(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テープからの部品の取出が良好に行われず、テープに部品が残存したままテープがテープ切断機構に向けて搬送されることがある。このような場合に、標準切断タイミングのままテープ切断を実行してしまうと、テープに残存した部品をテープ切断機構が切断し、それによってテープ切断機構が破損することがある。また、部品の種類、形状、サイズや材質によってはテープ切断機構による部品切断が部品実装装置における停止エラーの要因となることもある。そこで、上記特許文献1に記載の装置では、部品の取出不良が発生すると、1ピッチ分の切断から2ピッチ分の切断に切り替えている。つまり、標準切断タイミングでのテープ切断動作をスキップして次の標準切断タイミングでテープ切断を行っている。これにより、テープ切断機構がテープに残存している部品を切断するのを防止している。
【0005】
しかしながら、上記従来装置では、部品の取出不良が発生すると、1回(あるいは取出不良がN回連続するときにはN回)標準切断タイミングでのテープ切断が実行されない。そのため、切断されたテープ片の長さが設定値の2倍以上となり、テープ片を良好に片づけることができないことがあった。
【0006】
また、部品の種類、形状、サイズや材質等によってはテープ切断機構により部品を切断したとしても、テープ切断機構の破損などが発生しないこともある。例えば小型のチップ部品については、部品の取出不良にかかわらず標準切断タイミング毎にテープ切断を行うことで上記問題が発生するのを防止するのが好適な場合がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、テープからの部品の取出不良が発生したとしても、テープを適切な長さで切断することができるテープ切断技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、部品が取り出されてテープ切断機構に所定のピッチで間欠的にピッチ搬送されてくるテープを標準切断タイミング毎に切断するテープ切断装置であって、 テープからの部品の取出不良を検出する取出不良検出部と、取出不良検出部により取出不良が検出された部品がテープとともに搬送されてくる部品搬送位置を求める部品位置導出部と、部品位置導出部により求められる、標準切断タイミングでの部品搬送位置に基づいてテープ切断機構によるテープの切断タイミングを制御するタイミング制御部と、を備え、標準切断タイミングはテープのピッチ搬送を複数回行ったタイミングであ
り、タイミング制御部は、標準切断タイミングでの部品搬送位置がテープ切断機構にあるときには、変更後の切断タイミングは標準切断タイミングより前であるという条件と、変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置はテープの搬送の方向においてテープ切断機構より上流側の位置であるという条件との両方を満足するように、切断タイミングを変更することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の第2態様は、部品が取り出されてテープ切断機構に所定のピッチで間欠的にピッチ搬送されてくるテープを標準切断タイミング毎に切断するテープ切断方法であって、テープからの部品の取出不良が発生すると、標準切断タイミングにおいて取出不良の部品がテープとともに搬送されてくる部品搬送位置を求める第1工程と、部品搬送位置に基づいてテープ切断機構によるテープの切断タイミングを制御する第2工程と、を備え、標準切断タイミングはテープのピッチ搬送を複数回行ったタイミングであ
り、第2工程では、標準切断タイミングでの部品搬送位置がテープ切断機構にあるときには、変更後の切断タイミングは標準切断タイミングより前であるという条件と、変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置はテープの搬送の方向においてテープ切断機構より上流側の位置であるという条件との両方を満足するように、切断タイミングを変更することを特徴としている。
【0010】
このように構成された第1態様および第2態様に係る発明では、部品の取出不良が発生した後に、標準切断タイミング時点で当該部品が位置する部品搬送位置を求めている。そして、当該部品搬送位置に基づいてテープの切断タイミングが制御される。このようにテープを適切な切断タイミングで切断しているので、切断されたテープ片の長さを適正化することができる。
【0011】
