特許第6877891号(P6877891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877891
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】巻締め装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/30 20060101AFI20210517BHJP
【FI】
   B21D51/30 D
   B21D51/30 B
   B21D51/30 K
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-106156(P2016-106156)
(22)【出願日】2016年5月27日
(62)【分割の表示】特願2016-8012(P2016-8012)の分割
【原出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-13126(P2017-13126A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年12月18日
【審判番号】不服2020-8506(P2020-8506/J1)
【審判請求日】2020年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-119614(P2015-119614)
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-137411(P2015-137411)
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391035430
【氏名又は名称】東洋製罐グループエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小幡 一元
(72)【発明者】
【氏名】上原 智史
(72)【発明者】
【氏名】手塚 秀典
【合議体】
【審判長】 見目 省二
【審判官】 大山 健
【審判官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−220178(JP,A)
【文献】 特開2007−14982(JP,A)
【文献】 特開昭63−5833(JP,A)
【文献】 特開昭64−18538(JP,A)
【文献】 特開昭62−244537(JP,A)
【文献】 特開2001−259766(JP,A)
【文献】 特開昭62−101331(JP,A)
【文献】 特開平8−10881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーミングターレットと、前記シーミングターレットに複数配置された缶を載置する缶載置ユニットと、複数の前記缶載置ユニットにそれぞれ対向して設けられた複数のチャックユニットと、蓋を缶に巻締めるシーミングユニットを備えた巻締め装置であって、
前記缶載置ユニットが、缶を載置するプレートを弾性的に上方に押圧する押圧機構を有し、
前記シーミングユニットが、シーミングロールの巻締め動作を行う駆動源を有し、
前記シーミングユニットの駆動源が、巻締め動作のタイミングと押し付け量とを独立して制御可能に構成されていることを特徴とする巻締め装置。
【請求項2】
前記チャックユニット及びシーミングユニットが、上下動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の巻締め装置。
【請求項3】
前記チャックユニットとシーミングユニットが、単一のカム機構で上下動するように一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻締め装置。
【請求項4】
前記缶載置ユニットのプレート及びチャックユニットのチャックの自転、前記シーミングユニットのシーミングロールの巻締め動作を、それぞれ独立して制御される駆動源で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の巻締め装置。
【請求項5】
前記巻締め装置が、シーミングターレットに缶を供給する搬入コンベアと、蓋を供給する蓋供給装置及び蓋搬送ターレットからなる蓋供給ユニットを備え、前記搬入コンベア、蓋供給装置及び蓋搬送ターレットが、それぞれ独立して制御される駆動源を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の巻締め装置。
