特許第6877052号(P6877052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6877052画像処理方法及び画像処理方法を実行する画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877052
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】画像処理方法及び画像処理方法を実行する画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/04 20060101AFI20210517BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20210517BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H04N17/04 C
   H04N5/66 A
   G06T5/00 705
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-566702(P2018-566702)
(86)(22)【出願日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】JP2017004717
(87)【国際公開番号】WO2018146765
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】503193351
【氏名又は名称】株式会社イクス
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩
【審査官】 佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−057674(JP,U)
【文献】 国際公開第2016/009493(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/050222(WO,A1)
【文献】 特開2002−077645(JP,A)
【文献】 特開平04−220882(JP,A)
【文献】 特開昭60−010925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 5/21
H04N 5/232
H04N 5/66
G06T 5/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルが周期的に配列された表示パネルの表示画像を画素が周期的に配列されたカメラで撮像し、該カメラの撮像画像を処理する画像処理方法において、
前記カメラで前記表示画像をフォーカスして撮像するフォーカス画像撮像ステップと、
該フォーカス画像撮像ステップの撮像画像にハイパスフィルタを適用し、該撮像画像に生じたモアレに対応する空間周波数成分を除去又は低減させて第1画像を生成する第1画像生成ステップと、
前記カメラで前記表示画像をデフォーカスして撮像するデフォーカス画像撮像ステップと、
該デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像に補正フィルタを適用し、該補正フィルタで前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分の減衰を補正する撮像画像補正ステップと、
該撮像画像補正ステップで補正した前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像にローパスフィルタを適用して第2画像を生成する第2画像生成ステップと、
前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記モアレを消失又は抑制させた第3画像を生成する第3画像生成ステップと、を備え、
前記撮像画像補正ステップは、前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分を前記ローパスフィルタの空間周波数特性に倣うように補正し、
前記ハイパスフィルタの透過率と前記ローパスフィルタの透過率との和が任意の空間周波数において一定値となることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記撮像画像補正ステップは、
前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップを有し、
該領域分割ステップによって分割した前記各領域に含まれる空間周波数成分に該空間周波数成分に対応する予め求められたフィルタ係数を乗じることによって、前記各領域に含まれる空間周波数成分を前記フォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分に一致するように補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記領域分割ステップは、
前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像を一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて分割し、
分割した前記各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数を前記各領域に付与することを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
画素が周期的に配列され、ピクセルが周期的に配列された表示パネルの表示画像を撮像するカメラを備え、該カメラによる撮像画像を処理する画像処理装置において、
前記カメラによって前記表示画像がフォーカスされて撮像された撮像画像からモアレに対応する空間周波数成分を除去又は低減して第1画像を生成するハイパスフィルタと、
前記カメラによって前記表示画像がデフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数の減衰を補正する補正フィルタと、
該補正フィルタで補正された前記デフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数成分のうち低空間周波数成分のみを抽出して第2画像を生成するローパスフィルタと、
前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記モアレを消失又は抑制させた第3画像を生成する画像合成部と、を備え、
