(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、本発明のめっき装置及びめっきシステムをハーリングセル試験用のめっき試験器に適用した場合を例にとり、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
<第一の実施形態>
図1(a)に示すように、本発明の第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aは、一対の陰極13AX,13AYに対して同時にめっきを行い、均一電着性、より詳細にはミクロスローイングパワーを評価するハーリングセル試験を行うためのめっき試験器である。第一のめっき装置1Aは、例えば定電流電解及び定電圧電解のいずれか(本実施形態では、一対の第一の陰極13AX,13AYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)の定電流で、かつ、定電圧電解)によってめっきを行う。第一のめっき装置1Aは、第一のめっき槽11Aと、第一の陽極12Aと、一対の第一の陰極13A(13AX,13AY)と、第一のめっき電源(整流器)14Aと、第一の回路部20Aと、制御部31と、操作部32と、表示部33と、を備える。
【0013】
≪第一のめっき槽≫
第一のめっき槽11A内には、めっき浴2が貯留される。めっき浴2としては、硫酸銅めっき(一般浴、ハイスロー浴)等が挙げられる。
【0014】
≪第一の陽極≫
第一の陽極12Aは、第一のめっき槽11A内の一対の第一の陰極13AX,13AY間でめっき浴2に浸かるように設けられる金属板である。
【0015】
≪第一の陰極≫
一対の第一の陰極13AX,13AYは、互いに離間しており、第一のめっき槽11A内において第一の陽極12Aと対向する状態でめっき浴2に浸かるように設けられる金属板である。本実施形態において、第一のめっき装置1Aは、絶縁性材料によって形成されている基材3と、基材3の一面上に設けられている一方の第一の陰極13AXと、絶縁性材料によって形成されて基材3とともに一方の第一の陰極を挟み込む基材4と、基材4の一面上に設けられている他方の第二の陰極13AYと、を備える。基材4及び他方の第二の陰極13AYには、円筒形状を呈する複数の穴部5が形成されている。一方の第一の陰極13AXは、穴部5の底面を構成する。また、基材3,4及び一対の第一の陰極13AX,13AYによって構成される構造体は、穴部5の開口が第一の陽極12Aに向く姿勢でめっき浴2内に設けられる。
【0016】
≪第一のめっき電源(整流器)≫
第一のめっき電源(整流器)14Aは、一対の第一の陰極13AX,13AYにめっき電流を供給する。第一のめっき電源14Aは、第一の回路部20Aを介して第一の陽極12A及び一対の第一の陰極13AX,13AYと電気的に接続されており、一対の第一の陰極13AX,13AYにめっきを析出させるためのめっき電流を流す直流電源である。本実施形態において、第一のめっき電源14Aは、定電流電源であり、第一の陰極13AXに流れる電流と第一の陰極13AYに流れる電流との合計値を一定にする。
【0017】
≪第一の回路部≫
第一の回路部20Aは、第一の陽極12A、一対の第一の陰極13AX,13AY及び第一のめっき電源14Aとともに電気回路を構成する。第一の回路部20Aは、第一のフィードバック回路21Aと、第一の電流計測回路22Aと、第一の電圧計測回路23Aと、を備える。
【0018】
≪第一のフィードバック回路≫
第一のフィードバック回路21Aは、第一の陽極12A及び第一の陰極13AX,13AYの電圧(電位)に基づいて、一対の第一の陰極13AX,13AYの一方の電位を他方の電位に一致させるようにフィードバック制御を行う。換言すると、第一のフィードバック回路21は、第一の陽極12A及び第一の陰極13AX,13AYの電圧(電位)に基づいて、第一の陽極12Aと第一の陰極13AXとの間の電位差と、第一の陽極12Aと第一の陰極13AYとの間の電位差と、を一致させるようにフィードバック制御を行う。かかるフィードバック制御は、第一の陰極13AXに流れる電流と第一の陰極13AYに流れる電流との合計値が一定に維持された定電流の状態で行われる。なお、かかる定電流の状態は、第一のめっき電源14Aの性能によって実現されてもよく、第一の回路部20Aの回路構成によって実現されてもよい。また、第一のフィードバック回路21Aは省略可能である。
【0019】
≪第一の電流計測回路≫
第一の電流計測回路22Aは、一対の第一の陰極13AX,13AYのそれぞれに流れる電流値を計測し、計測された電流値を制御部31へ出力する。かかる電流値は、穴部5がめっき皮膜によって充填されて第一の陰極13AX,13AYが電気的に接続された場合に互いに近づく。すなわち、かかる電流値及びその経時変化(めっき開始から互いに近づくまでの時間)が、めっき浴2のミクロスローイングパワーを示すパラメータの一つである。
【0020】
≪第一の電圧計測回路≫
第一の電圧計測回路23Aは、一対の第一の陰極13AX,13AYの電位すなわち電圧値を計測し、計測された電圧値を制御部31へ出力する。なお、電圧値の計測が不要な場合には、第一の電圧計測回路23Aは省略可能である。かかる電圧値は、第一のフィードバック回路21Aによるフィードバック制御が行われない場合において、穴部5がめっき皮膜によって充填されて第一の陰極13AX,13AYが電気的に接続された場合に互いに近づく。すなわち、かかる電圧値及びその経時変化(めっき開始から互いに近づくまでの時間)が、めっき浴2のミクロスローイングパワーを示すパラメータの一つである。
