特許第6877216号(P6877216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6877216-発電システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877216
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 7/44 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   F01K7/44 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-71645(P2017-71645)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-187039(P2017-187039A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年12月3日
(31)【優先権主張番号】特願2016-72609(P2016-72609)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩井 聡
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/087126(WO,A1)
【文献】 特開2013−151876(JP,A)
【文献】 特開昭63−223310(JP,A)
【文献】 特開2007−198200(JP,A)
【文献】 特開2011−027036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 7/38
F01K 7/44
F01K 9/00
F01K 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、
前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンとしての高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンと、
前記高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、
前記低圧蒸気タービンから抽気または排出された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と
前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、
前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機とを有する発電システム。
【請求項2】
前記ボイラーの節炭器からの抽水で燃料ガスを加温して前記燃料加温器に供給する前段燃料加温器を有する請求項に記載の発電システム。
【請求項3】
水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、
前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
前記蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、
前記蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と、
前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、
前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機と、
前記ボイラーの節炭器からの抽水で燃料ガスを加温して前記燃料加温器に供給する前段燃料加温器とを有する発電システム。
【請求項4】
前記燃料加温器へ供給される燃料の量の指示値である燃料流量指示値に基づいて、前記蒸気タービンから前記蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量を制御する蒸気供給弁を有する請求項からのいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項5】
水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、
前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
前記蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、
前記蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と、
前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、
前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機と、
