特許第6877422号(P6877422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許6877422布地/POE接着剤のための接着剤配合物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877422
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】布地/POE接着剤のための接着剤配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/28 20060101AFI20210517BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20210517BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20210517BHJP
   C09J 123/28 20060101ALI20210517BHJP
   C09J 125/04 20060101ALI20210517BHJP
   C09J 177/00 20060101ALI20210517BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210517BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20210517BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   C08L23/28
   C08L25/04
   C08L77/00
   C09J123/28
   C09J125/04
   C09J177/00
   C09J11/06
   B32B27/12
   B32B27/32 B
【請求項の数】11
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-522705(P2018-522705)
(86)(22)【出願日】2016年11月23日
(65)【公表番号】特表2019-504126(P2019-504126A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2016063499
(87)【国際公開番号】WO2017091671
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年11月14日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/095762
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチュン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・ユー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイミン・マー
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ・イ・パン
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−235289(JP,A)
【文献】 特開2005−171163(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103342933(CN,A)
【文献】 特開平06−228521(JP,A)
【文献】 特開平07−033843(JP,A)
【文献】 特開平06−106682(JP,A)
【文献】 特開2008−260903(JP,A)
【文献】 特開2008−266446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C09J 1/00− 5/10
9/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、少なくとも以下:
A)i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーと、ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマーとの混合物である、少なくとも1つのポリマーと、
B)ポリアミドワックススラリーと、
C)有機溶媒と、
を含む、組成物。
【請求項2】
A)0.5〜40重量%の前記少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40重量%の前記ポリアミドワックススラリーと、
C)20〜99重量%の前記有機溶媒と、を含み、
前記重量%は、前記組成物の総重量に基づく、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記i)のポリマーは、無水マレイン酸(MAH)官能化塩素化オレフィン系ポリマーである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記構成要素Aは、
i)無水マレイン酸官能基化塩素化オレフィン系ポリマーと、
ii)スチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマー、強化ゴムセグメントスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(ERS SEBS)、及び無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレンブチレン/スチレンコポリマー(MAH−g−SEBS)のうちの少なくとも1つとの混合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記構成要素Cの有機溶媒は、非芳香族及び非塩素化溶媒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
粘着付与剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項8】
被覆基材であって、以下:
a)布地基材層と、
b)接着剤層であって、少なくとも以下:
A)i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーと、ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマーとの混合物である、少なくとも1つのポリマー、
B)ポリアミドワックススラリー、ならびに
C)有機溶媒、
を含む、第1の組成物から形成される、接着剤層と、
c)少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成されるオレフィン系層と、を含む、被覆基材。
【請求項9】
前記構成要素Aは、
i)無水マレイン酸官能基化塩素化オレフィン系ポリマーと、
ii)スチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマー、強化ゴムセグメントスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(ERS SEBS)、及び無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレンブチレン/スチレンコポリマー(MAH−g−SEBS)のうちの少なくとも1つとの混合物である、請求項8に記載の被覆基材。
【請求項10】
前記接着剤層は、粘着付与剤をさらに含む、請求項8または9に記載の被覆基材。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の被覆基材から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2015年11月27日に出願されたPCT/CN2015/095762の優先権を主張する。
【0002】
被覆布地は、バックパック及びテントなどのスポーツ用品、ならびに人工皮革などの外装に広く使用されており、典型的にはポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリアミド(PA)ナイロン布地を、好適な接着剤を用いて、熱可塑性シートと積層することによって形成される。現在、そのような用途に最も広く使われている熱可塑性シートとしては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、またはスチレンブロックコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)またはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)コポリマーから調製されるものが挙げられる。しかしながら、PVCは、環境に優しいとは考えられておらず、一方で、スチレンブロックコポリマー(SBS)は、耐候性に乏しい。PU及びSEBSは許容可能な耐候性を有するが、コストが高いためそれらの用途が制限される。
【0003】
より環境に優しく、かつ安定したポリマーの代替物としては、ポリオレフィンエラストマー(POE)熱可塑性シートが挙げられる。しかしながら、ポリオレフィンエラストマーの極性が低い性質は、これらの材料を布地基材に積層することを困難にする。
【0004】
布地をPOEシートに結合するために使用される現在の接着剤溶液は、いくつかの欠点を有する。1つの欠点は、接着剤配合物中のトルエンまたはキシレンのような有毒な溶媒の使用である。別の欠点は、イソシアネート架橋剤の使用であり、これは、高価であり、かつ接着剤溶液を製造するための複雑なプロセスを必要とし、かつ顧客のニーズを満たすのに十分に頑強な接着剤の結合強度を提供しない。
【0005】
したがって、種々のプロセスによる接着剤構成要素の耐候性、環境親和性、コスト対効果、高い安定性、作業性、及び適用の容易性、ならびに高い接着剤結合強度を組み合わせた系が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、組成物、被覆基材、及びそれらから作製される物品を含む。
【0007】
組成物であって、少なくとも以下:
A)少なくとも1つのポリマーであって、以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマーもしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、
から選択される、少なくとも1つのポリマーと、
B)ポリアミドワックススラリーと、
C)有機溶媒と、
を含む、組成物。
【0008】
組成物であって、少なくとも以下:
A)少なくとも1つのポリマーであって、以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマーもしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、
から選択される、少なくとも1つのポリマーと、
B)可塑剤と、
C)有機溶媒と、
を含む、組成物。
【0009】
実施形態では、該組成物は、該組成物の総重量に基づく重量%で、
A)0.5〜40重量%の少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40重量%のポリアミドワックススラリーと、
C)20〜99、または40〜99、または60〜99重量%の有機溶媒と、を含み、
各重量%は、該組成物の総重量に基づく。
【0010】
実施形態では、該組成物は、粘着付与剤をさらに含む。
【0011】
実施形態では、該組成物は、該組成物の総重量に基づく重量%で、
A)0.5〜40重量%の少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40重量%の可塑剤と、
C)20〜99、または40〜99、または60〜99重量%の有機溶媒と、を含み、
各重量%は、該組成物の総重量に基づく。
【0012】
実施形態では、該組成物は、粘着付与剤をさらに含む。
【0013】
実施形態では、本発明は、該組成物を含む被覆基材を提供する。実施形態では、該被覆基材は、