【0021】
≪制御部≫
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部31は、第一の電流計測回路22Aによって計測された一対の第一の陰極13AX,13AYの電流値を取得し、表示部33へ出力する。また、制御部31は、第一の電圧計測回路23Aによって計測された一対の第一の陰極13AX,13AYの電圧値を取得し、表示部33へ出力する。
【0022】
また、制御部31は、一対の第二の陰極13AX,13AYの電流値(積算電流値)に基づいて、一対の第二の陰極13AX,13AYにおけるめっきの析出量(理論析出量)を算出し、表示部33へ出力することができる。めっきの理論析出量A[g]は、陰極13Bに流れる電流I[A]、通電時間t[s]、ファラデー定数F[C/mol]、並びに、めっきとして析出する金属の原子量M[g/mol]及びイオン価数zを用いて、下記式によって算出される。
A=I・t・M/(z・F)
ここで、ファラデー係数Fは、制御部31に予め記憶されている。電流Iは、第二の電流計測回路22Aによって計測されている。通電時間tは、制御部31によって計測されている。原子量M及びイオン価数zは、利用者による操作部32の操作によって制御部31に入力されているか、利用者による操作部32の操作によって、予め制御部31に記憶された値から選択されている。
【0023】
≪操作部≫
操作部32は、キーボード、マウス等によって構成されている。操作部32は、利用者による操作結果を制御部31へ出力する。
【0024】
≪表示部≫
表示部33は、モニタによって構成されている。表示部33は、制御部31から出力された電流値、電圧値等の経時変化をグラフ表示する。
【0025】
<回路図の一例>
図2は、第一のめっき槽11A内の構成すなわち第一の陽極12A及び一対の第一の陰極13AX,13AYを、第一の陽極12A及び第一の陰極13AXによって構成される抵抗15AXと、第一の陽極12A及び第一の陰極13AYによって構成される抵抗15AYと、に模して記載した回路図である。
図2に示すように、本発明の第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aは、一対の第一の陰極13AX,13AYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)に維持される定電流の状態における定電流電解でめっきを行う。めっき装置1Aは、電気回路として、第一のめっき電源14Aと、一対の抵抗15AX,15AYと、一対の電流計22AX,22AYと、第一のフィードバック回路21Aと、定電圧回路24Aと、を備える。かかる回路において、抵抗15AX、電流計22AX及び定電圧回路24Aは、直列に接続されており、抵抗15AY、電流計22AY及び第一のフィードバック回路21Aは、直列に接続されている。また、抵抗15AX、電流計22AX及び定電圧回路24Aの組み合わせと、抵抗15AY、電流計22AY及び第一のフィードバック回路21Aの組み合わせとは、第一のめっき電源14Aに対して互いに並列に設けられている。
【0026】
≪第一のめっき電源≫
本実施形態において、第一のめっき電源14Aの正極は、第一の陽極12Aと電気的に接続されており、第一のめっき電源14Aの負極は、一対の第一の陰極13AX,13AYと電気的に接続されている。
【0027】
≪抵抗≫
抵抗15AXは、第一の陽極12Aと第一の陰極13AXとの間の電位差を表すセル抵抗である。抵抗15AYは、第一の陽極12Aと第一の陰極13AYとの間の電位差を表すセル抵抗である。
【0028】
≪電流計≫
第一の電流計測回路22Aの一つである電流計22AXは、抵抗15AXすなわち第一の陰極13AXに流れる電流値を計測する。第一の電流計測回路22Aの一つである電流計22AYは、抵抗15AYすなわち第一の陰極13AYに流れる電流値を計測する。
【0029】
≪第一のフィードバック回路≫
第一のフィードバック回路21Aは、基準となる第一の陰極13AXの電位に第一の陰極13AYの電位を一致させる(第一の陰極13AXと第一の陰極13AYとの間の電位差をゼロとする)制御を行う。第一のフィードバック回路21Aは、図示したFET(Field Effect Transistor)に限定されず、バイポーラトランジスタ、半導体素子等によっても具現化可能である。
【0030】
≪定電圧回路≫
第一の回路部20Aの一つである定電圧回路24Aは、第一の陰極13AYの電位を第一のフィードバック回路21Aの制御可能な電圧範囲に入れるために、第一の陰極13AXの電位を高くするための回路である。なお、第一のめっき装置1Aは、定電圧回路24Aに代えて、当該定電圧回路24Aと同様の作用効果を奏するダイオード又は抵抗を備える構成であってもよい。
【0031】
かかる電気回路を構成するに際して、電流値及び電圧値の計測用の信号入力線b1〜b3(
図1参照)及び信号入力線b1〜b3と各極12A,13AX,13AYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)は、各極12A,13AX,13AYの通電用の信号入力線a1〜a3(
図1参照)及び信号入力線a1〜a3と各極12A,13XA,13AYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)とは別に設けられている(共用されていない)。