前記補正フィルタは、前記カメラによって前記表示画像がデフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数を前記ローパスフィルタの空間周波数特性に倣うように補正し、
前記ハイパスフィルタの透過率と前記ローパスフィルタの透過率との和が任意の空間周波数において一定値となることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
デフォーカスして撮像した前記撮像画像を複数の領域に分割し、
分割した前記各領域に含まれる空間周波数成分に該空間周波数成分に対応する予め求められたフィルタ係数を乗じることによって、前記各領域に含まれる空間周波数成分をフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分に一致するように補正することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
デフォーカスして撮像した前記撮像画像を一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて分割し、
分割した前記各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数を前記各領域に付与することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法及び画像処理方法を実行する画像処理装置、特に、ピクセルが周期的に配列された表示パネルに表示された画像を、画素が周期的に配列されたカメラで撮像し、撮像した画像からモアレを除去又は抑制する画像処理方法及びこの画像処理方法を実行する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピクセルが周期的に配列された、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルの画像を、撮像面上の画素が周期的に配列された固体撮像素子カメラで撮像する場合は、ピクセルが配列される周期と画素が配列される周期との間にズレが生じることに起因して、干渉縞とも称されるモアレが、撮像された画像に発生することとなる。
【0003】
モアレが発生した撮像画像に基づいてピクセルの輝度を測定すると、表示パネル上でモアレに対応する位置にあるピクセルの輝度が暗く測定されること等によって輝度を正確に測定することができないことから、モアレによる影響を抑制する必要がある。
【0004】
このような対策として、本発明の発明者は、特許文献1として、フォーカス画像とデフォーカス画像とを合成することによってモアレを除去する画像処理方法を提案した。この画像処理方法では、表示パネルのフォーカス画像及びデフォーカス画像を撮像し、撮像した各画像を画像処理装置のハイパスフィルタ及びローパスフィルタでフィルタリングして、画像処理を行う。
【0005】
図15は、この画像処理方法による画像処理のプロセスを示す図であり、(a)はフォーカス画像及びデフォーカス画像の空間周波数特性を示す図、(b)はハイパスフィルタ及びローパスフィルタのフィルタ特性を示す図、(c)はフォーカス画像及びデフォーカス画像をフィルタリングした後の空間周波数特性を示す図、(d)はフィルタリングした後の各画像を合成した画像の空間周波数特性を示す図である。
【0006】
図15(a)で示すように、フォーカス画像の空間周波数f1は、空間周波数領域が0からナイキスト周波数fまでの範囲に亘って、ゲインが1の近傍に出力される。このフォーカス画像では、低空間周波数領域でかつナイキスト周波数の1/10以下の領域において、モアレMが発生している。一方、デフォーカス画像の空間周波数f2は、空間周波数領域が0からナイキスト周波数fの範囲に移行するに従って漸次減衰している。
【0007】
図15(b)で示すように、この画像処理方法に用いられる画像処理装置における、フィルタ特性F1を有するハイパスフィルタ及びフィルタ特性F2を有するローパスフィルタによって、フォーカス画像の空間周波数f1から高空間周波数成分を抽出し、デフォーカス画像の空間周波数f2から低空間周波数成分を抽出する。
【0008】
このとき、フォーカス画像の空間周波数f1からは高空間周波数成分のみが抽出されることから、低空間周波数領域において発生しているモアレMが除去される。
【0009】
図15(c)で示すように、ハイパスフィルタによるフィルタリング後のフォーカス画像の空間周波数特性、及びローパスフィルタによるフィルタリング後のデフォーカス画像の空間周波数特性は、任意の空間周波数について「ハイパスフィルタの透過率+ローパスフィルタの透過率=1」が成立する相特性補償の特性を呈する。
【0010】
フィルタリング後のフォーカス画像及びデフォーカス画像を合成すると、合成した画像の周波数特性は、図15(d)で示すように、空間周波数領域が0からナイキスト周波数fの範囲に亘ってほぼ平坦となる空間周波数特性f3を呈し、任意の空間周波数において「合成後の周波数特性=フォーカス後の空間周波数特性」が成立する。したがって、表示パネルの輝度を測定するに際し、モアレが適切に除去される一方で、解像度が良好な画像を合成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2016/009493A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、所望の空間周波数領域においてモアレを発生させるには、表示パネルとカメラとの離間距離や、カメラで表示パネルを撮像する角度を精緻に設定する必要がある。
【0013】
例えば、6600×4400の画素のカメラで表示パネルを撮像する場合において、図15(a)で示した、極めて低い空間周波数領域にモアレMを集約させて発生させるには、カメラで表示パネルを撮像する角度の許容誤差をおよそ±0.09°以下とする必要がある。
【0014】
カメラで表示パネルを撮像する角度をこのように設定することは可能ではあるものの、設定には比較的長時間を要することから、例えば秒単位といった極めて短時間での生産性の効率化が求められる表示パネルの製造の現場においては、実際に装備をすることが困難である。
【0015】
一方、設定に時間をかけないで、カメラで表示パネルを撮像する角度の許容誤差をおよそ±1°とした場合は、図16(a)で示すように、ナイキスト周波数の1/10以下の領域から離れてモアレMが発生することとなる。
【0016】
