特許第6877504号(P6877504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877504
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】平滑縁を有する形成された熱可塑性物品
(51)【国際特許分類】
   B29C 37/02 20060101AFI20210517BHJP
   B29C 53/18 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   B29C37/02
   B29C53/18
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-153850(P2019-153850)
(22)【出願日】2019年8月26日
(62)【分割の表示】特願2018-530665(P2018-530665)の分割
【原出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2020-6696(P2020-6696A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】62/212,367
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518068132
【氏名又は名称】コンバーター マニュファクチャリング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス,ミラード,エフ.
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−086216(JP,A)
【文献】 特開昭62−135151(JP,A)
【文献】 特開2011−162206(JP,A)
【文献】 特開2005−271465(JP,A)
【文献】 特表2018−526256(JP,A)
【文献】 特表2008−546563(JP,A)
【文献】 特開平11−048332(JP,A)
【文献】 特開2014−061950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 37/00−37/04
B29C 51/00−51/46
B29C 53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸みを帯びた角部及び丸みを帯びた周辺を有する長方形のトレーの形状を有する物品であって、
周辺縁部を有する熱可塑性シートであって、前記シートは、
本体と、
前記周辺縁部に偏向可能なフランジと、を有し、前記偏向可能なフランジは、
前記周辺縁部を含む周辺フランジと、
前記本体に前記偏向可能なフランジを接続する屈曲領域であって、平滑な湾曲の構成を有する屈曲領域と、
前記周辺フランジが前記屈曲領域を越えて周辺に延在するように、前記周辺フランジ及び前記屈曲領域を接続する肘部と、を含むように形成され、
前記周辺フランジ及び前記屈曲領域が、前記周辺縁部が前記偏向可能なフランジの他の部分の下に押し込まれて前記物品の周辺に近づけないように十分に前記物品の前記周辺でそのに丸められる、物品。
【請求項2】
前記屈曲領域と前記本体との間に平坦な延長部が挟み込まれる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記延長部は、前記延長部に前記周辺フランジを接触させる程度まで、周辺の反対への前記偏向可能なフランジの偏向のための空間を提供するために十分な大きさを有する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記屈曲領域と前記肘部との間に平坦なスペーサーが挟み込まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
前記スペーサーの長さは、前記延長部に前記周辺フランジを接触させる程度まで、周辺の反対への前記偏向可能なフランジの偏向を促すために十分である、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記肘部は、前記スペーサーに対して直角に前記周辺フランジを接続する、請求項4又は5に記載の物品。
【請求項7】
前記周辺縁部は前記物品の周辺内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記周辺縁部は、前記屈曲領域の下に、及び、存在する場合に前記延長部の下に、押し込まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルから構成された群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記偏向可能なフランジは、前記シートの周辺縁部の全体の周りにあり、前記物品は、その周辺の全体の周りに平滑にされる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の物品。
【請求項11】
非熱可塑性材料が前記熱可塑性シートに積層される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の物品。
【請求項12】
前記非熱可塑性材料は、金属箔及び板紙層から構成された群から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記熱可塑性材料は、剥がせる層を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
前記本体は、凹状の区画を規定し、前記物品は、前記区画を包囲する平坦な封止面を有し、前記区画の周りで完全に前記封止面に封止された上部シートは、封止された区画をもたらす、請求項1〜13のいずれか1項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本開示は、概して、造形された熱可塑性物品を形成する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] 熱可塑性材料から造形された物品を形成することは周知である。軟化又は溶融された溶融熱可塑性物質又は予め形成された熱可塑性シートに形状を付与するために、多様な方法(例えば、熱成形、注型成形、金型成形、及び回転成形)が使用され得る。
【0003】