a)布地基材層と、
b)本明細書に開示される組成物から形成される接着剤層と、
c)少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成されるオレフィン系層と、を含む。
【0014】
実施形態では、布地基材層及びオレフィン系層は、接着剤層によって結合されて、被覆基材を形成する。
【0015】
実施形態では、本発明は、本明細書に記載の組成物を含む接着剤組成物を提供する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に開示の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品を提供する。実施形態では、該物品は、被覆基材から構成される。
【0017】
実施形態では、物品は、本明細書に開示の組成物を含む被覆基材から形成される少なくとも1つの構成要素から構成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のさまざまな実施形態は、少なくとも(A)i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、またはii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマー、またはiii)それらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリマー;B)ポリアミドワックススラリーまたは可塑剤、ならびにC)有機溶媒を含む組成物に関する。実施形態では、該組成物は、粘着付与剤をさらに含む。さらに、特定の実施形態は、接着剤組成物、被覆基材、及び本明細書に記載の組成物及び被覆基材を用いた製品に関する。
【0019】
ポリマー構成要素(A)/無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー
実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー」は、オレフィン系ポリマーに無水マレイン酸及び/もしくはカルボン酸官能基がグラフトされる塩素化オレフィン系ポリマー、または1つ以上の塩素含有コモノマーを含み、後で無水マレイン酸及び/もしくはカルボン酸官能基で官能化されるオレフィン系ポリマーに関する。グラフト反応は、例えば、USP8,450,430及びUSP7,763,692に記載されている。あるいは、官能基は、オレフィンモノマーと共重合してオレフィン系ポリマーを形成するコポリマー(すなわち、カルボン酸官能基)中に存在し得る。
【0021】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、無水マレイン酸及び/またはカルボン酸官能基がオレフィン系ポリマーにグラフトされる塩素化オレフィン系ポリマーから形成される無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。
【0022】
一実施形態では、ポリマー(A)構成要素は、組成物の総重量に基づき、0.05〜16重量%の塩素含有量を有する無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。0.05〜16重量%の塩素の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され;例えば、塩素含有量は、0.05、または0.1、または0.5、または1、または2、または5、または8重量%の下限から8、または10、または12、または14、または16重量%の上限までであり得る。例えば、実施形態では、塩素含有量は、0.05〜16重量%、または0.5〜15重量%、または1〜10重量%であり得る。
【0023】
一実施形態では、ポリマー(A)構成要素は、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーの総重量に基づき、10〜40重量%、または15〜30重量%の塩素含有量を有する無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。10〜40重量%の塩素の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され;例えば、塩素含有量は、10、または14、または16、または18、または20、または22、または26、または30重量%の下限から12、または16、または20、または24、または28、または30、または35、または40重量%の上限までであり得る。例えば、実施形態では、塩素含有量は、10〜40重量%、または10〜20重量%、または20〜35重量%、または18〜32重量%、または15〜30重量%であり得る。
【0024】
一実施形態では、好ましい実施形態の無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーは、無水マレイン酸グラフト塩素化オレフィン系ポリマー(MAH−g−CPO)である。一実施形態では、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーは、無水物官能化塩素化オレフィン系ポリマーの重量に基づき、0.75〜3重量%の無水マレイン酸含有量を有する無水マレイン酸グラフト塩素化オレフィン系ポリマーである。0.75〜3重量%の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され;例えば、無水マレイン酸レベルは、0.75、または1、または1.5、または2、または2.5、または2.75重量%の下限から0.9、または1.35、または1.8、または2.25、または2.8、または3重量%の上限までであり得る。例えば、実施形態では、無水マレイン酸レベルは、0.75〜3重量%、または0.75〜1.75重量%、または1.75〜3重量%または1〜2重量%であり得る。
【0025】
一実施形態では、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーは、25,000〜125,000g/モルの重量平均分子量Mwを有する無水マレイン酸グラフト塩素化オレフィン系ポリマーである。25,000〜125,000の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示され;例えば、Mwは、25,000、または50,000、または75,000、または100,000g/モルの下限から50,000、または75,000、または100,000、または125,000、g/モルの上限までであり得る。例えば、実施形態では、Mwは、25,000〜125,000、または25,000〜75,000、または75,000〜125,000、または50,000〜100,000g/モルであり得る。
【0026】
一実施形態では、好ましい実施形態では、塩素化オレフィン系ポリマーは、塩素化プロピレン系ポリマーである。塩素化プロピレン系ポリマーの例としては、ポリプロピレン及びプロピレンとC−C10α−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーとを含むコポリマーから調製されるものが挙げられる。C−C10α−オレフィンの例としては、エチレン(本発明の目的ではα−オレフィンとみなされる)、1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテンが挙げられる。コポリマーは、ジポリマー、ターポリマー、またはより高次のコポリマーであり得る。
【0027】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は塩素化オレフィン系グラフトコポリマーである。好ましい実施形態では、ポリマー構成要素(A)は無水マレイン酸でグラフト(官能化)される塩素化プロピレン系ポリマー(例えば、プロピレン/エチレンインターポリマー)である。
【0028】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づき、構成要素A、B及びCの総重量の≧80重量%、または≧85重量%、または≧90重量%、または≧95重量%、または≧98重量%、または≧99重量%を含む。
【0029】
ポリマー構成要素(A)/スチレン系ポリマーまたは官能化スチレン系ポリマー
実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、スチレン系ポリマー、官能化スチレン系ポリマー、またはそれらの混合物を含む。一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、スチレンブロックコポリマー(SBC)を含む。スチレンブロックコポリマーの非限定的な例としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロックコポリマー(SIBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、スチレン−エチレンブタジエン/スチレン−スチレン(S−EB/S−S)ブロックコポリマー、強化ゴムセグメント(ERS)スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、官能化スチレン系ブロック共重合体(SBC)、及びそれらの混合物が挙げられる。実施形態では、構成要素Aポリマーは、スチレンブロックコポリマー(SBC)、強化ゴムセグメント(ERS)スチレンブロックコポリマー(ERS−SBC)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるスチレン系ポリマーを含む。本発明に適したスチレンブロックコポリマーの例は、以下の発行される特許及び特許出願公報に記載されている:EP0712892、WO2004/041538、USP6,582,829、US2004/0087235、US2004/0122408、US2004/0122409、及びUSP4,789,699、USP5,093,422及びUSP5,332,613。スチレンブロックコポリマーは、例えば、Kraton Corp.,Houston,TXからの商標KRATON(登録商標)(例えば、KRATON(登録商標)G1652、KRATON(登録商標)G1643、KRATON(登録商標)FG1901)の下、Dexco Polymersからの商標VECTOR(登録商標)の下、Dynasolからの商標SOLPRENE(登録商標)の下で市販されている。
【0030】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、60%以下の平均スチレン含有量を有するスチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマーを含む。一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、平均スチレン含有量が10〜60重量%、または15〜40重量%であるスチレンブロックコポリマーを含む。
【0031】
一般に、本発明に適した水素化スチレンブロックコポリマーは、20%未満の残留エチレン性不飽和、好ましくは飽和ポリブタジエンブロックを含む飽和共役ジエンのブロックによって分離される少なくとも2つのモノアルケニルアレーンブロック、好ましくは2つのポリスチレンブロックを有する。好ましいスチレンブロックコポリマーは、線状構造を有するが、いくつかの実施形態では、分岐または放射状ポリマーまたは官能化ブロックコポリマーが有用な化合物を生成する。
【0032】
典型的には、ポリスチレン飽和ポリブタジエン−ポリスチレン及びポリスチレン飽和ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマーは、5,000〜35,000の数平均分子量を有するポリスチレン末端ブロック及び20,000〜170,000の数平均分子量を有する飽和ポリブタジエンまたは飽和ポリイソプレン中間ブロックを含む。スチレンブロックコポリマーの総数平均分子量は、コポリマーが線状構造を有する場合、30,000〜250,000であることが好ましい。
【0033】
