特許第6877413号(P6877413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6877413二重ATX/CA阻害剤としての新規な二環式化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877413
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】二重ATX/CA阻害剤としての新規な二環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20210517BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20210517BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C07D487/04 137
   C07D487/04CSP
   A61P27/02
   A61K31/4439
   A61K31/444
   A61K31/4709
【請求項の数】33
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2018-514985(P2018-514985)
(86)(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-528227(P2018-528227A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】EP2016072347
(87)【国際公開番号】WO2017050791
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】15186633.2
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ディ・ジョルジオ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘルト,イェロム
(72)【発明者】
【氏名】フンツィカー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マタイ,パトリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ウルマー,クリストフ
【審査官】 池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/139978(WO,A1)
【文献】 特表2010−524987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0028986(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/102817(WO,A1)
【文献】 特表2018−528244(JP,A)
【文献】 特表2018−528245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化18】

[式中、
は、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換キノリニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換キノリニル−2−6−アルケニル、置換キノリニル−2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル又は置換チオフェニル−C2−6−アルキニルであり、ここで、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換キノリニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換キノリニル−2−6−アルケニル、置換キノリニル−2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル及び置換チオフェニル−C2−6−アルキニルは、R、R及びRで置換されており;
Yは、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wは、−C(O)−、−S(O)−又は−CR−であり;
は、置換フェニル、置換ピリジニル又は置換チオフェニルであり、ここで、置換フェニル、置換ピリジニル及び置換チオフェニルは、R、R及びRで置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシより選択され;
は、アミノスルホニルであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ及びC3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキルより選択され;
m、n、p及びqは、独立して、1又は2より選択される]で示される化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
下記式:
【化19】

[式中、
は、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル又は置換チオフェニル−C2−6−アルキニルであり、ここで、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル及び置換チオフェニル−C2−6−アルキニルは、R、R及びRで置換されており;
Yは、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wは、−C(O)−、−S(O)−又は−CR−であり;
は、置換フェニル、置換ピリジニル又は置換チオフェニルであり、ここで、置換フェニル、置換ピリジニル及び置換チオフェニルは、R、R及びRで置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシより選択され;
は、アミノスルホニルであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ及びC3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキルより選択され;
m、n、p及びqは、独立して、1又は2より選択される]で示される、
請求項1に記載の化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項3】
が、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されており;
Yが、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wが、−C(O)−であり;
が、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、ここで、置換フェニル及び置換ピリジニルは、R、R及びRで置換されており;
が、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシであり;
が、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルであり;
が、Hであり;
が、アミノスルホニルであり;
及びRが、独立して、H又はハロゲンより選択され;
m及びqが、1であり;
n及びpが、独立して、1又は2より選択される、
請求項1に記載の化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
が、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されており;
Yが、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wが、−C(O)−であり;
が、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、ここで、置換フェニル及び置換ピリジニルは、R、R及びRで置換されており;
が、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシであり;
が、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルであり;
が、Hであり;
が、アミノスルホニルであり;
及びRが、独立して、H又はハロゲンより選択され;
m及びqが、1であり;
n及びpが、独立して、1又は2より選択される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項5】
が、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、−OC(O)−である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、ここで、置換フェニル及び置換ピリジニルは、R、R及びRで置換されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
が、R、R及びRで置換されているフェニルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、C1−6−アルキルカルボニルアミノである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が、ハロ−C1−6−アルキルである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、Hである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
及びRが、独立して、H又はハロゲンより選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が、ハロゲンである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、Hである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
m及びqが、1であり、そしてn及びpが、独立して、1又は2より選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
m、n、p及びqが、1である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
が、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルであり;
Yが、−OC(O)−であり;
Wが、−C(O)−であり;
が、R、R及びRで置換されているフェニルであり;
が、C1−6−アルキルカルボニルアミノであり;
が、ハロ−C1−6−アルキルであり;
が、Hであり;
が、ハロゲンであり;
が、Hであり;
m、n、p及びqが、1である、
請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項23】
請求項1記載の、かつ式I(b):
【化21】

[式中、
は、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルであり;
Yは、−OC(O)−であり;
Wは、−C(O)−であり;
は、C1−6−アルキルカルボニルアミノであり;
は、ハロ−C1−6−アルキルであり;
は、Hであり;
は、ハロゲンであり;
は、Hであり;
m、n、p及びqは、1である]で示される化合物及び薬学的に許容し得る塩。
【請求項24】
下記:
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−クロロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル 5−(4−スルファモイルベンゾイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート;
6−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
4−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−(5−(3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノイル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 6−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−2,6−ナフチリジン−2−カルボキシラート;
[5−クロロ−4−シアノ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)フェニル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 6−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−2,6−ナフチリジン−2−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−[2−[(E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ−2−エノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
6−[2−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
6−[2−[(E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ−2−エノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
6−[2−[2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]アセチル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]アセチル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−[3−[4−シアノ−2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド;
4−[2−[3−[4−クロロ−2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド
より選択される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項25】
下記:
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
4−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−2,3−ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
[5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−[2−[3−[3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
5−フルオロ−6−[2−[3−[2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)キノリン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 5−(2−フルオロ−4−スルファモイルフェニル)スルホニル−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボキシラート
より選択される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の化合物及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項26】
下記:
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−クロロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート
より選択される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項27】
下記:
3−フルオロ−4−[2−[3−[2−[(4−メチルトリアゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド
より選択される化合物及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の化合物の調製方法であって、式(III)で示される化合物の存在下、式(II)で示される化合物の反応:
【化22】

