(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーフィルム基材が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン(PE)、及び二軸延伸ポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の被覆フィルム構造体。
前記少なくとも1つの中間層、前記オーバーコート層、又は両方が、ワックス、殺生物剤、接着剤、又はこれらの組合せから選択される1種類以上の添加剤を含む、請求項1に記載の被覆フィルム構造体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0012]ここで、被覆構造体の種々の態様を詳細に記載する。被覆フィルム構造体の構成要素は、少なくとも1種類のポリマーフィルムを含む第1の基材層、酸化アルミニウムを含む中間層、及びオーバーコート層を含む。種々の態様の被覆フィルム構造体は、水蒸気及び酸素に対する増加したバリヤ性能を示すことができる。
【0010】
[0013]種々の態様においては、基材層は、少なくとも1種類のポリマーフィルム基材を含む。ポリマーフィルム基材は、少なくとも1種類のポリエチレン又はポリプロピレンを含む基材のようなポリオレフィン、ポリエステル基材、又はこれらの組合せであってよい。例として(限定ではない)、ポリマーフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、ナイロン、又はポリ塩化ビニルを含ませることができる。幾つかの態様においては、ポリマー基材はBOPETのようなポリエステルを含む。他の態様によれば、ポリマー基材はポリプロピレンを含む。好適なポリプロピレンとしてはBOPPが挙げられるが、これに限定されない。
【0011】
[0014]1以上の態様においては、基材層は1μm〜120μmの厚さを有する。他の態様においては、基材層は、1μm〜100μm、1μm〜80μm、1μm〜60μm、1μm〜50μm、5μm〜120μm、5μm〜100μm、5μm〜80μm、5μm〜60μm、5μm〜50μm、10μm〜120μm、10μm〜100μm、10μm〜80μm、10μm〜50μm、又は10μm〜30μmの厚さを有する。過度に薄い基材層を有する被覆フィルム構造体は、穿刺又は引裂をより起こし易い可能性がある。過度に厚い基材層を有する被覆フィルム構造体は不適当な可撓性を有する可能性があり、被覆が変形に対してより耐久性が低い可能性がある。
【0012】
[0015]ポリマーフィルム基材の一方又は両方の表面を表面処理することができる。例えば、表面処理によって、メタライゼーション、被覆、印刷インク、積層、又はこれらの組合せに対するポリマーフィルム基材の受容性を向上させることができる。例として(限定ではない)、ポリマーフィルム基材の一方又は両方の表面を、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、化学処理などの1以上にかけることができる。化学処理としては、酸、塩基、又は酸化剤による化学エッチングが挙げられる。化学エッチングのために用いられる化学処理としては、硝酸、クロム酸カリウム、三塩素酸(trichloric acid)、又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0013】
[0016]種々の態様の被覆フィルム構造体は、少なくとも1つのオーバーコート層を含む。一態様においては、オーバーコート層にはポリビニルアルコールを含ませることができる。ポリビニルアルコールは、幾つかの態様においては非晶質ポリビニルアルコールであってよい。非晶質ポリビニルアルコールは、結晶質ポリビニルアルコール及び半結晶質ポリビニルアルコールとは異なり、分子の秩序配列を有しない。本明細書において用いる「非晶質(アモルファス)」という用語は、分子の秩序構造又は配列を有しないポリマーを指す。これは、分子の秩序構造又は配列を示す結晶質ポリマーと対照的である。通常は、化合物の結晶化度の増加は材料の強度の増加に対応し、これによりポリマーのバリヤ特性が向上する。本明細書において用いる「半結晶質」という用語は、結晶質領域及び非晶質領域の両方を有し得るポリマーを指す。
【0014】
[0017]オーバーコート層において用いるのに好適な1つのかかる非晶質ポリビニルアルコールは、Nippon GoseiからG-ポリマー(登録商標)OKS-8049又はAZF-8035Wの名称で商業的に入手できる。OKS-8049は、185℃の融点、及び20℃の4%水溶液において4.5mPa・秒の粘度を有し、AZF-8035Wは、171℃の融点、及び20℃の4%水溶液において3.0mPa・秒の粘度を有する。幾つかの態様においては、ポリビニルアルコールは水溶液又はエマルジョンとして用意することができる。
【0015】