一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、少なくとも3、または5、または10、または15から、50、または45、または40、または35gm/10分の上限までのメルトインデックス(MI)を有する。(ASTM D1238;230℃、5Kg)。
【0034】
一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、強化ゴムセグメント(ERS)スチレンブロックコポリマー(ERS−SBC)である。一実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、強化ゴムセグメントスチレン/エチレン/ブチレン/スチレン(ERS−SEBS)である。ERS−SEBSは、商標KRATON(登録商標)(例えば、KRATON(登録商標)G1643、G1641、G1642)の下で、Kraton Corp.,Houston,TXから入手可能である。一実施形態では、ERSスチレンブロックコポリマー(ERS−SBC)は、スチレンブロックコポリマーにグラフトした0.5、または0.7、または1以上、2、または1.5重量%の上限までのMAHを含む。一実施形態では、ERS−SBCのスチレン含有量は、5〜25、または10〜20、重量%である。一実施形態では、ERS−SBCのメルトインデックス(MI)は、1〜30、または15〜20gm/10分である。(ASTM D1238;230℃、5Kg)。
【0035】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、官能基を含む官能化スチレン系ブロックコポリマー(SBC)である。適切な官能基の例としては、無水物、カルボキシレート、カルボキシル(−COOH)、アミン、ヒドロキシル(OH)、カルボニル、アクリレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。官能基は、ポリマー鎖の側鎖にグラフトされ得る。あるいは、官能基は、スチレンモノマーと共重合して官能化スチレン系ポリマーを形成するコポリマー(例えば、酸無水物)中に存在し得る。
【0036】
実施形態では、カルボキシル基は、予め形成されるスチレンブロックコポリマーにグラフトされる。別の実施形態では、酸無水物基は、予め形成されるスチレンブロックコポリマーにグラフトされる。予め形成されるスチレンブロックコポリマーにグラフトされ得る不飽和カルボン酸及び酸無水物化合物の非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸が挙げられる。
【0037】
実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、無水物官能化スチレンブロックコポリマー、カルボン酸官能化スチレンブロックコポリマー、ヒドロキシ官能化スチレンブロックコポリマー、アミン官能化スチレンブロックコポリマー及びそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、無水マレイン酸官能化スチレンブロックコポリマーである。
【0038】
一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、官能化スチレンブロックポリマーの重量に基づき、少なくとも10、または20、または25、または30、または35、または40、及び60、または55、または50、または45重量%未満のポリマースチレンを含有する。一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、官能化スチレンブロックコポリマーの重量に基づき、25〜35重量%のポリマースチレンを含有する。
【0039】
一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、官能化スチレンブロックコポリマーの重量に基づき、0超、または少なくとも0.5、または少なくとも1重量%、及び5、または4.5、または4、または3.5、または3、または2.5、または2、または1.5重量%以下の官能基を含有する。一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、官能化スチレンブロックコポリマーの重量に基づき、1〜2重量%の官能基を含有する。
【0040】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、無水マレイン酸(MAH)グラフトSBCポリマーである。一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレンブチレン/スチレンコポリマー(MAH−g−SEBS)である。一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーは、官能化スチレンブロックコポリマーの重量に基づき、25〜35重量%のポリマースチレン及び1〜2重量%の無水マレイン酸を含有するMAH−g−SEBSである。MAH−g−SEBSコポリマーの例は、商標KRATON(登録商標)FG1901の下でKraton Corp.,Houston,TX,から入手可能である。
【0041】
一実施形態では、官能化スチレンブロックコポリマーのメルトインデックス(MI)は、35〜45g/10分(ASTM D1238、5kg、230℃)である。
【0042】
ポリマー構成要素(A)/(i)及び(ii)の組み合わせ
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、本明細書に記載の、i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、ならびに/またはii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマーの混合物である。実施形態では、ポリマー構成要素Aは、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーから選択される。
【0043】
ポリアミドワックススラリー構成要素(B)
一実施形態では、組成物は、構成要素(B)としてポリアミドワックススラリーを含む。実施形態では、増粘剤としてのポリアミドワックススラリーを本発明の組成物に含めることにより、被覆PETまたはPA布地中に許容可能な剥離強度(例えば、2.2〜6kgf/3cm)を有する安定な接着剤を形成し得る。
【0044】
一般に、ポリアミドワックスは、アミン(例えば、エチレンジアミンなどのアルキレンジアミン)と1つ以上の脂肪酸(例えば、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、水素化ヒマシ油(MW〜8,000)など)との縮合反応によって製造される。適切なアミドワックスの例としては、エチレンビスステアラミド(EBS)、ステアリルアミド、及びステアリルステアルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、ポリアミドワックスは、120〜150℃の融点を有する。ポリアミドワックスを加熱することで有機溶媒と混合してスラリーを形成し得る。
【0045】
実施形態では、ポリアミドワックススラリーは、少なくとも5重量%から40重量%の上限までのポリアミドワックスを含み、残りは有機溶媒(例えば、95〜60重量%溶媒)を含む。適切な溶媒の例としては、エタノール、イソプロパノール(IPA)及びブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドワックススラリーは、とりわけ、例えばHS Chem Co.Ltd.から商標MONORAL(登録商標)(例えば、MONORAL(登録商標)NT3300)の下で入手可能である。
【0046】
実施形態では、ポリアミドワックススラリーの不揮発構成要素は、少なくとも25重量%、または少なくとも20重量%である。
【0047】
可塑剤構成要素(B)
一実施形態では、組成物は、構成要素(B)として可塑剤を含む。実施形態では、限定されないが、基材に組成物を適用するための転写被覆プロセスのような用途のための組成物のレオロジー特性を調節するために、可塑剤を含め得る。可塑剤を含む本発明の接着剤組成物は、可塑剤なしで作製された接着剤(例えば、PET布地では4kgf/3cmより大きい)と比較して高い剥離強度を示した。
【0048】
適切な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ジ−イソノニル−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)、ジオクチルフタレート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような可塑剤は、例えば、KLJ Groupから商標Kanatol 3400 BCの下で、及びBASFから商標Hexamoll(登録商標)DINCHの下で市販されている。
【0049】
溶媒構成要素(C)
組成物は、有機溶媒構成要素(C)をさらに含む。
【0050】
一実施形態では、溶媒は、非芳香族及び非塩素化有機溶媒である。適切な非芳香族及び非塩素化溶媒の例としては、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
一実施形態では、有機溶媒は、45〜100g/モルの範囲の分子量(Mn)を有する。
【0052】
粘着付与剤
一実施形態では、組成物は、粘着付与剤を含む。適切な粘着付与剤の例としては、限定されないが、ロジン及びその誘導体、テルペン及び変性テルペン、脂肪族、脂環式及び芳香族樹脂(C脂肪族樹脂、C芳香族樹脂、及びC/C脂肪族/芳香族樹脂)、水素化炭化水素樹脂、ならびにそれらの混合物、ならびにテルペン−フェノール樹脂(TPR、エチレン−酢酸ビニル接着剤としばしば使用される))のような粘着付与樹脂が挙げられる。一実施形態では、組成物は、ロジン、ロジンのグリセロールエステル、ロジンのペンタエリスリトールエステル、テルペン、C〜C石油樹脂、及びそれらの混合物からなる群から選択される粘着付与剤を含む。
【0053】
固体としての粘着付与剤は、組成物に直接添加することができ、または最初に有機溶媒(例えば、酢酸エチレン)に溶解することができる。粘着付与剤は、例えばCeleritas Chemicals,USAのような多くの商業的供給源から入手可能である。
【0054】
粘着付与剤を含有させることにより、ハロゲンまたはハロゲンを含まない接着剤組成物の剥離強度を高め得る。例えば、粘着付与剤を含有させることにより、ハロゲン含有接着剤の剥離強度を被覆PET布地では4.5kgf/3cmにまたは被覆PA布地では4.0kgf/3cmに、及びハロゲンを含まない接着剤の剥離強度を被覆PETまたはPA布地では3.5kgf/3cmに増加し得る。
【0055】
可塑剤
一実施形態では、組成物は、ポリアミドワックススラリー及び可塑剤を含む。実施形態では、限定されないが、基材に組成物を適用するための転写被覆プロセスのような用途のための組成物のレオロジー特性を調節するために、可塑剤を含め得る。可塑剤を含む本発明の接着剤組成物は、可塑剤なしで作製された接着剤(例えば、PET布地では4kgf/3cmより大きい)と比較して高い剥離強度を示した。
【0056】
適切な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ジ−イソノニル−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシレート(DINCH)、ジオクチルフタレート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような可塑剤は、例えば、KLJ Groupから商標KANATOL 3400 BCの下で、及びBASFから商標HEXAMOLL DINCHの下で市販されている。
【0057】
特定の実施形態
一実施形態では、組成物は、
A))0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは10〜25、もしくは15〜25重量%の以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、
から選択される、少なくとも1つのポリマーと、