[式中、R、R、m、n、p、及びqは、請求項1〜24のいずれか一項で定義されたとおりであり、そしてWは、−C(O)−である]を含む、方法。
【請求項29】
治療活性物質としての使用のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物と治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項31】
眼の病態の治療又は予防のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
眼の病態の治療又は予防用の医薬の製造のための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
眼の病態の治療又は予防のための、請求項30に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類における治療又は予防に有用な有機化合物に、特に、炎症性病態、神経系の病態、血管及び心血管病態、癌及び眼の病態の治療または予防のための、リゾホスファチジン酸(LPA)産生の阻害剤、ひいてはLPAレベル及び関連するシグナル伝達の調節剤である、二重オートタキシン(ATX)/炭酸脱水酵素阻害剤に関する。
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
は、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換キノリニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換キノリニル−C1−6−アルケニル(lalkenyl)、置換キノリニル−C1−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル又は置換チオフェニル−C2−6−アルキニルであり、ここで、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換キノリニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換キノリニル−C1−6−アルケニル(lalkenyl)、置換キノリニル−C1−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル及び置換チオフェニル−C2−6−アルキニルは、R、R及びRで置換されており;
Yは、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wは、−C(O)−、−S(O)−又は−CR−であり;
は、置換フェニル、置換ピリジニル又は置換チオフェニルであり、ここで、置換フェニル、置換ピリジニル及び置換チオフェニルは、R、R及びRで置換されており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシより選択され;
は、アミノスルホニルであり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ及びC3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキルより選択され;
m、n、p及びqは、独立して、1又は2より選択される]で示される新規な化合物及び薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0003】
オートタキシン(ATX)は、リゾホスファチジルコリン(LPC)を生物活性シグナル伝達分子リゾホスファチジン酸(LPA)に変換するために重要な、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ2又はリゾホスホリパーゼDとも呼ばれる分泌酵素である。血漿LPAレベルは、ATX活性とよく相関することが示されているので、ATXは、細胞外LPAの重要な源であると考えられている。プロトタイプATX阻害剤を用いた初期実験では、かかる化合物がマウス血漿においてLPA合成活性を阻害できることが示されている。1970年代及び1980年代初頭に行われた研究では、LPAが、平滑筋細胞の収縮、血小板の活性化、細胞の増殖、走化性などを含む広範な細胞応答を誘発できることが実証されている。LPAは、幾つかのGタンパク質共役型受容体(GPCR)に対するシグナル伝達を介してその作用を媒介し;最初のメンバーは、以前はEdg(内皮細胞分化遺伝子)受容体又は脳室帯遺伝子−1(vzg−1)という名称であったが、現在は、LPA受容体と呼ばれている。プロトタイプ群は、現在では、LPA1/Edg−2/VZG−1、LPA2/Edg−4、及びLPA3/Edg−7から構成されている。近年、プロトタイプのLPA1〜3受容体よりもヌクレオチド選択性プリン受容体により近縁である3つのさらなるLPA受容体LPA4/p2y9/GPR23、LPA5/GPR92、及びLPA6/p2Y5が報告されている。ATX−LPAシグナル伝達軸は、例えば、神経系の機能、血管発生、心血管生理機能、生殖、免疫系の機能、慢性炎症、腫瘍の転移及び進行、臓器線維症、ならびに肥満及び/又は真性糖尿病のような他の代謝性疾患を含む、広範囲にわたる生理学的及び病態生理学的な機能に関与している。したがって、ATXの活性増大及び/又はLPAのレベル増大、LPA受容体の発現の変化、及びLPAに対する応答の変化は、ATX/LPA軸に関する多くの異なる病態生理学的疾患の発症、進行、及び/又は転帰の一因となり得る。
【0004】
炭酸脱水酵素(CA)は、二酸化炭素と水と炭酸水素塩とプロトンとの平衡を触媒する亜鉛依存性酵素のファミリーである。CA反応は、多くの生理学的及び病理学的過程に関与する。炭酸脱水酵素阻害は、眼の病態、血流の減少の病態、癌、浮腫、及び細菌感染を含む炎症性病態の処置に有用である。
【0005】
二重作用性ATX/CA阻害剤は、毛様体におけるCA阻害を介する眼房水(AH)産生の阻害及びAH排液系内のATX阻害によるAH流出の促進のような、2つの独立した経路を促進することにより眼圧を下げることが期待される。糖尿病性網膜症、加齢性黄斑疾患又は網膜静脈閉塞のような眼の血管漏出の病態において、CAレベルが目立つようになっているか、又は眼のCAレベルが増加し、pHの上昇を促進すると予想される。これは、ATXを含む疾患進行の一因となる可能性がある多くの加水分解酵素を活性化することが予想され、このことがpHを最適にシフトさせることよるさらなるATX阻害を示唆している。
【0006】
本発明によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、オートタキシンの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物活性に関連する疾患、障害、又は病態の治療又は予防のために用いることができる。
【0007】
本明細書における式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、オートタキシン活性及び炭酸脱水酵素活性を阻害し、ひいてはLPA産生を阻害し、そしてLPAレベル及び関係するシグナル伝達を調節する。本明細書に記載される二重ATX/CA−II阻害剤は、ATX活性及び/又はLPAシグナル伝達が関与するか、疾患の病因又は病理に関与しているか、あるいは他の点で疾患の少なくとも一つの症状に関係している、疾患又は病態の治療又は予防のための薬剤として有用である。ATX−LPA軸は、例えば、血管形成、慢性炎症、自己免疫疾患、線維性疾患、癌及び腫瘍の転移及び進行、眼病態、肥満及び/又は真性糖尿病のような代謝性病態、胆汁うっ滞性又は他の形態の慢性掻痒症のような病態、ならびに急性及び慢性の臓器移植拒絶に関係づけられてきた。
【0008】
本発明の目的は、式(I)の化合物ならびにその前述の塩及びエステルと、治療活性物質としてのそれらの使用と、該化合物、中間体、医薬組成物、該化合物を含有する医薬、その薬学的に許容し得る塩又はエステルの製造方法と、ATXの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物活性に関連する障害又は病態の治療又は予防のための、特に、炎症性病態、神経系の病態、呼吸器系の病態、血管及び心血管の病態、線維性疾患、癌、眼の病態、代謝性病態、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、及び急性及び慢性の臓器移植拒絶の治療又は予防における該化合物、塩、又はエステルの使用と、ならびに、炎症性病態、神経系の病態、呼吸器系の病態、血管及び心血管の病態、線維性疾患、癌、眼の病態、代謝性病態、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、及び急性及び慢性の臓器移植拒絶の治療又は予防用の医薬の製造のための該化合物、塩、又はエステルの使用とである。より特に、式(I)の化合物ならびにその前述の塩及びエステルと、それらの治療活性物質としての使用と、該化合物、中間体、医薬組成物、該化合物を含有する医薬、その薬学的に許容し得る塩又はエステルの製造方法と、眼の病態、さらに特に緑内障の治療又は予防のための該化合物、塩、又はエステルの使用とである。
【0009】
用語「C1−6−アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、C1−6−アルキル基である)の基を示す。C1−6−アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、及びtert−ブトキシが挙げられる。特定の例はメトキシである。
【0010】
用語「C2−6−アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の一価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。特定の例はエチレニルである。
【0011】
用語「C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル」は、C1−6−アルキル基の水素原子の少なくとも1個がC1−6−アルコキシ基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。特定の例は、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、イソプロポキシメチル及びイソプロポキシエチルである。
【0012】
用語「C1−6−アルキル」は、1〜6個の炭素原子の一価の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を示す。C1−6−アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル及びペンチルが挙げられる。特定のアルキル基には、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチルおよびsec−ブチルが含まれる。
【0013】
用語「C1−6−アルキルアミノ」は、式−NH−R’(式中、R’は、C1−6−アルキル基である)の基を示す。特定のC1−6−アルキルアミノは、式−NH−R’(式中、R’は、tert−ブチルである)の基である。
【0014】
用語「C1−6−アルキルカルボニルアミノ」は、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、C1−6−アルキル基である)の基を示す。特定のC1−6−アルキルカルボニルアミノは、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、tert−ブチルである)の基である。
【0015】
用語「C1−6−アルキルテトラゾリル」は、1個のC1−6−アルキル基で置換されているテトラゾリル基を示す。特定のC1−6−アルキルテトラゾリルは、メチルテトラゾリルである。
【0016】
用語「C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル」は、C1−6−アルキル基の水素原子の1個がC1−6−アルキルテトラゾリル基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。特定の例は、メチルテトラゾリルメチルである。
【0017】
用語「C2−6−アルキニル」は、少なくとも1個の三重結合を有する2〜6個の炭素原子の一価の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を示す。
【0018】
用語「アミノ」は、−NH基を示す。
【0019】
用語「アミノスルホニル」は、−S(O)−NH基を示す。
【0020】
用語「シアノ」は、−C≡N基を示す。
【0021】
用語「C3−8−シクロアルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、C3−8−シクロアルキルである)の基を示す。
【0022】
用語「C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がC3−8−シクロアルコキシ基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。
【0023】
用語「C3−8−シクロアルキル」は、3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式又は二環式炭化水素基を示す。二環式とは、2個の炭素原子を共有する2個の飽和炭素環からなる環系を意味する。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。二環式C3−8−シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル又はビシクロ[2.2.2]オクタニルである。特定のC3−8−シクロアルキル基は、シクロプロピルである。
【0024】
用語「C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がC3−8−シクロアルキル基で置き換えられているC1−6−アルコキシ基を示す。
【0025】
用語「C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がC3−8−シクロアルキル基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。
【0026】
用語「C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ」は、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、C3−8−シクロアルキル基である)の基を示す。
【0027】
用語「ハロ−C1−6−アルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子の少なくとも1個が同じ又は異なるハロゲン原子で置き換えられているC1−6−アルコキシ基を示す。特定の例は、トリフルオロメトキシである。
【0028】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、本明細書において互換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを示す。特定のハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
【0029】
用語「ハロ−C1−6−アルキル」は、C1−6−アルキル基の水素原子の少なくとも1個が同じ又は異なるハロゲン原子で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。特定の例は、トリフルオロメチルである。
【0030】
用語「ヘテロシクロアルキルは、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4〜9個の環原子の一価の飽和又は部分不飽和の単環式又は二環式環系を示す。二環式とは、2個の環原子を共有する2個の環からなること、すなわち、2個の環を分離している架橋は、単結合、又は1個もしくは2個の環原子の鎖のいずれかであることを意味する。単環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、4,5−ジヒドロ−オキサゾリル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、3−オキサ−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3−チア−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル、又はジヒドロピラニルである。ヘテロシクロアルキル基の特定の例は、テトラヒドロピラニルである。
【0031】
用語「ヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシ」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がヘテロシクロアルキル基で置き換えられているC1−6−アルコキシ基を示す。ヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシの特定の例は、テトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシ、より特に、テトラヒドロピラニルメトキシである。
【0032】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を示す。
【0033】
用語「ヒドロキシ−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の1個がヒドロキシ基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。特定の例は、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルである。
【0034】
用語「フェノキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、フェニル基である)の基を示す。
【0035】
用語「フェノキシ−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の1個がフェノキシ基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。
【0036】
用語「フェニル−C2−6−アルケニル」は、アルキル基の水素原子の1個がフェニル基で置き換えられているC2−6−アルケニル基を示す。フェニル−C2−6−アルケニルの特定の例は、フェニルエテニルである。
【0037】
用語「フェニル−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の1個がフェニル基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。フェニル−C1−6−アルキルの特定の例は、フェニルメチル及びフェニルエチルである。
【0038】
用語「フェニル−C2−6−アルキニル」は、アルキル基の水素原子の1個がフェニル基で置き換えられているC2−6−アルキニル基を示す。
【0039】
用語「ピリジニル−C2−6−アルケニル」は、アルキル基の水素原子の1個がピリジニル基で置き換えられているC2−6−アルケニル基を示す。
【0040】
用語「ピリジニル−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の1個がピリジニル基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。ピリジニル−C1−6−アルキルの特定の例は、ピリジニルメチル、より特に2−ピリジニルメチルである。
【0041】
用語「ピリジニル−C2−6−アルキニル」は、アルキル基の水素原子の1個がピリジニル基で置き換えられているC2−6−アルキニル基を示す。
【0042】
用語「チオフェニル−C2−6−アルケニル」は、アルキル基の水素原子の1個がチオフェニル基で置き換えられているC2−6−アルケニル基を示す。
【0043】
用語「チオフェニル−C1−6−アルキル」は、アルキル基の水素原子の1個がチオフェニル基で置き換えられているC1−6−アルキル基を示す。
【0044】
用語「チオフェニル−C2−6−アルキニル」は、アルキル基の水素原子の1個がチオフェニル基で置き換えられているC2−6−アルキニル基を示す。
【0045】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にも又は他の点でも望ましくないものではない塩を指す。塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸(特に、塩酸)、及び、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの有機酸を用いて形成される。加えて、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を付加させることにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩には、非限定的に、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩などが含まれる。有機塩基から誘導される塩には、非限定的に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などのような、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然置換アミンのような置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容し得る塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、及びクエン酸塩である。
【0046】
「薬学的に許容し得るエステル」とは、一般式(I)の化合物が、官能基で誘導体化されて、インビボで親化合物に変換して戻ることができる誘導体を提供し得ることを意味する。かかる化合物の例には、生理学的に許容し得る、かつ代謝的に不安定なエステル誘導体、例えば、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル、及びピバロイルオキシメチルエステルが含まれる。加えて、インビボで一般式(I)の親化合物を生成することができる代謝的に不安定なエステルと類似する、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容し得る等価体も本発明の範囲内である。
【0047】
用語「保護基」(PG)は、合成化学において慣用的にそれと関連する意味で、化学反応を別の保護されていない反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物中の反応部位を選択的にブロックする基を示す。保護基は、適切な時点で除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、及びベンジル(Bn)基である。さらに特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基である。より特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基である。
【0048】
略語uMとは、マイクロモルを意味し、そして記号μMに相当する。
【0049】
略語uLとは、マイクロリットルを意味し、そして記号μLに相当する。
【0050】
略語ugとは、マイクログラムを意味し、そして記号μgに相当する。
【0051】
式(I)の化合物は、いくつかの不斉中心を含有することができ、そして光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体のようなエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセミ体、又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0052】
Cahn-Ingold-Prelog 順位則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置をとることができる。
【0053】
また本発明の一実施態様は、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物及びその薬学的に許容し得る塩又はエステル、特に、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物及びその薬学的に許容し得る塩、より特に、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0054】
本発明の別の実施態様は、
が、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル又は置換チオフェニル−C2−6−アルキニルであり、ここで、置換フェニル、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換フェニル−C2−6−アルキニル、置換ピリジニル、置換ピリジニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル−C2−6−アルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニル−C1−6−アルキル、置換チオフェニル−C2−6−アルケニル及び置換チオフェニル−C2−6−アルキニルは、R、R及びRで置換されており;
Yが、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wが、−C(O)−、−S(O)−又は−CR−であり;
が、置換フェニル、置換ピリジニル又は置換チオフェニルであり、ここで、置換フェニル、置換ピリジニル及び置換チオフェニルは、R、R及びRで置換されており;
が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシであり;
及びRが、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C3−8−シクロアルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はヘテロシクロアルキル−C1−6−アルコキシより選択され;
が、アミノスルホニルであり;
及びRが、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルコキシ−C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルコキシ、ハロ−C1−6−アルキル、ヒドロキシ−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−6−アルコキシ、C3−8−シクロアルコキシ及びC3−8−シクロアルコキシ−C1−6−アルキルより選択され;
m、n、p及びqが、独立して、1又は2より選択される、
本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物及び薬学的に許容し得る塩である。
【0055】
本発明の別の実施態様は、
が、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されており;
Yが、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wが、−C(O)−であり;
が、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、ここで、置換フェニル及び置換ピリジニルは、R、R及びRで置換されており;
が、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルアミノ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシであり;
が、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルであり;
が、Hであり;
が、アミノスルホニルであり;
及びRが、独立して、H又はハロゲンより選択され;
m及びqが、1であり;
n及びpが、独立して、1又は2より選択される、
本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物及び薬学的に許容し得る塩である。
【0056】
本発明の特定の実施態様は、Rが、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換キノリニル−C1−6−アルキル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されている、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0057】
本発明の特定の実施態様は、Rが、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されている、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0058】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0059】
本発明の特定の実施態様は、Yが、−OC(O)−である、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0060】
本発明の特定の実施態様は、Rが、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、ここで、置換フェニル及び置換ピリジニルは、R、R及びRで置換されている、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0061】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、R、R及びRで置換されているフェニルである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0062】
本発明の特定の実施態様は、Rが、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル、C1−6−アルキルピペリジニル−C1−6−アルコキシ又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0063】
本発明の特定の実施態様は、Rが、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0064】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、C1−6−アルキルカルボニルアミノである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0065】
本発明の特定の実施態様は、Rが、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0066】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、ハロ−C1−6−アルキルである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0067】
本発明の特定の実施態様は、Rが、Hである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0068】
本発明の特定の実施態様は、R及びRが、独立して、H又はハロゲンより選択される、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0069】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、ハロゲンである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0070】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rが、Hである、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0071】
本発明の特定の実施態様は、m及びqが、1であり、そしてn及びpが、独立して、1又は2より選択される、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0072】
本発明のさらなる特定の実施態様は、m、n、p及びqが、1である、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0073】
本発明のより特定の実施態様は、
が、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルであり;
Yが、−OC(O)−であり;
Wが、−C(O)−であり;
が、R、R及びRで置換されているフェニルであり;
が、C1−6−アルキルカルボニルアミノであり;
が、ハロ−C1−6−アルキルであり;
が、Hであり;
が、ハロゲンであり;
が、Hであり;
m、n、p及びqが、1である、
本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物及び薬学的に許容し得る塩である。
【0074】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載されるとおりの式I(a):
【化2】