前記燃料加温器へ供給される燃料の量の指示値である燃料流量指示値に基づいて、前記蒸気タービンから前記蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量を制御する蒸気供給弁とを有する発電システム。
【請求項6】
前記燃料加温器から供給された蒸気によって駆動される補助蒸気タービンと、
前記補助蒸気タービンによって駆動されて発電する補助発電機とを有する請求項からのいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項7】
前記発電システムが生成する電力を制御する電力制御部を有し、
前記電力制御部は、前記発電システムが生成する電力が一定となるように、前記補助発電機が生成する電力を制御する請求項に記載の発電システム。
【請求項8】
前記電力制御部は、前記補助蒸気タービンに供給される蒸気の量を制御して、前記補助発電機が生成する電力を制御する請求項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラーで生成した蒸気によって蒸気タービンを駆動して発電する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンの排気ガスに残存する熱を排熱回収ボイラーで回収して蒸気を発生させるものである。この発生蒸気は配管を通じて蒸気タービンへ供給されて発電に利用される。近年の大型コンバインドサイクル発電設備では、高圧タービン、再熱タービン、及び低圧タービンという3重圧方式の蒸気タービンで各タービンの膨張過程で動力を回収した後、復水器の内部で海水や河川水を利用した冷却塔と熱交換することにより低圧蒸気が凝縮されて復水に戻り、ふたたび高圧、中圧、低圧のボイラー給水として排熱回収ボイラーへ供給される。
【0003】
従来の石炭を燃料としたコンベンショナル火力では、蒸気タービンで膨張過程にある低圧タービンから排気された蒸気の一部を抽気したり復水器で凝縮した水(給水)を、高圧、中圧、及び低圧の給水加熱器で予熱してボイラーに供給する方法を実用化し、発電効率の向上を図ってきた。
【0004】
一般的に中圧や低圧の蒸気ドラムの出口側の配管から一部を抽気して、これを燃料ガス加温器に供給し、ガスタービンの燃料ガスを予熱する方法も用いられている。ガスタービンに投入される燃料ガスは高温であるほうが再生サイクルの効果による熱効率の向上が達成できるため、昇圧昇温された蒸気を熱媒体として燃料ガス加温器においてガスと熱交換し、燃料ガス供給温度を向上させればガスタービンの熱効率を向上することができる。
【0005】
さらに、近年提案されている方法として、大型の原子力発電所において低圧タービンから排気された蒸気を、蒸気圧縮装置(ヒートポンプ)によって圧縮して圧力と温度を上昇させて、通常の高圧抽気蒸気を用いた湿分分離器の熱源よりも高効率に低温の蒸気を活用する方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
なおガスタービンと蒸気タービンを利用したコンバインドサイクル発電所においては、原子力発電所や大型石炭火力発電所のような大規模の蒸気サイクルを有していないため、低圧タービンからの抽気蒸気や低圧ボイラー節炭器からの低温給水を再利用することは費用対効果が小さいと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010/087126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原子力発電所や大型石炭火力発電所だけでなく、小規模な発電システム(たとえば、コンバインドサイクル発電システム)においても、更なる効率向上が求められている。本発明の目的は、ボイラーで生成した蒸気によって蒸気タービンを駆動して発電する発電システムにおいて、熱効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<構成1>
上記目的を達成するための発電システムの特徴構成は、水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンとしての高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンと、前記高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、前記低圧蒸気タービンから抽気または排出された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と、前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機とを有する点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機が、蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温するから、蒸気タービンからの蒸気の温度と圧力とが高められて、有効活用することが可能となる。すなわちこの蒸気は、例えばガスタービンの燃料ガスの加温に活用したり、膨張タービンの作動流体として使用することができるから、発電システムの熱効率を向上することができる。また蒸気圧縮機での蒸気の昇温は断熱圧縮、すなわち自己熱再生により行われるから、少ないエネルギーで蒸気タービンからの蒸気を昇温・昇圧できる。よって発電システムの熱効率を向上することができる。
