特許第6877598号(P6877598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノフォーイメージング ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6877598低侵襲手術用ガイドワイヤ及びガイドワイヤの製造方法
<>
  • 特許6877598-低侵襲手術用ガイドワイヤ及びガイドワイヤの製造方法 図000002
  • 特許6877598-低侵襲手術用ガイドワイヤ及びガイドワイヤの製造方法 図000003
  • 特許6877598-低侵襲手術用ガイドワイヤ及びガイドワイヤの製造方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877598
(24)【登録日】2021年4月30日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】低侵襲手術用ガイドワイヤ及びガイドワイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20210517BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61M25/09 550
   A61M25/09 500
   A61M25/095
【請求項の数】23
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-572847(P2019-572847)
(86)(22)【出願日】2018年5月29日
(65)【公表番号】特表2020-523170(P2020-523170A)
(43)【公表日】2020年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2018064118
(87)【国際公開番号】WO2018228817
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2020年3月4日
(31)【優先権主張番号】17176412.9
(32)【優先日】2017年6月16日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519446506
【氏名又は名称】ナノフォーイメージング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ボーム,ポール イェー.アー.
(72)【発明者】
【氏名】マーネゴルト,クリストフ エル.
(72)【発明者】
【氏名】クレーマース,ヨーゼフ へー.オー.
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−517694(JP,A)
【文献】 特表2006−519060(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0121648(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0227901(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0312597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤメインピース(2)に隣接する遠位ワイヤエンドピース(3、11)を備えた低侵襲手術のためのガイドワイヤであって、ここで、
a)前記ガイドワイヤ(1、10)は、少なくとも前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)内で1つの内側シャフト(4、14)と、前記内側シャフト(4、14)を包む少なくとも1つの保護層と、を有し、
b)前記内側シャフト(4、14)は第1の繊維複合材料を有し、及び
c)少なくとも前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)において、前記内側シャフト(4、14)は、機械的侵襲により生成される複数の脆弱化点(8、18)を有する、
d)前記内側シャフト(4、14)がコア(5、15)と、前記コア(5、15)を囲む少なくとも1つのクラッド層(6、16)とを有すること、
e)前記コア(5、15)が前記第1の繊維複合材料を含むこと、ここで前記第1の繊維複合材料がガラス繊維を含むこと、
f)前記少なくとも1つのクラッド層(6、16)又は前記クラッド層(6、16)の少なくとも1つが第2の繊維複合材料を含むこと、ここで前記第2の繊維複合材料は、合成樹脂製のマトリックス材料によって包まれたアラミド繊維を含むこと、