[式中、
は、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル又は置換ピリジニル−C1−6−アルキルであり、ここで、置換フェニル−C1−6−アルキル、置換フェノキシ−C1−6−アルキル、置換フェニル−C2−6−アルケニル、置換ピリジニル及び置換ピリジニル−C1−6−アルキルは、R、R及びRで置換されており;
Yは、−OC(O)−又は−C(O)−であり;
Wは、−C(O)−であり;
は、ハロ−C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、C1−6−アルキルテトラゾリル−C1−6−アルキル又はテトラヒドロピラニル−C1−6−アルコキシであり;
は、H、シアノ、ハロゲン、C1−6−アルキル、ハロ−C1−6−アルキル又はC3−8−シクロアルキルであり;
は、Hであり;
及びRは、独立して、H又はハロゲンより選択され;
m及びqは、1であり;
n及びpは、独立して、1又は2より選択される]で示される化合物及び薬学的に許容し得る塩である。
【0075】
本発明のさらなる特定の実施態様は、本明細書に記載されるとおりの式I(b):
【化3】

[式中、
は、R、R及びRで置換されているピリジニル−C1−6−アルキルであり;
Yは、−OC(O)−であり;
Wは、−C(O)−であり;
は、C1−6−アルキルカルボニルアミノであり;
は、ハロ−C1−6−アルキルであり;
は、Hであり;
は、ハロゲンであり;
は、Hであり;
m、n、p及びqは、1である]で示される化合物及び薬学的に許容し得る塩である。
【0076】
本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物の特定の例は、下記:
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−クロロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル 5−(4−スルファモイルベンゾイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート;
6−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
4−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−(5−(3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノイル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[6−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−シアノ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,5−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 6−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−2,6−ナフチリジン−2−カルボキシラート;
[5−クロロ−4−シアノ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)フェニル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 6−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,5,7,8−ヘキサヒドロ−2,6−ナフチリジン−2−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−[2−[(E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ−2−エノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
6−[2−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
6−[2−[(E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ−2−エノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
6−[2−[2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]アセチル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]アセチル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
4−[2−[3−[4−シアノ−2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド;
4−[2−[3−[4−クロロ−2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]−3−フルオロベンゼンスルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[3−[2−[(4−メチルトリアゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
3−フルオロ−4−[2−[3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド
より選択されるもの及びその薬学的に許容され得る塩である。
【0077】
また本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物の特定の例は、下記:
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5,6−ジクロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,6−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
4−[5−[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−2,3−ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
4−[5−[2−シクロプロピル−6−[(1−メチルピペリジン−4−イル)メトキシ]ピリジン−4−カルボニル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−2,3−ジフルオロベンゼンスルホンアミド;
[5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
3−フルオロ−4−[2−[3−[3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド;
5−フルオロ−6−[2−[3−[2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)キノリン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 5−(2−フルオロ−4−スルファモイルフェニル)スルホニル−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボキシラート
より選択されるもの及びその薬学的に許容され得る塩である。
【0078】
本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物のさらなる特定の例は、下記:
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−クロロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(3−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート;
[5−クロロ−3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ピリジン−2−イル]メチル 2−(2,3−ジフルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート
より選択されるもの及びその薬学的に許容され得る塩である。
【0079】
本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物の製造方法は、本発明の目的である。
【0080】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施され得る。本発明の合成は、以下の一般スキームに示される。本反応及び得られた生成物の精製を実施するために必要な技能は、当業者には公知である。エナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物が反応の間に生成される場合、これらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、本明細書において記載される方法又は当業者に公知の方法、例えば(キラル)クロマトグラフィー又は結晶化によって分離することができる。以下の方法の記載に使用される置換基及び指数は、本明細書において示される意味を有する。
【0081】
一般式(I)の化合物は、1:
【化4】

で示されるアミン前駆体及び適切な試薬から、当技術分野で周知の方法を使用して合成することができる。
【0082】
例えば、アミン1を、式R−COOH(2)の適切なカルボン酸と反応させて、式(I)(式中、Yは、−C(O)−である)の化合物を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート)の存在下、非プロトン溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物)中、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下、実施される。
【0083】
アミン1はまた、式R−COCl(3)の塩化アシルのような適切なアシル化試薬と反応させて、式(I)(式中、Yは、−C(O)−である)の化合物を導くことができる。該反応は、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はN,N−ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下、0℃〜80℃の温度で、実施される。
【0084】
代替的に、アミン1を、式R−O−C(O)−Cl(4)の適切なクロロギ酸エステルと、又は式(5):
【化5】