【請求項6】
前記駆動源が、サーボモータであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の巻締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶を載置する缶載置ユニットと、缶載置ユニットに対向して設けられたチャックユニットと、蓋を缶に巻締めるシーミングロールを備えた巻締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料などが充填された缶を載置する缶載置ユニットと、缶載置ユニットに対向して設けられたチャックユニットと、蓋を缶に巻締めるシーミングロールを備えた巻締め装置は公知である。
公知の巻締め装置は、例えば、特許文献1に示すように、缶と蓋の巻締め工程を行うシーミングターレット(1)と、シーミングターレットに巻締め前の缶を供給する搬入コンベア(供給コンベヤ7)と、蓋を供給する蓋供給ユニットの蓋搬送ターレット(供給ターレット3)と、巻締め後の缶をシーミングターレットから搬出するディスチャージターレット(排出ターレット5)と、缶をさらにディスチャージターレットから外部に搬出する搬出コンベア(排出コンベヤ8)を備えている。
【0003】
シーミングターレット、ディスチャージターレット及び蓋搬送ターレットには、それぞれ外周部に缶及び蓋を個別収容して搬送するポケット(嵌合凹部2、4、6)が設けられている。
シーミングターレットの各ポケットには、缶を載置する缶載置ユニット(リフター17)と、缶載置ユニットに対向して設けられたチャックユニット(シーミングチャック装置10)と、蓋を缶に巻締めるシーミングロール(18、19)が設けられている。
このように構成された巻締め装置では、各ターレット、各コンベアの速度及びタイミングをギヤ等で合わせ、各ポケットに配置された缶載置ユニット、チャックユニット及びシーミングユニットの動作を、ギヤ、カム機構等でシーミングターレットの回転と連動させることで、高速に搬送される缶及び蓋を受渡しながら連続的に巻締めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−244537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような公知の巻締め装置では、各動作の調整を行うためには、試験運転、停止、機械調整を繰り返す必要があり、調整作業が複雑で長時間を要する。
また、シーミングターレットの各ポケットに設けられた缶載置ユニット(リフター)、ノックアウトパッドを有する場合は、該パッドはカム機構により、それぞれシーミングターレットの回転に連動して上昇、下降を行う。
シーミングターレットの各ポケットに供給された缶は、缶載置ユニット(リフター)を上昇させてチャックとで缶と蓋を挟持し、蓋の巻締めを行う。
そして、巻締めのためにシーミングターレットの缶載置ユニット(リフター)に、搬入コンベアから缶を供給する際の乗り移りにおける缶の姿勢が不安定となり、缶のガイドやシーミングターレットのポケットに当たって凹みが発生し、その凹みに起因して巻締め時に座屈する。
また、搬入コンベア上では缶は僅かに揺れながら搬送され、缶載置ユニットによって缶を高速で上昇させるとその姿勢が不安定となり偏心し、同様に缶のガイドやシーミングターレットのポケットに当たって凹みが発生する。
【0006】
本発明は、前記した問題点を解決するものであり、調整作業を短時間で容易に行うことが可能で、かつ、搬入コンベアから缶を供給する際の乗り移りにおける缶の姿勢を安定させて、缶のガイドやシーミングターレットのポケットによる凹み、その凹みに起因する巻締め時の座屈を防止することが可能であり、巻締精度を向上させることが可能な巻締め装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る巻締め装置は、シーミングターレットと、前記シーミングターレットに複数配置された缶を載置する缶載置ユニットと、複数の前記缶載置ユニットにそれぞれ対向して設けられた複数のチャックユニットと、蓋を缶に巻締めるシーミングユニットを備えた巻締め装置であって、前記缶載置ユニットが、缶を載置するプレートを弾性的に上方に押圧する押圧機構を有し、前記シーミングユニットが、シーミングロールの巻締め動作を行う駆動源を有し、前記シーミングユニットの駆動源が、巻締め動