特許第6877868号(P6877868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6877868画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877868
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20210517BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
   A61B6/03 360B
   A61B6/03 360G
   A61B6/03 360Q
   A61B6/03 370F
   A61B6/03 375
   G06T5/50
【請求項の数】16
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-207021(P2015-207021)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-116843(P2016-116843A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年10月12日
【審判番号】不服2020-14252(P2020-14252/J1)
【審判請求日】2020年10月9日
(31)【優先権主張番号】14/576,329
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン モー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ラゼト
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 伊藤 幸仙
【審判官】 渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/22375(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/158491(US,A1)
【文献】 特開2005−78176(JP,A)
【文献】 特開2007−151965(JP,A)
【文献】 特開平5−54116(JP,A)
【文献】 特開平10−145676(JP,A)
【文献】 特表2010−515477(JP,A)
【文献】 特開2007−111525(JP,A)
【文献】 特開2011−250969(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/29831(US,A1)
【文献】 特開2011−72728(JP,A)
【文献】 欧州特許第3035287(EP,B1)
【文献】 米国特許第9697603(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 5/50
G06T 9/00 - 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる時刻に撮影された同一の撮影部位に関する非造影画像と造影画像とを記憶する記憶部と、
前記非造影画像と前記造影画像とを位置合わせする位置合わせ部と、
前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と前記造影画像の画素値との組み合わせの頻度を、前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と前記造影画像の画素値とを2軸とする2次元直交座標系で視覚的に表現したジョイントヒストグラムを生成する生成部と、
前記生成されたジョイントヒストグラムを利用して、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが小さい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域を位置ずれ領域に区分し、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが大きい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域の一部をブルーミング領域に区分するセグメント部と、
を具備する、画像処理装置。
【請求項2】
前記セグメント部は、前記ジョイントヒストグラムにプロットされる造影画像の画素の画素値と造影画像の画素の画素値とが略等しい略対角線上にある領域を非アーティファクト領域として区分し、前記略対角線上の領域から外れた領域をアーティファクト領域として区分する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記セグメント部は、
造影画像のほうが造影画像よりも画素値が大きい領域を位置ずれ領域として区分し、造影画像のほうが非造影画像よりも画素値が大きい領域をブルーミング領域として区分し、
前記ジョイントヒストグラムにプロットされる造影画像の画素の画素値と造影画像の画素の画素値とが略等しい略対角線上の領域を非造影領域として区分し、前記略対角線上の領域から前記造影画像の画素値に関する軸と並行して延在する、造影画像の画素値が非造影画像の画素値よりも大きい棘突起の領域を、造影領域として区分する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記造影領域は管腔領域であり、前記非造影領域は管壁領域である請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記非造影画像は造影前画像であり、前記造影画像は造影後画像である請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記非造影画像は術前画像であり、前記造影画像は術後画像である請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記造影画像に基づいて、前記区分された複数の画像領域を視覚的に識別可能なレンダリング画像を生成する画像生成部をさらに具備する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像生成部は、前記区分された複数の画像領域のうち少なくとも一つの領域に、色と光学特性とのうち少なくとも1つを割り当てる請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記区分された複数の領域の位置および範囲に応じて、前記色と前記光学特性とのうち少なくとも1つを割り当てる位置および範囲を決定する請求項8記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像生成部は、前記色および光学特性のうち少なくとも1つを割り当てるためのモデルを用いて、前記区分された複数の画像領域に、前記色と前記光学特性とのうち少なくとも1つを割り当てる位置および範囲を決定する請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像生成部は、前記色および光学特性のうち少なくとも1つに関するテーブルを用いて、前記区分された複数の画像領域に、前記色と前記光学特性とのうち少なくとも1つを割り当てる位置および範囲を決定する請求項9記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、ユーザによる入力に応答して、前記レンダリング画像に割り当てられた色と光学特性とのうち少なくとも1つを変更する請求項7記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記画像生成部は、ユーザによる入力に応答して、前記レンダリング画像のウィンドウレベルとウィンドウ幅とのうち少なくとも1つを変更する請求項7記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像生成部は、前記光学特性として、明るさと、テクスチャと、不透明度と、透明度と、陰影と、艶消し面効果と、光沢面効果とのうちの少なくとも1つを割り当てる請求項8記載の画像処理装置。
【請求項15】
位置合わせ手段が、非造影画像と造影画像とを位置合わせし、
生成手段が、前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と造影画像の画素値との組み合わせの頻度を、前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と前記造影画像の画素値とを2軸とする2次元直交座標系で視覚的に表現したジョイントヒストグラムを生成し
セグメント手段が、前記生成されたジョイントヒストグラムを利用して、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが小さい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域を位置ずれ領域に区分し、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが大きい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域の一部をブルーミング領域に区分する、画像処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
非造影画像と造影画像とを位置合わせする位置合わせ機能と、
前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と造影画像の画素値との組み合わせの頻度を、前記位置合わせ後の非造影画像の画素値と前記造影画像の画素値とを2軸とする2次元直交座標系で視覚的に表現したジョイントヒストグラムを生成する生成機能と、
前記生成されたジョイントヒストグラムを利用して、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが小さい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域を位置ずれ領域に区分し、前記非造影画像の画素値よりも前記造影画像の画素値のほうが大きい前記非造影画像と前記造影画像との対応領域の一部をブルーミング領域に区分するセグメント機能とを実現させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)は、X線を使用して3次元の画像データを取得する医用撮像において使用されている。CTスキャンから取得される3次元CT画像データは、3次元に配列された複数のボクセルを有する。各ボクセルは、X線の減衰量に応じた画素値を有する。X線の減衰量は、ハンスフィールドユニット(HU)により規定されたCT値として表現される。ここで、0HUは水のCT値である。
【0003】
CTを使用して冠状動脈疾患を診断するためのアプリケーションが開発されている。そのようなアプリケーションは、血管内に存在するアテローム硬化性心疾患の範囲を特定するために使用される。
【0004】