また、蒸気タービンから抽気された蒸気を断熱圧縮して昇温するよう構成すると、蒸気タービンで熱と圧力の活用を終えた蒸気を蒸気圧縮機で再生して活用することになるから、熱効率をより向上でき好適である。
また、蒸気タービンから排出された蒸気を断熱圧縮して昇温するよう構成すると、蒸気タービンで熱と圧力の活用を終えた蒸気を蒸気圧縮機で再生して活用することになるから、熱効率をより向上でき好適である。
【0011】
また、上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機で断熱圧縮された蒸気によってガスタービン発電機の燃料ガスが加温されるから、ガスタービン発電機の効率が大きく向上する。したがって発電システムの熱効率をより向上することができる。ある一定負荷で運転している場合、ガスタービンへ外部から与える熱量の合計は一定であり、燃料ガス温度を上げると、その分だけ燃料流量を減らすことができ、結果としてガスタービン単体の熱効率の改善につながる。
【0012】
<構成
本発明に係る発電システムの別の特徴構成は、前記ボイラーの節炭器からの抽水で燃料ガスを加温して前記燃料加温器に供給する前段燃料加温器を有する点にある。
節炭器からの抽水は、もともと復水加熱器で加温された復水を用いているから、前段燃料加温器で燃料ガスを加温する分だけ燃料流量を減らすことができ、結果としてガスタービン単体の熱効率の改善につながる。すなわち上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機からの蒸気に加えて、ボイラーの節炭器からの抽水によってもガスタービン発電機の燃料ガスが加温されるから、ガスタービン発電機の効率がさらに向上する。したがって発電システムの熱効率を更に向上することができる。
【0013】
<構成
上記目的を達成するための別の発電システムの特徴構成は、水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、前記蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と、前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機と、前記ボイラーの節炭器からの抽水で燃料ガスを加温して前記燃料加温器に供給する前段燃料加温器とを有する点にある。
【0014】
上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機が、蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温するから、蒸気タービンからの蒸気の温度と圧力とが高められて、有効活用することが可能となる。すなわちこの蒸気は、例えばガスタービンの燃料ガスの加温に活用したり、膨張タービンの作動流体として使用することができるから、発電システムの熱効率を向上することができる。また蒸気圧縮機での蒸気の昇温は断熱圧縮、すなわち自己熱再生により行われるから、少ないエネルギーで蒸気タービンからの蒸気を昇温・昇圧できる。よって発電システムの熱効率を向上することができる。
また、上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機で断熱圧縮された蒸気によってガスタービン発電機の燃料ガスが加温されるから、ガスタービン発電機の効率が大きく向上する。したがって発電システムの熱効率をより向上することができる。ある一定負荷で運転している場合、ガスタービンへ外部から与える熱量の合計は一定であり、燃料ガス温度を上げると、その分だけ燃料流量を減らすことができ、結果としてガスタービン単体の熱効率の改善につながる。
更に、節炭器からの抽水は、もともと復水加熱器で加温された復水を用いているから、前段燃料加温器で燃料ガスを加温する分だけ燃料流量を減らすことができ、結果としてガスタービン単体の熱効率の改善につながる。すなわち上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機からの蒸気に加えて、ボイラーの節炭器からの抽水によってもガスタービン発電機の燃料ガスが加温されるから、ガスタービン発電機の効率がさらに向上する。したがって発電システムの熱効率を更に向上することができる。
【0015】
<構成
本発明に係る発電システムの別の特徴構成は、前記燃料加温器へ供給される燃料の量の指示値である燃料流量指示値に基づいて、前記蒸気タービンから前記蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量を制御する蒸気供給弁を有する点にある。
