(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アプリケーション推薦部は、実行することができると判定されたアプリケーションのうち、全てのアプリケーション、要求される通信状態が高いほうのアプリケーション及び実行頻度が高いほうのアプリケーションのいずれかを推薦する
請求項1に記載の端末装置。
前記アプリケーション推薦部がアプリケーションを推薦する推薦タイミングは、前記端末装置にインストールされているアプリケーションのうちのいずれかのアプリケーション若しくは特定のアプリケーションの起動時、又はユーザによる操作時である
請求項1又は請求項2に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態による通信システムの実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の通信システム100の構成の一例を示す図である。
【0014】
[通信システム100の全体構成]
通信システム100は、複数の端末装置10と、複数の基地局20と、ネットワーク30と、通信状態情報管理サーバ40とを備える。
本実施形態の端末装置10は、例えば、携帯電話やスマートフォンである。この端末装置10は、例えば、音声情報と、画像情報と、動画情報とを同一の回線で送受信可能な、高速データ通信回線に接続が可能である。この高速データ通信回線とは、例えば、LTE(Long Term Evolution)通信網である。この高速データ通信回線は、例えば、画像や文字などのデジタル情報の送受信に加えて、音声通話を可能にするサービス(VoLTE;Voice over LTE)を提供する。
基地局20は、上述した高速データ通信回線を利用した通信を、端末装置10との間において行う。基地局20は、端末装置10がエリアAR内に在圏する場合に、端末装置10との間で高速データ通信回線を利用した通信を行うことができる。複数の基地局20のうち、基地局20−1はエリアAR1内に、基地局20−2はエリアAR2内に、基地局20−3はエリアAR3内に、それぞれ在圏する端末装置10との間で通信可能である。また、基地局20−4はエリアAR4内に、基地局20−5はエリアAR5内にそれぞれ在圏する端末装置10との間で通信可能である。
ネットワーク30は、基地局20相互間及び基地局20と通信状態情報管理サーバ40との間を接続する。
通信状態情報管理サーバ40は、ネットワーク30を介して基地局20との通信を行う。
この
図1の一例においては、複数の端末装置10のうち、端末装置10−1及び端末装置10−2がエリアAR4内に在圏する。また、複数の端末装置10のうち、端末装置10−3がエリアAR5内に在圏する。この一例の場合、端末装置10−1及び端末装置10−2は基地局20−4と、端末装置10−3は基地局20−5と、それぞれ通信可能である。
以下の説明において、端末装置10−1、端末装置10−2…を総称する場合には、端末装置10と記載する。また、基地局20−1、基地局20−2…を総称する場合には、基地局20と記載する。また、エリアAR1、エリアAR2…を総称する場合には、エリアARと記載する。
【0015】
[通信状態情報管理サーバ40の機能構成]
通信状態情報管理サーバ40は、端末装置10と基地局20との間の通信状態を示す「通信状態情報」を管理する。端末装置10と基地局20との間の通信状態は状況に応じて変化する。例えば、端末装置10と基地局20との間に遮蔽物がある場合には、遮蔽物が無い場合に比べて通信状態が悪化することがある。また例えば、エリアAR内に在圏する端末装置10の数が多い場合には、在圏する端末装置10の数が少ない場合に比べて通信状態が悪化することがある。また例えば、端末装置10があるエリアAR内から他のエリアAR内に移動する場合には、移動前の通信状態と移動後の通信状態とが変化することがある。
通信状態情報管理サーバ40は、端末装置10の位置と、端末装置10と基地局20との間の通信状態とを対応付けて管理する。この通信状態情報管理サーバ40の具体的な機能構成について
図2を参照して説明する。
【0016】
図2は、本実施形態の端末装置10及び通信状態情報管理サーバ40の機能構成の一例を示す図である。
通信状態情報管理サーバ40は、制御部CSと、記憶部MSとを備える。記憶部MSには、通信状態取得情報CQ1が予め記憶される。この通信状態取得情報CQ1とは、基地局20と、当該基地局20のエリアAR内に在圏する端末装置10との間の通信状況を示す情報である。この通信状態を示す指標には、RSS(Received Signal Strength:受信信号強度)、C/I(干渉波比)、Ec/Io(隣接基地局送信レベル対現行基地局送信レベル)等がある。
また、記憶部MSには、通信状態予測情報CQ2が予め記憶されていてもよい。通信状態予測情報CQ2とは、移動体通信網を使用する端末装置10の通信状態の予測を示す情報であって、通信範囲の各位置の通信状態の予測を示す情報である。通信状態予測情報CQ2は、例えば、通信状態取得情報CQ1に基づいて予測され、生成される情報である。具体的には、基地局20は、通信状態取得情報CQ1を蓄積し、統計処理を行うことによって通信状態予測情報CQ2を生成する。通信状態予測情報CQ2には、平日、休日、時間帯、天候、日にち、季節、付近で催されるイベントの開催情報、移動体通信網に接続される端末装置10の台数等の特徴に基づく通信状態の予測であって、移動体通信網の各位置における通信状態の予測が示される。
以降の説明において、通信状態取得情報CQ1及び通信状態予測情報CQ2を区別しない場合には、総称して通信状態情報CQと記載する。
【0017】
この一例では、通信状態情報CQは、通信の速度、通信のつながりやすさ、通信の途切れにくさ等の指標によって通信状態(通信品質)を示す。この指標は、例えば「良」「可」「悪」の3段階に分けられる。この一例の場合、通信状態情報CQは、通信状態を「良」「可」「悪」の3段階で示す。
ここで、通信状態が良好であることを通信状態情報CQが示す場合(例えば、通信状態情報CQが「良」の場合)には、端末装置10において、受信信号強度が大きく、信号対干渉雑音比が大きく、再送回数が少なく、データ誤り率が低く、スループットが高く、又は移動体通信網に接続される端末装置10の数が少ない。また、通信状態が不良であることを通信状態情報CQが示す場合(例えば、通信状態情報CQが「悪」の場合)には、端末装置10において、受信信号強度が小さく、信号対干渉雑音比が小さく、再送回数が多く、データ誤り率が高く、スループットが低く、又は移動体通信網に接続される端末装置10の数が多い。
なお、通信状態情報CQは、3段階によって評価される構成に代えて、3より多い段階によって評価されてもよく、3より少ない段階によって評価されてもよい。
【0018】
また、この通信状態情報管理サーバ40は、端末装置10と基地局20との間の通信状態が、端末装置10が必要とする通信状態になっているか否かを管理してもよい。ここで、端末装置10が要求する通信状態の一例を説明する。端末装置10は、複数のアプリケーションソフトウエアを実行可能である。なお、以下の説明において「アプリケーションソフトウエア」のことを、単に「アプリケーション」とも記載する。
これらのアプリケーションには、比較的通信量が少ないものと、比較的通信量が多いものとがある。比較的通信量が少ないアプリケーションの一例には、文字情報をやり取りする電子メールアプリケーションがある。比較的通信量が多いアプリケーションの一例には、ウエブ上に共有されている動画像を再生する動画再生アプリケーションがある。
端末装置10は、比較的通信量が少ないアプリケーション(例えば、電子メールアプリケーション)を実行する場合には、比較的悪い通信状態でもサービス品質を低下させずに実行可能である。一方、端末装置10は、比較的通信量が多いアプリケーション(例えば、動画再生アプリケーション)を実行する場合には、通信状態が悪い場合、動画再生時にフレーム落ちなどが生じてサービス品質が低下してしまう。端末装置10は、アプリケーションの通信量に応じて、通信状態を例えば「良」「可」などの段階に分けて要求する。
具体的には、端末装置10は、通信量が比較的多いアプリケーションを実行する場合には、通信状態が「良」であることが好ましい。また、端末装置10は、通信量が比較的少ないアプリケーションを実行する場合には、通信状態が「良」又は「可」であることが好ましい。
【0019】
また、通信状態情報管理サーバ40は、基地局20のエリアAR内における端末装置10の接続数の時間的な推移などの統計情報を、通信状態情報CQとして管理してもよい。
この場合、通信状態情報CQは、基地局20のエリアAR内における端末装置10との現在の接続数や、過去の接続数に基づいて生成される。
なお、通信状態情報管理サーバ40は、基地局20から通信状態情報CQを取得してもよく、端末装置10から通信状態情報CQを取得してもよい。
【0020】
通信状態情報管理サーバ40の制御部CSは、通信状態情報送信部40aをその機能部として備える。通信状態情報送信部40aは、端末装置10に対して通信状態情報CQを送信する。端末装置10が通信状態情報CQを要求する場合には、通信状態情報送信部40aは、端末装置10の要求に応じて通信状態情報CQを送信する。
また、記憶部MSには、通信状態情報CQが過去から現在まで時系列に記憶される場合がある。この場合において、端末装置10は、記憶部MSに記憶される通信状態情報CQのうち、必要な時点又は必要な期間の通信状態情報CQを要求する場合がある。この場合、通信状態情報管理サーバ40は、記憶部MSに記憶される通信状態情報CQのうち、端末装置10の要求に応じた時点又は期間の通信状態情報CQを、端末装置10に対して送信する。
【0021】
[端末装置10の機能構成]
次に、端末装置10の機能構成の一例について説明する。
図2に示す一例では、端末装置10は、制御部CTと、表示部DPとを備える。表示部DPとは、ディスプレイパネル等の表示装置である。表示部DPは、制御部CTの制御に基づいて、画像などの情報を表示する。
制御部CTは、CPUを備えており、通信状態情報取得部10aと、アプリケーション実行部10bと、アプリケーション判定部10cと、アプリケーション推薦部10dと、移動判定部10eと、通信状態情報表示制御部10fと、通信状態情報記憶部10gとをその機能部として備える。
【0022】
通信状態情報取得部10aは、通信状態情報管理サーバ40から通信状態情報CQを取得する。この通信状態情報取得部10aは、所定のタイミングにおいて通信状態情報管理サーバ40から通信状態情報CQを取得する。この所定のタイミングには、アプリケーション実行部10bがアプリケーションの実行を開始するタイミングや、端末装置10の現在位置が変化したタイミングなどがある。
【0023】
アプリケーション実行部10bは、端末装置10にインストールされているアプリケーションを実行する。このアプリケーションには、電子メールアプリケーションや、動画像閲覧アプリケーションなどがある。上述したように、電子メールアプリケーションは、比較的通信量が少ないアプリケーションの一例である。動画像閲覧アプリケーションは、比較的通信量が多いアプリケーションの一例である。
【0024】
[アプリケーションの種類の一例]
アプリケーション実行部10bが実行するアプリケーションの種類の一例として、次のようなものがある。
(1)通信量の多さと通信状態の安定性との両立が求められるアプリケーション。
動画再生アプリケーションは、例えばストリーミング再生の場合、動画の再生中において動画データをリアルタイムに送受信する。動画再生アプリケーションは、比較的通信量が多い状態を、動作の再生中において安定的に維持する必要があるアプリケーションの一例である。
(2)通信量の多さが求められるものの、通信状態の安定性は比較的求められないアプリケーション。
ソフトウエア機能更新のためのダウンロードアプリケーションは、比較的通信量が多いものの、通信量が多い状態が比較的短時間だけ発生するアプリケーションの一例である。
ダウンロードアプリケーションは、通信状態が不安定になった場合には、ダウンロードの通信速度を低下させたり、ダウンロードを中断させたりすることができる。ダウンロードアプリケーションは、上述の動画再生アプリケーションにおいて要求されるリアルタイム性が要求されない点において、動画再生アプリケーションと異なる。
(3)通信量は比較的少ないものの、通信状態の安定性が求められるアプリケーション。
電子決済アプリケーションは、セキュアな通信状態を確保するため、決済のトランザクション中に通信が途絶した場合には、決済処理を最初からやり直す場合がある。このような電子決済アプリケーションは、通信量の多さは比較的求められないものの、通信状態の安定性が求められるアプリケーションの一例である。
【0025】
比較的通信量が多いアプリケーションをアプリケーション実行部10bが実行する場合に、端末装置10の現在位置における通信状態が比較的悪いと、ユーザが満足する状態で実行することができない場合がある。例えば、動画像閲覧アプリケーションをアプリケーション実行部10bが実行する場合に、端末装置10の現在位置における通信状態が「悪」であると、動画像のフレーム欠損が生じて、動画像を滑らかに再生することができない場合がある。
【0026】
上述したように、端末装置10と基地局20との間の通信状態は、当該端末装置10が複数のエリアARのうちの、どのエリアARに在圏しているかによって変化する。例えば、エリアAR内に鉄道の駅などの人口密度が比較的高い施設が存在する場合には、時間帯によっては基地局20に接続される端末装置10の数が増える場合がある。この場合、当該エリアARの通信状態は、他のエリアARの通信状態に比べて比較的悪い場合がある。
また、端末装置10と基地局20との間の通信状態は、端末装置10の現在位置がエリアAR内のどこであるかによっても変化する。例えば、端末装置10が建物の中に位置する場合には、端末装置10が建物の外に位置する場合に比べて通信状態が比較的悪い場合がある。つまり、端末装置10と基地局20との間の通信状態は、当該端末装置10の現在位置によって変化する。
【0027】
アプリケーション判定部10cは、端末装置10にインストールされている各アプリケーションについて、アプリケーション実行部10bがアプリケーションを実行する場合にユーザが満足する状態で実行することができるか否かを判定する。
このアプリケーション判定部10cは、通信状態情報取得部10aによって取得される通信状態情報CQに基づいて判定する。つまり、アプリケーション判定部10cは、アプリケーション実行部10bが実行することができるアプリケーションを、通信状態情報CQに基づいて判定する。
【0028】
アプリケーション推薦部10dは、端末装置10にインストールされている複数のアプリケーションのうち「アプリケーション実行部10bが実行することができる」とアプリケーション判定部10cによって判定されたアプリケーションを推薦する。ここで「アプリケーションを推薦する」には、表示部DPへのアプリケーションアイコンの表示や、特定のアプリケーションに関連付けられた音や振動の出力が含まれる。つまり、アプリケーション推薦部10dは、端末装置10のユーザに対して、画像、音及び振動などによって推薦するアプリケーションを提示する。
また、ここでいう「アプリケーション実行部10bが実行することができる」には、アプリケーションが単に実行可能であることのみならず、アプリケーションが良好な状態で実行可能であることも含まれる。例えば、動画再生アプリケーションの場合、所定速度以上の通信環境が継続的に確保され、動画の再生がスムーズに行われる場合に、アプリケーションが良好な状態で実行可能であるという。この一例の場合、アプリケーション判定部10cは、所定速度以上の通信環境を動画再生期間において継続的に確保できる場合に、「アプリケーション実行部10bが実行することができる」と判定する。
【0029】
移動判定部10eは、端末装置10が移動中であるか否かを判定する。移動判定部10eは、端末装置10の移動又は静止を判定することができればよく、その移動又は静止の検出手段は限定されない。移動判定部10eによる移動検出手段の一例を示す。
【0030】
[移動検出手段の例]
(1)GPS(Global Poitioning System)による移動検出
移動判定部10eは、GPS衛星からの測位電波を受信することにより、端末装置10の位置を求め、この位置の変化の有無によって端末装置10が移動中であるか否かを判定する。また、移動判定部10eは、GPS衛星の他に、準天頂衛星(quasi−zenith satellites: QZS)等、各種の測位衛星からの測位電波を受信することによって端末装置10が移動中であるか否かを判定してもよい。
(2)加速度センサによる移動検出
移動判定部10eは、端末装置10の加速度を検出する加速度センサを備えていてもよい。この場合、移動判定部10eは、加速度センサの検出結果に基づいて、端末装置10が移動中であるか否かを判定する。また、移動判定部10eは、加速度センサの検出結果が特定の加速度パターンを示している場合に、その加速度パターンに基づいて移動手段を判定してもよい。例えば、移動判定部10eは、加速度センサの検出結果が鉄道での移動時に現れる加速度パターンを示している場合には、端末装置10のユーザが鉄道によって移動していると判定してもよい。また、移動判定部10eは、加速度センサの検出結果が徒歩での移動時に現れる加速度パターンを示している場合には、端末装置10のユーザが徒歩によって移動していると判定してもよい。
また、移動判定部10eは、加速度センサが加速度を検出している場合であっても、その加速度パターンが、ユーザが移動せずに、端末装置10を手持ちしている場合に現れる加速度パターンを示している場合には、端末装置10が移動していないと判定してもよい。
(3)エリアAR滞在時間による移動検出
端末装置10は、在圏しているエリアARの識別子(セルID)を基地局20から取得している。この場合、移動判定部10eは、セルIDの変化の有無に基づいて、端末装置10が移動中であるか否かを判定してもよい。具体的には、移動判定部10eは、セルIDの変化が所定時間以上ない場合には、端末装置10が移動中でないと判定する。
(4)近距離無線の接続状態による移動検出
端末装置10は、基地局20との通信の他に、近距離無線のアクセスポイントとの通信を行う。この場合、移動判定部10eは、複数あるアクセスポイントのうち、いずれのアクセスポイントと通信が可能であるかを判定することにより、端末装置10の位置を判定することができる。この場合、移動判定部10eは、通信が可能なアクセスポイントが変化した場合には、端末装置10が移動中であると判定する。
(5)静止状態が継続しているか否かの判定
また、移動判定部10eは、現在、静止状態であるか否かを判定するだけでなく、静止状態が継続しているか否かを判定してもよい。この場合、移動判定部10eは、過去の移動状況に基づいて、静止状態が継続しているか否かを判定する。
【0031】
通信状態情報表示制御部10fは、通信状態情報取得部10aによって取得された通信状態情報CQを表示部DPに表示する。
【0032】
通信状態情報記憶部10gは、通信状態情報取得部10aによって取得された通信状態情報CQを記憶する。つまり、通信状態情報記憶部10gは、過去の通信状態を記憶する。
【0033】
[端末装置10の制御部CTの動作の具体例]
図3は、本実施形態の制御部CTの動作の一例を示す図である。
【0034】
(ステップS1)通信状態情報取得部10aは、現在位置における通信状態情報CQを、通信状態情報管理サーバ40から取得する。通信状態情報取得部10aは、例えば、次に示す所定のタイミングにおいて、通信状態情報CQを取得する。
【0035】
[通信状態情報CQの取得タイミング]
(1)端末装置10の移動時に取得する。
通信状態情報取得部10aは、端末装置10のユーザが移動している場合に、通信状態情報CQを取得する。具体的には、通信状態情報取得部10aは、移動判定部10eから端末装置10の移動判定結果を取得する。通信状態情報取得部10aは、取得した移動判定結果が、端末装置10が静止していることを示している状態から、移動していることを示す状態に変化した場合に、通信状態情報CQを取得する。
(2)アプリケーションの起動時に取得する。
通信状態情報取得部10aは、アプリケーション実行部10bがアプリケーションを起動した場合に、通信状態情報CQを取得する。この場合、アプリケーション推薦部10dは、起動されたアプリケーションが「推薦すべきアプリケーション」であるか否かをユーザに提示する。また、アプリケーション推薦部10dは、起動されたアプリケーション以外のアプリケーションが「推薦すべきアプリケーション」である場合には、起動されたアプリケーションが「推薦すべきでないアプリケーション」であることをユーザに提示してもよい。
(3)受信周波数の変化時に取得する。
端末装置10が複数の周波数帯域の電波を受信可能である場合がある。この場合に、通信状態情報取得部10aは、端末装置10が受信可能である周波数帯域のうち、いずれの周波数帯域の電波を実際に受信しているか、という点に基づいて、通信状態情報CQを取得してもよい。例えば、通信状態情報取得部10aは、受信している電波の周波数帯域が変化した場合に、通信状態情報CQを取得する。
(4)通信周波数の切り替え時に取得する。
端末装置10が複数の周波数帯域の電波を受信可能である場合、通信状態情報取得部10aは、端末装置10が通信周波数帯域を変化させた場合に、通信状態情報CQを取得してもよい。
(5)通信途絶後の通信回復時に取得する。
通信状態情報取得部10aは、通信状態が悪くなり通信が途絶してしまった場合において、通信状況が良くなり通信が回復したタイミングにおいて、通信状態情報CQを取得してもよい。
【0036】
(ステップS2)アプリケーション判定部10cは、端末装置10の現在位置において実行することができるアプリケーションを判定する。一例として、アプリケーション判定部10cは、
図4に示す判定条件リストに基づいて、実行可能なアプリケーションを判定する。
【0037】
図4は、本実施形態のアプリケーション判定部10cが判定に用いる判定条件リストの一例を示す図である。この判定条件リストは、端末装置10の不図示の記憶部に記憶されている。この記憶部には、アプリケーション名と、当該アプリケーションに要求される通信状態とが関連付けられて、判定条件リストとして記憶されている。具体的には、判定条件リストにおいて、「動画再生」アプリケーションと、通信量「良」以上・安定性「良」以上とが関連付けられている。また、判定条件リストにおいて、「ダウンロード」アプリケーションと、通信量「良」以上・安定性「可」以上とが関連付けられている。また、判定条件リストにおいて、「電子決済」アプリケーションと、通信量「悪」以上・安定性「良」以上とが関連付けられている。
【0038】
[アプリケーション判定部10cによる判定の一例]
アプリケーション判定部10cは、通信状態情報CQと、判定条件リストとを比較し、実行可能なアプリケーションを判定する。
(1)通信状態情報CQが、通信量「良」・安定性「良」を示す場合
アプリケーション判定部10cは、「動画再生」アプリケーション、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションのいずれも実行可能であると判定する。
(2)通信状態情報CQが、通信量「良」・安定性「可」を示す場合
アプリケーション判定部10cは、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションが実行可能であると判定する。
(3)通信状態情報CQが、通信量「悪」・安定性「良」を示す場合
アプリケーション判定部10cは、「電子決済」アプリケーションが実行可能であると判定する。
【0039】
(ステップS3)アプリケーション推薦部10dは、アプリケーション判定部10cが端末装置10の現在位置において実行可能であると判定したアプリケーションを推薦する。
【0040】
[推薦されるアプリケーションの一例]
アプリケーション推薦部10dが推薦するアプリケーションの一例を次に示す。
(1)実行可能なアプリケーションを全て推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、アプリケーション判定部10cが端末装置10の現在位置において実行可能であると判定したアプリケーションを全て推薦する。例えば、上述の一例において、アプリケーション判定部10cが「動画再生」アプリケーション、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションのいずれも実行可能であると判定した場合、これら3つのアプリケーションを推薦する。
(2)実行可能なアプリケーションのうち、要求される通信状態が高いほうを推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、実行可能なアプリケーションのうち、要求される通信状態が高いほうを推薦してもよい。例えば、上述の一例において、アプリケーション判定部10cが「動画再生」アプリケーション、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションのいずれも実行可能であると判定した場合、アプリケーション推薦部10dは、要求される通信状態が最も高い「動画再生」アプリケーションを推薦する。
ここで、要求される通信状態によらずに、アプリケーション推薦部10dがアプリケーションを推薦する場合、要求される通信状態が低いアプリケーション(つまり、低スペックのアプリケーション)が常に推薦されてしまうという状況が生じうる。アプリケーション推薦部10dは、要求される通信状態が高いほうのアプリケーションを推薦することにより、低スペックのアプリケーションが常に推薦されないようにすることができる。
(3)実行頻度が高いアプリケーションを推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、実行可能なアプリケーションのうち、ユーザによる実行頻度が高いほうを推薦してもよい。例えば、上述の一例において、「動画再生」アプリケーション、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションのうち、「電子決済」アプリケーションの実行頻度が他のアプリケーションの実行頻度に比べて高い場合がある。この場合、アプリケーション判定部10cが「動画再生」アプリケーション、「ダウンロード」アプリケーション、及び「電子決済」アプリケーションのいずれも実行可能であると判定した場合、アプリケーション推薦部10dは、実行頻度が最も高い「電子決済」アプリケーションを推薦する。
【0041】
[アプリケーションを推薦するタイミングの一例]
アプリケーション推薦部10dがアプリケーションを推薦するタイミングの一例を次に示す。
(1)端末装置10の移動時に推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、端末装置10が移動中であると移動判定部10eが判定した場合に、アプリケーションを推薦する。この場合において、アプリケーション推薦部10dは、推薦するアプリケーションを移動手段に応じて選択してもよい。例えば、アプリケーション推薦部10dは、徒歩による移動の場合と、鉄道による移動の場合とで、推薦するアプリケーションを変えてもよい。また、端末装置10のユーザが端末装置10を手で持っていると判定された場合に、アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションを推薦してもよい。
(2)アプリケーション起動時に推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションの起動時に推薦してもよい。この場合、アプリケーション推薦部10dは、端末装置10にインストールされているアプリケーションのうち、いずれかのアプリケーションが起動されるたびに推薦してもよいし、特定のアプリケーションが起動された場合に推薦してもよい。
(3)通信途絶後の通信回復時に推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、通信状態が悪くなり通信が途絶してしまった場合において、通信状況が良くなり通信が回復したタイミングにおいて、アプリケーションを推薦してもよい。また、この場合、アプリケーション推薦部10dは、通信状態が悪くなり通信が途絶してしまった場合に実行されていたアプリケーションが、通信回復後に実行可能である場合、このアプリケーションを推薦してもよい。
また、アプリケーションの実行中に実行が中断された場合、その中断履歴が取得されている場合がある。この中断履歴には、中断の原因が記録されていてもよい。アプリケーション推薦部10dは、中断の原因が「通信状態の悪化による通信の途絶」であり、中断したアプリケーションが実行可能な状態にまで通信状態が回復した場合には、このアプリケーションを推薦してもよい。
また、アプリケーション推薦部10dは、端末装置10が受信する電波の電界レベルが0(ゼロ)でなくなったときに、アプリケーションを推薦してもよい。
(4)ユーザによる操作時に推薦する。
アプリケーション推薦部10dは、端末装置10の電源投入時、すなわち起動時にアプリケーションを推薦してもよい。また、アプリケーション推薦部10dは、端末装置10の表示部DPに表示されていない状態(ブラックアウトしている状態)から、表示部DPに表示がされた状態に変化した場合に、アプリケーションを推薦してもよい。
また、アプリケーション推薦部10dは、端末装置10の画面ロック解除を検知した時や、充電ケーブルの挿抜を検知した時にアプリケーションを推薦してもよい。
【0042】
なお、アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションを推薦した場合、このアプリケーションをユーザが選択した場合には、以降の推薦タイミングにおいて、ユーザによる選択履歴があるアプリケーションの推薦を行わないとしてもよい。
また、アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションを推薦した場合、このアプリケーションをユーザが選択するか否かに関わらず、以降の推薦タイミングにおいて、アプリケーションの推薦を行わないとしてもよい。
また、アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションを推薦した場合、このアプリケーションをユーザが選択しなかった場合には、以降の推薦タイミングにおいて、このアプリケーションの推薦を再度行うとしてもよい。
また、アプリケーション推薦部10dは、アプリケーションを推薦した後、以降の推薦タイミングにおいて再度同一のアプリケーションを推薦する場合には、アプリケーションの推薦の間隔を所定期間空けるとしてもよい。
【0043】
(ステップS4)アプリケーション実行部10bは、ユーザの操作に基づいてアプリケーションを実行する。
【0044】
[画面表示の例]
次に、通信状態情報表示制御部10fによる表示部DPへの画面表示の一例について示す。
【0045】
(1)電車で移動中の場合(地図表示)
図5は、本実施形態の通信状態情報表示制御部10fによる地図表示の一例を示す図である。通信状態情報表示制御部10fは、地図上において端末装置10の現在位置を含む周辺エリアの通信状態を表示する。同図の一例において、端末装置10の現在位置は、A駅である。この場合、通信状態情報表示制御部10fは、A駅を含むエリアAR1と、このエリアAR1の周辺エリアであるエリアAR2及びエリアAR3の通信状態を表示する。ここで、エリアAR2とは、B駅を含むエリアである。
【0046】
通信状態情報表示制御部10fは、移動判定部10eによって端末装置10が移動中であると判定された場合に、同図に示す地図表示を行う。
この端末装置10のユーザが、A駅からB駅に移動中に、同図に示す表示画面を見た場合、A駅よりもB駅のほうが、通信状態が良いことが分かる。この場合、端末装置10のユーザは、A駅においてアプリケーションを実行するよりも、B駅においてアプリケーションを実行したほうが良いと判断することができる。
つまり、通信状態情報表示制御部10fは、通信状態を地図表示することにより、ユーザに対して、地図上のどの位置でアプリケーションを実行したほうがよいのか、ということを知らせることができる。
また、この場合、アプリケーション推薦部10dは、A駅では実行可能ではないが、B駅では実行可能であるアプリケーションを推薦してもよい。
なお、移動判定部10eは、端末装置10の現在位置が変化していない場合であっても、位置の変化履歴に基づいて端末装置10が移動中であると判定してもよい。例えば、移動判定部10eは、端末装置10が直前まで移動していた場合には、端末装置10が移動中であると判定する。この場合、通信状態情報表示制御部10fは、端末装置10の現在位置が変化していない場合であっても、上述の地図表示を行う。
【0047】
また、通信状態情報表示制御部10fは、移動経路の途中に通信状態が悪く通信が途絶しやすいエリアが存在する場合には、当該エリアを地図上に表示してもよい。このように通信が途絶しやすいエリア(途絶エリア)を地図表示することにより、通信状態情報表示制御部10fは、途絶エリアを通過するユーザに対して、アプリケーションが実行できなくなることについて注意喚起することができる。
また、移動経路上に途絶エリアが存在する場合、アプリケーション推薦部10dは、途絶エリアに到達するまでの所要時間に基づいて、推薦対象のアプリケーションを選択してもよい。例えば、ユーザが移動して10分後に途絶エリアに到達すると予測される場合、アプリケーション推薦部10dは、実行可能なアプリケーションのうち、平均実行時間が10分以下であるアプリケーションを推薦する。つまり、アプリケーション推薦部10dは、過去のアプリケーションの実行結果(統計情報)に基づいて、アプリケーションを推薦する。この場合において、アプリケーション推薦部10dは、途絶エリアまでの所要時間を、ユーザの移動速度に基づいて算出してもよい。
【0048】
また、通信状態情報表示制御部10fは、ユーザの移動速度に応じて、表示部DPに表示される地図の縮尺を変更してもよい。この一例の場合、通信状態情報表示制御部10fは、ユーザの移動速度が比較的速い場合には広範囲の大まかな地図を、ユーザの移動速度が比較的遅い場合には狭範囲の詳細な地図を、それぞれ表示する。
【0049】
(2)静止中の場合(時系列情報の表示)
図6は、本実施形態の通信状態情報表示制御部10fによる他の一例を示す図である。通信状態情報表示制御部10fは、端末装置10の現在位置における時系列の通信状態を表示する。通信状態情報表示制御部10fは、現在時刻(同図の一例では時刻7:00)以降の通信状態(推定値)を、表示部DPに表示する。この通信状態の推定値は、基地局20の各エリアにおける過去の通信状態に基づいて推定される。例えば、通信状態の推定値は、同一地点における過去の同時刻、同曜日の通信状態を平均化して求められる。つまり、通信状態情報表示制御部10fは、統計情報に基づいて推定された、現在時刻以降の通信状態を時系列にして表示部DPに表示する。
【0050】
これにより、端末装置10のユーザは、アプリケーションを実行するにあたり、どの時間帯が良いのかを知ることができる。例えば、同図に示すように、端末装置10のユーザは、現在時刻(7:00)の通信状況が「悪」の場合、1時間後の8:00まで待てば通信状況が「可」になるとわかる。この場合、ユーザは、「可」の場合に実行可能なアプリケーションを、現在時刻において実行するのではなく、1時間待って実行したほうがよいと判断することができる。また、端末装置10のユーザは、現在時刻(7:00)の通信状況が「悪」の場合、4時間後の11:00まで待てば通信状況が「良」になるとわかる。この場合、ユーザは、「良」の場合に実行可能なアプリケーションを、4時間待たなければ実行できないと判断することができる。さらに、この場合、ユーザは、11:00まで待つか、場所を移動したほうが良いのかを判断することができる。
【0051】
なお、通信状態情報表示制御部10fは、表示部DPに地図表示と時系列表示とを切り替えるためのボタン画像を表示してもよい。これにより、通信状態情報表示制御部10fは、移動中でなくても、ユーザの操作によって地図画像をユーザに提示することができる。これにより、端末装置10のユーザは、アプリケーションを実行するために場所を移動したほうがよいと判断した場合に、どのエリアARに移動すればよいのかを知ることができる。
【0052】
また、通信状態情報表示制御部10fは、通信状態の推定値(つまり将来の通信状態)だけでなく、過去の通信状態(つまり通信状態の実測値)を表示してもよい。これにより、端末装置10のユーザは、例えば翌日、同じ場所でアプリケーションを実行する場合に、推定値よりも正確な実測値を参考にすることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。