B)以下:
(i)0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは5〜10重量%のポリアミドワックススラリー、または
ii)0.5〜40、もしくは0.5〜20、もしくは1〜15、もしくは3〜12、もしくは4〜10重量%の可塑剤、のうちの1つと、
C)20〜99、または25〜98、または30〜97、または40〜95、または50〜90、または60〜85、または70〜80、または70〜75重量%の有機溶媒と、を含み、各重量%は、該組成物の総重量に基づく。
【0058】
別の実施形態では、組成物は、
A)0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは10〜25、もしくは15〜25重量%の以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、から選択される少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40、または2〜35、または5〜30、または5〜20、または5〜15、または5〜10重量%のポリアミドワックススラリーと、
C)20〜97、または25〜96、または30〜95、または40〜94、または50〜90、または60〜85、または70〜80、または70〜75重量%の有機溶媒と、
D)1〜30、もしくは2〜25、もしくは3〜20、もしくは5〜15重量%の粘着付与剤と、ならびに/または
E)1〜15重量%の可塑剤と、を含み、
各重量%は、該組成物の総重量に基づく。
【0059】
一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、少なくとも70、または少なくとも75、または少なくとも80、または少なくとも85、または少なくとも90重量%の構成要素B及びCを含む。一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、65〜95、または70〜90、または75〜85重量%の構成要素B及びCを含む。一実施形態では、構成要素Bは、ポリアミドワックススラリーである。別の実施形態では、構成要素Bは、可塑剤である。
【0060】
ポリマー構成要素(A) さまざまな実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、該組成物の総重量に基づき、0.5〜40重量%の量で組成物中に存在し得る。一実施形態では、組成物中のポリマー構成要素(A)の量は、該組成物の総重量に基づき、0.5、または5、または10、または15、または20重量%の下限から、40、または35、または30、または25、または20、または15、または10重量%の上限までであり得る。0.5〜40重量%の全ての個々の値が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、組成物中のポリマー構成要素(A)の量は、該組成物の総重量に基づき、0.5〜40、または2〜35、または5〜30、または5〜20、または5〜15、または10〜30、または15〜25重量%の範囲であり得る。
【0061】
一実施形態では、組成物は、ハロゲン化組成物であり、ポリマー構成要素(A)は、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーを含む。一実施形態では、組成物中の無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーの量は、該組成物の総重量に基づき、0.5、または5、または10、または15、または20重量%の下限から、40、または35、または30、または25、または20、または15、または12、または10重量%の上限までであり得る。0.5〜40重量%の全ての個々の値が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーは、ハロゲン化組成物の総重量に基づき、0.5〜40、または2〜35、または5〜25、または15〜25重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0062】
別の実施形態では、組成物は、ハロゲン化組成物であり、ポリマー構成要素(A)は、(i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、ならびに(ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマーの混合物である。一実施形態では、ハロゲン化組成物は、ハロゲン化組成物の総重量に基づき、以下:
a)0.5〜39.5重量%の(i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーと、
b)39.5〜0.5重量%の(ii)スチレン系ポリマー及び/または官能化スチレン系ポリマーと、を含む(i)及び(ii)の混合物としてポリマー構成要素(A)を含む。
【0063】
0.5〜39.5重量%の全ての個々の値が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、組成物中の構成要素(i)及び(ii)のそれぞれの量は、該組成物の総重量に基づき、0.5、または5、または10、または15、または20重量%の下限から、39.5、または35、または30、または25重量%の上限までであり得る。一実施形態では、構成要素(i)及び(ii)のそれぞれは、組成物の総重量に基づき、0.5〜39.5、または5〜30、または5〜15重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0064】
一実施形態では、組成物は、非ハロゲン化組成物である。一実施形態では、非ハロゲン化組成物のポリマー構成要素(A)は、該組成物の総重量に基づき、0.5、または5、または10、または15、または20、重量%の下限から40、または35、または30、または25重量%の上限の量で存在するスチレン系ポリマー及び/または官能化スチレン系ポリマーである。0.5〜40重量%の全ての個々の値が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、スチレン系ポリマー及び/または官能化スチレン系ポリマーは、ハロゲン化組成物の総重量に基づき、0.5〜40、または5〜30重量%、または10〜25重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0065】
ポリアミドワックススラリー構成要素(B) 一実施形態では、構成要素(B)は、ポリアミドワックススラリーである。実施形態では、増粘剤(ポリアミドワックススラリー)の量は、浸漬、被覆、押出被覆、ロール被覆及びブレード被覆などのような基材に組成物を適用するために使用されるプロセスの作業性要件に従って組成物の粘度を調整するために変化され得る。一実施形態では、組成物は、室温(約26℃)での組成物のBrookfield(溶液)粘度を5〜100,000cPに変化させる量のポリアミドワックススラリーで配合され得る。
【0066】
一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、0.5、または1、または5、または9、または10重量%の下限から40、または30、または20、または15重量%の上限までのポリアミドワックススラリー構成要素(B)を含む。0.5〜40重量%のポリアミドワックススラリーの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、組成物中のポリアミドワックススラリーの量は、該組成物の総重量に基づき、0.5〜25、または1〜20、または5〜15、または5〜10重量%の範囲であり得る。
【0067】
可塑剤構成要素(B) 一実施形態では、構成要素Bは、可塑剤である。本明細書で使用される場合、可塑剤は、1つまたは2つ以上の可塑剤の混合物を含み得る。一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、0.5、1、または2、または4、または5、または9、または10重量%の下限から40、または25、または20、または15、または14、または12、または10重量%の上限までの可塑剤構成要素(B)を含み得る。一実施形態では、可塑剤は、組成物の総重量に基づき、0.5〜40、または0.5〜20、または1〜15、または2〜10、または4〜12、または5〜10重量%の量で組成物中に含まれる。0.5〜40重量%の可塑剤の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。
【0068】
溶媒構成要素(C) 本明細書で使用される場合、有機溶媒は、1つまたは2つ以上の有機溶媒の混合物を含み得る。一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、20、または30、または40、または50、または60、または70重量%の下限から99、または98、または97、または95、または90、または80、または75、または70、または60重量%の上限までの有機溶媒構成要素(C)を含み得る。組成物中の有機溶媒構成要素(C)の量は、該組成物の総重量に基づき、20〜99、または20〜98、または20〜97、または50〜70、または60〜85、または70〜95、または70〜80、または70〜75重量%の範囲であり得る。20〜99重量%の溶媒の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、溶媒は、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル、及びそれらの混合物から選択され;メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル(EA)、及びそれらの混合物からさらに選択され、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル(EA)、及びそれらの混合物からさらに選択される。一実施形態では、有機溶媒は、1つの溶媒または2つの溶媒の混合物である。一実施形態では、有機溶媒は、2つの溶媒、及びメチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル(EA)から選択されるさらに2つの溶媒の混合物であり、さらに2つの溶媒の混合物は、組成物の重量に基づき、20〜50重量%の酢酸エチルを含む。
【0069】
一実施形態では、組成物は、第1の溶媒対第2の溶媒の重量比が0.5:1、または0.6:1、または0.8:1、または1:1、または1.5:1、または2:1である2つの溶媒の混合物を含む。一実施形態では、第1の溶媒は、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン及びそれらの混合物から選択され、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、及びそれらの混合物からさらに選択され、メチルシクロヘキサン(MCH)からさらに選択され、第2の溶媒は、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル、及びそれらの混合物から選択され、酢酸エチル(EA)からさらに選択される。別の実施形態では、第1の溶媒は、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル、及びそれらの混合物から選択され、酢酸エチル(EA)からさらに選択され、第2の溶媒は、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン及びそれらの混合物から選択され、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、及びこれらの混合物からさらに選択され、メチルシクロヘキサン(MCH)からさらに選択される。
【0070】