ここで、切断タイミングの制御の一例として、タイミング制御部が、標準切断タイミングでの部品搬送位置がテープ切断機構にあるときには、テープ切断タイミングを以下の第1条件および第2条件、つまり
第1条件:変更後の切断タイミングは標準切断タイミングより後である、
第2条件:変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置はテープ切断機構を通過した位置である、
を満足するように変更するように構成してもよい。これにより、取出不良の部品がテープ切断機構を完全に通過した状態でテープ切断が行われ、当該部品によるテープ切断機構の破損などを確実に防止することができる。
【0012】
また、切断タイミングの制御の他の例として、タイミング制御部が、標準切断タイミングでの部品搬送位置がテープ切断機構にあるときには、切断タイミングを以下の第3条件および第4条件、つまり、
第3条件:変更後の切断タイミングは標準切断タイミングより前である、
第4条件:変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置はテープの搬送の方向においてテープ切断機構より上流側の位置である、
を満足するように変更するように構成してもよい。これにより、取出不良の部品がテープ切断機構に到達する前にテープ切断が行われ、当該部品によるテープ切断機構の破損などを確実に防止することができる。
【0013】
上記のように切断タイミングを変更する際には、変更後の切断タイミングと標準切断タイミングとの時間差が、標準切断タイミングと次の標準切断タイミングとの間隔よりも短くなるように構成してもよい。この場合、テープから切り取られるテープ片の長さは通常動作(標準切断タイミング毎にテープを切断する動作)から変動するものの、その長さは従来技術よりも短く抑えられる。
【0014】
また、本発明の第3態様は、部品が取り出されてテープ切断機構に搬送されるテープを標準切断タイミング毎に切断するテープ切断装置であって、テープからの部品の取出不良を検出する取出不良検出部と、取出不良検出部により取出不良が検出された部品がテープとともに搬送されてくる部品搬送位置を求める部品位置導出部と、 テープに収納されている部品のテープ切断機構による切断が許容されるか否かを判定する切断許容判定部と、部品位置導出部により求められる部品搬送位置および切断許容判定部による判定結果に基づいてテープ切断機構によるテープの切断タイミングを制御するタイミング制御部とを備え、タイミング制御部は、切断が許容されず、かつ標準切断タイミングにおける部品搬送位置がテープ切断機構にあるときには切断タイミングを変更する一方、切断が許容されるときには標準切断タイミングでテープ切断を実行することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の第4態様は、部品が取り出されてテープ切断機構に搬送されるテープを標準切断タイミング毎に切断するテープ切断方法であって、テープに収納されている部品のテープ切断機構による切断が許容されるか否かを判定する工程を有し、切断が許容されないときにはテープからの部品の取出不良が発生すると、標準切断タイミングにおいて取出不良の部品がテープとともに搬送されてくる部品搬送位置を求め、部品搬送位置に基づいてテープ切断機構によるテープの切断タイミングを制御する一方、切断が許容されるときには標準切断タイミングでテープ切断を実行することを特徴としている。
【0016】
このように構成された第3態様および第4態様に係る発明では、テープに収納されている部品のテープ切断機構による切断が許容されている場合には、テープからの部品の取出不良が発生したか否かを問わず、標準切断タイミングでテープ切断が実行される。したがって、上記部品を収納していたテープから切り取られるテープ片の長さは一定となる。
【0017】
上記切断許容の判定については、部品の種類、形状、サイズおよび材質のうちの少なくとも1つ以上に基づいて切断が許容されるか否かを判定してもよく、これによってテープ切断機構の破損などを発生させることなく、テープを適切な長さで切断することができる。
【0018】