【0032】
<回路図の別例>
本発明の第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aの回路図の別例について、前記した一例との相違点を中心に説明する。
図3に示すように、本発明の第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aは、一対の第一の陰極13AX,13AYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)に維持される定電流の状態における定電流電解でめっきを行う。
図3に示す第一のめっき装置1Aは、電気回路として、定電圧回路24Aに代えて、補助電源25Aを備える。
【0033】
≪補助電源及び第一のめっき電源≫
第一の回路部20Aの一つである補助電源(整流器)25Aは、第一の陰極13AYに対してめっき電流を供給する直流電源である。本実施形態において、補助電源25Aは、定電流電源であり、第一のめっき電源14A及び補助電源25Aの組み合わせは、第一の陰極13AXに流れる電流と第一の陰極13AYに流れる電流との合計値を一定にする。補助電極25Aの正極は、第一の陽極12Aと電気的に接続されており、負極は、第一の陰極13AYと電気的に接続されている。
【0034】
また、本実施形態において、第一のめっき電源14Aは、第一の陰極13AXに対してめっき電流を供給する。第一のめっき電源14Aの正極は、第一の陽極12Aと電気的に接続されており、負極は、第一の陰極13AXと電気的に接続されている。
【0035】
かかる電気回路において、第一の陰極13AXには、第一のめっき電源14Aからのめっき電流が流れ、第一の陰極13AYには、補助電源25Aからのめっき電流が流れ、第一の陽極12Aには、第一の陰極13AX,13AYの合計めっき電流が流れる。
【0036】
補助電源25Aの負極の電位は、第一のめっき電源14Aの負極の電位よりも所定範囲(例えば、数百[mV]〜数[V])だけ低くなるように設定されている。これは、第一の陰極13AYの電位を第一のフィードバック回路21Aの制御可能な電圧範囲に入れるための措置である。また、補助電源25Aは、第一の陰極13AYに流れるめっき電流を十分に供給することが可能な能力を有する。
【0037】
かかる電気回路を構成するに際して、電流値及び電圧値の計測用の信号入力線b1〜b3(
図1参照)及び信号入力線b1〜b3と各極12A,13AX,13AYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)は、各極12A,13AX,13AYの通電用の信号入力線a1〜a3(
図1参照)及び信号入力線a1〜a3と各極12A,13AX,13AYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)とは別に設けられている(共用されていない)。
【0038】
第一のめっき装置1Aにおいてめっきが行われると、第一の陰極13AY上に析出しためっき皮膜が穴部5内で成長し、第一の陰極13AYと電気的に接続される。第一のフィードバック回路21Aによるフィードバック制御が行われている場合には、この時点で、第一の陰極13AX,13AYの電流値が近づく。また、第一のフィードバック回路21Aによるフィードバック制御が行われていない場合には、この時点で、第一の陰極13AX,13AYの電流値及び電圧値が略一致する。制御部31は、めっき開始からかかる時点までの時間を、ミクロスローイングパワーのパラメータとして測定することができる。
【0039】
また、第一のめっき装置1Aは、第一の陰極13AX,13AY及び基材4,5の組み合わせに関して、穴部5の形状(径、深さ、間隔等)が異なるものを用意して測定を行うことによって、様々な凹部(溝、穴等)を有する被めっき物に対するミクロスローイングパワーの違い(埋め込み性)を予測することを可能とする。
【0040】
本発明の第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aは、第一の陰極13AX,13AYが穴部5の底面及び開口の周縁のそれぞれに設けられているので、ミクロスローイングパワーを好適に測定することができる。
また、第一のめっき装置1Aは、電流計22AX,22AYの影響を排除したハーリングセル試験を行うことができる。
【0041】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係るめっきシステムについて、第一の実施形態に係る第一のめっき装置1Aとの相違点を中心に説明する。
図4に示すように、本発明の第二の実施形態に係るめっきシステムMSは、第二のめっき装置1Bとして、第二のめっき槽11Bと、第二の陽極12Bと、一対の第二の陰極13B(13BX,13BY)と、第二のめっき電源(整流器)14Bと、第二の回路部20Bと、を備える。制御部31、操作部32及び表示部33は、第一のめっき装置1Aと共用化されている。
【0042】
本発明の第二の実施形態に係るめっき装置1Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYに対して同時にめっきを行い、析出しためっきの重量に基づいて均一電着性、より詳細にはマクロスローイングパワーを評価するハーリングセル試験を行うためのめっき試験器である。第二のめっき装置1Bは、例えば定電流電解及び定電圧電解のいずれか(本実施形態では、一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)の定電流で、かつ、定電圧電解)によってめっきを行う。
