【実施例1】
【0010】
図1は、複数の塗布条件が混在する塗布パターンの例を示す図である。
図1は、塗布タイミング(ON−OFF)が異なる3つのグループA、B及びCが混在する塗布パターンを示す。被塗物としての糸ゴムなどの糸状体31は、走行方向Xに走行される。グループAは、連続塗布パターンである。グループAのパターンにおいて、ホットメルト接着剤などの液体30は、糸状体31上に連続的に塗布される。グループBは、ON時間が長い第一の間欠塗布パターンである。グループBのパターンにおいて、液体30は、糸状体31上に第一の間隔で間欠的に塗布され、液体30が塗布されている部分は、液体30が塗布されていない部分より長い。グループCは、OFF時間が長い第二の間欠塗布パターンである。グループCのパターンにおいて、液体30は、糸状体31上に第二の間隔で間欠的に塗布され、液体30が塗布されている部分は、液体30が塗布されていない部分より短い。
【0011】
図1は、塗布タイミングが異なる複数の塗布パターンの例を示しているが、塗布量が異なる複数の塗布パターン又は液体30の種類が異なる複数の塗布パターンで液体が塗布されてもよい。例えば、グループA及びBの液体30の塗布量は、グループCの液体30の塗布量より多くてもよい。また、グループAの液体30は、グループB又はグループCの液体30と異なっていてもよい。
【0012】
図2は、
図1に示す塗布パターンで液体30を塗布するための液体回路32a、32b、32cを示す図である。塗布パターンのグループA、B及びC毎に(塗布条件毎に)個別の液体回路32a、32b、32c及び弁(モジュール)33a、33b、33cが設けられている。
【0013】
(ノズル)
図1に示すような異なる塗布条件で複数の塗布パターンで液体30を同時に吐出する一つのノズル100は、
図3〜
図6に示すような積層シム構造を有する。以下、
図3〜
図6を用いて、実施例1のノズル100を説明する。ノズル100は、ノズルボディ(以下、ノズル本体という。)102、フェースプレート(以下、ノズル板という。)103、上流側シム
(シム)104a、隔壁板104b及び下流側シム104cからなる。
図3は、ノズル本体102から見た実施例1のノズル100の分解斜視図である。
図4は、ノズル板103から見た実施例1のノズル100の分解斜視図である。
【0014】
ノズル本体102の上面102aには、弁33a、33b、33cから供給される液体30をそれぞれ受け入れる入口110a、110b、110cが設けられている。ノズル本体102の側面102bには、弁33aから入口110aへ供給される液体の出口113a、弁33bから入口110bへ供給される液体の出口113b及び弁33cから入口110cへ供給される液体の出口113cが設けられている。また、ノズル本体102の側面102bには、分配溝105a、分配溝105aと出口113aとを連通する縦通路114a、分配溝105b、分配溝105bと出口113bとを連通する縦通路114bが設けられている。ノズル本体102の底部102cには、複数の糸状体31をそれぞれ案内する複数のガイド溝109が設けられている。
【0015】
上流側シム104aは、ノズル本体102の側面102bに接触して配置される。上流側シム104aは、複数のスリット108a、108bが設けられている。複数のスリット108a、108bは、ノズル本体102の複数のガイド溝109にそれぞれ整列している。上流側シム104aには、ノズル本体102の出口113cに位置合わせされた貫通孔107aが設けられている。
【0016】
隔壁板104bは、上流側シム104aに接触して配置される。また、隔壁板104bには、上流側シム104aの貫通孔107aに位置合わせされた貫通孔107bが設けられている。
【0017】
下流側シム104cは、隔壁板104bに接触して配置される。下流側シム104cは、複数のスリット
108cが設けられている。複数のスリット
108cは、ノズル本体102の複数のガイド溝109にそれぞれ整列している。下流側シム104cには、隔壁板104bの貫通孔107bに位置合わせされた貫通孔107cが設けられている。
【0018】
ノズル板103の側面103aには、分配溝105cと、分配溝105cと下流側シム104cの貫通孔107cとを連通する縦通路114cが設けられている。ノズル板103は、側面103aが下流側シム104cに接触して配置される。
【0019】