で示されるイミダゾール−1−カルボキシラートエステルと反応させて、式(I)(式中、Yは、−OC(O)−である)の化合物を導く。
【0085】
該反応は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はそれらの混合物)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下、0℃〜溶媒又は溶媒混合物の沸点の温度で、実施される。
【0086】
クロロギ酸エステル4は、市販されているか、又は文献に記載されているように、式R−OHの対応するアルコールから、ホスゲン又はホスゲン同等物(例えば、ジホスゲン、トリホスゲン)との反応によって合成することができる。
【0087】
イミダゾール−1−カルボキシラートエステル5は、式R−OHの対応するアルコールから、1,1’−カルボニルジイミダゾールとの反応により合成される。該反応は、室温で、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はアセトニトリル)中、実施される。イミダゾール−1−カルボキシラートエステル5は、典型的には、単離されないが、上記のようにアミン1と直接反応させる。
【0088】
式R−OHのアルコールは、市販されているか、又は本明細書に記載の方法もしくは当技術分野において公知の方法により生成されることができる。
【0089】
カルボン酸(2)及びアシルハライド(3)は、市販されているか、又は本明細書もしくは文献に記載のように調製することができる。
【0090】
一般式1のアミンは、6:
【化6】

で示される適切に保護された前駆体から合成される。
【0091】
適切な保護基(PG)は、tert−ブトキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルである。中間体6の脱保護は、当技術分野で公知の方法及び試薬を用いて実施することができる。
【0092】
例えば、PGがベンジルオキシカルボニルである場合、脱保護は、適切な触媒(例えば、活性炭担持パラジウム)の存在下、20℃〜150℃の温度で、溶媒(例えば、メタノール又はエタノール)中、1bar〜100barの圧力での水素化によって実施され得る。
【0093】
代替的に、PGがtert−ブトキシカルボニルである場合、脱保護は、適当な酸(例えば、塩酸又はトリフルオロ酢酸)の存在下、溶媒(例えば、水、2−プロパノール、ジクロロメタン、又は1,4−ジオキサン)中、0℃〜30℃の温度で実施され得る。
【0094】
中間体6は、一般式7:
【化7】

で示されるアミン前駆体から、適切な試薬との反応により、当技術分野において公知の方法を用いて生成することができる。
【0095】
例えば、7は、一般式X−CR−R(8)(式中、Xは、Cl、Br、I、又はOSOCHのような脱離基である)のアルキル化剤と反応させて、6(式中、Wは、−CR−である)を導く。この反応は、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下、0℃〜100℃の温度で実施される。
【0096】
代替的に、式6(式中、Wは、−CR−であり、Rは、水素、アルキル又はシクロアルキルであり、そしてRは、Hである)の化合物のために、アミン7を、還元的アミノ化反応において、一般式R−C(O)−R(9)のアルデヒド又はケトンと反応させて、6を導く。この反応は、適切な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下、溶媒(例えば、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン又はそれらの混合物)中、0℃〜50℃の温度で実施される。
【0097】
代替的に、アミン7を、式R−COOH(10)の適切なカルボン酸と反応させて、式6(式中、Wは、−C(O)−である)の化合物を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート)の存在下、非プロトン溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物)中、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下で、実施される。
【0098】
代替的に、アミン7を、式R−SOC(11)の適切なスルホニルクロリドと反応させて、式6(式中、Wは、−S(O)−である)の化合物を導く。該反応は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はそれらの混合物)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下、0℃〜溶媒又は溶媒混合物の沸点の温度で実施される。
【0099】
アミン7、アルキル化剤8、アルデヒド/ケトン9、カルボン酸10、及びスルホニルクロリド11は、市販されているか、又は本明細書もしくは文献に記載されているように合成することができる。
【0100】
式(I)の化合物は、一般式12:
【化8】

で示されるアミン前駆体から、適切な試薬との反応により、当技術分野において公知の方法を使用して生成することができる。
【0101】
例えば、式12のアミンは、一般式X−CR−R(8)(式中、Xは、Cl、Br、I、又はOSOCHのような脱離基である)のアルキル化剤と反応させて、式(I)(式中、Wは、−CR−である)の化合物を導く。この反応は、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下、0℃〜100℃の温度で実施される。
【0102】
代替的に、式12のアミンを、還元的アミノ化反応において、一般式R−C(O)−R(9)のアルデヒド又はケトンと反応させて、式(I)(式中、Wは、−CR−であり、Rは、水素、アルキル又はシクロアルキルであり、そしてRは、Hである)の化合物を導く。この反応は、適切な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下、溶媒(例えば、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン又はそれらの混合物)中、0℃〜50℃の温度で実施される。
【0103】
代替的に、アミン12を、式R−COOH(10)の適切なカルボン酸と反応させて、式(I)(式中、Wは、−C(O)−である)の化合物を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート)の存在下、非プロトン溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物)中、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下で、実施される。
【0104】
代替的に、アミン12を、式R−SOCl(11)の適切なスルホニルクロリドと反応させて、(I)(式中、Wは、−S(O)−である)を導く。該反応は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はそれらの混合物)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下、0℃〜溶媒又は溶媒混合物の沸点の温度で、実施される。
【0105】
アミン12は、式13:
【化9】

で示されるtert−ブチルカルバマート誘導体から、カルバマート脱保護により合成されることができる。該脱保護は、適切な酸(例えば、塩酸又はトリフルオロ酢酸)の存在下、溶媒(例えば、水、2−プロパノール、ジクロロメタン、又は1,4−ジオキサン)中、0℃〜30℃の温度で実施され得る。
【0106】
tert−ブチルカルバマート13は、式14:
【化10】

で示されるアミン前駆体及び適切な試薬から、当技術分野において周知の方法を使用して合成されることができる。
【0107】
例えば、アミン14を、式R−COOH(2)の適切なカルボン酸と反応させて、式13(式中、Yは、−C(O)−である)の化合物を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート)の存在下、非プロトン溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物)中、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下で実施される。
【0108】
アミン14をまた、式R−COCl(3)の塩化アシルのような適切なアシル化試薬と反応させて、式13(式中、Yは、−C(O)−である)の化合物を提供することができる。該反応は、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はN,N−ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下、0℃〜80℃の温度で実施される。
【0109】
代替的に、アミン14を、式R−O−C(O)−Cl(4)の適切なクロロギ酸エステルと、又は式5のイミダゾール−1−カルボキシラートエステルと反応させて、式13(式中、Yは、−OC(O)−である)の化合物を導く。該反応は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はそれらの混合物)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下、0℃〜溶媒又は溶媒混合物の沸点の温度で、実施される。
【0110】
代替的に、アミン14を、塩基(例えば、ピリジン)の存在下、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、−78℃〜+20℃の温度で、ホスゲン又はホスゲン同等物(例えば、トリホスゲン)と反応させて、14A:
【化11】

で示される対応するN−クロロカルボニルアミンとすることができる。次にN−クロロカルボニルアミン14Aを、式R−OHのアルコールと反応させて、式13(式中、Yは、−OC(O)−である)の化合物を導く。この反応は、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル又はジクロロメタン)中、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、ピリジン又はポリスチレン−結合2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン)の存在下、20℃〜溶媒の沸点の温度で、実施される。
【0111】
式14のアミンは市販されているか、又は本明細書もしくは文献に記載されているように生成することができる。
【0112】
また、本発明の実施態様は、先で定義された式(I)で示される化合物を調製する方法であって、式(III)で示される化合物の存在下、式(II)で示される化合物の反応を含む、方法:
【化12】

