(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6877892
(24)【登録日】2021年5月6日
(45)【発行日】2021年5月26日
(54)【発明の名称】流体材料を噴射するための噴射カートリッジ、及び、その関連方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20210517BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20210517BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20210517BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D1/26 Z
【請求項の数】22
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-112440(P2016-112440)
(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公開番号】特開2017-1025(P2017-1025A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】14/730,522
(32)【優先日】2015年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン アール デ ジャーディンス
(72)【発明者】
【氏名】アラン アール ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド ウィルバーン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ ライト
【審査官】
團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0161477(US,A1)
【文献】
特開2015−080768(JP,A)
【文献】
特開2013−046906(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0048759(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102950081(CN,A)
【文献】
特開平08−238447(JP,A)
【文献】
米国特許第05598974(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C 5/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体材料を噴射するための噴射カートリッジであって、
流体材料を受容するようになっている外側本体部と、
前記外側本体部内に受容されるように構成された流れ挿入部と、
前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に規定され、その長手方向軸線に沿って延びると共に当該長手方向軸線回りに周方向に沿って延びる流路と、
を備え、
前記外側本体部は、ソケットを規定する内側面と、上面と、その長手方向軸線回りに周方向に延びる外側面と、を含んでおり、
前記流れ挿入部は、軸部と、前記軸部から前記長手方向軸線に沿って区切られたヘッド部と、を有しており、
前記ヘッド部は、前記長手方向軸線回りに周方向に延びる外側面と、底面と、を規定しており、
前記軸部は、前記ヘッド部の前記底面が前記外側本体部の前記上面に接触するように、前記外側本体部の前記ソケット内に受容されるように構成されており、
前記外側本体部は、加熱要素から熱を受容するようになっており、且つ、当該熱を前記流路を通流する流体材料に伝達するようになっている
ことを特徴とする噴射カートリッジ。
【請求項2】
前記外側本体部及び前記流れ挿入部の少なくとも一方は、前記流路を少なくとも部分的に規定する溝を含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項3】
前記流れ挿入部は、円筒部を含んでおり、
前記流路は、前記円筒部と前記外側本体部との間に規定された流路である
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項4】
前記外側本体部は、前記軸部を解除可能に受容するソケットを含んでおり、
前記流路は、前記外側本体部と前記軸部との間に規定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項5】
前記流れ挿入部と前記外側本体部との間に確立された解除可能なシール
を更に備え、
当該解除可能なシールは、前記流れ挿入部及び前記外側本体部と摩擦係合して、流体材料を前記流路内に収容するようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項6】
前記加熱要素は、前記本体部を周方向に取り囲んでおり、
前記本体部は、前記加熱要素から熱を受容するために当該加熱要素に直接に接触しており、