[0018]幾つかの態様においては、ポリエチレンワックスをオーバーコート層に加えて耐摩耗性を向上させることができる。例えば、オーバーコート層に、強酸化ポリエチレンワックスを更に含ませることができる。オーバーコート層にはまた、カルナバワックス、大豆ワックス、パラフィンワックス、スケールワックス、スラックワックス、他の植物性ワックス、又はこれらの混合物及び組合せのような他のワックスを含ませることもできる。
【0016】
[0019]1以上の態様においては、オーバーコート層に接着促進剤を更に含ませることができる。好適な接着増強剤としては、例として(限定ではない)、BASF(Ludwigshafen,ドイツ)から入手できるPEI Loxanol(登録商標)MI6730のようなポリエチレンイミン(PEI)接着増強剤、脂肪族ポリウレタン分散液、水素化炭化水素ロジン又はロジンエステル分散液、及び非晶質アクリルポリマー分散液を挙げることができる。それらが、オーバーコート層を施す被覆フィルム構造体の基材又は他の層に対するオーバーコート層の接着を増強するならば、他の接着増強剤を用いることができる。理論に縛られないが、ポリエチレンイミン又はポリウレタンは、接着促進剤として機能してポリマー基材に対する被覆の良好な接着を達成することができる。好適なポリエチレンイミンの商業的な態様は、BASFからのLupasol Pである。ポリエチレンイミンの他の好適な商業的態様としては、BASFから入手できるPolymin P、Nippon Shokubaiから入手できるEpomin、Nippon Soda Co.から入手できるTITA Bond T100、及びDIC Graphicsから入手できるD1 Dry AC-108が挙げられる。他の態様においては、接着促進剤はポリウレタンを含む。ポリウレタンは、ポリエチレンイミンに代えてか、又はそれに加えて用いることができる。好適なポリウレタンの商業的態様としては、3Mからの86A、Dow ChemicalからのSYNTEGRA、Bayer AGからのDesmophen、及びLoctiteからのLoctite 3951が挙げられる。
【0017】
[0020]本発明の幾つかの態様においては、オーバーコート層に架橋剤を更に含ませることができる。架橋剤には、アルデヒド、ジアルデヒド、有機塩、無機塩、又はこれらの組合せを含ませることができる。架橋剤には、幾つかの態様においてはメラミンホルムアルデヒドを含ませることができる。他の態様においては、架橋剤に、尿素ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、乳酸チタン、又はオーバーコート層が硬化又は乾燥する際にポリビニルアルコール分子を相互連結して架橋させる任意の他の架橋剤を含ませることができる。理論に縛られないが、架橋した非晶質ポリビニルアルコールは架橋していないポリビニルアルコールよりも良好なバリヤ特性を示すので、架橋剤は本被覆において有益であると考えられる。ポリビニルアルコールは水中に可溶であり、湿分による攻撃を受けやすい場合があり、したがってポリビニルアルコールを架橋させて向上したバリヤを与え、酸素透過率を減少させ、同時に多湿環境における層間剥離に対する抵抗性も与えることが望ましい。
【0018】
[0021]架橋剤の好適な商業的態様としては、Allnex(Brussels,ベルギー)によって製造されているCymel 385樹脂、及びEmerald Performances Materials(Charlotte, North Carolina)によって製造されているAerotex 3030、Aerotex 3730、又はAerotex M3が挙げられる。架橋剤の他の好適な商業的態様としては、BIP Company(Oldbury,英国)からのBeetle PT312樹脂、並びに多くの他の好適なCymelグレードの架橋剤が挙げられる。
【0019】
[0022]種々の態様、特に架橋剤を含む態様においては、オーバーコート層に更に触媒を含ませることができる。架橋剤によってポリビニルアルコールの層全体にわたって完全に架橋させることは困難である場合があり;したがって、架橋促進触媒が望ましい場合がある。この随意的な触媒は、幾つかの態様においては、有機又は無機酸触媒、或いは有機又は無機酸触媒の塩であってよい。用いる随意的な触媒の量は、幾つかの態様においては、2〜6の間のプライマー被覆溶液のpHを得るのに必要な量であってよい。幾つかの態様においては、随意的な酸触媒は、プライマー被覆溶液に2〜7の間又は2〜6の間のpHを与える。随意的な酸触媒は、溶液に3.5以下のpH又は3以下のpHを与える。
【0020】
[0023]随意的な触媒は、幾つかの態様においてはオルトホスフェート触媒であってよい。他の態様においては、随意的な触媒は、クエン酸、塩酸、リン酸、硝酸、マレイン酸、乳酸、酢酸、又はパラトルエンスルホン酸であってよい。幾つかの態様においては、1種類以上の触媒を用いることができる。例えば、1以上の態様によれば、2種類の触媒を用いることができ、ここで第1の酸触媒は、オルトリン酸、硝酸、酢酸、塩酸、及びマレイン酸からなる群から選択することができ、第2の酸触媒は、クエン酸、マレイン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、及び乳酸からなる群から選択することができる。幾つかの酸触媒(例えばリン酸及びクエン酸)は一般に安全に使用できるか、又は「GRAS」製品として認められているので、幾つかの酸触媒は、オーバーコート層及び得られる被覆フィルム構造体を食品包装産業において用いる場合に特に望ましい可能性がある。