この場合において、モアレMを除去すべく特許文献1の画像処理方法で画像処理を行うと、デフォーカス画像の空間周波数が高空間周波数領域に移行するに従って急速に減衰していることに起因して、図16(b)で示すように、合成後の画像の空間周波数f3では、低空間周波数領域に凹みができてしまうことになる。
【0017】
したがって、この場合は、任意の空間周波数について「合成後の周波数特性=フォーカス画像の周波数特性」が成立しないことから、良好な解像度の画像を合成することができないことが懸念される。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カメラで表示パネルを撮像する角度の設定に時間をかけなくとも、画像の解像度の低下を招くことなく、モアレによる影響を抑制することができる画像処理方法及び画像処理方法を実行する画像処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するための第1の画像処理方法は、ピクセルが周期的に配列された表示パネルの表示画像を画素が周期的に配列されたカメラで撮像し、該カメラの撮像画像を処理する画像処理方法において、前記カメラで前記表示画像をフォーカスして撮像するフォーカス画像撮像ステップと、該フォーカス画像撮像ステップの撮像画像にハイパスフィルタを適用し、該撮像画像に生じたモアレに対応する空間周波数成分を除去又は低減させて第1画像を生成する第1画像生成ステップと、前記カメラで前記表示画像をデフォーカスして撮像するデフォーカス画像撮像ステップと、該デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像に補正フィルタを適用し、該補正フィルタで前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分の減衰を補正する撮像画像補正ステップと、該撮像画像補正ステップで補正した前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像にローパスフィルタを適用して第2画像を生成する第2画像生成ステップと、前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記モアレを消失又は抑制させた第3画像を生成する第3画像生成ステップと、を備え、前記撮像画像補正ステップは、前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分を前記ローパスフィルタの空間周波数特性に倣うように補正し、前記ハイパスフィルタの透過率と前記ローパスフィルタの透過率との和が任意の空間周波数において一定値となることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、フォーカスして撮像した撮像画像にハイパスフィルタを適用して生成した第1画像と、デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタを適用して生成した第2画像とを合成して第3画像を生成するに際し、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数の減衰が、補正フィルタによって補正される。
【0021】
これにより、第3画像を合成するに際して、モアレに対応する空間周波数成分をハイパスフィルタで除去又は低減させて生成した第1画像と、補正フィルタによって補正されたうえでローパスフィルタが適用されて生成された第2画像とを合成すると、補正フィルタによって補正された空間周波数成分によって、ハイパスフィルタで除去又は低減された空間周波数成分が補間される。
【0022】
したがって、モアレを除去しやすいような極めて低い空間周波領域にモアレを発生させることを目的として、カメラで表示パネルの表示画像を撮像する角度を精緻に設定する必要がないことから、カメラの設定に時間をかけることなく、モアレが適切に除去又は低減された、解像度が良好な第3画像を容易に生成することができる。
【0023】
第2の画像処理方法は、第1の画像処理方法において、前記撮像画像補正ステップは、前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像を複数の領域に分割する領域分割ステップを有し、該領域分割ステップによって分割した前記各領域に含まれる空間周波数成分に該空間周波数成分に対応する予め求められたフィルタ係数を乗じることによって、前記各領域に含まれる空間周波数成分を前記フォーカス画像撮像ステップの撮像画像の空間周波数成分に一致するように補正することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、複数の領域に分割した各領域に含まれる空間周波数成分に、予め求められたフィルタ係数を乗じると、各領域に含まれる空間周波数成分が、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分と一致することから、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数の減衰が補正される。
【0025】
第3の画像処理方法は、第2の画像処理方法において、前記領域分割ステップは、前記デフォーカス画像撮像ステップの撮像画像を一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて分割し、分割した前記各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数を前記各領域に付与することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、デフォーカスして撮像した撮像画像を、一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて複数の領域に分割し、そのうえで、分割した各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数をこれら各領域に付与する。
【0027】
これにより、撮像画像を複数の領域に分割した際に生じる各領域の間の不連続が抑制される。
【0028】