作のタイミングと押し付け量とを独立して制御可能に構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る巻締め装置によれば、缶載置ユニットが缶を載置するプレートを弾性的に上方に押圧する押圧機構を有し、シーミングユニットの駆動源が、巻締め動作のタイミングと押し付け量とを独立して制御可能に構成されていることにより、巻締め動作の調整を機械調整を行うことなく電気的な制御指令で行うことができるとともに、フィードバック制御も可能となり、調整作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
本請求項2に記載の構成によれば、チャックユニット及びシーミングユニットが、上下動可能に構成されていることで、缶載置ユニットのプレートを自転した状態で昇降させる必要がないため、搬入コンベアから缶載置ユニットに缶が乗り移る際に缶が上下動することなく姿勢が安定し、ガイドやシーミングターレットのポケットによる凹み、その凹みに起因する巻締め時の座屈を防止することができ、巻締め精度の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本請求項3に記載の構成によれば、チャックユニット及びシーミングユニットが単一のカム機構で上下動するように一体に形成されていることにより、回転軸とオイルシール等との摩擦熱による膨張に起因するチャックとシーミングロールの位置の変化を防止し、メンテナンスを容易とすることができる。
本請求項4に記載の構成によれば、缶載置ユニットのプレート及びチャックユニットのチャックの自転、シーミングユニットのシーミングロールの巻締め動作を、それぞれ独立して制御される駆動源で行うことにより、プレート及びチャックの回転の開始や加速のタイミング、巻締め動作のタイミングを、それぞれの駆動源を制御することで、運転を止めることなく個別に最適に調整できるため、調整作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
【0010】
本請求項5に記載の構成によれば、巻締め装置が、シーミングターレットに缶を供給する搬入コンベアと、蓋を供給する蓋供給装置及び蓋搬送ターレットからなる蓋供給ユニットを備え、前記搬入コンベア、蓋供給装置及び蓋搬送ターレットが、それぞれ独立して制御される駆動源を有することにより、缶の寸法、重量、巻締寸法等に応じた動作タイミングを、運転を止めることなく個別に最適に調整できるため、調整作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
本請求項6に記載の構成によれば、駆動源がサーボモータであることにより、調整を電気的な制御指令で行うことができるとともに、フィードバック制御も可能となり、さらに調整作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る巻締め装置の工程説明図。
図2】各工程における駆動モータの説明図。
図3】本発明の一実施形態に係る巻締め装置の缶載置ユニット、チャックユニット及びシーミングユニットの説明図。
図4】本発明の巻締め装置におけるチャックの説明図。
図5】本発明の巻締め装置におけるチャックの他の形態の説明図。
図6】本発明の他の実施形態に係る巻締め装置の工程説明図。
図7】本発明の巻締め装置におけるチャックユニット及びシーミングユニットの他の形態の説明図。
図8】チャックユニットのさらに他の形態の拡大説明図。
図9図8の断面図。
図10】本発明の巻締め装置における缶載置ユニットの押圧機構の他の形態の説明図。
図11】缶載置ユニットの押圧機構のさらに他の形態の拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る巻締め装置100は、図1に示すように、缶Cと蓋Fの巻締め工程を行うシーミングターレット101と、シーミングターレット101に蓋Fが載置された缶Cを供給する搬入コンベア102と、蓋Fを供給する蓋供給装置105及び蓋搬送ターレット106からなる蓋供給ユニット104と、巻締め後の缶CMをシーミングターレット101から搬出するディスチャージターレット107と、缶CMをさらにディスチャージターレット107から外部に搬出する搬出コンベア108を備えている。
そして、シーミングターレット101に、蓋Fが載置された缶Cを搬入コンベア102により供給することによって、後述する缶載置ユニット110のプレート112の昇降を不要とした、チャックユニット120及びシーミングユニット130による巻締めが行われる。