【0021】
[0024]オーバーコート層にはまた場合によって、殺生物剤など(しかしながらこれに限定されない)の1種類以上の他の添加剤を含ませることもできる。好適な殺生物剤としては、例として(限定ではない)、Lonza Group(Basel,スイス)から入手できるProxel(登録商標)GXL5%などのProxel(登録商標)の商品名で商業的に入手できるものを挙げることができる。
【0022】
[0025]1以上の態様においては、オーバーコート層は、約0.05g/m
2〜約1.5g/m
2の乾燥被覆重量を有する。他の態様においては、オーバーコート層は、約0.05g/m
2〜約1.0g/m
2;約0.1g/m
2〜約0.5g/m
2;又は約0.3g/m
2〜約0.7g/m
2;の乾燥被覆重量を有する。更なる態様においては、オーバーコート層には、乾燥被覆重量で少なくとも50%のポリビニルアルコール、又は乾燥被覆重量で少なくとも60%のポリビニルアルコールを含ませることができる。別の言い方をすると、他の態様においては、オーバーコート層には、乾燥被覆重量で60〜100%のポリビニルアルコールを含ませることができる。
【0023】
[0026]
図1を参照すると、1以上の態様においては、被覆フィルム構造体100は、基材層102とオーバーコート層106の間に配置されている少なくとも1つの中間層104を含む。中間層104は、例えば基材層102上に配置することができる。中間層104は、基材層102、オーバーコート層106、又は両方と接触させることができる。
【0024】
[0027]1以上の態様によれば、中間層104には、金属、金属酸化物、又は両方を含ませることができる。少なくとも1つの態様においては、中間層104は酸化アルミニウムを含む。中間層104は、約5nm〜約30nm、約5nm〜約25nm、約5nm〜約15nm、又は約5nm〜約10nmの厚さを有していてよい。
【0025】
[0028]被覆フィルム構造体は、オーバーコート層106と少なくとも1つの中間層104の界面において剛直非晶相(RAF)を有し得る。RAFは、半結晶質ポリマー内、又は異なる結晶化度を有する複数の材料の界面において形成され得る。RAFは、結晶質構造よりも大きな自由度を有するが、非晶質ポリマーよりも小さい自由度を有する。理論にとらわれないが、RAFは、ポリマーの非晶相が秩序相内に含まれる場合に生成すると考えられる。秩序相は、結晶質、又は金属及び金属酸化物のように無機であってよい。ポリマーの非晶性により、それにある程度の自由度が与えられるが、この自由度は結晶質相又は無機相によって拘束されることによって制限される。
【0026】
[0029]ポリマーが結晶質、半結晶質、又は非晶質である程度は、ポリマーの結晶化度(X
cryst)によって特徴付けることができる。ポリマーの結晶化度は、試料の温度を上昇させるのに必要な熱の量を温度の関数として測定する示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。DSCスキャンにおいては、試料及び対照試料を加熱及び冷却しながら、熱エネルギーの入力又は出力を測定して温度の関数としてプロットする。
図3は、温度の関数としての試料中へ又は試料からの熱流の1つのかかるプロットを示す。このスキャンは、相転移又はガラス転移のような物理的転移を検出するように働く。これは、試料がこれらの転移を受けると、その熱容量が変化するからである。本明細書に記載する態様を分析するために用いるDSCグラフにおいては、最初の傾斜は通常はポリマーのガラス転移温度(T
g)を示し、これに続いてポリマーがその結晶化温度(T
c)に達した時点で谷(熱流における大きな下降)が現れ、続いてポリマーがその融点に達した時点で最終ピークが現れる。殆どの非晶質ポリマーは、明確な結晶化の谷部又は融点ピークを有しない。ここで用いる「ピーク」という用語は、山形又は谷形のようなグラフ上のデータの上昇部分又は下降部分を指す。より複雑なDSCスキャン(時には温度変調示差走査熱量測定(TMDSC)と呼ばれる)においては、試料の温度を、非限定的な例として正弦波温度変調のような周期的関係で変化させる。周期的な温度変調を導入することによって、試料は、一定時間にわたって起こる殆どの瞬時の変化及び一般的な傾向に反応する。繰り返される加熱時間、冷却時間、遅延、及び緩和時間に対する試料の応答によって、一定圧力における試料の比熱(Δc
p*)の測定が可能になる。この文脈において用いる「遅延」とは、試料に対する短時間の中間加熱又は冷却入力を指し、これに対して「緩和時間」とは、TMDSCスキャンの相又は一般的な傾向の部分の間の長時間の期間を指す。DSCグラフはまた、融解エンタルピー(ΔH
m)(融解ピークの面積として求められる)、及び結晶化エンタルピー(ΔH
c)(結晶化ピーク(又は谷部)の面積として求められる)を計算するために用いることもできる。