【0016】
上記の特徴構成によれば、蒸気供給弁によって、燃料流量指示値に基づいて蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量、すなわち燃料加温器に供給される蒸気の量が制御される。このようなフィードフォワード制御を用いることで、早期に燃料加温器の出口温度を目標値に追従させ、比較的に時間遅れを抑制することが可能となる。
【0017】
<構成
上記目的を達成するための別の発電システムの特徴構成は、水を加熱して蒸気を生成するボイラーと、前記ボイラーから供給された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンによって駆動されて発電する発電機と、前記蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機と、前記蒸気圧縮機からの蒸気で燃料ガスを加温する燃料加温器と、前記燃料加温器で加温された燃料ガスを燃焼して発電するガスタービン発電機と、前記燃料加温器へ供給される燃料の量の指示値である燃料流量指示値に基づいて、前記蒸気タービンから前記蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量を制御する蒸気供給弁とを有する点にある。
【0018】
上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機が、蒸気タービンから供給された蒸気を断熱圧縮して昇温するから、蒸気タービンからの蒸気の温度と圧力とが高められて、有効活用することが可能となる。すなわちこの蒸気は、例えばガスタービンの燃料ガスの加温に活用したり、膨張タービンの作動流体として使用することができるから、発電システムの熱効率を向上することができる。また蒸気圧縮機での蒸気の昇温は断熱圧縮、すなわち自己熱再生により行われるから、少ないエネルギーで蒸気タービンからの蒸気を昇温・昇圧できる。よって発電システムの熱効率を向上することができる。
また、上記の特徴構成によれば、蒸気圧縮機で断熱圧縮された蒸気によってガスタービン発電機の燃料ガスが加温されるから、ガスタービン発電機の効率が大きく向上する。したがって発電システムの熱効率をより向上することができる。ある一定負荷で運転している場合、ガスタービンへ外部から与える熱量の合計は一定であり、燃料ガス温度を上げると、その分だけ燃料流量を減らすことができ、結果としてガスタービン単体の熱効率の改善につながる。
更に、上記の特徴構成によれば、蒸気供給弁によって、燃料流量指示値に基づいて蒸気圧縮機へ供給される蒸気の量、すなわち燃料加温器に供給される蒸気の量が制御される。このようなフィードフォワード制御を用いることで、早期に燃料加温器の出口温度を目標値に追従させ、比較的に時間遅れを抑制することが可能となる。
【0019】
<構成
本発明に係る発電システムの別の特徴構成は、前記燃料加温器から供給された蒸気によって駆動される補助蒸気タービンと、前記補助蒸気タービンによって駆動されて発電する補助発電機とを有する点にある。
【0020】
燃料加温器から供給された蒸気は、温度は低下しているものの、高い圧力は維持されている。上記の特徴構成によれば、この蒸気を補助蒸気タービンの作動流体として活用して発電電力が得られるから、発電システムの熱効率を更に向上することができる。
【0021】
<構成
本発明に係る発電システムの別の特徴構成は、前記発電システムが生成する電力を制御する電力制御部を有し、前記電力制御部は、前記発電システムが生成する電力が一定となるように、前記補助発電機が生成する電力を制御する点にある。
【0022】
上記の特徴構成によれば、補助発電機が制御されて発電システムが生成する電力が一定となり好適である。
【0023】
<構成
本発明に係る発電システムを、電力制御部が、補助蒸気タービンに供給される蒸気の量を制御して、補助発電機が生成する電力を制御するよう構成することも可能である。

【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】発電システムの概要を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面を参照しながら発電システムについて説明する。本実施形態に係る発電システムは、水を加熱して蒸気を生成するボイラー1と、ボイラー1から供給された蒸気によって駆動される蒸気タービン2と、蒸気タービン2によって駆動されて発電する発電機3と、蒸気タービン2から供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する蒸気圧縮機4とを有する。
【0026】
ボイラー1は、石油・石炭の燃焼や原子核反応による熱を利用して、供給された水を加熱し、蒸気を生成する。本実施形態ではボイラー1は、高圧ボイラー1a、再熱ボイラー1bおよび低圧ボイラー1cを有して構成される。
【0027】