上記課題を解決するための第4の画像処理装置は、画素が周期的に配列され、ピクセルが周期的に配列された表示パネルの表示画像を撮像するカメラを備え、該カメラによる撮像画像を処理する画像処理装置において、前記カメラによって前記表示画像がフォーカスされて撮像された撮像画像からモアレに対応する空間周波数成分を除去又は低減して第1画像を生成するハイパスフィルタと、前記カメラによって前記表示画像がデフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数の減衰を補正する補正フィルタと、該補正フィルタで補正された前記デフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数成分のうち低空間周波数成分のみを抽出して第2画像を生成するローパスフィルタと、前記第1画像と前記第2画像とを合成して前記モアレを消失又は抑制させた第3画像を生成する画像合成部と、を備え、前記補正フィルタは、前記カメラによって前記表示画像がデフォーカスされて撮像された撮像画像の空間周波数を前記ローパスフィルタの空間周波数特性に倣うように補正し、前記ハイパスフィルタの透過率と前記ローパスフィルタの透過率との和が任意の空間周波数において一定値となることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、フォーカスして撮像した撮像画像にハイパスフィルタを適用して生成した第1画像と、デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタを適用して生成した第2画像とを合成して第3画像を生成するに際し、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数の減衰が、補正フィルタによって補正される。
【0030】
これにより、第3画像を合成するに際して、モアレに対応する空間周波数成分をハイパスフィルタで除去又は低減させて生成した第1画像と、補正フィルタによって補正されたうえでローパスフィルタが適用されて生成された第2画像とを合成すると、補正フィルタによって補正された空間周波数成分によって、ハイパスフィルタで除去又は低減された空間周波数成分が補間される。
【0031】
したがって、モアレを除去しやすいような極めて低い空間周波領域にモアレを発生させることを目的として、カメラで表示パネルの表示画像を撮像する角度を精緻に設定する必要がないことから、カメラの設定に時間をかけることなく、モアレが適切に除去又は低減された、解像度が良好な第3画像を容易に生成することができる。
【0032】
第5の画像処理装置は、第4の画像処理装置において、デフォーカスして撮像した前記撮像画像を複数の領域に分割し、分割した前記各領域に含まれる空間周波数成分に該空間周波数成分に対応する予め求められたフィルタ係数を乗じることによって、前記各領域に含まれる空間周波数成分をフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分に一致するように補正することを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、複数の領域に分割した各領域に含まれる空間周波数成分に、予め求められたフィルタ係数を乗じると、各領域に含まれる空間周波数成分が、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分と一致することから、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数の減衰が補正される。
【0034】
第6の画像処理装置は、第5の画像処理装置において、デフォーカスして撮像した前記撮像画像を一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて分割し、分割した前記各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数を前記各領域に付与することを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、デフォーカスして撮像した撮像画像を、一の領域と他の領域とを互いにオーバラップさせて複数の領域に分割し、そのうえで、分割した各領域のオーバラップさせた任意の部分における係数の和が一定値となる特性を有する窓関数をこれら各領域に付与する。
【0036】
これにより、撮像画像を複数の領域に分割した際に生じる各領域の間の不連続が抑制される。
【発明の効果】
【0037】
この発明によると、カメラの設定に時間をかけることなく、モアレが適切に除去又は低減された、解像度が良好な第3画像を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略を説明するブロック図である。
図2】同じく、本実施の形態に係るハイパスフィルタ及びローパスフィルタのフィルタ特性を表す概念図である。
図3】同じく、本実施の形態に係るデフォーカスして撮像した撮像画像の二次元空間周波数特性を表す概念図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る撮像画像の空間周波数成分のフィルタ特性を表す概念図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る撮像画像を複数の領域に分割した状態を表す概念図である。
図6】同じく、本実施の形態に係る補正フィルタのフィルタ特性を表す概念図である。
図7】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置による画像処理を概念的に示す図であり、(a)はハイパスフィルタ及びローパスフィルタのフィルタ特性にフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数特性及びデフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数特性を重ねた図、(b)は補正フィルタによる補正の概略を示す図である。
図8】同じく、本実施の形態に係る窓関数の係数を表す図である。
図9】同じく、本実施の形態に係る窓関数を分割した撮像画像の各領域に付与した状態を示す概念図である。
図10】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置による画像処理作業のプロセスを示したフローチャートである。
図11】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置によってアライメントパターンを表示させた状態を表す図である。
図12】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置による画像処理のプロセスを示す図である。
図13】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置によって生成された第3画像の空間周波数成分を示す図である。
