特許第6877416号(P6877416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6877416-センサドームユニット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877416
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】センサドームユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/66 20060101AFI20210517BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20210517BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20210517BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   H01R13/66
   F16H61/00
   H01R13/52 301H
   H05K5/06 D
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-517735(P2018-517735)
(86)(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公表番号】特表2018-533177(P2018-533177A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2016071372
(87)【国際公開番号】WO2017060040
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年6月6日
【審判番号】不服2020-1678(P2020-1678/J1)
【審判請求日】2020年2月6日
(31)【優先権主張番号】102015219571.6
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トゥーハン ビュユクバス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アルベアト
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ブール
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プラッハ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴィーチョレク
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 平田 信勝
【審判官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−351801(JP,A)
【文献】 特開2002−250430(JP,A)
【文献】 特開2002−190345(JP,A)
【文献】 特開2007−71856(JP,A)
【文献】 特開2009−35053(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0176593(US,A1)
【文献】 特開平8−145149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/66
H01R 13/52
F16H 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサドーム(2)と、特にトランスミッション壁(3’)であるケーシング壁(3)とを有しており、前記センサドーム(2)は、センサ(4)と、該センサ(4)に電気的に接続されたドームコンタクト(6)と、ドームケーシング(7)とを有しており、該ドームケーシング(7)は、前記センサ(4)が配置された第1のドームケーシング部(8)と、前記ドームコンタクト(6)が配置された第2のドームケーシング部(9)とを有している、センサドームユニット(1)であって、
前記ケーシング壁(3)に貫通開口(12)が形成されていて、前記センサドーム(2)が前記ケーシング壁(3)に取り付けられており、前記第1のドームケーシング部(8)の少なくとも外側表面(13)は、前記センサドーム(2)と前記ケーシング壁(3)の壁内面(15)とに隣接する第1の室(14)に面しており、かつ前記ドームコンタクト(6)は、前記センサドーム(2)と前記ケーシング壁(3)の壁外面(17)とに隣接する第2の室(16)に面しており、
当該センサドームユニットは、シール手段(18)を有しており、前記センサドーム(2)と前記シール手段(18)とは、前記ケーシング壁(3)に、前記貫通開口(12)の閉鎖部(21)を形成するように取り付けられており、前記シール手段(18)は、前記第1の室(14)と前記第2の室(16)との間で前記閉鎖部(21)のシールを形成しており、