前記加熱要素は、前記流路を通流する流体材料の目標温度を達成するべく制御可能な電源供給部によってエネルギ供給されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項7】
前記外側本体部は、前記加熱要素から熱を受容するために当該加熱要素に直接に接触している環状肩部を含んでいる
ことを特徴とする請求項6に記載の噴射カートリッジ。
【請求項8】
前記外側本体部及び前記流れ挿入部は、前記加熱要素によって軸方向の係合状態に維持されるようになっており、
当該噴射カートリッジは、前記加熱要素を介して噴射ディスペンサのアクチュエータに解除可能に結合可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の噴射カートリッジ。
【請求項9】
アクチュエータと当該アクチュエータに作動可能に結合されノズルを有する噴射カートリッジとを含む噴射ディスペンサによって流体材料を噴射する方法であって、
前記噴射カートリッジは、外側本体部と、前記外側本体部内に受容されるように構成された流れ挿入部と、を有しており、
前記外側本体部は、ソケットを規定する内側面と、上面と、その長手方向軸線回りに周方向に延びる外側面と、を含んでおり、
前記流れ挿入部は、軸部と、前記軸部から前記長手方向軸線に沿って区切られたヘッド部と、を有しており、
前記ヘッド部は、前記長手方向軸線回りに周方向に延びる外側面と、底面と、を規定しており、
前記軸部は、前記ヘッド部の前記底面が前記外側本体部の前記上面に接触するように、前記外側本体部の前記ソケット内に受容されるように構成されており、
当該方法は、
前記噴射カートリッジの前記外側本体部内に流体材料を受容する工程と、
前記噴射カートリッジの長手方向軸線に沿って、且つ、当該長手方向軸線回りの周方向に沿って、前記ノズルに向かう方向で前記流体材料が案内されるように、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に規定された流路を介して前記流体材料を案内する工程と、
前記噴射カートリッジを通して案内される前記流体材料を目標温度にまで加熱する工程と、
前記流体材料が前記ノズルに入る時に前記目標温度を維持する工程と、
前記加熱された流体材料を前記ノズルから噴射する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記噴射カートリッジを通して前記流体材料を案内する工程は、螺旋状流路に沿って前記流体材料を案内する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記螺旋状流路に沿って前記流体材料を案内する工程は、前記噴射カートリッジの長手方向軸線回りに360°前記流体材料を案内する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記噴射カートリッジは、外側本体部と、当該外側本体部内に受容された流れ挿入部と、を含んでおり、
前記噴射カートリッジを通して前記流体材料を案内する工程は、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に規定された流路を通して前記流体材料を案内する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記流路を通して前記流体材料を案内する工程は、前記流れ挿入部の少なくとも一部の周りに周方向に前記流体材料を案内する工程を含んでいる
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記噴射カートリッジを通して案内される前記流体材料を加熱する工程は、
前記本体部を加熱要素と直接に接触させる工程と、
前記加熱要素に電源供給部によってエネルギ供給する工程と、
を含み、
前記流体材料の前記目標温度を維持する工程は、
前記電源供給部を選択的に制御する工程
を含んでいる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記流体材料の前記目標温度を維持する工程は、
検出された温度に応じて、前記電源供給部を選択的に制御する工程
を含んでいる
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
流体材料を噴射するための噴射カートリッジであって、
上面と、その内部に規定されたソケットと、を有する外側本体部と、
ヘッド部と、前記ヘッド部から区切られた軸部と、を有する流れ挿入部と、
前記外側本体部と前記流れ挿入部の前記軸部との間に規定され、その長手方向軸線に沿って延びると共に当該長手方向軸線回りに周方向に沿って延びる流路と、
前記外側本体部と前記流れ挿入部との間の摩擦接合部と、
を備え、
前記軸部は、前記外側本体部の前記ソケット内に受容されるようになっており、
前記ヘッド部は、前記軸部が前記外側本体部の前記ソケット内に受容される時に前記外側本体部の前記上面に接触するように構成された底面を規定しており、当該ヘッド部の前記底面は前記外側本体部の前記上面に接触するようになっており、
前記摩擦接合部は、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に設けられた解除可能なシール要素によって促進されており、