【0043】
≪第二のめっき槽≫
第二のめっき槽11B内には、第一のめっき槽11Aと同種のめっき浴2が貯留される。めっき浴2としては、硫酸銅めっき(一般浴、ハイスロー浴)等が挙げられる。
【0044】
≪第二の陽極≫
第二の陽極12Bは、第二のめっき槽11B内の一対の第二の陰極13BX,13BY間でめっき浴2に浸かるように設けられる金属板である。第二の陽極12Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYとの距離を変更可能である。すなわち、第二の陽極12Bは、一対の第二の陰極13BX,13BY間において、一方の第二の陰極13BXに近づけたり(すなわち、他方の第二の陰極13BYから遠ざけたり)、他方の陰極13BYに近づけたり(すなわち、一方の第二の陰極13BXから遠ざけたり)することができる。
【0045】
≪第二の陰極≫
一対の第二の陰極13BX,13BYは、互いに離間しており、第二のめっき槽11B内において第二の陽極12Bを間に挟んだ状態でめっき浴2に浸かるように設けられる金属板である。なお、第二の陰極13BX,13BYの少なくとも一方は、実際にめっきが施された加工品となる金属製のめっき対象物であってもよい。
【0046】
なお、第二の陽極12Bと一対の第二の陰極13BX,13BYとの配置関係は、前記したものに限定されない。例えば、一対の第二の陰極13BX,13BYは、第二の陽極12Bの一方側にそれぞれ異なる距離で配置されていてもよい。
【0047】
≪第二のめっき電源(整流器)≫
第二のめっき電源(整流器)14Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYにめっき電流を供給する。第二のめっき電源14Bは、第二の回路部20Bを介して第二の陽極12B及び一対の第二の陰極13BX,13BYと電気的に接続されており、一対の第二の陰極13BX,13BYにめっきを析出させるためのめっき電流を流す直流電源である。本実施形態において、第二のめっき電源14Bは、定電流電源であり、第二の陰極13BXに流れる電流と第二の陰極13BYに流れる電流との合計値を一定にする。
【0048】
≪第二の回路部≫
第二の回路部20Bは、第二の陽極12B、一対の第二の陰極13BX,13BY及び第二のめっき電源14Bとともに電気回路を構成する。第二の回路部20Bは、第二のフィードバック回路21Bと、第二の電流計測回路22Bと、第二の電圧計測回路23Bと、を備える。
【0049】
≪第二のフィードバック回路≫
第二のフィードバック回路21Bは、第二の陽極12B及び第二の陰極13BX,13BYの電圧(電位)に基づいて、一対の第二の陰極13BX,13BYの一方の電位を他方の電位に一致させるようにフィードバック制御を行う。換言すると、第二のフィードバック回路21Bは、第二の陽極12B及び第二の陰極13BX,13BYの電圧(電位)に基づいて、第二の陽極12Bと第二の陰極13BXとの間の電位差と、第二の陽極12Bと第二の陰極13BYとの間の電位差と、を一致させるようにフィードバック制御を行う。かかるフィードバック制御は、第二の陰極13BXに流れる電流と第二の陰極13BYに流れる電流との合計値が一定に維持された定電流の状態で行われる。なお、かかる定電流の状態は、第二のめっき電源14Bの性能によって実現されてもよく、第二の回路部20Bの回路構成によって実現されてもよい。
【0050】
≪第二の電流計測回路≫
第二の電流計測回路22Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYのそれぞれに流れる電流値を計測し、計測された電流値を制御部31へ出力する。
【0051】
≪第二の電圧計測回路≫
第二の電圧計測回路23Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYの電位すなわち電圧値を計測し、計測された電圧値を制御部31へ出力する。なお、電圧値の計測が不要な場合には、第二の電圧計測回路23Bは省略可能である。
【0052】
≪制御部≫
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部31は、操作部32から出力された第二の陽極12Bと一対の第二の陰極13BX,13BYとの距離(又はその比)を、実際の試験前に予め記憶している。または、制御部31は、各種パラメータの算出前に、操作部32から出力された第二の陽極12Bと一対の第二の陰極13BX,13BYとの距離(又はその比)を取得し、取得された距離(又はその比)に基づいて各種パラメータを算出する。また、制御部31は、第二の電流計測回路22Bによって計測された一対の第二の陰極13BX,13BYの電流値を取得し、表示部33へ出力する。また、制御部31は、第二の電圧計測回路23Bによって計測された一対の第二の陰極13BX,13BYの電圧値を取得し、表示部33へ出力する。
【0053】
また、制御部31は、第二の電流計測回路22B(詳細には、後記する電流計22BX,22BY)によって計測された一対の第二の陰極13BX,13BYの電流値に基づいて、一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の比である電流配分比を算出し、表示部33へ出力することができる。