ノズル本体102、上流側シム104a、隔壁板104b、下流側シム104c及びノズル板103は、重ね合わされて、ねじ(締結部材)112により固定される。隔壁板104bは、上流側シム104aと下流側シム
104cとの間に挟まれて、上流側通路
116a、116bと下流側通路
116cとを隔てる。
【0020】
図5は、上流側通路116a、116bを説明するためのノズル100の断面図である。
図5は、説明のために、入口110a、連通路111a、出口113a、縦通路114a及び分配溝105aを通る断面と、スリット108aを通る断面とを示している。なお、入口110b、連通路111b、出口113b、縦通路114b、分配溝105b及びスリット108bは、入口110a、連通路111a、出口113a、縦通路114a、分配溝105a及びスリット108aと同様であるので、
図5において参照符号を括弧内に示している。
【0021】
入口110aは、連通路111aを介して出口113aと連通する。出口113aは、縦通路114aを介して分配溝105aと連通する。入口110bは、連通路111bを介して出口113bと連通する。出口113bは、縦通路114bを介して分配溝105bと連通する。
【0022】
上流側シム104aは、隔壁板104bとノズル本体102との間に挟まれる。上流側シム104aの複数のスリット108aの上端部は、ノズル本体102の分配溝105aと連通する。上流側シム104aの複数のスリット108bの上端部は、ノズル本体102の分配溝105bと連通する。上流側シム104aの複数のスリット108aは、液体30を吐出する複数の上流側吐出口115a、及び複数の上流側吐出口115aと分配溝105aとを連通する複数の上流側通路116aを画定する。上流側シム104aの複数のスリット108bは、液体30を吐出する複数の上流側吐出口115b、及び複数の上流側吐出口115bと分配溝105bとを連通する複数の上流側通路116bを画定する。
【0023】
弁33aから入口110aへ供給される液体30は、ノズル本体102の連通路111a、出口113a及び縦通路114aを介して、分配溝105aへ供給される。液体30は、分配溝105aから複数の上流側通路116aを介して複数の上流側吐出口115aへ流れる。弁33a
(第一の液体供給弁)、入口110a
(第一の入口)、連通路
(第一の通路)111a、出口113a、縦通路114a、分配溝
(第一の空洞)105a、上流側通路116a及び上流側吐出口115aは、液体回路
(第一の液体供給系)32aを構成する。複数の糸状体31は、複数のガイド溝
(案内部)109により案内され、走行方向Xに走行する。液体30は、液体回路32aにより、複数の上流側吐出口115aから複数の糸状体31上に連続的に塗布される。
【0024】
同様にして、弁33bから入口110bへ供給される液体30は、ノズル本体102の連通路111b、出口113b及び縦通路114bを介して、分配溝105bへ供給される。液体30は、分配溝105bから複数の上流側通路116bを介して複数の上流側吐出口115bへ流れる。弁33b
(第二の液体供給弁)、入口
(第二の入口)110b、連通路111b、出口113b、縦通路114b、分配溝
(第二の空洞)105b、上流側通路116b及び上流側吐出口115bは、液体回路
(第二の液体供給系)32bを構成する。液体30は、液体回路32bにより、複数の上流側吐出口115bから複数の糸状体31上に第一の間隔で間欠的に塗布される。
【0025】
このように、液体回路32a及び液体回路32bは、それぞれ独立して形成されている。よって、一つのノズル100により液体30を連続塗布パターン及び第一の間欠塗布パターンで複数の糸状体31に同時に塗布することができる。
【0026】
図6は、下流側通路116cを説明するためのノズル100の断面図である。
図6は、説明のために、入口110c、連通路111c、出口113c、貫通孔107a、107b、107c、縦通路114c及び分配溝105cを通る断面と、スリット108cを通る断面とを示している。
【0027】
入口110cは、連通路111cを介して出口113cと連通する。出口113cは、貫通孔107a、107b、107c及び縦通路114cを介して分配溝105cと連通する。
【0028】
下流側シム104cは、隔壁板104bとノズル板103との間に挟まれる。下流側シム104cの複数のスリット108cの上端部は、ノズル板103の分配溝105cと連通する。下流側シム104cの複数のスリット108cは、液体30を吐出する複数の下流側吐出口115c、及び複数の下流側吐出口115cと分配溝105cとを連通する複数の下流側通路116cを画定する。