d)前記複数の脆弱化点(8、18)は、前記コア(5、15)を完全に切断することなく、ねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重によって生成されること、
を特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
前記第2の繊維複合材料の繊維の少なくともいくつかは、前記コア(5、15)の周囲に螺旋状に案内されること、ここで、前記第2の繊維複合材料の繊維の少なくともいくつかは、前記コア(5、15)の円周の周りの2つの反対の異なるらせん配向で案内されること、を特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記保護層が、又はいくつかの保護層の場合、最も外側の保護層が、PTFE製の又は少なくともPTFEを包含する保護ジャケット(7、17)であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
画像化プロセスにおけるマーキングに使用される少なくとも1つのマーキング要素、ここで、前記マーキング要素又は前記マーキング要素の少なくとも1つが前記内側シャフト(4、14)の外周に適用され、且つ磁気共鳴トモグラフィー(MRT)におけるマーキングに使用されるMRTマーキング要素であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのMRTマーキング要素又は前記MRTマーキング要素の少なくとも1つがアクティブマーキング要素であることを特徴とする請求項4に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記遠位ワイヤエンドピース(11)の反対側の端部でワイヤメインピース(2)に隣接する自由近位ワイヤエンドピース(12)を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記ガイドワイヤ(1、10)はまた、前記自由近位ワイヤエンドピース(12)において、第1の繊維複合材料を含む1つの内側シャフト(4、14)と、前記内側シャフト(4、14)を包む少なくとも1つの保護層とを有することを特徴とする請求項6に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記自由近位ワイヤエンドピース(12)において、前記内側シャフト(4、14)が、機械的侵襲、ねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重によって引き起こされる複数の脆弱化点(8、18)を有することを特徴とする、請求項7に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
請求項4又は5のいずれか一項に記載の前記自由近位ワイヤエンドピース(12)に配置された少なくとも1つのマーキング要素を特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)に及び/又は請求項6〜8のいずれか一項を参照する場合、前記自由近位ワイヤエンドピース(12)に湾曲形状が与えられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記湾曲形状が、少なくとも45°かつ最大で90°の曲げ角度(α)を有することを特徴とする、請求項10に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
ワイヤメインピース(2)に隣接する遠位ワイヤエンドピース(3、11)を備えた低侵襲手術のためのガイドワイヤ、ここで、少なくとも前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)には、第1の繊維複合材料を含む1つの内側シャフト(4、14)があり、少なくとも遠位ワイヤエンドピース(3、11)では、前記内側シャフト(4、14)に機械的侵襲により複数の脆弱化点(8、18)が設けられている、ガイドワイヤの製造方法であって、
前記複数の脆弱化点(8、18)は、ねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重によって生成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ガイドワイヤ(1,10)上に、前記遠位ワイヤエンドピース(11)の反対側の端部で前記ワイヤメインピース(2)に隣接する、自由近位ワイヤエンドピース(12)が作られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記自由近位ワイヤエンドピース(12)においても、第1の繊維複合材料を有する内側シャフト(4、14)と、前記内側シャフト(4、14)