前記摩擦接合部は、独立の工具の使用無しで、前記流路を露出するべく係合解除されるようになっており、
前記外側本体部は、加熱要素から熱を受容するようになっており、且つ、前記流路を通流する前記流体材料に前記熱を伝達するようになっている
ことを特徴とする噴射カートリッジ。
【請求項17】
前記流路は、当該噴射カートリッジの長手方向軸線に沿って延びている
ことを特徴とする請求項16に記載の噴射カートリッジ。
【請求項18】
前記加熱要素は、前記外側本体部に直接に接触して、前記外側本体部を前記流れ挿入部との軸方向の係合状態に維持しており、
前記加熱要素は、クランプによって、噴射ディスペンサのアクチュエータに解除可能に結合可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の噴射カートリッジ。
【請求項19】
前記外側本体部は、当該外側本体部と前記流れ挿入部の前記軸部との間の空間内に前記流体材料を受容するように構成されており、
前記流体材料は、前記外側本体部に規定された挿入ソケットを介して受容される
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項20】
前記外側本体部の前記外側面は、前記長手方向軸線に沿って、前記流れ挿入部の前記ヘッド部の前記外側面と整列するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項21】
前記流れ挿入部は、前記外側本体部に対して、回転によって固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【請求項22】
前記流れ挿入部は、前記外側本体部に対して、摩擦によって固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の噴射カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ディスペンサに関しており、特には、流体材料を噴射するための流体ディスペンサに関している。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂、シリコン、及び、他の接着剤のような流体材料を噴射するための液体ディスペンサが知られている。噴射ディスペンサは、一般に、バルブ部材をバルブシートに急速に衝突させ、少量の流体材料または流体材料の液滴を当該ディスペンサのノズルから排出する区別可能な高圧パルスを生成することで、基材に対して少量の流体材料をディスペンス(投与)するよう作動する。少量の流体材料または流体材料の液滴は、ノズルから空気中を浮遊して、流体材料が塗布される表面ないし基材に衝突する。噴射ディスペンサと共に用いられる公知の噴射カートリッジは、バルブ部材とノズルとを収容するカートリッジ本体部を有している。当該カートリッジ本体部は、噴射ディスペンサのアクチュエータに結合するようになっている。
【0003】
高温流体材料を噴射するという応用においては、加熱要素がカートリッジ本体部に結合される。当該加熱要素は、流体材料が噴射カートリッジの内部流路を通流する時に、当該流体材料に熱を伝達する。流体材料の粘度は、温度に依存し得る。従って、流体材料の粘度は、特に低粘度の流体材料が望まれるという応用において、流体材料が噴射カートリッジを通流する時に当該流体材料に熱を伝達することによって、制御され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
均一な流体の流れ特性とディスペンス重量の再現性とを達成するために、流体材料が噴射カートリッジを通って噴射用ノズルに流入するまで、流体材料の均一で一定の温度を維持することが望まれる。しかしながら、公知の加熱式噴射カートリッジは、流体材料が噴射カートリッジを通って噴射用ノズルに流入するまで、流体材料の均一な温度を維持することに成功していない。特に、流体材料は、しばしば、噴射カートリッジ内で不十分な時間の長さだけ熱に曝されて、それがノズルに達する時までに温度降下(すなわち、部分的な冷却)を経験する。結果として、ノズルに向かって流れる流体材料は、一定でない温度及び粘度を経験し、それによって不正確なディスペンシング性能に帰結してしまっている。
【0005】
公知の加熱式の噴射カートリッジの多くは、更に、使用と使用の間の検査及び洗浄のために内部流路を完全に曝すように分解されて後で再組み立てされるようには設計されていない、という欠点がある。あるいは、分解可能な公知の加熱式噴射カートリッジは、しばしば、1以上の機械的な締結具を係合解除するためにレンチやスクリュードライバのような外部の工具の補助を要求する。従って、十分な検査及び洗浄のための公知の噴射カートリッジの内部流路の露出が、不可能ではないとしても、困難である。この点に関して、噴射カートリッジ内の隠れ(ブラインド)流路及び「デッドゾーン」は、使用中に不所望に流体を捕捉(トラップ)してしまって流体の流れを妨げ得るのであるが、適切な検査及び洗浄のために十分にアクセスできないことがある。
【0006】