【0029】
弁33cから入口110cへ供給される液体30は、ノズル本体102の連通路111cを介して出口113cへ流れる。液体30は、出口113cから、上流側シム104aの貫通孔107a、隔壁板104bの貫通孔107b、下流側シム104cの貫通孔107cを介してノズル板103の縦通路114cへ流れる。液体30は、縦通路114cから分配溝105cへ供給される。液体30は、分配溝105cから複数の下流側通路116cを介して複数の下流側吐出口115cへ流れる。弁33c、入口110c、連通路111c、出口113c、貫通孔107a、107b、107c、縦通路114c、分配溝105c、下流側通路116c及び下流側吐出口115cは、液体回路32cを構成する。液体30は、複数の下流側吐出口115cから複数の糸状体31上に第二の間隔で間欠的に塗布される。
【0030】
このように、液体回路32cは、液体回路32a及び液体回路32bと独立して形成されている。よって、一つのノズル100により液体30を連続塗布パターン、第一の間欠塗布パターンおよび第二の間欠塗布パターンで複数の糸状体31に同時に塗布することができる。
【0031】
また、下流側通路116cは、隔壁板104bにより上流側通路116a、116bと仕切られている。よって、連続塗布パターンで液体30が塗布される糸状体31の間の糸状体31に、第二の間欠塗布パターンで液体30を塗布することができる。また、第一の間欠塗布パターンで液体30が塗布される糸状体31の間の糸状体31に、第二の間欠塗布パターンで液体30を塗布することができる。
【0032】
ところで、上流側吐出口
115a、115bから糸状体31上へ塗布された液体30は、下流側に配置された隔壁板104bの先端部104b1、下流側シム104cの先端部104c1及びノズル板103の先端部103bと接触する。糸状体31上に塗布された液体がノズル100と接触する距離が長いと、間欠塗布の場合、上流側吐出口
115a、115bから吐出された液体の尾引きが生じ、間欠塗布パターンの切れが悪くなることがある。
【0033】
このような問題は、上流側吐出口
115a、115bから連続塗布パターンのみで液体を吐出させる配置にすることにより解消できる。しかし、
図1に示すような塗布パターンで液体30を塗布するためには、第一の間欠塗布パターンの「グループB」又は第二の間欠塗布パターンの「グループC」のいずれかを必ず上流側に配置する必要がある。この場合、上流側に配置されたグループの間欠塗布パターンは、切れの良さを望めなくなる。切れ性の良い間欠塗布パターンが要求される場合、ノズル100の上流側に、間欠塗布パターンの塗布回路を配置できないという制約が生ずる。そのため、塗布パターンの選択の自由度が制限される。
【0034】
さらにまた、糸状体31上に塗布された液体がノズル100と接触する距離が長い場合、ノズル100に対する糸状体31の角度を精度よく設定する必要がある。具体的には、糸状体31と接触するノズル100の先端部100aの面CPに垂直な基準線RLと走行方向Xにおけるノズル100の上流側の糸状体31とのなす角度θを90°に設定する。ノズル100に対する糸状体31の角度の設定の精度が低い場合、以下に説明するように糸状体31上に液体30が適正に塗布されないことがある。
【0035】
図7は、角度θが90°より大きい場合のノズル100及び糸状体31を示す図である。
図8は、角度θが90°より小さい場合のノズル100及び糸状体31を示す図である。
図7(a)及び
図8(a)は、塗布装置の停止時のノズル100及び糸状体31を示す図である。
図7(b)及び
図8(b)は、塗布装置の運転時のノズル100及び糸状体31を示す図である。
図7(a)及び
図8(a)に示すように、塗布装置の停止時は、ノズル100の熱により糸状体31が切断されることを避けるためにノズル100を上方へ移動させてノズル100を糸状体31から離している。
図7(b)及び
図8(b)に示すように、塗布装置の運転時は、ノズル100を糸状体31に接触させる。
【0036】
角度θが90°より大きい場合(θ>90°)にノズル100を糸状体31に接触させると、