図14】同じく、本実施の形態に係る画像処理装置の低空間周波数処理部による画像処理作業のプロセスを示したフローチャートである。
図15】従来の画像処理方法による画像処理のプロセスを示す図である。
図16】同じく、従来の画像処理方法による画像処理のプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明の実施の形態について、図1図14に基づいて説明する。なお、本実施の形態において、表示パネルが、画質調整型の有機ELパネルである場合を例として説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置の概略を説明するブロック図、図2及び図3は、本実施の形態に係るハイパスフィルタ及びローパスフィルタのフィルタ特性を表す概念図である。この画像処理装置の説明に先立って、本実施の形態の有機ELパネルの概略を説明する。
【0041】
有機ELパネル20は、R(赤)、G(緑)及びB(青)のサブピクセルを有するピクセルが周期的に配置されたディスプレイ21を備える。このディスプレイ21は、画像信号が入力されると、ROM22aを内蔵した画質調整回路22によって、後述する補正データに従った画像信号が出力されて、その表示ムラの低減が図られる。
【0042】
画像処理装置1は、このような有機ELパネル20の製造工程の最終段階において、その画質を調整する装置であり、カメラ2、画像処理部3、パターン発生部4及びROMライタ5を備える。
【0043】
カメラ2は、本実施の形態では、固体撮像素子(CCD)を搭載したカメラによって構成され、有機ELパネル20の表示画像を撮像する。
【0044】
このカメラ2は、本実施の形態では、カメラ2で有機ELパネル20を撮像する角度の許容誤差を、例えばおよそ±0.09°以下のように精密に設定されることなく、設定に時間をかけないで、許容誤差を例えば±1°とされた撮像位置Xに配置される。
【0045】
画像処理部3は、カメラ2で撮像した画像を処理する装置であり、制御部10、記憶部11、ハイパスフィルタ12、ローパスフィルタ13、低空間周波数処理部14、画像合成部15及び補正データ生成部16を備え、有機ELパネル20の表示画像を撮像した撮像画像について各種の処理を行う。
【0046】
パターン発生部4は、有機ELパネル20に所定のパターン画像(例えば、後述のアライメントパターンPや輝度測定用パターン)を表示させ、ROMライタ5は、補正データ生成部15において生成される後述の補正データを、画質調整回路22に内蔵されたROM22aに書き込む装置である。
【0047】
次に、画像処理部3の各部の具体的な構成について説明する。
【0048】
制御部10は、画像処理部3の各部の制御を行うとともに、カメラ2による撮像、パターン発生部4による有機ELパネル20の画像表示及びROMライタ5によるROM22aへの書込みを制御し、記憶部11には、カメラ2による撮像画像等が記憶される。
【0049】
ハイパスフィルタ12は、カメラ2によりフォーカスして撮像した撮像画像にモアレが発生した場合に、そのモアレに対応する低空間周波数領域の成分を除去又は低減させるもので、図2に破線で示すフィルタ特性F1を有する。フォーカスして撮像した撮像画像にハイパスフィルタ12が適用されて、第1画像が生成される。
【0050】
一方、ローパスフィルタ13は、カメラ2によりデフォーカスして撮像した撮像画像の低空間周波数領域の成分を抽出するもので、図2に破線で示すフィルタ特性F2を有する。デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタ13が適用されて、第2画像が生成される。
【0051】
これらハイパスフィルタ12及びローパスフィルタ13は、本実施の形態では、図2で示すように、空間周波数領域が0からナイキスト周波数fまでの範囲に亘って、任意の空間周波数について「ハイパスフィルタの透過率+ローパスフィルタの透過率=1」が成立する相特性補償型の回路構成が採用される。
【0052】
なお、ハイパスフィルタ12及びローパスフィルタ13のフィルタ特性は、図2で示したとおりであるが、撮像画像は、実際には二次元の画像であることから、フィルタ特性も二次元で表現され、そのフィルタ特性は図3で示すような二次元の関数となる。
【0053】
低空間周波数処理部14は、デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタ13を適用する前に、ローパスフィルタ13によって抽出される撮像画像の空間周波数成分のうち低空間周波数成分を予め補正するものである。
【0054】
この低空間周波数処理部14は、本実施の形態では、画像分割部14a、画像分割部14aと直列に配置されたフーリエ変換部14b、フーリエ変換部14bと直列に配置された補正フィルタ14c、及び画像分割部14aとフーリエ変換部14bとの間に配置された窓関数付与部14dを備える。
【0055】
画像分割部14aは、カメラ2によりデフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分のうち補正の対象とならない極めて低い空間周波数成分を分離したり結合したりする。
【0056】
一方、低空間周波数成分を補正するにあたり、有機ELパネル20は、図4で示すように、その領域によって撮像画像の空間周波数成分のフィルタ特性が異なることから、そのフィルタ特性に応じたフィルタ係数を乗じて補正すべく、画像分割部14aは、デフォーカスして撮像した撮像画像を、例えば図5で示すように複数の領域sに分割する(ブロック化)とともに、分割した各領域sを結合する。
【0057】
ここで、撮像画像を図5のように分割すると、補正処理の後に、分割した複数の領域sの間が不連続となってしまうことから、本実施の形態では、撮像画像を一の領域sと他の領域sとの複数の領域に分割するに際して、互いに隣接する各領域sの間をオーバラップさせて分割する。
【0058】
フーリエ変換部14bは、デフォーカスして撮像した撮像画像をフーリエ変換によって空間周波数成分に変換する一方、空間周波数成分に変換した撮像画像を逆フーリエ変換によって、二次元の撮像画像に変換する。
【0059】
補正フィルタ14cは、デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタ13を適用する場合に抽出される低空間周波数成分に、予め求められたフィルタ係数を乗じることによって補正するものであり、図6に破線で示すフィルタ特性F3を有する。この補正フィルタ14cにおける補正処理を、図7に基づいて説明する。