さらに、本発明の第5態様は、部品実装装置であって、部品を基板に実装する実装ヘッドと、複数の部品を収納する部品収納テープを送ることで、部品収納テープ内の部品を部品供給位置に供給しつつ部品供給位置でヘッドユニットにより部品が取り出されたテープを排出するテープフィーダーと、上記テープ切断装置とを備えることを特徴としている。このように構成された第5実施形態に係る発明では、部品が取り出されたテープを適切な長さで切断することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、標準切断タイミング時点でテープに残存する部品の部品搬送位置に基づいてテープの切断タイミングを制御している。あるいは、テープに収納されている部品のテープ切断機構による切断が許容されている際には標準切断タイミングでテープ切断を行う。したがって、テープからの部品の取出不良が発生したとしても、テープを適切な長さで切断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明に係る部品実装装置の第1実施形態を模式的に示す部分平面図である。同図および以下の図では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を適宜示す。この部品実装装置1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。部品実装装置1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図1の基板2の位置)に搬入した基板2に対してヘッドユニット3により部品Pを実装し、部品実装を完了した基板2をコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0022】
部品実装装置1は、2個のヘッドユニット3それぞれをXY方向に個別に駆動するXY駆動機構4を備える。このXY駆動機構4は、それぞれX方向に平行に延設されてヘッドユニット3をX方向に移動可能に支持する一対のXビーム41、41を有する。各Xビーム41には、X方向に平行に延設されたボールネジ42と、ボールネジ42を回転駆動するXモーター43とが取り付けられている。Xモーター43は、ここの例ではサーボモーターである。そして、ボールネジ42のナットにヘッドユニット3が取り付けられている。さらに、XY駆動機構4は、それぞれY方向に平行に延設された一対のYビーム44、44を有する。各Xビーム41の一端は一方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持され、各Xビーム41の他端は他方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持される。各Yビーム44には、Xビーム41、41をY方向に駆動するYモーター45が取り付けられている。各Yモーター45は、ここの例ではリニアモーターであり、Xビーム41、41の端に取り付けられた可動子451、451と、Y方向に平行に延設された固定子452とを有する。そして、可動子451と固定子452との間に働く磁力によって可動子451とともにXビーム41がY方向に駆動される。かかるXY駆動機構4によれば、Xモーター43およびYモーター45によって、ヘッドユニット3をXY方向に移動させることができる。
【0023】
部品供給部5は、一対のコンベア12、12のY方向の両側のそれぞれに配設されている。部品供給部5では、X方向に並ぶ複数のテープフィーダー51(以下、単に「フィーダー51」と称する)が着脱可能に装着されている。各フィーダー51は集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品P(チップ部品)を所定間隔おきに収納したテープをY方向に間欠的に送り出すことによって、テープ内の部品Pを部品供給位置に供給する。なお、部品供給部5の詳しい構成および動作については後で詳述する。
【0024】
ヘッドユニット3は、X方向に平行に配列された複数の実装ヘッド31を有している。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられた吸着ノズルによって部品Pを吸着・保持することが可能となっている。そして、ヘッドユニット3はフィーダー51の上方へ移動して、フィーダー51により供給される部品Pを吸着ノズルで吸着して保持する。それに続いて、ヘッドユニット3は作業位置の基板2の上方に移動して部品Pの吸着を解除することで、基板2に部品Pを実装する。なお、本実施形態では、フィーダー51により供給される部品Pの吸着ノズルによる吸着状態を側方から撮像するサイドビューカメラ32(
図7)がヘッドユニット3に取り付けられており、部品Pの吸着ミス(つまりテープからの部品Pの取出不良)を検出するための画像信号を出力する。
【0025】