を囲む少なくとも1つの保護層とが配置されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記内側シャフト(4、14)の前記自由近位ワイヤエンドピース(12)において、機械的侵襲によって複数の脆弱化点(8、18)が生成され機械的侵襲はねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記機械的侵襲のために、前記内側シャフト(4、14)が少なくとも1つの機械的エッジ上に配置され、減衰されていないワイヤエンドピースの長手方向軸に対して直角に作用する力を受けること、ここで、前記力の適用は、1mmから3mmの間隔で前記内側シャフトに沿って実行されることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記機械的侵襲が、前記内側シャフト(4、14)の長手方向軸周りの回転に関係する、前記内側シャフト(4、14)の少なくとも2つの異なる回転角度位置で、互いに90°±10°ずれた回転角度位置で、実行されることを特徴とする、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記内側シャフト(4、14)を製造するために、第1の繊維複合材料で作られたコア(5、15)は、前記第1の繊維複合材料とは異なる第2の繊維複合材料で作られた少なくとも1つのクラッド層(6、16)で囲まれていること、ここで、前記第2の繊維複合材料の繊維が、少なくとも部分的に少なくとも2つの異なるらせん配向で前記コア(5、15)の周りに案内されること、を特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
画像化プロセスにおけるマーキングに使用される少なくとも1つのマーキング要素が、前記内側シャフト(4、14)の外周に適用されることを特徴とする、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのマーキング要素は、少なくとも前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)及び/又は前記自由近位ワイヤエンドピース(12)にも取り付けられることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記内側シャフト(4、14)が、前記機械的侵襲後に、少なくとも1つの保護層で囲まれていること、ここで、PTFEで作られた保護ジャケット(7、17)は、保護層として、又はいくつかの保護層の場合、最も外側の保護層として収縮されることを特徴とする、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記遠位ワイヤエンドピース(3、11)及び/又は請求項16を参照する場合、前記自由近位ワイヤエンドピース(12)に湾曲形状が与えられていることを特徴とする、請求項12〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記湾曲形状に、少なくとも45°かつ最大で90°の曲げ角度(α)が与えられることを特徴とする、請求項22に記載の方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のガイドワイヤ及び請求項12のプリアンブルに記載のガイドワイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EP 1 348 461 B1は、金属又はプラスチックで作られたガイドワイヤの内側シャフトが、比較的高い剛性を有するプラスチック層で囲まれているガイドワイヤを開示している。コアは、ワイヤ端部の柔軟性を高めるために、ガイドワイヤの遠位ワイヤ端部で先細になっています。
【0003】
US2014/0121648A1は、複合材料で作られたコアの遠位端にテーパーを有するガイドワイヤを開示しており、このテーパーは、ワイヤエンドピースの柔軟性を高めることを意図している。コアの先端は、研削又は切削によって形作られる。
【0004】
US2004/0167438A1は、同様に、コアの遠位端にテーパーを有するガイドワイヤを開示しており、コアのテーパーはいくつかの段階で提供することができる。ここでも、コアチップの形状は、所望の機械的特性、例えばワイヤエンドピースの柔軟性、を達成することを目的としている。
【0005】
EP 2098 262 A1は、撚り繊維、好ましくはガラス繊維が埋め込まれ、その遠位端が研削によって生成されるテーパ形状を有することができるベース材料に埋め込まれたコアを備えたカテーテルガイドワイヤを開示している。
【0006】
DE 10 2005 022 688 A1から、遠位端で先細りのコアを備えたガイドワイヤも知られている。