図3を参照すると、融解ピークは約200℃にあり、一方で結晶化ピークは約225℃にある。
【0027】
[0030]1以上の態様においては、オーバーコート層は75℃未満のガラス転移温度(T
g)を有する。他の態様においては、オーバーコート層は、72℃未満、70℃未満、又は更には68℃未満のガラス転移温度を有する。
【0028】
[0031]1以上の態様においては、ポリマー相の結晶化度(x
cryst)は、式1によって特徴付けることができる。
【0030】
式1において、ΔH
0mは、完全結晶質ポリマーの融解熱を指す標準的な基準値である。
[0032]また、TMDSCスキャンによって、当業者が被覆フィルム構造体を構成するポリマー相内のRAFの重量%を求めることも可能である。例えば、1以上の態様においては、RAFの重量%(RAF%)は、式2にしたがって計算することができる。
【0032】
式2において、Δc
pamorphは、オーバーコート層の非晶相に標準化した熱容量である。Δc
pamorphは、TMDSC装置においてポリマー試料を融解させて、ポリマーの完全に非晶質の変形体を得ることによって測定することができる。次に、融解した試料を急速冷却にかける。一態様においては、急速冷却は−100℃/分の冷却速度で行うが、他の冷却手順は好適であると考えられ、当業者によく知られているであろう。
【0033】
[0033]1以上の態様においては、被覆フィルム構造体は、被覆フィルム構造体内のオーバーコート層106の全重量を基準として20重量%〜40重量%のRAF(%RAF)を含む。他の態様においては、被覆フィルム構造体は、フィルム構造体内のオーバーコート層106の全重量を基準として、20%RAF〜30%RAF、25%RAF〜30%RAF、30%RAF〜40%RAF、少なくとも20%RAF、少なくとも25%RAF、少なくとも30%RAF、又は少なくとも35%RAFを含む。
【0034】
[0034]種々の態様においては、被覆フィルム構造体に少なくとも1つの被覆層108を更に含ませることができる。少なくとも1つの態様においては、少なくとも1つの被覆層108は、ポリマーフィルム基材と中間層104の間に配置する。他の態様においては、少なくとも1つの更なる被覆層108は、更なる被覆層108が基材又は中間層104に接触しないようにオーバーコート層106に施すことができる。更に他の態様においては、2以上の更なる被覆層108を被覆フィルム構造体内に含ませることができる。更なる被覆層108は、例えば、上記に記載したオーバーコート配合物の1つであってよく、これをポリマーフィルム基材と中間層104の間に施すことができる。更なる被覆層108には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリオレフィン、又はこれらの混合物を含ませることができる。オーバーコート層106と同様に、更なる被覆層108には、場合によって、殺生物剤、接着増強剤、架橋剤などのような1種類以上の添加剤を含ませることができる。更なる被覆層108及びオーバーコート層106を用いる態様においては、更なる被覆層108及びオーバーコート層106は同じ配合を有していてよく、或いは異なる配合を有していてよい。
【0035】
[0035]
図2を参照すると、1以上の態様においては、被覆フィルム構造体200は、基材層102、被覆層108、中間層104、及びオーバーコート層106を含む。被覆層108は、中間層104と基材層102の間に配置されているので、オーバーコート層106に接触していない。更に
図2を参照すると、中間層104は、介在する被覆層108が配置されているために、基材層102と接触していない。
【0036】
[0036]1以上の態様においては、少なくとも1つの被覆層108は約0.05g/m
2〜約1.5g/m
2の乾燥被覆重量を有する。他の態様においては、少なくとも1つの被覆層108は、約0.05g/m
2〜約1.0g/m
2;約0.1g/m
2〜約0.5g/m
2;又は約0.3g/m
2〜約0.7g/m
2;の乾燥被覆重量を有する。全被覆層108の合計被覆重量は、約4.5g/m
2以下、約3.0g/m
2以下、又は更には約2.0g/m
2以下である。
【0037】
[0037]1以上の態様においては、被覆フィルム構造体は、積層体接着剤などの少なくとも1つの層を更に含む。他の態様においては、被覆フィルム構造体は第2の基材層を更に含む。積層体接着剤は、オーバーコート層106内、又は更なる被覆層108内に配置することができる。他の態様においては、積層体接着剤は、第1の基材層102と第2の基材層の間の層内に配置することができる。積層体接着剤としては、1成分又は2成分接着剤のいずれかであってよいポリウレタン系接着剤が挙げられ、架橋度は特定の最終用途に関して定められる。好適な接着剤としては、非限定的な例として、Henkel AG & Company(Dusseldorf,ドイツ)から入手できるLoctite Liofol(登録商標)(例えばLoctite Liofol(登録商標)LA2760/LA5028など)の商品名で商業的に入手できるものが挙げられる。好適な接着剤としてはまた、例として(限定ではない)、2.5ニュートン/インチ(N/インチ)〜10N/インチの間の接着強さを有するものも挙げられる。