【0054】
また、制御部31は、一対の第二の陰極13BX,13BYの電流値(積算電流値)に基づいて、一対の第二の陰極13BX,13BYにおけるめっきの析出量(理論析出量)を算出し、表示部33へ出力することができる。めっきの理論析出量A[g]は、陰極13Bに流れる電流I[A]、通電時間t[s]、ファラデー定数F[C/mol]、並びに、めっきとして析出する金属の原子量M[g/mol]及びイオン価数zを用いて、下記式によって算出される。
A=I・t・M/(z・F)
ここで、ファラデー係数Fは、制御部31に予め記憶されている。電流Iは、第二の電流計測回路22Bによって計測されている。通電時間tは、制御部31によって計測されている。原子量M及びイオン価数zは、利用者による操作部32の操作によって制御部31に入力されているか、利用者による操作部32の操作によって、予め制御部31に記憶された値から選択されている。
【0055】
また、制御部31には、第二の陰極13Bに流れる電流の値とめっきの実際の析出量との関係性、すなわち、過去の実験に基づいて、第二の陰極13Bに流れる電流の値と、当該電流の値によって単位時間あたりに実際に析出するめっきの析出量と、が第二の陰極13BX,13BYごとに関連付けてマップ等として記憶されている。利用者は、めっき前の第二の陰極13BX,13BYの重量と、めっき後の第二の陰極13BX,13BYの重量(めっき付き)と、を重量計を用いて計測し、これらの差から各第二の陰極13BX,13BYに析出しためっきの析出量(実測析出量)を得る。そして、利用者は、操作部32を操作することによって、かかる実測析出量と一対の第二の陰極13BX,13BYの電流値(電流計22BX、22BYの計測値)と、に基づく前記関係性を、制御部31に記憶させる。制御部31は、電流計22BX,22BYの計測結果(一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の値)を用いて前記関係性を参照するとともに、通電時間tを考慮することによって、めっきの析出量(推定析出量)を算出し、表示部33へ出力することができる。
【0056】
また、制御部31は、予め記憶された第二の陽極12Bと一対の第二の陰極13BX,13BYそれぞれとの距離と、算出された一対の第二の陰極13BX,13BYの推定析出量と、に基づいて、均一電着指数T
Aを算出し、表示部33へ出力することができる。ここで、第二の陽極12Bに近い第二の陰極13Bと第二の陽極12Bとの距離をd
1、第二の陽極12Bから遠い第二の陰極13Bと第二の陽極12Bとの距離をd
2、第二の陽極12Bに近い第二の陰極13Bの推定析出量をA
1、第二の陽極12Bから遠い第二の陰極13Bの推定析出量をA
2とすると、均一電着指数T
A[%]は、下記式によって算出可能である。
T
A={(d
2/d
1)−(A
1/A
2)}/{(d
2/d
1)+(A
1/A
2)−2}×100
ここで、推定析出量A
1,A
2は、前記した電流値と実際の析出量(事前実験での実測析出量)との関係性を用いて算出されている。極間距離d
1,d
2は、第二のめっき槽11Bに設けられた目盛(距離比を示す目盛、又は、単に距離を示すメジャー。図示せず)を見た利用者による操作部32の操作によって制御部31に入力されているか、利用者による操作部32の操作によって、予め制御部31に記憶された値から選択されている。
【0057】
均一電着指数T
A[%]は、一対の第二の陰極13BX,13BYに析出するめっきの均一性の度合いを示すパラメータである。均一電着指数T
Aは、およそ±100%の範囲内で推移する値であり、一対の第二の陰極13BX,13BYへの電流配分比が極間距離比d
2/d
1と一致する場合に、0[%]となる。また、均一電着指数T
Aは、一対の第二の陰極13BX,13BYの析出量が等しい場合に、極間距離比d
2/d
1に関わらず、100[%]となる。すなわち、均一電着指数T
Aは、100[%]に近い値を示すほど、一対の第二の陰極13BX,13BYに均一に電着していることを示す。
【0058】
また、制御部31は、各第二の陰極13BX,13BYに実際に流れる電流値を用いて均一電着指数T
Bを算出し、表示部33へ出力することもできる。ここで、第二の陽極12Bに近い第二の陰極13Bに流れる電流の値をI
1、第二の陽極12Bから遠い第二の陰極13Bに流れる電流の値をI
2とすると、均一電着指数T
B[%]は、下記式によって算出可能である。
T
B={(d
2/d
1)−(I
1/I
2)}/{(d
2/d
1)+(I
1/I
2)−2}×100
ここで、電流値I
1,I
2は、第二の電流計測回路22Bによって計測されている。
【0059】
極間距離d
1,d
2を用いた均一電着指数T
Aは、比較的、理論に近い値であるのに対し、実際に流れる電流の値I
1,I
2(電流配分比I
1/I
2)を用いた均一電着指数T
Bは、実際のめっき浴2の性能(例えば、添加剤の性能、導電率)に影響される値である。利用者は、均一電着指数T
A,T
Bを比較したり、電流の値I
1,I
2(電流配分比I
1:I
2、I
1/I
2等)の変化に伴う均一電着指数T
Bの値の変化を見たりすることによって、めっき浴2の性能及び状態(例えば、添加剤の性能、バランス、電流効率への影響)を知ることができる。
【0060】
なお、制御部31は、理論析出量を用いて均一電着指数T