蒸気タービン2は、ボイラー1から供給された蒸気の膨張によって回転駆動される。蒸気タービン2は、高圧蒸気タービン2a、中圧蒸気タービン2bおよび低圧蒸気タービン2cを有して構成される。これら3つのタービンは共通の回転軸に設けられており、その回転軸が発電機3に接続されている。すなわち発電機3は、蒸気タービン2によって駆動されて発電する。
【0028】
高圧ボイラー1aで生成された蒸気は、高圧蒸気路L1を通って高圧蒸気タービン2aに供給され、高圧蒸気タービン2aを駆動する。高圧蒸気タービン2aを駆動して排出された蒸気は、再熱戻り蒸気路L2を通って再熱ボイラー1bに戻される。
【0029】
再熱ボイラー1bで加熱された蒸気は、再熱供給蒸気路L3を通って中圧蒸気タービン2bに供給され、中圧蒸気タービン2bを駆動する。中圧蒸気タービン2bを駆動して排出された蒸気は、接続蒸気路L4を通って低圧蒸気タービン2cに供給され、低圧蒸気タービン2cを駆動する。
【0030】
低圧ボイラー1cで生成された蒸気は、低圧蒸気路L5を通って、低圧蒸気タービン2cに供給され、低圧蒸気タービン2cを駆動する。低圧蒸気タービン2cを駆動して排出された蒸気は、排出蒸気路L6を通って復水器40へ送られる。
【0031】
復水器40は、供給された蒸気を海水等と熱交換させて水に戻す。この水は、復水加熱器50で加熱され、復水供給路L10を通り、第1復水ポンプP1により低圧ボイラー1cに送られ、第2復水ポンプP2により高圧ボイラー1aに送られる。以上の様にして水・蒸気が循環し、発電機3での発電が行われる。
【0032】
低圧蒸気タービン2cの途中から蒸気が抽気され、蒸気供給路L7を通って蒸気圧縮機4に供給される。また、低圧蒸気タービン2cから排出された蒸気の一部が、排出蒸気路L6から三方弁30を経由して蒸気供給路L7に合流し、蒸気圧縮機4に供給される。蒸気圧縮機4へ供給される蒸気のうちの、低圧蒸気タービン2cからの抽気蒸気と、低圧蒸気タービン2cからの排出蒸気との割合は、三方弁30の開度調整により、発電システムの運転条件等に応じて調節される。低圧蒸気タービン2cからの抽気蒸気のみ、あるいは低圧蒸気タービン2cからの排出蒸気のみが蒸気圧縮機4に供給される場合もあり得る。
【0033】
蒸気圧縮機4は、蒸気供給路L7から供給された蒸気を断熱圧縮して昇温する。蒸気圧縮機4では、蒸気に対する加熱は行わずに、蒸気に対して外部から圧縮仕事を加えてエクセルギー回復(自己熱再生)を行うことで、比較的少ないエネルギーで高温・高圧の蒸気を得ることができる。これにより、燃料の燃焼による加熱と比べて80〜90%の省エネルギーとなる。
【0034】
蒸気圧縮機4は具体的には、モータ4aによって駆動されるコンプレッサである。蒸気圧縮機4により圧縮・昇温された蒸気は、圧縮蒸気路L8を通って燃料加温器5に供給される。
【0035】
燃料加温器5は、燃料ガス供給路L9を通流する燃料ガスを加温する。詳しくは燃料加温器5は、燃料ガス供給路L9を通流する燃料ガスと、圧縮蒸気路L8を通流する蒸気とを熱交換させて、燃料ガスを250℃程度まで加温する。加温された燃料ガスは、燃料ガス供給路L9を通ってガスタービン発電機7へ供給される。
【0036】
前段燃料加温器6が、燃料ガス供給路L9における燃料加温器5の上流側に配置されている。前段燃料加温器6は、ボイラー1(低圧ボイラー1c)の節炭器からの抽水で燃料ガスを加温して燃料加温器5に供給する。
【0037】
ガスタービン発電機7は、燃料加温器5および前段燃料加温器6で加温された燃料ガスを燃焼して、発電を行う。ガスタービン発電機7は詳しくは、燃焼器7aと、コンプレッサ7bと、タービン7cと、発電機7dとを有する。燃焼器7aは、燃料ガス供給路L9から供給される加温された燃料ガスと、コンプレッサ7bから供給される圧縮された空気とを混合して燃焼させ、燃焼排ガスをタービン7cへ送る。コンプレッサ7bは、タービン7cにより駆動され、空気を圧縮して燃焼器7aへ送る。タービン7cは、燃焼器7aからの燃焼排ガスにより駆動され、コンプレッサ7bと発電機7dとを駆動する。発電機7dは、タービン7cにより駆動されて発電する。
【0038】
第1補助蒸気タービン8a(補助蒸気タービン8の一例)が、圧縮蒸気路L8における燃料加温器5の下流側に配置されている。第1補助蒸気タービン8aは、燃料加温器5から供給された蒸気によって駆動される。第1補助発電機9aが、第1補助蒸気タービン8aと接続されて配置されている。第1補助発電機9aは、第1補助蒸気タービン8aによって駆動されて発電する。第1補助蒸気タービン8aから排出された蒸気は、圧縮蒸気路L8を通って、復水加熱器50へ送られる。
【0039】
復水加熱器50は、圧縮蒸気路L8における第1補助蒸気タービン8aの下流側、かつ復水供給路L10における復水加熱器50の下流側に配置されている。復水加熱器50は、圧縮蒸気路L8を通流する蒸気と、復水供給路L10を通流する水とを熱交換させて、ボイラー1へ送られる水を加熱する。復水加熱器50から排出された蒸気は、圧縮蒸気路L8を通って、第2補助蒸気タービン8bへ送られる。
【0040】