図7(b)に示すように、基準線RLと上流側の糸状体31とのなす角度θ1は、基準線RLと下流側の糸状体31とのなす角度θ2より大きくなる(θ1>θ2)。これにより、ノズル100に接触する糸状体31の上流接触部分は、ノズル100に対する接触圧力が所定の許容圧力範囲より小さくなることがある。一方、ノズル100に接触する糸状体31の下流接触部分は、ノズル100に対する接触圧力が所定の許容圧力範囲より大きくなることがある。
【0037】
角度θが90°より小さい場合(θ<90°)にノズル100を糸状体31に接触させると、
図8(b)に示すように、基準線RLと上流側の糸状体31とのなす角度θ1は、基準線RLと下流側の糸状体31とのなす角度θ2より小さくなる(θ1<θ2)。これにより、ノズル100に接触する糸状体31の上流接触部分は、ノズル100に対する接触圧力が所定の許容圧力範囲より大きくなることがある。一方、ノズル100に接触する糸状体31の下流接触部分は、ノズル100に対する接触圧力が所定の許容圧力範囲より小さくなることがある。
【0038】
図9は、糸状体31上に塗布される液体30を示す図である。
図9は、上流側シム104aのスリット108aにより画定された上流側吐出口115aの直下における糸状体31上への液体30の塗布状態を示している。
図9(a)は、糸状体31に対するノズル100の接触圧力が所定の許容圧力範囲内にある場合の塗布状態を示している。液体30は、糸状体31の周囲に回り込んで糸状体31上に適切に塗布される。
【0039】
図9(b)は、
図7(b)に示すようにノズル100に接触する糸状体31の上流接触部分の接触圧力が所定の許容圧力範囲より小さい場合の塗布状態を示している。ノズル100に対する糸状体31の接触圧力が所定の許容圧力範囲より小さい場合、上流側吐出口115aから押し出される液体30の吐出圧により糸状体31が下方へ押され、上流側吐出口115aと糸状体31との間に隙間ができる。そのため、液体30は、糸状体31の周囲に回り込まずに、糸状体31の概ね上部にしか塗布されない。上流側吐出口115aと反対側の糸状体31の部分には液体30が塗布されないので、接着不良が発生する。また、上流側吐出口115aと糸状体31との間に隙間ができるので、吐出された液体30の一部がノズル100上に溜まりボタ落ちし易くなる。液体30のボタ落ちは、製品の品質を低下させる。
【0040】
このため、ノズル100に対する糸状体31の角度の微細な調整が必要になる。角度を調整しきれない場合、ノズル100を糸状体31に対してさらに強く押し当てることにより、この問題を解消することもできる。しかし、ノズル100を糸状体31に対して強く押し当てすぎると、ノズル100と糸状体31との摩擦により、糸状体31が切断されてしまうことがある。また、摩耗によりノズル100の寿命が短くなるという別の問題が発生する。
【0041】
このように、ノズル100に対する糸状体31の角度θの設定が適切でない場合、ノズル100の上流側吐出口115a、115bと下流側吐出口115cとの塗布状態(塗膜厚さ、糸状体31の周囲への液体30の回り込み)に差が生じる。そのため、複数の糸状体31の接着強度に差が生じて接着不良を生じたり、糸状体31上に乗りきらなかった液体30がノズル100上に溜まりボタ落ちして周囲環境を汚染したりことがある。
【実施例2】
【0042】
上記した問題点を解決するための実施例2を
図10乃至
図13を参照して以下に説明する。実施例2によれば、間欠塗布パターンの切れを向上するとともに、糸状体31の角度の調整を容易にすることができる。実施例2の液体30の塗布パターン及び液体回路32a、32b、32cは、
図1及び
図2に示す実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0043】
実施例2のノズル1は、ノズルボディ(以下、ノズル本体という。)2、フェースプレート(以下、ノズル板という。)3及びシム4からなる。
図10は、ノズル本体2から見た実施例2のノズル1の分解斜視図である。
図11は、ノズル板3から見た実施例2のノズル1の分解斜視図である。
【0044】
ノズル本体2の上面2aには、入口(第一の入口)10a、入口(第三の入口)10b、入口(第二の入口)10cが設けられている。入口(第一の入口)10a、入口(第三の入口)10b、入口(第二の入口)10cは、それぞれ弁(第一の液体供給弁)33a、弁(第三の液体供給弁)33b、弁(第二の液体供給弁)33cから供給される液体30を受け入れる。ノズル本体2の側面2bには、弁33aから入口10aへ供給される液体の出口13a、弁33bから入口10bへ供給される液体の出口13b及び弁33cから入口10cへ供給される液体の出口13cが設けられている。また、ノズル本体2の側面2bには、分配溝(第一の空洞)5a、分配溝5aと出口13aとを連通する縦通路14a、分配溝(第三の空洞)5b、分配溝5bと出口13bとを連通する縦通路14bが設けられている。
