(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る運転計画作成装置について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る運転計画作成装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る運転計画作成装置を含む運転計画作成システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、運転計画作成装置システムは、運転計画作成装置100と、入出力装置200と、発電機特性データ管理装置300と、定検制約データ管理装置400と、運転制約データ管理装置500と、電力需要予測装置600と、を備えている。
【0012】
運転計画作成装置100は、発電ユニットの定期検査(以下、「定検」ともいう。)の実施計画を作成する。なお、発電ユニットは、発電機と、その周辺装置(タービン、ボイラー等)とを含む。また、発電ユニットの発電機は、例えば火力発電機であるが、これに限られず、水力、原子力、または再生可能エネルギー等を利用した発電機であってもよい。
【0013】
本実施形態では、運転計画作成装置100は、複数の発電ユニットを対象に、運転計画の一部としての定期検査計画(以下、「定検計画」ともいう。)を作成する。定検計画は、発電ユニットに対する定期検査の計画である。この運転計画作成装置100の詳細については後述する。
【0014】
入出力装置200は、運転計画作成装置100が運転計画を作成するために必要なデータを指定する。なお、運転計画を作成するために必要なデータには、定検制約データ、発電機特性データ、電力需要データ、および運転制約データが含まれる。ここで、各データについて概要を説明する。
【0015】
定検制約データは、定期検査の特性を示すデータである。定検制約データは、定期検査の種類(定検タイプ)、および定期検査の詳細情報を含む。定期検査の詳細情報は、例えば、前回の定期検査の終了日、許容間隔、所要期間(所要日数)、定期検査の実施に必要な費用(総費用)等に関するデータである。ここで、許容間隔は、定期検査間に許容される時間的間隔であり、例えば法律で定められた定検間隔の上限(すなわち、最大期間)である。例えば許容間隔が4年の場合、前回の定期検査が終了した日から4年以内に次の定期検査を実施する必要がある。定検制約データは、後述する最適化問題の制約条件および目的関数の作成に用いられる。
【0016】
定検制約データは、定期検査の実施に必要な機材、部品、人工(人日)に関する情報を含んでもよい。機材に関する情報には、例えば、必要な機材の種類、数、所持数などが含まれる。また、部品に関する情報には、例えば、必要な部品の種類、数、在庫数、搬入予定などが含まれる。
【0017】
発電機特性データは、発電機の特性を示すデータである。このデータには、発電機の出力電力、出力電力に基づく演算値が含まれる。例えば、出力電力の最小値、最大値、平均値、発熱量、発熱量あたりの運転コスト、単位時間あたりの発熱量などが含まれてもよい。発電機特性データは、後述する最適化問題の制約条件および目的関数の作成に用いられる。
【0018】
電力需要データは、発電ユニットまたは発電ユニット群に求められる発電量(電力需要)を示すデータである。ここで、発電ユニット群とは、複数の発電ユニットから構成されるグループである。なお、1つの発電ユニットが、複数の発電ユニット群に所属していてもよい。電力需要データは、後述する最適化問題の制約条件として用いられる。
【0019】
運転制約データは、発電ユニットの運転に対する制約を示すデータである。例えば、発電ユニットが停止した後、再起動できるまでにかかる時間(
図16の停止期間を参照。)は、運転制約の一つである。なお、発電ユニット群に課せられる運転制約は、その発電ユニット群に所属する全ての発電ユニットに課せられる。運転制約データは、後述する最適化問題の制約条件として用いられる。
【0020】
発電機特性データ管理装置300、定検制約データ管理装置400、運転制約データ管理装置500および電力需要予測装置600は、運転計画作成装置100および入出力装置200に通信可能に接続されている。発電機特性データ管理装置300は、発電機特性データを管理する装置である。定検制約データ管理装置400は、定検制約データを管理する装置である。運転制約データ管理装置500は、運転制約データを管理する装置である。電力需要予測装置600は、電力需要を予測し、電力需要データを生成する。
【0021】
次に、
図2〜
図10を参照して、定検制約データを記憶するデータベースの具体例について説明する。
【0022】
図2は、定検タイプおよび前回の定検終了日を発電ユニットIDに関連付けて記憶したデータベースの一例を示している。例えば、登録ID=1のデータは、発電ユニットIDが“1”の発電ユニットに対する定検タイプAの前回の定期検査が2010年10月7日に終了したことを示している。
【0023】
図3は、定検タイプごとの許容間隔を記憶したデータベースの一例を示している。
図4は、定検タイプ、所要期間および総費用を発電ユニットIDに関連付けて記憶したデータベースの一例を示している。
【0024】
図5は、定期検査に必要な機材の情報を記憶したデータベースの一例を示している。この例では、発電ユニットIDが“1”の発電ユニットについて、定検タイプAの経過日数ごとに必要な機材の種類と数が記憶されている。なお、他の発電ユニットおよび他の定検タイプについて、このようなデータベースが設けられてもよい。
図6は、機材の種類ごとの所持数、すなわち、現在所持している数を記憶したデータベースの一例を示している。
【0025】
図7は、定期検査に必要な部品の情報を記憶したデータベースの一例を示している。この例では、発電ユニットIDが“1”の発電ユニットについて、定検タイプAの経過日数ごとに必要な部品の種類と数が記憶されている。