第2補助蒸気タービン8b(補助蒸気タービン8の一例)が、圧縮蒸気路L8における復水加熱器50の下流側に配置されている。第2補助蒸気タービン8bは、燃料加温器5から供給され、第1補助蒸気タービン8aから排出された蒸気によって駆動される。第2補助発電機9bが、第2補助蒸気タービン8bと接続されて配置されている。第2補助発電機9bは、第2補助蒸気タービン8bによって駆動されて発電する。第2補助蒸気タービン8bから排出された蒸気は、圧縮蒸気路L8を通って、復水器40へ送られて、復水器40にて水に戻され、ボイラー1へ供給される。
【0041】
以上の様に構成された発電システムにより、蒸気圧縮機4、燃料加温器5、補助蒸気タービン8、補助発電機9および復水加熱器50を用いない場合に比べて、効率が0.07%向上する。
【0042】
発電システムのガスタービン発電機7にて燃料ガスを55t/h消費している場合について計算する。低圧蒸気タービン2cから20t/h、2780kJ/kgの蒸気を抽気すると、低圧蒸気タービン2cの出力低下量W2cは次の様に計算される。係数0.9はタービン効率である。
W2c=20t/h×(2780−2400)kJ/kg×0.9
=1900kW
【0043】
蒸気圧縮機4では、抽気蒸気が0.2MPa、160℃から1.5Mpa、320℃へ断熱圧縮される。これに必要な動力W4は次の様に計算される。係数1.1は圧縮効率の逆数である。
W4=20t/h×(3100−2780)kJ/kg×1.1
=1960kW
【0044】
燃料加温器5では、蒸気が燃料ガスに熱を与えて、蒸気の温度が320℃から200℃に低下する。燃料加温器5での燃料ガスの加温による利得は、燃料加温器5にて蒸気から燃料ガスへ与えられる熱W5として次の様に計算される。
W5=20t/h×(3100−2800)kJ/kg
=1670kW
このΔWは、燃料消費に換算すると122kg/hの削減に相当する。
【0045】
第1補助蒸気タービン8aおよび第1補助発電機9aでの発電電力W8aは、蒸気が1.5Mpa、200℃から0.1Mpa、100℃へ膨張するとして、次の様に計算される。
W8a=20t/h×(2800−2400)kJ/kg×0.9
=2000kW
【0046】
復水加熱器50では、蒸気が復水に熱を与えて、蒸気の温度が100℃から90℃へ低下することにより、熱W50が回収される。
W50=20t/h×(2400−2300)kJ/kg
=560kW
このΔWは、燃料消費に換算すると41kg/hの削減に相当する。
よって、燃焼消費量は、55000kg/hから、W5とW50に該当する消費量が削減されて、54837kg/hとなる。
【0047】
第2補助蒸気タービン8bおよび第2補助発電機9bでの発電電力W8bは、蒸気が0.09Mpa、90℃から0.01Mpa、55℃へ膨張するとして、次の様に計算される。
W8b=20t/h×(2300−2100)kJ/kg×0.9
=1000kW
【0048】
第2復水ポンプP2でのエネルギー消費WP2は、80kWと計算される。
WP2=80kW
【0049】
以上を合算すると、上記構成による利得(仕事率の向上)ΔWは次の様になる。
ΔW=−W2c−W4+W8a+W8b+WP2
=−780kW
【0050】
このΔWは、−780kWに相当するから、発電プラントの総合出力は低下する。
また、燃料消費に換算すると163kg/hの削減に相当するから、55t/hの燃料消費に対して、0.07%の効率向上であるといえる。
【0051】
<第2実施形態>
本実施形態に係る発電システムでは、三方弁30(蒸気供給弁)が、燃料加温器5へ供給される燃料の量の指示値である燃料流量指示値(以下「FSR」と記す場合がある。)に基づいて、蒸気タービン2から蒸気圧縮機4へ供給される蒸気の量を制御する。なお以降の実施形態では、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0052】
例えば三方弁30は、ガスタービンへ投入される燃料ガスの組成や熱量が大幅に低下した場合に、圧縮蒸気路L8を通流する蒸気の流量を低減させる。そうすると、燃料加温器5から流出する燃料ガスは250℃から200℃程度まで減温される。減温された燃料ガスは、燃料ガス供給路L9を通ってガスタービン発電機7へ供給され、燃焼温度を調整することで、結果的に失火や逆火を抑える効果が得られる。
【0053】
燃焼調整は、燃料配分・燃焼モードの切替えポイントを各燃焼モード別に調整し、空燃比と各燃焼モードの燃焼温度調整をおこなうもので、ガスタービン制御においては、仮想燃焼温度は、排気温度、圧縮機出口温度、圧縮機出口圧力、大気圧、大気温度から、あらかじめ決められたテーブルにて演算され、制御に使用されている。
【0054】
以下更に詳細に、三方弁30(蒸気供給弁)による蒸気の量の制御について説明する。まずこの制御の技術的背景から説明する。
【0055】