シーミングターレット101、ディスチャージターレット107及び蓋搬送ターレット106には、それぞれ外周部に缶C、CM及び蓋Fを個別収容して搬送するポケットPが設けられており、搬入コンベア102には、缶Cと個別に係合して搬送するアタッチメント103が設けられている。
シーミングターレット101、ディスチャージターレット107及び蓋搬送ターレット106の回転速度、搬入コンベア102のアタッチメント103の移動速度、及び、各ポケットP、アタッチメント103の連動タイミングは、各ターレット、コンベア間で缶C、CM及び蓋Fが円滑に受け渡されるように調整可能に設計されている。
【0013】
缶Cと蓋Fの巻締め工程を行うシーミングターレット101は、図3に示すように、各ポケットPにそれぞれ、缶Cを載置する缶載置ユニット110と、缶載置ユニット110に対向して設けられたチャックユニット120と、蓋Fを缶Cに巻締めるシーミングロール131を有するシーミングユニット130とを備えている。
【0014】
シーミングターレット101は、シーミングターレットの駆動モータ151により回転駆動され、ポケット位置検出エンコーダ155によって、その回転位相からポケット位置を検出可能に構成されている。
また、搬入コンベア102の搬送経路には、搬入コンベア102のアタッチメント103の位置を検出する光電管、近接スィッチ、レーザー等から成るピッチセンサーSが設けられ、このピッチセンサーSの出力により、シーミングターレット101と蓋搬送ターレット106のポケットPに対するアタッチメント103の位置が制御される。
このように検出、制御することにより、調整作業をさらに容易に行うことが可能となるとともに、各ポケットPやアタッチメント103の位置の誤差や、稼働中の位置の変動にも自動的に検出して調整することが可能となり、巻締め精度を向上させ、巻締め処理の高速化を図ることが可能となる。蓋供給装置105、蓋搬送ターレット106、搬入コンベア102は、図2に示すように、それぞれ、蓋供給装置105の駆動モータ153、蓋搬送ターレット106の駆動モータ152、搬入コンベア102の駆動モータ154により駆動される。
【0015】
それぞれのモータは、サーボモータが採用され、速度、タイミングを個別に調整可能に構成されるとともに、ポケット位置検出エンコーダ155の出力に応じてシーミングターレット101の速度、タイミングの変動にも追従可能に構成されている。
このように、蓋供給装置105、蓋搬送ターレット106、搬入コンベア102が、それぞれ独立して制御される駆動源で駆動されることにより、缶の寸法、重量、巻締寸法等に応じた動作タイミングを、運転を止めることなく個別に最適に調整でき、調整作業を短時間で容易に行うことができる。
また、駆動源がサーボモータであることにより、調整を電気的な制御指令で行うことができるとともに、フィードバック制御も可能となり、さらに調整作業を短時間で容易に行うことができる。
【0016】
なお、ディスチャージターレット107、搬出コンベア108は巻締め後の缶CMのみの受渡しを行い、ある程度の速度、タイミングのずれは許容されるため、シーミングターレット101の駆動モータ151から機械的に伝動機構を介して駆動する等、適宜の駆動源を用いればよい。
また、精度、速度の面で、速度やタイミングを容易に調整ができるような設計であれば、蓋供給装置105、蓋搬送ターレット106、搬入コンベア102についても、シーミングターレット101の駆動モータ151から機械的に伝動機構を介して駆動する等、適宜の駆動源を用いればよい。
【0017】
缶載置ユニット110は、缶Cを載置するプレート112と、プレート112をスプリング、圧縮エア等の弾性的に上方に押圧する押圧機構111を有している。
また、缶載置ユニット110は、前記押圧機構111によるプレート112の上下動以外には上下動しないように構成されている。
【0018】
チャックユニット120は、図3に示すように、上下動カム123と上下動カムフォロア124からなるチャックユニット120の上下動機構122によって上下動する。
チャックユニット120の上下動カム123は固定的に設けられており、シーミングターレット101が回転することで、チャックユニット120の上下動カムフォロア124がカムプロフィールに倣って移動し、チャックユニット120のチャック121が位置に応じて上下動する。
