特許第6877036号(P6877036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877036
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】容器型のベル及びその楽しみ方
(51)【国際特許分類】
   G10K 1/07 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   G10K1/07
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-123249(P2017-123249)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2018-77451(P2018-77451A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-214635(P2016-214635)
(32)【優先日】2016年11月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−086368(JP,U)
【文献】 実開昭48−075985(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0203808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器型の共鳴体と、当該共鳴体が共振する際に振動の節となる位置に持ち手部を有することを特徴とする容器型のベル。
【請求項2】
前記持ち手部は前記容器型の共鳴体の側部又は下側に有することを特徴とする請求項1記載の容器型のベル。
【請求項3】
前記容器型の共鳴体は銅合金製であることを特徴とする請求項1又は2記載の容器型のベル。
【請求項4】
前記容器型の共鳴体に飲料を注ぐと鳴る音が変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器型のベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器としても機能するベル及びその鳴らして楽しむ楽しみ方に関する。
【背景技術】
【0002】
音が鳴る容器としては、例えば特許文献1に呼び鈴付グラスが開示されている。
しかし、同公報に開示するグラスはグラスを単に呼び鈴に嵌合しただけのものであり、グラス等の容器と共鳴体が一体化されたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49−52875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、容器型のベルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る容器型のベルは、容器型の共鳴体と、当該共鳴体が共振する際に振動の節となる位置に持ち手部を有することを特徴とする。
本発明は、共鳴体が共振する際に振動の節となる部分に持ち手部を取り付けることで、手で持っても共鳴体の振動にあまり影響を与えないことに着目した。
スイートスポットとも称される振動の節は、加振試験を行い振動モード解析を行うことで、その部位に存在することが容易に分かる。
【0006】
本発明において、持ち手部は前記容器型の共鳴体の側部又は下側に有していてもよい。
また、共鳴体は銅合金製であってよい。
銅合金には、鉛レスの合金が好ましく、Cu:73.0〜77.0%,Si:2.7〜3.4%,P:0.04〜0.15%,残部がZnと不純物からなる合金や、Cu−Sn系の合金,洋白等が例として挙げられる。
【0007】
本発明に係るベルは、容器型の共鳴体に飲料を注ぐと鳴る音が変化し、また注ぐ飲料の種類によっても大きく変化するので、ベルの音の変化を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る容器型のベルは、持ち手部を手で持っても共鳴体の共振節部に、この持ち手があるので共鳴音がよく響く。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る容器型のベルの例を示す。(a)〜(c)に示したベルは中心線廻りに点対称の回転体である。
図2】コブレット型の共鳴体からなるベルの例を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は断面図を示す。
図3】コップ型の共鳴体からなるベルの例を示す。
図4】共鳴体の底部と持ち手部とを連結したベルの例を示す。
図5】二重構造の共鳴体の例を示す。
図6】共鳴体の内側に容器部を形成した例を示す。
図7】二重構造の共鳴体の例を示す。
図8】注いだ飲料の種類と音の変化をグラフに示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る容器型のベルの例を以下図面に基づいて説明する。
図1(a)は、カクテル型の容器からなる共鳴体11の下側に、持ち手部12を有するベルの例である。
本実施例では、持ち手部12が脚部として機能し、自立させる円形状の座部17を有している。
共鳴体11を軽く打つと音が鳴り、その際の共振時に振動の節となる節部13を有する。
本実施例では、さらに棒状の持ち手部の途中に拡径部からなる節部13aを形成することで、持ち手部を手で持った際に共振に影響を与えないようになっている。
【0011】
図1(b)はコップ型の共鳴体11の下側に脚部となる持ち手部12を形成したベルの例である。
この場合も共鳴体の底部と脚部とのつなぎ部に、振動の節部13が存在し、脚部の振れを伴う振動の節部13aを脚部の途中に拡径部として設けてある。
【0012】
図1(c)は、タンブラー型の共鳴体11の側部にリング状の突条部からなる節部13を形成したベルの例である。
この場合は、節部13の下側が持ち手部12となる。
【0013】
図2は、タンブラー型の共鳴体11の底部に脚部となる持ち手部12と、座部17を形成したコブレットに似たベルの例を示す。
図2に示した共鳴体11の開口部の外径約40mm,肉厚1mm,共鳴体部の高さ約45mm,共鳴体の底部の内径約20mm,持ち手部12の高さ約25mm,座部17の外径35mmのベルを用いて、鳴る音の変化を調べた結果を図8に示す。
図8(a)は共鳴体が空の状態、(b)は半分程度の水を入れた状態、(c)は半分程度の炭酸水を入れた状態で、打音のA特性音圧レベルの最大値が80±5dBになるように打ち、積分型精密騒音計2236(ブリュエル・ケアー・ジャパン製)を用い、約1m離れた位置で測定したグラフである。
飲料によって明らかに、音色や鳴り響く時間に差があることが明らかになった。
なお、等価騒音レベルが70dBから50dBまで低下する残響時間を計測すると、空の状態:2.7秒,水を入れた状態:1.5秒なのに対して、炭酸水を入れた場合には極端に短く、0.1秒であった。
なお、清酒を注いでベルを鳴らしてみると、上記の水に近い値を示し、本発明に係るベルは乾杯用にも使用できた。
【0014】
図3は、コップ型の共鳴体11の側部の振動の節部13となる部分に、持ち手部12を連結した例を示し、図4は円錐状の共鳴体11aの底部の節部13から、持ち手部12を立設した例を示す。
図5は、共鳴体11bの内側に容器状の共鳴体14を設け、外側の共鳴体11bの側部の節部13に持ち手部12aを設けた例を示す。
図6は、外側の共鳴体11cの内側の容器14に、持ち手部15を形成した例を示す。
図7は、二重の共鳴体11d,16のうち、外側の共鳴体11dの開口側に切り欠き部111dを形成し、飲料の飲みやすくしたベルの例である。
この場合に、持ち手部12bを底部の節部13から立設した。
【符号の説明】
【0015】
10 ベル
11 共鳴体
12 持ち手部
13 節部
13a 節部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8