従って、噴射ディスペンサのための公知の噴射カートリッジに対する改良要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、流体材料を噴射するための噴射カートリッジは、流体材料を受容するようになっている本体部と、前記本体部内に規定され、その長手方向軸線に沿って延びる流路と、を備えている。前記流路の少なくとも一部が、前記長手方向軸線に対して斜めに延在している。付加的に、前記本体部は、加熱要素から熱を受容するようになっており、且つ、当該熱を前記流路を通流する流体材料に伝達するようになっている。
【0008】
別の実施形態によれば、ある方法が、アクチュエータと当該アクチュエータに作動可能に結合されノズルを有する噴射カートリッジとを含む噴射ディスペンサによって流体材料を噴射するために提供される。本方法は、前記噴射カートリッジ内に流体材料を受容する工程と、前記噴射カートリッジを通してその長手方向軸線に沿って、当該長手方向軸線に対して斜めに、前記ノズルに向かう方向で、前記流体材料を案内する工程と、を備える。本方法は、更に、前記噴射カートリッジを通して案内される前記流体材料を目標温度にまで加熱する工程と、前記流体材料が前記ノズルに入る時に前記目標温度を維持する工程と、を備える。本方法は、更に、前記加熱された流体材料を前記ノズルから噴射する工程を備える。
【0009】
別の実施形態によれば、流体材料を噴射するための噴射カートリッジは、外側本体部と、前記外側本体部内に受容された流れ挿入部と、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に規定された流路と、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間の摩擦接合部と、を備えている。前記摩擦接合部は、前記外側本体部と前記流れ挿入部との間に設けられた解除可能なシール要素によって促進されており、独立の工具の使用無しで、前記流路を露出するべく係合解除されるようになっている。付加的に、前記外側本体部は、加熱要素から熱を受容するようになっており、且つ、前記流路を通流する前記流体材料に前記熱を伝達するようになっている。
【0010】
本発明の様々な付加的な特徴及び利点が、添付の図面と関連して図示の実施形態の以下の詳細な説明を参酌することで、当業者にはより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による噴射カートリッジを含む噴射ディスペンサの斜視図である。
【0012】
【
図2】
図2は、カートリッジ本体部及び流れ挿入部を含む、
図1の噴射カートリッジの前方斜視図である。
【0013】
【
図3】
図3は、流れ挿入部がカートリッジ本体部から取り外された状態を示す、
図2と同様の前方斜視図である。
【0014】
【
図4】
図4は、流れ挿入部がカートリッジ本体部から取り外された状態を示し、且つ、流れ挿入部の延長部の断面を示す、
図1の噴射カートリッジの後方斜視図である。
【0015】
【
図5】
図5は、流体材料の噴射カートリッジを通る流れを示す、噴射ディスペンサのアクチュエータに結合された
図1の噴射カートリッジの5−5線断面図である。
【0016】
【
図6】
図6は、流体材料がノズルを通って噴射される状態を示す、
図5と同様の断面図である。
【0017】
【
図7】
図7は、
図1の噴射カートリッジを通して案内される流体材料の、主要流路を含む、流路の概略図である。
【0018】
【
図8】
図8は、噴射カートリッジを噴射ディスペンサのアクチュエータに結合するクランプの詳細を示す、
図1の噴射カートリッジの8−8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による噴射ディスペンサ10が図示されている。当該噴射ディスペンサ10は、アクチュエータ12と、当該アクチュエータ12に作動可能に結合された噴射カートリッジ14と、流体供給管16を介して噴射カートリッジ14に流体材料を供給するようになっている流体貯蔵部15と、を備えている。流体材料は、温度依存性のある粘度を有する、エポキシ樹脂やシリコンや他の接着剤のような、熱応答性の高い粘性流体材料を含み得る。噴射ディスペンサ10は、更に、一点鎖線で示されている加熱要素18を含んでいる。当該加熱要素18は、制御可能な電源供給部19によって電力供給され、噴射カートリッジ14及び当該噴射カートリッジ14を通流する流体材料を加熱して、ディスペンス中の流体材料の最適な温度及び粘度を維持する。以下により詳しく説明されるように、アクチュエータ12は、噴射カートリッジ14から基材上に流体材料を「噴射」または「噴出」するべく噴射カートリッジ14内でバルブ部材を起動するように作動可能である。
【0020】
図2乃至
図4を参照すると、噴射カートリッジ14の詳細な構成図が図示されている。全体として、噴射カートリッジ14は、外側カートリッジ本体部20と、当該外側カートリッジ本体部20内に取り外し可能に受容された流れ挿入部22と、を有しており、当該流れ挿入部22及び外側カートリッジ本体部20がそれらの間に流路を規定している。これは、
図5乃至
図7を用いて後に詳述される。外側カートリッジ本体部20及び流れ挿入部22は、例えば303ステンレススチールのような、任意の好適な耐熱材料から形成され得る。
【0021】
