(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877818
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】ヘアトリートメント剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20210517BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20210517BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20210517BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/34
A61K8/37
A61Q5/12
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-238713(P2016-238713)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-95568(P2018-95568A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】山村 野乃
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−024167(JP,A)
【文献】
特開2010−024168(JP,A)
【文献】
特開2010−024169(JP,A)
【文献】
特開2005−154286(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/003992(WO,A1)
【文献】
特開2011−246488(JP,A)
【文献】
特開2001−213738(JP,A)
【文献】
特開2000−212046(JP,A)
【文献】
特開2001−220326(JP,A)
【文献】
特開2005−298447(JP,A)
【文献】
特開2004−217643(JP,A)
【文献】
特開2003−081783(JP,A)
【文献】
特開2004−256551(JP,A)
【文献】
特開2002−053445(JP,A)
【文献】
特開2010−138107(JP,A)
【文献】
特表2008−516988(JP,A)
【文献】
特開2005−336136(JP,A)
【文献】
特開2005−343860(JP,A)
【文献】
特開2014−101308(JP,A)
【文献】
特開2010−184905(JP,A)
【文献】
特開昭54−109917(JP,A)
【文献】
特開2002−338438(JP,A)
【文献】
特開平05−171183(JP,A)
【文献】
特開昭56−145209(JP,A)
【文献】
特開2013−189423(JP,A)
【文献】
特開昭54−106415(JP,A)
【文献】
特開2003−261415(JP,A)
【文献】
特許第5833812(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00− 8/99
A61Q1/00−19/10
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有し、シリコーン類を含有しないことを特徴とするヘアトリートメント剤。
(A)ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミンから選択される1種又は2種を0.5〜5質量%
(B)ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコールから選択される1種又は2種以上を1〜20質量%
(C)テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルを1〜15質量%
(D)テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルを1〜10質量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアトリートメント剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメント剤は、ヘアパック、ヘアリンス等とも呼ばれ、毛髪の表面をなめらかにして櫛通りを良くし、また、しっとり感を与えるといった効果を有する毛髪化粧料であり、多くの種類のものが上市されている。ヘアトリートメント剤は、毛髪をなめらかにしたり、しっとり感を与えるため、通常、様々な重合度のシリコーンやアミノ基で変性したシリコーン等のシリコーン類を配合している。しかし、シリコーン類は、毛髪表面へ蓄積する性質を有するため、シリコーン類を配合したヘアトリートメント剤を繰り返し使用していると、毛髪にごわつきやきしみが生じてくるといった問題があった。
【0003】
そこで、シリコーン類を含有しない特許文献1や特許文献2のようなヘアトリートメント剤が開発されている。特許文献1は、シリコーン類の代わりに、脂肪酸アミドアミン、高級アルコール及び水添ポリイソブテン及び/又は水添ポリデセンを配合しており、特許文献2は、脂肪酸アミドアミン、高級アルコール及びトリメリト酸トリエステル類を配合している。しかし、いずれのヘアトリートメント剤も、毛髪に塗布したときの使用感が不十分であり、また、安定性については何らか評価されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−24167号公報
【特許文献2】特開2010−24168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、シリコーン類を含有しなくとも、使用感が良く、また、安定性の高いヘアトリートメント剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記の(A)〜(D)を含有し、シリコーン類を含有しないことを特徴とするヘアトリートメント剤を提供する。
(A)脂肪酸アミドアミン
(B)高級アルコール
(C)テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル
(D)テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、シリコーン類を含有しなくとも、使用感が良く、また、安定性に優れたヘアトリートメント剤を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)脂肪酸アミドアミンは、化学式がR
1CONH(CH
2)nNR
2R
3で表される化合物をいい、R
1は、置換されていてもよい直鎖又は分岐した炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸残基を、R
2及びR