また、部品供給部5とコンベア12との間には、部品認識カメラ6およびノズル保管部7が配置されている。部品認識カメラ6は、部品供給部5において吸着ノズルにより吸着された部品Pを撮像し、部品情報および位置ずれ情報を取得するための画像情報を提供する。この部品撮像は、部品供給部5から基板2への移動中にヘッドユニット3が部品認識カメラ6の上方を通過することで実行される。こうして取得された画像を解析することで、吸着された部品PのXY平面における位置ずれ量および回転角度を求めることが可能となっている。
【0026】
ノズル保管部7は互いに異なる種類の複数の吸着ノズルを保管する機能を有している。部品Pに対応した吸着ノズルを取り付けるように指示された場合、ヘッドユニット3がノズル保管部7の上方まで移動した後に実装ヘッド31が鉛直方向Zに昇降して吸着ノズルを交換する。
【0027】
次に、部品供給部5の構成について
図1ないし
図6を参照しつつ説明する。部品供給部5は、複数のフィーダー51が装着された一括交換台車(あるいは「フィーダカート」とも称される)52と、テープ切断ユニット53とを備えている。
【0028】
図2はフィーダーおよびテープ切断ユニットの構成を模式的に示す図であり、同図中の破線部分にはテープ切断機構を部分的に拡大した図を示している。同図では、フィーダー51がテープ70を送り出すフィード方向Df(Y方向に平行)を適宜示すとともに、フィード方向Dfの矢印側をフィード方向Dfの「前」と、フィード方向Dfの矢印の反対側をフィード方向Dfの「後ろ」と取り扱う。
【0029】
フィーダー51は、機械的構成であるフィーダー本体511と、フィーダー本体511を駆動するモーターMf、Mbとを備える。フィーダー本体511は、X方向に薄くてフィード方向Dfに長尺な偏平形状のケース512を有する。ケース512のフィード方向Dfの後端では、Z方向に延設されたテープ挿入口513a(破線で示す)が開口し、ケース512のフィード方向Dfの前方の上面に上述の部品供給位置510が設けられている。そして、フィーダー本体511内ではテープ挿入口513aから部品供給位置510へ至るテープ搬送路513bが設けられている。このフィーダー本体511は、テープ挿入口513aからテープ搬送路513bに挿入されたテープ70を、モーターMf、Mbの駆動力を受けてフィード方向Dfに送り出すことで、部品供給位置510に部品Pを供給する。
【0030】
具体的には、フィーダー本体511は、テープ搬送路513bの上方でテープ挿入口513aに隣接して配置されたスプロケット514と、モーターMbの駆動力をスプロケット514に伝達するギヤ515とをケース512内に有し、スプロケット514はモーターMbが発生する駆動力を受けて回転する。さらに、フィーダー本体511は、ケース512に対して着脱可能に取り付けられたテープ支持部材516を有する。このテープ支持部材516はスプロケット514に下方から対向し、スプロケット514との間にテープ70を挟むことで、テープ70をスプロケット514に係合させる。これによって、スプロケット514はテープ70に係合しつつ回転することで、テープ70をフィード方向Dfに送り出すことができる。また、フィーダー本体511は、その前端部分に配置されて下方からテープ搬送路513bに隣接するスプロケット517と、モーターMfの駆動力をスプロケット517に伝達するギヤ518とをケース512内に有し、スプロケット517はモーターMfが発生する駆動力を受けて回転する。したがって、スプロケット517は、テープ70に係合しつつ間欠的に回転することで、テープ70をフィード方向Dfに1ピッチ(
図4の符号PT)ずつ間欠的に搬送する。
【0031】
図3は一括交換台車を示す斜視図である。一括交換台車52は部品供給部5の台車装着空間59(
図1参照)に対して挿脱自在となっている。一括交換台車52は、ベース部521と、フィーダー51を着脱自在に保持するフィーダー保持部522と、ハンドル部523と、部品供給リール(図示省略)を格納するリール格納部524とを備えている。ベース部521には移動用車輪(図示省略)を固定されており、オペレータやユーザなどがハンドル部523を操作することでフィーダー51および部品供給リールを保持したまま移動自在となっている。
【0032】
部品供給リールには、例えば
図4に示すようなテープが巻回されている。
図4はテープの構成を示す斜視図である。テープ70は