流れ挿入部22は、挿入ヘッド24と、当該挿入ヘッド24から軸方向に延びる挿入軸26と、を有している。挿入ヘッド24は、平坦な上面28と、当該上面28を貫いて延びるアクチュエータソケット30と、を含んでいる。アクチュエータソケット30は、
図5及び
図6に最も良く示されているように、駆動ピン34を有するアクチュエータ12の駆動ピストン32を受容するようなサイズ及び形状となっている。アクチュエータソケット30は、組立中に噴射カートリッジ14をアクチュエータ12に整列する際のアシストのために、その上方縁において引込用の面取部36を含み得る。挿入ヘッド24は、更に、一対の直径方向に対向する平坦面40を有し、当該挿入ヘッド24の延長部44を規定するべく径方向外側に延びる外形側方面38を含んでいる。延長部44は、一端でアクチュエータソケット30に開口し反対側の端で当該延長部44の外側面48に開口する1以上の径方向に延びる流体漏洩通路46を含み得る。
【0022】
挿入軸26は、
図5及び
図6に最も良く示されているように、挿入ヘッド24の下方面50から軸方向に延びていて、円筒状軸部52とテーパ端部54とを含んでいる。円筒状軸部52は、少なくとも部分的に主要流路58を規定するべく円筒状軸部52の周縁回りに周方向に延びる流路溝56を含んでいる。以下に説明されるように、流路溝56及び結果としての主要流路58は、例えば、螺旋形状である。例えばOリングのような上方シール要素60が、挿入ヘッド24の下方面50と流路溝56との間に位置決めされたシール溝内に受容され得る。
【0023】
図3及び
図4に示されるように、流路溝56は、入口端62を含んでいる。入口端62は、角丸めされたり、面取りされたりしてよい。流路溝56は、また、流れ挿入部22の長手方向軸線に沿って、挿入軸26のテーパ端部54に近接する出口端63に向かって螺旋状に延び得る。図示のように、流れ挿入部22の長手方向軸線は、外側カートリッジ本体部20の長手方向軸線と同軸に整列されており、それによって、噴射カートリッジ14の単一の共通の長手方向軸線を規定している。流路溝56は、流れ挿入部22の長手方向軸線回りに少なくとも1回りの1回転(すなわち360°)だけ延び得る。別の実施形態では、流路溝56が、長手方向軸線回りに、1回転以上(すなわち360°以上)、例えば複数回転だけ延び得るし、あるいは、1回転より少なく(すなわち360°未満)延び得る。付加的に、流路溝56は、流れ挿入部22上ではなく、あるいは、流れ挿入部22上に形成されるものと組み合わせて、外側カートリッジ本体部20の内側面76、78に形成され得る。
【0024】
螺旋状の流路溝56は、当該螺旋状の溝56の上方部に沿って略一定である軸方向幅で形成され得て、当該幅は、流路溝56が出口端63に近づくにつれて先細状となる。付加的に、流路溝56は、当該流路溝56の全体長さに沿って略一定である径方向幅で形成され得る。螺旋状の流路溝56は、任意の所望の応用において最適な流れ特性を達成するように、任意の好適な軸方向幅、径方向深さ、ピッチ、螺旋回転数、で形成され得る。一実施形態では、流路溝56は、約3.5mmのピッチで形成され得る。
【0025】
流路溝56は、図示の実施形態との関連で、螺旋(ヘリカル)形状で図示されて説明されているが、流路溝56の様々な代替形状が提供され得ることが理解される。例えば、流路溝56は、流れ挿入部22の長手方向軸線に沿って(例えば平行に)且つその回りに周方向に延びる任意の好適な渦巻(スパイラル)形状で形成され得る。そのような渦巻形状の1回転以上の回転が、流れ挿入部22の長手方向軸線に対する1以上の角度を規定し得て、当該渦巻状は、螺旋状とは異なり、当該長手方向軸線回りに渦巻の1以上の直径を規定し得る。この点に関して、ここで用いられる「渦巻(状)」という用語は、流れ挿入部22の長手方向軸線に平行に且つその回りに周方向に延びる任意の3次元路を包含する。更に、「渦巻」路は、当該長手方向軸線に対して一定の角度を規定する流路の形状に限定されないし、当該長手方向軸線回りに一定ないし不均一に変化する直径を規定する流路の形状にも限定されない。
【0026】
より一般的には、流路溝56は、螺旋状の流路溝56によって図示されているように、少なくとも一部が長手方向軸線に対して斜めに延びるような、流れ挿入部22の長手方向軸線に沿って延びる任意の経路を規定するような形状であってよい。換言すれば、長手方向軸線に対して斜めに延びる少なくとも一部を有することは、長手方向軸線から離れた面内で(例えば円筒状軸部52の外面に接する面内で)、長手方向軸線を横切って(ねじれの関係を形成して)長手方向軸線に対して平行でも垂直でもない方向路を規定する流路溝56の少なくとも一部を有することである。例えば、螺旋状の流路溝56の各回転は、
図3及び
図5の側面図で見て、流れ挿入部22の長手方向軸線に対して斜めに角度付けられていて、流路溝56は長手方向軸線に沿って連続的に前進する一方で、同時に長手方向軸線を横切っている(ねじれの関係を形成している)。斜めの回転は、流れ挿入部22の長手方向軸線に対して純粋な平行及び/または垂直な方向に制限されない。
【0027】
