更新するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態による検査装置1は、情報設定部42(設定部)と、検査制御部43(検査部)とを備えている。情報設定部42は、過去に検査対象の個片回路基板30に実行した検査における検査結果に基づく履歴情報であって、個片回路基板30の被検査電極31と個片回路基板30を検査するプローブ21との相対的な位置を示す検査位置情報を含む履歴情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との位置合わせに関する設定情報を設定する。検査制御部43は、情報設定部42によって設定された設定情報に基づいて、被検査電極31とプローブ21との相対的な位置を変更して個片回路基板30を検査する。
これにより、本実施形態による検査装置1は、上述した本実施形態による回路基板の検査方法と同様の効果を奏する。
【0091】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、動作シーケンスが、第1動作シーケンスと、第2動作シーケンスとの2個である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、3個以上(例えば、N個)の動作シーケンスを、動作シーケンス情報に基づいて切り替えて実行するようにしてもよい。
また、第1動作シーケンス及び第2動作シーケンス以外の動作シーケンスとしては、例えば、複数の個片回路基板30を1つの検査プローブ治具2で検査するパラレル測定(並列測定)する際に、1回で全ての被検査電極31にプローブ21を位置合わせできない場合などに、1個の個片回路基板30ごとに位置合わせして検査を実行する動作シーケンスなどであってもよい。
【0092】
また、上記の実施形態において、検査装置1は、検査結果と履歴情報とを異なる情報として記憶部41に記憶させる例を説明したが、検査結果と履歴情報とを同一の情報として履歴情報記憶部411に記憶させるようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、検査装置1は、検査するごとに履歴情報を追加記憶させて、履歴情報に基づいて設定情報を更新する例を説明したが、これに限定されるものではない。検査装置1は、例えば、設定情報を履歴情報として履歴情報記憶部411に記憶させ、履歴情報記憶部411に記憶されている履歴情報と、新たに検査をした検査結果とに基づいて、設定情報を履歴情報として更新して履歴情報記憶部411に記憶させるようにしてもよい。この場合、検査装置1は、履歴情報記憶部411に記憶されている履歴情報としての設定情報に基づいて、実行する処理(例えば、被検査電極31とプローブ21との位置合わせの処理)が変更される。
【0093】
また、上記の実施形態において、ラーニングモードにおいて、歩留が所定の値以下である場合、又は、個片アライメントマーク33の位置(測定値)のずれが所定の範囲を超える場合などに、ラーニングモードを中断して、履歴情報をリセットして再度実行するようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、X軸方向、Y軸方向、及びθ方向の位置ずれについて対応する例を説明したが、Z軸方向のずれに対応させてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態において、検査装置1は、検査プローブ治具2及びカメラ3をそれぞれ1個備える例を説明したが、これに限定されるものではない。検査装置1は、検査プローブ治具2又はカメラ3を2個以上備えるようにしてもよい。また、検査プローブ治具2又はカメラ3を2個以上備える場合には、検査装置1は、個片回路基板30の異なる方向(例えば、Z軸方向の2つの方向)から個片回路基板30を検査するようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態において、検査装置1は、シート状のワークPBにより供給される個片回路基板30を検査する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ロール状態により供給されるものであってもよいし、トレイなどに乗せられて供給されるものであってもよい。また、個片回路基板30が、ワークPB上に格子状に配置される例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の状態に配置されてもよい。
また、上記の実施形態において、検査対象の回路基板の一例として、個片回路基板30である例を説明したが、1枚のワークPB全体が検査対象の回路基板であってもよい。また、個片回路基板30は、フレキシブル基板である例を説明したが、他の種類の回路基板であってもよい。
【0096】
なお、上述した検査装置1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した検査装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した検査装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0097】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に検査装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0098】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個片にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。