【0045】
分配溝5a、5bは、ノズル本体2の長手方向Yに沿って延在している。分配溝5aと5bは、互いに連通しないように互いから隔離されている。ノズル本体2の底部2cには、複数の糸状体31をそれぞれ案内する複数のガイド溝9が設けられている。複数の導入溝6aは、分配溝5aからそれぞれ対応するガイド溝9へ向って下方へ延在している。複数の導入溝6bは、分配溝5bからそれぞれ対応するガイド溝9へ向って下方へ延在している。複数の導入溝6a、6bは、ノズル本体2の底部2cへ至らずに途中で終端している。
【0046】
シム4は、ノズル本体2の側面2bに接触して配置される。シム4は、複数のスリット8が設けられている。複数のスリット8は、ノズル本体
2の複数のガイド溝9にそれぞれ整列している。複数のスリット8は、シム4の表面から裏面へ貫通しており、また、シム4の底部4aに開口している。シム4には、ノズル本体2の出口13cに位置合わせされた貫通孔7が設けられている。
【0047】
ノズル板3の側面3aには、分配溝(第二の空洞)5cと、分配溝5cとシム4の貫通孔7とを連通する縦通路14cが設けられている。分配溝5cは、ノズル本体2の長手方向Yに沿って延在している。複数の導入溝6cは、分配溝5cから下方へ延在している。複数の導入溝6cは、ノズル板3の先端部(底部)3bへ至らずに途中で終端している。ノズル板3は、側面3aがシム4に接触して配置される。
【0048】
ノズル本体2、シム4及びノズル板3は、重ね合わされて、ねじ(締結部材)12により固定される。シム4の複数のスリット8は、ノズル本体2とノズル板3の間に通路16を画定する。
【0049】
なお、本実施例においては、ノズル本体2に分配溝5a、5b及び導入溝6a、6bが設けられ、ノズル板3に分配溝5c及び導入溝6cが設けられている。しかし、ノズル本体2に分配溝5c及び導入溝6cが設けられ、ノズル板3に分配溝5a、5b及び導入溝6a、6bが設けられてもよい。また、分配溝の数は、3個に限定されるものではなく、2個であってもよいし、4個、5個、6個以上であってもよい。導入溝の数は、10個に限定されるものではなく、9個、8個、7個以下であってもよいし、11個、12個、13個以上であってもよい。ガイド溝9の数も10個に限定されるものではなく、9個、8個、7個以下であってもよいし、11個、12個、13個以上であってもよい。塗布すべき糸状体の数に応じて、ノズル1の構造は、適宜変更可能である。
【0050】
図12は、ノズル本体2に設けられた導入溝6a、6bを示す説明図である。
図12(a)は、ノズル本体2に設けられた分配溝5a、5b及び導入溝6a、6b並びにシム4に設けられたスリット8をかくれ線で示すノズル1の(下流側から見た)正面図である。
図12(b)は、
図12(a)のXIIB−XIIB線に沿って取ったノズル1の断面図である。
図12(c)は、ノズル1の吐出口15の拡大図である。
【0051】
図12(b)は、入口10a、連通路(第一の通路)11a、出口13a、縦通路14a、分配溝5a及び導入溝(第一の導入溝)6aを通る断面を示している。入口10b、連通路(第三の通路)11b、出口13b、縦通路14b、分配溝5b及び導入溝(第三の導入溝)6bは、入口10a、連通路11a、出口13a、縦通路14a、分配溝5a及び導入溝6aと同様であるので、
図12(b)において参照符号を括弧内に示している。
【0052】
入口10aは、連通路11aを介して出口13aと連通する。出口13aは、縦通路14aを介して分配溝5aと連通する。入口10bは、連通路11bを介して出口13bと連通する。出口13bは、縦通路14bを介して分配溝5bと連通する。
【0053】
シム4は、ノズル本体2とノズル板3との間に挟まれる。本実施例において、ノズル本体2とノズル板3との間に単一のシム4のみが挟まれている。シム4の複数のスリット8は、液体30を吐出する複数の吐出口15及び複数の通路16を画定する。
【0054】
シム4の複数のスリット8の上端部は、ノズル本体2の分配溝5a、5bへ到達せず、分配溝5a、5bから離れている。シム4の複数のスリット8は、分配溝5a、5bに到達しない深さで切欠かれており、分配溝5a、5bとスリット8の上端部との間に間隔H1が設けられている。分配溝5aからスリット8により画定される通路16へ液体30を流すために、分配溝