また、チャックユニット120と、後述するチャック121の駆動モータ156にそれぞれ取り付けるギヤの幅(厚み)を適宜設定して、チャックユニット120の上下動における駆動モータ156によるチャック121の回転の制御が行われる。
なお、前記した回転の制御は、適宜手段を採用、或いは付加すれば良い。
【0019】
一方、シーミングユニット130は、同様に図3に示すように、上下動カム134と上下動カムフォロア135からなるシーミングユニット130の上下動機構133によってシーミングロール131が上下動する。
シーミングユニット130の上下動カム134は固定的に設けられており、シーミングターレット101が回転することで、シーミングユニット130の上下動カムフォロア135がカムプロフィールに倣って移動し、シーミングユニット130が位置に応じて上下動する。
また、シーミングユニット130は、ロール揺動軸132の上方にスプラインKを備え、ロール揺動軸132の伸縮と回転を可能とし、前記した上下動機構133によるシーミングロール131の上下動と、後述するロール揺動軸132の駆動モータ158によるシーミングロール131の巻締め動作、押し付けが行われる。
なお、シーミングロール131の上下動、巻締め動作、押し付けを可能とする手段は、ロール揺動軸132のスプラインK等には限定されず、適宜手段を採用、付加すれば良い。
【0020】
このように、缶載置ユニット110が缶を載置するプレート112を弾性的に上方に押圧する押圧機構111を有し、チャックユニット120及びシーミングユニット130を、上下動可能とすることで、缶載置ユニット110のプレート112を自転した状態で昇降させる必要がないため、搬入コンベア102から缶載置ユニット110に缶が乗り移る際に缶Cが上下動することなく姿勢が安定し、ガイドやシーミングターレット101のポケットPによる凹み、その凹みに起因する巻締め時の座屈を防止することができ、巻締め精度の向上を図ることが可能となる。
【0021】
また、缶載置ユニット110のプレート112とチャックユニット120のチャック121の自転の駆動源は、図3に示すように、それぞれ独立して制御されるサーボモータで構成された缶載置ユニット110の駆動モータ157、チャック121の駆動モータ156を駆動源として駆動される。
このような駆動により、プレート112及びチャック121の回転の開始や加速のタイミングをそれぞれ独立して制御でき、操作盤等により運転を止めることなく個別に最適に調整できるため、調整作業を短時間で容易に行うことが可能となるとともに、運転中の変動にも対処することが可能となる。
また、プレート112及びチャック121の回転の開始や加速のタイミングを制御して、缶に載置された蓋に、自転するチャック121を嵌合させる際に、プレート112及びチャック121の自転を停止、低速状態に制御し、回転中心のずれを低減してガイド部材等との接触による缶の凹み、傷付き等を防止し、また、チャック121による蓋のセンターリング性能を向上させることができる。
【0022】
一方、シーミングユニット130のロール揺動軸132の駆動源は、独立して制御されるサーボモータで構成されたロール揺動軸132の駆動モータ158を駆動源とすることで、シーミングロール131の巻締め動作のタイミングや押し付け量を独立して制御でき、操作盤等により運転を止めることなく個別に最適に調整できるため、調整作業を短時間で容易に行うことが可能となるとともに、運転中の変動にも対処することが可能となる。
【0023】
なお、前述したように、プレート112とチャック121の自転、ロール揺動軸132の駆動源をサーボモータとすることにより、調整を電気的な制御指令で行うことができるとともに、フィードバック制御も可能となり、さらに調整作業を短時間で容易に行うことが可能となる。
【0024】
チャックユニット120は、図4に示すように、蓋Fを押さえるチャック121を有しており、チャック121が下降してチャック外周部126が、シーミングターレット101に供給される缶Cに載置された蓋Fに嵌合することで、蓋Fのセンターリングを行ない、缶載置ユニット110のプレート112の昇降を不要とした、チャックユニット120及びシーミングユニット130による巻締めが行われる。
このように、チャック121が缶Cに載置された蓋Fのセンターリングを行うとともに蓋Fを押さえることにより、蓋Fの位置補正が容易となり、偏荷重が加わることなく缶の座屈が防止されるとともに、缶の薄肉化を図ることが可能となる。
【0025】