【0060】
図7は、本実施の形態に係る画像処理装置1による画像処理を概念的に示す図であり、(a)はハイパスフィルタ12及びローパスフィルタ13のフィルタ特性にフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数特性及びデフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数特性を重ねた図、(b)は補正フィルタ14cによる補正の概略を示す図である。
【0061】
図7(a)で示すように、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分はf1で示され、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分はf2で示される。デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f2は、低空間周波数成分から高空間周波数成分に移行するに従って減衰しており、本実施の形態では、この部分の空間周波数成分が補正フィルタ14cによって補正される。
【0062】
図7(b)で示すように、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分は、f2で示される。補正フィルタ14cは、ゲインを引き上げるフィルタ特性F3を有することから、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f2は、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f1とほぼ一致する、ローパスフィルタ13の空間周波数特性F2に倣うように補正される。
【0063】
この補正は、本実施の形態では、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f2に対応して予め求められたフィルタ係数が乗じられることによって実行される。
【0064】
具体的には、デフォーカスして撮像した撮像画像を複数の領域sに分割した際に、各領域sに含まれる空間周波数成分に対応する予め求められたフィルタ係数、本実施の形態ではフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分に一致するようなフィルタ係数が予め求められており、この係数が乗じられることによって補正が実行される。
【0065】
窓関数付与部14dは、複数の領域sに分割された、デフォーカスして撮像した撮像画像の各領域sに、各領域sを覆う図8で示す窓関数Wを付与する。
【0066】
この窓関数Wは、図9で示すように、分割した各領域sのオーバラップさせた任意の部分(一例として、図9において斜線を付した部分)における係数の和がいずれも一定値、本実施の形態では1となる特性を有する。
【0067】
すなわち、各領域sに付与される窓関数Wは、本実施の形態では、一の領域sのおよそ中心部分を覆う部分がゲインのピーク点であって、一の領域sの中心部分から他の領域sと隣接する隣接部分に向かうに従ってゲインが漸次低減する形状をした窓関数が用いられる。
【0068】
窓関数付与部14dは、本実施の形態では、撮像画像を複数の各領域sに分割すること、及び補正フィルタ14cでフィルタ係数を各領域sに乗じることによって生じる複数の各領域sの間の不連続を効率的に除去する観点から、各領域sのオーバラップする部分の空間周波数の係数の和が1となる窓関数Wを、補正フィルタ14cによる補正の前後に亘って付与する。
【0069】
画像合成部15は、ハイパスフィルタ12を適用して生成された第1画像と、ローパスフィルタ13を適用して生成された第2画像とを足し合わせて、新たな第3画像を合成する。
【0070】
補正データ生成部16は、画像合成部15で合成された第3画像に基づいて、画像信号の出力を調整することによって有機ELパネル20の輝度ムラを低減させる補正データを生成する。
【0071】
次に、本実施の形態に係る画像処理装置1による画像処理作業について、画像処理装置1による処理作業のプロセスを示した図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
まず、カメラ2が、図1で示した撮像位置Xに位置決めされた状態において、ステップS1において、制御部10が、有機ELパネル20に第1アライメントパターンとなるアライメントパターンPを表示させる。
【0073】
このアライメントパターンPは、図11に示すように、ディスプレイ21上で既知の位置にある特定のピクセルが点灯し、ドットDが縦横に配列されることにより構成される。
【0074】
ステップS2において、制御部10は、有機ELパネル20に表示させたアライメントパターンPをカメラ2でフォーカスして撮像する。アライメントパターンPを撮像した後、ステップS3において、有機ELパネル20の全てのピクセルを点灯させ、ディスプレイ21の全面にわたり輝度測定用パターンを表示させる。
【0075】
ステップS4において、有機ELパネル20に表示させた輝度測定用パターンをカメラ2でフォーカスして撮像する(フォーカス画像撮像ステップ)。
【0076】
一方、ステップS5において、アライメントパターンPの撮像画像のドットDが写るカメラ2の画素を検出する(第1アライメントステップ)。
【0077】
すなわち、アライメントパターンPを構成するピクセルは既知であるから、そのピクセルの像がカメラ2のどの画素に受光されるかを検出することによって、フォーカス撮像時のピクセルと画素との対応関係が求められる。
【0078】
この求められた対応関係に基づいて、ステップS6において、フォーカスして撮像した画像にアライメント処理を行う。
【0079】
ステップS7において、制御部10は、ステップS6において得られたアライメント処理後の撮像画像にハイパスフィルタ12を適用する。
【0080】
ハイパスフィルタ12を適用することによって、図12(a)に示すように、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f1のうち、モアレMに対応する部分を含む低空間周波数成分f1aがカットされて残余の空間周波数成分f1bが抽出され、第1画像が生成される(第1画像生成ステップ)。
【0081】
生成された第1画像は、ステップS8において、記憶部11に記憶される。
【0082】
このように第1画像を生成した後、ステップS9において、有機ELパネル20に第2アライメントパターンとなるアライメントパターンPを表示させる。
【0083】