[式中、R、R、m、n、p、及びqは、上記で定義されたとおりであり、そしてWは、−C(O)−である]である。
【0113】
特に、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート、特にO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート)の存在下、非プロトン溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン及びそれらの混合物、特にN,N−ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下、特に4−メチルモルホリンの存在下、−78℃〜還流温度、特に−10℃〜室温を含む温度で実施される。
【0114】
また、本発明の目的は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0115】
同様に、本発明の目的は、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物と治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物である。
【0116】
本発明の特定の実施態様は、眼の病態、特に緑内障の治療又は予防のための、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物である。
【0117】
本発明はまた、眼の病態、特に緑内障の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0118】
また本発明の目的は、眼の病態、特に緑内障の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるとおりの式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0119】
炎症状態には、非限定的に、関節炎、変形性関節症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、異常排せつ障害など、及び炎症性気道疾患(例えば、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は慢性気管支喘息)が含まれる。
【0120】
呼吸器系のさらなる病態には、非限定的に、医原性薬物誘発線維症、職業及び/又は環境誘発線維症、全身性疾患及び血管炎、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原病性血管疾患、肺胞蛋白症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、リンパ管平滑筋腫症、遺伝性疾患(ヘルマンスキー−パドラック(Hermansky-Pudlak)症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積障害、家族性間質性肺疾患)、放射線誘発線維症、珪肺症、アスベスト誘発肺線維症、又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む、種々の病因の他のびまん性実質性肺疾患が含まれる。
【0121】
神経系の病態には、非限定的に、神経障害性疼痛、統合失調症、神経炎症(例えば、アストログリア増殖症)、末梢性及び/又は自律神経(糖尿病性)神経症などが含まれる。
【0122】
血管病態には、非限定的に、アテローム性動脈硬化、血栓性血管疾患ならびに血栓性微小血管症、増殖性動脈症(例えば、粘液性細胞外マトリックス及び結節性肥厚によって囲まれた腫脹した血管内膜平滑筋細胞(myointimal cell))、アテローム性動脈硬化、減少した血管コンプライアンス(例えば、硬化度、減少した心室コンプライアンス、及び減少した血管コンプライアンス)、内皮機能不全などが含まれる。
【0123】
心血管病態には、非限定的に、急性冠動脈症候群、冠動脈心疾患、心筋梗塞、動脈及び肺高血圧、心不整脈(例えば、心房細動)、脳卒中、及び他の血管損傷が含まれる。
【0124】
線維性疾患には、非限定的に、心筋線維症及び脈管線維症、肺線維症、皮膚線維症、強皮症、及び被包性腹膜炎が含まれる。
【0125】
癌及び癌の転移には、非限定的に、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、中皮腫、神経膠腫、胃腸癌及びそれらの進行及び転移性の攻撃性が含まれる。
【0126】
眼病態には、非限定的に、増殖性及び非増殖性(糖尿病性)網膜症、ドライ型(萎縮型)及びウエット型(滲出型)加齢黄斑変性(AMD)、黄斑浮腫、中枢動脈/静脈閉塞症、外傷性傷害、緑内障などが含まれる。特に、眼病態は緑内障である。
【0127】
代謝病態には、非限定的に、肥満及び糖尿病が含まれる。
【0128】
また本発明の実施態様は、記載された方法のいずれか一つに従って製造される、本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物である。
【0129】
アッセイ手順
HISタグを含む及び含まない、ヒトの全長ATXの生成
オートタキシン(ATX−ENPP2)のクローニング: cDNAを市販のヒト造血細胞全RNAから調製し、オーバーラップPCRにおけるテンプレートとして使用して、3’−6×Hisタグを含む又は含まない、全長ヒトENPP2 ORFを生成した。これらの全長インサートを、pcDNA3.1V5-His TOPO(Invitrogen)ベクター内にクローン化した。いくつかの単一クローンのDNA配列を検証した。タンパク質発現の検証のために、正確な完全長クローンからのDNAを使用してHek293細胞をトランスフェクトした。コード化ENPP2の配列は、追加のC−末端に6×Hisタグを含む又は含まないSwissprot entry Q13822に一致する。
【0130】
ATX発酵: 組換えタンパク質を、20Lの制御撹拌タンクバイオリアクタ(Sartorius)中で大規模一過性トランスフェクションにより生成した。細胞増殖及びトランスフェクション中に、それぞれ、温度:37℃、撹拌速度:120rpm、、pH:7.1、及び溶解酸素濃度:30%DOに維持した。Freestyle 293-F細胞(Invitrogen)を、Freestyle 293培地(Invitrogen)の懸濁液中で培養し、錯化剤としてX-tremeGENE Ro-1539(市販品、Roche Diagnostics)を使用して、およそ1〜1.5×10E6個細胞/mLで、上記プラスミドDNAによりトランスフェクトした。細胞に、濃縮栄養液(J Immunol Methods 194(1996), 19, 1-199 (page 193))を供給し、トランスフェクションの72時間後、酪酸ナトリウム(2mM)により誘導し、トランスフェクションの96時間後に収集した。ウェスタンブロット、酵素アッセイ、及び/又は分析的IMACクロマトグラフィーにより、発現を分析した。フロースルー熱交換器内で細胞懸濁液を4℃に冷却した後、Zeta Plus 60M02 E16(Cuno)及びSartopore 2 XLG(Sartorius)フィルタユニットで濾過することにより、細胞分離及び上清の無菌濾過を実施した。上清を、精製前に4℃で保存した。
【0131】
ATX精製: 最終濃度0.02%になるようにBrij 35を添加し、かつ1M HClを使用してpHを7.0に調整することにより、20リットルの培養上清を限外濾過用にコンディショニングした。次いでまず、前記上清を、0.2μmのUltran-Pilot Open Channel PESフィルタ(Whatman)によりマイクロ濾過し、その後、30kDa MWCOを取り付けたUltran-Pilot Screen Channel PESフィルタ(Whatman)により、1リットルに濃縮した。IMACクロマトグラフィーの前に、最終濃度が1mMになるようにNiSOを加えた。次いで、清澄になった上清を、50mM NaHPO(pH7.0)、0.5M NaCl、10% グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaNで予め平衡化したHisTrapカラム(GE Healthcare)に適用した。該カラムを、20mM、40mM、及び50mM イミダゾールをそれぞれ含有する同じ緩衝液で段階的に洗浄した。その後、15カラム体積中、0.5M イミダゾールへの直線勾配を使用して、タンパク質を溶出した。ATX含有画分をプールし、30kDa PESフィルタ膜を備えるAmiconセルを使用して濃縮した。20mM ビシン(Bicine)(pH8.5)、0.15M NaCl、10% グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaN中でSuperdex S-200 分取グレード(XK 26/100)(GE Healthcare)におけるサイズ排除クロマトグラフィーにより、タンパク質をさらに精製した。精製後のタンパク質の最終収率は、培養上清1リットル当たりATX 5〜10mgであった。タンパク質を、−80℃で保存した。
【0132】
ヒトATX酵素阻害アッセイ
特異的に標識した基質類似体(MR121基質)を使用して蛍光消光アッセイにより、ATX阻害を測定した。このMR121基質を得るために、BOC及びTBSで保護された 6−アミノ−ヘキサン酸(R)−3−({2−[3−(2−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−プロピオニルアミノ]−エトキシ}−ヒドロキシ−ホスホリルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルエステル(Ferguson et al., Org Lett 2006, 8(10), 2023)のエタノールアミン側の遊離アミンを、MR121蛍光体(CAS 185308-24-1、1−(3−カルボキシプロピル)−11−エチル−1,2,3,4,8,9,10,11−オクタヒドロ−ジピロリド[3,2−b:2’,3’−i]フェノキサジン−13−イウム)で標識し、次いで、脱保護の後、アミノヘキサン酸側をトリプトファンで引き続き標識した。
【0133】
アッセイ使用液を、下記の通り調製した:
アッセイ緩衝液(50mMトリス−HCl、140mM NaCl、5mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、0.01% Triton-X-100、pH8.0;
ATX溶液: ATX(ヒト His−タグ付き)原液(20mM ビシン(bicine)、pH8.5、0.15M NaCl、10% グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaN中、1.08mg/mL)を、アッセイ緩衝液中、最終濃度の1.4〜2.5倍に希釈した;
MR121基質溶液: MR121基質原液(DMSO中800μM MR121基質)を、アッセイ緩衝液中、最終濃度の2〜5倍に希釈した。
【0134】
試験化合物(DMSO中10mM 原液、8μL)を、384ウェルのサンプルプレート(Corning Costar #3655)中に得て、DMSO 8μLで希釈した。化合物溶液 8μLを、O列まで次の列に移すことにより、列方向段階希釈を行った。化合物及び対照の溶液を、5回混合し、2μLを、384ウェルアッセイプレート(Corning Costar #3702)に移した。次いで、41.7nM ATX溶液 15μLを添加(最終濃度 30nM)し、5回混合し、次いで、30℃で15分間インキュベートした。MR121基質溶液 10μLを添加(最終濃度 1μM)し、30回混合し、次いで、30℃で15分間インキュベートした。次いで、蛍光を、2分毎に1時間測定した(Perkin Elmerプレート:vision multimode reader;光強度:2.5%;露光時間:1.4秒、フィルタ:Fluo_630/690nm)、そしてIC50値を、これらの読み出し値から算出した。
【0135】
ヒト炭酸脱水酵素II阻害アッセイ
ヒト炭酸脱水酵素II(hCA−II)阻害を、4−ニトロフェニルアセタート(4−NPA)を基質として用いる吸光法によって測定した。4−NPAは、水酸化亜鉛機構を介して活性hCA IIによって触媒されることができる。文献(Armstrong et al., J. Biol. Chem. 1966, 241, 5137-5149)に報告されているように、生成物中のニトロフェノラートをイオン化して、348〜400nmの高い吸光度を有する鮮黄色のアニオンを産生することができる。hCA II基質変換を検出するためにOD 340nmを選択した。
【0136】
アッセイ使用液を、下記の通り調製した:
アッセイ緩衝液: 50mM MOPS、33mM NaSO、1mM EDTA、0.5mg/ml BSA、pH7.5;
酵素溶液: hCA−II(ヒト、完全長)原液(20mM HEPES、50mM NaCl、pH7.4中、1.0mg/mL)を、アッセイ緩衝液中、最終濃度の2133倍に希釈した;
4−NPA基質溶液: 4−NPA基質原液(DMSO中250mM、−20℃で保存)を、脱イオン水中、最終濃度の50倍に希釈した。
【0137】
試験化合物(DMSO中10mM 原液、100μL)を、96ウェルのサンプルプレート(Corning Costar #3655)中に得て、0.5mMに希釈した。化合物溶液20μLを、カラム3からカラム22までの次のカラムに移すことにより、カラム段階希釈を行った。この後、1.2μLを384ウェルアッセイプレート(Corning Costar # 3701)に移した。次いで、16nM hCA II溶液30μLを添加(最終濃度8nM)し、5回混合した。4−NPA基質溶液30μLを添加(最終濃度2.5mM)し、5回混合した。次いで340nmでの吸光度をタイム:0として迅速に測定した。アッセイプレートを室温で1時間インキュベートし、次いでタイム:1時間として測定した(Perkin Elmer EnVision 2103; フィルター:Photometric 340; 光強度60%; フラッシュの数:10)。IC50値及びK値をこれらの読み出し値から算出した。
【0138】
【表1】
【0139】
本明細書に記載されるとおりの式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩又はエステルは、0.00001μM〜1000μMのIC50値を有し、特定の化合物は、0.0005μM〜500μMのIC50値を有し、さらなる特定の化合物は、0.0005μM〜50μMのIC50値を有し、より特定の化合物は、0.0005μM〜5μMのIC50値を有する。これらの結果は、上記酵素アッセイを用いることによって得られた。
【0140】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、医薬(例えば、医薬製剤の剤形で)として用いることができる。医薬製剤は、例えば、経口的に(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、又は懸濁剤の剤形で)、経鼻的に(例えば、スプレー式点鼻薬の剤形で)、経直腸的に(例えば、坐剤の剤形で)、又は眼に局所的に(例えば、液剤、軟膏、ゲル、又は水溶性高分子挿入物の剤形で)、体内投与することができる。しかし、投与はまた、例えば、筋肉内、静脈内、又は眼内(例えば、滅菌注射液剤の剤形で)に、非経口的に行うこともできる。
【0141】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル剤、注射液剤、又は局所製剤の生産のために、薬学的に不活性な無機又は有機補助剤を用いて加工することができる。ラクトース、コーンスターチ又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はそれらの塩などを、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用の補助剤として用いることができる。
【0142】
軟ゼラチンカプセル剤用の適切な補助剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質、及び液体ポリオールなどである。
【0143】
液剤及びシロップ剤の製造のための適切な補助剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコースなどである。
【0144】
注射液剤用の適切な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0145】
坐剤用の適切な補助剤は、例えば、天然油又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体のポリオールなどである。
【0146】
局所的眼用製剤用の適切な補助剤は、例えば、シクロデキストリン、マンニトール、又は、当技術分野において公知の多くの他の担体及び賦形剤である。
【0147】
さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、増粘物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有することができる。医薬製剤はまた、治療的に有用なさらに他の物質を含有することができる。
【0148】
用量は、広い限度範囲で変動することができ、そして、当然、各具体的な症例における個々の要件に適合するものとなる。一般に、経口投与の場合、好ましくは1〜3回の個別用量(例えば、同量からなることができる)に分割された、体重1kg当たり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kg当たり約0.5mg〜4mg(例えば、約300mg/人)の日用量が適切であるはずである。局所投与の場合には、製剤は、0.001重量%〜15重量%の医薬を含有することができ、必要用量(これは0.1〜25mgの間であることができる)は、一日当たりもしくは一週当たりの単回投与か、又は一日当たり複数回(2〜4回)投与もしくは一週当たり複数回投与かのいずれかにより投与することができる。しかし、それが適応であることが示されているとき、本明細書で与えられる上限又は下限を超えることができることは明らかである。
【0149】
本発明を実施例により本明細書の以下に例証するが、これらは限定性を持たない。
【0150】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載されている方法によるか又は当業者に公知の方法(例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化)によって得ることができる。
【実施例】
【0151】
すべての実施例及び中間体は、特に指示しない限り、窒素雰囲気下で調製した。
【0152】
略語: aq.=水溶液;CAS-RN=Chemical Abstracts Service登録番号;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;MS=質量スペクトル;sat.=飽和
【0153】
実施例1
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 2−(4−スルファモイルベンゾイル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート
【化13】