【0038】
[0038]種々の態様においては、被覆フィルム構造体は、金属化バリヤ層のみを含む構造体と比べて向上した酸素及び水蒸気に対するバリヤ特性を示す。例えば、被覆フィルム構造体の種々の態様は、ASTM−D3985にしたがって測定して、90%の相対湿度及び23℃において約0.70cm
3/m
2/日未満の酸素透過率を示す。他の態様においては、被覆フィルム構造体は、ASTM−D3985にしたがって測定して、0%の相対湿度及び23℃において約0.1cm
3/m
2/日〜約0.2cm
3/m
2/日、並びに90%の相対湿度及び23℃において約0.05cm
3/m
2/日〜約0.50cm
3/m
2/日の酸素透過率を示すことができる。
【0039】
[0039]1以上の態様においては、被覆フィルム構造体は、ASTM−E398にしたがって測定して、90%の相対湿度及び37.8℃において1.00g/m
2/日未満の水蒸気透過率を有する。他の態様においては、被覆フィルム構造体は、ASTM−E398にしたがって測定して、90%の相対湿度及び37.8℃において0.75g/m
2/日未満又は更には0.5g/m
2/日未満の水蒸気透過率を有する。
【0040】
[0040]本発明の態様の被覆フィルム構造体の向上したバリヤ特性は、被覆フィルム構造体の寿命にわたって持続させることができる。Gelbo屈曲試験(ASTM−F392)は、フレキシブル包装材料の屈曲耐久性を測定する。屈曲耐久性は、反復変形に対するバリヤ材料の抵抗性として定量することができる。幾つかの態様においては、酸素バリヤは5回の屈曲後に変化しない。
【0041】
[0041]被覆フィルム構造体及び構成成分の層を製造するために、種々の合成法が意図される。オーバーコート層106又は更なる被覆層108は、有機溶媒、無機溶媒、又はこれらの組合せの中の溶液として調製することができる。或いは、それぞれのオーバーコート層106又は更なる被覆層108は、水性エマルジョンとして調製することができる。溶液又はエマルジョン形態の層の組成物を、被覆フィルム構造体の基材又は他の層に施すことができる。更に他の態様においては、層の組成物は、蒸着によって被覆フィルム構造体に施して気化させることができる。
【0042】
[0042]中間層104は、任意の好適な方法で基材層102上に堆積させることができる。例えば、中間層104は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、真空蒸着、又は原子層堆積(ALD)を用いてポリマーフィルム基材上に堆積させることができる。1つの特定の態様においては、中間層104はPVDによってポリマーフィルム基材上に堆積させる。
【0043】
[0043]一態様においては、オーバーコート層106は、構成成分を混合容器に加えて、全ての成分が均一になるまで周囲温度において混合することによって調製することができる。しかしながら、上昇した温度、上昇した圧力、可溶化剤の存在下、又はこれらの組合せにおいて成分を混合する方法などの、オーバーコート層106を調製するための他の方法を用いることができると意図される。ここで用いる可溶化剤としては、レオロジー調節剤、pH緩衝剤、対イオンの塩、又は均一なオーバーコート層106の組成物の混合を助ける他の化合物が挙げられる。
【0044】
[0044]オーバーコート層106は、グラビア被覆、フレキソ印刷被覆、又は他の適用法を用いて施すことができる。リバースグラビアキス被覆構造を用いて、中間層104又は他の層に対する損傷を最小にすることができる。オーバーコート層106を施した後、それを、熱風、放射熱、周囲条件乾燥、又は接着性被覆フィルム構造体を与える任意の他の好適な手段によって乾燥することができる。また、更なる被覆層108を施して、同様の方法によって乾燥することもできる。
【0045】
[0045]被覆フィルム構造体の全ての層を施した後、被覆フィルム構造体は、そのバリヤ特性を試験する前に硬化させることができる。硬化は、常温又は活性化条件で行うことができる。常温硬化は、被覆フィルム構造体を大気条件において静置することを含む。活性化硬化には、熱、真空、又は電磁放射線を適用することを含ませることができる。
【実施例】
【0046】
[0046]種々の態様をより容易に理解することができるように、以下の実施例を参照する。これらは、種々の態様を示すことを意図しており、その範囲を限定しない。
【0047】
実施例1:被覆フィルム構造体の向上した酸素バリヤ特性:
[0047]酸化アルミニウム(AlO
x)中間層、及びポリビニルアルコール(PVOH)オーバーコートと共にBOPETポリマーフィルム基材を含む実施例の被覆フィルム構造体を製造した。次に、その酸素透過率を2つの比較例と比べた。実施例は、BOPETフィルム基材層とPVOHを含むオーバーコート層の間に配されているAlO
xを含む中間層を有する。AlO