[0004] 造形された物品の1つ又は複数の縁部から廃材をトリミングすることは、一般的な仕上げ技法であるが、鋭い縁部が残り、縁部が皮膚を負傷させるか、又は縁部と接触した材料を裂く又は切る可能性がある。造形された熱可塑性物質の一般的用途は、食品を含有することが意図され、透明プラスチックフィルムで封止することが意図されたトレー、ボール、又は容器など、薄いプラスチックフィルムで封止できる容器を形成することである。このような容器の封止は、通常、容器内に形成された区画にわたってフィルムを延在又は伸張させることと、区画周辺の周りにフィルムを封止することとを伴い、その区画周辺は、区画を含む物品のトリミングされた縁部に隣接して据えられることが多い。その縁部が鋭い場合、縁部がフィルムを切る又は破る可能性があり、封止処理を妨げる。
【0004】
[0005] 負傷又は封止フィルムの損傷の危険性を低減できるような方法で、造形された熱可塑性物品の鋭い縁部を置換できるのであれば有益であろう。本明細書に開示される主題は、従来の造形された熱可塑性物品のこの欠点に対処する。
【発明の概要】
【0005】
[0006] 本開示は、熱可塑性材料から作成された物品上に平滑縁を形成する方法に関する。この方法は、本体の縁部に偏向可能なフランジを形成するステップを含む。偏向可能なフランジは、周辺フランジの周辺端部に熱可塑性材料の周辺縁部を含む。周辺フランジは、肘部によってスペーサーに連結され、かつ周辺フランジの距離だけスペーサーを越えて周辺に延在する。スペーサーは、屈曲領域によって本体に連結され、屈曲領域は、スペーサーと本体との間に鋭角を規定する。偏向可能なフランジは、上部本体によって規定された空洞の内部内に付勢され、肘部と内部との間の距離は、空洞の内部の一部が周辺フランジに衝突する際に偏向可能なフランジが屈曲領域で偏向するように周辺フランジの距離より短い。熱可塑性材料を屈曲領域で軟化させるために十分な熱が屈曲部に加えられる。上部本体と物品とが分離され、それにより、屈曲領域は、冷却時に偏向されたままであり、物品上に平滑縁をもたらす。この方法を使用して、物品の周辺全体の周りに平滑縁を形成することができる。そのようにするために、偏向可能なフランジが物品の縁部全体の周りに形成され、空洞の内部は、偏向可能なフランジが内部内に付勢されると、物品のすべての縁部の周りで偏向可能なフランジに同時に衝突するように構成される。
【0006】
[0007] また、本開示は、封止された区画を形成する方法に関する。この方法は、実質的に平坦な封止面によって包囲された凹状の区画を有する物品を形成するために熱可塑性シートを熱成形するステップと、封止面に対して周方向にシートから物品を切断するステップと、上述されたように物品の周辺全体の周りに平滑縁を形成するステップと、その後、封止された区画を形成するために封止面に上部シートを封止するステップと、を含む。この方法の一実施形態では、上部シートは、上部シートが封止面に封止された後、封止面の周りで周辺をトリミングされる。別の実施形態では、上部シートは、封止面に熱封止される。
【0007】
[0008] 本開示は、封止された区画を形成する方法にさらに関する。この方法は、実質的に平坦な封止面によって包囲された凹状の区画を有する物品を形成するために熱可塑性シートを熱成形するステップと、封止面に対して周方向にシートから物品を切断するステップと、上述されたように物品の周辺全体の周りに平滑縁を形成するステップと、その後、封止された区画を形成するために物品の周りに可撓性プラスチックフィルムを巻き付けかつ封止するステップと、を含む。
【0008】
[0009] 本明細書に記載された方法では、空洞の内部内に偏向可能なフランジを付勢した後かつ上部本体と物品とを分離する前に、ラムを、内部内に及び内部に近接対向させて、ラムの面が屈曲領域に衝突しかつ偏向可能なフランジを屈曲領域でさらに偏向させる程度に偏向可能なフランジの背後に付勢する。面は、例えば実質的に平面であり得る。また、面は、周辺フランジに衝突する内部の一部に実質的に垂直でもあり得る。面は、周辺フランジに衝突する内部の一部と鈍角を規定することができる。面は、内部に対して凹状輪郭を有することができる。
【0009】
[0010] 非加熱に基づく実施形態では、本開示は、熱可塑性材料から作成された物品上に平滑縁を形成する方法に関する。この方法は、本体の縁部に偏向可能なフランジを形成することを含み、偏向可能なフランジは、周辺フランジの周辺縁部における熱可塑性材料の周辺縁部を含む。周辺フランジは、肘部によってスペーサーに連結され、かつ周辺フランジの距離だけスペーサーを越えて周辺に延在する。スペーサーは、屈曲領域によって本体に連結され、屈曲領域は、スペーサーと本体との間に鋭角を規定する。偏向可能なフランジは、上部本体によって規定された空洞の内部内に付勢され、スペーサーと内部との間の距離は、周辺フランジの距離より小さい。偏向可能なフランジは、それによって空洞の内部の一部が周辺フランジに衝突する際に屈曲領域で偏向される。熱可塑性材料を屈曲領域で不可逆的に屈曲させるために十分な圧力が屈曲領域に加えられる。上部本体と物品とが分離され、それにより、屈曲領域は、圧力の除去時に偏向されたままであり、物品上に平滑縁をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】その縁部に形成された偏向可能なフランジ160を有する熱可塑性物品100の断面図を示す。
図1B】上部本体200の内部内に挿入された熱可塑性物品100を示す。
図1C】ラム300を上部本体200の内部内に熱可塑性物品100の背後で挿入する結果を示す。
図2A】ラム300の上に配置された上部本体200を示す。
図2B】ラム300と係合された上部本体200を示す。
図2C図2Bに示された係合された上部本体200及びラム300の切取図であり、ラム300の一部が上部本体200内に適合し、上部本体200内の凹部の内面に近接対向していることを示す。
図2D図2Cに示された断面の詳細であり、ラム300と上部本体200の内部との間の近接対向を示す
図3A】指がトレーの内部に見られ、平滑にされた角部が指の左に見られる。
図3B】トレーのリムの下からも見た、同様に作成されたトレーの平滑にされた角部の別の図である。
図3C】平滑にされた角部の図であり、偏向可能なフランジの屈曲領域が屈曲し、軟化し、冷却することによって形成された平滑領域を指が指している。
図4】本明細書に記載された方法を使用して形成される、貯蔵容器物品100を通して切り取った断面を示す。
図5】本明細書に記載された方法を使用して形成される、貯蔵容器物品100を通して切り取った断面を示す。
図6A】熱可塑性材料のシートから熱成形されたトレー形状の物品内に形成された偏向可能なフランジを示す。
図6B】熱可塑性材料のシートから熱成形されたトレー形状の物品内に形成された偏向可能なフランジを示す。