なお、本実施の形態では、第1アライメントパターンと第2アライメントパターンとが同じアライメントパターンPである場合を説明しているが、第1アライメントパターンと第2アライメントパターンとで異なるアライメントパターンを用いてもよい。
【0084】
ステップS10において、有機ELパネル20に表示させたアライメントパターンPをカメラ2でデフォーカスして撮像する。アライメントパターンPを撮像した後、ステップS11において、ステップS3と同様に、有機ELパネル20の全面に輝度測定用パターンを表示させる。
【0085】
ステップS12において、有機ELパネル20に表示させた輝度測定用パターンをカメラ2でデフォーカスして撮像する(デフォーカス画像撮像ステップ)。
【0086】
続いて、ステップS13において、アライメントパターンPの撮像画像のドットDが写るカメラ2の画素を検出する(第2アライメントステップ)。
【0087】
アライメントパターンPを構成するピクセルの像がカメラ2のどの画素に受光されるかを検出してデフォーカス撮像時のピクセルと画素との対応関係が求められ、この対応関係に基づいて、ステップS14において、デフォーカスして撮像した画像にアライメント処理を行う。
【0088】
ステップS15において、制御部10は、ステップS14において得られたアライメント処理後の撮像画像に、低空間周波数処理部14による画像処理を実行する(撮像画像補正ステップ)。この低空間周波数処理部14による画像処理の内容については、後述する。
【0089】
ステップS16において、制御部10は、ステップS15において得られた画像処理後の撮像画像の空間周波数にローパスフィルタ13を適用する。
【0090】
ローパスフィルタ13を適用することによって、図12に示すように、ハイパスフィルタ12で除去した空間周波数成分f1aに対応する空間周波数成分f2aが抽出されるとともに、残余の空間周波数成分f2bがカットされ、第2画像が生成される(第2画像生成ステップ)。
【0091】
生成された第2画像は、ステップS17において、記憶部11に記憶される。
【0092】
このように、第1画像及び第2画像を生成した後、ステップS18において、画像合成部15により、第1画像と第2画像とが足し合わせられる。
【0093】
これにより、第3画像が合成され(第3画像生成ステップ)、輝度測定用パターンについてモアレを消失又は抑制させた画像が生成される。この第3画像とアライメントデータにより、有機ELパネル20を構成するピクセルの輝度が求められる。
【0094】
なお、1ピクセルごとの輝度を測定する場合は、各画素に投影される部分のピクセルの輝度を、ピクセルが投影された部分の画素の出力を測定することによって、1ピクセルの輝度として測定してもよい。
【0095】
一方、ステップS19において、第3画像に基づいて補正データが生成され、ステップS20において、生成された補正データがROMライタ5によって画質調整回路22のROM22aに書き込まれる。
【0096】
ROM22aに補正データが書き込まれることによって、有機ELパネル20に画質調整回路22が実装される。
【0097】
かかる画質調整回路22を実装した有機ELパネル20では、画像信号が入力されると、画質調整回路22によってROM22aに書き込まれた補正データが参照され、参照された補正データに従った画像信号が出力され、有機ELパネル20の表示ムラの低減が図られる。
【0098】
上記構成の画像処理装置1では、フォーカスして撮像した画像からモアレに対応する部分を含む空間周波数成分f1aを、ハイパスフィルタ12を適用してカットして残余の空間周波数成分f1bを抽出して第1画像を生成する。
【0099】
一方、デフォーカスして撮像した画像にローパスフィルタ13を適用して、ハイパスフィルタ12で除去した空間周波数成分f1aに対応する空間周波数成分f2aのみを抽出して、第2画像を生成する。
【0100】
かかる第1画像及び第2画像が画像合成部15によって足し合わせられて、第1画像からモアレがカットされることによって損なわれた空間周波数成分f1aが、第2画像から抽出された空間周波数成分f2aによって補間されて、モアレを消失又は抑制させた第3画像が生成される。
【0101】
したがって、モアレが適切に除去されたうえで、図13で示すような、低空間周波数領域から高空間周波数領域のほぼ全域に亘って平坦な空間周波数成分f3を有する、解像度が良好な第3画像を生成することができる。
【0102】
しかも、本実施の形態では、ハイパスフィルタ12とローパスフィルタ13の透過率の和は、一定値である1となるように回路構成がなされる。
【0103】
したがって、空間周波数領域における空間周波数成分の抽出漏れがないことから、空間周波数成分の損失がなく、解像度の高い第3画像を生成することができる。
【0104】
さらに、第3画像を合成するために用いられる第1画像及び第2画像を生成する際には、本実施の形態では、有機ELパネル20のピクセルとカメラ2の画素とのアライメントが決定されて第1画像及び第2画像が生成される。したがって、ピクセルと画素との対応関係の適切な結びつけが行われて、良好な第3画像を生成することができる。
【0105】
このように、有機ELパネル20の輝度を測定するに際して、モアレが適切に除去されかつ解像度が良好な第3画像が生成されることから、この第3画像に基づいて、適切な補正データを生成することができる。
【0106】
その結果、正確に測定した輝度に基づいて生成された補正データによって、有機ELパネル20の画質が調整され、表示ムラの低減が図られる。これにより、個体ごとの製品のバラツキが抑制された有機ELパネル20を得ることができる。
【0107】
次に、低空間周波数処理部14による画像処理作業について、低空間周波数処理部14による処理作業のプロセス(撮像画像補正ステップ)を示した図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0108】
まず、ステップS15−1において、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f2のうち、例えば図7(a)の矢線Xで示される領域の極めて低い空間周波数成分については、減衰したり増幅したりといった変化がほとんど発生しないことから、補正フィルタ14cでこの部分の補正を行うことによって演算量が増大することを回避すべく、本実施の形態では、この低空間周波数成分が画像分割部14aによって分離される。
【0109】
ステップS15−2において、画像分割部14aが、デフォーカスして撮像した撮像画像を複数の領域sに分割する。撮像画像を複数の領域sに分割する際には、分割する一の領域sと隣接する他の領域sとの間をオーバラップさせて分割する(領域分割ステップ)。