図8は、部品の種類ごとの在庫数を記憶したデータベースの一例を示している。
図9は、部品の種類ごとの搬入日(納入日)と搬入量を記憶したデータベースの一例を示している。
【0026】
図10は定期検査に必要な人工の情報を発電ユニットIDおよび定検タイプに関連付けて記憶したデータベースの一例を示している。この例では、経過日数ごとに必要な人工が記憶されている。なお、定期検査に必要とされるスキルごとに人工のタイプを設定し、人工タイプ別に必要な人工をデータベースに記憶してもよい。
【0027】
<運転計画作成装置100>
次に、運転計画作成装置100の詳細構成について説明する。
【0028】
運転計画作成装置100は、
図1に示すように、入力部101と、記憶部102と、出力部103と、定検計画作成部104と、を備える。
【0029】
入力部101は、発電機特性データ管理装置300、定検制約データ管理装置400、運転制約データ管理装置500および電力需要予測装置600から運転計画作成処理に必要なデータを取得し、取得したデータを記憶部102に記憶させる。運転計画を作成するために必要なデータは、入出力装置200により指定された外部の装置またはシステム(図示せず)から取得される。本実施形態では、入力部101は、発電機特性データ管理装置300から発電機特性データを取得し、定検制約データ管理装置400から定検制約データを取得し、運転制約データ管理装置500から運転制約データを取得し、電力需要予測装置600から電力需要データを取得する。
【0030】
なお、入力部101は、運転計画作成装置100の各構成要素に対する指令など、運転計画作成処理に必要なデータ以外の情報を受け付けてもよい。この場合、入力部101は、受け付けた情報を、当該情報を必要とする構成要素に送信する。例えば、入力部101が外部から定検計画作成指令を受信した場合、当該指令は入力部101から定検計画作成部104に渡される。
【0031】
記憶部102は、入力部101が受信した各種データを記憶する。記憶されたデータは、データベース(DB)として管理される。本実施形態では、
図1に示すように、記憶部102は、定検制約データが記憶されたデータベースDB1と、発電機特性データが記憶されたデータベースDB2と、電力需要データが記憶されたデータベースDB3と、運転制約データが記憶されたデータベースDB4とを有する。
【0032】
なお、記憶部102は、記憶される情報に応じて記憶先が分けられていてもよい。記憶部102は、運転計画作成装置100の各構成要素の処理結果、例えば、定検計画作成部104によって作成された定検計画を記憶してもよい。
【0033】
記憶部102は、フラッシュメモリ等のメモリ、または、ハードディスク等のストレージにより構成される。なお、記憶部102は、1つのメモリまたは1つのストレージから構成されてもよいし、複数のメモリまたは複数のストレージで構成されてもよいし、あるいは、メモリとストレージの組み合わせにより構成されてもよい。
【0034】
出力部103は、作成された定検計画等の運転計画を出力する。本実施形態では、出力部103は入出力装置200を情報の出力先とする。なお、出力部103は、入出力装置200以外の装置に情報を出力してもよい。また、出力部103は、運転計画以外の情報を出力してもよい。例えば、運転計画の作成に用いられたデータや、運転計画の作成に至るまでの中間処理結果などを出力してもよい。また、出力部103は、出力する情報を、定検計画作成部104等の情報処理部から取得してもよいし、記憶部102から取得してもよい。
【0035】
出力部103が出力する情報の出力形式は、特に限られるものではない。例えば、出力部103は、定検計画等の情報を、外部のディスプレイに表示するための画像情報として出力してもよいし、あるいは、外部装置に保存するためのファイル情報として出力してもよい。
【0036】
定検計画作成部104は、発電ユニットの定検計画を作成する。より詳しくは、定検計画作成部104は、発電ユニットごとに、少なくとも、どの定検タイプの定期検査をいつからいつまで実施するのかを示す定期計画を作成する。詳細は後述するが、定検計画作成部104は、制約条件および目的関数に基づいて最適化問題を解くことにより、定検計画を作成する。例えば、単位期間ごとの定期検査の計画が作成される。ここで、定期検査の単位期間とは、定検計画の計画期間を複数の期間に区分したときの、最小の期間を意味する。単位期間は、例えば日(24時間)である。
【0037】
定検計画作成部104は、
図1に示すように、目的関数設定部1041と、制約条件設定部1042と、最適化問題求解部1043と、を有している。各構成要素について以下詳しく説明する。
【0038】
目的関数設定部1041は、最適化問題の目的関数を定式化する。より詳しくは、目的関数設定部1041は、定期検査に関連するコストを示す目的関数を設定する。本実施形態の目的関数は、複数の発電ユニットの、運転コストおよび定期検査コスト(以下、「定検コスト」ともいう。)の和を示す関数である(後述の式(1)参照)。
【0039】
運転コストは、発電ユニットの運転に要する費用である。運転コストには、例えば、発電ユニットの運転に必要な物品、人、サービスの費用が含まれる。発電ユニットの運転に必要な物品には、例えば、発電ユニットの動力源(燃料等)、動力源以外のもの(冷却水、触媒、消耗品、薬品など)が含まれる。動力源の種類は特に限られず、例えば、化石燃料、木質燃料、核燃料、ダム等に蓄えられた揚水、水素発電で用いられるメチルシクロヘキサンなどの化学物質でもよい。また、運転コストには、発電ユニットの運転に付随して発生する費用が含まれてもよい。例えば、発電により生じる排気ガスに含まれる化学物質を除去するために用いられる石灰石、液体アンモニアの費用を運転コストに含めてもよい。
【0040】
定検コストは、発電ユニットの定期検査の実施に要する費用である。定検コストには、例えば、発電ユニットの定期検査の実施に必要な機材(トラック、クレーン等)、部品(交換部品、消耗部品等)、人、サービス、その他の物品にかかる費用が含まれる。