図7A】水平面(水平実線)上に着座する熱可塑性シートから形成された物品100が、本明細書に記載されたように平滑にされたその周辺縁部を有する実施形態を示す。
図7B】水平面(水平実線)上に着座する熱可塑性シートから形成された物品100が、本明細書に記載されたように平滑にされたその周辺縁部を有する実施形態を示す。
図7C】水平面(水平実線)上に着座する熱可塑性シートから形成された物品100が、本明細書に記載されたように平滑にされたその周辺縁部を有する実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0011] 図1は、図1A図1B、及び図1Cからなり、本明細書に記載された構造及び方法の基本動作を示す。平行な直線「//」は、わかりやすくするために割愛された断面を示す。
【0012】
[0012] 図1Aは、その縁部に形成された偏向可能なフランジ160を有する熱可塑性物品100の断面図を示す。この実施形態では、偏向可能なフランジ160は延長部50、屈曲領域150、スペーサー140、及び周辺フランジ120を含む。延長部50は、物品の造形された本体10を偏向可能なフランジの屈曲領域150に連結させる。スペーサー140を屈曲領域150と周辺フランジ120との間に介入させることができる。周辺フランジ120は、スペーサー140に肘部130を介して連結され、肘部130は、この実施形態では直角の屈曲として示されており、物品100を形成した熱可塑性材料(この図では太い実線によって表されている)の周辺縁部110で終了する。
【0013】
[0013] 図1Bは、上部本体200の内部内に挿入された熱可塑性物品100を示す。この実施形態では、周辺フランジ120の周辺縁部110が上部本体200の内面202に衝突することにより、偏向可能なフランジ160が屈曲領域150内の1つ又は複数の点で屈曲するために偏向可能なフランジ160が損なわれる。
【0014】
[0014] 図1Cは、ラム300を上部本体200の内部内に熱可塑性物品100の背後で挿入する結果(すなわち、ラム300が図1Bに示された構造体内に挿入されたとき)を示す。ラム300は、上部本体200の内面202に近接対向され、周辺フランジ120の周辺縁部110がラム300の上面302に衝突することにより、偏向可能なフランジ160の偏向がさらにより大きくなり、屈曲が誘発される屈曲領域150内の点で物品100に丸みを帯びた周辺がもたらされる。
【0015】
[0015] 図2は、図2A図2B図2C、及び図2Dからなり、丸みを帯びた角部を備える長方形のトレーの形態を有する、造形された熱可塑性物品の周辺上に形成された1つ又は複数の偏向可能なフランジ160を偏向するための、一致した上部本体200及びラム300を示す。図2Aは、ラム300の上に配置された上部本体200を示し、図2Bは、ラム300と係合された上部本体200を示す。図2Cは、図2Bに示された係合された上部本体200及びラム300の切取図であり、ラム300の一部が上部本体200内に適合し、上部本体200内の凹部の内面に近接対向していることを示す。図2Dは、図2Cに示された断面の詳細であり、ラム300と上部本体200の内部との間の近接対向を示す。図2Dでは、ラム300の上面302の傾斜形態が明白である。
【0016】
[0016] 図3は、図3A図3B、及び図3Cからなり、図3A図3B、及び図3Cは、丸みを帯びた角部を備える長方形のトレーの形態を有する、透明な造形された熱可塑性物品の平滑にされた角部の画像である。物品は、図2に示された上部本体200及びラム300と類似した上部本体200及びラム300を使用して平滑にされた。図3Aでは、指はトレーの内部に見られ、平滑にされた角部は指の左に見られる。トレーの平滑にされた直線の縁部が、平滑にされた角部から(図面の下方に)延在している。周辺フランジのしわが、平滑にされた縁部に見られ、平滑にされた直線の縁部の下に周辺フランジの偏向を見ることができる。図3Bは、トレーのリムの下からも見た、同様に作成されたトレーの平滑にされた角部の別の図である。図3Cは、平滑にされた角部の図であり、偏向可能なフランジの屈曲領域が屈曲し、軟化し、冷却することによって形成された平滑領域を指が指している。トレーを形成した熱可塑性材料の比較的鋭い縁部は、図3A及び図3Bに示されたように角部の下で屈曲されるため、例えば薄いプラスチックフィルムを容易に裂くことなく、この平滑領域を薄いプラスチックフィルムに付勢することができる。
【0017】
[0017] 図4は、本明細書に記載された方法を使用して形成される、貯蔵容器物品100を通して切り取った断面を示す(平行な直線「//」は、わかりやすくするために割愛された断面を示す)。図では、物品100は、図に見られる容器の両側のそれぞれの上に形成された偏向可能なフランジ160を有する。単一の上部本体200は、偏向可能なフランジ160が配置された両側の周囲を含み、容器全体にわたって延在する。単一のラム300(図には2つの部分のみが示されている)が、上部本体200内の空洞の内部内に物品100の背後で挿入されている。物品100を形成する熱可塑性シートの周辺縁部110が、各偏向可能なフランジ160でラム300の上面302の上に侵入することにより、偏向可能なフランジ160は、各偏向可能なフランジ160の屈曲領域150の1つ又は複数の部分で曲がることにより物品100の本体に向かって内方に偏向する。熱可塑性シートを軟化させるために十分な量の熱を加えることにより、偏向可能なフランジ160は、この図に示された形態をほぼ維持し、熱可塑性シートの周辺縁部110は非周辺に位置付けられ(すなわち物品100の周辺内であり、この図では示された位置で生じる)、軟化された部分の冷却時、形成された容器に平滑な周辺をもたらす。
【0018】
[0018] 図5は、本明細書に記載された方法を使用して形成される、貯蔵容器物品100を通して切り取った断面を示す(平行な直線「//」は、わかりやすくするために割愛された断面を示す)。図では、物品100は、図に見られる容器の両側のそれぞれの上に形成された偏向可能なフランジ160を有する。偏向可能なフランジ160は、各偏向可能なフランジ160において、単一のラム300(この図には2つの部分のみが示されている)の上面302により、その上に侵入することにより内方に偏向されている。物品100を形成する熱可塑性シートの周辺縁部110が、各偏向可能なフランジ160でラム300の上面302の上に侵入することにより、偏向可能なフランジ160は、各偏向可能なフランジ160の屈曲領域150の1つ又は複数の部分で曲がることにより、物品100の本体に向かって内方に偏向する。熱可塑性シートを軟化させるために十分な量の熱を加えることにより、偏向可能なフランジ160は、この図に示された形態をほぼ維持し、熱可塑性シートの周辺縁部110は非周辺に位置付けられ(すなわち物品100の周辺内であり、この図では示された位置で生じる)、軟化された部分の冷却時、形成された容器に平滑な周辺をもたらす。この実施形態では、異なる輪郭によって誘発できる偏向の違いを示すために、ラム300の2つの部品が異なる輪郭(1つは平坦であり、1つは湾曲している)で示されている。
【0019】
[0019] 図6A及び図6Bは、熱可塑性材料のシートから熱成形されたトレー形状の物品内に形成された偏向可能なフランジを示す。これらの図のそれぞれにおいて、指は、トレーがシートから切断された鋭い縁部に触れている。これらの図では、偏向可能なフランジは依然として軟化されず、偏向されず、冷却されていないため、鋭い縁部はトレーの周辺の周りに位置付けられたままである。比較すると、鋭い縁部は内方に偏向されており、図3に示されたトレーの周辺から離れている。
【0020】
[0020] 図7は、水平面(水平実線)上に着座する熱可塑性シートから形成された物品100(平行な直線「//」は、わかりやすくするために割愛された断面を示す)が、本明細書に記載されたように平滑にされたその周辺縁部を有する実施形態を示す図7A図7B、及び図7Cからなる。この実施形態では、上部本体200(この断面には2つの部分が示されている)が物品100の上に下げられることにより、物品の2つの偏向可能なフランジ160のそれぞれは内方に偏向する。図7Aでは、上部本体200の外方に裾が広がった部分は、上部本体200が水平面に向かって物品上に下げられる際に物品100の周辺フランジ120に丁度接触し、偏向可能なフランジは、「B」と標された領域で偏向し始める。図7Bでは、上部本体200は水平面上に下げられており、物品100の周辺フランジ120は物品100の本体10に向かって内方に部分的に偏向される。図7Cでは、ラム300は上部本体200内の空洞内に物品100の背後で挿入されており、周辺フランジ120(及びそれらとともに偏向可能なフランジ160)を、物品を形成した熱可塑性シートが「B」と標された領域で屈曲することを通してさらに偏向させる。
【0021】
詳細な説明
[0021] 本明細書に開示される主題は、造形された熱可塑性物品の形成に関し、より詳細には、物品の1つ又は複数の縁部は、物品を形成する熱可塑性シートの周辺縁部が物品の面から離れて曲げられるように、面に加えられる脆弱な材料(例えば、皮膚又は薄い可撓性のプラスチックシート)が縁部に接触しないように形成された物品に関する。このような縁部は鋭い可能性があるため、特に縁部を切断又は破壊するときに物品の面から縁部を離して方向付けることにより、面に接触する脆弱な材料に損傷を与えることを防ぐことができる。本明細書に開示される主題は、具体的に容器の面に加えられる脆弱なプラスチックフィルムで封止される容器を形成する際に使用される。
【0022】
[0022] 簡潔に要約すると、平滑縁を有する造形された熱可塑性物品を形成するための本明細書に記載された基本的方法は、偏向可能なフランジを物品の周辺縁部で形成することを伴う。偏向可能なフランジは、物品から周方向にまさに出て、物品を形成する熱可塑性材料内の肘部(例えば、90度に曲がっている)を介してスペーサー部に取り付けられる周辺フランジを含む。物品の本体は、屈曲部を介してスペーサーに取り付けられ、屈曲部は、スペーサーと屈曲部に隣接した本体の一部との間の角度(好ましくはほぼ直角)を規定する。偏向可能なフランジは、周辺フランジが空洞の壁に衝突するように本体の空洞の内部内に挿入され、それにより、偏向可能なフランジは、物品の本体の方向に偏向する。このような偏向時、熱可塑性材料を屈曲領域で軟化又は溶融するのに十分な熱が屈曲領域に加えられるため、偏向可能なフランジは、屈曲領域が冷却するときに本体に向かって偏向したままである。任意選択で、偏向可能なフランジの後にラムを空洞内に挿入することができ、偏向された周辺フランジに接触するラムの面は、偏向可能なフランジの偏向をさらに誘発することができ、さらに冷却時に物品の周辺縁部を物品の周辺から離して移動させる。このように、熱可塑性材料の平滑な「回転された」縁部は、物品の最外周辺を形成する一方、熱可塑性材料の周辺縁部は物品の最外周辺内に留まり、この場合、その鋭い縁部により物品の最外周辺に接触する脆弱な材料を損傷する可能性は低い。
【0023】
[0023] 次に、造形された物品及びそれらを作成する方法の個々の要素及び態様についてより詳細に説明する。
【0024】
[0024] 造形された物品
[0025] 本明細書に記載された方法は、広範囲の形状及び大きさを有する物品、特に通常一般的な方法によって作成されたときに鋭い周辺縁部を有する物品に適用可能であると考えられる。平滑縁を有する造形された熱可塑性物品を作成する動機は、一部には、通常の使用条件下でフィルムをトレーの縁部によって切断される又は破られることなく、トレーをポリ塩化ビニリデンフィルムなどの薄いプラスチックフィルム内に包むか、又はプラスチックフィルムと接触させることができる、十分に鈍い(鋭くない)縁部を有する一般的な保管トレー(例えば、生若しくは冷凍の肉、果物、又は野菜などの食品を保管するために使用されるプラスチックトレー)を作成するという願望から生じた。しかし、本明細書に記載された方法が開発されると、平滑で丸みを帯びた縁部は、トレー及び他の造形された物品を取り扱う人の皮膚の負傷を防ぐことなど、様々な他の状況に望ましいことが認識された。
【0025】
[0026] 例として肉用トレーなどに造形された物品を作成する一般的な方法は、熱可塑性物質のシートを熱成形することによる。熱成形工程では、熱可塑性物質の長いシートの一部は、熱可塑性物質が軟化し成形できる温度まで上昇される。軟化された熱可塑性物質は1つ又は複数の金型の表面に押し付けられる(金型の表面に対して軟化された熱可塑性フィルムの反対側を密に押し付けることを確実にするため、負の空気圧を用いることが多い)。フィルムが冷却する際(例えば、金型の表面と接触する際)、熱可塑性物質が硬化し容易に変形しにくくなることにより、熱可塑性フィルムは、成形工程により押し付けられた形状に達し、それを維持する。複数の注型は、熱成形工程において単一シートのフィルム内で同じ物品から作成されることが多く、個々の物品は、物品の周辺でフィルムを切断(例えば、型抜き)することによりフィルムから取り除かれる。この工程は、物品の周辺のすべて又は一部(すなわち物品がフィルムから切断された場所)を包囲する鋭い縁部を含む、フィルムの切断部に鋭い縁部をもたらす傾向がある。
【0026】
[0027] さらに例として、熱可塑性材料を押出機内で溶融し、成形された物品の形状を規定する型穴内に注入することができる。冷却後、金型を開いて成形された物品を取り外すことができる。成形工程において、溶けた熱可塑性物質が成形板間に流れるか、又は溶けた熱可塑性物質が閉じた金型内に供給されたポートを通るときに起こる「鋳張り」など、熱可塑性材料が望ましくない場所で仕上げられた物品の一部に現れることがよくある。これらの望ましくない部分は、それら自体が鋭い可能性があり、鋭い縁部は、これらの望ましくない部分が成形された物品から切断されるときに残る可能性がある。
【0027】
[0028] 本明細書に記載された物品の大きさ及び形状は重要ではない。概して、造形された物品は、物品の取り扱い又は物品の周辺縁部と1つ又は複数の脆弱な材料との間の接触が予想されるものである。本明細書に記載された縁部を平滑にする工程は、熱可塑性物品から1つ又は複数の鋭い縁部を取り除くことができ、熱可塑性物品は、通常、物品が生成される方法に関わらずそのように鋭い縁部を有する。
【0028】
[0029] 平滑にする方法
[0030] 熱可塑性物品の周辺、具体的には熱可塑性材料の屈曲又は造形されたシートから形成された物品を、平滑にされる縁部周辺付近に偏向可能なフランジを形成することと、物品の周辺から縁部を外すためにフランジの屈曲部を偏向させることと、少なくともフランジが偏向された位置にある間に屈曲部を軟化させることと、フランジが偏向された位置にある間に屈曲部を再硬化させることとを含む工程によって平滑にすることができる。この工程は図1に示されている。
【0029】
[0031] 図1Aは、本体10(この図では不規則な形状を有する)及び本体10と連結された偏向可能なフランジを有する熱可塑性物品100を示す。偏向可能なフランジは周辺フランジ120を含み、周辺フランジ120は熱可塑性シートの周辺縁部110を含み、物品100は熱可塑性シートから形成される。また、偏向可能なフランジは、物品100の本体10と周辺フランジ120との間に介入された屈曲領域150も含む。屈曲領域150は延長部50により本体10から分離され、延長部50は、この実施形態では熱可塑性シートの平坦部に過ぎない。周辺フランジ120は、同様にこの実施形態ではスペーサー140と指定された熱可塑性シートの平坦部により屈曲領域から分離される。周辺フランジ120は、肘部によって偏向可能なフランジの残余部に連結され、肘部は、この実施形態では直角に形成された熱可塑性シートの一部である。
【0030】
[0032] 図1Aは、このような物品100の断面であり、黒い実線は、物品100を形成する熱可塑性シートの断面を表す。さらに右へ(この図において)延在する物品100の部分はないため、周辺縁部110は物品100の周辺を形成し、スペーサー140及び周辺フランジ120の他の部分は、シートの周辺縁部110より本体10に近い。したがって、物体が物品100の右側(図1Aにおいて)に付勢された場合、物体は周辺縁部110に接触する傾向があり、その周辺縁部110の鋭さは、物体を切断するか、損傷させるか、又は傷めることなどにより、物体に影響を与える可能性がある。
【0031】
[0033] 図1Bでは、熱可塑性物品100は上部本体200の内部空洞内に挿入される。上部本体の内面202は周辺フランジ120に衝突し、周辺フランジ120を物品100の本体10に向かって内方に(すなわち周辺の反対に)偏向させる。この実施形態では、物品100が形成される熱可塑性シートの周辺縁部110、及び屈曲領域150の周辺の大部分の両方が本体10から周辺にほぼ等しく位置付けられる。好ましくは、偏向可能なフランジ160は、はるかに十分に内方に偏向されるため、熱可塑性シートの周辺縁部110が上部本体200の内部空洞内に含有される。熱可塑性シートを軟化させるのに十分な熱が屈曲領域150(図1Bで「」と示されている場所あたり)に加えられ、その後、シートが(好ましくはそのガラス転移温度より低く)冷却された場合、偏向可能なフランジ160は、上部本体200を物品100から分離した後も図1Bに示された構成を維持する。
【0032】
[0034] 図1Cは、任意選択であるが、ラム300が上部本体200内の空洞内に物品100の背後で挿入される(すなわち上部本体200とラム300との間に少なくとも偏向可能なフランジ160を挟持する)好ましいステップを示す。このステップは、偏向可能なフランジ160を物品100の本体10に向かって(図1Bに示す実施形態に対して)さらに偏向させ、それによって熱可塑性シートの(鋭い可能性がある)周辺縁部110を物品の周辺からさらに(すなわち上部本体200の内面202からさらに)移動させる。偏向可能なフランジ160の屈曲領域150が図1Cに示された構成にある間、屈曲領域150を少なくとも軟化させるように屈曲領域150を十分に加熱し、その後、そのガラス転移温度より低く屈曲領域150を冷却することにより、示された構成における偏向可能なフランジを「凝固」させる。この構成では、物品を形成するシートの鋭い周辺縁部110は、偏向可能なフランジ160の他の部分(存在する場合、例えば屈曲領域150及び延長部50)の下に「押し込まれ」、その結果として物品の周辺に接触する物体に近づきにくい(また、物品の周辺に接触する材料を破るか、切断するか、又は傷付ける傾向が少ない)。
【0033】
[0035] 図1Cに示された例では、偏向可能なフランジ160の周辺フランジ120に衝突するラム300の一部は、物品が上部本体200内の空洞内に詰め込まれている間に楔形状の断面を有する。ラムが周辺縁部110から屈曲領域150に向かって内部で前進するほど、周辺フランジ120及び周辺縁部110は周辺の反対方向に偏向するという点で、このようなラムは、周辺フランジ120及び周辺縁部110を周辺の反対に方向付けるために有益であり得る。しかし、ラム300のこれらの部分は楔形状である必要はない。ラム300が上部本体200内の物品100の背後に挿入されると、周辺フランジ120及び周辺縁部110を周辺の反対に偏向させる、実質的にあらゆる形状のラム300を使用することができ、例えば、鈍い又は丸みを帯びている(その上面302が凸状若しくは凹状である)又はこれらのあらゆる組合せを使用できる。
【0034】
[0036] これらの方法で重要なことは、物品100を形成する熱可塑性シートの潜在的に鋭い周辺縁部110が物品の周辺から離れて偏向され、シートをそのように偏向している間に屈曲されるシートの一部を加熱して軟化させ、冷却することにより、その位置で「凝固」されるべきである。加熱され、屈曲され、冷却された領域は、その領域が滑らかに曲がるように設計され、容器に平滑な周辺をもたらすため、好ましくは偏向可能なフランジ160の少なくとも屈曲領域150を含む。また、偏向可能なフランジの他の部分(例えば、延長部50、スペーサー140、肘部130、及び/又は周辺フランジ120)を軟化させ、曲げ、硬化させることもでき、物品の周辺の平滑性に貢献することができる。別法として、偏向可能なフランジ160のあらゆるこれらの部分は、熱可塑性材料が(圧力の除去時に単に可逆的に偏向するより、むしろ)不可逆的に屈曲する十分な屈曲力が屈曲場所で加えられる限り、加熱せずに単に屈曲され得る。本明細書に開示される偏向可能なフランジ160は、この方法を実行するために好都合な構造を提供する。
【0035】
[0037] 偏向可能なフランジ160
[0038] 偏向可能なフランジ160は、屈曲領域150、周辺フランジ120及びその間に位置付けられた肘部130を含む少なくとも3つの部分を含む。屈曲領域150は、物品100の残余部に任意選択で延長部50を介して連結される。周辺フランジ120は肘部130を介して屈曲領域150に連結され、任意選択でスペーサー140は屈曲領域150と肘部130との間に介入される。これらの各部分を有する原型的な偏向可能なフランジ160は、図1Aに(物品100の本体10に取り付けられて)示されている。
【0036】
[0039] 屈曲領域150は、周辺フランジ120の周辺の少なくとも大部分より周辺の反対に(本体10により近く)据えられる。屈曲領域150の機能は、周辺フランジ120が内方に(すなわち物品の周辺を固体に押し付けることなどにより周辺の反対に)偏向されると、偏向することである。熱可塑性シートの周辺縁部110が屈曲領域内に配置されておらず、周辺フランジ120上に配置されているため、屈曲領域の偏向は平滑面を提供する。屈曲領域150は、好ましくは図1Aに示されたように、実質的に半径の湾曲を有する平滑な湾曲(例えば、0.5ミリメートル〜数ミリメートル又はそれを超える)の構成を有するため、偏向可能なフランジ160を内方に偏向することにより物品に平滑な周辺をもたらす。平滑な周辺に接触する薄いプラスチックフィルム又は動物の皮などの脆弱な材料は、同じ脆弱な材料が熱可塑性シートの周辺縁部110に接触するときよりもはるかに損傷を受けにくい。屈曲領域によって形成された角度(例えば、図1Aに示された屈曲領域150は約90度)は重要ではなく、製造を容易にするために選択することができる。角度は、例えば鈍角、直角、又は鋭角であることさえも可能である。また、屈曲領域150の湾曲の半径は重要ではないが、好ましくは肘部130の湾曲の半径より実質的に大きい。
【0037】
[0040] 屈曲領域150を物品100の残余部と延長部50を介して連結することができる。延長部50を屈曲領域150から離散的に識別することができるか(例えば、平坦領域は湾曲した屈曲領域150から区別される)、又は実質的に区別できない(例えば、わずかに湾曲した領域は屈曲領域150の湾曲と容易に区別されない)。拡張領域の寸法は重要ではなく、その寸法は、存在しないところから(すなわち屈曲領域150は物品100の本体10の縁部で始まり)、数分の一ミリメートル〜数ミリメートル又はそれを超える範囲が可能である。延長部50の1つの機能は、屈曲領域150を(シートを軟化させる熱が加えられるところで)物品100の他の部分から分離することであり、そこでは潜在的な熱による変形が望ましくない。延長部50の別の機能は、屈曲領域150の隣接表面などの物品100に機能表面を提供することであり得、そこで(プラスチックフィルムを屈曲領域150に押し付けることができ、フィルムを損傷する危険がほとんどない)薄いプラスチックフィルムを(例えば、延長部50がその一部である偏向可能なフランジ160に隣接する、物品内に形成された空洞を覆うために)物品100に付着又は融合することができる。また、延長部50は、物品の断面に支持又は剛性を提供すること(例えば、蓋をしている間に容器の可撓性を抑止するために、容器内の空洞の周りに比較的堅固な「リム」を形成することにより)などの構造機能を果たすこともできる。さらに、延長部50の別の機能は、偏向可能なフランジ160が周辺の反対に偏向されるときに占有できる空間を提供できることである。延長部50及び周辺フランジ120は屈曲領域150の対向する側部上に据えられるため、屈曲領域150が十分に曲がることにより(例えば、物品100が上部本体200内に挿入され、ラム300が物品の背後に挿入される際)、周辺フランジ120(及びスペーサー140)が延長部50に接近するか、又は接触することさえ可能になる。
【0038】
[0041] 周辺フランジ120は、物品を形成する熱可塑性シートの(潜在的に鋭い)周辺縁部110を含む。周辺フランジ120は屈曲領域150を越えて周辺に延在するため、図1Bに示されたように物品が上部本体200の空洞内に挿入されると、周辺フランジ120は上部本体200の内面202に衝突する。周辺フランジ120は肘部130からその周辺縁部110に延在し、存在する場合、屈曲領域150又はスペーサー140から肘部130によって規定されたオフセット角の方向に延在する。周辺フランジ120の機能は、物品が上部本体200の空洞内に挿入されると、上部本体200の内面202と係合する(すなわち内面202に衝突するか又は内面202によって衝突される)ことであり、それによって偏向可能なフランジ160が内方(周辺の反対)に偏向する。シートの周辺縁部110を周辺の反対に移動させ、偏向可能なフランジ160をその屈曲領域150内で曲げる又は屈曲させることに加えて、この偏向は、また、ラム300が空洞内に物品100の背後で挿入されると、周辺フランジ120をさらに周辺の反対に偏向させて位置付ける。ラム300がそのように挿入されると、ラム300は周辺フランジ120に衝突し、ラムが空洞内をさらに前進する際、偏向可能なフランジ160がその屈曲領域150内でさらに曲がるか又は屈曲し、かつ周辺縁部110が周辺の反対にさらに偏向する。
【0039】
[0042] 周辺フランジ120の長さ(肘部から周辺縁部まで)は重要ではなく、周辺フランジ120によりラム300の係合を促し、ラムが上部本体200の内部を前進する際にラム300により周辺フランジ120の移動を促すために選択されるべきである。周辺フランジ120の長さは、物品を形成する材料から物品を切断する能力により少なくとも部分的に影響を受けることが多い。肘部130は、造形された物品を前駆体シートから放つために、好都合には、熱可塑性シートを切断できる場所に熱可塑性シートを位置付けるように機能することがある程度可能である。このような切断によって形成された周辺縁部110は、偏向可能なフランジ160を「回転させる」前の物品の周辺の鋭さ又は粗さの源であるため、物品の周辺から周辺縁部110の鋭さ又は粗さを移動させるために、移動させなければならない熱可塑性材料の大半を減らすようにできる限り肘部130の近くでシートを切断する(すなわち周辺フランジ120をできる限り小さく作る)ことが有利であり得る。