【0110】
撮像画像を複数の領域sに分割した後、ステップS15−3において、窓関数付与部14dが、分割した各領域sに、各領域sを覆う窓関数Wの平方根である窓関数√Wを付与する。この窓関数√Wは、補正フィルタ14cによる補正処理の前後において二度に亘って付与されることから、二乗したときに窓関数Wと同じ値となる窓関数Wの平方根となる形状を有する。
【0111】
その後、ステップS15−4において、フーリエ変換部14bが、デフォーカスして撮像した撮像画像をフーリエ変換して空間周波数成分に変換し、ステップS15−5において、複数に分割された領域sに含まれる空間周波数成分にそれぞれ対応して予め求められたフィルタ係数を乗じる。これにより、デフォーカスして撮像された撮像画像の空間周波数成分f2が、フォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数成分f1に一致するように補正される。
【0112】
このように、複数に分割された領域sごとに、各領域sに対応して予め求められたフィルタ係数を乗じて補正をすることから、撮像画像を分割しないで補正をする場合に比べて演算処理の時間が短縮される。これにより、画像処理の高速化が実現される。
【0113】
フィルタ係数を乗じた後、ステップS15−6において、フーリエ変換部14bが、空間周波数成分に変換した撮像画像を、逆フーリエ変換によって二次元の撮像画像に変換する。
【0114】
ステップS15−7において、デフォーカスして撮像した撮像画像を分割した各領域sに、各領域sを覆う窓関数Wを再度、付与する。このように、ステップS15−3で窓関数√Wを付与し、かつステップS15−7で窓関数√Wを付与することで、分割した各領域sのオーバラップさせた任意の部分における係数の和がいずれも一定値となる。
【0115】
このとき、本実施の形態では、撮像画像を複数の各領域sに分割した後と、フィルタ係数を乗じた後とに窓関数√Wを付与することから、撮像画像を複数の各領域sに分割すること、及び補正フィルタ14cでフィルタ係数を各領域sに乗じることによって生じる複数の各領域sの間の不連続を効率的に除去することができる。
【0116】
ステップS15−8において、画像分割部14aが、分割した撮像画像を結合するとともに、ステップS15−1において分離した空間周波数成分f2のうちの低空間周波数成分を、ステップ15−9において、画像分割部14aが結合する。
【0117】
低空間周波数処理部14で、上記のステップに沿って画像処理された撮像画像に、図10で示したステップS16において、ローパスフィルタ13が適用される。
【0118】
このように、フォーカスして撮像した撮像画像にハイパスフィルタ12を適用して生成した第1画像と、デフォーカスして撮像した撮像画像にローパスフィルタ13を適用して生成した第2画像とを合成して第3画像を生成するに際し、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数f2が低空間周波数領域から高空間周波数領域に移行するに従って急速に減衰することが、補正フィルタ14cによって補正される。
【0119】
したがって、第3画像を合成するに際して、モアレMに対応する部分を含む低空間周波数成分f1aをハイパスフィルタ12で除去して抽出した高空間周波数成分f1bを有する第1画像と、補正フィルタ14cによって低空間周波数成分f2aが補正されたうえで生成された第2画像とを合成すると、補正フィルタ14cによって補正された低空間周波数成分f2aによって、ハイパスフィルタ12で除去した低空間周波数成分f1aが補てんされる。
【0120】
その結果、モアレを除去しやすいような極めて低い空間周波数領域にモアレを発生させることを目的として、カメラ2で有機ELパネル20を撮像する角度を精緻に設定する必要がないことから、カメラ2で有機ELパネル20を撮像する角度を設定することに時間をかけることなく、低空間周波数領域から高空間周波数領域のほぼ全域に亘って平坦な空間周波数成分f3を有する、解像度が良好な第3画像を生成することができる。
【0121】
デフォーカスして撮像した撮像画像を補正フィルタ14cで補正する場合には、撮像画像を複数の領域sに分割し、分割した各領域sに含まれる空間周波数成分に対応して予め求められたフィルタ係数を乗じることによって補正する。
【0122】
この予め求められたフィルタ係数を、各領域sに含まれる空間周波数成分に乗じると、本実施の形態では、各領域sに含まれる空間周波数成分が、フォーカスして撮像した撮像画像のハイパスフィルタによって減衰される領域の空間周波数成分f1aと一致することから、デフォーカスして撮像した撮像画像の空間周波数の減衰が補正される。
【0123】
さらに、デフォーカスして撮像した撮像画像を複数の領域sに分割することで生じる各領域sの間の不連続を抑制する観点から、画像分割部14aは、撮像画像を複数の領域sに分割する際に、各領域sを互いにオーバラップさせて分割する。
【0124】
その上で、本実施の形態では、窓関数付与部14dが、分割した各領域sのオーバラップする部分の係数の和が1となる窓関数Wを、各領域sに付与することから、複数の各領域sの間の不連続が効率的に除去される。
【0125】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、画像をフォーカスする撮像及び画像をデフォーカスする撮像が、単一のカメラ2によって撮像される場合を説明したが、フォーカスする撮像及びデフォーカスする撮像をそれぞれ別個のカメラによって実行してもよい。
【0126】
これにより、画像処理装置1による処理作業の工程作業時間(タクトタイム)が短縮化される。
【0127】
上記実施の形態では、画像処理装置1が、有機ELパネル20の画質を調整する場合を説明したが、例えば、液晶パネルやプラズマディスプレイ、あるいは投影型のプロジェクタ等であってもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 画像処理装置
2 カメラ
3 画像処理部
10 制御部
12 ハイパスフィルタ
13 ローパスフィルタ
14 低空間周波数処理部
14c 補正フィルタ
20 有機ELパネル(表示パネル)
F1 ハイパスフィルタのフィルタ特性
F2 ローパスフィルタのフィルタ特性
F3 補正フィルタのフィルタ特性
M モアレ
s 領域
W 窓関数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16