将来的に、天然ガス火力発電所の燃料が多様化し、各国の産地からメタンリッチな軽質ガスとエタン/プロパンリッチな重質ガスが購入されて、天然ガスパイプラインの産出地域やLNG基地を固定化せずに運用され、ガスタービンなどに随時流動的に混焼されることになる。これまでにもガスタービンメーカーが設計面での対応を図ってきたが、自由に幅広い燃料ガス性状に対応できるよう燃料ガスの利用や運転中のガス性状の急変にも対応できる設備にしておくことは、今後ますます重要な課題となっていく。
【0056】
燃料ガス加温制御の追従性向上と安定性向上による失火・逆火の抑制と、ガスタービンの安定運用については、以下の3つの課題がある。
【0057】
定格運転(排気ガス温度制御)の状態で、燃料ガス性状が軽質ガスに急変してウォッベインデックス(WI値)が低下したときは、燃料ガス加温器への供給熱量を減らして修正ウォッベインデックス(MWI値:WIを温度の平方根で割った計算値)を増加させたいが、弁動作が遅れると間に合わずに、ガスタービンが失火する可能性がある。
【0058】
発電プラントを起動している過程では、燃料ガス加温制御がボイラー給水量を急増させている途上である。この燃料流量指令FSRが増加しているときに、LNG基地やガスパイプラインの軽質ガスから重質ガスに切り替わる場合は、ウォッベWI値が急増するが、加温制御弁の開動作が追いつかずにガス加温器出口のMWI値がさらに上昇して燃焼振動や逆火をおこしやすい。
【0059】
負荷上昇後に燃料ガスの設定上限温度に到達したらボイラー給水量を削減するが、ここで給水弁を絞り込みすぎて、ガス温度がアンダーシュートすると、MWI値が急激に上昇して燃焼振動や逆火をおこしやすい。
【0060】
上流の燃料ガス組成の分析結果からWI値を算出し、供給される燃料ガスの組成変化により単位時間当たりのウォッベWI値の変化量が規定値より小さくなるときや、LNG基地からのガスにBOG(Boil of Gas)の混合量が急変した時に備えて制御関数を設定しておく。ガスタービンの機種によって許容速度の違いがあるため、この関数がどのようなガスタービンにも対応できるように、制御部の温度変化関数は自由に設定変更が可能なものとする。
【0061】
そこで、燃料ガス加温制御の改善のため、加温熱源としてボイラー給水に代わり、低圧蒸気タービン抽気を圧縮してよりエンタルピの高い高温蒸気を加熱源に利用することで、負荷追従性を改善していく。さらに、起動停止の途中や定格運転中において、燃料ガス性状が大きく変化して熱量が変動した場合でも、安定的にMWI値を制御し、発電プラントの運転を継続する。
【0062】
具体的には発電システムを以下のように構成すると好適である。燃料ガス温度制御の追従速度を上げて、かつ目標温度での安定性を向上するために、燃料流量指令FSRの増減の信号からあらかじめ定めた関数により、ガス加温熱源の温水流量や蒸気流量との関係を予測して制御する。
【0063】
この先行制御方式(フィードフォワード制御)を用いることで、早期に燃料ガス加温器出口温度を目標値に追従させ、比較的に時間遅れを抑制することが可能となる。通常時は、負荷上昇過程の燃料ガス流量指示値(FSR)が増加している過程で、約35%を超えると燃料ガス温度調節弁の開度を大きくして、ガス加温器入口加温水の流量を増加させる。
【0064】
また、ガス加温器出口温度を指標としたフィードバック制御のみでは、燃料ガス性状の変化による温度制御の時間遅れが発生すると制御偏差が大きくなってしまう欠点がある。例えば、燃料ガス熱量の低下に対する制御量は、燃料ガス加温器への給水温度の低減量であるから、反応が早く制定時間が短いPID制御を用いることで燃料ガス温度を制御でき、ガスタービンの安定運用に寄与することができる。
つまり、燃料ガス温度とSVとの偏差による「比例+積分演算制御」を行い、蒸気圧縮機出口から供給される蒸気流量を加減する。
【0065】
例えば、燃料ガス熱量の変化により、ウォッベインデックスWI値が58から55へ(MWI値:43から41)に下がった場合は、燃料ガス加温器出口のガス温度を250℃から約220℃に下げる必要があるため、供給蒸気流量を減らすように加温器入口の三方弁30(蒸気供給弁)を絞る。
【0066】
また発電システムを以下のように構成すると好適である。起動停止の途中や定格運転中において、燃料ガス性状が大きく変化して熱量が変動した場合でも、安定してMWI値を収束させる。これにより、発電プラントの運転を安定して継続できる。
【0067】
具体的には以下の制御を行う。軽質ガスへの切替時や燃料ガス温度の制御下限到達後の開動作の行き過ぎによりMWI値が低下するときは、迅速に加温蒸気を削減する。重質ガスへの切替時や燃料ガス温度の制御上限到達後の絞り込み動作の遅れによりMWI値が急上昇するときは、迅速に加温蒸気を増加する。
【0068】
<第3実施形態>
本実施形態では、発電システムが生成する電力を制御する電力制御部が設けられる。電力制御部は、発電システムが生成する電力が一定となるように、第1補助発電機9aおよび第2補助発電機9bが生成する電力を制御する。詳しくは電力制御部は、補助蒸気タービン8(第1補助蒸気タービン8aおよび第2補助蒸気タービン8b)に供給される蒸気の量を制御して、第1補助発電機9aおよび第2補助発電機9bが生成する電力を制御する。蒸気の量の制御は、例えば三方弁30の開度等を制御して行うことができる。
【0069】
ガスタービン発電機7が優先制御されて送電出力をコントロールしている場合に、自己熱再生用の第1補助蒸気タービン8aの出力を回転数制御・出力制御することで、発電システム全体の出力を一定に制御することも可能とする。
燃料加温器5から供給された蒸気によって第1補助蒸気タービン8aが駆動されるが、
このタービンには速度制御を設け、解列中は速度制御として作動し、併入後は負荷制御として動作する。調速(負荷)制御は、第1補助蒸気タービン8aの回転速度を定格値に保つ機能と所定の負荷を得る機能を有する。
【0070】
発熱量の低いガスの場合、MWIは基準点からマイナス側に振れ、燃料ガスの体積が多くなり、ガスの流速が増大し、失火しやすくなる。このような燃焼状態では低周波の燃焼振動が発生する。
MWI制限値は、燃料ノズルの圧力比、ノズル内の流速を適正に保ち、逆火または失火に対する裕度を確保するために、基準点に対し例えば+/−5%以内と規定されている。この規定範囲を超える燃料ガスの場合、燃料ガス温度を可変制御することでMWIのマイナス側、つまり発熱量の低下については対応が可能である。発熱量の低い燃料ガス性状の場合、圧縮蒸気路L8を通ずる蒸気流量を絞り込むことで、燃料ガス温度を下げ、MWIを設計値に近く制御することができる。
【0071】
以下さらに詳しく説明する。第1補助蒸気タービン8aの負荷制御(調速制御)については、タービン8aの回転速度を定格値に保つ機能と所定の負荷を得る機能を有し、プラント総合出力の制御にも寄与するようにし、系統電圧の変化への対応を迅速に行う。また、蒸気流量がごくわずかの段階では、送電負荷をとることができないが、無負荷で定格速度を維持した状態とすることもできる。
【0072】
第1補助蒸気タービン8aの起動時は速度制御が作動し、併入後は負荷制御が動作する。調速(負荷)制御は、第1補助蒸気タービン8aの回転速度を定格値に保つ機能と所定の負荷を得る機能を有する。
【0073】
タービン背圧設定値を初期値0.1MPa(1kg/cm2)として電気ガバナーを作動し、膨張タービンノズルで圧力制御をおこなうことでタービン出力を得る。電気ガバナーには回転数制御機能(PID)、背圧制御機能(PID)、ランプ出力機能があり、それぞれのうち一番低い値を選択してタービンノズルに出力する。
【0074】
回転数が規定値以上(3480rpmなど)に達すると回転数制御が働く。タービン出力が上昇し、同期検定装置が働きながら回転数を徐々に下げながら遮断器が投入されて同期する。
【0075】
遮断器が投入されたときのタービンノズルは、売電と同期をとるためのエネルギーに相当する蒸気量しか取り込んでおらず、発電量は0kWである。そこで負荷を乗せていくために、ランプ機能で約1rpm/5sのスピードで回転数設定値を上昇させることによりタービンノズルを開けていく。
【0076】
系統との同期後の負荷上昇時はタービン背圧設定値を初期値0.1MPa(1kg/cm2)を0.09MPa−0.08MPaへ下げて、ランプによる回転数制御の出力が増加した場合に、低値選択により背圧制御が選択されるようにする。
【0077】
自己熱再生用の第1補助蒸気タービン8aの出力を回転数制御・出力制御することで、発電システム全体の出力を一定に制御する機能を担わせることも可能である。
【0078】
膨張タービンは、燃料ガス加温器からの蒸気温度が150℃以上の場合に作動させる。
【0079】
共通制御部では、送電出力制御におけるコンバインドサイクル出力に対して、出力の過不足が発生した場合に、膨張タービンのノズル開度調節による出力調整を行う。
【0080】
膨張タービンの発電量が増えることで所内動力系統(6.6kVまたは440V)への送電量が多くなれば、コンバインド発電プラント全体としての系統送電量が増えて売電量が増加する。
【0081】
共通制御部は、コンバインド発電プラントとしての出力が、プラント負荷率50%以上で、かつ出力変更割合が0.2%(約1MW)の場合に、膨張タービン出力調整用蒸気ノズル制御(ガバナー制御)を利用してプラント総合出力の制御をおこなうようにしておき、系統電圧のわずかな変化への対応を迅速に行う。
【0082】
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、低圧蒸気タービン2cからの抽気蒸気または排気蒸気を蒸気圧縮機4に供給した。これを改変して、中圧蒸気タービン2bから排出された蒸気を蒸気圧縮機4に供給するよう構成してもよい。
【0083】
(2)もう一つの蒸気圧縮機を設け、低圧蒸気タービン2cからの抽気蒸気を断熱圧縮して復水加熱器50へ供給するよう構成してもよい。
【0084】
なお上述の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 :ボイラー
2 :蒸気タービン
3 :発電機
4 :蒸気圧縮機
5 :燃料加温器
6 :前段燃料加温器
7 :ガスタービン発電機
7c :タービン
7d :発電機
8 :補助蒸気タービン
30 :三方弁(蒸気供給弁)
図1