前述の説明で理解されるように、流路溝56は、螺旋状でも渦巻状でもない、流れ挿入部22の長手方向軸線に沿って延び、且つ、少なくとも一部が長手方向軸線に対して斜めに延びるという、様々な代替形状で形成され得る。例えば、図示されていないが、流路溝56は、互いにから軸方向に離れた1以上の斜めに延びる区分を規定するような、長手方向軸線を横切って前後に波打つジグザグ状のパターンを規定し得る。付加的に、流路溝56は、全体として、あるいは、部分的に、流れ挿入部22の長手方向軸線回りに周回するように(すなわち、少なくとも360°)、あるいは、流れ挿入部22の長手方向軸線回りに部分周回するように(すなわち、360°未満)、延び得る。
【0028】
外側カートリッジ本体部20は、熱伝達シェルの形態で、平坦な上面64と、当該上面64を貫いて延びる挿入部ソケット66と、を含んでおり、流れ挿入部22の挿入軸26を受容するサイズ及び形状となっている。外側カートリッジ本体部20は、一対の直径方向に対向する平坦面70を有し、当該外側カートリッジ本体部20の延長部72を規定するべく径方向外側に延びる外形側方面68を含んでいる。
図2に示すように、流れ挿入部22と外側カートリッジ本体部20とが互いに結合される時、流れ挿入部22の側方面38及び延長部44は、外側カートリッジ本体部20の側方面68及び延長部72と実質的に整列する。流体コネクタ74が、後述されるように、流体貯蔵部15からの流体材料の流れを受容するべく、延長部72に結合され得る。
【0029】
図3乃至
図6を参照して、噴射カートリッジ14の付加的な構造上の特徴が説明される。外側カートリッジ本体部20の挿入部ソケット66は、上方円筒面76と、当該上方円筒面76よりも僅かに小径の下方円筒面78と、によって規定された円筒状部を含んでいる。角度付けられた環状肩部80が、上方円筒面76及び下方円筒面78の間に規定されている。挿入部ソケット66は、更に、下方円筒面78から延びる下方テーパ面82によって規定されたテーパ部を含んでいる。カートリッジ本体部20は、更に、例えばネジ式係合部を介してノズルハブ86を受容する下方カラー84を含んでいる。ノズルハブ86は、ノズルリテーナ90によって所定位置に固定されたノズル88を収容している。ノズルリテーナ90は、ノズル88の外周面とノズルハブ86の内周面との間に位置決めされている。当該リテーナ90は、例えば、ノズル88をノズルハブ86に接合してシールするエポキシ樹脂で構成され得る。
【0030】
図5及び
図6に最も良く示されているように、外側カートリッジ本体部20の延長部72は、その外側面を通って径方向に延び、挿入部ソケット66に開口する流体入口通路92を含んでいる。流体入口通路92は、流体コネクタ74をネジ式係合状態で受容するためのネジ孔を含んでいる。流体コネクタ74は、流体入口通路92と連通する流体入口98を規定し、流体供給管16に結合するための外側ネジ部100を含み、以下に詳述される噴射のため、流体貯蔵部15から噴射カートリッジ14へ流体を案内する。
【0031】
図5及び
図6に示されているように、流れ挿入部22のアクチュエータソケット30は、挿入ヘッド24と挿入軸26の円筒状軸部52とを貫通して延びている。アクチュエータソケット30は、円筒面102によって規定された円筒状部と、テーパ面104によって規定されたテーパ部と、を含んでいる。円筒状部は、アクチュエータ12の駆動ピストン32を受容するようなサイズ及び形状となっている。流れ挿入部22は、更に、挿入軸26のテーパ端54を貫通して延びて挿入部ソケット66に開口する下方開口106を含んでいる。
【0032】
バルブヘッド110と、柄部先端114を含むバルブ柄部112と、を含むバルブ部材108が、バネワッシャ116と共に流れ挿入部22によって支持されている。バネワッシャ116は、テーパ面104の上方端で支持され得て、バルブ柄部112が受容される中央開口を含み、バルブヘッド110がバネワッシャ116に当接している。バルブ柄部112は、流れ挿入部22の下方開口106を貫通して、環状バルブシール118によって気密に係合されている。以下に詳述されるように、バルブ部材108は、ノズル88から材料を噴射するべく、上方位置と下方位置との間で急速に作動され得る。
【0033】
組み立て中、流れ挿入部22は、全体として
図3及び
図4に示された態様で、外側カートリッジ本体部20と整列される。特に、挿入軸26は、挿入部ソケット66と同軸に整列され、流れ挿入部22の側方面38は、カートリッジ本体部20の側方面68と整列される。挿入軸26は、その後、
図1、
図5及び
図6に示される態様で、挿入部ソケット66内に取り外し可能に受容される。特に、流れ挿入部22の下方面50は、外側カートリッジ本体部20の上方面64によって支持される。付加的に、流れ挿入部22の上方シール要素60が、カートリッジ本体部20の上方円筒面76と気密に解除可能に係合し、それによって、外側カートリッジ本体部20と流れ挿入部22との間に摩擦接合部を確立する。図示の実施形態において示されているように、流れ挿入部22は、外側カートリッジ本体部20と、他には何らの機械的締結具(例えばネジ)で結合されていない。従って、流れ挿入部22は、手動で摩擦係合部を解除することで、外側カートリッジ本体部20から容易に分解され得る。流れ挿入部22をカートリッジ本体部20から分解するのに、何らの独立の工具(例えば、レンチやスクリュードライバ)も必要とされない。結果的に、有利なことに、流れ挿入部22はカートリッジ本体部20に解除可能、すなわち取り外し可能、に結合され、これら構成要素は、迅速かつ容易に手動で分解され得て、それによって流れ挿入部22及びカートリッジ本体部20の対向面が検査や洗浄の目的で露出される。