【0041】
運転コストと定検コストの和を示す目的関数の一例を次式に示す。式(1)の右辺第一項は複数の発電ユニットの運転コストの和を表し、右辺第二項は複数の発電ユニットの定検コストの和を表している。
【数1】
ここで、u:発電ユニット、U:定検計画を作成する発電ユニットの集合、d:日、D:日の集合、α
u_d:運転コスト、U
u_d:発電ユニット起動フラグ、k:定検タイプ、K:定検タイプの集合、β
u_k:定検コスト、n:定期検査数、N:対象定期検査数、I
u_k_n_d:定検実施フラグである。
【0042】
運転コストα
u_dは、発電ユニットuの日dにおける運転コストを示す。なお、α
u_dは、例えば、変数uおよびdについて固定値であってもよいし、あるいは、発電ユニットの出力電力または発電単価に基づいて決まる値であってもよい。
【0043】
定検コストβ
u_kは、発電ユニットuに対し、定検タイプkの定期検査を実施するのに要する費用を示す。なお、β
u_kは、例えば、定検タイプごとに決められた固定値でもよいし、あるいは、定期検査の実施時期等のパラメータに基づいて決まる値でもよい。β
u_kが固定値の場合、例えば、
図4の総費用を定検コストとしてもよい。
【0044】
定期検査数nは、定期検査の番号を示し、最初の定期検査であれば“1”の値をとり、2回目の定期検査であれば“2”の値をとる。
【0045】
発電ユニット起動フラグU
u_dは、発電ユニットuが日dに起動しているか停止しているかを示す。U
u_dは、発電ユニットが起動状態であれば“1”の値をとり、停止状態であれば“0”の値をとる。
【0046】
定検実施フラグI
u_k_n_dは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n回目の定期検査を日dに実施するか否かを示す。I
u_k_n_dは、定期検査を実施する場合は“1”の値をとり、定期検査を実施しない場合は“0”の値をとる。
【0047】
なお、式(1)の目的関数は一例であり、これに限られるものではない。例えば、目的関数は、式(1)の第2項(定検コスト)のみであってもよい。また、目的関数は、上記のように複数の発電ユニットを対象としてもよいし、あるいは、一つの発電ユニットのみを対象としてもよい。
【0048】
制約条件設定部1042は、最適化問題の制約条件を定式化する。より詳しくは、制約条件設定部1042は、少なくとも定検制約データ、発電機特性データ、および電力需要データに基づいて制約条件を設定する。なお、制約条件設定部1042は、運転制約データを用いて制約条件を設定してもよい。
【0049】
以下、定式化された制約条件の具体例を示す。
【0050】
定期検査の開始日が満たすべき制約条件を式(2)〜式(5)に示す。式(2)は、最初の定期検査の開始日S
u_k_1に対する制約条件を示している。式(3)は、2回目以降の定期検査の開始日S
u_k_n(n=2,3,・・・)に対する制約条件を示している。式(3)は、例えば、後述の
図14において、2回目の定期検査の開始日S
u_k_2が時刻T
1と時刻T
2の間になければならないという制約条件を示している。なお、式(3)は、データベースDB1に格納された定検制約データを用いて設定される。例えば、
図2〜
図4に示す定検制約データが用いられる。
【数2】
ここで、DAY
firstは1回目の定期検査を実施可能な開始候補日のうち最も早い日であり、DAY
endは1回目の定期検査を実施可能な開始候補日のうち最も遅い日である。
【数3】
ここで、S
u_k_nは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査の開始日である。LT
u_kは、発電ユニットuに対する定検タイプkの定期検査に要する期間(定期検査期間、所要期間)である。W
u_kは、発電ユニットuに対する定検タイプkの定期検査について、前回の定期検査が終了してから次回の定期検査を開始するまでに最低限確保する期間(定検実施不可期間)である。CT
u_kは、発電ユニットuに対する定検タイプkの定期検査の許容期間である。
【0051】
式(4)は、定期検査の開始日S
u_k_nが定期検査を実施する日であるための制約条件を示している。
【数4】
【0052】
式(5)は、集合Dに属する日のうちいずれか一つの日を定検実施日とするための制約条件を示している。
【数5】
【0053】
式(6)は、定期検査の実施日に定期検査対象の発電ユニットが停止状態であるための制約条件を示している。
【数6】
ここで、D’は、定期検査が実施される日の集合である。
【0054】
式(7)は、電力需要を満足するための制約条件を示している。なお、式(7)は、データベースDB3に格納された電力需要データを用いて設定される。
【数7】
ここで、X
u_dは、日dにおける発電ユニットuの出力電力である。DMD
dは、日dにおける、集合Uに含まれる発電ユニットに対する電力需要である。DMD
dは、例えば電力需要の最大値である。
【0055】
式(8)は、発電ユニットの出力電力が出力上限以下となるための制約条件を示している。なお、式(8)は、データベースDB2に格納された発電機特性データを用いて設定される。
【数8】
ここで、PMPMU
u_dは、日dにおける、発電ユニットuの出力電力の上限値である。
【0056】
式(9)は、発電ユニットの出力電力が出力下限以上となるための制約条件を示している。なお、式(9)は、データベースDB2に格納された発電機特性データを用いて設定される。
【数9】
ここで、PMPML
u_dは、日dにおける、発電ユニットuの出力電力の下限値である。
【0057】
上記の式(2)〜式(9)の制約条件式を用いて目的関数の最適化問題を解くことにより、定期検査の開始日および実施期間が決定される。さらに、以下に示すように、定期検査の実施に必要な機材、部品および人工を考慮してもよい。
【0058】
<定期検査の実施に必要な機材の考慮>