xは、熱蒸発及び反応性酸化による物理蒸着によって約10nmの厚さで施した。比較例Aは、酸化アルミニウム含有層を有するが、オーバーコート層を有しない。比較例Bは、酸化アルミニウム含有層を有しないが、PVOHオーバーコートで被覆されている。用いた全ての基材フィルムは、12μmの厚さを有する商業グレードの包装フィルムであった。実施例1〜3及び比較例Aの基材フィルムは、AlO
xによって10nmの厚さで被覆した。PVOHオーバーコートに関する配合を表1にまとめる。
【0048】
【表1】
【0049】
[0048]PVOHオーバーコート配合物は、成分をパドルミキサー内で室温において均一になるまで混合することによって調製した。幅330mmのパイロットコーターを用い、180LQCエッチングを有するリバースロール被覆ロッドを用いて25メートル/分の速度で液体のオーバーコート配合物を試料に施した。
【0050】
[0049]中間層及びオーバーコート層を含む被覆フィルム構造体の酸素透過率を、比較例のフィルム構造体の酸素透過率と比較した。ASTM−D3985にしたがって、23℃における低湿度(0%RH)及び高湿度(90%RH)での酸素透過率を測定した。湿分を基材の被覆側に直接当てて;基材の他の側は0%RHに維持した。実施例及び比較例の酸素透過率を表2にまとめる。
【0051】
【表2】
【0052】
[0050]表2におけるデータは、酸化アルミニウムを含む中間層及びオーバーコート層の両方を有する被覆フィルム構造体は、いずれかの層のみを有するフィルムよりも酸素の透過を制限するのにより有効であることを示す。
【0053】
実施例2:被覆フィルム構造体の向上した水蒸気バリヤ特性:
[0051]PVOHオーバーコートを有する種々の被覆フィルム構造体を製造した。これらの構造体は実施例1と同様に製造したが、異なるポリビニルアルコールを含ませた。実施例2のオーバーコートは、Nippon Gosei(日本)から商業的に入手できる非晶質PVOHであるG-Polymer(登録商標)を含む。このオーバーコートを、約0.5gsmの乾燥被覆重量でAlO
x層の上に施した。このフィルム構造体の水蒸気透過率を、比較例C及びDと比較した。比較例Cは、実施例2と同じオーバーコートで被覆されている12μmの厚さを有する商業グレードの包装フィルムである。比較例Dは、AlO
xを含む中間層、及びSekisui Specialty Chemicals(日本)からの結晶質PVOHであるSelvol E107を含むオーバーコート層を有する12μmの厚さを有する商業グレードの包装フィルムである。全ての試料の結晶特性は、Mettler Toledo DSC3を用いたTMDSCスキャンによって測定した。更に、ASTM−E398にしたがって、38.7℃及び90%の相対湿度においてそれぞれの被覆フィルム構造体の水蒸気透過率を測定した。これらの測定の結果を表3にまとめる。
【0054】
【表3】
【0055】
[0052]表3において分かるように、実施例2の水蒸気透過率は比較例のものよりも低い。表3に示される被覆フィルム構造体の水蒸気バリヤ特性に加えて、1以上の態様の被覆フィルム構造体は、驚くべきことに親水性環境において改良された水蒸気透過率も示す。
【0056】
[0053]10重量%の親水性可塑剤であるグリセロールを実施例2及び比較例Dに加えて、親水性環境におけるこれらの例の水蒸気透過率を比較した。得られた被覆フィルム構造体(実施例2’及び比較例D’と命名)の水蒸気透過率を、ASTM−E398にしたがって、38.7℃及び90%の相対湿度において測定した。更に、Mettler Toledo DSC3を用いたTMDSCスキャンによって、これらの被覆フィルム構造体上のオーバーコート層の結晶化度を測定した。これらの測定結果を表4にまとめる。
【0057】
【表4】
【0058】
[0054]フィルム構造体に親水性可塑剤を加えると、被覆フィルム構造体の水蒸気透過率が劇的に増加すると予測される。理論にとらわれないが、これは、少なくとも部分的に、親水性の可塑剤を加えることによって被覆フィルム構造体の周囲に形成される親水性環境によるものであると考えられる。この親水性環境は、水蒸気の移動をより多く誘導すると予測される。これは、比較例D及び比較例D’において見られる現象である。しかしながら、非晶質ポリビニルアルコールを含む一態様の被覆フィルム構造体に関しては、親水性の可塑剤の存在下においても水蒸気バリヤが維持される。理論にとらわれないが、結晶質PVOHを含む被覆フィルム構造体と比べて増加した実施例3’の%RAFは、少なくとも部分的に、親水性環境においても水蒸気バリヤが驚くほど維持されていることに寄与していると考えられる。可塑剤を加えることに伴う%RAFの増加は、それ自体驚くべきことである。可塑剤は、ポリマーの自由度を減少させ、それによって%RAFを減少させると予測される。しかしながら、実施例3と実施例3’の間の同程度の水蒸気透過率と組み合わさった、実施例3と比べた実施例3’の%RAFの増加は、AlO
xを含む中間層とPVOHを含むオーバーコート層の界面における予期しなかった相互作用の結果であると考えられる。
【0059】
実施例3:オーバーコートのデータ:
[0055]理論にとらわれないが、被覆フィルム構造体の向上したバリヤ特性は、構成成分の層の組成だけでなく、層の順番にも起因すると考えられる。これを示すために、BOPETポリマーフィルム基材、AlO