N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の(3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート二塩酸塩(中間体4; 50mg、92.7μmol)、4−メチルモルホリン(46.9mg、464μmol)及び4−スルファモイル安息香酸(CAS-RN 138-41-0; 19.4mg、92.7μmol)の溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(35.3mg、92.7μmol)を加えた。澄明な暗褐色の溶液を室温で18時間撹拌し、次に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチル/2−メチルテトラヒドロフラン 4:1とに分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液 90:10:0.25)により、標記化合物(41mg、74%)を与えた。淡黄色の泡状物、MS:596.2(M+H)
【0154】
以下の実施例を、実施例1と同様にするが、(3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート二塩酸塩(中間体4)を適切なアミンに代え、かつ4−スルファモイル安息香酸を適切なカルボン酸に代えて生成した。
【0155】
【表2】











【0156】
実施例2
[5−クロロ−4−シアノ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)フェニル]メチル 2−(5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート
【化14】

N−(4−クロロ−5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバルアミド(中間体6; 35mg、131μmol)の澄明な無色の溶液に、1,1'−カルボニルジイミダゾール(21.3mg、131μmol)を室温で加えた。90分後、反応混合物を50℃で30分間加熱し、次に室温に冷えるにまかせ、次に6−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ピリジン−3−スルホンアミド二塩酸塩(中間体5.01; 48.2mg、131μmol)及びトリエチルアミン(66.4mg、656μmol)を加えた。反応物を18時間加熱還流し、次に酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液とに分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をジクロロメタン中でトリチュレートし、沈殿物を濾過により回収して、標記化合物(41mg、53%)を与えた。白色の固体、MS:585.2(M−H)
【0157】
以下の実施例を、実施例2と同様にするが、6−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ピリジン−3−スルホンアミド二塩酸塩(中間体5.01)を適切なアミンに代え、かつN−(4−クロロ−5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバルアミド(中間体6)を適切なアルコールに代えて、生成した。
【0158】
【表3】

【0159】
実施例3
3−フルオロ−4−[2−[(E)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパ−2−エノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ベンゼンスルホンアミド
【化15】

N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の3−フルオロ−4−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩(中間体5; 51.9mg、135μmol)、(E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリル酸(CAS-RN 199679-35-1; 31.4mg、135μmol)及び4−メチルモルホリン(68.3mg、675μmol)の澄明な褐色の溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(51.4mg、135μmol)を加え、次に18時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチル/2−メチルテトラヒドロフラン 4:1とに分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を酢酸エチル/ヘプタンと一緒にトリチュレートし、沈殿物を濾過により回収して、標記化合物(45mg、63%)を与えた。白色の固体、MS:524.2(M−H)
【0160】
以下の実施例を、実施例3と同様にするが、3−フルオロ−4−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩(中間体5)を適切なアミンに代え、かつ(E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリル酸(CAS-RN 199679-35-1)を適切なカルボン酸に代えて、生成した。
【0161】
【表4】



【0162】
実施例4
5−フルオロ−6−[2−[3−[2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノイル]−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボニル]ピリジン−3−スルホンアミド
【化16】

トリフルオロ酢酸(199mg、1.75mmol)を、ジクロロメタン(3mL)中のtert−ブチル 5−(3−フルオロ−5−スルファモイルピコリノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(中間体12; 36mg、87.3μmol)の溶液に加えた。反応混合物を40℃で2時間撹拌した。次に混合物を直接蒸発させ、残留物を、N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)及びN−メチルモルホリン(88.3mg、873μmol)、3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸(中間体8; 27.4mg、87.3μmol)及び最後にO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(36.5mg、96μmol)と合わせた。混合物を室温で18時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液90:10:0.25)により標記化合物(34mg、64%)を与えた。白色の固体、MS:609.2(M+H)
【0163】
以下の実施例を、実施例4と同様にするが、tert−ブチル 5−(3−フルオロ−5−スルファモイルピコリノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(中間体12)を適切なカルバミン酸に代え、かつ3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸(中間体8)を適切なカルボン酸に代えて、生成した。
【0164】
【表5】
【0165】
実施例5
[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル 5−(2−フルオロ−4−スルファモイルフェニル)スルホニル−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボキシラート
【化17】