制約条件設定部1042は、定期検査の実施に必要な機材を考慮して制約条件を設定してもよい。式(10)と式(11)は、定期検査の実施に必要な機材が使用可能であるための制約条件を示している。なお、式(10)は
図5に示す定検制約データを用いて設定され、式(11)は
図6に示す定検制約データを用いて設定される。
【数10】
ここで、M
u_k_n_t_xdは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に必要な機材tの総数である。xdは式(5)を満たす日dであり、定期検査が実施される日を示している。tは機材の種類である。m
u_k_n_d_tは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に日dにおいて必要な機材tの数である。
【数11】
ここで、Machine
tは、機材tの所持数である。
【0059】
<定期検査の実施に必要な部品の考慮>
制約条件設定部1042は、定期検査の実施に必要な部品を考慮して制約条件を設定してもよい。式(12)と式(13)は、定期検査の実施に必要な部品が使用可能であるための制約条件を示している。なお、式(12)は
図7に示す定検制約データを用いて設定され、式(13)は
図7、
図8および
図9に示す定検制約データを用いて設定される。
【数12】
ここで、P
u_k_n_c_xdは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に必要な部品cの総数である。xdは式(5)を満たす日dであり、定期検査が実施される日を示している。cは部品の種類である。p
u_k_n_d_cは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に日dにおいて必要な部品cの数である。
【数13】
ここで、Parts
c_dは部品cの日dにおける在庫数であり、R
c_dは日dに搬入される部品cの数である。
【0060】
式(13)の右辺第一項は前日の部品cの在庫数を示し、右辺第2項は当日の部品cの使用量(消費量)を示し、右辺第3項は当日に搬入される部品cの数である。式(13)で求まるParts
c_dの値が0以上であることが必要となる。
【0061】
<定期検査の実施に必要な人工の考慮>
制約条件設定部1042は、定期検査の実施に必要な人工を考慮して制約条件を設定してもよい。式(14)と式(15)は、定期検査の実施に必要な人工が確保可能であるための制約条件を示している。なお、式(14)は
図10に示す定検制約データを用いて設定される。式(14)は、定期検査の実施日において必要な人工の数を示し、式(15)は、
【数14】
ここで、MH
u_k_n_xdは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に必要な人工の総数である。xdは式(5)を満たす日dであり、定期検査が実施される日を示している。mh
u_k_n_dは、発電ユニットuに対する定検タイプkの、n番目の定期検査を実施する際に日dにおいて必要な人工の数である。
【数15】
ここで、ManHours
dは、日dに動員可能な人工の数である。
【0062】
以上、制約条件設定部1042により定式化される制約条件式の例について説明した。上記の制約条件式は一例であり、制約条件設定部1042は、公知の手法を用いて制約条件を設定してもよい。なお、設定される制約条件は、発電ユニット単体に対する制約条件でもよいし、あるいは、発電ユニット群に対する制約条件でもよい。発電ユニット群に対する制約条件は、発電ユニット群全体の発電量または燃料使用量といった、発電ユニット群全体に対する制約条件でもよい。あるいは、発電ユニット群に対する制約条件は、発電ユニット群に属する各発電ユニットに対する制約条件でもよい。
【0063】
次に、最適化問題求解部1043について説明する。
【0064】
最適化問題求解部1043は、目的関数設定部1041により設定された目的関数と、制約条件設定部1042により設定された制約条件と、に基づく最適化問題を求解する。すなわち、最適化問題求解部1043は、制約条件設定部1042により設定された制約条件の下で、目的関数設定部1041により設定された目的関数の最適化問題を解くように構成されている。例えば、最適化問題求解部1043は、式(1)の目的関数の値を最小にする最適化問題を解く。求解手法としては、例えば2次計画法、線形計画法などの公知の最適化問題の解決手法を用いることが可能である。また、求解処理を行うために、専用のプログラムを用いてもよいし、公知のソルバを用いてもよい。
【0065】
なお、最適化問題求解部1043は、運転コストまたは定検コストが所定値になるように最適化問題を解くようにしてもよいし、あるいは、定検コストが最小になるように最適化問題を解くようにしてもよい。
【0066】
最適化問題求解部1043は、上記の最適化問題を解くことにより、定期検査の計画(定期検査の定検タイプ、開始日および期間等)を作成する。
【0067】
本実施形態において最適化問題求解部1043は、集合Uに含まれる複数の発電ユニットの運転コストと定検コストの和が最小となるように最適化問題を解く。これにより、集合Uに含まれる発電ユニットの各々について、定検タイプ、定検開始日および期間などが求められる。
図13および
図14は、定検計画作成部104により作成された定期検査の一例である。
図13は、IDが1および2の発電ユニットについて、定検タイプA,B,Cごとの実施予定を示している。
図13において、横方向に伸びる各バーが定期検査を示している。バーの長さが定期検査の実施期間を示している。なお、
図13の横軸は時間を示しているが、この横軸の近傍に日付等の情報が表示されてもよい。
【0068】
図14は、ある発電ユニットのある定検タイプに係る定期検査の予定を示している。