x中間層、及びMichem(登録商標)Flex P888オーバーコート層を有する実施例3の被覆フィルム構造体を製造した。このオーバーコート層は、未架橋の非晶質タイプのPVOHを含んでおり、Michelman, Inc.(Blue Ash, Ohio,米国)から商業的に入手できる。この被覆フィルム構造体のバリヤ特性を、比較例E及び比較例Fと比べた。比較例Eは、AlO
x被覆のみを有するBOPETポリマーフィルム基材である。比較例Fは、PVOH中間層及びAlO
xオーバーコート層を有するBOPETポリマーフィルム基材である。それぞれの実施例及び比較例のAlO
xは、熱蒸発及び反応性酸化による物理蒸着によって、約10nmの厚さで施した。実施例3及び比較例Fは、約0.4gsmの乾燥被覆重量で施されたオーバーコート層を有する。ASTM−3985にしたがって、23℃及び50%の相対湿度において酸素透過率を測定した。水蒸気透過率は、ASTM−E398にしたがって、37.8℃及び90%の相対湿度において測定した。これらの測定結果を表5にまとめる。
【0060】
【表5】
【0061】
[0056]表5におけるデータは、比較例Fが実施例3の約2倍の多さの水蒸気を透過するので、水蒸気透過率が被覆の順番に依存することを示している。
【0062】
実施例4:Gelbo屈曲試験:
[0057]被覆フィルム構造体によって示されるバリヤ特性に加えて、これらの被覆フィルム構造体は、ユニークなことに、連続変形にかけた後においてもこれらのバリヤ特性を維持すると考えられる。Gelbo屈曲試験によって、一連の変形の後の酸素透過率を測定することが可能である。厚さ12μmのBOPETポリマーフィルム基材、AlO
x中間層、及びMichem(登録商標)Flex P888オーバーコート層を含む実施例4の被覆フィルム構造体について、ASTM−F392にしたがってGelbo屈曲試験を行った。次に、このフィルムを、Henkel CorporationからのLiofol(登録商標)LA2760/LA5028接着剤を用いて、一方の側を厚さ40μmのポリエチレンフィルムに、他方の側を厚さ12μmのBOPETに、三重構造で積層した。上記に記載したように、このオーバーコート層は未架橋の非晶質タイプのPVOHを含んでおり、Michelman, Inc.(Blue Ash, Ohio,米国)から商業的に入手できる。
【0063】
【表6】
【0064】
[0058]表6におけるデータから分かるように、被覆フィルム構造体は、5回の変形の後においても同等の酸素透過率を示した。
[0059]他に示していない限りにおいて、明細書及び特許請求の範囲における範囲の開示は、その範囲自体及びその中に包含される任意の範囲、並びに端点を含むものと理解すべきである。
【0065】
[0060]特許請求される主題の精神及び範囲から逸脱することなく修正及び変更を本明細書に記載する態様に加えることができることは当業者に明らかであろう。而して、明細書は、かかる修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの均等範囲内であるならば、本明細書に記載する種々の態様の修正及び変更をカバーすると意図される。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
被覆フィルム構造体であって、
1μm〜120μmの厚さを有し、ポリマーフィルム基材を含む、基材層;
約0.05g/m2〜約1.5g/m2の乾燥被覆重量を有し、非晶質ポリビニルアルコールを含む、オーバーコート層;及び
酸化アルミニウムを含み、約5nm〜約30nmの厚さを有し、前記基材層と前記オーバーコート層の間に配置されている、少なくとも1つの中間層;
を含み;
前記被覆フィルム構造体は、前記オーバーコート層と前記少なくとも1つの中間層の界面において剛直非晶相(RAF)を含み、前記オーバーコート層は前記オーバーコート層の全重量を基準として少なくとも30重量%のRAF(%RAF)を含み;
前記被覆フィルム構造体は、ASTM−D3985にしたがって測定して、90%の相対湿度及び23℃において約0.70cm3/m2/日未満の酸素透過率;及び
ASTM−E398にしたがって測定して、90%の相対湿度及び37.8℃において1.00g/m2/日未満の水蒸気透過率;
を有する、前記被覆フィルム構造体。
[態様2]
前記ポリマーフィルム基材が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン(PE)、及び二軸延伸ポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様3]
前記基材層と前記少なくとも1つの中間層の間に配置されている少なくとも1つの被覆層を更に含む、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様4]
前記少なくとも1つの被覆層がポリビニルアルコールを含む、態様3に記載の被覆フィルム構造体。
[態様5]