【0034】
図示のように、流れ挿入部22が外側カートリッジ本体部20によって受容される時、挿入軸26の円筒状軸部52は、流路溝56を含んでいるが、挿入部ソケット66の上方及び下方円筒面76、78に対面する。この態様では、流路溝56と上方及び下方円筒面76、78が、集約的に、流れ挿入部22と外側カートリッジ本体部20との間に主要流路58を規定する。ここで説明されている例示的な実施形態で示されているように、流路溝56及び主要流路58は、螺旋形状であり得る。もっとも、前述のように、流路溝56は、様々な代替形状で形成され得て、それによって主要流路58の様々な対応の代替形状、例えば螺旋状でない渦巻状の流路、を規定する。流路溝56の入口端62は、流体入口通路92と直接的に整列され、流体入口通路92は主要流路58と連通する。
【0035】
挿入軸26のテーパ端54は、挿入部ソケット66の下方テーパ面82の上方で吊らされていて(浮いていて)、それによって環状のテーパ状の流体チャンバ120を規定している。当該流体チャンバ120は、上方端で主要流路58と連通し、下方端でノズルハブ86に規定された下方流体チャンバ122と連通している。図示のように、バルブ柄部112が下方流体チャンバ122内に延びていて、ノズル88の上方に吊らされている。
【0036】
図5に矢印で示されているように、流体入口98、流体入口通路92、主要流路58、テーパ状の流体チャンバ120及び下方流体チャンバ122は、集約的に、流体材料が案内される、噴射カートリッジ14の流路124を規定している。従って、動作中、流れ挿入部22は、流体入口通路92を介して受容された流体材料を噴射用ノズル88に向けて案内するための整流板(バッフル)として機能する。
【0037】
組み立てられた噴射カートリッジ14は、噴射ディスペンサ10のアクチュエータ12に結合されていて、駆動ピストン32はアクチュエータソケット30内に受容され、駆動ピン34はバルブヘッド110に当接している。前述のように、アクチュエータ12は、駆動ピン34を下方(
図6参照)及び上方(
図5参照)に急速に起動するように作動可能で、それによってバルブ部材108を起動して、流体材料をノズル88から噴射する。
【0038】
加熱要素18は、ここでは一点鎖線で示されているが、外側カートリッジ本体部20の周縁に解除可能に結合されていて、当該周縁を取り囲んでいて、当該加熱要素18は、少なくとも外側カートリッジ本体部20の下方環状肩部126と直接的に接触している。別の実施形態では、加熱要素18は、外側カートリッジ本体部20の他の部分とも直接接触し得る。
図8に最も良く示されているように、組み立てられた噴射カートリッジ14は、加熱要素18とクランプ128とを介して、アクチュエータ12に解除可能に結合され得る。クランプ128は、加熱要素18の上方部とアクチュエータ12の下方部との周りに延在してこれらを解除可能に係合するアームを有している。この態様では、クランプ128が、加熱要素18、外側カートリッジ本体部20及び流れ挿入部22をアクチュエータ12に対して軸方向に圧縮状態で保持し得て、且つ、噴射カートリッジ14から手動で、独立の工具(例えばレンチやスクリュードライバ)の使用無しで、容易に係合解除され得る。別の実施形態では、任意の他の好適な機械的締結具が採用され得る。
【0039】
加熱要素18は、電源供給部19によってエネルギ供給されて、外側カートリッジ本体部20を加熱する。外側カートリッジ本体部20が、後述するように、流路124を通流する流体材料に熱を伝達する。電源供給部19は、カートリッジ本体部20及び流路124を通流する流体材料の所望の加熱効果を達成するべく加熱要素18に好適な程度の電力を提供するように、制御可能である。例えば、電源供給部19は、噴射される流体材料の温度を調整して結果的に粘度を調整するべく、噴射ディスペンサ10の動作中に、動的に制御され得る。加熱要素18及び/または噴射カートリッジ14は、外側カートリッジ本体部20の温度及び/または流路124を通流する流体材料の温度を検出するための1以上の熱センサ(不図示)を含み得る。電源供給部19は、外側カートリッジ本体部20及び/または流路124を通流する流体材料の目標温度を達成するか、あるいは維持するために、熱センサによって検出された温度に応じて、選択的に制御され得る。
【0040】
図5乃至
図7を参照して、噴射カートリッジ14を含む噴射ディスペンサ10の動作が詳細に説明される。
図5は、上方位置にある駆動ピン34及びバルブ部材108を示している。流体材料は、流体供給管16を介して流体貯蔵部15から流体コネクタ74の流体入口98へと案内される。流体材料は、その後、流体入口通路92を通過して、流れ挿入部22及び外側カートリッジ本体部20の間に規定された主要流路58内に至る。上方シール要素60によって流れ挿入部22及び外側カートリッジ本体部20の間に確立された解除可能なシールが、主要流路58内に流体材料を収容することを助ける。流体材料は、主要流路58から、テーパ状の流体チャンバ120を介して、下方流体チャンバ122に至る。流体材料は、下方流体チャンバ122内において、バルブ柄部先端114とノズル88との間の領域を満たす。