図14中、定期検査期間は定期検査の開始日から終了日までの期間を意味している。また、定期検査間隔は前述の許容期間のことであり、前回の定期検査が終了してから次の定期検査を実行するまでの最大期間を意味する。発電ユニットは、定期検査が終了してから、定期検査間隔が満了するまでの間に次の定期検査を受けなければならない。
【0069】
図14の例では、1回目(n=1)の定期検査が終了してから2回目(n=2)の定期検査を開始するまでに定検実施不可期間W
u_kが確保されている。この定検実施不可期間は、定期検査の実施間隔の最小期間を定める。なお、
図14において、時刻T
1は2回目の定期検査を実施する最も早いタイミングであり、時刻T
2は2回目の定期検査を実施する最も遅いタイミングである。
【0070】
図15は、定期検査に必要な機材、部品および人工を考慮して作成された定検計画の一例を示している。
図15に示すように、定期検査の開始日から終了日まで、実施日ごとに定期検査に必要な、機材の種類と数、部品の種類と数および人工が表示される。
【0071】
<定検計画作成処理>
図12を参照して、定検計画作成部104による定検計画作成処理の処理フローを説明する。なお、以下の処理フローにおいて必要なデータ(すなわち、定検制約データ、発電機特性データ、電力需要データおよび運転制約データ)は、入力部101により予め取得され、記憶部102に記憶されているものとする。
【0072】
まず、目的関数設定部1041が、最適化問題の目的関数を設定する(ステップS101)。本実施形態では、前述の式(1)で示されるコスト関数が目的関数として定式化される。
【0073】
次に、制約条件設定部1042が、最適化問題の制約条件を設定する(ステップS102)。本実施形態では、前述の式(2)〜式(9)が制約条件を表す式として定式化される。
【0074】
なお、本ステップにおいて、制約条件設定部1042は、必要に応じて、式(10)〜式(15)を生成してもよい。例えば、定期検査の実施に必要な機材を考慮する場合は、式(10)および式(11)が生成される。定期検査の実施に必要な部品を考慮する場合は、式(12)および式(13)が生成される。定期検査の実施に必要な人工を考慮する場合は、式(14)および式(15)が生成される。
【0075】
次に、最適化問題求解部1043が、ステップS102において設定された制約条件の下で、ステップS101において設定された目的関数の最適化問題を解く(ステップS103)。これにより、定検計画が作成される。本実施形態では、最適化問題求解部1043は、式(1)の目的関数の値を最小にする最適化問題を解くことで、運転コストと定検コストの合計コストが最小となるような定検計画を立案する。この後、出力部103が作成された定検計画を外部装置に出力する。
【0076】
以上説明したように、第1の実施形態では、目的関数設定部1041が定期検査に関連するコストを示す目的関数を設定し、制約条件設定部1042が少なくとも定検制約データ、発電機特性データおよび電力需要データに基づいて制約条件を設定し、最適化問題求解部1043が、目的関数設定部1041により設定された制約条件の下で、目的関数設定部1041により設定された目的関数の最適化問題を解く。これにより、第1の実施形態によれば、発電機特性データおよび電力需要データだけでなく、定検制約データを考慮した定検計画を作成することができる。その結果、精度が高く、最適化された定検計画を作成することが可能になる。
【0077】
上記実施形態の説明では、定検計画がまったく存在しない状態から複数の発電ユニットに対する定検計画を作成したが、これに限られず、運転計画作成装置100は作成済みの定検計画の変更を行い、新たな定検計画を作成してもよい。運転計画作成装置100は、定検計画が作成済みの集合Uに属する発電ユニットのうち、一つまたは複数の発電ユニット(以下、「指定発電ユニット」という。)の定検計画を変更してもよい。作成済みの定検計画を変更する状況として、例えば、第1の発電ユニットが故障したため、電力需要を満たすために第2の発電ユニットの定期検査を実施することができなくなった場合などが考えられる。
【0078】
例えば、指定発電ユニットに対する定検計画の時間的移動量(すなわち、定検実施開始日のシフト量)が最小になるように、指定発電ユニットの定検計画を作成する。なお、指定発電ユニットに対する定検計画の開始日が所望の日になるように指定発電ユニットの定検計画を作成してもよい。
【0079】
指定発電ユニットに対する定検計画の時間的移動量を最適化する場合、目的関数は、既に作成された定検計画の時間的移動コストを示す関数となる。この時間的移動コストは、当初計画された定検実施開始日からのシフト量に基づいて変化するコストであり、このコストには、例えば、定検コスト、運転コストなどが含まれる。最適化問題求解部1043は、この目的関数が最小となるように、すなわち、作成済みの定検計画のシフト量が最小となるように最適化問題を解く。これにより、作成済み定検計画の全体コストにできるだけ影響を与えることなく、指定発電ユニットの定検計画を変更することができる。
【0080】
なお、作成済みの複数の発電ユニットの定検計画の一部を変更する場合において、目的関数は、時間的移動コストに限られず、運転コスト、定検コスト等の費用を示す関数であってもよい。例えば、運転計画作成装置100(最適化問題求解部1043)は、指定発電ユニット以外の発電ユニットについて、既に作成された定検計画の制約条件(機材、部品、人工等の条件)を満たし、かつ、発電ユニットの定期検査に要する総コストが最小になるように指定発電ユニットに対する定検計画を作成してもよい。
【0081】
例えば、作成済みの10台の発電ユニットの定検計画について、そのうち2台の指定発電ユニットの定検計画を変更する場合、運転計画作成装置100は、10台の発電ユニットのうち定検計画を変更しない8台の発電ユニットの定検計画の制約条件を満たし、かつ、10台の発電ユニットの定期検査に要する総コストが最小になるように、2台の指定発電ユニットの定検計画を作成する。