A,T
Bを算出し、表示部33へ出力することもできる。この場合には、推定析出量に基づく均一電着指数T
A,T
Bと理論析出量に基づく均一電着指数T
A,T
Bとを利用者に比較させることができる。
【0061】
また、制御部31は、推定析出量及び理論析出量に基づいて電流効率を算出し、表示部33へ出力することができる。電流効率とは、第二の陰極13BX,13BYに流れる電流がどれだけ効率よくめっきの析出に用いられたかを示すパラメータである。
電流効率[%]=(推定析出量/理論析出量)×100
電流効率としては、第二の陰極13BX,13BYの合計析出量に基づく総合的な電流効率に加え、各第二の陰極13BX,13BYごとの電流効率も算出可能である。
【0062】
また、めっきシステムMSの利用者は、第二の陰極13BX,13BYに析出しためっきの析出量(実測析出量)を、重量計を用いて実際に計測するとともに、操作部32を操作することによって実測析出量を制御部31に入力させることができる。
この場合には、制御部31は、操作部32から出力された実測析出量を取得し、取得された実測析出量と、算出された理論析出量と、に基づいて、電流効率を算出し、表示部33へ出力することができる。
電流効率[%]=(実測析出量/理論析出量)×100
かかる電流効率は、一対の第二の陰極13BX,13BYの全体の析出量に関して算出されてもよく、第二の陰極13BX,13BYごとの個別の析出量に関して算出されてもよい。
【0063】
また、制御部31は、均一電着指数T
A,T
B及び電流効率を、第二の陰極13BX,13BYの電流密度ごとに算出し、電流密度と均一電着指数T
A,T
B及び電流効率とを関連付けて表示部33へ出力することができる。ここで、電流密度は、第二の陰極13BXに流れる電流値I
X、第二の陰極13BYに流れる電流値I
Y、第二の陰極13BXの有効表面積(めっき浴2内のめっきが析出可能な表面積)S
X、第二の陰極13BYの有効表面積(めっき浴2内のめっきが析出可能な表面積)S
Yを用いた下記式によって算出される。
一対の第二の陰極13BX,13BYの平均電流密度[A/m
2]=(I
X+I
Y)/(S
X+S
Y)
第二の陰極13BXの電流密度[A/m
2]=I
X/S
X
第二の陰極13BYの電流密度[A/m
2]=I
Y/S
Y
ここで、第二の陰極13BX,13BYの有効表面積S
X,S
Yは、予め制御部31に記憶されているか、電流密度の算出前に利用者による操作部32の操作によって制御部31に入力される。本実施形態では、第二の陰極13BX,13BYは、同一形状に形成されており、有効表面積S
X及び有効表面積S
Yは、同一の値に設定されている。なお、本発明は、第二の陰極13BX,13BYがそれぞれ異なる形状に形成されていたり、有効表面積S
X及び有効表面積S
Yが異なる値に設定されていたりする場合にも適用可能である。
【0064】
≪操作部≫
例えば、操作部32は、利用者による操作に基づいて、第二の陽極12Bと一対の第二の陰極13BX,13BYとのそれぞれの距離(又は距離の比)を制御部31へ出力する。
【0065】
<回路図の一例>
図5は、第二のめっき槽11B内の構成すなわち第二の陽極12B及び一対の第二の陰極13BX,13BYを、第二の陽極12B及び第二の陰極13BXによって構成される抵抗15BXと、第二の陽極12B及び第二の陰極13BYによって構成される抵抗15BYと、に模して記載した回路図である。
図4に示すように、本発明の第二の実施形態に係る第二のめっき装置1Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)に維持される定電流の状態における定電流電解でめっきを行う。めっき装置1Bは、電気回路として、第二のめっき電源14Bと、一対の抵抗15BX,15BYと、一対の電流計22BX,22BYと、第二のフィードバック回路21Bと、定電圧回路24Bと、を備える。かかる回路において、抵抗15BX、電流計22BX及び定電圧回路24Bは、直列に接続されており、抵抗15BY、電流計22BY及び第二のフィードバック回路21Bは、直列に接続されている。また、抵抗15BX、電流計22BX及び定電圧回路24Bの組み合わせと、抵抗15BY、電流計22BY及び第二のフィードバック回路21Bの組み合わせとは、第二のめっき電源14Bに対して互いに並列に設けられている。
【0066】
≪第二のめっき電源≫
本実施形態において、第二のめっき電源14Bの正極は、第二の陽極12Bと電気的に接続されており、第二のめっき電源14Bの負極は、一対の第二の陰極13BX,13BYと電気的に接続されている。
【0067】
≪抵抗≫
抵抗15BXは、第二の陽極12Bと第二の陰極13BXとの間の電位差を表すセル抵抗である。抵抗15BYは、第二の陽極12Bと第二の陰極13BYとの間の電位差を表すセル抵抗である。
【0068】
≪電流計≫
第二の電流計測回路22Bの一つである電流計22BXは、抵抗15BXすなわち第二の陰極13BXに流れる電流値を計測する。第二の電流計測回路22Bの一つである電流計22BYは、抵抗15BYすなわち第二の陰極13BYに流れる電流値を計測する。
【0069】
≪第二のフィードバック回路≫
第二のフィードバック回路21Bは、基準となる第二の陰極13BXの電位に第二の陰極13BYの電位を一致させる(第二の陰極13BXと第二の陰極13BYとの間の電位差をゼロとする)制御を行う。第二のフィードバック回路21Bは、図示したFET(Field Effect Transistor)に限定されず、バイポーラトランジスタ、半導体素子等によっても具現化可能である。