テトラヒドロフラン(2mL)中の(3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート二塩酸塩(中間体4; 60mg、134μmol)及びピリジン(106mg、1.34mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(2mL)中の2−フルオロ−4−スルファモイルベンゼン−1−スルホニルクロリド(CAS-RN 52295-72-4; 72.3mg、240μmol)の溶液を加えた。50℃で48時間の撹拌の後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 酢酸エチル/ヘプタン 1:1〜4:1)により標記化合物(42mg、48%)を与えた。白色の固体、MS:650.2(M+H)
【0166】
中間体
中間体1
4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩
【0167】
工程1: 2−tert−ブチル 5−(4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシラート
アセトニトリル(10mL)中の[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メタノール(CAS-RN 1736-74-9; 233mg、1.21mmol)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(197mg、1.21mmol)を加えた。反応物を50℃で3時間加熱し、次にトリエチルアミン(736mg、7.28mmol)及びtert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩(CAS-RN 1208929-16-1; 315mg、1.21mmol)を加え、反応混合物をさらに15時間加熱還流した。冷やした後、反応混合物を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液とに分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液95:5:0.25%)により、標記化合物(458mg、88%)を与えた。褐色の半固体、MS:446.1(M+NH
【0168】
工程2: 4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩
2−プロパノール(3mL)中の2−tert−ブチル 5−(4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル)4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシラート(452mg、1.06mmol)の褐色の溶液に、塩酸溶液(2−プロパノール中5〜6M 、5.91mL、29.5mmol)を加えた。該溶液を16時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をtert−ブチル メチルエーテル中でトリチュレートとし、沈殿物を濾過により回収して、標記化合物(350mg、91%)を生成した。淡褐色の固体、MS:329.1(M+H)
【0169】
中間体2
[2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−イル]−(2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−イル)メタノン
【0170】
工程1: tert−ブチル 5−(6−シクロプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−カルボニル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中のtert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩(CAS-RN 1208929-16-1; 300mg、1.16mmol)の溶液に、4−メチルモルホリン(584mg、5.78mmol)、6−シクロプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−カルボン酸(CAS-RN 150190-28-6; 218mg、1.16mmol)及びO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(483mg、1.27mmol)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル、勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液90:10:0.25)により標記化合物(390mg、86%)を生成した。白色の泡状物、MS:372.2(M+H)
【0171】
工程2: tert−ブチル 5−(2−シクロプロピル−6−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メトキシ)イソニコチノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
アセトニトリル(8mL)中のtert−ブチル 5−(6−シクロプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−カルボニル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(385mg、985μmol)、炭酸カリウム(272mg、1.97mmol)及び4−(ヨードメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン(459mg、1.97mmol)の混合物を、90℃で48時間加熱し、次に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液95:5:0.25)に付して標記化合物(390mg、84%)を生成した。白色の泡状物、MS:470.3(M+H)
【0172】
工程3: [2−シクロプロピル−6−(オキサン−4−イルメトキシ)ピリジン−4−イル]−(2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−イル)メタノン
トリフルオロ酢酸(1.41g、12.3mmol)を、ジクロロメタン(8mL)中のtert−ブチル 5−(2−シクロプロピル−6−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メトキシ)イソニコチノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(386mg、822μmol)の溶液に室温で加え、次に5時間後、該溶液を濃縮し、残留物をジクロロメタンと2M 水酸化ナトリウム水溶液とに分配した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて標記化合物(298mg、98%)を生成した。オフホワイトの泡状物、MS:370.2(M+H)
【0173】
中間体2.01
[2−シクロプロピル−6−[(1−メチルピペリジン−4−イル)メトキシ]ピリジン−4−イル]−(2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−イル)メタノン
標記化合物を、中間体2と同様にするが、4−(ヨードメチル)テトラヒドロ−2H−ピランを4−(ブロモメチル)−1−メチルピペリジン臭化水素酸(CAS-RN 98338-26-2)に代えて、生成した。黄色の油状物、MS:383.3(M+H)
【0174】
中間体3
3−[2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−イル)プロパン−1−オン
【0175】
工程1: tert−ブチル 5−(3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
標記化合物を、中間体2、工程1と同様にするが、6−シクロプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−カルボン酸を3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸(中間体8)に代えて生成した。淡黄色のガム状物、MS:505.4(M−H)
【0176】
工程2: 3−[2−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−(2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピロール−5−イル)プロパン−1−オン
トリフルオロ酢酸(1.84g、16.1mmol)を、室温で、ジクロロメタン(5mL)中のtert−ブチル 5−(3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(573mg、1.07mmol)の溶液に加え、次に4時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶かし、2M 水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液95:5:0.25〜90:10:0.25)により標記化合物(344mg、79%)を生成した。淡黄色の泡状物、MS:407.2(M+H)
【0177】
中間体4
(3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩
【0178】
工程1: tert−ブチル 5−(クロロカルボニル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
ジクロロメタン(12mL)中のtert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩(CAS-RN 1208929-16-1; 800mg、3.08mmol)及びピリジン(1.34g、16.9mmol)の淡褐色の混合物に、ジクロロメタン(7mL)中のトリホスゲン(411mg、1.39mmol)の溶液を0℃で滴下した。30分後、氷浴を取り外し、次に1時間後、反応混合物を1M 塩酸水溶液とジクロロメタンとに分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、標記化合物(844mg、100%)を与えた。黄色の固体、MS:217.0(M+H−イソブテン)
【0179】
工程2: 2−tert−ブチル 5−((3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル)4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシラート
アセトニトリル(60mL)中のtert−ブチル 5−(クロロカルボニル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(834mg、3.06mmol)の溶液に、N−(2−(ヒドロキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド(中間体14; 650mg、2.35mmol)及びPS−BEMP(CAS-RN 1446424-86-7; 2.58g)を加えた。橙色の懸濁液を加熱還流し、68時間撹拌した。不溶性固体を濾別し、アセトニトリルで洗浄した。PS−トリサミン(CAS-RN 1226492-10-9; 860mg、2.35mmol)を濾液に加え、反応混合物を室温で4時間撹拌し、次に不溶性材料を濾過により除去し、濾液を蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液95:5:0.25)により標記化合物(935mg、78%)を与えた。淡黄色の泡状物、MS:513.2(M+H)
【0180】
工程3: (3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩
2−プロパノール(5mL)中の2−tert−ブチル 5−((3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチル)4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシラート(925mg、1.80mmol)の淡黄色の溶液に、塩酸(2−プロパノール中5〜6M 、10.1mL、50.5mmol)を室温で加え、次に14時間後、該溶液を蒸発させ、残留物をtert−ブチル メチルエーテル中でトリチュレートした。沈殿物を濾過により回収して、標記化合物(762mg、94%)を与えた。淡褐色の固体、MS:411.3(M−H)
【0181】
以下の中間体を、中間体4と同様にするが、tert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩(CAS-RN 1208929-16-1)を適切なアミンに代え、かつN−(2−(ヒドロキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド(中間体14)を適切なアルコールに代えて、生成した。
【0182】
【表6】