粘着付与剤。 組成物は、粘着付与剤を任意に含む。一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、1、または2、または5、または10重量%の下限から30、または25、または20、または15重量%の上限までの粘着付与剤構成要素を含み得る。一実施形態では、粘着付与剤は、組成物の総重量に基づき、1〜30、または5〜20、または5〜15、または10〜15重量%の量で組成物中に含まれる。1〜30重量%の粘着付与剤の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。
【0071】
可塑剤。一実施形態では、組成物は、ポリアミドワックススラリー及び可塑剤を任意に含み得る。一実施形態では、組成物は、該組成物の総重量に基づき、1、または2、または4、または5、または9、または10、重量%の下限から15、または14、または12、または10重量%の上限までの可塑剤構成要素を含み得る。一実施形態では、可塑剤は、該組成物の総重量に基づき、1〜15、または2〜10、または4〜12重量%の量で組成物中に含まれる。1〜15重量%の可塑剤の全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。
【0072】
被覆基材
一実施形態では、本発明は、以下:
a)布地基材層と、
b)ポリマー構成要素(A)、ポリアミドワックススラリー構成要素(B)、及び有機溶媒構成要素(C)を含む、本明細書に記載の第1の組成物から形成される接着剤層と、
c)少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成されるオレフィン系層と、から形成される被覆基材を提供する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、以下:
a)布地基材層と、
b)ポリマー構成要素(A)、可塑剤(B)、及び有機溶媒構成要素(C)を含む、本明細書に記載の第1の組成物から形成される接着剤層と、
c)少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成されるオレフィン系層と、から形成される被覆基材を提供する。
【0074】
実施形態では、第1の組成物は、布地基材に適用される。第1の組成物を布地基材に適用するための適切な方法の非限定的な例は、ドローダウン、ロッド被覆、ブラッシング、浸漬、注ぎ込み、噴霧及び転写印刷技術を含む。一実施形態では、第1の組成物を基材上に注ぎ、被覆バーまたは溝付き(らせん)ロッドによって広げる。
【0075】
一実施形態では、基材の一方側が第1の組成物で被覆される。一実施形態では、基材の2つの反対側が第1の組成物で被覆される。一実施形態では、基材全体が第1の組成物で被覆される。
【0076】
有利なことに、第1の組成物は、布地基材への十分な浸透を有し、接着が困難な基材に対する高い接着力をもって湿潤する。
【0077】
一実施形態では、第1の組成物は、第1の組成物中の溶媒の重量に基づき、少なくとも90、または98、または99、または100重量%の溶媒を蒸発させるために布地基材に適用された後に乾燥される。
【0078】
第1の組成物が布地基材に適用された後に第1の組成物を乾燥させる方法の非限定的な例は、100℃超、または少なくとも130℃、または少なくとも150℃の温度で、少なくとも0.5分、または少なくとも1分、少なくとも2分、または少なくとも3分の間オーブンで物品を乾燥することを含む。
【0079】
一実施形態では、布地基材上の第1の組成物の被覆は、乾燥後の被覆重量が、1、または5、または7、または10、または15、または18、または20、または25から、200、または150、または100、または80、または50、または40、または35g/mの上限までである。
【0080】
一実施形態では、オレフィン系層は、布基材上の第1の組成物の被覆と少なくとも部分的に接触する。一実施形態では、オレフィン系層は、押出被覆によって、または予め形成されるオレフィン系フィルムとのラミネーションによって、オレフィン系層に適用される。
【0081】
一実施形態では、被覆基材(または他の物品)は、本明細書に記載されているT−剥離試験に従って測定して、少なくとも2から6kgf/3cmの上限まで剥離強度を有する。一実施形態では、物品は、3kgf/3cm以上の剥離強度を有する。
【0082】
布地基材層。布地基材層は、任意の天然及び/または合成材料を含み得る。合成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン(例えば、スパンデックス材料)、ポリアミド、及びそれらのブレンドまたは組み合わせに基づくさまざまな合成物が挙げられる。天然材料としては、例えば、綿、絹、またはそれらのブレンドが挙げられる。一実施形態では、布地基材層は、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンから調製される。
【0083】
一実施形態では、布地基材層は、不織布、ポリマー、スパンボンド材料である。別の実施形態では、布地基材層は、織布ポリマー材料である。
【0084】
一実施形態では、布地基材層は、85、または90、または95、または100以上から500、または400、または300、または200、または150グラム/平方メートル(g/m)の上限までの重量の材料を含む。一実施形態では、布地基材層の重量は、90〜500、または120〜150、または150〜400、または200〜350g/mである。
【0085】
一実施形態では、布地基材層の厚さは、0.2、または0.3、または0.4以上、1、または0.75、または0.6、または0.5mmの上限までである。一実施形態では、布地基材層の厚さは、0.2〜1、または0.3〜0.6、または0.4〜0.5mmである。
【0086】
一実施形態では、布地は、プレラミネーション処理、例えば、コロナ表面処理または含浸処理を受け得る。
【0087】
一実施形態では、布地基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。一実施形態では、布地基材層は、ポリアミド(PA)を含む。
【0088】
接着剤層。接着剤層は、本明細書に記載の第1の組成物から形成され、これは、本明細書に記載されるような構成要素、少なくとも(A)i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、またはii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマー、またはiii)それらの組み合わせから選択される少なくとも1つのポリマー;B)ポリアミドワックススラリー、ならびにC)有機溶媒を含む。
【0089】
一実施形態では、ポリマー(A)構成要素は、組成物の総重量に基づき、0.1〜20重量%、または無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーの総重量に基づき、10〜40重量%の塩素含有量を有する、本明細書に記載される、無水物及び/またはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。
【0090】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、無水物及び/またはカルボン酸無水マレイン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、0.75〜3重量%の無水マレイン酸官能基の量及び10〜40重量%の塩素含有量を有する無水マレイン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマーである。
【0091】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、本明細書に記載のスチレン系ポリマー及び/または官能化スチレン系ポリマーである。
【0092】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、60%以下のスチレン含有量を有するスチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマーである。
【0093】
一実施形態では、ポリマー構成要素(A)は、本明細書に記載の、i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、ならびにii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマーの混合物である。
【0094】
一実施形態では、接着剤の溶媒構成要素(C)は、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル(EA)、酢酸ブチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0095】
一実施形態では、接着剤層の溶媒溶液構成要素(C)は、エチレン酢酸ビニルを含まない。
【0096】
一実施形態では、第1の組成物は、本明細書に記載の粘着付与剤及び/または可塑剤をさらに含む。
【0097】
一実施形態では、接着剤は、少なくとも以下:
A)0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは10〜25、もしくは15〜25重量%の以下
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマーもしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、から選択される少なくとも1つのポリマーと、
B)以下:
i)0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは5〜10重量%のポリアミドワックススラリー、または
ii)0.5〜40、もしくは0.5〜20、もしくは1〜15、もしくは3〜12、もしくは4〜10重量%の可塑剤のうちの1つと、
C)20〜99、または25〜98、または30〜97、または40〜95、または50〜90、または60〜85、または70〜80、または70〜75重量%の有機溶媒と、
D)0〜40、1〜30、または5〜15重量%の粘着付与剤と、の構成要素を含む第1の組成物から調製され、重量%は、該組成物の総重量に基づき、各重量%は、該組成物の重量に基づく。
【0098】
一実施形態では、接着剤は、少なくとも以下:
A)0.5〜40、もしくは2〜35、もしくは5〜30、もしくは5〜20、もしくは5〜15、もしくは10〜25、もしくは15〜25重量%重量%の以下
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマーもしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、から選択される少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40、または2〜35、または5〜30、または5〜20、または5〜15、または5〜10重量%のポリアミドワックススラリーと、
C)20〜98、または20〜97、または25〜96、または30〜95、または40〜94、または50〜90、または60〜85、または70〜80、または70〜75重量%の有機溶媒と、
D)1〜30、もしくは2〜25、もしくは3〜20、もしくは5〜15重量%の粘着付与剤、ならびに/または
E)1〜15重量%の可塑化剤、のうちの少なくとも1つと、の構成要素を含む第1の組成物から調製され、重量%は、該組成物の総重量に基づき、各重量%は、該組成物の重量に基づく。
【0099】
オレフィン系層
オレフィン系層は、少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成される。オレフィン系ポリマー(複数可)は、オレフィンモノマーから誘導される50重量%単位以上を含む。
【0100】
