特許第6877096号(P6877096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6877096搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877096
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20210517BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   G05D1/02 T
   H04Q9/00 301B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-124060(P2016-124060)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-228101(P2017-228101A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年4月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳
(72)【発明者】
【氏名】木下 優司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊介
(72)【発明者】
【氏名】岩田 健吾
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−039671(JP,A)
【文献】 特開平05−233059(JP,A)
【文献】 特表2010−540796(JP,A)
【文献】 特開2012−018646(JP,A)
【文献】 特開平05−065766(JP,A)
【文献】 特開平09−078841(JP,A)
【文献】 特開平05−039638(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0129592(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
E04G 21/14−21/22
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階からなる建物の施工現場において用いられ、資材を搬送するための搬送ロボットと、資材を施工するための施工ロボットと、資材運搬用のエレベータ/リフトとを統合的に管理するシステムであって、
無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の搬送ロボットの搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段と、
無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の施工ロボットの施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段と、
無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台のエレベータ/リフトの動作を制御管理するエレベータ/リフト管理手段とを備え、
搬送ロボット、施工ロボット、エレベータ/リフト、搬送ロボット管理手段、施工ロボット管理手段およびエレベータ/リフト管理手段は、公衆回線網に対してそれぞれ無線もしくは有線の通信手段を介して接続しており、
搬送ロボット管理手段は、公衆回線網を介して搬送ロボットに搬送順序を指示し、施工ロボット管理手段は、公衆回線網を介して施工ロボットに施工順序を指示し、エレベータ/リフト管理手段は、公衆回線網を介してエレベータ/リフトの昇降動作と、エレベータ/リフトの扉の開閉動作を制御し、
搬送ロボット管理手段、施工ロボット管理手段およびエレベータ/リフト管理手段は、作業指示情報を入力可能な管理端末に格納され、搬送ロボット、施工ロボットおよびエレベータ/リフトはこの管理端末に入力された作業指示情報に基づいて公衆回線網を介して制御管理されるものであり、
搬送ロボットは、資材の積込み階でエレベータ/リフトと資材置場の間の床面上を水平に走行して資材を搬送する第一の水平搬送台車と、資材の施工階でエレベータ/リフトと資材仮置場の間の床面上を水平に走行して資材を搬送する第二の水平搬送台車と、資材の施工階で資材仮置場と資材受渡し場所の間の床面上を水平に走行して資材を搬送する第三の水平搬送台車と、資材受渡し場所で第三の水平搬送台車から荷受けした資材を作業場所の施工ロボットに配る間配り台車とを含んで構成されており、
第一の水平搬送台車は、公衆回線網を介して管理端末から搬入指令を示す作業指示情報を受信すると、その作業指示情報に従って資材置場から荷取し搬送を行うように走行し、公衆回線網を介してエレベータ/リフトからの開扉の情報を受信すると、エレベータ/リフトに積込みを行うように動作し、積込みが完了したら、その旨の情報を公衆回線網を介してエレベータ/リフトに向けて送信するものであり、
エレベータ/リフトは、公衆回線網を介して管理端末から搬送指令を示す作業指示情報を受信すると、積込み階に到着するように動作し、積込み階に到着した後、扉を開くとともに、開扉の情報を公衆回線網を介して第一の水平搬送台車に向けて送信し、公衆回線網を介して第一の水平搬送台車からの積込み完了の情報を受信したら、扉を閉めて、施工階に移動するように動作し、施工階に到着した後、扉を開くとともに、開扉完了の情報を公衆回線網を介して第二の水平搬送台車に向けて送信するものであり、
第二の水平搬送台車は、公衆回線網を介して管理端末から搬送指令を示す作業指示情報を受信するとともに、エレベータ/リフトからの開扉完了の情報を受信すると、エレベータ/リフトから資材の荷取りを行うように動作し、その後、資材仮置場へ資材を仮置きする動作を行うとともに、公衆回線網を介して仮置完了の情報を第三の水平搬送台車に向けて送信するものであり、
第三の水平搬送台車は、公衆回線網を介して管理端末から搬送指令を示す作業指示情報を受信するとともに、第二の水平搬送台車からの仮置完了の情報を受信すると、資材仮置場から資材の荷取りを行うように動作し、その後、資材受渡し場所へ移動し、資材受渡し場所に到着したら、その旨の情報を公衆回線網を介して間配り台車に向けて送信し、その後、間配り台車から資材受渡し場所へ到着した旨の情報を公衆回線網を介して受信したら、資材を間配り台車に受渡す動作を行い、資材の受渡しが完了したら、資材受渡し完了の情報を公衆回線網を介して間配り台車に向けて送信するものであり、