【0007】
ガイドワイヤのコアの製造プロセスに応じて、コアの直径を小さくすることは、それが円錐形であっても、段階的であっても、複雑である。特に研削プロセスは時間とコストがかかる。
【0008】
冒頭で述べたタイプのガイドワイヤ及び方法は、EP 2 54 604 A1から知られている。ガイドワイヤは、非金属繊維又は繊維セグメントがランダムに分布し、繊維間の空間を充填する樹脂を備えた遠位ワイヤ端部にも伸びるコアを備えている。一実施形態では、コアは、その円周上に半径方向に整列した切り込みを有し、これは、遠位ワイヤエンドピースをより柔軟にすることを意図している。切り込みは、切断又はエッチングによって行うことができる。カットの深さや幅、又はカット間の距離は、必要な柔軟性に応じて調整できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ワイヤエンドピースに高度の柔軟性を有するガイドワイヤ及びその製造方法を提供するという技術的問題に基づいており、その遠位ワイヤエンドピース上のガイドワイヤは、従来技術よりも代替的かつ製造が簡単な構造を有する。
【0010】
最初に述べたタイプのガイドワイヤの場合、技術的な問題は請求項1の特徴的な特徴で解決される。最初に述べたタイプの方法では、技術的な問題は請求項1の特徴によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、少なくとも遠位ワイヤ端部の内側シャフトが、機械的侵襲、すなわちねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重によって生成される複数の脆弱化点(Schwaechungsstellen)を有することが提案されている。
【0012】
脆弱化点は、内側シャフト、及びしたがって遠位ワイヤ端部の曲げ剛性を低下させる。つまり、曲げ弾性率が低下する。曲げ剛性の低下により、ガイドワイヤの柔軟性と湾曲した経路をたどる能力が向上する。
【0013】
破損、ねじれ、又は曲げは、コアを完全に切断することなく、コアの断面全体に影響する。特に、繊維複合材料の微細繊維は、曲げ、よじれ、又は破壊運動によって少なくとも部分的に切断されず、弱くなっているにもかかわらず、コアの凝集を引き起こす。脆弱化点を導入するための破壊、ねじれ、又は曲げは、従来技術から知られている脆弱化点の内側シャフトへの切断又はエッチングよりも大幅に費用効率が高く、時間を節約できる。
【0014】
脆弱化点の数は、特に遠位ワイヤ端部の長さに依存する。例えば、遠位ワイヤエンドピースは10mmから50mmであり得る。より短い又はより長い遠位ワイヤエンドピースも可能である。脆弱化点は、好ましくは、ガイドワイヤの軸方向に互いに一定の距離を有する。
【0015】
脆弱化点間の距離は、ミリメートル範囲であることが好ましい。遠位ワイヤエンドピースは、好ましくは、互いに約1mmから3mm、例えば2mm±0.5mm離間した30から60mm、好ましくは40mmの長さにわたって脆弱化点を有することができる。
【0016】
少なくとも遠位ワイヤ端部に設けられた内側シャフトに機械的侵襲により複数の脆弱化点が設けられた遠位ワイヤエンドピースを製造する方法が提案されている。ここでは、ねじれ荷重、曲げ荷重、及び/又は破壊荷重によって脆弱化点が生成される。
【0017】
本発明による方法は、特に、機械的侵襲のために、内側シャフトが少なくとも1つの機械的エッジ上に配置され、減衰されていないワイヤ端部の長手方向軸に対して横方向に作用する力を受けるように実行できる。例えば、内側シャフトを機械的エッジの上に配置し、エッジを越えて突き出ている内側シャフトの一部に力を加えることができる。次の脆弱化点を作成するには、内側シャフトを適切な距離、例えば長さ1mm〜3mmだけ前進させる必要がある。力は、例えばクランプによって内側シャフトに固定された質量の重量力(Gewichtskraft)であり得る。
【0018】
本発明による方法は、機械的侵襲が内側シャフトの少なくとも2つの異なる回転角度位置で実行されるように実行することができる。回転角度位置は、内側シャフトの縦軸を中心とした回転を指す。例えば、内側シャフトは、その長手方向の軸を中心に回転させずに、いくつかの脆弱化点で弱めることができる。次に、内側シャフトは、例えば、最初のプロセスですでに弱められた領域にさらに脆弱化点を導入するため、又は既存の脆弱化点をさらに弱めるために、加えられた力に対して特定の角度、例えば90°又は80°から100°の範囲で、縦軸の周りに回転させることができる。このようにして、ワイヤ端部領域での内側シャフトの曲げ剛性の脆弱化は、1つの曲げ方向で減少するだけではないことが保証される。
【0019】
_
【0020】