【0183】
中間体5
3−フルオロ−4−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩
【0184】
工程1: tert−ブチル 5−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(623mg、1.64mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中のtert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート 塩酸塩(CAS-RN 1208929-16-1; 404mg、1.64mmol)、2−フルオロ−4−スルファモイル安息香酸(CAS-RN 714968-42-0; 359mg、1.64mmol)及び4−メチルモルホリン(828mg、8.19mmol)の溶液に0℃で加えた。10分後、氷浴を取り外し、次に16時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチル/2−メチルテトラヒドロフラン 4:1とに分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 酢酸エチル〜メタノール)により標記化合物(555mg; 82%)を与えた。淡黄色の固体、MS:412.1(M+H)
【0185】
工程2: 3−フルオロ−4−(1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド二塩酸塩
2−プロパノール(4mL)中のtert−ブチル 5−(2−フルオロ−4−スルファモイルベンゾイル)−3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート(570mg、1.39mmol)の溶液に、塩酸溶液(2−プロパノール中5M 〜6M 、6.1mL、30.5mmol)を室温で加え、次に18時間後、反応混合物を減圧下で濃縮して標記化合物(448mg、84%)を生成した。淡赤色の固体、MS:310.1(M−H)
【0186】
以下の中間体を、中間体5と同様にするが、tert−ブチル 3,4,5,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート塩酸塩を適切なアミンに代え、かつ2−フルオロ−4−スルファモイル安息香酸を適切なカルボン酸に代えて、生成した。
【0187】
【表7】
【0188】
中間体6
N−(4−クロロ−5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバルアミド
【0189】
工程1:メチル 4−ブロモ−5−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ベンゾアート
ピリジン(4mL)中のメチル 2−アミノ−4−ブロモ−5−クロロベンゾアート(CAS-RN 1445322-56-4; 311mg、1.06mmol)の褐色の溶液に、塩化ピバロイル(215mg、1.74mmol)を0℃で加えた。20分後、氷浴を取り外した。次に50℃で3時間のさらなる撹拌の後、反応混合物を1M 塩酸水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン/ヘプタン 3:7〜1:1)により標記化合物(279mg、76%)を与えた。白色の固体、MS:350.1(M+H)
【0190】
工程2: メチル 5−クロロ−4−シアノ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ベンゾアート
N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)及び水(50μL)中のメチル 4−ブロモ−5−クロロ−2−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)ベンゾアート(274mg、786μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(CAS-RN 51364-51-3; 7.2mg、7.86μmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(CAS-RN 12150-46-8; 13.1mg、23.6μmol)及びシアン化亜鉛(50.8mg、432μmol)、亜鉛粉末(2.06mg、31.4μmol)及び酢酸亜鉛(5.77mg、31.4μmol)の混合物を、マイクロ波照射下、130℃で20分間加熱した。減圧下での不溶性物質の除去及び濾液の濃縮の後、残留物を50% 炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン〜ジクロロメタン)により標記化合物(213mg、92%)を生成した。淡黄色の固体、295.0(M+H)
【0191】
工程3: N−(4−クロロ−5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバルアミド
テトラヒドロフラン(5mL)中のメチル 5−クロロ−4−シアノ−2−ピバルアミドベンゾアート(204mg、692μmol)の溶液に、エタノール(5mL)中の塩化カルシウム(154mg、1.38mmol)の溶液を加え、次に水素化ホウ素ナトリウム(105mg、2.77mmol)を3回に分け30分間かけて加えた。白色の懸濁液を室温で90分間撹拌し、次に酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン/酢酸エチル 4:1〜1:1)により標記化合物(153mg、83%)を与えた。白色の固体、MS:267.2(M+H)
【0192】
中間体6.01
N−(5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド
標記化合物を、実施例6と同様にするが、メチル 2−アミノ−4−ブロモ−5−クロロベンゾアート(CAS-RN 1445322-56-4)をメチル 3−アミノ−5−ブロモピコリナート(CAS-RN 1072448-08-8)に代えて、生成した。淡黄色の固体、MS:234.2(M+H)
【0193】
中間体7
2,5−ジフルオロ−4−スルファモイル安息香酸
水(25mL)中の2,5−ジフルオロ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(CAS-RN 1204573-30-7; 500mg、2.29mmol)の撹拌している懸濁液に、過マンガン酸カリウム(1.63g、10.3mmol)を還流温度で2時間かけて少しずつ加えた。反応混合物を還流温度でさらに30分間撹拌し、次にそれが冷えるにまかせ、室温でさらに24時間撹拌した。濾過による不溶性材料の除去の後、濾液を37% 塩酸水溶液でpH1に酸性化し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固させて標記化合物(394mg、65%)を与えた。白色の固体、MS:236.0(M−H)
【0194】
以下の中間体を、中間体7と同様にするが、2,5−ジフルオロ−4−メチルベンゼンスルホンアミドを適切な出発物質に代えて生成した。
【0195】
【表8】
【0196】
中間体8
3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸
【0197】
工程1: 2−(2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル)−5−メチル−2H−テトラゾール
アセトン(75mL)中の5−メチル−2H−テトラゾール(CAS-RN 4076-36-2; 1.50g、17.5mmol)、炭酸カリウム(2.42g、17.5mmol)及び1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(CAS-RN 886496-63-5; 5.73g、17.5mmol)の混合物を、1時間加熱還流した。冷やした後、反応混合物を氷水と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン〜酢酸エチル)により標記化合物(2.62g、46%)を生成した。無色の油状物、MS:321.0(M+H)
【0198】
工程2: (E)−エチル 3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)アクリラート
N,N−ジメチルホルムアミド(32mL)中の2−(2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル)−5−メチル−2H−テトラゾール(2.62g、8.16mmol)の無色の溶液に、トリエチルアミン(2.48g、24.5mmol)、エチルアクリラート(990mg、9.79mmol)、酢酸パラジウム(II)(36.6mg、163μmol)及びトリ−o−トリルホスフィン(CAS-RN 6163-58-2; 199mg、653μmol)を加えた。淡黄色の反応混合物を排除し、アルゴンを充填した。120℃で17時間の撹拌の後、混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン〜酢酸エチル)により標記化合物(2.48g、89%)を生成した。白色の固体、MS:341.1(M+H)
【0199】
工程3: エチル 3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパノアート
エタノール(32mL)中の(E)−エチル 3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−アクリラート(2.60g、7.64mmol)の溶液を、水素雰囲気(1bar)下、パラジウム(10% 担持活性炭; 407mg、382μmol)の存在下、撹拌した。18時間後、不溶性材料を、珪藻土による濾過により除去し、濾液を蒸発させて標記化合物(2.30g、88%)を生成した。灰色の油状物、MS:343.1(M+H)
【0200】
工程4: 3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン酸
テトラヒドロフラン(25mL)及び水(25mL)中のエチル 3−(2−((5−メチル−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−プロパノアート(2.3g、6.72mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(564mg、13.4mmol)を加え、得られた混合物を室温で18時間撹拌し、次にテトラヒドロフランを除去するために部分的に蒸発させた。水相を1M 塩酸水溶液でpH1に酸性化し、酢酸エチルで数回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて標記化合物(2.21g、定量)を生成した。淡黄色の油状物、MS:313.2(M−H)
【0201】
以下の中間体を、中間体8と同様にするが、それぞれ、1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(CAS-RN 886496-63-5)を適切なハライドに代え、かつ5−メチル−2H−テトラゾールを適切なアゾールに代えて、生成した。
【0202】
【表9】
【0203】
中間体9
3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸
【0204】
工程1: 2−(アジドメチル)−1−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン
N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中の1−ブロモ−2−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(CAS-RN 886496-63-5; 1.016g、3.20mmol)の澄明な無色の溶液に、アジ化ナトリウム(229mg、3.52mmol)を加えた。反応混合物を120℃で24時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン〜ジクロロメタン)により、標記化合物(520mg; 58%)を与えた。無色の液体、MS:281.0(M+H)
【0205】
工程2: 1−[[2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−4−メチルトリアゾール
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中の2−(アジドメチル)−1−ブロモ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(591mg、2.11mmol,)、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン(222mg、295μL、1.92mmol)、銅(I)ブロミド(41.3mg、288μmol)及びトリエチルアミン(194mg、267μL、1.92mmol)の混合物を、マイクロ波照射下、100℃で30分間加熱した。冷やした後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン/ヘプタン 1:4〜ジクロロメタン、次に〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液 90:10:0.25)により標記化合物(214mg、35%)を生成した。暗褐色の油状物、MS:322.1(M+H)
【0206】
工程3: エチル(E)−3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エノアート
標記化合物を中間体8、工程2と同様にして、1−(2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル)−4−メチル−1H−1,2,3−トリアゾールから生成した。暗褐色の固体、MS:340.2(M+H)
【0207】
工程4: エチル 3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノアート
標記化合物を中間体8、工程3と同様にして、エチル(E)−3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパ−2−エノアートから、メタノールを用い、生成した。褐色の油状物、MS:342.2(M+H)
【0208】
工程5: 3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン酸
標記化合物を中間体8、工程4と同様にして、エチル 3−[2−[(4−メチルトリアゾール−1−イル)メチル]−4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノアートから生成した。白色の固体、MS:314.2(M+H)
【0209】
中間体10
[5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−イル]メタノール
【0210】
工程1: メチル 5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−カルボキシラート
標記化合物を中間体8、工程1と同様にして、メチル 3−(ブロモメチル)−5−クロロ−ピリジン−2−カルボキシラート(CAS-RN 1260667-62-6)から生成した。白色の固体、MS:268.1(M+H)
【0211】
工程2: [5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−イル]メタノール
標記化合物を中間体6、工程3と同様にして、メチル 5−クロロ−3−[(5−メチルテトラゾール−2−イル)メチル]ピリジン−2−カルボキシラートから生成した。オフホワイトの半固体、MS:240.1(M+H)
【0212】
中間体11
3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボン酸
【0213】
工程1: N’−[(6−クロロ−5−フルオロ−3−ピリジル)スルホニル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジン
アセトニトリル(1mL)中の1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチル−メタンアミン(CAS-RN 4637-24-5; 332mg、2.71mmol)の溶液を、6−クロロ−5−フルオロ−ピリジン−3−スルホンアミド(CAS-RN 1803571-80-3; 500mg、2.26mmol)及びアセトニトリル(4mL)の別の撹拌している溶液に滴下した。混合物を室温で1時間撹拌し、次に高真空下で直接蒸発させて標記化合物(600mg、定量)を与えた。白色の固体、MS:266.1(M+H)
【0214】
工程2: エチル 5−[(E)−ジメチルアミノメチレンアミノ]スルホニル−3−フルオロ−ピリジン−2−カルボキシラート
N’−[(6−クロロ−5−フルオロ−3−ピリジル)スルホニル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(150mg、565μmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(CAS-RN 95464-05-4; 55.3mg、67.7μmol)、トリエチルアミン(143mg、1.41mmol)及びエタノール(3mL)の混合物を、一酸化炭素雰囲気(7bar)下で、100℃で撹拌し、次に減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(シリカゲル、勾配 ヘプタン〜ヘプタン/酢酸エチル 1:2)により標記化合物(118mg、62%)を与えた。淡赤色の固体、MS:304.1(M+H)
【0215】
工程2: 3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボン酸
メタノール(2mL)中のエチル 5−[(E)−ジメチルアミノメチレンアミノ]スルホニル−3−フルオロ−ピリジン−2−カルボキシラート(114mg、338μmol)の溶液に、2.5M 水酸化ナトリウム水溶液(2mL、5mmol)を加えた。黄色の溶液を室温で3時間撹拌し、次に1M 塩酸溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて標記化合物(65mg、70%)を与えた。淡褐色の固体、MS:219.1(M−H)
【0216】
中間体12
tert−ブチル 2−(3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボニル)−1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−5−カルボキシラート
標記化合物を中間体5、工程1と同様にするが、2−フルオロ−4−スルファモイル安息香酸(CAS-RN 714968-42-0)を3−フルオロ−5−スルファモイルピリジン−2−カルボン酸(中間体11)に代えて生成した。白色の固体、MS:413.2(M+H)
【0217】
中間体13
5−O−tert−ブチル 2−O−[[3−(2,2−ジメチルプロパノイルアミノ)キノリン−2−イル]メチル]1,3,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5−ジカルボキシラート
標記化合物を中間体4、工程1及び工程2と同様にするが、N−(2−(ヒドロキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド(中間体14)をN−[2−(ヒドロキシメチル)−3−キノリル]−2,2−ジメチル−プロパンアミド(中間体14.06)に代えて生成した。淡黄色の泡状物、MS:495.3(M+H)
【0218】
中間体14
N−(2−(ヒドロキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド
【0219】
工程1: メチル 3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピコリナート
ピリジン(25mL)中のメチル 3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピコリナート(CAS-RN 866775-17-9; 2.00g、8.63mmol)の褐色の溶液に、塩化ピバロイル(2.08g、17.3mmol)を0℃で加えた。20分後、氷浴を取り外した。次に室温で5時間の撹拌の後、反応混合物を1M 塩酸水溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール/25% アンモニア水溶液 100:5:0.25)により標記化合物(2.46g、92%)を与えた。淡黄色の固体、MS:305.1(M+H)
【0220】
工程2: N−(2−(ヒドロキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)ピバルアミド
テトラヒドロフラン(60mL)中のメチル 3−ピバルアミド−5−(トリフルオロメチル)ピコリナート(2.45g、8.05mmol)の澄明な淡黄色の溶液に、エタノール(60mL)中の塩化カルシウム(1.79g、16.1mmol)の溶液を加え、水素化ホウ素ナトリウム(914mg、24.2mmol)を3回に分け30分間かけて加えた。白色の懸濁液を室温で90分間撹拌し、次に酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル; 勾配 ヘプタン/酢酸エチル 4:1〜1:1)により標記化合物(1.97g、89%)を与えた。淡黄色の粘性油状物、MS:277.1(M+H)
【0221】
以下の中間体を、中間体14と同様にするが、メチル 3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピコリナート(CAS-RN 866775-17-9)を適切な出発物質に代えて生成した。
【0222】
【表10】
【0223】
実施例A
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成の錠剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1錠当たり
活性成分 200mg
微晶質セルロース 155mg
トウモロコシデンプン 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0224】
実施例B
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成のカプセル剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1カプセル当たり
活性成分 100.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
乳糖 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg