(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877811
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】アングルバーの一体化された吸引及び冷却
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
A61B17/16
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-32945(P2018-32945)
(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-158095(P2018-158095A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年11月13日
(31)【優先権主張番号】15/464,492
(32)【優先日】2017年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョーイ・マグノ
(72)【発明者】
【氏名】サイード・エー・メルザ
【審査官】
北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−511074(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第03141201(EP,A1)
【文献】
国際公開第01/064115(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイスであって、
溝付き延長部を有する切断バーと、
遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、前記遠位端部は前記切断バーの前記溝付き延長部に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、
前記可撓性/湾曲可能シャフトの前記近位端部に接続可能であるように構成される細長い溝付きシャフトと、
前記可撓性/湾曲可能シャフト及び前記細長い溝付きシャフトの全部又は部分を受容するように構成されるシースと、
前記シースを受容するように構成される外側管であって、前記外側管と前記シースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管と、
を備え、
前記細長い溝付きシャフト及び前記溝付き延長部のそれぞれに設けられた溝が回転することにより吸引力を発生させる、外科用デバイス。
【請求項2】
前記溝付き延長部は螺旋状溝を含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記細長い溝付きシャフトは螺旋状溝を含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記シースは、前記細長い溝付きシャフトと前記外側管との間にある、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記シースは、前記溝付き延長部と前記外側管との間にある、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記シースは、前記可撓性/湾曲可能シャフトと前記外側管との間にある、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記遠位端部は、前記切断バーの前記溝付き延長部に固定的に接続可能であるように構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記細長い溝付きシャフトは、前記可撓性/湾曲可能シャフトの前記近位端部に固定的に接続可能であるように構成されている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
外科用デバイスであって、
溝付き延長部を有する切断バーと、
遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、前記遠位端部は前記切断バーの前記溝付き延長部に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、
前記可撓性/湾曲可能シャフトの前記近位端部に接続可能であるように構成される細長い溝付きシャフトと、
接続された可撓性/湾曲可能シャフトと前記細長い溝付きシャフトを受容可能であるように構成されるシースであって、前記シースの径は前記細長い溝付きシャフト又は前記切断バーの前記溝付き延長部の径よりも大きく、流体吸引を可能にするシースと、
前記シースを受容するように構成される外側管であって、前記外側管と前記シースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管と、
前記細長い溝付きシャフト、前記シース及び前記外側管に接続可能であるように構成されるハウジングと、
を備え、
前記溝付きシャフト及び前記溝付き延長部のそれぞれに設けられた溝が回転することにより吸引力を発生させる、外科用デバイス。
【請求項10】
前記溝付き延長部は螺旋状溝を含む、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項11】
前記細長い溝付きシャフトは螺旋状溝を含む、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記シースは、前記細長い溝付きシャフトと前記外側管との間にある、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記シースは、前記溝付き延長部と前記外側管との間にある、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
前記シースは、前記可撓性/湾曲可能シャフトと前記外側管との間にある、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
外科用デバイスであって、
ヘッド及び拡張部分を有する切断バーと、
遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、前記遠位端部は前記切断バーの前記拡張部分に固定的に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、
前記可撓性/湾曲可能シャフトの前記近位端部に固定的に接続可能であるように構成される細長い溝付きシャフトと、
接続された前記可撓性/湾曲可能シャフトと前記細長い溝付きシャフト、並びに前記切断バーの前記拡張部分の全部又は一部分を受容可能であるように構成されるシースであって、前記シースの径は前記細長いシャフト又は前記切断バーの前記拡張部分の径よりも大きく、流体吸引を可能にするシースと、
前記シースを受容するように構成される外側管であって、前記外側管と前記シースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管と、
を備え、
前記溝付きシャフト及び前記拡張部分のそれぞれに設けられた溝が回転することにより吸引力を発生させる、外科用デバイス。
【請求項16】
前記拡張部分は螺旋状溝を含む、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項17】
前記細長い溝付きシャフトは螺旋状溝を含む、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項18】
前記シースは、前記細長い溝付きシャフトと前記外側管との間にある、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項19】
前記シースは、前記拡張部分と前記外側管との間にある、請求項15に記載の外科用デバイス。
【請求項20】
前記シースは、前記可撓性/湾曲可能シャフトと前記外側管との間にある、請求項15に記載の外科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アングル高速バーに関し、より具体的にはアングル高速バーのための一体化された吸引及び冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
(先行発明の簡単な説明)
アングルバーを有する従来型電動医療器具/ハンドピースの多くは、15°〜90°の屈曲角で30,000rpmまでの速度で動作する。これは高速であるように思われるが、多くの外科医は穿孔時間を短縮するためにより速いRPMを望んでいる。現在、例えば前頭洞切開処置における穿孔過程の速度を増す目的で、外科医は鼻梁から骨を切除するために手の圧力を増大する必要がある。これは外科医を疲労させやすく、また、スピニングバーへの過度の圧力により、外科医が確実に保持していない場合に隣接する骨組織へ滑落して損傷を及ぼす場合があるため、安全性の懸念が生じる。加えて、これにより、モータに更にトルク負荷が加わり、ハンドピースの温度の上昇を生じる場合がある。
【0003】
加えて、バー外側シース径が小さくなると、結果として内部又は外部の吸引路がより小さくなり、吸引管のバーのシャフト内部又は外部に詰まりが生じる。この状況は、使用中に使い捨てバーの詰まり除去をしなければならないことによる遅延、及び/又は詰まったバーを交換しなければならないことによる処置のコスト追加を生じる。
【0004】
したがって、従来型設計は一般に(上述のように)様々な制限と欠点を生じるため、改善されて信頼できる製品構成を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様に従い、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、切断バー(cutting burr)、可撓性/湾曲可能シャフト、細長い溝付きシャフト、シース、及び外側管を含む。切断バーは溝付き延長部を有する。可撓性/湾曲可能シャフトは遠位端部及び近位端部を有し、遠位端部は切断バーの溝付き延長部に接続可能であるように構成されている。細長い溝付きシャフトは、可撓性シャフトの近位端部に接続可能であるように構成されている。シースは、可撓性シャフトと細長い溝付きシャフトとの全部又は部分を受容するように構成されている。外側管は、シースを受容するように構成されており、外側管とシースとの間の流体灌注のための十分なスペースがある。
【0006】
本発明の別の態様に従い、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、切断バー、可撓性/湾曲可能シャフト、細長い溝付きシャフト、シース、外側管、及びハウジングを含む。切断バーは溝付き延長部を有する。可撓性/湾曲可能シャフトは遠位端部及び近位端部を有し、遠位端部は切断バーの溝付き延長部に接続可能であるように構成されている。細長い溝付きシャフトは、可撓性シャフトの近位端部に接続可能であるように構成されている。シースは、接続された可撓性シャフトと細長い溝付きシャフトを受容するように構成されている。シースの径は、細長いシャフト又は切断バーの溝付き延長部の径よりも大きく、流体吸引を可能にする。外側管は、シースを受容するように構成されており、外側管とシースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある。ハウジングは、細長いシャフト、シース及び外側管に接続可能であるように構成されている。
【0007】
本発明の別の態様に従い、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、切断バー(cutting burr)、可撓性/湾曲可能シャフト、細長い溝付きシャフト、シース、及び外側管を含む。切断バーはヘッド及び拡張部分を有する。可撓性/湾曲可能シャフトは遠位端部及び近位端部を有し、遠位端部は切断バーの拡張部分に固定的に接続可能であるように構成されている。細長い溝付きシャフトは、可撓性シャフトの近位端部に固定的に接続可能であるように構成されている。シースは、接続された可撓性シャフトと細長い溝付きシャフト、及び切断バーの拡張部分の全部又は一部分を受容するように構成されている。シースの径は、細長いシャフト又は切断バーの拡張部分の径よりも大きく、流体吸引を可能にする。外側管は、シースを受容するように構成されており、外側管とシースとの間の流体灌注のための十分なスペースがある。
【0008】
本発明の前述の態様及び他の形態は、添付図面に関連し、以降の説明で明白にされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の機構を組み込んだ使い捨て外科用バー取付組立体の斜視図である。
【
図2】
図1に示す使い捨て外科用バー取付組立体の正面図である。
【
図3】
図1に示す使い捨て外科用バー取付組立体の側面図である。
【
図4】
図1に示す使い捨て外科用バー取付組立体の部分断面図である。
【
図6】
図1に示す管部分と回転するバー部分の端部の部分断面図である。
【
図9】
図1に示す管部分と回転するバー部分の端部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明の機構を組み込んだ使い捨て外科用バー取付組立体10の斜視図を示す。本発明は、図面に示された例示の実施形態の参照によって説明されるが、本発明は、実施形態の多くの代替形態で具体化され得ることを理解されたい。加えて、要素又は材料の、任意の好適な寸法、形状、又はタイプが使用され得る。
【0011】
使い捨て外科用バー取付組立体10(
図2にもまた示す)は、ハンドピース取付部分12、可撓性管部分14、及び回転するバー部分16を含む。ここでまた
図3を参照すると、ハンドピース取付部分12は、取付ハブ18及び管ロックリング20を有するハウジングを含む。可撓性管部分14は、第1端部22及び対向する第2端部24を含む。可撓性管部分14の第1(又は遠位)端部22は、回転するバー部分16に接続されている。可撓性管部分14の第2(又は近位)端部24は、取付ハブ18に接続されており、かつ管ロックリング20によってハンドピース取付部分12に固定されている。加えて、ハンドピース部分10は、吸引チュービング72及び灌注チュービング76に接続するように構成されている。
【0012】
ここでまた、バー組立体10の断面図を示している
図4を参照すると、バー取付組立体10の切断バー16とシャフト支持体30との間を延びる溝付きシャフト26及び可撓性シャフト28を示す。回転するバー部分(又は切断バー)16は、ヘッド部分(又はバー)32及び拡張部分(又はバー先端)34を含む。拡張部分34は、ヘッド部分32にネック区分36と、可撓性シャフト28にシャンク区分38とを含む。様々な例示的な実施形態により、ヘッド部分32及び拡張部分34は、圧入又ははんだ溶接を用いる滑り嵌め等の任意の適切な方法で一緒に結合されてもよい。しかしながら、代替の実施形態では、ヘッド部分32及び拡張部分34は一体成形されてもよい。加えて、可撓性シャフト28の第1端部40は切断バー16の拡張部分34に結合されており、可撓性シャフト28の第2端部42は溝付きシャフト26に結合されている。様々な例示的な実施形態により、これらの部品を可撓性シャフト28に接続する1つの方法は、拡張部分34のシャンク区分38に盲穴を穿孔することと、溝付きシャフト28の端部44に盲穴を穿孔して、次に可撓性シャフト28の第1端部40をシャンク区分38の盲穴に挿入し、可撓性シャフト28の第2端部42を溝付きシャフト26の第1端部44で盲穴に挿入して、滑り嵌めを設け、次に溝付きシャフト26と可撓性シャフト28と切断バー16のシャンク区分38との間の永久結合を作製するために銀はんだ溶接を用いて結合を仕上げることである。しかしながら、代替の実施形態では、溝付きシャフト26、可撓性シャフト28及び切断バー16のシャンク区分38を結合する任意の適切な方法が提供されてもよい。
【0013】
溝付きシャフト26及び可撓性シャフト28は、可撓性管部分14内を回転可能であるようにサイズを合わせられて成形される。溝付きシャフト26は、ドリル先端の構成に類似して、シャフトの外面に螺旋状溝を更に含んでもよい。様々な例示的な実施形態により、溝付きシャフト26の第1端部44とシャフト26の狭小部分48との間の螺旋状溝46は、時計回り(CW)構成を含んでもよく、溝付きシャフト26の第2端部52とシャフト26の狭小部分48との間の螺旋状溝50は、反時計方向(CCW)構成を含んでもよい。しかしながら、代替の実施形態では、螺旋状溝のための任意の適切な構成が提供されてもよい。
【0014】
可撓性管部分14の屈曲角は、可撓性シャフト28によって達成される。可撓性シャフト28は、例えば、S.S.White Technologies Inc.により製造された可撓性シャフトのような回転運動を伝達するように構成されている、可撓性/湾曲可能シャフトの任意の適切なタイプであってもよいことに留意する。回転中に屈曲角を維持するためのシャフト28の構成及び可撓性は、バーが高速ドリル(HSD)ハンドピース10によって回る能力を維持する一方で、5/8インチ〜1インチの最小曲半径で約15°〜約90°の角度となることを可能にする。
【0015】
ここでまた
図5を参照すると、ハンドピース部分12のY接合部54を示す
図4の一部分の拡大図が示される。Y接合部54の一部分は、シャフト26の狭小部分48と整列されて吸引路56を設ける。Y接合部54の別の部分は、シャフト26の狭小部分48とシャフト26の第1端部44との間に整列されて灌注路58を設ける。
図5はまた、シャフト26の狭小部分48と溝付きシャフト26の第2端部52(ハンドピース部分12の取付ハブ区分64にある)との間の軸受60及びスペーサ62と、溝付きシャフト26と可撓性管部分14との間のシース66を示す。
【0016】
ここでまた
図6を参照すると、シース66は例えば金属製シースであってもよく、可撓性管部分14内に異なる流路を可能にする管状区分を設ける。例えば、第1流路(又は灌注流路)68は、シース66の外面と可撓性管部分14の内面との間に設けられる。加えて、第2流路(又は吸引流路)70は、可撓性シャフト28の外面とシース66の内面との間に設けられる。吸引流路70は、拡張部分34の外面とシース66の内面との間に、かつ溝付きシャフト26の外面とシース66の内面との間にもまた設けられている。
【0017】
操作の間、可撓性シャフト28は、可撓性管部分14の屈曲角を通って延びる際に外側シース66の内側で回転する。しかしながら、より速いRPM速度では、外側シース66の内壁と可撓性シャフト28との間の接触摩擦により熱を生じる場合がある。様々な例示的な実施形態は、金属製外側シース66の上に可撓性外側管14を、それらの間に最小限の隙間を備えて重ねる構成により液体が流れることができる、一体化された灌注ライン68を含む。可撓性管14と金属製シース66との間のこの隙間を通る水又は生理食塩水の連続的な灌注により、熱転移が消散し、温度の過度の上昇を防ぐことができる。この構成の1つの有用性は、可撓性管14の材料もまた、加熱されると膨張する特徴を有することである。可撓性管14は、例えばQosina Corporation製のPVC可撓性管のような任意の適切なタイプの可撓性管であってもよいことに留意する。この構成は、金属製シースの任意の場所がより熱くなる場合、可撓性管のその部分で部分的に膨張し、より多くの冷却流体が通過するのを可能にするため、増加した冷却流体を提供する。
【0018】
ここでまた、
図6の一部分の拡大図を示す
図7、及び
図6の線8−8を通る断面図を示す
図8を参照すると、吸引流路70は、溝付きバー先端ネック36から金属製外側シース66の内側の経路を通り、可撓性シャフト28とシース66との間の隙間(又は同心間隙)を通り、次に溝付きシャフト26とシース66との間の隙間(又は同心間隙)を通って設けられ、更にヘッドピース部分12で吸引チュービング72に通じるY接合部56で吸引路56に出る。溝付きシャフト26と同様に、バー先端ネック36とシャンク38はまた、ドリル先端の構成と同様にネック36とシャンク38の外面に螺旋状溝を含んでもよい。この吸引機構は、デブリ除去を容易にし、かつより大きなデブリを更に粉砕し、それらをY接合部54に達するまでこれら3つの時計回りの溝に後方に送ることによって詰まるのを防止する。上述したように、第2端部52と狭小部分48との間(すなわち、Y接合部の後ろ)の溝付きシャフト26の部分は、螺旋状溝50の反時計回り(CCW)の向きを含むことができる。この機構は、流体及びデブリをY接合部54へ前方に「押し進め」、軸受60とスペーサ(複数可)62の後ろに吸引流体が漏れるのを防ぐのに役立つ。この機構はまた、追加の不必要な負荷トルクを生じる場合がある軸受の周りの動的封止の必要性を排除することができる。様々な例示的な実施形態により、(吸引流路に関して上述した)同心間隙の寸法は、(中心線から半径に沿って)約0.001インチ〜約0.06インチであってもよく、好ましい同心間隙は(中心線から半径に沿って)約0.02インチである。
【0019】
図6〜
図8はまた、操作中にバー16が回転74する間に、バー先端34に向けられる流体を提供する灌注/冷却流路68を示す。灌注流路68は(灌注チュービング76に接続される)灌注路58と流体連通にあり、灌注路58からバー部分16まで、シース66と可撓性管部分14との間の隙間(又は同心間隙)を通って設けられる。様々な例示的な実施形態は、バー先端に達し、特定領域に均一に広がり、吸引圧の下で直ちに戻ることができないようにするため、高噴霧速度の状態を提供する。
図9、
図10は更に、可撓性管14内の金属製外側シース66の形状を変更する様々な可能なノズルオプション断面を示す(円形断面、八角形断面、六角形断面、異形断面、又は任意の他の適切に成形された断面形状を含んでもよい
図10の部分A、B、C、Dを参照)。様々な例示的な実施形態により、(灌注流路に関して上述した)同心間隙の寸法は、(中心線からの半径に沿って)約0.001インチ〜約0.06インチであってもよく、(中心線からの半径に沿って)約0.02インチの好ましい同心間隙を有する。
【0020】
例示的な実施形態のうちの任意の1つ又は2つ以上の技術的効果は、従来型設計のより小さな部品が、使い捨て取付物に追加のクリップを取り付けない場合に外部吸引ラインと外部灌注ラインを溶接することにより一緒に組み立てる必要があるため、様々な製造上の課題を有する従来型構成に著しい有用性を提供する。
【0021】
例示的な実施形態のうちの任意の1つ又は2つ以上の追加の技術的効果は、市場で現在提示される最大RPMと比べて50%である、少なくとも45KのRPMで動作できる高速バーを提供する。これにより、骨組織へ過度の圧力をかけることなく、より速く切断するためのバーを提供し、排除しないにしても、バーが横方向へ滑り摺動するのを最小限にする。更に、これにより、施術中の外科医は切断形状の質と精度により一層、集中することができる。例示的な実施形態のうちの任意の1つ又は2つ以上の追加の技術的効果はまた、これらの機構に適応するための一体化された設計を有することにより、吸引詰まり及び灌注クリップの煩わしい取付に関する問題に取り組む。例示的な実施形態のうちの任意の1つ又は2つ以上の追加の技術的効果はまた、吸引及び冷却/灌注システムが一体化された15〜90°の屈曲角を有する使い捨て高速45KのRPMバーの複数ストック保持ユニット(SKU)を提供する。
【0022】
例示的な実施形態のうちの任意の1つ又は2つ以上の更なる技術的効果は、様々な径サイズと可撓性要求を満たす可撓性シャフトを用いて高RPM速度を達成し、高RPMでの摩擦により生じる熱を減らし、吸引及び灌注のシステム一体化を提供して、詰まりを最小限に抑え、操作中にバーへ適切な潤滑性を提供する。
【0023】
以下に、様々な非限定的な例示の実施形態の更なる説明を提供する。後述の例示の実施形態は、1つ又は2つ以上の他の態様若しくは例示の実施形態と共に実行され得る。つまり、直下に記載されているとおり、本発明の例示の実施形態は、任意の組み合わせ(例えば、好適、実際的、及び/又は実行可能である任意の組み合わせ)で実装、実行、又は使用され得るが、本明細書に記載されている、及び/又は添付の特許請求の範囲に包含されている組み合わせのみに限定されない。
【0024】
1つの例示の実施形態では、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、溝付き延長部を有する切断バーと、遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、その遠位端部は切断バーの溝付き延長部に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、可撓性シャフトの近位端部に接続可能であるように構成される細長い溝付きシャフトと、可撓性シャフト及び細長い溝付きシャフトの全部又は部分を受容するように構成されるシースと、シースを受容するように構成される外側管であって、外側管とシースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管とを備える。
【0025】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付き延長部は螺旋状溝を含む。
【0026】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付きシャフトは螺旋状溝を含む。
【0027】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付きシャフトと外側管との間にある。
【0028】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付き延長部と外側管との間にある。
【0029】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、可撓性シャフトと外側管との間にある。
【0030】
上記の外科用デバイスにおいて、遠位端部は、切断バーの溝付き延長部に固定的に接続可能であるように構成されている。
【0031】
上記の外科用デバイスにおいて、細長い溝付きシャフトは、可撓性シャフトの近位端部に固定的に接続可能であるように構成されている。
【0032】
別の例示の実施形態では、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、溝付き延長部を有する切断バーと、遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、その遠位端部は切断バーの溝付き延長部に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、可撓性シャフトの近位端部に接続可能であるように構成される細長い溝付きシャフトと、接続された可撓性シャフトと細長い溝付きシャフトを受容可能であるように構成されるシースであって、シースの径は細長いシャフト又は切断バーの溝付き延長部の径よりも大きく、流体吸引を可能にするシースと、シースを受容するように構成される外側管であって、外側管とシースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管と、細長いシャフトとシースと外側管に接続可能であるように構成されるハウジングとを備える。
【0033】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付き延長部は螺旋状溝を含む。
【0034】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付きシャフトは螺旋状溝を含む。
【0035】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付きシャフトと外側管との間にある。
【0036】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付き延長部と外側管との間にある。
【0037】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、可撓性シャフトと外側管との間にある。
【0038】
別の例示の実施形態では、外科用デバイスが開示されている。外科用デバイスは、ヘッド及び拡張部分を有する切断バーと、遠位端部と近位端部とを有する可撓性/湾曲可能シャフトであって、その遠位端部は切断バーの拡張部分に固定的に接続可能であるように構成される、可撓性/湾曲可能シャフトと、可撓性シャフトの近位端部に固定的に接続可能であるように構成された細長い溝付きシャフトと、接続された可撓性シャフト及び細長い溝付きシャフト、並びに切断バーの拡張部分の全部又は一部分を受容可能であるように構成されたシースであって、シースの径は細長いシャフト又は切断バーの拡張部分の径よりも大きく、流体吸引を可能にするシースと、シースを受容するように構成された外側管であって、外側管とシースとの間に流体灌注のための十分なスペースがある外側管とを備える。
【0039】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付き延長部は螺旋状溝を含む。
【0040】
上記の外科用デバイスにおいて、溝付きシャフトは螺旋状溝を含む。
【0041】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付きシャフトと外側管との間にある。
【0042】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、溝付き延長部と外側管との間にある。
【0043】
上記の外科用デバイスにおいて、シースは、可撓性シャフトと外側管との間にある。
【0044】
本発明の構成部品は、操作上で連結又は接続され得ることと、任意の数又は任意の組み合わせの介在要素が存在し得ること(介在要素なしを含む)と、を理解されたい。接続は直接的又は間接的であってよく、更に、構成部品間には単なる機能上の関係が存在するにすぎない場合もある。
【0045】
前述の説明は、あくまでも本発明の例示であることを理解されたい。本発明を逸脱することなく、様々な代替物及び改良例が当業者によって考案され得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある、かかるすべての代替物、改良例、及び変形形態を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0046】
10 高速ドリル(HSD)ハンドピース、外科用バー取付組立体
12 ハンドピース取付部分
14 可撓性管部分
16 バー部分、切断バー
18 取付ハブ
20 管ロックリング
22 第1(又は遠位)端部
24 第2(又は近位)端部
26 シャフト
28 可撓性シャフト
30 シャフト支持体
32 ヘッド部分、バー
34 拡張部分、バー先端
36 ネック
38 シャンク
40 第1端部
42 第2端部
44 第1端部
45 高速
46 螺旋状溝
48 狭小部分
50 螺旋状溝
52 第2端部
54 Y接合部
56 吸引路
58 灌注路
60 軸受
62 スペーサ
64 取付ハブ区分
66 シース
68 第1流路、灌注流路
70 第2流路、吸引流路
72 吸引チュービング
74 回転
76 灌注チュービング