機械的侵襲は、好ましくは、内側シャフトに対して直接、すなわち、内側シャフトを保護層で覆うことなく実行される。ただし、保護層をすでに適用することもできる。
【0021】
脆弱化プロセス中に、材料が内側シャフトから破損する可能性がある。しかしながら、言及された規則的な小粒のブレイクアウトとは別に、脆弱化領域の内側シャフトの直径は、少なくとも平均して、ほぼ一定のままであることが好ましい。
【0022】
ガイドワイヤの内側シャフトは、好ましくは第1の繊維複合材料を有する。繊維複合材料の繊維は、好ましくはプラスチックのマトリックス材料で包まれ、及び/又は接着されており、シャフトに適切な安定性を与える。特に、内側シャフトが機械的に弱められた場合、繊維は依然として内側シャフトに十分な凝集力を与えることができるため、完全な破損、つまり内側シャフトの完全な分割はない。
【0023】
あるいは、機械的脆弱化の場合、内側シャフトは、内側シャフトを包む少なくとも1つの保護層によってばらばらになることも防ぐことができる。
【0024】
本発明による方法を使用して、コア及びコアを囲む少なくとも1つのクラッド層を有するように内側シャフトを設計することが有利であり得る。その場合コアは、第1の繊維複合材料を持っているか、それから構成されている。少なくとも1つのクラッド層又はクラッド層の少なくとも1つは、第2の繊維複合材料をさらに有利に有することができ、ここで、前記第2の繊維複合材料は、好ましくは前記第1の繊維複合材料とは異なる。
【0025】
コアとクラッド層の組み合わせにより、内側シャフトの望ましい機械的特性を設定できる。したがって、2つの繊維複合材料は、それらの材料が一致するか、繊維材料及び/又は繊維を結合又は包むマトリックス材料が異なる場合がある。マトリックス材料は、樹脂、例えば合成樹脂、特にエポキシ樹脂、又は別のプラスチックであり得る。
【0026】
クラッド層の繊維は、少なくとも部分的にコアの周囲に螺旋状に案内されることが好ましい。繊維のらせん状の誘導とは、繊維が軸方向に連続して走るのではなく、らせんの形でコアを囲むことを意味する。繊維のらせん状の誘導により、特に脆弱化点が設けられた領域の外側で、ねじり剛性が増加し、トルク伝達が改善される。曲げ剛性は、コアのマトリックス材料によって繊維が接着されたコアによって本質的に弱点が提供される領域の外側で決定できる。
【0027】
一方、遠位ワイヤのエンドピースでは、脆弱化点を導入することで曲げ剛性を所望の程度まで低下させることができ、その場合、曲げ剛性の低下の程度は、軸方向に与えられた脆弱化点の密度の影響を受ける可能性がある。
【0028】
繊維は、好ましくは、コアの周囲の周りの少なくとも2つの異なるらせん配向で少なくとも部分的に案内され、その結果、ねじれ剛性は、両方の円周方向について増加する。クラッド層の繊維は、マトリックス材料で覆われており、及び/又はマトリックス材料によって互いに接着されている。マトリックス材料は、合成樹脂などの樹脂、又はその他のプラスチックにすることができる。マトリックス材料は、コアと同じマトリックス材料でも、異なるマトリックス材料でもかまわない。
【0029】
コアでは、少なくとも複数の繊維がガイドワイヤの軸方向に整列していることが好ましい。
【0030】
内側シャフトの繊維には、例えば、非導電性繊維材料、例えばプラスチック及び/又は無機材料で作られた繊維を使用することができる。非導電性材料は、MRI(MRT)で使用する場合に特に有利である。繊維に適したプラスチックは、例えば:ガラス、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル、PEEK、ポリアクリル、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、液晶ポリマー(LCP)、アラミドである。ポリマー光ファイバー(POF)も使用できる。コアとクラッド層で構成される内側シャフトの構造の場合、これらの繊維材料は、コアと少なくとも1つのクラッド層の両方に使用できる。ガラス繊維がコアに使用され、アラミドが内側シャフトのクラッド層に使用されることが好ましい。
【0031】
本発明によるガイドワイヤは、好ましくは、本発明による方法を用いて、画像化方法におけるマーキングに使用される少なくとも1つのマーキング要素が内側シャフトの外周に適用されるように設計することができる。
【0032】