一方、図5に示すチャック121他の形態は、チャック121に負圧吸入孔125を形成し、チャック121で蓋Fを吸着してセンターリングを行う。
図6に示すように、通常、搬入コンベア102、蓋搬送ターレット106の速度、タイミングは、缶Cと蓋Fの中心が合流点Gで一致するように、シーミングターレット101の速度、タイミングに合わせて調整されている。
本形態では、蓋Fをチャック121に負圧吸引する位置Gbが、通常の合流点Gよりもシーミングターレット101の上流側となるよう、蓋搬送ターレット106が配置されている。そして、上流側の蓋Fをチャック121に負圧吸引する位置Gbにおいて、蓋Fを駆動モータ(サーボモータ)156により回転が制御されたチャック121に負圧吸引して、蓋のセンターリングが行われる。
蓋Fをチャック121に吸着後、下降させて蓋Fを缶Cに載置することにより、缶載置ユニット110のプレート112の昇降を不要とした、チャックユニット120及びシーミングユニット130による巻締めが行われる。
このように、チャック121で蓋Fを負圧吸引してセンターリングを行うことで、チャック外周部126を蓋Fに嵌合させ、予めチャック121と蓋Fを吸着させて嵌合力を増加させることにより、スリップによる巻締め不良が防止される。このため、缶Cに付与する軸荷重の低減が可能となり、缶Cの座屈が防止されるとともに薄肉化を図ることが可能となる。
また、缶Cに蓋Fを載置する際に、チャック121による吸着によって、蓋Fが確実にセンターリングされているため、偏荷重による座屈が防止される。
【0026】
以上のように構成された巻締め装置100の動作について説明する。
蓋Fを巻締め前の缶Cは、搬入コンベア102の各アタッチメント103に係合して搬送され、シーミングターレット101に向かう。
一方、蓋Fは、蓋供給装置105から1枚ずつ切り出されて蓋搬送ターレット106の各ポケットPに受け渡され、蓋搬送ターレット106の回転により、缶Cの上方に向かう(図1参照)。
搬入コンベア102、蓋搬送ターレット106の速度、タイミングは、缶Cと蓋Fの中心が搬入コンベア102上の所定の位置で一致するように、シーミングターレット101の速度、タイミングに合わせて調整されており、所定の位置で蓋Fが缶Cに向かって落下し、搬入コンベア102上の缶Cに蓋Fが載置される。
【0027】
その後、蓋Fが載置された缶Cは、搬入コンベア102からシーミングターレット101に受け渡され、缶載置ユニット110の駆動モータ(サーボモータ)157によって、回転が制御された缶載置ユニット110のプレート112上に載置される。
次いで、駆動モータ(サーボモータ)156によって、回転が制御されたチャックユニット120を、上下動機構122によって下降させ、チャックユニット120のチャック121を蓋Fに嵌合する。
蓋Fが嵌合した缶Cは、缶載置ユニット110の押圧機構111の押圧力に抗して、巻締めに必要な一定の軸荷重で、プレート112とチャック121に挟持されるとともに、チャック121による蓋Fのセンターリングが行われ、同時に嵌合している缶Cもセンターリングが行われる。
なお、前述したように、チャック121による蓋Fのセンターリング、缶Cへの蓋Fの載置は、チャック121に吸着手段の負圧吸入孔125を形成し、蓋Fを吸着してセンターリングを行い、吸着後、チャック121を下降させて缶Cへの蓋Fの載置を行っても良い。
そして、シーミングターレット101がさらに回転し、挟持された蓋Fと缶Cが図1に示す巻締め区間Eに達する前に、巻締めに必要な回転数まで加速される。
【0028】
一方、シーミングユニット130を上下動機構133によって下降させて、シーミングロール131を蓋Fが嵌合した缶Cの巻締め部位に位置させ、巻締め区間Eを通過中に、シーミングユニット130のロール揺動軸132を駆動モータ(サーボモータ)158によって作動させ、シーミングロール131を側方から押し付けて巻締めが行われる。
図では、シーミングロール131が1つしか記載していないが、実際はロール揺動軸132に1次巻締め用、2次巻締め用の2つのシーミングロール131が備えられており、巻締め区間Eを通過中に順次押し付けて巻締めが完了する。
【0029】
巻締めが完了した缶CMは、シーミングターレット101からディスチャージターレット107に受け渡され、さらに、ディスチャージターレット107から搬出コンベア108に受け渡されて、検査、梱包等の次工程に搬出される。
【0030】