図4に示すように一方向に長いシート形状を有するキャリアテープ72と、キャリアテープ72に貼着されるトップテープ74とから構成される。キャリアテープ72には、上方に開口した空洞状の部品収納部72Aがテープの長手方向に一定間隔で設けられている。そして、各部品収納部72Aに対し、トップテープ74によって閉止された状態で部品Pが収納され、保持されている。また、キャリアテープ72の一辺側には、その縁部に沿って上下に貫通する係合孔72Bが一定間隔で設けられている。このように構成されたテープ70は、部品Pの吸着動作毎に、フィーダー51によって1ピッチPT分の搬送、トップテープ74の剥離、部品収納部72Aからの部品Pの取出およびキャリアテープ72の排出を受ける。フィーダー51から排出されたキャリアテープ72は排出テープTPとしてテープ切断ユニット53に送られ、ユーザにより予め設定された標準切断タイミングで切断され、テープ片CTとして一括交換台車52のベース部521に設けられた廃棄テープ回収箱525に回収される。
【0033】
図5はテープ切断ユニットの全体構成を示す斜視図である。また、
図6はテープ切断ユニットに設けられるテープ切断機構の内部構成を示す斜視図である。テープ切断ユニット53は、テープ切断機構54と、テープ切断機構54の上方に延設される上スロープ機構55と、テープ切断機構54の下方に延設される下スロープ機構56と、を備えている。
【0034】
上スロープ機構55は、
図2に示すように、一対のスロープカバー551、552を組み合わせてテープガイド通路553を形成している。すなわち、上スロープ機構55の上端および下端では一対のスロープカバー551、552の端部が互いに離間して開口を形成している。そして、一括交換台車52に装着された1または複数のフィーダー51の各々から排出されてくるキャリアテープ72、つまり排出テープTPを上端側の開口を介してテープガイド通路553に案内し、さらにテープガイド通路553に沿って排出テープTPを下端側の開口を介してテープ切断機構54に案内する。なお、
図2中の符号L55はテープガイド通路553の長さを示している。
【0035】
テープ切断機構54は、排出テープTPを一括して保持しながら切断する機能を有している。より具体的には、テープ切断機構54は排出テープTPを保持するクランプ部541と、クランプ部541により保持された排出テープTPを切断位置CPで切断するカット部542とを有している。クランプ部541は2本のクランクバー541a、541bと、クランクバー541a、541bを開閉駆動するクランプ開閉駆動部541cとを有している。クランクバー541a、541bはフィーダー保持部522のX方向幅(
図3の符号522a参照)とほぼ同一の幅を有し、上スロープ機構55により案内されてきた排出テープTPの(+Y)方向側および(−Y)方向側でそれぞれX方向に延設されている。これらクランクバー541a、541bは、排出テープTPの切断位置CPの直上位置で、互いに近接および離間可能に設けられている。そして、クランプ開閉駆動部541cがクランクバー541a、541bを互いに離間させて開成させることで排出テープTPをさらに下スロープ機構56に送り込むことが可能となる。また、次に説明するようにカット部542によるテープ切断後にクランクバー541a、541bを開成させることで切断されたテープ片CTを下スロープ機構56に落下させることができる。一方、クランプ開閉駆動部541cがクランクバー541a、541bを互いに近接させて閉成させることで排出テープTPを一括して保持してカット部542によりテープ切断を安定化させることができる。
【0036】
カット部542は、切断位置CPで2枚の回転刃542a、542bを回転させながらX方向に移動させて排出テープTPを切断する機能を有している。回転刃542a、542bはカッター回転駆動部(
図7の符号542c)により回転されるとともに、カッター水平駆動部542dによりクランクバー541a、541bによる排出テープTPの保持範囲の一方側から他方側に、また逆方向に往復移動される。これによって、排出テープTPが一括して切断される。なお、
図2中の符号L54はテープ切断機構54のZ方向サイズを示している。
【0037】
カット部542により排出テープTPが切断された後で、クランクバー541a、541bの開成によってテープ片CTは下スロープ機構56に落下する。この下スロープ機構56は、上スロープ機構55と同様に、一対のスロープカバー561、562を組み合わせてテープガイド通路563を形成し、テープガイド通路563を介してテープ片CTを廃棄テープ回収箱525に案内する。これによって、テープ片CTが廃棄テープ回収箱525に回収される。
【0038】