【0082】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る運転計画作成装置について説明する。
図17は、第2の実施形態に係る運転計画作成装置を含む運転計画作成システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図17において
図1と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。第2の実施形態と第1の実施形態との間の相違点は、第2の実施形態に係る運転計画作成装置が運転状態決定部と出力電力決定部をさらに備え、定検計画作成部が作成した定検計画に基づいて発電ユニットの運転計画を作成する点にある。
【0083】
第2の実施形態に係る運転計画作成装置について説明する前に、
図16を参照して、発電ユニットの出力電力の特性について説明する。
図16は、発電ユニットの出力電力の特性を説明するための図である。発電ユニットは、作成された運転計画に応じて、停止および起動などの処理を行う。停止の指示を受けてから、実際に発電ユニットが停止するまでには時間がかかる。同様に、起動の指示を受けてから、実際に発電ユニットの出力が所定の値に到達するまでにも時間がかかる。停止の指示を受けた発電ユニットが実際に電力系統から切り離されることを「解列」という。また、起動の指示を受けて発電ユニットが電力系統に接続されることを「並列」という。解列から並列までの時間を発電ユニットの「停止期間」という。発電ユニットの停止期間における状態のことを「停止状態」、この停止状態以外の運転状態のことを「起動状態」という。このように本実施形態では、発電ユニットの運転状態には、起動状態および停止状態の2種類がある。
【0084】
図16に示すように、停止指示を受けると、発電ユニットの出力電力は、ある出力値から下降していき、0となる。出力レベルが下降する部分は、停止カーブと呼ばれる。また、並列後、発電ユニットの出力電力は徐々に上昇し、一定の出力値に達する。出力レベルが上昇する部分は、起動カーブと呼ばれる。
【0085】
<運転計画作成装置100A>
次に、第2の実施形態に係る運転計画作成装置100Aについて説明する。運転計画作成装置100Aは、
図17に示すように、入力部101と、記憶部102と、出力部103と、定検計画作成部104と、運転状態決定部105と、出力電力決定部106と、を備える。運転状態決定部105および出力電力決定部106以外の構成要素は第1の実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0086】
運転状態決定部105は、発電ユニットの運転状態(起動状態または停止状態)を決定する運転状態決定処理を行う。
【0087】
運転状態決定部105は、発電機特性データ、運転制約データ、電力需要データ、および定検計画作成部104により作成された定検計画に基づいて、発電ユニットの運転状態を決定する。具体的には、運転状態決定部105は、制約条件および目的関数に基づく最適化問題を解くことにより、解列および並列のタイミングを決定する。そして、決定された発電ユニットの解列および並列のタイミングに基づいて、発電ユニットの運転状態が決定される。
【0088】
出力電力決定部106は、発電ユニットの単位期間ごとの出力電力の値を決定する出力電力決定処理を行う。ここで、「単位期間」とは、運転計画の計画期間を複数の期間に区分したときの、最小の期間を意味する。単位期間は、メッシュとも呼ばれる。
【0089】
出力電力決定部106は、発電機特性データ、運転制約データ、電力需要データ、および運転状態決定部105により決定された発電ユニットの運転状態に基づいて、発電ユニットの出力電力を決定する。具体的には、出力電力決定部106は、制約条件および目的関数に基づく最適化問題を解くことにより、各発電ユニットの出力電力を決定する。
【0090】
次に、
図18を参照して、運転計画作成装置100Aの運転状態決定部105による処理フローについて説明する。
【0091】
運転状態決定部105は、記憶部102から必要なデータを取得する(S201)。より詳しくは、運転状態決定部105は、発電機特性データ、電力需要データおよび運転制約データに加えて、定検計画作成部104により作成された定検計画を示すデータを記憶部102から取得する。
【0092】
必要なデータを取得した後、運転状態決定部105は、目的関数設定処理を実行する(S202)。この目的関数設定処理では、第1の実施形態で説明した目的関数設定部1041による処理と同様に、最適化問題の目的関数が定式化される。目的関数設定処理は公知の手法を用いればよく、目的関数は任意に定めてよい。例えば、1つの発電ユニットの運転コスト、または複数の発電ユニットを含む発電ユニット群の運転コストを最小化にすることを目的としてもよい。あるいは、運転コストを、任意に定められる目標値に近づけることを目的としてもよい。
【0093】
目的関数設定処理を行った後、運転状態決定部105は、制約条件設定処理を実行する(S203)。制約条件設定処理では、第1の実施形態で説明した制約条件設定部1042による処理と同様に、最適化問題の制約条件が定式化される。制約条件設定処理は公知の手法を用いればよく、作成される制約条件は1つの発電ユニットに対する制約条件でもよいし、あるいは発電ユニット群に対する制約条件でもよい。なお、発電ユニット群に対する制約条件は、発電ユニット群全体の発電量もしくは燃料使用量といった発電ユニット群全体に対する制約条件でもよいし、あるいは、発電ユニット群に属する各発電ユニットに対する制約条件でもよい。
【0094】
次に、運転状態決定部105は、ステップS202の目的関数設定処理で設定された目的関数と、ステップS203の制約条件設定処理で設定された運転制約と、に基づく最適化問題を求解する。求解手法としては、第1の実施形態で説明した最適化問題求解部1043による処理と同様に、2次計画法、線形計画法などの公知の最適化問題解決手法を用いることが可能である。また、求解処理を行うために、専用のプログラムを用いてもよいし、公知のソルバを用いてもよい。