一実施形態では、オレフィン系層は、0.85〜0.92g/ccの密度(ASTM D792に従って測定されるに従って測定される)及び/または0.1〜80g/10分のメルトフローレート(230℃で2.16kgの下でASTM D−1238に従って測定される)を示すオレフィン系ポリマーを含む。0.85〜0.92g/ccの密度及び0.1〜80g/10分のメルトフローレートの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。密度は、例えば0.85、0.87、0.89、または0.91g/ccの下限から0.86、0.88、0.90、または0.92g/ccの上限までであり得る。一実施形態では、密度は、0.85〜0.92、または0.85〜0.89、または0.89〜0.92、または0.86〜0.91g/ccの範囲であり得る。メルトフローレートは、例えば、0.1、10、30、50、または70の下限から5、25、35、55、75、または80g/10分の上限までであり得る。一実施形態では、メルトフローレートは、0.1〜80、または0.1〜50、または3〜70、または30〜80、または20〜60g/10分の範囲であり得る。
【0101】
一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、プロピレン/α−オレフィンコポリマー、好ましくはプロピレン/エチレンコポリマーと、(i)スチレンブロックコポリマー、(ii)均一分岐エチレン/α−オレフィンコポリマー、(iii)オレフィンブロックコポリマー(OBC)、及び(iv)ランダムポリプロピレンコポリマーのうちの少なくとも1つとを含む。一実施形態では、オレフィン系層は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーと少なくとも2つ、3つ、または4つのコポリマー構成要素(i)〜(iv)とを含む。オレフィン系ポリマーは、単一のプロピレン/α−オレフィンコポリマーまたは2つ以上のプロピレン/α−オレフィンコポリマーのブレンドを含み得る。コポリマー構成要素(i)〜(iv)のそれぞれは、純粋にまたは2つ以上のコポリマーのブレンドとして存在し得る。
【0102】
オレフィン系ポリマーはまた、加工助剤、増量剤、ブロッキング剤、顔料及び/または染料、酸化防止剤、UV安定剤及び/または吸収剤、難燃剤、充填剤(例えばタルク、炭酸カルシウム)などのような1つ以上の任意の添加剤を含み得る。
【0103】
一実施形態では、オレフィン系ポリマーは、少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50重量%のプロピレン/α−オレフィンコポリマーを含む。一実施形態では、オレフィン系ポリマー中のプロピレン/α−オレフィンコポリマーの最大量は、典型的には90、または80、または70重量%である。
【0104】
一実施形態では、オレフィン系ポリマー中のコポリマー構成要素(i)〜(iv)の総量は、少なくとも10、または20、または30重量%である。一実施形態では、オレフィン系層中のコポリマー構成要素(i)〜(iv)の最大総量は、70、または60、または50重量%である。
【0105】
一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」は、その配列が、0.85、または0.90、または0.92、または0.93より大きい13C NMRによって測定されるアイソタクチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアドは、本分野において周知であり、例えば、USP5,504,172及びWO00/01745に記載されており、これは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖中のトライアド単位に関してアイソタクチックな配列を指す。
【0106】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16kg)に従って測定して、0.1〜25g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR)を有し得る。0.1〜25g/10分までの個々の値及び部分範囲は全てこの範囲に含まれ、開示される。一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーのMFRは、0.1、0.2、または0.5g/10分の下限から25、または15、または10、または8、または5g/10分の上限までであり得る。一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.1〜10、または0.2〜10g/10分の範囲のMFRを有し得る。
【0107】
一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.85〜0.89g/ccの密度を有する。0.850〜0.890g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーの密度は、0.850、0.860、0.870または0.880g/ccの下限から0.855、0.865、0.875、0.885または0.890g/ccの上限までであり得る。一実施形態では、密度は、0.850〜0.890、または0.850〜0.870、または0.870〜0.890、または0.8〜0.888g/ccであり得る。
【0108】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレン及び1つ以上のα−オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。プロピレン/α−オレフィンコポリマーを製造するために利用される例示的なコモノマーは、C及びC〜C10α−オレフィン、例えば、C、C、C及びCα−オレフィンである。一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1つ以上のα−オレフィンコモノマーから誘導される1〜30重量%の1つ以上の単位を含む。
【0109】
一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3.5以下、または3.0以下、または1.8〜3.0の、重量平均分子量を数平均分子量で割ったもの(M/M)として定義される、分子量分布(MWD)を有する。
【0110】
適切なプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、例えば、USP6,960,635及びUSP6,525,157に記載される。適切なプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、例えば、The Dow Chemical CompanyからVERSIFYの商品名で、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXXの商品名で市販されている。
【0111】
一実施形態では、プロピレン/α−オレフィンは、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0112】
一実施形態では、オレフィン系層は、プロピレン/α−オレフィンコポリマー及びオレフィンブロックコポリマー(OBC)を含む組成物から形成される。適切なオレフィン−ブロックコポリマー(OBC)は、例えば、TheDowChemicalCo.から商品名INFUSEOlefinBlockCopolymersとして市販されている。
【0113】
物品
さらに別の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される任意の実施形態による被覆基材から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品を提供する。
【0114】
実施形態では、物品は積層体である。
【0115】
物品の非限定的な例としては、食品パッケージ、パイプ、ボトル、バッグ、合成皮革、ターポリン、コンベヤベルト、ホース、チューブ、バックパック、ブリーフケース、トート、及びテント、エアマットレス、人工皮革、及び旅行かばんが挙げられる。追加の用途は、履物用接着剤、エラストマーを金属に結合するための接着剤、及びポリオレフィンを用いたテクニカルテキスタイルのオーバーモールドである。
【0116】
物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0117】
定義
これとは反対に、文脈から黙示的に、または本分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは重量に基づくものであり、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0118】
米国特許実務の目的のために、参照された特許、特許出願または刊行物の内容は、特に、合成技術、生成物及び加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において具体的に提供される任意の定義と矛盾しない範囲で)、ならびに本分野の一般知識の開示に関して、その全体が参考として組み込まれる(またはその同等の米国特許は参照により組み込まれる)。
【0119】
本開示における数値範囲は近似値であり、したがって、特に明記しない限り、範囲外の値を含み得る。数値範囲は、低い値と高い値との間に少なくとも2つの単位が分離されていれば、1つの単位の増分で下限値及び上限値を含む全ての値を含む。一例として、分子量、重量パーセントなどの組成、物理的または他の特性が100〜1,000である場合、その意図は、100、101、102などの全ての個々の値、及び100〜144、155〜170、197〜200などの部分範囲が明示的に列挙されていることである。1未満または1より大きい分数(例えば、0.9、1.1など)を含む値を含む範囲については、1つの単位は、必要に応じて0.0001、0.001、0.01、または0.1とみなされる。10より小さい1桁の数字(例えば、1〜5)を含む範囲については、1つの単位は、典型的には0.1とみなされる。これらは、具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の全ての可能な数値の組み合わせは、本開示において明示的に述べられるとみなされるべきである。数値範囲は、とりわけ、本発明の組成物中のさまざまな構成要素の量、ならびにこれらの組成物及びこれらの組成物から作られた光学ケーブル保護構成要素が定義されることによるさまざまな特徴及び特性についての本開示内で提供される。
【0120】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」及び同様の用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上のポリマーの混合物を意味する。ブレンドは、混和性であってもなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していてもいなくてもよい。ブレンドは、透過型電子分光法、光散乱、X線散乱、及び本分野で既知の他の方法から決定されるように、1つ以上のドメイン配置を含んでも含まなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂またはコンパウンディング)またはミクロレベル(例えば、同じリアクター内での同時成形)で2つ以上のポリマーを物理的に混合することによって達成され得る。
【0121】
本明細書で使用される場合、「塩素化オレフィン系ポリマー」は、少なくとも1つの塩素を含むオレフィン系ポリマーを指す。
【0122】
本明細書で使用される場合、「官能化塩素化オレフィン系ポリマー」は、少なくとも1つの塩素、及び無水物、カルボン酸塩、−COOH、アミン、OH、カルボニル、アクリレート、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの化学基を含むオレフィン系ポリマーを指す。
【0123】
本明細書で使用される場合、「組成物」及び同様の用語は、組成物を含む2つ以上の材料の混合物またはブレンド、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を意味する。
【0124】