【0070】
≪定電圧回路≫
第二の回路部20Bの一つである定電圧回路24Bは、第二の陰極13BYの電位を第二のフィードバック回路21Bの制御可能な電圧範囲に入れるために、第二の陰極13BXの電位を高くするための回路である。なお、第二のめっき装置1Bは、定電圧回路24Bに代えて、当該定電圧回路24Bと同様の作用効果を奏するダイオード又は抵抗を備える構成であってもよい。
【0071】
かかる電気回路を構成するに際して、電流値及び電圧値の計測用の信号入力線b1〜b3(
図4参照)及び信号入力線b1〜b3と各極12B,13BX,13BYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)は、各極12B,13BX,13BYの通電用の信号入力線a1〜a3(
図4参照)及び信号入力線a1〜a3と各極12B,13BX,13BYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)とは別に設けられている(共用されていない)。
【0072】
<回路図の別例>
本発明の第二の実施形態に係る第二のめっき装置1Bの回路図の別例について、前記した一例との相違点を中心に説明する。
図6に示すように、本発明の第二の実施形態に係る第二のめっき装置1Bは、一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の合計が一定値(一定電流)に維持される定電流の状態における定電流電解でめっきを行う。
図5に示す第二のめっき装置1Bは、電気回路として、定電圧回路24Bに代えて、補助電源25Bを備える。
【0073】
≪補助電源及び第二のめっき電源≫
第二の回路部20Bの一つである補助電源(整流器)25Bは、第二の陰極13BYに対してめっき電流を供給する直流電源である。本実施形態において、補助電源25Bは、定電流電源であり、第二のめっき電源14B及び補助電源25Bの組み合わせは、第二の陰極13BXに流れる電流と第二の陰極13BYに流れる電流との合計値を一定にする。補助電極25Bの正極は、第二の陽極12Bと電気的に接続されており、負極は、第二の陰極13BYと電気的に接続されている。
【0074】
また、本実施形態において、第二のめっき電源14Bは、第二の陰極13BXに対してめっき電流を供給する。第二のめっき電源14Bの正極は、第二の陽極12Bと電気的に接続されており、負極は、第二の陰極13BXと電気的に接続されている。
【0075】
かかる電気回路において、第二の陰極13BXには、第二のめっき電源14Bからのめっき電流が流れ、第二の陰極13BYには、補助電源25Bからのめっき電流が流れ、第二の陽極12Bには、第二の陰極13BX,13BYの合計めっき電流が流れる。
【0076】
補助電源25Bの負極の電位は、第二のめっき電源14Bの負極の電位よりも所定範囲(例えば、数百[mV]〜数[V])だけ低くなるように設定されている。これは、第二の陰極13BYの電位を第二のフィードバック回路21Bの制御可能な電圧範囲に入れるための措置である。また、補助電源25Bは、第二の陰極13BYに流れるめっき電流を十分に供給することが可能な能力を有する。
【0077】
かかる電気回路を構成するに際して、電流値及び電圧値の計測用の信号入力線b1〜b3(
図4参照)及び信号入力線b1〜b3と各極12B,13BX,13BYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)は、各極12B,13BX,13BYの通電用の信号入力線a1〜a3(
図4参照)及び信号入力線a1〜a3と各極12B,13BX,13BYとをそれぞれ接続するクリップ(図示せず)とは別に設けられている(共用されていない)。
【0078】
本発明の第二の実施形態に係るめっきシステムMSは、電着均一性として、ミクロスローイングパワーに加えてマクロスローイングパワーを測定することができる。したがって、めっきシステムMSは、めっき浴2の性能を好適に測定することができる。
また、第二のめっき装置1Bを備えるめっきシステムMSは、第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の合計値が一定に維持された状態において第二のフィードバック回路21Bが第二の陰極13BX,13BYの電位を一致させるので、配線抵抗、接触抵抗等といった回路中に入り得る抵抗成分の影響を排除し、本来の二次電流配分によるハーリングセル試験を行うことができる。
また、第二のめっき装置1Bを備えるめっきシステムMSは、本来の二次電流配分に基づいて、再現性及び信頼性の高いめっきの析出量及び(電流密度、より詳細には、一対の第二の陰極13BX,13BYの平均電流密度ごとの)均一電着指数T
Bを測定することができる。
また、第二のめっき装置1Bを備えるめっきシステムMSは、電流計22BX,22BYの影響を排除したハーリングセル試験を行うことができる。
また、第二のめっき装置1Bを備えるめっきシステムMSは、電流計22BX,22BYの計測結果を用いることによって、第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の電流配分比(I
1:I
2、I
1/I
2等)を正確に算出することができる。