3は、同一又は異なっていてもよく、置換されていてもよい直鎖又は分岐した炭素数1〜10のアルキル基を、またnは1〜10を示す化合物である。本発明で用いられる脂肪酸アミドアミンは、この化学式で表されるものであれば、いずれも使用できるが、これらの中でも、ステアラミドプロピルジメチルアミン(化粧品表示名称)、ベヘナミドプロピルジメチルアミン(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0009】
成分(A)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明のヘアトリートメント剤全量に対し、0.5〜5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.5質量%未満又は5質量%を超えると、安定性が悪くなる場合がある。
【0010】
本発明で用いられる成分(B)高級アルコールは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコール類であり、特に制限されずに使用することができる。具体的にはミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。これらの中でもセタノール(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0011】
成分(B)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明のヘアトリートメント剤全量に対し、1〜20質量%の配合量が好ましい。配合量が1質量%未満又は20質量%を超えると、安定性が悪くなる場合がある。
【0012】
本発明で用いられる成分(C)テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルは、エチルヘキサン酸とペンタエリスリトールとのテトラエステルであり、特に制限されずに使用することができる。
【0013】
成分(C)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明のヘアトリートメント剤全量に対し、1〜15質量%の配合量が好ましい。配合量が1質量%未満であると、使用感及び安定性に影響を及ぼす場合があり、15質量%を超えると、安定性が悪くなる場合がある。
【0014】
本発明で用いられる成分(D)テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルは、ヒドロキシステアリン酸及びイソステアリン酸とジペンタエリスリトールとのテトラエステルであり、特に制限されずに使用することができる。
【0015】
成分(D)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明のヘアトリートメント剤全量に対し、1〜10質量%の配合量が好ましい。配合量が1質量%未満であると、使用感及び安定性に影響を及ぼす場合があり、10質量%を超えると、安定性が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明のヘアトリートメント剤は、成分(A)〜(D)に加え、さらに成分(E)プロパンジオールを含有させることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる成分(E)プロパンジオールは、化学名を1,3−プロパンジオールといい、特に制限されずに使用することがでる。
【0018】
成分(E)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明のヘアトリートメント剤全量に対し、5〜20質量%の配合量が好ましい。配合量が5質量%未満又は20質量%を超えると、使用感が悪くなる場合がある。
【0019】
本発明のヘアトリートメント剤は、シリコーン類を含有しないことを特徴とする。ここでいうシリコーン類とは、シロキサン結合(Si−O−Si)を有する有機化合物をいい、具体的には、ジメチコン、シクロヘキサシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、PEG−10ジメチコン等のシリコーン系油剤やシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0020】
本発明のヘアトリートメント剤は、上述の成分の他に、通常の化粧料に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0021】
本発明のヘアトリートメント剤は、常法により製造することができる。剤型としては、液状、クリーム状、ワックス状等の剤型とすることができ、シャンプー等で毛髪を洗浄した後に用いることが好ましい。また、塗布した後、毛髪に残存する余分なヘアトリートメント剤をすすいで用いることが好ましい。
【実施例】
【0022】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0023】
表の実施例及び比較例のヘアトリートメント剤を、下記の製造方法で製造した。
<製造方法>
(1)成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及びパルミチン酸イソプロピルを80℃〜85℃で、均一に混合した。
(2)上記(1)以外の成分を80℃〜85℃で、均一に混合した。
(3)上記(1)に上記(2)を加え、80℃〜85℃に加温後、ホモミキサーで均一に混合し、室温まで冷却して、表の各実施例及び比較例のヘアトリートメント剤を製造した。
【0024】
そして、各実施例及び比較例のヘアトリートメント剤について、下記の方法で、使用感及び安定性の評価を行った。その結果を表に示す。
【0025】
a)使用感(髪とのなじみ、すすぎ時の指通り、乾燥後の髪のしっとり感)
専門パネラー5名による使用テストを行った。まず、各パネラーが日常使用しているシャンプーで十分洗髪を行ってから、表のヘアトリートメント剤の使用テストを行い、下記の評価基準に従って、髪とのなじみ、すすぎ時の指通り、乾燥後の髪のしっとり感について、絶対評価をし、更にその5人の評点の平均点を下記判定基準により判定した。評価基準及び判定基準は、髪とのなじみ、すすぎ時の指通り、乾燥後の髪のしっとり感で共通のものとした。
<評価基準>
3点:非常に良い
2点:良い
1点:やや悪い
0点:悪い
<判定基準>
◎:2.5点以上
○:1.8点以上2.5点未満
△:1.0点以上1.8点未満
×:1.0点未満
【0026】
b)安定性
専門評価員3名に、表のヘアトリートメント剤を5℃、25℃、40℃で3カ月保管した際の外観の状態を下記の判定基準により判定した。
<判定基準>
◎:変化がない
○:変化がほとんどない
△:やや硬度に変化が見られる
×:硬度に変化が見られる
【0027】
表に示された結果から明らかなように、各実施例のヘアトリートメント剤は、使用感及び安定性すべての面で優れていた。一方、各比較例のヘアトリートメント剤は、使用感及び安定性の面で劣っていた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】