図7は
図1に示す部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、上記ように構成された部品実装装置1の装置各部を制御するために、部品実装装置1は制御部80を有している。制御部80はCPU(Central Processing Unit)により構成される演算処理部81を備えている。演算処理部81には、XY駆動制御部82と、記憶部83と、画像処理部84と、テープ切断制御部85と、フィーダー通信部86と、表示部88と、入力部89と、がそれぞれ接続されている。
【0039】
制御部80では、記憶部83の切断プログラムにしたがって演算処理部81が、次に説明するように、装置各部を制御する。つまり、演算処理部81は、サイドビューカメラ32の撮像画像に基づいて部品Pの取出不良を検出し、取出不良が検出された部品Pが排出テープTPとともに搬送されてくる部品搬送位置を求め、部品搬送位置に基づいてテープ切断ユニット53による排出テープTPの切断タイミングを制御する。このように、本実施形態では、演算処理部81は、取出不良検出部811、部品位置導出部812およびタイミング制御部813として機能し、テープ切断処理を実行する。
【0040】
図8は
図1に示す部品実装装置における部品の吸着ミスの検出動作を示すフローチャートである。また、
図9はテープの切断タイミングを調整する切断タイミング調整動作を示すフローチャートである。さらに、
図10Aは切断タイミング調整動作の一例を模式的に示す図であり、
図10Bは切断タイミング調整動作の他の例を模式的に示す図である。なお、
図10Aおよび
図10Bにおいて、横軸は時間軸を示し、当該時間軸よりも上方側の模式図は標準切断タイミングでの各部の状態を示す一方、下方側の模式図は切断動作での各部の状態を示している。また、
図10Aおよび
図10B中の1点鎖線はカット部542の回転刃542a、542bがX方向においてクランクバー541a、541bの外側に位置してテープ切断の待機状態を示し、実線はカット部542の回転刃542a、542bがX方向においてクランクバー541a、541bの直下を移動する、いわゆるテープ切断状態を示している。ここでは、発明内容の理解を容易にするため、一のフィーダー51から供給される部品Pをヘッドユニット3により吸着する場合について説明する。
【0041】
部品実装装置1では、排出テープTPを切断するタイミングを標準切断タイミングとして入力可能となっており、ユーザは入力部89を介して標準切断タイミングを入力する。それを受け付けた演算処理部81は標準切断タイミングを記憶部83に記憶する(ステップS11)。なお、標準切断タイミングとしては、例えばテープ片CTの長さや基板2の搬送タイミング(実装済の基板2を搬出するとともに新たな基板2を搬入する入替タイミング)などを設定することが可能となっている。
【0042】
そして、部品吸着指令に基づいてヘッドユニット3により部品Pを吸着する際(ステップS12で「YES」)には、まず1ピッチPT(
図4参照)分だけフィーダー51によりテープ70がフィード方向Dfに搬送され、部品Pが部品供給位置510に供給される(ステップS13)。それに続いて、当該部品Pがヘッドユニット3に設けられた複数の実装ヘッド31のうち未吸着状態の実装ヘッド31の吸着ノズルにより吸着され、テープ70から取り出される(ステップS14)。このような1ピッチPT分のテープ搬送(ステップS13)および部品吸着(ステップS14)はステップS15で「YES」、つまりステップS12で部品吸着が指定された全吸着ノズルで行われるまで繰り返される。
【0043】
こうして1または複数の部品Pがヘッドユニット3により保持されると、サイドビューカメラ32がヘッドユニット3の側方から撮像し、撮像信号を制御部80に送信する(ステップS16)。その画像信号を受けた制御部80は画像処理部84で所定の画像処理を加えて得られた画像に基づいて吸着ミス、つまりテープ70からの部品Pの取出不良が発生したか否かを判定する(ステップS17)。このステップS17で「YES」、つまり吸着ミス(部品取出不良)の発生を検出すると、制御部80は吸着ミスの連続回数をカウントし、当該連続回数が許容値以下であるか否かをさらに判定する(ステップS18)。当該ステップS18で「YES」と判定する、つまり吸着ミスが許容値の回数を超えて発生する場合には、部品実装装置1による部品吸着を一時的に停止するとともに表示部88にエラーメッセージを表示するなどのエラー停止動作を実行する(ステップS19)。一方、ステップS17、S18で「NO」と判定する場合には、部品実装装置1をエラー停止させる必要がないと判定し、制御部80はステップS12に戻って次の部品吸着指令を待って上記部品吸着処理(ステップS13〜S15)およびサイドビューカメラ32による部品撮像処理(ステップS16)を繰り返す。