【0040】
[0043] 肘部130は屈曲領域150と周辺フランジ120との間に介入され、その機能は屈曲領域150と周辺フランジ120とを連結し、それらの間で力を伝達させることである。すなわち、上部本体200又はラム300によるその上の衝突により周辺フランジ120に加えられた圧縮力は、肘部130(及び存在する場合、スペーサー140)を通って屈曲領域150に加えられるねじり力に変わる。圧縮力からねじり力へのこの変換により、力が周辺フランジ120に加えられると、屈曲領域150が確実に曲がる。したがって、上部本体200及び/又はラム300により周辺フランジ120に力を加えることにより、周辺縁部110を周辺の反対に偏向させ(すなわち物品の周辺から潜在的鋭い縁部を移動させること)、かつ屈曲領域150を屈曲させること(すなわち曲げられた熱可塑性シートによって形成された平滑な周辺を物品の周辺にもたらすこと)を誘発し、物品が鋭い周辺縁部をもたらす工程によって形成された場合でも平滑な周辺を有する物品をもたらす。実際に肘部により周辺フランジ120に加えられた力が偏向可能なフランジ160を物品の周辺の「下で回転させ」、物品の周辺において材料から熱可塑性シートの鋭い縁部を効果的に「隠す」。
【0041】
[0044] スペーサー140を屈曲領域150と肘部130との間に介入することができる。スペーサー140を屈曲領域150から離散的に識別することができるか(例えば、平坦領域は湾曲した屈曲領域150から区別される)、又は実質的に区別できない(例えば、わずかに湾曲した領域は屈曲領域150の湾曲と容易に区別されない)。拡張領域の寸法は重要ではなく、その寸法は、存在しないところから(すなわち屈曲領域150は肘部130で始まり)、数分の一ミリメートル〜数ミリメートル又はそれを超える範囲が可能である。存在する場合、スペーサー140の1つの機能は、屈曲領域150に伝達される(例えば、周辺フランジ120と、上部本体200及びラム300の一方又は両方との間の衝突により)肘部130に加えられた力により「レバー」として作用することである。存在する場合、スペーサー140の別の機能は、上部本体200及びラム300の一方又は両方を適切に係合するように周辺フランジ120を位置付け得ることである。存在する場合、スペーサー140のさらに別の機能は、屈曲領域150を曲げる際に物品の周辺から熱可塑性シートの潜在的な鋭い周辺縁部110を周辺の反対に移動させることができる距離だけ増加させることである。他の状況が同じであれば、スペーサー140が長いほど、物品が本明細書に記載されたように作成されるとき、潜在的な鋭い縁部は物品の周辺からさらに離れる。
【0042】
[0045] 熱可塑性物質
[0046] 本明細書に記載された方法及び物品を実質的にあらゆる熱可塑性材料で実行し、作成することができる。重要なことは、少なくとも本明細書に記載された偏向可能なフランジ160内で材料を加熱によって軟化させ、冷却時に再硬化させ得ることである。実質的にすべての熱可塑性物質は、それらが軟化し曲がることができ又は加工できるようになるより高く、かつそれらがより剛性になりそれらの形状を維持するようになるより低い温度の特性を示す。本明細書に記載された物品及び方法に望ましい熱可塑性物質は、容器の予想される最終使用の一般的な条件下でそれらの形状を維持する。また、製造環境で容易に達成できる条件下で軟化させることができる熱可塑性物質を使用することも望ましい。適切な熱可塑性物質の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ塩化ビニルが含まれる。他の適切な熱可塑性物質は、当業者に明らかである。
【0043】
[0047] 熱可塑性物品は熱可塑性材料を含み、本明細書に記載された偏向可能なフランジ160が形成され、又は存在する物品の少なくとも一部を含む。熱可塑性材料の同一性は重要ではなく、非熱可塑性材料の有無も重要ではない。非熱可塑性材料が(例えば、それに金属箔又は板紙層が積層された熱可塑性シート内に)存在する場合、熱可塑性材料によりその軟化されず溶融していない状態で物品に付与された剛性は、非熱可塑性材料が曲げられたときでも、好ましくは物品の形態を規定するのに十分である。物品は、例えば同時係属中の米国特許出願公開第13/415,781号に記載されたような、1つ又は複数の剥がせる層を含むことができる。
【0044】
[0048] 上部本体200
[0049] 上部本体200は多数の機能を実行する。全体としてその機能は、その屈曲領域150の1つ又は複数の部分に熱が加えられている間、本明細書に記載された偏向可能なフランジ160を上部本体200内の空洞内に含有することである。この封じ込め機能により、本明細書に記載された周辺を平滑にする操作中、偏向可能なフランジ160又はその一部の望ましくない変形を防ぐ(又は所望の変形を誘導する)ことができる。また、上部本体200の内部空洞の形状は、偏向可能なフランジを曲げる際、特にそれを軟化させる際に偏向可能なフランジの形状に影響を与えることもできる。例として、図1Bでは、上部本体200は、屈曲領域150の一部をその中に押し付ける直角内角を有する空洞を含み、空洞のこの部分の直角形状は、特に屈曲領域150が軟化する際に屈曲領域150を直角形状に合わせる傾向がある。熱源は、例えばそれを通って熱を伝導するために上部本体200に加えられる上部本体200の一部であり得る。また、上部本体200は、偏向可能なフランジ160がその空洞に挿入されると、偏向可能なフランジ160の周辺フランジ120に衝突し、衝突される。ラム300を使用するとき、上部本体200は、偏向可能なフランジ160が空洞から押し出されるのを防ぐ役割も果たし、また、上部本体200は、偏向可能なフランジ160がラム300によって圧迫されるとき、屈曲領域150の偏向を制限することもできる。
【0045】
[0050] 上部本体を構成する材料は重要ではなく、それ以外に材料は本明細書に記載された製造条件に耐えるように適しているべきである。すなわち、材料は、処理に使用される温度で溶けるか又は劣化するべきではない。広範囲の種類の金属、セラミック、石、及び高分子材料を使用できる。
【0046】
[0051] 上部本体200内の空洞の内部と周辺フランジ120との間の衝突が、本明細書に記載された物品100が上部本体内の空洞内に挿入されたときに起きるように上部本体200の形状を選択することが重要である。上部本体は物品上で複数の周辺フランジ120に同時に衝突するか、又は物品上で起きる(例えば、物品の周辺縁部全体の周囲で起きる衝突)単一の周辺フランジ120の大部分若しくはすべてに衝突するのに十分な形状を有することができる。図2に示されたように、上部本体200を固体ブロックの材料から形成することができ、材料は、物品の1つ又は複数の部分の上で起きる周辺フランジ120に衝突する間、物品の全面を覆う。図2に描かれた上部本体200は、例えば単一の周辺フランジ120に衝突するように設計され、単一の周辺フランジ120は、丸みを帯びた角部を有する長方形のトレー型容器の形状を有する物品の周辺の周りに完全に延在する。
【0047】
[0052] 本明細書に記載された物品の屈曲領域150は、典型的にはその屈曲領域150に熱が加えられるとき、上部本体200の空洞内にある。そのため、上部本体は、そのような熱を加えることを促す方法で構成されるべきである。上部本体200は、例えば、その中に、それに加えられた、又はそれと流体連結される熱源(例えば、電気動作する加熱板又はロッド)を含むことができる。別法として、上部本体200は、1つ又は複数のポートを含むことができ、ポートを通る加熱された流体(例えば、加熱された気体又は液体)は源からその中の空洞の内部に通過することができる。熱を屈曲領域150(及び/又はスペーサー140、肘部130、及び周辺フランジ120などの周辺フランジの他の部分)に送達するために選択される方法は重要ではなく、あらゆる種々の周知の熱の送達方法及び器具を使用することができる。上部本体200が熱を伝導することができかつ冷却される場合、その成形中に偏向可能なフランジ160内に存在する熱は上部本体200に流れることができ、この熱の流れは、例えば上部本体200とラム300との間で偏向可能なフランジ160を圧迫する際、その偏向された位置で偏向可能なフランジ160を冷却し、それによって硬化させる役割を果たすことができる。
【0048】
[0053] ラム300
[0054] ラム300の主要機能は、物品が上部本体200内に配置されたときに偏向可能なフランジ160の周辺フランジ120に衝突し圧縮力を加えることである。この圧縮力は、周辺フランジ120を、存在する場合、屈曲領域150及び延長部50に向かって上方にかつ周辺の反対に駆動させる傾向があり、それによって熱可塑性シートの潜在的に鋭い周辺縁部110が、そのように形成された物品の周辺から離れて移動される。したがって、ラム300の設計は、このような圧縮力が加えられる限り特に重要ではない。図1C及び図4に示されたように、傾斜した上面302を有するラム300は、ラム300が周辺フランジ120を圧縮する際、その傾斜に沿った方向に周辺フランジ120を方向付ける傾向がある。したがって、圧縮が起きる際、周辺フランジ120を周辺の反対に「押す」構成においてラム300の上面302を成形することが有利であり得る。
【0049】
[0055] 上部本体200のように、ラム300を作成する材料は重要ではない。動作温度及び圧力に耐えることができる金属、セラミック、石、及び高分子材料は、当業者によって適切に容易に選択可能である。ラム300が熱を伝導することができかつ冷却される場合、その成形中に偏向可能なフランジ160内に存在する熱はラム300に流れることができ、この熱の流れは、例えば上部本体200とラム300との間で偏向可能なフランジ160を圧迫する際、その偏向された位置で偏向可能なフランジ160を冷却し、それによって硬化させる役割を果たすことができる。
【0050】
[0056] 図2に示された一実施形態では、実質的に物品のすべての周辺フランジ120に同時に衝突するように単一のラム300を構成することができる。図2に描かれたラム300は、例えば単一の周辺フランジ120に衝突し圧縮力を加えるように設計され、単一の周辺フランジ120は、丸みを帯びた角部を有する長方形のトレー型容器の形状を有する物品の周辺の周りに完全に延在する。
【0051】
[0057] 図5に示された代替実施形態では、物品の偏向可能なフランジ160は、軟化するために加熱され、本明細書に記載された型の上部本体200がないラム300に衝突される。上部本体200がないことにより、少なくとも他の部分(例えば、延長部50又は偏向可能なフランジ160に隣接した物品100の本体10の一部がこのような歪曲又は偏向を防ぐために十分に剛性でない場合、偏向可能なフランジ160の軟化された部分の歪曲又は偏向を引き起こすことがある。しかし、このような剛性が存在する場合又は最終製品内でこのような歪曲又は偏向に耐えられる場合、本明細書に記載された方法を上部本体200なしに使用することができる。
【実施例】
【0052】
[0059] 次に、本開示の主題について以下の実施例を参照して説明する。この実施例は説明のみのために提供されており、主題はこの実施例に限定されず、むしろ本明細書に提供された教示の結果として明白であるすべての変形形態を網羅する。
【0053】
[0060] 実施例1
[0061] 図6A及び図6Bは、熱可塑性材料の平坦なシートから熱成形され、次いでシートから切断された熱可塑性トレーを示す。切断する工程によって形成された鋭い縁部は、これらの図のそれぞれに示され、指は鋭い縁部に触れている。本明細書に記載された平滑にする工程がこれらのトレーに実行された後、トレーの外観はほぼ図3に示されており、図3では、鋭い縁部はトレーの本体、並びに偏向可能なフランジの少なくとも屈曲領域を曲げること、及び加熱すること、及びトレーに平滑な外周をもたらすために鋭い縁部を冷却することによって形成された平滑部に面するように「回転され」、トレーは、トレーのリムに取り付けられた薄いプラスチック又はトレー全体の周囲に密接に巻き付けられる薄いプラスチックフィルムのいずれにも衝突しない。
【0054】
[0062] 本明細書に引用されたあらゆる特許、特許出願、及び特許出願公開の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0055】
[0063] 本主題が特定の実施形態を参照して開示されたが、他の実施形態及び変形形態を、本明細書に記載された主題の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者が考案できることは明白である。添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような実施形態及び均等な変形形態を含む。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C-2D】
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C