前記センサ(4)は、前記センサドーム(2)の長手方向(L)に関して、前記シール手段(18)から前記ドームコンタクト(6)よりも大きな間隔をあけて配置されており、
前記ドームケーシング(7)は、全体がプラスチックから一体に形成されており、前記センサ(4)は、プラスチック中に埋設されており、
当該センサドームユニット(1)には、回路コンタクト(27)を有する制御回路(26)が含まれており、前記回路コンタクト(27)は、前記ドームコンタクト(6)と導電接続されているか、または導電接続可能であり、
前記ドームコンタクト(6)と前記回路コンタクト(27)とは、各1つのドームコンタクト(6)と各1つの回路コンタクト(27)との間で、特に差込み緊締接続部である各1つの導電性の差込み接続部(29)が得られるように形成されており、
前記ドームコンタクト(6)は圧接コンタクト(25)として形成されており、かつ回路コンタクト(27)はブレードコンタクト(28)として形成されている、または、前記ドームコンタクト(6)はブレードコンタクトとして形成されており、かつ回路コンタクト(27)は圧接コンタクトとして形成されていることを特徴とする、センサドームユニット。
【請求項2】
シールされた前記閉鎖部(21)はオイル密に、かつ特に気密に形成されている、請求項1記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項3】
当該センサドームユニット(1)は、前記センサドーム(2)を前記ケーシング壁(3)に固定する固定手段(23)、特に1つのねじまたは複数のねじを有している、請求項1から2までのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項4】
前記ドームケーシング(7)は、前記第1のドームケーシング部(8)と前記第2のドームケーシング部(9)との間に形成されており、前記ケーシング壁(3)の前記壁外面(17)に、前記固定手段(23)と前記シール手段(18)とを介して封止するように固定された接続部(11)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項5】
前記接続部(11)はフランジとして形成されており、前記センサドーム(2)の長手方向(L)に関して前記第1のドームケーシング部(8)は前記フランジの第1の側に形成されており、前記第2のドームケーシング部(9)は前記フランジの第2の側に形成されている、請求項4記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項6】
前記シール手段(18)は、前記壁外面(17)または前記接続部(11)に形成された溝(20)に挿入されたシールリング、特にOリング(19)を有している、請求項5記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項7】
前記第2のドームケーシング部(9)は、前記フランジを起点とするコネクタ壁(24)を有しており、該コネクタ壁(24)は、周方向で環状に閉じられて前記ドームコンタクト(6)を包囲するように延在している、請求項5または6記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項8】
前記ドームコンタクト(6)は圧接コンタクト(25)として、またはブレードコンタクトとして形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項9】
前記ケーシング壁(3)は、複数の貫通開口(12)を有しており、当該センサドームユニット(1)には複数のセンサドーム(2)と複数のシール手段(18)とが含まれており、各1つのセンサドーム(2)が、各1つの貫通開口(12)の領域内で前記ケーシング壁(3)に取り付けられており、前記センサドーム(2)の第1のドームケーシング部(8)の少なくとも外側表面(13)は、前記センサドーム(2)と前記ケーシング壁(3)の壁内面(15)とに隣接する第1の室(14)に面しており、前記ドームコンタクト(6)は、前記センサドーム(2)と前記ケーシング壁(3)の壁外面(17)とに隣接する第2の室(16)に面しており、前記各センサドーム(2)とシール手段(18)とは、前記各貫通開口(12)の閉鎖部(21)を形成するように前記ケーシング壁(3)に取り付けられており、前記シール手段(18)は、前記第1の室(14)と前記第2の室(16)との間で前記閉鎖部(21)のシールを形成している、請求項1からまでのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項10】
前記制御回路(26)に接続される各センサドーム(2)は、特に取り外し可能な電気的な差込み接続部(19)を介して前記制御回路(26)に接続されている、または接続可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項11】