【0095】
上記の処理フローにより、発電ユニットの解列および並列のタイミングが決定される。そして、運転状態決定部105は、算出された解列および並列のタイミングに基づいて、発電ユニットの運転状態を時間ごとに示す情報を作成する。例えば、計画期間内に定められた複数の区間ごとに運転状態が示された情報が作成される。
【0096】
次に、
図19を参照して、運転計画作成装置100Aの出力電力決定部106による処理フローについて説明する。
【0097】
出力電力決定部106は、記憶部102から必要なデータを取得する(S301)。より詳しくは、出力電力決定部106は、発電機特性データ、電力需要データおよび運転制約データに加えて、運転状態決定部105により決定された各発電ユニットの運転状態を示すデータを記憶部102から取得する。なお、運転状態決定部105により決定された発電ユニットの運転状態を示すデータは、本ステップで取得される運転制約データとは別個のデータであるが、これに限らず、運転制約データに含まれてもよい。
【0098】
次に、出力電力決定部106は、目的関数設定処理を実行する(S302)。この目的関数設定処理では、運転状態決定部105による処理と同様に、最適化問題の目的関数が定式化される。目的関数設定処理は公知の手法を用いればよく、目的関数は任意に定めてよい。
【0099】
次に、出力電力決定部106は、制約条件設定処理を実行する(S303)。制約条件設定処理では、運転状態決定部105による処理と同様に、最適化問題の制約条件が定式化される。制約条件設定処理は公知の手法を用いればよく、作成される制約条件は1つの発電ユニットに対する制約条件でもよいし、あるいは発電ユニット群に対する制約条件でもよい。なお、発電ユニット群に対する制約条件は、発電ユニット群全体の発電量もしくは燃料使用量といった発電ユニット群全体に対する制約条件でもよいし、あるいは、発電ユニット群に属する各発電ユニットに対する制約条件でもよい。
【0100】
次に、出力電力決定部106は、ステップS302の目的関数設定処理で設定された目的関数と、ステップS303の制約条件設定処理で設定された運転制約と、に基づく最適化問題を求解する。求解手法としては、運転状態決定部105による処理と同様に、2次計画法、線形計画法などの公知の最適化問題解決手法を用いることが可能である。また、求解処理を行うために、専用のプログラムを用いてもよいし、公知のソルバを用いてもよい。
【0101】
上記の処理フローにより、計画期間における各発電ユニットの出力電力が決定される。
【0102】
以上説明したように、第2の実施形態では、運転状態決定部105が、定検計画作成部104により作成された定検計画に基づいて、各発電ユニットの運転状態を決定する。そして、出力電力決定部106が、運転状態決定部105により決定された各発電ユニットの運転状態に基づいて各発電ユニットの出力電力を決定する。これにより、第2の実施形態によれば、発電ユニットの定検計画を考慮した運転計画を作成することができる。よって、例えば、電力供給者の収益を最大化するための運転計画を作成することができる。
【0103】
なお、上記の実施形態で説明した処理フローは一例に過ぎず、所要の処理結果を得ることができれば、その他の処理が行われてもよいし、処理の順序等が入れ替えられてもよい。
【0104】
また、処理結果の出力方法についても特に限定されない。例えば、定検計画作成部104、運転状態決定部105および出力電力決定部106の各々について、出力部103は、各処理が完了した後に処理結果を逐次出力してもよい。すなわち、出力部103は、各構成要素から処理結果を受け取る都度、外部の装置(入出力装置200等)に向けて処理結果を送信してもよい。あるいは、各構成要素の処理結果は記憶部102に逐次記憶されてもよい。そして、出力部103は、入力部101が外部装置から要求を受け付けると、記憶部102を参照し、要求された情報を取得するようにしてもよい。
【0105】
上記の実施形態は一例に過ぎず、実施形態の構成要素の一部が外部の装置にあってもよい。例えば、第2の実施形態に係る運転計画作成装置100Aは定検計画作成部104を有していたが、この定検計画作成部104が外部の装置に設けられてもよい。この場合、入力部101が、定検計画作成部104を有する外部装置から定検計画を取得し、運転状態決定部105に渡たす。
【0106】
その他、運転計画作成装置内の構成要素がそれぞれ別々の装置に設けられる実施形態も想定される。例えば、定検計画作成部104を有する第1装置と、運転状態決定部105を有する第2装置と、出力電力決定部106を有する第3装置とが互いに通信可能に接続され、運転計画作成装置100Aと同様に機能するようにしてもよい。
【0107】
上記第1および第2の実施形態における処理は、ソフトウェア(プログラム)により実現することが可能である。ゆえに、上記の各実施形態は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用い、コンピュータ装置に搭載された中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等のプロセッサにプログラムを実行させることにより、実現することが可能である。
【0108】
図20は、運転計画作成装置100,100Aのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。運転計画作成装置100,100Aは、プロセッサ701と、主記憶装置702と、補助記憶装置703と、ネットワークインタフェース704と、デバイスインタフェース705とを備え、これらがバス706を介して接続されたコンピュータ装置700として実現できる。また、運転計画作成装置100,100Aは、入出力装置200として、汎用の入力装置および出力装置を備えていてもよい。
【0109】
運転計画作成装置100,100Aは、各装置で実行されるプログラムをコンピュータ装置700にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、プログラムをCD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して配布して、コンピュータ装置700に適宜インストールすることで実現してもよい。
【0110】
なお、
図20では、コンピュータ装置700は、各構成要素を1つ備えているが、同じ構成要素を複数備えていてもよい。また、
図20では、1台のコンピュータ装置700が示されているが、ソフトウェアが複数のコンピュータ装置にインストールされてもよい。当該複数のコンピュータ装置それぞれがソフトウェアの異なる一部の処理を実行することにより、処理結果を生成してもよい。つまり、運転計画作成装置100,100Aがシステムとして構成されていてもよい。
【0111】
プロセッサ701は、コンピュータの制御装置および演算装置を含む電子回路である。プロセッサ701は、コンピュータ装置700の内部構成の各装置などから入力されたデータやプログラムに基づいて演算処理を行い、演算結果や制御信号を各装置等に出力する。具体的には、プロセッサ701は、コンピュータ装置700のOS(オペレーティングシステム)や、アプリケーションなどを実行し、コンピュータ装置700を構成する各装置を制御する。
【0112】
プロセッサ701は、上記の処理を行うことができれば特に限られるものではない。プロセッサ701は、例えば、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、運転状態マシンなどでもよい。また、プロセッサ701は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路(PLD)などでもよい。また、プロセッサ701は、複数の処理装置から構成されていてもよい。例えば、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせでもよいし、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサでもよい。
【0113】
主記憶装置702は、プロセッサ701が実行する命令および各種データ等を記憶する記憶装置であり、主記憶装置702に記憶された情報がプロセッサ701により直接読み出される。補助記憶装置703は、主記憶装置702以外の記憶装置である。なお、記憶装置は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を意味するものとする。主記憶装置702として、RAM、DRAM、SRAM等の一時的な情報の保存に用いられる揮発性メモリが主に用いられるが、本発明の実施形態において、主記憶装置702がこれらの揮発性メモリに限られるわけではない。主記憶装置702および補助記憶装置703として用いられる記憶装置は、揮発性メモリでもよいし、不揮発性メモリでもよい。不揮発性メモリは、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、MRAM等がある。また、補助記憶装置703として磁気または光学のデータストレージが用いられてもよい。データストレージとしては、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、USBメモリ等のフラッシュメモリ、および磁気テープなどが用いられてもよい。
【0114】
なお、プロセッサ701が主記憶装置702または補助記憶装置703に対して、直接または間接的に、情報を読み出し、書き込み、またはこれらの両方を行うならば、記憶装置はプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。なお、主記憶装置702は、プロセッサに統合されていてもよい。この場合も、主記憶装置702は、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。
【0115】
ネットワークインタフェース704は、無線または有線により、通信ネットワーク800に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース704は、既存の通信規格に適合したものを用いればよい。ネットワークインタフェース704により、通信ネットワーク800を介して通信接続された外部装置900に出力結果などが送信されてもよい。外部装置900は、外部記憶媒体でもよいし、表示装置でもよいし、データベースなどのストレージでもよい。
【0116】
デバイスインタフェース705は、出力結果などを記録する外部記憶媒体に接続するUSBメモリなどのインタフェースである。外部記憶媒体は、HDD、CD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−R、BD−ROM、BD−R、BD−RE、SAN(Storage area network)、DAT等の任意の記録媒体でよい。デバイスインタフェース705を介して、ストレージなどと接続されていてもよい。
【0117】
また、コンピュータ装置700の一部または全部、つまり運転計画作成装置100,100Aの一部または全部は、プロセッサ701などを実装している半導体集積回路などの専用の電子回路(すなわちハードウェア)にて構成されてもよい。専用のハードウェアは、RAM、ROMなどの記憶装置との組み合わせで構成されてもよい。
【0118】
なお、
図20では、1台のコンピュータ装置が示されているが、ソフトウェアが複数のコンピュータ装置にインストールされてもよい。当該複数のコンピュータ装置それぞれがソフトウェアの異なる一部の処理を実行することにより、処理結果を算出してもよい。
【0119】
上記に、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。