また、第二のめっき装置1Bを備えるめっきシステムMSの利用者は、めっきシステムMSによって算出された第二の陰極13BX,13BYにおけるめっきの推定析出量及び理論析出量に基づいて、第二の陰極13BX,13BYの(電流密度、より詳細には、一対の第二の陰極13BX,13BYの平均電流密度、又は、各第二の陰極13BX,13BYの個別の電流密度ごとの)電流効率(すなわち、一対の第二の陰極13BX,13BY全体又は個別の陰極電流効率)を知ることができる。
電流配分比、電流効率及び均一電着指数T
Bはめっき浴2の組成によって大きく変わるため、利用者は、電流配分比、電流効率及び均一電着指数T
Bの経時変化を調べることによって、めっき浴2の特性及び状態の経時変化を知ることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第一のめっき装置1Aにおける穴部5の径、深さ、間隔は、適宜変更可能である。また、変形例として、円筒形状を呈する比較的大径な第一の陰極と、円筒形状を呈する比較的小径な第二の陰極と、を備え、第二の陰極が第一の陰極に収容された状態でめっき皮膜を析出させる構成であってもよい。また、第一のめっき装置1Aにおいて、穴部5は、第一の陰極13A及び基材4にも連続形成されたスルーホール形状を呈する構成であってもよい。
【実施例】
【0080】
<実施例1>
第一のめっき装置1A(
図1参照)から第一のフィードバック回路21Aを省略した装置を用いて、銅めっき添加剤無し、空気撹拌無しで実施した。
図7に示すように、電位補正を行わなかった場合には、めっき開始後1400[秒]
付近において、一対の第一の陰極13AX,13AYの電圧値及び電流値が略一致するようになった。これは、第一の陰極13AX上で成長した銅めっきが、穴部5を埋めて第一の陰極13AYと電気的に接続されたためである。
【0081】
<実施例2>
第一のめっき装置1A(
図2参照)を用いて、銅めっきを添加剤無し、空気撹拌ありで実施した。
図8に示すように、第一のフィードバック回路21Aによる電位補正を行った場合には、めっき開始後1000[秒]付近において、一対の第一の陰極13AX,13AYの電流値が近づいた。これは、第一の陰極13AX上で成長した銅めっきが、穴部5を埋めて第一の陰極13AYと電気的に接続されたためである。
【0082】
<実施例3>
第二のめっき装置1B(
図4参照)を用いて、硫酸銅めっきを一般浴、添加剤無しで実施した。電気回路における全電流を1.2[A]、極間距離比(第二の陽極12Bと第二の陰極13BXとの距離:第二の陽極12Bと第二の陰極13BYとの距離)を1:5に設定した。第二のめっき装置1B(
図4参照)において第二のフィードバック回路21Bによる電位補正を行わなかった場合(比較例)の第二の陰極13BX,13BYの電流値及び電圧値の経時変化を
図9(a)に示し、第二のめっき装置1Bにおいて第二のフィードバック回路21Bによる電位補正を行った場合(実施例)の第二の陰極13BX,13BYの電流値及び電圧値の経時変化を
図9(b)に示す。
【0083】
図9(a)に示すように、電位補正を行わなかった場合には、めっき開始後1000[秒]後において、一対の第二の陰極13BX,13BYの電位には、約160[mV]の電位差が生じた。また、配線抵抗等の影響によって、電流配分比(第二の陰極13BXに流れる電流値:第二の陰極13BYに流れる電流値)は、1:3.05と低めの値となった。これは、配線抵抗等の存在が、一対の第二の陰極13BX,13BYに流れる電流値を均一化する方向に影響するためである。そのため、推定析出量による均一電着指数T
Bは、30.9[%]と高めの値となった。
【0084】
これに対し、
図9(b)に示すように、電位補正を行った場合には、一対の第二の陰極13BX,13BYの電位は、測定誤差の範囲内で完全に一致した。また、配線抵抗等の影響が除去されることによって、電流配分比は、1:4.12となった。そのため、推定析出量による均一電着指数T
Bは、10.5[%]と劇的に小さくなった。すなわち、実施例3で用いられためっき浴2の推定析出量による均一電着指数T
Bは、実際には10.5[%]であることがわかった。
【0085】
<実施例4>
第二のめっき装置1B(
図4参照)を用いて、硫酸銅めっきを添加剤無しで実施した。電気回路における全電流を1.2[A]、極間距離比を1:5に設定した。第二のフィードバック回路21Bによる電位補正を行い、一般浴及びハイスロー浴のそれぞれでめっきを行った。かかる場合における電流配分比の経時変化を
図10(a)に示し、電解電圧の経時変化を
図10(b)に示す。
【0086】
図10(a)に示すように、めっき浴2の種類によって、電流配分比に明確な違いが生じた。一般浴の推定析出量による均一電着指数T
Bは11[%]であり、ハイスロー浴の推定析出量による均一電着指数T
Bは33[%]であった。
【0087】
また、
図10(b)に示すように、ハイスロー浴において、第二の陽極12B上に皮膜(ブラックフィルム)が形成された状態(系列2〜5)と皮膜が形成されていない状態(系列1)とで、電解開始時の電解電位の挙動に違いが生じた。また、めっき開始時に見られる電解電圧の上昇は、第二の陰極13BX,13BY近傍の銅イオンの減少による濃度過電圧の上昇を示している。このように、第二の陰極13BX,13BYに流れる電流の合計値を一定に維持した定電流の状態で第二の陰極13BX,13BYの電位をフィードバック制御によって一致させることで、めっきの些細な変化を測定することが可能となる。