「含む(Comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているか否かにかかわらず、追加の構成要素、ステップまたは手順の存在を排除することを意図しない。疑義を避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用により請求される全ての組成物は、逆のことが言及されない限り、ポリマー性であろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「本質的に〜からなる」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、後続するあらゆる引用の範囲から任意の他の構成要素、ステップまたは手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に描写または記載されていない任意の構成要素、ステップまたは手順を排除する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「エラストマー」及び同様の用語は、粘弾性を有するポリマーを意味する。一般に、エラストマーは、熱可塑性樹脂のような他の材料と比較して、より低い引張弾性率及びより高い破壊歪みを有するであろう。
【0126】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」及び同様の用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。したがって、一般用語インターポリマーは、コポリマー(2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、2つ超の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマータイプ)及びテトラポリマー(4つの異なるモノマータイプ))を含む。
【0127】
本明細書で使用される場合、「層」及び同様の用語は、表面に広がるかまたは表面を被覆する化合物、ポリマーまたは組成物の単一の厚さまたは被覆を意味する。
【0128】
本明細書で使用される場合、「オレフィンベースの層」及び同様の用語は、少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む組成物から形成された層を意味する。オレフィン系ポリマーは、オレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレン)から誘導された大部分の重量%のモノマー単位を含む。
【0129】
本明細書で使用される場合、「不織布」及び同様の用語は、化学的、機械的、熱的、または溶媒処理によって一緒に結合される繊維から作製された布地または同様の材料を意味する。この用語は、織られているまたは編まれているものどちらでもなく、フェルトのような布地を示すのに使用される。
【0130】
本明細書で使用される場合、「オレフィンベースのポリマー」及び同様の用語は、大部分の量の重合したオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。
【0131】
「ポリアミドワックススラリー」とは、少なくとも1つのポリアミドワックスを少なくとも1つの有機溶媒中に懸濁させたものを指す。組成物は、増粘剤及びレオロジー調整剤としてのポリアミドワックススラリー構成要素(B)を含む。本発明のハロゲンまたはハロゲンを含まない組成物にポリアミドワックススラリー増粘剤を含めることにより、異なる作業性を満たし得る安定した接着剤組成物(すなわち、相分離なし)及び調節可能な粘度が得られる。
【0132】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」及び同様の用語は、同一または異なるタイプのモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、一般的なポリマーという用語は、ホモポリマーという用語(1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すために使用され、微量の不純物がポリマー構造に取り込まれ得るという理解を伴う)、及び以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物、例えば、触媒残渣をポリマー中及び/またはポリマー内に組み込むことができる。
【0133】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」は、重合形態で、(ポリマーの総重量に基づき)大部分の重量パーセント(重量%)のプロピレンモノマーを含むポリマーを指し、任意に1つ以上のコモノマーを含んでいてもよい。
【0134】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系インターポリマー」、「プロピレン系エラストマー」及び同様の用語は、重合形態で、(ポリマーの総重量に基づき)大部分の重量パーセント(重量%)のプロピレンモノマー、及び任意に少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。
【0135】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づき)大部分の量のプロピレンモノマー、及び少なくとも1つのα−オレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0136】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α−オレフィンコポリマー」は、2つだけのモノマータイプとして、重合形態で、(コポリマーの重量に基づき)大部分の量のプロピレンモノマー、及びα−オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0137】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンコポリマー」は、2つだけのモノマータイプとして、重合形態で、(コポリマーの重量に基づき)大部分の重量パーセント(重量%)(すなわち、>50重量%)のプロピレンモノマー、及びエチレンを含むコポリマーを指す。
【0138】
本明細書で使用される場合、「プロピレンランダムインターポリマー」、「プロピレンランダムコポリマー」及び同様の用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づき)大部分の重量パーセント(重量%)のプロピレンモノマー、及びポリマー鎖にわたりランダムに分布する少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。
【0139】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」は、重合形態で、(ポリマーの総重量に基づき)大部分の重量パーセント(重量%)のエチレンモノマーを含むポリマーを指し、任意に1つ以上のコモノマーを含んでいてもよい。
【0140】
本明細書で使用される場合、「エチレン系インターポリマー」は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づき)大部分の重量パーセントのエチレン、及び少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づき)大部分の量のエチレンモノマー、及び少なくとも1つのα−オレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0142】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α−オレフィンコポリマー」は、2つだけのモノマータイプとして、重合形態で、(コポリマーの重量に基づき)大部分の量のエチレンモノマー、及びα−オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0143】
本明細書で使用される場合、「スパンボンド布地」及び同様の用語は、押出され紡糸されたフィラメントを集束ベルト上に均一でランダムな方法で堆積させた後に繊維を結合させることによって作製された布地または同様の材料を意味する。
【0144】
本明細書で使用される場合、「スチレン系ポリマー」及び同様の用語は、ポリマーの重量に基づき、10重量%を超えるスチレンを含有し、及び任意に1つ以上の他のコモノマーを含有するポリマーを指す。
【0145】
本明細書で使用される場合、「スチレンブロックコポリマー」及び同様の用語は、別のコモノマーの別のブロックセグメントと組み合わせてスチレンモノマーの少なくとも1つのブロックセグメントを有するエラストマーを指す。スチレンブロックコポリマーの構造は、線状または放射状タイプ、及びジブロックまたはトリブロックタイプであってもよい。
【0146】
本明細書で使用される場合、「官能化スチレン系ポリマー」は、無水物、カルボン酸塩、−COOH、アミン、OH、カルボニル、アクリレート、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの化学基を含むスチレン系ポリマーを指す。
【0147】
試験方法
特定の材料に特に明記されていない限り、試験方法は以下を含む。
【0148】
乾燥した被覆布地の重量(グラム)を秤量し、布地の重量と乾燥した被覆布地の重量との間の差を求めることにより、被覆重量(g/m)を測定する。次いで、被覆重量は、測定された重量差を面積で割ることによって計算される。
【0149】
密度(g/ccまたはg/cm)は、ASTM D792に従って測定される。
【0150】
スチレンブロックコポリマーについてのメルトインデックス、I(MI)(g/10分)は、ASTM D−1238、条件230℃/5.0キログラム(kg)の重量に従って測定される。
【0151】
オレフィンブロックコポリマーのメルトフローレート(MFR)(g/10分)は、ASTM D−1238に従って、230℃/2.16kgの条件で測定される。
【0152】
ASTM F2256に従ったInstron T−剥離強度試験標準に従い、被覆布地の剥離強度試験(kgf/3cm)を実施した。試料は、本明細書に記載されるように、布地を接着剤組成物で被覆し、組成物を乾燥し、下塗りされた布地表面をポリオレフィン(POE)シートで覆ってプレ積層構造体を形成し、そして構造体を熱積層することによって調製される。積層体の中央部分を、それぞれ3cm×15cm及び約0.8mmの厚さの3つの試験片に切断した。T−剥離試験は、ASTM D751−06に従って300mm/分のクロスヘッド速度での180°剥離試験を使用してINSTRONで実施される。データは、平均負荷/幅に等しい剥離強度(kgf/3cm)として現れる層間剥離の38.1mmについて記録された平均荷重について収集された。
【0153】
軟化点(環球軟化点)は、ASTM E28に従って測定される。
【0154】
特定の実施形態
材料及び試薬−以下の材料が使用される。
【0155】
【表1】
【0156】
研究1では、PET布地及びPA布地上への線材法による被覆のために、以下の表2A及び2Bに提供される配合に従って、5つの試験例(1つのブランクを含む)を調製した。ブランク(CE1)については、POEシートを任意の接着剤なしで布地に直接積層した。
【0157】
【表2A】
【0158】
【表2B】
【0159】
研究2では、以下の表3に示す配合に従って、本発明による5つの試験例及び4つの比較例(1つのブランクを含む)を、転写捺染法によってPET布地上に被覆するために調製した。
【0160】
【表3】
【0161】
接着剤調製接着剤組成物(表2及び3)は、ベース樹脂(ポリマー(A))を以下のように有機溶媒に別々に予め溶解して調製した。(1)メチルシクロヘキサン(MCH)中の20重量%のMAH−g−CPO、(2)メチルシクロヘキサン(MCH)中の20重量%のSEBS、ERS SEBSまたはMAH−g−SEBS、及び(3)酢酸エチル(EA)中のロジンの20重量%のS202エステル。ベース樹脂溶液、増粘剤及び可塑剤を、異なる配合に従って3つ首フラスコに導入し、次いで室温で15分間、500〜2000rpmで撹拌した。その後、均質な接着剤組成物を後の適用のためにガラス瓶に密封した。
【0162】
接着剤試料の固形分は20重量%であった。製剤の安定性を目視検査により判定した。室温で24時間後に相分離すると、配合物の安定性が不良であることが示された。6ヶ月後に室温で相分離が起こらない場合、安定性は許容可能であると考えられる。