CT画像で描出される血管領域の画素値を増大させるために造影剤が使用されている。冠状動脈疾患を診断するための技法として、造影剤を用いない非造影心臓CTスキャンと、造影剤を用いる造影心臓CTスキャンとを使用する。非造影心臓CTスキャンは、造影剤により造影されていない心臓を対象としたCTスキャンである。非造影心臓CTスキャンは、カルシウムスコアリングスキャンを含む場合がある。造影心臓CTスキャンは、造影剤により造影された心臓を対象とするCTスキャンである。2つのスキャンにより得られた画像は、例えば、自動非線形位置合わせ処理または自動線形位置合わせ処理を使用して、位置合わせされる。差分画像は、造影スキャンによる画像と被造影スキャンによる画像との対応点同士での画素値の差分により生成される。差分画像は、例えば、血管の状態を評価するために使用される。
【0005】
単一の非造影カルシウムスコアリングスキャンでは、石灰沈着領域およびステント領域が描出されるが、血管領域は他の軟部組織領域と区別がつかない場合がある。単一の造影CTスキャンにより取得された画像では、造影剤により強調された血液に関する画像領域(造影血管領域)のハンスフィールド値は、石灰沈着領域およびステント領域についてのハンスフィールド値と重複する場合がある。造影CTスキャンにより取得された画像(造影画像)が標準のウィンドウレベルまたは色マッピング技法を使用して表示された場合、造影血管領域と石灰沈着領域またはステント領域とを視覚的に区別することは困難である。
【0006】
造影血管領域が石灰沈着領域やステント領域と区別して描出されている場合、冠状動脈疾患の範囲を特定し、血管狭窄(血管の異常な収縮または狭窄)を測定することが可能である。造影画像と非造影画像とを差分することにより、造影画像と非造影画像とに共通の特徴、例えば、骨領域や軟部組織領域を除去し、造影剤によって強調されている画素領域を残すことができる。
【0007】
図1は、既知の差分処理を示すフローチャートである。ステップ10で、非造影画像(造影前画像)100と造影画像(造影後画像)101とが非剛体レジストレーションを使用して同一座標同士を対応付ける。変形場102は非剛体レジストレーションにより取得される。変形場102は、非造影画像100の座標系における座標を、造影画像101の座標系における座標に関係付けるものである。
【0008】
ステップ12において、非剛体レジストレーションを実行した非造影画像(位置合わせされた造影前画像)103が、変形場102を非造影画像100に適用して生成される。位置合わせされた非造影画像103に含まれる各点の解剖学的特徴は、造影画像101に含まれる同座標の対応点の解剖学的特徴に一致する。
【0009】
ステップ14において、造影画像101の各画素のハンスフィールド値を、位置合わせされた非造影画像103に含まれる同一座標の各画素のハンスフィールド値により減算することにより生成される。
【0010】
ステップ16において、差分画像104にレンダリング処理が施されて、レンダリング処理後の差分画像105が生成される。以降、レンダリングされた差分画像105を、単にレンダリング画像105と記載する。
【0011】
レンダリング画像105としては、例えば、二次元スライス、二次元マルチプレーナレンダリング(MPR)画像、スラブMPR画像、湾曲MPR(CPR)画像、陰影ボリュームレンダリング(SVR)画像、または画素投影(IP)画像(例えば、最大画素投影(MIP)画像、最小画素投影(MinIP)画像、もしくは平均画素投影(Average)画像)である。
【0012】
レンダリング画像105は、例えば、グレースケール画像であり、所定のピクセルのグレースケール値は、位置合わせされた非造影画像の各画素の画素値と造影画像の各対応画素の画素値との差分に対応する。各画素のグレースケール値は差分値に対応するので、差分画像104は、非造影画像100および造影画像101よりも少ない情報しか含んでいない。例えば、差分値「5」は、5HUのCT値と10HUのCT値との組合せからも得られるし、105HUのCT値と110HUのCT値との組み合わせからも得られる。
【0013】
差分画像は読影しづらい。例えば、単一チャネルのグレースケールにより規定された差分画像を読影するとき、血管内の実際の閉塞または狭窄と不正確な位置合わせにより生じるアーティファクトとを区別することは困難である。図2は、重度に石灰化した冠状動脈が描画された差分画像を示す。重度に石灰化した冠状動脈に関する画像領域は、破線の楕円17でマーキングされている。破線の楕円17でマーキングされた部分は、狭窄と画像アーティファクトとの区別困難性のため、読影が困難である。血管に多くの石灰沈着が存在する場合、当該血管に造影剤が流れているか否かを判別することは困難である。
【0014】
セグメント化は、画像内を所定の特徴を有する画素に分割し、画像内の所定の構造を表す画素を当該構造ごとに分類するプロセスである。ここで、画素は、2次元の画像要素(ピクセル)と3次元の画像要素(ボクセル)との総称を意味するものとする。セグメント化は、更に、画像の残りの部分から画素を分離することをさらに含む場合がある。構造は、例えば、血管もしくは臓器などの解剖学的構造、またはステントなどの人工構造である。構造を表す画素を識別及び分離することにより、構造に関係する情報のさらなる処理、例えば、構造の測定を容易にしたり、または画像内の他の構造とは異なる方法で構造をレンダリングすることを容易にしたりすることができる。
【0015】
血管のセグメント化は、血管の病変領域、例えば、石灰沈着領域を識別する際に使用される。例えば、冠状動脈内の狭窄測定を実行するために、血管腔および血管壁の正確なセグメント化が必要とされる。
【0016】
特に冠状動脈血管では、正確で堅牢な血管のセグメント化を取得することが困難である。小さい血管は、検出器の解像度の限界に近い場合があり、従って、セグメント化することが困難である。血管壁のセグメント化は、例えば、血管壁の画素値と他の軟部組織の画素値とが類似しているため困難である。差分画像において血管領域を分類するためには、位置合わせが正確に行われる必要があり、また、位置合わせ誤差を認識する手法は確立されていない。
【0017】
自動または半自動の血管追跡アルゴリズムは、画像に含まれる血管領域を追跡するために使用される。しかしながら、造影画像内の血管領域を追跡しセグメント化することは、造影剤により強調された血管腔に関する画像領域(以下、血管腔領域)の画素値と石灰沈着内のカルシウムに関する画像領域(以下、カルシウム領域)の画素値との類似性のため、困難である。
【0018】
ブルーミングは石灰沈着を不明瞭にする場合があり、特に石灰沈着領域またはステント領域が存在する場合、管腔の分類を複雑にする場合がある。ブルーミングは、石灰沈着(またはステント)領域をその本当の物理的範囲よりも大きく見せる画像アーティファクトである。ブルーミングは、例えば、ビームハードニングおよび動きなどのアーティファクトの組合せに起因する。ブルーミングは、非造影画像よりも造影画像の方がより顕著であることが知られている。
【0019】
図3Aおよび図3Bは、造影画像上で実施された既知の冠状動脈血管のセグメント化方法の結果を示す。大きいカルシウム沈着がセグメント化されるべき血管内に存在する。図3Aおよび図3Bは、造影剤が流入している冠状動脈血管を示す、冠状動脈コンピュータ断層撮影血管造影(CCTA)画像を示す。図3Aは、血管領域の芯線が直線に沿うように変形されたCCTA画像を示す。図3Bは、芯線に直交する断面に関するCCTA画像を示す。図3A図3Bとに示すように、大きいカルシウム沈着領域20は高い画素を有している。
【0020】
管腔のセグメント化は、既知の冠状動脈血管のセグメント化方法を使用して、図3Aおよび図3Bに対応する画像上で実行されている。セグメント化の境界は、線18として図3Aおよび図3Bの各々で示される。
【0021】
管腔の範囲が、同じ画像データを使用して臨床医によって評価された。自動的にセグメント化された管腔の境界18は、臨床医によって評価された管腔のエリアよりも小さいと見出された。既知のセグメント化方法においては、血管腔のサイズは、造影されたセットのこの既知のセグメント化方法では、比較的大きいカルシウム沈着領域20の影響により過小評価されてしまう。
【0022】
このため、臨床医が自動又は半自動セグメント化法に完全なる信用を望むという状況には至っていない。自動または半自動の血管セグメント化が管腔を過小評価または過大評価する場合、セグメント化アルゴリズムの結果は、臨床医に利益をもたらさない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
実施形態の目的は、セグメント化の精度の向上を可能とする画像処理装置と、当該画像処理装置に用いられる画像処理方法と、画像処理プログラムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本実施形態に係る画像処理装置は、異なる時刻に撮影された同一の撮影部位に関する第1医用画像と第2医用画像とを記憶する記憶部と、同一座標における前記第1医用画像の画素値と前記第2医用画像の画素値との組み合わせの頻度を表す数値データを生成する生成部と、前記生成された数値データを利用して、前記第2医用画像を複数の画像領域に区分するセグメント部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、従来の差分処理を示すフローチャートである。
図2図2は、重度に石灰化した動脈を強調表示した差分画像を示す図である。
図3A図3Aは、造影画像内の例示的な既知の血管セグメント化の結果を示す図である。
図3B図3Bは、造影画像内の例示的な既知の血管セグメント化の結果を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る画像処理装置を示すブロック図である。
図5図5は、本実施形態に係る画像処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
図6図6は、分類された管腔領域と非強調領域と位置ずれ領域とブルーミング領域とを示すジョイントヒストグラムである。
図7A図7Aは、図6のジョイントヒストグラム上にマッピングされるべき色を示すカラーモデルを示す図である。
図7B図7Bは、図6に示すジョイントヒストグラムと図7Aに示すカラーモデルとのオーバーレイ画像を示す図である。
図8図8は、カラーモデルを使用して色付けされた画像の一例を示す図である。
図9図9は、カラーモデルを使用して色付けされた画像の一例を示す図である。
図10図10は、ブルーミング領域を示す血管腔の画像を示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る画像処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
図12図12は、図11に示す処理の具体例を示すフローチャートである。
図13図13は、分類処理が適用された撮像された血管を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る画像処理装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能および構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0027】