このようにして、使用中にガイドワイヤのコースを確認できる。少なくとも1つのマーキング要素又は少なくとも1つのマーキング要素は、好ましくは、磁気共鳴トモグラフ(MRT)で使用されたときにMRI(MRT)の電磁交番場との相互作用により見える少なくとも1つのマーキング手段を有する磁気共鳴トモグラフィーでのマーキングに適したMRIマーキング要素である。マーキング剤は、好ましくは、正のコントラストを生成するものであり、より好ましくは、T1緩和時間及び/又はT2緩和時間を短縮するものである。これらには、例えばランタニドのGd3+,Ho3+,Dy3+,Eu3+塩、Fe3+、Mn2+、Mn3+及びCo3+などのいくつかの遷移金属の錯体が含まれる。このような試薬により、特別な措置を講じることなく、通常のMRI(MRT)手順で医療機器を可視化できる。他のイメージング方法、例えばMPI(磁気粒子イメージング)又はX線を使用する方法で正又は負のコントラストを生成するものを含む他の薬剤も提供できる。
【0033】
少なくとも1つのアクティブマーキング要素を、単独で、又はパッシブマーキング要素に加えて、マーキング要素として使用することもできる。アクティブとは、マーキング要素が電界又は磁界、したがってイメージングに受動的に影響を与えるだけでなく、電界及び/又は磁界、特に交流電界を能動的に放射することを意味する。このため、アクティブなマーキング要素は、例えばコイル、特に高周波コイル(RFコイル)がある。アクティブマーキング要素は、ガイドワイヤを通る細いガイドワイヤを介して電圧を供給することができる。ただし、MRTでの操作では、このようなワイヤを省くことが有利である。アクティブマーキング要素は、磁気共鳴トモグラフの交番場から、又は別の外部交番場源からの誘導によって供給することもできる。
【0034】
本発明によるガイドワイヤは、少なくとも1つのマーキング要素がクラッド層の外側に適用されるように設計することもできる。マーキング要素は、例えば、印刷プロセスで、すなわち印刷によって適用することができる。この手順は、アクティブなマーキング要素に対しても提供できる。
【0035】
少なくとも1つのマーキング要素は、好ましくは、クラッド層を含むリングを形成する。複数のマーキング要素の場合、これらは、ガイドワイヤの軸方向に見られるように、互いに一定の距離をとることができる。ただし、距離を変えて、ガイドワイヤ上の特定の場所のコーディングとして使用することも考えられます。代替的又は追加的に、ガイドワイヤの長手方向におけるマーキング要素の長さの変化をコーディングに使用することができる。さらに代替的又は追加的に、異なるマーキング要素は、異なる濃度のマーキング剤を有することができる。
【0036】
本発明によるガイドワイヤは、内側シャフトを囲む保護層が保護ジャケットであるように設計することもできる。いくつかの保護層の場合、保護ジャケットが最外層を形成します。保護ジャケットは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製であるか、少なくともPTFEを有することが好ましいが、1つ以上の他のプラスチックを有することもできる。保護ジャケットは、好ましくは、内側シャフトに直接適用されるか、又は内側シャフトがさらなる内側保護層によって囲まれる場合、内側保護層の最も外側に、好ましくは収縮されるように適用される。これにより、保護ジャケットを固定するために特別な接着剤を使用する必要がなくなる。さらに、特にPTFEの場合、保護ジャケットは遠位又は近位端ですでに閉じているか、保護ジャケットの材料を一端又は両端に溶接できるため、ガイドワイヤを両端で閉じるための接着剤は不要である。温度の影響により、保護ジャケットとその下にある層、特にクラッド層との間に粘着性のある結合が生じることもある。
【0037】
保護シースが設けられたワイヤエンドピースが、保護ジャケットが縮む前にワイヤエンドピースの形状を指定する形状固定装置に固定され、ワイヤエンドピースが固定されたときに保護シースが縮むように、本発明による方法を実行することは、さらに有利であり得る。収縮プロセスにより、ワイヤのエンドピースは指定された形状で安定したままである。ワイヤエンドピースは、形状固定装置において湾曲した形状が与えられることが好ましい。形状固定装置は、例えば、保護ジャケットが収縮する前にワイヤエンドピースが挿入される所望の経路を備えた溝を有することができる。溝は蓋で閉じることができる。溝の代替として、形状固定装置は、例えば、変位可能又は差込可能な制限要素によって、例えばピン形状とすることができる、変更可能な形状仕様を有することができる。
【0038】
さらに、本発明によるガイドワイヤを設計すること、又は本発明による方法を実行することは、ガイドワイヤが遠位ワイヤ端部と反対側の端部でワイヤ主部に隣接する自由近位ワイヤ端部を有するように有利であり得る。自由な近位ワイヤエンドピースにより、ユーザーは近位ワイヤエンドピースをガイドチップとして使用できる。したがって、近位ワイヤ端部の機能と遠位ワイヤ端部の機能を交換することができる。
【0039】
自由近位ワイヤエンドピースの構造と遠位ワイヤエンドピースの構造は、互いに対応することができ、又は異なることもできる。構造が異なると異なる特性、例えば現場で使用できるさまざまな柔軟性や形態など、を指定できる。