【0163】
布地接着手順。布地接着手順は、次の4つのステップを含んだ:布地上に接着剤を適用、接着剤層をオーブン乾燥(120℃で)して有機溶媒を除去、被覆布地の接着剤層上へのPOEシートの熱ラミネーション(115℃で)、及びT−剥離強度試験。
【0164】
A)線材被覆プロセス。PET及びPA布地上への接着剤組成物(表2)の線材被覆を、以下の工程に従って行った:
1)粘着テープで布地(約20cm×19cm、厚さ0.5mm)を印刷用紙に固定する。
2)ステップ1の布地試料を粘着テープでKコーターに固定する(K 202制御コーター、RK PrintCoat Instruments, Ltd,, UK)。被覆する前に接着剤が布地に染み込んでいないことを保証するために、テープの適切な部分が接着剤組成物を保持するようにして、装置の右の線材(No.1 黄色のKバー、RK PrintCoat Instruments,Ltd.,UK)を固定する。
3)テープを覆った状態で、10g〜20gの接着剤組成物を布地に加える。装置のモーターを始動し、接着剤組成物を迅速に適用する。
4)線材を外し、迅速にそれを掃除する。試料を取り出し、換気フードにそれを5分間置く。試料を120℃の熱オーブンに3分間入れる。
5)オーブンから試料を取り出し、フードにそれを入れて室温に冷却する。
6)被覆重量を測定する(例えば、PET布地については15〜35gms、PA布地については8〜15gms)。
【0165】
B)転写印刷被覆プロセス。接着剤組成物(表3)のPET布地上への転写印刷被覆を、以下の工程に従って行った:
1)剥離紙(30cm×30cm)をコーターに固定する。粘着剤組成物の粘度に合った正しいサイズ/幅の巻取りバーを選択し、巻取りバーを剥離紙の端に置く。
2)剥離紙上に10g〜20gの接着剤組成物を添加し、巻取りバーを用いて紙の長手方向に沿って接着剤組成物を迅速にこすり落とす。
3)接着剤が乾燥する前に、布地を被覆剥離紙上に迅速に置く。試料を換気フードに5分間置き、次いで、試料を120℃の熱オーブンに3分間移す。
4)オーブンから試料を取り出し、フードにそれを入れてそれを室温に冷却する。次いで、剥離紙を剥がした後、接着フィルムを布地側に転写し得る。
5)被覆布地をPOEフィルム上に置き、布地を手で軽くたたいて、被覆布地とPOEフィルムとが密着していることを確認する。次いで、被覆布地/POEフィルムシートを2本ロールミルに通して、プレ積層構造体を形成する。
【0166】
ラミネーション。熱ラミネーション手順を以下の工程に従って行った:
1)POEカレンダー加工シートは、ラミネーション前に調製される。
2)ホットプレス(圧縮成形機)を所望の温度(例えば、115±2℃)及び圧縮力(例えば、4kN)に設定する。全てのシートポイントが均等に応力を受けるように、プレスの底圧盤にPET不織パッドを置く。ブランク(CE−1)については、POEシートを接着剤層なしで布地に直接積層した。
3)POEシート(サイズ15×15cm、厚さ0.3±0.1mm)を布地の下塗りされた側の上に置く。積層後に容易に剥離できるように、積層体の一端に沿ってPOEシートと布地との間に紙のテープを挿入する。
4)プレスを開放し、POEシート/布地をパッドの上に置く。POEシートと圧盤の貼り付きを避けるために、POEシートをアルミホイルで覆う。迅速にプレスを閉じる。
5)設定された時間(例えば、12秒)でタイミングを開始し、プレスを開放する。
6)試料を取り出し、ホイルを下側にして室温までそれを冷却する。
【0167】
被覆重量。被覆布地の分野では、一般に、被覆厚さの代わりに被覆重量が使用される。試料について、本発明の実施例及び比較例の両方の被覆重量は、8〜30グラム/平方メートル(g/m)である。
【0168】
積層体の試験。被覆布地のInstron剥離強度試験は、ASTM F2256に従うT−剥離試験標準に従って実施された。3つの長方形の試験片(サイズ:3cm×15cm、厚さ:0.8mm)を、試料の中央部から積層試料の長手方向に沿って切断した。300mm/分のクロスヘッド速度を用いて180度剥離試験を用いてInstron上で剥離強度を測定した。データは、平均負荷/幅に等しい剥離強度(kgf/3cm)として現れる層間剥離の38.1mmについて記録された平均荷重について収集された。1試料につき3つの試験片から平均荷重(kgf)を記録し、平均剥離強度(kgf/3cm)を算出した。
【0169】
結果
表2/線材法により被覆された比較可能な及び本発明の接着剤
被覆PET布地の接着。表2に見られるように、ブランク試料CE−1は、PET布地とPOEシートとの間の純粋な機械的インターロッキング効果によって引き起こされる低い剥離強度(0.51kgf/3cm)を有していた。PET布地とPOEシートとの間に粘着付与剤のみを使用した比較例CE−2も非常に低い剥離強度(0.54kgf/3cm)を有し、これは粘着付与剤単独の使用ではPET布とPOEシートとの間に十分な接着性を得られないことを示す。
【0170】
粘着付与剤をERS SEBSまたはMAH−g−SEBS系配合物に導入することにより、IE−1(2.91kgf/3cm)の剥離強度は、粘着付与剤を含まない対応する実施例IE−4’(2.25kgf/3cm)の剥離強度よりも高かった。IE−2(3.66kgf/3cm)の剥離強度は、その対応する実施例IE−5’(3.21kgf/3cm)の剥離強度よりも高かった。これは、剥離強度データが、全て市販されている接着剤(1.6kgf/3cm)よりも高いことから、ERS SEBSまたはMAH−g−SEBS系接着剤の剥離強度を、粘着付与剤の導入によりさらに改善し得ることを示す。
【0171】
MAH−g−CPO/SEBS系ハロゲン接着剤CE−6の場合、剥離強度は高い(4kgf/3cm)が、安定性が悪く、1日保存後に明らかな相分離が観察された。粘着付与剤及び増粘剤を配合物に導入することにより、本発明の実施例IE−3は安定し、その剥離強度は4.57kgf/3cmに増加した。ERS SEBSまたはMAH−g−SEBSによるSEBSの置換は、IE−4(4.25kgf/3cm)及びIE−5(4.35kgf/3cm)の剥離強度を増加させ、これは、いずれもCE−6の剥離強度(4kgf/3cm)よりも高かった。
【0172】
被覆PA布地の接着被覆PA布地中のIE−4’とIE−1またはIE−5’との剥離強度データをIE−2と比較すると、粘着付与剤の添加によって剥離強度がさらに改善された。さらに、SEBSまたはMAH−g−SEBSと粘着付与剤との相乗的な性能は、本発明の実施例IE−1〜IE−5の全てに見られ得る。
【0173】
要約すると、非ハロゲン系本発明の接着剤IE−1及びIE−2は、市販の2k接着剤CE−3(PET布地中1.6kgf/3cm)と比較して、被覆PET布地中においてより高い剥離強度(それぞれ、2.9及び〜3.7kgf/3cm)を有した。ハロゲンを含まない本発明の接着剤は、環境にやさしく(芳香族溶媒、ハロゲンも原料中にない)、柔軟性のある作業性を有し、市販の接着剤に比べてコスト効率がよい(低いまたは同等の価格)。
【0174】
ハロゲン系の本発明の接着剤実施例(IE−3、IE−4、IE−5)は、被覆PA布地における被覆PA布地(3.79、4.00、3.95kgf/3cm)と比較して、被覆PET布地においてより高い剥離強度(それぞれ、4.6、4.25、4.35kgf/3cm)を有した。いずれの特定の理論にも拘束されるものではないが、これらの結果は、PET布地のものよりも滑らかであったPA布地の形態に起因している可能性があり、その結果、接着剤被覆とPA布地との間のインターロッキングが少なくなる。ハロゲン系の本発明の接着剤は、環境に優しく(芳香族溶媒なし)、柔軟な作業性を有する。
【0175】
表3/転写捺染法により被覆された比較可能な及び本発明の接着剤
被覆PET布地の接着ブランク試料CE−7は、2つの層の間に任意の接着剤を使用せずにPET布地に直接積層されたPOEシートから構成された。対応する剥離強度は低かった(1kgf/3cm)。市販の2K接着剤CE−8は、2kgf/3cmの剥離強度を示した。
【0176】
純粋なMAH−g−SEBS及びSEBS試料、CE−9及びCE−10は、それぞれ3.25及び1.10kgf/3cmの剥離強度を示した。
【0177】
DINCH可塑剤の添加は、剥離強度を有意に改善した。SEBS系接着剤IE−6プラス5重量%DINCH可塑剤は、10重量%DINCHの添加により4.1kgf/3cmの剥離強度、及びIE−7について5.41kgf/3cmでさらに高い剥離強度を示した。それぞれ5重量%及び10重量%DINCHで作製されたMAH−g−SEBS系接着剤IE−8及びIE−9も、4.3及び4.1で高い剥離強度を示した。
【0178】
SEBS系接着剤IE−10にATBC可塑剤を添加すると、3.1kgf/3cmの剥離強度を生じた。
【0179】
本発明は、本明細書に含まれる実施形態及び図に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に含まれるように、実施形態の一部及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含む実施形態の変形形態を含む。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
組成物であって、少なくとも以下:
A)少なくとも1つのポリマーであって、以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマー及び/もしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、
から選択される、少なくとも1つのポリマーと、
B)ポリアミドワックススラリーと、
C)有機溶媒と、
を含む、組成物。
項2.
A)0.5〜40重量%の前記少なくとも1つのポリマーと、
B)0.5〜40重量%の前記ポリアミドワックススラリーと、
C)20〜99重量%の前記有機溶媒と、を含み、
前記重量%は、前記組成物の総重量に基づく、請求項1に記載の組成物。
項3.
前記構成要素Aポリマーは、無水マレイン酸(MAH)官能化塩素化オレフィン系ポリマーである、請求項1または2に記載の組成物。
項4.
前記構成要素Aは、
i)無水マレイン酸官能基化塩素化オレフィン系ポリマーと、
ii)スチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマー、強化ゴムセグメントスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(ERS SEBS)、及び無水マレイン酸グラフトスチレン/エチレンブチレン/スチレンコポリマー(MAH−g−SEBS)のうちの少なくとも1つとの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
項5.
前記構成要素Cの有機溶媒は、非芳香族及び非塩素化溶媒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
項6.
粘着付与剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
項7.
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品。
項8.
被覆基材であって、以下:
a)布地基材層と、
b)接着剤層であって、少なくとも以下:
A)少なくとも1つのポリマーであって、以下:
i)無水物及び/もしくはカルボン酸官能化塩素化オレフィン系ポリマー、または
ii)スチレン系ポリマーもしくは官能化スチレン系ポリマー、または
iii)i)及びii)の組み合わせ、
から選択される少なくとも1つのポリマー、
B)ポリアミドワックススラリー、ならびに
C)有機溶媒、
を含む、第1の組成物から形成される、接着剤層と、
c)少なくとも1つのオレフィン系ポリマーを含む第2の組成物から形成されるオレフィン系層と、を含む、被覆基材。
項9.
前記接着剤層は、粘着付与剤をさらに含む、請求項8に記載の被覆基材。
項10.
請求項8または9に記載の被覆基材から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品。