前記ケーシング壁(3)はトランスミッション外壁であり、前記第1の室(14)は、歯車(22)が位置するトランスミッション内室であり、前記第2の室(16)は、前記第1の室(14)からは全体的にシールされている、請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項12】
前記回路コンタクト(27)は、前記制御回路(26)からコネクタ(30)内に通じており、該コネクタ(30)は、コネクタ底部(31)と、該コネクタ底部(31)を起点とするコネクタカラー(32)とを有しており、該コネクタカラー(32)は、コネクタ周面に沿って、特に周囲を閉じられており、前記回路コンタクト(27)は、前記コネクタ底部(31)を越えて突出しており、前記コネクタカラー(32)と前記コネクタ壁とは、前記電気的な差込み接続部(29)の差込み方向において、互いにオーバラップしている、請求項1から8までのいずれか1項または請求項10記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項13】
前記制御回路(26)は、トランスミッションの制御および/調整に適したまたは適合された電子回路である、請求項1から8までのいずれか1項または請求項10または12記載のセンサドームユニット(1)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の1つの特徴を有する、センサドームユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサドームと、特にトランスミッション壁であるケーシング壁とを有しており、センサドームは、センサと、センサに電気的に接続されたドームコンタクトと、ドームケーシングとを有しており、ドームケーシングは、センサが配置された第1のドームケーシング部と、ドームコンタクトが配置された第2のドームケーシング部とを有している、センサドームユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1の上位概念に記載のセンサドームユニットは、例えば自動車のトランスミッションに用いられ、これにより、オイル雰囲気に晒されたトランスミッション室内で電気回路から隔離された所望の位置に、センサを配置することができる。例えば、回転数センサまたはギヤ調整器センサを備えたセンサドームが知られている。この場合に一般的なのは、1つまたは複数のセンサドームに接続された電子制御装置を、センサドームと共に、トランスミッションオイルまたは別のトランスミッション媒体に晒されたトランスミッション室の内部に配置することであり、このとき電子回路はトランスミッションオイルまたはトランスミッション媒体に晒された状態になっている。他方では、エンジンルームおよびトランスミッション内の制御装置の堅牢性に対する自動車メーカの要求が、以前から継続的に高まってきている。これらの要求には、トランスミッション内またはエンジンルーム内の腐食性媒体およびオイルによる化学的な腐食に対する、電子制御装置の改良された防護手段や、より高い耐久性も含まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この背景に対して、本発明の根底を成す課題は、請求項1の上位概念に記載のセンサドームユニットを有利に改良する点にある。特に、これにより個々のまたは複数の上記欠点を回避することができる、ということを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために本発明が提案するのは、ケーシング壁に貫通開口が形成されていて、センサドームがケーシング壁に取り付けられており、第1のドームケーシング部の少なくとも外側表面は、センサドームとケーシング壁の壁内面とに隣接する第1の室に面しており、かつドームコンタクトは、センサドームとケーシング壁の壁外面とに隣接する第2の室に面していることである。
【0005】
好適には、第1の室は、例えばトランスミッションオイルで潤滑される歯車が位置しているトランスミッション内室であってよく、第2の室は、トランスミッション壁およびセンサドームユニットにより、トランスミッション壁およびセンサドームユニットからシールされて分離された、電子回路用の収容室であってよい(電子回路に代えて電子制御装置と言うこともできる)。本発明によるセンサドームユニットは、例えばケーシング壁内またはトランスミッション室内に位置していてよい所望の位置にセンサを配置することを可能にする一方で、センサに接続された電子回路は、トランスミッション内室以外の、好適にはオイルや別の腐食性のトランスミッション媒体に対してシールされた、つまり防護された別の室内に配置できるようになっている。これにより、電子制御装置が従来のように永続的に腐食性媒体中に位置している状態を防ぐことができる。このことは、化学的な腐食に対する耐久性を可能にすると共に、制御装置の堅牢性をも向上させ、これにより同時に、電子制御装置の保守整備作業のし易さを改善することができる。センサドームユニットの使用または周辺環境に応じて、その都度、室の代わりに室領域と言うこともある。一般に、壁内面の代わりにケーシング壁の第1の壁面と言い、壁外面の代わりにケーシング壁の第2の壁面と言うこともある。
【0006】
本発明によるセンサドームユニットの好適な改良に関しては、多数の可能性が存在している。
【0007】
好適には、センサドームユニットはシール手段を有しており、センサドームとシール手段とは、ケーシング壁に、貫通開口の閉鎖部を形成するように取り付けられており、シール手段は、第1の室と第2の室との間で閉鎖部のシールを形成している。シール手段は、例えば別個のシール、例えばOリング等であってよい。シール手段がセンサドームおよび/またはケーシング壁に直接に形成されている可能性も、やはり存在する。センサドームとシール手段とによって、貫通開口のシールされた閉鎖部がケーシング壁に形成されることにより、壁外面に隣接する、例えば電子制御回路を取り付けるために決められた室の、トランスミッションオイルまたは別の腐食性媒体に対する防護手段を改良することができる。好適には、シールされた閉鎖部はオイル密に、かつ特に気密に形成されている。
【0008】
センサドームユニットが、センサドームをケーシング壁に固定する固定手段、特に1つまたは複数のねじを有している点は、実用的であると見なされる。
【0009】
ドームケーシングが、第1のドームケーシング部と第2のドームケーシング部との間に形成されており、ケーシング壁の壁外面に固定手段とシール手段とを介して封止するように固定された接続部を有している可能性も存在する。ドームケーシングが、プラスチックを有している、またはプラスチックから成っている点は実用的であると見なされ、この場合、センサは特にプラスチック中に埋設されている。センサを1つまたは複数の側、特に全ての側から包囲するように、プラスチックが射出されている可能性も存在する。接続部がフランジとして形成されており、センサドームの長手方向に関して第1のドームケーシング部はフランジの第1の側に形成されており、第2のドームケーシング部はフランジの第2の側に形成されている点は、実用的であると見なされる。シール手段が、壁外面または接続部に形成された溝に挿入されたシールリング、特にOリングを有している可能性も存在する。
【0010】
第2のドームケーシング部が、フランジを起点とするコネクタ壁を有しており、コネクタ壁は、周方向で環状に閉じられてドームコンタクトを包囲するように延在している点は、実用的であると見なされる。このことは、コネクタインタフェースの形成を可能にする。好適には、ドームコンタクトは圧接コンタクトとして、またはブレードコンタクトとして形成されている。
【0011】
要求に応じて、センサがセンサドームの長手方向に関して、シール手段からドームコンタクトよりも大きな間隔をあけて配置されていると、有利な場合がある。
【0012】
センサドームユニットに、回路コンタクトを有する制御回路が含まれており、回路コンタクトは、ドームコンタクトと導電接続されているか、または導電接続可能であるという可能性も存在する。好適には、制御回路はトランスミッション制御装置であるか、またはトランスミッション制御装置の1つの構成部材であってよい。制御回路に代えて、電子制御装置またはトランスミッション制御装置と言うこともできる。制御回路または電子制御装置は、例えばトランスミッションで使用される弁の制御に適していてよい。
【0013】
1つの好適な実施例では、ドームコンタクトと回路コンタクトとは、各1つのドームコンタクトと各1つの回路コンタクトとの間に形成される、特に差込み緊締接続部である各1つの導電性の差込み接続部を得るために、特に互いに適合されている、という可能性が存在する。各1つのドームコンタクトが各1つの回路コンタクトと共に1つの差込み緊締接続部を形成する場合には、これにより電気的な接続のみならず、同時に機械的な固定も達成される。この場合にドームコンタクトと回路コンタクトとの間に作用する締付け力は、接続部の望ましくない離脱を防止する。好適には、ドームコンタクトは圧接コンタクトとして形成されており、かつ回路コンタクトはブレードコンタクトとして形成されている。代替的に、ドームコンタクトがブレードコンタクトとして形成されており、かつ回路コンタクトが圧接コンタクトとして形成されている可能性も存在すると考えられる。圧接コンタクトは、有利な多重差込み特性を有している。トランスミッションにおいて考えられる用途は、例えば弁用の差込みシステムである。用途としては、例えば液圧コンポーネントに予め取り付けられていてよいケーシング壁またはトランスミッション壁に対するトランスミッション制御装置の取付けも考えられる。トランスミッションコンポーネントに対するトランスミッション制御装置の取付けに際しては、センサドームに対する電子制御装置の機械的な差込み接続部が形成可能であると同時に、電気的な接続部も形成可能である。圧接コンタクトシステムは、生じ得るあらゆる製造誤差においてコンタクト被覆部が生じるように設計されていてよい。
【0014】
ケーシング壁が複数の貫通開口を有しており、センサドームユニットには複数のセンサドームと複数のシール手段とが含まれる可能性も存在している。この場合、各1つのセンサドームが、各1つの貫通開口の領域内でケーシング壁に取り付けられており、センサドームの第1のドームケーシング部の少なくとも外側表面は、センサドームとケーシング壁の壁内面とに隣接する第1の室に面しており、ドームコンタクトは、センサドームとケーシング壁の壁外面とに隣接する第2の室に面しており、各センサドームとシール手段とは、各貫通開口の閉鎖部を形成するようにケーシング壁に取り付けられており、シール手段は、第1の室と第2の室との間で閉鎖部のシールを形成している。
【0015】
制御回路に接続される各センサドームは、特に取り外し可能な電気的な差込み接続部を介して制御回路に接続されている、または接続可能である、という可能性も存在する。この点において本発明は、特に組込み式の電子制御装置も提案し、この組込み式の電子制御装置はセンサドームと協働するが、電子制御装置と取り外し不能に接続されたセンサドームは1つもない。本発明による好適な差込み接続部に基づき、センサドームを電子制御装置から分離することができるようになっており、これにより、保守整備作業のし易さと媒体に対する耐久性とを向上することができる。
【0016】
好適には、ケーシング壁はトランスミッション外壁であり、第1の室は、歯車が位置するトランスミッション内室であり、第2の室は、第1の室からは全体的にシールされている。この点において、第2の室は、好適には組込み式のトランスミッション電子制御装置を取り付けるための、オイルが存在しない室であってよい。
【0017】
ドームコンタクトおよび回路コンタクトは、導電性の材料から製造されており、好適には黄銅から成っていてよい。
【0018】
好適には、回路コンタクトは制御回路からコネクタ内に通じており、コネクタは、コネクタ底部と、コネクタ底部を起点とするコネクタカラーとを有しており、コネクタカラーは、コネクタの周面に沿って、特に周囲を閉じられている。この場合、回路コンタクトはコネクタ底部を越えて突出しており、コネクタカラーとコネクタ壁とは、電気的な差込み接続部の差込み方向において、互いにオーバラップしている。ケーシング壁がトランスミッション壁である場合、好適には、制御回路はトランスミッションの制御および/調整に適したまたは適合された電子回路である。
【0019】
本発明は、好適な構成に応じて様々な技術上の利点をもたらすことができる。工場での車両の定期整備では、全てのセンサドームをより新しいセンサドームに的確に交換することができる。センサドームを交換する必要無しに、いわゆる第2の室に組み込まれたトランスミッション制御装置を交換する可能性も存在する。より古い世代のセンサドームをより新しいものと交換することにより、トランスミッションプラットフォームを最新化することも可能である。ソフトウェアアップデートにより、トランスミッション電子制御装置を最新化することもできる。1つのトランスミッション制御装置が、同時に複数のトランスミッションプラットフォームをカバーしてもよい。複数のコネクタインタフェースが、トランスミッション内で局所的にずらされた複数のセンサドームの使用を可能にする。センサドームにおけるシールを用いた密閉は、トランスミッション電子制御装置およびコネクタインタフェースを、トランスミッション内のオイル中の腐食性の化学反応の相手、オイル蒸気、高温のオイル飛沫およびトランスミッション内の摩耗による残留汚れから、特に有効に防護することができる。
【0020】
以下、1つの好適な実施例を示す添付の図面に基づき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるセンサドームユニットの1つの実施例を示す断面図であり、図面の一部には、隣接するコンポーネントも部分的に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示したセンサドームユニット1には、センサドーム2とケーシング壁3とが含まれており、ケーシング壁3は、本例ではトランスミッション壁3’、特にトランスミッション外壁である。センサドーム2は、センサ4と、電子回路に対する接触接続用の複数の導電性のドームコンタクト6とを有しており、ドームコンタクト6はそれぞれ、各1つの電気的な導体5を介してセンサ4に接続されている。全体を符号2で表したセンサドームは、ドームケーシング7を有している。ドームケーシング7には、全体が一体に形成されている場合には、内部にセンサ4が配置された第1のドームケーシング部8と、内部にドームコンタクト6が配置された第2のドームケーシング部9と、センサドーム2の長手方向Lに関して各ドームケーシング部8,9の間に配置された、接続部11とも呼ばれる第3のドームケーシング部10とが含まれる。センサ4は、複数のドームコンタクト6に接続されているが、図1の断面には、ドームコンタクト6と導体5とがそれぞれ1つずつしか図示されていない。トランスミッション壁3’には貫通開口12が形成されている。センサドーム2は、第1のドームケーシング部8の端面側の外側表面13が、センサドーム2とトランスミッション壁3’の壁内面15とに隣接する第1の室14に面しており、かつドームコンタクト6が、センサドーム2とトランスミッション壁3’の壁外面17とに隣接する第2の室16に面しているように形成されて、トランスミッション壁3’に取り付けられている。第1のドームケーシング部8は、端面側の外側表面13に対して付加的に、側方の外側表面を有している。第2の室16は、図1ではケーシング壁3とセンサドーム2の下側に延在している。センサドームユニット1には、シール手段18としてOリング19が含まれている。本例では、壁外面17に、貫通開口の縁部を取り囲む溝20が形成されており、この溝20にOリング19が挿入されている。本例ではフランジとして形成されかつ接続部11を形成する第3のドームケーシング部10は、壁外面17に当て付けられてOリング19にオーバラップしている。図面から、センサドーム2とOリング19とは、貫通開口12の閉鎖部21を形成するようにトランスミッション壁3’に取り付けられていることが明らかである。この場合、Oリング19は、第1の室14と第2の室16との間で閉鎖部21のシールを形成する。
【0023】
本例において、第1の室14は、内部にとりわけ歯車22が位置しているトランスミッションの内室である。本例において、第2の室16は、第1の室14からセンサドーム2とOリング19とによってだけでなく、その他でも完全にシールされているので、第2の室16が第1の室14の内部に存在している媒体、例えばオイル等に接触することはない。これに相応して、センサドーム2とOリング19とにより実現される閉鎖部も、オイル密に形成されている。
【0024】
センサドームユニット1には複数の固定手段23が含まれており、これらの固定手段23は、本例では接続部11をトランスミッション壁3’に固定するねじである。本例では、ドームケーシング7はプラスチックから製造されており、この場合、センサ4はプラスチック中に埋設されている。
【0025】
本例では、第2のドームケーシング部9は、フランジとして形成された接続部11を起点とするコネクタ壁24を形成しており、コネクタ壁24は、周方向で閉じられてドームコンタクト6を包囲するように延在している。本例では、ドームコンタクト6は圧接コンタクト25として形成されている。図示の実施例では、センサドームユニット1には制御回路26(概略的にのみ図示)が含まれている。制御回路26は、トランスミッション制御および/または調整用の電子制御装置を有していてよい。制御回路26は複数の回路コンタクト27を有しており、これらの回路コンタクト27のうち、図1の断面には1つの回路コンタクト27だけが図示されている。回路コンタクト27は、それぞれドームコンタクト6に導電接続されている。本例では、回路コンタクトはブレードコンタクト28として形成されている。センサドーム2を制御回路26に電気的に接続するために、圧接コンタクト25がそれぞれ各1つのブレードコンタクト28に被せ嵌められてよく、その結果、各1つの導電性の差込み接続部29が生じている。ドームコンタクト6と回路コンタクト27とは、例えば黄銅または別の金属から製造されていてよい。被せ嵌めに際しては、圧接コンタクト25の両脚片が外側に向かって弾性的に曲げ開かれ、これにより両脚片は、ブレードコンタクト28に対して締付け力を加えることになる。この点において差込み接続部29は、差込み緊締接続部である。
【0026】
本例では、回路コンタクト27は制御回路26からコネクタ30内に通じていることが想定されている。コネクタ30は、コネクタ底部31と、コネクタ底部31を起点とするコネクタカラー32とを有している。コネクタカラー32は、コネクタ周面に沿って延在していて、周囲を閉じられている。回路コンタクト27は、コネクタ底部31を越えて突出している。コネクタカラー32とコネクタ壁24とは、電気的な差込み接続部29の差込み方向、つまり長手方向Lに対して平行な方向において互いにオーバラップしている。本例では、制御回路26はトランスミッション制御および/または調整に適した電子制御装置である。
【0027】
開示した全ての特徴は、(それ自体でも、互いに組み合わせられても)本発明の本質を成すものである。下位請求項は、特にこれらの請求項に基づき分割出願を行うために、その特徴でもって、独自の進歩性を有する従来技術の改良を特徴付けている。
【符号の説明】
【0028】
1 センサドームユニット
2 センサドーム
3 ケーシング壁
3’ トランスミッション壁
4 センサ
5 導体
6 ドームコンタクト
7 ドームケーシング
8 第1のドームケーシング部
9 第2のドームケーシング部
10 第3のドームケーシング部
11 接続部
12 貫通開口
13 外側表面
14 第1の室
15 壁内面
16 第2の室
17 壁外面
18 シール手段
19 Oリング
20 溝
21 閉鎖部
22 歯車
23 固定手段
24 コネクタ壁
25 圧接コンタクト
26 制御回路
27 回路コンタクト
28 ブレードコンタクト
29 差込み接続部
30 コネクタ
31 コネクタ底部
32 コネクタカラー
L 長手方向
図1