【0040】
ユーザーがより柔軟で硬いワイヤエンドピースを利用できるように、遠位ワイヤエンドピースだけに多数の脆弱化点を設けることは理にかなっている。ただし、両方のワイヤの端部に複数の脆弱化点を設けることもできる。
【0041】
さらに、近位ワイヤエンドピース又は遠位ワイヤエンドピース又は両方のワイヤエンドピースは、好ましくは少なくとも45°及び最大90°の曲げ角を有する湾曲形状を与えることができる。
【0042】
遠位ワイヤエンドピースのように、近位ワイヤエンドピースは、第1の繊維複合材料を有する内側シャフトと、内側シャフトを包む少なくとも1つの保護層も有することができる。ワイヤ主要部品はまた、第1の繊維複合材料と、内側シャフトを包む少なくとも1つの保護層とを含むそのような内側シャフトを有することができる。内側シャフトと保護層は、ワイヤエンドピースとワイヤメインピースの材料であり、脆弱化点を除いて、少なくとも本質的に同一の構造であることが好ましく、それにより、ワイヤのエンドピースとワイヤのメインピースは、連続したコア、連続したクラッド層、及び連続した保護層と一体になる。必要に応じて、メインワイヤに脆弱化点を設けることもできる。
【0043】
最後に、上述の少なくとも1つのマーキング要素は、遠位ワイヤエンドピースに、近位ワイヤエンドピースに、又はそれぞれの場合に両方のワイヤエンドピースに取り付けることができる。
【0044】
ワイヤメインピース又はワイヤメインピースに少なくとも1つのマーキング要素を単独で、さらにワイヤエンドピースの一方又は両方に少なくとも1つのマーキング要素を設けることも理にかなっている。
【0045】
その場合、少なくとも1つのマーキング要素又は少なくとも1つのマーキング要素は、遠位ワイヤエンドピース、近位ワイヤエンドピース及び/又はワイヤメインピースの内側シャフトの外周に適用することができる。少なくとも1つのマーキング要素又はマーキング要素の少なくとも1つは、それぞれの場合に、磁気共鳴トモグラフィーでのマーキングに適したMRTマーキング要素であってもよく、ここで、少なくとも1つのMRTマーキング要素又はMRTマーキング要素の少なくとも1つは、アクティブなマーキング要素であることが好ましい。
【0046】
以下において、本発明によるガイドワイヤ及び本発明による製造方法の好ましい実施形態が、図を参照して示される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、遠位ワイヤエンドピースを備えた第1のガイドワイヤの前部領域を概略的に示す。
図2図2は、遠位及び近位ワイヤエンドピースを備えた第2のガイドワイヤを概略的に示す。
図3図3は、近位ワイヤ端部品の拡大断面を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、第1のガイドワイヤ1の前部領域を示しており、ワイヤメインピース2と、これにシームレスに隣接する遠位ワイヤエンドピース3とを備えている。第1のガイドワイヤ1は、コア5と、コア5を囲むクラッド層6とからなる内側シャフト4を有する。内側シャフト4上には、好ましくはPTFE製の保護ジャケット7が引っ張られ且つ縮められている。図のサイズの関係は、より良いグラフィック表現のためにスケール通りではない。実際、ワイヤエンドピース3の長さは、好ましくは30mmから60mm程度であり、第1のガイドワイヤ1の直径は1mm未満程度である。
【0049】
コア5は、プラスチックマトリックスとしてガラス繊維とエポキシ樹脂を有する繊維複合材料からなる。図には示されていないガラス繊維は、第1のガイドワイヤ1の長手方向に少なくとも大部分が整列している。コアを製造するために、好ましくは第1のガイドワイヤ1の長さにわたって連続しているガラス繊維に、引き抜きプロセスでプラスチックマトリックスが提供される。
【0050】
クラッド層6も同様に繊維複合材料からなり、ここではアラミドからの繊維が好ましく使用される。図示されていない繊維は、好ましくは、2つの異なる向きでコア5の周りに螺旋状に巻かれている。次いで、引抜成形プロセスと同様に、クラッド層6のプラスチックマトリックスが適用される。プラスチックマトリックスは、好ましくはエポキシ樹脂でもある。2つの引抜成形プロセスは、共通の引き抜きプロセス(Ziehvorgang)中に実行できる。
【0051】
内側シャフト4は、製造後、多数の脆弱化点8と機械的に係合することにより遠位ワイヤエンドピース3に設けられ、遠位端9から見た3つの後部脆弱化点8のみに参照番号が付与される。脆弱化点8は、ワイヤエンドピース3内のガイドワイヤ1の曲げ剛性を低減するのに役立つ。したがって、脆弱化点8は、従来技術から知られている内側シャフト4の直径のはるかに複雑な縮小に取って代わる。
【0052】