間配り台車は、公衆回線網を介して管理端末から搬送指令を示す作業指示情報を受信するとともに、第三の水平搬送台車から資材受渡し場所へ到着した旨の情報を受信すると、資材受渡し場所へ移動し、資材受渡し場所に到着したら、その旨の情報を公衆回線網を介して第三の水平搬送台車に向けて送信し、その後、公衆回線網を介して第三の水平搬送台車から資材受渡し完了の情報を受信し、さらに、施工ロボットから作業場所へ到着した旨の情報を受信したら、作業場所に移動し、作業場所に到着したら、その旨の情報を公衆回線網を介して施工ロボットに向けて送信するものであり、
施工ロボットは、公衆回線網を介して管理端末から作業指令を示す作業指示情報を受信すると、その作業指示情報に従って作業場所へ移動し、作業場所に到着したら、その旨の情報を公衆回線網を介して間配り台車に向けて送信し、その後、公衆回線網を介して間配り台車から作業場所へ到着した旨の情報を受信すると、間配り台車から資材を受け取って作業を開始し、作業指示情報に従った作業を行って作業を完了することを特徴とする搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム。
【請求項2】
搬送ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であることを特徴とする請求項1に記載の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム。
【請求項3】
施工ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設現場などにおいて資材の搬送を行う自動搬送台車などの搬送ロボットと、資材の取り付け施工等を行う施工ロボットとを統合的に制御管理するのに好適な搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動搬送システムやロボット生産システムは工場や倉庫など固定された施設内で運用されることが多い(例えば、特許文献1、2を参照)。そのため、管理には施設内にローカルネットワークを構築し無線や有線の通信回線により集中管理する方法が一般的である。
【0003】
これらのシステムでは、搬送台車やロボットの運用場所が集中管理システムのローカルネットワーク内に限定され、外部環境へ移設するためには新たに管理コンピュータ、通信インフラを設ける必要があった。そのため、建設現場など運用場所の変化が多い建設業などの業態では、自動搬送システムの適用が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−18663号公報
【特許文献2】特開2009−80804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、運用場所ごとに新たに通信インフラを敷設することなく運用を開始でき、運用場所の変化に対応することが容易な搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムの開発が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運用場所の変化に対応することが容易な搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、施工現場において用いられ、資材を搬送するための搬送ロボットと、資材を施工するための施工ロボットとを統合的に管理するシステムであって、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の搬送ロボットの搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段と、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の施工ロボットの施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、上述した発明において、搬送ロボット管理手段および施工ロボット管理手段は、作業指示情報を入力可能な管理端末に格納され、搬送ロボットおよび施工ロボットはこの管理端末に入力された作業指示情報に基づいて制御管理されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、上述した発明において、搬送ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場からエレベータ/リフトへ、またはエレベータ/リフトから仮置場へ搬送するように制御されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、上述した発明において、搬送ロボットは、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場またはエレベータ/リフトから施工ロボットの施工場所へ搬送するように制御されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、上述した発明において、施工ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、施工ロボット管理手段から指示された施工順序に従い資材を指定の場所に施工するように制御されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、上述した発明において、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台のエレベータ/リフトの動作を制御管理するエレベータ/リフト管理手段をさらに備え、エレベータ/リフトは、搬送ロボットからの資材の積込みまたは荷降ろしの情報に基づいて自動開閉する扉を有し、エレベータ/リフト管理手段から指示された揚重先階数へ昇降移動可能に、かつ、扉を開閉して資材の荷降ろし後に積込み階に昇降移動可能に制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、施工現場において用いられ、資材を搬送するための搬送ロボットと、資材を施工するための施工ロボットとを統合的に管理するシステムであって、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の搬送ロボットの搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段と、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の施工ロボットの施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段とを備えるので、通信制御手段として公衆回線網を用いることから、システムの運用場所に通信インフラを新たに敷設することなく運用を開始でき、運用場所の変化に対応することが容易であるという効果を奏する。また、搬送ロボットと施工ロボットといった各種自動化機械を統合管理することで各々を連携し搬送から施工まで一体で自動化することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボット管理手段および施工ロボット管理手段は、作業指示情報を入力可能な管理端末に格納され、搬送ロボットおよび施工ロボットはこの管理端末に入力された作業指示情報に基づいて制御管理されるので、作業管理者などが作業指示情報をその都度管理端末に入力して手順の指示を行うことで搬送ロボットと施工ロボットを容易に制御管理することができるという効果を奏する。また、施工環境の変化に対応することができる。
【0015】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場からエレベータ/リフトへ、またはエレベータ/リフトから仮置場へ搬送するように制御されるので、仮置場とエレベータ/リフトの間における搬送ロボットの自律走行を制御することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボットは、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場またはエレベータ/リフトから施工ロボットの施工場所へ搬送するように制御されるので、施工場所までの搬送ロボットの自律走行を制御することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、施工ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、施工ロボット管理手段から指示された施工順序に従い資材を指定の場所に施工するように制御されるので、施工場所における施工ロボットの自律走行と施工動作を制御することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台のエレベータ/リフトの動作を制御管理するエレベータ/リフト管理手段をさらに備え、エレベータ/リフトは、搬送ロボットからの資材の積込みまたは荷降ろしの情報に基づいて自動開閉する扉を有し、エレベータ/リフト管理手段から指示された揚重先階数へ昇降移動可能に、かつ、扉を開閉して資材の荷降ろし後に積込み階に昇降移動可能に制御されるので、搬送ロボットの動作に応じてエレベータ/リフトの動作を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムの実施の形態を示す施工現場の概略側断面図である。
図2図2は、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムの実施の形態を示す概略ブロック図である。
図3図3は、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムの実施の形態を示す概略データフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
本実施の形態では、建設現場のように運用場所が変化する非定常環境にインターネット公衆回線網を用いた本発明の統合管理システムを構築する。このようにすれば、建設現場のように運用場所が変化する環境であっても、自動搬送・ロボット生産システムを簡便に構築することが可能である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム10は、複数階からなる建物の施工現場に適用されるものである。1階の床には水平搬送台車1が配置され、3階の床には水平搬送台車2、3、間配り台車4、作業ロボット5が左から順に所定の間隔を空けて配置されている。また、この建物の左端には資材運搬用のエレベータ/リフト6が設けられている。エレベータ/リフト6には図示しない自動開閉扉が備わっている。
【0023】
水平搬送台車1〜3、間配り台車4は本発明の搬送ロボットである。水平搬送台車1〜3は、床面上を水平に走行して資材を搬送する台車であり、水平搬送台車1は、1階でエレベータ/リフト6と図示しない資材置場の間を往復移動する。水平搬送台車2は、3階でエレベータ/リフト6と資材仮置場(不図示)との間を往復移動する。この資材仮置場は水平搬送台車3との間に設けられる。水平搬送台車3は、3階で資材仮置場と資材受渡し場所(不図示)との間を往復移動する。この資材受渡し場所は間配り台車4との間に設けられる。間配り台車4は水平搬送台車3から荷受けした資材を作業ロボット5に配る台車である。作業ロボット5は本発明の施工ロボットである。
【0024】
この統合管理システム10は、インターネット公衆回線網12(公衆回線網)を介して水平搬送台車1、2、3、間配り台車4の搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段14と、作業ロボット5の施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段16と、エレベータ/リフト6の動作を制御管理するエレベータ/リフト管理手段18とを備える。搬送ロボット管理手段14、施工ロボット管理手段16、エレベータ/リフト管理手段18は管理端末20に格納されている。管理端末20は例えば持ち運びが容易なタブレット型端末で構成することができる。図の例では、管理端末20は1階の作業管理者Aが携帯している。また、この統合管理システム10は、各種データを保有し、インターネット公衆回線網12を介してアクセス可能な管理サーバ22を有している。
【0025】
図1および図2に示すように、水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6などの仮設機械設備、管理端末20、管理サーバ22は、インターネット公衆回線網12に無線または有線通信回線(通信手段)を介して接続している。また、管理サーバ22は、インターネット公衆回線網12を通じて、運用場所の水平搬送台車1〜3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6、管理端末20とデータ通信可能であり、命令、報告等の各種データを送受信できるようになっている。これにより、統合管理システム10を使って、施工現場内の施工状況や各種自動化機械(水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6等)を統合管理することで各々を連携し搬送から施工まで一体で自動化することが可能となる。
【0026】
管理サーバ22には、図面データ、資材データ、搬送データ、施工データ、作業状態データが記録されており、インターネット公衆回線網12を経由して上記の各種自動化機械と適時送受信可能となっている。
【0027】
ここで、図面データとは、各階の建物形状データとともに、水平搬送台車1〜3、間配り台車4といった搬送ロボットの初期位置やエレベータ/リフト6の設置場所、資材仮置場などの情報を含むデータである。資材データとは、資材の種別、寸法、重量、数量の情報を含むデータである。搬送データとは、搬送する資材の順序、仮置場所、階数、搬送先仮置場所、階数の情報を含むデータであり、資材データに紐づけされる。施工データとは、施工資材の順序、場所、階数、取り付け座標の情報を含むデータであり、資材データに紐づけされる。作業状態データとは、水平搬送台車1〜3、間配り台車4といった搬送ロボット、エレベータ/リフト6、作業ロボット5の現在状態情報であり、搬送ロボットであれば現在位置、速度や資材積載の有無、計測重量などである。エレベータ/リフト6であれば搬器の位置、資材の積載情報、計測重量、扉の開閉状況である。作業ロボット5であれば施工位置、資材の有無、把持や取り付けなど作業状況、作業支材の計測重量などである。
【0028】
管理端末20では、搬送順序や搬送先階数、施工順序など作業指示情報を入力することができ、入力に応じた作業指示を上記の各種自動化機械に命令することができる。
【0029】
水平搬送台車1〜3、間配り台車4(搬送ロボット)は、図面データを基にSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により自律走行することができ、管理端末20により指示された揚重順序に従い資材を仮置場からエレベータ/リフト6、またはエレベータ/リフト6から仮置場へ搬送する。また、施工順序に従い資材を仮置場から作業ロボット5の作業場所へと搬送することができるようになっている。
【0030】
エレベータ/リフト6は、水平搬送台車1、2からの資材積込みまたは荷降ろしの情報に基づき扉の自動開閉ができ、管理端末20により指示された揚重先階数へ移動し、荷降ろし後に積込み階に移動することができるようになっている。
【0031】
作業ロボット5(施工ロボット)は、図面データを基にSLAMにより自律走行することができ、管理端末20により指示された施工順序に従い資材を指定の場所に取り付け施工等を行えるようになっている。
【0032】
上記のように構成した統合管理システム10では、搬入された資材を水平搬送台車1によってエレベータ/リフト6に積込み、施工階へ揚重する。そして、水平搬送台車2によってエレベータ/リフト6から荷降ろし、水平搬送台車2、3、間配り台車4によって資材の施工場所まで運搬する。さらに、運搬された資材を作業ロボット5によって施工する一連の制御管理を行う。
【0033】
次に、管理端末20の制御による水平搬送台車1〜3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6の動作の一例について、図3の概略データフローを参照しながら説明する。なお、指令情報やデータの送受信は、上述したように各機器間で直接行うのではなく、全てインターネット公衆回線網12と管理サーバ22を経由して行われる。
【0034】
(水平搬送台車1)
図3に示すように、水平搬送台車1は、管理端末20から搬入指令情報を受信すると(ステップS11)、その指令情報に従って資材置場(仮置場)から荷取/搬送を行うように自律走行する(ステップS12)。そして、エレベータ/リフト6からの開扉の情報を受信すると、エレベータ積み込みを行うように動作する(ステップS13)。積み込みが完了したら、その旨の情報をエレベータ/リフト6に向けて送信する(ステップS14)。
【0035】
(エレベータ/リフト6)
図3に示すように、エレベータ/リフト6は、管理端末20から搬送指令を受信すると(ステップS61)、積み込み階に到着するように動作する(ステップS62)。その後、扉を開くとともに、その旨の情報を水平搬送台車1に向けて送信する(ステップS63)。水平搬送台車1からの積み込み完了の情報を受信したら、扉を閉めて(ステップS64)、搬送階に移動する(ステップS65)。そして、扉を開くとともに、開扉完了の情報を水平搬送台車2に向けて送信する(ステップS66)。
【0036】
(水平搬送台車2)
図3に示すように、水平搬送台車2は、管理端末20から搬送指令情報を受信するとともに(ステップS21)、エレベータ/リフト6からの開扉完了の情報を受信すると、エレベータ/リフト6から荷取りを行う(ステップS22)。その後、搬送/仮置場へ仮置きする動作を行うとともに、仮置完了の情報を水平搬送台車3に向けて送信する(ステップS23)。
【0037】
(水平搬送台車3)
図3に示すように、水平搬送台車3は、管理端末20から搬送指令情報を受信するとともに(ステップS31)、水平搬送台車2からの仮置完了の情報を受信すると、荷取りを行う(ステップS32)。その後、資材受渡し場所へ移動し、到着したらその旨の情報を間配り台車4に向けて送信する(ステップS33)。その後、間配り台車4から資材受渡し場所へ到着した旨の情報を受信したら、資材を受渡す動作を行う(ステップS34)。そして、資材受渡しが完了したら、その旨の情報を間配り台車4に向けて送信する(ステップS35)。