【0044】
上記のようにして部品吸着を繰り返して行っている間に、標準切断タイミングに到達し、部品Pの取出後の排出テープTPをテープ切断機構54により適当な長さで切断する。しかしながら、部品Pの吸着ミスにより排出テープTPに部品Pが残存することがあり、本実施形態ではこれを考慮して
図9に示す切断タイミング調整を制御部80が行う(ステップS21〜S27)。以下、
図9、
図10Aおよび
図10Bを参照しつつ切断タイミング調整処理について詳述する。
【0045】
ステップS21で標準切断タイミングに到達すると、制御部80の演算処理部81は、吸着ミスが発生して排出テープTPの部品収納部72Aに残存する部品P(以下「吸着ミス部品P」という)の有無を判定する(ステップS23)。このステップS23で「YES」、例えば
図10Aや
図10Bの「標準切断タイミング」に示すように、排出テープTPに吸着ミス部品Pが存在すると判定したときにはステップS23〜S25を実行した上でステップS26に進む一方、「NO」、つまり吸着ミス部品Pが存在しないと判定したときにはそのままステップS26に進む。
【0046】
上記ステップS23では演算処理部81は排出テープTPの搬送経路上における吸着ミス部品Pの位置(以下「部品搬送位置」という)PPを算出する。より具体的には、吸着ミスが発生した後のピッチ搬送回数Nと1ピッチPTとの積(=N×PT)を求め、これを部品搬送位置PPとしている。そして、演算処理部81は部品搬送位置PPがテープ切断機構54の内部に位置しているか否かを判定する(ステップS24)。例えば、
図10Aに示すように
(N×PT)<L55
が満足されており、部品搬送位置PPがテープ切断機構54の外部に位置している場合、標準切断タイミングでテープ切断機構54による排出テープTPの切断が実行される(ステップS26)。これによって長さTL0のテープ片CTが排出テープTPから切り取られる。
【0047】
一方、例えば
図10Bに示すように、
L55≦(N×PT)≦(L55+L54)
が満足されている場合には、吸着ミス部品Pがクランクバー541a、541bや回転刃542a、542bと干渉し、それらの破損を招く可能性がある。そこで、本実施形態では次のテープ70のピッチ搬送を待ってステップS23に戻る。このようなピッチ搬送を1回または複数回実行した後でテープ切断機構54による排出テープTPの切断が実行される(ステップS26)。つまり、排出テープTPを切断する切断タイミングが標準切断タイミングから以下の第1条件および第2条件、
第1条件:変更後の切断タイミングは標準切断タイミングよりも後である、
第2条件:変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置PPはテープ切断機構54を通過して下スロープ機構56側に位置している、
を満足するタイミングに変更される。
【0048】
排出テープTPの切断が完了すると、ステップS27で切断されたテープ片CT(
図10B参照)に残存する部品Pを上記切断タイミング調整処理の対象となる吸着ミス部品から除外した後で、ステップS21に戻って上記一連の切断タイミング調整処理を実行する。
【0049】
以上のように、本実施形態では、部品Pの吸着ミス(取出不良)が発生している場合には、標準切断タイミング時点での当該吸着ミス部品Pの部品搬送位置PPを求め、それに基づいてテープTPの切断タイミングを制御している。特に、標準切断タイミング時点で吸着ミス部品Pがテープ切断機構54の内部に位置している際には、吸着ミス部品Pがテープ切断機構54を通過した後でテープ切断を実行しているため、テープ切断機構54の破損などを確実に防止することができる。
【0050】
また、テープTPを適切な切断タイミングで切断することができ、テープTPから切り取られたテープ片CTの長さを適正化することができる。より具体的には、変更後の切断タイミングと標準切断タイミングとの時間差(
図10B中の「標準切断タイミング」の状態から
図10B中の「切断動作」の状態に移行するまでの経過時間ΔT)は、標準切断タイミングと次の標準切断タイミングとの間隔よりも短くなっている。このため、
図10A、
図10Bに示すように、標準切断タイミング毎に切断する場合の長さを「TL0」とすると、本実施形態におけるテープ片CTの長さTLは
TL0≦TL<2×TL0
となり、吸着ミスが発生した際に排出テープから切り取られるテープ片が(2×TL0)、(3×TL0)、…などとなる従来装置に比べて短く、しかも安定化される。その結果、テープ片CTを廃棄テープ回収箱525に確実に回収することができる。
【0051】
このように本実施形態では、サイドビューカメラ32と、テープ切断機構54と、取出不良検出部811、部品位置導出部812およびタイミング制御部813を有する制御部80とで本発明にかかる「テープ切断装置」の一例が構成されている。また、テープ70が本発明の「部品収納テープ」の一例に相当し、排出テープTPが本発明の「テープ切断機構に搬送されてくるテープ」の一例に相当している。
【0052】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態では、標準切断タイミングでの部品搬送位置PPがテープ切断機構54の内部にあるときには、上記第1条件および第2条件を満足するように切断タイミングを標準切断タイミングから変更しているが、切断タイミングの変更はこれに限定されるものではない。つまり、以下の第3条件および第4条件、
第3条件:変更後の切断タイミングは標準切断タイミングより前である、
第4条件:変更後の切断タイミングにおける部品搬送位置PPは排出テープTPの搬送の方向においてテープ切断機構54より上流側の上スロープ機構55側に位置している、
を満足するタイミングに変更してもよい。
【0053】
また、上記第1実施形態では許容値を固定しているが、例えば
図11に示すように構成してもよい(第2実施形態)。この第2実施形態では、フィーダー51から供給される部品Pの種類、形状、サイズおよび材質のうちの少なくとも1つ以上に基づいて許容値を設定している(ステップS20)。このため、部品Pに適したエラー停止を行うことができ、部品実装装置1を過度に停止させるのを防止することができる。
【0054】
また、上記第1実施形態では、標準切断タイミングでの部品搬送位置PPがテープ切断機構54の内部にあるときには標準切断タイミングを変更しているが、部品Pの種類、形状、サイズおよび材質等によってはテープ切断機構54により部品Pを切断してもテープ切断機構54の回転刃542a、542bなどの破損が生じにくく、事実上、問題とならない場合がある。そこで、例えば
図12に示すように、制御部80の演算処理部81がフィーダー51から供給される部品Pがテープ切断機構54による切断を許容できるものであるか判定してもよい(ステップS28)。そして、切断許容される部品Pについては、部品搬送位置PPがテープ切断機構54の内部にあるか否かを問わず、常に標準切断タイミングで排出テープTPを切断してもよい(第3実施形態)。この第3実施形態では、
図7中の点線で示すように、演算処理部81は、テープ70に収納されている部品Pのテープ切断機構54による切断が許容されるか否かを判定する切断許容判定部814として機能している。なお、切断許容判定部814はフィーダー51から供給される部品Pの種類、形状、サイズおよび材質のうちの少なくとも1つ以上に基づいて切断の許容判定を行うように構成してもよい。これによって、テープ切断機構54の破損などを発生させることなく、テープTPを適切な長さで切断することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、取出不良検出部811はサイドビューカメラ32の撮像画像に基づいて部品Pの吸着ミス(取出不良)を検出しているが、その他の物理量、例えば部品Pを吸着した際の吸着ノズルでの負圧値や吸気流量などに基づいて部品Pの吸着ミス(取出不良)を検出してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、1本の排出テープTPの切断タイミングについて説明したが、複数本の排出テープTPが搬送されてくる場合も、基本的に上記実施形態と同様にして制御することができる。つまり、複数本の排出テープTPのうち一について部品搬送位置PPがテープ切断機構54の内部に位置することが判明した時点で切断タイミングを制御すればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、2枚の回転刃542a、542bにより排出テープTPを切断しているが、切断方式はこれに限定されるものではなく、例えば固定刃に対して可動刃を近接させて切断するテープ切断機構54を用いてもよい。