(第一の空洞)5aと通路16とを連通する複数の導入溝
(第一の導入溝)6aがノズル本体2に設けられている。複数の導入溝6aは、分配溝5aからの液体30を吐出する予め設定された通路16に対応して設けられている。
【0055】
同様に、分配溝5bからスリット8により画定される通路16へ液体30を流すために、分配溝5bと通路16とを連通する複数の導入溝6bがノズル本体2に設けられている。複数の導入溝6bは、分配溝5bからの液体30を吐出する予め設定された通路16に対応して設けられている。
【0056】
このように、分配溝5a、5b、5cとスリット8を繋ぐ導入溝6a、6b、6cを分配溝5a、5b、5cの下方に設け、液体30を吐出口15へ導く。
【0057】
弁33aから入口10aへ供給される液体30は、ノズル本体2の連通路11a、出口13a及び縦通路14aを介して、分配溝5aへ供給される。液体30は、分配溝5aから複数の導入溝6a及び複数の通路16を介して複数の吐出口15へ流れる。弁33a
(第一の液体供給弁)、入口
(第一の入口)10a、連通路
(第一の通路)11a、出口13a、縦通路14a、分配溝
(第一の空洞)5a、導入溝
(第一の導入溝)6a、通路16及び吐出口15は、液体回路
(第一の液体供給系)32aを構成する。複数の糸状体31は、走行方向Xにおいて複数の吐出口15の上流に設けられた複数のガイド溝(案内部)9により案内され、走行方向Xに走行する。液体30は、液体回路(第一の液体供給系)32aにより、複数の導入溝6aに対応する吐出口15から糸状体31上に連続的に塗布される。
【0058】
同様にして、弁33bから入口10bへ供給される液体30は、ノズル本体2の連通路11b、出口13b及び縦通路14bを介して、分配溝
5b へ供給される。液体30は、分配溝5bから複数の導入溝6b及び複数の通路
16を介して複数の吐出口15へ流れる。弁33b、入口10b、連通路11b、出口13b、縦通路14b、分配溝5b、導入溝6b、通路16及び吐出口15は、液体回路32bを構成する。液体30は、液体回路(第三の液体供給系)32bにより、複数の導入溝16bに対応する吐出口15から糸状体31上に第一の間隔で間欠的に塗布される。
【0059】
このように、液体回路32a及び液体回路32bは、それぞれ独立して形成されている。よって、一つのノズル
1により液体30を連続塗布パターン及び第一の間欠塗布パターンで複数の糸状体31に同時に塗布することができる。
【0060】
図13は、ノズル板3に設けられた導入溝6cを示す説明図である。
図13(a)は、ノズル板3に設けられた分配溝5c及び導入溝6c並びにシム4に設けられたスリット8をかくれ線で示すノズル1の(下流側から見た)正面図である。
図13(b)は、
図13(a)のXIIIB−XIIIB線に沿って取ったノズル1の断面図である。
図13(c)は、ノズル1の吐出口15の拡大図である。
【0061】
図13(b)は、入口10c、連通路(第二の通路)11c、出口13c、貫通孔7、縦通路14c、分配溝5c及び導入溝(第二の導入溝)6cを通る断面を示している。入口10cは、連通路11cを介して出口13cと連通する。ノズル本体2の出口13cは、シム4に設けられた貫通孔7及びノズル板3の縦通路14cを介して分配溝5cと連通する。
【0062】
シム4の複数のスリット8の上端部は、ノズル板3の分配溝5cへ到達せず、分配溝5cから離れている。シム4の複数のスリット8は、分配溝5cに到達しない深さで切欠かれており、分配溝5cとスリット8の上端部との間に間隔H2が設けられている。間隔H2は、間隔H1と異なっていてもよい。本実施例においては、間隔H2は、間隔H1と同じである(H2=H1)。
【0063】
分配溝5cからスリット8により画定される通路16へ液体30を流すために、分配溝5cと通路16とを連通する複数の導入溝6cがノズル板3に設けられている。複数の導入溝6cは、分配溝5cからの液体30を吐出する予め設定された通路16に対応して設けられている。走行方向Xに沿って見たときに、ノズル板3に設けられた導入溝6cは、ノズル本体2に設けられた導入溝6a、6bと互いに重なり合わないようにずらして配置されている。
【0064】
このように、分配溝5cとスリット8を繋ぐ導入溝6cを分配溝5cの下方に設け、液体30を吐出口15へ導く。
【0065】