図6との関連で後述されるように、流体材料は、その後、矢印125で示されるように、バルブ柄部先端114によってノズル88から噴射される。
【0041】
図7は、螺旋状の主要流路58を含む流路124の概略図である。
図7の一点鎖線は、流路溝56を含む外側カートリッジ本体部20及び流れ挿入部22が、任意の好適な長さで軸方向に延びて流れ挿入部22の長手方向軸線回りの任意の好適な回転数を有する主要流路58を規定するべく任意の好適な軸方向寸法で形成され得ることを示している。
【0042】
流体材料が主要流路58を通過してノズル88に向かってテーパ状の流体チャンバ120内に至る時、流体材料は強制的に外側カートリッジ本体部20の内面と接触させられる。加熱要素18によって生成される熱が、環状肩部126を介して外側カートリッジ本体部20に伝達され、当該外側カートリッジ本体部20から流路124を通流する流体材料へと伝達される。従って、外側カートリッジ本体部20が熱交換器として機能する。より具体的には、熱は、外側カートリッジ本体部20の上方及び下方円筒面76、78を介して、主要流路58を通流する流体材料へと伝達され、下方テーパ面82を介して、テーパ状の流体チャンバ120を通流する流体材料へと伝達される。加熱要素18からの熱は、下方カラー84を介して、また、ノズルハブ86を介して、下方流体チャンバ122内の流体材料に伝達され得る。この態様では、噴射カートリッジ14を通流する流体材料が、少なくとも主要流路58及びテーパ状の流体チャンバ120を含む流路124の略全体に沿って加熱され得る。前述のように、流体材料が加熱される温度は、ディスペンシング動作中に、加熱要素18にエネルギ供給する電源供給部19の制御を介して、選択的に調整され得る。
【0043】
図6を参照して、アクチュエータ12は、駆動ピン34及びバルブ部材108を急速に下方位置へ起動するように作動可能である。下方位置では、バルブ柄部先端114が強制的にノズル88上に規定されたバルブシートに接触して、これによって加熱された流体材料がノズルを介して矢印125に示されるように強制排出(すなわち、噴射)される。駆動ピン34は、その後上昇され、バネワッシャ116によって提供されるバネ力によってバルブ部材108はその上方位置に戻される。流体材料は、全体的に前述の態様で、加熱された流路124に沿ってノズル88に向かって流れ続けて、バルブ部材108は、更なる噴射のために上方位置及び下方位置間で駆動ピン34によって急速に起動され得る。噴射中、バルブシール118を上方に漏れ出てアクチュエータソケット30に至る流体材料は、アクチュエータへの流体の進入を防止すべく、流体漏洩通路46を介して排出される。
【0044】
有利には、主要通路58は、螺旋状でも渦巻状でも他の形態でも、ノズル88を含む噴射カートリッジ14内で均一な目標流体温度を確立して実質的に維持するべく、十分な時間において流体材料を熱に曝すのに十分な長さを有する、加熱される流路を規定することに貢献する。結果として、流体材料が噴射用ノズル88に向かってそこに流れ込む時、流体材料の略一定で均一の目標粘度が、噴射カートリッジ14の全体で維持され得る。結果として、噴射前及び噴射中のノズル88における流体材料の不所望の温度降下が、実質的に防止される。これによって、ディスペンス重量の再現性が改善し、高スルーットの応用のための高い流体流速での噴射が可能となる。
【0045】
付加的な利点も、ここで図示され説明された噴射カートリッジ14の形態によって提供される。例えば、上方シール要素60によって流れ挿入部22及び外側カートリッジ本体部20の間で確立された流体緊密シールの信頼性は、独立の工具の使用無しでの流れ挿入部22及び外側カートリッジ本体部20の容易な分解及び再組み立てを促進する。従って、外側カートリッジ本体部20及び流れ挿入部22の全ての流体接触部が、使用と使用との間の包括的な検査、洗浄、メンテナンス作業のために、迅速かつ容易に露出され得る。特に、流れ挿入部22に形成された流路溝56と、外側カートリッジ本体部20の内面76、78、82は、分解時に容易にアクセス可能であり、容易に検査、洗浄、メンテナンス作業、等がなされ得る。更に、流路溝56の当該形状は、単一で連続的な流路58を提供するので、「デッドフローゾーン(流体の流れが妨げられたり、閉塞が生じたりする)」を生成することなく、また、流路124に沿って空気巻き込み(エントラップメント)を生じることなく、ノズル88に向かう流体材料の略一定で安定した流れを可能にする。
【0046】
本発明は、特定の実施形態についての記述によって説明され、当該実施形態は、かなり詳しく説明された。しかしながら、添付の特許請求の範囲の請求項の範囲を、そのような詳細に制限することや、何らかの態様で限定することは、意図されていない。ここで説明された様々な特徴は、単独でも、任意の組合せでも、利用可能である。付加的な利点及び修正は、当業者にとって容易である。本発明は、その広い観点では、特定の詳細や代表的な装置及び方法や図示の例に限定されない。従って、本発明の概念の範囲または精神から逸脱することなく、そのような詳細からの発展がなされ得る。