脆弱化点8を作成するために、内側シャフト4は、その遠位端がここに示されていない機械的エッジの上に配置されることができる。内側シャフト4の長手方向に垂直な成分を有する力は、内側シャフト4の機械的エッジを越えて突出する内側シャフト4の部分に作用する。十分な力で、これは、曲げ、ねじれ、及び/又は破壊荷重を伴う内側シャフト4の動きをもたらし、それは内側シャフト4の亀裂形成につながる。特に、コア5内のガラス繊維は、前記運動中にほとんど破損されないため、内側シャフト4は接続されたままであり、内側シャフト4の一部の完全な破損を回避することができる。曲げ荷重、座屈荷重、又は破壊荷重は、プラスチックマトリックスの部分的な引き裂きをもたらし、その結果、生成される脆弱化点8での内側シャフト4の曲げ剛性が大幅に低下する。
【0053】
機械的脆弱化は、例えば、加えられた力が次の脆弱化点8を作成するまで、機械的エッジを超えて内側シャフト4をさらに押すことにより、何度も繰り返される。例えば長さ40mmの遠位ワイヤエンドピース3において、好ましくは20個の脆弱化点8が約2mmの距離で作られる。しかしながら、遠位ワイヤエンドピース3はまた、30mmから60mmの長さを有することができ、例えば、脆弱化点間の距離は好ましくは1から3mmである。その後、内側シャフト4の回転角度位置を変更して、プロセス全体を繰り返すことができます。この目的のために、例えば、内側シャフト4は、複数の脆弱化点8の導入後の最初の通過後に加えられた力の方向に対して約90°の長さの軸を中心に回転し、対応する方法で第2の通路で処理されます。
【0054】
攻撃力は、例えば、内側シャフト4の遠位端に固定された、ここでは示されていない質量の重量力(Gewichtskraft)によって生成され得る。
【0055】
内側シャフト4に所望の数の脆弱化点8が設けられた後、保護ジャケット7が内側シャフト4上に引っ張られる。続いて、少なくとも遠位ワイヤエンドピース3は、所望により所望の形状にされ、ここに示されていない形状固定装置で固定される。次いで、保護ジャケット7は、適切な温度制御により内部構造4上に収縮される。冷却後、フォーム固定装置から取り外した後でも、収縮した保護ジャケット7の安定化効果により、ワイヤエンドピース3の形状が残る。所定の形状は、少なくとも1つのセクションにおいてアーチ形状であることが好ましい。
【0056】
図2は、遠位ワイヤエンドピース11及び近位ワイヤエンドピース12を有する第2のガイドワイヤ10を示している。ワイヤのメインピースはここには示されておらず、第2のガイドワイヤ10を表す中断部13に落ちる。ワイヤエンドピース11及び12は、後述する脆弱化点を除いて、本質的に整合構造を有する。図2で「Z」でマークされた近位ワイヤエンドピース12の領域は、図3で拡大して示されている。第2のガイドワイヤ10のコア15、コア15を囲むクラッド層16、及び保護ジャケット17の形態の保護層が拡大図で見ることができる。したがって、第2のガイドワイヤ10の構造は、図1による第1のガイドワイヤ1のワイヤメインピース2及び遠位ワイヤエンドピース3に対応する。
【0057】
遠位ワイヤエンドピース11は、第2のガイドワイヤ10の長手方向軸に垂直な線で表され、そのうちの4つのみが参照番号で識別される、内側シャフト14に複数の脆弱化点18を有する。脆弱化点18は、示されている遠位ワイヤエンドピース11の全長にわたって分布されており、遠位ワイヤエンドピース11の柔軟性の増大をもたらす。脆弱化点は、図1について既に説明したのと同じ方法で、又は適切な異なる方法で生成することができる。
【0058】
しかしながら、図2の例示的な実施形態では、近位ワイヤエンドピース12は、脆弱化点なしで設計されている。ユーザーは、別の器具、例えばカテーテル(ここでは図示せず)を案内するための第2のガイドワイヤ10の先端として、遠位ワイヤエンドピース11を使用するか近位ワイヤエンドピース12を使用するかを決定できる。
【0059】
遠位ワイヤエンドピース11は、セクション19で曲げられ、曲げ角度αは約63°である。曲げは、一定の曲げ半径Rで均一にすることも、曲げ半径Rを変更して不均一にすることもできる。曲げの製造及び/又は保護ジャケット17の適用は、図1について既に説明したのと同じ方法で、又は適切な他の方法で実行することもできる。
【符号の説明】
【0060】
参照符号のリスト
1 第1のガイドワイヤ
2 ワイヤメインピース
3 ワイヤエンド
4 内側シャフト
5 コア
6 クラッド層
7 保護ジャケット
8 脆弱体化点(Schwaechungsstelle)
9 遠位端
10 第2のガイドワイヤ
11 遠位ワイヤエンドピース
12 近位ワイヤエンドピース
13 中断部
14 内側シャフト
15 コア
16 クラッド層
17 保護ジャケット
18 脆弱化点
19 セクション
α 曲げ角度
R 曲げ半径

図1
図2
図3