弁33cから入口10cへ供給される液体30は、ノズル本体2の連通路11cを介して出口13cへ流れる。液体30は、出口13cから、シム4の貫通孔7を介してノズル板3の縦通路14cへ流れる。液体30は、縦通路14cから分配溝5cへ供給される。液体30は、分配溝5cから複数の通路16を介して複数の吐出口15へ流れる。弁
(第二の液体供給弁)33c、入口
(第二の入口)10c、連通路
(第二の通路)11c、出口13c、貫通孔7、縦通路14c、分配溝
(第二の空洞)5c、導入溝
(第二の導入溝)6c、通路16及び吐出口15は、液体回路
(第二の液体供給系)32cを構成する。液体30は、液体回路(第二の液体供給系)32cにより、複数の導入溝6cに対応する吐出口15から糸状体31上に第二の間隔で間欠的に塗布される。
【0066】
このように、液体回路32cは、液体回路32a及び液体回路32bと独立して形成されている。よって、一つのノズル
1により液体30を連続塗布パターン、第一の間欠塗布パターンおよび第二の間欠塗布パターンで複数の糸状体31に同時に塗布することができる。
【0067】
また、ノズル本体2の分配溝5a、5bは、シム4によりノズル板3の分配溝5cから仕切られている。よって、連続塗布パターンで液体30が塗布される糸状体31の間の糸状体31に、第二の間欠塗布パターンで液体30を塗布することができる。また、第一の間欠塗布パターンで液体30が塗布される糸状体31の間の糸状体31に、第二の間欠塗布パターンで液体30を塗布することができる。
【0068】
本実施例においては、分配溝5a、5b、5cがシム4のスリット8の
上端部から所定の距離H1、H2だけ離れて設けられている。スリット8は、分配溝5a、5b、5cと直接的に連通していない。分配溝5a、5b、5cとスリット8との連通を確立するのは、導入溝6a、6b、6cである。これにより、一枚のシム4は、ノズル本体2に設けられた分配溝5a、5bとノズル板3に設けられた分配溝5cとを隔離する隔壁としての機能と、液体30の吐出口としての機能とを併せて有することが可能となる。
【0069】
本実施例においては、導入溝6a、6b、6cにより分配溝5a、5b、5cとスリット8とを連通している。これにより、ノズル本体2の分配溝5a、5bから供給される液体30を吐出する吐出口15の間に、ノズル板3の分配溝5cから供給される液体30を吐出する吐出口15を配置することができる。また、ノズル板3の分配溝5cから供給される液体30を吐出する吐出口15の間にノズル本体2の分配溝5a、5bから供給される液体30を吐出する吐出口15を配置することができる。
【0070】
本実施例によれば、ノズル本体2の分配溝5a、5bから供給される液体30を吐出する吐出口15と、ノズル板3の分配溝5cから供給される液体30を吐出する吐出口15を一枚のシム4に形成することができる。すなわち、ノズル本体2の分配溝5a、5bから供給される液体30を吐出する吐出口15と、ノズル板3の分配溝5cから供給される液体30を吐出する吐出口15とを走行方向Xに交差する方向に同一直線状に配置することができる。
【0071】
吐出口15を単一直線状に配置することができるので、被塗物としての糸状体31とノズル1との接触距離および接触状態(接触角度)が全ての塗布条件において同じとなるため、間欠塗布パターンの切れの向上およびムラの少ない均一な塗布が可能となる。
【0072】
本実施例においては、液体30が塗布される被塗物として糸状体31を説明した。糸状体31は、糸、弾性体である糸ゴム、細い紐等であってもよい。また、被塗物は、糸状体31に限定されるものではなく、例えば、子供用おむつ、大人用紙おむつ、生理用ナプキン等の衛生用品の部材、ウェブであってもよい。
【0073】
本実施例によれば、2種類以上の異なる塗布条件が混在する塗布パターンで液体30を複数の糸状体31上へ1つのノズルで塗布することができる。2種類以上の異なる塗布条件が混在する塗布パターンとしては、例えば、間欠塗布と連続塗布、ON−OFFのタイミングの異なる間欠塗布同士、塗布量の異なる塗布、液体の種類が異なる塗布などが混在するものがある。
【0074】
本実施例によれば、複数の異なる塗布条件が混在する塗布パターンであっても、従来技術より少ない部品構成でより安定した塗布が可能である。塗布パターン決定の制約がより少なくなるため、多様な製品に本実施例のノズルを使用することができる。
【0075】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。