図4は、本実施形態に係る画像処理装置30を示す図である。図4に示すように、画像処理装置30は、計算装置32を備える。計算装置32は、パーソナルコンピュータ(PC)またはワークステーション等である。計算装置32は、CTスキャナ34、1つまたは複数のディスプレイ36、およびコンピュータキーボード、マウス、またはトラックボールなどの1つまたは複数の入力インターフェイス回路38に接続される。
【0028】
CTスキャナ34は、被検体をX線でCTスキャンすることにより投影データを収集し、収集された投影データに基づいて当該被検体に関するCT画像を再構成する。本実施形態においてCTスキャナ34は、異なる時刻に撮影された同一の撮影部位に関する第1の医用画像と第2の医用画像とを発生する。例えば、CTスキャナ34は、同一の被検体を対象として、造影剤により造影された撮影部位をCTスキャンすることにより造影CTスキャンを実行し、造影剤により造影されていない撮影部位をCTスキャンすることにより非造影CTスキャンを実行する。撮影部位としては、如何なる部位であっても良い。造影スキャン及び非造影スキャンの場合は、任意の適切な血管系、例えば、心臓、頭または首、流出液または肺が適当である。CTスキャナ34は、造影CTスキャンにより収集された投影データに基づいて造影画像を再構成し、非造影CTスキャンにより収集された投影データに基づいて非造影画像を再構成する。造影CTスキャンと非造影CTスキャンとは何れのスキャンが先に行われても良い。CTスキャナ34は、造影画像及び非造影画像として、一枚の画像を再構成しても良いし、時系列の画像を再構成しても良い。なお、本実施形態においてCTスキャナ34は、画像として、2次元座標空間において配列された複数のピクセルから構成されるスライスであっても良いし、3次元座標空間において配列された複数のボクセルから構成されるボリュームであっても良い。CTスキャナ34は、任意の他の撮像様式におけるスキャナ、例えば、MRI(磁気共鳴撮像)スキャナ、X線スキャナ、PET(陽電子放出断層撮影)スキャナ、またはSPECT(単光子放出コンピュータ断層撮影)スキャナであってもよい。
【0029】
異なる時刻に撮影された同一の撮影部位に関する第1の医用画像と第2の医用画像とは、造影画像と非造影画像とに限定されない。例えば、第1の医用画像は術前画像であり、第2の医用画像は術後画像であっても良い。術前画像は、CTスキャナ34により、手術前の被検体をCTスキャンすることにより収集された投影データに基づいて再構成される。術後画像は、CTスキャナ34により、手術後の被検体をCTスキャンすることにより収集された投影データに基づいて再構成される。なお、以下の説明を具体的に行うため、第1の医用画像は造影画像であり第2の医用画像は非造影画像であるとする。
【0030】
本実施形態では、CTスキャナ34によって収集された画像のセットは、メモリ40に記憶され、当該メモリ40から計算装置32に提供される。なお、画像のセットは、画像保管通信システム(PACS)の一部を形成するリモートデータストア(図示せず)から供給されてもよい。また、メモリ40またはリモートデータストアは、任意の適切な形態のメモリストレージを備えてもよい。
【0031】
計算装置32は、画像データを自動または半自動で処理するための処理リソースを含む。計算装置32は、図5を参照して下記に記載される方法と、図11および図12を参照して下記に記載される方法とを実施するように構成された、様々なソフトウェアモジュールまたは他のソフトウェア構成要素をロードし実行する働きをする、中央処理装置(CPU)42を備える。
【0032】
計算装置32は、受信回路44と処理回路45とを備える。本実施形態では、処理回路45は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを含む。当該処理回路45のメモリは、処理回路45における複数の機能を実現するための複数の対応プログラムを記憶する。例えば、処理回路45は、メモリから対応するプログラムを読み出して実行することにより、生成機能46と、位置合わせ機能48と、レンダリング機能50と、セグメント機能52とを実現する。
【0033】
生成機能46により処理回路45は、同一座標における造影画像の画素値と非造影画像の画素値との組み合わせの頻度を表す数値データを生成する。数値データは、具体的には、造影画像の画素値と非造影画像の画素値との組み合わせの頻度を、当該造影画像の画素値と当該非造影画像の画素値とを2軸とする2次元直交座標系で視覚的に表現したジョイントヒストグラムである。なお、本実施形態に係る数値データとしては、ジョイントヒストグラムに限定されず、造影画像の画素値と非造影画像の画素値との組み合わせの頻度を、2次元直交座標系で視覚的に表現しない形式のデータであっても良い。以下、本実施形態において数値データは、ジョイントヒストグラムであるとする。
【0034】
位置合わせ機能48により処理回路45は、当該造影画像と当該非造影画像とを位置合わせする。例えば、処理回路45は、造影画像に対して非造影画像を位置合わせすることにより、位置合わせされた非造影画像を生成する。
【0035】
セグメント機能52により処理回路45は、生成されたジョイントヒストグラムを用いて、造影画像又は非造影画像に含まれる複数の領域を分類する。処理回路45は、具体的には、造影画像を、アーティファクト領域と非アーティファクト領域とに分類する。処理回路45は、は、アーティファクト領域と非アーティファクト領域とを各領域に対応する尤度により分類する。処理回路45は、アーティファクト領域として位置ずれ領域とブルーミング領域とに分類する。また、処理回路45は、非アーティファクト領域として造影領域と非造影領域とに分類する。造影領域は管腔領域であり、非造影領域は管壁領域である。
【0036】
レンダリング機能50により処理回路45は、造影画像又は非造影画像にレンダリング処理を施して2次元の表示画像(以下、レンダリング画像と呼ぶ)を生成する。本実施形態において処理回路45は、当該複数の領域に関する分類を用いて、当該分類された複数の領域を視覚的に識別可能なレンダリング画像を造影画像又は非造影画像に基づいて生成する。
【0037】
本実施形態では、受信回路44および処理回路45は、図5を参照して下記に記載される方法と、図11および図12を参照して下記に記載される方法とを実施するように実行可能なコンピュータ可読命令を有するコンピュータプログラムを用いて、各々計算装置32に実装される。しかしながら、上記複数の機能は、1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等により実現してもよい。
【0038】
また、計算装置32は、ハードウェア資源として、ハードドライブと、RAM、ROM、データバス、様々なデバイスドライバを含むオペレーティングシステム、およびグラフィックスカードを含むハードウェアデバイスを含むPCの他の構成要素とを含む。
【0039】
図4に示す画像処理装置は、図5のフローチャートで概観として示された一連のステップを実施するように構成される。また、図4に示す画像処理装置は、図11または図12のフローチャートで概観として示された一連のステップを実施するように構成される。
【0040】
図5を参照すると、ステップ10で、受信回路44は、メモリ40から、またはリモートデータストアから、または直接CTスキャナ34から、非造影画像100セットと、造影画像101のセットとを受信する。非造影画像100および造影画像101は、被検体の領域を表す。本実施形態では、例えば、領域は冠状動脈であり、被検体は人間の患者である。非造影画像100は、患者の冠状動脈のカルシウムスコアスキャンにより収集される。造影画像101は、同じ患者の冠状動脈を表すボリュームデータを含む。
【0041】
なお、非造影画像は、完全に造影剤が存在しない撮影部位を対象とする画像に限定されず、造影画像に比して、著しく低い濃度の造影剤が存在する撮影部位を対象とする画像であっても良い。このような非造影画像としては、例えば、灌流画像が含まれる。また、非造影画像は、臨床的に関心のある部位に造影剤が存在しないが、臨床的に関心のない部位に造影剤が存在する画像であっても良い。例えば、冠状動脈血管画像では、造影剤は心臓の中に存在する場合があるが、冠状動脈血管にまだ到達していない場合がある。
【0042】
また、任意の2つ以上の適切なスキャンからの任意の画像を使用してもよい。両方のスキャンは、造影剤が存在する。例えば、灌流データからの2つのスキャンが使用される。
【0043】
受信回路44は、動的造影(DCE)撮像から、例えば、肝臓のDCEスキャンから収集された画像のセットを受信してもよい。肝臓のDCEスキャンでは、造影部分は、DCE撮像の様々な位相を通って動き回る。
【0044】
本実施形態において非造影画像100と造影画像101とは、CT画像として記載しているが、これに限定されない。非造影画像100と造影画像101とは、例えば、MR画像であっても良い。また、非造影画像はCT画像又はMR画像のうちの一方の画像であり、造影画像は他方の画像であっても良い。MR画像は、CT画像において同じHU値を有する組織を区別することができる。
【0045】
受信回路44は、非造影画像100と造影画像101とを処理回路45に供給する。位置合わせ機能48において処理回路45は、非造影画像100と造影画像101とにレジストレーションを実行して変形場102を生成する。そして処理回路45は、生成された変形場102を非造影画像100又は造影画像101の一方の画像に適用して当該画像を他方の画像に一致するように整形する。これにより造影画像と非造影画像とが位置合わせされる。
【0046】
具体的には、処理回路45は、非造影画像100と造影画像101とに対して非剛体レジストレーションを実行する。レジストレーションは、非造影画像100と造影画像101とに含まれる解剖学的に一致する画素を対応づける処理である。例えば、任意の適切な非剛体レジストレーションとして、Razeto,M.、Mohr,B.、Arakita,K.、Schuijf,J.D.、Fuchs,A.、Kuhl,J.T.、Chen,M.Y.、およびKofoed,K.F.、「Accurate, fully−automated registration of coronary arteries for volumetric CT digital subtraction angiography」、Proc.SPIE9034,90343F−90343F−7(2014)に記載された方法が使用される。
【0047】
なお、レジストレーションは、任意の適切なレジストレーション、例えば、非剛体レジストレーション、剛体レジストレーション、またはアフィンレジストレーションのうちの任意の適切な方法を使用して、実施されてもよい。また、レジストレーションは、特定の解剖学的構造(例えば、冠状動脈)に調整される。
【0048】
非剛体レジストレーションにより処理回路45は、非造影画像100と造影画像101とに基づく変形場102を生成する。変形場102は、互いに解剖学的に一致する非造影画像100の画素と造影画像101の画素との対応関係を、画素毎に規定するマップである。
【0049】
ステップ12において処理回路45は、位置合わせ機能48として、変形場102を非造影画像100に適用して、位置合わせされた非造影画像103を生成する。位置合わせされた非造影画像103と造影画像101との同一座標の画素は、解剖学的にも一致することとなる。なお、上記の例においては、変形場102を造影前画像100に適用するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、変形場102を造影後画像101に適用しても良い。ここで、本実施形態では、位置合わせされた非造影画像103がステップ12で予め計算されるが、これに限定されない。位置合わせされた非造影画像103は、予め計算しなくてもよい。この場合、位置合わせされた非造影画像103のキャッシュされたバージョンが記憶されず、変形場102および非造影画像100は、必要に応じて非造影画像の適切なサンプルを生成するために使用される。
【0050】
また、非造影画像100と造影画像101とは、受信回路44によって受信される前に予め位置合わせされていても良い。この場合、位置合わせはステップ10とステップ12とは省略可能である。また、非造影画像100と造影画像101とが位置合わせ処理を施さなくとも位置合わせされている場合にもステップ10とステップ12とは省略可能である。
【0051】
また、本実施形態では、非造影画像103と造影画像101とは、別々の画像セットであるとしたが、これに限定されない。非造影画像103と造影画像101とは、一個の画像セットに含まれても良い。
【0052】
ステップ60において処理回路45は、位置合わせされた非造影画像103と造影画像101とを受信する。処理回路45は、レンダリングの際、メモリ40等からカラーモデル107を受信する。カラーモデル107は、画素値とレンダリングパラメータとを関連づける。カラーモデル107としては、画素値とレンダリングパラメータとを関連づけた関数であっても良いし、テーブルであっても良いし、視覚的に表現したマップであっても良い。レンダリングパラメータとしては、色および不透明度が適当である。カラーモデル107は、2以上の次元を有する。
【0053】
ステップ60において処理回路45は、具体的には、位置合わせされた非造影画像103からの画素値と造影画像101からの画素値とに基づいてジョイントヒストグラムを生成し、ジョイントヒストグラムを用いて造影画像101又は非造影画像103を複数の領域に分割し、カラーモデルを利用して、分割された領域に色が割り当てられたレンダリング画像108を、造影画像101又は非造影画像103から生成する。
【0054】
ここで、処理回路45におけるセグメント機能52と、上記ジョイントヒストグラムとカラーモデルとについて詳述する。
【0055】
ジョイントヒストグラムは、位置合わせされた非造影画像103からの画素値と造影画像101からの画素値との組み合わせの頻度分布を示すものと定義する。
【0056】
図6は、当該ジョイントヒストグラムの一例である。ジョイントヒストグラムの縦軸は、第1の画素値(位置合わせされた非造影画像103内の画素値)をハンスフィールドユニット(HU)で表す。ジョイントヒストグラムの横軸は、第2の画素値(造影画像101内の画素値)をハンスフィールドユニット(HU)で表す。
【0057】
ジョイントヒストグラムは、等しいサイズの複数のビンを備える。各画素は、ジョイントヒストグラム内の2次元ビンに収まる第1の画素値と第2の画素値(非造影画像の画素と造影画像の画素)とを有する。画像データ内の各画素は、第1の画素値と第2の画素値とのペアに対応するビンに割り当てられると言うことができる。各画素は、第1の画素対第2の画素の2次元分布上のそれぞれの位置を有する。
【0058】
ビン内の画素の数は、図6においてハッチングによって表される。実際にはハッチングは色値に対応する。例えば、画素を含んでいないビンは白色である。少しの画素しか含んでいないビンはライトグレーであり、より多くの画素が追加されるにつれて、ビンはより暗いグレーなる。非常に多数の画素を含んでいるビンは、オレンジで色付けされる。
【0059】
ジョイントヒストグラムには、各画素の第1の画素値(位置合わせされた非造影画像103内の画素)対画素の第2の画素値(造影画像101内の画素)がプロットされる。様々な材料(例えば、様々な組織型)は、様々な第1の画素および様々な第2の画素のうちの少なくとも1つを有する場合がある。従って、様々なタイプを表す画素は、ジョイントヒストグラムの様々な領域内のビンに割り振られる場合がある。同じ組織型を表す複数の画素は、ジョイントヒストグラムの特定のエリア内のクラスタを形成する。
【0060】
2つの非造影画像の画素の画素値がジョイントヒストグラムプロット上にプロットされた場合、値は対角線上に群がることが予想される。空気を表す画素はプロットの左上(両方のスキャンの低画素)にある、軟部組織はプロットの中央にある、骨は右下(両方のスキャンの高画素)に向かうビンの中に位置することが予想される。
【0061】
造影剤が加えられたとき、(様々な量の造影剤により造影された画素の軸に沿った異なる位置を有する)軟部組織の値から右に延在する棘突起が、ジョイントヒストグラムプロット内で見られる場合がある。
【0062】
本実施形態では、所定の組織型を表す画素が、ジョイントヒストグラム内で二次元ガウス分布を有する点のクラスタを形成し、二次元ガウス関数はクラスタに適合して分布を決定するという仮定が行われる。
【0063】
同様に、特定の画像アーティファクトに起因する画素は、ジョイントヒストグラムの特定の領域で発生する場合があり、所定のタイプの画像アーティファクトに起因する画素は、ジョイントヒストグラム内で二次元ガウス分布を有する点のクラスタを形成すると仮定される。二次元ガウス関数はクラスタに適合して分布を決定する。
【0064】
処理回路45は、セグメント機能52として、造影領域(例えば、管腔)、非造影領域(例えば、管壁)、ブルーミング領域、および位置ずれ領域にそれぞれ対応する分布を示す4つのガウス分布の各々について、平均と分散と重みとを決定する。分布について、平均と分散と重みとを決定することによって、処理回路45は、ジョイントヒストグラム上の点点の対応するクラスタの各々について、各クラスタ領域を特定する。各クラスタ領域は、点の対応するクラスタの位置と範囲とを表すことができる。
【0065】
本実施形態では、処理回路45は、期待値最大化(EM)アルゴリズムと連携してk平均アルゴリズムを使用して、ガウス分布の平均と分散と重みとを決定する。他の実施形態では、平均と分散と重みとを決定するために、任意の適切な技法が使用される場合がある。ある実施形態では、二次元分布はガウス型ではない場合がある。
【0066】
4つの決定されたガウス分布(管腔領域、非造影領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域)は、図6の4つの楕円70、72、74、および76によって示され、引き続き下記で考察される。楕円70、72、74、76は、決定されたガウス分布を正確には示さないが、むしろガウス分布が起きる対象領域の一般的なインジケータである。
【0067】
管腔領域に対応する管腔分布(楕円70)は、造影血管領域を表す画素の分布である。造影剤は血液の画素を強調するために行われるので、造影血管領域を表す画素は、非造影画像よりも造影画像の方が高い値を有すると予想される。造影剤の量は、血管内または血管間で変化する場合があり、画素強調量も変化する場合がある。従って、造影血管領域に対応する画素は、横軸に平行して位置する棘突起としてジョイントヒストグラムプロット上で群がると予想される。
【0068】
非造影領域に対応する非強調領域分布(楕円72)は、画素値が非造影CTスキャンと造影CTスキャンとの間で実質的に変化しない、すなわち、非造影画像の画素の画素値と造影画像の画素の画素値とが略等しい。画素値が略等しい画素は、ジョイントヒストグラムの対角線上またはその周囲に位置する。ノイズ又は位置ずれの結果として、対角線からのばらつきが発生する場合がある。
【0069】
ブルーミング領域に対応するブルーミング分布(楕円74)は、造影画像の画素の画素値が非造影画像の画素の画素値よりも大きいが、造影画像の画素の画素値が非造影画素の予想される画素値範囲から外れている画素の分布である。ブルーミング分布は、ブルーミングを表す画素を含み、位置ずれによってもたらされた画素の増大を伴う画素も含む。ブルーミングは、非造影画像の中よりも造影画像の中の方が大きいと予想される。
【0070】
位置ずれ領域に対応する位置ずれ分布(楕円76)は、造影画像の画素の画素値が非造影画像の画素の画素値よりも小さい画素の分布である。造影剤が加えられたときいかなる解剖学的領域も画素が下がるべきとは予想されないので、非造影CTスキャンと造影CTスキャンとの間の画素の低下を表す画素は、潜在的に位置合わせが正確でないエリアと一致する場合がある。すなわち、非造影CTスキャン内の画素が造影CTスキャン内の画素に対応すると予想される画素よりも高い画素を有する場合、それは、画素間の対応関係(位置合わせ)が誤って決定された場合である。
【0071】
画像内の対象(例えば、石灰沈着)の位置がずれた場合、非造影画像から造影画像に画素が上がるように見える対象の一方の側にある画素、および非造影画像から造影画像に画素が下がるように見える対象の他方の側にある画素が存在する。実際には、画素に変化はないが、石灰沈着の一部である画素が石灰沈着の一部ではない画素に誤ってマッピングされている結果をもたらす、位置合わせにおけるエラーが存在する場合がある。
【0072】
4つのガウス分布について平均、分散、および重みが決定されると、処理回路45は、セグメント機能52として、決定された分布(ヒストグラム上の点のクラスタの各々の決定された位置および範囲)を使用して、カラーモデル107を決定する。カラーモデル107は、画素値のペア(非造影の画素、造影された画素)への色値のマッピングである。カラーモデルを使用して画像がレンダリングされたとき、1つの分布の一部である画素は、別の分布の一部である画素と区別される。
【0073】
本実施形態では、処理回路45は、ジョイントヒストグラム上の複数の領域(領域80、82、84、および86)を特定することによって、カラーモデル107を決定する。カラーモデル107は図7Aに表される。領域80は、ジョイントヒストグラムの三角形の領域である。領域80は、非造影画像から造影画像への画素の低下を表す画素を含む。領域80は、少なくとも一部の位置ずれ分布76を含む。領域82は、ジョイントヒストグラムの三角形の領域である。領域82は、強調された軟部組織を表す画素を含む。領域82は、少なくとも一部の管腔分布70を含み、管腔分布70を参照して位置が特定される。領域84は、造影画像内における造影領域であり。領域84は、少なくとも一部の管腔分布70、特に高造影のエリアを含む。領域86は、非造影画像と造影画像との間の画素の増大を有する画素を代表し、その非造影画素は血液の非造影画素よりも高い。領域86は、少なくとも一部のブルーミング分布74を含む。
【0074】
図7Bは、図7Aのカラーモデルにオーバーレイされた図6のジョイントヒストグラムを示す。本実施形態では、例えば、領域80は緑色で色付けされ、領域82は赤色で色付けされ、領域84は黄色で色付けされ、領域86はマゼンタで色付けされる。赤色と黄色は、主要な造影部分を示すために使用される。
【0075】
さらに、本実施形態では、セグメント機能52において処理回路45は、カラーモデルを2段階で生成する。例えば、X軸とY軸についてウィンドウ/レベルの勾配の特定のペアについての平均グレー値に対応するグレースケールレイヤを生成する。
【0076】
次に、処理回路45は、簡単な三角形メッシュを使用して第2のレイヤを生成する。三角形メッシュの各頂点は、色と不透明度の値を有する。第2のレイヤ内の画素は、各々三角形メッシュ内で含有する頂点間を補間することによって決定されたそれらの色と不透明度とを有する。
【0077】
さらに、第2のレイヤは、グレースケールテーブル上に合成されて、最終的なカラーモデルを与える。第1のレイヤと第2のレイヤの合成は、アルファブレンディングを備える場合がある。グレースケールレイヤは、非造影の領域を、標準の二次元スライスビューアで見るときの同領域と同様に見せる。
【0078】
なお、カラーモデルは、自動または手動である任意の適切な方法を使用して生成されてもよい。
【0079】
ジョイントヒストグラムの各領域は、領域内の色のばらつき、例えば、領域の縁部の色よりも領域の中心の色が明るい場合がある。他の実施形態では、任意の色または光学特性が使用される。例えば、色だけでなく、領域がくすみ、光沢、または透明にされる場合がある。ジョイントヒストグラムの特定された領域は重なる場合があり、その場合、色または光学特性は任意の適切な方式で合成される場合がある。例えば、色は平均化される場合がある。本実施形態では、色ブレンディングは、ヒストグラムの所定の領域への接近を表す。
【0080】
また、セグメント機能52において処理回路45は、XおよびYにおけるグレーススケール勾配を特定する。当該グレーススケール勾配は、カラーモデル107に含まれる。勾配は、通常、画素データのフルレンジをカバーしないが、値が対象のレンジにわたって変化するように構成される場合がある。本実施形態では、勾配(線形変化)が使用されるが、これに限定されず、非線形変化が使用される場合がある。対象のレンジを特定することは、ウィンドウレベリングと呼ばれる場合がある。セグメント機能52において処理回路45は、画像データに対してウィンドウレベリングを実施して、グレーススケール勾配を特定することができる。カラーモデル107は、位置合わせされた非造影画像103、造影画像101、又は位置合わせされた非造影画像103と造影画像101との組合せのいずれかのウィンドウレベリングされたビューを表示するように設定される。
【0081】
本実施形態においてカラーモデル107は、位置合わせされた非造影画像103および造影画像101に基づいて決定される。なお、カラーモデル107は、ユーザにより全体的または部分的に決定される場合がある。例えば、ディスプレイ36にジョイントヒストグラムを表示する。ユーザは、目に見える先端と棘突起とを見出し、例えば、入力インターフェイス回路38を使用して領域を強調表示することによって、ジョイントヒストグラムの適切な領域の境界を画定する。処理回路45は、セグメント機能52として、ユーザによって画定された領域に基づいて、領域80と領域82と領域84と領域86とを特定する。
【0082】
本実施形態では、4つのガウス分布がジョイントヒストグラムから決定される。他の実施形態では、任意の適切な数の分布が決定される場合がある。各分布は、ジョイントヒストグラムの任意の適切な領域、例えば、組織型を表す画素を含んでいる任意の領域、またはアーティファクトを表す画素を含んでいる任意の領域を表す場合がある。
【0083】
なお、セグメント機能52により管腔領域、非造影領域、ブルーミング領域、及び位置ずれ領域の分布を決定し、ジョイントヒストグラムにそれらの分布の図を表示してもよい。ユーザは、当該決定された分布に基づいて、カラーモデルの領域、例えば、色付けされた領域を特定する。
【0084】
決定されたカラーモデル107は、入力値(第1の画素値、第2の画素値)の各画素をそれぞれの色値にマッピングするテーブルとして記憶される。他の実施形態では、カラーモデルは任意の適切なフォーマットで記憶される場合がある。例えば、領域80、82、84、および86の範囲は、第1の画素値と第2の画素値の関数のセットとして記憶される場合がある。例えば、図7Aに示されたカラーモデル107の場合、三角形のセットが記憶される場合があり、各色値は三角形から再構成される場合がある。任意の適切なテーブルまたは関数が使用される場合がある。
【0085】
本実施形態では、カラーモデル107が予め計算されるが、これに限定されないカラーモデル107は、予め計算されなくてもよい。特定のビューをレンダリングする必要があるカラーモデル107は、必要に応じて計算される。
【0086】
また、カラーモデルのレンジは、適切なデータレンジにクランプされて、テーブルが大きくなりすぎることを予防する。また、カラーモデルは低減された解像度で計算され、必要な値を導出するためにレンダリング中に補間が使用される場合がある。
【0087】
処理回路45は、レンダリング機能50として、ステップ60でスライスの画像をレンダリングする。結果として生じたレンダリング画像108は、非造影画像と造影画像の両方から導出された情報を含む。
【0088】
スライスの画像をレンダリングするために、処理回路45は、レンダリング機能50として、各々がレンダリングされた画像のそれぞれの画素に対応する、画像ボリューム内の点のセットを決定する。点は対象のスライスに位置する。
【0089】
本実施形態では、スライス上の点は、位置合わせされた非造影画像103内、または造影画像101内で決定される場合がある。位置合わせされた非造影画像103および造影画像101は、同じ座標系を有する。他の実施形態では、スライス上の点は、造影画像101内で識別され、変形場102は、非造影画像100内の対応する点を決定するために使用される。
【0090】
処理回路45は、レンダリング機能50として、画素ごとに、(例えば、隣接する画素の画素を補間することによって)位置合わせされた非造影画像103内の対応する点についての第1の画素値と、造影画像101内の対応する点についての第2の画素値とを検索する。次いで、処理回路45は、レンダリング機能50として、その点にある第1の画素値と第2の画素値とを使用して、テーブルに索引を付ける。画素用の出力色が決定される。画素用の出力色は、画素のペアに関連付けられた色値である。
【0091】
出力色=table(post,pre) …(1)
ここで、tableはカラーモデルを表すテーブルであり、preは位置合わせされた非造影画像103内の点の画素値であり、postは造影画像101内の点の画素値である。従って、カラーモデル107は、両方のボリューム内の対応する点のハンスフィールド値に基づいて、画素を色付けするために使用される。
【0092】
本実施形態において色は各画素にレンダリングパラメータの一つとして割り当てられる。他の実施形態では、他の光学特性、例えば、明るさ、テクスチャ、不透明度、透明度、陰影、艶消し面効果、又は光沢面効果が、レンダリングパラメータとして、各画素に割り当てられても良い。
【0093】
レンダリング画像108は、位置合わせされた非造影画像103と造影画像101の両方からの情報を含む融合ビューを提供する。レンダリング画像108は、従来の差分画像よりも多くの情報コンテンツを有することができる。
【0094】
複数の領域を特定し、様々な領域に様々な色および光学特性のうちの少なくとも1つを割り当てることによって、様々な組織型およびアーティファクトのうちの少なくとも1つは、レンダリング画像108内で視覚的に区別される。第1の組織型またはアーティファクトは、ジョイントヒストグラムの第1の領域に入る画素を有することができる。第2の組織型またはアーティファクトは、ジョイントヒストグラムの第2の領域に入る画素を有することができる。第1の領域内の点を第2の領域内の点と異なるように色付けすることによって、第1の組織型またはアーティファクトは、レンダリング画像108内で第2の組織型またはアーティファクトと視覚的に区別される。
【0095】
レンダリング画像108の一例を図8に示す。図8は、造影剤の吸収率(赤色および黄色)と、ブルーミング(マゼンタ)とを含み、位置ずれ(緑色)を含まない、カラーモデルを使用して色付けされた大動脈の画像を示す。図8の画像内の各画素は、位置合わせされた非造影画像103内の対応する点の第1の画素値および造影画像101内の対応する点の第2の画素値に基づいて色付けされる。低い造影剤の吸収率の領域は赤色で色付けされる。高い造影剤の吸収率の領域は黄色で色付けされる。最初の画素値が隣接するブルームアーティファクトによって影響を受けるコントラクト吸収率の領域は、マゼンタで色付けされる。
【0096】
第1の画素値と第2の画素値の間に著しい差異が存在しないところでは、グレースケール値が使用される。グレースケール勾配は、非造影画像および造影画像の中のウィンドウレベルのブレンドに基づく。
【0097】
図9は、図7Aのカラーモデルを使用して色付けされた大動脈のさらなる画像である。緑色のエリアは位置合わせの問題を示す。図9の例では、非造影CTスキャンと造影CTスキャンとの間で動きが発生している。動きによって影響を受けた石灰沈着は、非造影CTスキャンに比べて造影CTスキャン内の低下した画素の領域を有する。石灰沈着の誤った位置合わせにより、石灰沈着の一方の側が緑色(画素の低下)になり、石灰沈着の他方の側がマゼンタまたはオレンジ(画素の増大)になる。少し緑色を伴うマゼンタは、位置合わせエラーが存在せず、それ故マゼンタのエリアが位置ずれではなくブルーミングを表す可能性があることを意味する。
【0098】
非造影画像と造影画像は、単一の視覚化で合成される。一般的に言えば、図9のグレースケール値は、位置ずれしていない非造影画像に対応する。本実施形態では、グレースケール値の画素は、非造影画像からの画素値と造影画像からの画素値の合成である。他の実施形態では、グレースケール値は、被造影画像、造影画像、または非造影画像と造影画像との間のブレンドを示すように構成される場合がある。
【0099】
図7Aのカラーモデル内にグレースケール勾配のみが存在した場合、結果として生じた画像108は、従来の差分のウィンドウレベル化されたMPR画像のように見える。カラーモデル107を使用して色を追加することによって、より多くの情報がユーザに提供される。
【0100】
本実施形態では、レンダリング画像108は二次元スライスであるが、他の実施形態では、レンダリングされた画像は、任意の適切なタイプの画像、例えば、二次元スライス、二次元マルチプレーナレンダリング(MPR)画像、スラブMPR画像、湾曲MPR画像、陰影ボリュームレンダリング(SVR)画像、またはIP画像である。
【0101】
本実施形態では、色値は、レンダリング画像108の画素に対応する、スライス上の点についてのみ決定される。他の実施形態では、色値(または他の光学特性)は、画像内の任意の適切な画素または点について決定される場合がある。
【0102】
ここで、色値は、造影画像101(または位置合わせされた非造影画像103)の3次元領域内の点について取得され、レンダリング画像108の画素ごとの色値は、3次元領域内の複数の点についての色値を合成することによって取得されてもよい。例えば、スラブの画像は、複数のスライスからの点を合成することによって取得されてもよい。
【0103】
本実施形態では、カラーモデルは、位置合わせされた非造影画像103内の対応する画素を有する造影画像101内の全ての画素を代表したジョイントヒストグラムを使用して決定されたが、これに限定されない。ジョイントヒストグラムおよびカラーモデルのうちの少なくとも1つは、画像データを使用して決定されてもよい。例えば、ジョイントヒストグラムは、レンダリングされるべきスライスの一部である画素のみをプロットし、カラーモデルは、ジョイントヒストグラム内の画素に基づいて決定してもよい。また、ジョイントヒストグラムは、造影画像の1つまたは複数のセグメント化された領域からの画素のみをプロットする場合がある。一例では、ジョイントヒストグラムは、セグメント化された冠状動脈の周囲の領域内にある画素のみをプロットしてもよい。
【0104】
図5の実施形態では、セグメント機能52として、ジョイントヒストグラムからカラーモデル107を自動的に決定するが、これに限定されない。セグメント機能52として、既存のカラーモデルをロードする場合があり、処理対象画像からカラーモデルを決定しなくてもよい。
【0105】
また、カラーモデル107は、図5の処理より前に決定される。例えば、カラーモデル107は、図5の処理で撮像された患者とは異なる1人または複数の患者からのデータを使用して決定されてもよい。予め1人の患者または複数の患者により構成されるグループにより決定されたカラーモデル107は、さらなる患者からのデータの視覚化で使用される。
【0106】
また、最初のカラーモデルは、ジョイントヒストグラム分析を使用することによって、検討中のスキャンに適合する場合がある。クラスタ分析(例えば、k平均と期待値最大化とに適合するガウス型混合モデル)は、造影棘突起の位置と範囲とを見出すために使用される場合があり、赤黄勾配の位置決めが実施される。
【0107】
カラーモデルを使用して色付けされたレンダリング画像108は、ディスプレイ36上に表示される。なお、ユーザは、視覚化の態様を制御することができる。例えば、ユーザは、レンダリング画像108に割り当てられた色および光学特性のうちの少なくとも1つの一部または全部の寄与を制御することができる。具体的には、ユーザは、赤色、黄色、マゼンタ、および緑色が画像内で表示される範囲を制御することができる。いくつかの状況では、ユーザは、下にあるグレースケール値を見ることができるように、これらの色を完全に除去することを望む場合がある。また、赤色と、黄色と、マゼンタと、緑色とを除去すると、ユーザが見るために使用される、従来の差分画像がもたらされる。ユーザは、下にある画像が非造影CTスキャンと造影CTスキャンとの間で減衰されるように、グレースケールマッピングを制御することができる。
【0108】
ユーザは、任意の適切な方法により、例えば、スライダを使用すること、プリセットを選択すること、またはサムネイル間で選択することにより、視覚化を制御することができる。いくつかの実施形態では、スライダは、画像に適用される色のレベル(例えば、緑色、黄色、赤色、およびマゼンタ)を制御するために使用される。スライダは、色のオーバーレイの重要度を制御することができる。例えば、ユーザは、スライダを動かして、画像内の色の量を低減することができる。なお、ユーザは、各色のレベルを個別に制御することができる。例えば、ユーザが位置ずれを見出すことに特に関心がある場合、ユーザは、画像の緑色のエリアの明るさを上げることができる。
【0109】
レンダリングされた画像内のグレースケールマッピングは、非造影画像、造影画像、または非造影画像と造影画像の合成を表す場合がある。また、スライダは、グレースケールマッピングを制御するために使用され手もよい。スライダの一端で、色は非コントラスト画像にオーバーレイされる。スライダの他端で、色は造影画像にオーバーレイされる。スライダの中央では、色は造影と非造影の合成を使用する画像(例えば、差分値を使用する画像)にオーバーレイされる。それによって、ユーザは、レンダリング画像108に対する第1の画素値と第2の画素値の相対的な寄与を制御することができる。
【0110】
カラーモデルによって決定された色を使用する視覚化は、従来のグレースケール差分画像よりも直観的な解釈を提供することができる。カルシウムはやはり見ることができ、造影血管領域から区別することも容易である。いくつかの困難なケースでは、色の視覚化は、従来のグレースケール差分画像よりも読み取ることが容易である。グレースケール差分画像を読み取るよりも、色付けされた視覚化を読み取る方が速く習得することができる。色付けされた視覚化は、慢性閉塞を見るときに使用される場合がある。いくつかの状況では、冠状動脈疾患は、色付けされた視覚化を使用して診断が容易になる。
【0111】
図5の方法は、両方のチャネル(造影と非造影)を保存し、従って、通常のサブトラクション画像よりも多くの情報を保持する視覚化を提供することができる。スカラーの視覚化ではなくマルチチャネルの視覚化を使用することによって、ユーザは、位置合わせに自信がないところを識別することが可能である。図5の方法は、管腔よりもブルーミングの視覚化を可能にすることができる。
【0112】
なお、単一の様式からの2つの画像セット用の共通基準系を生成する位置合わせエンジンと、両方のデータセット内の対応する点をサンプリングしてデータ値のペアを生成し、データ値のペアを使用してカラーモデルを検索して処理されたデータ値を生成し、表示用画像を生成する間処理されたデータ値を使用するためのレンダリングエンジンとを備える、造影血管を視覚化する方法を提供してもよい。
【0113】
2つの画像セットのうちの第1のデータセットは、造影画像である。2つの画像のうちの第2のデータセットは、非造影画像である。レンダリングエンジンは、二次元スライスビューア、MPRスラブ、湾曲スラブ、IP、またはSVRのうちの1つを出力するものである。
【0114】
カラーモデルは、ジョイントヒストグラム内の識別されたクラスタが異なって色付けされるようにセットアップされる。識別されたクラスタは、造影血管領域、ブルーミングアーティファクト、および位置合わせの不正確さを示す。
【0115】
カラーモデルは、非造影CTスキャン、造影CTスキャン、または非造影CTスキャンと造影CTスキャンの両方の重み付けされたブレンドのウィンドウレベル化されたビューを示すようにセットアップされる。なお、2次元カラーモデルは、非造影画像と造影画像とを合成する場合に使用され、1次元カラーモデルは、非造影画像と造影画像とを個別に表示する場合に使用されてもよい。
【0116】
ジョイントヒストグラム内の分布の決定(例えば、図5を参照して上述された管腔領域、非強調領域、ブルーミング領域および位置ずれ領域の分布の決定)は、いくつかの実施形態についてここで記載されるように、レンダリングで使用されるだけでなく、またはその代わりに、血管セグメント化処理への入力として使用される場合がある。
【0117】
図4のシステムは、図11で概観として示された一連のステップを実施するように構成される。より詳細に一実施形態を示すフローチャートは、図12で提示される。
【0118】
図11および図12は、各々、組織がヒストグラムから分類され、カルシウムの別の分類も実施されるプロセスを示すフローチャートである。しかしながら、他の実施形態では、全ての組織はヒストグラムから分類され、別のカルシウムの分類は実施されない。
【0119】
図11のステップ210で、受信回路44は、非造影画像100と、造影画像101とを受信する。本実施形態では、非造影画像100は、患者の冠状動脈のカルシウムスコアスキャンから取得され、造影画像101は、患者の冠状動脈のCCTAスキャンから取得された造影画像である。
【0120】
なお、任意の非造影画像および造影画像が使用されてもよい。また、受信回路44によって受信された画像データは、DCEスキャンからの画像データ、例えば、肝臓DCEスキャンで肝臓血管を表す画像データであってもよい。受信回路44は、非造影画像100と造影画像101とを処理回路45に渡す。
【0121】
ステップ220において処理回路45は、非造影画像100を造影画像101と位置合わせする。任意の適切な位置合わせ方法が使用される場合がある。本実施形態において処理回路45は、非剛体レジストレーションステップと剛体レジストレーションステップの組合せを実施する。本実施形態で使用される位置合わせ方法は、Razeto,M.、Mohr,B.、Arakita,K.、Schuijf,J.D.、Fuchs,A.、Kuhl,J.T.、Chen,M.Y.、およびKofoed,K.F.、「Accurate, fully−automated registration of coronary arteries for volumetric CT digital subtraction angiography」、Proc.SPIE9034,90343F−90343F−7(2014)に記載されている。
【0122】
ステップ230において処理回路45は、、非造影画像内のカルシウム領域とブルーミング領域とを分類する。非造影画像内の画素は2つのクラスに分類される。第1のクラスは、カルシウム領域またはブルーミング領域のいずれかを表す。画素第2のクラスは、カルシウム領域またはブルーミング領域のいずれかを表さない。画素なお、非造影画像内の画素は、カルシウム領域を表すクラスと、ブルーミング領域を表すクラスと、カルシウム領域もブルーミング領域も表さないクラスという、3つのクラスに分離されてもよい。
【0123】
ステップ240において処理回路45は、図6を参照して上述されたように、ジョイントヒストグラムを生成する。
【0124】
ステップ250において処理回路45は、ジョイントヒストグラムを使用して、管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域への画素の自動分類を実施する。ジョイントヒストグラム内の任意の適切な分類方法が使用される。
【0125】
ステップ260において処理回路45は、ステップ230からのカルシウム領域およびブルーミング領域の分類と、ステップ250からの管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域の分類とを使用して、血管をセグメント化する。
【0126】
ステップ230から260は、米国特許出願第14/099092号に記載されたプロセスと同じまたは同様の、分類処理とセグメント化処理とを備える。
【0127】
図12は、本実施形態に係る画像処理装置の処理のステップを示す、より詳細なフローチャートである。
【0128】
ステップ310において受信回路44は、非造影画像と造影画像とを受信し、ステップ320において処理回路45は、位置合わせ機能48として、非造影画像と造影画像とを位置合わせする。処理回路45は、位置合わせを使用して位置合わせされた非造影画像103を生成する。
【0129】
ステップ322において処理回路45は、効率的な活性輪郭アルゴリズムを使用して、造影画像101内の血管を概略的にセグメント化する。概略的なセグメント化は、対象ではない材料を表す画素、例えば、空気または骨を表す画素を除去するために使用される。概略的なセグメント化により、血管壁が他の軟部組織と区別されることが可能になる。
【0130】
なお、概略的なセグメント化を実施するために、任意のセグメント化方法が使用されてもよい。概略的なセグメント化技法は、血管追跡の任意の適切な方法である血管追跡方法を含む。さらに、概略的なセグメント化は実施されなくてもよい。
【0131】
概略的なセグメント化により、造影画像内のどの画素が血管の一部であるかの推定がもたらされる。その推定は正確ではない場合があり、血管の周囲の何らかの軟部組織を含む。処理回路45は、血管の概略的なセグメント化の一部を含む造影画像内の画素を出力する。
【0132】
ステップ323において処理回路45は、概略的なセグメント化によって決定された造影画像101内の画素に対応する、位置合わせされた非造影画像103内の画素を識別する。
【0133】
処理回路45は、概略的なセグメント化に形態学的拡張(本実施形態では、2倍の拡張)を適用する。処理回路45は、位置合わせされた非造影画像103の画素を識別する。拡張後に非造影画像100内の画素は、カルシウム領域とブルーミング領域の分類を実施するために使用される画素である。
【0134】
なお、異なる形態学的拡張が使用されても良いし、形態学的拡張が使用されなくても良い。
【0135】
ステップ330において処理回路45は、非造影画像100内のカルシウム領域とブルーミング領域との分類を実施する。ステップ330の分類は、図12のステップ332から336を含む。本実施形態では、分類方法は教師なし分類方法であるが、これに限定されない。教師ありなしにかかわらず、任意の適切な分類方法が使用されてもよい。
【0136】
ステップ332において処理回路45は、ステップ323の形態学的拡張で決定された画素を使用する。処理回路45は、カルシウム領域もブルーミング領域も表さない画素から、カルシウム領域とブルーミング領域との画素を分割するために使用される画素の閾値を決定する。本実施形態では、閾値は、ベイズ情報量基準(BIC)技法を使用して、異なる候補の閾値のどちらかに決めることによって見出される。なお、異なる形態の情報量基準が使用されても良いし、閾値を決定する任意の他の適切な方法が使用されても良い。
【0137】
まず、処理回路45は、候補の閾値を決定する。例えば、ステップ323の形態学的拡張で決定された画素の画素値の画素最大値と最小値とを識別し、異なる複数の候補の閾値を決定する。各候補の閾値は、最小画素値よりも大きく、最大画素値よりも小さい値に設定される。
【0138】
次に処理回路45は、モデルの有限のセットを規定する。各モデルは、候補の閾値のうちの異なる閾値を使用して、ステップ323からの画素を区分する。2つの区分の各々の中のデータに、適切な分布、例えば、ガウス分布が適合する。処理回路45は、モデルごとに、閾値の関数として、2つの区分またはサブグループに対してBICを計算する。それによって、処理回路45は、モデルの有限のセットの各々についてBIC測定値を取得する。処理回路45は、閾値に対するBIC測定値のグラフを生成する。処理回路45は、閾値が他の画素からカルシウム領域とブルーミング領域の画素を最良に分割するモデルとして、BIC測定値グラフの最大値に対応するモデルを選択する。処理回路45は、カルシウム領域とブルーミング領域の分類のさらなるステップで使用される閾値として、BIC測定値グラフの最大値に対応する候補の閾値を設定する。
【0139】
ステップ333において処理回路45は、ステップ332からの閾値を非造影画像に適用し、閾値より上のステップ323からの画素内の画素を識別する。処理回路45は、識別された画素をカルシウム領域またはブルーミング領域の画素としてフラグ付け、または場合によってはマークすることができる。本実施形態では、処理回路45は、カルシウム領域またはブルーミング領域として識別された画素のセットを規定する。
【0140】
ステップ334において処理回路45は、連結成分分析を使用して、造影画像内の個々の領域を識別し、領域の各々は、個々のカルシウム沈着およびブルーミングのうちの少なくとも1つの領域である。各領域は、複数の連結画素を備える。連結成分分析処理は、代表カルシウム領域または代表ブルーミング領域として識別された画素に適用される。連結成分分析は、連結画素間のクラスタの各々を別々の領域として識別する。連結画素の領域を識別するために、任意の適切な連結成分分析処理が使用される場合がある。
【0141】
連結成分分析により、ステップ223で識別された非造影画像からの画素内で、個別のカルシウム領域またはブルーミング領域の識別されたセットがもたらされる。
【0142】
ステップ335において処理回路45は、カルシウム領域ごとの画素分布を、k平均および期待値最大化(EM)のうちの少なくとも1つを使用してガウス型に適合させる。k平均アルゴリズムは、「Some methods for classification and analysis of multivariate observations」(Proceedings of the Fifth Symposium on Math,Statistics,and Probability,pages 281−297,University of California Press,1967)におけるJB McQueen、ならびに「Some extension of the k−means algorithm for image segmentation and pattern recognition」(AI Memo 1390,Massachusetts Institute of Technology,Cambridge,MA,1993)においてJ MarroquinおよびF Girosiによって記述されている。期待値最大化(EM)アルゴリズムは、「The expectation−maximization algorithm」 (Signal Processing Magazine,IEEE,vol.13,pages 47−60,November 1996)においてTK Moonによって記述されている。
【0143】
また、任意の適切な適合する関数が使用されるがこれに限定されない。各画素分布は、ガウス型ではなく代替の分布に適合する。
【0144】
ステップ336において処理回路45は、非造影画像内の画素ごとに、適合する分布に基づいて、画素がカルシウム領域またはブルーミング領域を表す尤度を規定する。これで、ステップ330(位置合わせされた非造影画像103内のカルシウム領域とブルーミング領域の分類)を終了する。
【0145】
ステップ337は、ステップ330の前、後、又は同時に実行される。ステップ337において処理回路45は、として、図12のステップ323の形態学的拡張で決定された画素を使用する。処理回路45は、ステップ322の概略的なセグメント化の拡張である、ステップ323の形態学的拡張で決定された画素を採用する。処理回路45は、画素によって表された血管を、血管の長さに沿った複数のセクションに分割する。図13は、血管壁142と血管腔144とを備える撮像された血管140の一部を通る概略横断面を示す。血管は、破線によって示された複数の隣接セクション146に分割されている。
【0146】
図12のステップ338において処理回路45は、互いに隣接する複数のセクションを血管領域に分類する。例えば、図13において5つのセクションの各々は、僅かに重複している。ステップ339において処理回路45は、ガウスカーネル150を各血管領域に適用し、重み付けされた画素のセットを生成する。
【0147】
ステップ340において処理回路45は、各血管領域を対象として非造影画像と造影画像とに基づいて画素ジョイントヒストグラムを生成する。ジョイントヒストグラムは、図6のジョイントヒストグラムと同様であるので、ジョイントグラムの生成の説明については省略する。
【0148】
ステップ350において処理回路45は、4つの分布である、管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域の各々の平均と分散と重みとを決定する。管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域の分布は、図6を参照して上述されたように描画される。各組織型(またはブルーミングまたは位置ずれ)は、ジョイントヒストグラム内の二次元ガウス分布を有するという仮定が行われる。本実施形態では、k平均アルゴリズムは、4つのガウス分布全ての平均と分散と重みとを決定するために、期待値最大化アルゴリズムと連携して使用される。これによりジョイントヒストグラム内の点の各々の対応するクラスタについての位置と範囲とが決定される。なお、各分布についての平均と分散と重みとを決定するために、任意の適切な技法が使用されてもよい。分布はガウス型ではない場合がある。4つよりも多いかまたは少ない分布が決定され、分布は様々な組織型およびアーティファクトのうちの少なくとも1つを表す。
【0149】
本実施形態において処理回路45は、その血管領域用のジョイントヒストグラムを使用して、所定の血管領域内の血管腔および血管壁のガウス分布について、平均と分散と重みとを決定する。管腔領域と管壁領域の分類は、各血管領域内で独立して実施される。しかしながら、位置ずれ領域およびブルーミング領域の場合、特定の血管領域内でガウス分布を適合させるには不十分な統計データが存在する場合がある。従って、位置ずれ領域およびブルーミング領域についての分布は、血管樹全体用の画素を備えるジョイントヒストグラムに適合する。また、血管核領域の場合、統計データは、血管腔および血管壁に適合させるのに十分であるが、血管核領域内で位置ずれまたはブルーミングに適合させるには十分ではない場合がある。従って、そのような場合、本実施形態では、ブルーミングおよび位置ずれは、血管樹全体を使用して広域的に適合することができる。
【0150】
なお、ブルーミング領域または位置ずれ領域は、分類された管腔領域および管壁領域のうちの少なくとも1つの分布からのオフセットである、ヒストグラムの固定領域を使用して識別される。例えば、所定の血管核領域のジョイントヒストグラム内のブルーミング領域についての分布は、管腔分布の中心から所定の距離に固定サイズの分布を位置付けることによって決定される場合があり、管腔分布は、血管核領域用のジョイントヒストグラムに適合させることによって決定されている。
【0151】
ステップ352において処理回路45は、計算された血管領域の各々の尤度(または確率)に基づいて、各画素に管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域の各々についての尤度(または確率)を割り当てる。
【0152】
本実施形態において処理回路45は、ステップ250の尤度に従って、画素ごとに、画素が管腔領域を表す尤度と画素が管壁領域を表す尤度と画素がブルーミング領域を表す尤度と画素が位置ずれ領域を表す尤度とを規定する。従って、セグメント機能52として、非造影画像内の画素Iと造影画像内の画素Jとを有する所定の画素が、所定の組織型(またはブルーミングまたは位置ずれ)の画素である尤度を構築する。
【0153】
ステップ360において処理回路45は、ステップ336において取得されたカルシウム領域またはブルーミング領域についての尤度または確率と、ステップ352で取得された管腔領域、管壁領域、ブルーミング領域、および位置ずれ領域についての分類とを使用する。
【0154】
管腔領域とカルシウム領域とブルーミング領域との間を区別すると、ブルーミングクラスの特別な処置(例えば、重み付けまたはモデル化)が可能になる。いくつかの追加の診断がブルーミングから行われる場合がある。例えば、ブルーミングデータは、物理モデルの中、または機械学習技法を使用してデータから習得されるモデルの中で使用される場合がある。そのようなモデルは、石灰沈着と管腔とを分離する助けになる場合があり、より正確なセグメント化、またはより正確な計算の推定につながる場合があり、狭窄の程度のより正確な推定につながる場合がある。
【0155】
図10は、カルシウム領域とブルーミング領域が存在する非造影画像を示す。ジョイントヒストグラムを使用して管腔領域とブルーミング領域とを分離すると、血管外部のブルーミング(例えば、図10の領域90)が管腔内へのブルーミング領域(例えば、図10の領域92)と区別されることが可能になる場合がある。
【0156】
画素が尤度または確率を割り当てられると、それらの尤度または確率は、画素データを備えるデータセットから各特定の型の画素をセグメント化するために使用される。本実施形態では、各型の画素がセグメント化されたデータセットは、位置合わせされた非造影画像103と造影画像101との両方から画像データを組み込む、合成されたデータセットである。
【0157】
本実施形態では、画素がセグメント化されたデータセットは、位置合わせされた非造影画像103および造影画像101からの画素の全てを備える。セグメント化は、全データセットからのデータを使用し、概略的なセグメント化に限定されない。他の実施形態では、画素がセグメント化されたデータは、図12のステップ222で概略的にセグメント化された画素のみ、または任意の他の適切な画素を備える。
【0158】
管腔のセグメント化は、レベル設定手法を使用して実施される。管腔のセグメント化用のレベル設定技法は、Mohr B、Masood S、Plakas C、2012、「Accurate lumen segmentation and stenosis detection and quantification in coronary CTA」、Proc. of MICCAI Workshop 「3D Cardiovascular Imaging:a MICCAI Segmentation Challenge」に記述されている。全ての分類(ジョイントヒストグラムからの管腔領域、管壁領域、位置ずれ領域、およびブルーミング領域、ならびに非造影画像からのカルシウム領域およびブルーミング領域)は、レベル設定を駆動する速度関数を重み付けするために使用される。速度関数は、全ての決定された尤度を使用する。従って、速度関数は、取得された分類に応じて決定される。
【0159】
レベル設定は、セグメント化を実現するために解決される。レベル設定処理は、各個の画素を組織型(または位置ずれまたはブルーミング)に割り当てる。セグメント機能52において処理回路45は、血管腔に割り当てられた画素を抽出する。
【0160】
処理回路45は、位置ずれ領域の分類に基づいて、セグメント化用の推定信頼レベルを決定する。多数の画素が位置ずれクラスに分類された場合、推定信頼レベルは低く、少数の画素のみが位置ずれクラスに分類された場合、推定信頼レベルは高いといえる。
【0161】
位置ずれの分類により、推定信頼性がセグメント化に適用されることが可能になる場合がある。位置ずれの識別により、異常なセグメント化が防止される場合がある。
【0162】
代替の実施形態では、ステップ60で、任意の適切なセグメント化方法、例えば、活性輪郭方法が使用される場合がある。
【0163】
セグメント化の結果は、ユーザに表示される。セグメント化の結果は、任意の適切なさらなるプロセスに供給される。
【0164】
本実施形態では、図12の処理のステップ322から360は、単一の血管のセグメント化を記載する。図12の処理のステップ322から360は、画像データ内の他の血管について繰り返されても良い。
【0165】
セグメント化の正確性と堅牢性とを改善すると、臨床の信頼性が増加する場合がある。自動セグメント化の正確性と堅牢性とを改善すると、堅牢な自動微分技法、例えば、狭窄の検出および数量化が可能になる場合もある。
【0166】
二次元分布(例えば、ジョイントヒストグラム)を使用すると、1次元分布を使用して識別されるよりも多くのクラスが識別される。本実施形態では、2次元が使用されるので、ジョイントヒストグラムでは、ブルーミング領域は管腔領域から分離される。ジョイントヒストグラムを使用して、管腔領域と管壁領域と位置ずれ領域とブルーミング領域とを識別すると、1次元分布を使用して(位置ずれ領域とブルーミング領域を識別せずに)管腔領域と管壁領域とを分離するときに達成されるよりも良好な管腔領域と管壁領域の分離が可能になる場合がある。
【0167】
また、非造影画像と造影画像の両方を使用して血管をセグメント化する方法を提供し、方法は、位置合わせされた非造影画像および造影画像から二次元ジョイントヒストグラムを構築することと、二次元ジョイントヒストグラムを使用して管腔領域と、管壁領域と、ブルーミング領域と、位置ずれ領域とを分類することとを備える。
【0168】
また、概略的な血管のセグメント化が実施される。組織の分類は、概略的な血管のセグメント化に制限される。概略的なセグメント化は、カーネルに基づいた(重なった領域である)領域に分割される。管腔領域と管壁領域の分類は、教師なし習得技法を使用して分布を適合させることによって、各領域内で独立して実施される。
【0169】
分布はガウス型であると仮定される場合がある。教師なし習得技法は、k平均および期待値最大化のうちの少なくとも1つである。
【0170】
セグメント化は、組織分類尤度分布を平衡化する速度関数を有するレベル設定を使用して実施される。ブルーミングクラスに特定の処置(例えば、追加のモデル化、重み付けなど)が適用される場合がある。位置ずれの分類は、セグメント化の推定信頼性に寄与する。ブルーミングは、管腔信号およびそれ以外に寄与するとき、個別に分類される。ブルーミング、位置ずれなどは、分類された管腔/壁の分布からの固定領域オフセットを使用して識別(仮定)される。
【0171】
上記には、CTデータのレンダリングまたはセグメント化に関して実施形態が記載されているが、これに限定されない。任意の適切なタイプの医用画像データ、例えば、X線データ、MRIデータ、PETデータ、またはSPECTデータをレンダリングまたはセグメント化するために使用される。医用画像データは、獣医学の画像データを含む。非造影画像および差分画像からのデータに関して実施形態が記載されているが、様々な特徴が分類される任意の画像タイプが使用されてもよい。医用画像データは、体の任意の部分に関する。
【0172】
上記の実施形態においてジョイントヒストグラムは、第1の医用画像の画素値と第2の医用画像の画素値とにより規定される2次元分布であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、本実施形態に係るジョイントヒストグラムは、3以上の次元を有しても良い。
【0173】
図4の装置は、図5の視覚化方法と図12のセグメント化方法の両方を実施するように構成されるが、他の実施形態では、装置は、図12の方法を実施し、図5の方法を実施しないように構成される場合がある(例えば、レンダリング機能50が処理回路45から除外される場合がある)。
【0174】
(総括)
上記の説明の通り、本実施形態に係る画像処理装置30は、少なくともメモリ40と処理回路45とを有する。メモリ40は、異なる時刻に撮影された同一の撮影部位に関する第1医用画像と第2医用画像とを記憶する。処理回路45は、同一座標における第1医用画像の画素値と第2医用画像の画素値との組み合わせの頻度を表す数値データを生成する。そして処理回路45は、生成された数値データを利用して、第2医用画像を複数の画像領域に区分する。
【0175】
上記構成によれば、同一座標における第1医用画像の画素値と第2医用画像の画素値との組み合わせの頻度を表す数値データを用いることで、例えば、画像内における血管腔領域、血管壁領域、石灰沈着領域、ブルーミング領域、ステント領域等を自動的かつ正確にセグメント化することができる。
【0176】
かくして、セグメント化の精度の向上を可能とする画像処理装置と、当該画像処理装置に用いられる画像処理方法および画像処理プログラムとを提供することができる。
【0177】
特定のユニットが本明細書で記載されたが、代替の実施形態では、これらのユニットのうちの1つまたは複数の機能は、単一のユニット、処理リソース、もしくは他の構成要素によって提供されるか、または単一のユニットによって提供される機能は、組み合わされた2つ以上のユニットによって提供される。単一のユニットへの参照は、そのような構成要素が互いに離れていようとなかろうと、そのユニットの機能を提供する複数の構成要素を包含し、複数のユニットへの参照は、それらのユニットの機能を提供する単一の構成要素を包含する。
【0178】
いくつかの実施形態が記載されているが、これらの実施形態は単に例として提示されており、本発明の範囲を限定するものではない。当然、本明細書に記載された新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化される場合があり、さらに、本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載された方法およびシステムの形態における様々な省略、代用、および改変が行われる場合がある。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、そのような形態および修正形態を、本発明の範囲内に入るようにカバーするものである。
【0179】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0180】
30…画像処理装置、32…計算装置、34…CTスキャナ、38…入力インターフェイス回路、40…メモリ、44…受信回路、45…処理回路、46…生成機能、48…位置合わせ機能、50…レンダリング機能、52…セグメント機能、100…非造影画像(造影前画像)、101…造影画像(造影後画像)、102…変形場、103…位置合わせされた非造影画像、104…差分画像、105…レンダリング画像、107…カラーモデル、108…レンダリング画像、140…血管、142…血管壁、144…血管腔、146…隣接セクション。
図1
図2
図3A
図3B
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図7A
図7B
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