【0038】
(間配り台車4)
図3に示すように、間配り台車4は、管理端末20から搬送指令情報を受信するとともに(ステップS41)、水平搬送台車3から資材受渡し場所へ到着した旨の情報を受信すると、資材受渡し場所へ移動し、到着したらその旨の情報を水平搬送台車3に向けて送信する(ステップS42)。その後、水平搬送台車3から資材受渡し完了の情報を受信し、さらに、作業ロボット5から作業場所へ到着した旨の情報を受信したら、作業場所に移動する(ステップS43)。そして、作業場所へ到着した旨の情報を作業ロボット5に向けて送信する(ステップS44)。
【0039】
(作業ロボット5)
図3に示すように、作業ロボット5は、管理端末20から作業指令情報を受信すると(ステップS51)、その作業場所へ移動し、到着したら、その旨の情報を間配り台車4に向けて送信する(ステップS52)。その後、間配り台車4から作業場所へ到着した旨の情報を受信すると、資材を受け取って作業を開始し(ステップS53)、指令された作業を行って作業を完了する(ステップS54)。
【0040】
このように、本実施の形態では、通信制御手段としてインターネット公衆回線網12を用いることから、システムの運用場所に通信インフラを新たに敷設することなく運用を開始でき、運用場所の変化に対応することが容易である。また、水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6といった各種自動化機械を統合管理することで各々を連携し搬送から施工まで一体で自動化することが可能となる。また、作業管理者が管理端末20を用いて搬送または施工順序の指示を行うので、施工環境の変化に対応することができる。
【0041】
以上説明したように、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、施工現場において用いられ、資材を搬送するための搬送ロボットと、資材を施工するための施工ロボットとを統合的に管理するシステムであって、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の搬送ロボットの搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段と、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の施工ロボットの施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段とを備えるので、通信制御手段として公衆回線網を用いることから、システムの運用場所に通信インフラを新たに敷設することなく運用を開始でき、運用場所の変化に対応することが容易である。また、搬送ロボットと施工ロボットといった各種自動化機械を統合管理することで各々を連携し搬送から施工まで一体で自動化することが可能となる。
【0042】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボット管理手段および施工ロボット管理手段は、作業指示情報を入力可能な管理端末に格納され、搬送ロボットおよび施工ロボットはこの管理端末に入力された作業指示情報に基づいて制御管理されるので、作業管理者などが作業指示情報をその都度管理端末に入力して手順の指示を行うことで搬送ロボットと施工ロボットを容易に制御管理することができる。また、施工環境の変化に対応することができる。
【0043】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場からエレベータ/リフトへ、またはエレベータ/リフトから仮置場へ搬送するように制御されるので、仮置場とエレベータ/リフトの間における搬送ロボットの自律走行を制御することができる。
【0044】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、搬送ロボットは、搬送ロボット管理手段から指示された搬送順序に従い資材を仮置場またはエレベータ/リフトから施工ロボットの施工場所へ搬送するように制御されるので、施工場所までの搬送ロボットの自律走行を制御することができる。
【0045】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、施工ロボットは、施工現場の位置情報を表す図面データに基づいて自己位置を推定しながら自律走行可能であり、施工ロボット管理手段から指示された施工順序に従い資材を指定の場所に施工するように制御されるので、施工場所における施工ロボットの自律走行と施工動作を制御することができる。
【0046】
また、本発明に係る他の搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムによれば、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台のエレベータ/リフトの動作を制御管理するエレベータ/リフト管理手段をさらに備え、エレベータ/リフトは、搬送ロボットからの資材の積込みまたは荷降ろしの情報に基づいて自動開閉する扉を有し、エレベータ/リフト管理手段から指示された揚重先階数へ昇降移動可能に、かつ、扉を開閉して資材の荷降ろし後に積込み階に昇降移動可能に制御されるので、搬送ロボットの動作に応じてエレベータ/リフトの動作を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明に係る搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システムは、建設現場において資材の搬送を行う搬送ロボットと、資材の取り付け施工等を行う施工ロボットとを統合的に制御管理するのに有用であり、特に、運用場所ごとに新たに通信インフラを敷設することなく運用を開始でき、運用場所の変化に容易に対応するのに適している。
【符号の説明】
【0048】
1,2,3 水平搬送台車(搬送ロボット)
4 間配り台車(搬送ロボット)
5 作業ロボット(施工ロボット)
6 エレベータ/リフト
10 搬送ロボットと施工ロボットの統合管理システム
12 インターネット公衆回線網(公衆回線網)
14 搬送ロボット管理手段
16 施工ロボット管理手段
18 エレベータ/リフト管理手段
20 管理端末
22 管理サーバ
A 作業管理者
図1
図2
図3