図7は、本発明の巻締め装置におけるチャックユニット及びシーミングユニットの他の形態を示し、チャックユニット120bとシーミングユニット130bが、ハウジング136で一体に構成され、上下動カム144及び上下動カムフォロア145からなるチャックユニット120bとシーミングユニット130bの上下動機構143で、チャック121とシーミングロール131を一体として上下動するように構成したものである。
このような構成とすることにより、チャックユニット120bとシーミングユニット130bの上下位置関係の精度を向上することができるとともに、熱変形等によるチャックユニット120bとシーミングユニット130bの上下位置ずれを防止して巻締め精度を向上し、処理の高速化を図ることができる。
【0031】
図8図9は、本発明の巻締め装置におけるチャックユニットのさらに他の形態を示し、図に示すように、チャックユニット120cの最下端のオイルシール129cの上部にチャック121cの回転に伴って回転する羽根ポンプ127cを設け、羽根ポンプ127cの回転によって潤滑油を排出チューブ128cから排出するものである。
このことで、オイルシール129c上に貯留する潤滑油を最小限とし、チャック121cの回転によるオイルシール129cからの潤滑油の漏れ、汚損を防止することができる。
【0032】
また、図10は、本発明の巻締め装置における缶載置ユニット110の押圧機構111の他の形態を示し、図に示すように、圧縮エア等の圧力流体によりプレート112を弾性的に上方に押圧する機構を用いてもよい。
この押圧機構111bは、シリンダ空間113の上方にプレート112を固定したピストン114が挿入されて構成されており、圧縮エア等の圧力流体がシリンダ空間113内に供給されることで、プレート112を弾性的に上方に押圧する。
押圧機構111bを用いれば、全てのポケットPで一定の押付力が得られるとともに、プレート112の押圧下降量にかかわらず、一定の押付力が得られるため、調整が極めて容易であり、運転中に変動することも防止できる。
また、この押圧機構111bを用いた場合には、巻締め中に缶Cの高さが微小に減少する際に、前述したチャックユニット120の上下動カム123、シーミングユニット130の上下動カム134のカムプロフィールと、実際の缶高減少量の誤差を押圧機構111bで吸収しても軸荷重が変動せず、巻締め精度を向上させ、処理の高速化を図ることが可能となる。
【0033】
図11は、さらに他の形態の押圧機構を有する缶載置ユニット110cを示し、押圧機構111cは、図に示すように、ダイヤフラム118cによって、プレート112c昇降させるピストン114cをシリンダ空間113cに対して気密に保つように構成されている。
このことで、ピストン114cの昇降の際のシール抵抗がなく、円滑にプレート112cを昇降させることができる。
【符号の説明】
【0034】
100 ・・・ 巻締め装置
101 ・・・ シーミングターレット
102 ・・・ 搬入コンベア
103 ・・・ アタッチメント
105 ・・・ 蓋供給装置
106 ・・・ 蓋搬送ターレット
107 ・・・ ディスチャージターレット
108 ・・・ 搬出コンベア
110 ・・・ 缶載置ユニット
111 ・・・ 押圧機構
112 ・・・ プレート
113 ・・・ シリンダ空間
114 ・・・ ピストン
118 ・・・ ダイヤフラム
120 ・・・ チャックユニット
121 ・・・ チャック
122 ・・・ チャックユニットの上下動機構
123 ・・・ チャックユニットの上下動カム
124 ・・・ チャックユニットの上下動カムフォロア
125 ・・・ 負圧吸入孔(蓋吸着手段)
126 ・・・ チャック外周部
127 ・・・ 羽根ポンプ
128 ・・・ 排出チューブ
129 ・・・ オイルシール
130 ・・・ シーミングユニット
131 ・・・ シーミングロール
132 ・・・ ロール揺動軸
133 ・・・ シーミングユニットの上下動機構
134 ・・・ シーミングユニットの上下動カム
135 ・・・ シーミングユニットの上下動カムフォロア
136 ・・・ チャック・ロール一体ハウジング
156 ・・・ チャックの駆動モータ(駆動源)
157 ・・・ 缶載置ユニットの駆動モータ(駆動源)
158 ・・・ ロール揺動軸の駆動モータ(駆動源)
C ・・・ 缶(蓋巻締前)
F ・・・ 蓋
CM ・・・ 缶(蓋巻締後)
P ・・・ ポケット
K ・・・ スプライン
E ・・・ 巻締区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11