前記被覆フィルム構造体が、0%の相対湿度、23℃において、約0.1cm3/m2/日〜約0.2cm3/m2/日の酸素透過率を有する、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様6]
オーバーコート層が75℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様7]
前記少なくとも1つの中間層、前記オーバーコート層、又は両方が、ワックス、殺生物剤、接着剤、又はこれらの組合せから選択される1種類以上の添加剤を含む、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様8]
前記ポリマーフィルム基材がBOPETを含む、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様9]
前記オーバーコート層が、前記オーバーコート層の全重量を基準として少なくとも30重量%のRAF(%RAF)を含む、態様1に記載の被覆フィルム構造体。
[態様10]
被覆フィルム構造体であって、
1μm〜120μmの厚さを有し、ポリマーフィルム基材を含む、基材層;
約0.05g/m2〜約1.5g/m2の乾燥被覆重量を有し、非晶質ポリビニルアルコールを含む、オーバーコート層;及び
酸化アルミニウムを含み、約5nm〜約30nmの厚さを有し、前記基材層と前記オーバーコート層の間に配置されている、少なくとも1つの中間層;
を含み;
前記被覆フィルム構造体は、ASTM−D3985にしたがって測定して、90%の相対湿度及び23℃において約0.70cm3/m2/日未満の酸素透過率;及び
ASTM−E398にしたがって測定して、90%の相対湿度及び37.8℃において1.00g/m2/日未満の水蒸気透過率;
を有する、前記被覆フィルム構造体。
[態様11]
前記ポリマーフィルム基材が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン(PE)、及び二軸延伸ポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、態様10に記載の被覆フィルム構造体。
[態様12]
前記ポリマーフィルム基材がBOPETを含む、態様10に記載の被覆フィルム構造体。
[態様13]
前記基材層と前記少なくとも1つの中間層の間に配置されている少なくとも1つの被覆層を更に含む、態様10に記載の被覆フィルム構造体。
[態様14]
前記少なくとも1つの被覆層がポリビニルアルコールを含む、態様13に記載の被覆フィルム構造体。
[態様15]
前記被覆フィルム構造体が、0%の相対湿度、23℃において、約0.1cm3/m2/日〜約0.2cm3/m2/日の酸素透過率を有する、態様10に記載の被覆フィルム構造体。
[態様16]
前記オーバーコート層が75℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、態様10に記載の被覆フィルム構造体。
[態様17]
被覆フィルム構造体であって、
1μm〜120μmの厚さを有し、ポリマーフィルム基材を含む、基材層;
約0.05g/m2〜約1.5g/m2の乾燥被覆重量を有し、ポリビニルアルコールを含む、オーバーコート層;及び
酸化アルミニウムを含み、約5nm〜約30nmの厚さを有し、前記基材層と前記オーバーコート層の間に配置されている、少なくとも1つの中間層;
を含み;
前記被覆フィルム構造体は、前記オーバーコート層と前記中間層の界面において剛直非晶相(RAF)を含み、前記オーバーコート層は少なくとも20重量%のRAF(%RAF)を含み;
前記被覆フィルム構造体は、ASTM−D3985にしたがって測定して、90%の相対湿度及び23℃において約0.70cm3/m2/日未満の酸素透過率;及び
ASTM−E398にしたがって測定して、90%の相対湿度及び37.8℃において1.00g/m2/日未満の水蒸気透過率;
を有する、前記被覆フィルム構造体。
[態様18]
前記ポリマーフィルム基材が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、及び二軸延伸ポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、態様17に記載の被覆フィルム構造体。
[態様19]
前記ポリマーフィルム基材がBOPETを含む、態様17に記載の被覆フィルム構造体。
[態様20]
前記基材層と前記少なくとも1つの中間層の間に配置されている少なくとも1つの被覆層を更に含む、態様17に記載の被覆フィルム構造体。
[態様21]
前記少なくとも1つの被覆層がポリビニルアルコールを含む、態様20に記載の被覆フィルム構造体。
[態様22]
前記被覆フィルム構造体が、0%の相対湿度、23℃において、約0.1cm3/m2/日〜約0.2cm3/m2/日の酸素透過率を有する、態様17に記載の被覆フィルム構造体。
[態様23]
前記被覆フィルム構造体が75℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、態様17に記載の被覆フィルム構造体。